図1A〜図1Dは、本発明に係る貨幣取引装置の一例である紙幣入出金機1の内部構造を示す図である。図1A(a)において、紙幣入出金機1は、金融機関の係員窓口に設置され、係員によって投入される紙幣2を内部に収納して入金する機能と、内部に収納している紙幣2を指示された金種や枚数に基づいて取り出して出金する機能とを備えている。3は紙幣入出金機1の本体、4は入金する紙幣2が投入される入金口、5は投入された紙幣2を返却する返却口、6は出金する紙幣2を放出する出金口である。6aは出金口6に開閉可能に設けられたシャッタである。7は入出金する紙幣2を読み取る識別部である。この識別部7は、紙幣2が正常であるか異常であるかを複数の判定項目に基づいて識別する。複数の判定項目としては、例えば、真偽判定や金種判定等がある。また、識別部7は、紙幣2の種類を区別する種別情報を紙幣2から取得する。紙幣2の種別情報としては、例えば紙幣2の金種、紙幣2が発行された世代、紙幣2の発行銀行(発行元)等がある。識別部7は、本発明における識別手段の一実施形態を構成する。8は紙幣2の表裏を反転させる表裏反転部、9は紙幣2に対する処理が確定するまで紙幣2を一時的に保留する一時保留部である。
10は本体3の上面に設けられた操作部である。この操作部10の詳細を図2に示す。図2において、11はキー挿入部である。このキー挿入部11には、紙幣入出金機1に対して各種の保守作業を行うときに、図示しない設定キーが挿入される。12は紙幣入出金機1に動作を開始させるための開始ボタン、13は紙幣入出金機1に動作を停止させるための停止ボタン、14は紙幣2の入金を指示するための入金指示ボタン、15は紙幣2の出金を指示するための出金指示ボタン、16は紙幣入出金機1の状態をリセットするためのリセットボタンである。17は入出金する紙幣2の金額や紙幣入出金機1の動作状態等を表示する表示部である。上記以外にも操作部10には、図示しないテンキーや電源スイッチ等が設けられている。
図1A(a)に示す20は紙幣2を回収する回収カートリッジである。この回収カートリッジ20に回収された紙幣2は、取り出されて出金口6に出金されることはない。21〜23は紙幣2を金種別に収納する第1〜第3カートリッジである。例えば日本国では、第1カートリッジ21には千円札、第2カートリッジ22には五千円札、第3カートリッジ23には一万円札を収納する。24は運用カートリッジである。この運用カートリッジ24には、第1〜第3カートリッジ21〜23に対応しない金種の紙幣2が収納されたり、紙幣入出金機1に補充する紙幣2が装填されたりする。なお、第1〜第3カートリッジ21〜23に対応しない金種とは、例えば二千円札等である。25〜27は紙幣2を搬送する搬送ラインであって、図示しない通路やローラ等から構成されている。上部にある搬送ライン25は、入金口4から識別部7を通って、返却口5と出金口6へとそれぞれ連通している。左部にある搬送ライン26は、搬送ライン25の途中で分岐して表裏反転部8と一時保留部9へとそれぞれ連通し、再び搬送ライン25に接続している。下部にある搬送ライン27は、識別部7から各カートリッジ20〜24へと連通している。
上記構成の紙幣入出金機1において、紙幣2を入金する場合は、係員が入金口4に紙幣2を投入して、操作部10の開始ボタン12を押すと、紙幣2が入金口4から一枚繰り出されて、図1A(a)に太い実線で示すように搬送ライン25を通って識別部7へ搬送される。そして、識別部7によって紙幣2が読み取られて、複数の判定項目に基づいて紙幣2が正常であるか異常であるかが識別される。ここで、例えば真紙幣であると判定される等のように、複数の判定項目の全てを満足したことにより紙幣2が正常であると識別されると、紙幣2の金額が計数されるとともに、紙幣2が搬送ライン25と搬送ライン26を通って一時保留部9へ搬送されて、ここで一時的に保留される。このとき、表裏が逆になっている紙幣2は、一旦表裏反転部8へ搬送されて、ここで表裏が反転された後に一時保留部9へ搬送される。一方、複数の判定項目の少なくとも1つを満足しなかったことにより紙幣2が異常であると識別されると、紙幣2は、図1A(a)に太い破線で示すように搬送ライン25を通って返却口5へ返却される。このとき異常であると識別された紙幣2としては、例えば真紙幣であると判定されなかった偽紙幣や、真紙幣であるにも拘らず流通過程での傷みにより識別部7で読み取れなかった読み取り不能紙幣や、搬送ライン25を正常に搬送されなかった搬送不良紙幣等がある。なお、返却口5へ返却された紙幣2は、常時取り出しが可能になっている。この後、次の紙幣2が入金口4から一枚繰り出されて識別部7へ搬送され、識別部7での識別結果に応じて一時保留部9または返却口5へ搬送される。
その後、入金口4の紙幣2が全て搬送されると、一時保留部9に集積されている紙幣2の総金額が操作部10の表示部17に表示される。ここで、係員が入金指示ボタン14を押すと、紙幣2が一時保留部9から一枚繰り出されて、図1A(b)に太い実線で示すように搬送ライン25を通って識別部7へ搬送される。そして、識別部7によって再度紙幣2が読み取られた後、紙幣2は、後述するように搬送ライン27を通って金種の対応するカートリッジ21〜24に搬送されて収納される。または、紙幣2は、後述するように搬送ライン25を通って返却口5に返却される。このとき、カートリッジ21〜23に対応していない金種の紙幣2(例えば、二千円札)は、運用カートリッジ24に搬送されて収納される。また、紙幣2が、破損紙幣や読み取り不能紙幣や搬送不良紙幣等であった場合は、図1A(b)に太い破線で示すように回収カートリッジ20に搬送されて回収される。なお、このように紙幣2が回収されるのは、極めて稀なケースである。この後は、次の紙幣2が一時保留部9から一枚繰り出されて識別部7へ搬送され、識別部7によって読み取られた後にカートリッジ20〜24または返却口5へ搬送される。このようにして、一時保留部9の紙幣2が全て搬送されると、紙幣2の入金が完了する。
