JP4779290B2 - 熱収縮性ポリエステル系フイルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑性と耐高温ブロッキング性に優れた熱収縮性ポリエステル系フイルムに関する。詳しくは、飲料ボトルのラベルとして用いたときの外面の滑り性が良好であり、更にはホット飲料に用いた場合にも、高温下での滑性、耐ブロッキング性に優れ、自動販売機飲料用ラベルとして好適である熱収縮性ポリエステル系易滑フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱収縮性プラスチックフイルムは、加熱によって収縮する性質を利用して、収縮包装、収縮ラベルなどの用途に広く用いられている。中でも、ポリ塩化ビニル系フイルム、ポリスチレン系フイルム、ポリエステル系フイルムなどの延伸フイルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ポリエチレン容器、ガラス容器などの各種容器において、ラベルやキャップシールあるいは集積包装の目的で使用されている。
しかし、ポリ塩化ビニル系フイルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となるなどの問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フイルムをPET容器などの収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際に、ラベルと容器を分離しなければならないという問題がある。
一方、ポリスチレン系フイルムは、収縮後の仕上がり外観性が良好な点は評価できるが、耐溶剤性に劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない。また、ポリスチレン系樹脂は、高温で焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異臭が発生するという問題がある。
【0003】
これらの問題のないポリエステル系フイルムは、ポリ塩化ビニル系フイルムやポリスチレン系フイルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、PET容器の使用量増大に伴って、使用量も増加傾向にある。
しかし、従来の熱収縮性ポリエステル系フイルムも、その特性においてさらなる改良が求められていた。PET容器入り飲料のラベルとして用い自動販売機で販売する場合、ラベルの滑性が不足し、自動販売機での詰り、すなわち商品が通路を通過せず出口に到達しなかったり、商品の多重排出といった問題が発生していたため、フイルムの滑性を向上したいというユーザーサイドの要望である。
また、このことに加え、これまで主にコールド用飲料に使用されていたPETボトルであったが、ホット飲料への利用が増加してきた中で、高温条件下での販売においても詰りの問題のない滑性や耐ブロッキング性を確保する必要が出てきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明性、印刷性が良好であり、PETボトル飲料用ラベルとして使用した際、容器外面となる側の滑性が良好であり、また、特に高温下においても滑性、更に耐ブロッキング性にも優れ、飲料自動販売機における商品の詰りを防止できるフイルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決することができた本発明の滑性、耐ブロッキング性に優れたポリエステル系熱収縮性フイルムとは、ポリエステル系フイルムの表面にバインダー樹脂、滑剤、及び帯電防止剤を含有する易滑層が積層されており、易滑層面同士の動摩擦係数がμd≦0.27であり、70℃におけるブロッキングの測定値が1N/200mm未満であり、易滑層面の固有抵抗値:log(Ω/□)が14.0未満であり、かつ、95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であることを特徴としている。
この範囲を満たす場合、PETボトル飲料のラベルとして用いたとき、広い温度範囲で自動販売機で取り扱い可能な熱収縮性ポリエステル系フイルムを提供することができる。
【0006】
ここでいう動摩擦係数は以下の測定による値を意味する。
フイルム面同士の動摩擦係数μdをJIS K−7125に準拠し、23℃,65%RH環境下で測定した
また、ここでいうブロッキングは以下の測定による値を意味する。
フイルムの一方の面同士の摩擦係数が小さい側の面同士(縦150mm×横200mm)を合わせた状態で70g/cm2の荷重を掛け、70℃下で24時間経時させた後、0.250インチφの金属棒を2枚のフイルムの間に挟み、10mm/mminの速さで金属棒により引き剥がしたときの引き剥がし力を測定した。
(ASTM:D1893−67に準拠。)
【0009】
このとき、静電気は加工時のトラブル、例えば製造工程や印刷、接着、その他2次加工工程等においてロールへの巻きつき、人体へのショック、取り扱い困難のような作業能率の低下や、印刷ヒゲの発生、フイルム表面の汚れなと商品価値の低下が抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
