JP6023558B2 - 熱収縮性多層フィルム、熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、熱収縮性ラベル - Google Patents

熱収縮性多層フィルム、熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、熱収縮性ラベル Download PDF

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Description

本発明は、耐摩耗性に優れた、透明性が高く光沢のある熱収縮性多層フィルムに関する。また、本発明は、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルに関する。
近年、緑茶等の清涼飲料水がPETボトル飲料としてコンビニエンスストアー等で多量に販売されている。PETボトル飲料等に用いられる熱収縮性ラベルは、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を用いた、様々なフィルム基材に印刷等を施したものである。
熱収縮性ラベルには、低温収縮性に優れることからポリスチレン系樹脂フィルムが多用されている。しかしながら、ポリスチレン系樹脂フィルムには、耐熱性及び耐溶剤性が不充分であるという問題がある。そこで、耐熱性及び耐溶剤性に優れたポリエステル系樹脂フィルムを用いる試みもなされているが、ポリエステル系樹脂フィルムは低温収縮性が悪く急激に収縮することから、PETボトル飲料等に装着する際には皺が発生しやすい。
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献1には、ポリエステル系樹脂を含む外面層と、ポリスチレン系樹脂を含む中間層とが、変性ポリエステル系エラストマーを含む接着層を介して積層されてなる熱収縮性多層フィルムが記載されている。
しかしながら、これらのフィルム基材からなる熱収縮性ラベルは、PETボトル飲料の輸送時に、ボトル同士が擦れあったり、段ボール箱の壁面と擦れあったりして、表面に傷がついたり、摩耗により表面が磨り減ったりして問題になることがある。熱収縮性ラベル表面の耐摩耗性を改善する試みもなされているが(例えば、特許文献2)、未だ充分とはいえなかった。
特開2008−62640号公報 特開2002−132159号公報
本発明は、耐摩耗性に優れた、透明性が高く光沢のある熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することを目的とする。
本発明は、耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂を含有する裏面層(D)とをこの順に有し、前記耐摩耗層(A)は、ウレタン系樹脂と、(メタ)アクリル系重合体と、界面活性剤とを含有し、前記耐摩耗層(A)において、前記ウレタン系樹脂と前記(メタ)アクリル系重合体との合計100重量部に対する前記界面活性剤の含有量が、0.02〜0.7重量部である熱収縮性多層フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂を含有する裏面層(D)とをこの順に積層するとともに、耐摩耗層(A)を構成する樹脂としてウレタン系樹脂と(メタ)アクリル系重合体とを併用し、更に、界面活性剤を所定の割合で含有させることにより、耐摩耗性に優れた熱収縮性多層フィルムとすることができることを見出した。更に、本発明者は、このような熱収縮性多層フィルムは透明性も高く光沢もあり、PETボトル飲料等に用いられる熱収縮性ラベルに適用可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂を含有する裏面層(D)とをこの順に有する。
上記耐摩耗層(A)は、ウレタン系樹脂と、(メタ)アクリル系重合体と、界面活性剤とを含有する。ウレタン系樹脂と、(メタ)アクリル系重合体と、界面活性剤とを含有することにより、耐摩耗層(A)は、耐摩耗性に優れ、また、表面層(B)に対する密着性、延伸性等にも優れたものとなり、透明性も高く光沢も良好となる。
上記ウレタン系樹脂は、ジオールと多価イソシアネートとを反応させた重合体であり、水溶性又は水分散性であることが好ましい。
上記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジオール、及び、これら比較的低分子量のジオールと、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸とを重縮合させることにより得られるポリエステルジオール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエーテルジオール、ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール、ポリアクリル酸エステルジオール等も挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多価イソシアネートとしては、例えば、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、黄変が少ない点で、脂肪族又は脂環式のイソシアネートが好ましい。
