JP2016164553A - 標的検査装置、標的検査キット、標的検査方法、転写媒体、及び標的検査装置の製造方法 - Google Patents

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【課題】流路部材を変更しても、高感度の測定ができ、鮮明な判定ラインが得られる標的検査装置を提供することを目的とする。【解決手段】検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、標識と、前記検査対象液中に標的物質が含まれているときに前記標的物質と結合可能な第一抗体とを有する標識抗体を、前記流路部材を流れる前記検査対象液に供給する第一抗体供給部と、樹脂の成形体であり、前記成形体が、前記流路の前記第一抗体供給部よりも下流側において前記流路部材上に接触して配設され、かつ、前記流路部材に接触する面において、前記第一抗体、及び前記標的物質の少なくともいずれかと結合可能な第二抗体が、前記成形体と共有結合により固定されている第二抗体固定部と、を有する標的検査装置を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、標的検査装置、標的検査キット、標的検査方法、転写媒体、及び標的検査装置の製造方法に関する。
従来、血液、DNA、食品あるいは飲料などの検体の検査を行う目的で、検体を流すための流路が形成された標的検査装置が用いられている。前記標的検査装置の例としては、検査対象液の受液部としてのサンプルパッド、サンプルパッドから供給された前記検査対象液を反応させるコンジュゲートパッド、前記コンジュゲートパッドから供給された前記検査対象液を流すメンブレン膜から構成されるものが開示されている(特許文献1参照)。前記コンジュゲートパッドは、色素などで抗体を標識した標識抗体を含んでおり、前記サンプルパッドから前記検査対象液が供給されると、前記検査対象液に含まれる抗原(標的物質)と標識抗体とを反応させて、前記メンブレン膜に供給する。一方、前記メンブレン膜の検出部には、前記抗原を捕捉するための抗体(捕捉抗体)が予め塗布されている。前記コンジュゲートパッドから供給された前記検査対象液に含まれる前記抗原は、前記標識抗体と結合した状態で、検出部において捕捉される。これにより前記検出部が呈色するので、呈色の程度を目視あるいは測定することで、前記検査対象液中の前記抗原の定性測定又は定量測定を行うことができる。
ところで、標的検査キットを簡易な体外診断などで用いる場合には、医師や患者などの負担を軽減するために、検査時間を短くすることが要望されている。そこで、前記特許文献1では、前記コンジュゲートパッドを構成する合成繊維の吸水速度を調整し、検査対象液の展開速度を上げることで検査時間を短縮することが開示されている。
本発明は、流路部材を変更しても、高感度の測定ができ、鮮明な判定ラインが得られる標的検査装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の標的検査装置は、検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
標識と、前記検査対象液中に標的物質が含まれているときに前記標的物質と結合可能な第一抗体とを有する標識抗体を、前記流路部材を流れる前記検査対象液に供給する第一抗体供給部と、
樹脂の成形体であり、前記成形体が、前記流路の前記第一抗体供給部よりも下流側において前記流路部材上に接触して配設され、かつ、前記流路部材に接触する面において、前記第一抗体、及び前記標的物質の少なくともいずれかと結合可能な第二抗体が、前記成形体と共有結合により固定されている第二抗体固定部と、を有する。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、流路部材を変更しても、高感度の測定ができ、鮮明な判定ラインが得られる標的検査装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る標的検査装置の上面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る標的検査装置の長手方向に平行な断面図である。 図3は、第1の第二抗体固定部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大断面図である。 図4は、第2の第二抗体固定部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大図である。 図5は、従来の標的検査装置におけるメンブレンの概念図である。 図6は、標的検査装置に用いられる転写媒体の積層状態を示す断面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る検査キットの概念図である。 図8Aは、比較例の標的検査装置の上面図である。 図8Bは、図8Aの長手方向に平行な断面図である。
(標的検査装置)
本発明の標的検査装置は、検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
標識と、前記検査対象液中に標的物質が含まれているときに前記標的物質と結合可能な第一抗体とを有する標識抗体を、前記流路部材を流れる前記検査対象液に供給する第一抗体供給部と、
樹脂の成形体であり、前記成形体が、前記流路の前記第一抗体供給部よりも下流側において前記流路部材上に接触して配設され、かつ、前記流路部材に接触する面において、前記第一抗体、及び前記標的物質の少なくともいずれかと結合可能な第二抗体が、前記成形体と共有結合により固定されている第二抗体固定部と、を有する。
本発明の標的検査装置は、従来の標的検査装置において、標識抗体や捕捉抗体などの試薬、標識用指示薬や検出用指示薬などの試薬は、流路部材内部の繊維などに固定されていたため、検体の展開速度を向上させる目的で、流路部材の材質を任意に選択した場合には、標識抗体や標識用指示薬などの試薬と流路部材との相互作用が強くなり過ぎて、試薬を展開できなくなったり、抗体や検出用指示薬などの試薬と流路部材との相互作用が弱くなり過ぎて捕捉した検体を固定化できなくなるという知見に基づくものである。
また、本発明の標的検査装置は、従来の標的検査装置におけるテストライン及びコントロールラインの形成には、親水性の多孔質材料からなる流路部材に、捕捉抗体が溶解した液を直接塗布することにより行うため、前記親水性の多孔質材料の内部に拡散して存在するが、しかしながら、前記親水性の多孔質材料の内部に存在する捕捉抗体と結合した標識抗体の標識粒子(金粒子など)の発色は、光の散乱が起こるために実際には検知することはできない、つまり、捕捉抗体の殆どが有効に利用されていないという知見に基づくものである。
<流路部材>
前記標的検査装置の前記流路部材としては、前記検査対象液を流すことが可能な多孔質の部材であれば特に限定されないが、例えば、親水性多孔質材料などが挙げられる。前記親水性多孔質材料によって構成される前記流路部材は、空隙を有しており、前記検査対象液が前記空隙内を流れることによって前記流路が形成される。親水性多孔質材料の内部には、気泡が存在し、前記気泡同士が繋がって連続気泡となっていることが好ましい。なお、前記連続気泡とは、前記気泡同士が繋がっていない独立気泡とは区別されるものである。前記連続気泡においては、前記気泡同士の壁に小さな孔が開いているため、毛細管現象によって液体を吸い込んだり気体を通過させたりする機能を有する。前記流路部材は、前記空隙において、毛細管現象を利用して前記検査対象液を移送するので、ポンプ等の外部駆動装置が不要である。
前記流路部材の展開速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、親水性を示し空隙率が高い材質が好適に用いられる。前記親水性多孔質材料とは、水溶液が容易に浸透可能な多孔質材料であり、容易に浸透可能とは、120℃で1時間乾燥した板状試験片の表面に純水0.01mLを滴下する水浸透性の評価試験で、純水0.01mLが10分間以内にすべて浸透することを意味する。
前記親水性多孔質材料の空隙率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40%以上90%以下が好ましく、65%以上80%以下がより好ましい。前記空隙率が、90%以下であると、前記流路部材としての強度を保つことができ、40%以上であると、前記検査対象液の浸透性に影響がない。前記空隙率は、例えば、前記親水性多孔質材料の坪量(g/m)、平均厚み(μm)、組成分比重から、下記の計算式1により求めることができる。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重〕}×100
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ろ紙、普通紙、上質紙、水彩紙、ケント紙、合成紙、合成樹脂フィルム、コート層を有する専用紙、布地、繊維製品、フィルム、無機基板、ガラスなどが挙げられる。
前記布地としては、例えば、レーヨン、ベンベルグ、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ビニロン等の人造繊維、綿、絹等の天然繊維、これらの混紡繊維、又はこれらの不織布などが挙げられる。
これらの中でも、高い空隙率と良好な親水性を有する点から、前記ろ紙が好ましい。前記標的検査装置をバイオセンサーの目的で使用する際には、前記ろ紙はペーパークロマトグラフィーにおける固定相として好適である。
前記親水性多孔質材料の形状については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
前記親水性多孔質材料の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.3mm以下が好ましい。平均厚みが、0.01mm以上であると、前記流路部材としての強度を保つことができ、0.3mm以下であると、前記検査対象液の必要量を多くする必要がない。なお、本実施形態において、厚みとは、前記基材と前記流路部材との接触面に対して垂直方向の対象物の長さとすることができる。
<第一抗体供給部>
前記第一抗体供給部としては、第一抗体を前記流路部材に供給することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、別の装置及び器具を用いて、前記流路に滴下する構造、前記流路上に前記第一抗体を含む第一抗体展開部材を積層して前記第一抗体を供給する構造などが挙げられ、これらの中でも、前記第一抗体展開部材を有する構造が好適に挙げられる。
