以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.現金自動取引装置の機能概要>
まず、図1および図2に基づいて、本発明の各実施形態に係る現金自動取引装置の機能の概要を説明する。なお、図1は、複数の国・地域における通貨のイメージを示す説明図である。図2は、本発明の各実施形態に係る現金自動取引装置における各国・地域の通貨の管理を説明する説明図である。
本実施形態に係る現金自動取引装置は、複数の国・地域における通貨を1台でまとめて管理可能な装置である。図1に示すように、世界の国・地域では各国・地域で使用する通貨が異なっており、各国・地域では使用されている通貨を用いる必要がある。例えば、AA地域の通貨単位は「muA」であり、500muA、200muA、100muA、50muA、20muA、10muA、5muAの通貨が使用されている。また、BB国の通貨単位は「muB」であり、5000muB、1000muB、500muB、100muB、50muB、10muBの通貨が使用されている。同様に、CC国では通貨単位「muC」の通貨が、DD国では通貨単位「muD」の通貨が、EE国では通貨単位「muE」の通貨が、FF国では通貨単位「muF」の通貨が、それぞれ使用されている。
また、BB国、CC国、DD国、EE国、FF国では発行年代の異なる通貨が流通している。このうち、BB国、CC国、FF国では同一額面の通貨で発行年代の異なる通貨が流通している。このように、各国・地域によって通貨単位や発行年代の異なる複数種類の通貨が使用されている。このため、以下のようなニーズにより、1台の現金自動取引装置での複数の国・地域の複数種類の通貨の同時取り扱いが要求されている。
(1)自国の通貨を入金して他国の通貨を出金して所持する(例:元を入金してドルとユーロを出金する)
(2)改札周期が短い(例えば1回/2〜3年)国での他年代にわたる通貨を同時に取り扱う(例:2008年発行通貨および2010年発行通貨は入出金可能だが、2005年発行通貨は回収のため入金のみ可能)
(3)額面および発行年代は同一であるが、発行銀行が異なる通貨を同時に取り扱う(例:A銀行2010年発行通貨はリサイクルし、B銀行2010年発行通貨は流通量が少ないためリサイクルしない)
複数種類の通貨を現金自動取引装置で取り扱う場合、従来は図2に示すように各国・地域についてそれぞれ現金自動取引装置を設置する必要がある。これに対して、本実施形態に係る現金自動取引装置では、各国・地域の通貨を1台で取り扱い可能とする。以下、本実施形態に係る現金自動取引装置の構成とこれによる通貨管理方法について詳細に説明していく。
<2.第1の実施形態>
[2−1.現金自動取引装置の構成]
(2−1−1.現金自動取引装置の機構構成)
まず、図3に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る現金自動取引装置の機構構成について説明する。なお、図3は、本実施形態に係る現金自動取引装置1の機構構成を示す説明図である。また、以下においては、現金自動取引装置1で取り扱う通貨は紙幣とする。
本実施形態に係る現金自動取引装置1は、図3に示すように、接客部10と、一時保留部20と、鑑別部30と、搬送路40と、第1〜第5の収納部51〜55と、特殊紙幣収納部60、70と、媒体検知センサ80a〜80sと、モータ90a〜90cとからなる。
接客部10は、顧客の入金する紙幣の分離または顧客に出金する紙幣の集積を行う。接客部10は入金された紙幣を繰出す繰出機構および出金された紙幣を集積する集積機構を有する接客口を有しており、接客口には顧客からの紙幣の投入時および顧客への紙幣の引渡し時等に開閉するシャッタが設けられている。接客部10は、接客口と他の機能部とが搬送路40によって接続されている。接客口に投入された紙幣は、搬送路40を介して一時保留部20、鑑別部30、第1〜第5の収納部51〜55、あるいは特殊紙幣収納部60に搬送される。また、紙幣の出金時には、一時保留部20、鑑別部30、第1〜第5の収納部51〜55、あるいは特殊紙幣収納部60から接客部10へ、搬送路40を介して紙幣が搬送される。
一時保留部20は、顧客が入金した紙幣のうち正常と鑑別された紙幣を一時保留する。一時保留部20に収納された紙幣は、搬送路40を介して、接客部10や第1〜第5の収納部51〜55、特殊紙幣収納部60、70へ搬送される。
鑑別部30は、顧客の入金した紙幣または顧客に出金する紙幣を鑑別する。鑑別部30は、例えば、紙幣の真偽や正損、金種等を識別したり、重送や連鎖、接近、スキュー等を検出したりする。また、鑑別部30は、OCR(Optical Character Recognition)等の文字認識手段を用いて、搬送路を搬送されている紙幣の記番号を認識検出する記番号取得部としても機能する。
搬送路40は、各接客部10、一時保留部29、鑑別部30、第1〜第5の収納部51〜55、および特殊紙幣収納部60、70の間で、紙幣を双方向に搬送可能にする機構であって、例えばベルトやローラ等で紙幣を挟持して送り出す搬送機構と、当該搬送機構や搬送路の各分岐部に設けられ、紙幣の搬送方向を切替える切替機構等を駆動する駆動機構とからなる。搬送部40を機能させることで、現金自動取引装置1を構成する各機能部間で紙幣を移動させることができる。
第1〜第5の収納部51〜55は、顧客の入金した紙幣および他の収納部から出金された紙幣を収納する。第1〜第5の収納部51〜55は、鑑別部30により正常と判定された紙幣を、例えば金種別等で分類して収納する収納カセットである。各収納部51〜55には、紙幣を1枚毎に分離して繰出すと共に、搬送された紙幣を集積する分離集積機構を有している。
特殊紙幣収納部60、70は、入金時または出金時において検出された特殊な紙幣を収納する。特殊紙幣収納部60、70も第1〜第5の収納部51〜55と同様に構成することができ、紙幣を1枚毎に分離して繰出すと共に、搬送された紙幣を集積する分離集積機構を有している。
媒体検知センサ80a〜80sは、搬送路40に付設され、搬送路40を通過する紙幣を検出するセンサである。媒体検知センサ80a〜80sは、例えば搬送路40を搬送されている紙幣の厚みを検出するセンサである。媒体検知センサ80a〜80sにより紙幣の厚みを検出させることで、紙幣の搬送状況に異常がないか確認することができ、その確認結果に応じて紙幣の搬送先を変更させることができる。
モータ90a〜90cは、一時保留部20へ紙幣を集積させたり、一時保留部20から紙幣を分離したりするために設けられる。
(2−1−2.現金自動取引装置の機能構成)
本実施形態に係る現金自動取引装置1の機能構成を図4に示す。現金自動取引装置1は、図4に示すように、当該装置1の電源102と、顧客に情報を提示するための表示装置であるLCD(Liquid Crystal Display)104と、情報を入力する入力装置である操作部106とを備える。また、現金自動取引装置1は、装置1全体を制御する本体制御部110と、紙幣を管理する紙幣入出金機120と、キャッシュカードの情報を読み取るカードリーダ130や利用明細書を発行するレシートプリンタ140等も備えている。
本体制御部110は、図4に示すように、電源入力検出部111と、取扱通貨変更判定部112と、設定処理部113と、インタフェース部114と、ハードディスクドライブ115と、メモリ116と備える。
電源入力検出部111は、電源102のオンオフを検出する検出部である。電源入力検出部111は、検出結果を取扱通貨変更判定部112へ出力する。
取扱通貨変更判定部112は、現金自動取引装置1で取り扱う通貨の設定の変更の有無を判定する。取扱通貨変更判定部112は、行員から取り扱う通貨の設定変更の指示が操作部106から入力されたとき、設定処理部113に対して設定変更処理の開始を指示する。設定変更がない場合には、取扱通貨変更判定部112は、現在設定されている情報をメモリ116から取得して、インタフェース部114に対して紙幣入出金機120へ当該情報を出力するよう指示する。
設定処理部113は、取扱通貨変更判定部112からの指示を受けて設定変更処理を行う。設定処理部113により行われる設定変更処理として、現金自動取引装置1で取り扱う取扱通貨を設定する取扱通貨設定処理、通貨の鑑別情報を設定する通貨鑑別情報設定処理、および紙幣入出金機120のカセット構成を設定するカセット構成設定処理がある。設定処理部113は、各設定処理を実行して、設定された情報をメモリ116に記憶する。
