JP6019112B2 - タイツ - Google Patents

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Description

この発明は、ランニングや歩行の際、特に走動作において、股関節の屈曲可動域が大きくなるように、股関節を屈曲させる方向にアシスト力が作用するタイツに関するものである。
走動作や歩行動作は、基本的に足が地面に接地している局面(支持期)と接地していない局面(非支持期)とに分けることができ、大腿部を上げる非支持期では股関節が骨盤に対して前方に屈曲する。
走動作における動作分析では、図1に示すように非支持期における前方への股関節の屈曲可動域(θ)は、骨盤角度(骨盤の中心を通る身体の中心軸Z)に対して90°程度であるのに対し、支持期における後方への伸展可動域(θ)は骨盤角度に対して10°程度であり、股関節の屈曲位が支配的な動作である。図1において、Aは股関節の大転子、Bは膝中央点を示している。また、θは、θとθを加えた股関節の動作範囲を示している。
上記のように、走動作においては、股関節の屈曲位が支配的な動作になるため、股関節の屈曲可動域が増大するようにトレーニングを行えば、地面反発力とストライドが増大し、理想的なフォームの習得、パフォーマンスの向上に有効である。
ところで、従来、運動を行う際に着用するタイツは、可動性を高めるために、一般的には縦横2方向に伸縮性を有する素材で形成されている。また、一般的なタイツの形状は、立位姿勢を基本とし、脚部が身体の中心軸に対してストレートな形状のパターンが採用され、フィット性を高めるために、後身頃に臀部形状分のゆとり寸を付与している。
また、膝関節等への負担を軽減し、屈曲位姿勢の際に、ウエアの引きつれを低減するために、部分的に伸長回復力が大きい素材を配置したタイツや、スキーやバイクの競技用のユニフォームのように、常に股関節が屈曲した姿勢をとるようにパターンを作成したものがある(特許文献1〜3)。
また、従来、図14に示すように、大腿部の半分程度の丈のタイツで、「歩行時の足の振り上げを大きくし、自然と歩幅を増加させる」ということを謳ったものもある(非特許文献1)。
特開2006−207056号公報 特開2007−23466号公報 特許第4684370号公報
日経トレンディネット 2009年11月17日掲載「グンゼ・アシックスの商品 カラダトレーナー」http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20091002/1029378/
ところが、従来のスポーツ用のタイツや、スキーやバイクの競技用のユニフォームには、股関節の屈曲可動域を増大させるといった機能はない。
また、非特許文献1に記載された図14のタイツは、「独自のパワー構造(図14に符号3で示す部分)を腰から膝上までの大腿前部に配置し、腿を前方に運ぶ動作をサポートすることにより、歩行時の足の振り上げを大きくし、自然と歩幅を増加させる」ということを謳ったものであるが、大腿部の半分程度の丈であり、股関節の伸展動作や屈曲動作の際に、股関節の屈曲をアシストするものではない。即ち、この図14のタイツは、第14図の身丈が大腿部の半分程度の長さで、膝蓋骨上端までの長さがなく、股関節の屈曲を主としてつかさどる大腿直筋を覆う構造ではなく、膝関節伸展時の大腿下部の筋の隆起を阻害しないように考慮して、あえてパワー構造を、大腿直筋を回避するように配置している。そのため、股関節の伸展動作や屈曲動作の際に、大腿直筋を回避するように配置されたパワー構造では、大腿直筋の働きをアシストして、股関節の屈曲可動域を増大させるといった効果は実質的に全くない。したがって、図14のタイツは、特に、走動作における股関節屈曲促進によるストライド増大という効果は望めない。
そこで、この発明は、走動作や歩行動作の際に、股関節を屈曲させる方向にアシスト力が作用し、股関節の屈曲可動域を増大させる機能を有する、特に、ランニング等のトレーニングに適したタイツを提供しようとするものである。
