JP6013969B2 - 卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具 - Google Patents

卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具 Download PDF

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Description

本発明は哺乳動物の卵子、胚などを凍結保存する際に使用する卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具に関する。
牛の胚移植技術に用いられる胚は、受胚牛の発情周期に合わせて移植が行われており、発情周期に胚の移植を合わせるために、生産した胚を液体窒素等の冷却物質の中で凍結した状態で保存し、発情周期に合わせて胚を融解して移植を行っている。このような胚を凍結した状態で保存するための凍結方法として、いわゆるガラス化保存法があり、該ガラス化保存法はヒトの不妊治療においても有用である。
ガラス化保存法とは、グリセロールやエチレングリコール、DMSO(ジメチルスルホキシド)などの耐凍剤を多量に含む水溶液の凝固点降下により、氷点下でも氷晶ができにくくなる原理を用いたものである。この水溶液を急速に液体窒素中で冷却させると氷晶を生じさせないまま固体化させることができる。このように固体化することをガラス化凍結と云う。また、耐凍剤を多量に含む水溶液をガラス化液と云う。
ガラス化保存法を用いると、細胞内外のいずれにも氷晶が生じないために凍結時及び融解時の細胞への物理的障害(凍害)を回避することができるが、ガラス化液に含まれる耐凍剤には化学的毒性があり、細胞の凍結保存時にはガラス化液が少ない方が好ましく、更には、解凍後ただちにガラス化液を希釈する必要がある。
これらガラス化保存法を用いた卵子、胚の凍結保存法としては様々なものが提案されている。特許文献1、特許文献2などではストローにガラス化液を充満させた中で卵子又は胚をガラス化凍結保存させ、解凍時に素早く希釈液と接触させて再生率を向上させる試みがなされている。
特許文献3では卵子又は胚の周囲に付着した余分なガラス化液を濾紙などの吸収体により吸収させることにより、優れた生存性で凍結保存させる方法を提案している。
特許文献4、特許文献5では、人の不妊治療分野で使用されているいわゆるクライオトップ法と云う方法で、卵付着保持用ストリップとして短冊状の可撓性かつ無色透明なフィルムを使用し、該フィルム上にごく少量のガラス化液と共に卵子又は胚を顕微鏡下で付着させ、凍結保存する方法が提案されている。当該方法は人の卵子又は胚などの凍結保存の場合、顕微鏡下での確認作業が必要なため卵付着保持用ストリップに光透過性などの性能が付与されている。
特開平5−176946号公報 特開平10−248860号公報 特開2005−40073号公報 特開2002−315573号公報 特開2006−271395号公報
特許文献3では、卵子又は胚の周囲に付着した余分なガラス化液を濾紙などの吸収体に吸収させることにより、優れた生存性でこれらの生殖細胞を凍結保存させる方法を提案している。しかしながら、クライオトップ法により、例えばガラス化保存法を人の卵子又は胚に適用する場合には、特に卵子又は胚の吸収体への付着確認作業の正確性が高い精度で求められるが、濾紙は全光線透過率が低く、このような吸収体では付着した卵子又は胚を観察することは難しいため、顕微鏡下で確実に卵子又は胚の付着を確認することは極めて困難であった。
特許文献4に提案されている方法では、特許文献3に提案されている方法の不具合をある程度解決している。特許文献4に提案されている方法によって、操作性が良く、凍結保存スペースを占有しないコンパクトな卵凍結保存用具が提供される。この卵凍結保存用具は、顕微鏡下で人の卵子又は胚を観察できる可撓性かつ無色透明な平坦フィルム(卵付着保持用ストリップ)を備えており、該フィルム上に極少量(0.1μL)のガラス化液と共に卵子又は胚を滴下付着させることにより、卵子又は胚を凍結保存できる。しかしこれらフィルムの幅は0.5〜2.0mmであり、操作に熟練していないと極少量の卵子又は胚の入ったガラス化液を正確に滴下付着させるのは非常に難しい。実際には新人培養士の多くが卵子又は胚の凍結操作でまずつまずくのが、極少量の液で卵子又は胚をシートへ乗せる操作である。更にガラス化液を多く滴下した場合、余分なガラス化液が卵子又は胚の周囲に残り、ガラス化液自体の毒性のために、卵子又は胚の生存性を低下させるおそれがある。そのため、これらの操作の煩雑さを解消する方法が求められている。