インタフェース部114は、本体制御部110と紙幣入出金120との間で情報のやり取りを行う入出力部である。例えば、取り扱う通貨の設定が変更されない場合、取扱通貨変更判定部112はインタフェース部114を介して現在の設定情報を紙幣入出金機120へ出力する。また、例えば、設定処理部113は、インタフェース部114を介して新たに設定された情報を紙幣入出金機120へ出力する。
ハードディスクドライブ115は、現金自動取引装置1の本体制御部110にて実行される各種プログラム等を記憶する記憶部である。ハードディスクドライブ115に記憶されているプログラム等は、取扱通貨変更判定部112や設定処理部113により読み出され、実行される。
メモリ116は、取扱通貨変更判定部112や設定処理部113により実行される各種設定変更処理において、一時的に必要な情報を記憶する記憶部である。メモリ116には、例えば設定処理部113の処理にて変更された情報が記憶される。
紙幣入出金機120は、インタフェース部121と、設定部122と、メモリ123と、鑑別部124とを備える。
インタフェース部121は、本体制御部110と紙幣入出金120との間で情報のやり取りを行う入出力部である。インタフェース部121は、本体制御部110のインタフェース部114から受信した設定情報を設定部122へ出力したり、設定部122から出力された情報を本体制御部110へ送信したりする。
設定部122は、本体制御部110から受信した設定情報をメモリ123に記録し、鑑別部124へ出力する。また、設定部122は、本体制御部110に対し、設定情報を受信しメモリ123等に記録した旨を確認情報として出力する。
メモリ123は、設定情報を一時的に記憶する記憶部である。メモリ123は、例えば、本体制御部110から受信した設定情報が記憶される。
鑑別部124は、顧客の入金した紙幣または顧客に出金する紙幣を鑑別する機能部であり、図3に示した鑑別部30に対応する。鑑別部124は、紙幣の真偽や正損、金種等を識別したり、重送や連鎖、接近、スキュー等を検出したりする鑑別処理部124aと、種設定情報を記憶するメモリ124bとを備える。鑑別処理部124aは、本体制御部110の指示を受けて搬送路40を移動する紙幣の鑑別を行う。また、メモリ124bには、設定部122が本体制御部110から受信した設定情報が記憶される。
[2−2.現金自動取引装置の動作]
次に、図5〜図16に基づいて、本実施形態に係る現金自動取引装置1による貨幣管理方法について説明する。本実施形態に係る貨幣管理方法により、複数の国・地域の複数種類の通貨を管理することが可能となる。以下、取扱通貨の設定処理、現金自動取引装置1による入金処理および出金処理について順に説明していく。
(2−2−1.取扱通貨の設定処理)
まず、図5〜図12に基づいて、本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理について説明する。なお、図5は、本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理を示すフローチャートである。図6は、取扱通貨設定ユーティリティ300の一例を示す説明図である。図7は、取扱通貨設定テーブルの一構成例を示す説明図である。図8および図9は、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400の一例を示す説明図である。図10は、通貨鑑別情報設定テーブルの一構成例を示す説明図である。図11は、カセット構成設定ユーティリティ500の一例を示す説明図である。図12は、カセット運用種別IDとその内容を示す説明図である。
図5に示すように、現金自動取引装置1による取引通貨の設定処理は、当該装置1の電源102がオンになったことを電源入力検出部111が検出して開始される(S100)。電源入力検出部111は、電源102がオンになったことを検出すると、取扱通貨変更判定部112に対して取扱通貨が変更されるか否かを確認する指示を出力する。取扱通貨変更判定部112は、電源入力検出部111からの指示を受けると、行員による操作部106からの入力情報を確認し、取扱通貨の変更の有無を判定する(S102)。
ステップS102にて取扱通貨を変更する入力情報があったと判定すると、取扱通貨変更判定部112は、設定処理部113に対して取扱通貨の設定変更処理を開始するよう指示する。当該指示を受けた設定処理部113は、行員による現金自動取引装置1の監査キーの操作を待って取扱通貨の設定変更処理を開始する。行員により監査キーが操作され、スーパーバイザーモードにされると(S104)、現金自動取引装置1の取扱が中止される。その後、設定処理部113は、取扱通貨設定ユーティリティ300を起動する(S106)。
取扱通貨設定ユーティリティ300が起動されると、行員により取扱通貨設定ユーティリティ300を利用して取扱通貨の設定が行われる(S108)。取扱通貨の設定では、金種ID、国・地域名、および金額(額面)の設定が行われる。現金自動取引装置1で取り扱う通貨は、金種IDというユニークな番号により管理される。金種IDは、額面に基づき分類して付与される情報であって、本体制御部110と紙幣入出金機120との間で共通的に使用する番号である。この金種IDに基づいて、顧客の入金した紙幣または顧客に出金する紙幣の取引結果のやり取りが行われる。金種IDによって管理可能な通貨の数は適宜設定することが可能であり、例えば最大256種類の通貨を管理可能に設定することができる。
取扱通貨設定ユーティリティ300は、例えば図6のように構成することができる。図6に示す取扱通貨設定ユーティリティ300は、金種ID311に対して、現金自動取引装置1で取り扱う国・地域名312および金額313を設定可能に構成されている。国・地域名312は、例えば予め登録されている国・地域一覧から行員が選択することにより行われる。登録可能な国・地域の数は適宜設定可能であり、例えば最大256の国・地域を設定することができる。また、金額(額面)313は、行員が取扱通貨設定ユーティリティ300の入力ボックス内に数値を入力することで設定できる。
国・地域名312および金額313の入力は、現金自動取引装置1にて取り扱う通貨の数だけ繰り返し行われる。設定された内容は、確定ボタン331を押下することで確定される。確定ボタン331が押下されると、設定処理部113は、設定した内容を取扱通貨情報として本体制御部110のメモリ116に記録する。また、設定処理部113は、取扱通貨情報を紙幣入出金機120へも出力し、紙幣入出金機120のメモリ123にも同様に記憶させる。これにより、本体制御部110のメモリ116および紙幣入出金機120のメモリ123には、金種ID311、国・地域名312および金額313が関連付けられた取扱通貨情報が、例えば図7に示すように記憶されることになる。すなわち、金種ID311に対して、国・地域名312および金額313が一意に定まるようになる。
なお、図6に示す取扱通貨設定ユーティリティ300において、上ボタン321、右ボタン322、左ボタン323、下ボタン324は、国・地域名312のプルダウンや金額313の入力ボックス、各種ボタン321〜324、331〜334の選択位置を示すフォーカスを移動させるために用いるボタンである。また、取扱通貨設定ユーティリティ300が複数ページにわたるときには、画面に全体ページ数および現在の現在表示ページを示すページ表示325を表示させてもよい。「前頁」ボタン332は、取扱通貨設定ユーティリティ300が複数ページにわたるときに前ページの内容を表示させる際に用いるボタンであり、「次頁」ボタン333は、次ページの内容を表示させる際に用いるボタンである。「終了」ボタン334は、取扱通貨設定ユーティリティ300を終了させるためのボタンである。
図5の説明に戻り、ステップS108の処理により取扱通貨情報が設定されると、設定処理部113は、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を起動する(S110)。通貨鑑別方法設定ユーティリティ400が起動されると、行員により通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を利用して通貨鑑別情報の設定が行われる(S112)。通貨鑑別情報の設定では、券種ID、国・地域名、金額(額面)、およびグループの設定が行われる。
