JP2018025472A - 検査装置、検査キット、検査装置用転写媒体及び検査装置の製造方法 - Google Patents

検査装置、検査キット、検査装置用転写媒体及び検査装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度な発色が得られ、短時間で検査を行うことができる検査装置を提供することを目的とする。【解決手段】検体が流れる流路を有する多孔質の流路部材(12)と、前記流路部材上に前記流路部材と接して設けられた少なくとも1つの樹脂層(15)と、を有し、前記樹脂層は前記流路部材との接触面に前記検体と反応する試薬が固相化されており、前記接触面は水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする検査装置。【選択図】図1

Description

本発明は、検査装置、検査キット、検査装置用転写媒体及び検査装置の製造方法に関する。
免疫測定法は、抗原と抗体の反応を利用して抗原又は抗体を検出及び定量する方法として、例えば、血液、DNA、食品、飲料等の検体の検査などに広く利用されている。代表例として、ELISA(Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)法は、マイクロプレートと呼ばれる複数のウェルを有するプラスチック製の容器内に抗体や抗原を仕込み、専用の測定装置により反応物の吸光度などを読み取ることで定量的に分析する方法である。
このような方法では、抗体はウェル内のマイクロプレート表面に高密度に固相化され、バッチ方式で数時間かけて抗原抗体反応を行うことで高感度に分析することができ、一般の研究室や医療機関の臨床検査室などで利用されている。
最近では、POCT(Point of Care Testing;臨床現場即時診断)を目的とした測定方法が急速に普及している。代表例としてイムノクロマト法と呼ばれる、サンドイッチELISA法の原理とクロマトグラフィーの原理を組み合わせた測定方法を利用した検査装置が用いられている。
例えば特許文献1では、検体と反応する試薬及び親液性樹脂を含む組成物が配置されたイムノクロマトグラフィーアッセイ(検査装置)が提案されている。
しかしながら、試薬を有する親水性樹脂であっても、流路と対向する面(接触面などともいう)には局所的に疎水性の部位が存在し、前記疎水性の部位と検査液の間で排除効果が働いてしまう。このため、樹脂における流路と対向する面の全てに検査液が流れにくくなり、全面に検査液が流れる場合と比較して検査装置の感度の低下や検査時間の増加が生じ得る。
本発明は、高感度な発色が得られ、短時間で検査を行うことができる検査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の検査装置は、検体が流れる流路を有する多孔質の流路部材と、前記流路部材上に前記流路部材と接して設けられた少なくとも1つの樹脂層と、を有し、前記樹脂層は前記流路部材との接触面に前記検体と反応する試薬が固相化されており、前記接触面は水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする。
本発明によれば、高感度な発色が得られ、短時間で検査を行うことができる検査装置を提供することができる。
本発明の検査装置の一例を示す上面図である。 図1の検査装置のA−Aでの断面図である。 流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の一例を示す断面図である。 流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す断面図である。 流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す断面図である。 流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す断面図である。 流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す断面図である。 従来の検査装置におけるコンジュゲートパットの概念図である。 従来の検査装置におけるメンブレンの概念図である。 検査装置用転写媒体の一例を示す概略断面図である。 検査装置用転写媒体の他の一例を示す概略断面図である。 本発明の検査キットの一例を示す概略図である。 実施例で得られた検査装置の一例を示す上面図である。 図10AのB−Bでの断面図である。
以下、本発明に係る検査装置、検査キット、検査装置用転写媒体及び検査装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
(検査装置)
本発明の検査装置は、検体が流れる流路を有する多孔質の流路部材と、前記流路部材上に前記流路部材と接して設けられた少なくとも1つの樹脂層と、を有し、前記樹脂層は前記流路部材との接触面に前記検体と反応する試薬が固相化されており、前記接触面は水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする。
さらには、検体が流れる流路を有する多孔質の流路部材と、前記流路部材上に前記流路部材と接して設けられた第1の樹脂層と、前記流路部材上に前記流路部材と接し、かつ前記第1の樹脂層と離間して設けられた第2の樹脂層と、を有し、前記第1及び第2の樹脂層が前記流路部材との接触面において、前記第1の樹脂層に捕捉抗体が固相化されており、前記第2の樹脂層に標識抗体が固相化されており、前記第1の樹脂層の前記流路部材との接触面は水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする。
図面を参照して、本発明の検査装置の一実施形態について説明する。図1から図5は、検査装置の全体構成を示す図面である。図1は、本発明の検査装置の一例を示す上面図である。図2は、図1の検査装置のA−A断面図である。図3は、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の一例を示す断面図である。図4及び図5は、流路部材及び樹脂層の対向部における検査装置の他の一例を示す断面図である。
図1、図2では、基材11上に流路部材12が設けられており、流路部材12上に樹脂層(15a,15b,15c)が設けられている。また、基材11及び流路部材12上に、吸収部材14が設けられている。以下、基材11及び流路部材12上に、吸収部材14が設けられている場合について説明するが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
本実施形態において、流路部材12上に設けるとは、検査装置10を配置したときの向きとは関係なく、流路部材12に接して設けることを意味している。また、樹脂層(15a,15b,15c)のうち、任意の樹脂層を示す場合には、樹脂層15と表す。
図1から図5に示すように、検査装置10は、血液、髄液、尿、又は検体抽出液(例えば、スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の検査液30(検体の一例)を流すための流路が形成された多孔質の流路部材12と、流路部材12上に設けられた樹脂層(15a,15b,15c)とを有している。
樹脂層(15a,15b,15c)における流路部材12に対向する面(接触面)には、検査液30に含まれる抗原と反応する標識抗体16、抗原を捕捉する捕捉抗体17、及び標識抗体を捕捉する捕捉抗体(又は抗原)18がそれぞれ固相化されている。これにより、樹脂層(15a,15b,15c)毎に、樹脂層(15a,15b,15c)と試薬との相互作用の強さを調整できるので、流路部材12を目的に応じて任意に選択した場合でも、標識抗体16の放出や捕捉抗体17、18の固定化を制御しやすくなる。
本実施形態において、樹脂層15b、15cを第1の樹脂層と称することがあり、樹脂層15aを第2の樹脂層と称することがある。本実施形態の検査装置においては、流路部材12上に設けられた第1の樹脂層における流路部材12に対向する面に捕捉抗体を固相化している。なお、捕捉抗体は、共有結合、水素結合、金属結合等の任意の化学結合、付着、凝着、吸着、ファンデルワールス結合等の任意の相互作用により固相化されていればよい。
前記第1の樹脂層における流路部材12に対向する面に捕捉抗体を固相化することで、検体を樹脂層側で検出することが可能となる。これにより、検出部は従来のELISA(Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)法のように捕捉抗体が高密度に固相化された樹脂層で高感度に検出できる。一方、検査液は従来のイムノクロマト法と同様に、流路(流路部材)内を、毛細管現象を駆動力にして展開して反応が進むため、迅速かつ高感度な測定ができるとともに、鮮明な判定ラインが得られる。
本実施形態では、捕捉抗体(17,18)が固相化された樹脂層15b、15c(第1の樹脂層)における流路部材12との接触面は、親水化処理によって水に対する接触角が60度以下となっており、親水性を有するものとなっている。このため、検査液30となじみやすくなっている。検査液30となじみやすくなることにより、捕捉抗体(17,18)と標識抗体16の反応率が上がり、発色強度を向上させることがき、さらに検査時間を短縮することができる。また、流路部材12に検査液30を流した際、樹脂層(15b,15c)における流路部材12に対向する全面に検査液30が流れるため、樹脂層(15b,15c)の透明性が上がり、樹脂層(15b,15c)の発色が濃くなる。
なお、樹脂層(15b,15c)の接触面が親水化処理されていることにより、テストライン及びコントロールラインである樹脂層の空隙に水が流れやすくなる。これにより樹脂と樹脂に接触している空気の屈折率が異なるために乱反射して不透明になっていたラインが、屈折率の近い水と樹脂が接触するようになったことで目に入ってくる光は透過できラインは透明化する。このため、樹脂層(15b,15c)の透明性を向上させることができる。
また、前記接触面が親水化処理により水に対する接触角が60度以下となっている場合、接触面が疎水性である場合に比べて、親水性の検査液30が流路部材12と樹脂層15の接触面を流れやすくなり、流路部材12が透明に近づくことがある。これをフィルムの透明化などとも称される。流路部材12や検査液30の種類によっても異なるが、フィルムが透明化すると、判定ラインの発色がより鮮明になり、より識別しやすくなる。
水に対する接触角が60度よりも大きい場合、流路部材12に検査液30を流した際、樹脂層(15b,15c)における流路部材12に対向する面(接触面)に局所的にある疎水性の部位と標識抗体16の間で排除効果が働き、樹脂層(15b,15c)に固相化された捕捉抗体(17,18)と標識抗体16との反応効率が下がってしまう。このため、検査時間が長くなる。さらに、樹脂層(15b,15c)の発色も悪くなる。
また、水に対する接触角が60度よりも大きい場合、流路部材12に検査液30を流した際、樹脂層(15b,15c)における流路部材12に対向する面に局所的にある疎水性の部位により、樹脂層(15b,15c)の光散乱が起こり、樹脂層(15b,15c)の透明性が悪くなるため、発色が悪くなる。
