JP4201974B2 - 角型プラスチックボトル用シュリンクラベル及びシュリンクラベル付き角型プラスチックボトル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑り性に優れた角型プラスチックボトル用シュリンクラベル及び該シュリンクラベル付き角型プラスチックボトルに関する。
【0002】
【従来の技術】
清涼飲料水やコーヒー飲料などの飲料用のPETボトル(ポリエチレンテレフタレート製ボトル)等のプラスチックボトルとして、断面が略四角型等の多角型状を有する角型ボトルが最近使用されている。このような角型ボトルは、図4〜6で示されているように、首部、肩部、側部(胴部)、底部などを有しており、通常、シュリンクラベルにより少なくとも側部が覆われている。図4において、11はシュリンクラベル、21は角型プラスチックボトル(角型ボトル)、21aは角型ボトル21の首部、21bは角型ボトル21の肩部、21cは角型ボトル21の側部、21dは角型ボトル21の底部、31はキャップである。該シュリンクラベル11は、角型ボトル21の首部21aから底部21dまで覆っているフルシュリンクラベルである。
【0003】
また、図5において、12はシュリンクラベル、22は角型プラスチックボトル(角型ボトル)、22aは角型ボトル22の首部、22bは角型ボトル22の肩部、22cは角型ボトル22の側部、22dは角型ボトル22の底部、32はキャップである。該シュリンクラベル12は、角型ボトル22の肩部22bから底部22dまで覆っているセミフルシュリンクラベルである。
【0004】
さらにまた、図6において、13はシュリンクラベル、23は角型プラスチックボトル(角型ボトル)、23aは角型ボトル23の首部、23bは角型ボトル23の肩部、23cは角型ボトル23の側部、23dは角型ボトル23の底部、33はキャップである。該シュリンクラベル13は、角型ボトル23の肩部23bから側部23cの中央部付近まで(すなわち、角型ボトル23の側面の上部側を)覆っているハーフシュリンクラベルである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような角型プラスチックボトルを自動販売機(ベンダー)に装填した場合、消費者がお金をベンダーの所定の場所に入れて商品を選択しても、角型プラスチックボトルが自動販売機内の設置台から滑り出さず、又は所定の通路を通過又は落下せず、商品取り出し口に出て来ない虞があり問題となっていた。
【0006】
したがって、本発明の目的は、角型プラスチックボトルに優れた滑り性を付与することができる角型プラスチックボトル用シュリンクラベルを提供することにある。
本発明の他の目的は、シュリンクラベル付き角型プラスチックボトルを自動販売機内の所定の通路を通過又は落下させて確実に自動販売機に装填することができ、しかも自動販売機内の所定の通路を通過又は落下して確実に商品取り出し口まで到達することができるシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の摩擦係数を有する外面のシュリンクラベルを、角型プラスチックボトルの本体側面を覆うように装着すると、該シュリンクラベル付き角型プラスチックボトルは自動販売機に装填されても、確実に自動販売機内の設置台から滑り出し、所定の通路を通過又は落下して、商品取り出し口に出て来ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(3)の全ての条件を満たす筒状の角型プラスチックボトル用シュリンクラベルが、側部(胴部)が4つの全体として略平面状の滑り面部と4つの角部とで構成されており、全体として横断面略四角型である角型プラスチックボトルの、側部の全面を覆うように装着されており、シュリンクラベルのシール部が、角型プラスチックボトルの側部における角部に形成されていることを特徴とする自動販売機に装填する用途に用いられるシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルを提供する。上記(1)〜(3)は、以下のとおりである。
(1)角型プラスチックボトルに対して非接触側の面にオーバーコート剤層を有するシュリンクラベルである
(2)オーバーコート剤が、樹脂と、シリコーンオイル又は無機粒子と、ワックスとの組み合わせからなる滑剤とを含んでおり、滑剤の含有量が樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部である
