JP6018520B2 - ロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機 - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機に関する。
特許文献1にロボットの関節を駆動するために用いられる偏心揺動型の減速機が開示されている。この減速機は、内歯歯車と、該内歯歯車と僅少の歯数差(例えば1〜5程度)を有し、当該内歯歯車に揺動しながら内接噛合する外歯歯車とを備える。内歯歯車または外歯歯車は、いずれか一方の自転が拘束され、他方の側から、該内歯歯車と外歯歯車との相対回転が出力として取り出され、ロボットの関節が駆動される。
偏心揺動型の減速機には、外歯歯車を揺動させるための偏心体を、外歯歯車の軸心位置を貫通する偏心体軸に備えるタイプと、該偏心体を外歯歯車の軸心位置からオフセットした位置に複数設けられた偏心体軸に備えるタイプとが知られている。
偏心揺動型の減速機は、1段で高減速比が得られることから、コンパクト性の要求されるロボットの関節駆動用として広く活用されている。
特開2006−263878号公報
ロボットの生産性を高めるためには、当該ロボットの作業速度(出力軸の回転速度)をより速め、また、作業時間(稼働率)をより増大させる必要がある。一方、より高精度な位置決め作業を行うためには、減速機のバックラッシやロストモーションをより小さく設定する必要がある。
これらの傾向は、いずれも減速機にとっては発熱上、より過酷な状態に近づくため、近年、ロボットの関節を駆動する減速機の発熱に対する対策が、大きな問題となって来ている。
本発明は、ロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機において、このような発熱に関する問題をより緩和するためになされたものであって、ロボットの作業精度の低下を抑制しつつ、発熱の問題をより効果的に緩和することのできるロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機を提供することをその課題としている。
本発明は、内歯歯車と、該内歯歯車と僅少の歯数差を有し、当該内歯歯車に揺動しながら内接噛合する外歯歯車と、前記内歯歯車と前記外歯歯車との相対回転を出力として取り出す出力軸と、を備え、ロボットの関節を駆動するロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機であって、当該減速機は、前記出力軸の回転速度が50rpm以上であり、稼働率が20%ED以上であり、ロストモーションが1minより大きく、3min以下の範囲に収められている構成とすることにより、上記目的を解決するものである。
発明者らは、ロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機について、その発熱の状況と減速機の諸条件との関係に関して詳細な試験を行った。
この結果、後に詳述するように、作業精度(ロボットの位置決め精度)を維持するために、従来、当然のように小さく抑えられてきたロストモーションに関し、当該ロストモーションの縮小と発熱の増大は、条件により、必ずしも単純な「トレードオフ」の関係にあるのではない(ロストモーションが小さくなると発熱が増大し、ロストモーションが大きくなると発熱も低減する、というような単純な関係のみが常に成立しているわけではない)という知見が得られた。
本発明は、この知見に基づいてなされたものであって、ロボットの作業精度の低下を抑制しつつ、発熱の問題をより効果的に緩和し得る構成を提案する。
本発明によれば、ロボットの作業精度の低下を抑制しつつ、発熱の問題をより効果的に緩和することの可能なロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機を得ることができる。
本発明の実施形態に係る偏心揺動型の減速機が組み込まれた産業用ロボットの手首部分の断面図 図1の手首部分に組み込まれている偏心揺動型の減速機の全体図 図1の手首部分を備えた産業用ロボットの全体概略を示す模式図 ロストモーション−無負荷ランニングトルクの試験結果の一例を示すグラフ ロストモーション−無負荷ランニングトルクの試験結果の他の一例を示すグラフ ロストモーションを説明するための説明図