本実施形態において接触角とは、固液界面・水平線と液滴端での接線、この2つの線がなす角のことを意味する。本実施形態においては、樹脂層15における流路部材12に対向する界面に純水を4μL滴下した際の接触角を測定する。なお、詳細は後述するが、転写媒体によって流路部材12に樹脂層15を形成する場合、転写媒体における流路部材12に転写される面を測定する。
水に対する接触角が60度以下であることにより、樹脂層は親水性を有することとなる。本実施形態において親水性とは水となじみやすい性質のことを意味する。
また、上記水に対する接触角は45度以下であることが好ましい。この場合、ラインの感度をより向上させることができ、検査時間をより短縮させることができる。
流路部材12との接触面が、水に対する接触角が60度以下となる樹脂層は、少なくとも本実施形態における樹脂層15b(テストライン)が上記条件を満たしていればよく、樹脂層15bとともに樹脂層15c(コントロールライン)を設けた場合、樹脂層15cも上記条件を満たしていることが好ましい。従って、第1の樹脂層が上記条件を満たす場合とは、少なくとも樹脂層15bが上記条件を満たすことをいい、必要に応じて樹脂層15cが上記条件を満たす。なお、本実施形態では第1の樹脂層が樹脂層15b及び樹脂層15cである例となっているが、これに限られるものではなく、第1の樹脂層として樹脂層15bだけであっても構わない。
以下、検査液30が、血液、髄液、尿、又は検体抽出液(例えば、スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の検査液である場合について説明を続ける。
図3に示したように、検査装置10において、樹脂層15a(第2の樹脂層)は親水基152を多く有する両親媒性樹脂151を含有しており、好ましくは主成分(含有量が50質量%以上)として構成されている。
ここで、前記親水基とは、水分子と水素結合などによる弱い結合を作る原子団であり、水との間に親和性があること意味する。前記両親媒性とは、水及び有機溶媒の両方に親和性があることを意味する。
標識抗体16は、親水性の部位16gを有しており、これにより樹脂層15aにおける流路部材12に対向する面に固相化される。一方、流路部材12及び樹脂層15aの対向部に形成される隙間に検査液30が充填されたときには、標識抗体16の親水性の部位16gと親水性の検査液30とが親和して、両親媒性樹脂151から、標識抗体16が放出される。
また、検査液に抗原31が含まれている場合には、抗原抗体反応により、放出された標識抗体16と抗原31とが反応して結合する。なお、前記抗原と前記抗体の結合の阻害を防ぐために、両親媒性樹脂151は、水不溶性樹脂であることが好ましい。
ここで、前記水不溶性とは、実質的に水に不溶であることを指す。前記実質的に水に不溶であるとは、25℃で24時間、大量の水中に浸漬した後、真空乾燥等の方法によって十分に乾燥した際の、樹脂の質量変化量が1質量%以下であることを意味する。このことは、樹脂生成物中に含まれる副生成物(モノマー成分など)が水中に溶け出して質量が減少するためである。
図4A及び図4Bに示したように、検査装置10において、樹脂層15b(第1の樹脂層)は疎水基153を有する樹脂であることが好ましい。具体的には、樹脂層15bは、疎水性樹脂155又は疎水基153を多く有する両親媒性樹脂154を含有しており、前記疎水性樹脂155又は両親媒性樹脂154を主成分(含有量が50質量%以上)として構成されていることが好ましい。
ここで、前記疎水基とは、水となじみにくい原子団のことであり、水に対する親和性が低く、水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくいことを意味する。
捕捉抗体17は、疎水性の部位17gを有しており、前記疎水性の部位17gが分子間力により結合することにより、捕捉抗体17は樹脂層15bにおける流路部材12に対向する面に固相化される。さらに捕捉抗体17が固相化された樹脂層における流路部材12に対向する面は、親水化処理によって親水性を有するものとなっている。流路部材12及び樹脂層15bの対向部に形成される隙間に検査液30が充填されたときに、捕捉抗体17は、標識抗体16に結合した状態の抗原31を捕捉する。
これにより、抗原31及び標識抗体16が固定化されて発色するので、樹脂層15bを、抗原31の有無を判定するためのライン(テストライン)として用いることができる。なお、ラインの滲みを防ぐために、疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154は、それぞれ水不溶性樹脂であることが好ましい。
図5A及び図5Bに示したように、検査装置10において、樹脂層15c(第1の樹脂層)は疎水性樹脂155又は疎水基153を多く有する両親媒性樹脂154を含有しており、疎水性樹脂155又は両親媒性樹脂154を主成分(含有量が50質量%以上)として構成されていることが好ましい。
樹脂層15cにおける流路部材12に対向する面には、捕捉抗体18の疎水性の部位が分子間力により結合することにより、捕捉抗体18が固相化されている。捕捉抗体18としては、標識抗体16を捕捉するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、標識抗体16と特異的に結合する抗体などが挙げられる。これにより、標識抗体16が固定化されて発色するので、樹脂層15cを、標識抗体16が到達したことを示すコントロールラインとして用いることができる。なお、コントロールラインの滲みを防ぐために、疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154は、それぞれ水不溶性樹脂であることが好ましい。
さらに捕捉抗体(17,18)が固相化された樹脂層における流路部材12に対向する面は、親水化処理によって親水性を有するものとなっている。このため、検査液30となじみやすくなっている。
前記樹脂層は、非孔質体を使用することが好ましい。前記非孔質体とは実質的に空隙を含まない非孔質の構造体であり、メンブレン等の液体の吸収を促進するために設けられた空隙を含む多孔質材料とは相反する構造体を指す。前記非孔質体としては、例えば、製造工程に偶発的に含まれてしまった気泡であって液体の吸収作用の促進に寄与しないような気泡を僅かに含むものについては前記非孔質体の範疇に含まれる。
次に、前記樹脂層が非孔質体であることによる特徴について説明する。
従来のテストライン及びコントロールラインの形成は、親水性の多孔質材料からなる流路部材に、捕捉抗体が溶解した液を直接塗布することにより行われていた。したがって、前記捕捉抗体は液体の浸透に伴い前記多孔質材料の内部に拡散する。しかし、前記多孔質材料の内部に存在する前記捕捉抗体と結合する金コロイド粒子等の標識用粒子の発色は、光の散乱が起こるために実際には検知することはできない。つまり、前記捕捉抗体の殆どが有効に利用されていないことになる。
一般的に、多孔質材料で検知できる発色粒子は表面から5μm程度の深さまでとされる。前記5μmの深さの領域に、検査に必要となる捕捉抗体を固定させるには、厚み方向への拡散を考慮して多量の捕捉抗体を塗布しなければならない。即ち、前記捕捉抗体の塗布量は、多孔質材料の厚みに比例して増加することになる。
本実施形態においては、前記捕捉抗体の固定化には疎水基を多く含む非孔質体からなる前記樹脂層を使用することが好ましく、この場合、前記捕捉抗体は前記樹脂層の内部に入り込むことがなく、前記樹脂層の表面にのみ固定化される。
また、厚み方向に余分な発色粒子が存在しないので、前記捕捉抗体の塗布量が極めて少なくてよいというメリットが生じる。例えば、親水性多孔質材料からなる流路部材の厚みを100μmとした場合、表面から5μm部分の厚みの発色しか利用できていないと仮定すると、同じ発色強度を得るのに使用する捕捉抗体の塗布量を、1/20に減らすことができる。
上述のように、捕捉抗体(17,18)が固相化された樹脂層における流路部材12に対向する面に残る疎水性の部位を親水化処理し、検査液30となじみやすくすることで、ラインの発色を上げるとともに、検査時間の短縮を可能にしている。
このように、前記捕捉抗体の固定化に疎水基を多く含む非孔質体からなる樹脂層を使用する場合であっても、標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができ、厚み方向に余分な発色粒子が存在することがないので、捕捉抗体の塗布量を従来よりも低減させることができる。さらに前記樹脂層と検査液30となじみが良いため、感度向上と検査時間の短縮ができる。
本実施形態では、検査液30に含まれる抗原31の有無を検査するための検査装置10について説明するが、本発明の検査装置は、抗原抗体反応を用いたものに限定されない。例えば、前記検査装置は、試薬として、構造変化により色相が変化する試薬を用いることで、検査液30に含まれる特定の成分を検査するものであってもよい。
以下、検査装置10を構成する各部材について詳細に説明する。
<基材>
基材11としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができ、例えば、有機、無機、又は金属製のものが挙げられる。
基材11は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも1面が疎水性樹脂で覆われていることが好ましい。
検査装置10をセンサチップに使用する場合には、軽量で柔軟性があり、かつ安価である合成樹脂を基材11として用いることが好ましい。
本実施形態によると、プラスチックシート等の耐久性が高い基材11を選択することができるので、結果として検査装置10の耐久性も向上する。
基材11の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポリフェニルエーテル、ポリブチレンフタレート、ABS樹脂などが挙げられる。これらの中でも、低価格で汎用性が高い点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材11の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
基材11の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.5mm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.01mm以上であると、基材11としての強度が良好であり、0.5mm以下であると、基材のフレキシブル性が良好であり、センサとして好適に用いることができる。
ここで、前記平均厚みとは、例えば、測定対象物の厚みを長手方向に5箇所、幅方向に3箇所、測定箇所がほぼ均等の間隔となるように合計15箇所をマイクロメーター(MDH−25M、株式会社ミツトヨ製)で測定したときの厚みの平均値とすることができる。また、本実施形態において、前記厚みとは、基材11と流路部材12との接触面に対して垂直方向の対象物の長さとすることができる。