(3)該オーバーコート剤層側の外面の摩擦係数が、同様のシュリンクラベルのオーバーコート剤層側の外面に対して0.3以下であり、ステンレス鋼板に対して0.45以下である
【0009】
本発明では、オーバーコート剤の樹脂が、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂から選ばれた少なくとも1つであることが好適である。
【0011】
本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルでは、シュリンクラベルのミシン目が、角型プラスチックボトルの側部における角部に形成されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明のシュリンクラベル1が装着された角型プラスチックボトル2の一例を示す概略図である。図1において、1はシュリンクラベルであり、2は角型プラスチックボトル(以下、単に「角型ボトル」と称する場合がある)である。2aは角型ボトル2の首部、2bは角型ボトル2の肩部、2cは角型ボトル2の側部(胴部)、2c1は側部2cにおける滑り面部(平面部)、2c2は側部2cにおける角部、2dは角型ボトル2の底部である。4はシュリンクラベル1に形成されたミシン目であり、5はシュリンクラベル1におけるシール部である。3はキャップである。
【0013】
図1に示されているように、シュリンクラベル1は、フルシュリンクラベルであり、角型ボトル2の本体側面の全面(すなわち、側部2cの全面)を覆うように装着されている。具体的には、角型ボトル2は、フルシュリンクラベルとしてのシュリンクラベル1により、首部2aから肩部2bおよび側部2cを通して底部2dの周辺部まで覆われている。
【0014】
シュリンクラベル1は、図2に示されているように、基材1aと、該基材1aと積層されているオーバーコート剤層1bとにより構成されている。シュリンクラベル1において、基材1a側の面(内面)1a1は、角型ボトル2に対して接触側の面であり、オーバーコート剤層1b側の面(外面)1b1は、角型ボトル2に対して非接触側の面である。
【0015】
シュリンクラベル1は、オーバーコート剤層1b側の外面1b1の摩擦係数が、同様のシュリンクラベルのオーバーコート剤層側の外面に対して、0.3以下(例えば、0.1〜0.3)であり、特にシュリンクラベルがフルシュリンクラベルである場合には0.1〜0.2であることが好ましい。すなわち、本発明のシュリンクラベル間の外面同士の摩擦係数は0.3以下である。該摩擦係数が0.3を越えると、シュリンクラベル付き角型プラスチックボトルの滑り性が低下し、該角型ボトルを自動販売機に装填する場合または取り出す場合に所定の通路を通過又は落下し難くなる。
【0016】
また、前記と同様の理由から、シュリンクラベル1は、オーバーコート剤層1b側の外面1b1のステンレス鋼板に対する摩擦係数が、0.45以下(例えば、0.2〜0.45)であり、特にシュリンクラベルがフルシュリンクラベルである場合には0.2〜0.35であることが好ましい。
【0017】
本発明では、シュリンクラベル1における外面1b1の摩擦係数としては、静摩擦係数及び/又は動摩擦係数を採用することができる。摩擦係数としては、静摩擦係数および動摩擦係数(特に、静摩擦係数)が好適に採用される。すなわち、該シュリンクラベルと同様の外面に対する静摩擦係数および動摩擦係数(特に、静摩擦係数)が0.3以下であることが好ましく、及び/又は、ステンレス鋼板に対する静摩擦係数および動摩擦係数(特に、静摩擦係数)が0.45以下であることが好ましい。
【0018】
なお、本発明における静摩擦係数、動摩擦係数は、JIS K 7125に準拠して測定することができる。該摩擦係数(静摩擦係数、動摩擦係数)は、ステンレス鋼板または同様のシュリンクラベルの外面に対して測定された測定値を採用することができる。
【0019】
オーバーコート剤層1bはオーバーコート剤により形成されている。オーバーコート剤は樹脂と滑剤とを含んでいる。オーバーコート剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0020】
オーバーコート剤の樹脂としては、特に制限されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの熱可塑性樹脂が好適に用いられる。樹脂は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0021】