上記ウレタン系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は500、好ましい上限は50万である。重量平均分子量が500未満であると、耐摩耗層(A)が硬くなり、耐摩耗性、表面層(B)に対する密着性、延伸性等が低下することがある。重量平均分子量が50万を超えると、ウレタン系樹脂の粘度が高くなり、このような粘度の高いウレタン系樹脂を含有する組成物を塗工する際には、均一な膜にならず、塗工抜けが発生することがある。重量平均分子量のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は10万である。
上記(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系単量体を反応させた重合体である。
上記(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル基を有する単量体であり、上記ウレタン系樹脂の末端と反応しないように活性水素基を有さないことが好ましい。上記(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記ウレタン系樹脂の末端と反応しないように活性水素基を有さない、炭素数1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等)が好ましい。
また、上記(メタ)アクリル系重合体は、上記(メタ)アクリル系単量体に加えて、重合性二重結合を有するその他の単量体に由来する成分を有していてもよい。このような単量体としては、例えば、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体等が挙げられる。
上記耐摩耗層(A)において、上記ウレタン系樹脂と上記(メタ)アクリル系重合体との重量比は特に限定されないが、2:98〜55:45であることが好ましい。上記ウレタン系樹脂の含有量がこの範囲よりも少ないと、耐摩耗層(A)が硬くなり、耐摩耗性、表面層(B)に対する密着性、延伸性等が低下することがあり、また、ヘイズが高くなって透明性が低下したり、光沢が悪くなったりするため、見栄えが悪くなり実用的でなくなることがある。上記ウレタン系樹脂の含有量がこの範囲よりも多いと、耐摩耗層(A)が硬くなり、耐摩耗性、表面層(B)に対する密着性、延伸性等が低下することがある。上記ウレタン系樹脂と上記(メタ)アクリル系重合体との重量比は、20:80〜50:50であることがより好ましい。
上記界面活性剤としては、脂肪酸アマイドワックス、金属石鹸、シリコーン、脂肪酸塩系ワックス、陽イオン系ワックス、陰イオン系ワックス、両性イオン系ワックス、エステル系ワックス等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、配合量が少なくても耐摩耗性を付与することができ、かつ、透明性及び光沢に優れる点で、脂肪酸アマイドワックス、金属石鹸が好ましい。
なお、本明細書において、界面活性剤とは、分子内に親水性部分と疎水性部分とを有する化合物を意味する。従って、上述した脂肪酸アマイドワックス、金属石鹸等は一般的に滑剤と呼ばれることもあるが、同じく滑剤と呼ばれるパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等は、本明細書における界面活性剤には含まれない。本明細書における界面活性剤の代わりにパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等を使用した場合には、多量に配合しなければ耐摩耗性を付与することができず、一方、多量に配合すると、耐摩耗層(A)の透明性が低下したり、光沢が悪くなったりする。
上記脂肪酸アマイドワックスとしては、例えば、ラウリル酸アマイドワックス、パルミチン酸アマイドワックス、ステアリン酸アマイドワックス、ベヘン酸アマイドワックス、エルカ酸アマイドワックス、エチレン−ビスステアリン酸アマイドワックス、オレイン酸アマイドワックス、ヒドロキシステアリン酸アマイドワックス等が挙げられる。なかでも、耐摩耗性と透明性とのバランスを取りやすい点で、ラウリル酸アマイドワックスが好ましい。
上記脂肪酸アマイドワックスの市販品としては、例えば、ハイミクロンL−271、ハイドリンD−757、セロゾールB−495(以上、中京油脂社製)、脂肪酸アマイドE、脂肪酸アマイドS、脂肪酸アマイドO−N(以上、花王社製)、ダイヤミッドY、ダイヤミッドKP、アマイドAP−1(以上、日本化成社製)等が挙げられる。
上記金属石鹸としては、例えば、ステアリン酸亜鉛ワックス、ステアリン酸カルシウムワックス、ステアリン酸マグネシウムワックス、ステアリン酸アルミニウムワックス、ステアリン酸バリウムワックス、ステアリン酸ナトリウムワックス、ステアリン酸カリウムワックス等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、耐摩耗性と透明性とのバランスを取りやすい点で、ステアリン酸亜鉛ワックスが好ましい。
上記金属石鹸の市販品としては、例えば、ハイドリンZ−7−30、ハイドリンE−366、ハイミクロンF−930、ハイミクロンZJ−557(以上、中京油脂社製)、淡南ワックスFZ、ジンクステアレートN、N.P.1500−S(以上、淡南化学工業)等が挙げられる。
上記耐摩耗層(A)において、上記ウレタン系樹脂と前記(メタ)アクリル系重合体との合計100重量部に対する上記界面活性剤の含有量は、下限が0.02重量部、上限が0.7重量部である。上記界面活性剤の含有量が0.02重量部未満であると、耐摩耗層(A)の滑り性が低下し、耐摩耗性、表面層(B)に対する密着性、延伸性等が低下する。上記界面活性剤の含有量が0.7重量部を超えると、耐摩耗層(A)のヘイズが高くなって透明性が低下したり、光沢が悪くなったりするため、見栄えが悪くなり実用的でなくなる。上記界面活性剤の含有量の好ましい下限は0.05重量部、好ましい上限は0.5重量部である。
