JP2006219572A - セルロース誘導体組成物、フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロース誘導体組成物、フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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内田  修
Nobutaka Fukagawa
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Abstract

【課題】 低透湿性であり、且つ厚み方向のRthが小さいセルロース誘導体のフィルム、及び該フィルムの作製に有用な組成物を提供する。
【解決手段】 セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種とを含有する組成物、及び該組成物から形成されたフィルムを提供する。
【化1】
Figure 2006219572

【選択図】 なし

Description

本発明は、種々の光学フィルムの作製に有用なセルロース誘導体組成物および該組成物からなるフィルムに関する。該組成物からなるフィルムは、偏光板の保護膜等液晶表示装置の種々の部材として、また感光材料の支持体として有用である。
セルロースアシレートフィルムは、その強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いられている。例えば、セルロースアシレートフィルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、セルロースアシレートフィルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示装置における具体的な用途としては、偏光板の保護フィルム、光学補償シートの支持体およびカラーフィルターが代表的である。これらの用途に用いられるセルロースアシレートフィルムには、高温・高湿下で使用された場合にも、偏光層、感光層等への水分の浸入を防止し得る低透湿性と、液晶表示装置等の光学設計を複雑化しないために、光学異方性(特に厚み方向のレターデーション)が小さいことが要求される。
例えば、特定の脂肪酸エステルを含有することにより、光学異方性を低下させたセルロースエステルフィルムが提案されている(特許文献1)。しかし、光学異方性は低下傾向にあるが、高温高湿下における低透湿性については不充分であり、さらなる改善が求められる。また、フィルムの製造工程中の熱処理や加熱により、前記脂肪酸エステルがフィルム中から揮散するなどの問題もある。また、従来、リン酸トリエステル、フタル酸ジエチル等の可塑剤を、フィルム中に添加することがしばしば行われている。これらの可塑剤を添加することにより、透湿性がある程度低下することが知られているが、添加量を増大していくと、フィルムのガラス転移点が降下し、フィルムの寸法安定性が低下したり、フィルムの白濁が生じるなどの問題が生じる。また、Rth(厚み方向リタデーション値)が大きくなり、光学異方性が増大する場合もあり、さらに、フィルムの製造工程中の熱処理や加熱により、前記可塑剤がフィルム中から揮散するなどの問題もある。
特開2001−247717号公報 特開平9−95557号公報
本発明は、高温・高湿下で使用された場合も低透湿性であり、且つ光学異方性、特に厚み方向のRth、が小さいセルロース誘導体のフィルム、及び該フィルムの作製に有用な組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、高温・高湿下で使用された場合も性能の低下が小さい偏光板、及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含有する組成物;
Figure 2006219572
式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、X1およびX2は下記の連結基群1から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表し、Yは下記の連結基群2から選ばれる1種以上の基から形成される2価、および/または3価の連結基を表し;
(連結基群1)
単結合、−O−、−CO−、−NR7−(R7は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン;
(連結基群2)
単結合、−O−、−CO−、−NR8−(R8は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基;
nは1または2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよい。
[2] セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(2)で表される化合物の少なくとも1種とを含有する組成物;
Figure 2006219572
式中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6はそれぞれ独立に、5または6員環を表し、X4およびX5はそれぞれ独立に、C−OH又はP=Oを表し、Y2は単結合、2価の連結基、または3価の連結基を表し、nは1又は2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよく、k及びlはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6は可能な限り互いに結合して環を形成していてもよい。
[3] セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種とを含有する組成物;
Figure 2006219572
式中、X6およびX7はそれぞれ独立に、C−OH又はP=Oを表し、Y3は単結合、2価の連結基、または3価の連結基を表し、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に置換基を表し、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ互いに環を形成していてもよく、nは1または2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよく、k1、k2、k5およびk6はそれぞれ0〜5の整数を表し、k3およびk4はそれぞれ0〜4の整数を表し、k1、k2、k3、k4、k5およびk6が2以上の場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
[4] 前記セルロース誘導体の少なくとも1種が、セルロースアシレートである[1]〜[3]のいずれかの組成物。
[5] セルロース誘導体の少なくとも一種と、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を含有するフィルム。
[6] 少なくとも、偏光膜と、[1]〜[4]のいずれかの組成物からなるフィルムとを有する偏光板。
[7] [1]〜[4]のいずれかの組成物からなるフィルムを少なくとも一つ有する液晶表示装置。
前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物には、セルロースアシレートの光学的異方性を小さくし、且つ低透湿性に寄与するという優れた作用効果を奏する。そのため、上記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物を用いることで、光学的異方性が小さく、且つ低透湿性のセルロースアシレートが得られる。また、本発明の組成物は、冷却溶解法のようなフィルムの光学的異方性が高くなりやすい製造方法でフィルムを作製する場合に用いると特に有効である。
即ち、本発明によれば、高温・高湿下で使用された場合も低透湿性であり、且つ光学異方性、特に厚み方向のRth、が小さいセルロース誘導体のフィルム、及び該フィルムの作製に有用な組成物を提供することができる。また、本発明によれば、高温・高湿下で使用された場合も性能の低下が小さい偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。
