JP6828406B2 - 検査装置用熱転写媒体、及び検査装置の製造方法 - Google Patents

検査装置用熱転写媒体、及び検査装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、検査装置用熱転写媒体、検査装置及びその製造方法、並びに検査キットに関する。
近年、POCT(Point of Care Testing;臨床現場即時診断)を目的とした体外診断装置が急速に普及している。代表例として、前処理なく測定可能で、抗体の持つ特異的反応性を利用して検査液中の抗原を検出する、「イムノクロマト法」と呼ばれる測定方法を利用した検査装置が用いられている。
このような検査装置としては、例えば、検査液の受液部としてのサンプルパッド、前記サンプルパッドから供給された前記検査液を反応させるコンジュゲートパッド、前記コンジュゲートパッドから供給された検査液を流すメンブレン膜から構成されるものなどがある。
前記検査装置において、標識抗体や抗体等の試薬を流路部材内の繊維等に固相化する際、試薬の活性を安定保持させるために環状オリゴ糖を試薬に添加した後、繊維に固相化させる方法(例えば、特許文献1参照)、流路部材内の繊維等に抗原又は抗体等の試薬を固相化させた後、糖を溶解した緩衝液に浸漬することで前記試薬の保存安定性を向上させる方法(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
本発明は、固相化試薬の経時安定性に優れ、視認性が向上した検査装置の製造に好適な検査装置用熱転写媒体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の検査装置用熱転写媒体は、支持体と、前記支持体上に設けられ、表面に試薬を有する試薬固相化層と、前記試薬を覆うように前記試薬固相化層上に設けられた保護層を有しており、前記保護層の平均厚みが、0.5μm以上30μm以下である。
本発明によると、固相化試薬の経時安定性に優れ、視認性が向上した検査装置の製造に好適な検査装置用熱転写媒体を提供することができる。
図1Aは、本発明の検査装置用熱転写媒体の一例を示す概略断面図である。 図1Bは、本発明の検査装置用熱転写媒体の他の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の検査装置の一例を示す上面図である。 図3は、図2のA−Aでの断面図である。 図4は、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の一例を示す部分概略断面図である。 図5Aは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す部分概略断面図である。 図5Bは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す部分概略断面図である。 図6Aは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す部分概略断面図である。 図6Bは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す部分概略断面図である。 図7は、従来の検査装置におけるコンジュゲートパッドの概念図である。 図8は、従来の検査装置におけるメンブレンの概念図である。 図9は、本発明の検査キットの一例を示す概略図である。 図10Aは、実施例で用いた検査装置の一例を示す上面図である。 図10Bは、図10AのB−Bでの断面図である。
(検査装置用熱転写媒体)
本発明の検査装置用熱転写媒体は、支持体と、前記支持体上に設けられ、表面に試薬を有する試薬固相化層と、前記試薬を覆うように前記試薬固相化層上に設けられた保護層を有しており、前記保護層の平均厚みが、0.5μm以上30μm以下であり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
本発明の検査装置用熱転写媒体は、支持体と、前記支持体上に設けられ、表面に試薬を有する試薬固相化層と、前記試薬を覆うように前記試薬固相化層上に設けられた平均厚みが、0.5μm以上30μm以下の保護層とを有しており、従来の検査装置用熱転写媒体の試薬固相化層に固定化された試薬は、試薬が露出して存在しており、試薬自体の安定構造を制御できなくなり活性を失いやすく、検体と反応する力が弱くなってしまい、測定感度が低下するという知見に基づくものである。
また、本発明の検査装置用熱転写媒体は、前記支持体の試薬固相化層側の面とは反対側の面に、バック層が設けられ、シート状に製造され、通常、捲回されたロール状で保管されており、従来の検査装置用熱転写媒体におけるバック層と試薬固相化層表面との摩擦や衝撃により、試薬(抗体)の活性が低下し、経時安定性に劣るという知見に基づくものである。
本発明の検査装置用熱転写媒体は、支持体と、前記支持体上に設けられ、表面に試薬を有する試薬固相化層と、前記試薬を覆うように前記試薬固相化層上に設けられた保護層と、を有し、前記支持体の試薬固相化層側の面とは反対側の面に、バック層を有することが好ましい。
前記「試薬を覆うように前記試薬固相化層上に設けられた保護層を有」するとは、試薬の少なくとも一部を保護層が覆っている状態を意味し、試薬の全部を保護層で覆っていてもよいし、本発明の効果が得られる範囲内で試薬の一部を保護層で覆っていてもよい。
前記検査装置用熱転写媒体は、前記支持体と前記試薬固相化層の間に剥離層を有するか、又は前記試薬固相化層が、剥離層を兼ねた剥離層兼試薬固相化層であることがより好ましい。
本発明の検査装置用熱転写媒体は、第1の形態では、支持体と、前記支持体上に設けられた剥離層と、前記剥離層上に設けられた試薬固相化層と、前記試薬固相化層上に設けられた保護層と、を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記試薬固相化層の表面が、試薬を有する。前記試薬としては、抗体が好ましく、前記抗体としては、捕捉抗体などが挙げられる。
本発明の検査装置用熱転写媒体は、第2の形態では、支持体と、前記支持体上に剥離層兼試薬固相化層と、前記剥離層兼試薬固相化層上に設けられた保護層とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記剥離層兼試薬固相化層の表面が、試薬を有する。前記試薬としては、抗体が好ましく、前記抗体としては、捕捉抗体などが挙げられる。
前記第1及び前記第2の形態のいずれも、前記保護層によって検査装置用熱転写媒体の試薬固相化層の表面に固相化された試薬の経時安定性が向上する。また、前記試薬は保護層に覆われているが、前記検体と反応する際に、前記保護層は邪魔をせず、むしろ前記検体との反応を助長することもできる。即ち、前記保護層が糖類によって形成されている場合、糖類は吸湿性を有するため、前記保護層により親水性が高まることで、検査装置用熱転写媒体を転写後の検査装置において前記試薬と前記検査液とが接触しやすくなり、視認性が向上する。
ここで、図面を参照して、流路部材上に、樹脂層を設けるときに用いられる本発明の検査装置用熱転写媒体について説明する。図1A及び図1Bは、本発明の検査装置用熱転写媒体の一例を示す概略断面図である。
熱転写方式を用いる場合、予め試薬(捕捉抗体)を均等に付着させた検査装置用熱転写媒体100を用いることができるので、テストライン又はコントロールラインにおける捕捉抗体の濃度差が小さくなる。また、従来の方法により、捕捉抗体を塗布して配置した場合には、塗布可能な程度の粘度(例えば、インクジェットプリンタによって吐出可能な程度)になるまで捕捉抗体を溶媒で希釈する必要があるが、熱転写により捕捉抗体を配置する場合には、予め、高濃度の捕捉抗体を付着させた検査装置用熱転写媒体を用いることで、高濃度の捕捉抗体を流路に配置できる。
図1Aに示すように、検査装置用熱転写媒体100は、支持体101と、支持体101上に設けられた剥離層102と、剥離層102上に設けられた試薬固相化層103とを有しており、試薬固相化層103の表面には、試薬が固相化されている(不図示)。また、固相化された試薬を覆うことで保護するように、試薬固相化層103上には保護層106が設けられている。また、検査装置用熱転写媒体100は、更に必要に応じて、バック層104等のその他の層を有している。
図1Bに示すように、検査装置用熱転写媒体110では、剥離層と試薬固相化層とを剥離層兼試薬固相化層105として兼ねることも可能である。
<支持体>
支持体101としては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記支持体の大きさとしては、検査装置の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
支持体101の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、セルロースアセテートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
支持体101の表面には、支持体101の上に設ける層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
支持体101は、保護層106とともに試薬固相化層103を流路部材12に転写後、そのまま残しておいてもよく、また、試薬固相化層103及び保護層106を転写後、剥離層102で支持体101等を剥離し除去してもよい。剥離層兼試薬固相化層105を用いる場合は、保護層106とともに剥離層兼試薬固相化層105は流路部材12に完全に転写されるか、又は剥離層兼試薬固相化層105のうち、抗体が固相化された表面を含む部分は転写されるが、支持体101側に剥離層兼試薬固相化層105が一部残ってもよい。
支持体101は、特に制限はなく、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
支持体101の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上50μm以下が好ましい。
<剥離層>
剥離層102は、転写の際に、支持体101と試薬固相化層103との剥離性を向上させる機能を有する。また、剥離層102は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で、試薬固相化層103の切断を容易にする機能を有する。
剥離層102は、ワックス及びバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸ナトリウム共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離層102の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法などが挙げられる。
剥離層102の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。
剥離層102の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。
<試薬固相化層>
試薬固相化層103は、後述する検査装置10における樹脂層15を構成する樹脂を含んでいればよく、その材料に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
試薬固相化層103の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法や、前記樹脂を溶剤に分散させた試薬塗布液を、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター等の一般的な塗布法により、試薬固相化層塗布液を支持体101上又は剥離層102上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
試薬固相化層103の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200nm以上50μm以下が好ましい。前記平均厚みが200nm以上であると、樹脂層の耐久性が向上し、摩擦や衝撃などによって樹脂層が破損することを防止できる。また、前記平均厚みが50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱を均一に伝えることができ、鮮明性が良好となる。
試薬固相化層103における試薬塗布液の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2g/m以上50g/m以下が好ましい。前記付着量が、0.2g/m以上であると、塗布量が適切であり、樹脂層に欠損が生じることない。また、前記付着量が、50g/m以下であると、乾燥時間が適切であり、樹脂層にムラが生じない。
<剥離層兼試薬固相化層>
剥離層兼試薬固相化層105は剥離層と試薬固相化層の両方の機能を兼ね備えており、転写の際に支持体101と試薬固相化層103との剥離性を向上させ、かつ後述する検査装置10における樹脂層15を構成する樹脂を含むことで、捕捉抗体17、又は捕捉抗体18などの試薬を固相化することが可能である。
剥離層兼試薬固相化層105は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると支持体101に接している側面が熱溶融して低粘度の液体となる(加熱部分)。一方、試薬が固相化された側面は固体状態か又はそれに近い状態となり(非加熱部分)、加熱部分と非加熱部分との界面近傍での切断を容易にする機能を有する。
剥離層兼試薬固相化層105は、ワックス、及びバインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離層102と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性と捕捉抗体の固定化能力(疎水性)に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離層102と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離層兼試薬固相化層105の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法、などが挙げられる。
剥離層兼試薬固相化層105の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.5μm以上であると、剥離層兼試薬固相化層105の耐久性が向上し、摩擦や衝撃などによって検査装置における樹脂層が破損することを防止できる。また、前記平均厚みが50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱を均一に伝えることができ、鮮明性が良好となる。
剥離層兼試薬固相化層105の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。前記付着量が、0.5g/m以上であると、塗布量が適切であり剥離層兼試薬固相化層に欠損が生じることがない。また、前記付着量が、50g/m以下であると、乾燥時間が適切となり、剥離層兼試薬固相化層にムラが生じることがない。
−試薬の固相化−
塗布液を乾燥して試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105が形成された後、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の表面に、標識抗体16又は捕捉抗体(17,18)を含む溶液を塗布し、塗膜を形成する。続いて、塗膜を乾燥させることにより、標識抗体16又は捕捉抗体(17,18)を試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の表面に固相化させることができる。
−標識抗体の固相化−
前記標識抗体の固相化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105表面に標識抗体による塗布液を塗布して水膜を形成し、自然乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などによりドライアップして固相化する方法、などが挙げられる。