本発明は、卵子又は胚の凍結保存作業を容易にかつ確実に行うことが可能な、ガラス化凍結保存用治具を提供することを主な課題とする。より具体的には、ガラス化凍結保存時に、顕微鏡下にて卵子又は胚の付着やその様子を容易に確認することが可能であり、ガラス化液滴下時には余分なガラス化液を吸収するための優れた吸収性能を備え、また長期間保存した後であっても優れた吸収性能を有するガラス化凍結保存用治具を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の構成を有する卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具で解決できることが判明した。
支持体上に接着層とガラス化液吸収層をこの順に有するガラス化液吸収体を少なくとも有する卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具であって、該接着層は重合度が700〜3000のポリビニルアルコールを含有し、該ガラス化液吸収体のガラス化液を吸収したときの全光線透過率が60%以上である、卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具。
本発明により、卵子又は胚を含むガラス化液をガラス化液吸収体に滴下する際に、ガラス化液をハンドリングの難しい0.1μLではなく、例えばその十倍以上の量である1〜2μL使用することができるので、容易にかつ確実に操作を行うことができる。加えて、ガラス化凍結保存時に顕微鏡下で卵子又は胚の付着やその状態を確認することができる。更には、優れたガラス化液の吸収性能を有し、長期間保存した後であっても優れた吸収性能を有する卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具を提供することができる。また、本発明のガラス化凍結保存用治具を用いると、卵子又は胚のガラス化凍結作業を効率よく行うことができる。
図1は、卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具の一例を示す全体図である。 図2は、図1中のガラス化液吸収体の拡大図である。 図3は、複数個の卵子又は胚を1つの当該ガラス化凍結保存用治具で凍結保存させる場合に用いるガラス化液吸収体の一例を示す概略図である。 図4は、複数個の卵子又は胚を1つの当該ガラス化凍結保存用治具で凍結保存させる場合に用いるガラス化液吸収体の別の一例を示す概略図である。 図5は、ガラス化液吸収層を支持体の両面に配したガラス化液吸収体の概略図である。
本発明のガラス化凍結保存用治具は、動物の卵子又は胚等の細胞を凍結保存する際に用いられるものである。好ましくは、ガラス化吸収体に卵子又は胚をガラス化液と共に付着させて、卵子又は胚が付着した治具を液体窒素等の冷却物質に浸漬し凍結させるためのものである。上記ガラス化液吸収体を有することにより、卵子又は胚をガラス化液と共に容易に保持することができ、更に卵子又は胚の液体窒素への浸漬作業も容易に行うことができる。本発明のガラス化凍結保存用治具は、卵子又は胚凍結保存用具、卵子又は胚ガラス化保存用具と言い換えることができる。
本発明のガラス化凍結保存用治具は、該ガラス化液吸収体が余分なガラス化液を吸収するので、卵子又は胚と共にガラス化液を滴下付着させる量が多くても安定した卵子又は胚の生存性が達成できる。更に、そのように操作された卵子又は胚はごく少量のガラス化液に覆われており、凍結操作する場合でも速やかに凍結状態にすることができる。更には凍結保存した卵子又は胚を解凍後ただちにガラス化液を希釈することができる。
本発明のガラス化凍結保存用治具が有するガラス化液吸収体は、支持体上に接着層とガラス化液吸収層をこの順に有し、該接着層は重合度が700〜3000のポリビニルアルコールを含有し、該ガラス化液吸収体のガラス化液を吸収したときの全光線透過率が60%以上である。該接着層と該ガラス化液吸収層は、支持体上の一方面に設けてもよいし、あるいは支持体上の両面に設けてもよい。また支持体上には該接着層と該ガラス化液吸収層以外にも、例えば支持体上に均一な接着層を得ることを目的に、例えば下塗り層等を設けてもよい。
本発明のガラス化液吸収体が有する支持体としては光透過性支持体が好ましく、全光線透過率が80%以上である光透過性支持体がより好ましい。また、光透過性支持体のヘーズ値は10%以下であることが好ましい。このような支持体としては例えば、各種樹脂フィルム、ガラス、ゴム等が挙げられる。本発明の効果を奏することになる限り、2種以上の支持体を組み合わせて用いてもよい。中でも樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で好適に用いられる。樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられ、その厚さは10〜1000μmであることが好ましい。また、支持体の表面はコロナ放電処理により易接着処理されていることが好ましい。
本発明において、ガラス化液吸収体が有する接着層は、重合度が700〜3000のポリビニルアルコールを含有する。この範囲の重合度であれば、完全ケン化、中間ケン化及び部分ケン化のポリビニルアルコールを用いることができる。この重合度の範囲のポリビニルアルコールを接着層に用いることで、優れた吸収性能が発揮されるだけでなく、例えば、生産後、長期間保存した後や高温環境下で保存した後に使用する場合でも優れた吸収性能を得ることができる。
