JP6021072B2 - 穿孔成形作業機および穿孔成形方法 - Google Patents
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Description
土地改良事業により整備されることの多い暗渠排水とその機能を高める補助暗渠については、一般的に農林水産省構造改善局監修土地改良事業計画設計基準計画「暗渠排水」や同設計基準計画「土層改良」に我が国で必要な改良の手順や標準的な工法や施工上の基準が示され、それらに基づく工法がある。
また、土地改良事業のみならず農業者自身が行う排水改良には、心土破砕や弾丸暗渠などの多様な土層改良工法もある。これらの改良工法には、資材を使用する工法と資材を必要としない工法がある。
排水性の劣る土壌に対して行われる補助暗渠の工法には、透水性の高い資材を疎水材として数m〜5m程度の一定間隔で溝状に投入する工法がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。他方、資材を用いずに、土中の余剰水を排除するための破砕空隙や通水空洞を構築する心土破砕や弾丸暗渠の土層改良の工法がある(例えば、特許文献3参照。)。
もう一つの方法の無材の土層改良法である心土破砕や弾丸暗渠は、低コスト且つ高速であり機動的な排水改良法である。しかし、心土破砕は土に対して強制的に圧力を与えて破砕する。また、弾丸暗渠は破砕された土の最下部に円形の物体を引き込み、円状に土を押しよけて空洞を成形する。このため、これらの排水改良法によって改良された土壌は、土壌の性質による崩落性のため耐久性や効果に劣る場合が多い。また、営農用のため空洞の成形深さが30cm程度と浅く十分な排水効果や耐久性がない。
前側に刃が付き、下後方に伸びる穿孔成形用土壌切断後刃と、
前記穿孔成形用土壌切断後刃の下端に接続され、当該下端から前方に向かって下るように配置された長方形の平板であって、前記穿孔成形用土壌切断後刃とともに土壌を切断してL字状の切断細溝を形成し、当該L字状の切断細溝を一方の側面および底面とする上部方形土塊を形成し、地表面から下方に向かって長方形に切断された当該上部方形土塊を所定の高さに持ち上げて、当該持ち上げられた上部方形土塊の直下に断面が四角形の土塊持ち上げ空洞を成形する穿孔成形用土塊スライドと、
を有し、
前記成形された土塊持ち上げ空洞の横において、断面が四角形であって、前記土塊持ち上げ空洞を満たす大きさの下部方形土塊を切り出し、
前記切り出された下部方形土塊を前記土塊持ち上げ空洞内に寄せると同時に当該土塊持ち上げ空洞の側壁に押しつけて固定することで、前記下部方形土塊により前記上部方形土塊の直下の前記土塊持ち上げ空洞を塞ぐと共に前記下部方形土塊を切り出した元の位置に穿孔を構築する、
穿孔成形用土壌切断後刃部と、
前記穿孔成形用土壌切断後刃の前方に第1の所定の間隔を空けて、かつ前記穿孔成形用土壌切断後刃の横方向に第2の所定の間隔を空けて配置されており、前側に刃が付き、下後方に向かって凹湾曲しながら伸び、前記上部方形土塊の他方の側面となる切断細溝を少ない抵抗で形成する穿孔成形用土壌切断前刃と、当該穿孔成形用土壌切断前刃の下端に付いており、当該穿孔成形用土壌切断前刃に対する配置角度を調整して土壌中の下方に向かって刺さるようにすることができる穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピックとを有する穿孔成形用土壌切断前刃部と、
を備えることを特徴とする。
前記穿孔成形用土壌切断後刃部が、
前記穿孔成形用土塊スライドの後部に接続されており、前面の幅が前記穿孔成形用土塊スライドの幅より広く、穿孔成形用土塊スライドが接続されていない前面に穿孔成形用通水孔成形上面刃が形成されており、中央において幅が徐々に狭くなっている穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板と、
前記穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板の側部前側に直角に接続されており、前記穿孔成形用通水孔成形上面刃とともに、前記下部方形土塊を切り出すための逆L字状の刃を形成する穿孔成形用通水孔成形側面刃と、