<流路部材>
検査装置10の流路部材12としては、検査液30を流すことが可能な部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、親水性多孔質材料などが挙げられる。前記親水性多孔質材料によって構成される流路部材12は、空隙(12a,12b)を有しており、検査液30が空隙(12a,12b)内を流れることによって流路が形成される。
図3から図5において、空隙12aは、各断面に形成された空隙であり、空隙12bは、断面の奥側の空隙である。親水性多孔質材料の内部には、気泡が存在し、気泡同士が繋がって連続気泡となっていることが好ましい。
前記連続気泡とは、気泡同士が繋がっていない独立気泡とは区別されるものである。前記連続気泡においては、気泡同士の壁に小さな孔が開いているため、毛細管現象によって液体を吸い込んだり気体を通過させたりする機能を有する。流路部材12は、空隙(12a,12b)において、毛細管現象を利用して検査液30を移送するので、ポンプ等の外部駆動装置が不要である。
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、親水性を示し空隙率が高い材料が好適に用いられる。
前記親水性多孔質材料とは、水溶液が容易に浸透可能な多孔質材料を意味する。前記容易に浸透可能とは、120℃で1時間乾燥した板状試験片の表面に純水0.01mLを滴下する水浸透性の評価試験で、純水0.01mLが10分間以内にすべて浸透することをいう。
前記親水性多孔質材料の空隙率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40%以上90%以下が好ましく、65%以上80%以下がより好ましい。前記空隙率が90%以下であると、基材の強度が良好である。また、前記空隙率が40%以上であると、検査液の浸透性が良好となる。
ここで、前記空隙率は、例えば、親水性多孔質材料の坪量(g/m)、厚み(μm)、組成分比重から、下記の計算式1により求めることができる。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/厚み(μm)/組成分比重〕}×100
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メンブレン等のろ紙、普通紙、上質紙、水彩紙、ケント紙、合成紙、合成樹脂フィルム、コート層を有する専用紙、布地、繊維製品、フィルム、無機基板、ガラスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メンブレン等のろ紙、布地が好ましく、高い空隙率及び良好な親水性の点から、メンブレン等のろ紙がより好ましい。
前記布地としては、例えば、レーヨン、ベンベルグ、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ビニロン等の人造繊維、綿、絹等の天然繊維、又はこれらの混紡繊維、あるいはこれらの不織布などが挙げられる。
前記親水性多孔質材料の形状については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
前記親水性多孔質材料の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.3mm以下が好ましい。前記平均厚みが0.01mm以上であると、基材の強度が良好である。また、前記平均厚みが0.3mm以下であると、検査液の必要量の適正化が図れる。
<樹脂層>
次に、流路部材12上に設けられた樹脂層(15a,15b,15c)について説明する。樹脂層15の機能について、図6及び図7に示される従来の検査装置と対比しながら説明する。
図6は、従来の検査装置におけるコンジュゲートパットの概念図である。図7は、従来の検査装置におけるメンブレンの概念図である。
従来の検査装置において、コンジュゲートパッドの親水性が高すぎると、コンジュゲートパッドに検査液が残り易くなり、メンブレンへ移行しにくくなっていた。逆にコンジュゲートパットの疎水性が高すぎると、メンブレンへの検査液の移行は早くなるが、サンプルパッドからの検査液の吸水性が落ちることで、検査時間が長くなったり、多量の検査液を要するようになっていた。
このため、コンジュゲートパットとして使用可能な繊維F1は限定されていた。更に、従来の検査装置において、標識抗体16は、コンジュゲートパットを構成する繊維F1に固相化されていた(図6参照)。コンジュゲートパットから放出させることが可能な標識抗体16としては、繊維F1との結合力が弱いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置は、設計上、使用可能な繊維F1や標識抗体16が限られたものになる。
また同様に、従来の検査装置において、捕捉抗体17は、メンブレンを構成する繊維F2に固相化されていた(図7参照)。このため、メンブレンに固定化させることが可能な捕捉抗体17は、繊維F2との結合力が強いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置は、設計上、使用可能な繊維F2や捕捉抗体17が限られたものになる。
本実施形態の検査装置10においては、樹脂層15(15a,15b,15c)に、標識抗体16、捕捉抗体17、捕捉抗体18などの試薬を固相化させている。このため、樹脂層15と、捕捉抗体との相互作用の強さや、検査液30との親和性に応じて、標識抗体の放出、又は捕捉抗体の固定化を制御することができる。
樹脂層15と捕捉抗体との相互作用の強さや、検査液30との親和性を調整する方法としては、例えば、樹脂層15を構成する樹脂の種類や樹脂の組成比を対応する捕捉抗体に応じて変更する方法などが挙げられる。例えば、樹脂層15を構成する樹脂において疎水性の割合が多いほど、樹脂層15は、疎水基を有する捕捉抗体を疎水性相互作用により固定化しやすくなる。
ここで、前記疎水性相互作用とは、水中で水になじめない疎水性分子や疎水基が集合する変化の原因(駆動力)を指す。詳細には、疎水性分子や疎水基を有する分子を水中に入れると、多くの場合、単に溶けないというだけではなく、疎水性分子や疎水基が互いに接した状態をとり、水分子との接触面積をできるだけ減らそうとする。その結果、疎水性分子種は互いに寄り集まるようになり、分子間に結合力が作用しているようにみえる現象のことを言う。
樹脂層15を構成する樹脂において親水性の割合が多いと、樹脂層15と、親水性の捕捉抗体との相互作用は強くなるが、結合部が親水性の検査液30と接触したときに、試薬は検査液30と親和して検査液30中に放出されやすくなると推定している。
樹脂層15を構成する樹脂は、水不溶性樹脂であることが好ましい。前記樹脂層に水不溶性樹脂を用いると、樹脂が検査液30に溶解して、流路を詰まらせたり、コントロールライン又はテストラインが滲むことを防ぐことができる。
また、樹脂層15は水に対する接触角が90度以上の疎水性樹脂であることが好ましい。このとき、樹脂層15のうち少なくとも樹脂層15bが水に対する接触角が90度以上の疎水性樹脂であることが好ましく、樹脂層15cも前記疎水性樹脂となっていることがより好ましい。
樹脂層15aを構成する両親媒性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。
前記共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
樹脂層15b及び樹脂層15cを構成する疎水性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂又は環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、プロピオネート樹脂等の繊維素系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層15b及び樹脂層15cを構成する疎水性樹脂以外の化合物としては、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層15b、及び樹脂層15cを構成する化合物の中でも、疎水性相互作用が強い点から、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
各樹脂層(15a,15b,15c)を構成する樹脂としては、それぞれ同種の樹脂を用いることも可能である。この場合、樹脂層15aを構成する樹脂を、樹脂層(15b,15c)を構成する樹脂よりも、親水性の高いものとすることが好ましい。なお、同種の樹脂を用いる場合には、親水性を測定するまでもなく、親水基の割合が高ければ、より親水性が高いと言うことができる。
樹脂層15aに固相化させる標識抗体16としては、親水性の部位を有しており、抗原31と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金コロイド標識Anti−human IgG等の金コロイド標識抗体、各種アレルゲンに対する標識抗体、その他の抗体を標識する粒子などが挙げられる。
前記その他の抗体を標識する粒子としては、金コロイド以外にも特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金コロイド以外の金属コロイド、酵素を含有する酵素標識粒子、色素を含有する着色粒子、蛍光物質を含有する蛍光粒子、磁性体を含有する磁性体内包粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、及び(Fab)抗体のいずれの形態であってもよい。
樹脂層15bに固相化させる捕捉抗体17としては、疎水性の部位を有しており、抗原31と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Anti−human IgG等の抗体、各種アレルゲンに対する抗体などが挙げられる。
前記抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、及び(Fab)抗体のいずれの形態であってもよい。
樹脂層15cに固相化させる捕捉抗体18としては、疎水基を有しており、標識抗体16と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Human IgG等に対する抗体、又は上記で挙げた抗体などが挙げられる。
標識抗体16、捕捉抗体(17,18)等の試薬を、樹脂層15に固相化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、捕捉抗体等の試薬を含む溶液を樹脂層15に塗布した後、急速乾燥してドライアップする方法、試薬を含む溶液を樹脂層15に塗布した後、塗布液が乾燥しないよう多湿環境下で静置(インキュベート)した後、蒸留水等で無機塩等の抗体以外の成分を洗浄後、乾燥する方法などが挙げられる。