接着層が含有する重合度が700〜3000のポリビニルアルコールの含有量は、接着層の固形分量に対し、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、更には95質量%以上であることがとりわけ好ましい。これにより支持体とガラス化液吸収層の良好な接着性に加え、優れた吸収性能を有するガラス化液吸収体を得ることができる。接着剤層が含有するその他の成分としては、重合度が700未満のポリビニルアルコールや、重合度が3000を超えるポリビニルアルコール、ヒドロキシセルロース、ポリビニルピロリドン、澱粉糊のような水溶性樹脂、あるいは各種マット化剤や界面活性剤、pH調整剤等を挙げることができる。
本発明の接着層は、上記した成分を含有する組成物を作製し、該組成物を支持体上、あるいは支持体上に設けられた下塗り層上に塗布、乾燥することで設けることが可能である。接着剤層が含有する重合度が700〜3000のポリビニルアルコールの含有量は、0.3〜5g/mの範囲が好ましく、更に0.5〜3g/mの範囲がより好ましい。
本発明においてガラス化液吸収体は、ガラス化液を吸収したときの全光線透過率が60%以上である。このようなガラス化液吸収体を利用することにより、卵子又は胚の付着確認作業を高い精度で行うことが可能となる。ガラス化液を吸収したときのより好ましい全光線透過率は、75%以上である。
本発明においてガラス化液を吸収したときの全光線透過率は、ガラス化液吸収体がガラス化液を保持できる最大量を吸収した状態で測定される全光線透過である。すなわち、後述する実施例にも記載されているようにガラス化液吸収体を十分(約10秒間)にガラス化液に浸漬させた後、ゴムロールで絞り、余分なガラス化液を除去した状態とし、この状態で全光線透過率を測定する。つまりガラス化液吸収体がガラス化液を保持できる最大量を吸収した状態で全光線透過率を測定する。なおガラス化液としてはグリセロールやエチレングリコール、DMSO(ジメチルスルホキシド)などの各種耐凍剤を含有する水溶液が一般に知られているが、本発明では便宜上、水:エチレングリコール=70:30(対容積)の比率で混合して調整したガラス化液を用いて全光線透過率を測定する。
また、ガラス化凍結保存時にガラス化液吸収体に確実に卵子又は胚を付着させるという観点から、ガラス化液吸収体のヘーズ値は40%以上であることが好ましい。これにより顕微鏡下の作業であっても卵子又は胚を滴下付着させる部分が容易に識別できる。ガラス化液吸収体のヘーズ値は、JIS K7136(プラスチック−透明材料のヘーズの求め方)に従って求められる値であり、例えば、TMダブルビーム方式ヘーズコンピューター、型式HZ−2(スガ試験機(株)製)を用いて測定することができる。またガラス化液を吸収したときのガラス化液吸収体の全光線透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部)に従って求められる値であり、例えば前記したTMダブルビーム方式ヘーズコンピューター、型式HZ−2(スガ試験機(株)製)を用いて測定することができる。なおガラス化液吸収体のヘーズ値は、ガラス化液吸収体が乾燥状態にあるときのヘーズ値である。すなわち前記ヘーズ値は、通常、ガラス化液を吸収していないガラス化液吸収体のヘーズ値である。
ガラス化液を吸収したときの全光線透過率が60%以上のガラス化液吸収体を得るために用いられるガラス化液吸収層としては、無機微粒子を主体として含有する多孔質のガラス化液吸収層、水溶性樹脂を主体に含有し白色顔料を含有するガラス化液吸収層等が挙げられ、このようなガラス化液吸収層の固形分塗布量は、0.1〜30g/mであることが好ましく、このような範囲で固形分塗布量を調整することより、ガラス化液吸収体の吸収容量を、滴下されるガラス化液の量に応じて容易に調整できる。なおここで主体とは、ガラス化液吸収層中の全固形分に対して、無機微粒子又は水溶性樹脂の占める割合が50質量%以上であることを意味し、より好ましくは、全固形分に対して無機微粒子又は水溶性樹脂を65質量%以上含有することである。また、無機微粒子又は水溶性樹脂は、ガラス化液吸収層の全固形分に対して、95質量%以下であることが好ましい。
多孔質のガラス化液吸収層が含有する無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種無機微粒子が挙げられるが、より大きい細孔容積が得られる点で非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましい。これらの無機微粒子は、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。非晶質合成シリカとしては、気相法シリカ及び湿式法シリカが特に好ましく用いられる。無機微粒子の平均粒子径は5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。無機微粒子の平均粒子径の下限は、通常50nm以上であることが好ましい。