前記穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板の中央において側部に直角に接続されており、前記切り出された下部方形土塊を前記土塊持ち上げ空洞内に寄せる穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板と、
前記穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板の側部後側に直角に接続されており、前記土塊持ち上げ空洞内に寄せられた下部方形土塊を、前記土塊持ち上げ空洞の側壁に押しつけて固定する穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板と、
を備えることを特徴とする。
前側に刃が付き、下後方に向かって凹湾曲しながら伸びる穿孔成形用土壌切断前刃と、当該穿孔成形用土壌切断前刃の下端に付いており、当該穿孔成形用土壌切断前刃に対する配置角度を調整して土壌中の下方に向かって刺さるようにすることができる穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピックと、当該穿孔成形用土壌切断前刃の後方に第1の所定の間隔を空けて、かつ当該穿孔成形用土壌切断前刃の横方向に第2の所定の間隔を空けて配置されており、前側に刃が付き、下後方に伸びる穿孔成形用土壌切断後刃と、当該穿孔成形用土壌切断後刃の下端に接続され、当該下端から前方に向かって下るように配置された長方形の平板である穿孔成形用土塊スライドとを有する穿孔成形作業機を用いる穿孔成形方法であって、
前記穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピックが土壌中の下方に向かって刺さることで前記穿孔成形用土壌切断前刃の浮き上がりを防止しながら、前記穿孔成形用土壌切断前刃により上部方形土塊の一方の側面となる切断細溝を形成し、更に前記穿孔成形用土壌切断後刃と前記穿孔成形用土塊スライドとにより当該上部方形土塊の他方の側面および底面となるL字状の切断細溝を形成し、地表面から下方に向かって長方形に切断された当該上部方形土塊を、前記穿孔成形用土塊スライドにより所定の高さに持ち上げて、当該上部方形土塊の直下に断面が四角形の土塊持ち上げ空洞を成形する土塊持ち上げ空洞成形工程と、
前記土塊持ち上げ空洞成形工程で成形された土塊持ち上げ空洞の横において、断面が四角形であって、当該土塊持ち上げ空洞を満たす大きさの下部方形土塊を切り出す下部方形土塊切り出し工程と、
前記下部方形土塊切り出し工程で切り出された下部方形土塊を前記土塊持ち上げ空洞内に寄せると同時に当該土塊持ち上げ空洞の側壁に押しつけて固定することで、前記下部方形土塊により前記上部方形土塊の直下の前記土塊持ち上げ空洞を塞ぐと共に前記下部方形土塊を切り出した元の位置に穿孔を構築する穿孔構築工程と、
を備えることを特徴とする。
なお、以下では、穿孔成形作業機1が牽引作業機に取り付けられる側を前側、前方、前部または前面、その反対側を後側、後方または後部という、
この作業機取付フレーム10の後方に穿孔成形装置20がある。穿孔成形装置20は、穿孔成形装置フレーム20Aと、土壌切断刃保持部20Bと、穿孔成形装置可動用シリンダー20Cと、穿孔成形装置可動用シリンダー油圧伝達部20Dと、穿孔成形用土壌切断前刃部21と、穿孔成形用土壌切断後刃部22とを有する。
穿孔成形装置可動用シリンダー20Cは作業機取付フレーム三点リンク上部接続部10Aの後方にあり、穿孔成形装置フレーム20Aは作業機取付フレーム三点リンク下部接続部10Bの後方にある。穿孔成形装置フレーム20Aは後方に向かう直線の支柱を有しており、その支柱の左側と右側にそれぞれ土壌切断刃保持部20Bが前側と後側に所定の間隔をあけて配置されている。前方側の土壌切断刃保持部20Bには穿孔成形用土壌切断前刃部21が固定されており、後方側の土壌切断刃保持部20Bには穿孔成形用土壌切断後刃部22が固定されている。このため、穿孔成形用土壌切断前刃部21と穿孔成形用土壌切断後刃部22とは、前後に第1の所定の間隔を有し、横方向にも土壌切断刃保持部20Bが配置されている支柱の幅以上の第2の所定の間隔を有している。