前記捕捉抗体等の試薬を塗布液として取り扱う場合には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は、バッファーと呼ばれる緩衝液(緩衝剤)で希釈することが好ましい。
前記緩衝液としては、前記捕捉抗体の抗原抗体反応を阻害しないバッファーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的に抗体の希釈に用いられる緩衝液などが挙げられる。前記緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)−HCl、グッドバッファーなどが挙げられる。これらの中でも、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、グッドバッファーが好ましい。
前記リン酸緩衝生理食塩水(PBS)としては、pH4〜10が好ましく、pH6〜8がより好ましい。前記PBSの組成は、特に制限はなく、様々なものが存在する。前記PBSの組成の一例としては、NaClが8.0g/L、KClが0.2g/L、NaHPOが1.44g/L、KHPOが0.24g/Lがあるが、カリウムを含まない組成や、カルシウムやマグネシウムを含む組成もある。
前記グッドバッファーとしては、例えば、2−(N−モノホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−2−スルホン酸(HEPES)などが挙げられる。
本実施形態において、樹脂層15は流路部材12上に固定されていることが好ましい。
樹脂層15を流路部材12上に固定する方法としては、検査時に試薬と検査液30とが接触可能となるような状態で固定化する方法であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱転写プリンタ等を用いて樹脂層を構成する樹脂を流路部材12上に熱転写する方法、ドットインパクトプリンタ等を用いて樹脂層を構成する樹脂に圧力を加えて転写する方法、樹脂層を構成する樹脂をテープや接着剤、粘着剤等で流路部材12上に貼り付ける方法などが挙げられる。
<吸収部材>
吸収部材14にはテストラインやコントロールラインを通過した検査液が吸収される。
吸収部材14は、水を吸収する部材であれば特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択することができる。
吸収部材14としては、例えば、紙、布等の繊維、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物の部分架橋体などが挙げられる。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護部材、標識抗体保持パッド、サンプル滴下パッドなどが挙げられる。
前記保護部材は、流路部材に手が触れたときの汚染を防ぐ目的の部材である。
前記保護部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、検査装置の全体を覆うハウジングや、流路部材上に設けられるフィルムなどが挙げられる。
前記保護部材を設ける場合、流路部材12の滴下部の上部には開口が設けられていることが好ましい。また、前記保護部材には、流路内の圧力を開放するための開口が設けられていることが好ましい。
(検査装置用転写媒体)
上記のとおり、各種方法により流路部材12上に樹脂層15を設けることができるが、その一例として熱転写方式を用いる場合について説明する。以下、熱転写方式で用いられる検査装置用転写媒体及び検査装置の製造方法について説明する。
本発明における検査装置用転写媒体の第1の実施形態は、支持体と、前記支持体上に設けられた剥離層と、前記剥離層上に設けられた試薬固相化層と、を有し、前記試薬固相化層の表面は、検体と反応する試薬が固相化されているとともに、水に対する接触角が60度以下である。更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
本発明における検査装置用転写媒体の第2の実施形態では、支持体と、前記支持体上に設けられた剥離層兼試薬固相化層と、を有し、前記剥離層兼試薬固相化層の表面は、検体と反応する試薬が固相化されているとともに、水に対する接触角が60度以下である。更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
ここで、図面を参照して、流路部材上に、樹脂層を設けるときに用いられる検査装置用転写媒体について説明する。図8A及び図8Bは、本発明の検査装置用転写媒体の一例を示す概略断面図である。
熱転写方式を用いる場合、予め捕捉抗体を均等に付着させた転写媒体100を用いることができるので、テストライン又はコントロールラインにおける捕捉抗体(17,18)の濃度差が小さくなる。また、従来の方法により、捕捉抗体を塗布して配置した場合には、塗布可能な程度の粘度(例えば、インクジェットプリンタによって吐出可能な程度)になるまで捕捉抗体を溶媒で希釈する必要があるが、熱転写により捕捉抗体を配置する場合には、予め、高濃度の捕捉抗体を付着させた転写媒体を用いることで、高濃度の捕捉抗体を流路に配置できる。
図8Aに示すように、転写媒体100は、支持体101と、支持体101上に設けられた剥離層102と、剥離層102上に設けられた試薬固相化層103とを有しており、試薬固相化層103の表面には、試薬が固相化されている。また、転写媒体100は、更に必要に応じて、バック層104等のその他の層を有している。
図8Bの転写媒体110に示すように、剥離層102と試薬固相化層103とは剥離層兼試薬固相化層105として兼ねることも可能である。
<支持体>
支持体101としては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記支持体の大きさとしては、検査装置10の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
支持体101の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、セルロースアセテートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
支持体101の表面には、支持体101の上に設ける層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
支持体101は、試薬固相化層103を流路部材12に転写後、そのまま残しておいてもよく、また、試薬固相化層103を転写後、剥離層102で支持体101等を剥離し除去してもよい。剥離層兼試薬固相化層105を用いる場合は、剥離層兼試薬固相化層105は流路部材12に完全に転写されるか、又は剥離層兼試薬固相化層105のうち、抗体が固相化された表面を含む部分は転写されるが、支持体101側に一部剥離層兼試薬固相化層105が残ってもよい。
支持体101は、特に制限はなく、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
支持体101の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上50μm以下が好ましい。
<剥離層>
剥離層102は、転写の際に、支持体101と試薬固相化層103との剥離性を向上させる機能を有する。また、剥離層102は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で、試薬固相化層103の切断を容易にする機能を有する。
剥離層102は、ワックス及びバインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸ナトリウム共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離層102の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法などが挙げられる。
剥離層102の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。
剥離層102の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。
<第1及び第2の試薬固相化層>
便宜的に樹脂層15b,15cを形成するための試薬固相化層を第1の試薬固相化層と称し、樹脂層15aを形成するための試薬固相化層を第2の試薬固相化層と称する。第1及び第2の試薬固相化層のうち、任意の試薬固相化層を示す場合には、試薬固相化層103と表す。
試薬固相化層103は、検査装置10における樹脂層15を構成する樹脂を含んでいればよく、その材料に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
試薬固相化層103の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ホットメルト塗工法や、樹脂層15を構成する樹脂を溶剤に分散させた試薬塗布液を、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター等の一般的な塗布法により、試薬固相化層塗布液を支持体101上又は剥離層102上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
試薬固相化層103の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200nm以上50μm以下が好ましい。前記平均厚みが200nm以上であると、樹脂層の耐久性が向上し、摩擦や衝撃などによって樹脂層が破損することを防止できる。また、前記平均厚みが50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱を均一に伝えることができ、鮮明性が良好となる。
試薬固相化層103における試薬塗布液の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2g/m以上50g/m以下が好ましい。前記付着量が、0.2g/m以上であると、塗布量が適切であり、樹脂層に欠損が生じることがない。また、前記付着量が50g/m以下であると、乾燥時間が適切であり、樹脂層にムラが生じることがない。
<第1及び第2の剥離層兼試薬固相化層>
便宜的に樹脂層15b,15cを形成するための剥離層試薬固相化層を第1の剥離層試薬固相化層と称し、樹脂層15aを形成するための剥離層試薬固相化層を第2の剥離層試薬固相化層と称する。第1及び第2の剥離層兼試薬固相化層のうち、任意の剥離層兼試薬固相化層を示す場合には、剥離層兼試薬固相化層105と表す。
剥離層兼試薬固相化層105は剥離層と試薬固相化層の両方の機能を兼ね備えており、転写の際に支持体101と試薬固相化層103との剥離性を向上させ、かつ検査装置10における樹脂層15を構成する樹脂を含むことで、捕捉抗体17、又は捕捉抗体18などの試薬を固相化することが可能である。
