JP6018871B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
これらの技術は、背凭れが作動機構部の左右両側に枢支される左右一対の前向き腕部を備え、これら両前向き腕部が作動機構部を避けて一体化されるような構成の場合に、その取り付けを効率的に行うことができる。
特許文献1では、まず、補助部材としての腕杆13の後部から突出するピン14を、背凭れの一部をなす背凭れ支持杆10の後部に形成された下方に開口する凹溝17に上方から嵌合させて仮保持し、次いで、このピン14を支点として背凭れ支持杆10を前上方に回動させ、腕杆13の前部に外側方に突出するように設けられた枢支軸7に、背凭れ支持杆10の前部で上方に開口する凹溝18を下方から嵌合させるようにした構造である。この構造によれば、背凭れ支持杆10を仮保持しておくことができるので、背凭れ支持杆10を回動させる作業を効率的に行うことができる。一方で、L字状の背凭れ支持杆10の上部を手で保持しながら、先端の凹溝18、及び回動支点となるピン14から離間した枢支軸7という、力の加わり難い部位同士を適正に嵌合させる必要があり、作業時間を要することとなって工程上のロスを招来する。
特許文献2では、補助部材としての揺動フレーム8に、背凭れの一部をなすアーム部6の先端部を嵌合させた上で、揺動フレーム8の上面にアーム部6と一体をなす底板部7を載置し、これらを互いにネジ止めする構造である。この構造によって、背凭れを補助部材に支持することが非常に容易になる。その一方で、揺動フレーム8より大きさもあり荷重も大である背凭れが広い面積で載置されているので、背凭れの回動時には揺動フレームに大きな曲げモーメントが加わることとなり、揺動フレームの損耗が発生し易くなる。
特許文献3では、特許文献1と同様、補助部材としての揺動部材18と、背凭れの一部をなすバックフレーム10の前向きアーム16とを、フレーム受け軸37と前向き開口溝38との嵌合により保持し、次いで第一軸19と下向き開口溝39とを嵌合させる構造である。したがって、特許文献1と同様の問題が発生する可能性がある。
すなわち、本発明に係る椅子は、脚体と、該脚体に支持される背凭れと、を備える椅子において、前記背凭れが、着座者の背を支持する起立部の下側から前方に延び、前部が前記脚体の左右外側に配置される左右一対の前向き腕部と、前記脚体から左右外側に突出する回動軸に一体回転可能に取り付けられ、前記前向き腕部の上向きの移動を伴って該前向き腕部の前部を連結する連結部を具備する補助部材と、を有し、前記連結部が、前記前向き腕部の前部の互いに異なる位置に係合し、該前部よりも後方の前記背凭れの重量によるモーメントと反対回りのモーメントが生じるように、前記前部に反力を作用させ、かつ該反力により前記背凭れを脱落不能に保持する複数の係合保持部を有することを特徴とする。
このように構成された椅子では、補助部材に対する前向き腕部の上方への移動によって、左右前向き腕部が一体化された背凭れであっても容易に組み付けることができる。また、補助部材の複数の係合保持部に背凭れの重量によるモーメントを分散でき、かつ複数の係合保持部の作用により背凭れを組み付け位置に仮保持できる。
このように構成された椅子では、複数の係合保持部を単純形状で形成することが可能となり、連結部の複数の係合保持部とこれに係合する前向き腕部の前部とを簡単に形成できる。
このように構成された椅子では、補助部材に対して前向き腕部を上向きに移動した際の前向き腕部の位置決めを容易にできると共に、この状態で前向き腕部を補助部材に締結できる。
このように構成された椅子では、回動軸を基準に前向き腕部及び補助部材を容易に位置決めできる。
図1に示すように、本実施形態の椅子1は、キャスタ2付きの多岐脚3と、多岐脚3の中央部より起立する脚柱4と、脚柱4の上端部に取り付けられて座体5を支持する支基6と、支基6の左右両側部に前下端部が枢着されて支基6内の不図示のリクライニング機構により後傾し得る側面視L字状の背凭れ支持体7と、背凭れ支持体7の後上部の前面に取り付けられる背凭れ本体8と、背凭れ支持体7の下部の左右両側に支持される肘掛け9と、を備える。多岐脚3、脚柱4及び支基6は椅子1の脚体6Aを構成し、背凭れ支持体7及び背凭れ本体8は椅子1の背凭れ8Aを構成する。