穿孔成形装置20は、穿孔成形装置可動用シリンダー20Cを穿孔成形装置可動用シリンダー油圧伝達部20Dの油圧ホースを牽引作業機本体の油圧制御部に接続して油圧の操作によって伸縮させることにより穿孔成形装置フレーム20Aの後方を上下させ、穿孔成形用土壌切断前刃部21と穿孔成形用土壌切断後刃部22を斜め後方に持ち上げることができる。この機能は、穿孔成形作業機1の移動や施工作業時における穿孔成形作業機1の水平や深さの設定などを簡単に調整可能とするためである。
穿孔成形用土壌切断前刃21Aは、前側に刃が付き、下後方に向かって凹湾曲しながら伸びる。穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピック21Bは、穿孔成形用土壌切断前刃21Aの下端に付いており、穿孔成形用土壌切断前刃21Aに対する配置角度を変えることができる。穿孔成形用土壌切断前刃21Aは、少ない抵抗で土壌を縦に切断し、細い幅の切断縦溝を形成する。このとき穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピック21Bの角度を調整して土壌中の下方に向かって刺さるようにすることで穿孔成形用土壌切断前刃21Aの浮き上がりを防止することができる。
穿孔成形用土壌切断後刃22Aは、前側に刃が付き、下後方に伸びる。穿孔成形用土壌切断後刃22Aも、少ない抵抗で土壌を縦に切断し、細い幅の切断縦溝を形成する。
穿孔成形用土塊スライド22Bは、穿孔成形用土壌切断後刃22Aの下端に接続され、前方に向かって下るように配置された長方形の平板である。穿孔成形用土塊スライド22Bの先端にはくさび状のくさび刃または平板の刃が形成されている。穿孔成形用土塊スライド22Bの後部は穿孔成形用通水孔上面刃付き板接続部22Gで穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dに接続されている。穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dの前部の幅は穿孔成形用土塊スライド幅L1より広く、穿孔成形用土塊スライド幅L1が接続されていない前部に幅L2の穿孔成形用通水孔成形上面刃が形成されている。また、穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dは、中央において幅が徐々に狭くなっている。
穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dの側面には、前方から順に穿孔成形用通水孔成形側面刃22C、穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22E、および穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板22Fが直角に接続されている。
穿孔成形用通水孔成形側面刃22Cは、穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dの側部前側に接続されており、穿孔成形用通水孔成形上面刃とともに逆L字状の刃を形成する。
穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22Eは、徐々に幅が狭くなっている穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dの中央において側部に接続されている。
穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板22Fは、穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dの側部後側に接続されている。