多孔質のガラス化液吸収層は上記した無機微粒子と併せてバインダー樹脂を含有することが好ましい。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、キトサン誘導体、カゼイン、大豆蛋白、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらバインダーは2種類以上併用することも可能である。バインダー樹脂の使用にあたっては、バインダーがガラス化液吸収体を保存した際に湿度等の影響により膨潤して、空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的膨潤性の低いバインダーが好ましく用いられる。好ましいバインダーは、例えば、完全又は部分ケン化のポリビニルアルコールである。
水溶性樹脂を主体に含有し白色顔料を含有するガラス化液吸収層が含有する水溶性樹脂としては、上記した多孔質のガラス化液吸収層に用いるバインダー樹脂が挙げられる。また白色顔料としては上記した各種無機微粒子に加え、例えばアクリル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、スチレン系ラテックス、ポリエステル系ラテックス等の各種水分散性樹脂を挙げることができる。これらの顔料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ガラス化液吸収層には、上記成分以外にマット化剤、架橋剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤、蛍光増白剤などの任意の成分を加えてもよいが、例えば低分子成分は、卵子又は胚に影響を与えるおそれがあるので最小限の使用に留めた方が好ましい。具体的にはガラス化液吸収層全体に対して1質量%以下とすることが好ましい。
また、本発明のガラス化凍結保存用治具が有するガラス化液吸収層としては、紙又は不織布であることが特に好ましい。ガラス化液吸収層が紙又は不織布である場合、余分なガラス化液を吸収する速度がより早く、またガラス化液の保持量もより多くなるために好ましい。紙又は不織布の主要構成成分は繊維であり、毛細管現象によりガラス化液を素早く吸収することができる。また、繊維間の空隙にガラス化液を多く保持することができる。
ガラス化液吸収層が紙の場合、紙を構成するパルプ繊維としては、広葉樹、針葉樹のいずれから製造されたパルプ繊維が挙げられる。パルプ繊維は、未漂白であってもよく、漂白されたものでもよいが、漂白されたバージンパルプ繊維が好ましく用いられる。またガラス化液吸収層として用いる紙の白色度は60%以上が好ましく、更には70%以上が好適である。白色度がこのような範囲であると、付着した卵子又は胚の確認が容易であるため好ましい。このような白色度の紙は該バージンパルプ以外でも、漂白されたケナフなどの非木材系パルプ繊維でも使用することができる。また、雑分が多い再生紙用パルプ繊維は雑分が卵子又は胚に影響を及ぼす可能性があるが、再生紙用パルプ繊維であっても雑分をしっかりと除き、白色度70%以上にすれば好適に使用できる。本発明においては、以上に挙げた各種パルプ繊維を混合して白色度70%以上なら好適に使用することができる。なおパルプ繊維の白色度はJIS P8123を用いて測定することができる。
本発明においてガラス化液吸収層が紙の場合、該ガラス化液吸収層はバインダーなどの結着剤成分の紙全体に占める割合が10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下である。通常の紙等には筆記性などを向上させるために5〜20質量%程の無機顔料が含まれており、更に様々な製紙用薬品が入っている。特に炭酸カルシウム等の無機顔料は全光線透過率を低下させてしまう場合があり、無機顔料の紙全体に占める割合は5質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは3質量%以下である。また製紙用薬品の中でも例えば蛍光増白剤や染料、カチオン系のサイズ剤などには卵子又は胚に影響を与えると思われるものがあるため、これら成分もまた紙全体に占める割合を1質量%以下とすることが好ましい。
本発明におけるガラス化液吸収層が紙の場合、嵩高い紙が適しており、具体的には密度が0.1〜0.5g/cmの紙が好ましく用いられ、更に好ましくは0.12〜0.3g/cmである。また適した坪量は10〜100g/m、更に好適には10〜70g/mの紙が好ましく用いられ、このような範囲で紙の密度及び秤量を調整することによりガラス化吸収層の吸収容量を、滴下されるガラス化液の量に応じて容易に調整できる。
本発明におけるガラス化液吸収層が不織布の場合、紙である場合と同様に、バインダーなどの結着剤成分の不織布全体に占める割合が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
