JPWO2014057950A1 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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大樹 脇阪
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Abstract

耐久性に優れ、水分の透過および脱着を低減することのできる光学フィルム及びその製造方法を提供すること。熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層を設けたことを特徴とする光学フィルム。

Description

本発明は、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置に関する。
近年、液晶表示装置は、液晶テレビや、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどの液晶パネル等の用途で広く用いられている。通常、液晶表示装置は、液晶セルの両側に偏光板を設けた液晶パネル部材を有し、バックライト部材からの光を液晶パネル部材で制御することにより表示が行われている。ここで、偏光板は偏光子とその両側の保護フィルムとからなり、一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素又は二色性色素で染色することにより得られ、保護フィルムとしてはセルロールエステルフィルムなどが用いられている。
また、液晶表示装置において、視野角の拡大、画像着色の改良、及びコントラストの向上のため、ポリマーフィルムを光学補償フィルム(位相差フィルム)として使用することが知られている。光学補償フィルムとして用いられるポリマーフィルムに対しては、VAモードやIPSモード等の液晶表示装置の液晶セルのモードに応じて、フィルムの光学特性(例えば、フィルム面内のレターデーション値Reやフィルム厚さ方向のレターデーション値Rthなどの複屈折性)を制御して所望の光学異方性を持たせることが求められる。
最近の液晶表示装置は、高品質化とともに、用途も多様化し、耐久性への要求が厳しくなってきている。例えば、屋外用途での使用においては環境変化に対する安定性が求められ、液晶表示装置に用いられる上記の偏光板用保護フィルムや光学補償フィルムなどの光学フィルムについても温度や湿度変化に対する寸法や光学特性の変化を抑えることが求められる。
特許文献1には、透明性が高く、低吸湿性、高耐熱性、力学的強度の高い光学フィルムの提供を目的として、セルロースエステルにポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂を多量添加した光学フィルムが開示されている。
一方、透光性支持体上に、低透湿層を設けたフィルムも知られている。例えば、特許文献2には、膜厚80μmのセルロースアシレートである透光性支持体上に、分子内に環状脂肪族炭化水素基と2個以上の不飽和二重結合基を有する化合物を有する組成物から形成されてなる低透湿層を設けたフィルムが記載されており、JIS Z 0208に従って、60℃、95%相対湿度の雰囲気下で測定された透湿度が610〜1000g/m/day程度であるフィルムが開示されている。
また、特許文献3には、膜厚80μmのセルロースアシレートである透光性支持体上に、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂を有する低透湿層を設けたフィルムが記載されている。
国際公開第2009/047924号 日本国特開2006−83225号公報 日本国特開2008−230036号公報
液晶表示装置は従来の室内用途だけでなく、屋外などより過酷な環境で使用されるようになっており、液晶表示装置の最表面の光学フィルムは、水分を透過させない性能が重要になっている。この問題は近年大型化が進むTV用途では、液晶セルのガラスが薄手化する傾向の影響もあり、反りが大きくなりやすく、高温高湿環境経時後の黒表示ムラへの影響が大きくなってきている。
高温高湿の環境下に晒される液晶表示装置の問題としては、液晶表示装置の液晶セルの反りや表示ムラの発生があるが、これは偏光板及びそれを構成する光学フィルムが吸湿、放湿する際に、液晶表示装置の液晶セルの前面及び背面の偏光板に収縮差が生じてバランスが崩れ液晶セルが反り、液晶セルの四隅や四辺が筐体や背面側の部材と接触して表示ムラが生じることが原因と考えられる。このため、偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムなどに対しては、湿度依存性や湿熱耐久性の改善が求められてきたが、抜本的な改良のためには、偏光板の最表面の光学フィルムには、水分を通しにくい性能、すなわち透湿度の低減が求められる。
また近年急速に広まっているタブレットPCやモバイル用途など中小型では薄型化・液晶表示装置内の省スペース要求が高いため、高温高湿環境経時後の黒表示ムラの問題の解決が強く望まれているが、特許文献1〜3に記載されるようなフィルムでは問題解決が困難であり、改良が望まれていた。また、液晶ディスプレイに用いられる偏光板用保護フィルムとしては、加工性や汎用性の観点からセルロース系樹脂やアクリル系樹脂が好適に用いられる。しかしながら、上記の問題からこれらのフィルム単独では低透湿性が不十分な場合があり、加工性や汎用性を確保しつつ透湿性を低減させるためにセルロース系樹脂やアクリル系樹脂からなるフィルムを改質することが望まれていた。ここで塩素含有樹脂を使用することは知られていたが、環境負荷が大きいため改良が望まれていた。
上記のような状況に鑑みて、本発明の目的、すなわち本発明が解決しようとする課題は、耐久性に優れ、透湿度を低減することのできる光学フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、上記光学フィルムを用いた偏光板を提供することである。本発明の更に別の目的は、高温高湿環境経時後の黒表示ムラが改善された液晶表示装置を提供することである。
本発明者らが鋭意検討した結果、以下の手段を用いることにより耐久性に優れ、透湿度を極めて低減することのできる光学フィルムを提供でき、更にそのような光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いることで高温高湿環境経時後の黒表示ムラが改善された液晶表示装置を提供できることを見出し、本発明に至った。
[1]
熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層を設けたことを特徴とする光学フィルム。
[2]
前述の光学フィルムにおける40℃、相対湿度90%RHでの透湿度が200g/m/day以下である[1]に記載の光学フィルム。
[3]
熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に環状ポリオレフィン含有層を有する光学フィルムの製造方法であって、前述の環状ポリオレフィン含有層が(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)有機溶剤を含む塗布組成物を塗布することにより形成されてなる光学フィルムの製造方法。
[4]
前述の光学フィルムにおける40℃、相対湿度90%RHでの透湿度が200g/m/day以下である[3]に記載の光学フィルムの製造方法。
[5]
前述の(b)有機溶剤の少なくとも一種が脂環式炭化水素系溶剤(b−1)、又は芳香族炭化水素系溶剤(b−2)である[3]又は[4]に記載の光学フィルムの製造方法。
[6]
前述の脂環式炭化水素系溶剤(b−1)がシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンの少なくとも一種であり、芳香族炭化水素系溶剤(b−2)がベンゼン、トルエン、キシレンの少なくとも一種である[3]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[7]
前述の(b)有機溶剤の少なくとも一種が支持体を溶解又は膨潤させる有機溶剤(b−3)である[3]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[8]
前述の(b−3)支持体を溶解又は膨潤させる溶剤がメチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、アセトンのいずれかである[7]に記載の光学フィルムの製造方法。
[9]
前述の透光性支持体を構成する熱可塑性樹脂がセルロース系樹脂を主成分とする[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[10]
前述の透光性支持体を構成する熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[11]
前述の(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式IIあるいはIIIで表される構造を有する[1]、[2]、[9]又は[10]に記載の光学フィルム。
Figure 2014057950

ここで、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X〜X、Y〜Yは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、又はXとYあるいはXとYあるいはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
[12]
前述の(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式II−1、III−1で表される構造を有する[11]に記載の光学フィルム。
Figure 2014057950

(ここでmは0あるいは1を表す。)
[13]
[1]、[2]、[9]〜[12]の何れかに記載の光学フィルムを含む偏光板。
[14]
[1]、[2]、[9]〜[12]の何れかに記載の光学フィルム又は[13]に記載の偏光板を含む画像表示装置。
本発明によれば、塗布により非常に低い透湿度を有する光学フィルムを提供することができる。低透湿層の形成に塗布を用いるため、様々な基材を用いることができ、低透湿層膜厚の調整が容易で薄い膜厚で優れた低透湿性を有する光学フィルムが得られる。これより、偏光板保護フィルムとして加工適性に優れたセルロース系フィルムや汎用性のアクリル系支持体を使用して非常に低い透湿度を達成できる。
また、本発明によれば、上述の光学フィルムの製造方法、この光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いた偏光板、及び上述の光学フィルム又は偏光板を有する画像表示装置を提供することができる。本発明の光学フィルム又は偏光板を用いることで、高温高湿環境経時後の黒表示ムラ発生が抑えられた液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)より大きく(数値2)より小さい」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
本発明の光学フィルムは、熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層(環状ポリオレフィン含有層)を設けたことを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、前述の環状ポリオレフィン含有層が(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)有機溶剤を含む塗布組成物を塗布することにより形成されてなる。
以下、本発明の光学フィルムに用いる透光性支持体に含まれる熱可塑性樹脂について説明する。
<透光性支持体に含まれる熱可塑性樹脂>
下記に前述の透光性支持体で好ましく使用することのできる熱可塑性樹脂に関し説明する。
前述の透光性支持体において、最適な熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂から選ぶことができる(ただし、前述の(メタ)アクリル系樹脂は、ラクトン環構造を有する重合体、無水グルタル酸環構造を有する重合体、グルタルイミド環構造を有する重合体を含む。)。
その中でも、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アシル基を有するセルロースアシレート及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂、アシル基を有するセルロースアシレート及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂であることがより好ましく、ラクトン環構造を有する重合体又はセルロースアセテートプロピオネートであることが特に好ましい。
((メタ)アクリル系樹脂)
本発明に用いる透光性支持体は、(メタ)アクリル系重合体を主成分とすることが好ましい。なお、本願で透光性支持体が、(メタ)アクリル系重合体を主成分とするとは、透光性支持体に(メタ)アクリル系重合体を50質量%以上含有することを意味する。
なお、(メタ)アクリル系重合体には、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体も含まれる。
((メタ)アクリル系重合体)
前述の(メタ)アクリル酸系重合体は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
前述の(メタ)アクリル酸系重合体は、繰り返し構造単位として、更に、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸及び下記一般式(201)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される繰り返し構造単位を含んでいてもよい。
一般式(201)
CH=C(X)R201
(式中、R201は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−CN基、−CO−R202基、又は−O−CO−R203基を表し、R202及びR203は水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。)