[組成物]
本発明の組成物は、セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも一種を含有する。本発明の組成物は、種々の用途に用いられるセルロースアシレート誘導体フィルムの作製に有用な組成物である。下記一般式(1)〜(2)のいずれかで表される化合物は、フィルムの透湿性を低下させ、且つ光学異方性、特に厚み方向のレターデーションRth、を低下させるのに寄与する。また、該化合物は、ビス体またはトリス体であるので分子量が比較的大きく、フィルム作製工程中に、熱処理等のために加熱されてもフィルム中から揮散し難い。
まず、一般式(1)で表される化合物について説明する。
Figure 2006219572
式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、X1およびX2は下記の連結基群1から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表し、Yは下記の連結基群2から選ばれる1種以上の基から形成される2価、および/または3価の連結基を表し;
(連結基群1)
単結合、−O−、−CO−、−NR7−(R7は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン;
(連結基群2)
単結合、−O−、−CO−、−NR8−(R8は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基;
nは1または2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)において、R1〜R6で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また環状(シクロアルキル基)であってもよい。炭素原子数が1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、イソアミル)であることが好ましく、R1、R2およびR3の少なくとも1つ、及び、R4、R5およびR6の少なくとも1つが、炭素原子数1〜3のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)であることが特に好ましい。
1及びX2はそれぞれ独立に上記連結基群1から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。前記連結基群1中、アルキレン基は、好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは炭素原子数1〜3であり、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンが挙げられる。前記連結基群1中、アリーレン基は、好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは炭素原子数6〜12であり、例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレンが挙げられる。−O−、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが特に好ましい。前記連結基群1中、R7で表されるアルキル基は、炭素原子数1〜30であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましい。また、R7で表されるアリール基は、炭素原子数6〜30であるのが好ましく、6〜12であるのがより好ましい。また、R7で表されるアラルキル基は、炭素原子数2〜20であるのが好ましく、2〜10であるのがより好ましい。
Yは、上記の連結基群2から選ばれる1種以上の基から形成される2価、および/または3価の連結基を表す。Yが3価の連結基となる場合は、例えば、連結基中に含まれるアルキレン基及びアリーレン基が3価のトリイル基となるか、又は、連結基中に含まれる−NR8−中のR8が、2価のアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基になる。上記連結基群2中の前記アルキレン基(場合によってはアルキルのトリイル基)は、好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜20であり、例えば、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ドデシル、シクロヘキシル、ジシクロヘキシル、アダマンチルのジイル基またはトリイル基が挙げられる。前記連結基群2中、前記アリーレン基(場合によってはアリールのトリイル基)は、好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12であり、例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチルのジイル基またはトリイル基が挙げられる。Yは、単結合、−O−、アルキレン基であるのが好ましい。なお、前記連結基群2中、R8で表されるアルキル基(場合によってはアルキレン基)は、炭素原子数1〜30であるのが好ましく、1〜20であるのがより好ましい。また、R8で表されるアリール基(場合によってはアリーレン基)は、炭素原子数6〜30であるのが好ましく、6〜12であるのがより好ましい。また、R8で表されるアラルキル基(場合によってはアラルキレン基)は、炭素原子数2〜20であるのが好ましく、2〜10であるのがより好ましい。
−X1−Yまたは−X2−Yの組み合わせとしては、−X1−Yまたは−X2−Yの総炭素数が0〜40であることが好ましく、1〜30であることがさらに好ましく、1〜25であることが最も好ましい。
また、−X1−Y−X2−の組み合わせとしては、下記のものが好ましい。
−O−鎖状又は環状のアルキレン基−O−、
−CO−鎖状又は環状のアルキレン基−CO−
−OCO−鎖状又は環状のアルキレン基−OCO−、
−COO−鎖状又は環状のアルキレン基−COO−、
−NHCO−鎖状又は環状のアルキレン基−CONH−、
−NR7−鎖状又は環状のアルキレン基−NR7−、
−O−アリーレン基−O−、
−CO−アリーレン基−CO−、
−OCO−アリーレン基−OCO−、
−COO−アリーレン基−COO−、
−NHCO−アリーレン基−CONH−、
−NR7−アリーレン基−NR7−、
−O−アリーレン基−鎖状又は環状のアルキレン基−アリーレン基−O−、
−CO−アリーレン基−鎖状又は環状のアルキレン基−アリーレン基−CO−
−OCO−アリーレン基−鎖状又は環状のアルキレン基−アリーレン基−OCO−、
−COO−アリーレン基−鎖状又は環状のアルキレン基−アリーレン基−COO−、
−NHCO−アリーレン基−鎖状又は環状のアルキレン基−アリーレン基−CONH−、
−NR7−アリーレン基−鎖状又は環状のアルキレン基−アリーレン基−NR7−、
−O−鎖状又は環状のアルキレン基−N(R8)−鎖状又は環状のアルキレン基−O−、
−CO−鎖状又は環状のアルキレン基−N(R8)−鎖状又は環状のアルキレン基−CO−
−OCO−鎖状又は環状のアルキレン基−N(R8)−鎖状又は環状のアルキレン基−OCO−、
−COO−鎖状又は環状のアルキレン基−N(R8)−鎖状又は環状のアルキレン基−COO−、
−NHCO−鎖状又は環状のアルキレン基−N(R8)−鎖状又は環状のアルキレン基−CONH−、
さらに、ここで例に挙げた好ましい−X1−Y−X2−の組み合わせに対し、鎖状又は環状のアルキレン基、および/またはアリーレン基が追加された、下記のものも好ましい。
−鎖状又は環状のアルキレン基−(前述の−X1−Y−X2−の好ましい組み合わせ)−鎖状又は環状のアルキレン基−、
−アリーレン基−(前述の−X1−Y−X2−の好ましい組み合わせ)−アリーレン基−。
nは1又は2を表し、1であるのが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006219572