剥離層兼試薬固相化層105は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると支持体101に接している側面が熱溶融して低粘度の液体となる(加熱部分)。一方、試薬が固相化された側面は固体状態か又はそれに近い状態となり(非加熱部分)、加熱部分と非加熱部分との界面近傍での切断を容易にする機能を有する。
剥離層兼試薬固相化層105は、ワックス、及びバインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離層102と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性と捕捉抗体の固定化能力(疎水性)に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離層102と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離層兼試薬固相化層105の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法、などが挙げられる。
剥離層兼試薬固相化層105の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.5μm以上であると、剥離層兼試薬固相化層105(樹脂層15)の耐久性が向上し、摩擦や衝撃などによって樹脂層が破損することを防止できる。また、前記平均厚みが50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱を均一に伝えることができ、鮮明性が良好となる。
剥離層兼試薬固相化層105の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。前記付着量が、0.5g/m以上であると、塗布量が適切であり剥離層兼試薬固相化層105(樹脂層15)に欠損が生じることがない。また、前記付着量が50g/m以下であると、乾燥時間が適切となり、剥離層兼試薬固相化層105にムラが生じることがない。
−試薬の固相化−
塗布液を乾燥して試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105が形成された後、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の表面に、標識抗体16、又は捕捉抗体(17,18)を含む溶液を塗布し、均一な塗膜を形成する。続いて、塗膜を乾燥させることにより、標識抗体16、又は捕捉抗体(17,18)を試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の表面に固相化させることができる。
−捕捉抗体の固相化−
前記捕捉抗体の固相化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、試薬固相化層103としての第1の試薬固相化層の表面、又は剥離層兼試薬固相化層105としての第1の剥離層試薬固相化層の表面に捕捉抗体による塗布液を塗布して水膜を形成し、自然乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などによりドライアップして固相化する方法(ドライアップ法)、あるいは塗布液が乾燥しないよう多湿環境下で静置した後、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105表面を蒸留水などで洗浄し、乾燥して固相化する方法(吸着後乾燥する方法)などが挙げられる。いずれも塗膜は均一な厚みとなるように塗布されていることが好ましい。
前記捕捉抗体を希釈するバッファーの濃度としては、特に制限はなく、一般的に抗体の希釈に用いられる緩衝液の組成で利用することできるが、10μg/mL以上5,000μg/mL以下が好ましく、100μg/mL以上1,000μg/mL以下がより好ましい。前記塗布濃度が10μg/mL以上であると、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105に単位面積(cm)当りに塗布する液量が適切であるため、前記バッファーに含まれる無機塩等の成分が減少し、抗体を十分に固相化できる。また、前記塗布濃度が5,000μg/mL以下であると、塗布液の濡れ性や粘度が適切であるため、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105への塗布が良好であり、塗布液量が適切であるため均一な水膜を形成することができる。
前記捕捉抗体をドライアップ法により固相化する場合の乾燥方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下乾燥させることが好ましい。
乾燥時の湿度としては、相対湿度で30%以下が好ましい。前記相対湿度が30%を超えると、乾燥が不足し抗体が十分に固相化できない恐れがある。
乾燥温度としては室温(20℃)〜50℃の下、乾燥時間としては30分間以上24時間以下乾燥させるのが好ましい。前記乾燥温度が20℃以上であると、乾燥時間が適切であり生産性が向上する。また、前記乾燥温度が50℃以下であると、試薬が熱により変性することがない。前記乾燥時間が30分間以上であると、乾燥を適切に行うことができ、24時間以下であると、生産性が向上し変色を防止できる。
捕捉抗体を吸着後乾燥する方法により固相化する場合の静置条件としては、温度が0℃以上40℃以下、相対湿度は30%以上が好ましい。前記温度が0℃以上であると、捕捉抗体の固相化を適切に行うことができる。また、前記温度が40℃以下であると、捕捉抗体が変性することがない。前記相対湿度が30%以上であると、静置している間の水分揮発が少ないので抗体以外の不要な成分が多量に固相化されることがない。
静置後の洗浄方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、振とう機等を利用して固相化表面に単位面積(cm)当り、20μL以上100μL以下の蒸留水などを注いだ後、室温(20℃)で緩やかに振とうして洗浄する方法などが挙げられる。
洗浄後の乾燥方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下乾燥させることが好ましい。
乾燥時の湿度としては、相対湿度で30%以下が好ましい。前記相対湿度が30%以下であると、乾燥が適切であり抗体が十分に固相化できる。乾燥温度としては、室温(20℃)〜50℃の下、乾燥時間としては30分間以上24時間以下乾燥させるのが好ましい。前記乾燥温度が20℃以上であると、乾燥時間が適切であり生産性が向上する。また、前記乾燥温度が50℃以下であると、試薬が熱により変性することを防止できる。また、乾燥時間が30分間以上であると、乾燥を適切に行うことができ、24時間以下であると、生産性が向上し、樹脂の変色を防止できる。
前記捕捉抗体の固相化量は、500ng/cm以上が好ましい。前記捕捉抗体の固相化量が500ng/cm以上であると、固相化量が適切でありラインの発色強度が十分に得られる。
ここで、前記樹脂層の表面に存在する抗体の固相化量の分析方法としては、例えば、X線光電子分光法(XPS)などが挙げられる。
<バック層>
転写媒体100には、支持体101の剥離層102側の面とは反対側の面に、バック層104が設けられていることが好ましい。前記反対側の面には、転写時に、サーマルヘッド等で樹脂層の形状に合わせて熱が直接印加される。このため、バック層104は、高熱への耐性、サーマルヘッド等との摩擦への耐性を有することが好ましい。
バック層104は、バインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、シリカ、オルガノポリシロキサン等の無機微粒子、滑剤などが挙げられる。
バック層104の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどが挙げられる。
バック層104の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
<アンダー層>
支持体101と剥離層102との間、剥離層102と試薬固相化層103との間、又は支持体101と剥離層兼試薬固相化層105との間には、アンダー層を設けることができる。
前記アンダー層は、樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試薬固相化層103、剥離層102、及び剥離層兼試薬固相化層105で用いた各種樹脂が使用可能である。
<保護フィルム>
試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105上には、貯蔵の際の汚染及び損傷から保護するために保護フィルムを設けることが好ましい。
前記保護フィルムの材料としては、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105から容易に剥がすことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン紙、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシートなどが挙げられる。
前記保護フィルムの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
(検査装置の製造方法)
本発明の検査装置の製造方法は、上記本発明の転写媒体の試薬固相化層又は剥離層兼試薬固相化層の表面に親水化処理を行う工程と、前記試薬固相化層又は前記剥離層兼試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて前記試薬固相化層又は前記剥離層兼試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程と、を有する。
検査装置の製造方法の第1の実施形態は、上記検査装置用転写媒体の第1の実施形態における前記第1及び第2の試薬固相化層の表面に親水化処理を行う工程と、上記検査装置用転写媒体の第1の実施形態における前記第1及び第2の試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程(以下、「試薬固相化層の転写工程」と称することもある)と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
検査装置の製造方法の第2の実施形態は、上記検査装置用転写媒体の第2の実施形態における前記第1及び第2の剥離層兼試薬固相化層の表面に親水化処理を行う工程と、上記検査装置用転写媒体の第1の実施形態における前記第1及び第2の剥離層兼試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記剥離層兼試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程(以下、「剥離層兼試薬固相化層の転写工程」と称することもある)と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<親水化処理を行う工程>
