JP6018324B2 - ふすま及び胚芽の風味及び食感の改善 - Google Patents

ふすま及び胚芽の風味及び食感の改善 Download PDF

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Description

本発明は、ふすま及び胚芽の成分又は材料の風味及び食感を改善するための連続的プロセスであって、安定化された全粒小麦粉を作製するために用いられ得るプロセスに関する。本発明はまた、優れた食感及び風味を有する上記の改善されたふすま成分及び全粒小麦粉から作られる、焼成製品をはじめとする食品にも関する。
精白されていない全粒をより多く含んだ食品が、米国農務省発行の、2010年版、食のガイドラインによって推奨されているが、それは、全粒が、目下関心を集めている様々な栄養素の良好な源であるためである。成人にとって、これらの栄養素には、カルシウム、カリウム、食物繊維、マグネシウム、並びにビタミンA(カロチノイド)、C、及びEが含まれる。しかしながら、全粒食品の消費拡大はなかなか進んでいない。それは主として、全粒食品が持つある種の性質、具体的には例えば、使用するために通常入手できる全粒小麦粉材料に由来する粗っぽい、ザラザラした見た目と食感に起因している。昨今、市販の全粒小麦粉が、その粒子サイズを小さくして販売されている。しかしながら、当該全粒小麦粉で作った焼成製品は、それでもなお、乾いた、粒状感のある口当たりを示し、しかも「小麦風味」、いかにも穀物っぽい、又は干し草のような味又は風味がして、焦がし風味、カラメル風味、焼き上げ風味があまりしない。
全粒に含まれる、リパーゼ及びリポキシゲナーゼのような酵素を不活性化するために、蒸気又はその他の熱源が用いられる。リパーゼ又はリポキシゲナーゼの不活性化は、まずふすま画分又はふすま成分を加熱して、安定化されたふすま成分を得て、次に、その安定化されたふすま成分を、胚乳画分又は胚乳成分と合わせて、安定化された全粒小麦粉を得るという方法でも実現可能であろう。しかしながら、酵素を不活性化するために全粒又はふすま画分若しくはふすま成分を加熱しても、小麦風味、いかにも穀物っぽい味を消すことができるとは限らず、焼成製品の食感及び風味が確実に改善できるというわけでもない。しかも、酵素を不活性化するために全粒を加熱して安定化された全粒小麦粉を得ても、それが過度のデンプン糊化という結果をもたらしたり、あるいはたんぱく質を変性させ、グルテンネットワークの形成に悪影響を及ぼしたりする虞もある。行き過ぎた糊化又はグルテンネットワーク生成の阻害によって、生地の被削性に悪影響を及ぼしたり、クッキー及びクラッカーのような焼成製品中の小麦粉が果たす、液体を保持しオーブン中で広がるという面での機能性に悪影響を及ぼしたりする可能性もある。
したがって、ふすま成分及び胚芽成分並びに全粒小麦粉を製造する方法で、以下のことが実現できる方法への必要性が長く存在してきた。製造されたふすま成分及び胚芽成分並びに全粒小麦粉が、小麦風味又は未加工の小麦の味を示さず、酸敗臭のするような味又は酸敗臭そのものを示さず、バター味、ナッツ味、カラメル味を示し、ザラザラしていない食感を示し、生地の被削性にも優れ、焼成時の機能性にも優れている。それでいて、上記成分及び全粒小麦粉は、グルテンネットワーク生成を実質的に妨げることがなく、酵素の劣化に対しても安定を保ち得るようになっている。
1つの実施形態においては、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の風味及び食感を改善するために、挽きふすま及び胚芽成分を運搬混合装置内で運搬し混合する間に加熱する。処理を受けるふすま及び胚芽を含む、挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の重量に基いて、少なくとも50重量%のふすまと、約5重量%〜約25重量%の含水量と、を有していてよい。例えば直接的又は間接的に蒸気を噴射することによる加熱は、ふすま及び胚芽成分又は画分を約141℃〜約210℃(約285°F〜約410°F)の温度まで加熱するために実行され得る。それにより、挽きふすま及び胚芽成分中の揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させて、ふすま成分中のバター風味、ナッツ風味、カラメル風味を増加させる。小麦風味の成分及び水分は、運搬混合装置から加熱処理中に取り除かれて、ふすま及び胚芽成分の含水量を、約30重量%〜約75重量%減少させる。こうして、その含水量が約1.5重量%〜約10重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られる。乾燥した挽きふすま成分は、運搬混合装置から取り出されて、小麦臭くない、ナッツ風味、カラメル風味の、そしてザラザラしていない食感の膨張していない挽きふすま及び胚芽成分が得られる。低い含水量で、高温加熱をして水分を実質的に減少させたことにより、小麦臭さ、穀物臭さ又は未加工感を減らしながら風味を増加させることができ、且つリパーゼを阻害して、遊離脂肪酸の生成に起因する酸敗臭に対しての安定性を実現できる。
1つの実施形態においては、含水量、処理温度及び処理時間、並びにせん断力が、デンプン又は胚乳を含有するふすま及び胚芽成分又は画分に対してそのデンプンの糊化及び焼成時の機能性を制御するために用いられ得る。
1つの態様においては、ふすま及び胚芽成分の加熱は、ふすま及び胚芽成分に含有されるデンプンの実質的糊化を回避するために、低圧下で運搬及び混合し、低含水量下で加熱することで実行され得る。そのような実施形態においては、加熱される挽きふすま及び胚芽成分は、その含水量が、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約5重量%〜約12重量%、好ましくは約7重量%〜約9重量%、最も好ましくは約7.5重量%〜約8.5重量%であってよく、加熱時の温度は、約143℃〜約177℃(約290°F〜約350°F)、好ましくは約154℃〜約166℃(約310°F〜約330°F)であってよい。こうして、挽きふすま及び胚芽成分中の揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させて、ふすま成分中のバター風味、ナッツ風味、カラメル風味を増加させることができる。また、ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減らすことができ、それによって、含水量が約1.5重量%〜約4.5重量%、好ましくは約2.5重量%〜約3.5重量%、最も好ましくは約2.8重量%〜約3.2重量%の、乾燥した挽きふすま成分を得ることができる。また、前記加熱の時間は、約1分間〜約6分間、好ましくは約2分間〜約4分間、最も好ましくは約2.5分間〜約3.5分間であってよい。
他の態様においては、ふすま及び胚芽成分の加熱は、ふすま及び胚芽成分に含有されるデンプンの実質的糊化を実現するために行われ得る。そのためには、ふすま及び胚芽成分を高圧下で運搬及び混合し、低含水量の調理用押出し機では高いせん断力を加える。こうして、カラメル風味を、ふすま及び胚芽成分を焼き焦がすことなく作り出し増やすことができる。そのような実施形態においては、ふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するために、その含水量が、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約10重量%〜約25重量%、好ましくは約12重量%〜約18重量%、最も好ましくは約14重量%〜約16重量%である挽きふすま及び胚芽成分を加熱する。その際、加熱時の温度は、約141℃〜約210℃(約285°F〜約410°F)、好ましくは約149℃〜約202℃(約300°F〜約395°F)、最も好ましくは約154℃〜約166℃(約310°F〜約330°F)であってよく、そうすることで、挽きふすま及び胚芽成分中の揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させて、ふすま成分中のバター風味、ナッツ風味、カラメル風味を作り出し増やすことができる。また、ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減らすことができ、それによって、その含水量が約4重量%〜約10重量%、好ましくは約5重量%〜約8重量%、最も好ましくは約6重量%〜約7重量%の乾燥した挽きふすま成分を得ることができる。また、加熱時間は、約1分間未満である。調理押出し機の入力、又は比機械エネルギー(SME)は、約20Whr/kg〜約120Whr/kg、好ましくは約20Whr/kg〜約120Whr/kg、好ましくは約30Whr/kg〜約60Whr/kg、最も好ましくは約35Whr/kg〜約55Whr/kgであってよい。
更に他の態様においては、小麦臭くない風味、ナッツ風味、及びカラメル風味を有し、且つザラザラしていない食感を有するふすま及び胚芽成分が得られ、そのようなふすま及び胚芽成分に、胚乳画分を混ぜることにより、小麦臭くない風味、ナッツ風味、及びカラメル風味を有し、且つザラザラしていない食感を有する全粒小麦粉を得ることができる。ふすま及び胚芽成分及び全粒小麦粉は、リパーゼ活性が実質的に減少しており、遊離脂肪酸の生成に起因する酸敗臭に対して安定的であり、焼成時の機能性にも優れている。
他の実施形態においては、挽きふすま及び胚芽成分を運搬混合装置内で運搬及び混合しながら加熱することにより、風味及び食感が改善された全粒小麦粉が製造される。その際、挽きふすま及び胚芽成分は、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて少なくとも50重量%のふすまと、約5重量%〜約25重量%の含水量を有するふすま及び胚芽を含む。また、加熱温度は約141℃〜約210℃(約285°F〜約410°F)で、それにより、挽きふすま及び胚芽成分中の揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させて、ふすま成分中のバター風味、ナッツ風味、及びカラメル風味を作り出し増やすことができる。小麦風味の成分及び水分は、運搬混合装置から加熱中に取り除かれて、ふすま及び胚芽成分の含水量を、約30重量%〜約75重量%減少させる。こうして、その含水量が約1.5重量%〜約10重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られる。乾燥した挽きふすま成分を運搬混合装置から取り出して、小麦臭くない風味、ナッツ風味、及びカラメル風味を有し、且つザラザラしていない食感を有する膨張していない挽きふすま及び胚芽成分を得ることができ、そうして得られた挽きふすま及び胚芽成分に胚乳画分を混ぜて、全粒小麦粉を得ることができる。
本発明の他の実施形態においては、ふすま及び胚芽成分、全粒小麦粉、並びにふすま及び胚芽成分を含有する焼成製品が提供されるが、それらは、バター風味、ナッツ風味、及びカラメル風味並びにザラザラしていない食感といった、肯定的な感覚的属性を増やす一方で、小麦風味、粒状感のある味、若しくは未加工の味、又は悪臭のするような味若しくは悪臭といった、否定的な感覚的属性を、ふすま及び胚芽成分を加熱処理せずに作った対照例と比べて、少なくとも3%減らしている。なお、感覚属性の増減は、1〜100の目盛りを用いた、味評価の専門家団による感覚評価に基いている。評点1は当該感覚属性について最低の強度しか有していないことを、評点100は、当該感覚属性の最高の強度を有することを意味する。
特定の実施形態では、本発明は、例えば以下を提供する:
(項目1)
挽きふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法であって、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、少なくとも50重量%のふすまと、約5重量%〜約25重量%含水量とを有する、ふすま及び胚芽を含む挽きふすま及び胚芽成分内の、揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させ、バター、ナッツ、及びカラメルの風味を前記ふすま成分内に作り出して増やすために、該挽きふすま及び胚芽成分を運搬混合装置内で運搬し混合する間に、前記挽きふすま及び胚芽成分を約141℃〜約210℃(約285°F〜約410°F)の温度まで加熱することと;前記ふすま及び胚芽成分の含水量を、約30重量%〜約75重量%減少させ、含水量が約1.5重量%〜約10重量%である乾燥した挽きふすま成分を得るために、前記小麦風味の成分及び水分を、前記加熱の最中に、前記運搬混合装置から取り除くことと;前記乾燥した挽きふすま成分を前記運搬混合装置から取り出して、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、膨張していない挽きふすま及び胚芽成分を得ることと、を含む方法。
(項目2)
前記運搬混合装置は、前記揮発性の小麦風味の成分及び水分を取り除くために排気される、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目3)
前記揮発性の小麦風味の成分及び水分は、減圧により取り除かれる、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目4)
前記加熱は、間接的に蒸気によって実行される、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目5)
前記加熱は、前記ふすま成分が運搬及び混合されている間に、前記ふすま成分に蒸気を噴射することにより直接的に実行される、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目6)
前記加熱により、ヘキサナール、ヘプタジエナール、ノナナール、デカナール、ノネナール、ヘプテナール、1−オクテン−3−オン、3,5−オクタジエン−2−オン、デカジエナール、ノナジエナール、若しくはオクテナール、又はそれらの組み合わせ又は混合物を含む小麦風味の成分を揮発させ、それを前記装置から取り除き、前記ふすま及び胚芽成分により保持されるピラジン及びジメチルピラジンからなる群より選択される少なくとも1種類を含む、ナッツ及びカラメル風味の成分、又はメイラード反応風味成分を生み出す、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目7)
前記加熱は、前記ふすま及び胚芽成分のリパーゼ活性を実質的に減少させる、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目8)
前記ふすま及び胚芽成分は、デンプンを含み、前記加熱が前記ふすま及び胚芽成分に含有されているデンプンが実質的に糊化するのを回避する、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目9)
前記運搬混合装置は、低圧下で動作し、中空のスクリュー及びジャケット付きの本体を通して熱を交換する、項目8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目10)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約5重量%〜約12重量%であり、前記加熱は、約143℃〜約177℃(約290°F〜約350°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約1.5重量%〜約4.5重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記加熱は、約1分間〜約6分間の時間にわたって実行される、項目8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目11)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約7重量%〜約9重量%であり、前記加熱は、約154℃〜約166℃(約310°F〜約330°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約2.5重量%〜約3.5重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記加熱は、約2分間〜約4分間の時間にわたって実行される、項目8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目12)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約7.5重量%〜約8.5重量%であり、前記加熱は、約154℃〜約166℃(約310°F〜約330°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約2.8重量%〜約3.2重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記加熱は、約2.5分間〜約3.5分間の時間にわたって実行される、項目8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目13)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の温度は、前記運搬混合装置の入口では約49℃(約120°F)より低く、且つ前記運搬混合装置から出ると、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、前記膨張していない挽きふすま及び胚芽成分は、自由に流動する個別の粒子形状をしている、項目8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目14)
