JP6013870B2 - 光学フィルム及びその製造方法、偏光板並びに液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム及びその製造方法、偏光板並びに液晶表示装置 Download PDF

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本発明は、光学フィルム及びその製造方法、偏光板並びに液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置は、液晶テレビや、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどの液晶パネル等の用途で広く用いられている。通常、液晶表示装置は、液晶セルの両側に偏光板を設けた液晶パネル部材を有し、バックライト部材からの光を液晶パネル部材で制御することにより表示が行われている。ここで、偏光板は偏光子とその両側の保護フィルムとからなり、一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素又は二色性色素で染色することにより得られ、保護フィルムとしてはセルロールエステルフィルムなどが用いられている。
また、液晶表示装置において、視野角の拡大、画像着色の改良、及びコントラストの向上のため、ポリマーフィルムを光学補償フィルム(位相差フィルム)として使用することが知られている。光学補償フィルムとして用いられるポリマーフィルムに対しては、VAモードやIPSモード等の液晶表示装置の液晶セルのモードに応じて、フィルムの光学特性(例えば、フィルム面内のレターデーション値Reやフィルム厚さ方向のレターデーション値Rthなどの複屈折性)を制御して所望の光学異方性を持たせることが求められる。
最近の液晶表示装置は、高品質化とともに、用途も多様化し、耐久性への要求が厳しくなってきている。例えば、屋外用途での使用においては環境変化に対する安定性が求められ、液晶表示装置に用いられる上記の偏光板用保護フィルムや光学補償フィルムなどの光学フィルムについても温度や湿度変化に対する寸法や光学特性の変化を抑えることが求められる。高温高湿の環境下に晒される液晶表示装置の問題としては、液晶表示装置の液晶セルの反りや表示ムラの発生があるが、これは偏光板およびそれを構成する光学フィルムに水分が浸透および脱着することにより、液晶表示装置の液晶セルの前面および背面の偏光板の収縮のバランスに差が生じて液晶セルが反り、液晶セルの四隅や四辺が筐体や背面側の部材と接触して表示ムラが生じることが原因と考えられている。このため、偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムなどに対しては、湿度依存性や湿熱耐久性の改善が求められてきたが、抜本的な改良のためには、環境変化で水分の浸漬および脱着を抑制する必要があり、特に偏光板の最表面の光学フィルムには、水分を通しにくい性能、すなわち透湿度の低減が求められる。
特許文献1には、透明性が高く、低吸湿性、高耐熱性、力学的強度の高い光学フィルムの提供を目的として、セルロースエステルにポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂を多量添加した光学フィルムが開示されている。
国際公開第2009/047924号
液晶表示装置は従来の室内用途だけでなく、屋外などより過酷な環境で使用されるようになっており、液晶表示装置の最表面の光学フィルムは、水分を透過させない性能が重要になっている。この問題は近年大型化が進むTV用途では、液晶セルのガラスが薄手化する傾向の影響もあり、反りが大きくなりやすく、表示ムラへの影響が懸念されている。また近年急速に広まっているタブレットPCやモバイル用途など中小型では薄型化・液晶表示装置内の省スペース要求が高いため、反りの問題の解決が強く望まれている。
しかしながら、前述の通り、年々液晶表示装置の使用環境は苛酷になってきており、特許文献1に記載の光学フィルムでは、昨今の使用環境下において液晶セルの反りを低減して表示ムラを抑制することが困難になってきている。
上記のような状況に鑑みて、本発明の目的は、耐久性に優れ、水分の透過および脱着を低減することのできる(以下、透湿度を低減できる、とも言う)光学フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、上記光学フィルムを用いた偏光板を提供することである。本発明の更に別の目的は、高温高湿環境経時後の液晶セルの反りと、表示ムラが改善された液晶表示装置を提供することである。
本発明の目的は下記の手段により達成することができる。
[1] セルロースエステルを含む光学フィルムであって、
前記光学フィルムの透湿度が350g/m2/day以下(厚み40μm換算)であり、
分子量が200以上であり、かつ下記式(1)を満たす透湿度低減化合物を含むことを特徴とする光学フィルム。
式(1) A/B≦0.6
(式(1)中、Aは前記セルロースエステルの質量に対して当該透湿度低減化合物を10質量%添加した場合の光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記セルロースエステルを含みかつ透湿度低減化合物を添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
[2] [1]に記載の光学フィルムは、ポリマー成分全体に対するセルロースエステルの含有割合が70質量%を超えることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の光学フィルムは、前記光学フィルムが下記式(2)を満たすことが好ましい。
式(2) a/B≦0.6
(式(2)中、aは光学フィルムの透湿度を表し、Bは透湿度低減化合物の添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルムは、前記透湿度低減化合物が、芳香族環を1つ以上含む構造であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルムは、前記セルロースエステルの質量に対し、前記透湿度低減化合物を10〜200質量%含むことが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムは、厚みが60μm以下であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムは、下記式(I)及び下記式(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び下記式(IV)を満たすことが好ましい。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) |Re|≦50nm
式(IV) |Rth|≦300nm
(式(I)〜(IV)中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の光学フィルムは、前記セルロースエステル、前記透湿度低減化合物および溶媒を含む高分子溶液を支持体上に流延して製膜されてなることが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の光学フィルムは、少なくとも一方の表面に、厚み0.1〜20μmの機能層を有することが好ましい。
[10] [9]に記載の光学フィルムは、前記機能層を積層した場合の光学フィルムの透湿度(C)と、前記機能層の積層なしの場合の光学フィルムの透湿度(D)とが、C/D≦0.9となることが好ましい。
[11] セルロースエステル、および透湿度低減化合物を支持体上に流延して高分子膜を形成する工程を含み、
前記透湿度低減化合物の分子量が200以上であり、
前記透湿度低減化合物が下記式(1)を満たすことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
式(1) A/B≦0.6(式(1)中、Aは前記セルロースエステルの質量に対して当該透湿度低減化合物を10質量%添加した場合の光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記セルロースエステルを含みかつ透湿度低減化合物を添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
[12] [11]に記載の光学フィルムの製造方法は、前記光学フィルムを延伸する工程を含むことが好ましい。
[13] [11]または[12]に記載の光学フィルムの製造方法は、ポリマー成分全体に対するセルロースエステルの含有割合が70質量%を超えることが好ましい。
[14] [11]〜[13]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法は、前記光学フィルムが下記式(2)を満たすことが好ましい。
式(2) a/B≦0.6
(式(2)中、aは光学フィルムの透湿度を表し、Bは透湿度低減化合物の添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
[15] 偏光子の保護フィルムとして[1]〜[10]のいずれか一項に記載の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
[16] 液晶セルと、
該液晶セルの少なくとも一方に配置された[15]に記載の偏光板とを含み、
前記光学フィルムが最表層となるように配置されたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明により、耐久性に優れ、水分の透過および脱着を低減することのできる光学フィルムを提供することができる。本発明の光学フィルムを用いることで、高温高湿環境経時後の液晶セルの反り、表示ムラ発生が抑えられた液晶表示装置を提供することができる。
溶液製膜方法を実施するためのフィルム製造ラインの概略図である。 本発明の光学フィルムの一例の上面図である。 本発明の光学フィルムが、機能層としてパターン光学異方性層を有する場合における、パターン光学異方性層の一例の上面模式図である。
以下において、本発明の偏光板やその製造方法、それに用いる添加剤などについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
「アクリル樹脂」とはメタクリル酸又はアクリル酸の誘導体を重合して得られる樹脂、及びその誘導体を含有する樹脂を意味するものとする。また、特に限定しない場合には、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルを表す。
更に、フィルムの「遅相軸方向」とはフィルム面内で屈折率が最大となる方向で、「進相軸方向」とはフィルム面内で遅相軸と直交する方向を意味するものとする。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、セルロースエステルを含む光学フィルムであって、前記光学フィルムの透湿度が350g/m2/day以下(厚み40μm換算)であり、分子量が200以上であり、かつ下記式(1)を満たす透湿度低減化合物を含むことを特徴とする。
式(1) A/B≦0.6
(式(1)中、Aは前記セルロースエステルの質量に対して当該透湿度低減化合物を10質量%添加した場合の光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記セルロースエステルを含みかつ透湿度低減化合物を添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
上記構成により、耐久性に優れ、水分の透過および脱着を低減することが出来る。
さらに、本発明の光学フィルムは、下記式(2)を満たすことが好ましい。
式(2) a/B≦0.6
(式(2)中、aは光学フィルムの透湿度を表し、Bは透湿度低減化合物の添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
前記a/Bは、0.55以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましい。
以下、本発明の光学フィルムの構成の好ましい態様について説明する。
<光学フィルムの成分>
(セルロースアシレート)