前記水膜は均一な厚みとなるように塗布されていることが好ましい。
前記標識抗体の塗布量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、標識抗体に金コロイド標識抗体を用いる場合は、OD(光学濃度)が1.0〜20のものを樹脂層の単位面積(cm)当り、20μL以上600μL以下の塗布量で塗布するのが好ましい。前記塗布量が20μL以上であると、金コロイド標識抗体の量が適切であり、ラインの発色濃度が良好となる。また、前記塗布量が600μL以下であると、金コロイド標識抗体の量が適切であり、ラインの発色が良好となる。
乾燥方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下での乾燥が好ましい。
乾燥時の湿度としては、相対湿度で30%以下が好ましい。前記相対湿度が30%以下であると、乾燥が適切であり、抗体を十分に固相化できる。
前記塗布液の乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−40℃以上50℃以下が好ましい。前記乾燥温度が、−40℃以上であると、前記塗布液の乾燥を適切に行うことができるとともに生産性が向上する。また、前記乾燥温度が、50℃以下であると、試薬が熱により変性することを防止できる点で有利である。ただし、上限の温度については標識抗体の種類によってはこれよりも低温にしたほうが好ましいことがある。
前記塗布液の乾燥時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、24時間以下が好ましい。前記乾燥時間が、24時間以下であると、生産性が向上するとともに変色を防止できる点で有利である。
−捕捉抗体の固相化−
前記捕捉抗体の固相化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105表面に捕捉抗体による塗布液を塗布して水膜を形成し、自然乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などによりドライアップして固相化する方法(ドライアップ法)、あるいは塗布液が乾燥しないよう多湿環境下で静置した後、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105表面を必要に応じ場合によっては蒸留水などで洗浄し、乾燥して固相化する方法(吸着後乾燥する方法)などが挙げられる。いずれも塗膜は均一な厚みとなるように塗布されていることが好ましい。
前記捕捉抗体を希釈するバッファーの濃度としては、特に制限はなく、一般的に抗体の希釈に用いられる緩衝液の組成で利用することできるが、10μg/mL以上5,000μg/mL以下が好ましく、100μg/mL以上1,000μg/mL以下がより好ましい。前記塗布濃度が10μg/mL以上であると、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105に単位面積(cm)当りに塗布する液量が適切であるため、前記バッファーに含まれる無機塩等の成分が減少し、抗体を十分に固相化できる。また、前記塗布濃度が5,000μg/mL以下であると、塗布液の濡れ性や粘度が適切であるため、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105への塗布が良好であり、塗布液量が適切であるため均一な水膜を形成することができる。
前記捕捉抗体をドライアップ法により固相化する場合の乾燥方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下乾燥させることが好ましい。
乾燥時の湿度としては、相対湿度で30%以下が好ましい。前記相対湿度が30%を超えると、乾燥が不足し抗体が十分に固相化できない恐れがある。
前記塗布液の乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−40℃以上50℃以下が好ましい。前記乾燥温度が、−40℃以上であると、前記塗布液の乾燥を適切に行うことができるとともに生産性が向上する。また、前記乾燥温度が、50℃以下であると、試薬が熱により変性することを防止できる点で有利である。ただし、上限の温度については捕捉抗体の種類によってはこれよりも低温にしたほうが好ましいことがある。
前記塗布液の乾燥時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、24時間以下が好ましい。前記乾燥時間が、24時間以下であると、生産性が向上するとともに変色を防止できる点で有利である。
捕捉抗体を吸着後、乾燥する方法により固相化する場合の静置条件としては、温度が0℃以上40℃以下、相対湿度は30%以上が好ましい。前記温度が0℃以上であると、捕捉抗体の固相化を適切に行うことができる。また、前記温度が40℃以下であると、捕捉抗体が変性することがない。前記相対湿度が30%以上であると、静置している間の水分揮発が少ないので抗体以外の不要な成分が多量に固相化されることがない。
静置後の洗浄方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、振とう機等を利用して固相化表面に単位面積(cm)当り、20μL以上100μL以下の蒸留水などを注いだ後、室温(20℃)で緩やかに振とうして洗浄する方法などが挙げられる。
前記乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下乾燥させることが好ましい。
前記乾燥の湿度としては、相対湿度で30%以下が好ましい。前記相対湿度が30%以下であると、乾燥が適切であり抗体が十分に固相化できる。
前記乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温(20℃)以上50℃以下が好ましい。ただし、上限の温度については捕捉抗体の種類によってはこれよりも低温にしたほうが好ましいことがある。
前記乾燥の温度が20℃以上であると、乾燥時間が適切であり生産性が向上する。また、前記乾燥の温度が50℃以下であると、試薬が熱により変性することを防止できる。
前記乾燥の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、24時間以下が好ましい。前記乾燥の時間が、24時間以下であると、生産性が向上し、樹脂の変色を防止できる。
前記捕捉抗体の固相化量は、500ng/cm以上が好ましい。前記捕捉抗体の固相化量が、500ng/cm以上であると、固相化量が適切であり、検出部であるラインの発色濃度が十分に得られる。
ここで、前記樹脂層の表面に存在する抗体の固相化量の分析方法としては、例えば、X線光電子分光法(XPS)などが挙げられる。
<保護層>
保護層106としては、試薬固相化層103の表面、及び剥離層兼試薬固相化層105の表面に固定化された試薬を保護するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
保護層106における保護とは、前記試薬が有する活性の失活を抑制するための保護と、一般的な検査装置用熱転写媒体の構成において、シート状の前記検査装置用熱転写媒体が捲回されているときに、前記試薬が、前記バック層との重なり擦り合わされることによる摩擦や衝撃で、前記試薬の構造が破壊されるのを防ぐための保護をいう。
保護層106は、糖類を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、単糖、少糖が好ましい。前記糖類としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、イノシトール、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、水酸基を多く有し、強固なガラス化状態となる点から、トレハロース、イノシトールが好ましい。前記ガラス化状態とは、成分中の分子運動が極端に抑えられて、結晶したり、溶融したりせず、非常に安定な固形状態にとどまることを意味する。
前記糖類の前記保護層における含有量は、0.05質量%以上10質量%以下が好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
保護層106を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体上に捕捉抗体を固相化した後に、糖類及び溶媒を含有する保護層用塗布液やゲルを塗布して乾燥する方法などが挙げられる。前記溶媒としては、例えば、水、エタノール、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
保護層106の平均厚みは、5μm以上30μm以下であり、10μm以上20μm以下が好ましい。
前記平均厚みが、5μm以上30μm以下であると、前記保護層の保護機能が十分に得られ、捕捉抗体と検体との反応を円滑に行うことができ、検査装置に適用した場合に視認性に優れた検出部であるラインが得られる。
前記保護層の平均厚みは、例えば、面積当たりの添加量と前記保護層用塗布液の濃度より算出することができる。
<バック層>
検査装置用熱転写媒体100には、支持体101の剥離層102側の面とは反対側の面に、バック層104が設けられていることが好ましい。前記反対側の面には、転写時に、サーマルヘッド等で樹脂層の形状に合わせて熱が直接印加される。このため、バック層104は、高熱への耐性、サーマルヘッド等との摩擦への耐性を有することが好ましい。
バック層104は、バインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、シリカ、オルガノポリシロキサン等の無機微粒子、滑剤などが挙げられる。
バック層104の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどが挙げられる。
バック層104の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
<その他の層>
前記その他の層として、支持体101と剥離層102との間、剥離層102と試薬固相化層103との間、又は支持体101と剥離層兼試薬固相化層105との間には、アンダー層を設けることができる。
前記アンダー層は、樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試薬固相化層103、剥離層102、及び剥離層兼試薬固相化層105で用いた各種樹脂が使用可能である。
(検査装置の製造方法)
本発明の検査装置の製造方法の第1の実施形態では、本発明の前記第1の形態の検査装置用熱転写媒体の前記保護層及び前記試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程(以下、「保護層及び試薬固相化層の転写工程」と称することもある)を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の検査装置の製造方法の第2の実施形態では、本発明の前記第2の形態の検査装置用熱転写媒体の前記保護層及び前記剥離層兼試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記剥離層兼試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程(以下、「保護層及び剥離層兼試薬固相化層の転写工程」と称することもある)を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<保護層及び試薬固相化層の転写工程又は保護層及び剥離層兼試薬固相化層の転写工程>
保護層106及び試薬固相化層103又は保護層106及び剥離層兼試薬固相化層105を流路部材12に熱転写する方法としては、検査装置用熱転写媒体100の保護層106及び試薬固相化層103又は保護層106及び剥離層兼試薬固相化層105と、流路部材12とを接触させて、保護層106及び試薬固相化層103又は保護層106及び剥離層兼試薬固相化層105を流路部材12に転写する方法などが挙げられる。
前記熱転写に用いられるプリンタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッド等を有するサーマルプリンタなどが挙げられる。
前記熱転写における印加エネルギーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mJ/dot以上0.5mJ/dot以下が好ましい。前記印加エネルギーが0.05mJ/dot以上であると、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の溶融を効率よく行うことができる。また、前記印加エネルギーが0.5mJ/dot以下であると、試薬の熱変性を防止でき、支持体101の溶解及びサーマルヘッドが汚れてしまうことがない。
(検査装置)
本発明の検査装置は、検体を流すための流路を有する多孔質の流路部材と、前記流路部材上の少なくとも一箇所に樹脂層と、を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記樹脂層の前記流路部材に対向する面における固相化試薬が抗体を含み、
前記固相化試薬が、糖類を含む保護層で覆われている。
前記保護層は、本発明の検査装置用熱転写媒体の保護層が転写されたものである。
前記検査装置においては、前記流路部材上の少なくとも一部に設けられた前記樹脂層における前記流路部材に対向する面に前記捕捉抗体を固相化することで、検体を樹脂層側で検出することが可能となる。これにより、検出部は従来のELISA(Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)法のように捕捉抗体が高密度に固相化された樹脂層で高感度に検出できる。一方、検査液は従来のイムノクロマト法と同様に、流路(流路部材)内を、毛細管現象を駆動力にして展開して反応が進むため、迅速かつ高感度な測定ができると共に、鮮明な判定ラインが得られる。
ここで、図面を参照して、本発明の検査装置について説明する。図2から図6は、検査装置の全体構成を示す図面である。図2は、本発明の検査装置の一例を示す上面図である。図3は、図2の検査装置のA−A断面図である。図4は、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の一例を示す断面図である。図5及び図6は、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す断面図である。なお、各図面において、保護層の図示は省略している。
図2から図6に示すように、検査装置10は、血液、髄液、尿、又は検体抽出液(例えば、スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の検査液30(検体の一例)を流すための流路が形成された多孔質の流路部材12と、流路部材12上に設けられた樹脂層(15a,15b,15c)とを有している。樹脂層(15a,15b,15c)における流路部材12に対向する面には、検査液30に含まれる抗原と反応する標識抗体16、抗原を捕捉する捕捉抗体17、及び標識抗体を捕捉する捕捉抗体(又は抗原)18がそれぞれ固相化されている。これにより、樹脂層(15a,15b,15c)毎に、樹脂層(15a,15b,15c)と試薬との相互作用の強さを調整できるので、流路部材12を目的に応じて任意に選択した場合でも、標識抗体16の放出や捕捉抗体17、18の固定化を制御しやすくなる。
本実施形態では、検査装置10において、流路部材12は基材11上に設けられており、基材11及び流路部材12上に、吸収部材14が設けられている場合について説明するが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