<<第一抗体展開部材>>
前記第一抗体展開部材としては、前記第一抗体を展開可能な状態で担持することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて公知の材料から選択することができ、例えば、セルロース濾紙、ガラス繊維、不織布などが挙げられる。
前記第一抗体展開部材に前記第一抗体を担持させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一抗体を一定量含浸させて、乾燥して作製する方法などが挙げられる。
特に、前記第一抗体展開部材としては、前記検査対象液が浸透した際に、前記第一抗体が容易に溶出されて、前記検査対象液と共に移動していく必要があるため、一般的に前記第一抗体に対する吸着力が弱いガラス繊維が好ましい。前記第一抗体展開部材は、例えば、前記第一抗体を担持したグラスファイバなどが前記流路部材上において、前記第二抗体固定部よりも上流側に、前記第一抗体展開部材が前記第一抗体を展開可能な状態で配設される。すると、前記検査対象液を後述する滴下部などに滴下するだけで、前記検査対象液に前記標的物質が含まれている場合に、前記第一抗体供給部の前記第一抗体展開部材により、前記標的物質に前記第一抗体が結合してから、前記標的物質が前記第一抗体と共に前記第二抗体固定部に向かって展開されることで、検査をすることができ、前記標的検査装置の操作を簡略化させることができる。
<<第一抗体>>
前記第一抗体としては、前記標的物質と結合することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、標識を有する標識抗体が好ましく、例えば、金コロイド標識Anti−human IgGなどの金コロイド標識抗体、各種アレルゲンに対する標識抗体などが挙げられる。抗体を標識する粒子としては、金コロイド以外にも特に限定されることなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属コロイド、酵素を含有する酵素標識粒子、色素を含有する着色粒子、蛍光物質を含有する蛍光粒子、磁性体を含有する磁性体内包粒子などが挙げられる。
<第二抗体固定部>
前記第二抗体固定部としては、樹脂の成形体であり、前記流路の前記第一抗体供給部よりも下流側において前記成形体が前記流路に接触して配設され、かつ前記流路に接触する面において、前記第一抗体、及び前記標的物質のいずれかと結合可能な前記第二抗体が前記成形体と共有結合により固定されていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記第二抗体固定部は、前記流路部材上において、複数配設されていてもよく、それぞれ別の抗体が固定されていてもよい。
<<成形体>>
前記成形体としては、樹脂の成形体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記第二抗体が、前記成形体の前記流路部材に対向する側の面に固定されていることが好ましい。
前記第二抗体が前記成形体の前記流路部材に対向する側の面に固定されていることにより、前記成形体と、前記第二抗体との前記共有結合の強さや前記検査対象液との親和性を制御することができる。前記共有結合の強さ及び前記親和性を調整する方法としては、例えば、前記成形体を構成する樹脂の種類や、樹脂の組成比を、対応する前記第二抗体に応じて変更する方法などが挙げられる。
<<<樹脂>>>
前記成形体を構成する樹脂としては、前記第二抗体との結合性を有する官能基を含有している樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水不溶性樹脂であることが好ましい。前記水不溶性樹脂を用いると、前記水不溶性樹脂が前記検査対象液に溶解して、前記流路を詰まらせたり、コントロールラインあるいはテストラインなどの判定ラインが滲むことを防ぐことができる。
前記第二抗体との結合性を有する前記官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アミノオキシアセチル基、ジアゾ基、カルボジイミド基、ビニル基、ニトロ基、スルホン基、スクシンイミド基、ヒドラジド基、アジド基、リン酸基、アズラクトン基、ニトリル基、アミド基、イミノ基、ニトレン基、アセチル基などが挙げられる。
前記活性エステル基とは、反応性の高いエステル基のことであり、前記活性エステル基の具体例としては、p−ニトロフェニルエステル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、コハク酸イミドエステル基、フタル酸イミドエステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミドエステル基などが挙げられる。
これらの中で、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、及びチオール基が好ましく、更に、カルボキシル基、アミノ基、活性エステル基が特に好ましい。
また、前記成形体は、少なくとも前記成形体における前記流路部材に対向する面において、前記官能基を有していればよく、公知の表面処理方法などにより前記官能基を導入させた前記成形体を用いることができる。この場合、前記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、前記熱可塑性樹脂が、製造効率の観点から好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂やポリプロピレン(PP)樹脂などの直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル(EVA)共重合樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)共重合樹脂、メタクリル酸メチル(アクリル)(PMMA)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、セルロースアセテート(CA)樹脂、シクロオレフィン系(CO)樹脂などが挙げられる。
前記成形体を構成する前記樹脂以外の化合物としては、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、用途の観点から、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記成形体の表面処理方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記成形体表面への前記カルボキシル基、前記水酸基の導入には、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、及び紫外線照射処理などの方法を用いることができる。これらの中でも、反応効率の高さから酸素雰囲気下でのプラズマ処理やコロナ放電処理が好ましい。また、前記成形体表面への前記アミノ基の導入には、例えば、窒素雰囲気下でのプラズマ処理、アミノアルキルシラン処理などの方法を用いることができる。これらの中でも、処理の簡便性、均一性の観点から、前記窒素雰囲気下でのプラズマ処理が好ましい。
また、前記成形体を構成する樹脂には非孔質体を使用することが好ましい。前記非孔質体とは実質的に空隙を含まない非孔質の構造体であり、メンブレン等の液体の吸収を促進するために設けられた空隙を含む多孔質材料とは相反する構造体を指す。従って、例えば、製造工程に偶発的に含まれてしまった気泡であって液体の吸収作用の促進に寄与しないような気泡を僅かに含むものについては非孔質体の範疇に含まれる。
次に、本発明において用いる前記成形体が、非孔質体である場合の特徴を説明する。
従来のテストライン及びコントロールラインの形成には、親水性の多孔質材料からなる流路部材に、捕捉抗体などの前記第二抗体が溶解した液を直接塗布することにより行われる。したがって、前記第二抗体は液体の浸透に伴い前記多孔質材料の内部に拡散する。しかし、前記多孔質材料の内部に存在する前記第二抗体と結合する金コロイド粒子などの標識用粒子の発色は、光の散乱が起こるために実際には検知することはできない。つまり、前記第二抗体の殆どが有効に利用されていないことになる。
一般的に、多孔質材料で検知できる発色粒子は表面から5μm程度の深さまでとされる。この5μmの領域に、検査に必要となる前記第二抗体を固定させるには、厚み方向への拡散を考慮して多量の前記第二抗体を塗布しなければならない。即ち、前記第二抗体の塗布量は、多孔質材料の厚みに比例して増加することになる。
一方、本発明では、前記第二抗体の固定化には疎水基を多く含む非孔質体からなる樹脂の成形体を用いる場合、前記第二抗体は樹脂の成形体の内部に入り込むことがなく、前記成形体の表面にのみ固定化される。前記成形体表面に固定化された前記第二抗体に標識用粒子が結合することにより発色するが、光の散乱が起きない非孔質体からなる前記成形体を通して検知することができるため、標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができる。厚み方向に余分な発色粒子が存在することがないので、前記第二抗体の塗布量が極めて少ないメリットが生じる。例えば親水性多孔質材料からなる前記流路部材の厚みを100μmとした場合、表面から5μm分の厚みの発色分しか利用できていないと仮定すると、同じ発色強度を得るのに使用する前記第二抗体の量を、本発明では1/20とすることができる。
したがって、本発明では、前記第二抗体の固定化には疎水基を多く含む非孔質体からなる前記成形体を用いる場合、標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができ、厚み方向に余分な発色粒子が存在することがないので、捕捉抗体などの前記第二抗体の塗布量を従来よりも低減させることができる。
なお、本実施形態において、前記成形体は前記流路部材上に固定されていることが好ましい。前記成形体を固定する方法としては、検査時に前記第二抗体と前記検査対象液とが接触可能となるような状態で固定化する方法であれば特に限定されない。例えば、熱転写プリンタなどを用いて前記成形体を構成する樹脂を前記流路部材上に熱転写する方法、ドットインパクトプリンタなどを用いて前記成形体を構成する樹脂に圧力を加えて転写する方法、前記成形体を構成する樹脂をテープや接着剤、粘着剤などで前記流路部材上に貼り付ける方法などが挙げられる。
<<第二抗体>>