前記一般式(1)で表される化合物は、既知の化合物より製造することができる。一般式(1)の化合物は、一般的には、オキシ塩化リンと対応するトリメチロール誘導体との縮合反応により得られるモノ体を、所望の結合形成反応によりビス体又はトリス体とすることにより製造することができる。また、トリメチロール誘導体のビス体、またはトリス体とオキシ塩化リンによる縮合反応により製造することも可能であるが操作性、収率等の観点から前者による方法が好ましい場合が多い。
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する
Figure 2006219572
式中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6はそれぞれ独立に、5または6員環を表し、X4およびX5はそれぞれ独立に、C−OH、又はP=Oを表し、Y2は単結合、2価の連結基、または3価の連結基を表し、nは1又は2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよい。k及びlはそれぞれ0または1の整数を表す。Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6は可能な限り互いに結合して環を形成していても良い。
前記一般式(2)中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6がそれぞれ独立に表す5または6員環は、芳香族環であっても非芳香族環であってもよい。さらに5または6員環は、炭素原子のみで構成された環であってもよいし、ヘテロ原子を環構成原子として含むヘテロ環であってもよい。例えば、非芳香族性の炭素環の例には、置換もしくは無置換のシクロヘキサン、シクロペンタン等が含まれ、芳香族性の炭素環の例には置換もしくは無置換のベンゼン環、ナフタレン環等が含まれる。また、ヘテロ環の例には、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であればいずれのヘテロ環でもよいが、好ましくは5又は6員環の酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基が適用できる。
具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
4およびX5はそれぞれ独立に、C−OH又はP=Oを表す。
1〜Q6でそれぞれ表される5員環または6員環は、可能であれば他の置換基を有していてもよい。該置換基としては、好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2?エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、
アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、
アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイルベンゾイル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
nは1又は2を表し、1であるのが好ましい。
K及びlは0または1を表わす。
一般式(2)中、Y2は単なる結合、または2価の連結基を表し、2価の連結基の例として好ましくは、−NR7−(R7は水素原子、置換基を有していても良いアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、−SO2−、−CO−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基、−O−、−S−、−SO−およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−CO−、−NR7−、アルキレン基、置換アルキレン基、フェニレン基及びこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基である。
2の具体例としては、前記一般式(1)中の−X1−Y−X2−の組み合わせの具体例、ならびに1,4−フェニレン基、2,3−フェニレン基、炭素数1〜
20のアルキレン基、及びシクロアルキレン基が挙げられる。
次に、下記一般式(3)で表される化合物について説明する。
Figure 2006219572
式中、X6およびX7はそれぞれ独立に、C−OH又はP=Oを表し、Y3は単結合、2価の連結基、または3価の連結基を表し、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に置換基を表し、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ互いに環を形成していてもよく、nは1または2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよく、k1、k2、k5およびk6はそれぞれ0〜5の整数を表し、k3およびk4はそれぞれ0〜4の整数を表し、k1、k2、k3、k4、k5およびk6が2以上の場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
6およびX7の好ましい範囲については、上記一般式(2)中のX4およびX5と同義であり、好ましい範囲についても同一である。また、R11、R12、R13、R14、R15およびR16が表す置換基の例についても、一般式(2)中のQ1〜Q6でそれぞれ表される5員環または6員環が有する置換基の例と同一の例が挙げられ、好ましい範囲も同一である。また、Y3についても、前記一般式(2)中のY2と同義であり、好ましい範囲についても同一である。
nは1又は2であり、1が好ましい。
k1、k2、k5およびk6はそれぞれ、0〜5であるのが好ましく、0〜3であるのがより好ましい。k3およびk4はそれぞれ、0〜4であるのが好ましく、0〜2であるのがより好ましい。R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、X6及びX7に対して、パラ位、メタ位およびオルト位のいずれの位置に置換していてもよい。
前記一般式(2)および/または一般式(3)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006219572
Figure 2006219572
本発明の組成物は、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の一種を含有していても、二種以上を含有していてもよい。本発明の組成物における、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の含有量の好ましい範囲は、用いる化合物の種類や用途によって変動するが、一般的には、併用されるセルロース誘導体の全質量に対して、0.1〜30質量%であるのが好ましく、2〜20質量%であるのがさらに好ましく、5〜15質量%であるのがより好ましい。
次に、本発明に用いられるセルロース誘導体について詳細に説明する。
本発明に用いられるセルロース誘導体は本発明の効果を発現する限りにおいて特に限定されず、異なる2種類以上のセルロース誘導体を混合して用いてもよい。セルロース誘導体としては、セルロースエステル体が好ましく、セルロースの水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するセルロースアシレートが特に好ましい。
(I) 2.6≧SA+SB≧3.0
(II) 2.0≧SA≧3.0
(III) 0≧SB≧0.8
ここで、式中SA及びSBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換基を表し、SAはアセチル基の置換度、またSBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
β−1,4グリコシド結合でセルロースを構成しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。本発明に用いられるセルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。本明細書において、アシル置換度とは、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合を意味し、全アシル置換度とはこれらの合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位および6位のそれぞれの水酸基が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位および6位のすべてが100%エステル化した場合、全アシル置換度は最大の3となる。