本発明に用いる不織布を更に詳細に説明する。前記した紙と同様に、不織布も好適に使用される繊維がある。これら好適に使用される繊維として、セルロース繊維、セルロース繊維からの再生繊維であるレーヨン繊維やキュプラ繊維、更にはセルロース繊維からの半合成繊維であるアセテート繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維、絹繊維などが挙げられる。その中でも光の屈折率が低く、ガラス化液を吸収したときに高い全光線透過率が得られる繊維としてセルロース繊維、セルロース繊維からの再生繊維であるレーヨン繊維やキュプラ繊維、更にはセルロース繊維からの半合成繊維であるアセテート繊維、ガラス繊維が更に好適に用いられる。
本発明においては、嵩高い不織布が適しており、不織布の密度は好ましくは0.05〜0.5g/cmであり、更に好ましくは0.10〜0.4g/cmである。坪量は好ましくは10〜130g/mであり、更に好適には10〜100g/mであり、このような範囲で不織布の密度及び秤量を調整することにより、ガラス化液吸収体の吸収容量を、滴下されるガラス化液の量に応じて容易に調整できる。
本発明におけるガラス化液吸収層が不織布の場合、前記した好適な繊維を各種混合した不織布も用いることができる。更に、湿式抄紙法の漉き合せ技術を用いて、異なる繊維構成の不織布を2層構成としたものや、接着剤などで貼り合わせ加工した2層構成品を用いることができる。
次に本発明に用いる不織布の好適な製造方法について説明する。不織布は紙と異なり様々な製造方法があるが、例えば、以下の製造方法が好適に用いられる。不織布の製造には繊維を並べる工程と繊維同士を絡ませたり、結着させたりする工程の大きく分けて2工程ある。繊維を並べる方法としては、湿式法、乾式法があり、その他樹脂ペレットから直接繊維を製造し、同時に結着させるスパンボンド法、メルトブロー法がある。湿式法は繊維を水分散させた後、紙の抄紙工程と同様に漉き上げて並んだ繊維を絡ませたり、結着させたりする方法としてサーマルボンド方式、ケミカルボンド方式、水流交絡法などがある。また、乾式法は繊維をカードと呼ばれる機械で並べた後、サーマルボンド方式、ケミカルボンド方式、水流交絡法、ニードルパンチ法で繊維を絡ませ、結着させて不織布を製造する。これらのいずれの方法で製造された不織布も、本発明において用いることができる。
これら製造方法の中でも、スパンボンド法、メルトブロー法で製造された不織布、更には湿式法又は乾式法で繊維を並べた後、水流交絡法又はニードルパンチ法で製造された不織布が好適に使用できる。これら製造方法はバインダーなしで繊維同士を結着することができ、100%繊維だけの不織布が製造できる。特に本発明において最も好適に使用される繊維である、セルロース繊維、セルロース繊維由来の繊維でセルロース再生繊維であるレーヨン繊維やキュプラ繊維、更にはセルロース繊維からの半合成繊維であるアセテート繊維を用いて製造する場合は湿式法、乾式法関わらず水流交絡法又はニードルパンチ法での製造方法が最も好適である。
ガラス化液吸収層の面積は、卵子又は胚と共に滴下されるガラス化液の滴下量等に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、例えば、滴下するガラス化液1滴につき10mm以上とすることが好ましく、10〜400mmとすることがより好ましい。
以上、本発明におけるガラス化液吸収体を説明してきた。以下にこれらを用いたガラス化凍結保存用治具の構成について説明する。本発明のガラス化凍結保存用治具は、支持体上に接着層とガラス化液吸収層をこの順に有するようなガラス化液吸収体であればよいが、該ガラス化液吸収体が把持部に接続されていてもよい。把持部を有すると、凍結時の作業性が良好であるため、好ましい。
図1は本発明における卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具の一例を示す全体図である。図1においてガラス化凍結保存用治具5は、把持部1とガラス化液吸収体2から構成される。把持部1は耐液体窒素素材であることが好ましい。このような素材としては、例えばアルミ、鉄、銅、ステンレス合金などの各種金属、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエレン樹脂、フッ素系樹脂や各種エンジニアプラスチック、更にはガラスなどを好適に用いることができる。また基本的にガラス化液吸収体2はハンドリング上、短冊状又はシート状であることが好ましい。
本発明におけるガラス化液吸収体の一例を、図2に示す。図2は、図1のガラス化液吸収体2の拡大図である。図2のガラス化液吸収体2aは支持体4上にガラス化液吸収層3を有する。図2に示すガラス化液吸収体2aは、支持体4の全面にガラス化液吸収層3を有する形態の一例である。