本実施形態において、流路部材12上に設けるとは、検査装置10を配置したときの向きとは関係なく、流路部材12に接して設けることを意味している。また、樹脂層(15a,15b,15c)のうち、任意の樹脂層を示す場合には、樹脂層15と表す。なお、捕捉抗体は、共有結合、水素結合、金属結合等の任意の化学結合、付着、凝着、吸着、ファンデルワールス結合等の任意の相互作用により固相化されていればよい。
以下、検査液30が、血液、髄液、尿、又は検体抽出液(例えば、スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の検査液である場合について説明を続ける。
図4に示したように、検査装置10において、樹脂層15a(第2の樹脂層)は親水性基152を多く有する両親媒性樹脂151を含有しており、好ましくは主成分(含有量が50質量%以上)として構成されている。
ここで、前記親水性基とは、水分子と水素結合などによる弱い結合を作る原子団であり、水との間に親和性があること意味する。前記両親媒性とは、水及び有機溶媒の両方に親和性があることを意味する。
標識抗体16は、親水性の部位16gを有しており、これにより、樹脂層15aにおける流路部材12に対向する面に固相化される。一方、流路部材12及び樹脂層15aの対向部に形成される隙間に検査液30が充填されたときには、標識抗体16の親水性の部位16gと親水性の検査液30とが親和して、両親媒性樹脂151から、標識抗体16が放出される。また、検査液に抗原31が含まれている場合には、抗原抗体反応により、放出された標識抗体16と抗原31とが反応して結合する。なお、前記抗原と前記抗体の結合の阻害を防ぐために、両親媒性樹脂151は、水不溶性樹脂であることが好ましい。
ここで、前記水不溶性とは、実質的に水に不溶であることを指す。前記実質的に水に不溶であるとは、25℃で24時間、大量の水中に浸漬した後、真空乾燥等の方法によって十分に乾燥した際の、樹脂の質量変化量が1質量%以下であることを意味する。このことは、樹脂生成物中に含まれる副生成物(モノマー成分など)が水中に溶け出して質量が減少するためである。
図5A及び図5Bに示したように、検査装置10において、樹脂層15b(第1の樹脂層)は疎水性基153を有する樹脂であることが好ましい。具体的には、樹脂層15bは、疎水性樹脂155又は疎水性基153を多く有する両親媒性樹脂154を含有しており、前記疎水性樹脂155又は両親媒性樹脂154を主成分(含有量が50質量%以上)として構成されていることが好ましい。
ここで、前記疎水性基とは、水となじみにくい原子団のことを意味し、水に対する親和性が低く、水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくいことを意味する。
捕捉抗体17は、疎水性の部位17gを有しており、前記疎水性の部位17gが分子間力により結合することにより、捕捉抗体17は樹脂層15bにおける流路部材12に対向する面に固相化される。流路部材12及び樹脂層15bの対向部に形成される隙間に検査液30が充填されたときに、捕捉抗体17は、標識抗体16に結合した状態の抗原31を捕捉する。これにより、抗原31及び標識抗体16が固定化されて呈色するので、樹脂層15bを、抗原31の有無を判定するためのラインとして用いることができる。なお、ラインの滲みを防ぐために、疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154は、それぞれ水不溶性樹脂であることが好ましい。
図6A及び図6Bに示したように、検査装置10において、樹脂層15c(第1の樹脂層)は疎水性樹脂155又は疎水性基153を多く有する両親媒性樹脂154を含有しており、疎水性樹脂155又は両親媒性樹脂154を主成分(含有量が50質量%以上)として構成されていることが好ましい。
樹脂層15cにおける流路部材12に対向する面には、捕捉抗体18の疎水性の部位が分子間力により結合することにより、捕捉抗体18が固相化されている。捕捉抗体18としては、標識抗体16を捕捉するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、標識抗体16と特異的に結合する抗体などが挙げられる。これにより、標識抗体16が固定化されて呈色するので、樹脂層15cを、標識抗体16が到達したことを示すコントロールラインとして用いることができる。なお、コントロールラインの滲みを防ぐために、疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154は、それぞれ水不溶性樹脂であることが好ましい。
前記樹脂層は、非孔質体を使用することが好ましい。前記非孔質体とは、実質的に空隙を含まない非孔質の構造体であり、メンブレン等の液体の吸収を促進するために設けられた空隙を含む多孔質材料とは相反する構造体を意味する。前記非孔質体としては、例えば、製造工程に偶発的に含まれてしまった気泡であって液体の吸収作用の促進に寄与しないような気泡を僅かに含むものについては前記非孔質体の範疇に含まれる。
次に、前記樹脂層が非孔質体であることによる特徴について説明する。
従来のテストライン及びコントロールラインの形成は、親水性の多孔質材料からなる流路部材に、捕捉抗体が溶解した液を直接塗布することにより行われていた。したがって、前記捕捉抗体は液体の浸透に伴い前記多孔質材料の内部に拡散する。しかし、前記多孔質材料の内部に存在する前記捕捉抗体と結合する金コロイド粒子等の標識用粒子の発色は、光の散乱が起こるために実際には検知することはできない。つまり、前記捕捉抗体の殆どが有効に利用されていないことになる。
一般的に、多孔質材料で検知できる発色粒子は表面から5μm程度の深さまでとされる。前記表面から5μm程度の深さの領域に、検査に必要となる捕捉抗体を固定させるには、厚み方向への拡散を考慮して多量の捕捉抗体を塗布しなければならない。即ち、前記捕捉抗体の塗布量は、多孔質材料の厚みに比例して増加することになる。
本発明においては、前記捕捉抗体の固定化には疎水性基を多く含む非孔質体からなる前記樹脂層を使用するため、前記捕捉抗体は前記樹脂層の内部に入り込むことがなく、前記樹脂層の表面にのみ固定化される。前記樹脂層表面に固定化された前記捕捉抗体に標識用粒子が結合することにより発色するが、光の散乱が起きない非孔質体からなる樹脂層を通して検知することができるため、前記標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができる。また、厚み方向に余分な発色粒子が存在しないので、前記捕捉抗体の塗布量が極めて少なくてよいというメリットが生じる。例えば、親水性多孔質材料からなる流路部材の厚みを100μmとした場合、表面から5μm部分の厚みの発色しか利用できていないと仮定すると、同じ発色濃度を得るのに使用する捕捉抗体の塗布量を、1/20に減らすことができる。
したがって、本発明においては、前記捕捉抗体の固定化に疎水性基を多く含む非孔質体からなる樹脂層を使用するため、標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができ、厚み方向に余分な標識用粒子が存在することがないので、捕捉抗体の塗布量を従来よりも低減させることができる。
本実施形態では、検査液30に含まれる抗原31の有無を検査するための検査装置10について説明するが、本発明の検査装置は、抗原抗体反応を用いたものに限定されない。例えば、前記検査装置は、試薬として、構造変化により色相が変化する試薬を用いることで、検査液30に含まれる特定の成分を検査するものであってもよい。
以下、検査装置10を構成する各部材について詳細に説明する。
<基材>
基材11としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができ、例えば、有機、無機、又は金属製のものが挙げられる。
基材11は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも1面が疎水性樹脂で覆われていることが好ましい。
検査装置10をセンサチップに使用する場合には、軽量で柔軟性があり、かつ安価である合成樹脂を基材11として用いることが好ましい。
本実施形態では、プラスチックシート等の耐久性が高い基材11を選択することができるので、結果として検査装置10の耐久性も向上する。
基材11の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポリフェニルエーテル、ポリブチレンフタレート、ABS樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低価格で汎用性が高い点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材11の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
基材11の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.5mm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.01mm以上であると、基材11としての強度が良好であり、0.5mm以下であると、基材のフレキシブル性が良好であり、センサとして好適に用いることができる。
ここで、前記平均厚みは、例えば、測定対象物の厚みを長手方向に5箇所、幅方向に3箇所、測定箇所がほぼ均等の間隔となるように合計15箇所をマイクロメーター(MDH−25M、株式会社ミツトヨ製)で測定したときの厚みの平均値とすることができる。前記厚みは、基材11と流路部材12との接触面に対して垂直方向の対象物の長さとすることができる。
<流路部材>
検査装置10の流路部材12としては、検査液30を流すことが可能な部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、親水性多孔質材料などが挙げられる。
前記親水性多孔質材料によって構成される流路部材12は、空隙(12a,12b)を有しており、検査液30が空隙(12a,12b)内を流れることによって流路が形成される。
図4から図6において、空隙12aは、各断面に形成された空隙であり、空隙12bは、断面の奥側の空隙である。親水性多孔質材料の内部には、気泡が存在し、気泡同士が繋がって連続気泡となっていることが好ましい。
前記連続気泡は、気泡同士が繋がっていない独立気泡とは区別されるものである。前記連続気泡においては、気泡同士の壁に小さな孔が開いているため、毛細管現象によって液体を吸い込んだり気体を通過させたりする機能を有する。流路部材12は、空隙(12a,12b)において、毛細管現象を利用して検査液30を移送するので、ポンプ等の外部駆動装置が不要である。
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、親水性を示し空隙率が高い材料が好適に用いられる。
前記親水性多孔質材料とは、水溶液が容易に浸透可能な多孔質材料を意味する。前記容易に浸透可能とは、120℃で1時間乾燥した板状試験片の表面に純水0.01mLを滴下する水浸透性の評価試験で、純水0.01mLが10分間以内にすべて浸透することを意味する。
前記親水性多孔質材料の空隙率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40%以上90%以下が好ましく、65%以上80%以下がより好ましい。前記空隙率が90%以下であると、基材の強度が良好である。また、前記空隙率が40%以上であると、検査液の浸透性が良好となる。
ここで、前記空隙率は、例えば、親水性多孔質材料の坪量(g/m)、厚み(μm)、組成分比重から、下記の計算式1により求めることができる。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/厚み(μm)/組成分比重〕}×100
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メンブレン膜等のろ紙、普通紙、上質紙、水彩紙、ケント紙、合成紙、合成樹脂フィルム、コート層を有する専用紙、布地、繊維製品、フィルム、無機基板、ガラスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メンブレン膜等のろ紙、布地が好ましく、高い空隙率及び良好な親水性の点から、メンブレン膜等のろ紙がより好ましい。
前記布地としては、例えば、レーヨン、ベンベルグ、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ビニロン等の人造繊維、綿、絹等の天然繊維、又はこれらの混紡繊維、あるいはこれらの不織布などが挙げられる。
前記親水性多孔質材料の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
前記親水性多孔質材料の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.3mm以下が好ましい。前記平均厚みが0.01mm以上であると、基材の強度が良好である。また、前記平均厚みが0.3mm以下であると、検査液の必要量の適正化が図れる。
<樹脂層>
樹脂層15の機能について、図7及び図8に示される従来の検査装置と対比しながら説明する。
図7は、従来の検査装置におけるコンジュゲートパッドの概念図である。図8は、従来の検査装置におけるメンブレンの概念図である。
従来の検査装置において、コンジュゲートパッドの親水性が高すぎると、コンジュゲートパッドに検査液が残り易くなり、メンブレンへ移行しにくくなっていた。逆にコンジュゲートパッドの疎水性が高すぎると、メンブレンへの検査液の移行は早くなるが、サンプルパッドからの検査液の吸水性が落ちることで、検査時間が長くなったり、多量の検査液を要するようになっていた。このため、コンジュゲートパッドとして使用可能な繊維F1は限定されていた。更に、従来の検査装置において、標識抗体16は、コンジュゲートパッドを構成する繊維F1に固相化されていた(図7参照)。コンジュゲートパッドから放出させることが可能な標識抗体16としては、繊維F1との結合力が弱いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置は、設計上、使用可能な繊維F1や標識抗体16が限られたものになる。
また同様に、従来の検査装置において、捕捉抗体17は、メンブレンを構成する繊維F2に固相化されていた(図8参照)。このため、メンブレンに固定化させることが可能な捕捉抗体17は、繊維F2との結合力が強いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置は、設計上、使用可能な繊維F2や捕捉抗体17が限られたものになる。
検査装置10においては、樹脂層15(15a,15b,15c)に、標識抗体16、捕捉抗体17、捕捉抗体18などの試薬を固相化させている。このため、樹脂層15と、捕捉抗体との相互作用の強さや、検査液30との親和性に応じて、標識抗体の放出、又は捕捉抗体の固定化を制御することができる。
樹脂層15と捕捉抗体との相互作用の強さや、検査液30との親和性を調整する方法としては、例えば、樹脂層15を構成する樹脂の種類や樹脂の組成比を対応する捕捉抗体に応じて変更する方法などが挙げられる。例えば、樹脂層15を構成する樹脂において疎水性の割合が多いほど、樹脂層15は、疎水性基を有する捕捉抗体を疎水性相互作用により固定化しやすくなる。
ここで、前記疎水性相互作用とは、水中で水になじめない疎水性分子や疎水性基が集合する変化の原因(駆動力)を意味する。詳細には、疎水性分子や疎水性基を有する分子を水中に入れると、多くの場合、単に溶けないというだけではなく、疎水性分子や疎水性基が互いに接した状態をとり、水分子との接触面積をできるだけ減らそうとする。その結果、疎水性分子は互いに寄り集まるようになり、分子間に結合力が作用しているようにみえる現象のことを言う。
樹脂層15を構成する樹脂において親水性の割合が多いと、樹脂層15と、親水性の捕捉抗体との相互作用は強くなるが、結合部が親水性の検査液30と接触したときに、試薬は検査液30と親和して検査液30中に放出されやすくなると推定している。
樹脂層15を構成する樹脂は、水不溶性樹脂であることが好ましい。前記樹脂層に水不溶性樹脂を用いると、樹脂が検査液30に溶解して、流路を詰まらせ、コントロールライン又はテストラインが滲むことを防ぐことができる。