前記第二抗体としては、前記成形体表面の前記官能基に共有結合し得る官能基を有しており、前記標的物質、及び前記第一抗体の少なくともいずれか一方と結合するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Anti−human IgG、各種アレルゲンに対する抗体、Human IgGなどの前記第一抗体に対する抗体などが挙げられる。また、その他にも、前記第二抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、(Fab)抗体などの形態であってもよい。
前記成形体表面の前記官能基に共有結合で結合し得る、前記第二抗体の前記官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、末端に含まれるアミノ基やカルボキシル基や、側鎖に含まれるアミノ基、カルボキシル基、チオール基、水酸基などが挙げられる。また、前記第二抗体には前記成形体の前記官能基との反応性を高めるため、新たに官能基を導入してもよい。なお、前記新たな官能基を導入する位置については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記第二抗体に導入する前記官能基がアミノ基の場合、導入位置は前記第二抗体の分子鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、生理活性物質の本来の機能を保持したまま固定化するために、分子鎖末端に導入されていることが好ましい。
前記第二抗体を、前記成形体に固定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記成形体の表面が有する前記官能基と、前記第二抗体に含まれる前記官能基とが直接共有結合を形成する方法、前記成形体と前記第二抗体の間に適当な鎖長をもった化合物を媒体(スペーサー)として導入する方法などが挙げられる。
前記カルボキシル基を表面に有する前記成形体を用いる場合、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)のような水溶性カルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下で、前記第二抗体の分子中のアミノ基を、前記成形体表面のカルボキシル基に反応させてアミド結合を形成することにより、前記第二抗体が前記成形体に結合することができる。また、より反応性を高めるために、EDCにさらにN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を加え、カルボキシル基を反応性のNHSエステルに変換してアミノ基と反応させてもよい。また、アルデヒド基を表面に有する前記成形体を用いる場合、前記第二抗体の分子中のアミノ基を、アルデヒド基と反応させてシッフ塩基を形成し、水素化シアノホウ素ナトリウムなどの還元剤を反応させて安定な共有結合を形成する方法などが挙げられる。
具体的に前記成形体表面に前記第二抗体を固定する際には、前記第二抗体を溶解又は分散させる液体を塗布する方法が好ましい。前記第二抗体を溶解又は分散した液体のpHは6〜10であることが好ましく、pHは6〜8がより好ましい。下限値未満だと固定化反応の効率が著しく低下し、上限値を超えると前記第二抗体が変性する可能性が高くなる。ただし、前記第二抗体の種類により一概に限定されるものではなくこの範囲外であってもよい。抗体固定化後は、固定した表面を界面活性剤を含む水や緩衝液で洗浄することで、不要な成分を除去することができる。また、固定した表面に前記第二抗体と反応しうる官能基が残っている場合、表面に残存する官能基の不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行うことが好ましい。
<<<共有結合>>>
前記共有結合の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アミド結合、エステル結合、チオ尿素結合、チオエーテル結合、イミン結合、ジスルフィド結合などが好ましい。ここで、イミン結合とは、R1−CH=N−R2のことをさし、R1、R2は異なるアルキル基を示す。なお、R1とR2は同一であってもよい。特に、前記第二抗体が本来の生理活性を実質的に維持した状態で共有結合を形成する場合には、液体での反応が必須で、反応溶液のpHが中性〜弱アルカリ性領域にあること、氷冷下から37℃程度の反応温度で短時間に反応が進むことなどの条件を満たす必要がある。これらの観点から、アミド結合、チオエーテル結合、イミン結合が好ましく、アミド結合が特に好ましい。ここで本来の生理活性とは、抗原認識能のことである。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材、吸収部材、滴下部などが挙げられる。
<<基材>>
前記基材としては、その構造、及び材質などに、特に制限はなく、目的に応じて選択される。
前記基材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材の上面に前記流路部材が積層されている構造などが挙げられる。
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機、無機又は金属製のものが挙げられる。また、前記基材は、特に限定されないが、少なくとも1面が疎水性樹脂で覆われていることが好ましい。前記標的検査装置をセンサチップに使用する場合には、軽量で柔軟性があり、かつ、安価である合成樹脂を前記基材として用いることが好ましい。また、プラスチックシートなどの耐久性が高い材質を前記基材として選択できるので、結果として前記標的検査装置の耐久性も向上する。
前記基材としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポリフェニルエーテル、ポリブチレンフタレート、ABS樹脂等でできた基材などが挙げられる。これらの中でも、低価格で汎用性が高いことから、ポリエチレンテレフタレート製の前記基材を用いることが特に好ましい。
前記基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
前記基材の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましい。平均厚みが、0.01mm以上であると、前記基材としての強度が適正であり、0.5mm以下であると、フレキシブル性があり、センサとして好適である。
なお、本実施形態において、平均厚みとは、例えば、測定対象物の厚みを長手方向に5箇所、幅方向に3箇所、測定箇所がほぼ均等の間隔となるように合計15箇所をマイクロメーターで測定したときの厚みの平均値とすることができる。
<<吸収部材>>
前記吸収部材としては、前記検査対象液の液体を吸収するものであれば、特に制限はなく、公知の材料から選択することができる。例えば、前記液体が水の場合は、紙、布などの繊維、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物の部分架橋体、多糖類の部分架橋体等が挙げられる。
<<滴下部>>
前記滴下部としては、前記検査対象液を滴下する場所に形成され、前記流路に前記検査対象液を供給できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の材料から選択することができる。
次に、図面を用いて本発明の標的検査装置を詳細に説明する。なお、本実施形態では、2つの前記第二抗体固定部を用いており、それぞれ別の抗体が固定されているため、一方の第二抗体固定部を「第1の第二抗体固定部50a」とし、他方の第二抗体固定部を「第2の第二抗体固定部50b」と称する。
図1は、本発明の一実施形態に係る標的検査装置の上面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る標的検査装置の長手方向に平行な断面図である。図3は、第1の第二抗体固定部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大断面図である。図4は、第2の第二抗体固定部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大図である。
図1及び図2に示すように、本発明の標的検査装置10は、血液、髄液、尿、あるいは検査抽出液(スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)などのように、親水性の前記検査対象液を流すための前記流路が形成された多孔質の流路部材30と、流路部材30上に設けられた、第一抗体供給部40と、第1の第二抗体固定部50aと、第2の第二抗体固定部50bとを有しており、第1の第二抗体固定部50a、及び第2の第二抗体固定部50bにおける流路部材30に対向する面には、図3及び図4に示すように、検査対象液12に含まれる標的物質14、及び前記第一抗体の少なくともいずれか一方と反応する第1の第二抗体17、及び第2の第二抗体18が固定されている。なお、本実施形態では、第1の第二抗体17が標的物質14と結合し、第2の第二抗体18が第一抗体16と結合する。これにより、複数の前記第二抗体固定部毎に、それぞれの前記成形体と抗体との共有結合の強さを調整できるようになるので、流路部材30を目的に応じて適宜選択した場合でも、抗体の固定を制御しやすくなる。
なお、以下の説明においては、前記検査対象液が、血液、髄液、尿、或いは検体抽出液(スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の液体である場合について説明をする。
本実施形態では、図1及び図2に示すように、標的検査装置10において、流路部材30が基材20上に設けられており、基材20及び流路部材30上の一端において、吸収部材70が設けられている場合について説明するが、本発明の標的検査装置10は、このような形態に限定されるものではない。本実施形態において、部材上に設けるとは、標的検査装置10を配置したときの向きとは関係なく、部材に接して設けることを意味している。また、第1の第二抗体固定部50a及び第2の第二抗体固定部50bのうち、任意の第二抗体固定部を示す場合には、第二抗体固定部50と表す。なお、前記第二抗体は、共有結合により固定されていればよい。
なお、図1〜図4で示すように、本実施形態においては、第1の第二抗体固定部50aは、標的物質14の有無を判定するためのテストラインとして用いており、第2の第二抗体固定部50bは、第一抗体16が到達したことを示すコントロールラインとして用いている。