前記運搬混合装置は調理押出し機であり、前記ふすま及び胚芽成分はデンプンを含み、前記加熱が、前記ふすま及び胚芽成分に含有されているデンプンを実質的に糊化する、項目1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目15)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約10重量%〜約25重量%であり、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、少なくとも約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約4重量%〜約10重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記調理押出し機の入力、すなわち比機械エネルギー(SME)は、約20W hr/kg〜約120W hr/kgである、項目14に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目16)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約12重量%〜約18重量%であり、前記加熱は、約149℃〜約202℃(約300°F〜約395°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約5重量%〜約8重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記調理押出し機の入力、すなわち比機械エネルギー(SME)は、約20W hr/kg〜約120W hr/kgである、項目14に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目17)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約14重量%〜約16重量%であり、前記加熱は、約154℃〜約166℃(約310°F〜約330°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、少なくとも約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約6重量%〜約7重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記調理押出し機の入力、すなわち比機械エネルギー(SME)は、約20W hr/kg〜約120W hr/kgである、項目14に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目18)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の温度は、前記調理押出し機の入口では約49℃(約120°F)より低く、且つ前記運搬混合装置から出ると、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、前記膨張していない挽きふすま及び胚芽成分は、溶融したデンプンに包まれたふすまの粒の形である、項目14に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
(項目19)
項目1に記載の方法により得られる、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、ふすま及び胚芽成分。
(項目20)
項目8に記載の方法により得られる、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、ふすま及び胚芽成分。
(項目21)
項目14に記載の方法により得られる、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、ふすま及び胚芽成分。
(項目22)
小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない全粒小麦粉であって、項目1に記載の方法により得られるふすま及び胚芽成分と、胚乳成分とを含む、全粒小麦粉。
(項目23)
小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない全粒小麦粉であって、項目8に記載の方法により得られるふすま及び胚芽成分と、胚乳成分とを含む、全粒小麦粉。
(項目24)
小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない全粒小麦粉であって、項目14に記載の方法により得られるふすま及び胚芽成分と、乳成分とを含む、全粒小麦粉。
(項目25)
項目19に記載のふすま及び胚芽成分を含む焼成製品。
(項目26)
項目20に記載のふすま及び胚芽成分を含む焼成製品。
(項目27)
項目21に記載のふすま及び胚芽成分を含む焼成製品。
(項目28)
項目22に記載の全粒小麦粉を含む焼成製品。
(項目29)
項目23に記載の全粒小麦粉を含む焼成製品。
(項目30)
項目24に記載の全粒小麦粉を含む焼成製品。
(項目31)
風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法であって、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、少なくとも50重量%のふすまと、約5重量%〜約25重量%含水量とを有する、ふすま及び胚芽を含む挽きふすま及び胚芽成分内の、揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させ、バター、ナッツ、及びカラメルの風味を前記ふすま成分内に作り出して増やすために、該挽きふすま及び胚芽成分を運搬混合装置内で運搬し混合する間に、該挽きふすま及び胚芽成分を約141℃〜約210℃(約285°F〜約410°F)の温度まで加熱することと;前記ふすま及び胚芽成分の含水量を、約30重量%〜約75重量%減少させ、含水量が約1.5重量%〜約10重量%である乾燥した挽きふすま成分を得るために、前記小麦風味の成分及び水分を、前記加熱の最中に、前記運搬混合装置から取り除くことと;前記乾燥した挽きふすま成分を前記運搬混合装置から取り出して、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、膨張していない挽きふすま及び胚芽成分を得ることと;該膨張していない挽きふすま及び胚芽成分を胚乳画分と混ぜて、全粒小麦粉を得ることと、を含む方法。
(項目32)
前記運搬混合装置は前記揮発性の小麦風味の成分及び水分を取り除くために排気される、項目31に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目33)
前記揮発性の小麦風味の成分及び水分は、減圧によって取り除かれる、項目31に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目34)
前記加熱は、蒸気により間接的に実行される、項目31に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目35)
前記加熱は、前記ふすま成分が運搬及び混合されている間に、前記ふすま成分に蒸気を噴射することにより直接的に実行される、項目31に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目36)
前記加熱により、ヘキサナール、ヘプタジエナール、ノナナール、デカナール、ノネナール、ヘプテナール、1−オクテン−3−オン、3,5−オクタジエン−2−オン、デカジエナール、ノナジエナール、若しくはオクテナール、又はそれらの組み合せ又は混合物を含む小麦風味の成分を揮発させ、それを前記装置から取り除き、前記ふすま及び胚芽成分により保持されるピラジン及びジメチルピラジンからなる群より選択される少なくとも1種類を含む、ナッツ及びカラメル風味の成分、又はメイラード反応風味成分を生み出す、項目31に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目37)
前記加熱は前記ふすま及び胚芽成分のリパーゼ活性を実質的に減少させ、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、安定した全粒小麦粉を得る、項目31に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目38)
前記ふすま及び胚芽成分は、デンプンを含み、前記加熱が前記ふすま及び胚芽成分に含有されているデンプンが実質的に糊化するのを回避する、項目31に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目39)
前記運搬混合装置は、低圧下で動作し、中空のスクリュー及びジャケット付きの本体を通して熱を交換する、項目38に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目40)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約5重量%〜約12重量%であり、前記加熱は、約143℃〜約177℃(約290°F〜約350°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約1.5重量%〜約4.5重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記加熱は、約1分間〜約6分間の時間にわたって実行される、項目38に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目41)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約7重量%〜約9重量%であり、前記加熱は、約154℃〜約166℃(約310°F〜約330°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約2.5重量%〜約3.5重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記加熱は、約2分間〜約4分間の時間にわたって実行される、項目38に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目42)
前記運搬混合装置は調理押出し機であり、前記ふすま及び胚芽成分はデンプンを含み、前記加熱が、前記ふすま及び胚芽成分に含有されているデンプンを実質的に糊化する、項目38に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目43)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約10重量%〜約25重量%であり、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約4重量%〜約10重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記調理押出し機の入力、すなわち比機械エネルギー(SME)は、約20W hr/kg〜約120W hr/kgである、項目42に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
(項目44)
前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約12重量%〜約18重量%であり、前記加熱は、約149℃〜約202℃(約300°F〜約395°F)まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、約30重量%〜約75重量%減少し、含水量が約5重量%〜約8重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記調理押出し機の入力、すなわち比機械エネルギー(SME)は、約20W hr/kg〜約120W hr/kgである、項目42に記載の、風味及び食感を改善した全粒小麦粉を作るための方法。
唯一の図には、温度と含水量をさまざまに変えて、低圧処理、加熱処理されたふすま及び胚芽の試料中の、及び処理されていない比較対照例中の、選択されたナッツ風味に関連する化合物のレベルのグラフが示されている。
以下、本発明の様々な実施形態の、ある詳細な態様について説明する。なお、開示される実施形態はあくまで本発明の例示にすぎず、本発明は、多くの代替的な形態によって実施可能であることを理解すべきである。それゆえ、本明細書にて開示される具体的な詳細は、本発明の制限として解釈せず、単に本発明の任意の態様の代表的基礎、及び/又は当業者に本発明を様々な形で採用するように教示するための代表的基礎として解釈すべきである。
実施例内を例外とし、又は、特に明確に示している場合を例外として、本明細書中で、材料の量及び/又は使用量を示すすべての数量は、「約」という言葉により修飾されて、本発明の最も広い範囲を説明しているものと理解すべきである。しかし、述べられている数的限界の範囲内で発明が実施されることが、一般に好まれる。
また、本発明は、具体的な成分及び/又は条件は、言うまでもなくさまざまに変わり得るため、以下に説明される具体的実施形態にも具体的方法にも限定されないということも理解すべきである。更に、本明細書で用いられる用語は、本発明の特定の実施形態を説明する目的のためのみに用いられており、本発明を制限するようには全く意図されていない。
また、特に文脈がそうでないと明確に示していない限り、明細書中及び添付の請求項中で用いられる場合、単数名詞についた冠詞「a」、「an」、及び「the」は、複数への言及も含むということにも留意すべきである。例えば、ある単数の要素(a component)に対して言及された場合、その言及には、複数の要素(a plurality of components)が含まれると意図されている。
本出願を通して、刊行物への言及がなされた場合には、当該刊行物の開示内容全体が、参照によって本出願に組み込まれて、本発明が属する分野の最新の技術の状況をよりよく説明するものとする。
「全粒」という用語は、穀物を全体として含むものであり、例えば、いかなる加工処理も施される前の小麦の粒又は穀粒を指す。米国食品医薬品局(FDA)の2006年2月15日付ガイダンス草案において指摘されるように、また、本明細書でも使われるように、「全粒(粉)」という用語は、未加工の、挽いた、砕いた、又はフレーク状にした穀物の実からなり、その主たる成分(デンプン質の胚乳、胚芽、及びふすま)が、未加工の穀粒と同じ比率で存在している穀物を含む。FDAは、そのような穀物には、大麦、ソバ、ブルグァ麦、トウモロコシ、キビ類、フリー、ライ麦、オーツ麦、ソルガム、小麦、及びワイルドライスが含まれ得るとまとめている。
「精白された小麦粉製品」という用語は、FDAの精白された小麦粉製品の基準を満たす小麦粉であって、U.S.ワイヤ70ふるい(210ミクロン)を98%以上通過し得る粒径のものを指す。
本明細書で用いる場合、「製粉(milling)」という用語は、全粒をローラーにかけ、破砕し、ふるいにかけ、そして分類するステップを含み、その構成する部分に分けるものであり、その結果、構成する部分の粒径が幾分減少することがあり得る。
本明細書で用いる場合、「挽粉(grinding)」という用語は、その粒径を小さくすることを目的としたあらゆるプロセスを含むが、粒子を互いにぶつけ合うこと、又は機械的に粒径を小さくすることを含むが、それらに限られない。
本明細書で用いる場合、「テンパリング(tempering)」という用語は、製粉前に小麦に加水をして、穀粒のふすまを硬くして、胚乳を軟らかくするプロセスである。これにより小麦粉の分離効率が向上する。
本明細書で用いる場合、「給水(hydration)」又は「事後給水(post-hydration)」という用語は、製粉後又は挽粉後に給水調整をするステップを指す。その目的は、個々の構成要素の含水量を調整し、及び/又は最終的な小麦粉の含水量を調整することである。
また本明細書で用いる場合、リパーゼ又は酵素の「阻害(inhibition)」とは、リパーゼ又は酵素がもはやその酵素生成物を生成しないこと、又は酵素生成物の生成を実質的に減少させたことを意味する。本明細書で用いる場合、「阻害」は、リパーゼの不活化を更に含む。それは、リパーゼ又は酵素が活性を失ったか、又は実質的に活性を失った状態である。例えば、リパーゼ阻害は、リパーゼ酵素がトリグリセリドを加水分解しておらず、小麦粉内に遊離脂肪酸を放出していないことを意味する。酵素の阻害又は酵素がその酵素生成物を生成することが可能であることは、可逆的でもあれば、不可逆的である場合もある。例えば、酵素を加熱して変性させると、当該酵素は不可逆的に不活化する場合がある。酵素阻害剤によって処理すると、酵素は可逆的又は不可逆的に不活化し得る。例えば、リパーゼを阻害するための酸処理をすれば、酵素生成物の生成すなわち遊離脂肪酸の形成を減らすことができる。しかしながら、可逆的な阻害の場合には、酵素の活性を増加させることがまだ可能であり、ある程度のリパーゼ活性が残っている場合がある。酵素を取り出してその活性度を測定する場合、酵素の活性を阻害するものを取り除くため、酵素をその活性が回復又は元に戻せる環境よりも高いpH環境に置くということがある。また、酸処理はpHを、リパーゼ阻害が不可逆的となる又はリパーゼの不活化が不可逆的となる程度まで下げる場合がある。そうなると、酵素生成物の生成は減少し、引き出し得る酵素活性が下がることになる。
ふすま及び胚芽成分又は画分を熱処理してリパーゼ活性を減らすことで全粒小麦粉を安定化させても、小麦風味を感じさせるもの又は穀物臭さを消し去ることはできず、また、カラメル風味、バター風味を提供したり、滑らかでより粒状感のない又は粒状感のある食感を、ふすま及び胚芽成分又は画分及び、当該成分から作られる全粒小麦粉に与えたりすることはできないということが判明している。精白した小麦粉から作られる製品と比べて、全粒小麦粉を含有する最終的な焼成製品に対して消費者が感じているのは、より青臭い、脂っぽい、酸化した植物の風味を感じさせるもの(小麦風味)である。脂質が劣化する際に生成する酸化化合物、例えば、リノール酸及びリノレン酸からの脂質の酸化に関連する化合物(遊離脂肪酸、FFA)、飽和アルデヒド、及び不飽和アルデヒドは、全粒小麦粉の焼成製品に感じられる小麦風味の一因であると考えられている。小麦風味の一因と考えられる揮発性の化合物で、挽きふすま及び胚芽成分を本発明の処理によって処理した際に取り除かれる化合物には、ヘキサナール、ヘプタジエナール、ノナナール、デカナール、ノネナール、ヘプテナール、1−オクテン−3−オン、3,5−オクタジエン−2−オン、デカジエナール、ノナジエナール、オクテナール、及びそれらの組み合わせ又は混合物が含まれる。
安定化の処理中に採用される温度は一般に低すぎるものであったり、処理時間が短すぎたり、含水量が高すぎたりするので、甘い風味、バター風味、焦がし風味、カラメル風味、焼き上げ風味といった面での風味の実質的な改善を実現することができないばかりか、小麦風味、又は、干し草味若しくは未加工の穀物味、及び穀物臭さを、ふすま及び胚芽成分、当該成分を含有する全粒小麦粉、並びに当該成分又は全粒小麦粉を含有する焼成製品に与える化学成分を取り除くことができない。本発明の実施形態においては、ふすま及び胚芽成分又は画分、当該ふすま及び胚芽成分又は画分を含有する安定化された全粒小麦粉、及び当該ふすま及び胚芽成分若しくは画分又は当該安定化された全粒小麦粉を含有する焼成製品における風味及び食感を改善し、それらから、小麦風味、穀物臭い味を消し去るための極めて重要な要素として、水分を加えること、水分を取り除くこと、又は排気をすること、及び処理温度が用いられる。処理されたふすま及び胚芽成分又は画分、安定化された全粒小麦粉、及びそれらを含有する焼成製品は、焦がした、カラメル化した甘さ、バターのような焼き上げ風味と、滑らかでザラザラしていない食感とを示す。加えて、リパーゼ活性を減らして、安定化されたふすま及び胚芽成分と安定化された全粒小麦粉とを提供することができるが、そのために、焼成時の機能性を犠牲にしたり、調理し過ぎ、糊化、液体の吸収、又はグルテンの力の喪失によって悪影響がでたりしない。