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る偏心揺動型の減速機が組み込まれた産業用ロボットの手首部分の断面図、図2は、図1の手首部分に組み込まれている当該偏心揺動型の減速機の全体図、図3は、前記産業用ロボットの全体概略を示す模式図である。
始めに、産業用ロボットR1の全体概略から説明する。
この産業用ロボットR1は、床面19上に基台10を有し、この基台10から第1〜第6関節J1〜J6と第1〜第6アーム11〜16が交互に連結されている。第1〜第6アーム11〜16は、第1〜第6関節J1〜J6を介して駆動モータおよび減速機(図3では図示略)によって駆動される。
すなわち、本実施形態の産業用ロボットR1の第1アーム11は、第1関節J1を介して基台10上において鉛直な軸心CL1の周りで自転可能であり、産業用ロボットR1全体の軸心CL1周りの旋回を担う。第2アーム12は、第2関節J2を介して、該第2関節J2を支点として第1アーム11の軸心CL1を含む面内(鉛直面内)で揺動可能であり、主に第6アーム16の被作業体に対する前後動を担う。第3アーム13は、第3関節J3を介して、該第3関節J3を支点として第2アーム12の軸心CL2を含む面内(鉛直面内)で揺動可能であり、主に第6アーム16の上下動を担う。
一方、第4アーム14は、第4関節J4を介して、第3アーム13の軸心CL3と同軸の軸心CL4の周りで自転可能である。第5アーム15は、第5関節J5を介して、該第5関節J5を支点として第4アーム14の軸心CL4を含む面内で揺動可能である。第6アーム16は、第6関節J6を介して、第5アーム15の軸心CL5と同軸の軸心CL6の周りで自転可能である。
第6アーム16の先端には、所定の作業を行うための溶接ツール、保持ツール、塗装ツール等のさまざまなツール18が取付けられる。以上の構成から、ツール18が取付けられた第6アーム16は、6つの自由度を有し、3次元方向に自由に移動しつつ、被作業物に対して任意の位置、姿勢で接触、吸着、あるいは吹き付け等の作業をすることができる。
一般に、第1〜第3アーム11〜13までは、基本3軸と称され、第4〜第6アーム14〜16は、手首3軸と称されている。基本3軸を構成する第1〜第3アーム11〜13は、主に、手首3軸を構成する第4〜第6アーム14〜16の空間的な位置決めを行い、手首3軸を構成する第4〜第6アーム14〜16は、より具体的に第6アーム16の被作業物に対する位置と角度を確定する。
基本3軸(第1〜第3アーム11〜13)の方が、手首3軸(第4〜第6アーム14〜16)よりも大きな駆動トルクを必要とする。そのため、一般に、基本3軸(第1〜第3アーム11〜13)の第1〜第3関節J1〜J3に組み込まれる減速機の方が、手首3軸(第4〜第6アーム14〜16)の第4〜第6関節J4〜J6に組み込まれる減速機よりも大きさ(内歯歯車の内径)が大きい。また、基本3軸の方が、よりゆっくり動くため、手首3軸よりも減速機の出力軸の回転速度が遅い。また、基本3軸は、例えば、一度動いて止まっていることも多いため、減速機の稼働率はそう高くはないが、手首3軸は、基本3軸よりも頻繁に動いていることが多いため、減速機の稼働率が高い。
ここで、減速機の稼働率は、各関節の減速機ごとに算出される。具体的には、ロボット自体の稼働時間TRに対する、稼働率の算出対象とする減速機の稼働時間TJの割合のことであり、(稼働率)=(TJ/TR)×100(%ED)で算出される。なお、ロボット自体の稼働時間TRとは、ロボットの電源がONされている時間、あるいは各関節を駆動する駆動源(サーボモータ)の電源がONされている時間と定義することができる。したがって、ロボットがあるワークに対して作業を行い、次のワークがセットされるのを待っている待機時間もロボット自体の稼働時間TRに含まれる。また、減速機の稼働時間TJは、稼働率の算出対象とする減速機が駆動されている時間、あるいは当該減速機を駆動する駆動源(サーボモータ)が回転している(回転制御されている)時間と定義することができる。この稼働率が高いほど、発熱時間に比べて放熱時間が短くなるため、減速機は、熱的に過酷な状況となり易い。
図1は、図3の産業用ロボットR1の手首(3軸)部分の断面図、図2は該手首部分に組み込まれている(本実施形態の一例に係る)偏心揺動型の減速機の全体図である。