また、紙幣入出金機1から紙幣2を出金する場合は、係員が操作部10の図示しないテンキーにより出金する金額と紙幣2の金種を指定して、出金指示ボタン15を押すと、紙幣2が指定された金種に対応するカートリッジ21〜24から一枚繰り出されて、図1Bに太い実線で示すように搬送ライン27を通って識別部7へ搬送される。そして、識別部7によって紙幣2が読み取られて、複数の判定項目に基づいて紙幣2が正常であるか異常であるかが識別される。ここで、複数の判定項目の全てを満足したことにより紙幣2が正常であると識別されると、紙幣2は、図1Bに太い実線で示すように搬送ライン25を通って出金口6へ搬送される。一方、複数の判定項目の少なくとも1つを満足しなかったことにより紙幣2が異常であると識別されると、紙幣2は入金されることなく、図1Bに太い破線で示すように搬送ライン27を通って回収カートリッジ20へ搬送されて回収される。このとき異常であると識別された紙幣2としては、例えば紙幣2の金種が指定された金種と一致していないと判定された金種不一致の紙幣や、読み取り不能紙幣や、搬送不良紙幣等がある。この後、次の紙幣2がカートリッジ21〜24から繰り出されて識別部7へ搬送され、識別部7での識別結果に応じて出金口6または回収カートリッジ20へ搬送される。このようにして、指定された金額の紙幣2が全て出金口6に搬送されると、出金口6のシャッタ6aが開いて、紙幣2が取り出し可能な状態となる。そして、出金口6から紙幣2が取り出されると、シャッタ6aが閉じて、紙幣2の出金が完了する。
さらに、カートリッジ21〜23内に紙幣2が無い状態で、紙幣2を補充する場合は、係員が補充用の紙幣2を運用カートリッジ24内に装填して、当該カートリッジ24を紙幣入出金機1にセットする。そして、係員が操作部10のキー挿入部11に図示しない設定キーを挿入して、開始ボタン12を押すと、紙幣2が運用カートリッジ24から一枚繰り出されて、図1C(a)に太い実線で示すように搬送ライン27を通って識別部7へ搬送される。そして、識別部7によって紙幣2が読み取られて、複数の判定項目に基づいて紙幣2が正常であるか異常であるかが識別される。ここで、複数の判定項目の少なくとも1つを満足しなかったことにより紙幣2が異常であると識別されると、紙幣2は、図1C(a)に太い破線で示すように搬送ライン25を通って出金口6へ搬送される。このとき異常であると識別された紙幣2としては、例えば、破損紙幣や、読み取り不能紙幣や、搬送不良紙幣等がある。一方、複数の判定項目の全てを満足したことにより紙幣2が正常であると識別されると、紙幣2がカートリッジ21〜23に対応する金種の紙幣(例えば、千円札、五千円札、一万円札)である場合は、紙幣2は搬送ライン27を通って金種の対応するカートリッジ21〜23に搬送されて収納される。これに対して、紙幣2がカートリッジ21〜23に対応しない金種の紙幣(例えば、二千円札)である場合は、一旦紙幣2は、搬送ライン26を通って一時保留部9へ搬送されて保留される。この後、次の紙幣2が運用カートリッジ24から繰り出されて識別部7へ搬送され、識別部7での識別結果に応じて出金口6、カートリッジ21〜23、または一時保留部9へ搬送される。
その後、運用カートリッジ24内の紙幣2が全て搬送されると、一時保留部9に集積されている紙幣2が一枚繰り出されて、図1C(b)に太い実線で示すように搬送ライン25を通って識別部7へ搬送される。そして、識別部7によって再度紙幣2が読み取られた後、紙幣2は搬送ライン27を通って運用カートリッジ24に戻される。このとき、紙幣2が、破損紙幣や読み取り不能紙幣や搬送不良紙幣等であった場合は、図1C(b)に太い破線で示すように回収カートリッジ20に搬送されて回収される。なお、このように紙幣2が回収されるのは、極めて稀なケースである。この後、次の紙幣2が一時保留部9から繰り出されて識別部7へ搬送され、運用カートリッジ24または回収カートリッジ20へ搬送される。このようにして、補充用の紙幣2が全て処理されると、紙幣2の補充が完了する。なおこのとき、出金口6に紙幣2が有る場合は、出金口6のシャッタ6aが開いて、紙幣2が取り出し可能な状態となり、出金口6から紙幣2が取り出されると、シャッタ6aが閉じる。
また上記に対して、紙幣2を補充する場合に、係員が補充用の紙幣2を入金口4に投入した後、操作部10のキー挿入部11に設定キーを挿入して、開始ボタン12を押したときは、紙幣2が入金口4から一枚繰り出されて、図1D(a)に太い実線で示すように搬送ライン25を通って識別部7へ搬送される。そして、識別部7によって紙幣2が読み取られて、複数の判定項目に基づいて紙幣2が正常であるか異常であるかが識別される。ここで、紙幣2が異常であると識別されると、紙幣2は、図1D(a)に太い破線で示すように搬送ライン25を通って返却口5へ返却される。このとき異常であると識別された紙幣2としては、例えば、破損紙幣や、読み取り不能紙幣や、搬送不良紙幣等がある。一方、紙幣2が正常であると識別されると、紙幣2は、搬送ライン25と搬送ライン26を通って一時保留部9へ搬送されて、ここで一時的に保留される。この後、次の紙幣2が入金口4から一枚繰り出されて識別部7へ搬送され、識別部7での識別結果に応じて返却口5または一時保留部9へ搬送される。そして、入金口4の紙幣2が全て搬送されると、一時保留部9に集積されている紙幣2が一枚繰り出されて、図1D(b)に太い実線で示すように搬送ライン25を通って識別部7へ搬送される。そして、識別部7によって再度紙幣2が読み取られた後、紙幣2が搬送ライン27を通って金種の対応するカートリッジ21〜24に搬送されて収納される。このとき、紙幣2が、破損紙幣や読み取り不能紙幣や搬送不良紙幣等であった場合は、図1D(b)に太い破線で示すように回収カートリッジ20に搬送されて回収される。なお、このように紙幣2が回収されるのは、極めて稀なケースである。上記のようにして、補充用の紙幣2が全て処理されると、紙幣2の補充が完了する。