樹脂層15aを構成する両親媒性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。
前記共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
樹脂層15b及び樹脂層15cを構成する疎水性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂又は環状ポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、プロピオネート樹脂等の繊維素系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層15b及び樹脂層15cを構成する疎水性樹脂以外の化合物としては、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層15b、及び樹脂層15cを構成する化合物の中でも、疎水性相互作用が強い点から、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
各樹脂層(15a,15b,15c)を構成する樹脂としては、それぞれ同種の樹脂を用いることも可能である。この場合、樹脂層15aを構成する樹脂を、樹脂層(15b,15c)を構成する樹脂よりも、親水性の高いものとすることが好ましい。なお、同種の樹脂を用いる場合には、親水性を測定するまでなく、親水性基の割合が高ければ、より親水性が高いと言うことができる。
樹脂層15aに固相化させる標識抗体16としては、親水性の部位を有しており、抗原31と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金コロイド標識Anti−human IgG等の金コロイド標識抗体、各種アレルゲンに対する標識抗体、その他の抗体を標識する粒子などが挙げられる。
前記その他の抗体を標識する粒子としては、金コロイド以外にも特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金コロイド以外の金属コロイド、酵素を含有する酵素標識粒子、色素を含有する着色粒子、蛍光物質を含有する蛍光粒子、磁性体を含有する磁性体内包粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、及び(Fab)抗体のいずれの形態であってもよい。
樹脂層15bに固相化させる捕捉抗体17としては、疎水性の部位を有しており、抗原31と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Anti−human IgG等の抗体、各種アレルゲンに対する抗体、などが挙げられる。
前記抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、及び(Fab)抗体のいずれの形態であってもよい。
樹脂層15cに固相化させる捕捉抗体18としては、疎水性基を有しており、標識抗体16と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Human IgG等の標識抗体16に対する抗体、又は上記で挙げた抗体などが挙げられる。
標識抗体16、捕捉抗体(17,18)等の試薬を、樹脂層15に固相化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、捕捉抗体等の試薬を含む溶液を樹脂層15に塗布した後、急速乾燥してドライアップする方法、試薬を含む溶液を樹脂層15に塗布した後、塗布液が乾燥しないよう多湿環境下で静置(インキュベート)した後、蒸留水等で無機塩等の抗体以外の成分を洗浄後、乾燥する方法などが挙げられる。
前記捕捉抗体等の試薬を塗布液として取り扱う場合には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、バッファーと呼ばれる緩衝液(緩衝剤)で希釈することが好ましい。
前記緩衝液としては、前記捕捉抗体の抗原抗体反応を阻害しないバッファーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的に抗体の希釈に用いられる緩衝液などが挙げられる。前記緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)−HCl、グッドバッファーなどが挙げられる。これらの中でも、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、グッドバッファーが好ましい。
前記リン酸緩衝生理食塩水(PBS)としては、pH4〜10が好ましく、pH6〜8がより好ましい。前記PBSの組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記PBSの組成の一例としては、NaClが8.0g/L、KClが0.2g/L、NaHPOが1.44g/L、KHPOが0.24g/Lがあるが、カリウムを含まない組成や、カルシウムやマグネシウムを含む組成もある。
前記グッドバッファーとしては、例えば、2−(N−モノホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−2−スルホン酸(HEPES)などが挙げられる。
捕捉抗体(17,18)等の試薬を、樹脂層15に固相化した後に、前記試薬(捕捉抗体)を覆うように保護層を設けることにより、前記捕捉抗体の機能活性を長期的に持続させ、且つ物理的な摩擦等による機能低下を抑制することができる。
前記保護層は、試薬(捕捉抗体)の全体を覆うように存在し、機能や構造を保つ役割を持つ。
前記捕捉抗体は一般的にアミノ酸から構成され、アミノ酸は疎水性基と親水性基を持ち低温液中環境が一番安定に存在できる。体内中やバッファー中では捕捉抗体表面に親水性基が存在し、捕捉抗体の内側に疎水性基が存在することで、捕捉抗体の安定構造を保っているが、捕捉抗体(17、18)が樹脂層15に固相化され乾燥状態になると、捕捉抗体自らが乾燥状態に適応した安定構造を得ようとするため、元々外側に存在していた親水性基が内側に、疎水性基が外側に存在しようと構造が乱れる結果、捕捉抗体の安定性が低下し機能を失いやすくなる。この構造の乱れを抑制するために保護層が捕捉抗体を覆うことで、保護層中の材料が捕捉抗体を水和状態のように見せかけて捕捉抗体の構造が乱れることなく安定構造を保ったまま樹脂層15に固相化ができる。
本実施形態において、樹脂層15は流路部材12上に固定されていることが好ましい。
樹脂層15を流路部材12上に固定する方法としては、検査時に試薬と検査液30とが接触可能となるような状態で固定化する方法であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱転写プリンタ等を用いて樹脂層を構成する樹脂を流路部材12上に熱転写する方法、ドットインパクトプリンタ等を用いて樹脂層を構成する樹脂に圧力を加えて転写する方法、樹脂層を構成する樹脂をテープや接着剤、粘着剤等で流路部材12上に貼り付ける方法などが挙げられる。
<吸収部材>
吸収部材14は、水を吸収する部材であれば特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択することができる。
吸収部材14としては、例えば、紙、布等の繊維、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物の部分架橋体、多糖の部分架橋体などが挙げられる。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護部材、標識抗体保持パッド、サンプル滴下パッドなどが挙げられる。
前記保護部材は、流路部材に手が触れたときの汚染を防ぐ目的の部材である。
前記保護部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、検査装置の全体を覆うハウジングや、流路部材上に設けられるフィルムなどが挙げられる。
前記保護部材を設ける場合、流路部材12の滴下部の上部には開口が設けられていることが好ましい。また、前記保護部材には、流路内の圧力を開放するための開口が設けられていることが好ましい。
−検査装置の用途−
検査装置10の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、血液検査やDNA検査向けの生化学センサ(センシングチップ)、食品や飲料の品質管理用途等における小型の分析機器(化学センサ)などが挙げられる。
生化学の分野の検査に用いる試料(検体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、糞尿等の排泄物などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞、試験管内での分裂卵細胞の一部などであってもよい。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施していてもよい。
検査装置10は、流路部材12が固定相として働くため、検査液をクロマトグラフィー(分離、精製)する機能も有する。この場合、内壁が親水性を示す連続気泡を有する流路部材12が固定相(担体)となる。検査液中の各成分は、流路内を浸透する過程で固定相との相互作用の違い、即ち、親疎水性の違いにより流路内を流れる速度に差が生じる。
これは親水性の高い成分ほど、固定相である多孔質部に吸着しやすく、脱吸着を繰り返す回数が多いため、流路内を浸透する速度が遅い。反対に疎水性の高い成分は固定相に吸着することなく浸透するので、流路内をすばやく移動する。検査液中の移動速度の差を利用することで、検査液30の対象成分を選択的に抽出し、反応させることで、検査装置10を高機能な化学又は生化学用途のセンサとして用いることができる。
<検査方法>
本発明に関する検査方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、検査装置10の流路部材12に、親水性の検査液を供給する工程と、樹脂層15aに固相化されている標識抗体16(試薬の一例)を、検査液30と接触させることにより、樹脂層15aから放出させる工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
また、検査装置10を用いて検査する方法としては、検査装置10の流路部材12に、検査液30を供給する工程と、検査液30に抗原31が含まれる場合に、抗原31(検体の一部の一例)を、樹脂層15bに固相化されている捕捉抗体17により捕捉させる工程と、を含むものであってもよい。
具体的な処理としては、まず、検査装置10の流路部材12に設けられた滴下部12c(図2参照)に親水性の検査液30を滴下して供給する。次いで、供給された検査液30と、樹脂層15aに固相化されている標識抗体16とを接触させ、樹脂層15aから標識抗体16を放出させる。検査液30に抗原31が含まれている場合、樹脂層15aから放出された標識抗体16は抗原31と反応して結合する(図4参照)。
次に、標識抗体16及び抗原31を含む検査液30は、流路部材12に沿って展開され樹脂層15bが配置された領域に到達する。樹脂層15bにおける流路部材12に対向する面に固相化されている捕捉抗体17は、標識抗体16が結合した状態の抗原31とも結合して捕捉する。なお、捕捉抗体17は、疎水性基17gにより樹脂層15bに固相化されているので、検査液30と接触しても検査液30には親和せず放出されにくい。また、一部の捕捉抗体17が検査液30中に放出されたとしても、流路部材12を構成する繊維に即座に結合する。これにより、標識抗体16は、樹脂層15bの近傍に固定化されることになるのでテストラインが明瞭に呈色する(図5A及び図5B参照)。
樹脂層15bにおいて捕捉されずに通過した標識抗体16は、流路部材12に沿って展開され樹脂層15cが配置された領域に到達する。本実施形態において、樹脂層15cにおける流路部材12に対向する面には、疎水性基を有する捕捉抗体18が固相化されている。標識抗体16は、この捕捉抗体18と結合することにより、捕捉される。
捕捉抗体18は、疎水性基により樹脂層15cに固相化されているので、検査液30と接触しても検査液30には親和せず放出されにくい。また、一部の捕捉抗体18が検査液30中に放出されたとしても、流路部材12を構成する繊維に即座に結合する。これにより、標識抗体16は、樹脂層15cの近傍に固定化されることになるのでコントロールラインが明瞭に呈色する(図6A及び図6B参照)。
(検査キット)
本発明の検査キットは、本発明の前記検査装置と、検体を採取するための検体採取手段、及び前記検体を処理するための液体から選択される少なくとも1つと、を有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
図9に示したように、前記検査キットは、本発明の検査装置10と、検体を採取するための器具(検体採取手段の一例)、及び検体を処理するための液体の少なくとも1つと、を有する。
前記検体を採取する器具としては、例えば、咽頭又は鼻腔等から検体を採取するための滅菌綿棒51などが挙げられる。
前記検体を処理するための液体としては、例えば、検体を希釈するための希釈液52、検体を抽出するための抽出液などが挙げられる。
前記その他の部材としては、例えば、取り扱い説明書などが挙げられる。
前記実施形態では、樹脂層15に固相化されている試薬が抗原又は抗体である場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、ケミカルアッセイで用いられる指示薬を利用した検査装置にも展開できる。
ここで、前記ケミカルアッセイで用いられる指示薬としては、溶液の化学的性質を指示する試薬を指し、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH指示薬、鉛イオン、銅イオン、亜硝酸イオン等の各種イオンと反応して変色する各種イオノフォア、各種農薬と反応して変色する試薬などが挙げられる。
前記実施形態では、転写の際に、検査装置用熱転写媒体100における支持体101と保護層106及び試薬固相化層103又は保護層106及び剥離層兼試薬固相化層105とを熱により剥離する例について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、支持体101と保護層106及び試薬固相化層103又は保護層106及び剥離層兼試薬固相化層105とを光によって剥離してもよい。この場合、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105に、カーボンブラック等の光吸収剤を混ぜておいて、それに光を吸収させて熱を生じさせることにより、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105を溶融させ、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105剥離してもよい。あるいは、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105に、光照射によって変質する材料を混ぜておき、それに光を吸収させて剥離層102を脆くすることにより、保護層106及び試薬固相化層103又は保護層106及び剥離層兼試薬固相化層105を剥離してもよい。
なお、前記熱転写以外の転写方法としては、例えば、保護層106及び試薬固相化層103又は保護層106及び剥離層兼試薬固相化層105からなるシートをテープなどで流路部材12上に貼り付ける方法などが挙げられる。
前記実施形態では、流路部材12の全体に流路が形成されている例を示したが本発明はこれに限定されない。流路部材12の一部に流路を形成する方法としては、例えば、公知の方法により、流路部材12の空隙に、疎水性の材料を充填することにより、流路の外縁となる流壁を形成する方法などが挙げられる。