図1を参照して、前述したように、手首を構成する第4〜第6アーム14〜16は、第4〜第6関節J4〜J6を介して連結されている。なお、本実施形態で手首における関節は3つであるが、これに限られず4以上、或いは2以下の関節から構成されていてもよい。これらの第4〜第6関節J4〜J6には、それぞれ減速機G4〜G6が備わっている。第4関節J4には減速機G4、第5関節J5には減速機G5(外観のみ図示)、第6関節J6には、減速機G6がそれぞれ設けられている。
手首の他の減速機G5、G6、および図1には図示されていない第1〜第3関節J1〜J3の減速機G1〜G3も、細部は異なるものの基本的には略同様の構成である。そのため、減速機G4を代表例として説明し、他の減速機G1〜G3、G5、G6は、実質的に同一又は機能的に類似する主要部材について同一の符号を付すに留め、減速機毎の重複説明は省略する。
第4アーム14内には、図示せぬモータのモータ軸と連結された駆動軸21が配置されており、該駆動軸21と溶接された入力リング21Aが、スプライン17Aを介して減速機G4の入力軸17と連結されている。
図2を参照して、減速機G4は、偏心揺動型と称される減速機である。減速機G4の入力軸17は、内歯歯車22の軸心(=第3、第4アーム13、14の軸心CL3、CL4)と同軸に配置されている。入力軸17には3個の偏心体26が一体的に形成されている。偏心体26の外周には、ころ28を介して3枚の外歯歯車20がそれぞれ組み込まれている。3枚の外歯歯車20の偏心位相差は12度である。各外歯歯車20は、内歯歯車22に内接噛合している。内歯歯車22はケーシング24と一体化されている。外歯歯車20の歯数は、内歯歯車22の歯数よりも僅かだけ少ない(僅少の歯数差とされている)。この例では歯数差は1に設定されている。
減速機G4のケーシング24は、第4アーム14と継カバー23およびボルト25を介して連結されている。内歯歯車22は、この実施形態では、このケーシング24と一体化された内歯歯車本体22Aと、該内歯歯車本体22Aに回転自在に組み込まれ、内歯歯車22の内歯を構成する円柱状の外ピン22Bとで構成されている。この実施形態では、内歯(外ピン22B)のピッチ円径(PCD)d1、より具体的には各外ピン22Bの中心(軸心)を結んだ円の直径d1を、内歯歯車22の内径と称す。
ピン状部材32および摺動促進部材としての内ローラ33が各外歯歯車20を貫通している。外歯歯車20の軸方向両側には一対の第1、第2キャリヤ34、36が軸受38、40を介してケーシング24に回転自在に支持されている。ピン状部材32は、第1キャリヤ34と一体化され、第1、第2キャリヤ34、36は、該ピン状部材32およびボルト42を介して連結されている。第1キャリヤ34には、ボルト44(図1参照)を介して第5アーム15が連結される。
この減速機G4の動力伝達系の作用を簡単に説明しておく。
入力軸17が回転すると、該入力軸17と一体化されている3個の偏心体26が回転し、ころ28を介して3枚の外歯歯車20が揺動する。この結果、内歯歯車22に対する外歯歯車20の噛合位置が順次ずれていく現象が発生する。外歯歯車20の歯数は、内歯歯車22の歯数よりも1だけ少ないため、外歯歯車20は入力軸17が1回回転する毎に、一歯分だけ内歯歯車22に対して周方向の位相がずれ、該内歯歯車22に対して相対回転する(自転する)。この自転成分が、ピン状部材32および内ローラ33を介して第1、第2キャリヤ34、36に伝達され、該第1キャリヤ34とボルト44を介して連結されている第5アーム15が、ケーシング24(第4アーム14)に対して相対回転する。
このように、偏心揺動型の減速機G4は、入力軸17の1回転毎に外歯歯車20が揺動しながら動力を伝達する構造であるため、通常の一対の歯車が噛合する構造と比較して熱が発生し易くなっている。特に、偏心体26と外歯歯車20との間のころ28の近傍や、該外歯歯車20とピン状部材32および内ローラ33との摺動部分などで熱が発生し易く、この熱は、例えば内歯歯車22と外歯歯車20の噛合にバックラッシが少ないほど発生し易い傾向となる。減速機G4の熱の上昇が過大となると、歯面や摺動面、転動面の油膜が形成されにくくなり、耐久性は著しく低下する。
図4および図5は、発明者らが、ロストモーションと無負荷ランニングトルクとの関係について行った試験結果を示している。図4は、内歯歯車22の内径d1が95mm以上250mm以下の減速機に関する試験結果を示し、図5は、内歯歯車22の内径d1が50mm以上95mm未満の減速機に関する試験結果を示す。図4および図5において、横軸がロストモーション、縦軸が無負荷ランニングトルクである。