現金自動取引装置1の紙幣入出金機120の鑑別部124で取り扱う通貨は、券種IDというユニークな番号により管理される。券種IDは、例えば発行年代等により分類される券(通貨)の種類に対して付与される情報であって、紙幣入出金機120と鑑別部124との間で共通的に使用する番号である。この券種IDに基づいて、顧客の入金した紙幣または顧客に出金する紙幣の鑑別結果のやり取りが行われる。券種IDによって管理可能な通貨の数は適宜設定することが可能であり、例えば最大256種類の通貨を管理可能に設定することができる。
通貨鑑別情報設定ユーティリティ400は、例えば図8および図9のように構成することができる。図8および図9に示す通貨鑑別情報設定ユーティリティ400は、券種ID411に対して、現金自動取引装置1で取り扱う国・地域名412および金額413を設定可能に構成されている。国・地域名412は、例えば予め登録されている国・地域一覧から行員が選択することにより設定が行われる。登録可能な国・地域の数は適宜設定可能であり、例えば最大256の国・地域を設定することができる。また、金額(額面)413は、行員が通貨鑑別情報設定ユーティリティ400の入力ボックス内に数値を入力することで設定できる。
また、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400では、現金自動取引装置1で取り扱う金種ID411のうち複数通貨をまとめて取り扱うことが可能となるようにするためのグループ情報を設定する。グループ情報は、グループの内容を特定するためのグループ値を通貨鑑別情報設定ユーティリティ400の入力ボックス内に行員が直接入力することで設定できる。グループ情報によって管理可能なグループの数は適宜設定することが可能であり、例えば最大256種類のグループを管理可能に設定することができる。
ここで、グループ情報には、出金グループ414と入金グループ415とがあり、それぞれ異なるグループ値を設定することも可能である。例えば、出金グループ414と入金グループ415とを異なる設定とすることで、出金する紙幣と入金された紙幣とを分離して管理することが可能となる。なお、グループ情報の内容についての説明は後述する。
国・地域名412、金額413、およびグループ情報414、415の入力は、現金自動取引装置1にて取り扱う通貨の数だけ繰り返し行われる。設定された内容は、確定ボタン431を押下することで確定される。確定ボタン431が押下されると、設定処理部113は、設定した内容を取扱通貨情報として本体制御部110のメモリ116に記録する。また、設定処理部113は、取扱通貨情報を紙幣入出金機120へも出力し、紙幣入出金機120のメモリ123および鑑別部124のメモリ124bにも同様に記憶させる(S114)。これにより、本体制御部110のメモリ116、紙幣入出金機120のメモリ123および鑑別部124のメモリ124bには、券種ID411、国・地域名412、金額413およびグループ情報414、145が関連付けられた通貨鑑別情報が、例えば図10に示すように記憶されることになる。すなわち、券種ID411に対して、国・地域名412、金額413およびグループ情報414、415が一意に定まるようになる。
図10に示す通貨鑑別情報では、6カ国34種類の通貨が取扱可能に設定されている。ここで、券種ID「6」のCC国金額100の紙幣、券種ID「7」のCC国金額50の紙幣、券種ID「12」のBB国金額1000の紙幣、券種ID「17」のAA国金額100の紙幣、および券種ID「21」のDD国金額1000の紙幣は、取引量(すなわち、入金や出金)が多く、リサイクルする必要があることから、他の紙幣とは異なるグループ情報414、415を付与している。他の紙幣については、取引量が少なく、リサイクルする必要がないことからグループ情報414、415は全て同一となっている。
なお、図8および図9に示す通貨鑑別情報設定ユーティリティ400において、上ボタン421、右ボタン422、左ボタン423、下ボタン424は、国・地域名412のプルダウンや金額413、出金グループ414、入金グループ415の入力ボックス、各種ボタン421〜424、431〜434の選択位置を示すフォーカスを移動させるために用いるボタンである。また、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400が複数ページにわたるときには、画面に全体ページ数および現在の現在表示ページを示すページ表示425を表示させてもよい。「前頁」ボタン432は、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400が複数ページにわたるときに前ページの内容を表示させる際に用いるボタンであり、「次頁」ボタン433は、次ページの内容を表示させる際に用いるボタンである。「終了」ボタン434は、取扱通貨設定ユーティリティ400を終了させるためのボタンである。
図5の説明に戻り、ステップS112の処理により通貨鑑別情報が設定されると、設定処理部113は、カセット構成設定ユーティリティ500を起動する(S116)。カセット構成設定ユーティリティ500が起動されると、行員によりカセット構成設定ユーティリティ500を利用してカセット構成の設定が行われる(S118)。カセット構成の設定では、運用種別およびグループの設定が行われる。
現金自動取引装置1に実装されるカセット(例えば、第1〜第5の収納部51〜55や特殊紙幣収納部60、70)には、顧客の入金した紙幣または顧客に出金する紙幣を収納するリサイクルカセットや、顧客の入金した紙幣を金額にかかわらず収納する入金専用カセット(金種指定なし)、顧客の入金した紙幣を金種別に収納しておく入金専用カセット(金種指定あり)、顧客に出金する紙幣を収納する出金専用カセット、入金または出金で検出された特殊な紙幣を収納する特殊紙幣収納部等がある。カセット構成設定ユーティリティ500では、カセット毎に、以下のようにカセット運用種別IDおよび通貨グループが設定される。
カセット構成設定ユーティリティ500は、例えば図11のように構成することができる。図11に示すカセット構成設定ユーティリティ500は現金自動取引装置1に備えられた各カセット(A〜F、Rカセット)に対して、カセット運用種別510および通貨グループ520を設定可能に構成されている。カセット運用種別510および通貨グループ520について、それぞれ現在の設定値が表示されるとともに(符号512)、新たに設定する値を入力する入力ボックス514が設けられている。
カセット運用種別510は、現金自動取引装置1に実装されるカセットの用途(運用種別)を表す値(カセット運用種別ID)を行員が入力することにより設定される。カセット運用種別IDとその内容を図12に示す。図12に示すように、各カセット運用種別ID510に対してそれぞれカセットの用途が関連付けられている。カセット構成設定ユーティリティ500にてカセット運用種別ID510を変更することで、そのカセットの用途を変更することができる。例えば、Eカセットについて、現在の設定はカセット運用種別ID「4」(入金専用庫(金種指定なし))であるが、新たにカセット運用種別ID「3」(リサイクル専用庫(金種指定あり))が設定され、その用途が変更される。
通貨グループ520は、現金自動取引装置1に実装されるカセットの用途(運用種別)に応じたグループ値を行員が入力することにより設定される。通貨グループ520は、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400にて設定したグループである。登録可能なグループ数は適宜設定可能であり、例えば最大8のグループを設定することができる。なお、通貨グループ520が複数設定されたカセットからは出金することはできない。