図3は、紙幣入出金機1の電気的構成を示したブロック図である。図3において、30は紙幣入出金機1の各部を制御する制御部であって、CPUとROMとRAM等から構成されている。この制御部30は、後述するように紙幣入出金機1で取り扱う対象となる紙幣2の種別を設定する設定処理と、紙幣2の取引を行う取引処理とをそれぞれ実行する。制御部30は、本発明における制御手段の一実施形態を構成する。制御部30のROMには、CPUの動作プログラム等が記録されていて、RAMには、CPUの制御データが読み書き可能に記録される。31は不揮発性メモリから構成されている記憶部である。この記憶部31には、後述するように取り扱う対象の紙幣2の種別情報が制御部30によって記憶される。記憶部31は、本発明における記憶手段の一実施形態を構成する。7は前述の識別部、10は前述の操作部である。32はフォトセンサ等から構成されている紙幣検知センサである。この紙幣検知センサ32は、前述の入金口4、返却口5、出金口6、一時保留部9、およびカートリッジ20〜24等に設置されていて、各部での紙幣2の有無を検知する。33は前述のシャッタ6aを開閉するための駆動源であるソレノイド、34は前述の搬送ライン25〜27をそれぞれ駆動するための駆動源であるモータである。
図4〜図7は、本発明の第1実施形態を示す図である。図4は、紙幣入出金機1で入金の取り扱い対象となる紙幣2の種別を設定する設定処理の手順を示すフローチャートである。本手順は、前述の制御部30が実行する。係員によって入金の取り扱い対象にしたい紙幣2が入金口4に投入された後、操作部10のキー挿入部11に設定キーが挿入された状態で、開始ボタン12が押されると(ステップS1:YES)、制御部30は、入金口4に紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS2)。そして、紙幣2が有ることを確認すると(ステップS2:YES)、制御部30は、入金口4から紙幣2を一枚繰り出して識別部7へ搬送し(ステップS3)、識別部7によって紙幣2を読み取る(ステップS4)。このとき、識別部7によって紙幣2の金種、世代、および発行銀行等の種別情報が取得される。続けて、制御部30は、識別部7によって複数の判定項目に基づいて紙幣2が正常であるか異常であるかを識別する(ステップS5)。ここで、例えば真紙幣であると判定する等のように、複数の判定項目の全てを満足したことにより紙幣2が正常であると識別すると(ステップS5:YES)、制御部30は、紙幣2から取得した紙幣2の種別情報を前述の記憶部31に記憶して(ステップS6)、紙幣2を返却口5に返却する(ステップS7)。一方、ステップS5で、例えば偽紙幣であると判定する等のように、複数の判定項目の少なくとも1つを満足しなかったことにより紙幣2が異常であると識別すると(ステップS5:NO)、制御部30は、紙幣2の種別情報を記憶することなく、紙幣2を返却口5に返却する(ステップS7)。この後、入金口4に別の紙幣2が有ることを確認すると(ステップS8:YES)、制御部30は、ステップS3へ移行して、上述したようにステップS3〜ステップS8の各処理を実行する。そして、ステップS8で、入金口4に別の紙幣2が無いことを確認すると(ステップS8:NO)、制御部30は、設定処理を終了する。
図5は、上記図4の設定処理を終了した後の、記憶部31の記憶内容の一例を示す図である。図5において、「No.」の欄には、紙幣2の種別情報を記憶した順番が書き込まれている。「紙幣種別」の欄には、各順番の紙幣2の種別情報として、金種(図5では「1000」、「5000」、「10000」)、世代(図5では、「1」(第1世代))、および発行銀行(図5では、「X」(X銀行))が書き込まれている。「取り扱い方」の欄には、各順番の紙幣2の入金を許可することが書き込まれている。つまり、図5では、入金を許可する取り扱い対象の紙幣2として、3種類以上の紙幣2が設定された状態となっている。
図6は、設定された紙幣2の種別を消去する設定消去処理の手順を示すフローチャートである。本手順は、制御部30が実行する。係員によってキー挿入部11に設定キーが挿入された状態で、リセットボタン16が押されると(ステップS11:YES)、制御部30は、「紙幣の種別設定を全消去?」のメッセージを表示部17に表示する(ステップS12)。そして、当該メッセージを見た係員によってリセットボタン16が再度押されると(ステップS13:YES)、制御部30は、このとき記憶部31に記憶されている紙幣2の種別設定、即ち図5に示した「No.」、「紙幣種別」および「取り扱い方」の記憶内容を全て消去する(ステップS14)。消去後、制御部30は、「全消去完了」のメッセージを表示部17に所定時間表示して(ステップS15)、設定消去処理を終了する。これにより、紙幣入出金機1には、入金を許可する取り扱い対象の紙幣2が設定されていない状態、即ち初期状態となる。