図1の把持部1とガラス化液吸収体2の接続方法について説明する。把持部1が樹脂の場合、例えば、成形加工するときにインサート成形によりガラス化液吸収体2を把持部1に接続することができる。更に、把持部1に図示しないガラス化液吸収体挿入部を作製して接着剤にてガラス化液吸収体2を接続することができる。接着剤は様々なものが使用できるが、低温に強いシリコーン系やフッ素系の接着剤が好適に用いることができる。
本発明における卵子又は胚のガラス化液保存用治具で卵子又は胚を長期凍結保存する場合、図1に示す治具本体に安全のため、外界と遮断するためにキャップを被せることも可能である。更に、通常液体窒素は滅菌されておらず、直接液体窒素に接触させて凍結させる場合、ガラス化液保存用治具が滅菌されていても滅菌状態を保証できない場合がある。よって凍結前に卵子又は胚を付着させたガラス化液吸収体にキャップをして、直接液体窒素に接触させないで凍結させることがある。また、EUなど海外先進国では前記のように液体窒素に直接接触させない凍結方法が主流となってきている。このような理由からキャップは対液体窒素性のある素材である各種金属、各種樹脂、ガラス、セラミックなどで作製することが好ましい。形状としては、鉛筆用のキャップや円柱状のストローキャップなどガラス化液吸収体と接触せず、外界と遮断できるような形状ならどのような形状でもよい。
図3〜5に、本発明におけるガラス化液吸収体の別の態様の例を示す。図1に示す卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具において、ガラス化液吸収体を図3〜5に示すものとすることもできる。図3は、複数個の卵子又は胚を1つの当該ガラス化凍結保存用治具で凍結保存させる場合に用いるガラス化液吸収体の一例を示す概略図を示す。また図4は複数個の卵子又は胚を1つの当該ガラス化凍結保存用治具で凍結保存させる場合に用いるガラス化液吸収体の別の一例を示す概略図である。図3及び図4ではガラス化液吸収層3が支持体4上に、不連続であって複数が配置されている。
前述した図2のようにガラス化液吸収層3が連続した形状である場合、複数の卵子又は胚をガラス化液吸収層3に付着させようとすると、ガラス化液はガラス化液吸収層で横方向と厚み方向に広がるため、例えば2個目以降の卵子又は胚をガラス化液吸収層3に付着させた場合、ガラス化液の吸収性は低下する場合がある。しかし、図3及び図4のようにガラス化液吸収層3が支持体4上に、不連続で複数設けられているとそのような心配がなく、ガラス化液と共に卵子又は胚を各ガラス化液吸収層3に1個ずつ確実に付着させることができる。図3及び図4では、一例として、升目状のガラス化液吸収層3を複数配置した。図3及び図4に示すガラス化液吸収体2b及びガラス化液吸収体2cは、支持体上の一部にガラス化液吸収層を有するガラス化液吸収体の一例でもある。
図5は操作性、迅速性を向上させるために、ガラス化液吸収層を支持体の両面に配したガラス化液吸収体2dの概略図である。ガラス化液吸収層3を支持体4両面に配することにより、表裏を気にせず、直ぐに卵子又は胚を素早く滴下付着させることができる。図3〜5に示すガラス化液吸収体におけるガラス化液吸収層は、上述した図2のガラス化液吸収体におけるガラス化液吸収層と同様の方法により形成することができる。
本発明のガラス化凍結保存用治具は、例えば、クライオトップ法において好適に用いられるものである。本発明のガラス化凍結保存用治具を用いると、卵子又は胚の凍結時及び融解時に細胞外のガラス化液による損傷を受けにくく、卵子又は胚を優れた生存率で凍結保存することができる。
本発明のガラス化凍結保存用治具を用いて卵子又は胚等の細胞を凍結保存する方法は特に限定されず、例えば、まず、ガラス化液に浸漬した卵子又は胚等の細胞をガラス化液と共にガラス化液吸収体上のガラス化液吸収層に滴下し、該細胞の周囲に付着しているガラス化液をガラス化液吸収層に吸収させる。次いで、前記細胞をガラス化液吸収体上に保持させたまま液体窒素等の中に浸漬することにより、細胞を凍結することができる。ガラス化液は、通常卵子、胚等の細胞の凍結のために使用されるものを使用でき、例えば、上述したグリセロールやエチレングリコール、DMSO(ジメチルスルホキシド)などの各種耐凍剤を含有する水溶液を使用できる。
本発明のガラス化凍結保存用治具を用いて凍結保存することができる細胞として、例えば、哺乳類(例えば、人(ヒト)、牛、豚、馬、マウス等)の卵子又は胚、iPS細胞、ES細胞等が挙げられる。中でも、哺乳類の卵子又は胚の凍結保存に好適に用いられる。
以下に本発明を実施例により更に詳細に示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
<ガラス化液吸収体の作製>