親水化処理を行う工程は、試薬固相化層又は剥離層兼試薬固相化層に試薬を固相化させた後に行う。
試薬固相化層又は剥離層兼試薬固相化層の表面に親水化処理を行う方法としては、適宜変更することが可能であり、非接触で行える方法が好ましい。親水化処理を非接触で行う場合、捕捉抗体(17,18)を樹脂層(15b,15c)に維持しつつ、親水性にできるため、好ましい。非接触でない場合、樹脂層(15b,15c)に固相化された捕捉抗体(17,18)が親水化処理により剥がれることがある。
親水化処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、グロー放電処理などが挙げられる。中でもコロナ放電処理、プラズマ処理が好ましい。
コロナ放電処理における処理条件としては、必要に応じて適宜変更することが可能である。一例としては、出力電圧1〜30kV、処理温度0〜30℃、処理時間0.5秒〜30分とすることが挙げられる。なお、処理時間を長くすることによって樹脂層15における流路部材12との接触面の親水性を大きくすることができる。
プラズマ処理における処理条件としては、必要に応じて適宜変更することが可能である。処理方法としては、真空、減圧、低圧、高圧、常温、大気圧などで行う方法が挙げられ、真空の場合は例えば0.1〜100Paとすればよい。プラズマガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性ガス、また酸素、水素、カーボンテトラフルオライドなどが好ましく挙げられる。また、上記ガスの混合ガスでもよい。処理温度としては例えば0〜30℃とし、処理時間としては例えば1秒〜30分とすればよい。
また、親水化処理を行うことにより、樹脂層(15b,15c)を均一に親水化できるという利点もある。仮に樹脂層(15b,15c)が親水性の樹脂であったとしても、局所的に疎水性の部位が存在する場合があり、疎水性の部位と検査液の間では排除効果が働いてしまうため、樹脂層における流路部材の対向する面の全てに検査液が流れにくくなる可能性がある。
なお、上記「均一に親水化」については、10箇所の測定を行い、8箇所以上が親水性であれば均一に親水化されているといえる。
<試薬固相化層の転写工程又は剥離層兼試薬固相化層の転写工程>
試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105を流路部材12に熱転写する方法としては、試薬用転写媒体100の試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105と、流路部材12とを接触させて、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105を流路部材12に転写する方法などが挙げられる。
前記熱転写に用いられるプリンタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッド等を有するサーマルプリンタなどが挙げられる。
前記熱転写における印加エネルギーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mJ/dot以上0.5mJ/dot以下が好ましい。前記印加エネルギーが0.05mJ/dot以上であると、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の溶融を効率よく行うことができる。また、前記印加エネルギーが0.5mJ/dot以下であると、試薬の熱変性を防止でき、支持体101の溶解及びサーマルヘッドが汚れてしまうことがない。
(検査装置の用途)
検査装置10の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、血液検査やDNA検査向けの生化学センサ(センシングチップ)、食品や飲料の品質管理用途等における小型の分析機器(化学センサ)などが挙げられる。
生化学の分野の検査に用いる試料(検体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、糞尿等の排泄物などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞、試験管内での分裂卵細胞の一部などであってもよい。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施していてもよい。
本実施形態の検査装置10は、流路部材12が固定相として働くため、検査液をクロマトグラフィー(分離、精製)する機能も有する。この場合、内壁が親水性を示す連続気泡を有する流路部材12が固定相(担体)となる。検査液中の各成分は、流路内を浸透する過程で固定相との相互作用の違い、即ち、親疎水性の違いにより流路内を流れる速度に差が生じる。
これは親水性の高い成分ほど、固定相である多孔質部に吸着しやすく、脱吸着を繰り返す回数が多いため、流路内を浸透する速度が遅い。反対に疎水性の高い成分は固定相に吸着することなく浸透するので、流路内をすばやく移動する。検査液中の移動速度の差を利用することで、検査液30の対象成分を選択的に抽出し、反応させることで、検査装置10を高機能な化学又は生化学用途のセンサとして用いることができる。
(検査方法)
本発明に関する検査方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、検査装置10の流路部材12に、親水性の検査液を供給する工程と、樹脂層15aに固相化されている標識抗体16を、検査液30と接触させることにより、樹脂層15aから放出させる工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
また、検査装置10を用いて検査する方法としては、検査装置10の流路部材12に、検査液30を供給する工程と、検査液30に抗原31が含まれる場合に、抗原31(検体の一部の一例)を、樹脂層15bに固相化されている捕捉抗体17により捕捉させる工程と、を含むものであってもよい。
具体的な処理としては、まず、検査装置10の流路部材12に設けられた滴下部12c(図1参照)に親水性の検査液30を滴下して供給する。次いで、供給された検査液30と、樹脂層15aに固相化されている標識抗体16を接触させ、樹脂層15aから標識抗体16を放出させる。検査液30に抗原31が含まれている場合、樹脂層15aから放出された標識抗体16は抗原31と反応して結合する(図3参照)。
次に、標識抗体16及び抗原31を含む検査液30は、流路部材12に沿って展開され樹脂層15bが配置された領域に到達する。樹脂層15bにおける流路部材12に対向する面に固相化されている捕捉抗体17は、標識抗体16が結合した状態の抗原31とも結合して捕捉する。なお、捕捉抗体17は、疎水基17gにより樹脂層15bに固相化されているので、検査液30と接触しても検査液30には親和せず放出されにくい。また、一部の捕捉抗体17が検査液30中に放出されたとしても、流路部材12を構成する繊維に即座に結合する。これにより、標識抗体16は、樹脂層15bの近傍に固定化されることになるのでテストラインが明瞭に発色する(図4A及び図4B参照)。
樹脂層15bにおいて捕捉されずに通過した標識抗体16は、流路部材12に沿って展開され樹脂層15cが配置された領域に到達する。本実施形態において、樹脂層15cにおける流路部材12に対向する面には、疎水基を有する捕捉抗体18が固相化されている。標識抗体16は、この捕捉抗体18と結合することにより、捕捉される。
捕捉抗体18は、疎水基により樹脂層15cに固相化されているので、検査液30と接触しても検査液30には親和せず放出されにくい。また、一部の捕捉抗体18が検査液30中に放出されたとしても、流路部材12を構成する繊維に即座に結合する。これにより、標識抗体16は、樹脂層15cの近傍に固定化されることになるのでコントロールラインが明瞭に発色する(図5A及び図5B参照)。
(検査キット)
本発明の検査キットは、本発明の前記検査装置と、検体を採取するための採取手段を有する。さらに、前記採取された検体を処理するための液体を有することが好ましく、必要に応じてその他の部材を有する。
図9に示したように、本実施形態の検査キットは、本発明の検査装置10と、検体を採取するための器具(検体採取手段の一例)を有し、検体を処理するための液体を有している。
前記検体を採取する器具としては、例えば、咽頭又は鼻腔等から検体を採取するための滅菌綿棒51などが挙げられる。
前記検体を処理するための液体としては、例えば、検体を希釈するための希釈液52、検体を抽出するための抽出液などが挙げられる。
前記その他の部材としては、例えば、取り扱い説明書、などが挙げられる。
(その他の実施形態)
前記実施形態では、樹脂層15に固相化されている試薬が抗原又は抗体である場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、ケミカルアッセイで用いられる指示薬を利用した検査装置にも展開できる。
ここで、ケミカルアッセイで用いられる指示薬としては、溶液の化学的性質を指示する試薬を指し、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH指示薬、鉛イオン、銅イオン、亜硝酸イオン等の各種イオンと反応して変色する各種イオノフォア、各種農薬と反応して変色する試薬などが挙げられる。
前記実施形態では、転写の際に、転写媒体100における支持体101と試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105とを熱により剥離する例について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、支持体101と試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105とを光によって剥離してもよい。この場合、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105に、カーボンブラック等の光吸収剤を混ぜておいて、それに光を吸収させて熱を生じさせることにより、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105を溶融させ、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105剥離してもよい。あるいは、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105に、光照射によって変質する材料を混ぜておき、それに光を吸収させて剥離層102を脆くすることにより、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105を剥離してもよい。