本発明では、水酸基のSAとSBの置換度の総和は、より好ましくは2.7〜2.96であり、特に好ましくは2.80〜2.95である。また、SBの置換度は0〜0.80であり、特に好ましくは0〜0.60である。さらにSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。
また更に、セルロースアシレートの6位のSAとSBの置換度の総和が好ましくは0.8以上、より好ましくは0.85、特に好ましくは0.90であるセルロースアシレートフィルムもあげることができる。
これらのセルロースアシレートフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
本技術のセルロースアシレートの炭素数3〜22のアシル基(SB)としては、脂肪族アシル基でも芳香族アシル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい具体例としては、プロピオニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso‐ブタノイル、t‐ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t‐ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、セルロース誘導体フィルムの添加剤として一般的に用いられている可塑剤を含有していてもよい。前記可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが挙げられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)およびトリオクチルフタレート(TOP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)およびクエン酸アセチルトリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表わされる化合物と他の可塑剤とを併用する場合は、前記一般式(1)等で表わされる化合物を可塑剤の合計量の50質量%以上の割合で使用することが好ましい。前記一般式(1)等で表わされる化合物の割合は、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。一般式(I)で表わされる化合物はセルロースアシレートに対して2〜25質量%添加されることが好ましい。
[フィルム]
本発明は、前記組成物から形成されるフィルムに関する。即ち、本発明は、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも一種を含有するセルロース誘導体フィルム、好ましくは、セルロースアシレートフィルムに関する。本発明のフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%)を意味する。フィルム製造の原料としては、セルロースアシレート粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。
本発明において透湿度とは、高温高湿条件下でフィルムが単位時間あたりに透過させる水分量であり、具体的には塩化カルシウムを入れたカップをフィルムにより蓋をし、かつ密閉したものを、60℃95%RHの条件下、24時間放置した前後の重量変化(g/(m2・日))から、塩化カルシウムの吸湿度に基づき、セルロースアシレートフィルムの透湿度として算出できる。本発明のフィルムの透湿度としては、200〜1500g/(m2・日)であることが好ましく、400〜1500g/(m2・日)であることがさらに好ましく、400〜1400g/(m2・日)であることが最も好ましい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは粘度平均重合度250〜350である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
前記セルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.7質量%以下である。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のフィルムは、前記セルロースアシレートの少なくとも一種を溶媒に溶解してセルロースアシレート溶液を調製し、該溶液を用いた流延製膜法にて製造するのが好ましい。前記セルロースアシレート溶液には、調製工程のいずれかのタイミングにおいて、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも一種、所望により用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。また、これらの添加剤(前記一般式(1)〜(3)で表される化合物も含む)を添加する時期は、ドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
前記セルロースアシレートの溶液の調製には、いずれの溶媒を用いてもよいが、非塩素系有機溶媒を用いるのが好ましい。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
以上のセルロースアシレートに用いられる非塩素系有機溶媒については、前述のいろいろな観点から選定されるが、好ましくは互いに異なる3種類以上の混合溶媒である。第1の溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも一種あるいは或いはそれらの混合液であり、好ましくは酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチルあるいはこれらの混合物である。
第2の溶媒は、炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれる少なくとも一種あるいは或いはそれらの混合液であり、好ましくは、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルあるいはこれらの混合液である。
なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。
第3の溶媒は、炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれ、好ましくは炭素数1〜8のアルコールである。
第3の溶媒であるアルコールの水酸基以外の部分は、直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。第3の溶媒としてのアルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが挙げられる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。
第3の溶媒としての炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
これらの第3の溶媒であるアルコールおよび炭化水素は単独でもよいし2種類以上の混合物でもよく特に限定されない。第3の溶媒としては、好ましい具体的化合物は、アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができ、特にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。