前記実施形態では、流路部材12上の複数個所に樹脂層15が設けられている例を示したが、試薬の種類によっては、流路部材12上の一箇所に樹脂層15が設けられていてもよい。例えば、検査液30中の成分Aと特異的に結合する試薬が固相化された樹脂層15a1と、それらを捕捉する試薬が固相化された樹脂層15b1及び15c1を設けた流路部材12上に、更に、検査液中の成分Bと特異的に結合する試薬が固相化された樹脂層15a2と、それらを捕捉する試薬が固相化された樹脂層15b2及び15c2を設けた場合、同時に多成分の検出が可能な検査装置を得ることができる。
前記実施形態では、検査液30が親水性の場合について説明したが、検査液は親水性に限定されない。検査液30としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)等のケトン類などの有機溶媒を含む親溶媒性のものであってもよい。この場合、前記実施形態における、「親水性」は「疎水性」に置き換えられ、「疎水性」は「親水性」に置き換えられることになる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合して、バック層塗布液を得た。
(調製例2)
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液の調製−
カルナバワックス90質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体1質量部、スチレン−ブタジエン共重合体4質量部、ブタジエンゴム4質量部、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体1質量部、及びトルエン/メチルエチルケトン(体積比7/3)溶媒からなる塗布液(株式会社リコー製、B110AX剥離液)を、剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液として用いた。
(調製例3)
−試薬固相化層(放出用)塗布液の調製−
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、BL−1、ブチラール化度64mol%)5質量部、及びエタノール95質量部を混合し、調製例3の試薬固相化層(放出用)塗布液を調製した。
(調製例4)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
Anti−human IgG antibody(シグマ アルドリッチ社製、I1886)に抗体希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、100μg/mLとし、調製例4のテストライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例5)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
Human IgG(シグマ アルドリッチ社製、I2511−10MG)に抗体希釈液として前記D−PBS(−)を加え、100μg/mLとし、調製例5のコントロールライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例6)
−標識抗体用試薬塗布液の調製−
金コロイド標識Anti−Human IgG antibody(BAW社製、Gold、平均粒径40nm、OD=15)を、調製例6の標識抗体用試薬塗布液として調製した。
(調製例7)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
Anti−hCGモノクローナル抗体(Medix Biochemica社製、Anti−Alpha subunit 6601 SPR−5)に抗体希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含有、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、100μg/mLとし、調製例7のテストライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例8)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
Anti−mouse IgG antibody(和光純薬工業株式会社製、566−70621)に抗体希釈液として前記D−PBS(−)を加え、100μg/mLとし、調製例8のコントロールライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例9)
−標識抗体用試薬塗布液の調製−
金コロイド溶液(BBI社製、EMGC50)9mLに50mMに調製したKHPOバッファー(pH7.0)1mLを加えた後、更に50μg/mLに調製した抗hCGモノクローナル抗体(Medix Biochemica社製、Anti−hCG 5008 SP−5)を1mL加え、攪拌した。これを10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、168−11285)を550μL加え攪拌した後、更に、10質量%BSA水溶液(シグマ アルドリッチ社製、A−7906)を1.1mL加え攪拌した。
次に、この溶液を30分間遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。なお、遠心は遠心機(日立工機株式会社製、himacCF16RN)を用い、遠心加速度8,000×g、4℃の条件にて行った。その後、金コロイド保存液(20mM Tris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール、150mM NaCl、1質量%BSA水溶液、0.1質量%NaN水溶液)20mLに分散し、再び上記と同様の条件にて遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。これらの操作を繰り返し、金コロイド保存液でOD=15になるように調製し、調製例9の標識抗体用試薬塗布液とした。
(調製例10)
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、調製例10の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を得た。
(実施例1)
<テストライン用熱転写媒体の作製>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)の片面に、調製例1のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)形成−
次に、前記PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、調製例2の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を塗布し、40℃で10分間乾燥して、平均厚み20μmの剥離層を形成した。
−テストライン用熱転写媒体の作製−
次に、前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、調製例4のテストライン用試薬塗布液を単位面積(cm)当り12μLになるように塗布し水膜を形成した後、前記水膜が乾燥しないよう相対湿度80%に保った容器内に熱転写媒体を設置して25℃で10分間静置した。静置後、水膜から熱転写媒体を剥がし、剥離層兼試薬固相化層表面を下記条件で洗浄した。
−洗浄−
振とう機(WR−3636を装着したShake−XR、共にタイテック株式会社製)に水膜から剥がした熱転写媒体を、試薬を固相化した側をおもて(表)にして貼り付けた。次に、固相化表面に単位面積(cm)当り100μLとなるように蒸留水を注いだ後、25℃で振とう速度を20r/minとして1分間緩やかに振とうした。振とう終了後、洗浄後の上澄み液を除去した。この操作を合計で5回繰り返し、最後に、熱転写媒体表面から洗浄後の上澄み液をよく切り洗浄した。洗浄後、温度25℃、相対湿度20%のデシケータ内で15分間乾燥し、剥離層兼試薬固相化層(固定用)に試薬を固相化させた。
その後、1質量%となるようにトレハロース(特級D(+)−トレハロース二水和物、キシダ化学株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液1を、単位面積(cm)当たり100μLとなるように前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)の表面に塗布し、温度25℃に設定した真空乾燥機(アズワン AVO−200NB−CR)で60分間真空乾燥し、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み10μmの保護層を形成した。以上により、実施例1のテストライン用熱転写媒体を得た。
前記保護層の平均厚みは、面積当たりの保護層用塗布液の添加量から、保護層用塗布液濃度を掛け合わせることで算出した。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
前記テストライン用熱転写媒体の作製において、調製例4のテストライン用試薬塗布液を調製例5のコントロールライン用試薬塗布液に変更した以外は、前記テストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例1のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
<標識抗体用熱転写媒体の作製>
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)の片面に、前記テストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、バック層及び剥離層兼試薬固相化層(固定用)を形成した後、前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、調製例3の試薬固相化層(放出用)塗布液を塗布し、40℃で10分間乾燥して、平均厚み5μmの試薬固相化層(放出用)を形成した。
次に、前記試薬固相化層(放出用)上に、調製例6の標識抗体用試薬塗布液を14μL/cmとなるように塗布し、真空乾燥機内で、25℃で5時間乾燥して、試薬固相化層(放出用)に試薬を固相化させた。以上により、実施例1の標識抗体用熱転写媒体を得た。
<検査装置の作製>
以下のようにして、図10A及び図10Bに示す検査装置を作製した。図10Aは、実施例の検査装置の上面図である。図10Bは、図10Aの検査装置のB−B断面図である。
なお、検査装置の作製は、テストライン用熱転写媒体とコントロールライン用熱転写媒体と標識抗体用熱転写媒体とを作製した日と同じ日に作製を行った。
−紙基板の作製−
幅40mm×長さ80mmにカットしたPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)11の上部に熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いて前記PETフィルム上に厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルム11を2時間以上静置した後、前記接着剤層表面に幅40mm×長さ70mmにカットしたニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180、空隙率70%)を、前記接着剤層表面の長軸側の一端と各種部材の長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)を揃えるように重ね、150℃の温度で10秒間、1kgf/cmの荷重をかけた。最後に長軸方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、紙基板12を得た。
ここで、紙基板12の空隙率は、紙基板の坪量(g/m)、厚み(μm)、及び組成分比重から、下記の計算式1により求めたところ、前記紙基板の空隙率は70%であった。なお、前記紙基板の空隙率が、40%以上90%以下であると、前記紙基板は多孔質であるといえる。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−[坪量(g/m)/厚み(μm)/組成分比重]}×100
−標識抗体の転写−
紙基板12と前記標識抗体用熱転写媒体の試薬が固相化されている側とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、図10A及び図10Bに示したように、紙基板12の上流端から20mm離れた位置に、前記標識抗体用熱転写媒体を幅3mm×長さ10mmのパターン状に転写した(樹脂層15a)。
前記熱転写プリンタは、ドット密度300dpiのサーマルヘッド(TDK株式会社製)を有し、印字速度8.7mm/sec、印加エネルギー0.35mJ/dotの評価系システムを構築したものである。
−テストライン及びコントロールラインの転写−
図10A及び図10Bに示したように、前記標識抗体用熱転写媒体の転写位置から15mm離れた位置に、前記テストライン用熱転写媒体を高さ4mm×長さ1mmのライン状に転写した(テストライン15b)。更に、前記テストライン用熱転写媒体の転写位置から5mm離れた位置に前記コントロールライン用熱転写媒体を高さ4mm×長さ1mmのライン状に転写した(コントロールライン15c)。なお、各ラインは、前記標識抗体の転写と同様の印字条件で形成した。
−吸収部材の作製−
図10A及び図10Bに示したように、吸収部材14(メルクミリポア社製、Surewick C248)を設けることにより、実施例1のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を得た。
<ライン評価>
−検査液の調製−
展開液として、0.1質量%Tween20(シグマ アルドリッチ社製、P9416−50ML)のD−PBS(+)溶液を調製した。
次に、Human IgGに前記展開液を加え、500μg/mLに調製し、検査液を得た。
−反応−
図10A及び図10Bに示すイムノクロマトアッセイの上流端部に、前記検査液を100μL滴下し、15分間経過した後、ラインの視認性、及びテストライン濃度の測定を行った。結果を表3−1に示した。
−ラインの視認性評価−
反応が終了したイムノクロマトアッセイのテストラインについて、目視観察により、下記基準で視認性の評価を行った。結果を表3−1に示した。
[評価基準]
◎:ラインの幅方向に発色濃度のムラがなく全体が均一に濃く発色している
○:ラインが発色している
×:ラインが発色しているが、かなり薄い
−作製直後のテストライン用熱転写媒体を用いたラインの発色濃度の測定−
反応が終了したイムノクロマトアッセイを測定用ハウジングケースに収め、クロマトリーダー(大塚電子株式会社製、DiaScan 10)を用いて測定し、「作製直後リーダー値」としてテストラインの発色濃度を読み値から求め、表3−1に示した。なお、読み値が大きいほど、テストラインの発色濃度が高く好ましい。
−摺り合わせ後のテストライン用熱転写媒体を用いたラインの発色濃度の測定−
作製したテストライン用熱転写媒体を1cm角に2枚カットし重ねた。重ねる方向は、1枚目のテストライン用熱転写媒体を保護層側が底面、バック層側が上面になるように置き2枚目のテストライン用熱転写媒体も同じ向きになるように重ねた。重なり合わさる面は一枚目のバック層側と二枚目の保護層側となっている状態になる。重ねた2枚のテストライン用熱転写媒体の上に画用紙(5cm角、厚み200μm)を置き、前記画用紙の上に1kg分の重り板を上から載せて10分間放置した。その後、2枚の1cm角のテストラインを取り出し、保護層側をバック層に重ね合わせた2枚目のテストライン用熱転写媒体を用い、実施例1と同様にして、イムノクロマトキットを作製し、ラインの発色濃度と同様にテストラインを測定し、「擦り合わせ後のリーダー値」としてテストラインの発色濃さを読み値から求め、表3−1に示した。
−作製5日間後のテストライン用熱転写媒体を用いたライン濃度の測定−
作製して5日間(温度25℃、相対湿度45%環境下で放置)経過したテストライン用熱転写媒体を用いて検査装置を作製し、上記に記載と同様の操作によりラインの発色濃度の測定を実施した。結果を「作製5日間後のリーダー値」として表3−1に示した。