穿孔成形用土塊スライド22Bによる土塊持ち上げ空洞41の構築と連続して、穿孔成形用土塊スライド22Bの後方の穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dと穿孔成形用通水孔成形側面刃22Cとが、穿孔成形用通水孔成形上面刃幅L2で穿孔成形用通水孔成形側面刃高さL3の下部方形土塊31を切断して成形する。そして、穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22Eが、この切断されて成形された下部方形土塊31を土塊持ち上げ空洞41の中に移動させ、穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板22Fが下部方形土塊31を土塊持ち上げ空洞41の中に押しつけ固定する。この一連の工程により穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22Eの後方に土壌中の排水路として構築することを目的とした通水孔40が構築される。
穿孔成形用通水孔成形上面刃幅L2は穿孔成形用土塊スライド幅L1以上であり、L1よりある程度長くすることが望ましい。
穿孔成形作業機1は、農業で広く用いられるトラクターTRなどの後方にある3点リンクLIに接続される。穿孔成形装置20は、3点リンクLIの上下の調整により土壌中に出し入れされる。
トラクターTRなどを進行方向に前進させると、土壌中に挿入された穿孔成形作業機1の穿孔成形装置20は、まず、地表面から下方に向かって長方形に切断された上部方形土塊30を所定の高さに持ち上げて、上部方形土塊30の直下に断面が四角形の土塊持ち上げ空洞41を成形する(土塊持ち上げ空洞成形工程)。次に、穿孔成形装置20は、成形された土塊持ち上げ空洞41の横において、断面が四角形であって、土塊持ち上げ空洞41を満たす大きさの下部方形土塊31を切り出す(下部方形土塊切り出し工程)。最後に、穿孔成形装置20は、切り出された下部方形土塊31を土塊持ち上げ空洞41内に寄せると同時に土塊持ち上げ空洞41の側壁に押しつけて固定することで下部方形土塊31を切り出した元の位置に通水孔40(穿孔)を構築する(穿孔構築工程)。
上部方形土塊30の上部が通水孔40の略高さ分地表面に盛り上がるが、掘削土は発生せず土壌の溝への埋め戻し作業は不要である。
(A)土塊持ち上げ空洞成形工程
図4(A)に示すように、穿孔成形作業機1の穿孔成形用土壌切断前刃部21により切断細溝21’が形成される。次に、図4(B)に示すように、穿孔成形用土壌切断後刃22Aと穿孔成形用土塊スライド22BによりL字状の切断細溝22’が形成される。そして、切断細溝22’が切断細溝21’とつながることで上部方形土塊30が成形される。その後、図4(C)に示すように、穿孔成形用土塊スライド22Bのスライド上に上部方形土塊30が押し上げられながら移動し、上部方形土塊30の下に土塊持ち上げ空洞41が成形される。
(B)下部方形土塊切り出し工程
土塊持ち上げ空洞成形工程の直後、穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dと穿孔成形用通水孔成形側面刃22Cとで構成されるL字刃が下部方形土塊31を切断して成形する。
(C)穿孔構築工程
そして、図4(D)に示すように、穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22Eと穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板22Fとが下部方形土塊31を土塊持ち上げ空洞41の中に移動させ固定する。これにより下方方形土塊31の横に通水孔40(穿孔)が構築される。
なお、泥炭土などの膨軟で圧縮性のある土壌に対しては、穿孔成形作業機1に穿孔成形用土壌切断前刃部21を接続せずに施工することもできる。すなわち、切断細溝21’を形成せずに施工することもできる。
場合により、通水孔40が成形された直後に穿孔成形用土壌切断後刃部22に追加で付属させた変形通水孔40’を成形する器具により通水孔40を変形させて変形通水孔40’を構築することができる。
通水孔40をそのまま通水孔とする他に、施工時に併せてパイプP等の資材を通水孔40内に引き込む、あるいは、通水孔40の内面にセメントや樹脂、適当な固化剤を噴霧してコーティング膜Cを形成し、耐久性の高い通水孔を構築することができる。