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについては、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができるが、本発明で用いられるセルロースエステルは特にその記載のものに限定されるものではない。
本発明で用いられるセルロースエステルは、セルロースと脂肪酸(芳香族脂肪酸を含む)とのエステルが好ましく、セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位の2位、3位及び6位にある水酸基に該脂肪酸のアシル基が置換してアシル化されたセルロースアシレートが好ましい。
例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、また、2種類以上の脂肪酸のアシル基が置換したセルロースエステルも好ましい。これらのセルロースエステルは、更に置換された基を有していてもよい。
前記水酸基に置換するアシル基としては、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜22のアシル基を好ましく用いることができる。の観点から、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜7のアシル基が好ましく、アセチル基がより好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおけるアシル基の総置換度(セルロースのβ−グルコース単位において水酸基にアシル基が置換している割合で、2位、3位及び6位の3つの水酸基の全てにアシル基が置換している場合には3となる)は、2.00〜3.00が好ましく、2.50〜3.00がより好ましく、2.50〜2.95が更に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基に置換するアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じた方法や、NMR法を挙げることができる。
セルロースのβ−グルコース単位の水酸基に置換するアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基もよく、特に限定されない。また、該水酸基に置換するアシル基は、単一のアシル基でも二種類以上であってもよい。
前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、へプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましく、アセチル基が特に好ましい。
合成の容易さ、コスト、置換基分布の制御のし易さなどの観点から、アセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、プロピオニル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されてもよい。その場合は好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、更に好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、特に好ましくはアセチル基とプロピオニル基が併用されることである。
上記のアシル基が置換したセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースベンゾエートなどが挙げられ、なかでもセルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートが好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、特に、アセチル基とプロピオニル基が置換したセルロースアセテートプロピオネートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度がこの範囲であれば、セルロースエステルを含むドープ溶液の粘度が流延によりフィルム作製に適したものとすることができ、またアクリル樹脂との相溶性が高く、透明性及び機械的強度の高いフィルムを得ることができるので好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
本発明で用いるセルロースエステルの質量平均分子量Mwは75000以上であることが好ましい。セルロースエステルの質量平均分子量Mwが75000以上であれば、機械的強度が高く、フィルム製造時のハンドリング適性に優れる。この観点から、セルロースエステルの質量平均分子量Mwは100000以上であることがより好ましく、150000以上であることがより特に好ましい。
フィルムの機械的強度、ハンドリング適性を両立させる観点からは、セルロースエステルの質量平均分子量Mwは75000以上300000以下であることが好ましく、100000以上270000以下であることがより好ましく、150000以上250000以下であることが更に好ましい。
同様の観点から、セルロースエステルの数平均分子量Mnは、18000以上300000以下であることが好ましく、25000以上270000以下であることがより好ましく、38000以上250000以下であることが更に好ましい。
セルロースエステルの質量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定することができる。
更に、セルロースエステルの分子量分布については、多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5であることがより好ましく、2.3〜3.4であることが更に好ましい。
セルロースエステルの低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースエステルよりも低くなるため有用である。低分子成分の除去は、通常の方法で合成したセルロースエステルを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布が狭いセルロースアシレートを合成することができる。
本発明の光学フィルムの製造時に使用される際には、セルロースエステルの含水率は2質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.7質量%以下である。一般に、セルロースエステルは、水を含有しており、例えばセルロースアシレートの含水率は2.5〜5質量%が知られている。本発明で上記のようなセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが好ましく、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明に用いることのできるセルロースアシレートに関しては、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明では、セルロースエステルの置換基、置換度、重合度、分子量分布などの観点で、単一あるいは異なる二種類以上のセルロースエステルを混合して用いることができる。
また、本発明の光学フィルムにおけるポリマー成分全体に対するセルロースエステルの含有割合は、光学フィルム中、70質量%を超えることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることが特に好ましい。
ここでポリマーとはMw 5000以上の分子をさす。
(透湿度低減化合物)
本発明の光学フィルムは、水分の透過、脱着を低減するため、分子量が200以上であり、かつ下記式(1)を満たす透湿度低減化合を含むことを特徴とする。
式(1) A/B≦0.6
(式(1)中、Aは前記セルロースエステルの質量に対して当該透湿度低減化合物を10質量%添加した場合の光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記セルロースエステルを含みかつ透湿度低減化合物を添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
前記透湿度低減化合物は、よりのぞましくはA/Bが0.55以下であり、A/Bが0.50以下であることがさらにのぞましい。一方、A/Bが0.6より大きい場合、透湿度を低減させる効果としては不十分である。
上記の透湿度低減化合物は、芳香族環を1つ以上含む構造であってもよい。芳香族環によって、疎水的な性質をフィルムに付与でき、水分の透過、脱着を抑制できる。
本発明の光学フィルムが含む透湿度低減化合物として、下記一般式(A)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0006013870
一般式(A)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20の置換または無置換のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20の置換または無置換のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
以下に前記一般式(A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0006013870
本発明の光学フィルムが含む透湿度低減化合物として、下記一般式(B)で表される化合物を好ましく用いることができる。
一般式(B)
Figure 0006013870
一般式(B)中、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35、R36は、それぞれ、水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。さらに、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35およびR36のうち少なくとも1つはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基である。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。中でも、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換基Tで置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
また、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35、R36のうち少なくとも1つはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基であり、より好ましくはアミノ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。また、これらの基は置換基によって置換されていてもよい。この場合の置換基として、上述の置換基Tが適用でき、好ましい範囲も同様である。
以下に本発明の一般式(B)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0006013870
Figure 0006013870
本発明の光学フィルムが含む透湿度低減化合物として、ノボラック系化合物も好ましく用いることができる。
本発明に用いられるノボラック型フェノール樹脂としては特に限定しないが、一般に酸性物質を触媒として、フェノール類とアルデヒド類を反応させたものが好ましく用いられる。ノボラック型フェノール樹脂の原料となるフェノール類としては特に限定しないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類などが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができるが、通常、フェノール、クレゾールが多く用いられる。
上記の透湿度低減化合物は、本発明の光学フィルムにおいて、セルロースエステルの質量に対し、10質量%以上200質量%以下の量で含むことがのぞましい。よりのぞましくは10質量%以上70質量%以下であり、30質量%以上70質量%以下がさらにのぞましい。
(マット剤微粒子)