本発明の実施形態においては、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の風味及び食感を改善するために、挽きふすま及び胚芽成分を運搬混合装置内で運搬し混合する間に加熱する。当該挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、全粒小麦粉の製造において全粒を製粉することで得ることができる。全粒は、テンパリングされてもされなくてもよい。望ましい粒径分布を得るために、全粒並びにふすま及び胚芽画分を製粉し挽粉すると、とりわけ粒径が小さくなり、表面積が増えると、水分が蒸発しやすくなるため、一般に当該ふすま及び胚芽画分の含水量が減少することになる。含水量が低い条件下で熱処理すると、焦がしを作ったり、カラメル化させたりするのが容易になる。しかしながら、デンプンを糊化することが望まれる、又は安定化のためのリパーゼ阻害がより望まれるような、本発明の実施形態においては、ふすま及び胚芽画分の含水量は、テンパリング又は給水によって増やせる。また、実施形態においては、含水量を上げて、望ましくない揮発性の風味成分を取り除くことを容易にする場合もある。
運搬混合装置に供給され、熱処理を受けるふすま及び胚芽を含む、挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の重量に基いて少なくとも50重量%のふすまと、約5重量%〜約25重量%の含水量と、を有していてよい。挽きふすま及び胚芽成分又は画分が運搬混合装置に入る際の、フィード時又は入力時の温度は、約49℃(約120°F)未満であってよく、一般に、室温から約49℃(約120°F)までの範囲、例えば約21℃〜約38℃(約70°F〜約100°F)であってよい。運搬混合装置内では、加熱処理が行われるが、その際、ふすま及び胚芽成分又は画分が装置を出る際、又は出口金型にあるとき、約141℃〜約210℃(約285°F〜約410°F)の温度まで加熱される。加熱は、挽きふすま及び胚芽成分中の揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させ、ふすま及び胚芽成分又は画分内のバター風味、ナッツ風味、カラメル風味を増加させるのに十分なだけ行うべきである。小麦風味の成分及び水分は、運搬混合装置から加熱処理中に取り除かれて、ふすま及び胚芽成分の含水量を、約30重量%〜約75重量%減少させる。こうして、含水量が約1.5重量%〜約10重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られる。揮発性の成分及び水分は、排気穴を通じて排気をすることにより、又は運搬混合装置内の開放式バレルを通じて取り除くことが可能である。揮発性の小麦風味成分及び水分を取り除くのを助けるために、減圧を行ってもよい。得られた乾燥した挽きふすま成分は、出口端又は出口金型を介して運搬混合装置から取り出されて、小麦臭くない、ナッツ風味、カラメル風味の、そしてザラザラしていない食感の膨張していない挽きふすま及び胚芽成分が得られる。低い含水量で、高温加熱をして水分を実質的に減少させたことにより、小麦臭さ又は渋み、穀物臭さ又は未加工感を減らしながら風味を増加させることができ、且つリパーゼを阻害して、遊離脂肪酸の生成に起因する酸敗臭に対しての安定性を実現できる。加熱を行う際には、ジャケット付きのバレル及び/又は中空の混合及び運搬用スクリューを用いて間接的に加熱を行ってもよく、それらを加熱するためには、蒸気又はその他の既知の熱移転媒体又は熱移転液のような加熱媒体を用いることができる。好ましい実施形態においては、ふすま及び胚芽成分が混合され運搬されている間に、蒸気を直接当該成分に通せるような穴が設けてある要素を備えた中空のスクリューを介するなどして、直接蒸気を噴射する方法が採用され得る。一般に、直接的蒸気の噴射により加えられる水分の量は、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の重量に基いて、約5重量%未満であり、例えば、約1重量%〜約3重量%である。
ふすま及び胚芽成分又は画分により多くの水分を加えることは、例えば、ケーキ及びパンのような、含水量の高い焼成製品を作る場合など糊化の程度を高くしたい場合に行われ得る。しかしながら、クラッカー、クッキー、及びスナックなど、含水量の低い焼成製品を作る場合の焼成時の機能性確保のために、実質的なデンプンの糊化を回避したい場合には、加える含水量は小さくする。
クッキー、クラッカー、及びスナックなど、含水量の低い焼成製品用に、ふすま及び胚芽成分に含有されるデンプンの実質的な糊化を回避するようにふすま及び胚芽成分の加熱を行う実施形態においては、運搬及び混合が低圧下で行われ、加熱が低い含水量で行われるとよい。そのような実施形態においては、熱処理を受ける挽きふすま及び胚芽成分は、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約5重量%〜約12重量%、好ましくは約7重量%〜約9重量%、最も好ましくは約7.5重量%〜約8.5重量%、の含水量を有する。挽きふすま及び胚芽成分又は画分の加熱は、入力時又はフィード時の温度が約49℃(約120°F)未満であり、そこから装置の出口時点での温度が約143℃〜約177℃(約290°F〜約350°F)、好ましくは約154℃〜約166℃(約310°F〜約330°F)となるように実行されてよく、そのような温度での加熱は、挽きふすま及び胚芽成分中の揮発性の小麦風味又は渋み成分及び水分を揮発させて、ふすま成分中のバター風味、ナッツ風味、カラメル風味を増加させるのに十分である。加熱と排気が、ふすま及び胚芽成分の含水量を約30重量%〜約75重量%減らし、含水量が約1.5重量%〜約4.5重量%、好ましくは約2.5重量%〜約3.5重量%、最も好ましくは約2.8重量%〜約3.2重量%の乾燥した挽きふすま成分を得るのに十分なように実行される。なお、このような含水量であることは、カラメル風味を増加させるためには極めて重要である。含水量を減らし、望ましい風味を感じさせるものを増やすために、加熱時間は約1分間〜約6分間、好ましくは約2分間〜約4分間、最も好ましくは約2.5分間〜約3.5分間とする。低圧運搬混合装置は、大気圧下で運転させてよいが、高圧で蒸気を噴射する際には、その蒸気圧を約0.1MPa〜約1MPa(約20psi〜約200psi)、好ましくは約0.3MPa〜約1.0MPa(約50psi〜約150psi)、最も好ましくは約0.6MPa〜約0.8MPa(約80psi〜約120psi)とするとよい。
本発明の低圧、低糊化の実施形態で用いるための、低圧で比較的せん断力の小さい運搬混合装置の例としては、Turbulizer(登録商標)連続式、高せん断パドルミキサー(Bepex International LLC社(333 N.E.Taft Street,ミネソタ州ミネアポリス55413 USA)製)が挙げられる。パドル要素は、その角度とハウジングとのクリアランスを調整可能である。このパドルミキサーの特徴と、パドル先端部の最大3962m/分(13,000フィート/分)の速度とによって、材料の滞留時間、混合の強度、又は材料にかかるせん断力とを柔軟に制御することができる。滞留時間は制御可能であり、非常に短いもの、例えば2〜30秒の範囲にすることができる。パドルミキサー内の材料が、薄い作業層となっていると、ジャケット付きのモデルでは、間接的に熱を移転する効率が良好となり、起動時及び終了時の製品ロスをなくす、自己清掃効果がもたらされる。
採用可能な別の低圧運搬混合装置は、Solidaire(登録商標)Drying System(Bepex International LLC,333 N.E.Taft Street,ミネソタ州ミネアポリス55413 USA)製)である。このようなシステムは、ジャケット付きのシリンダーを備えており、高速のバドルローターを備える。これにより、材料はよく撹拌され、高密度の薄い層が、ジャケットを備えた容器の壁面に作り出される。そのため、高い熱移転係数が得られ、材料の滞留時間を1分間未満〜約15分間の範囲で調整することができる。気体との接触性が優れているので、一定の速度での乾燥中に、材料の温度を湿球温度とすることができ、また、減圧する必要がなくなる。排気をするのは、密度が低い微細な粒子の場合であり、当該粒子は排気しないと機械的な方法又は気体によって撹拌する装置内で流動化してしまうような粒子の場合である。間接的な熱の移転、すなわち、熱が円筒形のハウジングを介して伝えられる方法を採用してもよく、あるいは、直接的な熱の移転、すなわち熱が、大量の気体を対流させて伝えられる方法を採用してもよい。直接的な熱の移転を、材料と気体との並流によって実現してもよい。上記の2つの要素は、下流側に設けたサイクロン式又は袋式フィルターによって分離され得る。間接的熱移転と直接的熱移転とを組み合わせることもできる。それにより材料の温度を下げながら、エネルギーの効率性を最適化することができる。ジェットローターのデザインは、パドルを通じて、気体又は液体、例えば蒸気を、ユニットの円筒状の壁に沿ってらせん状に流れて行く材料の薄い層に噴射することを可能とする。
採用可能な他の装置には、Bepex Thermascrew(登録商標)Dryerがあるが、これは、熱交換を、中空のスクリューとジャケット付きの本体トラフを介して、間接的に行うものである。製品は、単一のスクリュー又は2つのスクリューの回転によって運ばれる。滞留時間は、ローターの速度によって制御され、数分間〜1時間の範囲である。製品は通常、一方の端部より入り、他方の端部にある排出点にスクリューの回転によって動いていく。熱は、製品が中空のスクリュー、シャフト、及びジャケット表面と接触した際に移転される。熱交換用の媒体は、ローターのジョイント部より入り、中空のスクリューを通って動き、再び外に出る。媒体はまた、製品の出口近くでジャケットに入り、トラフの反対側の端部で排出される。ジャケットに阻流板を配置して、正方向の流れを確保する。スクリューの回転速度で、製品の滞留時間と排出時の温度を制御する。ピッチの短いスクリューをタンブリングさせることで、熱交換を均等に、効率的に行うことができる。本体のスタイルとしては、ジャケットなしのトラフ、ジャケット付きのトラフ、ジャケット付きパイプ状のトラフ、複数のスクリューを備えたトラフなどが含まれる。任意で追加できる、トラフに沿って設ける蒸気ノズルは、直接的且つ伝導的な加熱を可能とし、ユニットを生の蒸気を使った加熱にも有用なものとすることができる。パージ用の気体又は空気を噴射することもできる。Thermascrew(登録商標)は、圧力下でも真空環境でも運転可能であり、プロセス中に生じたどんな気体も回収可能である。ローターのスタイルとしては、トラフと同径の中空スクリュー、及びトラフよりも小径の中空スクリューが含まれる。最初のタイプを用いた場合には、スクリューのねじ山間に、持ち上げ棒を任意で追加してもよい。それにより、製品をひっくり返すことで、撹拌が改善される。第2のタイプを用いた場合には、連続するリボン又は持ち上げ棒を、スクリューの外側縁部に設け、トラフの内側面を流すようにして、製品を更により良く混合し、回転速度を上げ、熱移転係数を改善することができる。
採用可能な他の低圧運搬混合装置は、Bepex Continuator(登録商標)Dryerであるが、同装置はジャケット付きトラフを有して、間接的熱移転を実行する。特別に設計された、トラフ下部のノズルを通じて気体を加えることで、このドライヤは製品と気体との接触を最大化している。これにより揮発性の材料の大量移転を実現し、Continuator(登録商標)Dryerは、非常に微細な粒径を有するか又は流動性が乏しい材料中にしっかり閉じ込められている揮発性物質を取り除くのに理想的なものとなっている。長く、低い形状である、この間接的熱移転システムは、Solidaire(登録商標)Dryerを使った後の第2段階として用いることができる。容器は、バッチ作業又は連続的作業に向いた形に設計され得る。また、高圧要件又は真空要件のいずれかを満たすように設計してもよい。
本発明の実施形態においては、低圧運搬混合装置は、上流側又は入力側端部から、下流側又は出力側端部に向けて、一連のツイン式リード送りスクリュー、一連の混練用ブロック、流れ止め要素、単一のリード送りスクリュー、一連の混練用ブロック、単一のリード送りスクリュー、及びツイン式リード排出送りスクリューを含むスクリュー構成を有していてよい。
本発明の実施形態においては、処理温度、処理時間、及び低圧運搬混合装置内に含まれる水の量を制御して、風味を増加させるために熱処理され、安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分内の安定化の結果生じるデンプンの糊化が、示差走査熱量計(DSC)で測定して約25%未満、好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満となるようにする。本発明において実現される、デンプンの糊化が少ないこと、デンプンへのダメージが少ないことは、デンプンの融解エンタルピーが、熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分中のデンプンの重量に基いて、ピーク温度約65℃〜約70℃で示差走査熱量計(DSC)にて測定して、約4000Gy(約4J/g)より大きいこと、好ましくは約5000Gy(約5J/g)より大きいことにより示されている。このような実施形態では、熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分の重量に基いて、ピーク温度約60℃〜約65℃で示差走査熱量計(DSC)にて測定して、熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、デンプンの融解エンタルピーが約2000Gy(約2J/g)より大きくてもよい。一般に、デンプンの糊化は、a)十分な量、一般にデンプンの重量に基いて少なくとも約30重量%、の水が加えられ、デンプンと混合された場合、及び、b)デンプンの温度が少なくとも約80℃(176°F)、好ましくは100℃(212°F)以上に上げられた場合に起こる。糊化温度は、デンプンとの相互作用に利用可能な水分の量によって変わる。利用できる水分が少なければ、糊化温度は高くなる。なお糊化とは、デンプン粒内での分子秩序の崩壊(破壊)であり、不可逆的な物性の変化によって現れるものとして定義することが可能である。そのような物性には、粒の膨張、固有の微結晶の融解、複屈折性の喪失、デンプン可溶化などがある。糊化の初期段階の温度と、糊化が起こる温度の範囲は、デンプンの濃度、観察方法、粒のタイプ、観察下にある粒子内での不均質性により左右される。ペースト化は、デンプン融解の第1段階である糊化に続く第2段階の現象である。ペースト化は、粒の膨張が増大すること、及び分子成分(すなわち、アミロース、次にアミロペクチン)が粒から滲出することを含み、最後に、粒が完全に破壊することを伴う。詳しくは、Atwell et al.,「The Terminology And Methodology Associated With Basic Starch Phenomena,」Cereal Foods World,Vol.33,No.3,pgs.306〜311(March 1988)を参照。
本発明の方法により得られたふすま、胚芽、及び胚乳を有する、熱処理され安定化された全粒小麦粉は、焼成時の機能性及びたんぱく質の機能性に優れている。それは、乳酸溶剤保持力(SRC乳酸)が、65%以上、好ましくは70%より大きいことに現れており、乳酸SRCvs炭酸ナトリウム−水溶剤保持力(SRC炭酸ナトリウム)の割合が、1より大きく、好ましくは1.1より大きいことにも現れている。
ケーキ及びパンをはじめとする高含水量の焼成製品の用途のように、ふすま及び胚芽成分に含有されるデンプンの実質的糊化が達成されるように、ふすま及び胚芽成分の加熱が行われる実施形態においては、運搬及び混合は、高圧下で、比較的大きなせん断力によって、調理用押出し機内で実行される。加熱時含水量は高いが、それでもなお、甘い、カラメル風味を実現し、焼き焦げることなくメイラード褐変が起こるには十分な程度低くなっている。そのような実施形態においては、加熱される挽きふすま及び胚芽成分は、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、約10重量%〜約25重量%、好ましくは約12重量%〜約18重量%、最も好ましくは約14重量%〜約16重量%の含水量を有する。挽きふすま及び胚芽成分又は画分の加熱は、入力時又はフィード時の温度が約49℃(約120°F)未満であり、そこから装置の出口時点での温度が約141℃〜約210℃(約285°F〜約410°F)、好ましくは約149℃〜約202℃(約300°F〜約395°F)、最も好ましくは154℃〜166℃(約310°F〜約330°F)となるように実行されてよく、そのような温度での加熱は、挽きふすま及び胚芽成分又は画分中の揮発性の小麦風味又は渋み成分及び水分を揮発させて、ふすま成分中のバター風味、ナッツ風味、カラメル風味を増加させるのに十分である。加熱と排気が、ふすま及び胚芽成分の含水量を約30重量%〜約75重量%減らし、含水量が約4重量%〜約10重量%、好ましくは約5重量%〜約8重量%、最も好ましくは約6重量%〜約7重量%の乾燥した挽きふすま及び胚芽成分又は画分を、調理用押出し機の出口金型から得るのに十分なように実行される。なお、このような含水量であることは、カラメル風味を増加させるためには極めて重要である。調理用押出し機内での加熱時間は、約1分間未満であってよく、例えば約10秒間〜約35秒間であってよい。
調理押出し機の入力、又は比機械エネルギー(SME)は、約20Whr/kg〜約120Whr/kg、好ましくは約20Whr/kg〜約120Whr/kg、好ましくは約30Whr/kg〜約60Whr/kg、最も好ましくは約35Whr/kg〜約55Whr/kgであってよい。SMEは、(実際のスクリュー速度/定格スクリュー速度)×パーセントトルク(定格モーターの定格電力/送り速度(kg/時)=キロWhr/KGとして計算できる。せん断速度は、約2000/分〜約6000/分、好ましくは約3000/分〜約5000/分、最も好ましくは約3500/分〜約4500/分であってよい。調理用押出し機の出口金型の圧力は約1MPa〜約10MPa(約200psi〜約1500psi)、好ましくは約3MPa〜約8.3MPa(約500psi〜約1200psi)、最も好ましくは約4MPa〜約7.6MPa(約600psi〜約1100psi)であってよい。
本発明の実施形態において採用し得る調理用押出し機の例が、Buehler,Baker Perkins社、又はWerner & Pfleiderer社によって製造されており、例えば、Werner & Pfleiderer社製ZSK−57押出し機がある。同機は12個のバレル部を備え、それぞれのバレル部は、加熱要素及び冷却手段と、挽きふすま及び胚芽成分又は画分を送り、混合し、運搬し、混練し、ブロックし、排出するためのツイン式スクリューとを含む。1つ又はより多くの押出し機バレルは、小麦風味揮発性の成分及び水分を取り除くために排気され得るようになっている。押出し機は、直接的蒸気噴射又は間接的蒸気噴射を行うための装備を設けられていてもよい。