熱収縮性ポリエステル系フイルムについて詳しく説明する。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フイルムに用いられる原料組成物中のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれもが用いられ得る。
芳香族ジカルボン酸としてはイソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のベンゼンカルボン酸類;2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類;4,4'−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4'−ジカルボン酸等のジカルボキシビフェニル類;1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸およびその置換体;1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボン酸およびその置換体等が挙げられる。
脂肪酸カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸、およびこれらの置換体、4,4'−ジカルボキシシクロヘキサンおよびその置換体等が挙げられる。
原料組成物に含まれるポリエステルのジオール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールを始めとして、この他に脂肪族ジオール、脂環式ジオール、および芳香族ジオールのいずれもが用いられ得る。
【0011】
脂肪族ジオールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール等がある。脂環式ジオールとしては、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等がある。芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルフォン等のビスゲノール系化合物のエチレンオキサイド付加物;キシリレングリコール等がある。また、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールもジオール成分として用いられ得る。
【0012】
上記原料組成物に含有されるポリエステルは、上記酸成分およびジオール成分とからなるものであるが、ポリエステルを調整するには、熱収縮性フイルムとしての特性を改良するために1種以上の酸成分またはジオール成分を組み合わせて用いることが好ましく、組み合わされるモノマー成分の種類および含有量は、所望のフイルム特性、経済性等に基づいて適宜決定すればよい。また原料組成物には、1種もしくはそれ以上のポリエステルが含有される。含有されるポリエステルが1種である場合には、エチレンテレフタレートユニットを含有する共重合ポリエステルとする。2種以上のポリエステルを混合する場合には、共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの所望の組成の混合物とする。
上記原料組成物中のポリエステルは、いずれも従来の方法により製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法等を用いてポリエステルが調整される。調整は、回分式および連続式のいずれの方法で行なわれてもよい。
【0013】
本発明の滑性と耐高温ブロッキング性に優れた熱収縮性ポリエステル系フイルムにおいては、ホモポリエステルを含む2種以上のポリエステルを使用することが好ましい。更に、ガラス転移点の高いものを用いることで、高温下においてフイルム硬度を維持し、ブロッキング抑制効果もたらす。このことから、ガラス転移点70℃以上である成分が全体の50%以上含まれていることが好ましい。
原料組成物中には、上記ポリエステルの他に必要に応じて各種の公知の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、二酸化チタン、微粒子状シリカ、カオリン、炭酸カルシウム等の滑剤;帯電防止剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;着色剤(染料等)が挙げられる。
【0014】
上記原料組成物は、公知の方法(例えば、押し出し法、カレンダー法)によりフイルム状に成形される。1種類の原料組成物のみからなる単層、また共押し出し法、スロット法等により複数の原料組成物の積層体いずれをも用いることができる。フイルムの形状は、例えば平面状またはチューブ状であり、特に限定されない。延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、長間隙延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等の公知の方法が採用できる。これらの方法のいずれにおいても、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、1軸延伸、およびこれらの組み合わせで延伸を行なえばよい。