穿孔成形作業機1の最前方にある穿孔成形用土壌切断前刃部21の下端には穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピック21Bがある。この穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピック21Bは、土壌の深い方向に向かって刺さり込む構造になっている。このため、穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピック21Bは、穿孔成形作業機1全体を土壌に挿入するときの浮き上がる方向の抵抗を押さえる役割を果たす。穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピック21Bの土壌の深さ方向への刺さり込みの角度を数段階に変更することで抵抗力を調整できる。穿孔成形用土壌切断前刃21Aが後下方に湾曲しながら配置されており、切断刃も複数の波刃となっていることで土壌の内部摩擦を軽減して土壌が崩れることなく穿孔成形用土壌切断前刃部21によって切断細溝21’を形成できる。
これと同時に穿孔成形用土塊スライド22Bの上にある上部方形土塊30は、穿孔成形作業機1の進行に伴って穿孔成形用土塊スライド22Bのスライド上に押し上げられながら移動する。これにより、穿孔成形用土塊スライド22Bの裏側で上部方形土塊30の下に土塊持ち上げ空洞41が成形される。
泥炭土などの膨軟で圧縮性のある土壌に対しては、穿孔成形作業機1の最前方にある穿孔成形用土壌切断前刃部21を接続せずに施工することもできる。穿孔成形用土壌切断後刃22Aの切断刃が複数の波刃となっていることで土壌の内部摩擦を軽減して土壌が崩れることなく、切断細溝22’を形成できる。
その直後、土塊持ち上げ空洞41の横に、穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dと穿孔成形用通水孔成形側面刃22Cとで構成される逆L字状の刃が下部方形土塊31を切断して成形する。そして、穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22Eと穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板22Fとが下部方形土塊31を土塊持ち上げ空洞41の中に移動させ固定する。これにより穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22Eの後部で下方方形土塊31の横に通水孔40が構築される。
穿孔成形部が一連式の穿孔成形作業機は、通水孔40を一度の走行により1列構築することができる。この穿孔成形作業機の穿孔成形装置20’には、一組の穿孔成形用土壌切断前刃部21と穿孔成形用土壌切断後刃部22が2つの土壌切断刃保持部20Bにより三角形の穿孔成形装置フレーム20Aの中央に取り付けられている。この一連式の穿孔装置20’は一連式専用となる。
通水孔40を一度の走行により最大3列構築するには、3連式の穿孔成形装置20”を用いる。この穿孔成形装置20”は、四角形の穿孔成形装置フレーム20Aを備えている。この穿孔成形装置フレーム20Aは、トラクターTRの進行方向と平行な支柱を真ん中に有する。真ん中の支柱とその左右の支柱には穿孔成形用土壌切断前刃部21と穿孔成形用土壌切断後刃部22の組がそれぞれ土壌切断刃保持部20Bにより取り付けられている。
この3連式の穿孔成形装置20”では、穿孔成形装置フレーム20Aの真ん中の支柱にだけ穿孔成形用土壌切断前刃部21と穿孔成形用土壌切断後刃部22を接続すると一度の走行で1列の通水孔を構築できる。また、穿孔成形装置フレーム20Aの左右の支柱に穿孔成形用土壌切断前刃部21と穿孔成形用土壌切断後刃部22を二組接続すると一度の走行で2列の通水孔を構築できる。
このように三連式の穿孔装置部20は一連式或いは二連式としても使用できる。
穿孔成形作業機1により通水孔40を構築するには、圃場内の平らなところから穿孔成形装置20を土壌中に挿入してトラクターTRを走行させる。それに加えて、穿孔成形装置20を排水路50の中に始めに下ろしておきトラクターTRを走行させ穿孔成形作業機1を法面に挿入して排水路50の法面から通水孔40を構築することも可能である。
通水孔40の深さは、トラクターTRの三点リンクLIを上下させたり、穿孔成形用土壌切断前刃部21と穿孔成形用土壌切断後刃部22の接続位置を上下させたりすることにより任意の通水孔深H1やH2に調整することができる。通水孔40は深いほど耐久性が高いので、通水孔40の深さは望ましくは50cmから60cm程度である。現在のトラクターの馬力により実現可能な通水孔40の最大の深さは1m程度である。