滑剤としては、特に制限されず、有機系滑剤、無機系滑剤のいずれでも用いることができる。滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、粒子状固体物質(特に、微粒子状固体物質)、ワックスなどが挙げられる。滑剤は、単独で又は2種以上混合して使用することができる。前記粒子状固体物質としては、例えば、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。本発明では、滑剤としては、シリコーンオイル又は無機粒子(特に、無機微粒子)と、ワックスとの組み合わせが好適に用いられる。
【0022】
滑剤として、例えば、ワックスには、マイクロクリスタリンワックス、酸化マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、酸化パラフィン、モンタンワックスなどの鉱物系ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、塩素化ポリプロピレンワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス、ポリカーボネートワックスなどの合成ワックス;漆ロウ、密ロウ、白ロウ、木蝋、鯨蝋、ワセリン、ラノリン、カルナバワックス、ケーンワックス、キャンデリラワックス、セラックワックス、ライスワックス、シュガーワックスなどの天然ワックスなどが含まれる。
【0023】
粒子状固体物質には、シリカ、タルク、雲母、カオリン、ベントナイト、クレー、黒鉛、フッ化黒鉛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス粉、アルミナ、金属粉などの無機粒子;ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸の塩(金属石けん)、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、二フッ化エチレン、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、デンプン粉、セルロース粉、テフロン粉などの有機粒子などが含まれる。
【0024】
滑剤としては、ポリエチレンワックスなどのワックスと、シリコーンオイルとを組み合わせて用いる場合、両者の割合は、広い範囲から選択することが可能であり、例えば、ワックス/シリコーンオイル=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10の範囲から選択することができる。
【0025】
本発明では、オーバーコート剤は、樹脂と、本発明のシュリンクラベルと同様の外面に対する(シュリンクラベル同士間の外面の)摩擦係数(動摩擦係数及び/又は静摩擦係数)が0.3以下、及び/又はステンレス鋼板に対する摩擦係数(動摩擦係数及び/又は静摩擦係数)が0.45以下となるような含有量の滑剤とを含んでいる。オーバーコート剤としては、シュリンクラベル同士間の外面の動摩擦係数が0.3以下で且つシュリンクラベル同士間の外面の静摩擦係数が0.3以下となるような含有量であることが好ましく、及び/又は、ステンレス鋼板に対する動摩擦係数が0.45以下で且つステンレス鋼板に対する静摩擦係数が0.45以下となるような含有量であることが好ましい。具体的には、滑剤の含有量は、例えば、オーバーコート剤中の樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは3〜8重量部程度である。滑剤の含有量が少なすぎると、シュリンクラベル付き角型プラスチックボトルの滑り性が低下する。一方、多すぎると、基材に対するオーバーコート剤層の密着性が低下したり、角型プラスチックボトルに対するシュリンクラベルの装着性が悪くなったりするおそれがある。
【0026】
オーバーコート剤層1bの厚みは、特に制限されず、例えば、0.5〜5μm、好ましくは1〜3μm程度の範囲から選択することができる。
【0027】
また、シュリンクラベル1の基材1aは、プラスチックフィルムにより形成することができる。前記プラスチックフィルムの素材としては、ポリエステル、スチレン系樹脂、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が好適に用いられる。プラスチックフィルムの素材は、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0028】
なお、基材1aにおいて、ポリエステル、スチレン系樹脂などは滑り性が低いため、前記オーバーコート剤層1bを積層することにより、優れた滑り性を発揮することができるシュリンクラベル1が得られる。
【0029】