カセット運用種別ID510および通貨グループ520の入力は、現金自動取引装置1に実装されるカセットの数だけ繰り返し行われる。設定された内容は、確定ボタン531を押下することで確定される。確定ボタン531が押下されると、設定処理部113は、設定した内容をカセット構成設定情報として本体制御部110のメモリ116に記録する。また、設定処理部113は、カセット構成設定情報を紙幣入出金機120へも出力し、紙幣入出金機120のメモリ123にも同様に記憶させる(S120)。これにより、本体制御部110のメモリ116および紙幣入出金機120のメモリ123には、カセット運用種別ID510および通貨グループ520が関連付けられたカセット構成設定情報が記憶されることになる。すなわち、現金自動取引装置1に実装されるカセットに対して、カセット運用種別ID510および通貨グループ520が一意に定まるようになる。
なお、図11に示すカセット構成設定ユーティリティ500において、上ボタン531、右ボタン532、左ボタン533、下ボタン534は、カセット運用種別ID510および通貨グループ520の入力ボックス、各種ボタン531〜534、541、542の選択位置を示すフォーカスを移動させるために用いるボタンである。「終了」ボタン542は、カセット構成設定ユーティリティ500を終了させるためのボタンである。
図5の説明に戻り、ステップS120の処理によりカセット構成設定情報が設定されると、取扱通貨の設定処理は完了する。その後、行員により現金自動取引装置1の監査キーが操作され、スーパーバイザーモードが解除されると(S122)、取扱通貨変更判定部112は、現金自動取引装置1の取扱を再開し、通常運用とする(S124)。
ステップS102で取扱通貨の変更があると判定された場合には上述のようにステップS104〜S122の処理が行われる。一方、ステップS102で取扱通貨の変更がないと判定された場合には、取扱通貨変更判定部112は、メモリ116に記憶されている現金自動取引装置1の現在の取扱通貨に関する通貨鑑別情報を、インタフェース部114を介して紙幣入出金機120へ出力する(S126)。本体制御部110から通貨鑑別情報を受け取った紙幣入出金機120は、メモリ123および監査部124のメモリ124bに通貨鑑別情報を記憶させる。
また、取扱通貨変更判定部112は、メモリ116に記憶されている現金自動取引装置1の現在のカセット構成設定情報を、インタフェース部114を介して紙幣入出金機120へ出力する(S128)。本体制御部110からカセット構成設定情報を受け取った紙幣入出金機120は、メモリ123にカセット構成設定情報を記憶させる。なお、ステップS126およびS128の処理は、逆の順序で行ってもよく、同時に行ってもよい。これらの情報が紙幣入出金機120に記憶されると、現金自動取引装置1は通常運用を開始する(S124)。
以上、本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理について説明した。
(2−2−2.現金自動取引装置の入金処理)
上述した取扱通貨の設定処理が完了すると、1台の現金自動取引装置1で設定した複数国・地域の複数種類の通貨を同時に取り扱うことが可能となる。まず、本実施形態に係る現金自動取引装置1による入金処理について、図13および図14に基づき説明する。なお、図13は、本実施形態に係る現金自動取引装置1による入金処理を示すタイミングチャートである。図14は、入金内容確認画面600の一例を示す説明図である。
ここで、本実施形態では、現金自動取引装置1のカセットは、下記表1のように設定されているとする。
入金処理は、顧客が図3の接客部10に紙幣をセットし、入金処理開始を指示することで開始される。入金処理開始の指示を受けると、紙幣入出金機120は、接客部10にセットされた紙幣を1枚ずつ分離し、搬送路40を介して鑑別部30(図4の符号124に対応)へ搬送する。鑑別部30は、搬送されてきた紙幣の金額(額面)、真偽、サイズ、厚さ等について鑑別する。接客部10にセットされた全て紙幣について鑑別が終了すると、鑑別結果として、図13に示すように、券種IDと当該券種IDの紙幣の枚数とが取得される。鑑別部124は、紙幣入出金機120に対して、鑑別結果、すなわち券種IDとその枚数を通知する。
紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶された通貨鑑別情報を参照し、鑑別結果として通知された券種IDに基づいて当該券種IDに対応する国・地域名、金額およびグループ情報を特定する。ここで、国・地域名および金額に対しては取扱通貨情報により金種IDが一意に設定されているので、紙幣入出金機120は、メモリ123を参照して入金された紙幣の金種IDを特定し、本体制御部110に対して入金された紙幣の金種IDおよび枚数を通知する。
紙幣入出金機120より入金された紙幣の金種IDおよび枚数の通知を受けた本体制御部110は、LCD104を介して、入金した紙幣の金種および枚数が正しいか否かを顧客に確認する。入金金額の確認は、例えば図14に示す入金内容確認画面600により行うことができる。図14に示す入金内容確認画面600には、入金された紙幣の国・地域名611および金額612が表示される。図14の例では、CC国の紙幣が500muC、BB国の紙幣が18000muB、DD国の紙幣が1100muD、EE国の紙幣が55muE入金されたことがわかる。なお、AA地域およびFF国の紙幣については入金されていない。
顧客は、入金内容確認画面600に表示された入金金額を確認し、内容に誤りがなければ「確定」ボタン621を押下して、入金を確定させる。また、追加出入金を行いたい場合には、「追加」ボタン622を押下することで、接客部10から紙幣を追加投入できるようになる。入金を中止する場合には「取消」ボタン623を押下することで入金処理を中止することができる。
顧客により「確定」ボタン621が押下されると、本体制御部110は紙幣入出金機120に対して投入された紙幣の収納処理開始の指示を行う。紙幣の収納処理開始の指示を受けると、紙幣入出金機120は、紙幣を収納するカセットを特定する。カセットの特定は、カセット構成設定情報に基づき行うことができる。すなわち、紙幣入出金機120は、鑑別結果として取得した券種IDに基づき、メモリ123を参照して、入金先のカセットを指定する入金グループを特定する。そして、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶されたカセット構成設定情報を参照して、特定した入金グループに対応するカセットを特定する。
例えば、図13に示すように、鑑別結果として券種ID「6」の紙幣が2枚入金されたことがわかっているとする。このとき、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶された通貨鑑別情報より、券種ID「6」の紙幣の入金グループが「2」であることを特定する。そして、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶されたカセット構成設定情報を参照して、入金グループ「2」のカセットが「Bカセット」であることを特定する。このようにして紙幣入出金機120は券種ID「6」の紙幣を収納するカセットが「Bカセット」であることを特定し、当該紙幣をBカセットに収納する。
(2−2−3.現金自動取引装置の出金処理)
次に、本実施形態に係る現金自動取引装置1による出金処理について、図15および図16に基づき説明する。なお、図15は、本実施形態に係る現金自動取引装置1による出金処理を示すタイミングチャートである。図16は、出金内容入力画面700の一例を示す説明図である。
出金処理は、顧客が操作部106を介して出金内容を入力することにより開始される。出金内容は、例えば図16に示すような出金内容入力画面700を用いて行うことができる。図16に示す出金内容入力画面700では、出金したい国・地域711の金額712を入力ボックスにて直接入力できるようになっている。顧客は、金額712を入力し、内容に誤りがなければ「確定」ボタン721を押下して、出金を確定させる。出金を中止する場合には「取消」ボタン722を押下することで出金処理を中止することができる。
顧客が出金内容を入力し出金処理が開始されると、本体制御部110は、顧客が入力した国・地域毎の金額から出金する紙幣の枚数を取扱通貨情報に基づき算出する。そして、本体制御部110は、紙幣入出金機120に対して出金する紙幣の金種IDおよび枚数を通知する。例えば、紙幣入出金機120は、本体制御部110より「CC国の50muC(金種ID=6)を10枚出金」という通知を受ける。