通水孔40は資材を使用していないことから通水孔40同士を任意の角度であるいは望ましくは直行させてつなぐことができる。また、資材を使用した既存の暗渠排水60に対しても通水孔40を疎水材62につなぐことで接続できる。これにより、排水機能の低下した既存の暗渠排水60の排水機能を回復することができる。ただし、暗渠管61のある深さより浅い位置に通水孔40を構築しなければならない。
通水孔40の通水孔間隔W1とW2は、図9と図10の穿孔成形作業機1の使い分けや作業機の走行する位置により自由に調整することができる。
このように、土壌中に通水孔40を自由に配置できることから、通水孔40は、補助暗渠だけでなく暗渠管61を用いた暗渠排水60と同様な排水改良として使用することができる。
本発明の実施形態に係る穿孔成形作業機1による通水孔40の試験施工の結果を示す。下記の条件で行った試験では図12(A)の重粘土圃場の断面の結果となり、上部方形土塊30と下部方形土塊31が適切に成形・移動しており、設定した深さ40cmに連続した通水孔40が成形された。断面の調査のために通水孔40内を観察すると、10m離れた位置に掘削した調査断面に向かって明かりが確認でき、通水孔40が連続してつながっていることが確認された。このことからも、本発明の優れた穿孔の成形能力が確認できた。施工後の降雨時には通水孔40内に余剰水が流れることが確認され、適切な排水機能を有することが確認された。
試験場所:茨城県つくば市観音台農村工学研究所内の水田圃場
土壌条件:重粘土
使用トラクター:68PSホイールトラクター
使用した穿孔成形作業機:1連式
本発明の実施形態に係る穿孔成形作業機1による通水孔40の試験施工の結果を示す。下記の条件で行った試験では図12(B)の多湿黒ボク土圃場の断面の結果となり、上部方形土塊30と下部方形土塊31が適切に成形・移動しており、設定した深さ60cmに2列の連続した通水孔40が成形された。断面の調査のために通水孔40内を観察すると、10m離れた位置に掘削した調査断面に向かって明かりが確認でき、通水孔40が連続してつながっていることが確認された。このことからも、本発明の通水孔40の深さや間隔を自由に設定できる機能性と優れた穿孔の成形能力が確認できた。
試験場所:北海道北見市豊地の畑圃場
土壌条件:多湿黒ボク土
使用トラクター:68PSホイールトラクター
使用した穿孔成形作業機:3連式
「施工効率」
図12(B)の多湿黒ボク土における試験実施時の穿孔成形作業機1の施工速度は4〜5km/hで従来技術の心土破砕や弾丸暗渠と同等の施工速度であった。
本発明の実施形態に係る穿孔成形作業機1との比較として従来からある弾丸暗渠の作業機により通水孔の試験施工を重粘土の水田圃場で行った。その結果、穿孔は8cm径の円形空洞が深さ30cmの位置に構築できた。しかし、それ以上の深さには作業機が挿入できず施工できなかった。従来技術では通水孔の設置深さの自由度がなかった。
試験場所:茨城県つくば市観音台農村工学研究所内の水田圃場
土壌条件:重粘土
使用トラクター:68PSホイールトラクター
使用した穿孔成形作業機:2連式の弾丸暗渠
本発明の実施形態に係る穿孔成形作業機1との比較として従来からある弾丸暗渠の作業機により通水孔の試験施工を行った。その結果、30cmの深さにも作業機を挿入できず、穿孔を構築することができなかった。そのため心土破砕としての効果しか期待できなかった。従来技術では土壌条件に対する柔軟な対応が困難であった。
試験場所:茨城県つくば市観音台農村工学研究所内の水田圃場
土壌条件:黒ボク土
使用トラクター:68PSホイールトラクター
使用した穿孔成形作業機:2連式の弾丸暗渠
これにより、まず、1)前部の下部波刃弓曲ナイフ(穿孔成形用土壌切断前刃部21)により地中に幅数cmの切断細溝が地表から地中1m程度以内の任意の深さまで作られ、2)前部の下部波刃弓曲ナイフから10〜50cm程度ほど離れた後方の任意の位置にある後部の下部波刃湾曲ナイフ(穿孔成形用土壌切断後刃部22)により、最初の溝から5cm〜15cm程度ほど横方向に離れた任意の位置において、1)と同様に、地中に幅1cm程度の切断細溝が地表から地中1m程度以内の任意の深さまで作られる。この2つの切断細溝は、任意の一定の幅で、任意の一定の深さまで達する2つの平行溝となる。
穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板22Dの側部には、側面の刃付き板(穿孔成形用通水孔成形側面刃22C)に続いて順番に土塊寄せ側面板(穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板22E)と押し付け版(穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板22F)が接続されている。これら土塊寄せ側面板と押し付け版により、四角形の下部方形土塊31を土塊持ち上げ空洞41内に移動させる。
これにより四角形の土塊(下部方形土塊31)を成形した部分に四角形の連続した穿孔(通水孔40)が構築される。
更に、通水孔の施工時に併せてパイプ等の資材を通水孔内に引き込む、あるいは、通水孔内面にセメントや樹脂、適当な固化剤を噴霧して、耐久性の高い通水孔を成形してもよい。
このように、本発明に係る穿孔成形作業機は、1つ以上の穿孔を任意の間隔と深さで施工することができ、施工の自由度が高い。
10 作業機取付フレーム
10A 作業機取付フレーム三点リンク上部接続部
10B 作業機取付フレーム三点リンク下部接続部
11 作業機据え置き支柱
20 穿孔成形装置
20’ 穿孔成形装置
20” 穿孔成形装置
20A 穿孔成形装置フレーム
20B 土壌切断刃保持部
20C 穿孔成形装置可動用シリンダー
20D 穿孔成形装置可動用シリンダー油圧伝達部
21 穿孔成形用土壌切断前刃部
21A 穿孔成形用土壌切断前刃
21B 穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピック
21’ 穿孔成形用土壌切断前刃部による切断細溝
22 穿孔成形用土壌切断後刃部
22A 穿孔成形用土壌切断後刃
22B 穿孔成形用土塊スライド
22C 穿孔成形用通水孔成形側面刃
22D 穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板
22E 穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板
22F 穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板
22G 穿孔成形用通水孔上面刃付き板接続部
22’
穿孔成形用土壌切断後刃部による切断細溝
30 上部方形土塊
31 下部方形土塊
40 通水孔
40’ 変形通水孔
41 土塊持ち上げ空洞
50 排水路
60 暗渠排水
61 暗渠管
62 暗渠疎水材
L1 穿孔成形用土塊スライド幅
L2 穿孔成形用通水孔成形上面刃幅
L3 穿孔成形用通水孔成形側面刃高さ
H1 通水孔深
H2 通水孔深
W1 通水孔間隔
W2 通水孔間隔
TR トラクター
LI 3点リンク
P パイプ
C コーティング膜
Claims (3)
- 前側に刃が付き、下後方に伸びる穿孔成形用土壌切断後刃と、
前記穿孔成形用土壌切断後刃の下端に接続され、当該下端から前方に向かって下るように配置された長方形の平板であって、前記穿孔成形用土壌切断後刃とともに土壌を切断してL字状の切断細溝を形成し、当該L字状の切断細溝を一方の側面および底面とする上部方形土塊を形成し、地表面から下方に向かって長方形に切断された当該上部方形土塊を所定の高さに持ち上げて、当該持ち上げられた上部方形土塊の直下に断面が四角形の土塊持ち上げ空洞を成形する穿孔成形用土塊スライドと、
を有し、
前記成形された土塊持ち上げ空洞の横において、断面が四角形であって、前記土塊持ち上げ空洞を満たす大きさの下部方形土塊を切り出し、
前記切り出された下部方形土塊を前記土塊持ち上げ空洞内に寄せると同時に当該土塊持ち上げ空洞の側壁に押しつけて固定することで、前記下部方形土塊により前記上部方形土塊の直下の前記土塊持ち上げ空洞を塞ぐと共に前記下部方形土塊を切り出した元の位置に穿孔を構築する、
穿孔成形用土壌切断後刃部と、