図7は、紙幣入出金機1で紙幣2の入金取引を行う取引処理の手順を示すフローチャートである。本手順は、制御部30が実行する。なお、以下では、入金の取り扱い対象の紙幣2の種別が、図5に示したように設定されている状態とする。係員によって紙幣2が入金口4に投入された後、キー挿入部11に設定キーが挿入されていない状態で、開始ボタン12が押されると(ステップS21:YES)、制御部30は、入金口4に紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS22)。そして、紙幣2が有ることを確認すると(ステップS22:YES)、制御部30は、入金口4から紙幣2を一枚繰り出して識別部7へ搬送し(ステップS23)、識別部7によって紙幣2を読み取る(ステップS24)。続けて、制御部30は、識別部7によって複数の判定項目に基づいて紙幣2が正常であるか異常であるかを識別する(ステップS25)。ここで、例えば真紙幣であると判定する等のように、複数の判定項目の全てを満足したことにより紙幣2が正常であると識別すると(ステップS25:YES)、制御部30は、紙幣2を一時保留部9へ搬送して、ここに一時的に保留する(ステップS26)。一方、ステップS25で、例えば偽紙幣であると判定する等のように、複数の判定項目の少なくとも1つを満足しなかったことにより紙幣2が異常であると識別すると(ステップS25:NO)、制御部30は、紙幣2を返却口5へ搬送して返却する(ステップS27)。
上記のように紙幣2を一時保留部9または返却口5に搬送すると、制御部30は、入金口4に別の紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS28)。ここで、別の紙幣2が有ることを確認すると(ステップS28:YES)、制御部30は、ステップS23へ移行して、上述したようにステップS23〜ステップS28の各処理を実行する。そして、ステップS28で、入金口4に別の紙幣2が無いことを確認すると(ステップS28:NO)、制御部30は、一時保留部9に保留している紙幣2の総金額を操作部10の表示部17に表示する(ステップS29)。この後、紙幣2の総金額を見た係員によって、紙幣2の入金を確定するために入金指示ボタン14が押されると(ステップS30:YES)、制御部30は、一時保留部9から紙幣2を一枚繰り出して識別部7へ搬送し(ステップS31)、識別部7によって紙幣2を読み取る(ステップS32)。このとき、識別部7によって紙幣2の金種、世代、および発行銀行の種別情報が取得される。このため、制御部30は、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31に記憶している全ての紙幣2の種別情報とを比較して(ステップS33)、一致しているか否かを判定する(ステップS34)。ここで、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31の紙幣2の種別情報とが一致すれば(ステップS34:YES)、制御部30は、紙幣2は入金を許可する対象の紙幣であると判断して、当該紙幣2を金種の対応する第1〜第3カートリッジ21〜23または運用カートリッジ24に搬送して収納する(ステップS35)。一方、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31の紙幣2の種別情報とが一致しなければ(ステップS34:NO)、制御部30は、紙幣2は入金を禁止する対象の紙幣であると判断して、当該紙幣2を返却口5に搬送して返却する(ステップS36)。
上記のように紙幣2をカートリッジ21〜24または返却口5に搬送すると、制御部30は、一時保留部9に別の紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS37)。ここで、別の紙幣2が有ることを確認すると(ステップS37:YES)、制御部30は、ステップS31へ移行して、上述したようにステップS31〜ステップS37の各処理を実行する。そして、ステップS37で、一時保留部9に別の紙幣2が無いことを確認すると(ステップS37:NO)、制御部30は、取引処理を終了する。
上述した第1実施形態のようにすることで、図4の設定処理において、入金の取り扱い対象にしたい紙幣2を入金口4に投入することにより、当該紙幣2の種別情報が自動的に識別部7によって取得されて記憶部31に記憶されるので、取り扱い対象にしたい紙幣2の数が多い場合や、各紙幣2の種別情報が多い場合や、複数台の紙幣入出金機1で異なる紙幣2の種別を設定する場合等であっても、取り扱い対象にしたい紙幣2の種別を正確に設定することができる。また、図7の取引処理において、投入された紙幣2の種別情報と、記憶部31に設定した取り扱い対象の紙幣2の種別情報とが一致しているか否かを判定し、一致している場合に紙幣2をカートリッジ21〜24に収納し、一致していない場合に紙幣2を返却するので、投入された紙幣2のうち、設定した紙幣2の種別と同一の種別の紙幣2の入金を許可し、設定した紙幣2の種別と異なる種別の紙幣2の入金を禁止することができる。つまり、紙幣入出金機1の運用を所望の運用に変更・設定することが可能となる。
また、上記第1実施形態では、図4の設定処理において、識別部7によって取得した紙幣2の種別情報の中から、金種、世代、および発行銀行の3つの情報を特定して記憶部31に記憶しているが、これらの少なくとも1つの情報を特定して記憶部31に記憶するようにしてもよい。このようにしても、設定処理において、入金の取り扱い対象にしたい紙幣2の金種、世代、および発行元の少なくとも1つの種別情報を正確に設定することができ、取引処理において、投入された紙幣2のうち、設定した紙幣2の種別と同一の種別の紙幣2の入金を許可し、異なる種別の紙幣2の入金を禁止することができる。
図8〜図10は、本発明の第2実施形態を示す図である。図8は、紙幣入出金機1への紙幣2の補充時に、リサイクル(再利用)の取り扱い対象となる紙幣2の種別を設定する設定処理の手順を示すフローチャートである。本手順は、制御部30が実行する。また、本手順は、補充用の紙幣2が運用カートリッジ24に装填されて紙幣入出金機1にセットされた場合を示している。なお、補充時に紙幣2の種別を設定するのは、係員が補充した紙幣2はその後の出金取引で出金してもよい紙幣、即ちリサイクルしてもよい紙幣だからである。このようにすることで、種別の設定のためだけにリサイクルの取り扱い対象にしたい紙幣2を銀行の本店等から取り寄せるといった、紙幣2の準備の手間を省くことができる。