基材1aのポリエステルにはジカルボン酸成分とジオール成分とで構成される種々のポリエステルが含まれる。前記ポリエステルとしては、テレフタル酸及びエチレングリコールを、それぞれジカルボン酸成分及びジオール成分の主成分として用い、共重合成分として、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分を用いた共重合ポリエステルが好適に用いられる。
【0030】
本発明の基材1aは単層フィルム及び多層フィルムの何れで構成されていてもよい。基材1aの厚みは、特に制限されず、例えば、20〜80μm、好ましくは30〜60μm程度の範囲から選択することができる。
【0031】
本発明のシュリンクラベル1は、押出法やカレンダー法等の公知の方法によって成形した後、延伸処理し、得られたフィルムの表面にオーバーコート剤層を印刷(例えば、グラビア印刷など)等の塗布方法により積層して製造できる。なお、オーバーコート剤層は透明であることが好ましい。
【0032】
延伸は、テンター方式、チューブ方式の何れの方式で行うこともできる。延伸処理は、例えば、フィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度等を考慮した適宜の温度で、容器の周方向に対応する方向[通常、幅方向(TD方向)]に1.5〜8倍、好ましくは4〜5倍程度延伸することにより行われる。なお、必要に応じて、前記方向に直交する方向[通常、長さ方向(MD方向)]にも、低い延伸倍率(例えば1.5倍程度以下)で延伸処理を施すことができる。また、延伸後、通常、60〜90℃程度の加熱ゾーンを約1〜10秒通過させるヒートセットが行われる。こうして得られるフィルムは主延伸方向に配向性を有し、該方向に大きな熱収縮性を示す。
【0033】
なお、シュリンクラベル1には、文字やデザインなどの印刷を行うこともできる。文字やデザインなどを印刷する面は、通常、シュリンクラベル1における角型ボトル2に対して接触側の面(内面)1a1である。
【0034】
本発明のシュリンクラベル1は、基材にオーバーコート剤を塗布し、必要に応じて文字やデザインを印刷した後、所望の幅の長尺帯状に切断し、例えば、オーバーコート剤層を外側にして(文字やデザインの印刷面を内側にして)、前記主延伸方向が周方向となるように筒状に丸め、両端辺を接着剤などで接着した後、必要に応じて所望の長さに切断し、筒状のシュリンクラベルとして使用される。
【0035】
なお、本発明のシュリンクラベルは、少なくとも角型プラスチックボトルの側部を覆うものであれば、その形態は特に制限されず、図1又は4で示されるようなフルシュリンクラベルの形態を有していてもよく、図5で示されるようなセミフルシュリンクラベルの形態を有していてもよい。また、図6で示されるような角型プラスチックボトルの側面上方部分を覆う、いわゆるハーフシュリンクラベルの形態を有していてもよい。
【0036】
本発明では、シュリンクラベルとしては、角型プラスチックボトルの側部の略全面を少なくとも覆っている(すなわち、肩部から底部までを少なくとも覆っている)フルシュリンクラベル又はセミフルシュリンクラベルの形態を有していることが好適である。
【0037】
本発明のシュリンクラベルでは、熱収縮率は特に制限されない。例えば、熱収縮率としては、90℃で10秒処理したとき、一方向X(容器の周方向に対応する方向)において40〜80%であり、好ましくは50〜75%である。該熱収縮率が40%未満の場合には、収縮が不十分となる場合がある。また、前記熱収縮率が80%を超える場合には、ラベルに歪みが生じるため好ましくない。
【0038】
前記熱収縮率は、例えば、シュリンクラベル1を構成する原料がポリエステルの場合、ジカルボン酸成分及びジオール成分の種類やその構成比率(特に、前記脂肪族ジカルボン酸成分の割合)、延伸条件(延伸温度、延伸倍率等)、ヒートセット条件(温度、時間等)などを適宜選択することにより前記範囲内に調整できる。
【0039】
角型ボトル2としては、側部(胴部)2cに滑り面部(平面部)2c1を有するプラスチック製ボトルであれば特に限定されない。角型ボトル2の代表的な例として、図3に示されるように、横断面略四角型の角型プラスチックボトルが挙げられる。図3は、角型ボトル2の胴部2cに関する概略断面図である。胴部2cは、4つの滑り面部2c1と、4つの角部2c2とで構成されているが、全体として横断面略四角型となっている。
【0040】