本発明の実施形態においては、処理温度、処理時間、及び高圧高せん断運搬混合装置又は調理用押出し機における含水量が、風味を増加させるための熱処理及び熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分における安定化の結果生じるデンプンの糊化が、示差走査熱量計(DSC)で測定して、25%より大きくなるように、例えば約50%〜約85%、又は本質的に完全に、言い換えると100%糊化するように、制御され得る。高程度にデンプンの糊化が起こり、デンプンへのダメージが拡大していることは、デンプンの融解エンタルピーが、熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分中のデンプンの重量に基いて、ピーク温度約65℃〜約70℃で示差走査熱量計(DSC)にて測定して、4000Gy(4J/g)未満であること、例えば、約3000Gy(約3J/g)未満であることにより示されている。このような実施形態では、熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分の重量に基いて、ピーク温度約60℃〜約65℃で示差走査熱量計(DSC)にて測定して、熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、デンプンの融解エンタルピーが約2000Gy(約2J/g)未満となり得る。
挽きふすま及び胚芽成分又は画分の熱処理により、小麦風味の成分を揮発させるが、そのような成分には、1種類又はそれより多くの脂肪酸化化合物、飽和アルデヒド、及び不飽和アルデヒドが含まれ、例えば、ヘキサナール、ヘプタジエナール、ノナナール、デカナール、ノネナール、ヘプテナール、1−オクテン−3−オン、3,5−オクタジエン−2−オン、デカジエナール、ノナジエナール、オクテナール、及びそれらの組み合わせ又は混合物があり、それらは、減圧を伴う又は伴わない排気を行うこと、及び蒸気又は水分を揮発させて取り除く除去処理によって、装置から取り除かれる。熱処理は、ナッツ風味、甘い風味、バター風味、及びカラメル風味の成分、又はメイラード反応風味成分も作り出す。これらはピラジン及びジメチルピラジンを含み、機械が運転されている条件の下では、揮発性が小さいか、不揮発性である。そのため、熱処理された挽きふすま及び胚芽成分又は画分に留まる。ふすま及び胚芽成分又は画分の熱処理中に揮発成分を排気することで、小麦風味に関連した揮発性の化合物の量を減らすことができ、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分を含有する全粒小麦粉から作られる焼成製品の全体的風味に良い影響を及ぼす、ナッツ風味の化合物を増やすことができる。安定化されていない、熱処理されていないふすま及び胚芽と比べて、小麦臭さと関連した化合物の量が少ないことは、熱処理中に揮発性の化合物を排気したことで、揮発性の化合物が、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分によって作られる全粒小麦粉に持ち越される可能性を減らしたということを示している。小麦臭さと関連する化合物(ヘキサナール、ヘプタジエナール、ノナナール、デカナール、ノネナール、ヘプテナール、1−オクテン−3−オン、3,5−オクタジエン−2−オン、デカジエナール、ノナジエナール、オクテナール、及びそれらの組み合わせ又は混合物)は、熱処理され安定化されたふすま及び胚芽成分又は画分内では、未処理のふすま及び胚芽成分又は画分内と比べて少ないということがわかっている。ヘキサナール、ヘプタジエナール、ノナナール、デカナール、ヘプテナール、1−オクテン−3−オン、3,5−オクタジエン−2−オン、及びオクテナールは、酸敗臭を出すものと感じられ、ノネナールは、低い十億分率の量であっても、草のような臭い及び青臭さとして感じられる。また、ノナジエナール及びデカジエナールは、低い十億分率の量であっても、低い十億分率であっても、脂っぽい、酸敗臭のするような、クラッカーの中のボール紙のようなものとして感じられるが、それらのレベル量は熱処理され安定化されたふすま及び胚芽成分の製品においては、少なくなっている。実施形態において、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分内での、1種類又はそれより多くの種類のこれら揮発性の化合物の量又はレベルは、ヘッドスペースGC−MS分析を用いて監視又は分析され得る。また、そのレベルは、未処理のふすま及び胚芽成分又は画分の比較対照例におけるレベルと比較される。この分析に基いて、熱処理の条件、例えば、温度、水分、処理時間、及び/又はSMEが調整されて、それらを取り除く量を増やし、小麦臭さを減らし、味を評価する専門化団による感覚評価によって判定される風味を改善することができる。他の実施形態において、排気された気体内での、1種類又はそれより多くの種類のこれら揮発性の化合物の量又はレベルは、ヘッドスペースGC−MS分析を用いて、定期的又は継続的に監視又は分析され得る。また、熱処理の条件、例えば、温度、水分、処理時間、及び/又はSMEが調整されて、それらを取り除く量を増やし、小麦臭さを減らし、味を評価する専門化団による感覚評価によって判定される風味を改善することができる。
挽きふすま及び胚芽成分又は画分で、本発明の風味を増加させるための熱処理により処理されたものは、ふすま及び胚芽画分又はふすま成分及び胚乳画分を得るための、及び小麦粉を得るための既知の製粉及び/又は挽粉作業を用いて全粒を製粉することにより得ることができる。得られる画分及び成分は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0136173 A1号(Korolchuk)、米国特許出願公開第2006/0073258 A1号(Korolchuk)、米国特許出願公開第2007/0292583号、米国特許第8,133,527号、米国特許第8,173,193号、及び国際特許出願公開第WO/2007/149320号(上記はそれぞれHaynesら)、米国特許出願公開第2007/0269579号(Dreeseら)及び米国特許第7,258,888号(Dreeseら)に開示されるような粒径分布を有する。好ましい実施形態において採用され得る、ふすま及び胚芽画分又はふすま成分及び胚乳画分を得るため、及び小麦粉を得るための小麦粉の製粉及び/又は挽粉作業、更に当該部分及び成分の粒径分布が、米国特許出願公開第2007/0292583号、米国特許第8,133,527号、米国特許第8,173,193号、国際特許出願公開第WO/2007/149320号(以上Haynesら)、米国特仮許出願第61/457,315号(2011年2月24日出願)、及び国際出願第PCT/US12/26490号(2012年2月24日出願)で、WO2012/148543A1号として公開されたもの(それぞれ、Derwin G.Hawleyら)に開示されており、これらの開示内容はその全体が、本明細書に参照によって組み込まれる。本発明の実施形態においては、リパーゼ阻害剤による処理で安定化をすることができ、そのような阻害剤は、本発明の熱処理と共に採用され得るが、国際特許出願公開第WO/2012/142399号(Bin Zhaoら)に開示されており、その開示内容の全体が、本明細書に参照により組み込まれる。こうして、開示された方法で製造される製品の小麦風味を減らし、カラメル風味を高めることができる。
例えば、本発明の実施形態において採用可能な製粉及び挽粉作業が、前記同時係属中の米国特仮許出願第61/457,315号(2011年2月24日出願)、国際出願第PCT/US12/26490号(2012年2月24日出願)でWO2012/148543A1として公開されているもの(それぞれ、Derwin G.Hawleyら)に開示されており、それにより製造できるのは、安定化された全粒小麦粉で、その粒径分布は、No.35(500ミクロン)米国標準ふるい上に0重量%、No.70(210ミクロン)米国標準ふるい上に約20重量%以下、好ましくは約10重量%以下であり、又は安定化された全粒小麦粉で、その粒径分布が、No.70(210ミクロン)米国標準ふるいを最大約100重量%通過するものであり、且つ又は安定化された全粒小麦粉でその粒径分布が、149ミクロン以下のものが少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%で、且つ250ミクロンより大きいものが5重量%以下であるものである。本発明の実施形態においては、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の持ち得る粒径分布は、No.35(500ミクロン)米国標準ふるい上に15重量%以下、好ましくは12重量%以下、最も好ましくは0重量%、且つ、No.70(210ミクロン)米国標準ふるい上に約40重量%以下、例えば、約35重量%以下、好ましくは約20重量%以下、最も好ましくは約10重量%以下である。また、実施形態においては、挽きふすま及び胚芽成分又は画分が持ち得る粒径分布は、149ミクロン以下の粒径を持つものが少なくとも約65重量%、例えば少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約85重量%、及び250ミクロンより大きな粒径を持つものが約15重量%以下、例えば約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、149ミクロンより大きく250ミクロン以下の粒径を持つものが最大約40重量%、例えば最大約25重量%となっている。実施形態において、挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、固形物ベースで、そのデンプンの含有量が、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の重量に基いて、約10重量%〜約60重量%、例えば約10重量%〜約45重量%であってよい。挽きふすま及び胚芽成分又は画分の量は、全粒の総重量に基づいて、約20重量%〜約40重量%、一般に約25重量%〜約40重量%、好ましくは約31重量%〜約40重量%、最も好ましくは約32重量%〜約35重量%であってよい。
本発明の他の実施形態においては、前記米国特許出願公開第2007/0292583号、米国特許第8,133,527号、米国特許第8,173,193号、及び国際特許出願公開第WO/2007/149320号(それぞれHaynesら)に開示されているような製粉及び挽粉作業が採用されてよく、それにより作られる安定化された全粒小麦粉は、その粒径分布が約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満がNo.35(500ミクロン)米国標準ふるい上に、約20重量%〜約40重量%がNo.60(250ミクロン)米国標準ふるい上に、約10重量%〜約60重量%、好ましくは約20重量%〜約40重量%がNo.100(149ミクロン)米国標準ふるい上に、及び約70重量%未満、例えば約15重量%〜約55重量%が、No.100(149ミクロン)米国標準ふるいを通過するものとなっている。採用される挽かれた又は製粉されたふすま及び胚芽成分又は画分は、ふすまを、挽かれた粗い画分の重量に基づいて少なくとも約50重量%の量で含有し得る。挽かれた粗い画分又はふすま成分に存在する胚芽の量は、未処理の穀粒中でのふすまに対する相対量とほぼ同じである。挽かれた粗い画分中に存在するデンプン又は胚乳の量は、挽かれた粗い画分の重量に基づいて、約40重量%未満であってよく、しかし一般的には少なくとも約10重量%であり、例えばデンプンが約15重量%〜約35重量%であり、好ましくは約30重量%以下である。好ましい実施形態においては、挽かれた粗い画分は、挽かれた粗い画分の重量に基づいて、少なくとも約60重量%のふすま、及び少なくとも約10重量%の胚芽を含み得る。挽かれた又は製粉されたふすま及び胚芽成分又は画分の持ち得る粒径分布は、当該画分又は成分の少なくとも約40重量%が、149ミクロン以上の粒径であり、及び約35重量%以下が500ミクロン以上の粒径である。他の実施形態においては、挽かれた又は製粉された粗い画分又はふすま成分が持ち得る粒径分布は、約0.5重量%〜約5重量%の粒径が841ミクロン以上、約10重量%〜約30重量%の粒径が841ミクロン未満であり且つ500ミクロン以上であり、約25重量%〜約70重量%の粒径149ミクロン以上であり且つ500ミクロン未満であり、及び約60重量%以下の粒径が149ミクロン未満である。ただしこれらの数字をそれぞれ足して、トータルで100重量%となる。より好ましくは、挽かれた又は製粉された粗い画分又はふすま成分が持ち得る粒径分布は、約0.5重量%〜約5重量%の粒径が841ミクロン以上、約15重量%〜約25重量%の粒径が841ミクロン未満であって且つ500ミクロン以上であり、約45重量%〜約60重量%の粒径149ミクロン以上であり且つ500ミクロン未満であり、及び約10重量%〜約30重量%の粒径が149ミクロン未満である。ただしこれらの数字をそれぞれ足して、トータルで100重量%となる。
含水量が約8%〜約15重量%の全穀粒を用いることができるが、含水量が約10重量%〜約14.5重量%のものが製粉又は挽粉用には好ましく、含水量が約12.5重量%〜約13.5重量%のものが特に好ましい。穀粒中の水分が少な過ぎると、穀粒が望ましくない形で粉砕されたり、デンプンにダメージが加わったりする恐れがある。水分が多すぎると、穀粒は、デンプンの糊化が過度になりやすく、製粉又は挽粉を困難にする恐れがある。これらの理由により、穀粒含水量は、製粉直前時点で約10重量%〜約14.5重量%であることが望ましい。穀粒含水量が低過ぎれば、製粉に先立って乾燥した穀粒に水分を加えて、製粉するために許容可能なレベルまで含水量を増やす。水分の追加は、水溶液中にて穀粒をテンパリングをすることで実現されてもよく、又は、その表面に水溶液を噴霧して実現されてもよい。また穀粒を、十分な時間水に浸けて、水をふすま及び胚芽中に吸収及び分配させてもよい。
全粒は、主として胚乳、ふすま、及び胚芽を、多い順にそれぞれ含有する。小麦の全粒においては、例えば、まだ畑にある時には、未処理の穀粒の重量に基づいて、水分が約13重量%、胚乳又はデンプンが約83重量%、ふすまが約14.5重量%、及び胚芽が約2.5重量%である。胚乳はデンプンを含有し、たんぱく質の含有量は、胚芽及びふすまにおけるものよりも小さい。胚乳は、粗脂肪及び灰分も少ない。ふすま(果皮又は外皮)は、表皮の下にある成熟した子房の壁であり、種皮に至る細胞の外側の層すべてを含む。ふすまには、セルロース及びペントサンといった非デンプン多糖類が多く含まれる。ふすま又は果皮は、その高い食物繊維含有量ゆえに非常に堅い傾向があり、とりわけ粒径が大きい場合に、乾いた、ザラザラした口当たりをもたらす。またふすまは、穀粒のリパーゼ及びリポキシゲナーゼの多くの部分を含有しており、そのため安定化される必要がある。挽粉又は製粉の程度を上げると、ふすまの粒径はデンプンの粒径に近づき、ふすま及びデンプンを分離することがより困難となる。また、機械的エネルギーの投入量の増加、及び胚乳と比べてふすまが粗いこと、そしてデンプンの粒が破裂することにより、デンプンのダメージは増える傾向にある。また、機械的なダメージを受けたデンプンは、より糊化しやすくなっている。胚芽は、脂肪油の含有量の多さにその特徴がある。また胚芽は、粗たんぱく質、糖類、及び灰分にも富んでいる。
本発明の実施形態においては、実又は穀粒の内側部分を実質的に湿らすことなく、外側部分が湿るようにするように全粒をテンパリングすることで、ふすま画分の含水量を制御し得る。そのような処理により、実の外側又はふすま及び胚芽部を安定化処理に向けて湿らせながら、実又は穀粒の内部又は胚乳から得られる繊細な部分を乾燥させる必要性を回避又は実質的に減少させる。表面又はふすまを湿らせるために用いることができるテンパリング方法は、例えば、全粒を、槽又はバットに、一定の限られた時間浸すことを含む。他の実施形態においては、全粒の表面に水を噴霧して、軟らかくする。テンパリング時間は、本発明のいくつかの実施形態によれば、約10分間〜約24時間とすることができる。穀粒をあまり長い時間浸けておくのは望ましくない。というのは、その結果として、水が穀粒深くにまで浸透し、穀粒の内側部分まで湿らせることで、デンプンの糊化が過度に進んでしまう虞があるからである。
他の実施形態においては、全粒ではなくむしろ又は全粒に加えて、1種類又はそれより多くの種類のふすま及び胚芽画分又はふすま成分が湿らされて、ふすま及び胚芽画分又はふすま成分の含水量を望ましいものとする。本発明の実施形態においては、ふすま及び胚芽画分又はふすま成分は、水溶液によって給水されてもよいが、その給水は、給水されたふすま及び胚芽成分又は画分が、熱処理に先立って、風味を増し安定化をするために望ましい含水量となる程度で行うようにする。
本発明の実施形態においては、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分は、周囲の空気中で冷却してもよい。他の実施形態においては、熱処理後の冷却は、任意追加的に、従来の冷却装置によって制御されてもよく、それによりデンプンの望ましくない糊化が起こる可能性を更に最小化することができる。一般に、約60℃より低い温度の、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分内では、糊化が実質的に更に進行することはない。それゆえに、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分を室温又は約25℃まで冷却するとよい。
本発明の他の実施形態においては、熱処理され、安定化されたふすま及び胚芽成分又は画分を、胚乳画分と組み合わせて、本発明の安定化された全粒小麦粉のような、安定化された全粒小麦粉を得ることができる。安定化された全粒小麦粉のような安定化された全粒小麦粉は、ふすま、胚芽、及び胚乳を含む。熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分は、好ましくは、胚乳画分が由来するのと同じ全粒から由来するものである。しかしながら、他の実施形態においては、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分は、異なる穀粒源に由来する又は、それから得られた胚乳画分と組み合わされても、ブレンドされてもよい。しかしながら、それぞれの実施形態では、熱処理され安定化されたふすま及び胚芽成分又は画分、及び胚乳画分は、組み合わされ、又はブレンドされて、安定化された全粒小麦粉を提供するようになっている。当該全粒小麦粉は、胚乳、ふすま、及び胚芽を、未処理の穀粒におけるのと同じ、又は実質的に同じ相対比率で含む。
熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、当該分野で既知の従来の計量及びブレンド装置を用いて、胚乳画分とブレンドされ、組み合わされ、又は混合され得る。そうして少なくとも実質的に均質な安定化された全粒小麦粉で、小麦風味を実質的に減らした又はゼロにする一方で、ナッツ風味、バター風味、甘い風味、焦がし風味、カラメル風味を有する全粒小麦粉を得ることができる。用いることができるミキサー装置又はブレンド装置の例は、バッチ式ミキサー、回転ドラム、連続式ミキサー、及び押出し機を含む。
安定化された全粒小麦粉のような安定化された全粒小麦粉の含水量は、安定化された全粒小麦粉の重量に基づいて、約10重量%〜約14.5重量%であってよく、且つその水分活性は約0.7より小さくてよい。実施形態においては、安定化された全粒小麦粉は、安定化された全粒小麦粉の重量に基づいて、たんぱく質含有量が約10重量%〜約14重量%、例えば約12重量%であり、脂肪の含有量が約1重量%〜約3重量%、例えば約2重量%であり、灰分の含有量が約1.2重量%〜約1.7重量%、例えば約1.5重量%であってよい。
デンプンの糊化の程度が低い、Bepex Turbulizer(登録商標)連続式高せん断パドルミキサーのような低圧運搬混合装置を用いて製造された、熱処理された挽きふすま及び胚芽成分又は画分を含有する、安定化された全粒小麦粉は、焼成時の機能性に優れ、AACC 10−53ベンチトップ法により測定した、オーブン内での広がり又はクッキーの広がりが、元々の焼成前の生地の直径の少なくとも約130%となる。
開示される実施形態は、任意の及びすべてのタイプの小麦に適用できる。それらに限られないが、小麦の実は、軟質/軟質、及び軟質/硬質小麦の実から選択してよい。それらは、白色小麦若しくは赤色小麦の実、硬質小麦の実、軟質小麦の実、冬小麦の実、春小麦の実、デュラム小麦の実、又はそれらの組み合わせを含む。本発明の様々な又はある実施形態又は態様によって加工され得る他の全粒の例としては、例えば、オーツ麦、トウモロコシ、コメ、ワイルドライス、ライ麦、大麦、ソバ、ブルグァ麦、キビ類、及びソルガム等、並びにそれらの全粒の混合物が含まれる。
本発明の実施形態は、安定化されたふすま及び胚芽成分若しくは画分又は材料に対して、及び安定化された全粒小麦粉のような安定化された全粒小麦粉に対して、原材料の安定性及び風味の改善を提供する。また、加速化された貯蔵条件でも1か月よりも長期、例えば2か月以上の賞味期間を可能とする。より安定的な食品は、同じ条件の下では、より不安定な食品よりも、酸敗臭を発するようになるまで、長期にわたって貯蔵できる。酸敗臭の有無は、多くの異なる方法で、監視及び測定が可能である。そうした方法には、感覚試験(例えば、味及び/又は臭い分析)、リポキシゲナーゼ又はリパーゼ活性レベル測定、遊離脂肪酸レベル測定、及び/又はヘキサナールレベル測定を含む。
本発明の他の実施形態においては、熱処理された挽きふすま及び胚芽成分若しくは画分、又は安定化された全粒小麦粉のような安定化された全粒小麦粉は、精白された小麦粉と組み合わされ、混合され、又はブレンドされ得る。そうして、強化小麦粉のような、強化された小麦粉、製品、又は材料が得られる。強化された粉製品は、熱処理され安定化されたふすま及び胚芽成分若しくは画分、又は安定化された全粒小麦粉のような安定化された全粒小麦粉を、強化された小麦粉製品のような強化された粉製品総重量に基づいて、約14重量%〜約40重量%、例えば約20重量%〜約30重量%の量で含み得る。
安定化された全粒小麦粉のような安定化された全粒小麦粉は、様々な食品中で、精白された小麦粉又はその他の粉に部分的に又は完全に置き換わって用いられ得る。例えば、本発明の実施形態においては、少なくとも約10重量%、多くても100重量%、例えば約30重量%〜約50重量%の精白された小麦粉が、安定化された全粒小麦粉に置き換えられ得る。そして精白された小麦粉製品の栄養価を、もしあるとしてもごくわずかな劣化を、製品の見た目、食感、芳香、又は味に及ぼすだけで高めることができる。
本発明の1つの実施形態で得られる、熱処理され安定化されたふすま及び胚芽成分又は画分、及び安定化された全粒小麦製品のような安定化された全粒製品は、包装され、安定的に貯蔵され、且つその後に又は即座に、食品生産に使うことができる。安定化されたふすま製品及び粉製品は、最終的な食品となるべく、水及び他の適用可能な材料を加え、混合、成形、及び焼成又は揚げる等、更なる加工処理をされる準備ができている。熱処理された安定化されたふすま及び胚芽成分又は画分、及び全粒小麦粉のような全粒小麦粉を含有する生地は、大量生産式に、連続的に生産され、機械にかけられて、例えばシート化、積層化、型で成形、押出し加工又は共押出し加工、及び切断される。最終的な全粒製品(例えば、ビスケット、クッキー、クラッカー、スナックバー等)は、心地良い、粒状感のない食感であり、ナッツ味、甘い味、焦がし味、及びカラメル味の特性を有している。
本熱処理され安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分、及び安定化された全粒小麦粉製品のような安定化された全粒小麦粉製品は、様々な広い種類の食品で用いられ得る。そのような食品は、デンプン質の食品、及びビスケットタイプの製品、特にパスタ製品、すぐに食べられるシリアル、及び菓子類を含む。1つの実施形態において、食品は、ベーカリー製品又はスナック食品であり得る。ベーカリー製品には、クッキー、クラッカー、ピザ生地、パイ生地、パン、ベーグル、プレッツェル、ブラウニー、マフィン、ワッフル、ペストリー、ケーキ、クイックブレッド、ロールケーキ、ドーナッツ、フルーツ及び穀物バー、トルティージャ、及び半焼きのベーカリー製品を含み得る。スナック製品は、スナックチップ及び、押し出されて、膨らませたスナックが含まれ得る。食品は、とりわけ、クッキー、クラッカー、及びシリアルクランチバーから選び得る。クッキーは、バータイプの製品でもよく、また、押出し成形されたもの、共押出し成形されたもの、シート化されてカットされたもの、回転させて成形されたもの、ワイヤでカットされたもの、又はサンドイッチクッキーであってもよい。生産され得るクッキーの例には、砂糖ウェハー、フルーツの入ったクッキー、チョコチップクッキー、砂糖クッキー等が含まれる。クラッカーは、発酵タイプのものでも、非発酵タイプのものでもよく、また、グラハムクラッカーでもよい。生産される焼成製品は、クラッカー又はクッキーであって、脂質をカットしていないものでも、減脂肪のものでも、低脂肪のものでも、脂質フリーのものでもよい。
水とは別に、クッキー、クラッカー、及びスナック材料であって、安定化された全粒小麦粉のような安定化された全粒小麦粉に混ぜられ得るものには、エンリッチ小麦粉、植物性ショートニング、砂糖、塩、高果糖コーンシロップ、膨張剤、風味添加剤、及び着色剤が含まれる。用いられ得るエンリッチ小麦粉には、ナイアシン、還元鉄、チアミン、モノニトレート、及びリボフラビンで強化された小麦粉が含まれる。用いられ得る植物性ショートニングは、部分的に水素添加された大豆油から作られるものが含まれる。用いられ得る膨張剤には、リン酸カルシウム及びベーキングソーダが含まれる。用いられ得る着色剤には、アナトー抽出物、及びターメリックのオレオレジンのような植物性着色剤が含まれる。
いくつかの実施形態においては、作られる生地が、前述のクッキー、クラッカー、及びスナック材料の様々な組み合わせを含んだ生地が含まれる。いくつかの実施形態によると、上述の材料のすべては、均質に混合され、且つ水分量が制御されて、好ましい稠度の生地が形成される。得られた生地は、小片に形成され、且つ焼成され又は揚げられて、製品が作られるが、当該製品は、水分、形状、見た目、食感、及び風味の属性に優れている。
本発明の実施形態においては、安定化された全粒小麦粉及び任意で追加できる他の、本発明のクッキー、ビスケット、及びクラッカーのような焼成製品の組成物に用いられ得る粉類のような、粉成分の総量は、内包物の重量を含まない生地の重量に基づいて、例えば、約20重量%〜約80重量%、好ましくは約45重量%〜約75重量%である。他に特にことわらない限り、すべてのパーセンテージは、生地を形成している全材料の総重量に基づいて、又は菓子又は風味チップ又は小片、ナッツ、レーズン等をはじめとする内包物を除いた主要な構成物の重量に基づいている。したがって、「生地の重量」には、内包物の重量は含まれず、しかし「生地の総重量」には、内包物の重量も確かに含まれる。
生産される製品の食感を変えるために用いられ得るプロセス対応型材料は、蔗糖、果糖、乳糖、ブドウ糖、ガラクトース、マルトデキストリン、固形コーンシロップ、水素添加デンプン水解物、たんぱく質の水解物、グルコースシロップ、以上のものの混合物等の糖類が含まれる。果糖、麦芽糖、乳糖、及びブドウ糖のような、還元糖類又は還元糖類の混合物は、焦がし目を形成するのを助けるために用いられ得る。果糖の源の例としては、転化シロップ、高果糖コーンシロップ、糖蜜、ブラウンシュガー、メープルシロップ、それらの混合物等が含まれる。
砂糖のような食感を変える材料は、例えば、結晶質糖又はグラニュー糖、グラニュー化したブラウンシュガー、又は結晶質の果糖固形の形で、他の材料と混合され得る。あるいは、液体形でもよく、例えば蔗糖シロップ、又は高果糖コーンシロップが例として挙げられる。本発明の実施形態においては、保水性の糖類、例えば、高果糖コーンシロップ、麦芽糖、ソルボース、ガラクトース、コーンシロップ、グルコースシロップ、転化シロップ、はちみつ、糖蜜、果糖、乳糖、ブドウ糖、及びこれらの混合物が、焼成製品の噛みごたえを向上させるために、用いられ得る。
保水性の糖類に加えて、他の保水剤又は、糖類以外の保水剤若しくは蔗糖に比べて甘味の少ない保水剤の水溶液が、生地又はバッターに用いられてもよい。例えば、グリセロール、糖アルコール類、例えば、マンニトール、マルチトール、キシリトール及びソルビトール、並びにその他のポリオール類が保水剤として用いられ得る。保水剤ポリオール(すなわち、多価アルコール)の追加的例は、グリコール類、例えばプロピレングリコール、及び水素添加グルコースシロップを含む。他の保水剤は、糖エステル、デキストリン、水素添加デンプン水解物、及び他のデンプン水解物製品が含まれる。
実施形態においては、糖類固形物成分の総量、又は例えば作られる生地の食感を変える材料の含有量は、内包物を除く生地の重量に基づいて、ゼロから約50重量%までの範囲であってよい。
糖類固形物は、そのすべて又は一部が、従来の砂糖代替品、又は従来の増量剤、例えばポリデキストロース、ホロセルロース,微結晶性のセルロース、及びそれらの混合物等、によって代替されてもよい。ポリデキストロースは、カロリーを減らした焼成製品を作るための、好ましい砂糖代替品又は増量剤である。当初の糖類固形物含有量の、少なくとも約25重量%、例えば少なくとも約40重量%、好ましくは約50重量%〜約75重量%が、代替される量の例である。
実施形態においては、ポリデキストロースのような、従来の砂糖代替品、従来の増量剤、又は従来の粉代替品の量は、内包物を除く生地の重量に基づいて、約10重量%〜約35重量%であってよく、例えば約15重量%〜約25重量%であってよい。
生地含水量は、適切な成形、機械処理、及びカッティングを可能とする所望の稠度を実現するのに十分であるべきである。生地の総含水量には、個別に追加材料として含まれるすべての水と、粉(通常、約12%〜約14重量%の水分を含む)によって提供される水分と、すべての増量剤又は難消化性デンプンタイプIII材料のような粉代替品に含まれる水分と、配合に含まれる、高果糖コーンシロップ、転化シロップ、又はその他の液体保水剤のような、その他の生地添加物に含まれる水分とが含まれる。
個別に追加された水と、用いられ得る生地又はバッターの含むすべての水分とを含む、生地又はバッター内の水分のすべての源を考慮すると、生地又はバッターの全含水量は、内包物を除く生地又はバッターの重量に基いて、概ね約50重量%未満、好ましくは約35重量%未満である。例えば、用いられるクッキー生地は、含水量が、内包物を除く生地の重量に基づいて、約30重量%未満であってよく、一般に約10重量%〜約20重量%であってよい。
本発明の生地及び焼成製品を得るために用いられ得る油脂類組成物は、任意の既知のショートニング又はバターのような、焼成用途に有益な、脂質ブレンド若しくは組成物を含み得るが、従来の食品グレードの乳化剤を含み得る。植物性油、ラード、魚油、及びそれらの混合物は、分溜され、部分的に水素添加され、及び/又はエステル交換されるが、これらは、本発明において用いられ得るショートニング又は脂質の例である。食用の、カロリーを減らした又は低カロリーの、部分的に消化可能な又は消化可能ではない脂質、脂質代替品、又は蔗糖ポリエステルのような合成脂質、又はプロセス対応型トリアチルグリセリドを用いることができる。望ましい稠度及び融解プロファイルを得るために、硬質及び軟質の脂肪の混合物、又はショートニング及び油類を上記の油の組成物に用いることができる。本発明に用いられる油組成物を得るために用いられ得る食用トリグリセリドの例は、自然から採れるトリグリセリドであって、植物をその起源とするもの、例えば大豆油、パームヤシの仁核油、パーム油、菜種油、サフラワー油、ゴマ油、ひまわり油、及びそれらの混合物を含む。イワシ油、メンハーデン油、ババスー油、ラード、及び獣脂のような魚油及び動物性油も、また用いられ得る。本発明に用いられる油組成物を得るために脂肪酸の合成トリグリセリド、自然由来のトリグリセリドもまた用いられ得る。上記の脂肪酸は、その鎖の長さが8〜24個の炭素原子分である。室温例えば、約24℃〜約35℃(約75°F〜約95°F)で、固体又は半固体のショートニング、又は脂肪を用いてもよい。好ましい油の組成物は、大豆油を含む。実施形態においては、生地は、生地の重量に基づいて最大約30重量%、例えば約5重量%〜約25重量%の、少なくとも1種類の油又は脂肪を含んでいてよい。
本発明の実施形態によって作成し得る焼成製品は、カロリーを減らした焼成製品を含むが、それらは、また、脂肪を減らした製品、低脂肪製品、又は無脂肪製品でもある。本明細書において使われる時には、脂肪を減らした食品とは、その脂肪含有量が、標準的、又は従来の製品よりも少なくとも25重量%減らされている製品である。低脂肪製品は、その脂肪含有量が、基準となる量又は標記される一食分あたり3g以下である。しかしながら、基準となる量が小さい(すなわち、基準となる量が30g以下、又は大匙2杯分以下)場合では、低脂肪製品は、その脂質含有量が、製品50gあたり3g以下である。無脂肪製品は、その脂肪含有量が、基準となる量及び標記される一食分あたり0.5g未満である。塩振りクラッカーのような、料理にそえられているクラッカーに関しては、基準となる量は15gである。スナックとして用いられるクラッカー、及びクッキーに関しては、基準となる量は30gである。したがって、低脂肪クラッカー又はクッキーの脂肪含有量は、製品50gあたり3g以下、又は最終製品の総重量に基づいて、約6%以下である。無脂肪の、料理にそえられているクラッカーは、その脂肪含有量が製品15gあたり0.5g未満、又は最終製品の総重量に基づいて、約3.33%未満である。
上記のものに加えて、生地は、従来からクラッカー及びクッキーに用いられてきた他の添加物を含んでいてよい。そのような添加物には、例えば、牛乳の副産物、卵又は卵の副産物、ココア、バニラ、又はその他の風味料を、従来用いられてきた量で含み得る。
たんぱく質源(それは焼成製品の内包物として好適なものである)が、メイラードの褐変を促すために用いられる生地の中に含まれていてよい。たんぱく質源は、無脂肪の乾燥牛乳固形物、乾燥された又は粉末化された卵、それらの混合物等を含み得る。たんぱく質源の量は、例えば、内包物を除く生地の重量に基づいて、最大約5重量%の範囲であってよい。
生地の組成物は、内包物を除く生地の重量に基づいて、最大約5重量%の膨張系を含んでいてよい。用いられ得る化学的膨張剤又はpH−調整剤には、アルカリ性物質及び酸性物質が含まれるが、例としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、リン酸カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、リン酸二アンモニウム、酒石酸、それらの混合物等、がある。酵母を単独で、又は化学的膨張剤と組み合わせて用いてもよい。
用いられる生地は、抗真菌剤又は保存料、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸等を含み得る。微生物に関連する保存安定性を確保するための量の例としては、内包物を除く生地の重量に基づいて、最大で約1重量%の範囲がある。
乳化剤は、生地中に有効な、乳化をすることが可能な量で含まれ得る。用いられ得る乳化剤の例には、モノグリセリド、ジグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ステアロイルラクチラート塩、及びそれらの混合物が含まれる。用いられ得るポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例には、水溶性ポリソルベート、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)及びそれらの混合物がある。用いられ得る天然レシチンの例には、大豆、ナタネ、ヒマワリ、又はトウモロコシのような植物由来のものと、卵黄のように動物の源に由来するものとが含まれる。大豆油由来のレシチンが好適である。ステアロイルラクチラート塩の例には、アルカリ及びアルカリ土類ステアロイルラクチラート塩があり、その例として、ナトリウムのステアロイルラクチラート塩、カルシウムのステアロイルラクチラート塩、及びそれらの混合物がある。用いられ得る乳化剤の量の例としては、内包物を除く生地の重量に基づいて、最大で約3重量%である。
生地の作製は、クッキー及びクラッカー生地の生産で使われている、従来の生地混合技術及び装置を用いて実行可能である。
焼成時間及び温度は、異なる生地又はバッターの配合、オーブンのタイプ等によってさまざまに変化する。一般に、市販のクッキー、ブラウニー、及びケーキを焼く時間は、約2.5分間〜約15分間の範囲となり得、焼成温度は、約121℃(250°F)〜約315℃(600°F)となり得る。
焼成製品は、保存料なしで、微生物的に関連する保存安定性を確保するためには、その相対的蒸気圧(「水分活性」)が、約0.7未満、好ましくは約0.6未満であればよい。クッキー、ブラウニー、及びケーキ製品は、一般に、含水量が、内包物を除く生地の重量に基づいて、約20重量%未満、例えば、クッキーの場合は約2重量%〜約9重量%である。
例えば、本発明の実施形態においては、グラハムクラッカーのような保存安定性の良いクラッカー又はクッキーを生産するための生地が、安定化された全粒小麦粉を約40重量%〜約65重量%、蔗糖のような、少なくとも1種類の糖類を約15重量%〜約25重量%、植物性油又はショートニングのような少なくとも1種類の油又は脂肪を約5重量%〜約25重量%、少なくとも1種類の保水剤糖類、例えば高果糖コーンシロップ及びはちみつを約0重量%〜約10重量%、たんぱく質源、例えば無脂肪乾燥牛乳固形物を約0重量%〜約1重量%、風味料、例えば塩を約0重量%〜約1重量%、膨張剤、例えば重炭酸アンモニウム及び重炭酸ナトリウムを約0.5重量%〜約1.5重量%、及び追加の水約8重量%〜約20重量%を、含み得る。なお、それぞれの重量%の数字は、生地の重量に基づいており、重量パーセンテージの数字を足すと、100重量%になるようになっている。