コロナ放電処理により、表面が易接着処理された厚さ250μm、ヘーズ値5.5%、全光線透過率91%の透明PETフィルム上に、接着層として、クラレ(株)製 PVA210(ケン化度87〜89mol%、重合度1000)の5%水溶液を乾燥時質量2g/mで塗布した。当該塗布層が乾燥する前に、ガラス化液吸収層として、セルロース(キュプラ)繊維で構成された旭化成せんい(株)製の不織布であるBemliese(登録商標) SA14G(坪量14g/m、密度0.19g/cm)を当該塗布層に重ねて乾燥させた。以上のようにして、支持体上に接着層とガラス化液吸収層をこの順に有する実施例1のガラス化液吸収体を作製した。
実施例2
<ガラス化液吸収体の作製>
接着層として、クラレ(株)製 PVA117(ケン化度98〜99mol%、重合度1700)を用いた以外は、実施例1と同様に、実施例2のガラス化液吸収体を作製した。
実施例3
<ガラス化液吸収体の作製>
接着層として、クラレ(株)製 PVA217(ケン化度87〜89mol%、重合度1700)を用いた以外は、実施例1と同様に、実施例3のガラス化液吸収体を作製した。
実施例4
<ガラス化液吸収体の作製>
接着層として、クラレ(株)製 PVA224(ケン化度87〜89mol%、重合度2400)を用いた以外は、実施例1と同様に、実施例4のガラス化液吸収体を作製した。
実施例5
<ガラス化液吸収体の作製>
接着層として、クラレ(株)製 PVA617(ケン化度95〜96mol%、重合度1700)を用いた以外は、実施例1と同様に、実施例5のガラス化液吸収体を作製した。
実施例6
<ガラス化液吸収体の作製>
ガラス化液吸収層として、紙である大王製紙(株)製 エリエール(登録商標) プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220(坪量22g/m、密度0.21g/cm)を用いた以外は、実施例1と同様に、実施例6のガラス化液吸収体を作製した。
実施例7
<ガラス化液吸収体の作製>
ガラス化液吸収層として、紙である大王製紙(株)製 エリエール(登録商標) プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220(坪量22g/m、密度0.21g/cm)を用いた以外は、実施例2と同様に、実施例7のガラス化液吸収体を作製した。
実施例8
<ガラス化液吸収体の作製>
ガラス化液吸収層として、紙である大王製紙(株)製 エリエール(登録商標) プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220(坪量22g/m、密度0.21g/cm)を用いた以外は、実施例3と同様に、実施例8のガラス化液吸収体を作製した。
実施例9
<ガラス化液吸収体の作製>
ガラス化液吸収層として、紙である大王製紙(株)製 エリエール(登録商標) プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220(坪量22g/m、密度0.21g/cm)を用いた以外は、実施例4と同様に、実施例9のガラス化液吸収体を作製した。
実施例10
<ガラス化液吸収体の作製>
ガラス化液吸収層として、紙である大王製紙(株)製 エリエール(登録商標) プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220(坪量22g/m、密度0.21g/cm)を用いた以外は、実施例5と同様に、実施例10のガラス化液吸収体を作製した。
実施例11
<ガラス化液吸収体の作製>
ガラス化液吸収層として、不織布であるHAINAN XINLONG NONWOVENS CO.,LTD製レーヨン/PET混合の水流交絡法で製造された不織布YM74A(坪量35g/m、密度0.21g/cm)を用いた以外は、実施例3と同様に、実施例11のガラス化液吸収体を作製した。
比較例1
<ガラス化液吸収体の作製>
接着層として、クラレ(株)製 PVA103(ケン化度98〜99mol%、重合度300)を用いた以外は、実施例1と同様に、比較例1のガラス化液吸収体を作製した。
比較例2
<ガラス化液吸収体の作製>
接着層として、クラレ(株)製 PVA203(ケン化度87〜89mol%、重合度300)を用いた以外は、実施例1と同様に、比較例2のガラス化液吸収体を作製した。
比較例3
<ガラス化液吸収体の作製>
接着層として、クラレ(株)製 PVA235(ケン化度87〜89mol%、重合度3500)を用いた以外は、実施例1と同様に、比較例3のガラス化液吸収体を作製した。
比較例4
<ガラス化液吸収体の作製>
ガラス化液吸収層として、紙である大王製紙(株)製 エリエール(登録商標) プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220(坪量22g/m、密度0.21g/cm)を用いた以外は、比較例3と同様に、比較例4のガラス化液吸収体を作製した。
比較例5
<ガラス化液吸収体の作製>
濾紙であるアドバンテック社製濾紙No.5C(坪量120g/m、密度0.57g/cm)をそのまま用いて比較例5のガラス化液吸収体とした。
比較例6
<ガラス化液吸収体の作製>
無色透明なフィルムである透明PETフィルム(厚さ250μm、ヘーズ値5.5%、全光線透過率91%)をそのまま用いて比較例6のガラス化液吸収体とした。