紙幣入出金機120は、本体制御部110より出金内容の通知を受けると、出金対象の金種の紙幣が収納されているカセットがあるか否かを確認する。当該確認は、メモリ123の取扱通貨情報、通貨鑑別情報およびカセット構成設定情報に基づき行うことができる。取扱通貨情報の金種IDには国・地域および金額が関連付けられており、また、通貨鑑別情報の国・地域および金額に対してはグループ情報が関連付けられている。そして、カセット構成設定情報よりグループ情報に対応するカセットを特定することができる。
例えば、「CC国の50muC(金種ID=6)を10枚出金」という通知に対して、紙幣入出金機120は、まず取扱通貨情報の金種ID「6」に関連付けられた国・地域名「CC」および金額「50」を取得する。次いで、紙幣入出金機120は、通貨鑑別情報より、国・地域名「CC」、金額「50」に関連付けられた出金グループ「2」を取得する。そして、紙幣入出金機120は、カセット構成設定情報より、出金グループ「2」に対応するカセットが「Bカセット」であることを特定する。
出金する紙幣が収納されているカセットを特定すると、紙幣入出金機120は、指定された枚数の紙幣をカセットから分離し、搬送路40を介して接客部10へ搬送する。
以上、本実施形態に係る現金自動取引装置1の構成とその動作について説明した。本実施形態によれば、上位装置と現金自動取引装置1との間で使用する金種IDに国・地域および金額を関連付けて一意に設定するとともに、現金自動取引装置1の紙幣入出金機120と鑑別部124との間で使用する券種IDに国・地域、金額、およびグループ情報を関連付けて一意に設定する。また、現金自動取引装置1に実装されるカセットに、カセット運用種別IDと通貨グループとを関連付けて一意に設定する。このように情報を管理することで、複数国・地域の複数種類の通貨を1台の現金自動取引装置1で取り扱うことが可能となる。
<3.第2の実施形態>
次に、図17〜図21に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る現金自動取引装置1の構成および動作について説明する。本実施形態に係る現金自動取引装置1は、第1の実施形態に係る現金自動取引装置1の機能に加えて、発行年代の異なる金額(額面)が同一の通貨を独立して取り扱うことができる。以下では、本実施形態に係る現金自動取引装置1について、第1の実施形態に係る現金自動取引装置1にさらに追加された機能について詳細に説明し、第1の実施形態に係る現金自動取引装置1と同一の構成・機能についての説明は簡潔に説明する。なお、図17および図18は、本実施形態に係る通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を示す説明図である。図19は、通貨鑑別情報設定テーブルの一構成例を示す説明図である。図20は、本実施形態に係る現金自動取引装置1による入金処理を示すタイミングチャートである。図21は、本実施形態に係る現金自動取引装置1による出金処理を示すタイミングチャートである。
[3−1.現金自動取引装置の構成]
本実施形態に係る現金自動取引装置1は、第1の実施形態と同様、図3に示すように構成され、図4に示す機能を備えている。このため、ここでは、現金自動取引装置1の構成についての説明は省略する。
[3−2.現金自動取引装置の動作]
(3−2−1.取扱通貨の設定処理)
次に、本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理について説明する。本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理も、基本的には第1の実施形態と同様に図5に示すフローチャートに沿って行われるが、発行年代が異なる金額(額面)が同一の通貨を同時に取り扱うために、ステップS110およびS112の通貨鑑別情報処理のみ第1の実施形態と相違する。以下では、図5のフローチャートに沿って、通貨鑑別情報処理について詳細に説明する。
図5に示すように、現金自動取引装置1による取引通貨の設定処理は、当該装置1の電源102がオンになったことを電源入力検出部111が検出して開始される(S100)。電源入力検出部111は、電源102がオンになったことを検出すると、取扱通貨変更判定部112に対して取扱通貨が変更されるか否かを確認する指示を出力する。取扱通貨変更判定部112は、電源入力検出部111からの指示を受けると、行員による操作部106からの入力情報を確認し、取扱通貨の変更の有無を判定する(S102)。
ステップS102にて取扱通貨を変更する入力情報があったと判定すると、取扱通貨変更判定部112は、設定処理部113に対して取扱通貨の設定変更処理を開始するよう指示する。当該指示を受けた設定処理部113は、行員による現金自動取引装置1の監査キーの操作を待って取扱通貨の設定変更処理を開始する。行員により監査キーが操作され、スーパーバイザーモードにされると(S104)、現金自動取引装置1の取扱が中止される。その後、設定処理部113は、取扱通貨設定ユーティリティ300を起動する(S106)。
取扱通貨設定ユーティリティ300が起動されると、行員により取扱通貨設定ユーティリティ300を利用して取扱通貨の設定が行われる(S108)。取扱通貨の設定では、金種ID、国・地域名、および金額(額面)の設定が行われる。ステップS108の処理は第1の実施形態と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS108の処理により取扱通貨情報が設定されると、設定処理部113は、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を起動する(S110)。通貨鑑別方法設定ユーティリティ400が起動されると、行員により通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を利用して通貨鑑別情報の設定が行われる(S112)。通貨鑑別情報の設定では、券種ID、国・地域名、金額(額面)、発行年およびグループの設定が行われる。券種ID、国・地域名、金額(額面)、およびグループの設定は、第1の実施形態と同様に設定することができる。
本実施形態では、通貨鑑別情報として紙幣の発行年を管理することを特徴とする。発行年は、現金自動取引装置1で取り扱う券種IDについて設定することができる情報であり、例えば西暦を情報として設定できる。発行年は、例えば図17に示す通貨鑑別情報設定ユーティリティ400の発行年416の入力ボックス内に行員が直接入力することで設定できる。
国・地域名412、金額413、発行年416、およびグループ情報414、415の入力は、現金自動取引装置1にて取り扱う通貨の数だけ繰り返し行われる。設定された内容は、確定ボタン431を押下することで確定される。確定ボタン431が押下されると、設定処理部113は、設定した内容を取扱通貨情報として本体制御部110のメモリ116に記録する。また、設定処理部113は、取扱通貨情報を紙幣入出金機120へも出力し、紙幣入出金機120のメモリ123および鑑別部124のメモリ124bにも同様に記憶させる(S114)。これにより、本体制御部110のメモリ116、紙幣入出金機120のメモリ123および鑑別部124のメモリ124bには、券種ID411、国・地域名412、金額413、発行年416、およびグループ情報414、145が関連付けられた通貨鑑別情報が、例えば図19に示すように記憶されることになる。すなわち、券種ID411に対して、国・地域名412、金額413、発行年416、およびグループ情報414、415が一意に定まるようになる。
図10に示す通貨鑑別情報では、6カ国34種類の通貨について取扱可能に設定されており、同一金額(同一額面)で発行年代の異なる通貨まで詳細に分類すると、44種類の通貨を取扱可能に設定されている。例えば、券種ID「10」と「11」に、CC国金額100の紙幣が設定されている。券種ID「10」の紙幣は2004年発行であり、券種ID「11」の紙幣は2008年発行である。このうち、券種ID「11」の2008年発行の紙幣はリサイクルさせ、券種ID「10」の2004年発行の紙幣は回収するためリサイクルさせないことから、グループ情報414、415には異なる値が設定されている。