まず、ロストモーションと無負荷ランニングトルクについて説明する。高速軸(入力軸17)を固定して低速軸(第1キャリヤ34)側より定格トルクまで、ゆっくり負荷を掛けて除荷するまでの負荷と低速軸の変位(ねじれ角)を測定して、その関係を示すと、図6に示すような剛性のヒステリシスカーブが得られる。そして、定格トルクの±3%点におけるねじれ角のことをロストモーションという。
一方、無負荷ランニングトルクは、減速機G4を無負荷の状態で回転させるために必要な入力軸側でのトルクをいう。具体的には、ケーシング24を固定し、第1キャリヤ34はフリーの状態で、入力軸17をモータ等によって回転させ、このときの入力軸17のトルクを測定することにより得られる。無負荷ランニングトルクは、減速機G4内での摩擦により発生するトルクであるため、減速機G4の「発熱量」に相当する概念と捉えることができる。
具体的な試験に際しては、多数の減速機を用意し、各減速機に組み込む外歯歯車20は歯面の外径が数μmずつ異なるものとしておく。そして、各減速機についてロストモーションと無負荷ランニングトルクを測定し、プロットしたものが図4および図5である。なお、本試験においては、減速比が41の減速機を使用した。また、多数の減速機を使用するのではなく、1つの減速機と、歯面の外径が異なる多数の外歯歯車20を用意し、外歯歯車を順次入れ替えて試験を行うようにしてもよい。
図4に示されるように、内歯歯車22の内径d1が95mm以上250mm以下の減速機の場合、ロストモーションが1min以下の領域においては、ロストモーションが小さくなるに従って無負荷ランニングトルクが大きくなるという相関関係が見られる。一方、ロストモーションが1minより大きい領域においては、ロストモーションの大きさに関わらず、無負荷ランニングトルクはほぼ一定の幅内に収まっている。つまり、ロストモーションの大きさと無負荷ランニングトルクとの間に相関がない。以上のことから、ロストモーションが1min以下の領域においては、ロストモーションが小さくなるに従って発熱量が増大するが、ロストモーションが1minより大きい領域においては、ロストモーションの大きさに関わらず発熱量はほぼ一定である。また、ロストモーション1.2min以上の領域においては、無負荷ランニングトルクの収まる幅がより狭くなり、ばらつきが少なくなることが見られる。
図5に示されるように、内歯歯車22の内径d1が50mm以上95mm未満の減速機の場合、ロストモーションが1.5min以下の領域においては、ロストモーションが小さくなるに従って無負荷ランニングトルクが大きくなるという相関関係が見られる。一方、ロストモーションが1.5minより大きい領域においては、ロストモーションの大きさに関わらず、無負荷ランニングトルクはほぼ一定の幅内に収まっている。つまり、ロストモーションの大きさと無負荷ランニングトルクとの間に相関がない。以上のことから、ロストモーションが1.5min以下の領域においては、ロストモーションが小さくなるに従って発熱量が増大するが、ロストモーションが1.5minより大きい領域においては、ロストモーションの大きさに関わらず発熱量はほぼ一定である。また、ロストモーション1.7min以上の領域においては、無負荷ランニングトルクの収まる幅がより狭くなり、ばらつきが少なくなることが見られる。
通常、手首3軸に使用される減速機は、内歯歯車22の内径が50mm〜250mm程度とされ、基本3軸に使用される減速機よりも内歯歯車の内径が小さい。そのため、減速機内に封入される潤滑剤の量も少なく、放熱表面積も少ないため、温度が上昇しやすい。しかしながら、従来のロボットにおいては、出力軸の回転速度が速くても30〜40rpm程度とそれ程速くなく、各減速機の稼働率も15%EDに満たないような低いものであった。そのため、発熱が大きな問題となることはなく、制御性を重視し、ロストモーションを小さく(1min以下)設定するのが常識であった。
しかし、近年、産業用ロボットの作業速度(出力軸の回転速度)の高速化、稼働率の向上に対する要請がある。具体的には、出力軸の回転速度で、50rpm以上の要請がある。多くの場合は、60〜120rpm程度の要請であるが、200rpm程度までの要請がある。また、稼働率については、20%ED以上、最大で60%ED程度までの要請がある。発明者らは、このような要請に対応した場合、減速機の発熱が大きな問題になることに着想し、ロストモーションと無負荷ランニングトルクとの関係に着目して、図4および図5に示す試験結果を得た。