以上の3種類の混合溶媒は、第1の溶媒が20〜95質量%、第2の溶媒が2〜60質量%さらに第3の溶媒が2〜30質量%の比率で含まれることがましく、さらに第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜50質量%、さらに第3のアルコールが3〜25質量%含まれることが好ましい。また特に第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜30質量%、第3の溶媒がアルコールであり3〜15質量%含まれることが好ましい。
なお、第1の溶媒が混合液で第2の溶媒を用いない場合は、第1の溶媒が20〜90質量%、第3の溶媒が5〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜86質量%であり、さらに第3の溶媒が7〜25質量%含まれることが好ましい。
以上の本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、さらに詳細には発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて12頁〜16頁に詳細に記載されている。本発明の好ましい非塩素系有機溶媒の組合せは以下挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/15/5/6、質量部)、
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/1,3−ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/1,3−ジオキソラン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
・1,3−ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(55/20/10/5/5/5、質量部)などをあげることができる。
更に下記の方法でセルロースアシレート溶液を用いることもできる。
本技術に用いるドープには、上記本技術の非塩素系有機溶媒以外に、ジクロロメタンを本技術の全有機溶媒量の10質量%以下含有させてもよい。
また、前記セルロースアシレートの溶液を作製するに際しては、場合により主溶媒として塩素系有機溶媒も用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りその塩素系有機溶媒は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%使用することが必要である。
併用される非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
以上のセルロースアシレートに用いられる主溶媒である塩素系有機溶媒と併用される非塩素系有機溶媒については、特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサン、炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステル、炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれる。なお好ましい併用される非塩素系有機溶媒は、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができる。本発明の好ましい主溶媒である塩素系有機溶媒の組合せとしては以下を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/1,3−ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(70/10/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
などをあげることができる。
前記セルロースアシレート溶液中のセルロースアシレートの濃度は、10〜30質量%であるのが好ましく、13〜27質量%であるのがより好ましく、15〜25質量%であるのがさらに好ましい。前記濃度範囲の溶液は、セルロースアシレートを溶解する段階で所定の濃度になるように調製してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として調製した後に、後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
次に、本発明ではセルロースアシレート溶液を同一組成の有機溶媒で0.1〜5質量%にした希釈溶液のセルロースアシレートの会合体分子量が15万〜1500万であることが好ましい。さらに好ましくは、会合分子量が18万〜900万である。この会合分子量は静的光散乱法で求めることができる。その際に同時に求められる慣性自乗半径は10〜200nmになるように溶解することが好ましい。さらに好ましい慣性自乗半径は20〜200nmである。更にまた、第2ビリアル係数が−2×10‐4〜4×10-4となるように溶解することが好ましく、より好ましくは第2ビリアル係数が−2×10-4〜2×10-4である。ここで、本発明での会合分子量、さらに慣性自乗半径および第2ビリアル係数の定義について述べる。これらは下記方法に従って、静的光散乱法を用いて測定した。
測定は装置の都合上希薄領域で測定したが、これらの測定値は本発明の高濃度域でのドープの挙動を反映するものである。
まず、セルロースアシレートをドープに使用する溶剤に溶かし、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%の溶液を調製した。なお、秤量は吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で2時間乾燥したものを用い、25℃、10%RHで行った。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施した。続いてこれらの溶液、および溶剤を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した。そして、ろ過した溶液を静的光散乱を、光散乱測定装置(大塚電子(株)製、商品名:DLS−700)を用い、25℃に於いて30度から140度まで10度間隔で測定した。得られたデータをBERRYプロット法にて解析した。なお、この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶剤の値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈折計(大塚電子(株)製、商品名:DRM−1021)を用い、光散乱測定に用いた溶剤、溶液を用いて測定した。
次にセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば、特開平5−163301号、特開昭61−106628号、同58−127737号、特開平9−95544号、同10−95854号、同10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、同11−322947号、同2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、同4−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、および同11−302388号の各公報などにセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
前記セルロースアシレート溶液は、その溶液の粘度と動的貯蔵弾性率がある範囲であることが好ましい。溶液の粘度および動的貯蔵弾性率は、次の方法により測定することができる。試料溶液1mLをレオメーター(TA Instruments社製、商品名:CLS 500)に直径4cm/2°のSteel Cone(TA Instruments社製)を用いて測定する。測定条件はOscillation Step/Temperature Rampで40℃〜−10℃の範囲を2℃/分で可変して測定し、40℃の静的非ニュートン粘度n(Pa・s)および−5℃の貯蔵弾性率 G'(Pa)を求める。尚、試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始する。
