JP4820310B2 - 減速装置 - Google Patents

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本発明は、産業用ロボットに取り付けられる減速装置に関する。特に、産業用ロボットの手首によく適合する減速装置に関し、入力軸に加えられる回転数を減速し、産業用ロボットの手首関節よりも先端部分を構成する部材を回転させる減速装置に関する。
産業用ロボットの関節に取り付けられ、入力軸に加えられる回転数を減速し、その関節よりも先端部分を構成する部材を回転させる減速装置が知られている。その減速装置は、コンパクトでありながら大きく減速する必要があり、歯数を異にする外歯歯車と内歯歯車を備えており、内歯歯車と局所的に噛み合っている外歯歯車を揺動運動させると、内歯歯車と外歯歯車が相対的に回転する現象を利用する。その基本構成が、特許文献1に開示されている。特許文献1の減速装置は、自転することによって偏心カムを偏心回転させるクランク軸と、偏心カムと係合している外歯歯車を備えており、クランク軸を自転させると偏心カムが偏心回転し、外歯歯車が揺動運動する。
外歯歯車の自転を許容しない場合は、内歯歯車が出力軸を中心として自転する。逆に、内歯歯車の自転を許容しない場合は、外歯歯車が出力軸を中心として公転しながら自転する。内歯歯車または外歯歯車の自転を出力軸に伝達することによって、入力軸に加えられた自転数を減速して出力軸に伝えることができる。
産業用ロボットは複数の関節を有しており、関節毎に減速装置を利用することが多い。関節に減速装置を取り付けた産業用ロボットが特許文献2に開示されている。特許文献2の産業用ロボットは、ロボットアームの手首部分に3つの関節を有するものであり、手首部分に3つの減速装置が組み込まれている。
図4に、産業用ロボット30の概略図を示している。産業用ロボット30は、第1関節31と、第2関節32と、第3関節33と、第4関節34と、第5関節35と、第6関節36を有している。即ち、6軸の回転運動を組み合わせて動作する。
第1関節31は設置面に固定されており、中心軸CL1の周りを自転可能であり、第2関節32は中心軸38の周りを自転可能であり、第3関節33は中心軸40の周りを自転可能であり、第4関節34は中心軸CL2の周りを自転可能であり、第5関節35は中心軸42の周りを自転可能であり、第6関節36は中心軸CL3の周りを自転可能であり、その先端に図示しないロボットハンドを固定して、ワーク(被加工物)を加工したり運搬したりする。
それぞれの関節には減速装置が組み込まれている。第1関節31と、第2関節32と、第3関節33は、産業用ロボット30の基本3軸と呼ばれている。第4関節34と、第5関節35と、第6関節36は、産業用ロボット30の手首3軸と呼ばれており、ロボットの基部アーム52の先端部分を形成している。第4関節34は、肩部44に取り付けられているモータ46の回転数を減速して第4関節34よりも先端側の部材を中心軸CL2の周りに自転させる減速機構を備えている。第5関節35は、肩部44に取り付けられているモータ48の回転数を減速して第5関節35よりも先端側の部材を中心軸42の周りに自転させる減速機構を備えている。第6関節36は、肩部44に取り付けられているモータ50の回転数を減速して第6関節36よりも先端側の部材を中心軸CL3に周りに自転させる減速機構を備えている。
図5に、産業用ロボット30の手首3軸部分のトルク伝達回路図を示す。
モータ46のトルクは、平歯車14aを介して中空のシャフト軸14に伝達される。中空のシャフト軸14は、ロボットの基部アーム52内を通っており、第4関節34の減速装置にトルクを伝達し、第4関節34よりも先端側の部材を矢印41の方向に回転させる。
モータ48のトルクは、歯車15aを介して中空のシャフト軸15に伝達される。中空のシャフト軸15は、中空のシャフト軸14の内部を通っており、歯車15bにトルクを伝達する。歯車15bは歯車15cと直交して噛み合っており、歯車15bと歯車15cの間で回転の方向が90度変換される。歯車15cに伝達されたトルクは、第5関節35の減速装置に伝達し、第5関節35よりも先端側の部材を矢印43の方向に回転させる。
図示しないモータ50のトルクは、歯車17aを介してシャフト軸17に伝達される。シャフト軸17は、中空のシャフト軸15の内部を通っており、歯車17bにトルクを伝達する。歯車17bは歯車17cと直交して噛み合っており、歯車17cに伝達されたトルクは、歯車17cに固定されている平歯車17dによって、平歯車17eに伝達される。歯車17bから歯車17cにトルクが伝達されるときに回転の方向が90度変換される。歯車17eに伝達されたトルクは、歯車17eに固定されているとともに歯車17gと直交して噛み合っている歯車17fに伝達される。歯車17fから歯車17gにトルクが伝達されるときに回転の方向が90度変換されて、モータ50の回転方向と同方向になる。歯車17gに伝達されたトルクは、第6関節36の減速装置に伝達し、第6関節36よりも先端側の部材を矢印45の方向に回転させる。
特開昭62−218087号公報 特開昭63−185595号公報