図1及び図2に示すように、本実施形態の第一抗体供給部40は、流路部材30上に接するように配設されている。なお、上述したように、第一抗体供給部40は、第二抗体固定部50の上流側において、第一抗体16を展開可能な状態で保持しており、図2に示すように流路部材30側の面において、第一抗体16を保持している。
第1の第二抗体固定部50aは、図1及び図2に示すように、流路部材30上に接触するように配設されている。また、図3に示すように、第1の第二抗体固定部50aは、表面に第1の第二抗体17との結合性を有する官能基を有している。第1の第二抗体17は、第1の第二抗体固定部50a表面の官能基に結合し得る官能基を有しており、これにより、第1の第二抗体固定部50aにおける流路部材30に対向する面において、共有結合52を形成し固定される。流路部材30及び第1の第二抗体固定部50aの前記対向する面との間に形成される隙間に、検査対象液12が充填されたときに、第1の第二抗体17は、第一抗体16に結合した状態の標的物質14を捕捉する。これにより、標的物質14及び第一抗体16が固定されて呈色するので、第1の第二抗体固定部50aを標的物質14の有無を判定するテストラインとして用いることができる。なお、標的物質と抗体の結合の阻害を防ぐために、第1の第二抗体固定部50aの前記成形体の樹脂は、水不溶性樹脂である。本実施形態において水不溶性とは、実質的に水に不溶であることを指す。ここで、実質的に水に不溶であるとは、25℃下で24時間、大量の水中に浸漬した後、真空乾燥等の方法によって十分に乾燥した際の、樹脂の質量変化量が1質量%以下であることを意味する。1質量%以下の質量変化は樹脂生成物中に含まれる副生成物(モノマー成分など)が水中に溶け出し質量が減少することがあるためである。
第2の第二抗体固定部50bは、図1及び図2に示すように、第1の第二抗体固定部50aよりも下流側に流路部材30上に接触するように配設されている。また、図4に示すように、第2の第二抗体固定部50bは、表面に第2の第二抗体18との結合性を有する官能基を有している。第2の第二抗体18は、第2の第二抗体固定部50b表面の官能基に結合し得る官能基を有しており、これにより、第2の第二抗体固定部50bにおける流路部材30に対向する面において、共有結合52を形成し固定される。流路部材30及び第2の第二抗体固定部50bの前記対向する面との間に形成される隙間に、検査対象液12が充填されたときに、第2の第二抗体18は、第一抗体16を捕捉する。これにより、第一抗体16が固定されて呈色するので、第2の第二抗体固定部50bを第一抗体16が到達したことを示すコントロールラインとして用いることができる。なお、第1の第二抗体固定部50aと同様に、一次抗体と二次抗体の結合の阻害を防ぐために、第2の第二抗体固定部50bの前記成形体の樹脂は、水不溶性樹脂である。
滴下部80は、図1及び図2で示すように、第一抗体供給部40を覆うように基材20の上流側となる端部に配設されている。
吸収部材70は、滴下部80とは逆に、下流側となる端部に流路部材30を覆うように基材20に配設されている。
なお、本発明の標的検査装置は、抗原抗体反応を用いたものに限定されない。例えば、標的検査装置は、試薬として、構造変化により色相が変化する試薬を用いることで、前記検査対象液に含まれる特定の成分を検査するものであってもよい。
また、図5に示す従来の検査装置におけるメンブレンの概念図からもわかるように、従来の検査装置において第二抗体17は、メンブレンを構成する繊維F2に固定化されていたので、メンブレンに固定化させることが可能な第二抗体17は、繊維F2との結合力が強いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置は、設計上、使用可能な繊維F2や第二抗体17が限られたものになる。しかしながら、本発明の標的検査装置では、前記第二抗体固定部において、前記成形体と、前記第二抗体などの試薬とを共有結合により固定させているため、前記成形体と、前記第二抗体との共有結合の強さや、前記検査対象液との親和性を制御することができるため有利である。
(転写媒体)
本発明の転写媒体は、本発明の標的検査装置を製造するための標的検査装置製造用の転写媒体であって、前記転写媒体としては、前記流路に転写することで前記第二抗体固定部を形成することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、支持体と、剥離層と、試薬固定化層とを有し、必要に応じてその他の層を有してもよい。
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造、及び積層構造などが挙げられる。
前記支持体の大きさとしては、特に制限はなく、前記標的検査装置の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、セルロースアセテート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
前記支持体の表面には、前記支持体の上に設ける層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、などが挙げられる。
前記支持体は、後述する試薬固定化層を前記基材又は前記流路部材などに転写後、そのまま残しておいてもよく、また、前記試薬固定化層を転写後、後述する剥離層で前記支持体などを剥離し除去してもよい。
前記支持体としては、特に制限はなく、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記支持体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上50μm以下が好ましい。
<剥離層>
前記剥離層は、転写の際に、前記支持体と前記試薬固定化層との剥離性を向上させる機能を有する。また、前記剥離層は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で、前記試薬固定化層の切断を容易にする機能を有する。前記剥離層は、ワックス、及びバインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含んでなる。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸ナトリウム共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記剥離層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法、などが挙げられる。
前記剥離層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。
前記剥離層の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。
<試薬固定化層>
前記試薬固定化層は、前記標的検査装置における前記第二抗体固定部の前記成形体を構成する樹脂のいずれか一方を含んでいれば、その材料などに、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記試薬固定化層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法や、前記第二抗体固定部を構成する樹脂を溶剤に分散させた試薬塗布液を、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどの一般的な塗布法により、試薬固定化層塗布液を前記支持体上又は前記剥離層上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
前記試薬固定化層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200nm以上50μm以下が好ましい。前記試薬固定化層の平均厚みが、200nm以上であると、前記成形体の耐久性がよく、摩擦や衝撃などによって前記成形体が破損する恐れがなく、50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱が均一に伝わり、鮮明性がよい。
前記試薬固定化層における試薬塗布液の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2g/m以上50g/m以下が好ましい。付着量が、0.2g/m以上であると、塗布量が十分であり、前記第二抗体固定部に欠損が生じず、50g/m以下であると、乾燥に時間がかからず、前記第二抗体固定部にムラなどが生じない。
試薬塗布液を乾燥して前記試薬固定化層が形成された後、前記試薬固定化層の表面に、前記第二抗体を溶解又は分散させる液体を塗布し、均一な塗膜を形成する。前記第二抗体の固定後は、固定した表面を界面活性剤を含む水や緩衝液で洗浄することで、不要な成分を除去する。また、固定した表面に、前記第二抗体と反応し得る官能基が残っている場合、表面に残存する官能基の不活性化処理をアルカリ化合物、或いは一級アミノ基を有する化合物で行うことが好ましい。以上により、前記第二抗体を、前記試薬固定化層の表面に固定させることができる。なお、塗膜は、均一な厚みとなるように塗布されていることが好ましい。乾燥方法としては、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥及び凍結乾燥など、特に限定されないが、減圧下もしくは真空下乾燥させることが望ましい。乾燥温度としては、室温20℃〜50℃の下、乾燥時間としては30分間〜24時間乾燥させるのが望ましい。乾燥温度が20℃より高温の場合、乾燥時間を短くすることで生産性が向上し、50℃より低温の場合、試薬が熱により変性する恐れがない。また、乾燥時間が30分より長い場合、乾燥が十分であり、24時間より短い場合、生産性が向上し樹脂の変色を考慮する必要がない。
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バック層、アンダー層、保護フィルムなどが挙げられる。
<<バック層>>
前記バック層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記転写媒体には、前記支持体の前記剥離層側の面とは反対側の面に、前記バック層が設けられていることが好ましい。前記反対側の面には、転写時に、サーマルヘッド等で前記第二抗体固定部の前記成形体の形状に合わせて熱が直接印加される。このため、前記バック層は、高熱への耐性、サーマルヘッド等との摩擦への耐性を有することが好ましい。前記バック層は、バインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロース、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、シリカ、オルガノポリシロキサン等の無機微粒子、滑剤、などが挙げられる。