【0015】
上記2軸延伸では縦横方向の延伸は同時に行なわれてもよく、どちらか一方を先に行ってもよい。延伸倍率は1.0倍から7.0倍の範囲で任意に設定され、所定の一方向の倍率を3.5倍以上とすることが好ましい。
延伸工程においては、フイルムを構成する重合体が有するガラス転移温度(Tg)以上でかつ例えばTg+80℃以下の温度で予熱を行なうことが好ましい。延伸時のヒートセットでは、例えば、延伸を行なった後に、30〜150℃の加熱ゾーンを約1〜30秒通すことが推奨される。また、フイルムの延伸後、ヒートセットを行なう前もしくは行なった後に、所定の度合で延伸を行なってもよい。さらに上記延伸後、伸張あるいは緊張状態に保ってフイルムにストレスをかけながら冷却する工程、あるいは、該処理に引き続いて緊張状態を解除した後も冷却工程を付加してもよい。得られるフイルムの厚みは6〜250μmの範囲が好ましい。
【0016】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フイルムは、易滑層を表層に積層することにより得ることができる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フイルムは、易滑表層としてバインダー樹脂、および滑剤を含有するものが推奨される。
上記バインダー樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、また、熱等による架橋性を有する樹脂等が挙げられる。
【0017】
特に、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、あるいはその共重合体は滑剤と組み合わせることで良好な滑性を示し、チューブ化加工において溶剤での接着性も阻害しない。添加量としては易滑層中の存在量として30〜85重量%が好ましく。30重量%未満では易滑層の強度が低下しすることから耐摩耗性の低下が起き、摩耗屑が発生しやすくなると同時に、塗布層成分の転写、印刷性の阻害などが起こる。また85重量%を超えると、滑り性が悪化する。なかでも45〜75重量%が特に好ましく、耐磨耗性、印刷性に優れる。
また、水分散性のものを用いると、安全面、環境対応という観点からも好ましい。(バイロナールシリーズ:東洋紡績製、ハイドランシリーズ:大日本インキ化学工業製 等)
【0018】
滑剤としてはパラフィンワックス、マイクロワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンアクリル系ワックス、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ヒマシ油、ステアリン酸ステアリル、シロキサン、高級アルコール系高分子、ステアリルアルコール、ステアリアン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛 等を少なくとも1種以上添加することが好ましい。
中でも、低分子量ポリエチレンワックスの添加は滑性の改良効果が大きく、好ましい。また、添加量としては易滑層中の存在量として10〜60重量%が好ましく、10重量%未満では滑り性の改善効果が小さく、同時に摩擦による摩耗屑の発生が起こりやすくなる。60重量%を超えると、層の硬度低下、塗布層成分の転写、印刷性の阻害などが起こる他、溶剤での接着性を低下させる。なかでも15〜50重量%が特に好ましく、充分な層硬度、接着性を保ち、滑性を付与することができる。
【0019】
また、シリカ、チタニア、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、スチレンージビニルベンゼン系、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド、ベンゾグアナミン等の有機粒子、あるいはこれらの表面処理品を添加することにより更に滑り性を向上させることができるが、表面凹凸の生成などによりフイルムの透明性、耐削れ性が低下する傾向にあるため、これらの特性を阻害しない範囲で添加量を適宜調整することが推奨される。
【0020】
特に、上記動摩擦係数μdを満足する側の面の中心面平均粗さ≦0.03 であることが好ましく、これによりラベル用フイルムとしての透明性を阻害することなく、滑性を付与することができる。
【0021】
本発明の滑性に優れたポリエステル系熱収縮性フイルムとは、少なくとも一方の面同士の動摩擦係数がμd≦0.27であり、特に好ましくは動摩擦係数 μd≦0.25である。この範囲を満たす場合、飲料用PETボトルのラベルとして使用されたときの自動販売機内での滑性が良好なフイルムを提供することができ、例えば自動販売機内部や隣接商品との接触面積が大きく詰りが発生し易い角型ボトルであっても詰りの発生を防ぐことができる。しかし、この範囲を超えると滑性不足となり、自動販売機で容器が詰るといったトラブルが発生する。