本発明の光学フィルムには、マット剤として微粒子を加えることができる。マット剤として使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものがフィルムのヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上が更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次粒子の平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下が更に好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次粒子、2次粒子の粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次粒子の平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次粒子での平均粒子径が小さな粒子を有する光学フィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースエステル又はアクリル樹脂溶液に加えて撹拌溶解し、更にメインのフィルム作製用の高分子溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
最終的なドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。マット剤の添加量としては、セルロースエステル樹脂等のドープ溶液に使用する樹脂の全量に対して、0.001質量%以上0.4質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。また、光学フィルムが多層から形成される場合、内層への添加はせず、表層側のみに添加することが好ましく、この場合は、セルロースエステル樹脂等のドープ溶液に使用する樹脂の全量に対して、表層のマット剤の添加量としては0.001質量%以上0.4質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
分散に使用される溶剤としては低級アルコール類が好ましく、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、光学フィルムの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
(その他の添加剤)
上記マット粒子の他に、本発明の光学フィルムには、その他の種々の添加剤(例えば、レターデーション発現剤、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外線吸収剤、波長分散調整剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。更にまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、光学フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
セルロースエステルとの相溶性が良い可塑剤は、ブリードアウトが生じ難く、低ヘイズであり、光モレ、正面コントラスト、輝度に優れた液晶表示装置を実現するフィルムの作製に有効である。
本発明の光学フィルムに可塑剤を用いてもよい。可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤などが挙げられる。
好ましくはリン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、より好ましくはポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、更に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤であり、特に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤である。
特にポリエステルオリゴマー系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤は本発明の光学フィルムとの相溶性が高く、ブリードアウト低減、低ヘイズ及び低透湿度の効果が高く、また温湿度変化や経時による可塑剤の分解及びフィルムの変質や変形が生じ難いため、本発明に好んで用いることができる。
本発明においては、可塑剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
また本発明の光学フィルムには、アクリル粒子を含有してもよい。アクリル粒子、特に多層構造アクリル系粒状複合体を添加することで、耐衝撃性、耐応力白化性が改善することが特公昭60-17406、特公平3−39095号公報等に記載されている。
本発明の光学フィルムにおいては、これらの添加剤を添加する場合、添加剤の総量は、光学フィルムに対して100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが好ましい。
<光学フィルムの特性>
(レターデーション)
本発明の光学フィルムは、波長590nmで測定したRe及びRth(下記式(I)及び(II)にて定義される)が、式(III)及び(IV)を満たす。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) −50nm≦Re≦50nm
式(IV) Rth≧300nm
(式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。)
なお、本発明の光学フィルムでは、上記式(III)及び(IV)がフィルム面内の少なくとも1点において満足されればよいが、フィルム面内の任意の点で上記式(III)及び(IV)が満足されることが好ましい。
波長λnmでのRe、Rth及びNzは次のようにして測定できる。
ReはKOBRA21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA21ADHにより算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHNWILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
Nzは、Re及びRthに基づいて式(VI)により算出する。なお、平均屈折率の仮定値と膜厚に基づいて、KOBRA21ADHによりnx、ny、nzを算出し、これらのnx、ny、nzの値から式(II)によりNzを算出することもできる。
本発明の光学フィルムの測定では、光学フィルムの平均屈折率を1.48としてレタータデーションの測定を行う。
上記のRe、Rth及びNzは、セルロースエステルの置換度、セルロースエステルとアクリル樹脂の比率、レターデーション発現剤の添加、フィルムの膜厚、フィルムの延伸方向と延伸率等により調整することができる。
(フィルムの厚さ)
本発明の光学フィルムの厚さ(厚み、膜厚と同義)は、60μm以下であることが液晶表示装置の置かれる環境、すなわち温湿度変化に伴うパネルの反りを小さくすることができる観点から好ましく、40μm以下であることが同様の観点から更に好ましい。
本発明の光学フィルムの厚さは、30μm以下であることがフィルムの収縮力の観点から特に好ましい。
(フィルムの透湿度)
フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
透湿度は、フィルムの膜厚が厚ければ小さくなり、膜厚が薄ければ大きくなる。そこで膜厚の異なるサンプルでは、基準を40μmに設けて換算する必要がある。膜厚の換算は、下記数式に従って行うことができる。
数式:40μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚(μm)/40(μm)。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4共立出版)の285頁〜294頁「蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)」に記載の方法を適用することができる。
本発明の光学フィルムの透湿度は、350g/m2/day以下であり、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。本発明の光学フィルムの透湿度は、200g/m2/day以下であることが液晶表示装置の置かれる環境、すなわち温湿度変化に伴うパネルの反りを小さくすることができる観点から特に好ましく、170g/m2/dayであることが同様の観点からより特に好ましい。
(フィルムの酸素透過係数)
透湿度を低減するためには、フィルム中の水の拡散を抑える事が好ましく、すなわちフィルムの自由体積を下げる事が好ましい。一般的にフィルムの自由体積はフィルムの酸素透過係数と相関する。
本発明の光学フィルムの酸素透過係数は、100cc・mm/(m2・day・atm)以下が好ましく、30cc・mm/(m2・day・atm)以下がより好ましい。
<酸素透過係数の測定方法>
フィルムの酸素透過量測定は、酸素電極(オービスフェア・ラボラトリーズ社製MODEL3600、PFA)に薄く塗布したシリコングリスを介して直径1.5cmに裁断した試験片を貼り付け、定常状態での酸素還元電流出力値より、酸素透過量を求めた。
出力電流値の酸素透過量への換算は、透過量既知のサンプルを用いて検量線を作成することにより求めた。測定は、25℃、相対湿度50%環境下で行った。
(基材フィルムのヌープ硬度)
最表面に用いる偏光板保護膜では、表面硬度が高い事が好ましく、その場合、本発明の光学フィルムの特性としては、ヌープ硬度が高い事が好ましい。ヌープ硬度は、100N/mm2以上が好ましく、150N/mm2以上が更に好ましく用いられる。
<表面硬度の測定>
フィッシャーインスツルメンツ(株)社製"フッシャースコープH100Vp型硬度計"を用い、圧子の短軸の向きをフィルム製膜時の搬送方向(長手方向;鉛筆硬度試験での試験方向)に対して平行に配置したヌープ圧子により、ガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、クリープ時間5sec、除荷時間10sec、最大荷重100mNの条件で測定した。押し込み深さから求められる圧子とサンプルとの接触面積と最大荷重の関係より硬度を算出し、この5点の平均値を表面硬度とした。
(フィルムのヘイズ)
本発明の光学フィルムは、全ヘイズ値が2.00以下であることが好ましい。全ヘイズ値が2.00以下であると、フィルムの透明性が高く、液晶表示装置のコントラスト比や輝度向上に効果がある。全ヘイズ値は、1.00以下がより好ましく、0.50以下であることが更に好ましく、0.30以下が特に好ましく、0.20以下が最も好ましい。全ヘイズ値は低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理やロールフィルムのハンドリング性も考慮すると0.01以上であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの内部ヘイズ値は、1.00以下であることが好ましい。内部ヘイズ値を1.00以下とすることで、液晶表示装置のコントラスト比を向上させ、優れた表示特性を実現することができる。内部ヘイズ値は、0.50以下がより好ましく、0.20以下が更に好ましく、0.10以下が特に好ましく、0.05以下が最も好ましい。原料選択や製造管理等の観点からは0.01以上であることが好ましい。
本発明の光学フィルムとしては、特に、全ヘイズ値が0.30以下であり、内部ヘイズ値が0.10以下であることが好ましい。
全ヘイズ値及び内部ヘイズ値は、フィルム材料のセルロースエステルの種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸時の温度や延伸倍率など)により調整することができる。
なおヘイズの測定は、本発明のフィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJISK−6714に従って測定することができる。
(フィルムの弾性率)
本発明の光学フィルムの弾性率は、幅方向(TD方向)で1800〜7000MPaであることが好ましい。