本発明では、40℃での粘度が1〜400Pa・sであり、15℃での動的貯蔵弾性率が500Pa以上が好ましく、より好ましくは40℃での粘度が10〜200Pa・sであり、15℃での動的貯蔵弾性率が100〜100万が好ましい。さらには低温での動的貯蔵弾性率が大きいほど好ましく、例えば流延支持体が−5℃の場合は動的貯蔵弾性率が−5℃で1万〜100万Paであることが好ましく、支持体が−50℃の場合は−50℃での動的貯蔵弾性率が1万〜500万Paが好ましい。
次に、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
ここで、本発明においては流延部の空間温度は特に限定されないが、−50〜50℃であることが好ましい。更には−30〜40℃であることが好ましく、特には−20〜30℃であることが好ましい。特に低温での空間温度により流延されたセルロースアシレート溶液は、支持体の上で瞬時に冷却されゲル強度アップすることでその有機溶媒を含んだフィルムを保持することができる。これにより、セルロースアシレートから有機溶媒を蒸発させることなく、支持体から短時間で剥ぎ取りことが可能となり、高速流延が達成できるものである。なお、空間を冷却する手段としては通常の空気でもよいし窒素やアルゴン、ヘリウムなどでもよく特に限定されない。またその場合の湿度は0〜70%RHが好ましく、さらには0〜50%RHが好ましい。また、本発明ではセルロースアシレート溶液を流延する流延部の支持体の温度が−50〜130℃であり、好ましくは−30〜25℃であり、更には−20〜15℃である。流延部を本発明の温度に保つためには、流延部に冷却した気体を導入して達成してもよく、あるいは冷却装置を流延部に配置して空間を冷却してもよい。この時、水が付着しないように注意することが重要であり、乾燥した気体を利用するなどの方法で実施できる。
本発明においてその各層の内容と流延については、特に以下の構成が好ましい。すなわち、セルロースアシレート溶液が25℃において、少なくとも一種の液体又は固体の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の液体又は固体の紫外線吸収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の固体でその平均粒径が5〜3000nmである微粒子粉体をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の剥離剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の劣化防止剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の光学異方性コントロール剤をセルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有していること、及び/又は少なくとも一種の赤外吸収剤をセルロースアシレートに対して0.1〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、を特徴とするセルロースアシレート溶液およびそれから作製されるセルロースアシレートフィルムが好ましい。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延しても良い。共流延は、例えば、特開昭56−162617号公報、特開2002−316387号公報に記載された態様で行うことができる。共流延により本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する場合の層の数は、好ましくは2〜5層、より好ましくは2〜4層、特に好ましくは2〜3層である。
2層以上からなる流延工程を有する場合は、作製されるセルロースアシレート溶液及びセルロースアシレートフィルムにおいて、各層の塩素系溶媒の組成が同一であるか異なる組成のどちらか一方であること、各層の添加剤が一種類であるかあるいは2種類以上の混合物のどちらか一方であること、各層への添加剤の添加位置が同一層であるか異なる層のどちらか一方であること、添加剤の溶液中の濃度が各層とも同一濃度であるかあるいは異なる濃度のどちらか一方であること、各層の会合体分子量が同一であるかあるいは異なる会合体分子量のどちらか一方であること、各層の溶液の温度が同一であるか異なる温度のどちらか一方であること、また各層の塗布量が同一か異なる塗布量のどちらか一方であること、各層の粘度が同一であるか異なる粘度のどちらか一方であること、各層の乾燥後の膜厚が同一であるか異なる厚さのどちらか一方であること、さらに各層に存在する素材が同一状態あるいは分布であるか異なる状態あるいは分布であること、各層の物性が同一であるかあるいは異なる物性のどちらか一方であること、各層の物性が均一であるか異なる物性の分布のどちらか一方であること、を特徴とするセルロースアシレート溶液及びその溶液から作製されるセルロースアシレートフィルムであることも好ましい。
ここで、物性とは発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の6頁〜7頁に詳細に記載されている物性を含むものであり、例えばヘイズ、透過率、分光特性、レターゼーションRe、同Rth、分子配向軸、軸ズレ、引裂強度、耐折強度、引張強度、巻き内外Rt差、キシミ、動摩擦、アルカリ加水分解、カール値、含水率、残留溶剤量、熱収縮率、高湿寸度評価、透湿度、ベースの平面性、寸法安定性、熱収縮開始温度、弾性率、及び輝点異物の測定などであり、さらにはベースの評価に用いられるインピーダンス、面状も含まれるものである。また、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて11頁に詳細に記載されているセルロースアシレートのイエローインデックス、透明度、熱物性(Tg、結晶化熱)なども挙げることが出来る。
なお、本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学性能を調節する目的で流延時および乾燥後に任意の方向に延伸してもよい。
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10‐3〜20Torr(0.1Pa〜2.7kPa)の低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。更にまた、大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。
プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000keV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液を塗布することで行う。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、5秒以上5分以下がさらに好ましく、20秒以上3分以下が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。
本発明のフィルムは、低透湿性で且つ光学異方性が小さいので、種々の用途に用いることができる。次に、本発明のフィルムの用途について説明する。
本発明のフィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号の各公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のフィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、液晶表示装置の光学補償シートとして用いてもよい。本発明のフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。前記フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。本発明のフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。本発明のフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(△n)とセルギャップ(d)との積(△nd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。本発明のフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。本発明のフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。