産業用ロボットに求められる要求は厳しくなってきている。産業用ロボットによって移動させるワーク等の重量が重くなっており、出力軸に伝達するトルクTの増大が求められている。また、産業用ロボットの稼働率が高くなったりしている。ここでいう稼動率は、ロボットが負荷を負った状態で仕事する時間をロボットが稼動している時間で除した割合をいう。産業用ロボットでは、負荷を負った状態で仕事をしている時間が長くなり、無負荷で休止している時間が短くなってきている。その一方において、アームには小径化して軽量化することが要請されている。
それに対応して、ロボットの関節に取り付けて用いる減速装置にも、小型で高負荷を伝達でき、高稼働率で使用しても高い耐久性(長い寿命)を有することが要求されている。
本発明者の研究によって、減速装置の温度が減速装置の耐久性に敏感に影響することがわかってきた。減速装置の出力軸に高いトルクを伝達する状態で減速装置を高稼働率で使用すると、減速装置は発熱する。減速装置が発熱すると、減速装置に充填されている潤滑剤(オイルやグリース等)が加熱される。潤滑剤は温度が上がるとアレニウス(Arrhenius)の式に従い、潤滑性能が対数的に低下する性質を備えており、減速装置の温度が減速装置の耐久性に敏感に影響する。減速装置の出力軸に高いトルクを伝達する状態で減速装置を高稼働率で使用すると、潤滑剤が過熱されてしまい、減速装置の耐久性が急激に減少してしまう。産業用ロボットの出力軸に要求されるトルクが増大しており、産業用ロボットの稼働率が高くなっている現在、減速装置の発熱が深刻な問題となっており、減速装置の耐久性の低下が深刻な問題となっている。
内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが650N・m≦T≦1570N・mである場合や、内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが290N・m≦T<650N・mである場合、従来の減速装置では潤滑剤の温度が上がってしまい、高負荷を伝達する状態で、高稼働率で使用すると、減速装置の耐久性が大きく低下してしまう。
減速装置の発熱を抑えて耐久性の低下に対処するためには、減速装置の放熱性能を増大することが有効である。しかしながら、減速装置の放熱性能を増大させようとすると、減速装置が大型化してしまう。前記したように、ロボットアームには小径化して軽量化することが要請されており、その関節に取り付ける減速装置にも一層の小型化が要求されている。減速装置の放熱性能を向上させることによって耐久性の低下に対処することは困難である。
そこで、減速装置の発熱自体を抑制することが重要となっている。ロボットの関節部分に組み込む減速装置は、減速装置と入力軸を接続するために、歯車対を利用している。この歯車対によって第1減速機構を実現し、その後に大きく減速する第2減速機構と組み合わせて用いることが多い。揺動運動する外歯歯車とそれに局所的に噛み合う内歯歯車を利用する減速機構は、第2減速機構となる。以下では、第1減速機構と第2減速機構を組み合わせた全体を減速装置という。
揺動運動する外歯歯車とそれに局所的に噛み合う内歯歯車を利用する減速機構は、コンパクトでありながら大きく減速することができる。そこで、従来の減速装置は、第2減速機構を主体にして設計されている。一対の歯車から構成される第1減速機構の減速比は比較的に簡単に調整できることから、許容サイズや伝達トルクの大きさの点から対応可能な第2減速機構の減速比と、減速装置に必要とされる総減速比から、第1減速機構の減速比を結果的に決定している。
本発明者らの研究によって、上記設計思想に問題があることがわかってきた。例えば、1000rpmの入力軸の回転数を減速して10rpmに減速する場合を考える。この場合、総減速比が100である減速装置が必要とされる。
総減速比が100である減速装置を構成する場合、第1減速機構の減速比を2.5として第2減速機構の減速比を40とすることもできれば、第1減速機構の減速比を3.3として第2減速機構の減速比を30とすることもできれば、第1減速機構の減速比を4として第2減速機構の減速比を25とすることもできる。常識的に見て、いかなる組み合わせであっても、総減速比が100である限り、減速装置の総発熱量も同じであると予想される。従来の技術では、総発熱量に与える影響を加味しないで、第1減速機構の減速比と第2減速機構の減速比の組み合わせを決定していた。実際には第2減速機構の方が複雑で精密な構造が必要とされることから、何種類かの第2減速機構を用意しておき、第2減速機構についてはその中から選択して使用する一方、第1減速機構を構成する歯車対の歯数比を調整することによって、減速装置に必要な総減速比を実現していた。この際に、第1減速機構の減速比と第2減速機構の減速比の組み合わせによって、減速装置の発熱量が相違してくるという認識は全くなかった。
しかしながら、本発明者らの研究によって、同じ総減速比であっても、第1減速機構の減速比と第2減速機構の減速比の組み合わせによって、減速装置の総発熱量が変化することを見出した。条件によっては、第1減速機構の減速比を減少して第2減速機構の減速比を増加した方が総発熱量が小さくなることもあれば、逆に、第1減速機構の減速比を増大して第2減速機構の減速比を減少した方が総発熱量が小さくなることもあることがわかってきた。この知見が得られたことによって、減速装置の発熱量を抑える新たな設計手法が判明した。