比較例7
<ガラス化液吸収体の作製>
三菱製紙(株)製コート紙(坪量130g/m、密度1.24g/cm)をそのまま用いて比較例7のガラス化液吸収体とした。
<測定サンプルの作製>
実施例1〜11、及び比較例1〜7のガラス化液吸収体を50mm角にカットしたものをヘーズ値測定用サンプルとした。更に、水:エチレングリコール=70:30(対容積)の比率で混合してガラス化液を調製して、50mm角にカットした実施例1〜11、比較例1〜7のサンプルを前記ガラス化液に10秒間浸漬し、ゴムロールで絞り余分なガラス化液を除去し、ガラス化液を吸収したときの全光線透過率測定用サンプルとした。
<全光線透過率の測定>
TMダブルビーム方式ヘーズコンピューター、型式HZ−2(スガ試験機(株)製)にて、上記で用意したヘーズ値測定用サンプルのヘーズ値をJIS K7136(プラスチック−透明基材のヘーズの求め方)に従って測定し、また同機を利用して全光線透過率測定用サンプルの全光線透過率をJIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部)に従って測定した。この結果を表1に示す。
<卵子または胚の確認時の作業性>
実施例1〜11、及び比較例1〜7の各ガラス化液吸収体を幅2mm、長さ50mmの短冊状にカットした。評価においては、疑似卵子として直径0.1mmのガラスビーズを用いた。水:エチレングリコール=70:30(対容積)の比率で混合して調製したガラス化液に沈めた前記ガラスビーズ1個をマイクロピペットにて2μLのガラス化液と共に吸い込み、前記短冊状にカットしたガラス化液吸収体に滴下付着させた。透過型顕微鏡(オリンパス(株)製、SZH−121)にて、ガラス化液吸収体に滴下した当該ガラスビーズを視認できるかどうかを以下の基準で評価した。これらの結果を、表1の「卵子または胚の確認時の作業性」の項目に示す。
卵子または胚の確認時の作業性は以下の基準で評価した。
○:疑似卵子の形態が容易に確認できる。
×:疑似卵子の存在の確認が困難またはできない。
<ガラス化液の吸収性の評価>
実施例1〜11、及び比較例1〜7の各ガラス化液吸収体を幅2mm、長さ50mmの短冊状にカットした。ガラス化液の吸収性の評価においては、ガラス化液として、シグマアルドリッチ社製 修正TCM199培地に、20容積%血清、15容積%DMSO、15容積%エチレングリコール、0.2容積%スクロースが含まれる組成のものを用いた。上記組成のガラス化液を短冊状にカットしたガラス化液吸収体上に、マイクロピペットを用いて2μL滴下付着させた。滴下付着後、ガラス化液吸収体上に付着したガラス化液の液滴の様子を目視で確認し、吸収性を以下の基準で評価した。
ガラス化液の吸収性の評価は、作製直後のガラス化液吸収体と、作製後50℃の高温環境下で2週間強制加温を行ったサンプルを用いて行った。
ガラス化液の吸収性の評価は以下の基準で評価した。
◎:ガラス化液滴下付着後、10秒未満でガラス化液が全て吸収された。
○:ガラス化液滴下付着後、10秒未満でガラス化液がほぼ吸収された。
×:ガラス化液滴下付着後、ガラス化液の吸収に10秒以上を要した。または吸収されなかった。
※比較例6のガラス化液吸収体はガラス化液を全く吸収できないため、該吸収体にガラス化液を広げる形で全光線透過率を測定した。
前記した、水:エチレングリコール=70:30(対容積)の比率で混合したガラス化液に代わって、エチレングリコールを30容積%、グリセロールを0.5容積%、トレハロースを0.2容積%、及びスクロースを0.2容積%含有する水溶液をガラス化液として用いた以外は同様にして、実施例1〜11及び比較例1〜7の各ガラス化液吸収体について、卵子又は胚の確認時の作業性を評価した。この結果、前記表1と同様の結果が得られた。
以上の結果から、本発明のガラス化凍結保存用治具によって、卵子又は胚のガラス化凍結作業を容易にかつ確実に行うことが可能であることが判る。
本発明は、牛などの家畜や動物の胚移植や人工授精、人への人工授精などの他、例えば、細胞などの凍結保存にも応用され得る。また、本発明は、再生医療用細胞、細胞シートやiPS細胞の細胞バンクなどに用いる凍結保存方法に利用され得る。
1 把持部
2a ガラス化液吸収体
2b ガラス化液吸収体
2c ガラス化液吸収体
2d ガラス化液吸収体
3 ガラス化液吸収層
4 支持体
5 ガラス化凍結保存用治具

Claims (1)

  1. 支持体上に接着層とガラス化液吸収層をこの順に有するガラス化液吸収体を少なくとも有する卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具であって、該接着層は重合度が700〜3000のポリビニルアルコールを含有し、該ガラス化液吸収体のガラス化液を吸収したときの全光線透過率が60%以上である卵子又は胚のガラス化凍結保存用治具。
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