前記バック層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター等の一般的な塗布法、などが挙げられる。
前記バック層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
<<アンダー層>>
前記アンダー層としては、前記支持体と前記剥離層との間、又は前記剥離層と前記試薬固定化層との間に設けることができる。前記アンダー層は、樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記試薬固定化層及び前記剥離層で用いた各種樹脂が使用可能である。
<<保護フィルム>>
前記試薬固定化層上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために保護フィルムを設けることが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、前記試薬固定化層から容易に剥がすことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン紙、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシート、などが挙げられる。前記保護フィルムの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
従来においては、前記第二抗体が固定化された樹脂の成形体を検査装置製造用の転写媒体に加工した場合、転写媒体を芯に巻きつけてロール状にして何層も重ねて収納する必要があるが、物理吸着のように前記第二抗体と樹脂の成形体との結合力が弱いと、試薬が転写媒体の裏側(試薬が固相化されている面とは反対側)に移りやすく、保存安定性が低いという課題がある。
一方、本発明では、共有結合により前記第二抗体を固定化しているため、転写媒体を重ねた場合にも試薬が転写媒体の反対側に移りづらく保存安定性が高いという利点がある。
(標的検査装置の製造方法)
本発明の標的検査装置の製造方法は、前記転写媒体の前記試薬固定化層と、前記流路部材とを接触させて、前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでなる。
前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記流路部材に対して熱転写する方法などが挙げられる。
標的検査装置の製造方法である、前記試薬固定化層の転写を図面を用いて詳細に説明する。図6は、標的検査装置に用いられる転写媒体の積層状態を示す断面図である。前記試薬固定化層の転写は、前記流路上であれば前記流路の構造などに、特に制限はなく、目的に応じて適宜形成することができるが、ここでは前記流路部材に対して熱転写する方法を説明する。
図6に示すように、転写媒体100は、支持体101、剥離層102、試薬固定化層103がこの順に積層され、更に支持体101の剥離層102が積層された面とは逆面にはバック層104が設けられている。
試薬固定化層103を流路部材30に熱転写する方法としては、転写媒体100の試薬固定化層103と、流路部材30とを接触させて、試薬固定化層103を流路部材30に転写する工程を含む方法が挙げられる。熱転写に用いられるプリンタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッド等を有するサーマルプリンタが挙げられる。熱転写における印加エネルギーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mJ/dot以上0.5mJ/dot以下が好ましい。印加エネルギーが、0.05mJ/dot以上であると、試薬固定化層103の溶融が十分であり、0.5mJ/dot以下であると、試薬が熱により変性する恐れがなく、試薬固定化層103以外の転写媒体100を溶かす恐れがないため、サーマルヘッドを汚すことがない。
<<<標的検査装置の用途>>>
前記標的検査装置の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、血液検査やDNA検査向けの生化学センサ(センシングチップ)、食品や飲料の品質管理用途などにおける小型の分析機器(化学センサ)などが挙げられる。
生化学の分野の検査に用いる試料(検体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、あるいは糞尿等の排泄物、などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞、試験管内での分裂卵細胞の一部などであってもよい。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施されていてもよい。
また、本実施形態の標的検査装置は、前記流路部材が固定相として働くため、検査対象液をクロマトグラフィー(分離、精製)する機能も有する。この場合、内壁が親水性を示す連続気泡を有する前記流路部材が固定相(担体)となる。検査対象液中の各成分は、流路内を浸透する過程で固定相との相互作用の違い、即ち、親疎水性の違いにより流路内を流れる速度に差が生じる。
これは親水性の高い成分ほど、固定相である多孔質部に吸着しやすく、脱吸着を繰り返す回数が多いため、流路内を浸透する速度が遅い。反対に疎水性の高い成分は固定相に吸着することなく浸透するので、流路内をすばやく移動する。検査対象液中の移動速度の差を利用することで、前記検査対象液の対象成分選択的に抽出、反応させることで、本発明の標的検査装置を高機能な化学あるいは生化学用途のセンサとして用いることができる。
(標的検査方法)
本発明の標的検査方法は、本発明の標的検査装置を用いて検査するための標的検査方法であれば特に限定されないが、前記流路部材に、検体を供給する検体供給工程と、前記検体の一部を前記成形体に固定されている前記第二抗体により捕捉させる工程と、を含むものであってもよい。
具体的な処理としては、まず、標的検査装置10の流路部材30に設けられた滴下部80(図1及び図2参照)に検査対象液12を滴下して供給する。続いて、供給された検査対象液12と、第一抗体供給部40に保持されている第一抗体16とを接触させ、第一抗体供給部40から第一抗体16を放出させる。検査対象液12に標的物質14が含まれている場合、第一抗体供給部40から放出された第一抗体16は標的物質14と反応して結合する。
続いて、第一抗体16及び標的物質14を含む検査対象液12は、流路部材30に沿って展開され第1の第二抗体固定部50aが配設された領域に到達する。第1の第二抗体固定部50aにおける、流路部材30に対向する面に固定されている第1の第二抗体17は、第一抗体16が結合した状態の標的物質14と結合して捕捉する。なお、上述したように、第1の第二抗体17は、共有結合52を介して前記成形体に固定されているので、検査対象液12と接触しても検査対象液12に親和せず放出されにくい。また、一部の第1の第二抗体17が検査対象液12中に放出されたとしても、流路部材30を構成する繊維に即座に結合する。これにより、第一抗体16は、第1の第二抗体固定部50aの近傍に固定化されることになるので、テストラインとして機能する第1の第二抗体固定部50aが明瞭に呈色する。
本実施形態では、第1の第二抗体固定部50aにおいて捕捉されずに通過した第一抗体16は、流路部材30に沿って展開され第2の第二抗体固定部50bが配置された領域に到達する。第2の第二抗体固定部50bでは、第一抗体16と第2の第二抗体18とが結合することにより、捕捉される。第2の第二抗体18は固定されているため、コントロールラインとして機能する第2の第二抗体固定部50bが明瞭に呈色する。
(標的検査キット)
本発明の標的検査キットは、本発明の標的検査装置を用いて検査を行うための標的検査キットであって、上記の標的検査方法により検査を行う場合、図7に示すように、標的検査装置10と、検体を採取するための器具(検体採取手段の一例)、及び、検体を処理するための液体の少なくとも一方と、を有する標的検査キットを用いることができる。図7は、本発明の一実施形態に係る標的検査キット200の概念図である。検体を採取する器具としては、咽頭あるいは鼻腔等から検体を採取するための滅菌綿棒201等の公知の器具が挙げられる。検体を処理するための液体としては、検体を希釈するための希釈液202、検体を抽出するための抽出液等の公知の液体が挙げられる。
上記実施形態では、前記第一抗体供給部及び前記第二抗体固定部から供給される試薬が抗原又は抗体である場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。ケミカルアッセイで用いられる指示薬は溶液の化学的性質を指示する試薬を指す。指示薬としては、特に限定されないが、pH指示薬、鉛イオン、銅イオン、亜硝酸イオン等の各種イオンと反応して変色する各種イオノフォア、各種農薬と反応して変色する試薬などが挙げられる。
上記実施形態では、転写の際に、転写媒体100における支持体101と試薬固定化層103とを熱により剥離する例について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、支持体101と試薬固定化層103とを光によって剥離してもよい。この場合、剥離層102に、カーボンブラックなどの光吸収剤を混ぜておいて、それに光を吸収させて熱を生じさせることにより、剥離層102を溶融させ、試薬固定化層103を剥離してもよい。あるいは、剥離層102に、光照射によって変質する材料を混ぜておいて、それに光を吸収させて剥離層102を脆くすることにより、試薬固定化層103を剥離してもよい。
上記実施形態では、流路部材30の全体に流路が形成されている例を示したが本発明はこれに限定されない。流路部材30の一部に流路を形成する方法としては、例えば、公知の方法により、親水性多孔質部材の空隙に、疎水性の材料を充填することにより、流路の外縁となる流壁を形成する方法が挙げられる。
また、本実施形態の検査装置10において、流路部材30に手が触れたときの汚染を防ぐ目的で、任意の保護部材を設けてもよい。このような保護部材としては、例えば、検査装置10の全体を覆うハウジングや、流路部材30上に設けられるフィルムなどが挙げられる。保護部材を設ける場合、流路部材30の滴下部80の上部には開口が設けられていることが好ましい。また、保護部材には、流路内の圧力を開放するための開口が設けられていることが好ましい。