従来の設計手法では、コンパクトでありながら大きく減速することができる第2減速機構を中心に設計しており、その特徴を生かすために、減速比が40の第2減速機構、減速比が52の第2減速機構、減速比が60の第2減速機構等を用意していた。減速比を40未満にすると、第1減速機構の減速比を大きくせざるをえず、それではコンパクトでありながら大きく減速することができる第2減速機構の利点を生かせないことから、第2減速機構の減速比は、内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが650N・m≦T≦1570N・mである場合は、最低でも40であった。
また、内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが290N・m≦T<650N・mである場合は、第2減速機構の減速比は最低でも30であった。
本発明者らの研究によって、内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが650N・m≦T≦1570N・mである場合、減速装置の総発熱量の面から見ると、第2減速機構の減速比が40以上というのは最適設計でなく、40未満に抑える(その分は第1減速機構の減速比を上げることになる)ことによって、減速装置の総発熱量を抑制できることを確認した。
図6に示すグラフは、減速装置の温度上昇値(縦軸)と、減速装置の出力軸の回転数(横軸)の関係を示している。図中の数字は、内歯歯車の歯数を示し、第2減速機構の減速比に等しい。第2減速機構の減速比に反比例するように第1減速機構の減速比が調整されており、いずれのカーブでも、減速装置の総減速比は等しい。また、いずれのカーブでも、出力軸に伝達されるトルクは690N・mであり、第2減速置機構のサイズは同じである。いずれのカーブでも、入力軸に入力されるトルクと回転数は等しく、出力軸に伝達されるトルクと回転数は等しい。即ち、いずれのカーブでも、減速装置が行う仕事量は同じである。
曲線C52は、第2減速機構の減速比が52の場合の、減速装置の出力回転数と減速装置の温度上昇値の関係を示し、曲線C40は、第2減速機構の減速比が40の場合の出力回転数と温度上昇値の関係を示し、曲線C28は、第2減速機構の減速比が28の場合の出力回転数と温度上昇値の関係を示している。図6の温度上昇値は、設定した出力回転数で減速装置を継続運転したときに、温度変化がなくなった状態での温度と減速装置を継続運転する前の温度差を示している。
図6から明らかなように、出力回転数を高くすると減速装置の温度上昇値が大きくなることが分かる。これは減速装置の仕事量が増えると、それに対応して減速装置の温度上昇値が高くなることを示している。
減速装置の仕事量と発熱量が対応するのであれば、曲線C52と曲線C40と曲線C28は一致するはずである。減速装置の総減速比が同じであり、同じ仕事量であるからである。ところが実際には一致しない。明らかに、第2減速機構の減速比が高い方が(C52参照)、その分第1減速機構の減速比が小さいにも係らず、総発熱量が大きいのに対し、第2減速機構の減速比が低い方が(C28参照)、その分第1減速機構の減速比が大きいにも係らず、総発熱量が小さいことがわかる。
しかもその差は、出力回転数が高いほど増大することがわかる。出力回転数が低い間は顕著でなかった差が、出力回転数が高くなると顕著になる。
図7に示すグラフは、横軸に減速装置の運転時間を示し、縦軸に減速装置から発生する鉄粉量を示している。鉄粉量は減速装置に充填されている潤滑剤に混入する鉄粉量を測定したものであり、減速装置に生じる磨耗量に対応している。
図7に示す曲線70は、潤滑剤の温度が低く維持された状態で運転を継続した場合を示し、運転開始時には、運転時間に比例して磨耗量が増大するものの、その後は磨耗ペースが低い安定期72を迎え、寿命の直前になるまで低い磨耗ペースで運転を継続できることを示している。
一方、曲線68は、潤滑剤の温度が高い状態で運転を継続した場合を示し、運転開始時の高い磨耗ペースで磨耗が進行し、安定期72を得ることができない。
また、本発明者らの研究によって、内歯歯車の内径Dが小さく、出力トルクTが小さい場合については別の減速比範囲が存在することを見出した。即ち、内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが290N・m≦T<650N・mである場合、第2減速機構の減速比を30未満に抑える(その分は第1減速機構の減速比を上げることになる)ことによって、減速装置の耐久性の低下を抑制できることを確認した。
本発明者らの研究によって、内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが650N・m≦T≦1570N・mである場合、第2減速機構の減速比を40未満に抑え、内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達されるトルクTが290N・m≦T<650N・mである場合、第2減速機構の減速比を30未満に抑える(その分は第1減速機構の減速比を上げることになる)ことによって、減速装置の総発熱量を抑制でき、耐久性の低下が避けられることが判明した。
本発明の減速装置は、上記の知見に立脚して創作された減速装置であり、産業用ロボットの関節に取り付けられて用いられる。本発明の減速装置は、第1減速機構と第2減速機構を有している。