本発明において、TD方向の弾性率が上記範囲とすることにより、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラやフィルム作製時の搬送性、端部スリット性や破断のし難さ等の製造適性の観点で好ましい。TD弾性率が小さすぎると高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラが発生し易くなり、また製造適性に問題が生じ、大きすぎるとフィルム加工性に劣る為、TD方向の弾性率は、1800〜5000MPaがより好ましく、1800〜4000MPaであることが更に好ましい。
また、本発明の光学フィルムの搬送方向の(MD方向)の弾性率は、1800〜4000MPaが好ましく、1800〜3000MPaであることがより好ましい。
ここで、フィルムの搬送方向(長手方向)とは、フィルム作製時の搬送方向(MD方向)であり、幅方向とはフィルム作製時の搬送方向に対して垂直な方向(TD方向)である。
フィルムの弾性率は、フィルム材料のセルロースエステルの種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸倍率など)により調整することができる。
弾性率は、例えば、東洋ボールドウィン(株)製万能引っ張り試験機“STMT50BP”を用い、23℃、相対湿度70%雰囲気中、引張速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定して求めることができる。
(ガラス転移温度Tg)
本発明の光学フィルムのガラス転移温度Tgは製造適性と耐熱性の観点より、100℃以上200℃以下が好ましく、更に100℃以上150℃以下が好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めることができる。
また、ガラス転移温度の測定は、以下の動的粘弾性測定装置を用いて求めることもできる。本発明のフィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃、相対湿度60%で2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA−225(アイティー計測制御(株)製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜250℃、周波数1Hzで測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点を、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とする。
(フィルムの平衡含水率)
本発明の光学フィルムの含水率(平衡含水率)は、偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃、相対湿度80%における含水率が、0〜4質量%であることが好ましい。0.1〜2.5質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが更に好ましい。平衡含水率が4質量%以下であれば、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなり過ぎず、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラを抑止の点からも好ましい。
含水率の測定法は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出できる。
(フィルムの寸度変化)
本発明の光学フィルムの寸度安定性は、60℃、相対湿度90%の条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率、及び80℃、DRY環境(相対湿度5%以下)の条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率が、いずれも0.5%以下であることが好ましい。
より好ましくは0.3%以下であり、更に好ましくは0.15%以下である。
(光弾性係数)
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして使用した場合には、偏光子の収縮による応力などにより複屈折(Re、Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、その範囲は、30Br以下であることが好ましく、−3〜12Brであることがより好ましく、0〜11Brであることが更に好ましい。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、セルロースエステル、および透湿度低減化合物を支持体上に流延して高分子膜を形成する工程を含み、前記透湿度低減化合物の分子量が200以上であり、前記透湿度低減化合物が下記式(1)を満たすことを特徴とする。
式(1) A/B≦0.6
(式(1)中、Aは前記セルロースエステルの質量に対して当該透湿度低減化合物を10質量%添加した場合の光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記セルロースエステルを含みかつ透湿度低減化合物を添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
さらに、本発明の光学フィルムの製造方法は、前記光学フィルム(高分子膜)を延伸する工程を含むことが好ましく、前記高分子膜の搬送方向と直交する幅方向に該高分子膜を延伸する工程とを含むことがより好ましい。
前記高分子膜は、延伸に用いる高分子膜は乾燥フィルムでも湿潤フィルムでもよいが、湿潤フィルムであることがより好ましい。
延伸に用いる高分子膜としては、乾燥後の未延伸の高分子膜のガラス転移温度Tgは100〜200℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。
ここで、乾燥後の高分子膜(乾燥フィルム)とは、膜中の残留溶剤量が3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である高分子膜を指す。ガラス転移温度は、セルロールエステルの種類や質量比により調整することができる。
前記高分子膜の製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液製膜が好ましい。
本発明の光学フィルムの作製方法は溶液流延法を使用してもよいし、溶融流延法を使用してもよい。
溶融流延法の場合、前記セルロースエステル、および透湿度低減化合物を支持体上に流延して高分子膜を形成する工程が、セルロースエステルおよび透湿度低減化合物を溶融したものを支持体上に流延して高分子膜を形成する工程であることが好ましい。
溶液流延法の場合、前記セルロースエステル、および透湿度低減化合物を支持体上に流延して高分子膜を形成する工程が、前記セルロースエステル、前記透湿度低減化合物および溶媒を含む高分子溶液(ドープ)を支持体上に流延して高分子膜を形成する工程であることが好ましい。セルロースエステル、前記透湿度低減化合物及び溶媒を含む高分子溶液(ドープ)を支持体上に流延することで前記高分子膜が形成される。
<溶媒>
ドープを形成するのに有用な溶媒は、セルロースエステル、前記透湿度低減化合物及びその他の添加剤を同時に溶解するものであれば、制限なく用いることができる。
本発明においては、有機溶媒として、塩素系有機溶媒を主溶媒とする塩素系溶媒と塩素系有機溶媒を含まない非塩素系溶媒とのいずれをも用いることができる。2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
ドープを作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りはその塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは有機溶媒全体量中少なくとも50質量%使用することが必要である。本発明で塩素系有機溶剤と併用される他の有機溶媒について以下に記す。即ち、好ましい他の有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテル及びアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。更に炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレンが含まれる。
その他の溶媒としては、例えば特開2007−140497号公報に記載の溶媒を用いることができる。
<ドープの調製>
ドープは、0℃以上の温度(常温又は高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。本発明に用いることができるドープの調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にジクロロメタン)とアルコール(特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノール)を用いることが好ましい。
セルロースエステルの量は、得られる高分子溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースエステルと前記透湿度低減化合物と有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースエステルと前記透湿度低減化合物と有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
<フィルムの製造−溶液製膜方法−>
次に、上記で得られたドープを用いて本発明の光学フィルムを製造する方法を説明する。
図1はフィルム製造ライン20を示す概略図である。ただし、本発明は、図1に示すようなフィルム製造ラインに限定されるものではない。フィルム製造ライン20には、ストックタンク21、濾過装置30、流延ダイ31、回転ローラ32、33に掛け渡された流延バンド34及びテンタ式乾燥機35などが備えられている。更に耳切装置40、乾燥室41、冷却室42及び巻取室43などが配されている。
ストックタンク21には、モータ60で回転する攪拌機61が取り付けられている。そして、ストックタンク21は、ポンプ62及び濾過装置30を介して流延ダイ31と接続している。
流延ダイ31の幅は、特に限定されるものではないが、最終製品となるフィルムの幅の1.1倍〜2.0倍であることが好ましい。
流延ダイ31の下方には、回転ローラ32,33に掛け渡された流延バンド34が設けられている。回転ローラ32,33は図示しない駆動装置により回転し、この回転に伴い流延バンド34は無端で走行する。
また、流延バンド34の表面温度を所定の値にするために、回転ローラ32,33に伝熱媒体循環装置63が取り付けられていることが好ましい。流延バンド34は、その表面温度が−20℃〜40℃に調整可能なものであることが好ましい。
流延バンド34の幅は特に限定されるものではないが、ドープ22の流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲のものを用いることが好ましい。また、長さは20m〜200m、厚みは0.5mm〜2.5mmであり、表面粗さは0.05μm以下となるように研磨されていることが好ましい。流延バンド34は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。また、流延バンド34の全体の厚みムラは0.5%以下のものを用いることが好ましい。
なお、回転ローラ32、33を直接支持体として用いることも可能である。
流延ダイ31、流延バンド34などは流延室64に収められている。流延室64には、その内部温度を所定の値に保つための温調設備65と、揮発している有機溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)66とが設けられている。そして、凝縮液化した有機溶媒を回収するための回収装置67が流延室64の外部に設けられている。また、流延ダイ31から流延バンド34にかけて形成される流延ビードの背面部を圧力制御するための減圧チャンバ68が配されていることが好ましく、本実施形態においてもこれを使用している。
流延膜69中の溶媒を蒸発させるため送風口70、71、72が流延バンド34の周面近くに設けられている。
渡り部80には、送風機81が備えられ、テンタ式乾燥機35の下流の耳切装置40には、切り取られたフィルム82の側端部(耳と称される)の屑を細かく切断処理するためのクラッシャ90が接続されている。