角型ボトル2としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステルからなるブロー成形ボトルなどが挙げられる。側部(胴部)2cにおける滑り面部(平面部)2c1の形状は特に制限されないが、通常、低下した圧力を吸収してボトルの変形を抑制できるような形状であり、例えば、中央部に僅かに盛り上がった凸状部が形成された略四角型の凹状を有し、且つ滑り面部全体として略平面状となっている場合が多い。
【0041】
本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトル2は、例えば、前記筒状に形成された本発明のシュリンクラベル1を自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した後、通常内容物を充填した角型プラスチックボトル2に、ボトル本体側面の略全面又は所定部位を覆うように連続的に被嵌し、加熱により熱収縮させて装着することにより製造することができる。角型ボトル2に被嵌したシュリンクラベル1の熱収縮は公知の何れの方法により行ってもよいが、均等に温度を伝えラベルの仕上がりをよくするという理由から、例えば80〜100℃程度のスチームトンネルを通過させることにより熱収縮させるのが好ましい。
【0042】
本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルは、自動販売機に装填されて、該装填されている部位(設置台)から商品取り出し口に出て来る場合、該プラスチックボトルを自動販売機内にスムーズに投入可能とすること、および装填されている部位から滑り始めることが必要である。本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルは、角型ボトルの本体側面を略全面的に覆っているシュリンクラベルの外面の摩擦係数が低い。そのため、角型ボトル内に飲料が充填されたシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルは、設置台の角度が小さくても、容易に滑り始めることができる。例えば、自動販売機内において、角型ボトルの設置台の角度は通常15°程度である。本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルは、角型ボトル内に所定の飲料が充填された場合、同様のシュリンクラベル間の外面同士の静摩擦係数が0.3以下、及び/又はステンレス鋼板に対する静摩擦係数が0.45以下のときには、自動販売機内で、設置台から容易に滑り出して、所定の通路を通過又は落下することができる。また、同様に、プラスチックボトルの自動販売機内への投入も円滑に行うことができる。
【0043】
また、自動販売機内の設置台から商品取り出し口に出て来る場合、自動販売機内の設置台を滑り出した後、所定の通路を通過又は落下する。このとき、角型ボトル2の側部2cのうち滑り面部2c1(すなわち、複数個の角型ボトルを自動販売機内に装填したときに角型ボトル同士が接する面部)が前記通路の壁に接する。本発明では、シュリンクラベル付き角型プラスチックボトル(角型ボトル2)は、ボトル本体側面の全面(滑り面部2c1)が本発明のシュリンクラベルにより覆われているので、同様のシュリンクラベル間の外面同士の動摩擦係数が0.3以下、及び/又はステンレス鋼板に対する動摩擦係数が0.45以下の場合は、角型ボトル2は、設置台から容易に滑り出した後、通過する通路の壁に滑り面2c1が接しても、両者間の摩擦により角型ボトル2が通路内で止まることがなく、確実に商品取り出し口に出て来る。また、特に自動販売機内においては、角型ボトル2は、連続して装填されており、該ボトル2はその側面部が互いに接した状態となっているため、該ボトル2に装着されたシュリンクラベル間の外面同士の滑り性を良好とすべく、該シュリンクラベル間の外面同士における動摩擦係数を0.3以下(好ましくは0.2以下)とすることが重要である。
【0044】
このように、本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルは、該シュリンクラベル間の外面同士における静摩擦係数および動摩擦係数の両方が0.3以下の場合、及び/又はステンレス鋼板に対する静摩擦係数および動摩擦係数の両方が0.45以下の場合、通常の又は従来の自動販売機に装填されても、装填時に詰まることなく逐次投入することができ、しかも、容易に設置台から滑り出し、さらに、所定の通路を通過又は落下して、商品取り出し口に到達することができる。
【0045】
なお、シュリンクラベルがハーフシュリンクラベルである場合、該ラベル外面が、ラベルが装着されていないボトル外面より滑り性が良すぎるために、自動販売機内で均一に滑らないことがあるため、該ラベルと同様の外面に対する摩擦係数を0.2〜0.3の範囲内、及び/又はステンレス鋼板に対する摩擦係数が0.3〜0.45の範囲内とすることが好ましい。