第1減速機構は、入力軸と一体に自転する第1平歯車と、第1平歯車に噛み合っている第2平歯車を備えている。
第2減速機構は、第2平歯車と一体に自転するとともにその自転にともなって偏心カムを偏心回転させるクランク軸と、偏心カムと係合して揺動運動をする外歯歯車と、外歯歯車の揺動運動を許容しつつ外歯歯車と局所的に噛み合った状態で外歯歯車を内包するとともに外歯歯車の歯数と異なる歯数を有する内歯歯車を備えている。
本発明の減速装置は、内歯歯車がロボットアームの基部側部材に自転不能に拘束され、外歯歯車が自転するとそれに追従して自転するキャリアがロボットアームの先端側部材に自転不能に拘束されて用いられる。あるいは、外歯歯車がロボットアームの基部側部材に自転不能に拘束され、内歯歯車がロボットアームの先端側部材に自転不能に拘束されて用いられる。
産業用ロボットの手首に取り付ける減速装置にはコンパクト化が要求されており、本発明の減速装置では、内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmの関係を満たしており、さらにロボットアームの先端側部材に伝達するトルクTが650N・m≦T≦1570N・mの場合、内歯歯車の歯数Nが、内歯歯車と外歯歯車の歯数差の40倍未満に設定されている。第2減速機構の減速比は、内歯歯車の歯数Nを内歯歯車と外歯歯車の歯数差で除したものであり、内歯歯車の歯数Nが、内歯歯車と外歯歯車の歯数差の40倍未満に設定されていれば、第2減速機構の減速比は40未満に抑えられる。
内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達するトルクTが650N・m≦T≦1570N・mの範囲である場合、従来のように第2減速機構の減速比を40以上とすると、図6で説明したように総発熱量が増大し、図7で説明した安定期72を得ることができない。しかしながら、第2減速機構の減速比を40未満とすると、それを補償するように第1減速機構の減速比を増大させても、総発熱量を抑制し、図7で説明した安定期72を得ることができる。
本発明によると、重い物体を高速で移動させることが求められているために、出力軸を高速度で回転させるとともに出力軸に高トルクを伝達する必要のある減速装置の総発熱量を抑えることができ、潤滑剤の過熱を防止して磨耗ペースが低い安定期を得ることができることから、出力軸を高トルクで高速回転させる減速装置の耐久性の低下を防止することができる。
本発明の他の1つの減速装置は、小型の減速装置、即ち、内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmの関係を満たしており、さらにロボットアームの先端側部材に伝達するトルクTが290N・m≦T<650N・mの場合、内歯歯車の歯数Nが、内歯歯車と外歯歯車の歯数差の30倍未満に設定されている。
内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達するトルクTが290N・m≦T<650N・mの範囲である場合、従来のように第2減速機構の減速比を30以上とすると、図6で説明したことと同じ作用効果により総発熱量が増大してしまう。しかしながら、第2減速機構の減速比を30未満とすると、それを補償するように第1減速機構の減速比を増大させても、総発熱量を抑制することができる。
上記の減速装置では、入力軸と外歯歯車の中心に貫通孔が空けられており、他の減速装置用の入力軸がその貫通孔を通過可能なことが好ましい。
減速装置が貫通孔を有すると、図5に示した第4関節34に取り付けることができる。その貫通孔を、図5の入力軸15,17等が通過できるために、第5関節、第6関節のための減速装置にトルクを入力することができる。
入力軸が貫通孔を有する場合、入力軸に固定されている第1平歯車の径が大きくなりがちである。直径が限られている減速装置の場合、第1平歯車の径が大きくなれば、それに噛み合っている第2平歯車の径は小さくならざるを得ない。この結果、第1減速機構の減速比を大きくとりづらいという事情が存在する。入力軸が貫通孔を有する場合は、第2減速機構の減速比を上げ、第1減速機構の減速比を下げて用いるのが普通である。
内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達するトルクTが650N・m≦T≦1570N・mの範囲である場合、第2減速機構の減速比を40未満に抑えたり、内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmであり、ロボットアームの先端側部材に伝達するトルクTが290N・m≦T<650N・mの範囲である場合、第2減速機構の減速比を30未満に抑えたりすることはひどく非常識である。本発明は、非常識に挑戦したものであり、斬新なものである。
内歯歯車と外歯歯車の歯数差は1であってもよいし、2であってもよいし、3以上であってもよい。
本発明の減速装置によると、第1減速機構と第2減速機構の機能分担を最適化することによって、重い物体を高速で移動させることが求められている産業用ロボットのための減速装置の耐久性の低下を抑制することができる。
即ち、第1減速機構と第2減速機構の減速比の配分を最適化することによって、減速装置の総発熱量を抑えることができ、潤滑剤の過熱を防止して磨耗ペースが低い安定期を得ることができることから、出力軸を高トルクで高速回転させる減速装置の耐久性の低下を抑制することができる。