図5の説明に戻り、ステップS112の処理により通貨鑑別情報が設定されると、設定処理部113は、カセット構成設定ユーティリティ500を起動する(S116)。カセット構成設定ユーティリティ500が起動されると、行員によりカセット構成設定ユーティリティ500を利用してカセット構成の設定が行われる(S118)。カセット構成の設定では、運用種別およびグループの設定が行われる。カセット構成の設定処理は第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS120の処理によりカセット構成設定情報が設定されると、取扱通貨の設定処理は完了する。その後、行員により現金自動取引装置1の監査キーが操作され、スーパーバイザーモードが解除されると(S122)、取扱通貨変更判定部112は、現金自動取引装置1の取扱を再開し、通常運用とする(S124)。
ステップS102で取扱通貨の変更があると判定された場合には上述のようにステップS104〜S122の処理が行われる。一方、ステップS102で取扱通貨の変更がないと判定された場合には、取扱通貨変更判定部112は、メモリ116に記憶されている現金自動取引装置1の現在の取扱通貨に関する通貨鑑別情報を、インタフェース部114を介して紙幣入出金機120へ出力する(S126)。また、取扱通貨変更判定部112は、メモリ116に記憶されている現金自動取引装置1の現在のカセット構成設定情報を、インタフェース部114を介して紙幣入出金機120へ出力する(S128)。これらの処理は第1の実施形態と同様に行うことができる。そして、各情報が紙幣入出金機120に記憶されると、現金自動取引装置1は通常運用を開始する(S124)。
以上、本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理について説明した。
(3−2−2.現金自動取引装置の入金処理)
上述した取扱通貨の設定処理が完了すると、1台の現金自動取引装置1で設定した複数国・地域の複数種類の通貨を同時に取り扱うことが可能となる。さらに、同一の国・地域の、発行年の異なる同一金額の通貨も同時に、かつ独立して取り扱うことも可能である。まず、本実施形態に係る現金自動取引装置1による入金処理について、図20に基づき説明する。
ここで、本実施形態では、現金自動取引装置1のカセットは、下記表2のように設定されているとする。
入金処理は、顧客が図3の接客部10に紙幣をセットし、入金処理開始を指示することで開始される。入金処理開始の指示を受けると、紙幣入出金機120は、接客部10にセットされた紙幣を1枚ずつ分離し、搬送路40を介して鑑別部30(図4の符号124に対応)へ搬送する。鑑別部30は、搬送されてきた紙幣の金額(額面)、真偽、サイズ、厚さ等について鑑別する。接客部10にセットされた全て紙幣について鑑別が終了すると、鑑別結果として、図20に示すように、券種IDと当該券種IDの紙幣の枚数とが取得される。鑑別部124は、紙幣入出金機120に対して、鑑別結果、すなわち券種IDとその枚数を通知する。
紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶された通貨鑑別情報を参照し、鑑別結果として通知された券種IDに基づいて当該券種IDに対応する国・地域名、金額およびグループ情報を特定する。ここで、国・地域名および金額に対しては取扱通貨情報により金種IDが一意に設定されているので、紙幣入出金機120は、メモリ123を参照して入金された紙幣の金種IDを特定し、本体制御部110に対して入金された紙幣の金種IDおよび枚数を通知する。
紙幣入出金機120より入金された紙幣の金種IDおよび枚数の通知を受けた本体制御部110は、LCD104を介して、入金した紙幣の金種および枚数が正しいか否かを顧客に確認する。入金金額の確認は、第1の実施形態と同様、例えば図14に示す入金内容確認画面600により行うことができる。顧客は、入金内容確認画面600に表示された入金金額を確認し、内容に誤りがなければ「確定」ボタン621を押下して、入金を確定させる。
顧客により「確定」ボタン621が押下されると、本体制御部110は紙幣入出金機120に対して投入された紙幣の収納処理開始の指示を行う。紙幣の収納処理開始の指示を受けると、紙幣入出金機120は、紙幣を収納するカセットを特定する。カセットの特定は、カセット構成設定情報に基づき行うことができる。すなわち、紙幣入出金機120は、鑑別結果として取得した券種IDに基づき、メモリ123を参照して、入金先のカセットを指定する入金グループを特定する。そして、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶されたカセット構成設定情報を参照して、特定した入金グループに対応するカセットを特定する。
例えば、図20に示すように、鑑別結果として券種ID「11」の紙幣が10枚入金されたことがわかっているとする。このとき、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶された通貨鑑別情報より、券種ID「11」の紙幣の入金グループが「1」であることを特定する。そして、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶されたカセット構成設定情報を参照して、入金グループ「1」のカセットが「Aカセット」であることを特定する。このようにして紙幣入出金機120は券種ID「11」の紙幣を収納するカセットが「Aカセット」であることを特定し、当該紙幣をAカセットに収納する。
なお、券種ID「11」の紙幣は2008年発行のCC国金額100の紙幣である。これに対して、券種ID「10」の紙幣は2004年発行のCC国金額100の紙幣である。券種ID「10」の紙幣の入金グループは「8」であり、カセット構成設定情報より、入金グループ「8」の紙幣はFカセットに収納されていることがわかる。このように、本実施形態に係る現金自動取引装置1では、同一の国・地域の発行年の異なる同一金額の紙幣も独立して管理することができる。
(3−2−3.現金自動取引装置の出金処理)
次に、本実施形態に係る現金自動取引装置1による出金処理について、図21に基づき説明する。出金処理は、顧客が操作部106を介して出金内容を入力することにより開始される。出金内容は、第1の実施形態と同様、例えば図16に示すような出金内容入力画面700を用いて行うことができる。
顧客が出金内容を入力し出金処理が開始されると、本体制御部110は、顧客が入力した国・地域毎の金額から出金する紙幣の枚数を取扱通貨情報に基づき算出する。そして、本体制御部110は、紙幣入出金機120に対して出金する紙幣の金種IDおよび枚数を通知する。例えば、紙幣入出金機120は、本体制御部110より「CC国の100muC(金種ID=7)を10枚出金」という通知を受ける。
紙幣入出金機120は、本体制御部110より出金内容の通知を受けると、出金対象の金種の紙幣が収納されているカセットがあるか否かを確認する。当該確認は、メモリ123の取扱通貨情報、通貨鑑別情報およびカセット構成設定情報に基づき行うことができる。取扱通貨情報の金種IDには国・地域および金額が関連付けられており、また、通貨鑑別情報の国・地域および金額に対してはグループ情報が関連付けられている。そして、カセット構成設定情報よりグループ情報に対応するカセットを特定することができる。
例えば、「CC国の100muC(金種ID=7)を10枚出金」という通知に対して、紙幣入出金機120は、まず取扱通貨情報の金種ID「7」に関連付けられた国・地域名「CC」および金額「100」を取得する。次いで、紙幣入出金機120は、通貨鑑別情報より、国・地域名「CC」、金額「100」に関連付けられた券種IDが2つ(券種ID「10」と「11」)あることがわかる。このとき、紙幣入出金機120は、出金可能なカセットに収納されている券種IDのカセットを特定する。券種ID「10」の出金グループは「8(入金用)」であり、券種ID「11」の出金グループは「1(リサイクル)」である。したがって、紙幣入出金機120は、券種ID「11」の紙幣が収納されているカセットであるAカセットから、指定された枚数の紙幣をカセットから分離し、搬送路40を介して接客部10へ搬送する。