係員によって補充用の紙幣2が装填された運用カートリッジ24が紙幣入出金機1にセットされた後、キー挿入部11に設定キーが挿入された状態で、開始ボタン12が押されると(ステップS41:YES)、制御部30は、運用カートリッジ24内に紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS42)。そして、紙幣2が有ることを確認すると(ステップS42:YES)、制御部30は、運用カートリッジ24から紙幣2を一枚繰り出して識別部7へ搬送し(ステップS43)、識別部7によって紙幣2を読み取る(ステップS44)。このとき、識別部7によって紙幣2の金種、世代、および発行銀行等の種別情報が取得される。続けて、制御部30は、識別部7によって複数の判定項目に基づいて紙幣2が正常であるか異常であるかを識別する(ステップS45)。ここで、複数の判定項目の少なくとも1つを満足しなかったことにより紙幣2が異常であると識別すると(ステップS45:NO)、制御部30は、紙幣2を出金口6に搬送する(ステップS52)。
一方、ステップS45で、複数の判定項目の全てを満足したことにより紙幣2が正常であると識別すると(ステップS45:YES)、制御部30は、識別部7によって取得した紙幣2の種別情報と同一の種別情報を記憶部31内で検索する(ステップS46)。このとき、取得した紙幣2の種別情報と同一の種別情報が記憶部31に記憶されていなければ(ステップS47:NO)、制御部30は、取得した紙幣2の種別情報を記憶部31に記憶して(ステップS48)、ステップS49へ移行する。これに対して、取得した紙幣2の種別情報と同一の種別情報が記憶部31に既に記憶されていれば(ステップS47:YES)、制御部30は、取得した紙幣2の種別情報を記憶することなく、ステップS49へ移行する。これにより、同一の紙幣2の種別情報が記憶部31に重複して記憶されなくなる。ステップS49へ移行すると、制御部30は、紙幣2が第1〜第3カートリッジ21〜23に対応する金種の紙幣であるか否かを判定する。ここで、紙幣2がカートリッジ21〜23に対応する金種の紙幣であれば(ステップS49:YES)、制御部30は、紙幣2を金種の対応する第1〜第3カートリッジ21〜23に搬送して収納する(ステップS50)。これに対して、紙幣2が第1〜第3カートリッジ21〜23に対応する金種の紙幣でなければ(ステップS49:NO)、制御部30は、紙幣2を一時保留部9へ搬送して、ここに一時的に保留する(ステップS51)。
上記のように紙幣2を出金口6、カートリッジ21〜23、または一時保留部9に搬送すると、制御部30は、運用カートリッジ24内に別の紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS53)。ここで、別の紙幣2が有ることを確認すると(ステップS53:YES)、制御部30は、ステップS43へ移行して、上述したようにステップS43〜ステップS53の各処理を実行する。そして、ステップS53で、運用カートリッジ24内に別の紙幣2が無いことを確認すると(ステップS53:NO)、制御部30は、一時保留部9に紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS54)。ここで、一時保留部9に紙幣2が有れば(ステップS54:YES)、制御部30は、一時保留部9から紙幣2を順次繰り出して運用カートリッジ24に搬送して戻す(ステップS55)。そして、制御部30は、出金口6に紙幣2が有るか否かを確認し(ステップS56)、出金口6に紙幣2が有れば(ステップS56:YES)、シャッタ6aを開く(ステップS57)。この後、係員によって出金口6から紙幣2が取り出されて、出金口6に紙幣2が無くなると(ステップS58:NO)、制御部30は、シャッタ6aを閉じて(ステップS59)、設定処理を終了する。
図9は、上記図8の設定処理を終了した後の、記憶部31の記憶内容の一例を示す図である。図9において、「No.」の欄には、紙幣2の種別情報を記憶した順番が書き込まれている。「紙幣種別」の欄には、各順番の紙幣2の種別情報として、金種(図9では「1000」、「5000」、「10000」)、および世代(図9では、「2」(第2世代))が書き込まれている。本実施形態では、制御部30によって、紙幣2の種別情報として金種と世代が特定され、発行銀行が特定されなかったため、発行銀行は書き込まれていない。「取り扱い方」の欄には、各順番の紙幣2のリサイクルを許可すること、即ち入金した紙幣2の出金を許可することが書き込まれている。つまり、図9では、リサイクルを許可する取り扱い対象の紙幣2として、3種類以上の紙幣2が設定された状態となっている。
図10は、紙幣入出金機1で紙幣2の入金取引を行う取引処理の手順を示すフローチャートである。本手順は、制御部30が実行する。なお、以下では、リサイクルの取り扱い対象の紙幣の種別が、図9に示したように設定されている状態とする。図中、前述した図7の手順と同一ステップについては、同一符号を付してある。また、以下では、図7の手順と同一ステップについては、詳細な説明を省略し、異なるステップについて、詳細に説明する。