上記耐摩耗層(A)は、上記ウレタン系樹脂と、上記(メタ)アクリル系重合体と、上記界面活性剤とを上述した割合で含有していればよいが、なかでも、表面層(B)上に水性塗工用組成物を塗工することにより形成されることが好ましい。塗工方法は特に限定されず、例えば、ドクターブレード、バーコーター、グラビアーコーター、コンマコーター、リバースコーター、スプレー法等の公知の塗工方法が挙げられる。
上記水性塗工用組成物は、上記ウレタン系樹脂と上記(メタ)アクリル系重合体とを含有する複合樹脂が水性媒体中に分散した複合樹脂水分散液と、上記界面活性剤とを含有することが好ましい。
上記複合樹脂は、上記ウレタン系樹脂を保護コロイドとする上記(メタ)アクリル系重合体を含有するものである。また、上記複合樹脂水分散液は、上記複合樹脂が水性媒体中に分散したコロイド溶液である。従って、上記水性塗工用組成物を用いることにより、形成される耐摩耗層(A)においては、上記ウレタン系樹脂と上記(メタ)アクリル系重合体とが海島構造のように分散し、かつ、その表面に上記界面活性剤が存在する状態となり、耐摩耗性、表面層(B)に対する密着性、延伸性、透明性等が向上する。
上記複合樹脂水分散液中の上記複合樹脂の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は10nm、好ましい上限は800nmである。平均粒子径が10nm未満であると、複合樹脂水分散液の粘度が高くなり、界面活性剤の分散性が低下したり、作業性が悪くなったりすることがある。平均粒子径が800nmを超えると、複合樹脂水分散液中での複合樹脂の分散性が低下し、凝集することがある。平均粒子径のより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は300nmである。
なお、複合樹脂水分散液中の複合樹脂の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
上記複合樹脂水分散液において、複合樹脂の固形分濃度は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は50重量%である。複合樹脂の固形分濃度が10重量%未満であると、耐摩耗層(A)の塗膜強度が低下し、耐摩耗性が低下することがある。複合樹脂の固形分濃度が50重量%を超えると、複合樹脂水分散液中での複合樹脂の分散性が低下し、凝集することがある。
上記水性媒体としては、例えば、水、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。なかでも、環境に与える負荷が少ない点で、水が好ましい。
上記複合樹脂水分散液を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記水性媒体中で上記ウレタン系樹脂と上記(メタ)アクリル系重合体とを混合する方法、上記水性媒体中、上記ウレタン系樹脂の存在下で、上記(メタ)アクリル系単量体を重合する方法等が挙げられる。
また、上記複合樹脂水分散液としては、市販品を用いてもよい。上記複合樹脂水分散液の市販品としては、例えば、SU−100、SU−200(以上、中央理化工業社製)等が挙げられる。
表面層(B)上に上記水性塗工用組成物を塗工した後には、一軸以上の延伸を行うことが好ましい。延伸を行うことにより、耐摩耗層(A)と表面層(B)との間の層間強度が向上し、熱収縮時又は熱収縮後の層間剥離が抑制される。
延伸方法としては、例えば、テンター延伸機、ロール延伸機等を用い、予熱ゾーン(90〜120℃)で予熱した後、延伸ゾーン(80〜110℃)で4〜6倍に横延伸し、固定ゾーン(60〜85℃)で熱セットする方法等が挙げられる。
上記耐摩耗層(A)は、更に、無機粒子、有機粒子、帯電防止剤等を含有していてもよい。
上記耐摩耗層(A)の塗膜厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は10μmである。塗膜厚みが0.01μm未満であると、耐摩耗層(A)の耐摩耗性が低下することがある。塗膜厚みが10μmを超えると、耐摩耗層(A)のヘイズが高くなって透明性が低下したり、光沢が悪くなったりするため、見栄えが悪くなり実用的でなくなることがあり、また、耐摩耗層(A)と表面層(B)との間の層間強度が低下し、熱収縮時又は熱収縮後に層間剥離が生じることがある。塗膜厚みのより好ましい下限は0.05μm、より好ましい上限は5μmであり、更に好ましい下限は0.1μm、更に好ましい上限は3μmである。
上記耐摩耗層(A)は、鉛筆硬度が2B〜HBであることが好ましい。鉛筆硬度が2Bよりも柔らかいと、耐摩耗層(A)の塗膜強度が低下し、耐摩耗性が低下することがある。鉛筆硬度がHBより硬いと、耐摩耗層(A)の延伸性が低下し、延伸する際に耐摩耗層(A)が延伸に追従できず、割れることがある。鉛筆硬度は、B〜HBであることがより好ましく、F〜HBであることが更に好ましい。
なお、本明細書において、鉛筆硬度とは、6Bから9Hまでの17段階の硬さの鉛筆で表面を引っかいた際に傷跡がつかない最も硬い鉛筆の硬度で表される表面硬度の指標であり、JIS−K5600−5−4(1999)の引っかき硬度(鉛筆法)に準拠して測定することができる。
上記表面層(B)と上記裏面層(D)とは、ポリエステル系樹脂を含有する。ポリエステル系樹脂は単独で用いられてもよく、異なる組成を有する2種以上のポリエステル系樹脂が併用されてもよい。