なお、前記熱転写以外の転写方法としては、例えば、試薬が固相化された試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105からなるシートをテープ、接着剤、粘着剤などで流路部材12上に貼り付ける方法などが挙げられる。この場合、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105と流路部材12とが接する箇所を設けるように貼り付けることに留意する。
前記実施形態では、流路部材12の全体に流路が形成されている例を示したが本発明はこれに限定されない。流路部材12の一部に流路を形成する方法としては、例えば、公知の方法により、流路部材12の空隙に、疎水性の材料を充填することにより、流路の外縁となる流壁を形成する方法などが挙げられる。
前記実施形態では、流路部材12上の複数個所に樹脂層15が設けられている例を示したが、試薬の種類によっては、流路部材12上の一個所に樹脂層15が設けられていてもよい。例えば、検査液30中の成分Aと特異的に結合する試薬が固相化された樹脂層15a1と、それらを捕捉する試薬が固相化された樹脂層15b1及び15c1を設けた流路部材12上に、更に、検査液中の成分Bと特異的に結合する試薬が固相化された樹脂層15a2と、それらを捕捉する試薬が固相化された樹脂層15b2及び15c2を設けた場合、同時に多成分の検出が可能な検査装置を得ることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下、「固定用」とあるのは樹脂層15b、15cに対応し、「放出用」とあるのは樹脂層15aに対応する。
(調製例1)
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合して、バック層塗布液を得た。
(調製例2)
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液の調製−
カルナバワックス90質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体1質量部、スチレン−ブタジエン共重合体4質量部、ブタジエンゴム4質量部、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体1質量部、及びトルエン/メチルエチルケトン(体積比7/3)溶媒からなる塗布液(株式会社リコー製、B110AX剥離液)を、剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液として用いた。
(調製例3)
−試薬固相化層(放出用)塗布液の調製−
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、BL−1、ブチラール化度64mol%)5質量部、及びエタノール95質量部を混合し、試薬固相化層(放出用)塗布液を調製した。
(調製例4)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
Anti−human IgG antibody(シグマ アルドリッチ社製、I1886)に抗体希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、100μg/mLとし、テストライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例5)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
Human IgG(シグマ アルドリッチ社製、I2511−10MG)に抗体希釈液として前記D−PBS(−)を加え、100μg/mLとし、コントロールライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例6)
−標識抗体用試薬塗布液の調製−
金コロイド標識Anti−Human IgG antibody(BAW社製、Gold、平均粒径40nm、OD(光学濃度)=15)を標識抗体用試薬塗布液として調製した。
(調製例7)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
Anti−hCGモノクローナル抗体(Medix Biochemica社製、Anti−Alpha subunit 6601 SPR−5)に抗体希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含有、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、100μg/mLとし、調製例15のテストライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例8)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
Anti−mouse IgG antibody(和光純薬工業株式会社製、566−70621)に抗体希釈液として前記D−PBS(−)を加え、100μg/mLとし、調製例17のコントロールライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例9)
−標識抗体用試薬塗布液の調製−
金コロイド溶液(BBI社製、EMGC50)9mLに50mMに調製したKH2PO4バッファー(pH7.0)1mLを加えた後、更に50μg/mLに調製した抗hCGモノクローナル抗体(Medix Biochemica社製、Anti−hCG 5008 SP−5)を1mL加え、攪拌した。これを10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、168−11285)を550μL加え攪拌した後、更に、10質量%BSA水溶液(シグマ アルドリッチ社製、A−7906)を1.1mL加え攪拌した。
次に、この溶液を30分間遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。なお、遠心は遠心機(日立工機株式会社製、himacCF16RN)を用い、遠心加速度8000×g、4℃の条件にて行った。その後、金コロイド保存液(20mM Tris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール、150mM NaCl、1質量%BSA水溶液、0.1質量%NaN3水溶液)20mLに分散し、再び上記と同様の条件にて遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。これらの操作を繰り返し、金コロイド保存液でOD=15になるよう調製し、標識抗体用試薬塗布液とした。
(調製例10)
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を得た。
(実施例1)
<テストライン用熱転写媒体の作製>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)の片面に、調製例1のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)形成−
次に、前記PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、調製例2の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を塗布し、40℃で10分間乾燥して、平均厚み20μmの剥離層兼試薬固相化層(固定用)を形成した。
−テストライン用熱転写媒体の作製−
次に、前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、調製例4のテストライン用試薬塗布液を単位面積(cm)当り12μLになるように塗布し、水膜を形成した後、前記水膜が乾燥しないよう相対湿度80%に保った容器内に熱転写媒体を設置して25℃で10分間静置した。静置後、水膜から熱転写媒体を剥がし、剥離層兼試薬固相化層表面を下記条件で洗浄した。
−洗浄−
振とう機(WR−3636を装着したShake−XR、ともにタイテック株式会社製)に水膜から剥がした熱転写媒体を、試薬を固相化した側をおもて(表)にして貼り付けた。
次に、固相化表面に単位面積(cm)当り100μLとなるように蒸留水を注いだ後、25℃で振とう速度を20r/minとして1分間緩やかに振とうした。振とう終了後、洗浄後の上澄み液を除去した。この操作を合計で5回繰り返し、最後に、熱転写媒体表面から洗浄後の上澄み液をよく切り洗浄した(洗浄回数5回)。洗浄後、温度25℃、相対湿度20%のデシケータ内で15分間乾燥し、剥離層兼試薬固相化層(固定用)に試薬を固相化させた。
−親水化処理−
前記剥離層兼試薬固相化層にグリーンテクノ社製電池式帯電ガンGC26B(出力電圧25kV、処理温度20℃、処理時間5分)を用いてコロナ放電処理を実施し、前記剥離層兼試薬固相化層の親水化処理を行った。以上により、実施例1のテストライン用熱転写媒体を得た。
<コントロールライン用熱転写媒体の作製>
前記テストライン用熱転写媒体の作製において、調製例4のテストライン用試薬塗布液を調製例5のコントロールライン用試薬塗布液に変更した以外は、前記テストライン用熱転写媒体の作製と同様にして、実施例1のコントロールライン用熱転写媒体を得た。
<標識抗体用熱転写媒体の作製>
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)の片面に、前記テストライン熱転写媒体の作製と同様にして、バック層及び剥離層兼試薬固相化層(固定用)を形成した後、前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、調製例3の試薬固相化層(放出用)塗布液を塗布し、40℃で10分間乾燥して、平均厚み5μmの試薬固相化層(放出用)を形成した。
次に、前記試薬固相化層(放出用)上に、調製例6の標識抗体用試薬塗布液を8μL/cmとなるように塗布し、真空乾燥機内で、25℃で5時間乾燥して、試薬固相化層(放出用)に試薬を固相化させた。これにより、実施例1の標識抗体用熱転写媒体を得た。
<検査装置の作製>
以下のようにして、図10A及び図10Bに示す検査装置を作製した。図10Aは、実施例の検査装置の上面図である。図10Bは、図10Aの検査装置のB−B断面図である。
−紙基板の作製−
幅40mm×長さ80mmにカットしたPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)11の上部に熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いて前記PETフィルム上に厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルム11を2時間以上静置した後、前記接着剤層表面に幅40mm×長さ70mmにカットしたニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180、空隙率70%)を、前記接着剤層面の長軸側の一端と各種部材の長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)を揃えるように重ね、150℃の温度で10秒間、1kgf/cmの荷重をかけた。最後に長軸方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、紙基板12を得た。