−経時安定性評価−
下記数式1から劣化度を求め、下記基準により経時安定性を評価した。結果を表3−1に示した。
<数式1>
劣化度(%)=[|(「作製直後のリーダー値」−「作製5日間後のリーダー値」)|/「作製直後のリーダー値」]×100
なお、前記数式1中、| |は絶対値を示す。
[評価基準]
○:劣化度が20%未満
×:劣化度が20%以上
(実施例2)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにトレハロース(特級D(+)−トレハロース二水和物、キシダ化学株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液2を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例2のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液2に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例2のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例3)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにトレハロース(特級D(+)−トレハロース二水和物、キシダ化学株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液3を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例3のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液3に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例3のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例4)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにイノシトール(敷島スターチ株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液4を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例4のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液4に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例4のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例5)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにイノシトール(敷島スターチ株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液5を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例5のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例5のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液5に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例5のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例6)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにグルコース(D(+)−グルコース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液4を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例6のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例6のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液6に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例6のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例7)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにグルコース(D(+)−グルコース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液7を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例7のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液7に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例7のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例8)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例8のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにフルクトース(D(−)−フルクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液4を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例8のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例8のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液8に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例8のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例9)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例9のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにフルクトース(D(−)−フルクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液9を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例9のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例9のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液9に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例9のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例10)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例10のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにガラクトース(D(+)−ガラクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液10を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例10のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例10のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液10に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例10のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例11)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例11のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにガラクトース(D(+)−ガラクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液11を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例11のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例11のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液11に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例11のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例12)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例12のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにスクロース(和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液12を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例12のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例12のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液12に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例12のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例13)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例13のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにスクロース(和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液13を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例13のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例13のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液13に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例13のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例14)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例14のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにラクトース(ラクトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液14を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例14のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例14のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液14に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例14のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例15)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例15のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにラクトース(ラクトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液15を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例15のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例15のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液15に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例15のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例16)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例16のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにマルトース(D(+)−マルトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液16を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例16のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例16のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液16に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例16のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例17)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例17のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにマルトース(D(+)−マルトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液17を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例17のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例17のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液17に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例17のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例18)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例18のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.05質量%となるようにセロビオース(D(+)−セロビオース、ナカライテクス株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液18を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例18のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例18のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液18に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例18のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例19)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例19のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3質量%となるようにセロビオース(D(+)−セロビオース、ナカライテクス株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液19を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み30μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例19のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を実施例19のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液19に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例19のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(実施例20)