【0046】
本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルでは、図1に示されているように、角型ボトルのリサイクル(例えば、PET樹脂のリサイクル)のため消費者の段階でもシュリンクラベルを角型ボトルから剥離しやすいように、縦方向に切断用のミシン目4を施すことができる。ミシン目4としては、側部2cにおける角部2c2の位置で縦方向に形成されていることが好ましい。このように、ミシン目4が側部2cの角部2c2において縦方向に形成されていると、ミシン目4が角型ボトル2の滑り面部2c1には無いため自動販売機内での滑り性に影響を及ぼさないので、自動販売機内での角型ボトル2の滑り性を低下させない。
【0047】
また、本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルでは、図1に示されているように、シュリンクラベル1を筒状にする場合、接着剤などにより両端辺を接着したシール部5(センターシール部)が設けられているが、該シュリンクラベル1のシール部5は、側部2cにおける角部2c2において縦方向に形成されていることが好ましい。このように、シール部5が側部2cの角部2c2を含んで縦方向に形成されていると、シール部5が角型ボトル2の自動販売機内での滑り性に影響を及ぼさないので、自動販売機内での角型ボトル2の滑り性を低下させない。
【0048】
なお、ミシン目4と、シール部5とは、同一の角部に設けられていてもよく、異なる角部に設けられていてもよい。ミシン目4と、シール部5とは、異なる角部に設けられていることが好ましい。
【0049】
本発明のシュリンクラベルは、自動販売機に装填する角型プラスチックボトルに対するシュリンクラベルとして有用である。
【0050】
【発明の効果】
本発明のシュリンクラベルによれば、角型プラスチックボトルに優れた滑り性を付与することができるので、該シュリンクラベル付き角型プラスチックボトルを自動販売機に装填しても、角型プラスチックボトルは、自動販売機内でつまらず、確実に商品取り出し口に出て来ることができる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、摩擦係数(ステンレス鋼板に対する摩擦係数、外面同士の摩擦係数)は下記の方法により測定した。
【0052】
(ステンレス鋼板に対する摩擦係数)
シュリンクラベルについて、JIS K 7125に準拠して、ステンレス鋼板(SUS−304)に対して、静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
【0053】
(外面同士の摩擦係数)
シュリンクラベルについて、JIS K 7125に準拠して、該シュリンクラベルの外面同士を重ね合わせて、静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
【0054】
実施例
ポリエステル系フィルム(東洋紡社製、商品名「S7561」、フィルム厚み50μm)の一方の表面に、オーバーコート剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ファインラップ901滑りOPニスNo.2」、樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂/セルロース系樹脂、ポリエチレンワックスとシリコーンオイルとを合わせて5重量%含有している)を、厚みが0.5〜2μmとなるようにグラビア印刷により塗布して、オーバーコート剤層を有するシュリンクラベルを得た。
前記シュリンクラベルを、ベースフィルムの幅方向が周方向となるように筒状に丸めて両端部を熱により溶着し、長尺筒状のシュリンクラベル連続体を得た。このシュリンクラベル連続体を自動ラベル装着装置に供給し、各ラベルに切断した後、コーヒーをホット充填(温度85℃)した断面略四角型で、内容積が500mlであるポリエチレンテレフタレート製ボトル(PETボトル)にボトルの角部にラベルのミシン目が形成されるように外嵌し、スチームトンネル(温度90℃)を通過させて熱収縮させて、図1に示すようなシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルを得た。
このようにしてシュリンクラベルを装着したコーヒー入りPETボトルについて、シュリンクラベルのオーバーコート剤層側の外面に関する摩擦係数(ステンレス鋼板に対する摩擦係数、外面同士の摩擦係数)を測定し、滑り性を評価した。なお、測定結果は、表1に示す。