ここで、紙基板12の空隙率は、紙基板の坪量(g/m)、厚み(μm)、及び組成分比重から、下記の計算式1により求めたところ、前記紙基板の空隙率は70%であった。なお、前記紙基板の空隙率が、40%以上90%以下であると、前記紙基板は多孔質であるといえる。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−[坪量(g/m)/厚み(μm)/組成分比重]}×100
−標識抗体の転写−
紙基板12と前記標識抗体用熱転写媒体の試薬が固相化されている側とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、図10A及び図10Bに示したように、紙基板12の上流端から20mm離れた位置に、前記標識抗体用熱転写媒体を幅3mm×長さ10mmのパターン状に転写した(樹脂層15a)。
前記熱転写プリンタは、ドット密度300dpi(TDK株式会社製)のサーマルヘッドを有し、印字速度8.7mm/sec、印字エネルギー0.35mJ/dotの評価系システムを構築したものである。
−テストライン及びコントロールラインの転写−
図10A及び図10Bに示したように、前記標識抗体用熱転写媒体の転写位置から15mm離れた位置に、前記テストライン用熱転写媒体を高さ4mm×長さ1mmのライン状に転写した(テストライン15b)。更に、前記テストライン用熱転写媒体の転写位置から5mm離れた位置に前記コントロールライン用熱転写媒体を高さ4mm×長さ1mmのライン状に転写した(コントロールライン15c)。なお、各ラインは、前記標識抗体の転写と同様の印字条件で形成した。
−吸収部材の作製−
図10A及び図10Bに示したように、吸収部材14(メルクミリポア社製、Surewick C248)を設けることにより、実施例1のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を得た。
得られた検査装置について、下記に示す評価を行った。
(実施例2)
実施例1において、テストライン用熱転写媒体及びコントロールライン用熱転写媒体の作製おける剥離層兼試薬固相化層の親水化処理時間を5分から10分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例3)
実施例1において、テストライン用熱転写媒体及びコントロールライン用熱転写媒体の作製おける剥離層兼試薬固相化層の親水化処理方法をコロナ放電処理から、JEOL社製親水化処理装置HDT−400(真空度10Pa、プラズマガス酸素、処理温度20℃、処理時間5分)を用いたプラズマ処理に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例4)
実施例1において、調製例4のテストライン用試薬塗布液を調製例7のテストライン用試薬塗布液に、調製例5のコントロールライン用試薬塗布液を調製例8のコントロールライン用試薬塗布液に、調製例6の標識抗体用試薬塗布液を調製例9の標識抗体用試薬塗布液に、変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例5)
実施例1において、紙基板の接着剤層に貼り付けるニトロセルロースメンブレンを親水性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)[JMWP14225、メルクミリポア社、空隙率80%]に、変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例6)
実施例1において、調製例2の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を調製例10の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液に、変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例1)
実施例1において、実施例1のテストライン用熱転写媒体及びコントロールライン用熱転写媒体の作製おける剥離層兼試薬固相化層の親水化処理を実施しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のイムノクロマトアッセイ(検査装置10)を作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(評価)
<フィルム評価>
測定対象:樹脂層15b(テストライン)の濡れ性
(親水化処理を行った後の転写媒体について測定)
使用装置:携帯式接触角計PG-X+(FIBRO system ab[スウェーデン])
測定方法:樹脂層15bに純水を4μL滴下した時の接触角を測定
[評価基準]
○:60度未満のもの
△:60度以上90度未満のもの
×:90度以上のもの
<ライン評価>
測定対象:テストライン
使用装置:クロマトリーダー(大塚電子株式会社製、DiaScan 10)
測定条件:発色後のイムノクロマトアッセイを測定用のハウジングケースに収めて測定
測定方法:
1.検査液の調製
展開液として、0.1質量%Tween20(シグマ アルドリッチ社製、P9416−50ML)のD−PBS(−)溶液を調製した。次に、Human IgGに前記展開液を加え、500μg/mLに調製し、検査液を得た。
2.反応
図10A及び図10Bに示すイムノクロマトアッセイの上流端部に、前記検査液を100μL滴下し、15分間経過した後、イムノクロマトアッセイを測定用ハウジングケースに収め、クロマトリーダー(大塚電子株式会社製、DiaScan 10)を用いて測定し、テストラインの発色濃さを読み値から求め、下記基準で評価した。
[評価基準]
◎:読み値が200以上のもの
○:読み値が200未満170以上のもの
△:読み値が170未満120以上のもの
×:読み値が120未満のもの
<検査時間の評価>
測定対象:テストラインの発色強度
使用装置:クロマトリーダー(大塚電子株式会社製、DiaScan 10)
測定条件:発色後のイムノクロマトアッセイを測定用のハウジングケースに収めて測定
測定方法:
1.検査液の調製
0.1質量%Tween20(シグマ アルドリッチ社製、P9416−50ML)のD−PBS(−)溶液を調製した。次に、Human IgGに前記展開液を加え、500μg/mLに調製し、検査液を得た。
2.反応
図10A及び図10Bに示すイムノクロマトアッセイの上流端部に、前記検査液を100μL滴下し、テストラインの発色強度の読み値が120になるまでの時間を測定した。
[評価基準]
◎:5分未満のもの
○:5分以上10分未満のもの
△:10分以上15分未満のもの
×:15分以上のもの
Figure 2018025472
Figure 2018025472
表2の結果から、テストライン用熱転写媒体及びコントロールライン用熱転写媒体の作製おける剥離層兼試薬固相化層の親水化処理を行う実施例1〜6は、比較例1に比べ、発色強度が高く、短時間で検査を行うことができた。このことから、親水化処理を行うことで捕捉抗体と標識抗体の反応率が上がり、フィルムの透明化が起こり、発色強度の向上及び、検査時間の短縮ができたものと考えられる。
10 検査装置
11 基材
12 流路部材
14 吸収部材
15 樹脂層
15a 樹脂層
15b 樹脂層(テストライン)
15c 樹脂層(コントロールライン)
16 標識抗体(試薬の一例)
17 捕捉抗体(試薬の一例)
18 捕捉抗体(試薬の一例)
30 検査液(検体の一例)
50 検査キット
100 転写媒体
110 転写媒体
101 支持体
102 剥離層
103 試薬固相化層
104 バック層
105 剥離層兼試薬固相化層
特開2015−83969号公報

Claims (9)

  1. 検体が流れる流路を有する多孔質の流路部材と、
    前記流路部材上に前記流路部材と接して設けられた少なくとも1つの樹脂層と、を有し、
    前記樹脂層は前記流路部材との接触面に前記検体と反応する試薬が固相化されており、前記接触面は水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする検査装置。
  2. 前記試薬は抗体であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記樹脂層は水に対する接触角が90度以上の疎水性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
  4. 検体が流れる流路を有する多孔質の流路部材と、
    前記流路部材上に前記流路部材と接して設けられた第1の樹脂層と、
    前記流路部材上に前記流路部材と接し、かつ前記第1の樹脂層と離間して設けられた第2の樹脂層と、を有し、
    前記第1及び第2の樹脂層が前記流路部材との接触面において、
    前記第1の樹脂層に捕捉抗体が固相化されており、
    前記第2の樹脂層に標識抗体が固相化されており、
    前記第1の樹脂層の前記流路部材との接触面は水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする検査装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の検査装置と、
    前記検体を採取するための採取手段と、を有することを特徴とする検査キット。
  6. 支持体と、
    前記支持体上に設けられた剥離層と、
    前記剥離層上に設けられた試薬固相化層と、を有し、
    前記試薬固相化層の表面は、検体と反応する試薬が固相化されているとともに、水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする検査装置製造用の転写媒体。
  7. 支持体と、
    前記支持体上に設けられた剥離層兼試薬固相化層と、を有し、
    前記剥離層兼試薬固相化層の表面は、検体と反応する試薬が固相化されているとともに、水に対する接触角が60度以下であることを特徴とする検査装置製造用の転写媒体。
  8. 請求項6又は7に記載の転写媒体の試薬固相化層又は剥離層兼試薬固相化層の表面に親水化処理を行う工程と、
    前記試薬固相化層又は前記剥離層兼試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて前記試薬固相化層又は前記剥離層兼試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程と、を有することを特徴とする検査装置の製造方法。
  9. 前記親水化処理を行う工程は、プラズマ処理又はコロナ放電処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の検査装置の製造方法。
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