【0022】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フイルムでは、上記滑り性を満足する側の面が次の特徴と持つ。70℃におけるブロッキング(ASTM準拠)の測定値が 1N/200mm未満であり、特に好ましくは0.9N/200mm未満である。ホット飲料は通常、商品を50〜60℃加温して販売されるが、ブロッキング測定値がこの範囲を満たす場合、ホット飲料PETボトルのラベルとして使用されたとき、例えば隣接商品との接触面積が大きく詰りが発生し易い角型ボトルであっても店頭での加温販売時、自動販売機内高温下においてボトルのブロッキング発生を防ぐフイルムを提供することができる。同時に高温下においても良好な滑性を保つことができるため、滑性不足による詰りも防止できる。しかし、この範囲を超えると、高温下でのPETボトル容器のブロッキング発生、滑性の悪化により、外観不良、自動販売機での詰りトラブルが発生する。
【0023】
また、静電気は加工時のトラブル、例えば印刷、接着、その他二次加工工程等においてロールへの巻きつき、人体へのショック、取り扱い困難のような作業能率の低下や安全面においての問題や、印刷ヒゲの発生、フイルム表面の汚れなと商品価値の低下をもたらす原因となるが、これらを防止する観点から、易滑層の表面固有抵抗値を抑制することが好ましい。
【0024】
表面固有抵抗値を抑制するためには、帯電防止剤を添加することが好ましく、このような帯電防止剤には、四級アンモニウム塩、脂肪酸多価アルコールエステル、ポリオキシエチレン付加物、ベタイン塩、アラニン塩、ホスフェート塩、スルホン酸塩、ポリアクリル酸誘導体等の界面活性剤が効果的である。
特にアルキルスルホン酸ナトリウムは帯電防止効果に加え、滑性への悪影響が少ないことから推奨される。好ましい添加量は易滑層中の存在量として、1〜40重量%の範囲が好ましく、特に5〜35重量%の範囲が好ましい。
また易滑層の表面固有抵抗値logΩ/□<14.0が好ましく、更に好ましくはlogΩ/□<12.0であることが推奨される。
【0025】
易滑層の形成方法としては、表面に均一に形成できれば特に限定はなく、易滑樹脂を溶融押し出しすることで表層に積層する方法や、フイルム製膜工程中の易滑塗布液の塗布(インラインコート)、フイルム製膜後の易滑塗布液の塗布(オフラインコート)等がある。コスト面、また、塗布後延伸熱処理されるため塗布層とフイルムの密着性が良好となることに加え、延伸により層が強靭になることでの耐摩耗性向上効果からインラインコートでの製造が好ましく、例としてリバースロール方式、エアナイフ方式、ファウンテン方式などが挙げられる。
【0026】
本願発明のバインダー樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、あるいはその共重合体、滑剤としては低分子量ポリエチレンワックス、帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸ナトリウムを使用し、インラインコート法により、熱収縮フイルムの表層に易滑層を形成することが特に推奨される。塗布工程については、ポリエステル系原料組成物を溶融押し出し法等によりフイルム状に成形した後、または、フイルム状に成形したものを1軸に延伸後、前述の易滑塗布液をフイルム表面に平滑かつ均一な厚みに塗布することが好ましい。この後、更に、1軸もしくは2軸方向に加熱延伸することにより、塗布層自体もフイルムに追従して延伸されるため、フイルムへの密着性、強靭さの向上効果が得られる。耐磨耗性にも寄与することから、推奨される。
塗布液の量は、延伸後のフイルム上に存在する量としては0.002〜0.2g/m2が好ましく、より好ましくは0.002〜0.1g/m2である。0.002g/m2以下では、滑性、帯電防止効果が小さくなり、0.2g/m2を超えると、フイルムの透明性の低下が発生する他、溶剤での接着性が低下し、摩耗屑が発生しやすくなる。
0.002〜0.1g/m2とすると特に接着性、摩耗屑発生防止の観点から好ましい。
【0027】
【実施例】
次に本発明の内容を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しないかぎり以下の実施例に限定されるものではない。尚、本明細書中で採用した評価法は次の方法によった。
【0028】
(摩擦係数)
フイルム面同士の動摩擦係数μdをJIS K−7125に準拠し、23℃,65%RH環境下で測定した
【0029】
(ブロッキング性)
フイルムの一方の面同士の摩擦係数が小さい側の面同士(縦150mm×横200mm)を合わせた状態で70g/cm2の荷重を掛け、70℃下で24時間経時させた後、0.250インチφの金属棒を2枚のフイルムの間に挟み、10mm/minの速さで金属棒により引き剥がしたときの引き剥がし力を測定した。(ASTM:D1893−67に準拠。)
【0030】
(帯電防止性)
帯電防止性は、表面抵抗器(KAWAGUCHI ERECTRIC WORKS製固有抵抗測定器)により
印加電圧500V、23℃、65%RHの条件で測定した。
【0031】
(収縮率)
フイルムサンプルを10cm×10cmの正方形状に切り取り、95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率を測定した。
収縮率(%)=(加熱前寸法−加熱後寸法)/加熱前寸法 × 100
【0032】
(実施例1)
(1)ポリエステル系樹脂及び延伸フイルム