前記穿孔成形用土壌切断後刃の前方に第1の所定の間隔を空けて、かつ前記穿孔成形用土壌切断後刃の横方向に第2の所定の間隔を空けて配置されており、前側に刃が付き、下後方に向かって凹湾曲しながら伸び、前記上部方形土塊の他方の側面となる切断細溝を少ない抵抗で形成する穿孔成形用土壌切断前刃と、当該穿孔成形用土壌切断前刃の下端に付いており、当該穿孔成形用土壌切断前刃に対する配置角度を調整して土壌中の下方に向かって刺さるようにすることができる穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピックとを有する穿孔成形用土壌切断前刃部と、
を備えることを特徴とする穿孔成形作業機。 - 前記穿孔成形用土壌切断後刃部が、
前記穿孔成形用土塊スライドの後部に接続されており、前面の幅が前記穿孔成形用土塊スライドの幅より広く、穿孔成形用土塊スライドが接続されていない前面に穿孔成形用通水孔成形上面刃が形成されており、中央において幅が徐々に狭くなっている穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板と、
前記穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板の側部前側に直角に接続されており、前記穿孔成形用通水孔成形上面刃とともに、前記下部方形土塊を切り出すための逆L字状の刃を形成する穿孔成形用通水孔成形側面刃と、
前記穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板の中央において側部に直角に接続されており、前記切り出された下部方形土塊を前記土塊持ち上げ空洞内に寄せる穿孔成形用通水孔成形土塊寄せ側面板と、
前記穿孔成形用通水孔成形上面刃付き板の側部後側に直角に接続されており、前記土塊持ち上げ空洞内に寄せられた下部方形土塊を、前記土塊持ち上げ空洞の側壁に押しつけて固定する穿孔成形用通水孔成形用側壁押しつけ板と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の穿孔成形作業機。 - 前側に刃が付き、下後方に向かって凹湾曲しながら伸びる穿孔成形用土壌切断前刃と、当該穿孔成形用土壌切断前刃の下端に付いており、当該穿孔成形用土壌切断前刃に対する配置角度を調整して土壌中の下方に向かって刺さるようにすることができる穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピックと、当該穿孔成形用土壌切断前刃の後方に第1の所定の間隔を空けて、かつ当該穿孔成形用土壌切断前刃の横方向に第2の所定の間隔を空けて配置されており、前側に刃が付き、下後方に伸びる穿孔成形用土壌切断後刃と、当該穿孔成形用土壌切断後刃の下端に接続され、当該下端から前方に向かって下るように配置された長方形の平板である穿孔成形用土塊スライドとを有する穿孔成形作業機を用いる穿孔成形方法であって、
前記穿孔成形用土壌切断前刃下部差し込みピックが土壌中の下方に向かって刺さることで前記穿孔成形用土壌切断前刃の浮き上がりを防止しながら、前記穿孔成形用土壌切断前刃により上部方形土塊の一方の側面となる切断細溝を形成し、更に前記穿孔成形用土壌切断後刃と前記穿孔成形用土塊スライドとにより当該上部方形土塊の他方の側面および底面となるL字状の切断細溝を形成し、地表面から下方に向かって長方形に切断された当該上部方形土塊を、前記穿孔成形用土塊スライドにより所定の高さに持ち上げて、当該上部方形土塊の直下に断面が四角形の土塊持ち上げ空洞を成形する土塊持ち上げ空洞成形工程と、
前記土塊持ち上げ空洞成形工程で成形された土塊持ち上げ空洞の横において、断面が四角形であって、当該土塊持ち上げ空洞を満たす大きさの下部方形土塊を切り出す下部方形土塊切り出し工程と、
前記下部方形土塊切り出し工程で切り出された下部方形土塊を前記土塊持ち上げ空洞内に寄せると同時に当該土塊持ち上げ空洞の側壁に押しつけて固定することで、前記下部方形土塊により前記上部方形土塊の直下の前記土塊持ち上げ空洞を塞ぐと共に前記下部方形土塊を切り出した元の位置に穿孔を構築する穿孔構築工程と、
を備えることを特徴とする穿孔成形方法。
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