前述の(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
前述の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%、更に好ましくは40〜100質量%、特に好ましくは50〜100質量%である。
前述の水酸基含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前述の水酸基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
前述の不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
前述の不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
前述の一般式(201)で表される単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前述の一般式(201)で表される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
[主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体]
(メタ)アクリル系重合体の中でも主鎖に環構造を有するものが好ましい。主鎖に環構造を導入することで、主鎖の剛直性を高め、耐熱性を向上することができる。
本発明では主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体の中でも主鎖にラクトン環構造を含有する重合体、主鎖に無水グルタル酸環構造を有する重合体、主鎖にグルタルイミド環構造を有する重合体のいずれかであることが好ましい。中でも主鎖にラクトン環構造を含有する重合体であることがより好ましい。
以下のこれらの主鎖に環構造を有する重合体について順に説明する。
(主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系重合体)
主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系重合体(以降ラクトン環含有重合体とも称す)は、主鎖にラクトン環を有する(メタ)アクリル系重合体であれば特に限定されないが、好ましくは下記一般式(401)で示されるラクトン環構造を有する。
一般式(401):
Figure 2014057950
一般式(401)中、R401、R402及びR403は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の有機残基を表し、有機残基は酸素原子を含有していてもよい。ここで、炭素原子数1〜20の有機残基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが好ましい。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記一般式(401)で示されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合を5質量%以上とすることにより、得られた重合体の耐熱性、及び表面硬度が向上する傾向にあり、ラクトン環構造の含有割合を90質量%以下とすることにより、得られた重合体の成形加工性が向上する傾向にある。
ラクトン環含有重合体の製造方法については、特に限定はされないが、好ましくは、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(p)を得た後に、得られた重合体(p)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによって得られる。
ラクトン環含有重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、更に好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内での質量減少率が、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.3%以下であるのがよい。ダイナミックTGの測定方法については、特開2002−138106号公報に記載の方法を用いることができる。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成型品の製造過程で脱アルコール反応が少なく、上述のアルコールを原因とした成形後の成形品中に泡や銀条(シルバーストリーク)が入るという欠点が回避できる。更に、高い環化縮合反応率によって、ラクトン環構造が重合体に充分に導入されるので、得られたラクトン環含有重合体は高い耐熱性を有する。
ラクトン環含有重合体は、濃度15質量%のクロロホルム溶液にした場合、その着色度(YI)が、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。着色度(YI)が6以下であれば、着色により透明性が損なわれるなどの不具合が生じにくいので、本発明において好ましく使用することができる。
ラクトン環含有重合体は、熱質量分析(TG)における5%質量減少温度が、好ましくは330℃以上、より好ましくは350℃以上、更に好ましくは360℃以上である。熱質量分析(TG)における5%質量減少温度は、熱安定性の指標であり、これを330℃以上とすることにより、充分な熱安定性が発揮されやすい傾向にある。熱質量分析は、上記ダイナミックTGの測定の装置を使用することができる。
ラクトン環含有重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、更に好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃以上、最も好ましくは140℃以上である。
ラクトン環含有重合体は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは2,000ppm以下、更に好ましくは1,500ppm以下、特に好ましくは1,000ppm以下である。残存揮発分の総量が5,000ppm以下であれば、成形時の変質などによって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良が起こりにくくなるので好ましい。
ラクトン環含有重合体は、射出成形により得られる成形品に対するASTM−D−1003に準拠した方法で測定された全光線透過率が、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の指標であり、これを85%以上とすると、透明性が向上する傾向にある。
溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の製造方法の第一の態様では、(メタ)アクリル系樹脂を有機溶媒に溶解させて溶液流延を行って形成するため、(メタ)アクリル系樹脂の合成時における有機溶媒は、溶融製膜を行う場合よりも限定されず、沸点が高い有機溶媒を用いて合成してもよい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
重合開始剤の量の調整により、重合体の重量平均分子量を調整することができる。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより十分に抑止することができる。添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし、2種以上の混合溶剤であってもよい。
(主鎖に無水グルタル酸環構造を有する(メタ)アクリル系重合体)
主鎖に無水グルタル酸環構造を有する(メタ)アクリル系重合体とは、グルタル酸無水物単位を有する(メタ)アクリル系重合体を表す。
グルタル酸無水物単位を有する重合体は、下記一般式(101)で表されるグルタル酸無水物単位(以下、グルタル酸無水物単位と呼ぶ)を有することが好ましい。
一般式(101):
Figure 2014057950
一般式(101)中、R31、R32は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。R31、R32は、特に好ましくは、同一又は相異なる、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
グルタル酸無水物単位を有する重合体は、グルタル酸無水物単位を含有する(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体としては、耐熱性の点から120℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体に対するグルタル酸無水物単位の含有量としては、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%である。5質量%以上とすることにより、耐熱性向上の効果を得ることができ、更には耐候性向上の効果を得ることもできる。
また、上記の(メタ)アクリル系共重合体は、更に不飽和カルボン酸アルキルエステルに基づく繰り返し単位を含むことが好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステルに基づく繰り返し単位として、例えば、下記一般式(102)で表されるものが好ましい。
一般式(102):−[CH−C(R41)(COOR42)]−
一般式(102)中、R41は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R42は炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、又は1個以上炭素数以下の数の水酸基若しくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基を表す。
一般式(102)で表される繰り返し単位に対応する単量体は下記一般式(103)で表される。
一般式(103):CH=C(R41)(COOR42
このような単量体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル及び(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、中でもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種を単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
上記の(メタ)アクリル系重合体に対する不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の含有量は、50〜95質量%が好ましく、より好ましくは55〜90質量%である。グルタル酸無水物単位と不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位とを有する(メタ)アクリル系重合体は、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位と不飽和カルボン酸単位とを有する共重合体を重合環化させることにより得ることができる。
不飽和カルボン酸単位としては、例えば、下記一般式(104)で表されるものが好ましい。
一般式(104):−[CH―C(R51)(COOH)]−
ここでR51は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
不飽和カルボン酸単位を誘導する単量体の好ましい具体例としては、一般式(104)で表される繰り返し単位に対応する単量体である下記一般式(105)で表される化合物、並びにマレイン酸、及び更には無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。
一般式(105):CH=C(R51)(COOH)
これらはその1種を単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用してもよい。上記のように、グルタル酸無水物単位と不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位とを有するアクリル系熱可塑性共重合体は、例えば不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位と不飽和カルボン酸単位とを有する共重合体を重合環化させることにより得ることができるものであるから、その構成単位中に不飽和カルボン酸単位を残して有していてもよい。
上記の(メタ)アクリル系重合体に対する不飽和カルボン酸単位の含有量としては10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。10質量%以下とすることで、無色透明性、滞留安定性の低下を防ぐことができる。
また、前述の(メタ)アクリル系重合体には、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香環を含まないその他のビニル系単量体単位を有していてもよい。芳香環を含まないその他のビニル系単量体単位の具体例としては、対応する単量体でいうと、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体;アリルグリシジルエーテル;無水マレイン酸、無水イタコン酸;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド;アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル;N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン;2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンなどを挙げることができる。これらはその1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の(メタ)アクリル系重合体に対する、芳香環を含まないその他のビニル系単量体単位の含有量としては、35質量%以下が好ましい。