これら左右補助部材40に背凭れ8A(背凭れ支持体7)を連結する手順は、まず、左右補助部材40の線Sに沿う方向の下方に位置する左右前向き腕部12を、線Sに沿って斜め前上方に移動させ、各傾斜面27,46同士を摺接させつつ、各係合部48,58同士及び各位置決め部49,59同士を係合させる。前向き腕部12の下向き傾斜面27、第二係合部58及び第二位置決め部59は、補助部材40の上向き傾斜面46、第一係合部48及び第一位置決め部49に対して、線Sに沿う上向き移動のみによって係合する。このため、左右前向き腕部12が支基6の後方で一体化されたものであっても、左右補助部材40に左右前向き腕部12を容易に係合させることができる。
この状態で、作業者が背凭れ支持体7から手を離す等により背凭れ支持体7の支えを無くすと、連結部47及び腕側連結部57が互いに係合することから、連結部47及び腕側連結部57には、背凭れ8Aにおける左右前向き腕部12の前部よりも後方の重量による後回りのモーメントが生じる。なお、前記「背凭れ支持体7の支えを無くす」とは、背凭れ支持体7を支持した組み付け治具等から背凭れ支持体7を離すことも含む。
この構成によれば、補助部材40に対する前向き腕部12の上方への移動によって、左右前向き腕部12が一体化された背凭れ8Aであっても容易に組み付けることができる。また、補助部材40の複数の係合保持部に背凭れ8Aの重量によるモーメントを分散でき、かつ複数の係合保持部の作用により背凭れ8Aを組み付け位置に仮保持できる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
6A 脚体
8 背凭れ本体(起立部)
8A 背凭れ
12 前向き腕部
19 回動軸
27 下向き傾斜面(第二傾斜面)
40 補助部材
46 上向き傾斜面(係合保持部、第一傾斜面)
47 連結部
48 第一係合部(係合保持部)
49 第一位置決め部
58 第二係合部
59 第二位置決め部
70 ネジ(軸端ネジ)
Claims (4)
- 脚体と、該脚体に支持される背凭れと、を備える椅子において、
前記背凭れが、着座者の背を支持する起立部の下側から前方に延び、前部が前記脚体の左右外側に配置される左右一対の前向き腕部と、前記脚体から左右外側に突出する回動軸に一体回転可能に取り付けられ、前記前向き腕部の上向きの移動を伴って該前向き腕部の前部を連結する連結部を具備する補助部材と、を有し、
前記連結部が、前記前向き腕部の前部の互いに異なる位置に係合し、該前部よりも後方の前記背凭れの重量によるモーメントと反対回りのモーメントが生じるように、前記前部に反力を作用させ、かつ該反力により前記背凭れを脱落不能に保持する複数の係合保持部を有することを特徴とする椅子。 - 前記複数の係合保持部が、上向きの第一傾斜面と、凸状又は凹状の第一係合部と、を含み、
前記前向き腕部の前部が、前記第一傾斜面と対向する下向きの第二傾斜面と、前記第一係合部を係合させる凹状又は凸状の第二係合部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の椅子。 - 前記第一係合部及び第二係合部が、互いに上下に突き当たると共に該突き当て方向で締結されることを特徴とする請求項2に記載の椅子。
- 前記前向き腕部の前部が、前記補助部材に左右外側から重なるように係合した状態で、前記回動軸の軸端部に該回動軸と平行な軸端ネジにより締結され、
前記補助部材の左右外側に、前記前向き腕部の前部の左右内側に係合する凸状又は凹状の第一位置決め部を有し、
前記前向き腕部の前部の左右内側に、前記第一位置決め部に係合する凹状又は凸状の第二位置決め部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の椅子。
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