ふすま及び胚芽成分及び4つの属性
安定化された全粒小麦粉の生産における、挽きふすま及び胚芽成分又は画分の熱処理は、次のような特性を持つ安定化された挽きふすま及び胚芽成分又は画分及び全粒小麦粉を提供する:
a)保存中に挽きふすま及び胚芽成分又は画分又は全粒小麦粉に形成された遊離脂肪酸(FFA)及び/又はヘキサナールによって測定される、優れた新鮮さが長く続くこと;
b)次のような感覚属性に優れること:小麦風味が減少、干し草味が減少、粒状感又は粒子感のある食感が減少、甘い風味、バター風味、ナッツ風味、カラメル風味、焦がした風味が増加;
c)胞子数によって測定される、微生物に関する安定性に優れること、
それぞれについて、高温度低水分の熱処理及び排気なしで生産した挽きふすま及び胚芽成分又は画分及び全粒小麦粉と比較する。
実施形態においては、安定化された全粒小麦粉は、予想を超えて低いヘキサナール含有量、すなわち、安定化された全粒小麦粉の重量に基づいて約200ppm未満、好ましくは約100ppm未満、最も好ましくは約10ppm未満を、1か月間、加速化した保存環境(95℃)においた後、示し得る。
また実施形態においては、小麦風味及び粒状感のある食感は減少し、及び甘い風味、バター風味、ナッツ風味、焦がし風味、カラメル風味は、高温度低水分の熱処理及び排気なしで生産した比較対照例と比べて増加し得るが、それらの増減は、味を評価する専門化団による、スコア又は1〜100の目盛りを使った感覚評価に基づけば、少なくとも3%、例えば少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、最も好ましくは少なくとも10%であるが、上記目盛りにおいて、評点1は当該感覚属性について最低の強度しか有していないことを、評点100は、小麦風味又は粒状感のある食感、又は甘い風味、ナッツ風味、バター風味、焦がし風味、又はカラメル風味が最高の強度を有することを意味する。%減少率若しくは%増加率、又はスコアは、処理の条件によって変化し得るが、そうした条件には、ふすま及び胚芽成分が含む水の初期含水量、熱処理の温度、水分を取り除く程度、及び排気の程度がある。
焼成製品の感覚属性
更に、クッキーのような焼成製品を、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分、及び安定化された全粒小麦粉でその成分又は画分を含むものを用いて作ると、得られた焼成製品は、同じ組成を含むが高温度低水分の熱処理及び排気なしで生産した全粒小麦粉で作った焼成製品又は比較対照試料と比べて、小麦風味及び粒状感のある食感を大きく減らして改善し、甘い風味、ナッツ風味、バター風味、焦がし風味、又はカラメル風味の増加及び維持、及び後味のようなその他の感覚属性に関して、それらを改善している。
例えば、実施形態においては、クッキー又はグラハムクラッカーのような焼成製品の感覚属性として、高温度低水分の熱処理なしで製造された比較対照例と比べて、肯定的な感覚属性である、例えば甘い風味、ナッツ風味、バター風味、焦がし風味、又はカラメル風味は増加し、他方で否定的な感覚属性として、小麦風味及び粒状感のある食感は減少し得る。それらの増減は、味を評価する専門化団による、1〜100の目盛りを使った感覚評価に基づけば、少なくとも3%、例えば、少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、最も好ましくは少なくとも10%であるが、上記目盛りにおいて、評点1は当該感覚属性について最低の強度しか有していないことを、評点100は、甘い風味、ナッツ風味、バター風味、焦がし風味、又はカラメル風味等の属性が、最高の強度を有することを意味する。%増加率若しくは又は%減少率又はスコアは、処理の条件によって変化し得るが、そうした条件には、ふすま及び胚芽成分が含む水含水量、熱処理の温度、水分減少量、及び排気される揮発性成分の量がある。
また、実施形態においては、クッキーのような焼成製品で、熱処理された挽きふすま及び胚芽成分又は画分及び安定化された全粒小麦粉でその成分又は画分を含むもので作られたものは、ナッツ風味という肯定的属性に関しては、含水量及び温度をはじめとする処理条件次第で、1〜100の目盛りに基づいて29.5より高いスコアを出し得るが、それに対して、安定化処理なしで製造した全粒小麦粉、又は、高温、低水分、排気については行わず単に安定化のみで製造した全粒小麦粉を用いて作った比較対照用試料は、29よりも低い比較対照用スコアを出す。また、1〜100の目盛りに基づいて、焼成製品は、肯定的感覚属性のうち、バター風味に関して20より高いスコアを、焼き上げ風味に関しては38より高いスコアを、甘い風味に関しては22.5より高いスコアを、及び焦がした色に関しては37より高いスコアを出し得るが、否定的感覚属性のうち、小麦風味に関しては34より低いスコアを、及び乾燥の量については、56.5より低いスコアを出し得る。
同様の改善を示すと評価され得る感覚属性の例としては、芳香、見た目、手触り、食感/口当たり、風味、及び後味/後口、のようなカテゴリーが含まれる。上記のうち、評価され得るカテゴリー内の具体的感覚属性の例は:
a)芳香:甘い香り、ナッツの香り、オイルの香り、小麦の香り、焼き上げの香り、及びコーンの香り、という属性;
b)見た目:焦がした色、エッジの色、及び反対の対照をなす、という属性;
c)手触り:団粒、表面粗さ、及び油っぽい、という属性;
d)食感/口当たり:最初のひと噛みの硬さ、砕けやすい、乾いた、歯ごたえ、溶解度、目につくような粒状性、歯につきやすさ、及び口に広がる感じ、という属性;
e)風味:全体的な風味、塩、甘み、小麦、ナッツ風味、油、コーン、焼き上げ風味、及びバターの風味という属性;並びに
f)後味/後口:油、小麦、歯につきやすさ、口の中が乾く、甘い、苦い、コーン、口に広がる感じ、唾液を出させる、及びなかなか消えないこと、という属性。
本発明は、以下に続く非制限的な実施例によって、更に説明されるが、すべての割合、パーセンテージ、及び比率は、重量基準であり、温度は摂氏であり、すべての温度は、特にことわらない限り、大気温度である。
(実施例1)
パートA低圧熱処理されたふすま及び胚芽成分の作製(排気プロセスつき)
本実施例においては、挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、様々な量の水で給水されて、低圧の運搬混合装置において、排気を伴って、様々な温度で熱処理され、熱処理後及び排気後含水量を判定する。処理されたふすま及び胚芽成分又は画分は、胚乳画分と組み合わされて、全粒小麦粉を得る。含水量及びリパーゼ活性が判定され、比較対照例のものと比較する。
挽きふすま及び胚芽成分又は画分は、その初期含水量が約8.29重量%であるが、約16.29重量%と約26.29重量%含水量にそれぞれなるように、Hobart Mixer A−200T(オハイオ州トロイ)を低速で混合しながら水を噴射して、給水する。加水が完了したら、混合を約5分間継続する。
Acrison社の定量供給装置に5cm(2”)のリボンスクリューを装着したもの(Acrison Feeder Model 10152−H)を用いて、名目平均送り速度6.71kg/時を維持して、材料をBepex社の Turbulizer(登録商標)(Turbulizer(登録商標)Model TCJS−8)に送った。Turbulizer(登録商標)のパドルの構成は、表1に示すように、最初の12枚のパドルは、前方45°に、次の20枚のパドルは後方45°に、最後の8枚のパドルは、フラット又は水平に設定した、:
Figure 0006018324
Turbulizer(登録商標)のローターの速度は、1420rpmにセットした。上記の設定のTurbulizer(登録商標)内で、ふすま及び胚芽は4分間の滞留時間となリ得る。
蒸気を直接Turbulizer(登録商標)内に、3枚の中空バドルを有する中空シャフトを通じて噴射した。蒸気は、0.4MPa(60psi)ジャケット蒸気で、水を加熱することにより生成したが、水流の速度を2.15kg/時とし、水タンクの圧力を0.3MPa(50psi)とし、バック蒸気の圧力を0.1MPa(20psi)とした。Turbulizer(登録商標)は、熱いジャケットオイルで加熱された。オイルの供給は、Mokonポンプを、35rpmで運転して行い、熱いオイルの圧力は0.128MPa(18.5psi)とした。試験中、ジャケットの温度は、179℃〜221℃(355°F〜430°F)とされた。
Turbulizerで処理をしたふすま及び胚芽は、シールされた45kg(100lb)のプラスチックバケツに排出され、バケツの上面には、減圧用パイプが接続されていた。これにより、排気された小麦臭さを感じさせるもの、及び凝結した水分をいくらか取り出すことが可能となった。
パートB:全粒小麦粉及びふすま&胚芽の特徴づけ
Bepex Turbulizer(登録商標)での低圧熱処理工程の後、熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分は、粉の残りの画分、又は胚乳(32/68の割合で)と再度組み合わされ(破砕粉+還元粉)全粒小麦粉を形成した。
全粒小麦粉含水量、及び加熱処理したふすま及び胚芽成分又は画分含水量が、AACC Method 44−15Aの手順にしたがって判定された。抽出可能なリパーゼ活性がそれぞれの粉に対して判定された。表2は全粒小麦粉の以下の特性を示す:(1)ふすま及び胚芽成分又は画分含水量、(2)全粒小麦粉含水量(3)全粒小麦粉のリパーゼ活性、及び(4)処理温度。
Figure 0006018324
全粒小麦粉再構成:未処理のふすま及び胚芽を、胚乳と再構成したもの
G3SWS:市販の、安定化され、細かく挽かれた全粒小麦粉(Mondelez International社製、オハイオ州Toledo)
表2に示すように、Bepexで熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分の水分は、試行1〜4(Bepex熱処理工程の前に、ふすま及び胚芽を、約16%又は26重量%含水量になるまで給水)では、有意に減少し、かつ、未処理のふすま及び胚芽(含水量は8.29重量%)と比較して有意に低くなった(最終的含水量は、約2〜約4重量%)。しかしながら、当該最終的全粒小麦粉含水量は、未処理の全粒小麦粉及び市販の全粒小麦粉含水量に依然として近い値である。高い給水レベルにしたものは、ジャケットの温度に応じて22.87重量%〜24.19重量%の水分が排気されるという結果になった。また、低い方の給水レベルのものは、13.21重量%〜14.11重量%の水分が排気される結果となった。
ふすま及び胚芽のBepex処理は、結果として、再度組み合わされて作られた全粒小麦粉のリパーゼ活性を減少させた(471.44U/gが、80.89U/g〜180.41U/gに下がった)。なお、ジャケットの温度が最も高い(221℃)((430°F))時、リパーゼ活性は、80.89U/gに下がった。市販の全粒小麦粉のリパーゼ活性(164.40U/g)と比べると、本実施例のふすま及び胚芽成分又は画分の熱処理工程は、より低いリパーゼ活性とより安定化した全粒小麦粉を結果として生じた。
リパーゼ活性の判定は以下の方法による:
リパーゼ活性の判定方法:
抽出可能なリパーゼ活性がそれぞれの粉に対して判定された。リパーゼ活性の判定は以下の方法による:
A.器具類
1.1 TD−700蛍光光度計(Turner Design社製)Em 442及びEx 300nmフィルター付き
1.2 化学天秤(±0.0001)
1.3 Pipetman、10μl、50μl、及び5000μl及びそれぞれの先端部
1.4 20ml蓋つきガラス瓶(VWR #66022−060)
1.5 50ml遠心分離管(VWR #20170−170)
1.6 冷却機能付き遠心分離機(Beckman Allegra X15R)
1.7 25及び1000mlメスフラスコ、ストッパー付き
1.8 1500mlビーカー
1.9 撹拌棒
1.10 ボルテックスミキサー
1.11 使い捨てキュベット、4.5ml(VWR #58017−875)
1.12 使い捨てキュベット用のキャップ(VWR #24775−083)
1.13 断熱された氷皿(VWR #35751−046)
1.14 シェーカー/ロッカー(VWR #14003−580)
1.15 タイマー
B.試薬
1.脱イオン水
2.4−ヘプタン酸メチルウンベリフェリル(4−MUH)(Sigma #M2514)
3.2−メトキシエタノール(Fluka #64719)
4.Trizma塩酸(Sigma #T−5941)
5.1N水酸化ナトリウム(Fisher #SS266)
6.氷
C.溶液
1.アッセイ緩衝材(0.2M Tris HCl、pH 7.4)
・31.52gのtrizma塩酸(B−5)を1500mlのビーカー(A−8)に計りとる。
・約900mlの脱イオン水を加え、撹拌棒を加え、溶解させる。
・pHが7.4になるように、1Nの水酸化ナトリウムで調整する。
・1000mlメスフラスコ(A−7)に移し、脱イオン水で量を調整する。
2.基剤のストック溶液(0.5% 4−MUHを2−メトキシエタノール、W/V)
・0.0720〜0.0725gの、4−ヘプタン酸メチルウンベリフェリル(B−2)を20mlのバイアル(A−4)に計りとる。
・15mlの2−メトキシエタノール(B−3)をバイアルに加える。
・Vortexミキサーで、粉末を溶かすまで撹拌。
・室温で貯蔵し、1週間後に廃棄する。
3.基剤の作業用液(0.03%の4−MUH(W/V)が6%の2−メトキシエタノール(V/V)水溶液)に溶けている
・1.5mlのアリコートを、基剤のストック溶液(C−2)から取り出し、及び25mlメスフラスコ(A−7)にピペットで注入する。
・脱イオン水で必要な量まで希釈する。
・よく混ぜる。
・試験ごとに新たな基剤作業溶液を、基剤のストック(C−2)から作る。
4.氷/水の混合液(氷槽)
氷を断熱パン(A−13)に入れ、パンの容量の約半分まで冷水を加える。
5.4種類の試料溶液
・アッセイ緩衝材(C−1)を氷槽(C−4)であらかじめ冷やす。
・0.1gの試料を計りとり、(できるだけ0.1000gに近づける)50ml遠心分離管(A−5)に入れる。
・20mlの氷温で冷やしたアッセイ緩衝材(C−1)を加える。
・Vortexミキサーで、溶けるまで撹拌。
・管を水平に氷槽に入れ、30分間シェーカー(A−14)でゆっくりと揺らす(#2速度設定、16ストローク/分)。
・試料を遠心分離機(A−6)に4750rpmで、温度5℃で10分間かける。
・上澄みをアッセイに用いる。
D.蛍光光度計の較正(TD−700較正のための作業マニュアル、Multi−Optional,Raw Fluorescence Procedureを参照)
・蛍光光度計のスイッチを入れる(ホーム画面が現れるまで待つ)。
・「ホーム」画面で<ENT>を押して、設定&較正に入る。
・較正には#2を選択する。
・3000μlのアッセイ緩衝材(C−1、室温)の入ったキュベットを、試料チャンバに入れる。
・<ENT>を押す。
・#1を押して、試料=100(デフォルトの設定が100である。感度因子の用意ができるのを待つ。表示が100近くなっているはずである)とセットするのを了解する。
・<ENT>を押す。
・#9を押して、No Subtract Blankにセットする(ホーム画面に戻る)。
E.試料の試験
・キュベット(A−11)にあらかじめ、適切な試料IDのラベルをつける。
・10μlの基剤の作業用液(C−3)を、先に装置(D−3)をブランクと較正するのに用いたキュベットに加える。
・キャップ(A−12)をして、5回ひっくり返して混ぜる。
・キュベットを、蛍光光度計(A−1)の試料用コンパートメントに入れる。
・蛍光光度計の蓋をしめたら即座にタイマーをスタートする。
・蛍光強度(FI)の読み取り値を、30秒、1分、2分、3分、4分、及び5分後にそれぞれ記録し、キュベットを、蛍光光度計の試料用コンパートメントから取り出す。
・2950μlのアッセイ緩衝材(C−1、室温)を第1の、あらかじめラベルをつけた試料キュベット(E−1)にピペットで入れる。
・第1の抽出粉試料(C−5)の上澄み液を50μlピペットでいれる。
・基剤の作業用液(C−3)を10μl加える。
・残りのすべての試料のために、ステップE−3〜E−6を、即座に繰り返す。
F.計算
・それぞれの試料について、FI値vsインキュベーション時間を、反応曲線としてプロットする。
・反応曲線の傾き(ΔFI/分)を、エクセルのスプレッドシートの最小回帰を用いて決定する。
・ΔFI/分を以下のようにして、試料重量0.1000gで正規化する:
・正規化したΔFI/分=傾き×(0.1000g/試料重量g)
・リパーゼ活性を、ΔFI/分/0.1gとして報告する。
(実施例2)
Bepexで加水排気付きで加熱処理した全粒小麦粉の焼成機能
本実施例では、BepexTurbulizer(登録商標)で熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分を実施例1のように排気つきで作成したものを用いて低圧熱処理で作った全粒小麦粉の焼成機能を、未処理の全粒小麦粉の焼成機能と比較した。ふすま及び胚芽及び胚乳を天然の全粒小麦粉と同じ比率で作った全粒小麦粉が、実施例1の表2に記載されている。全粒小麦粉の焼成時の機能性を評価するために用いられるクッキー試験焼成法は、AACC 10−53 Cookie Baking Testにしたがった。
溶媒保持力(SRC)が、特定の粉の成分の機能(例えばダメージを受けたデンプンの量)を監視するための実際の試験として利用できる。用いられたSRCアッセイ法は、AACCのmethod 56−10を、以下のようにして修正し適合させたものである:
材料:
− 50ml遠心分離管+キャップ
− 5重量%の炭酸ナトリウム溶媒
− 遠心分離機(IEC社Centra GP8,269、ローター回転数2130rpm)
手順:
1.50ml遠心分離管+キャップ(特別な管の場合には、O−リングシールの重量も測る)の重量を計測する。
2.5.00gのふすま−胚芽混合物を計り、それぞれの管に加える(混合物含水量を決定する)。
3.25gの溶媒を(あらかじめ計量した溶媒のアリコート)をそれぞれの管に加える。
4.5分ごと(5、10、15、20分後にそれぞれ)に振りながら、20分間給水させる。
5.遠心分離機に15分間、1000xgでかける。
6.上澄み液を取り出して、角度45度で5分間、更に90度で5分間、水を切る。
7.キャップを再び装着し、ペレットを計量する。
8.計算:
Figure 0006018324
AACC 10−53クッキー試験焼成法
