JP6016653B2 - シール構造 - Google Patents
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Description
本発明の一態様に係るシール構造は、壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、該配設部材の外周面と前記孔部の内周面との間の空間を閉塞する耐火シール材と、該耐火シール材における前記軸線方向の少なくとも一方側に設けられ、前記配設部材と前記耐火シール材との境界に接する閉鎖空間を画成するカバーと、前記閉鎖空間に充填されて、前記配設部材と前記耐火シール材との境界に形成された間隙を経由して到達する熱により膨張することで、該間隙内に侵入する熱膨張耐火材と、を備えることを特徴とする。
図1に示すように、第一本実施形態のシール構造は、建屋等の外壁を構成し孔部13を有する構造物である壁部10と、建屋等の屋内外に跨って孔部13に挿通されている配設部材1と、孔部13と配設部材1との間の空間を閉塞している耐火シール材2と、孔部13内の耐火シール材2よりも軸線O方向の屋内側に配置される閉塞部3とを備えている。
配設部材1は、貫通孔13を屋内側及び屋外側にわたって挿通するように軸線Oに沿って延びている。本実施形態では、配設部材1として、軸線Oを中心とする円筒状をなして延在する配管が設けられている。
なお、本実施形態で用いられる耐火シール材2は、公知の建築用シール材等が用いられれば良い。
カバー31は、上部カバー311と、上部カバー311と組み合わされてカバー31を形成する下部カバー312と、上部カバー311と下部カバー312とを固定する固定用ボルト313とを有している。カバー31は、上部カバー311と下部カバー312とを組み合わせることで、軸線Oを中心とする有底円筒形状をなしており、耐火シール材2側に向かって開口した貫通孔13よりも径の小さい形状となっている。カバー31は、耐火シール材2に開口部分を押し付けるように貫通孔13内に配置され、有底円筒形状の底部分の中心を挿通するように断熱材32を介して配設部材1上に固定されている。そして、カバー31は、配設部材1と耐火シール材2との境界Bの端部を覆うように内部に閉鎖空間3aを画成している。
上部円板部311bは、180度よりわずかに大きい優角(本実施形態においては例えば、200°)をなす扇形の板材であり、内周面が外周面と同心円弧を形成している。
上部円筒部311aは、180度よりわずかに小さい劣角(本実施形態においては例えば160°)をなす円弧を有する筒形状をなしており、上部円板部311bの外周面から軸線O方向の屋外側に向かって延出している。
上部固定孔311cは、上部円板部311bに形成される円形状の孔であり、径方向の同一直線上に上部円板部311bの中心を介して対称に二カ所配置される。
下部円板部312bは、180度よりわずかに大きい優角(本実施形態においては例えば、200°)をなす扇形の板材であり、内周面が外周面と同心円弧を形成している。
下部円筒部312aは、下部円板部312bと同様の180度よりわずかに大きい優角(本実施形態においては例えば、200°)をなす円弧を有する筒形状をなしており、下部円板部312bの外周面から軸線O方向の屋外側に向かって延出している。下部円筒部312aは、上部円筒部311aより下部円板部312bの板厚分だけ短く形成されている。
固定用ボルト313は、市販の公知のボルトが使用され、下部固定孔312cの大きさに合わせて適宜選択されて使用されれば良い。
図2に示すように、上部カバー311の上部円筒部311aの内周面と下部カバー312の下部円筒部312aの内周面とが配設部材1を介して対向し、下部カバー312は、上部カバー311に対して下部円板部312bが上部円板部311bの軸線O方向の貫通孔13側にくるように軸線Oに沿って配置される。そして、上部円板部311bの内周面及び下部円板部312bの内周面が、配設部材1の外周面上に固定された断熱材32上に対向するように重ねて組み合わされる。即ち、上部カバー311の上部円板部311bの内周面が断熱材32に密着し、下部カバー312の下部円板部312bの内周面も断熱材32に密着した状態で、下部円板部312bに上部円板部311bが覆いかぶさり、下部円筒部312aの端面と上部円筒部311aの端面とが合うように組み合わされている。上部カバー311と下部カバー312が組み合わされると、上部固定孔311cの位置と下部固定孔312cの位置とが対応しているために重なり貫通する。そのため、上部固定孔311c側から固定用ボルト313を挿通し下部固定孔312cに固定することができる。そして、上部カバー311と下部カバー312とが組み合わされることで耐火シール材2側を開口し軸線Oを中心とする有底円筒形状をなすカバー31が形成される。
上記のような第一実施形態のシール構造では、配設部材1と貫通孔13との間の空間は、耐火シール材2が充填され閉塞部3を取り付けられた通常の状態では、耐火シール材2によって隙間なく閉塞されている。
しかし、図3に示すように、地震が発生し壁部10の屋外側で火災が発生すると、まず地震によって配設部材1が振動し貫通孔13に対して大きく相対移動をする。配設部材1が貫通孔13に対して相対移動をすることにより、耐火シール材2が僅かに変形し配設部材1の外周面と耐火シール材2との接着部分である境界Bに負荷がかかり、境界Bから耐火シール材2が剥離する。即ち、配設部材1と耐火シール材2との境界Bに間隙Gが形成される。
さらに、貫通孔13の径よりも有底円筒形状をなすカバー31の径を小さくすることで必要最低限の熱膨張耐火材33によって、配設部材1と耐火シール材2との境界Bに形成された間隙Gを埋めることができる。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第二実施形態のシール構造は、カバー31の外周面が貫通孔13の内周面に向かって変形することを制限する制限部34を設ける点について、第一実施形態と相違する。
制限部34は、上部カバー311及び下部カバー312の外周面と貫通孔13の内周面との間の空間に耐火シール材2と同様の材料を充填し、この空間を軸線Oの周方向にわたって埋めることで形成されている。
また、本実施形態では、挿入孔を壁面に設けられた貫通孔13としたがこれに限られるものではなく、建屋の壁部10等の構造物の表面11から凹んで形成される凹部であっても良い。
さらに、孔部である貫通孔13の軸線Oに直交する断面形状は円形をなしているが、他の断面形状であっても良い。
また、配設部材1は、円筒状をなす配管に限られるものではなく、例えば、断面が矩形状の配管であったり、配管ではなくケーブル等であったりしても良い。
Claims (3)
- 壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、
該配設部材の外周面と前記孔部の内周面との間の空間を閉塞する耐火シール材と、
該耐火シール材における前記軸線方向の少なくとも一方側に設けられ、前記配設部材と前記耐火シール材との境界に接する閉鎖空間を画成するカバーと、
前記閉鎖空間に充填されて、前記配設部材と前記耐火シール材との境界に形成された間隙を経由して到達する熱により膨張することで、該間隙内に侵入する熱膨張耐火材と、
を備えることを特徴とするシール構造。 - 前記孔部が壁部を貫通する貫通孔をなしており、
前記耐火シール材は、前記貫通孔の前記軸線方向の一方側の開口を封止し、
前記カバーが、前記孔部内で前記配設部材の外周面に固定され、前記耐火シール材側に向かって開口するよう前記軸線に沿って延びる前記貫通孔の径よりも小さい有底円筒形状をなすことを特徴とする請求項1に記載のシール構造。 - 前記カバーの前記軸線の径方向への変形を制限する制限部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシール構造。
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