ポリエチレンテレフタレート(Tg:75℃)40重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル(Tg:73℃)50重量%、およびポリブチレンテレフタレート(Tg:30℃)10重量%を混合したポリエステル組成物を280℃で溶融しTダイから押出し、チルロールで急冷して未延伸フイルムを得た。
【0033】
(2)塗布液の調合
ポリウレタン樹脂の水分散液(ハイドランHW345 大日本インキ工業製)の固形分を固形分中61重量%、ポリエチレンワックスの水系エマルション(HYTEC E−4BS 東邦化学工業製)の固形分を固形分中30重量%、帯電防止剤水溶液(TB214 松本油脂製)の固形分を固形分中9重量%含む、IPA30%水溶液を塗布液とした。
【0034】
(3)コートフイルムの製造
(1)で得た未延伸フイルムに(2)で調合した塗布液をファウンテン方式で塗布し、フイルム温度が70℃になるまで加熱した後、テンターで横方向に4.0倍延伸後、80℃で熱固定し、コート量0.015g/m2、厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フイルムを得た。
【0035】
(実施例2)
実施例1においてポリエステル樹脂の水分散液(TIE51 竹本油脂製)の固形分を固形分中60重量%、ポリエチレンワックスの水系エマルション(HYTEC E−4BS 東邦化学工業製)の固形分を固形分中26重量%、帯電防止剤水溶液を変更(TB702 松本油脂製)して固形分を固形分中14重量%とし、コート量0.01g/m2とした他は同様の方法により熱収縮性ポリエステル系フイルムを得た。
【0036】
(実施例3)
実施例2において、ポリエステル樹脂の水分散液(TIE51 竹本油脂製)の固形分を固形分中50重量%、ポリエチレンワックスの水系エマルションを変更(HYTEC E−8237 東邦化学工業製)して固形分を固形分中30重量%とし、帯電防止剤水溶液を変更(TB214 松本油脂製)して固形分を固形分中20重量%含む他は同様の方法により、熱収縮性ポリエステル系フイルムを得た。
【0037】
(比較例1)
実施例1において、ポリウレタン樹脂の水分散液(ハイドランHW345 大日本インキ工業製)の固形分を固形分中67重量%、ポリエチレンワックスの水系エマルション(HYTEC E−4BS 東邦化学工業製)の固形分を固形分中8重量%、帯電防止剤水溶液(TB214 松本油脂製)の固形分を固形分中25重量%とした他は同様の方法により、熱収縮性ポリエステル系フイルムを得た。
【0038】
(比較例2)
実施例2において、未延伸フイルムを得るための原料樹脂組成について、ポリエチレンテレフタレート(Tg:75℃)5重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール60モル%とからなるポリエステル(Tg:73℃)50重量%、およびポリブチレンテレフタレート(Tg:30℃)35重量%とした他は同様の方法により熱収縮性ポリエステル系フイルムを得た。
【0039】
(比較例3)
実施例3において、ポリエステル樹脂の水分散液(TIE51 竹本油脂)の固形分を固形分中65重量%、ポリエチレンワックスの水系エマルション(HYTEC E−8237 東邦化学工業製)の固形分を固形分中31重量%、帯電防止剤水溶液(TB214 松本油脂製)の固形分を固形分中4重量%とした他は同様の方法により、熱収縮性ポリエステル系フイルムを得た。
【0040】
得られたフイルムの物性を表1に示す。
【表1】
【0041】
得られたフイルムを500mlPETボトル飲料に易滑面が外面となる様に熱収縮・装着した後、自動販売機に投入、加温し、60℃で保温して5日間加温後排出させたとき実施例1〜3では400個の内、詰りの発生はなかったが、比較例1で400個の内4件の詰りが発生した。
【0042】
前述と同様に、得られたフイルムを350ml角型PETボトル飲料に易滑面が外面となる様に熱収縮・装着した後、5個を縦に積み上げ70℃条件下で5日間経時後、実施例1〜3ではブロッキングが発生しなかったが、比較例2ではブロッキングが発生、引き剥がし音が確認された。自動販売機内では通常70℃を超えて加温されないため、実施例では自動販売機内でのブロッキングを防ぐことができるといえる。
【0043】
【発明の効果】
本願発明の熱収縮性ポリエステル系フイルムは、滑性と耐高温ブロッキング性に優れ、飲料ボトルのラベルとして用いたときの外面の滑り性が良好であり、更にはホット飲料に用いた場合にも、耐ブロッキング性に優れ、自動販売機飲料用ラベルとして好適なフイルムであることがわかる。
Claims (2)
- ポリエステル系フイルムの表面にバインダー樹脂、滑剤、及び帯電防止剤を含有する易滑層が積層されており、易滑層面同士の動摩擦係数μd≦0.27であり、70℃におけるブロッキングの測定値が1N/200mm未満であり、易滑層面の固有抵抗値:log(Ω/□)が14.0未満であり、かつ、95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フイルム。
- 少なくとも一方の面同士の動摩擦係数μd≦0.25であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フイルム。
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