乾燥室41には、多数のローラ91が備えられており、蒸発して発生した溶媒ガスを吸着回収するための吸着回収装置92が取り付けられている。冷却室42の下流には、フィルム82の帯電圧を所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように調整するための強制除電装置(除電バー)93が設けられている。更に、本実施形態においては、フィルム82の両縁にエンボス加工でナーリングを付与するためのナーリング付与ローラ94が強制除電装置93の下流に適宜設けられる。また、巻取室43の内部には、フィルム82を巻き取るための巻取ローラ95と、その巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ96とが備えられている。
次に、以上のようなフィルム製造ライン20を使用してフィルム82を製造する方法の一例を以下に説明する。
ドープ22は、攪拌機61の回転により常に均一化されている。ドープ22には、この攪拌の際にもレターデーション発現剤、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を混合させることもできる。
ドープ22は、ポンプ62により濾過装置30に送られてここで濾過された後に、流延ダイ31から流延バンド34上に流延される。
流延ダイ31から流延バンド34にかけては流延ビードが形成され、流延バンド34上には流延膜69が形成される。流延時のドープ22の温度は、−10℃〜57℃であることが好ましい。
流延ダイ31からドープ22は流延ビードを形成して、流延バンド34上に流延される。
流延膜69は流延バンド34の移動に伴い移動する。
次に、流延膜69は送風口73が上部に配置されている箇所まで連続的に搬送される。送風口73のノズルから乾燥風が流延膜69に向けて送風される。
流延膜69は、乾燥により溶媒が蒸発した結果、自己支持性を有するものとなった後に、湿潤フィルム74として剥取ローラ75で支持されながら流延バンド34から剥ぎ取られる。剥ぎ取り時の残留溶媒量は、固形分基準で20質量%〜250質量%であることが好ましい。
その後に多数のローラが設けられている渡り部80を搬送させて、テンタ式乾燥機35に湿潤フィルム74を送り込む。渡り部80では、送風機81から所望の温度の乾燥風を送風することで湿潤フィルム74の乾燥を進行させる。このとき乾燥風の温度が、20℃〜250℃であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記光学フィルムを延伸する工程を含むことが好ましい。
湿潤フィルム74は、搬送方向(MD方向)および直交する幅方向(TD方向)のいずれかに延伸することが好ましい。搬送方向および幅方向への延伸により、透湿度を低減することができる。また、支持体での乾燥時及び剥ぎ取り時に発生したムラを軽減しフィルム面内で良好な面状を得ることが出来る。
テンタ式乾燥機35に送られている湿潤フィルム74は、その両端部がクリップで把持されて搬送されながら乾燥される。幅方向への延伸は、この際、テンタ式乾燥機35を用いて行うことができる。
なお、テンタ式乾燥機35の内部を温度ゾーンに区画分割して、その区画毎に乾燥条件を適宜調整することが好ましい。
このように、渡り部80及び/又はテンタ式乾燥機35で湿潤フィルム74を幅方向に延伸することができる。
また、搬送方向への延伸を行ってもよく、渡り部80で下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度より速くすることにより湿潤フィルム74に搬送方向にドローテンションを付与させて行うことができる。
ここで、渡り部80及び/又はテンタ式乾燥機35において、湿潤フィルム74を未延伸のまま乾燥し、フィルム中の残留溶剤量が3.0%質量以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である乾燥フィルムとした後に、延伸を行ってもよい。
なお、乾燥フィルムを延伸する場合、未延伸のまま乾燥フィルムを作製して一度巻き取った後、更に延伸を行ってもよい。
延伸に用いる高分子膜は乾燥フィルムでも湿潤フィルムでも良いが、湿潤フィルムであることがより好ましい。
幅方向の延伸倍率は1.1〜5.0倍であることが好ましく、1.2〜5.0倍であることが好ましく、1.3〜5.0倍であることが特に好ましい。搬送方向の延伸倍率は1.0〜5.0倍であることが好ましい。なお、搬送方向には意図的にドローテンションをかけて延伸しない場合でも搬送によるテンションがかかるため、結果的に1.01〜1.1倍程度の倍率で延伸されたフィルムが得られることもある。
延伸時の温度は、乾燥後の未延伸の高分子膜のガラス転移温度Tgに対してTg±30℃の温度範囲とすることが好ましい。ここで、乾燥後の未延伸の高分子膜のガラス転移温度とは、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度である。この温度範囲で延伸は、フィルムのハンドリング適性がよく、高分子膜を破断させることなく所望の光学フィルムを作製することができる。(Tg−30℃)以上で延伸することにより、フィルムの破断を防ぎ、フィルム内でのRthのばらつきを抑えることができる。また(Tg+30℃)以下で延伸することで、フィルムの自重により延伸を防ぎ、フィルム内でのRthのばらつきを抑えることができる。また、フィルム内の相分離による全ヘイズ、内部ヘイズの増加を抑えることができる。
このように延伸処理は湿潤フィルム74を製膜後、渡り部80及びテンタ式乾燥機35を経る乾燥工程で行ってもよいし、湿潤フィルム74を乾燥後巻き取った後に行ってもよい。
流延条件は、未延伸でフィルムを作製した場合に、フィルムの膜厚が10〜200μmとなるような条件で行うことが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜120μmが更に好ましく、40〜100μmとなるような条件とすることが最も好ましい。
この範囲にあると、延伸後のフィルムの膜厚を小さくでき、湿度変化時、高温時及び高温高湿環境経時後のレターデーション変化が小さくなり、更に使用する樹脂が少なく安価なフィルムが製造できるので好ましい。
湿潤フィルム74は、テンタ式乾燥機35で所定の残留溶媒量まで乾燥された後、フィルム82として下流側に送り出される。フィルム82の両側端部は、耳切装置40によりその両縁が切断される。切断された側端部は、図示しないカッターブロワによりクラッシャ90に送られる。クラッシャ90により、フィルム側端部は粉砕されてチップとなる。このチップはドープ調製用に再利用されるので、この方法はコストの点において有効である。なお、このフィルム両側端部の切断工程については省略することもできるが、前記流延工程から前記フィルムを巻き取る工程までのいずれかで行うことが好ましい。
両側端部を切断除去されたフィルム82は、乾燥室41に送られ、更に乾燥される。乾燥室41内の温度は、特に限定されるものではないが、50℃〜160℃の範囲であることが好ましい。乾燥室41においては、フィルム82は、ローラ91に巻き掛けられながら搬送されており、ここで蒸発して発生した溶媒ガスは、吸着回収装置92により吸着回収される。溶媒成分が除去された空気は、乾燥室41の内部に乾燥風として再度送風される。なお、乾燥室41は、乾燥温度を変えるために複数の区画に分割されていることがより好ましい。
フィルム82は、冷却室42で略室温まで冷却される。なお、乾燥室41と冷却室42との間に調湿室(図示しない)を設けてもよく、この調湿室でフィルム82に対して、所望の湿度及び温度に調整された空気を吹き付けられることが好ましい。これにより、フィルム82のカールの発生や巻き取る際の巻き取り不良の発生を抑制することができる。
また、強制除電装置(除電バー)93により、フィルム82が搬送されている間の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)とされる。更に、ナーリング付与ローラ94を設けて、フィルム82の両縁にエンボス加工でナーリングを付与することが好ましい。
最後に、フィルム82を巻取室43内の巻取ローラ95で巻き取る。この際には、プレスローラ96で所望のテンションを付与しつつ巻き取ることが好ましい。なお、テンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましい。巻き取られるフィルム82は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、フィルム82の幅が600mm以上であることが好ましく、1100mm以上2900mm以下であることがより好ましく、1800mm以上2500mm以下が更に好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法における溶液製膜方法において、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時積層共流延又は逐次積層共流延させることもできる。更に両共流延を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う際には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いてもよいし、マルチマニホールド型流延ダイを用いてもよい。共流延により多層からなるフィルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フィルム全体の厚みの0.5%〜30%であることが好ましい。更に、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましい。また、同時積層共流延を行なう場合には、ダイスリットから支持体にかけて形成される流延ビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
流延ダイ、減圧チャンバ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フィルム回収方法まで、特開2005−104148号の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されている。
また、上記では、本発明の光学フィルムの製造方法の一例を、ドープをバンド上に流延させた例で説明したが、ドープをドラム上に流延させてもよい。
<アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角>
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が挙げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることが更に好ましい。
アルカリ鹸化処理の1つの例としては、光学フィルムを1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥する方法等が挙げられるが、本発明ではこの条件、方法に限定されない。
アルカリ鹸化液としては特に限定されないが、水酸化ナトリウムの他に、例えば他に水酸化カリウムなどを用いることもできる。
アルカリ鹸化液の濃度は特に限定されないが、フィルムの面状とケン化性能の観点から、0.1規程〜10規程が好ましく、1.0〜8.0規程がより好ましく、1.0規程〜5.0規程が特に好ましい。
<表面処理>
光学フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、光学フィルムと他の層(例えば、偏光子、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
<機能層>
また本発明の光学フィルムは、すくなくとも一方の表面に、機能層を積層してもよい。この機能層の種類は特に限定されないが、ハードコート層、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層、低透湿層(透湿度低減層)などが挙げられる。
前記機能層は、1層であってもよいし、複数層設けてもよい。
(低透湿層の組成)
前記機能層として、低透湿層を好ましく用いることができる。