この発明は、上記の課題を解決するために、伸長回復力を有する素材で形成され、体表に密着する腹部、臀部、股関節部、少なくとも膝蓋骨上端までの脚部を覆う領域を備えるタイツにおいて、前身頃の履き口前部から膝頭点に向かう大腿部の大腿直筋の範囲内の領域に、少なくとも膝蓋骨上端に達する長さで、後身頃の素材よりも伸長回復力が大きい素材(以下、「高弾性素材」という。)を配置し、この高弾性素材が、股関節の伸展動作の際に伸長し、股関節の屈曲動作の際に、伸長した高弾性素材が縮んで股関節の屈曲動作をアシストするようにしたものである。
大腿直筋は、大腿部の股関節屈曲筋群のうち、主として股関節を屈曲する働きと、膝関節を伸展する働きを有する。
したがって、前身頃の履き口前部から膝頭点に向かう大腿部の大腿直筋の範囲内の領域に、少なくとも膝蓋骨上端に達する長さで、後身頃の素材よりも伸長回復力が大きい高弾性素材を配置することにより、高弾性素材が、股関節の伸展動作の際に伸長し、股関節の屈曲動作の際に、伸長した高弾性素材が縮むことにより、大腿直筋の働きをアシストし、股関節の屈曲可動域が増大する。
さらに、仕立て状態で、大腿部を覆う脚部の領域を、着用者の静止立位時の大腿部長軸(以下、この「静止立位時の大腿部長軸」を適宜「大腿長軸」ということもある。)よりも前方に傾斜させることにより、前方に傾斜した分だけ、股関節の伸展動作の際に、高弾性素材がより大きく伸長するため、股関節の屈曲動作の際に、より大きい伸長回復力が働き、大腿直筋のアシスト力がさらに増大する。
この発明のタイツは、前身頃の大腿部に、高弾性素材が配置され、この高弾性素材が、股関節の伸展、屈曲動作の際に、伸び縮みするため、脚部の長さが膝蓋骨上端までの場合には、ズレ上がりが生じて、伸縮力が弱められ易い。このため、脚部の長さは、膝下まで延びていることが好ましい。
また、脚部のズレ上がりを防止するために、脚部の下端内面に、高摩擦素材を配置することが望ましい。また、脚部下端の裾部の着圧を、高弾性素材を配置している部分と同等かそれよりも大きくして、裾部のズレ上がりを防止するようにしてもよい。
また、より大きい伸長回復力を得るためには、前身頃に配置する高弾性素材を、膝頭の下方位置まで連続して配置することが好ましい。
脚部の長さを膝下まで延ばした場合、前身頃側に配置した高弾性素材によって、膝下の後方側への屈曲動作に支障が生じたり、着心地が悪くなったりするおそれがある。そのような場合には、仕立て状態で、脚部の膝から下の領域を、着用者の大腿長軸よりも後方に傾斜させておくことが好ましい。
また、ウエストラインは、骨盤腸骨棘よりも上に設けることにより、骨盤にフィットさせることができる。
この発明によれば、上記のように、前身頃の履き口前部から膝頭点に向かう大腿部の大腿直筋の範囲内の領域に、少なくとも膝蓋骨上端に達する長さで、後身頃の素材よりも伸長回復力が大きい高弾性素材を配置することにより、高弾性素材が、股関節の伸展動作の際に伸長し、股関節の屈曲動作の際に、伸長した高弾性素材が縮むことにより、大腿直筋の働きがアシストされ、股関節の屈曲可動域が増大する。
したがって、この発明のタイツは、股関節の屈曲可動域を増大させるトレーニングを効果的に行うことができる。
走動作時における股関節並びに膝関節の屈曲状態を示す概念図である。 この発明の第1の実施形態の正面図である。 図2Aの実施形態の側面図である。 この発明の第2の実施形態の正面図である。 図3Aの実施形態の側面図である。 第2の実施形態のタイツをスラックス折りする手順を示す正面図である。 図4Aの背面図である。 第2の実施形態のタイツをスラックス折りした状態の側面図である。 この発明の第3の実施形態の正面図である。 図5Aの実施形態の側面図である。 第3の実施形態のタイツをスラックス折りした状態の側面図である。 第3の実施形態のタイツの型紙パターンである。 この発明の第4の実施形態の正面図である。 図8Aの実施形態の側面図である。 この発明の第5の実施形態の正面図である。 図9Aの実施形態の側面図である。 この発明の第6の実施形態の正面図である。 図10Aの実施形態の側面図である。 この発明の第7の実施形態の正面図である。 図11Aの実施形態の側面図である。 股関節から大腿部の筋肉群を示す模式図である。 この発明に係るタイツの作用を示す概念図である。 従来のタイツの正面図である。