なお、芳香環を含むビニル系単量体単位(N−フェニルマレイミド、メタクリル酸フェニルアミノエチル、p−グリシジルスチレン、p−アミノスチレン、2−スチリル−オキサゾリンなど)ついては、耐擦傷性、耐候性を低下させる傾向にあるため、前述の(メタ)アクリル系重合体に対する含有量としては1質量%以下にとどめるのが好ましい。
(主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系重合体)
前述の主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系重合体(以降グルタルイミド系樹脂とも称す)は、主鎖にグルタルイミド単位を有することによって光学特性や耐熱性などの点で好ましい特性バランスを発現できる。前述の、主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、少なくとも下記一般式(301):
一般式(301)
Figure 2014057950
で表されるグルタルイミド単位(但し、式中、R301、R302、R303は独立に水素又は炭素数1〜12個の非置換の又は置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。)を20質量%以上有するグルタルイミド樹脂を含有することが好ましい。
本発明に用いられるグルタルイミド系樹脂を構成する好ましいグルタルイミド単位としては、R301、R302が水素又はメチル基であり、R303がメチル基又はシクロヘキシル基である。このグルタルイミド単位は、単一の種類でもよく、R301、R302、R303が異なる複数の種類を含んでいてもかまわない。
本発明に用いられる、グルタルイミド系樹脂を構成する好ましい第二の構成単位としては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる単位である。好ましいアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル構成単位としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。また、別の好ましいイミド化可能な単位として、N−メチルメタクリルアミドや、N−エチルメタクリルアミドのような、N−アルキルメタクリルアミドが挙げられる。これら第二の構成単位は単独の種類でもよく、複数の種類を含んでいてもかまわない。
グルタルイミド系樹脂の、一般式(301)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミド系樹脂の総繰り返し単位を基準として、20質量%以上である。グルタルイミド単位の、好ましい含有量は、20質量%〜95質量%であり、より好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは、60〜80質量%である。グルタルイミド単位を20質量%以上含有することで、得られるフィルムの耐熱性、透明性の点で好ましい。また、95質量%以下とすることで、製造時の取り扱いがしやすくなり、得られるフィルムの機械強度、透明性の点でも好ましい。
グルタルイミド系樹脂は、必要に応じ、更に、第三の構成単位が共重合されていてもかまわない。好ましい第三の構成単位の例としては、スチレン、置換スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体、ブチルアクリレートなどのアクリル系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を用いることができる。これらはグルタルイミド系樹脂中に、上述のグルタルイミド単位とイミド化可能な単位と直接共重合してあっても良く、また、上述のグルタルイミド単位とイミド化可能な単位を有する樹脂に対してグラフト共重合してあってもかまわない。第3成分は、これを添加する場合は、グルタルイミド系樹脂中の含有率は、グルタルイミド系樹脂中の総繰り返し単位を基準として5モル%以上、30モル%以下であることが好ましい。
グルタルイミド系樹脂は、米国特許3284425号、米国特許4246374号、特開平2−153904号公報等に記載されており、イミド化可能な単位を有する樹脂としてメタクリル酸メチルエステルなどを主原料として得られる樹脂を用い、このイミド化可能な単位を有する樹脂をアンモニア又は置換アミンを用いてイミド化することにより得ることができる。グルタルイミド系樹脂を得る際に、反応副生成物としてアクリル酸やメタクリル酸、あるいはその無水物から構成される単位がグルタルイミド系樹脂中に導入される場合がある。このような構成単位、特に酸無水物の存在は、得られる本発明フィルムの全光線透過率やヘーズを低下させるため、好ましくない。アクリル酸やメタクリル酸含量として、樹脂1g当たり0.5ミリ当量以下、好ましくは0.3ミリ当量以下、より好ましくは0.1ミリ当量以下とすることが望ましい。また、特開平02−153904号公報にみられるように、主としてN−メチルアクリルアミドとメタクリル酸メチルエステルから成る樹脂を用いてイミド化することにより、グルタルイミド系樹脂を得ることも可能である。
また、グルタルイミド系樹脂は、10000〜500000の重量平均分子量を有することが好ましい。
(セルロース系樹脂)
本発明では熱可塑性樹脂としてセルロース系樹脂が主成分である樹脂を好ましく用いることができる。セルロース系樹脂が主成分であるとは、熱可塑性樹脂にセルロース系樹脂を50質量%以上含有することを意味する。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについては、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができるが、本発明で用いられるセルロースエステルは特にその記載のものに限定されるものではない。
本発明で用いられるセルロースエステルは、セルロースと脂肪酸(芳香族脂肪酸を含む)とのエステルが好ましく、セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位の2位、3位及び6位にある水酸基にこの脂肪酸のアシル基が置換してアシル化されたセルロースアシレートが好ましい。
例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、また、2種類以上の脂肪酸のアシル基が置換したセルロースエステルも好ましい。これらのセルロースエステルは、更に置換された基を有していてもよい。
前述の水酸基に置換するアシル基としては、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜22のアシル基を好ましく用いることができる。炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜7のアシル基が好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおけるアシル基の総置換度(セルロースのβ−グルコース単位において水酸基にアシル基が置換している割合で、2位、3位及び6位の3つの水酸基の全てにアシル基が置換している場合には3となる)は、特に限定されないが、アシル基の総置換度が高い方が、湿度依存性が小さくなるため好ましい。このため、アシル基の総置換度は2.00〜3.00が好ましく、2.50〜3.00がより好ましく、2.50〜2.90が更に好ましい。
更に、炭素数3〜7のアシル基についてその置換度は、1.20〜3.00が好ましく、1.50〜3.00がより好ましく、2.00〜3.00が更に好ましく、2.00〜2.90が特に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基に置換するアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じた方法や、NMR法を挙げることができる。
セルロースのβ−グルコース単位の水酸基に置換するアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基もよく、特に限定されない。また、上述の水酸基に置換するアシル基は、単一のアシル基でも二種類以上であってもよい。セルロースエステルを(メタ)アクリル樹脂と併用する場合は、前述のセルロース系樹脂が二種類以上のアシル基を有するセルロースアシレートであることが前述の透光性支持体の透湿度を低減する観点から好ましい。
前述のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、へプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましく、プロピオニル基又はブタノイル基が更に好ましく、プロピオニル基が特に好ましい。
アシル基が二種類の置換基で置換されている場合、合成の容易さ、コスト、置換基分布の制御のし易さなどの観点から、アセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、プロピオニル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることが好ましく、より好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、更に好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、特に好ましくはアセチル基とプロピオニル基が併用されることである。
上記のアシル基が置換したセルロースエステルとしては、以下のものが好ましい。
単一のアシル基で置換されたものとしてはセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースベンゾエートが好ましく、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、がより好ましくセルロースアセテート、が更に好ましい。アシル基が二種類の置換基で置換されているものとしてはセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、が好ましくセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートがより好ましく、セルロースアセテートプロピオネートが更に好ましい。
セルロース系樹脂で用いられるセルロースエステルの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、特に、アセチル基とプロピオニル基が置換したセルロースアセテートプロピオネートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度がこの範囲であれば、セルロースエステルを含むドープ溶液の粘度が流延によりフィルム作製に適したものとすることができ、透明性及び機械的強度の高いフィルムを得ることができるので好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
セルロースアシレート系樹脂と前述の(メタ)アクリル樹脂とを併用して用いることも好ましい。その場合における(メタ)アクリル樹脂の含有量は、光学フィルム中、20.0〜94.9質量%であることが好ましく、20.0〜84.9質量%であることがより好ましく、20.0〜69.9%であることが更に好ましく、34.0〜69.9質量%であることが更に好ましい。
セルロース系樹脂と前述の(メタ)アクリル樹脂とを併用して用いる場合において、セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂との比率(質量比)は70:30〜5:95である。セルロースエステルの比率を70質量%以下とすることで、湿度依存性が低く、高温高湿耐久性が改善され、好ましい光学特性を得ることができ、液晶表示装置の表示ムラを防止することができる。また、(メタ)アクリル樹脂の比率を95質量%以下とすることで、耐熱性が向上し、所望の光学異方性を発現させ易い。また、機械的強度、機械的強度、面状、ハントリング適性、フィルム表面処理適性を改善できる。セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂との質量比は70:30〜5:95であり、好ましくは70:30〜15:85であり、より好ましくは70:30〜30:70であり、更に好ましくは49:51〜30:70である。
セルロース系樹脂と併用する場合の(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸の誘導体を重合して得られる樹脂、及びその誘導体を含有する樹脂であり、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではない。
前述の(メタ)アクリル酸の誘導体としては、(メタ)アクリレートを挙げることができる。例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、N−プロピルアクリレート、N−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、N−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、N−プロピルメタクリレート、N−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、N−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体;2−クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートの任意の水素原子をハロゲン基、水酸基及び他の有機残基で置換したものでもよい。ここで、他の有機残基は炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基であることが好ましい。