そして、出力軸の回転速度が速く(50rpm以上)、稼働率が高い(20%ED以上)場合であっても、内歯歯車22の内径d1が95mm以上250mm以下の減速機においては、ロストモーションを1minより大きく、より好ましくは1.2min以上とすることにより、発熱を抑制できることを見出した。また、発明者らの検証によれば、ロストモーションを3min以下としておけば、位置決め精度にも大きな不具合が生じなかった。
また、出力軸の回転速度が速く(50rpm以上)、稼働率が高い(20%ED以上)場合であっても、内歯歯車22の内径d1が95mm未満の減速機においては、ロストモーションを1.5minより大きく、より好ましくは1.7min以上とすることにより、発熱を抑制できることを見出した。この場合も同様に、ロストモーションを3min以下としておけば、位置決め精度にも大きな不具合が生じなかった。
以上のように、本発明は、従来、できるだけ小さく(1min以下)設定するのが常識であったロストモーションを、あえて大きく(1minよりも大きく)設定することにより(つまり、従来と逆方向の設計をすることにより)、出力軸の回転速度が速く、稼働率が高い場合であっても、必要な位置決め精度を確保しつつ、発熱を抑制したものである。
上記実施形態においては、外歯歯車を揺動させるための偏心体を、外歯歯車の軸心位置を貫通する偏心体軸に備えるタイプの偏心揺動型の減速機が示されていたが、偏心揺動型の減速機としては、偏心体を外歯歯車の軸心位置からオフセットした位置に複数設けられた偏心体軸に備えるタイプの減速機も知られており、同様の定性的傾向を有することが確認されている。したがって、本発明は、このタイプの偏心揺動型の減速機にも適用可能であり、相応の効果が得られる。
また、本実施形態においては、産業用ロボットの手首軸の関節に使用される減速機を例に取り説明した。手首軸の関節に使用される減速機は、ロストモーションを大きくしたときの位置決め精度への影響が、基本3軸の関節に使用される減速機に比べて小さいため、本発明に特に適しているが、本発明は、基本3軸の関節に使用される減速機にも適用可能である。
R1…産業用ロボット
G1〜G6…第1〜第6減速機
J1〜J6…第1〜第6関節
11〜16…第1〜第6アーム
17…入力軸(入力側)
20…外歯歯車
22…内歯歯車
24…ケーシング
26…偏心体
32…ピン状部材
34…第1キャリヤ(出力側)

Claims (5)

  1. 内歯歯車と、該内歯歯車と僅少の歯数差を有し、当該内歯歯車に揺動しながら内接噛合する外歯歯車と、前記内歯歯車と前記外歯歯車との相対回転を出力として取り出す出力軸と、を備え、ロボットの関節を駆動するロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機であって、
    当該減速機は、
    前記出力軸の回転速度が50rpm以上であり、
    稼働率が20%ED以上であり、
    ロストモーションが1minより大きく、3min以下の範囲に収められている
    ことを特徴とするロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機。
  2. 請求項1において、
    前記減速機は、ロボットの手首の関節に使用される
    ことを特徴とするロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機。
  3. 請求項1または2において、
    前記出力軸の回転速度が、200rpm以下である
    ことを特徴とするロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記内歯歯車の内歯のピッチ円径が95mm以上である
    ことを特徴とするロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機。
  5. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記内歯歯車の内歯のピッチ円径が95mm未満であり、かつ
    ロストモーションが1.5minより大きく、3min以下である
    ことを特徴とするロボットの関節駆動用の偏心揺動型の減速機。
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