以下、この発明に係るタイツの実施形態について説明する。
この発明に係るタイツ1は、伸長回復力を有する素材で形成され、体表に密着する腹部、臀部、股関節部、少なくとも膝蓋骨上端までの脚部を覆う領域を備える。
そして、前身頃の履き口前部から膝頭点に向かう大腿部の大腿直筋の範囲内の領域に、少なくとも膝蓋骨上端に達する長さで、後身頃の素材よりも伸長回復力が大きい高弾性素材2を配置し、この高弾性素材2が、股関節の伸展動作の際に伸長し、股関節の屈曲動作の際に、伸長した高弾性素材2が縮んで股関節の屈曲動作をアシストするようにしたものである。
大腿部の大腿直筋とは、図12の大腿部の筋肉群を示す模式図の股関節屈曲筋群のうち、符号Cで示した、主として股関節を屈曲する働きと、膝関節を伸展する働きを有する筋肉である。
高弾性素材2の幅は、股関節の屈曲動作のアシスト力を向上させるためには、前身頃の履き口前部において、ヒップ周りの寸法の5%以上とし、膝蓋骨上端において、大腿直筋の付着部である大腿骨幅以上にすることが望ましい。なお、高弾性素材2は、幅を一定としてもよいし、幅を変えてもよい。また、高弾性素材2は、脚部の長さ方向に途切れないように配置すれば、その領域内に、高弾性素材2よりも伸長回復力が小さい素材によって形成される部分を、1つ以上設けてもよい(例えば、高弾性素材2よりも伸長回復力が小さい素材によって形成される部分を不連続状態に設けてもよいし、高弾性素材2が枝分かれするように設けてもよい)。また、大腿直筋の働きをアシストする効果を大きくして股関節の屈曲可動域を増大させるために、大腿直筋の中心軸上には、前身頃の履き口前部から膝蓋骨上端にわたって連続して高弾性素材2が設けられていることが好ましく、さらに高弾性素材2の幅が前身頃の履き口前部においてヒップ周りの寸法の5%以上で、膝蓋骨上端において大腿骨幅以上であることがより好ましい。
図11には、この発明に係るタイツ1の脚部丈の最低基準となる膝蓋骨上端のラインをa、膝頭のラインをb、膝頭の下方の脛骨粗面のラインをcで示している。以下に示す各実施形態のタイツ1には、このa、b、cのラインを示している。
この発明に係るタイツ1は、前身頃の履き口前部から膝頭点に向かう大腿部の大腿直筋の範囲内、即ち、大腿直筋が存在する領域に、少なくとも膝蓋骨上端aに達する長さで、後身頃の素材よりも伸長回復力が大きい高弾性素材2を配置することにより、高弾性素材2が、図13に矢印Dに示すように、股関節の伸展動作の際に伸長し、股関節の屈曲動作の際に、図13に矢印Eで示すように、伸長した高弾性素材2が縮むことにより、大腿直筋の働きがアシストされ、股関節の屈曲可動域が増大する。
この発明に係るタイツ1に使用する伸長回復力を有する素材としては、着用時に身体の長軸方向に対して生地幅1cm当たり0.98N(100gf)の荷重に対し、30%以上伸長する素材であることが好ましく、前身頃と後身頃を構成する全てのパーツを織物や編物素材によって形成する場合には、単一の生地内において、部分的に糸使いを変更して弾性率を調整し、高弾性素材2を形成することができる。この高弾性素材2は、例えば、高弾性素材2以外の部分に、生地幅1cm当たり0.98N(100gf)の荷重に対し、30%伸長する素材を使用した場合には、生地幅1cm当たり0.98N(100gf)の荷重に対し、10%以上30%未満伸長する素材とし、35%伸長する素材を使用した場合には、10%以上35%未満伸長する素材とし、40%伸長する素材を使用した場合には、10%以上40%未満伸長する素材とするように適宜設定してもよい。高弾性素材2は、高筋力者ほど大きい伸長回復力を有する素材を使用する。
高弾性素材2を形成する方法は特に限定されない。高弾性素材2は、生地の上に、ネオプレン等のラバー素材や、PUパネル等を接着することにより、形成してもよい。また、高弾性素材2を設けるには、生地の上に樹脂等の塗布加工を施すことにより、形成してもよい。また、高弾性素材2を設けるには、編み糸の種類や編み密度、編み組織、編み糸の本数を適宜変更することにより、任意の弾性率の生地を得て使用することもできる。また、高弾性素材2を設けるには、高弾性生地を使用するだけでなく、高弾性部材としての樹脂シートやパワーメッシュを使用してもよい。具体的には、高弾性素材2は、高弾性部材が2WAYトリコットに縫合若しくは接合されて構成されるものであってもよく、他の部材を用いずにポリウレタンなどの高弾性部材のみによって構成されるものであってもよい。