前述の(メタ)アクリル樹脂の主成分としては、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜18のアルキル基と(メタ)アクリル酸とからなるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基とメタ)アクリル酸とからなるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートが更に好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
前述の(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸の誘導体1種の単重合体であっても、(メタ)アクリル酸の誘導体2種以上の共重合体であっても、これらと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸の誘導体と共重合可能な共重合成分としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸類及びマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸類等の不飽和酸類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類、ラクトン環単位、グルタル酸無水物単位、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、マレイミド、N−置換マレイミド等のマレイミド類、グルタルイミド単位が挙げられる。
光学特性の観点から芳香族ビニル化合物が好ましく、特にスチレンが好ましい。
セルロースエステルとの相溶性向上の観点から、(メタ)アクリル樹脂としてはメチルメタクリレートの単独又は共重合体であることが好ましく、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を50質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことが更に好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。更には、メチルメタクリレートと他の単量体との共重合体が好ましく、この共重合体のアクリル樹脂にはメチルメタクリレートと共重合する単量体由来の繰り返し単位が1〜50質量%含まれることが好ましく、1〜30質量%含まれることがより好ましく、1〜10質量%含まれることが更に好ましい。
メチルメタクリレートと共重合可能な単量体としては、上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体として例示したものに加えて、炭素数が2〜18のアルキル基とメタクリル酸とからなるアルキルメタアクリレート、炭素数が1〜18のアルキル基とアクリル酸とからなるアルキルアクリレートが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上の単量体を併用して用いることができる。中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明に用いることができるアクリル樹脂及び(メタ)アクリル酸の誘導体、他の共重合可能な単量体としては特開2009−122664号、特開2009−139661号、特開2009−139754号、特開2009−294262号、国際公開2009/054376号等の各公報に記載のものも使用することができる。なお、これらは本発明を限定するものではなく、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
2種類以上の(メタ)アクリル樹脂を用いる場合は、少なくとも1種類は上記の構造を有するものを用いることが好ましい。
本発明で(メタ)アクリル樹脂をセルロース系樹脂と併用する場合、重量平均分子量Mwは80000以上であることが好ましい。アクリル樹脂の重量平均分子量Mwが80000以上であれば、機械的強度が高く、フィルム製造時のハンドリング適性に優れる。この観点から、(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量Mwは100000以上であること好ましい。
本発明においてセルロース系樹脂と併用する際に用いられる(メタ)アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR80、BR85、BR88、BR102(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
(ポリカーボネート系樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート系樹脂に、適宜剥離力や、靭性を制御するべく添加剤を入れて、用いることができる。
(ポリスチレン系樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系樹脂に、適宜剥離力や、靭性を制御するべく添加剤を入れて、用いることができる。
(その他の熱可塑性樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、上記の樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。その他の熱可塑性樹脂は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に種類は問わないが、熱力学的に相溶する熱可塑性樹脂の方が、機械強度や所望の物性を向上させる点において好ましい。
上記その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系熱可塑性;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系熱可塑性;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系熱可塑性;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。また、ゴム質重合体の平均粒子径は、フィルム状とした際の透明性向上の観点から、100nm以下である事が好ましく、70nm以下である事が更に好ましい。
シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体、具体的にはアクリロニトリル−スチレン系共重合体やポリ塩化ビニル樹脂、メタクリル酸エステル類を50質量%以上含有する重合体を用いるとよい。それらの中でもアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いると、ガラス転移温度が120℃以上、面方向の100μmあたりの位相差が20nm以下で、全光線透過率が85%以上であるフィルムを容易に得ることが可能となる。
<紫外線吸収剤>
前述の透光性支持体に好ましく使用される紫外線吸収剤について説明する。前述の透光性支持体を含む本発明の光学フィルムは、偏光板又は液晶表示用部材等に使用されるが、偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。紫外線吸収剤は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。例えば、特開2001−72782号公報や特表2002−543265号公報に記載の紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。
<その他の添加剤>
前述の透光性支持体には、マット剤として微粒子を加えることができる。マット剤として使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものがフィルムのヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルが更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
上記マット粒子の他に、前述の透光性支持体には、その他の種々の添加剤(例えば、レターデーション発現剤、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外線吸収剤、波長分散調整剤、透湿度低減化合物など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。更にまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、光学フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂(特にセルロースエステル及びアクリル樹脂)との相溶性がよい可塑剤は、ブリードアウトが生じ難く、低ヘイズであり、光モレ、正面コントラスト、輝度に優れた液晶表示装置を実現するフィルムの作製に有効である。
前述の透光性支持体に可塑剤を用いてもよい。可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤などが挙げられる。
好ましくはリン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、より好ましくはポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、更に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤であり、特に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤である。
特にポリエステルオリゴマー系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤は前述の透光性支持体との相溶性が高く、ブリードアウト低減、低ヘイズ及び低透湿度の効果が高く、また温湿度変化や経時による可塑剤の分解及びフィルムの変質や変形が生じ難いため、本発明に好んで用いることができる。
本発明において可塑剤を用いる場合は1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
また、前述の高分子溶液は、前述の透湿度低減化合物を含むことがより好ましい。
<透湿度低減化合物>
その他の添加剤のうち、透湿度低減化合物について下記に詳細に述べる。前述の基材フィルムは、透湿度低減化合物を含むことも好ましい。ポリマー単独で低透湿なポリマーは溶剤への溶解性が低く製造プロセスでの問題が多い。ポリマーと透湿度低減化合物の複合による透湿度を下げる事により、低透湿と溶解性(製造適性)の両立が可能となり、透湿度低減化合物を含むことが好ましい。
上記の透湿度低減化合物は、芳香族環を1つ以上含む構造であってもよい。芳香族環によって、疎水的な性質をフィルムに付与でき、水分の透過、脱着を抑制できる。
前述の基材フィルムが含む透湿度低減化合物として、下記一般式(A)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2014057950
(一般式(A)中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。)
前述の一般式(A)中のR、R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
前述の一般式(A)中のR、R、R、R、R、R及びRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
前述の一般式(A)中のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20の置換又は無置換のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
前述の一般式(A)中のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20の置換又は無置換のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
以下に前述の一般式(A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2014057950
前述の基材フィルムが含む透湿度低減化合物として、下記一般式(B)で表される化合物を好ましく用いることができる。
一般式(B)
Figure 2014057950
一般式(B)中、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35、R36は、それぞれ、水素原子又は置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。更に、一般式(B)中、のR12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35及びR36のうち少なくとも1つはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基である。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。中でも、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換基Tで置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
また、一般式(B)中、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35、R36のうち少なくとも1つはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基であり、より好ましくはアミノ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。また、これらの基は置換基によって置換されていてもよい。この場合の置換基として、上述の置換基Tが適用でき、好ましい範囲も同様である。
以下に前述の一般式(B)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2014057950
Figure 2014057950
前述の基材フィルムが含む透湿度低減化合物として、ノボラック系化合物も好ましく用いることができる。