係員によって紙幣2が入金口4に投入された後、制御部30は、前述した手順と同様にしてステップS21〜ステップS29の各処理を実行する。そして、ステップS30で、入金指示ボタン14が押されると(ステップS30:YES)、制御部30は、一時保留部9から紙幣2を一枚繰り出して識別部7へ搬送し(ステップS31)、識別部7によって紙幣2を読み取る(ステップS32a)。このとき、識別部7によって紙幣2の金種および世代の種別情報が取得される。このため、制御部30は、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31に記憶している全ての紙幣2の種別情報とを比較して(ステップS33a)、一致しているか否かを判定する(ステップS34a)。ここで、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31の紙幣2の種別情報とが一致すると(ステップS34a:YES)、制御部30は、紙幣2はリサイクルを許可する対象の紙幣であると判断して、当該紙幣2を金種の対応する第1〜第3カートリッジ21〜23または運用カートリッジ24に搬送して収納する(ステップS35)。このように、紙幣2をカートリッジ21〜24に収納することで、当該紙幣2はその後の出金取引処理で出金されるようになる。一方、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31の紙幣2の種別情報とが一致しなければ(ステップS34a:NO)、制御部30は、紙幣2はリサイクルを禁止する対象の紙幣であると判断して、当該紙幣2を回収カートリッジ20に搬送して回収する(ステップS36a)。このように、紙幣2を回収カートリッジ20に回収することで、当該紙幣2はその後の出金取引処理で出金されなくなる。 上記のように紙幣2をカートリッジ20〜24のいずれかに搬送すると、制御部30は、一時保留部9に別の紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS37)。ここで、別の紙幣2が有れば(ステップS37:YES)、制御部30は、ステップS31へ移行して、上述したようにステップS31〜ステップS37の各処理を実行する。そして、ステップS37で、一時保留部9に別の紙幣2が無いことを確認すると(ステップS37:NO)、制御部30は、取引処理を終了する。
上述した第2実施形態のようにすることで、図8の設定処理において、リサイクルの取り扱い対象にしたい紙幣2を運用カートリッジ24を介して紙幣入出金機1にセットすることにより、当該紙幣2の種別情報が自動的に識別部7によって取得されて記憶部31に記憶されるので、取り扱い対象にしたい紙幣2の種別を正確に設定することができる。また、図10の取引処理において、投入された紙幣2の種別情報と、記憶部31に設定した取り扱い対象の紙幣2の種別情報とが一致しているか否かを判定し、一致している場合に紙幣2をカートリッジ21〜24に収納し、一致していない場合に紙幣2を回収カートリッジ20に回収するので、投入された紙幣2のうち、設定した紙幣2の種別と同一の種別の紙幣2をその後の出金取引で出金できるように、即ち当該紙幣2を再利用できるようにすることが可能となる。また、設定した紙幣2の種別と異なる種別の紙幣2をその後の出金取引で出金できないように、即ち当該紙幣2を再利用できないようにすることが可能となる。つまり、紙幣入出金機1の運用を所望の運用に変更・設定することが可能となる。
図11〜図15は、本発明の第3実施形態を示す図である。図11は、本体3の上面に設けられた操作部10aの詳細を示す図である。なお、図2に示した操作部10と同一部分については、同一符号を付してある。図11において、41〜48は取り扱い対象にしたい紙幣2の種別と取り扱い方を設定するためのボタンである。41は取り扱い方として入金を設定するための入金設定ボタン、42は取り扱い方として出金を設定するための出金設定ボタン、43は取り扱い方として入金または出金の許可を設定するための許可設定ボタン、44は取り扱い方として入金または出金の禁止を設定するための禁止設定ボタンである。許可設定ボタン43または禁止設定ボタン44は、入金設定ボタン41または出金設定ボタン42が押された後にのみ有効になる。45は紙幣2の種別情報として金種を特定するための金種特定ボタン、46は紙幣2の種別情報として世代を特定するための世代特定ボタン、47は紙幣2の種別情報として発行銀行を特定するための発行銀行特定ボタンである。設定ボタン41〜44および特定ボタン45〜47が押されると、当該ボタン41〜47に対応する入力内容が表示部17に表示される。例えば、入金設定ボタン41と許可設定ボタン43とを押すと、紙幣2の取り扱い方として「入金許可」と表示部17に表示される。また、金種特定ボタン45と世代特定ボタン46とを押すと、紙幣2の種別として「金種」、「世代」とそれぞれ表示部17に表示される。48は各ボタン41〜47による入力内容を実行するための実行ボタン、49は各ボタン41〜47による入力内容を取り消すための取消ボタンである。設定ボタン41〜44は、本発明における設定手段の一実施形態を構成し、特定ボタン45〜47は、本発明における特定手段の一実施形態を構成する。
図12は、紙幣入出金機1で取り扱い対象となる紙幣2の種別を設定する設定処理の手順を示すフローチャートである。本手順は、前述の制御部30が実行する。図中、前述した図4の手順と同一ステップについては、同一符号を付してある。なお、以下では、図4の手順と同一ステップについては、詳細な説明を省略し、異なるステップについて、詳細に説明する。
係員によって取り扱い対象にしたい紙幣2が入金口4に投入された後、制御部30は、前述した手順と同様にしてステップS1〜ステップS4の各処理を実行する。そして、ステップS5で、複数の判定項目の全てを満足したことにより紙幣2が正常であると識別すると(ステップS5:YES)、制御部30は、「紙幣の設定入力待ち」のメッセージを表示部17に表示する(ステップS6a)。これにより、表示部17の上記メッセージを見た係員は、操作部10aのボタン41〜49を操作して、紙幣2の特定したい種別(金種、世代、および発行銀行の少なくとも1つ)と、紙幣2の取り扱い方を入力する。例えば、金種特定ボタン45、入金設定ボタン41、許可設定ボタン43、出金設定ボタン42、および禁止設定ボタン44が順番に押された後に、実行ボタン48が押されると、紙幣2の特定したい種別として、「金種」が入力され、紙幣2の取り扱い方として、「入金許可」および「出金禁止」が入力された状態となる。