図2A及び図2Bは、この発明の第1の実施形態のタイツ1を示している。この第1の実施形態のタイツ1は、脚部の丈が、膝蓋骨上端のラインaまでの比較的短く、脚部が大腿長軸に対して前後に傾斜しないストレート形状のものである。
図3A及び図3Bは、この発明の第2の実施形態のタイツ1を示している。この第2の実施形態のタイツ1は、図2A及び図2Bに示す第1の実施形態と同様に、脚部の丈が、膝蓋骨上端のラインaまでの比較的短いタイプである。
前記の第1の実施形態のタイツ1は、脚部が大腿長軸に対して前後に傾斜しないストレート形状をしているため、股関節最大屈曲位では、前身頃に生地の詰まりが生じ、動作の妨げや不快感を誘引する可能性がある。
このため、図3A及び図3Bに示す第2の実施形態のタイツ1は、前身頃の大腿部の寸法を、着用者の大腿部の寸法よりも短くし、仕立て状態において、大腿部が着用者の大腿長軸よりも前方に傾斜した屈曲構造にしている。
このように、タイツ1の大腿部を着用者の大腿長軸よりも前方に傾斜させることにより、走動作時の支持期後半での股関節伸展の際に、大きな生地伸びを前身頃に生じさせることができ、この生地伸びによる生地張力が、非支持期の股関節屈曲動作の際に、大きなアシスト力として働く。
タイツ1の大腿部の前方への傾斜角度θは、股関節伸展の際に大きな生地張力を生じさせるためには、少なくとも10°以上、好ましくは20°以上必要である。
上記傾斜角度は、タイツ1をスラックス折りにし、タイツ1上に定めた固定点を用いて、以下の手順により簡易に推定することができる。
スラックス折りは、図4Aに示すように、正面の中心線Yと股上端点との中点をPl、中心線Yと膝頭部の内外側の中点をP4とし、次いで、図4Bに示すように、背面の中心線Yと履き口eとの交点をP2、膝窩部の内外側の中点をP5として、図4Cに示すように、線分P1−P4を基準線として、線分P1−P4よりも中央寄りの部分を左右脚ともに内側に折り込む畳み方である。
スラックス折りの状態で、線分P2−P5に対して最も後方に隆起している点をP3とする。P3は、パターン上のヒップライン上におおよそ一致する点である。図4Cに示すように、P3から線分P1−P4へ垂線を引き、線分P1−P4との交点をQ1、線分Q1−P3の中点をQ2とする。線分P1−P2の中点をQ3、線分P4−P5の中点をQ4とし、線分Q2−Q3の延長線と線分Q2−Q4のなす角を、前方への傾斜角度θとする。なお、線分Q2−Q3は、骨盤の中心を通る身体の中心軸Zに一致する。
次に、図5A及び図5Bは、脚部の丈が、足首まである丈の長い、この発明の第3の実施形態のタイツを示している。
この図5A及び図5Bの第3の実施形態では、高弾性素材2を、前身頃の履き口前部から膝頭を超えて足首まで連続するように配置している。
高弾性素材2が膝頭を超えて足首まで連続するように配置すると、下腿部も生地張力により前方側に引っ張られるため、膝関節の後方側への屈曲に支障を来す恐れがある。
このため、図5A及び図5Bの第3の実施形態では、下腿部を、大腿長軸よりも後方に傾斜する屈曲構造を採用している。
この下腿部の傾斜角度θは、少なくとも10°以上であり、この傾斜角度θは、大腿部の前方への傾斜角度θと同様に、タイツ1をスラックス折りにし、タイツ1上に定めた固定点を用いて、以下の手順により簡易に推定することができる。
即ち、タイツ1をスラックス折りにする手順は、図4A〜Cと同様であり、正面の中心線Yと裾部の内外側の中点をP6とし、背面の中心線Yと裾部の内外側の中点をP7として、図6に示すように、線分P6−P7の中点をQ5とする。膝頭部の内外側の中点P4と膝窩部の内外側の中点をP5とし、線分P4−P5の中点Q4と線分P6−P7の中点Q5とを結ぶ線分と、線分P4−P5の中点Q4から静止立位時の身体の中心線(静止立位時の大腿部長軸)gである線分Q2−Q3と平行な線分hとがなす角が、下腿部の傾斜角度θである。