上記ポリエステル系樹脂は、熱収縮性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させることにより得られるポリエステル系樹脂等が挙げられる。
上記ジカルボン酸は特に限定されず、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。
上記ジオールは特に限定されず、例えば、脂肪族ジオール、脂環式ジオール等が挙げられる。上記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等が挙げられる。上記脂環式ジオールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
上記表面層(B)と上記裏面層(D)とのそれぞれの厚みの割合は特に限定されないが、熱収縮性多層フィルムの厚みに対する好ましい下限は5%、好ましい上限は25%である。厚みの割合が5%未満であると、熱収縮性多層フィルムの耐熱性が低下することがある。厚みの割合が25%を超えると、熱収縮性多層フィルムにミシン目を施した場合のミシン目カット性が低下することがある。
上記中間層(C)は、ポリスチレン系樹脂を含有する。
上記ポリスチレン系樹脂は、熱収縮性を有するものであれば特に限定されないが、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂が好ましい。これらを含有することにより、中間層(C)は、熱収縮性に優れ、収縮仕上がり性にも優れたものとなる。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体において、芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体としては、具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS樹脂)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS樹脂)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SIBS樹脂)が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体において、芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、具体的には、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体が好ましい。
上記混合樹脂において、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との重量比は特に限定されないが、20:80〜99:1であることが好ましい。この範囲とすることにより、中間層(C)の自然収縮率を効果的に抑えつつ、充分な熱収縮性を付与することができる。
上記中間層(C)の厚みの割合は特に限定されないが、熱収縮性多層フィルムの厚みに対する好ましい下限は5%、好ましい上限は99%である。厚みの割合が5%未満であると、熱収縮性多層フィルムにミシン目を施した場合のミシン目カット性が低下することがある。厚みの割合が99%を超えると、熱収縮性多層フィルムの耐熱性が低下することがある。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、表面層(B)と中間層(C)との間、及び/又は、中間層(C)と裏面層(D)との間に接着層(E)を有することが好ましい。
上記接着層(E)に含まれる接着性樹脂としては、例えば、一般に市販されている接着性樹脂、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂等が挙げられる。一般に市販されている接着性樹脂としては、スチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー変性物、ポリエステル系エラストマーが好ましい。
上記スチレン系エラストマーとは、ハードセグメントであるポリスチレンと、ソフトセグメントであるポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンとポリイソプレンの共重合体等とからなるものや、これらの水素添加物を意味する。なお、上記水素添加物は、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の一部が水素添加されたものであってもよく、全てが水素添加されたものであってもよい。
上記スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、タフテック、タフプレン(以上、旭化成ケミカルズ社製)、クレイトン(クレイトンポリマージャパン社製)、ダイナロン、JSR TR、JSR SIS(以上、JSR社製)、セプトン(クラレ社製)等が挙げられる。
上記スチレン系エラストマー変性物としては、例えば、上記スチレン系エラストマーが、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、水酸基等の官能基によって変性されたもの等が挙げられる。
上記ポリエステル系エラストマーは、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、特に、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを有する飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントであるポリアルキレンエーテルグリコールと、脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体が好ましい。更に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