上記のように操作部10aのボタン41〜49によって、紙幣2の特定したい種別と、紙幣2の取り扱い方とが入力されたことを確認すると(ステップS6b:YES)、制御部30は、識別部7によって取得した紙幣2の種別情報のうち、入力された種別情報を記憶部31に記憶し(ステップS6c)、記憶した種別情報に関連付けて、入力された紙幣2の取り扱い方を記憶部31に記憶する(ステップS6d)。この後、制御部30は、紙幣2を返却口5に返却して(ステップS7)、入金口4に別の紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS8)。ここで、入金口4に別の紙幣2が有ることを確認すると(ステップS8:YES)、制御部30は、ステップS3へ移行して、上述したようにステップS3〜ステップS8の各処理を実行する。そして、ステップS8で、入金口4に別の紙幣2が無いことを確認すると(ステップS8:NO)、制御部30は、設定処理を終了する。
次に、取り扱い対象の紙幣の種別情報と取り扱い方の設定の一例を、図13および図14を参照して説明する。図13は、A国、B国、およびC国の現存する紙幣の種別一覧表を示す図である。図14は、A国、B国、およびC国で紙幣入出金機1を使用するために、上記図12の設定処理を行った後の、記憶部31の記憶内容の一例を示す図である。図13(a)に示すように、A国では、金種が6種類あり、発行された世代が3世代あり、全部で12種類の紙幣2が現存している。このようなA国で紙幣入出金機1を使用するには、取り扱い対象の紙幣2の種別情報として、金種と世代の少なくとも1つを設定し、所望の取り扱い方を設定すればよい。例えば、図14(a)に示すように紙幣2の種別情報と取り扱い方とを設定すると、第1世代に発行された紙幣2は、金種「1」だけが入金と出金を許可され、それ以外の金種は入金と出金を禁止される。また、第2世代に発行された紙幣2は、全ての金種で入金と出金を許可される。さらに、第3世代に発行された紙幣2(金種「20」のみ)は、入金を許可されるとともに出金を禁止される。
また、図13(b)に示すように、B国では、金種が8種類あり、発行元が3つの銀行であり、全部で19種類の紙幣2が現存している。このようなB国で紙幣入出金機1を使用するには、取り扱い対象の紙幣2の種別情報として、金種と発行銀行の少なくとも1つを設定し、所望の取り扱い方を設定すればよい。例えば、図14(b)に示すように紙幣2の種別情報と取り扱い方とを設定すると、X銀行が発行した紙幣2は、全ての金種で入金と出金を許可される。また、Y銀行が発行した紙幣2は、全ての金種で入金と出金を許可される。さらに、Z銀行が発行した紙幣2は、金種「50」だけが入金を許可されるとともに出金を禁止され、それ以外の金種は入金と出金を禁止される。
また、図13(c)に示すように、C国では、金種が複数種類あり、世代が3世代あり、発行元が4つの銀行であるというように、複数種類の紙幣2が現存している。このようなC国で紙幣入出金機1を使用するには、取り扱い対象の紙幣2の種別情報として、金種と世代と発行銀行の少なくとも1つを設定し、所望の取り扱い方を設定すればよい。例えば、図14(c)に示すように紙幣2の種別情報と取り扱い方とを設定すると、金種「MMM」の紙幣2が、第1世代と第2世代に発行された紙幣2であれば、発行銀行に関係なく全て入金と出金を許可される。また、金種「MMM」の紙幣2が、第3世代にW銀行から発行された紙幣2であれば、入金を許可されるとともに出金を禁止され、第3世代にY銀行から発行された紙幣2であれば、入金と出金を禁止される。
図15は、紙幣入出金機1で紙幣2の入金取引を行う取引処理の手順を示すフローチャートである。本手順は、制御部30が実行する。なお、以下では、取り扱い対象の紙幣の種別が、図14(a)〜図14(c)のいずれかに示したように設定されている状態とする。図中、前述した図7の手順と同一ステップについては、同一符号を付してある。また、以下では、図7の手順と同一ステップについては、詳細な説明を省略し、異なるステップについて、詳細に説明する。
係員によって紙幣2が入金口4に投入された後、制御部30は、前述した手順と同様にしてステップS21〜ステップS29の各処理を実行する。そして、ステップS30で、入金指示ボタン14が押されると(ステップS30:YES)、制御部30は、一時保留部9から紙幣2を一枚繰り出して識別部7へ搬送し(ステップS31)、識別部7によって紙幣2を読み取る(ステップS32)。このとき、識別部7によって紙幣2の金種、世代、および発行銀行の種別情報が取得される。このため、制御部30は、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31に記憶している全ての紙幣2の種別情報とを比較して(ステップS33b)、一致しているか否かを判定する(ステップS34b)。このとき、取得した紙幣2の種別情報を、例えば記憶部31の世代だけ設定されている紙幣2の種別情報(図14(a)の2番目の種別情報等)と比較するときは、両者の世代だけを比較して一致しているか否かを判定する。また、取得した紙幣2の種別情報を、例えば記憶部31の金種、世代、および発行銀行が設定されている紙幣2の種別情報(図14(c)の3番目の種別情報等)と比較するときは、両者の金種、世代、および発行銀行のそれぞれを比較して一致しているか否かを判定する。