AACC 10−53クッキー試験焼成法は、材料の機能性を評価し、感覚と機械的食感分析とを予言的に相関づけるためにNabisco Biscuit社で設計されたものである(機械的食感分析は、TAXT2食感分析機で、3点曲げ試験又は破壊試験によって実行される)。このテストは、USDA Soft Wheat Quality Lab(オハイオ州Wooster)によって確認されたAACC 10−52のシュガースナップクッキー試験焼成法を改良したものである。AACC 10−53試験は、Soft Wheat Quality Committeeによって試験協力をうけた末に、1992年に、米国穀物化学者学会の公式な方法として採用された。試験で用いられる機材、クッキー生地組成物、混合の手順、焼成の手順、測定の手順等は、以下の通りである:
機材
水分分析器、粉の水分の判定をするために、使い捨ての試料パンが用意されている。
デジタル温度計(Omega社のmodel 872A)熱電対つき。
C−100 Hobart Mixer、3クォートのミキシングボウルと、パドルが装着されている。
National試験焼成オーブン
アルミ製クッキーシート:幅26cm×長さ30cm、2本のゲージバーは、それぞれ幅12mm×長さ30cm×高さ7mm。
クッキーカッター(内径60mm)。
スリーブ付ローリングピン(スリーブの線が、ピンの長手方向に走っている)。
スパチュラ、茶色の吸収用紙、アルミフォイル、プラスチック製ビーカー。
TA−XT2食感分析器 **生地のレオロジーに関する任意追加の試験**−専用皿の寸法は、10cm、長さ10.5cm、高さ3.2cmである
標準の配合AACC 10−53 4枚の試験クッキーを作るためのシングルバッチ
Figure 0006018324
粉含水量を焼成する日それぞれで計測する。粉と水のレベルを調整して、13%含水量からの逸脱分を補正する。
○粉含水量を記録し、次式のFMに代入して、バッチ当たりの実際の粉の重量を計算する。
●実際の粉の重量(g)=87/(100−FM)225g
○バッチ当たりの実際の粉の重量を記録し、次式のAFWに代入して、バッチ当たりに加える水の実際の重量を計算する。
●実際に追加する水(g)=49.5g+225−AFW225g
一般的混合の手順:
段階−1:乾燥した材料を混ぜ合わせる(無脂肪乾燥ミルク、食塩、重曹、砂糖)
脂肪を加える
Hobart mixerで3分間、低速度で混ぜる。1分間混ぜるごとに、パドルとボウルの側面から混合物をかきおとす。
段階−2:重炭酸アンモニウムを水に溶かし、高果糖コーンシロップを加える。
溶液全部を、段階−1の混合物に加える:
1分間、低速で混ぜる。30秒ごとに、ボウルとパドルから混合物をかきおとす。
2分間、中速で混ぜる。30秒ごとに、ボウルとパドルから混合物をかきおとす。
段階−3:粉を加え、液体の混合物に3回にわけて入れる。2分間、低速で混ぜる。30秒ごとに、パドルとボウルから混合物をかきおとす。
焼成時間の決定:
焼成時間の定義は、配合にしたがって作った生地を204℃(400°F)で焼成している間に失われる重量が、13.85%になるために必要な時間である。
焼成時間を測定する:
配合にしたがって作った生地を204℃(400°F)で10、11、12、13分間、また一部の全粒小麦粉に関しては最大16分間まで焼成し、1分毎にベーキングシートとクッキーの合計重量を計測する。
焼成中失われたパーセント重量vs焼成時間(分)をプロットする。
13.58%の重量ロスを達成するために必要な時間を推定する。
焼成の詳細な仕様:
オーブンを202℃(400°F)に予熱する。
焼く前のクッキーシートの重量を記録する。
クッキーシートをオーブンにいれ、標準的焼成時間焼き、熱い状態のシートの重量を記録する。
クッキー試験焼成のための4つの生地ブランクを調製する手順
生地を1片60gの、できるだけ変形させないようにポーションに分けて、クッキーシート上に載せる。クッキーシートのゲージバーに渡すようにローリングピンを載せ、力を他に加えなくてもピンの重さで生地片が圧縮されるようにする。ローリングピンを持ち上げ、クッキーシート端部のゲージバー上に載せる、1回だけ向こう側に回転させる。クッキーを60mm径のカッターで切断し、小さなスパチュラを用いて、生地を慎重に、持ち上げて剥がす。カッターを真っ直ぐ持ち上げ、水平方向に歪みを与えないようにする。
生地のブランク及びクッキーシートの重量を記録する。
生地ブランク及びクッキーシートを、シートに並べたままの向きでオーブンにいれ、クッキーを204℃(400°F)で所定の焼成時間、焼成する。
オーブンから取り出して即座に、クッキーが載ったままクッキーシートを計量する。シートから慎重にクッキーを平らなスパチュラを用いて剥がして、茶色の紙の上に平らに、シート上に並べて焼いた時と同じ方向に広げて置く。
幾何学的寸法の測定(少なくとも30分間クッキーを冷やしてから測る):
幅−シートにおいたのと直交する向きの径:4つのクッキーを、1列に、ローリングピンスリーブの線が測定棒の長さ方向に平行になるように置く。測定値をcm単位で記録する。
長さ−シートにおいたのと平行な向きの径:クッキーを、ローリングピンスリーブの線が測定棒に直交するように、90°回転させる。測定値をcm単位で記録する。
スタック高:4つのクッキーをスタックし、スタックしたものを横倒しにして、平らなガイドの間に置く。高さを記録する。
表3に、SRC及び焼成結果を、比較対照例と、Bepex低圧で、排気しつつ熱処理した粉の(再現)例とについて示す。表3には、:(1)水、蔗糖、炭酸ナトリウム、及び乳酸の溶媒に対する、粉の溶媒保持力、(2)クッキーの幅、クッキーの長さ、及びスタック高、及び3)クッキー含水量が含まれる:
Figure 0006018324
表3に示したように、排気付きで低圧下でBepex処理したふすま及び胚芽成分又は画分を含む全粒小麦粉は、未処理の全粒小麦粉と似た焼成の質を示した。炭酸ナトリウムSRC及び水SRCを、未処理の全粒小麦粉のケースと比べると、熱処理された全粒小麦粉はわずかに高い、デンプンへのダメージと、水の吸収を示した。予想していなかったことに、処理済ふすま及び胚芽からの全粒小麦粉で作ったクッキーは、その広がりが(31.73cm〜32.8cmの幅、及び33.27cm〜32.37cmの長さ)比較対照例のもの(31.05cmの幅、及び31.7cmの長さ)よりも大きかった。
(実施例3)
BepexTurbulizer(登録商標)で低圧下、排気つきで熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分を用いて作った100%全粒クッキーの感覚評価及び風味分析
本実施例では、その目的が、:1)Bepex Turbulizer(登録商標)で低圧下、排気つきで熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分を用いて実施例1及び2と同様に作った100%全粒クッキーの味を評価すること(パート1)、及び2)Bepex Turbulizer(登録商標)で低圧下、排気つきで熱処理され、実施例1と同じようにしてつくったふすま及び胚芽成分の小麦風味を分析すること(パート2)である。
パート1:100%全粒クッキーの感覚的記述的分析
全粒製品は一般に、小麦風味又は青臭い、脂臭い、酸化した草のような風味を思わせるものがあり、また、粒状感のある味がするので、精白した粉から作った製品と比べて、消費者に一般には好まれない。感覚評価は、挽きふすま及び胚芽成分又は画分を低圧下、排気つきで熱処理したことが全粒小麦粉にもたらした、風味及び食感の違いを測定するために用いられる。感覚評価は、製品の持つ肯定的な風味の増加、及び食感の改善を求めるものである。プロセス中の含水量及び温度が試験されて、それらが実施例2で調製した試験用クッキーのような最終製品の、受容可能な特性に及ぼす影響を示すものである。熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分から作った全粒小麦粉で作ったクッキーが、未処理の全粒小麦粉ブレンドで比較対照例として作った基本のクッキー、及び、市販の標準的な安定化された全粒小麦粉で作った試料と比べて試験される。
消費者科学試験の目的:
この調査の目的は:
− Bepex排気プロセスで温度及び水分のレベルのさまざま異ならせた全粒小麦粉で作ったクッキーの受容される差をプロファイリングし、また、未処理の全粒小麦粉及び市販の安定化された全粒小麦粉で作った試料と比較する。
結果の要約
試料をあらゆる方向(芳香、見た目、手触り、風味、食感、後味/後口)から説明する39の属性の中から、試料のセットは統計的に有意な差を、8つの属性について示した:ナッツ風味、焼き上げた芳香、油の芳香、焦がした色、最初のひと噛みの硬さ、歯ごたえ、乾いた食感、及び唾液が出る様な後味。
試験された試料は、表4に識別した:
Figure 0006018324
試験:
製品は作ってから4週間経ったものであった。
方法:
Tragon QDA(商標)法の訓練を受けた記述的パネルリストの1団(パネル)(n=8)が、製品の感覚的特性を評価するために用いられた。パネリストは、その感覚の鋭さと、説明描写する能力に基づいて選択された。パネリストは、一連の司会者付きの討論セッションを通じて、試料の、芳香、見た目、風味、食感、及び後味を、説明描写するための用語集を作った。
試料はパネリストによって、作製した用語集を用いて個別に評価された。試料は、目隠しをして提供され、バランスを取った形で提供され、提供する順番から見方が偏るのをできるだけなくした。各パネリストは、すべての製品をすべての属性について、4回ずつ評価した。
データは、ウェブにベースを持つ、Compusenseデータ収集システム(Compusense at Hand社、カナダ)によって回収され、Tragon QDA(商標)ソフトウェアを用いて分析された。評価のために用いた構造化されていない、ライン状のスケールを、電子的に、100ポイントのスケールに転換して、分析にかけた。分散分析(ANOVA)をデータに適用し、その各属性について、統計的に有意な差が試料間に存在するかどうかを判定した。存在すると判定された場合、Duncanの最小有意差ポストホック試験が、その特定の属性に用いられて計算が行われ、どの試料間に、そのような差が存在するかが判定された。(p≦0.05)。
試料のセットを評価するために用いられる属性と定義
感覚属性、属性の定義、及び、感覚属性評価を行うにあたっての、ジャッジ又はパネリストへの指示を表5に示した:
Figure 0006018324
Figure 0006018324
ビスケット試料の感覚的属性の平均値を表6に示す:
Figure 0006018324
結果:
試料間に有意な差が、芳香、見た目、及び食感に関していくつか見出された。芳香という点では、試料は、ナッツ、焼き上げた、及び油の属性に関して、異なる評価を受けた。低水分/高温度試験試料は、ナッツ及び焼き上げ属性で高い評価であり、低温度試料及びG3SWS試料より、有意に高い評価をナッツ属性で得た。また、高水分/低温度、全粒小麦粉再構成、及びG3SWS試料より高い評価を焼き上げ属性で得た。
処理された試料のすべてが、油芳香が高かったが、パネルはそれを古いクッキーの古い油の臭いと評した。またそれは、G3SWS試料よりも、有意に高かった。
見た目という点では、高温度処理試料は、他のすべての試料よりも有意に焦がした色が濃かった。
食感においては、全粒の試料は、より硬質で乾燥していて、及び密度が濃かった。これらの試料は、最初のひと噛みの硬さでは、噛みごたえ、及び乾いた感じで違いがみられた。最初のひと噛みの硬さでは、高水分/低温度、及びG3SWSの試料が、高水分/高温度、低水分/高温度、及び全粒小麦粉再構成の試料より有意に硬かった。低温処理試料、及びG3SWS試料は、全粒小麦粉再構成試料よりも歯ごたえを示した。
歯ごたえ、最初のひと噛みの硬さ、及び乾いた感じの、3つの属性は、温度によって有意な影響がみられた。歯ごたえは、温度が上がれば下がり、最初のひと噛みの硬さは、温度が上がれば上がり、乾いた感じは、温度が上がれば上がった。水分レベルは、これらの3つの属性に有意な影響を及ぼしてはいなかった。ナッツ芳香及び焦がした色の見た目は、温度が上がれば上がり、水分レベルはこれらの属性に有意な影響を及ぼしてはいなかった。知覚できる粒子は、水分レベルが上がれば上がり、温度はこの属性に有意な影響を及ぼしてはいなかった。
パート2:Bepex Turbulizer(登録商標)で低圧下、排気つきで熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分を用いて作った100%全粒クッキーの風味分析
未処理のふすま及び胚芽の試料(比較対照例)及びBepex Turbulizer(登録商標)で低圧下排気つきで熱処理されたふすま及び胚芽成分の試料(試験#1、#2、#3、及び#4)が、ダイナミックヘッドスペースGC−MSで分析された。化合物は、MSのライブラリーによるマッチングによって識別され、レベルは内部標準を用いて正規化された。
ふすま及び胚芽成分又は画分を安定化する最中に揮発性物質を排気したことで、小麦風味と関係する揮発性の化合物の量は減少している。ふすま及び胚芽成分又は画分を高温度(177℃)((350°F))で処理すると、ナッツ風味タイプの化合物を生成する傾向があり、これは、全粒小麦粉焼成製品の全体的な風味をゆがめる恐れがあった。ナッツ風味化合物の生成・増加は、水分レベル(8%及び18%)という安定化条件とは独立であった。
Bepex Turbulizer(登録商標)で低圧下排気つきで熱処理されたふすま及び胚芽成分の試料は、安定化されていないふすま及び胚芽の比較対照例の試料と比べて、小麦臭さに関係する化合物のレベルが低かった。小麦臭さに関連する化合物の応答レベルは、試料#1では約50,000〜約125,000、試料#2では約75,000〜約100,000、試料#3では約50,000〜約140,000、試料#4では約100,000〜約345,000、及び比較対照例では約400,000〜約1,300,000であった。この結果が示すのは、揮発性の化合物を低圧下でBepex Turbulizer(登録商標)熱処理する際に排気することが、揮発性の化合物が全粒小麦粉に持ち込まれる可能性を、比較対照例における揮発性の化合物の持ち込みと比べて、予想以上に減らしているということである。
小麦臭さに関連する化合物は、すべての安定化されたふすま及び胚芽成分の試料で、比較対照例の安定化されていないふすま及び胚芽成分と比べて、予想以上に低いことが分かった。小麦臭さに関連する化合物のレベルは、それが低ければ草のような、青臭い、また脂臭い、悪臭のするような、又はクラッカーの中のボール紙のような属性になるが、そのレベルは安定化されたふすま及び胚芽成分又は画分においては、低くなっていることがわかった。
ふすま及び胚芽成分又は画分を高い処理温度条件(ジャケットの温度が221℃(430°F))で処理すると、ナッツ風味と関連する化合物(例えばピラジン及びジメチルピラジン)を試料#2及び#4で生成することで、焼成製品の全体的な風味のプロファイルをゆがめてしまうようである。唯一の図面に示したように、179℃(355°F)(ジャケットの温度)で処理した試料#1及び#3のふすま及び胚芽成分又は画分は、221℃(430°F)(ジャケットの温度)で処理した試料#2及び#4のふすま及び胚芽成分又は画分と比べて、ナッツ風味に関連する化合物の生成が少ないものの、試料1、2、3、及び4におけるナッツ風味化合物(グラフ左側がピラジン、右側がジメチルピラジン)は、未処理の比較対照例において生成される量よりも、予想外に多くなっている。
ふすま及び胚芽の処理温度は、100%全粒小麦粉クッキーのナッツ風味及び焦がした色属性に、有意な影響を及ぼしている。水分レベルは、これらの属性に有意な影響を及ぼしてはいなかった。ふすま及び胚芽を安定化する最中に揮発性物質を排気したことで、小麦風味と関係する揮発性の化合物の量は減少している。
(実施例4)
パートA押し出された熱処理済みふすま及び胚芽成分(ふすま&胚芽)の作製
本実施例では、挽きふすま及び胚芽成分又は画分を、様々な加工条件の下で押出し機にかけて、押し出された熱処理済みふすま及び胚芽成分又は画分を得て、全粒小麦粉中栄養素のロスを減らし、全粒小麦粉の機能的ダメージを減らし、押し出された熱処理済ふすま及び胚芽成分又は画分で作られた全粒小麦粉焼成製品の感覚属性を向上することを目的としている。様々に変えた処理条件には、表7に示すような、ふすま及び胚芽成分又は画分の含水量、ふすま及び胚芽成分又は画分の送り速度、及びスクリューの回転速度スクリューの回転速度がある。
Figure 0006018324
Acrison定量供給装置に、5cm(2”)のリボン式スクリューをつけたものを使って、ふすま及び胚芽成分(12%水分)を異なる送り速度(61.87kg/時〜150.57kg/時)で、Baker Perkins社製ツイン式スクリュー調理用押出し機(MPF−50 Mark II L/D 25:1)(Model No.7−1988)にフィードする。
バレルへの水の送り速度は、0.71kg/時〜11.48kg/時まで、押出し加工用水ポンプ(Bran Lubbe N−P31)を用いて変化させる。スクリューは、350〜500rpmの運転速度で回転させる。作業ステップが終わると、ふすま及び胚芽成分を金型のオリフィスに通して、チェイン金型ヘッドを使ってふすま及び胚芽押出し成形物を形成する(Haensel Processing 2812)。押出し成形物を切断し、2ゾーン、3m(10フィート)長の乾燥用オーブン(Radiations Systems)を通して冷却する。各試行の間、押出し機のトルクを記録する。せん断速度及び比機械エネルギー(SME)を、表8に示す押出し機の構成及び処理条件に基づいて計算した。
Figure 0006018324
SME=(実際のスクリュー速度/定格スクリュー速度)×パーセントトルク(定格モーターの定格電力/送り速度(Kg/時)=キロWhr/Kg;
せん断速度=((pi)(バレル直径/スクリュー直径)rpm))/((スクリュー直径−ルート直径)/2)
押出し機のモーターパワー:40HP0.746=30キロワット、バレル直径=5cm(2”);スクリュー直径=4.78cm(1.880”);ルート直径=2.858cm(1.125”)。
パートB:全粒小麦粉及びふすま&胚芽の特徴づけ
熱処理を伴う押出し処理の後で、Bauermeister Gap Mill Model GM 40を用いて、それぞれのふすま及び胚芽の押出し成形物を挽いて微粉状にした(85%がUS# 70ふるいを通る)。挽きふすま及び胚芽は、残りの粉の画分(破砕粉+還元粉)と再び組み合わせて、全粒小麦粉を形成した。
全粒小麦粉の粒径分布はRoto Tapを用いて判定した。本方法は、正確で、信頼できる結果を確保するために均一な機械的動作を用いる、広い範囲の製品及び材料に適用可能である。シェーカーは、人の手によってふるいにかける時の、回転とタッピング動作を再現している。この方法は、ASTA 10.0 RoTap Shaker法から、以下のような修正と適応をするによって、適合させたものである。
全粒小麦粉の粒径分布方法
用いる器具類は:
1.Tyler RoTap電動試験ふるいシェーカー(Fisher Scientific社製)、自動タイマー付き
2.U.S.標準ふるい#20、#35、#40、#50、#60、#80、#100、下部分離パン及びカバー付き
3.天秤はかり、0.1gまで計量できるもの。
4.スクリーンを清掃するブラシ
5.シリコンパウダーフローエイド(Syloid #244,W.R.Grace & Co.)