本発明の光学フィルムに用いることができる低透湿層は、分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合を有する化合物を含む組成物から形成されてなる層、または、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂を有する層であることが好ましく、分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合を有する化合物を含む組成物から形成されてなる層であることがより好ましい。
前記分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層について説明する。
《分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層》
本発明において、分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層は、低透湿性を付与するために、環状脂肪族炭化水素基を有し、かつ分子内に不飽和二重結合基を有する化合物を含有し、必要に応じて更に、重合開始剤、透光性粒子、含フッ素又はシリコーン系化合物、溶剤を含有する組成物を、支持体上に直接又は他の層を介して塗布・乾燥・硬化することにより形成することができる。以下各成分について説明する。なお、組成物または層の主成分とは、その組成物またはその層の50質量%以上を占める成分のことを言う。
〔分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物〕
分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物はバインダーとして機能する。また、環状脂肪族炭化水素基を有し、不飽和二重結合基を有する化合物は、硬化剤として機能することができ、塗膜の強度や耐擦傷性を向上させることが可能となると同時に低透湿性を付与することができる。
このような化合物を用いることによって、低透湿性と高い膜強度を実現できる。詳細は明らかではないが、分子内に環状脂肪族炭化水素基を有する化合物を用いることで、低透湿層に疎水的な環状脂肪族炭化水素基を導入し、疎水化することで、外部から分子の取り込みを防止し、透湿度を低下させる。また、分子内に不飽和二重結合基を有することで、架橋点密度を上げ、低透湿層中の水分子の拡散経路を制限する。架橋点密度を上げることは、環状脂肪族炭化水素基の密度を相対的に上昇させる効果も有り、低透湿層内をより疎水的にし、水分子の吸着を防止し、透湿度を低下させると考えられる。
架橋点密度を上げるために分子内に有する不飽和二重結合基の数は2以上であることがより好ましい。
環状脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数7以上の脂環式化合物から誘導される基であり、より好ましくは炭素数10以上の脂環式化合物から誘導される基であり、さらに好ましくは炭素数12以上の脂環式化合物から誘導される基である。
環状脂肪族炭化水素基としては、特に好ましくは、二環式、三環式等の、多環式化合物から誘導される基である。
より好ましくは、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開昭2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格、あるいは、アダマンタン誘導体の骨格等が挙げられる。
環状脂肪族炭化水素基としては具体的には、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロドデカニル、ペンタシクロペンタデカニル、アダマンチル、ジアマンタニル等が挙げられる。
不飽和二重結合基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基及び−C(O)OCH=CH2が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
環状脂肪族炭化水素基を有し、かつ分子内に3個以上の不飽和二重結合基を有する化合物は、上記の環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合を有する基が連結基を介して結合することにより構成される。
連結基としては、単結合、炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基、N位が地置換されていてもよいアミド基、N位が置換されていてもよいカルバモイル基、エステル基、オキシカルボニル基、エーテル基等、及びこれらを組み合わせて得られる基が挙げられる。
これらの化合物は、例えば、上記環状脂肪族炭化水素基を有するジオール、トリオール等のポリオールと、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を有する化合物のカルボン酸、カルボン酸誘導体、エポキシ誘導体、イソシアナート誘導体等との一段あるいは二段階の反応により容易に合成することができる。 好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの化合物や、WO2012/00316A号記載の化合物(例、1、1―ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアナート)を用いて、上記環状脂肪族炭化水素基を有するポリオールとの反応させることにより合成することができる。
〔重合開始剤〕
分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物には、重合開始剤を含むことが好ましいが、重合開始剤としては光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/イルガキュア184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、「イルガキュア127」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
本発明に用いられる分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物中の光重合開始剤の含有量は、前記組成物に含まれる重合可能な化合物を重合させ、かつ開始点が増えすぎないように設定するという理由から、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
〔溶剤〕
本発明に用いられる分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、モノマーの溶解性、塗工時の乾燥性、透光性粒子の分散性等を考慮し、各種溶剤を用いることができる。係る有機溶剤としては、例えばジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−プチロラクトン、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記基材フィルムがセルロースアシレートフィルムの場合、炭酸ジメチル、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトンのうち少なくとも1種類を用いることが好ましく、炭酸ジメチル、酢酸メチルの何れかがより好ましく、酢酸メチルが特に好ましい。
本発明に用いられる分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物の固形分の濃度は20〜80質量%の範囲となるように溶媒を用いるのが好ましく、より好ましくは30〜75質量%であり、更に好ましくは40〜70質量%である。
一方、前記塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂を有する層については特開2008−230036号公報の[0042]〜[0058]に記載の被覆層を好ましく用いることができる。塩化ビニリデンを主成分とする組成物から形成されてなる層を形成するための成分としては、特開2008−230036号公報の[0042]〜[0058]に記載の被覆層の材料の中でも、旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」などを用いることが好ましい。
なお、組成物または層の主成分とは、その組成物またはその層の50質量%以上を占める成分のことを言う。
(低透湿層の構成、製造方法)
前記低透湿層は、1層であってもよいし、複数層設けてもよい。前記低透湿層の積層方法は特に限定されないが、前記低透湿層を基材フィルムとの共流延として作成すること、または、前記低透湿層を前記基材フィルム上に塗布で積層して設けることが好ましく、前記低透湿層を前記基材フィルム上に塗布で積層して設けることがより好ましい。すなわち、本発明の光学フィルムは、前記低透湿層が、前記基材フィルム上に塗布により積層されてなることがより好ましい。
(低透湿層の膜厚)
前記低透湿層の膜厚は、1〜20μmであることが好ましく、2〜18μmであることがより好ましく、3〜17μmであることが特に好ましい。
本発明の光学フィルムの低透湿層はハードコート層機能、反射防止機能、防汚機能などを併せて持たせることも好ましい。
(その他の機能層−光学異方性層−)
本発明の光学フィルムは、他に光学異方性層を有していてもよく、その好ましい態様の一例として断面模式図を図2に示す。
図2に示す光学フィルム10は、透明支持体14、光学異方性層12、及び基材16を有し、光学異方性層12は、位相差を生じさせる層であって、一定の位相差を有する膜が面内均一に形成された光学異方性層であってもよいし、遅相軸や位相差等が互いに異なる領域が規則的に面内に配置されたパターン光学異方性層であってもよい。
図2の態様の光学フィルムでは、前記分子量が200以上であり、かつ下記式(1)を満たす透湿度低減化合物は、透明支持体14に含まれていてもよいし、基材16に含まれていてもよい。
前記、一定の位相差を有する膜が面内均一に形成された光学異方性層としては、λ/4膜が好ましく、λ/4膜を光学異方性層とする光学フィルムの具体的な態様については、特開2012−098721号公報、特開2012−103689号公報、特開2012−177894号公報に記載された光学異方性層、及び光学フィルムを適宜、利用することができる。
λ/4膜を光学異方性層とする光学フィルムは、輝度向上板、3D液晶表示装置等に使用でき、特にアクティブ方式の3D液晶表示装置の部材として有用である。
次に前記パターン光学異方性層12の代表例となる断面模式図を図3に示す。
画像表示装置内に、第1及び第2の位相差領域12a及び12bが、均等且つ対称に配置されたパターン光学異方性層である。第1及び第2の位相差領域12a及び12bは、互いに直交する面内遅相軸a及びbをそれぞれ有することが好ましい。
さらに、第1及び第2位相差領域12a、12bの面内遅相軸a及びbが互いに直交するとともに、面内レターデーションReがλ/4であるパターンλ/4層であることが好ましい。この態様のパターン光学異方性層を偏光膜と組み合わせると、第1及び第2位相差領域のそれぞれを通過した光は互いに逆向きの円偏光状態になり、それぞれ右眼及び左眼用の円偏光画像を形成する。
前記のパターンλ/4層を光学異方性層とする光学フィルムの具体的な態様については、特許第4825934号公報、特許第4887463号公報に記載された光学異方性層、及び光学フィルムを適宜、使用することができる。
前記の光学フィルム10は、3D液晶表示装置、特にパッシブ方式の3D液晶表示装置の部材として有用である。この態様では、第1及び第2位相差領域12a及び12bのそれぞれを通過した偏光画像は、偏光眼鏡等を介して右眼用又は左眼用の画像として、認識される。従って、左右画像が不均一とならないように、第1及び第2位相差領域12a及び12bは、互いに等しい形状であるのが好ましく、また、それぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。
前記パターン光学異方性層12は、図3に示す態様に限定されるものではなく、例えば、第1及び第2位相差領域の一方の面内レターデーションがλ/4であり、且つ他方の面内レターデーションが3λ/4である表示画素領域を利用することができる。さらに、第1及び第2位相差領域12a及び12bの一方の面内レターデーションがλ/2であり、且つ他方の面内レターデーションが0である位相差領域を利用することもできる。