産業用ロボットの手首に用いるコンパクトな減速装置であり、ロボットアームの先端を高速度に回転させるとともにロボットアームの先端に高トルクを伝達する減速装置の耐久性の低下を抑制することができる。
各実施例の主要な形態を以下に示す。
(第1実施形態)減速装置の総減速比が40〜200の範囲において、第1減速機構に入力される回転数が2000rpm以上であり、第2減速機構から出力される回転数が15〜60rpmである減速装置。その減速装置の第2減速機構の減速比を、内歯歯車の内径Dが140mm≦D≦200mmであり、第2減速機構から出力されるトルクTが650N・m≦T≦1570N・mであり、第2減速機構の減速比を40未満とする。
(第2実施形態)減速装置の総減速比が30〜180の範囲において、第1減速機構に入力される回転数が2000rpm以上であり、第2減速機構から出力される回転数が15〜60rpmである減速装置。その減速装置の第2減速機構の減速比を、内歯歯車の内径Dが100mm≦D<140mmであり、第2減速機構から出力されるトルクTが290N・m≦T<650N・mであり、第2減速機構の減速比を30未満とする。
(第1実施例)
図1は、本実施例の減速装置10の要部断面図を示している。減速装置10は、主に、図4の産業用ロボット30の第4関節34に取り付けることを意図して設計されている。ただし、減速装置10を第5関節35に取り付ける場合もあり、第6関節36に取り付ける場合もある。
減速装置10は、図4のモータ46によって回転するシャフト軸(入力軸)14の回転数を減速し、先端アーム54を回転させるものであり、第1減速機構と第2減速機構を備えている。
第1減速機構は、シャフト軸14の先端に形成されている平歯車19と、それに噛み合う平歯車12a,12c,12e(図3も参照)を備えている。本実施例では、平歯車19を可能な限り小径化して歯数を少なくする一方、平歯車12a,12c,12eについては可能な限り大径化して歯数を多くしている。これによって第1減速機構で大きな減速比を実現している。シャフト軸14の内側を他のシャフト軸(入力軸)15,17が通過しているために、従来は平歯車19がもっと大径であり、平歯車12a,12c,12eはもっと小径であった。本実施例では、シャフト軸14の薄肉化等を促進することによって、第1減速機構で大きな減速比を実現している。
第2減速機構は、平歯車12a,12c,12eと一体に自転するクランク軸6a,6c,6eと、外歯歯車4a,4b(図1も参照)と、内歯歯車2と、クランク軸6a,6c,6eをシャフト軸14の周りに公転可能に支持しているキャリア8,8aを備えている。
内歯歯車2はボルト18によって基部アーム52に取り付けられ、先端アーム54はボルト20によってキャリア8に取り付けられている。
図3は、図1のIII―III線に沿った要部端面を示している。内歯歯車2の内部にクランク軸6a,6c,6eが備えられ、クランク軸6aには平歯車12aが固定され、クランク軸6cには平歯車12cが固定され、クランク軸6eには平歯車12eが固定されている。平歯車12a,12c,12eはそれぞれシャフト軸14の先端に形成されている平歯車19と噛み合っている。シャフト軸14は中空構造であり、シャフト軸の中心に穴61が形成されている。穴61の内部を、シャフト軸15とシャフト軸17が通過している。
クランク軸6a,6c,6eは、基本的に同一構造を備えている。そこで、クランク軸6aについて説明する。図1に示すように、クランク軸6aは、一対の円錐ころ軸受9a,9bによって、キャリア8,8aに対して中心軸6x(図2参照)の周りに自転可能で軸方向に移動不能に支持されている。一対の円錐ころ軸受9a,9bによってキャリア8,8aからクランク軸6aに軸方向の圧縮力がかけられており、クランク軸6aはキャリア8,8aに対して軸方向に固定されている。
クランク軸6aに平歯車12aが固定されている。平歯車12aは、シャフト軸14と噛み合っている。シャフト軸14の外面に平歯車12aと噛み合うための平歯車19が形成されている。平歯車12aと平歯車19が噛み合っても、クランク軸6aとシャフト軸14の間には軸方向の力は発生しない。
図2は、図1のII―II線に沿った断面を示している。図2と図3は、見る方向が反対である。クランク軸6aは、キャリア8,8aに対してクランク軸の中心軸6xの周りに自転可能で支持されている。図示7aはクランク軸6aに形成されている偏心カムを示している。偏心カム7aの外形は円形であり、その中心7xはクランク軸6aの自転の中心軸6xから図2の下方向に偏心している。偏心カム7aは、ニードル軸受64aを介して外歯歯車4aの穴22aに係合している。クランク軸6aが中心軸6xの周りに自転すると、偏心カム7aの中心7xは、矢印63に示すようにクランク軸の中心軸6xの周りに公転する。偏心カム7aの中心7xが矢印63のように公転すると、外歯歯車4aは、矢印28に示すように揺動運動する。
図示6c,6eはクランク軸であり、その作用効果はクランク軸6aと同様である。また図示7c,7eは偏心カムであり、その作用効果は偏心カム7aと同様である。よってクランク軸6c,6eと、偏心カム7c,7eの説明は省略する。