上記ポリエステル系エラストマーの市販品としては、例えば、プリマロイ(三菱化学社製)、ペルプレン(東洋紡績社製)、ハイトレル(東レ・デュポン社製)等が挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂において、ポリエステル系樹脂としては、上述した表面層(B)と裏面層(D)とに用いられるポリエステル系樹脂と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよい。
上記接着層(E)に含まれるポリエステル系樹脂としては、特に、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するものが好ましい。このようなポリエステル系樹脂は、更に、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜30モル%含有してもよい。
上記接着層(E)に含まれるポリエステル系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は50℃、好ましい上限は95℃である。ビカット軟化温度が50℃未満であると、熱収縮時又は熱収縮後に層間剥離が生じることがある。ビカット軟化温度が95℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがある。ビカット軟化温度のより好ましい下限は55℃、更に好ましい下限は60℃、より好ましい上限は90℃である。
なお、ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法により測定することができる。
上記ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂において、ポリスチレンル系樹脂としては、上述した中間層(C)に用いられるポリスチレン系樹脂と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよい。
上記接着層(E)に含まれるポリスチレン系樹脂がスチレン−共役ジエン共重合体である場合、スチレン−共役ジエン共重合体100重量%に占めるスチレン含有量が55〜90重量%、共役ジエン含有量が10〜45重量%であることが好ましい。スチレン含有量及び共役ジエン含有量がこの範囲を外れると、熱収縮性多層フィルムにミシン目を施した場合のミシン目カット性が低下したり、層間強度が低下したりすることがある。
上記接着層(E)に含まれるポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は60℃、好ましい上限は85℃である。ビカット軟化温度がこの範囲を外れると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがある。ビカット軟化温度のより好ましい下限は65℃、より好ましい上限は80℃である。
上記ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂において、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との重量比は特に限定されないが、60:40〜85:15であることが好ましい。ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との重量比がこの範囲を外れると、熱収縮性多層フィルムにミシン目を施した場合のミシン目カット性が低下したり、層間強度が低下したりすることがある。ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との重量比は、65:35〜80:20であることがより好ましい。
上記接着層(E)の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.5μm、好ましい上限は3.0μmである。厚みが0.5μm未満であると、熱収縮性多層フィルムの層間強度が低下することがある。厚みが3.0μmを超えると、熱収縮性多層フィルムの熱収性が低下することがある。厚みのより好ましい下限は0.7μm、より好ましい上限は2.0μmである。
本発明の熱収縮性多層フィルムには、各層に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、着色料、顔料等を添加してもよい。
本発明の熱収縮性多層フィルムの厚みは特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は70μmである。厚みが10μm未満であると、熱収縮性多層フィルムの腰が低くなり、取り扱い性が低下することがある。厚みが70μmを超えると、熱収縮性多層フィルムの熱収縮性が低下することがある。
本発明の熱収縮性多層フィルムのヘイズは特に限定されないが、好ましい上限は10%である。ヘイズが10%を超えると、熱収縮性多層フィルムの透明性が低下するため、見栄えが悪くなり実用的でなくなることがある。
なお、ヘイズは、JIS−K−6782に準拠して測定することができる。