本発明に用いられるノボラック型フェノール樹脂としては特に限定しないが、一般に酸性物質を触媒として、フェノール類とアルデヒド類を反応させたものが好ましく用いられる。ノボラック型フェノール樹脂の原料となるフェノール類としては特に限定しないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、及び1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類などが挙げられる。これらを単独又は2種類以上組み合わせて使用することができるが、通常、フェノール、クレゾールが多く用いられる。
上記の透湿度低減化合物は、前述の基材フィルムにおいて、前述の熱可塑性樹脂の質量に対し、10質量%以上100質量%以下の量で含むことが好ましい。より好ましくは15質量%以上90質量%以下であり、20質量%以上80質量%以下が更に好ましい。
(透光性支持体の厚さ)
前述の透光性支持体の膜厚は、5〜90μmが好ましく、10〜70μmがより好ましく、10〜50μmが特に好ましく、20〜40μmがより特に好ましい。膜厚を前述のの範囲に制御することで低透湿層を積層した後に液晶表示装置の置かれる環境、すなわち温湿度変化に伴うパネルのムラ小さくすることができる。
(透光性支持体の透湿度)
前述の透光性支持体の透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
前述の透光性支持体の透湿度は、800g/m/day以下であることが好ましく、400g/m/day以下であることがより好ましく、200g/m/day以下であることが特に好ましく、150g/m/day以下であることが更に特に好ましい。透光性支持体の透湿度を前述の範囲に制御することで、低透湿層を積層した光学フィルム(本発明の光学フィルム)を搭載した液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
(透光性支持体の酸素透過係数)
透湿度を低減するためには、フィルム中の水の拡散を抑える事が好ましく、すなわちフィルムの自由体積を下げる事が好ましい。一般的にフィルムの自由体積はフィルムの酸素透過係数と相関する。
前述の透光性支持体の酸素透過係数は、100cc・mm/(m・day・atm)以下が好ましく、30cc・mm/(m・day・atm)以下がより好ましい。
(透光性支持体のヘイズ)
前述の透光性支持体は、全ヘイズ値が2.00%以下であることが好ましい。全ヘイズ値が2.00%以下であると、フィルムの透明性が高く、液晶表示装置のコントラスト比や輝度向上に効果がある。全ヘイズ値は、1.00%以下がより好ましく、0.50%以下であることが更に好ましく、0.30%以下が特に好ましく、0.20%以下が最も好ましい。全ヘイズ値は低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理やロールフィルムのハンドリング性も考慮すると0.01%以上であることが好ましい。
前述の透光性支持体の内部ヘイズ値は、1.00%以下であることが好ましい。内部ヘイズ値を1.00%以下とすることで、液晶表示装置のコントラスト比を向上させ、優れた表示特性を実現することができる。内部ヘイズ値は、0.50%以下がより好ましく、0.20%以下が更に好ましく、0.10%以下が特に好ましく、0.05%以下が最も好ましい。原料選択や製造管理等の観点からは0.01%以上であることが好ましい。
前述の透光性支持体としては、特に、全ヘイズ値が0.30%以下であり、内部ヘイズ値が0.10%以下であることが好ましい。
全ヘイズ値及び内部ヘイズ値は、フィルム材料の種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸時の温度や延伸倍率など)により調整することができる。
なおヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)で、JIS K−6714に従って測定することができる。
(透光性支持体の弾性率)
前述の透光性支持体の弾性率は、幅方向(TD方向)で1800〜7000MPaであることが好ましい。
本発明において、TD方向の弾性率が上記範囲とすることにより、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラやフィルム作製時の搬送性、端部スリット性や破断のし難さ等の製造適性の観点で好ましい。TD弾性率が小さすぎると高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラが発生し易くなり、また製造適性に問題が生じ、大きすぎるとフィルム加工性に劣る為、TD方向の弾性率は、1800〜5000MPaがより好ましく、1800〜4000MPaであることが更に好ましい。
また、前述の透光性支持体の、搬送方向の(MD方向)の弾性率は、1800〜4000MPaが好ましく、1800〜3000MPaであることがより好ましい。
ここで、フィルムの搬送方向(長手方向)とは、フィルム作製時の搬送方向(MD方向)であり、幅方向とはフィルム作製時の搬送方向に対して垂直な方向(TD方向)である。
フィルムの弾性率は、前述の透光性支持体材料の熱可塑性樹脂の種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸倍率など)により調整することができる。
弾性率は、例えば、東洋ボールドウィン(株)製万能引っ張り試験機“STM T50BP”を用い、23℃、70RH%雰囲気中、引張速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定して求めることができる。
(透光性支持体のガラス転移温度Tg)
前述の透光性支持体のガラス転移温度Tgは製造適性と耐熱性の観点より、100℃以上200℃以下が好ましく、更に100℃以上150℃以下が好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めることができる。
また、ガラス転移温度の測定は、以下の動的粘弾性測定装置を用いて求めることもできる。フィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA−225(アイティー計測制御(株)製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜250℃、周波数1Hzで測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点を、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とする。
(透光性支持体のヌープ硬度)
最表面に用いる偏光板保護膜では、表面硬度が高い事が好ましく、その場合、透光性支持体の特性としては、ヌープ硬度が高い事が好ましい。ヌープ硬度は、100N/mm以上が好ましく、150N/mm以上が更に好ましく用いられる。
(透光性支持体の平衡含水率)
前述の透光性支持体の含水率(平衡含水率)は、偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性熱可塑性との接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃、相対湿度80%における含水率が、0〜4質量%であることが好ましい。0〜2.5質量%であることがより好ましく、0〜1.5質量%であることが更に好ましい。平衡含水率が4質量%以下であれば、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなり過ぎず、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラを抑止の点からも好ましい。
含水率の測定法は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出できる。
(透光性支持体の寸度変化)
前述の透光性支持体の寸度安定性は、60℃、相対湿度90%の条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率、及び80℃、DRY環境(相対湿度5%以下)の条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率が、いずれも0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは0.3%以下であり、更に好ましくは0.15%以下である。
(透光性支持体の光弾性係数)
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして使用した場合には、偏光子の収縮による応力などにより複屈折(Re、Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、透光性支持体の弾性率は、15Br以下であることが好ましく、−3〜12Brであることがより好ましく、0〜11Brであることが更に好ましい。
<透光性支持体の製造方法>
前述の透光性支持体の製造方法は、熱可塑性樹脂及び溶媒を含む高分子溶液(ドープ)を流延して高分子膜(前述の透光性支持体)を形成する工程、あるいは、熱可塑性樹脂を溶融製膜して透光性支持体を形成する工程を含むことが好ましい。すなわち、前述の透光性支持体は、前述の熱可塑性樹脂及び溶媒を含む高分子溶液を流延して製膜されてなること、あるいは、熱可塑性樹脂を溶融製膜されてなることが好ましい。
前述の高分子膜の製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液製膜が好ましい。
前述の高分子膜は、未延伸フィルム又は延伸フィルムのいずれでもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルム又は2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルム又は逐次2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルム性能が向上する。高倍率延伸することで基材の靭性の向上に加えて透湿度を下げることができるため好ましい。
前述の高分子膜は、搬送方向(MD方向)及び/あるいは直交する幅方向(TD方向)に延伸することが好ましい。幅方向への延伸により、支持体での乾燥時及び剥ぎ取り時に発生したムラを軽減しフィルム面内で良好な面状を得ることが出来る。
溶液流延の場合、高分子膜は湿潤状態で延伸してもよいし、未延伸のまま乾燥し、フィルム中の残留溶剤量が3.0%質量以下である乾燥フィルムとした後に、延伸を行っても良いが、湿潤フィルムであることが好ましい。なお、乾燥フィルムを延伸する場合、未延伸のまま乾燥フィルムを作製して一度巻き取った後、更に延伸を行っても良い。
延伸温度は、フィルム原料である樹脂のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないことがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)超えると、樹脂の流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えなくなることがある。
延伸倍率は、面積比で1.1〜25倍であることが好ましい。高分子膜が(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする場合、より好ましくは5.0〜20倍の範囲内であり、8〜15倍が特に好ましい。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないことがある。逆に、延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないことがある。また、延伸倍率が5倍以上であると、靭性の向上に加えて透湿度が低下することがあり、本発明ではより好ましい。
高分子膜がセルロース系樹脂を主成分とする場合、面積比で1.2〜20倍であることがより好ましく、1.4〜15倍であることが更に好ましく、2.3〜10倍であることが特に好ましい。延伸倍率が1.4倍以上であると、靭性の向上に加えて透湿度が低下することがあり、本発明ではより好ましい。なお、搬送方向には意図的にドローテンションをかけて延伸しない場合でも搬送によるテンションがかかるため、結果的に1.01〜1.1倍程度の倍率で延伸されたフィルムが得られることもある。
高分子膜は、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うことができる。熱処理の条件は、従来公知の延伸フィルムに対して行われる熱処理の条件と同様に適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
(溶媒)
ドープを形成するのに有用な溶媒は、前述の熱可塑性樹脂を溶解するものであれば、制限なく用いることができる。
本発明においては、有機溶媒として、塩素系有機溶媒を主溶媒とする塩素系溶媒と塩素系有機溶媒を含まない非塩素系溶媒とのいずれをも用いることができる。2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
ドープを作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、前述の熱可塑性樹脂が溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りはその塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは有機溶媒全体量中少なくとも50質量%使用することが必要である。本発明で塩素系有機溶剤と併用される他の有機溶媒について以下に記す。即ち、好ましい他の有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテル及びアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。更に炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレンが含まれる。
その他の溶媒としては、例えば特開2007−140497号公報に記載の溶媒を用いることができる。