機能層を塗布・乾燥にて形成する場合には、バインダーとしてエチレン性不飽和基をもつモノマーを用いることが好ましい。前記モノマーは、単官能であっても多官能であってもよい。なかでも重合性の多官能モノマーを用いることが好ましく、光重合性多官能モノマーを用いることがより好ましく、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを含有した塗布液を用いることが特に好ましい。
該2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
更にはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。多価アルコールとは、2価以上のアルコールをいう。
更に好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
さらに、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。
その他の前記多官能モノマーとしては、例えば特開2005−76005号公報、同2005−36105号公報に記載されたデンドリマーを用いることもできる。
また、多官能モノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類、多価アルコールと複数の(メタ)アクリロイル基を含有するイソシアネートとのアミド類も好ましく用いられる。
多価アルコールとしては、特に制限されないが、脂肪族アルコールが好ましく、なかでも環状脂肪族炭化水素基を持つアルコールがより好ましい。単環式の脂環式アルコールの脂肪族基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
多環式の脂環式アルコールの脂肪族基としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
なかでも、多環式のアルコールとしては、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格を持つ多価アルコール類が、透湿度を低下させる観点から特に好ましい。
重合性多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
また、前記重合性多官能モノマーと、単官能モノマーを併用することも好ましい。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマーが好ましく、通常(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマーは、1価のアルコールとアクリル酸から得られる。
前記の1価のアルコールは、芳香族アルコールであっても、脂肪族アルコールであってもよい。
1価のアルコールとしては、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルが挙げられる。
また、脂肪族アルコールの脂肪族部分については、環状脂肪族であってもよい。環状脂肪族としては単環型でもよく、多環型でもよく、多環型の場合は有橋式であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
1価のアルコールは、芳香族アルコールであっても脂肪族アルコールであっても、炭素数6以上が好ましい。
(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
また、機能層として反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層、透湿度低減層とするために、各種添加物を添加してもよい。
前記機能層の厚みは、0.01〜100μmであることがより好ましく、0.02〜50μmであることが特に好ましい。さらに、透湿度を低減する機能層としては、厚み0.1〜20μmであることがより特に好ましい。
前記の透湿度を低減する機能層を用いる場合、機能層を積層した光学フィルムの透湿度(C)と、積層なしの光学フィルムの透湿度(D)とが、C/Dが0.9以下となることがのぞましい。0.85以下であることがよりのぞましく、0.8以下であることがさらにのぞましい。
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとしても用いることができる。液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、及び該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の本発明の光学フィルムを光学補償フィルムとして配置した構成であることが更に好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANモードの液晶表示装置が好ましく、TN、OCB、IPS及びVAモードの液晶表示装置がより好ましく、VAモードの液晶表示装置が更に好ましい。
その際に、本発明の光学フィルムには各種の機能層を付与してもよい。機能層としては、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学異方性層、配向層、液晶層などである。これらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして用いることができる。この場合、液晶表示装置の光学補償フィルムと偏光板用保護フィルムとを兼ねることができる。偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。また前記のような表面処理を行ってもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶セルを含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板用保護フィルムは、2枚の偏光板のいずれの保護フィルムとして用いることができるが、各偏光板の2枚の保護フィルムのうち、偏光子に対して液晶セル側に配置される保護フィルムとして用いられることが好ましい。
(光学補償フィルム)
本発明の光学フィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
本発明の光学フィルムは、それ自体を光学補償フィルムとしてもよいし、光学補償フィルムの支持体として用いて、その上に光学異方性層を設けてもよい。光学異方性層は、本発明の光学フィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成してもよい。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、該液晶セルの少なくとも一方に配置された本発明の偏光板とを含み、前記偏光板中に含まれる本発明の光学フィルムが最表層となるように配置されたことを特徴とする。
(一般的な液晶表示装置の構成)
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び必要に応じて該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、更にガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明の光学フィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(TwistedNematic)、IPS(In−PlaneSwitching)、FLC(FerroelectricLiquidCrystal)、AFLC(Anti−ferroelectricLiquidCrystal)、OCB(OpticallyCompensatoryBend)、STN(SuperTwistedNematic)、VA(VerticallyAligned)、ECB(ElectricallyControlledBirefringence)、及びHAN(HybridAlignedNematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
まず、実施例で使用したセルロースエステルについて説明する。
(セルロースエステル)
下記表1に記載のアセチル基置換度の異なるセルロースアセテートCA1、CA2を使用した。
これらのセルロースアセテートCA1、CA2は、以下のように合成した。
セルロースに触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加して40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の量を調整することでアセチル基の置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースエステルの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
(透湿度低減化合物)
下記に示す構造の透湿度低減化合物を用いた。
CA1を用いるときの化合物A−1のA/Bの値は、CA1に対して化合物A−1を10質量%添加した参考例1の光学フィルムを別途製造してその厚み40μm換算の透湿度をAとし、CA1に対して透湿度低減化合物の添加なしとした参考例4の光学フィルムを別途製造してその厚み40μm換算の透湿度をBとして、これらの値から求めた。
CA1を用いるときの化合物B−7のA/Bの値は、CA1に対して化合物B−7を10質量%添加した参考例2の光学フィルムを別途製造してその厚み40μm換算の透湿度をAとし、透湿度低減化合物の添加なしとした参考例5の光学フィルムを別途製造してその厚み40μm換算の透湿度をBとして、これらの値から求めた。
CA2を用いるときの化合物A−1のA/Bの値は、CA2に対して化合物A−1を10質量%添加した参考例3の光学フィルムを別途製造してその厚み40μm換算の透湿度をAとし、CA2に対して透湿度低減化合物の添加なしとした上記参考例4の光学フィルムの厚み40μm換算の透湿度をBとして、これらの値から求めた。
なお、比較例1で添加剤として用いたTPPのA/Bの値も同様にして求めたところ、0.63であった。
Figure 0006013870
(紫外線吸収剤)
下記に記載の紫外線吸収剤を使用した。
UV剤1:チヌビン328(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
[実施例1]
<光学フィルムの作製>
(ドープ調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
(ドープ組成)
セルロースエステル樹脂 CA1 100質量部
透湿度低減化合物 A−1 30質量部
紫外線吸収剤 UV−1 2.4質量部
ジクロロメタン 450質量部
メタノール 59質量部
ドープの固形分濃度(セルロースエステル、透湿度低減化合物、紫外線吸収剤の合計濃度)は22質量%であった。
図1に示したようなバンド流延装置を用い、前記調製したドープを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで、130℃で乾燥を行った。
<光学フィルムの評価>
その後、得られた未延伸フィルムを実施例1の光学フィルム(フィルムNo.3)とした。得られた実施例1の光学フィルムの膜厚、透湿度、ReおよびRthを測定した。得られた結果は下記表1に示す。
(透湿度)
透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値をもとめた。フィルムが40μmでない場合は、40μm厚みに換算した値を用いた。
また、得られたフィルムの透湿度をaとし、用いたセルロースエステルの種類に応じて上記の参考例4または5のフィルムの透湿度をBとして、a/Bの値を計算した。
(Re、Rth)
サンプルフィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃、相対湿度60%において、フィルム表面に対し垂直方向及び遅相軸を回転軸としてフィルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長590nmにおける位相差を測定して、面内レターデーション値(Re)と膜厚方向のレターデーション値(Rth)とを算出した。
<光学フィルムを用いた偏光板の作製>
1)フィルムの鹸化
作製した実施例1の光学フィルムおよび市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックZRD40、富士フイルム(株)製)を、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