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法としては、例えば、表面層(B)と、中間層(C)と、裏面層(D)と、必要に応じて接着層(E)とを共押出しする工程と、上記表面層(B)上に上述したような水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程とを有する方法等が挙げられる。
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法であって、表面層(B)と、中間層(C)と、裏面層(D)と、必要に応じて接着層(E)とを共押出しする工程と、上記表面層(B)上に水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程とを有し、上記水性塗工用組成物は、ウレタン系樹脂と(メタ)アクリル系重合体とを含有する複合樹脂が水性媒体中に分散した複合樹脂水分散液と、界面活性剤とを含有する熱収縮性多層フィルムの製造方法もまた、本発明の1つである。
共押出しする方法としては、例えば、表面層(B)と、中間層(C)と、裏面層(D)と、必要に応じて接着層(E)とを構成する樹脂を、それぞれ、バレル温度が160〜280℃の押出機に投入し、温度185〜280℃のマルチマニホールドダイより板状に押出しする方法等が挙げられる。
このようにして共押出しした後、70〜90℃に調整されたロール延伸機にて、低速度ロールと高速度ロールの速度比により1〜1.5倍に縦延伸してもよいし、その後更に、70〜120℃に調整されたテンター延伸機にて、3.0〜5.5倍に横延伸してもよい。
上記表面層(B)上に上記水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程は、上記縦延伸後に行ってもよいし、上記横延伸後に行ってもよい。また、上記横延伸後に一旦巻き取った後、上記表面層(B)上に上記水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程を別途行ってもよい。
本発明の熱収縮性多層フィルムの用途は特に限定されないが、耐摩耗性に優れ、透明性が高く光沢も良好であることから、PETボトル飲料等に用いられる熱収縮性ラベルに適用可能である。本発明の熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、耐摩耗性に優れた、透明性が高く光沢のある熱収縮性多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)水性塗工用組成物の調製
ウレタン系樹脂水溶液(固形分濃度34.5重量%、pH7.9、ポリエーテル系ウレタン樹脂)に、(メタ)アクリル系重合体粉末(ポリアクリル酸エチル、三菱化学社製)を重量比が30:70となるように添加及び混合し、水分量を調整して、T.K.ホモミキサー(プライミクス社製)にて充分に撹拌及び分散させることにより、ウレタン系樹脂と(メタ)アクリル系重合体とを含有する複合樹脂が分散した複合樹脂水分散液(複合樹脂の平均粒子径74nm、複合樹脂の固形分濃度30重量%)を調製した。なお、複合樹脂の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した。
この複合樹脂水分散液に、ステアリン酸亜鉛ワックス(ハイミクロンF−930、中京油脂社製)をウレタン系樹脂と(メタ)アクリル系重合体との合計100重量部に対し0.05重量部となるように添加し、攪拌することにより、水性塗工用組成物を調製した。
(2)フィルム基材の成形
表面層(B)と裏面層(D)とを構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層(C)を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%、ビカット軟化温度72℃、MFR5.6g/10分)を用いた。
接着層(E)を構成する樹脂として、表面層(B)と裏面層(D)とを構成する樹脂と同様のポリエステル系樹脂と、中間層(C)を構成する樹脂と同様のスチレン−ブタジエンブロック共重合体との混合樹脂を用いた。
これらの樹脂をバレル温度が160〜250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスからシート状に押出し、40℃の引き取りロールにて冷却固化した。その後、縦延伸機にて、80℃の低速ロールと85℃の高速ロール間で1.3倍に縦延伸し、フィルム基材を得た。
(3)熱収縮性多層フィルムの作製
得られたフィルム基材に、調製した水性塗工用組成物をバーコーター方式により塗工し、60℃の乾燥炉を通して乾燥した。
次いで、水性塗工用組成物を塗工したフィルム基材を、予熱ゾーン110℃、延伸ゾーン90℃、固定ゾーン80℃のテンター延伸機内でTDへ5.0倍に延伸した。その後、ワインダーで巻き取り、熱収縮性多層フィルムを得た。得られた熱収縮性多層フィルムは、厚みが約45μmであり、耐摩耗層(A)(0.3μm)/表面層(B)(6μm)/接着層(E)(1μm)/中間層(C)(31μm)/接着層(E)(1μm)/裏面層(B)(6μm)の6層構成からなるものであった。
なお、(2)フィルム基材の成形及び(3)熱収縮性多層フィルムの作製は一連の工程として行った。
(実施例2〜6、比較例1〜6)
ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系重合体粉末、界面活性剤の種類、配合量等を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、熱収縮性多層フィルムを得た。