本発明のフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開WO98/48320号パンフレット、特許第3022477号明細書に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開WO00/65384号パンフレットに記載がある。
本発明のフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
以上述べてきたこれらの詳細なセルロースアシレートフィルムの用途は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて45頁〜59頁に詳細に記載されている。
さらに本発明のセルロースアシレートフイルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、写真工学の基礎((社)日本写真学会編、コロナ社)第276〜291頁に記載の参考文献に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフイルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
前記一般式(1)〜(3)で表される化合物の製造例を以下に示す。
<製造例1>
A−2の合成:
温度計、冷却管、滴下ロートを取り付けた1Lの三つ口フラスコに30.6gのペンタエリスリトールおよび200mlのピリジンを量り取り、氷例下、30.7gのオキシ塩化リンを滴下した後、室温に戻し、室温で2時間、さらに60℃で4時間反応させた。反応後、室温に戻し、140mlの1N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、1Lの塩化メチレンで分液、抽出した。さらに有機層を100mlの1N水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。こうして所望のリン酸トリエステル体、27.1g(収率75.3%)を得た。
次に、メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートを取り付けた500mlの三つ口フラスコに62.2gの炭酸カリウム、前述のリン酸トリエステル27.1g、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを加え、50℃にて15.2gの1,3−ジブロモプロパンを30分かけて滴下した。滴下後、反応温度を90℃まで上昇させ、さらに11時間反応させた。反応後、室温に戻し、200mlの水を加えて、500mlの塩化メチレンで分液、抽出した。さらに有機層を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフに付し、単離精製を行った。こうして本発明の化合物A−2、25.6g(収率42.6%)を得た。
<製造例2>
B−9の合成:
温度計、冷却管、滴下ロートを取り付けた1000mlの三つ口フラスコに、61.4gの4−ヒドロキシベンゾフェノン、64.3gの炭酸カリウム、200mlのN,N−ジメチルホルムアミドを量り取り、撹拌および80℃に加熱を行った。次いで、80mlに溶解した71.8gの中間体(1)を1時間かけて滴下し、その後6時間95℃にて加熱攪拌を継続した。反応溶液を1リットルの1N塩酸に注意深く注ぎ、析出した結晶を濾別した後、300mlの水で洗浄を行った。得られた結晶をイソプロピルアルコールより再結晶を行うことにより中間体(2)を67.1g得た(収率84.8%)。
次いで、温度計、滴下ロートを取り付けた500mlの三つ口フラスコに25.5gの中間体(2)、250mlのテトラヒドロフランを量り取り、冷却下(内温10℃以下)で撹拌した。次いで、42質量%のフェニルマグネシウムヨージド、ジエチルエーテル溶液50.0mlを1時間かけて滴下し、その後室温下で3時間反応を行った。反応溶液を500mlの1N塩酸、500mlの酢酸エチルに注意深く注ぎ、抽出操作を行った後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフに付し、酢酸エチル/n−ヘキサン=1/3溶出分より本発明の化合物B−9を21.9g得た(収率65.8%)。
<製造例3>
B−11の合成:
温度計、冷却管、滴下ロートを取り付けた1000mlの三つ口フラスコに99.1gの4−ヒドロキシベンゾフェノン、103.7gの炭酸カリウム、300mlのN,N−ジメチルホルムアミドを量り取り、撹拌および80℃に加熱を行った。次いで、40mlに溶解した29.5mlの中間体(3)を1時間かけて滴下し、その後95℃にて5時間攪拌を継続した。反応溶液を1リットルの1N塩酸に注意深く注ぎ、析出した結晶を濾別した後、300mlの水で洗浄を行った。得られた結晶を酢酸エチルにて洗浄を行うことにより中間体(4)を101.5g得た(収率90.1%)。
次いで、温度計、滴下ロートを取り付けた300mlの三つ口フラスコに4.5gの中間体(4)、100mlのテトラヒドロフラン、30.0mlの塩化メチレンを量り取り、冷却下(内温10℃以下)で撹拌した。次いで、42質量%のフェニルマグネシウムヨージド、ジエチルエーテル溶液10.0mlを1時間かけて滴下し、その後室温下で3時間反応を行った。反応溶液を500mlの1N塩酸に注意深く注ぎ、析出した結晶を濾別した後、200mlの水で洗浄を行った。得られた結晶をメタノールより3回再結晶を行うことにより本発明の化合物B−11を2.4g得た(収率39.6%)。
Figure 2006219572
[実施例1]
(I−1)セルロースアシレート溶液の作製
攪拌羽根を有する5Lのガラス容器に、下記の溶媒混合溶液によく攪拌・分散しつつ、下記記述のセルローストリアセテート粉体A(フレーク)を徐々に添加し、全体が2kgになるように仕込んだ。なお、溶媒である酢酸メチル、アセトン及びエタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
まず、セルローストリアセテートの粉末は、分散タンクに紛体を投入し窒素ガスを封入して、ディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および、中心軸にアンカー翼を有して30分間分散した。分散の開始温度は30℃であった。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテートフレークを膨潤させた。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.2質量%以下であることを確認した。セルロースアシレート溶液の組成は以下の通りである。
セルローストリアセテートA(SA+SBが2.78、SAが2.78、SBが0で、粘度平均重合度303、含水率が1質量%以下のセルロースアシレートフレーク。また、セルロースアシレートの6位の置換度が0.90のものを用いた。)(15質量部)、酢酸メチル(87.0質量部)、アセトン(8.0質量部)、エタノール(5.0質量部)、第1表記載の前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物を用いた。
(I−2)セルローストリアセテートフィルム溶液
得られた不均一なゲル状溶液をスクリューポンプで送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液はステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間攪拌し均一溶液とした後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
(I−3)セルローストリアセテートフィルムの作製