2)偏光子の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて厚み20μmの偏光子を作製した。
3)貼り合わせ
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に上記鹸化した実施例1のフィルムを、もう片側に上記鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(ZRD40)を貼り付け、70℃で10分以上乾燥し、偏光板を作製した。ここで、偏光子の透過軸と実施例1の光学フィルムの搬送方向とが直交するように、つまり偏光子の透過軸とフィルムの遅相軸とが平行または直交となるように配置した。
[実施例2〜6、比較例1]
(光学フィルム実施例2〜6、比較例1の光学フィルムの作製)
実施例1の光学フィルムの作製において、透湿度低減化合物の種類および量を表1のように変えて固形分濃度22質量%のドープとした。この際、溶剤であるジクロロメタンおよびエタノールを実施例1の光学フィルムの作製と同じ混合質量比で一定となるようにして固形分濃度22質量%で同一とした。それ以外の流延製膜条件は実施例1の光学フィルムと同様にして実施例2〜6の光学フィルム、比較例1の光学フィルムを作製した。
[実施例7]
<光学フィルムの作製>
(透湿度低減化合物)
・C−1 住友ベークライト社 ノボラック樹脂 PR−HF−3
CA2を用いるときの化合物C−1のA/Bの値は、CA2に対して化合物C−1を10質量%添加した参考例3の光学フィルムを別途製造してその厚み40μm換算の透湿度をAとし、CA2に対して透湿度低減化合物の添加なしとした上記参考例5の光学フィルムの厚み40μm換算の透湿度をBとして、これらの値から求めた。
(ドープ調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
(ドープ組成)
セルロースエステル樹脂 CA2 100質量部
透湿度低減化合物 C−1 30質量部
紫外線吸収剤 UV−1 2.4質量部
ジクロロメタン 450質量部
メタノール 59質量部
ドープの固形分濃度(セルロースエステル、透湿度低減化合物、紫外線吸収剤の合計濃度)は21質量%であった。
図1に示したようなバンド流延装置を用い、前記調製したドープを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで、130℃で乾燥を行った。
[実施例8]
実施例7において流延支持体から剥離したあと、渡り部で下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度より速くすることにより搬送方向の延伸を行い、温度120℃で搬送方向(MD)に30%およびテンターで搬送方向の直交方向(TD方向)に35%延伸し、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った。
得られた各実施例および比較例の光学フィルムの膜厚、透湿度、ReおよびRthを実施例1と同様にして測定した。得られた結果を下記表1に記載した。
(偏光板の作製)
実施例1の偏光板と同様の方法で、実施例2〜8の光学フィルムを用いた実施例2〜8の偏光板および比較例1の光学フィルムを用いた比較例1の偏光板も同様に作製した。
[比較例2]
国際公開第2009/047924号記載の光学フィルム番号38を実施例に従って作成し、比較例2の光学フィルムとした。比較例2の光学フィルムを上記鹸化工程を通して、偏光子と貼合したが、密着が不十分で、直ぐに剥がれが発生した。
[パネルの評価]
<IPSパネルへの実装>
IPSモード液晶セル(LGC製 42LS5600)の上下の偏光板を剥がし、上記偏光板を各実施例および比較例の光学フィルムが外側になるように液晶セルに貼りつけた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
以上のようにして作製した液晶表示装置の湿度変化時のパネル反りを以下の方法で評価した。
(高温高湿環境経時後のパネル反り)
液晶表示装置を60℃、相対湿度90%で48時間経過させた後、25℃、相対湿度60%の環境下で液晶表示装置を分解し、液晶セルの反り量をパネル反りとして測定した。
得られた結果を下記表1に記載した。
Figure 0006013870
上記表1より、実施例1〜8の光学フィルムを用いた偏光板を42インチ液晶セルに実装した結果、比較例の光学フィルムと比較して、液晶セルの反りが低減したことが確認でき、表示ムラが減少することがわかった。
10 光学フィルム
12 パターン光学異方性層
12a 第1の位相差領域
12b 第2の位相差領域
14 透明支持体
a 第1の位相差領域の面内遅相軸
b 第2の位相差領域の面内遅相軸
20 フィルム製造ライン
21 ストックタンク
22 ドープ
30 濾過装置
31 流延ダイ
32 回転ローラ
33 回転ローラ
34 流延バンド
35 テンタ式乾燥機
40 耳切装置
41 乾燥室
42 冷却室
43 巻取室
60 モータ
61 攪拌機
62 ポンプ
63 伝熱媒体循環装置
64 流延室
65 温調設備
66 凝縮器(コンデンサ)
67 回収装置
68 減圧チャンバ
69 流延膜
70 送風口
71 送風口
72 送風口
73 送風口
74 湿潤フィルム
75 剥取ローラ
80 渡り部
81 送風機
82 フィルム
90 クラッシャ
91 ローラ
92 吸着回収装置
93 強制除電装置(除電バー)
94 ナーリング付与ローラ
95 巻取ローラ
96 プレスローラ

Claims (14)

  1. セルロースエステルを含む光学フィルムであって、
    前記光学フィルムの透湿度が350g/m2/day以下(厚み40μm換算)であり、
    分子量が200以上であり、かつ下記式(1)を満たす透湿度低減化合物を前記セルロースエステル100質量部に対して30〜80質量%み、
    前記光学フィルムが下記式(2)を満たす光学フィルム。
    式(1) A/B≦0.6
    (式(1)中、Aは前記セルロースエステルの質量に対して当該透湿度低減化合物を10質量%添加した場合の光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記セルロースエステルを含みかつ透湿度低減化合物を添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
    式(2) a/B≦0.6
    (式(2)中、aは光学フィルムの透湿度を表し、Bは透湿度低減化合物の添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
  2. ポリマー成分全体に対するセルロースエステルの含有割合が70質量%を超える請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記透湿度低減化合物が、下記一般式(A)で表される化合物、下記一般式(B)で表される化合物およびノボラック系化合物から選ばれる化合物のうち少なくとも1種である請求項1または2に記載の光学フィルム。
    Figure 0006013870
    一般式(A)中、R 1 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 8 およびR 9 は水素原子および炭素数1〜12のアルキル基から選ばれるいずれかであり、
    2 は炭素数1〜12のアルコキシ基であり、
    7 は水素原子および炭素数1〜20のアルキル基から選ばれるいずれかである。
    Figure 0006013870
    一般式(B)中、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 21 、R 23 、R 24 、R 25 、R 32 、R 33 、R 34 、R 35 、R 36 は、それぞれ、水素原子またはアルキル基、アリール基およびアルコキシ基から選ばれるいずれかであり、これらの基は置換基によって置換されていてもよく、
    12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 21 、R 23 、R 24 、R 25 、R 32 、R 33 、R 34 、R 35 およびR 36 のうち少なくとも1つはヒドロキシ基である。
  4. 前記一般式(A)で表される化合物が下記から選ばれる化合物のうち少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
    Figure 0006013870
  5. 前記一般式(B)で表される化合物が下記から選ばれる化合物のうち少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
    Figure 0006013870
  6. 厚みが60μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  7. 下記式(I)及び下記式(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び下記式(IV)を満たす請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
    式(I) Re=(nx−ny)×d
    式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    式(III) |Re|≦50nm
    式(IV) |Rth|≦300nm
    (式(I)〜(IV)中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
  8. 少なくとも一方の表面に、厚み0.1〜20μmの機能層を有する請求項1〜のいずれかに記載の光学フィルム。
  9. 前記機能層を積層した場合の光学フィルムの透湿度(C)と、前記機能層の積層なしの場合の光学フィルムの透湿度(D)とが、C/D≦0.9となる請求項に記載の光学フィルム。
  10. セルロースエステル、および透湿度低減化合物を含む高分子溶液を支持体上に流延して高分子膜を形成する工程を含み、
    前記透湿度低減化合物の分子量が200以上であり、
    前記透湿度低減化合物が下記式(1)を満たす光学フィルムの製造方法であって、
    前記透湿度低減化合物を前記セルロースエステル100質量部に対して30〜80質量%含み、
    前記光学フィルムが下記式(2)を満たす光学フィルムの製造方法。
    式(1) A/B≦0.6
    (式(1)中、Aは前記セルロースエステルの質量に対して当該透湿度低減化合物を10質量%添加した場合の光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記セルロースエステルを含みかつ透湿度低減化合物を添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
    式(2) a/B≦0.6
    (式(2)中、aは光学フィルムの透湿度を表し、Bは透湿度低減化合物の添加なしの場合の光学フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度はJIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値を40μm厚みに換算した値である。)
  11. 前記光学フィルムを延伸する工程を含む請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
  12. ポリマー成分全体に対するセルロースエステルの含有割合が70質量%を超える請求項10または11に記載の光学フィルムの製造方法。
  13. 偏光子の保護フィルムとして請求項1〜のいずれかに記載の光学フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
  14. 液晶セルと、
    該液晶セルの少なくとも一方に配置された請求項13に記載の偏光板とを含み、
    前記光学フィルムが最表層となるように配置された液晶表示装置。
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