この下腿部の傾斜角度θは、膝関節の動作範囲が、屈曲位が支配的であるため、少なくとも10°以上の角度にすることが望ましい。
図7は、図5A及び図5Bの第3の実施形態の型紙の例であり、片側の脚部を、左側から内、前、外、後の4つのパーツで形成している。片側の脚部を4つのパーツで形成することにより、大腿部の傾斜角を大きくすることができる。例えば、内外パーツの前パーツ接合線を後パーツ接合線よりも短縮し、大転子点に角度を設け、股関節部に屈曲構造をもたせることができる。例えば、前身頃と後身頃の長軸寸法差を15%とすると、45°の前方への傾斜角度を設けることができる。
次に、図8A及び図8Bは、この発明の第4の実施形態であり、脚部の丈が、足首まである丈の長いタイツである点で、図5A及び図5Bの第3の実施形態と同様であり、図5A及び図5Bの第3の実施形態との相違点は、膝頭部を超えて連続する高弾性素材2によって膝部の屈曲性が阻害されないように、膝頭部分に高弾性素材2が配置されないように、膝頭部分を、円形に高弾性素材2よりも伸長回復力が小さい素材によって形成した例である。
次に、図9A及び図9Bは、この発明の第5の実施形態であり、脚部の丈が、膝頭の下方の脛骨粗面のラインcまでのタイツである。その他の構成は、図8A及び図8Bに示す実施形態と同様であり、膝頭部分に高弾性素材2が配置されないように、膝頭部分を、円形に高弾性素材2よりも伸長回復力が小さい素材によって形成している。
次に、図10A及び図10Bは、この発明の第6の実施形態であり、図9A及び図9Bに示す第5の実施形態と同様に、脚部の丈が、膝頭の下方の脛骨粗面のラインcまでのタイツである。この図10A及び図10Bに示す第6の実施形態は、膝頭から下方部分に高弾性素材2が配置されないように、膝頭から下方を逆U字型に、高弾性素材2よりも伸長回復力が小さい素材によって形成している。
次に、図11A及び図11Bは、この発明の第7の実施形態であり、図5A及び図5Bの実施形態と同様に、脚部の丈が、足首まである丈の長いタイツであり、この実施形態は、前身頃全体を高弾性素材2によって形成している。
上記の各実施形態のうち、脚部の丈が、膝頭を超えて足首方向に延びている場合には、大腿部の屈曲動作の際に、膝蓋骨の凸形状によって裾部がズレ上がり難いが、脚部の丈が、膝蓋骨上端のラインaまでの比較的短いタイツ1の場合には、膝蓋骨の凸形状による裾部のズレ上がりを防止効果が期待できないため、脚部の裾部の内面に、高摩擦滑り止めテープなどの高摩擦素材を配置したり、裾部の着圧を高弾性素材2の配置部分と同等かそれよりも大きくしたりして裾部のズレ上がりを防止することが望ましい。裾部のズレ上がりを防止することにより、高弾性素材2の伸長回復力の低下を防止できる。
産業上の利用分野
以上のように、この発明に係るタイツは、股関節の屈曲可動域を増大させるトレーニング用に最適である。
1 タイツ
2 高弾性素材

Claims (5)

  1. 伸長回復力を有する素材で形成され、体表に密着する腹部、臀部、股関節部、少なくとも膝蓋骨上端までの脚部を覆う領域を備えるタイツにおいて、前身頃の大腿部寸法を、着用者の大腿部の寸法より短くし、仕立て状態において、大腿部が着用者の大腿長軸よりも前方に傾斜させた屈曲構造とし、前身頃の履き口前部から膝頭点に向かう大腿部の大腿直筋の範囲内の領域に、少なくとも膝蓋骨上端に達する長さで、後身頃の素材よりも伸長回復力が大きい素材を配置し、この伸長回復力が大きい素材が、股関節の伸展動作の際に伸長し、股関節の屈曲動作の際に、伸長した伸長回復力が大きい素材が縮んで股関節の屈曲動作をアシストすることを特徴とするタイツ。
  2. 脚部を覆う領域が、少なくとも膝下まで延びている請求項1記載のタイツ。
  3. 仕立て状態で、脚部の膝から下の領域が、着用者の大腿長軸よりも後方に傾斜していることを特徴とする請求項3記載のタイツ。
  4. 上記前身頃に配置した伸長回復力が大きい素材が、膝頭の下方位置まで連続して配置されている請求項1,3,4のいずれかに記載のタイツ。
  5. 上記脚部の下端内面に、高摩擦素材を配置している請求項1,3,4,5のいずれかに記載のタイツ。
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