上記実施形態において、前記検査対象液が親水性の場合について説明したが、この形態に限定されない。例えば、前記検査対象液は、親油性や、親溶媒性のものであってもよく、親溶媒性のものとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)等のケトン類などの有機溶媒を含む親溶媒性のものであってもよい。親溶媒性のものである場合、上記の実施形態における、「親水性」は「疎水性」に置き換えられ、「疎水性」は「親水性」に置き換えられることになる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
<試薬用熱転写媒体の作製>
<<固定化転写媒体溶液の調製>>
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
−剥離層塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21質量%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、剥離層塗布液を得た。
<<試薬塗布液の調製>>
−テストライン−
Anti−human IgG antibody(シグマ アルドリッチ社製、I1886)にPBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水D8662、シグマ アルドリッチ社製)を加え、10μg/mLに調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。なお、Anti−human IgG antibodyはアミノ基を有している。
−コントロールライン−
Human IgG(シグマ アルドリッチ社製、I2511−10MG)にPBSを加え、10μg/mLに調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。なお、Human IgGはアミノ基を有している。
−標識抗体−
金コロイド標識Anti−human IgG antibodyに標識抗体希釈液(20mM Tris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール、5質量%スクロース及び精製水)を加え、OD=2に調整し、標識抗体用試薬塗布液を得た。
<転写媒体の作製>
<<層形成>>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、バック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層形成−
次に、PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、剥離層塗布液を塗布し、25℃で30分間乾燥して、平均厚み30μmの剥離層を形成した。
−剥離層表面への親水化−
次に、酸素雰囲気下のプラズマ処理によって剥離層表面に酸化処理を施し、カルボキシル基を含む親水基を導入し、剥離層に試薬固定化層としての機能を付与し、転写媒体とした。
−カルボキシル基の活性化−
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド (WSC、株式会社同仁化学研究所製)をPBSで10mg/mLに調製し、浅型角バットに注いだ。次に、試薬固定化層表面のみがWSC水溶液に触れるように転写媒体を水溶液に浮かべた状態で、バットにふたをした後37℃で2時間静置した。その後試薬固定化層表面をPBSで洗浄した。
<第二抗体の固定化>
−テストライン(第1の第二抗体)−
テストライン用試薬塗布液を浅型角バッドに注ぎ、試薬固定化層表面のみがテストライン用試薬塗布液に触れるように転写媒体を水溶液に浮かべた状態で、バットにふたをした後37℃で2時間静置した。その後試薬固定化層表面をPBSで洗浄し、25℃で30分間真空乾燥して、試薬固定化層に試薬を固定させた。以上により、テストライン用熱転写媒体を得た。
−コントロールライン(第2の第二抗体)−
テストライン用試薬塗布液の代わりにコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、テストライン用熱転写媒体と同様にして、コントロールライン用熱転写媒体を得た。
なお、前記第1の第二抗体及び前記第2の第二抗体と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、FT−ATRにより確認している。
<検査装置の作製>
<<紙基板(基板+流路部材)の作製>>
幅40mm×長さ80mmにカットしたPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)の上部に、熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。この塗工物を2時間以上静置した後、接着剤層面に幅40mm×長さ35mmにカットした表1に示す各種流路部材を、接着剤層面の長手方向の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から33mmの位置に幅方向の長さをそろえて重ね150℃の温度で10秒間1kgf/cmの荷重をかけた。最後に長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるよう切断し、紙基板を得た。
なお、流路部材A〜Eの空隙率は、紙基板の坪量(g/m)、平均厚み(μm)、及び組成分比重から、下記の計算式1により求めた。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重〕}×100
前記流路部材の空隙率が、40%以上90%以下の範囲であると、前記流路部材は多孔質であるといえ、下記表1の結果から、流路部材A〜Eはすべて多孔質である。
<試薬の転写>
−テストライン及びコントロールライン−
紙基板と試薬用熱転写媒体の試薬が固定されている側とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、図1及び図2に示すように、流路部材の上流端から9mm離れた位置に、テストライン用熱転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した。更にテストライン用熱転写媒体から5mm離れた位置にコントロールライン用熱転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した。なお、パターンの形成にはドット密度300dpiのサーマルヘッド(TDK株式会社製)を用い、印字速度42mm/sec、印字エネルギー0.17mJ/dotの評価系システムを構築し、印字評価を行った。
−標識抗体保持パッド(第一抗体供給部40)−
上述した試薬塗布液の調製で作製した標識抗体用試薬塗布液を、幅4mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるよう塗布し、一晩減圧乾燥し、標識抗体保持パッド(第一抗体供給部40)を作製した。これを図1及び図2に示すように基板の上流端から17mm離れた位置に設置した。
−サンプル滴下パッド(滴下部80)−
幅4mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を、図1及び図2に示すように、標識抗体保持パッドの上面に18mm重なるように配置して貼り付け、サンプル滴下パッド(滴下部80)とした。
−吸収部材−
更に、図1及び図2に示すように吸収部材70(メルクミリポア社製、CFSP223000)を設けた。
以上により、実施例1のイムノクロマトアッセイ(標的検査装置10)A〜Eを得た。
〔1〕ラインの視認性評価
<<評価方法>>
1.検査対象液の調製
Human IgGに抗体希釈液(シグマ アルドリッチ社製、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水D8662)を加え、500μg/mLに調製し、検査対象液を得た。
2.反応
イムノクロマトアッセイA〜Eの上流端部に検査対象液を100μL滴下し、30分間経過したところで、イムノクロマトアッセイを目視にて観察した。このうち、テストライン及びコントロールラインの位置に明確に発色が認められ、発色濃度が全体に均一であり、ラインが途切れているところがないものを◎、ラインとして途切れているところはなく判定は可能であるが、発色濃度が場所によってやや不均一なものを○とし、かろうじて発色は確認でき、ライン状にはなっているが、ラインが一部途切れているところがあるものを△、発色が認められなかったもの、もしくはラインが下流側に流れているものなど、ライン状に発色していないものを×とした。なお、評価基準の例を表2に示す。表2の写真は、それぞれ試験後のテストラインの写真である。また、評価結果を表3に示す。
〔2〕ラインの濃度測定
〔1〕で使用した呈色後のイムノクロマトアッセイを測定用のハウジングケースに収め、クロマトリーダー(大塚電子株式会社製、DiaScan 10)を用いて測定し、ラインの光学濃度を求めた。光学濃度はより濃いほうが好ましく、イムノクロマトアッセイの場合、光学濃度が250以上は◎、250未満150以上は○、150未満50以上のものは△、50未満もしくはラインとして確認できず測定不能のものは×とする。また、ケミカルアッセイの場合、光学濃度が400以上は◎、400未満250以上は○、250未満100以上のものは△、100未満もしくはラインとして確認できず測定不能のものは×とする。評価結果を表4に示す。
〔実施例2〕
<試薬用熱転写媒体の作製>
<<固定化転写媒体溶液の調製>>
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
−剥離層塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21質量%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、剥離層塗布液を得た。
−試薬固定化層塗布液の調製−
アミノエチル化アクリルポリマー(ポリメントNK−380、株式会社日本触媒製)にトルエン/メチルイソブチルケトン(MIBK)(3/1、質量比)の混合溶媒を加え、10質量%になるよう希釈して試薬固定化層塗布液とした。
<転写媒体の作製>
<<層形成>>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、バック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層形成−