実施例1において、調製例4のテストライン用試薬塗布液を調製例7のテストライン用試薬塗布液に、調製例5のコントロールライン用試薬塗布液を調製例8のコントロールライン用試薬塗布液に、調製例6の標識抗体用試薬塗布液を調製例9の標識抗体用試薬塗布液に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例20のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
(実施例21)
実施例1において、紙基板の接着剤層に貼り付けるニトロセルロースメンブレンを、親水性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)[JMWP14225、メルクミリポア社製、空隙率80%]に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例21のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
(実施例22)
実施例1において、調製例2の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を、調製例10の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例22のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表3−1に示した。
(比較例1)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、テストライン用試薬塗布液を単位面積(cm)当り12μLになるように塗布し水膜を形成し洗浄した後、前記保護層用塗布液1を塗布せず相対湿度20%のデシケータ内で乾燥し、剥離層兼試薬固相化層(固定用)に試薬を固相化させた。以上により、比較例1のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を塗布しなかった以外は、前記テストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例1のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例2)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにトレハロース(特級D(+)−トレハロース二水和物、キシダ化学株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液20を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例2のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液20に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例2のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例3)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにトレハロース(特級D(+)−トレハロース二水和物、キシダ化学株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液21を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例3のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液21に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例3のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例4)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにイノシトール(敷島スターチ株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液22を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例4のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例4のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液22に変更した以外は、前記テストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例4のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例5)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにイノシトール(敷島スターチ株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液23を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例5のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例5のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液23に変更した以外は、前記テストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例5のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例6)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例6のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにグルコース(D(+)−グルコース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液24を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例6のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例6のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液24に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例6のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例7)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例7のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにグルコース(D(+)−グルコース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液25を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例7のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例3のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液25に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例7のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例8)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例8のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにフルクトース(D(−)−フルクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液26を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例8のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例2のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液26に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例8のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例9)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例9のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにフルクトース(D(−)−フルクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液27を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例9のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例3のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液27に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例9のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例10)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例10のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにガラクトース(D(+)−ガラクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液28を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例10のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例10のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液28に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例10のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例11)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例11のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにガラクトース(D(+)−ガラクトース、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液29を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例11のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例11のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液29に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例11のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例12)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例12のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにスクロース(和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液30を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例12のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例12のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液30に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例12のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例13)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例13のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにスクロース(和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液31を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例13のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例13のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液31に