用いられる手順は:
1.清潔な、完全に乾かした、自重を計測してあるふるいを用意する。
2.指定のサイズの試料の重量を、正確に(0.1g単位まで)測り、250ml又は400mlのビーカーに入れる。
3.適切なふるいと下部のパンの重量をそれぞれ個別に計量する。
4.シェーカー上にふるいをスタックする。その際、目の最も粗いものを最上段に、下に行くほど目が細かくなるようにする。下部パンを下に置く。
5.試料をビーカーから最上部のふるいに、定量的に移す。
6.ふるいのカバーを上に載せ、次にシェーカーのプレート、円形フレームを載せる、タップアームを下げる。
7.タイマーを5分間にセットする。
8.ふるい終わったら、ふるいをRoTapから取り外して、慎重に各ふるい及びパンの重量を、別々に計量する。
用いられる計算式は:
1.ふるいを1枚だけ用いる場合には、
Figure 0006018324
2.3枚又はそれより多くのふるいを用いる場合
ふるいA(S)、粗、上段
ふるいB(S)、中、中段
ふるいC(S)、細、下段
Figure 0006018324
3.試料に加えたシリコンパウダーのフローエイドの量は、上記の計算をする前に、パン内の材料の重量から引いておくこと。
4.すべてのスクリーン上のパーセンテージ(+パン)を足すと、100%になるか、極めて近い値になるはずである。
全粒小麦粉含水量及びふすま及び胚芽成分又は画分含水量は、AACCの、方法44−15Aにしたがって判定する。灰分は、AOACの公式方法923.03(粉、ふすま、胚芽中の灰分を測定する方法)によって測定する。ふすま及び胚芽の、引き出し可能なリパーゼ活性は、実施例1のようにして判定する。
表9は、全粒小麦粉の以下の特性を示す:(1)全粒小麦粉の水分、(2)全粒小麦粉の灰分含有量、(3)ふすま及び胚芽成分又は画分含水量、(4)ふすま及び胚芽成分又は画分の灰分含有量、(5)ふすま及び胚芽成分又は画分のリパーゼ活性、及び(6)ふすま及び胚芽成分又は画分の粒径分布。
Figure 0006018324
まとめ及び結論
押出し処理されたふすま及び胚芽成分又は画分の含水量は、水の送り速度が速い時に高くなる(試行#1&#2)。ふすま及び胚芽成分又は画分の総含水量は、試行#1及び#2に対して24〜26%であった。試行#1及び#2のふすま及び胚芽成分の粒径はまた、比較対照例G3SWSのふすま及び胚芽成分の粒径よりも、わずかに細かいものであった。水の送り速度がゆっくりになると(試行#3〜6)、押出し処理前のふすま及び胚芽の含水量は、未処理のふすま及び胚芽の含水量(11.78%)と比べて有意に少なくなった(約3%〜5%)。しかしながら、当該最終全粒小麦粉の含水量は、未処理の全粒小麦粉及び市販の全粒小麦粉の含水量に依然として近い値である。
押出し熱処理は、市販の全粒小麦粉のリパーゼ活性(164U/g)と比べて、リパーゼ活性をすべての試行で減らしている(662U/g〜陰性)が、このことは、押出し熱処理が、ふすま及び胚芽成分又は画分、及びそのようなふすま及び胚芽成分又は画分を含む全粒小麦粉を実質的に安定化させているということを示す。
(実施例5)
全粒小麦粉の機能性及び栄養素に対する押出しの効果
本実施例では、実施例4の押し出された熱処理済みふすま及び胚芽成分又は画分で作られた全粒小麦粉への、押出しの効果が、粉の機能性という点と、食物繊維、ビタミンE、ビタミンB1、及びビタミンB2の含有量という点から判定される。全粒小麦粉の機能が、実施例2に説明した溶媒保持力試験と、修正Alveograph法とによって、試験された。用いられた、修正Alveograph法は:
全粒Alveograph法
目的及び範囲:
この方法は、全粒小麦粉の全体的な二軸的延伸を特徴づけるために用いられるものである。この方法は、全粒小麦粉にのみ適用可能である。
概要:
計算された量の全粒小麦粉が、計算された量の、2.5%塩化ナトリウム水溶液と混ぜ合わされる。得られた生地を押出し、小さなパティにカットして、温度が安定するまで静置する。次にパティを押圧して平らにし、空気の圧力をかけて膨らませ、気泡を作る。パティを膨らませるのに必要な圧力をグラフにする。
器具類:
A)水槽:0.1℃の範囲内での加熱冷却が可能
B)Chopin Alveograph
C)Chopin RCV4 Calculator
D)Epson LX 810 printer
E)Alveograph Charts
F)点滴ボトル
G)16Lカーボイ容器
試薬:
A)2.5%塩化ナトリウム水溶液:400gのNaCl/16000mlのミネラル除去した水
B)軽油(Fisher 0121−4)
手順:
A)以下をチェックし記録すること:
1)粉の温度は、18〜25℃に維持する。
2)混合チェンバの温度は、24.0±0.2℃とする。
3)静置チェンバの温度は、25.0±0.2℃とする。
4)水槽の温度は、19〜22℃とする。
5)室温:21±1.4℃(70±2.5°F)とする。
6)水の塩分濃度は、2.4〜2.6% NaClとする。
7)相対湿度は、シール範囲65+15%
手順:
B)水の添加:
1)粉試料のパーセント水分を、0.1%の単位まで決定する。
2)Alveographのアラームを以下のように合わせる:
混練:14分
混練+寝かせ:34分
3)粉の%水分と、望ましい%給水とに基づいて、粉と塩化ナトリウムの水溶液を、対応する添付のエクセルスプレッドシートを使って計算する。
注:予備実験において、55%及び60%給水の両方を行い、ベストな試験条件を決定すること。
4)Chopinビューレットを計算した量の2.5% NaCl溶液で満たす。ビューレットに溶液が入りすぎたら、コックを開いて、溶液をいくらか出すようにする。Kimwipeを使って、残りの水がビューレットの先端から出ないようにする。ビューレットは、その中の水を約20秒で排出するようにする。NaCl溶液の量が、Alveographビューレットの容量より多い場合には、当該量をメスシリンダーで正確に測るようにする。
5)計算された量の粉(±0.5g)を計り、混合用ボウルに移す。
6)ミキサー及びカウントダウンタイマーをスタートする。水をビューレットから、粉の入った混合チェンバに入れる。
7)1分経ったら(タイマーは33分を指す)、ミキサーを止め、ボウルの中身をかき落とし、すべての粉が生地に取り込まれるようにする。このステップを完了するのに、かけてよいのは1分間以内。1分が経過したら(タイマーは32分を指す)ミキサーを再スタートする。
8)この段階で、油を塗布したくなるであろう。(次のセクションへ)
C)油の塗布:
混練が残り12分間となったら、その12分間にすべての油を塗布する。油滴はすべて、重力で落ちるようにして、アプリケーターの先が表面に触れないようにする。油のボトルは、油が塗布される表面に対して垂直に保つ。油をすべてスチール製のスパチュラを使って広げるが、ローラー、プレスキャップ、プレスプレートには塗らず、これらには、操作者が指又はプラスチック製の薄いスパチュラを使って油を広げる。
以下の分量で油を塗布する:
Figure 0006018324
D)押出し:
1)試料が追加的に12分間混練された後(タイマーは20分を指す)、ミキサーをストップし、ミキサーの向きを逆にして、押出しゲートを完全に開放する。そしてモーターを戻し装着する。ミキシング用ブレードの向きはこの段階で逆向きになっているので、生地は押出しゲートを通じて押し出されることが可能になっている。
2)ミキサーの壁から付着物をかき落とし、生地が壁に付着するのを回避する。以上の作業が終わったら、蓋を閉めて、次の作業に移る。
3)オイルを塗った押出しプレートを、スクリューの下であって、押出しギャップの前に置く。生地がプレート上に流れてくるようにする。
4)生地を押出し、最初の1cm(半インチ)を切り落とす。この一片は、廃棄してもよい。
5)生地を押出しプレート上に押し出す。この際、パティの側面に十分手を入れて、スクリューのヘッドから離れているようにする。生地の先端が跳ね上がった状態を保つ。生地を弄りすぎないようにする。あくまでも目指すのは、生地が自然な速さで出るに任せることであり、生地が塊状にならないように注意する。
6)生地のシートが約4.45cm(1 3/4”)の長さになったら、パティを切断して、シーティングプレート上に移動する。この長さの片を合計で5つ作るまで、押し出してはカットする。各シーティングアセンブリ上に2つのパティを配置する。3番目のアセンブリには、生地のピースは1つだけ載っている。
E)切断:
1)鉱物油を薄くカッターに塗布し、生地がカッターに付着するのを避ける。
2)カッターを使って、生地片を切断する。切断は、押し出された順に行う。
3)1つの生地片が切断されると。それを静置用プレートに移す。次に、静置用プレートを静置用チャンバに置く。移動中にパティの形状及び厚さが変わらないように注意する。
4)生地片を、試験開始から丸34分間経過するまで、ねかせておく。
生地片を延ばす:
1)Alveographを使用する前に、適切に較正を行っておかねばならない。較正には、機械と共に提供されている較正用ノーズピースを使う。
2)1つの生地片を、プレスプレートの真ん中に置く、プレスキャップを回してプレスアセンブリが回転しつつ降りて行くようにする。スタートから終了まで、丸2回転であるが、この2回転をするのにかかる時間は、20秒間とする(すなわち1回転あたり10秒)。
3)プレスが下まで下がったら、プレスキャップを外す。Alveograph上のダイヤルを1から3(6時の位置)に回す。次に、計算機上のスタートボタンを押す。泡の上に最初の穴が見えたら、RCV4計算機上のストップボタンを押す。これを5つの生地片すべてで繰り返す。
4)それが終わったら、結果を回収するために、avgボタンを押し、次に終了ボタンを押す。これにより結果の平均が求められて、グラフに印刷される。
5)グラフが印刷され終わったら、プリンターがベースライン終える前に、キャンセルボタンを2回押す。LEDの表示がPRETを示すはずである。
6)ここで、個々の結果が回収される必要がある。テストボタンを押し、次に#1ボタン、そしてエンターボタンを押す。これにより個々の試験にアクセスできる。結果、更に第1のパティへと進む。そしてスキャンボタンを押すと、最初のAlveograph試験の各パラメータにアクセスできる。これらの一連のステップを、試験1〜5に対して繰り返し行う。
G)グラフの曲線の評価:
1)RCV4は自動的に結果を計算する。「L=100」のWを報告する必要がない。
A.ふすま及び胚芽の押出し処理が、全粒小麦粉の機能性に及ぼす効果のSRCによる測定
実施例2で説明したSRC法を使って、全粒小麦粉の機能的特性に変化があったかどうかを測った。
表10は、押出し処理における変数を示す:(1)ふすま及び胚芽成分の送り速度、(2)水の送り速度、(3)押出しせん断速度、(4)4種類の溶媒に対する溶媒保持力値:水、蔗糖、炭酸ナトリウム、及び乳酸
Figure 0006018324
表10に示すように、押し出されたふすまは、全粒小麦粉に再構成されると、粉に対して、溶媒を吸着する特性に影響を及ぼしている。デンプンのダメージは、炭酸ナトリウムSRCで測定できるが、比較対照例(79%)に対して、変数のすべての組み合わせで高くなった(165% ±8)。
B.Alveographで測った、ふすま及び胚芽の押出し処理が全粒小麦粉の機能に及ぼす影響
上述のAlveograph法により、全粒小麦粉の機能的特性に起こった変化が測定された。表11は、押出し処理における変数を示す:(1)ふすま及び胚芽成分の送り速度、(2)水の送り速度、(3)押出しせん断速度、(4)Alveograph値Pが粘性、Lが伸展性、Wが焼成強度、及びP/Lは、曲線の構成割合である。

Figure 0006018324
表11に示したように、押出し処理されたすべての試料は、非常に小さい泡しか発生させておらず、延伸性に乏しく、くっつきやすい。ふすま及び胚芽成分の送り速度が低く、高い給水の水(試行#2)では、生地の機能性のわずかな改善が、他の押出し試行の結果と対照的に示されている。
C.押出し処理が、ふすま及び胚芽成分のビタミンE、B1、及びB2の含有量に及ぼす影響
ふすま及び胚芽成分又は画分のビタミンB1(チアミン)がAOACの942.23、970.65、及び981.15にしたがって判定された。AOAC 942.23、970.65、及び981.15は、ふすま及び胚芽成分又は画分のビタミンB2(リボフラビン)含有量を測定するために用いられた。ふすま及び胚芽成分又は画分のビタミンEの含有量がAACCの86−06にしたがって判定された。表12に、ビタミン保持率判定の結果が示されている:
Figure 0006018324
表12は、ビタミンE及びB2が高い保持率をすべての試行に対して有していることを示している。しかしながら、ビタミンEのロスが、高い水送り速度(試行#1及び#2)でみられている。ビタミンB1は、ふすま及び胚芽成分の送り速度及び水送り速度が遅い場合に、試行3〜試行6(2.33〜16.77%保持率)で有意なロスを示している。しかしながら、試行#1及び#2では、ビタミンB1のロスは見られない。
D.押出し処理が、ふすま及び胚芽成分の総食物繊維の含有量に及ぼす影響
ふすま及び胚芽成分又は画分の総食物繊維が、AOACの2009.01にしたがって判定され、結果が表13に示された:
Figure 0006018324
表13に示すように、押出し処理は、ふすま及び胚芽成分又は画分の総食物繊維含有量をわずかに変える。
まとめ
押出し処理されたふすま及び胚芽成分は、全粒小麦粉に再構成されると、粉の溶媒を吸着する特性及び、生地の扱いやすさに影響を及ぼしている。粉の溶媒を吸着する特性は、比較対照例と比べて非常に高く、そのことは生地の機械での作業性、及び焼成パフォーマンスに悪い影響を及ぼす可能性があるが、ケーキ及びパンのような、含水量の高い焼成製品の製造には良い影響があると思われる。Alveographの結果も、全粒小麦粉生地がくっつきやすく、伸展性がないことを示している。押出し処理はふすま及び胚芽成分の、総食物繊維含有量を維持している。しかしながら、押出し処理は、ふすま及び胚芽成分又は画分のビタミンの含有量に、影響を及ぼすおそれがある。高いビタミン回収率を得るために、押出し処理の条件は、慎重に選択されるべきである。例えば試行#1及び試行#2は、高いビタミン保持率を提供している。
(実施例6)
全粒小麦粉の焼成時の機能性及び、押出し熱処理されたふすま及び胚芽成分で作り、化学的に膨張させたクラッカーの感覚評価
本実施例では、パート1では、実施例4及び5の押出し熱処理されたふすま及び胚芽成分でつくった全粒小麦粉の焼成時の機能性が評価される。本実施例のパート2では、実施例4及び5の押出し熱処理されたふすま及び胚芽成分で作った100%全粒クラッカーの味及び食感が評価される。
パート1:焼成時の機能性
本実施例では、実施例4及び5の押出し処理されたふすま及び胚芽成分でつくった全粒小麦粉の焼成時の機能性が、未処理の全粒小麦粉の焼成時の機能性と比較される。押出し処理されたふすま及び胚芽成分又は画分及び、天然のものと同じ割合の、ふすま、胚芽、及び胚乳でできている全粒小麦粉が、実施例4及び5、表7〜13の、例えば試行#2及び#4及び比較対照例に説明されている。化学的に膨張させたクラッカー試験焼成法は、全粒小麦粉の焼成時の機能性を評価するために用いられるが、それはKweonらのクラッカー法(Kweon et al.,Cereal Chemistry,88(1):19〜24(2011))である。焼成に用いる試験用の配合が表14に示されている。
Figure 0006018324
焼成結果
表15は、G3SWS比較対照例の全粒小麦粉、及び試行#2及び試行#4の押出し熱処理されたふすま及び胚芽成分又は画分を含む全粒小麦粉で作った100%全粒クラッカーの焼成結果を示す。
Figure 0006018324
表15に示すように、未処理の比較対照例クラッカーG3SWSは、押出し処理されたふすま及び胚芽成分(試行#2及び試行#4)で作ったクラッカーと比べて、スタック高がより高く、長さも長い。押出し処理されたふすま及び胚芽成分(試行#4)で作ったクラッカーは未処理の比較対照例クラッカーG3SWS、及びクラッカー押出し処理されたふすま及び胚芽(試行#2)よりも色が濃い。
パート2:感覚評価
本実施例では、実施例4及び5、試行2の押出し処理されたふすま及び胚芽成分を含む全粒小麦粉で作った全粒クラッカーの、味、風味、及び食感を、未処理の全粒小麦粉、比較対照例G3SWSで作った全粒クラッカーと比較する。
感覚評価の方法
製品は、味を評価する専門家のパネルにより、定量的に、目隠しをして、3ケタのコードでラベルをつけられて評価される。データは回収され、Senpaq v4.3(p<0.1)を用いて分析される
結果:
比較対照例(G3SWS)と比較して、試行2で押出し処理されたふすま及び胚芽成分を含む全粒小麦粉から作られたクラッカーは、硬質で、サクサクとした食感で、よりしっとりとし、よりオイルが口に広がって、よりよく焼き上げられていて、生感は少なく、小麦臭くもなく、ふすまの存在がなく、木の印象がなく、よりカラメル風味であり、より加熱した油の香りがして、粒子がより少なく、また粒子径がより小さい。
押出し処理は、小麦臭さの特徴を(風味、粒状感、乾燥)減らし、製品をより固くするが、フレーク感を改善していない。
まとめ
押出し処理されたふすま及び胚芽成分からなる全粒小麦粉で焼いた100%全粒クラッカーは、スタック高が低く、サクサク感も低い。感覚的説明的結果は、押出しが、小麦の特性を小麦の小麦らしさ(風味、粒状感、乾燥)を減少させる一方で、製品をより固くするが、フレーク感を改善していないということを示した。

Claims (15)

  1. 挽きふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法であって、挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、少なくとも50重量%のふすまと、5重量%〜25重量%含水量とを有する、ふすま及び胚芽を含む挽きふすま及び胚芽成分内の、揮発性の小麦風味の成分及び水分を揮発させ、バター、ナッツ、及びカラメルの風味を前記ふすま成分内に作り出して増やすために、該挽きふすま及び胚芽成分を運搬混合装置内で運搬し混合する間に、前記挽きふすま及び胚芽成分を141℃〜210℃(285°F〜410°F)の温度まで加熱することと;前記ふすま及び胚芽成分の含水量を、30重量%〜75重量%減少させ、含水量が1.5重量%〜10重量%である乾燥した挽きふすま成分を得るために、前記小麦風味の成分及び水分を、前記加熱の最中に、前記運搬混合装置から取り除くことと;前記乾燥した挽きふすま成分を前記運搬混合装置から取り出して、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、膨張していない挽きふすま及び胚芽成分を得ることと、を含む方法。
  2. 前記運搬混合装置は、前記揮発性の小麦風味の成分及び水分を取り除くために排気される、請求項1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  3. 前記揮発性の小麦風味の成分及び水分は、減圧により取り除かれる、請求項1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  4. 前記加熱は、間接的に蒸気によって実行される、請求項1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  5. 前記加熱は、前記ふすま成分が運搬及び混合されている間に、前記ふすま成分に蒸気を噴射することにより直接的に実行される、請求項1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  6. 前記加熱により、ヘキサナール、ヘプタジエナール、ノナナール、デカナール、ノネナール、ヘプテナール、1−オクテン−3−オン、3,5−オクタジエン−2−オン、デカジエナール、ノナジエナール、若しくはオクテナール、又はそれらの組み合わせ又は混合物を含む小麦風味の成分を揮発させ、それを前記装置から取り除き、前記ふすま及び胚芽成分により保持されるピラジン及びジメチルピラジンからなる群より選択される少なくとも1種類を含む、ナッツ及びカラメル風味の成分、又はメイラード反応風味成分を生み出す、請求項1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  7. 前記加熱は、前記ふすま及び胚芽成分のリパーゼ活性を実質的に減少させる、請求項1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  8. 前記ふすま及び胚芽成分は、デンプンを含み、前記加熱が前記ふすま及び胚芽成分に含有されているデンプンが実質的に糊化するのを回避する、請求項1に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  9. 前記運搬混合装置は、低圧下で動作し、中空のスクリュー及びジャケット付きの本体を通して熱を交換する、請求項8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  10. 前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の含水量は、前記挽きふすま及び胚芽成分の重量に基いて、5重量%〜12重量%であり、前記加熱は、143℃〜177℃(290°F〜350°F)の温度まで行われ、前記ふすま及び胚芽成分の含水量は、30重量%〜75重量%減少し、含水量が1.5重量%〜4.5重量%の乾燥した挽きふすま成分が得られ、前記加熱は、1分間〜6分間の時間にわたって実行される、請求項8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  11. 前記加熱を受ける前記挽きふすま及び胚芽成分の温度は、前記運搬混合装置の入口では49℃(120°F)より低く、且つ前記運搬混合装置から出ると、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、前記膨張していない挽きふすま及び胚芽成分は、自由に流動する個別の粒子形状をしている、請求項8に記載のふすま及び胚芽成分の風味及び食感を改善するための方法。
  12. 請求項1または請求項8に記載の方法により得られる、小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない、ふすま及び胚芽成分。
  13. 小麦臭くなく、ナッツとカラメルの風味があり、ザラザラした食感ではない全粒小麦粉であって、請求項1または請求項8に記載の方法により得られるふすま及び胚芽成分と、胚乳成分とを含む、全粒小麦粉。
  14. 請求項12に記載のふすま及び胚芽成分を含む焼成製品。
  15. 請求項13に記載の全粒小麦粉を含む焼成製品。
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