次に、PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、剥離層塗布液を塗布し、25℃で30分間乾燥して、平均厚み30μmの剥離層を形成した。
−試薬固定化層の形成−
更に、剥離層を形成した表面に試薬固定化層塗布液を塗布し、50℃で30分間乾燥して、平均厚み3μmの試薬固定化層を形成し、転写媒体とした。
−アミノ基の活性化−
グルタルアルデヒド水溶液(G5882、シグマ アルドリッチ社製)をPBSで1質量%に希釈し、浅型角バットに注いだ。次に、試薬固定化層表面のみがグルタルアルデヒド水溶液に触れるように転写媒体を水溶液に浮かべた状態で、バットにふたをした後37℃で2時間静置した。その後、試薬固定化層表面を精製水で洗浄した。
<第二抗体の固定化>
−テストライン(第1の第二抗体)−
テストライン用試薬塗布液を浅型角バッドに注ぎ、試薬固定化層表面のみがテストライン用試薬塗布液に触れるように転写媒体を水溶液に浮かべた状態で、バットにふたをした後37℃で2時間静置した。その後、試薬固定化層表面をPBSで洗浄した。続いて、スキムミルク(198−10605、和光純薬工業株式会社製)をPBSで3質量%に希釈した水溶液を浅型角バットに注ぎ、試薬固定化層表面のみが水溶液に触れるように転写媒体を水溶液に浮かべた状態で、バットにふたをした後37℃で2時間静置した。その後試薬固定化層表面をPBSで洗浄し25℃で30分間真空乾燥して、試薬固定化層に試薬を固定させた。以上により、テストライン用熱転写媒体を得た。
−コントロールライン(第2の第二抗体)−
テストライン用試薬塗布液の代わりにコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、テストライン用熱転写媒体と同様にして、コントロールライン用熱転写媒体を得た。
<検査装置の作製>
実施例2で作製したテストライン用熱転写媒体及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のイムノクロマトアッセイを作製し、評価した。
〔実施例3〕
<試薬用熱転写媒体の作製>
<<固定化転写媒体溶液の調製>>
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
−剥離層塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21質量%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、剥離層塗布液を得た。
−試薬固定化層塗布液の調製−
アミノエチル化アクリルポリマー(ポリメントNK−380、株式会社日本触媒製)にトルエン/メチルイソブチルケトン(MIBK)(3/1、質量比)の混合溶媒を加え、10質量%になるよう希釈して試薬固定化層塗布液とした。
<<試薬塗布液の調製>>
−テストライン−
精製水で1mMに調製したEDTA(エチレンジアミン四酢酸:E0084、東京化成工業株式会社製)と0.1MのPBS(D1408、シグマ アルドリッチ社製)を1:1で混合し、EDTA−PBS溶液を調製した。次にAnti−human IgG antibodyにEDTA−PBS溶液を加えて2mg/mLに調製した。続いて前述の調製液1mLに2−MEA・HCl(2−メルカプトエチルアミン塩酸塩:21419−74、ナカライテスク株式会社製)を5mg加え、37℃で90分間インキュベートした。その後、EDTA−PBSで平衡にしたカラム(SephadexG−25、GE ヘルスケア社製)でゲルろ過して未反応の2−MEAを除去し、テストライン用試薬塗布液を得た。
−コントロールライン−
Human IgGについて、テストラインと同様の処理を実施し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
<転写媒体の作製>
<<層形成>>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、バック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層形成−
次に、PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、剥離層塗布液を塗布し、25℃で30分間乾燥して、平均厚み30μmの剥離層を形成した。
−試薬固定化層の形成−
更に、剥離層を形成した表面に試薬固定化層塗布液を塗布し、50℃で30分間乾燥して、平均厚み3μmの試薬固定化層を形成し、転写媒体とした。
−マレイミド基の挿入−
N−マレイミドカプロイロキシスクシイミド(EMCS、同仁化学研究所製)を、ジメチルスルホキシド/エタノール(2/8、質量比)混合溶媒に溶解して0.4mg/mLのEMCS溶液に調製し、浅型バットに注いだ。次に、試薬固定化層表面のみがEMCS溶液に触れるように転写媒体を溶液に浮かべた状態で、バットにふたをした後25℃で2時間静置した。その後、試薬固定化層をジメチルスルホキシド/エタノール(2/8、質量比)混合溶媒で洗浄した。
<第二抗体の固定化>
−テストライン(第1の第二抗体)−
テストライン用試薬塗布液を浅型角バッドに注ぎ、試薬固定化層表面のみがテストライン用試薬塗布液に触れるように転写媒体を水溶液に浮かべた状態で、バットにふたをした後25℃で2時間静置した。その後、試薬固定化層表面をPBSで洗浄し、25℃で30分間真空乾燥して、試薬固定化層に試薬を固定させた。以上により、テストライン用熱転写媒体を得た。
−コントロールライン(第2の第二抗体)−
テストライン用試薬塗布液の代わりにコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、テストライン用熱転写媒体と同様にして、コントロールライン用熱転写媒体を得た。
<検査装置の作製>
実施例3で作製したテストライン用熱転写媒体及びコントロールライン用熱転写媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3のイムノクロマトアッセイを作製し、評価した。
〔実施例4〕
実施例1において、テストライン用試薬塗布液に使用したAnti−human IgG antibodyを抗hCGモノクローナル抗体(Medix Biochemica社製、Anti−Alpha subunit 6601 SPR−5)に変更し、コントロールライン用試薬塗布液に使用したHuman IgG(シグマ アルドリッチ社製、I2511−10MG)をAnti−mouse IgG antibody(和光純薬工業株式会社製、566−70621)に変更し、標識抗体用試薬塗布液に使用した金コロイド標識Anti−Human IgG antibodyを、下記の方法により作製した金コロイド標識抗体に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製した。なお、抗hCGモノクローナル抗体、及びAnti−mouse IgG antibodyは、アミノ基を有している。
<標識抗体用試薬塗布液の作製>
金コロイド溶液(BBI社製、EMGC50)9mLに50mMに調製したKHPOバッファー(pH7.0)1mLを加えたのち、さらに50μg/mLに調製した抗hCGモノクロナール抗体(Medix Biochemica社製、Anti−hCG 5008 SP−5)を1mL加え、攪拌した。これを10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール水溶液(和光純薬工業社製、168−11285)を550μL加え攪拌した後、さらに、10質量%BSA水溶液(シグマ アルドリッチ社製、A−7906)を1.1mL加え攪拌した。
次に、この溶液を30分間遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。なお、遠心は遠心機(日立工機社製、himacCF16RN)を用い、遠心加速度8,000×g、4℃の条件にて行った。その後、金コロイド保存液(20mM Tris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール、150mMNaCl、1質量%BSA水溶液、0.1質量%NaN水溶液)20mLに分散し、再び上記と同様の条件にて遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、金コロイド標識抗体を得た。その後、上記で作製した金コロイド標識抗体を金コロイド塗布液及び精製水により希釈し、OD=10に調整し、標識抗体用試薬塗布液を得た。
〔1〕ラインの視認性評価
<評価方法>
1.検査対象液の調製
hCG(アールアンドディーシステムス社製、リコンビナントhCG、7727−CG−010)に抗体希釈液(シグマ アルドリッチ社製、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水D8662)を加え、50mIU/mLに調製し、検査対象液を得た。
2.反応
イムノクロマトアッセイA〜Eの上流端部に検査液を100μL滴下し、30分間後、イムノクロマトアッセイを観察し、実施例1と同様に、評価した。評価結果を表3に示す。
〔2〕ラインの濃度測定
実施例1と同様に、ラインの光学濃度を求めた。評価結果を表4に示す。
〔比較例1〕
<試薬塗布液の調製>
−テストライン−
Anti−human IgG antibodyに抗体希釈液を加え、0.9mg/mLに調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
−コントロールライン−
Human IgGに抗体希釈液を加え、0.9mg/mLに調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
−標識抗体−
金コロイド標識Anti−human IgG antibodyに標識抗体希釈液を加え、OD=2に調製し、標識抗体用試薬塗布液を得た。
<検査装置の作製>
<<紙基板の作製>>
幅40mm×長さ35mmに切断したPETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)の上部に熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。この塗工物を2時間以上静置した後、接着剤層面にPETフィルムと同様の大きさに切断した表1に示す各種流路部材を重ね150℃の温度で10秒間1kgf/cm2の荷重をかけ、紙基板とした。
<<試薬の固定化>>