【0055】
また、実際に販売されている三洋電機(株)製の自動販売機に、シュリンクラベルを装着したコーヒー入りPETボトル(商品)を装填して、該商品(1000個)が商品取り出し口に出て来るかについて調べた(実装評価)ところ、1000個すべてが商品取り出し口に出てきた。
【0056】
(比較例)
ポリエステル系フィルム(東洋紡社製、商品名「S7561」、フィルム厚み50μm)をそのままシュリンクラベルとし、該シュリンクラベルを用いて、実施例と同様にして、シュリンクラベルを装着したコーヒー入りPETボトルを得た。
比較例に係るシュリンクラベルを装着したコーヒー入りPETボトルについて、実施例と同様にして、摩擦係数(ステンレス鋼板に対する摩擦係数、外面同士の摩擦係数)を測定し、滑り性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、実施例と同様にして実装評価も行ったところ、1000個のうち8個以上の商品が商品取り出し口に出て来なかった。
【0057】
【表1】
【0058】
表1より、実施例に係るシュリンクラベルを装着したコーヒー入りPETボトルは、摩擦係数が、静摩擦係数および動摩擦係数の両方ともに、小さい。従って、実施例に係るシュリンクラベルを装着したコーヒー入りPETボトルは、滑り性が良好である。
また、実施例に係るシュリンクラベルを装着したコーヒー入りPETボトルは、実装評価が良好であり、実際に自動販売機に装填しても、確実に又はほとんど商品取り出し口にまで出て来ることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルの一例を示す概略図である。
【図2】図1に示されているシュリンクラベルを示す概略断面図である。
【図3】図1に示されている角型プラスチックボトルを示す概略断面図である。
【図4】フルシュリンクラベルに係るシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルの一例を示す概略図である。
【図5】セミフルシュリンクラベルに係るシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルの一例を示す概略図である。
【図6】ハーフシュリンクラベルに係るシュリンクラベル付き角型プラスチックボトルの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 シュリンクラベル
2 角型プラスチックボトル
2a 首部
2b 肩部
2c 側部(胴部)
2c1 滑り面部(平面部)
2c2 角部
2d 底部
3 キャップ
4 ミシン目
5 シール部
1a 基材
1b オーバーコート剤層
1a1 内面
1b1 外面
Claims (3)
- 以下の(1)〜(3)の全ての条件を満たす筒状の角型プラスチックボトル用シュリンクラベルが、側部(胴部)が4つの全体として略平面状の滑り面部と4つの角部とで構成されており、全体として横断面略四角型である角型プラスチックボトルの、側部の全面を覆うように装着されており、シュリンクラベルのシール部が、角型プラスチックボトルの側部における角部に形成されていることを特徴とする自動販売機に装填する用途に用いられるシュリンクラベル付き角型プラスチックボトル。
(1)角型プラスチックボトルに対して非接触側の面にオーバーコート剤層を有するシュリンクラベルである
(2)オーバーコート剤が、樹脂と、シリコーンオイル又は無機粒子と、ワックスとの組み合わせからなる滑剤とを含んでおり、滑剤の含有量が樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部である
(3)該オーバーコート剤層側の外面の摩擦係数が、同様のシュリンクラベルのオーバーコート剤層側の外面に対して0.3以下であり、ステンレス鋼板に対して0.45以下である - オーバーコート剤の樹脂が、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂から選ばれた少なくとも1つである請求項1に記載のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトル。
- シュリンクラベルのミシン目が、角型プラスチックボトルの側部における角部に形成されている請求項1または2に記載のシュリンクラベル付き角型プラスチックボトル。
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