キャリア8とキャリア8aはボルト21で固定されており、一対のアンギュラ軸受16a,16bによって、内歯歯車2に対して自転可能に支持されている。内歯歯車2の内部に外歯歯車4a,4bが収容されており、外歯歯車4a,4bは、クランク軸6aに直交した状態で重なりあっている。
図2に示すように、外歯歯車4aには、周方向に合計6個の穴22a〜22fが形成されており、中央部分に穴22gが形成されている。穴22gの内側をシャフト軸15とシャフト軸17が通過している。
キャリア8は、穴22b,穴22d,穴22f内に伸びる柱部材24b,柱部材24d,柱部材24fを形成している。よって、外歯歯車4aはキャリア8に対して自転不能であり、外歯歯車4aが自転するとキャリア8も自転する。
外歯歯車4aは37個の歯を有しており、内歯歯車2は38個の歯を有している。即ち、外歯歯車4aの歯数は内歯歯車2の歯数よりも1つ少ない。外歯歯車4aは、外歯歯車4aの周方向の一部の外歯と、内歯歯車2の周方向の一部の内歯ピン26が、局所的に噛み合った状態で、矢印28に示すように中心軸62の周りに公転することができる。外歯歯車4aは中心軸62の周りに公転しつつ揺動運動をするということもできる。内歯ピン26は内歯歯車2に固定されておらず、内歯歯車2に形成された溝2a内に設置されており、内歯ピン26の中心26xの周りに自転することが可能である。このことは38本の内歯ピン26全てに共通である。
外歯歯車4aの穴22bと、柱部材24bの間には、外歯歯車4aの公転28を許容する空間が確保されている。内歯歯車2の自転が禁止された状態で外歯歯車4aが公転すると、内歯歯車2の歯数よりも外歯歯車4aの歯数が少ないので、外歯歯車4aは公転しつつ自転する。この場合、柱部材24b,24d,24fも外歯歯車4aの自転に追従して自転する。外歯歯車4aの歯数と内歯歯車2の歯数の差は1であり、内歯歯車2の歯数が38個のため、外歯歯車4aが1回公転すると外歯歯車は1/38回自転する。また、内歯歯車2の内径は図中にDで示しており、140mm〜200mmまで選択できる。
上記の説明は、外歯歯車4bに対しても共通である。ただし、偏心方向が反対である。図2の状態において、外歯歯車4bのための偏心カム7bの中心はクランク軸6aの自転中心軸6xから図上方向に偏心している。外歯歯車4aのための偏心カム7aの中心7xと外歯歯車4bのための偏心カム7bの中心は、いつもクランク軸6aの自転の中心軸6xを挟んだ対称の位置にある。即ち、図2において、外歯歯車4aが左方向に偏心すれば外歯歯車4bは右方向に偏心し、外歯歯車4aが上方向に偏心すれば外歯歯車4bは下方向に偏心し、外歯歯車4aが右方向に偏心すれば外歯歯車4bは左方向に偏心し、外歯歯車4aが下方向に偏心すれば外歯歯車4bは上方向に偏心する。即ち、外歯歯車4aと外歯歯車4bとクランク軸6aの全体を観察すると、クランク軸6aの自転の中心軸6xに対して左右対称となっており、回転バランスが確保される関係が実現されている。
本実施例の減速装置10の動作を説明する。この減速装置は、モータ46のトルクがシャフト軸14と平歯車19を介して平歯車12a,12c,12eに伝達される。図3に示すように、シャフト軸14が中心軸62の周りに矢印65の方向に自転すると、平歯車12aはクランク軸6aの中心軸6xの周りに矢印66の方向に自転する。平歯車12c,12eも平歯車12aと同じ方向の自転をする。このときシャフト軸14の平歯車19と平歯車12a,12c,12eの歯数差によって、第1の減速が行われる。第1減速機構に入力される自転速度をR1とすると、平歯車12a,12c,12eの自転速度R2は次式で表される。
R2=R1×Z1/Z2 (1)
上記において、Z1はシャフト軸14の平歯車19の歯数、Z2は平歯車12a,12c,12eの歯数を示している。
平歯車12a,12c,12eに伝達された回転は、クランク軸6a、6c,6eに伝達される。クランク軸6aは中心軸6xの周りに自転して、偏心カム7a,7bを中心軸6xの周りに公転させる。クランク軸6c,6eも同様の動作を行う。その結果、外歯歯車4a,4bは矢印28の方向に公転する。外歯歯車4a,4bは内歯歯車2に局所的に噛み合った状態で内歯歯車2の内側で揺動運動をする。内歯歯車2はボルト18によって自転が禁止されているため、外歯歯車4a,4bが、内歯歯車2に局所的に噛み合った状態で揺動運動をすると、外歯歯車4a,4bと内歯歯車の歯数が相違するため、外歯歯車4a,4bが自転する。即ち、外歯歯車4a,4bは公転しつつ自転する。その結果、柱部材24b,24d,24fは中心軸62の周りに公転する。
外歯歯車4a,4bは中心軸62を中心に対称位置を維持する関係で公転する。クランク軸6a.6c.6eと外歯歯車4a,4bは、回転バランスが確保された状態で円滑に回転する。
外歯歯車4a,4bの自転速度R4は次式で表される。
R4=(R3×(Z3−Z4)/Z3)+1 (2)
上記において、R3はクランク軸6a、6c,6eの自転速度、Z3は内歯歯車2の歯数、Z4は外歯歯車54a,54bの歯数を示している。
クランク軸6aと平歯車12aは固定されており、クランク軸6cと平歯車12cは固定されており、クランク軸6eと平歯車12eは固定されているため、クランク軸6a,6c,6eと平歯車12a,12c,12eは同じ速度で自転するため次式が成立する。
R2=R3 (3)
上式、(1)、(2)、(3)より次式が成立する。