図8A及び図8Bに示すように、流路部材30の上流側端部からから9mm離れた位置にテストライン用試薬塗布液を、陽圧噴霧装置(BioDot社製、BioJet)を用いて幅0.7mmのライン状に塗布した(テストライン90a)。なお、図8Aは、比較例の標的検査装置の上面図である。図8Bは、図8Aの標的検査装置の長手方向に平行な断面図である。さらにテストライン90aから5mm離れた位置にコントロールライン用試薬塗布液を、陽圧噴霧装置を用いて幅0.7mmのライン状に塗布した(コントロールライン90b)。塗布後、20℃−20RH%の環境下で16時間乾燥した。
<<標識抗体保持パッド(第一抗体供給部)の作製>>
作製した標識抗体溶液を、幅40mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるよう塗布し、一晩減圧乾燥し、標識抗体保持パッド(第一抗体供給部)40を作製した。
<アッセイ(標的検査装置)の組み立て>
台紙フィルムとして幅40mm×長さ80mmに切断したPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み100μm)の長手方向の一端から33mm離れた位置に、流路部材の試薬塗布面とは反対側と台紙フィルム(PETフィルム)とが対向するように台紙フィルム(PETフィルム)に流路部材30を接着した。
次に、上記で作製した標識抗体保持パッドを幅40mm×長さ18mmに切断し、流路部材30の上面に、流路部材30の上流端が2mm重なるように配置して貼り付け、さらに幅40mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を標識抗体保持パッドの上面に18mm重なるように配置して貼り付け、サンプル滴下パッド(滴下部)80とした。
次に、幅40mm×長さ28mmの吸収パッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を流路部材30の上面に、流路部材30の下流端と16mm重なるように配置して貼り付け、吸収部材70を設けた。最後に長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるよう切断し、比較例1のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)A〜Eを得た。
作製したイムノクロマトアッセイA〜Eについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3及び表4に示す。
〔比較例2〕
比較例1において、テストライン用試薬塗布液に使用したAnti−human IgG antibodyを抗hCGモノクローナル抗体(Medix Biochemica社製、Anti−Alpha subunit 6601 SPR−5)に、コントロールライン用試薬塗布液に使用したHuman IgG(シグマ アルドリッチ社製、I2511−10MG)をAnti−mouse IgG antibody(和光純薬工業株式会社製、566−70621)に、標識抗体用試薬塗布液に使用した金コロイド標識Anti−Human IgG antibodyを、実施例4において作製した金コロイド標識抗体に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)A〜Eを作製した。
作製したイムノクロマトアッセイA〜Eについて実施例4と同様の評価を行った。評価結果を表3及び表4に示す。
実施例1〜4について、視認性の評価では、流路部材A〜Eは、いずれのイムノクロマトアッセイにおいても発色濃度が全体に均一で視認性の高いラインを確認できた。また、光学濃度の評価では、流路部材A〜Eは、いずれのイムノクロマトアッセイにおいても濃度の濃いラインを確認できた。
一方、比較例1及び2について、視認性の評価では、流路部材Aにおいてはラインとして途切れているところのない発色を確認できたが、流路部材B及びCにおいては、ライン付近のにじみが酷くかろうじて発色を確認できる程度であった。更に、流路部材D及びEについては流路部材全体への非特異吸着が酷く、ラインも確認できなかった。また、光学濃度の評価では、流路部材Aにおいては読み値で200を超える濃度が確認できたものの、流路部材B及びCではライン中の標識粒子が紙内で拡散しているために発色がぼやけ濃度が薄くなり、更に流路部材D及びEではライン形状が確認できないほどぼやけた発色になっており測定不能であった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
標識と、前記検査対象液中に標的物質が含まれているときに前記標的物質と結合可能な第一抗体とを有する標識抗体を、前記流路部材を流れる前記検査対象液に供給する第一抗体供給部と、
樹脂の成形体であり、前記成形体が、前記流路の前記第一抗体供給部よりも下流側において前記流路部材上に接触して配設され、かつ、前記流路部材に接触する面において、前記第一抗体、及び前記標的物質の少なくともいずれかと結合可能な第二抗体が、前記成形体と共有結合により固定されている第二抗体固定部と、
を有することを特徴とする標的検査装置である。
<2> 前記共有結合が、アミド結合、イミン結合、及びチオエーテル結合から選択される少なくとも一種である前記<1>に記載の標的検査装置である。
<3> 前記成形体と前記第二抗体とが、各々と結合性を有する官能基を有している前記<2>に記載の標的検査装置である。
<4> 前記成形体の官能基が、カルボキシル基、及びアミノ基のいずれかである前記<3>に記載の標的検査装置である。
<5> 前記第二抗体の官能基が、末端に含まれるアミノ基、及びカルボキシル基、並びに、側鎖に含まれるアミノ基、カルボキシル基、及びチオール基のいずれかである前記<3>から<4>のいずれかに記載の標的検査装置である。
<6> 前記成形体が、非孔質体である前記<1>から<5>のいずれかに記載の標的検査装置である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の標的検査装置を製造するための標的検査装置製造用の転写媒体であって、
支持体と、
前記支持体上に設けられた剥離層と、
前記剥離層上に設けられた試薬固定化層と、を有しており、
前記試薬固定化層の表面に、前記標的物質と反応する試薬が固定されていることを特徴とする標的検査装置製造用の転写媒体である。
<8> 前記<7>に記載の標的検査装置製造用の転写媒体の前記試薬固定化層と、前記流路部材とを接触させて、前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程を含むことを特徴とする検査装置の製造方法である。
<9> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の標的検査装置と、検体を採取するための検体採取手段とを有することを特徴とする標的検査キットである。
<10> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の標的検査装置の前記流路部材に、検体を供給する検体供給工程と、
前記検体の一部を前記成形体に固定されている前記第二抗体により捕捉させる工程と、
を含むことを特徴とする標的検査方法である。
10 標的検査装置
12 検査対象液
14 標的物質
16 第一抗体(試薬の一例)
17 第1の第二抗体(試薬の一例)
18 第2の第二抗体(試薬の一例)
20 基材
30 流路部材
40 第一抗体供給部
50a 第1の第二抗体固定部
50b 第2の第二抗体固定部
100 転写媒体(転写媒体の一例)
101 支持体
102 剥離層
103 試薬固定化層
104 バック層
200 標的検査キット
201 滅菌綿棒
202 希釈液
特開2010−256309号公報

Claims (10)

  1. 検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
    標識と、前記検査対象液中に標的物質が含まれているときに前記標的物質と結合可能な第一抗体とを有する標識抗体を、前記流路部材を流れる前記検査対象液に供給する第一抗体供給部と、
    樹脂の成形体であり、前記成形体が、前記流路の前記第一抗体供給部よりも下流側において前記流路部材上に接触して配設され、かつ、前記流路部材に接触する面において、前記第一抗体、及び前記標的物質の少なくともいずれかと結合可能な第二抗体が、前記成形体と共有結合により固定されている第二抗体固定部と、
    を有することを特徴とする標的検査装置。
  2. 前記共有結合が、アミド結合、イミン結合、及びチオエーテル結合から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の標的検査装置。
  3. 前記成形体と前記第二抗体とが、各々と結合性を有する官能基を有している請求項2に記載の標的検査装置。
  4. 前記成形体の官能基が、カルボキシル基、及びアミノ基のいずれかである請求項3に記載の標的検査装置。
  5. 前記第二抗体の官能基が、末端に含まれるアミノ基、及びカルボキシル基、並びに、側鎖に含まれるアミノ基、カルボキシル基、及びチオール基のいずれかである請求項3から4のいずれかに記載の標的検査装置。
  6. 前記成形体が、非孔質体である請求項1から5のいずれかに記載の標的検査装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の標的検査装置を製造するための標的検査装置製造用の転写媒体であって、
    支持体と、
    前記支持体上に設けられた剥離層と、
    前記剥離層上に設けられた試薬固定化層と、を有しており、
    前記試薬固定化層の表面に、前記標的物質と反応する試薬が固定されていることを特徴とする標的検査装置製造用の転写媒体。
  8. 請求項7に記載の標的検査装置製造用の転写媒体の前記試薬固定化層と、前記流路部材とを接触させて、前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程を含むことを特徴とする検査装置の製造方法。
  9. 請求項1から6のいずれかに記載の標的検査装置と、検体を採取するための検体採取手段とを有することを特徴とする標的検査キット。
  10. 請求項1から6のいずれかに記載の標的検査装置の前記流路部材に、検体を供給する検体供給工程と、
    前記検体の一部を前記成形体に固定されている前記第二抗体により捕捉させる工程と、
    を含むことを特徴とする標的検査方法。
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