ステップS34bで、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31の紙幣2の種別情報とが一致しなければ(ステップS34b:NO)、制御部30は、紙幣2は入金を禁止する対象の紙幣であると判断して、紙幣2を返却口5に搬送して返却する(ステップS35b)。これに対して、ステップS34bで、取得した紙幣2の種別情報と、記憶部31の紙幣2の種別情報とが一致すると(ステップS34b:YES)、制御部30は、記憶部31の紙幣2の種別情報に関連付けられている紙幣2の取り扱い方を読み込んで、当該取り扱い方に「入金許可」が設定されている否かを確認する(ステップS34c)。ここで、取り扱い方に「入金禁止」が設定されていると(ステップS34c:NO)、制御部30は、紙幣2は入金を禁止する対象の紙幣であると判断して、紙幣2を返却口5に搬送して返却する(ステップS35b)。これに対して、ステップS34cで、取り扱い方に「入金許可」が設定されていると(ステップS34c:YES)、制御部30は、紙幣2は入金を許可する対象の紙幣であると判断し、続いて、取り扱い方に「出金許可」が設定されている否かを確認する(ステップS34d)。ここで、取り扱い方に「出金禁止」が設定されていると(ステップS34d:NO)、制御部30は、紙幣2は出金(リサイクル)を禁止する対象の紙幣であると判断して、紙幣2を回収カートリッジ20に搬送して回収する(ステップS35a)。これに対して、ステップS34dで、取り扱い方に「出金許可」が設定されていると(ステップS34d:YES)、制御部30は、紙幣2は出金(リサイクル)を許可する対象の紙幣であると判断して、紙幣2を金種の対応する第1〜第3カートリッジ21〜23または運用カートリッジ24に搬送して収納する(ステップS35)。
上記のように紙幣2を返却口5、またはカートリッジ20〜24のいずれかに搬送すると、制御部30は、一時保留部9に別の紙幣2が有るか否かを確認する(ステップS37)。ここで、別の紙幣2が有ることを確認すると(ステップS37:YES)、制御部30は、ステップS31へ移行して、上述したようにステップS31〜ステップS37の各処理を実行する。そして、ステップS37で、一時保留部9に別の紙幣2が無いことを確認すると(ステップS37:NO)、制御部30は、取引処理を終了する。
上述した第3実施形態のようにすることで、図12の設定処理において、取り扱い対象にしたい紙幣2を入金口4に投入することにより、当該紙幣2の金種、世代、および発行元の少なくとも1つの種別情報が、設定された取り扱い方と関連付けられて自動的に記憶部31に記憶されるので、所望の取り扱いを行いたい紙幣2の種別を正確に設定することができる。また、図15の取引処理において、投入された紙幣2の種別情報と、記憶部31に設定した取り扱い対象の紙幣2の種別情報とが一致している場合に、関連付けられた取り扱い方で投入された紙幣2を取り扱うので、投入された紙幣2のうち、設定した紙幣2の種別と同一の種別の紙幣2に対して入金または出金の取り扱いを許可または禁止することができる。つまり、紙幣入出金機1の運用を所望の運用に変更・設定することが可能となる。
本発明は、以上述べた実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。例えば、図4および図12の設定処理では、取り扱い対象にしたい複数種類の紙幣2を一括して受け付けて、各紙幣2の種別情報を順次設定した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、取り扱い対象にしたい複数種類の紙幣2を一枚ずつ受け付けて、即ち当該紙幣2を1枚ずつ入金口4に投入して紙幣2の種別情報を設定するようにしてもよい。このようにすると、取り扱い対象にしたい紙幣2を一枚一枚確認しながら紙幣の種別情報を設定することができるので、取り扱い対象でない紙幣2の混入を確実に防止することができる。
また、上述した第1実施形態では、図6の設定消去処理において、設定キーが挿入された状態でリセットボタン16が押された後に、記憶部31に記憶している紙幣2の種別情報等を全て消去した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば図4の設定処理において、設定キーが挿入された状態でリセットボタン16が押された時に、記憶部31の紙幣2の種別情報等を全て消去するようにしてもよい。また、第2実施形態や第3実施形態においても、図8および図12の設定処理において、設定キーが挿入された状態でリセットボタン16が押された時に、記憶部31の紙幣2の種別情報等を全て消去するようにしてもよい。
また、以上述べた実施形態では、図4、図8、および図12の設定処理で設定した取り扱い対象の紙幣2の種別情報を、紙幣2の入金取引処理において取引する紙幣2の種別情報と比較した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば紙幣2の出金取引処理において、設定した取り扱い対象の紙幣2の種別情報を、取引する紙幣2の種別情報と比較して一致の有無を判定し、取引する紙幣2の出金を許可または禁止するようにしてもよい。また、例えば紙幣2の補充処理において、設定した取り扱い対象の紙幣2の種別情報を、補充用の紙幣2の種別情報と比較して一致の有無を判定し、補充用の紙幣2の金種別のカートリッジ21〜24への収納を許可または禁止するようにしてもよい。
さらに、以上述べた実施形態では、金融機関の窓口で係員が使用する紙幣入出金機1に、本発明を適用した例を挙げているが、本発明はこれ以外にも、例えば金融機関で顧客が利用する自動現金取引装置や、硬貨の入金または出金を行う硬貨入出金機等のような貨幣取引装置に適用することが可能である。