R4=(R1×Z1×(Z3−Z4)/(Z2×Z3))+1 (4)
本実施例では、内歯歯車2の歯数が38であり、外歯歯車4a,4bの歯数が37であるため、次式が成立する。
R4=(R1×Z1×1/(Z2×38))+1 (5)
本実施例の減速装置10は、モータ46の回転速度R1を(5)式で表される回転速度R4に変換することができる。
(5)式を変換すると、R4=R1×(Z1/Z2)×(1/38)+1 (6)となる。ここで、Z1/Z2は第1減速機構の減速比を表し、1/38は第2減速機構の減速比を表している。
本実施例の減速装置10を用いて、減速装置10の運転時間と減速装置10から発生する鉄粉量について実験した。実験は、減速装置10の出力トルクを1225N・mとして、内歯歯車2の内径Dを179mmで実施した。実験の結果、図7に示す曲線70の結果が得られた。曲線70は、運転開始時には運転時間に比例して鉄粉発生量が増大するものの、その後は鉄粉量の増加パースが低い安定期72を有している。減速装置10を長期間運転しても減速装置10の磨耗がほとんど進行しない安定期が存在することを示している。即ち、減速装置10は高トルクで運転しても、低い磨耗ペースで運転を継続できる安定期が得られ。耐久性の低下が避けられることを示している。
曲線68は、減速装置10の出力トルクを1225N・mとして、内歯歯車2の内径Dを179mmとする場合、N≧40にすることで得られる。曲線68には安定期が存在しないため、減速装置の運転時間と、減速装置の磨耗が比例関係にある。
本発明者の研究によって、出力トルクと内歯歯車の内径を変化させると、減速装置の発熱量を抑えることができ、減速装置の耐久性の低下を抑制できることを確認した。
内歯歯車と外歯歯車の歯数差が1の場合、内歯歯車の内径をDとし、減速装置の出力トルクをTとし、内歯歯車の歯数をNとすると、140mm≦D≦200mmであり、650N・m≦T≦1570N・mである場合、N<40にすることによって減速装置10の発熱量を抑えることができ、減速装置10の耐久性の低下を抑制することができる。
曲線68は、140mm≦D≦200mmであり、650N・m≦T≦1570N・mである場合、N≧40にすることで得られる。曲線68には安定期が存在しないため、減速装置の運転時間と、減速装置の磨耗が比例関係にある。
本発明の減速装置10は、140mm≦D≦200mmであり、650N・m≦T≦1570N・mである場合、N<40にすることによって、減速装置10の耐久性が向上することが判明した。一方、100mm≦D<140mmであり、290N・m≦T<650N・mの場合、即ち、内歯歯車2の内径Dが小さく、出力トルクが小さい場合は、N<30にすることによって、減速装置10の耐久性が向上することが判明した。
減速装置10の大きさは、内歯歯車2の内径Dに比例して決定することが一般的であるため、100mm≦D<140mm、290N・m≦T<650N・mである場合、30≦Nとすると、減速装置10を運転したときの減速装置10の温度上昇値をより抑制する必要がある。内歯歯車2の内径Dが140mm≦D≦200mmの場合は、温度上昇値が高くなっても、減速装置10が停止している間に放熱する面積が大きいが、D<140mmの場合は、減速装置10が停止している間に放熱する面積が小さいため、減速装置10がなかなか冷却されず、減速装置10は常に高い温度に保たれることになる。減速装置10の温度上昇値が高くなりすぎると、減速装置10の内部の潤滑剤が加熱されて潤滑性能が低下することがある。そのため、小型の減速装置10、即ち100mm≦D<140mmであり、290N・m≦T<650N・mの場合、N<30とすると、減速装置10を連続動作されたときの温度上昇が30≦Nの場合よりも抑制される。よって減速装置10を連続動作しても温度上昇を許容範囲内に抑えることができ、減速装置10の耐久性の低下を抑制することができる。
(第2実施例)
図8は、第2実施例の減速装置110の要部断面図を示している。ここでは第1実施例と相違する部分のみを説明する。第1実施例と同様な部材には同じ参照番号を付することによって、重複説明を省略する。
減速装置110は、産業用ロボット130の第4関節に取り付けることを意図して設計されており、モータ146によって回転するシャフト軸114の回転数を減速し、先端アーム154を回転させる。
モータ146は、基部アーム152の固定部152aにボルト97で固定されている。
第1減速機構は、シャフト114軸の先端に形成されている平歯車119と、平歯車119に噛み合う平歯車112a,112c,112e(112aのみ図示している。)を備えている。
第2減速機構のキャリア8は、ボルト20によって平歯車92に固定されている。
内歯歯車2の一部は基部アーム152の固定部152aにボルト118で固定されており、先端アーム154は軸受90によって基部アーム152に自転可能に支持されているとともに、平歯車92と噛み合っている平歯車94にボルト96で固定されている。
減速装置110は、モータ146と平歯車112aを連結するシャフト軸114の長さが短い。よって装置を簡略化することができる。また、減速装置110の出力軸となるキャリア8と先端アーム154の間に、平歯車92と平歯車94を有している。よって、平歯車92と平歯車94の歯数を調整することによって、第2減速機構からの回転数をさらに減速することが可能となり、第1減速機構と第2減速機構の減速比の調整幅が広がるメリットがある。