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例13のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例14)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例14のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにラクトース(ラクトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液32を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例14のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例14のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液32に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例14のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例15)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例15のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにラクトース(ラクトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液33を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例15のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例15のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液33に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例15のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例16)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例16のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにマルトース(D(+)−マルトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液34を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例16のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例16のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液34に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例16のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例17)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例17のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにマルトース(D(+)−マルトース一水和物、和光純薬工業株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液35を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例17のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例17のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液35に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例17のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例18)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例18のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、3.5質量%となるようにセロビオース(D(+)−セロビオース、ナカライテクス株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液36を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み35μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例18のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例18のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液36に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例18のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
(比較例19)
実施例1において、以下のようにして作製したテストライン用熱転写媒体、及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例19のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3−2に示した。
<テストライン用熱転写媒体の作製>
実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製において、0.03質量%となるようにセロビオース(D(+)−セロビオース、ナカライテクス株式会社製)を精製水に溶解して作製した保護層用塗布液37を用い、剥離層兼試薬固相化層(固定用)表面の試薬を覆うように平均厚み0.3μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例19のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
実施例1において、前記テストライン用熱転写媒体の作製で、前記保護層用塗布液1を比較例19のテストライン用熱転写媒体の作製で調製した保護層用塗布液37に変更した以外は、前記実施例1のテストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、比較例19のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
次に、下記の表1−1から表2−2において、実施例1〜22及び比較例1〜19のイムノクロマトアッセイ(検査装置)の内容をまとめて示した。
表3−1及び表3−2の結果から、実施例1〜22は、最適な平均厚みの保護層を有しているので、擦り合わせによるライン発色の劣化や試薬の経時劣化が抑制され、均一に呈色したラインを確認できた。
これに対して、保護層を有していない比較例1は、摩擦による劣化、試薬の経時劣化が発生し、ラインの発色が悪かった。
また、比較例2、4、6、8、10、12、14、16、及び18は、保護層の平均厚みが35μmと厚すぎるため、ラインの発色が悪かった。これは、捕捉抗体と検体の反応を保護層が阻害していると考えられる。
また、比較例3、5、7、9、11、13、15、17、及び19は、保護層の平均厚みが0.3μmと薄いため、ラインの発色は良好であったが、摩擦による劣化や経時劣化によるライン発色の低下が見られた。
これは、保護層が薄すぎて保護機能を果たしていないためであると考えられる。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 支持体と、前記支持体上に設けられ、表面に試薬を有する試薬固相化層と、前記試薬を覆うように前記試薬固相化層上に設けられた保護層を有しており、前記保護層の平均厚みが、0.5μm以上30μm以下であることを特徴とする検査装置用熱転写媒体である。
<2> 前記保護層の平均厚みが、1μm以上20μm以下である前記<1>に記載の検査装置用熱転写媒体である。
<3> 前記支持体の試薬固相化層側の面とは反対側の面に、バック層を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<4> 前記試薬が抗体であり、前記保護層が糖類を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<5> 前記抗体が、捕捉抗体である前記<4>に記載の検査装置用熱転写媒体である。
<6> 前記糖類が、単糖類及び少糖類のいずれかである前記<4>から<5>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<7> 前記糖類が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、イノシトール、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、及びセロビオースから選択される少なくとも1種である前記<4>から<6>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<8> 前記糖類が、トレハロース、及びイノシトールの少なくともいずれかである前記<4>から<7>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<9> 前記糖類の前記保護層における含有量が0.5質量%以上30質量%以下である前記<4>から<8>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<10> 前記試薬固相化層が、疎水性基を有する熱可塑性樹脂を含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<11>前記疎水性基を有する樹脂が、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアクリロニトリルのアクリル系樹脂、及びプロピオネート樹脂から選択される少なくとも1種である前記<10>に記載の検査装置用熱転写媒体である。
<12> 前記支持体と前記試薬固相化層との間に、剥離層を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<13> 前記試薬固相化層が、剥離層を兼ねた剥離層兼試薬固相化層である前記<1>から<11>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<14> ロール状の巻回体である前記<1>から<13>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体である。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体の保護層及び試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記保護層及び前記試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程を含むことを特徴とする検査装置の製造方法である。
<16> 検体を流すための流路を有する多孔質の流路部材と、
前記流路部材上の少なくとも一箇所に樹脂層と、を有し、
前記樹脂層の前記流路部材に対向する面における固相化試薬が抗体を含み、
前記固相化試薬が、糖類を含む保護層で覆われていることを特徴とする検査装置である。
<17> 前記流路部材の空隙率が、40%以上90%以下である前記<16>に記載の検査装置である。
<18> 前記流路部材の平均厚みが、0.01mm以上0.3mm以下である前記<16>から<17>のいずれかに記載の検査装置である。
<19> 前記<16>から<18>のいずれかに記載の検査装置と、検体を採取するための検体採取手段、及び前記検体を処理するための液体から選択される少なくとも1つと、を有することを特徴とする検査キットである。
<20> 前記<16>から<18>のいずれかに記載の検査装置の前記流路部材に、検体を供給する工程と、
前記樹脂層に固相化されている試薬を、前記検体と接触させることにより、前記樹脂層から放出させる工程と、
を含むことを特徴とする検査方法である。
<21> 前記<16>から<18>のいずれかに記載の検査装置の流路部材に、検体を供給する工程と、
前記検体の一部を、前記樹脂層に固相化されている試薬により捕捉させる工程と、を含むことを特徴とする検査方法である。
前記<1>から<14>のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体、前記<15>に記載の検査装置の製造方法、前記<16>から<18>のいずれかに記載の検査装置、前記<19>に記載の検査キット、及び前記<20>から<21>のいずれかに記載の検査方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
10 検査装置
11 基材
12 流路部材
14 吸収部材
15 樹脂層
15a 樹脂層
15b 樹脂層(テストライン)
15c 樹脂層(コントロールライン)
16 標識抗体(試薬の一例)
17 捕捉抗体(試薬の一例)
18 捕捉抗体(試薬の一例)
30 検査液(検体の一例)
50 検査キット
100 検査装置用熱転写媒体
110 検査装置用熱転写媒体
101 支持体
102 剥離層
103 試薬固相化層
104 バック層
105 剥離層兼試薬固相化層
106 保護層
特開2015−34719号公報 特許第3914442号公報

Claims (7)

  1. 支持体と、前記支持体上に設けられ、表面に試薬を有する試薬固相化層と、前記試薬を覆うように前記試薬固相化層上に設けられた保護層を有しており、前記保護層の平均厚みが、0.5μm以上30μm以下であり、前記試薬固相化層が、剥離層を兼ねた剥離層兼試薬固相化層であることを特徴とする検査装置用熱転写媒体。
  2. 前記支持体の試薬固相化層側の面とは反対側の面に、バック層を有する請求項1に記載の検査装置用熱転写媒体。
  3. 前記試薬が抗体であり、前記保護層が糖類を含有する請求項1から2のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体。
  4. 前記糖類が、単糖類及び少糖類のいずれかである請求項3に記載の検査装置用熱転写媒体。
  5. 前記糖類が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、イノシトール、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、及びセロビオースから選択される少なくとも1種である請求項3から4のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体。
  6. 前記試薬固相化層が、疎水性基を有する熱可塑性樹脂を含む請求項1から5のいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の検査装置用熱転写媒体の保護層及び試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記保護層及び前記試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程を含むことを特徴とする検査装置の製造方法。
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