以上、本実施形態に係る現金自動取引装置1の構成とその動作について説明した。本実施形態によれば、上位装置と現金自動取引装置1との間で使用する金種IDに国・地域および金額を関連付けて一意に設定するとともに、現金自動取引装置1の紙幣入出金機120と鑑別部124との間で使用する券種IDに国・地域、金額、発行年およびグループ情報を関連付けて一意に設定する。また、現金自動取引装置1に実装されるカセットに、カセット運用種別IDと通貨グループとを関連付けて一意に設定する。このように情報を管理することで、複数国・地域の複数種類の通貨を1台の現金自動取引装置1で取り扱うことが可能となる。さらに、紙幣の発行年を管理することで、金額(額面)が同一でも発行年代が異なる通貨(すなわち、多年代にわたる通貨)を同時に取り扱うことが可能となる。
<4.第3の実施形態>
次に、図22〜図26に基づいて、本発明の第3の実施形態に係る現金自動取引装置1の構成および動作について説明する。本実施形態に係る現金自動取引装置1は、第2の実施形態に係る現金自動取引装置1の機能に加えて、金額(額面)および発行年代は同じであるが発行銀行が異なる通貨を独立して取り扱うことができる。以下では、本実施形態に係る現金自動取引装置1について、第2の実施形態に係る現金自動取引装置1にさらに追加された機能について詳細に説明し、第2の実施形態に係る現金自動取引装置1と同一の構成・機能についての説明は簡潔に説明する。なお、図22および図23は、本実施形態に係る通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を示す説明図である。図24は、通貨鑑別情報設定テーブルの一構成例を示す説明図である。図25は、本実施形態に係る現金自動取引装置1による入金処理を示すタイミングチャートである。図26は、本実施形態に係る現金自動取引装置1による出金処理を示すタイミングチャートである。
[4−1.現金自動取引装置の構成]
本実施形態に係る現金自動取引装置1は、第1の実施形態と同様、図3に示すように構成され、図4に示す機能を備えている。このため、ここでは、現金自動取引装置1の構成についての説明は省略する。
[4−2.現金自動取引装置の動作]
(4−2−1.取扱通貨の設定処理)
次に、本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理について説明する。本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理も、基本的には第1の実施形態と同様に図5に示すフローチャートに沿って行われるが、金額(額面)および発行年代が同一であるが発行銀行の異なる通貨を同時に取り扱うために、ステップS110およびS112の通貨鑑別情報処理のみ第2の実施形態と相違する。以下では、図5のフローチャートに沿って、通貨鑑別情報処理について詳細に説明する。
図5に示すように、現金自動取引装置1による取引通貨の設定処理は、当該装置1の電源102がオンになったことを電源入力検出部111が検出して開始される(S100)。電源入力検出部111は、電源102がオンになったことを検出すると、取扱通貨変更判定部112に対して取扱通貨が変更されるか否かを確認する指示を出力する。取扱通貨変更判定部112は、電源入力検出部111からの指示を受けると、行員による操作部106からの入力情報を確認し、取扱通貨の変更の有無を判定する(S102)。
ステップS102にて取扱通貨を変更する入力情報があったと判定すると、取扱通貨変更判定部112は、設定処理部113に対して取扱通貨の設定変更処理を開始するよう指示する。当該指示を受けた設定処理部113は、行員による現金自動取引装置1の監査キーの操作を待って取扱通貨の設定変更処理を開始する。行員により監査キーが操作され、スーパーバイザーモードにされると(S104)、現金自動取引装置1の取扱が中止される。その後、設定処理部113は、取扱通貨設定ユーティリティ300を起動する(S106)。
取扱通貨設定ユーティリティ300が起動されると、行員により取扱通貨設定ユーティリティ300を利用して取扱通貨の設定が行われる(S108)。取扱通貨の設定では、金種ID、国・地域名、および金額(額面)の設定が行われる。ステップS108の処理は第1の実施形態と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS108の処理により取扱通貨情報が設定されると、設定処理部113は、通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を起動する(S110)。通貨鑑別方法設定ユーティリティ400が起動されると、行員により通貨鑑別情報設定ユーティリティ400を利用して通貨鑑別情報の設定が行われる(S112)。通貨鑑別情報の設定では、券種ID、国・地域名、金額(額面)、発行銀行の銀行コード、発行年およびグループの設定が行われる。券種ID、国・地域名、金額(額面)、発行年、およびグループの設定は、第1および第2の実施形態と同様に設定することができる。
本実施形態では、通貨鑑別情報として紙幣の発行銀行の銀行コードを管理することを特徴とする。銀行コードは、現金自動取引装置1で取り扱う券種IDについて設定することができる情報であり、例えば発行銀行に対してユニークな値を設定できる。銀行コードの値は予め設定され、ハードディスクドライブ115に記憶されているものとする。銀行コードは、例えば図22に示す通貨鑑別情報設定ユーティリティ400の銀行コード416aの入力ボックス内に行員が直接入力することで設定できる。
国・地域名412、金額413、銀行コード416a、発行年416b、およびグループ情報414、415の入力は、現金自動取引装置1にて取り扱う通貨の数だけ繰り返し行われる。設定された内容は、確定ボタン431を押下することで確定される。確定ボタン431が押下されると、設定処理部113は、設定した内容を取扱通貨情報として本体制御部110のメモリ116に記録する。また、設定処理部113は、取扱通貨情報を紙幣入出金機120へも出力し、紙幣入出金機120のメモリ123および鑑別部124のメモリ124bにも同様に記憶させる(S114)。これにより、本体制御部110のメモリ116、紙幣入出金機120のメモリ123および鑑別部124のメモリ124bには、券種ID411、国・地域名412、金額413、銀行コード416a、発行年416b、およびグループ情報414、145が関連付けられた通貨鑑別情報が、例えば図19に示すように記憶されることになる。すなわち、券種ID411に対して、国・地域名412、金額413、銀行コード416a、発行年416b、およびグループ情報414、415が一意に定まるようになる。
図24に示す通貨鑑別情報では、6カ国34種類の通貨について取扱可能に設定されており、同一金額(同一額面)、同一発行年代で発行銀行の異なる通貨まで詳細に分類すると、45種類の通貨を取扱可能に設定されている。例えば、券種ID「11」と「12」に、2008年発行のCC国金額100の紙幣が設定されている。券種ID「11」の紙幣は銀行コードが「1」であり、券種ID「12」の紙幣は銀行コードが「2」である。このうち、銀行コード「1」の紙幣はリサイクルさせ、銀行コード「2」の紙幣は回収するためリサイクルさせないことから、グループ情報414、415には異なる値が設定されている。
図5の説明に戻り、ステップS112の処理により通貨鑑別情報が設定されると、設定処理部113は、カセット構成設定ユーティリティ500を起動する(S116)。カセット構成設定ユーティリティ500が起動されると、行員によりカセット構成設定ユーティリティ500を利用してカセット構成の設定が行われる(S118)。カセット構成の設定では、運用種別およびグループの設定が行われる。カセット構成の設定処理は第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS120の処理によりカセット構成設定情報が設定されると、取扱通貨の設定処理は完了する。その後、行員により現金自動取引装置1の監査キーが操作され、スーパーバイザーモードが解除されると(S122)、取扱通貨変更判定部112は、現金自動取引装置1の取扱を再開し、通常運用とする(S124)。