(表面処理)
透光性支持体は、場合により表面処理を行うことによって、透光性支持体と低透湿層やそれ以外の層(例えば、偏光子、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
次に本発明の光学フィルムに用いる環状ポリオレフィン含有層形成用組成物について説明する。
(環状ポリオレフィン含有層形成用塗布組成物)
(a)環状ポリオレフィン系樹脂
本発明の塗布組成物には環状ポリオレフィン系樹脂を用いる。ここで、環状ポリオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に用いる環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。
本発明に好ましい重合体は下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン系樹脂及び必要に応じ、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィン系樹脂である。また、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
Figure 2014057950
Figure 2014057950
Figure 2014057950
式(I)〜(III)中、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X〜X、Y〜Yは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、又はXとYあるいはXとYあるいはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
ノルボルネン系重合体水素化物は、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−1159767号あるいは特開2004−309979号等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られる。本発明に用いるノルボルネン系重合体において、R〜Rは水素原子又は−CHが好ましく、透湿度が低いという観点から水素原子であることが更に好ましい。X、Y、X、及びYは水素原子、Cl、−COOCHが好ましく、透湿度が低いという観点から水素原子であることが更に好ましい。その他の基は適宜選択される。mは0あるいは1が好ましい。このノルボルネン系樹脂は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
ノルボルネン系付加(共)重合体は、特開平10−7732号、特表2002−504184号、米国公開特許2004229157A1号あるいはWO2004/070463A1号等に開示されている。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。中でもエチレンとの共重合体であることが好ましい。このノルボルネン系付加(共)重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
環状ポリオレフィン系樹脂中、環状オレフィン重合単位の含有量は5〜95質量%が好ましい。
本発明においては、環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)に制限はないが、例えば200〜400℃というような高いTgの環状ポリオレフィン系樹脂も用いることができる。
(b)有機溶剤
本発明の低透湿層形成用組成物に使用できる有機溶剤としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素系溶剤、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルn−プロピルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチルなどのエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶剤、アセトン、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノンなどケトン系溶剤等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記溶剤の中でも環状ポリオレフィン系樹脂の溶解性、汎用性の観点から、脂環式炭化水素系溶剤(b−1)、あるいは芳香族炭化水素系溶剤(b−2)を少なくとも一種含有することが好ましい。中でも脂環式炭化水素系溶剤(b−1)を少なくとも一種含有することが特に好ましい。
乾燥負荷を減らす観点から前述の塗布組成物中の最も多く含まれる溶剤の沸点としては150℃未満であることが好ましく、120℃未満であることが更に好ましく90℃未満であることが最も好ましい。
また、前述の環状ポリオレフィン含有層と前述の透光性支持体の密着性を向上させる観点から透光性支持体を溶解又は膨潤することのできる溶剤(b−3)を少なくとも一種含有することも好ましい。
セルロース系樹脂からなる支持体、(メタ)アクリル系樹脂からなる支持体を溶解あるいは膨潤させる溶剤としては、アセトン、酢酸メチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ニトロメタン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジイソプロピルエーテル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボーネート、ジイソプロピルカーボネート、非対称の例としては、メチルエチルカーボネート、メチルn−プロピルカーボネート、エチルn−プロピルカーボネートが挙げられる。
特に、基材がセルロース系樹脂からなる、あるいは(メタ)アクリル系樹脂からなる場合に使用する溶剤は、溶解あるいは膨潤させた結果干渉ムラの抑制能力に優れるという理由から、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネートが好ましく、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、アセトン、シクロヘキサノン、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネートがより好ましい。
(c)重合性官能基を有するモノマー
本発明に用いる塗布組成物には、重合性官能基を有するモノマーを用いることができる。重合性官能基を有するモノマーは硬化剤として働き、透光性支持体との密着性を向上させることができる。特に透光性支持体を溶解、あるいは膨潤させる溶剤と併用することにより基材中に浸透した上で硬化するため密着性を向上する上で好ましい。
重合性基としては、ラジカル、カチオン、又は縮合重合性の基であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基、アリル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタン基から選ばれるものが好ましい。これらの中でも、重合性の観点から、ラジカル又はカチオン重合性を有する(メタ)アクリロイル基、アリル基、エポキシ基が好ましく、より好ましいのはラジカル重合性を有する(メタ)アクリロイル基である。架橋点密度を上げるために分子内に有する重合性官能基の数は2以上であることがより好ましい。
重合性官能基を有するモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業(株)製V#3PA、V#400、V#36095D、V#1000、V#1080等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学(株)製)、UL−503LN(共栄社化学(株)製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業(株)製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4858(ダイセルUCB(株)製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成(株)製)、アートレジンUN−3320HA,UN−3320HC,UN−3320HS、UN−904,HDP−4Tなどのウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100,M−8030,M−9050(東亞合成(株)製、KRM−8307(ダイセルサイテック(株)製)などのポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
本発明に用いる塗布組成物に使用できる重合性官能基を有するモノマーとしては、透光性支持体との密着性を向上させつつ低透湿性を損なわないという観点から分子内に環状脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基を有する化合物を好適に用いることができる。
詳細は明らかではないが、分子内に環状脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基を有する化合物を用いることで、低透湿層に疎水的な環状脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基を導入し、疎水化することで、外部から分子の取り込みを防止し、透湿度を低下させる。
環状脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数7以上の脂環式化合物から誘導される基であり、より好ましくは炭素数10以上の脂環式化合物から誘導される基であり、更に好ましくは炭素数12以上の脂環式化合物から誘導される基である。
環状脂肪族炭化水素基としては、特に好ましくは、二環式、三環式等の、多環式化合物から誘導される基である。
より好ましくは、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格、あるいは、アダマンタン誘導体の骨格等が挙げられる。
環状脂肪族炭化水素基(連結基含む)としては、下記一般式(I)〜(V)のいずれかで表される基が好ましく、下記一般式(I)、(II)、又は(IV)で表される基がより好ましく、下記一般式(I)で表される基が更に好ましい。
Figure 2014057950
一般式(I)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜3の整数を表す。
Figure 2014057950
一般式(II)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
Figure 2014057950
一般式(III)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
Figure 2014057950
一般式(IV)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表し、L’’は水素原子又は二価以上の連結基を表す。
Figure 2014057950
一般式(V)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。
環状脂肪族炭化水素基としては具体的には、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロドデカニル、ペンタシクロペンタデカニル、アダマンチル、ジアマンタニル等が挙げられる。
環状脂肪族炭化水素基を有し、かつ重合性官能基を有する化合物は、上記の環状脂肪族炭化水素基と重合性官能基が連結基を介して結合することにより構成される。
連結基としては、単結合、炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基、N位が地置換されていてもよいアミド基、N位が置換されていてもよいカルバモイル基、エステル基、オキシカルボニル基、エーテル基等、及びこれらを組み合わせて得られる基が挙げられる。
これらの化合物は、例えば、上記環状脂肪族炭化水素基を有するジオール、トリオール等のポリオールと、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を有する化合物のカルボン酸、カルボン酸誘導体、エポキシ誘導体、イソシアナート誘導体等との一段あるいは二段階の反応により容易に合成することができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの化合物や、WO2012/00316A号記載の化合物(例、1、1―ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアナート)を用いて、上記環状脂肪族炭化水素基を有するポリオールとの反応させることにより合成することができる。
以下環状脂肪族炭化水素基を有し(メタ)アクリロイル基を有する化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014057950
Figure 2014057950
低透湿層用組成物における(c)重合性官能基含有モノマーの含有量は、組成物の全固形分に対して0〜95質量%であることが好ましい。
(重合開始剤)
低透湿層形成用組成物は、前述の(c)重合性官能基を有するモノマーを含有する場合、重合性官能基を有するモノマーを重合させるために、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤を含有してもよい。こられの開始剤を用い、電離放射線の照射又は加熱により、重合を行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907,127)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
(界面活性剤)