なお、表1中のラウリル酸アマイドワックスは、ハイミクロンL−271(中京油脂社製)であり、ポリオレフィンワックスは、ポリロンL−618(中京油脂社製)である。
<評価>
実施例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)透明性(ヘイズ)
NDH5000(日本電色工業社製)を用い、JIS−K−6782に準拠して、熱収縮性多層フィルムの透明性を評価した。なお、ヘイズ値が10%以下であると、透明性が高いといえる。
(2)光沢(光沢度)
VG2000(日本電色工業社製)を用い、JIS−Z−8741に準拠して、入射角45°にて熱収縮性多層フィルムの光沢度を評価した。なお、光沢度が135%以上であると、光沢が良好であるといえる。
(3)耐摩耗性
錐状の治具(ポリアセタール製)に、テープを用いて熱収縮性多層フィルムを装着し、該熱収縮性多層フィルムを介して、治具の頂点をアルミ板に接触させた。頂点のRは摺動方向R=0.5mmとした。次に、治具に150gの荷重を載せた。雰囲気温度23℃湿度65%の条件下で、治具を4000mm/分の速度で、かつ、移動距離45mmの範囲でアルミ板に対して平行に摺動させ、ある一定の回数を摺動させた。熱収縮性多層フィルムに治具の頂点が当たっていたところに浸透液を適下して、白色紙の上で浸透するか否かにより、ピンホールの発生を判定した。摺動回数が350回を超えてもピンホールが発生しないものを○、ピンホールが発生するまでの摺動回数が350回を下回るものを×とした。
(4)熱収縮性
熱収縮性多層フィルムを、MD方向100mm×TD方向100mmの大きさにカットし、70℃の温水に10秒間浸漬させた後、熱収縮性多層フィルムを取り出し、すぐに水道水に10秒間浸漬させた。この熱収縮性多層フィルムのTDの1辺の長さLを測定して、次式に従いTDの熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)={(100−L)/100}×100
なお、熱収縮率はn=3としてその平均値を用いた。
(5)延伸性
SEM(日立社製、S−4800)を用いて熱収縮性多層フィルムの耐摩耗層(A)の塗膜表面を倍率2000倍で観察し、塗膜表面にクラックが認められないものを○、認められるものを×とした。
(6)熱収縮後の密着性
JIS−K5600−5−6(1999)に準拠して、以下のように評価を行った。
熱収縮性多層フィルムの耐摩耗層(A)を貫通して表面層(B)に達するように、1mm間隔の格子パターンの切り傷を付けた。格子パターンの縦、横方向の切り傷数をそれぞれ6とした。この25マスの格子の上に幅25mmの透明付着テ−プを3.1N/10mmの力で押して付着させた。透明付着テープを付着させてから5分以内に、60度の角度で透明付着テープの端をつかみ、0.5〜1.0秒で透明付着テープを剥がした。格子の中の耐摩耗層(A)と表面層(B)との間の層間剥離の有無をマイクロスコ−プで観察した。同様の測定を場所を変えて3ヶ所で行い、3ヶ所とも層間剥離が認められないものを実用上使用できるものとし、○とした。3ヶ所のうちいずれかで層間剥離が認められたものを×とした。
Figure 0006023558
本発明によれば、耐摩耗性に優れた、透明性が高く光沢のある熱収縮性多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、該熱収縮性多層フィルムの製造方法、及び、該熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルを提供することができる。

Claims (5)

  1. 耐摩耗層(A)と、ポリエステル系樹脂を含有する表面層(B)と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層(C)と、ポリエステル系樹脂を含有する裏面層(D)とをこの順に有し、
    前記耐摩耗層(A)は、ウレタン系樹脂と、(メタ)アクリル系重合体と、界面活性剤とを含有し、
    前記耐摩耗層(A)において、前記ウレタン系樹脂と前記(メタ)アクリル系重合体との合計100重量部に対する前記界面活性剤の含有量が、0.02〜0.7重量部である
    ことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  2. 耐摩耗層(A)において、ウレタン系樹脂と(メタ)アクリル系重合体との重量比が、2:98〜55:45であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  3. 表面層(B)と中間層(C)との間、及び/又は、中間層(C)と裏面層(D)との間に接着層(E)を有することを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  4. 請求項1、2記載の熱収縮性多層フィルムを製造する方法であって、
    表面層(B)と、中間層(C)と、裏面層(D)と、必要に応じて接着層(E)とを共押出しする工程と、
    前記表面層(B)上に水性塗工用組成物を塗工することにより耐摩耗層(A)を形成する工程とを有し、
    前記水性塗工用組成物は、ウレタン系樹脂と(メタ)アクリル系重合体とを含有する複合樹脂が水性媒体中に分散した複合樹脂水分散液と、界面活性剤とを含有する
    ことを特徴とする熱収縮性多層フィルムの製造方法。
  5. 請求項1、2記載の熱収縮性多層フィルムを用いてなることを特徴とする熱収縮性ラベル。
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