ステップS102で取扱通貨の変更があると判定された場合には上述のようにステップS104〜S122の処理が行われる。一方、ステップS102で取扱通貨の変更がないと判定された場合には、取扱通貨変更判定部112は、メモリ116に記憶されている現金自動取引装置1の現在の取扱通貨に関する通貨鑑別情報を、インタフェース部114を介して紙幣入出金機120へ出力する(S126)。また、取扱通貨変更判定部112は、メモリ116に記憶されている現金自動取引装置1の現在のカセット構成設定情報を、インタフェース部114を介して紙幣入出金機120へ出力する(S128)。これらの処理は第1の実施形態と同様に行うことができる。そして、各情報が紙幣入出金機120に記憶されると、現金自動取引装置1は通常運用を開始する(S124)。
以上、本実施形態に係る現金自動取引装置1による取扱通貨の設定処理について説明した。
(4−2−2.現金自動取引装置の入金処理)
上述した取扱通貨の設定処理が完了すると、1台の現金自動取引装置1で設定した複数国・地域の複数種類の通貨を同時に取り扱うことが可能となる。さらに、同一の国・地域で、同一発行年、同一金額であるが発行銀行の異なる通貨も同時に、かつ独立して取り扱うことも可能である。まず、本実施形態に係る現金自動取引装置1による入金処理について、図25に基づき説明する。
ここで、本実施形態では、現金自動取引装置1のカセットは、下記表3のように設定されているとする。
入金処理は、顧客が図3の接客部10に紙幣をセットし、入金処理開始を指示することで開始される。入金処理開始の指示を受けると、紙幣入出金機120は、接客部10にセットされた紙幣を1枚ずつ分離し、搬送路40を介して鑑別部30(図4の符号124に対応)へ搬送する。鑑別部30は、搬送されてきた紙幣の金額(額面)、真偽、サイズ、厚さ等について鑑別する。接客部10にセットされた全て紙幣について鑑別が終了すると、鑑別結果として、図25に示すように、券種IDと当該券種IDの紙幣の枚数とが取得される。鑑別部124は、紙幣入出金機120に対して、鑑別結果、すなわち券種IDとその枚数を通知する。
紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶された通貨鑑別情報を参照し、鑑別結果として通知された券種IDに基づいて当該券種IDに対応する国・地域名、金額およびグループ情報を特定する。ここで、国・地域名および金額に対しては取扱通貨情報により金種IDが一意に設定されているので、紙幣入出金機120は、メモリ123を参照して入金された紙幣の金種IDを特定し、本体制御部110に対して入金された紙幣の金種IDおよび枚数を通知する。
紙幣入出金機120より入金された紙幣の金種IDおよび枚数の通知を受けた本体制御部110は、LCD104を介して、入金した紙幣の金種および枚数が正しいか否かを顧客に確認する。入金金額の確認は、第1の実施形態と同様、例えば図14に示す入金内容確認画面600により行うことができる。顧客は、入金内容確認画面600に表示された入金金額を確認し、内容に誤りがなければ「確定」ボタン621を押下して、入金を確定させる。
顧客により「確定」ボタン621が押下されると、本体制御部110は紙幣入出金機120に対して投入された紙幣の収納処理開始の指示を行う。紙幣の収納処理開始の指示を受けると、紙幣入出金機120は、紙幣を収納するカセットを特定する。カセットの特定は、カセット構成設定情報に基づき行うことができる。すなわち、紙幣入出金機120は、鑑別結果として取得した券種IDに基づき、メモリ123を参照して、入金先のカセットを指定する入金グループを特定する。そして、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶されたカセット構成設定情報を参照して、特定した入金グループに対応するカセットを特定する。
例えば、図25に示すように、鑑別結果として券種ID「11」の紙幣が10枚入金されたことがわかっているとする。このとき、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶された通貨鑑別情報より、券種ID「11」の紙幣の入金グループが「1」であることを特定する。そして、紙幣入出金機120は、メモリ123に記憶されたカセット構成設定情報を参照して、入金グループ「1」のカセットが「Aカセット」であることを特定する。このようにして紙幣入出金機120は券種ID「11」の紙幣を収納するカセットが「Aカセット」であることを特定し、当該紙幣をAカセットに収納する。
なお、券種ID「11」の紙幣は2008年発行のCC国金額100の紙幣であり、発行銀行の銀行コードは「1」である。これに対して、券種ID「12」の紙幣は、券種ID「11」と同じ2008年発行のCC国金額100の紙幣であるが、発行銀行の銀行コードが「2」である。このように、同一の国・地域の、同一金額、同一発行年の紙幣であるが発行銀行の異なる紙幣を独立した券種IDで管理することで、これらの紙幣を異なる収納カセットで管理することが可能となる。
(4−2−3.現金自動取引装置の出金処理)
次に、本実施形態に係る現金自動取引装置1による出金処理について、図26に基づき説明する。出金処理は、顧客が操作部106を介して出金内容を入力することにより開始される。出金内容は、第1の実施形態と同様、例えば図16に示すような出金内容入力画面700を用いて行うことができる。
顧客が出金内容を入力し出金処理が開始されると、本体制御部110は、顧客が入力した国・地域毎の金額から出金する紙幣の枚数を取扱通貨情報に基づき算出する。そして、本体制御部110は、紙幣入出金機120に対して出金する紙幣の金種IDおよび枚数を通知する。例えば、紙幣入出金機120は、本体制御部110より「CC国の100muC(金種ID=7)を10枚出金」という通知を受ける。
紙幣入出金機120は、本体制御部110より出金内容の通知を受けると、出金対象の金種の紙幣が収納されているカセットがあるか否かを確認する。当該確認は、メモリ123の取扱通貨情報、通貨鑑別情報およびカセット構成設定情報に基づき行うことができる。取扱通貨情報の金種IDには国・地域および金額が関連付けられており、また、通貨鑑別情報の国・地域および金額に対してはグループ情報が関連付けられている。そして、カセット構成設定情報よりグループ情報に対応するカセットを特定することができる。
例えば、「CC国の100muC(金種ID=7)を10枚出金」という通知に対して、紙幣入出金機120は、まず取扱通貨情報の金種ID「7」に関連付けられた国・地域名「CC」および金額「100」を取得する。次いで、紙幣入出金機120は、通貨鑑別情報より、国・地域名「CC」、金額「100」に関連付けられた券種IDが3つ(券種ID「10」、「11」および「12」)あることがわかる。このとき、紙幣入出金機120は、出金可能なカセットに収納されている券種IDのカセットを特定する。券種ID「10」および「12」の出金グループは「8(入金用)」であり、券種ID「11」の出金グループは「1(リサイクル)」である。したがって、紙幣入出金機120は、券種ID「11」の紙幣が収納されているカセットであるAカセットから、指定された枚数の紙幣をカセットから分離し、搬送路40を介して接客部10へ搬送する。
以上、本実施形態に係る現金自動取引装置1の構成とその動作について説明した。本実施形態によれば、上位装置と現金自動取引装置1との間で使用する金種IDに国・地域および金額を関連付けて一意に設定するとともに、現金自動取引装置1の紙幣入出金機120と鑑別部124との間で使用する券種IDに国・地域、金額、発行銀行、発行年およびグループ情報を関連付けて一意に設定する。また、現金自動取引装置1に実装されるカセットに、カセット運用種別IDと通貨グループとを関連付けて一意に設定する。このように情報を管理することで、複数国・地域の複数種類の通貨を1台の現金自動取引装置1で取り扱うことが可能となる。さらに、紙幣の発行年を管理することで、金額(額面)が同一でも発行年代が異なる通貨(すなわち、多年代にわたる通貨)を同時に取り扱うことが可能となる。また、同一の国・地域の、同一金額、同一発行年であって、発行銀行の異なる通貨も同時に取り扱うことが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、現金自動取引装置の紙幣入出金機に適用した例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、現金自動取引装置の硬貨入出金機に適用してもよい。