本発明に係る低透湿層形成用組成物には各種の界面活性剤を使用することが好適である。一般的に界面活性剤は乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制したり、低透湿層の表面凹凸や塗布物のハジキを改良できる。界面活性剤としては、公知のフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、あるいは炭化水素系界面活性剤を使用することができる。フッ素系界面活性剤の好ましい態様、及び具体例は、特開2007−102206号公報の段落番号[0023]〜[0080]に記載されており、本発明においても同様である。
シリコーン系界面活性剤の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはポリエーテル基、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、などを含む基が挙げられる。
数平均分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、1000〜30000であることが特に好ましく、1000〜20000であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学工業(株)製の“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X22−164C”、“X−22−176D”、(以上商品名);チッソ(株)製の、“FM−7725”、“FM−5521”、“FM−6621”、(以上商品名);Gelest製の“DMS−U22”、“RMS−033”(以上商品名);東レ・ダウコーニング(株)製の“SH200”、“DC11PA”、“ST80PA”、 “L7604”、“FZ−2105”、 “L−7604”、“Y−7006”、“SS−2801”、(以上商品名);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製の“TSF400”(商品名);などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前述の界面活性剤は、低透湿層用塗布組成物の全固形分中に0.01〜0.5質量%含有されることが好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましい。
(環状ポリオレフィン含有層の製造方法)
本発明の環状ポリオレフィン含有層は環状ポリオレフィン含有層形成用塗布組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等により透光性支持体上に塗布し、加熱・乾燥することによって形成できる。マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号公報参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。上記塗布方法を使用することで溶液流延法や溶融流延法では達成できないような薄膜でも低透湿を達成することができる。また、偏光板加工時の加工性や汎用性の観点で優れるセルロース系樹脂やアクリル系樹脂からなる各種透光性支持体を用いて低透湿を達成することができる。
環状ポリオレフィン含有層形成用塗布組成物が熱硬化性化合物、あるいは電離放射線硬化性化合物を含有する場合、塗布した後、必要に応じて加熱、あるいは電離放射線照射して環状ポリオレフィン含有層形成用塗布組成物から形成される層を硬化し、これにより環状ポリオレフィン含有層を形成することができる。
(環状ポリオレフィン含有層を積層した光学フィルムのヘイズ)
環状ポリオレフィン含有層を積層した透光性支持体の全ヘイズ値は2.0%以下であることが好ましい。全ヘイズ値が2.0%以下であると、フィルムの透明性が高く、液晶表示装置のコントラスト比や輝度向上に効果がある。全ヘイズ値は、1.0%以下がより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、0.3%以下が特に好ましい。全ヘイズ値は低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理やロールフィルムのハンドリング性も考慮すると0.01%以上であることが好ましい。
前述の環状ポリオレフィン含有層を積層した透光性支持体の内部ヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましい。内部ヘイズ値を1.0%以下とすることで、液晶表示装置のコントラスト比を向上させ、優れた表示特性を実現することができる。内部ヘイズ値は、0.5%以下がより好ましく、0.2%以下が更に好ましく、0.1%以下が特に好ましい。原料選択や製造管理等の観点からは0.01%以上であることが好ましい。
なおヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)で、JIS K−6714に従って測定することができる。
(環状ポリオレフィン含有層の膜厚)
環状ポリオレフィン含有層の膜厚は0.5〜30μmであることが好ましく、1〜25μmであることが更に好ましく、3〜20μmであることがより好ましく、5〜15μmであることが最も好ましい。30μmを超えるとカールが強くなりすぎたり、支持体との密着が悪くなったり、コストが高くなることから好ましくない。また、0.5μmより薄いと透湿度が悪化するため好ましくない。
(光学フィルムの透湿度)
本発明の光学フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
本発明の光学フィルムの透湿度は、200g/m/day以下であり、1000g/m/day以下であることが好ましく、50g/m/day以下であることがより好ましく、30g/m/day以下であることが特に好ましく、10g/m/day以下であることが更に特に好ましい。透湿度が200g/m/day以下であれば、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
<光学フィルムの層構成>
本願の光学フィルムとしては、環状ポリオレフィン含有層の上にハードコート層や防眩層、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層などの屈折率を調整した層等)帯電防止層、紫外線吸収層、光学異方性層などの各種機能層を有することも好ましい。また、透明支持体の環状ポリオレフィン含有層を形成した面とは反対側に前述の機能層を形成する構成も好ましい。複数の機能層を積層する場合一つの機能層を環状ポリオレフィン含有層上に積層し、もう一つの機能層を環状ポリオレフィン含有層が積層していない面に積層することもできる。前述の機能層は1層であっても良いし、複数層設けても良い。また、前述の機能層の積層方法は特に限定されない。具体的な好ましい層構成を以下に示す。
・透光性支持体/環状ポリオレフィン含有層
・透光性支持体/環状ポリオレフィン含有層/ハードコート層あるいは防眩層/(低屈折率層)
・環状ポリオレフィン含有層/透光性支持体/ハードコート層あるいは防眩層/(低屈折率層)
・透光性支持体/環状ポリオレフィン含有層/ハードコート層あるいは防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・透光性支持体/環状ポリオレフィン含有層/ハードコート層あるいは防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・環状ポリオレフィン含有層/透光性支持体/ハードコート層あるいは防眩層/高屈折率層/低屈折率層・環状ポリオレフィン含有層/透光性支持体/ハードコート層あるいは防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・光学異方性層/(配向膜)/透光性支持体/環状ポリオレフィン含有層/(ハードコート層)/(低屈折率層)
・環状ポリオレフィン含有層/光学異方性層/(配向膜)/透光性支持体/(ハードコート層)/(低屈折率層)
()は積層してもしなくても良いことを表す。
ハードコート層、防眩層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層としては特開2006−17870、特開2006−30881、特開2007−298974、特開2011―136503、特開2012―159692等に記載のものを好適に用いることができるがこれに限定されるものではない。
(光学異方性層)
本発明の光学フィルムに設けることのできる光学異方性層としては、一定の位相差を有する膜が面内均一に形成された光学異方性層であっても良いし、遅相軸の方向や位相差の大きさが互いに異なる、位相差領域が規則的に面内に配置されたパターンを形成した光学異方性層であっても良い。光学異方性層は基材フィルムの低透湿層が形成されていない面に形成されていることが好ましい。
光学異方性層は各種用途に合わせ材料及び製造条件を選択することができるが、本発明では重合性液晶性化合物を用いた光学異方性層が好ましい。その場合、光学異方性層と基材フィルムの間に光学異方性層と接して配向膜が形成されていることも好ましい態様である。
面内均一に形成された光学異方性層を有する好ましい例として、光学異方性層がλ/4膜である態様が挙げられ、特にアクティブ方式の3D液晶表示装置の部材として有用である。λ/4膜の光学異方性層が、基材フィルムに積層した態様として特開2012−098721号公報、特開2012−127982号公報に記載されており、本発明の光学フィルムで、このような態様を好ましく用いることができる。
一方、パターンを形成した光学異方性層の好ましい例としては、パターン型のλ/4膜が挙げられ、特許4825934号公報、特許4887463号公報に記載された態様を、本発明の光学フィルムで好ましく用いることができる。
前述の機能層の厚みは、0.01〜50μmであることがより好ましく、0.02〜20μmであることが特に好ましい。
[防眩層]
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの硬度、耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成されうる。
本発明で用いることができる防眩層はバインダー及び防眩性を付与するための透光性粒子を含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
また、ハードコート性を有する防眩層を使用することで、別にハードコート層を形成する必要がなくなる。
透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子;が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
透光性粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
バインダーの屈折率は、内部ヘイズ、表面ヘイズを調節するという観点から、上述した粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することが好ましい。透光性粒子にあわせたバインダーとしては、例えば、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなるバインダー(硬化後の屈折率が1.55〜1.70)と、スチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子及びベンゾグアナミン粒子のいずれか一方又は両方との組み合わせが挙げられ、これらのうち、上記バインダーとスチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(スチレン−アクリレート)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.54〜1.59)との組合せが好適に例示される。
また、上述した観点より、バインダーの屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値が0.04以下が好ましい。バインダーの屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値は好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
透光性粒子の含有量は、防眩性等の観点から、形成された防眩層中の全固形分に対して3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で別の光学特性を付与することが可能である。
また、本発明において、透光性粒子の凝集性を制御するために、スメクタイト型粘土に、4級アンモニウム塩をインターカレーションさせることにより得られるスメクタイト型粘土有機複合体を利用する態様も好適に例示される。スメクタイト型粘土有機複合体の含有量は、形成された防眩層の全固形分に対して、0.2〜8.0質量%が好ましく、0.3〜4.0質量%がより好ましく、0.4〜3.0質量%が更に好ましく、0.5〜2.0質量%が特に好ましい。
4級アンモニウム塩としては下記一般式(1)で表わされる4級アンモニウム塩が好ましい。
[(R(R)N]・X (1)
(式中、R及びRは同一ではなく、Rは炭素数4〜24の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、Rは炭素数1〜10の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
一般式(1)のアンモニウムイオンとしては、例えば、トリオクチル・メチル・アンモニウムイオン、トリステアリル・エチル・アンモニウムイオン、トリオクチル・エチル・アンモニウムイオン、トリステアリル・メチル・アンモニウムイオン、トリデシル・ヘキシル・アンモニウムイオン、トリテトラデシル・プロピル・アンモニウムイオン等が挙げられ、これらのうち、トリオクチル・メチル・アンモニウムイオン及びトリステアリル・エチル・アンモニウムイオンが好適に例示される。
一般式(1)中、Xは、陰イオンを表す。このような陰イオンとしては、例えば、Cl、Br、OH、NO 等が挙げられ、これらのうち、Clが好適に例示される。