上記実施例では、内歯歯車と外歯歯車の歯数の差が1の場合を説明した。しかしながら内歯歯車と外歯歯車の歯数の差は必ずしも1である必要はない。
例えば、内歯歯車と外歯歯車の歯数の差が2の場合、外歯歯車が1回公転すると外歯歯車は2/(内歯歯車の歯数)回自転する。
歯数差が2の減速装置と歯数差が1の減速装置の減速比を同じにするためには、歯数の差が2の減速装置の内歯歯車の歯数を、歯数の差1の減速装置の内歯歯車の歯数の2倍にすればよい。即ち、歯数差が2の場合、内歯歯車の内径をDとし、減速装置の出力トルクをTとし、内歯歯車の歯数をNとすると、
140mm≦D≦200mm、650N・m≦T≦1570N・mの場合、N<80とすると減速装置の耐久性の低下を抑制することができ、
140mm≦D≦200mm、650N・m≦T≦1570N・mの場合、N≧80とすると、高負荷を伝達し、高稼働率で使用する場合に減速装置の耐久性を大きく低下させてしまうことがある。
内歯歯車と外歯歯車の歯数差が2の場合においても、100mm≦D<140mm、290N・m≦T<650mmの場合、N<60にすることで減速装置の耐久性の低下を抑制することができる。
内歯歯車と外歯歯車の歯数差が3以上の場合についても、上記と同様の理由が成立する。即ち、内歯歯車と外歯歯車の歯数差は1であってもよいし、2であってもよいし、3以上であってもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、外歯歯車がトルクの出力軸となっているが、内歯歯車がトルクの出力軸でもよい。その場合は、産業用ロボットの基部アームにキャリアを固定し、先端アームに内歯歯車の一部を固定すればよい。
また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
実施例1の減速装置 図1のII−II線に沿った断面図 図1のIII−III線に沿った断面図 産業用ロボットの概略図 産業用ロボットの手首3軸部分の回路図 減速装置の出力回転数と温度上昇値を表すグラフ 減速装置の稼動時間と鉄粉発生量の関係を表すグラフ 実施例2の減速装置
符号の説明
2:内歯歯車
4a,4b:外歯歯車
6a,6c,6e:クランク軸
8,8a:キャリア
9a,9b:円錐ころ軸受
10,110:歯車減速装置
12a,12c,12e:平歯車
14,15,17:シャフト軸
16:軸受
19:平歯車
24:シャフト
26:ピン
31,32,33,34,35,36:関節
44:肩部
46:モータ
48:モータ
50:モータ
52:基部アーム
54:先端アーム

Claims (4)

  1. 産業用ロボットの手首に取り付けられる減速装置であり、第1減速機構と第2減速機構を有し、
    第1減速機構は、入力軸と一体に自転する第1平歯車と、第1平歯車に噛み合っている第2平歯車を備え、
    第2減速機構は、第2平歯車と一体に自転するとともにその自転にともなって偏心カムを偏心回転させるクランク軸と、偏心カムと係合して揺動運動をする外歯歯車と、外歯歯車の揺動運動を許容しつつ外歯歯車と局所的に噛み合った状態で外歯歯車を内包するとともに外歯歯車の歯数と異なる歯数を有する内歯歯車を備えており、
    内歯歯車と外歯歯車の一方がロボットアームの基部側部材に自転不能に拘束され、内歯歯車と外歯歯車の他方がロボットアームの先端側部材に自転不能に拘束される減速装置であり、
    前記内歯歯車の内径Dが、140mm≦D≦200mmであり、
    前記先端側部材に伝達されるトルクTが、650N・m≦T≦1570N・mであり、
    前記内歯歯車の歯数Nが、内歯歯車と外歯歯車の歯数差の40倍未満であることを特徴とする減速装置。
  2. 産業用ロボットの手首に取り付けられる減速装置であり、第1減速機構と第2減速機構を有し、
    第1減速機構は、入力軸と一体に自転する第1平歯車と、第1平歯車に噛み合っている第2平歯車を備え、
    第2減速機構は、第2平歯車と一体に自転するとともにその自転にともなって偏心カムを偏心回転させるクランク軸と、偏心カムと係合して揺動運動をする外歯歯車と、外歯歯車の揺動運動を許容しつつ外歯歯車と局所的に噛み合った状態で外歯歯車を内包するとともに外歯歯車の歯数と異なる歯数を有する内歯歯車を備えており、
    内歯歯車と外歯歯車の一方がロボットアームの基部側部材に自転不能に拘束され、内歯歯車と外歯歯車の他方がロボットアームの先端側部材に自転不能に拘束される減速装置であり、
    前記内歯歯車の内径Dが、100mm≦D<140mmであり、
    前記先端側部材に伝達されるトルクTが、290N・m≦T<650N・mであり、
    前記内歯歯車の歯数Nが、内歯歯車と外歯歯車の歯数差の30倍未満であることを特徴とする減速装置。
  3. 前記入力軸と前記外歯歯車の中心に貫通孔が空けられており、他の減速装置用の入力軸がその貫通孔を通過可能なことを特徴とする請求項1又は2の減速装置。
  4. 前記内歯歯車と前記外歯歯車の歯数差が1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの減速装置。
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