ろ過済みの50℃のセルローストリアセテート溶液を、流延ギーサーを通して鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の温度は5℃であり、流延スピードは3m/分でその塗布幅は30cmとした。室温で1分放置し、その後に乾燥のために55℃の乾燥風を送風した。5分後に鏡面ステンレス支持体から剥ぎ取り、しかる後に133℃で27分乾燥して、膜厚80μmもしくは60μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。
(光学異方性の評価)
ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長590nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に算出した。
また、得られたセルローストリアセテートフィルムについて、透湿度および熱揮散性の測定を行った。本実施例において、セルローストリアセテートフィルムの透湿度および熱揮散性は、以下のように測定した。
(透湿度の測定)
塩化カルシウムを入れたカップを、各々のフィルム試料を用いて蓋をし、かつ密閉したものを、60℃及び95%RHの条件で、24時間放置した前後の重量変化(g/(m2・日))から、塩化カルシウムの吸湿性に基づくセルローストリアセテートフィルムの透湿度を評価した。結果を表1に示す。
(熱揮散性の測定)
島津製作所(株)製高速液体クロマトグラフ(Class VP、商品名)を用いて、140℃、10時間保持したときにフィルム中に残存する低分子成分である可塑剤および本発明の透湿性降下剤の残存量を評価した(熱処理前のフイルム中に存在する物質量を100質量%とした)。なお、重量減少の数値は小数点以下第2位を四捨五入して算出した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2006219572
比較化合物TPPおよびTCPの構造は下記に示す。
Figure 2006219572
表1より、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物を含有する実施例のセルロースアシレートフィルムはいずれも、比較例のフィルムと比較して、Rth値が低く、且つ低透湿性であった。また、質量減少も小さいので、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物は熱揮散し難いこともわかった。
[実施例2]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
表1記載の化合物 12質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 45質量部
染料(住化ファインケム(株)製 360FP) 0.0009質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部、およびシリカ微粒子(アイロジル製 R972)1.1質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。また、シリカ微粒子の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.15質量部であった。
Figure 2006219572
得られたセルロースアセテート溶液から実施例1と同様にしてセルロースアセテートフィルムを作製し、Rth値、透湿度及び質量減少を測定、比較した。実施例1と同様の結果が得られた。
[ハロゲン化銀写真感光材料]
実施例1の試料2〜8に関して、その膜厚を120nmにする以外は実施例1と同様にして試料201〜207を作製した。得られたフイルムの一方に特開平4−73736号公報の実施例1記載の第1層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作成した。更に、得られたバック層を付与したフイルムベースの反対面に、特開平11−38568号公報の実施例1に記載の試料105を塗布し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。得られたハロゲン化銀写真感光材料は優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。

Claims (7)

  1. セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含有する組成物;
    Figure 2006219572
    式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、X1およびX2は下記の連結基群1から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表し、Yは下記の連結基群2から選ばれる1種以上の基から形成される2価、および/または3価の連結基を表し;
    (連結基群1)
    単結合、−O−、−CO−、−NR7−(R7は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン;
    (連結基群2)
    単結合、−O−、−CO−、−NR8−(R8は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基;
    nは1または2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよい。
  2. セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(2)で表される化合物の少なくとも1種とを含有する組成物;
    Figure 2006219572
    式中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6はそれぞれ独立に、5または6員環を表し、X4およびX5はそれぞれ独立に、C−OH又はP=Oを表し、Y2は単結合、2価の連結基、または3価の連結基を表し、nは1又は2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよく、k及びlはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6は可能な限り互いに結合して環を形成していてもよい。
  3. セルロース誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種とを含有する組成物;
    Figure 2006219572
    式中、X6およびX7はそれぞれ独立に、C−OH又はP=Oを表し、Y3は単結合、2価の連結基、または3価の連結基を表し、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に置換基を表し、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ互いに環を形成していてもよく、nは1または2の整数を表し、nが2の場合、括弧内における基は同一であっても異なっていてもよく、k1、k2、k5およびk6はそれぞれ0〜5の整数を表し、k3およびk4はそれぞれ0〜4の整数を表し、k1、k2、k3、k4、k5およびk6が2以上の場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
  4. 前記セルロース誘導体の少なくとも1種が、セルロースアシレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. セルロース誘導体の少なくとも一種と、請求項1〜3中に記載の一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を含有するフィルム。
  6. 少なくとも、偏光膜と、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物からなるフィルムとを有する偏光板。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物からなるフィルムを少なくとも一つ有する液晶表示装置。

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