スメクタイト型粘土有機複合体の市販品としては、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSPN(以上コープケミカル社製)などが挙げられ、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における防眩層の膜厚は、0.5μm〜50μmであることが好ましく、1〜35μmであることがより好ましく、1μm〜25μmであることが更に好ましい。
本発明における防眩層の中心線平均粗さ(Ra75)は、0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。
また、上記防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
防眩層を形成する方法としては、例えば、特開平6−16851号公報の請求項22に記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報の請求項10に記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報の請求項6に記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の重量比が減少することにより透光性粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報の請求項8に記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
また、支持体中に透光性粒子を含有させ、支持体に防眩機能を付与した態様についても好ましく用いることができる。このような態様としては、特開2009−258720号公報の請求項1や特開2005−105926号公報の請求項1に記載される防眩機能を持ったフィルムが好適に例示される。
[高屈折率層、中屈折率層、及び低屈折率層]
高屈折率層の屈折率は、1.70〜1.74であることが好ましく、1.71〜1.73であることがより好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整される。中屈折率層の屈折率は、1.60〜1.64であることが好ましく、1.61〜1.63であることが更に好ましい。低屈折率層は、屈折率が1.30〜1.47であることが好ましい。多層薄膜干渉型の反射防止フィルム(中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層)の場合の低屈折率層の屈折率は1.33〜1.38であることが好ましく、1.35〜1.37であることが更に好ましい。
高屈折率層、中屈折率層、及び低屈折率層の形成方法は化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、オールウェット塗布による方法が好ましい。
高屈折率層、中屈折率層、及び低屈折率層としては特開2009−98658号公報の段落[0197]〜[0211]に記載のものを使用することができる。
これらの層は防眩層の上に形成することができ、適宜材料や厚みを調整することが好ましい。
[ハードコート層]
本発明の光学フィルムにおいては、フィルムの物理的強度を付与するために、ハードコート層を設けてもよい。ハードコート層を設けなくてもよいが、ハードコート層を設けた方が鉛筆引掻き試験などの耐擦傷性面が更に強くなり、好ましい。
ハードコート層としては特開2009−98658号公報の段落[0190]〜[0196]に記載のものを使用することができる。
<偏光板>
本発明の偏光板は、偏光子と、この偏光子の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして用いることができる。偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。また前述ののような表面処理を行ってもよい。光学フィルムの偏光子との貼合面は低透湿層積層した面でも良いし、環状ポリオレフィン含有層を積層していない面であっても構わない。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更にこの偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、この液晶セルの少なくとも一方に配置された本発明の偏光板とを含み、前述の偏光板中に含まれる本発明の光学フィルムが最表層となるように配置されたことを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとしても用いることもできる。この場合、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、及び上述の液晶セルと偏光素子との間に少なくとも一枚の本発明の光学フィルムを光学補償フィルムとして配置した構成であることが更に好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANモードの液晶表示装置が好ましく、TN、OCB、IPS及びVAモードの液晶表示装置がより好ましい。
<一般的な液晶表示装置の構成>
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び必要に応じて上述の液晶セルと偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、更にガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶セルを含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板用保護フィルムは、2枚の偏光板のいずれの保護フィルムとして用いることができるが、各偏光板の2枚の保護フィルムのうち、偏光子に対して液晶セルの外側に配置される保護フィルムとして用いられることが好ましい。
2枚の偏光板のうち、視認側偏光板の、視認側の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを配置することが特に好ましい。
また、2枚の偏光板のうち、視認側偏光板の、視認側の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを配置した上で、更にバックライト側偏光板のバックライト側保護フィルムにも本発明の光学フィルムを配置し、2枚の偏光板に含まれる偏光子の伸縮を抑止し、パネルの反りを防止することも好ましい態様である。
<液晶表示装置の種類>
本発明のフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定して解釈されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
<透光性支持体1の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、固形分濃度22質量%のセルロースアセテート溶液(ドープA)を調製した。
[セルロースアセテート溶液(ドープA)の組成]
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
紫外線吸収剤(チヌビン328 チバ・ジャパン製) 0.9質量部
紫外線吸収剤(チヌビン326 チバ・ジャパン製) 0.2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
バンド流延装置を用い、前述の調製したドープAを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った。得られた透光性支持体1の厚さは40μmであった。
<透光性支持体2の作製>
バンド流延装置を用い、前述の調製したドープAを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープA中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、渡り部で下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度より速くすることにより搬送方向の延伸を行い、温度170℃で搬送方向(MD)に1.2倍及びテンターで搬送方向の直交方向(TD方向)に1.5倍延伸し(延伸倍率は面積比で1.8倍)、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った。得られた透光性支持体2の膜厚は40μmであった。
<透光性支持体3の作製>
(主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂からなるフィルム)
攪拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入管を備えた内容積30Lの反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)8000g、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)2000g及び重合溶媒としてトルエン10000gを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う環流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート10.0gを添加するとともに、t−アミルパーオキシイソノナノエート20.0gとトルエン100gとからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の環流下で溶液重合を進行させ、更に4時間の熟成を行った。重合反応率は96.6%、得られた重合体におけるMHMAの含有率(質量比)は20.0%であった。
次に、得られた重合溶液に、環化触媒として10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学工業製、Phoslex A−18)を加え、約80〜100℃の環流下において5時間、環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度260℃、回転速度100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個及びフォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出機(スクリュー径φ=29.75mm、有効長L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時の処理速度で導入し、押出機内で環化縮合反応及び脱揮を行った。次に、脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂を押出機の先端から排出し、ペレタイザーによりペレット化して、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂からなる透明なペレットを得た。この樹脂の重量平均分子量は148000、メルトフローレート(JISK7120に準拠し、試験温度を240℃、荷重を10kgとして求めた。以降の製造例においても同じ)は11.0g/10分、ガラス転移温度は130℃であった。
次に、得られたペレットとAS樹脂(東洋スチレン製、商品名:トーヨーAS AS20)を、ペレット/AS樹脂=90/10の重量比で単軸押出機(スクリュー径φ=30mm)を用いて混錬することにより、ガラス転移温度が127℃の透明なペレットを得た。
上記で作製した樹脂組成物のペレットを、二軸押出機を用いて、コートハンガー型Tダイから溶融押出し、厚さ約160μmの樹脂フィルムを作製した。
次に、得られた未延伸の樹脂フィルムを、縦方向に2.0倍、横方向に2.0倍(延伸倍率は面積比で4倍)に同時二軸延伸することにより、透光性支持体3を作製した。このようにして得た二軸延伸性フィルムの厚さは40μm、面内位相差は2nm、厚さ方向の位相差は3nm、全光線透過率は92%、ヘイズは0.3%、ガラス転移温度は127℃であった。
<透光性支持体4の作製>
(主鎖にラクトン環単位構造を有するアクリル樹脂からなる高延伸フィルム)
前述の<透光性支持体3の作製>で作製したペレットを、二軸押出機を用いて、コートハンガー型Tダイから溶融押出し、厚さ約500μmの樹脂フィルムを作製した。
次に、得られた未延伸の樹脂フィルムを、縦方向に3.4倍、横方向に3.6倍に二軸延伸することにより(延伸倍率は面積比で12.2倍)、透光性支持体4を作製した。このようにして得た二軸延伸性フィルムの厚さは40μmであった。
<透光性支持体5の作製>
まず、透光性支持体5で使用したセルロースエステル、アクリル樹脂及び紫外線吸収剤について説明する。
(セルロースエステル)
アシル基総置換度2.75、アセチル置換度0.19、プロピオニル置換度2.56、分子量200000のセルロースエステルを使用した。
このセルロースエステルは、以下のように合成した。
セルロースに触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加して40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の量を調整することでアセチル基及びプロピオニル基の置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースエステルの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した(以降セルロースエステルCE−1とする)。
(アクリル樹脂)
下記に記載のアクリル樹脂を使用した。このアクリル樹脂は市販品で入手可能である。・ダイヤナールBR88(商品名)、三菱レイヨン(株)製(以降アクリル樹脂AC−1とする)。
(紫外線吸収剤)
下記に記載の紫外線吸収剤を使用した。
・UV剤1:チヌビン328(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
(ドープB調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープBを調製した。
(ドープB組成)
セルロースエステルCE−1 30質量部
アクリル樹脂AC−1 70質量部
(セルロースエステルとアクリル樹脂は合計100質量部)
紫外線吸収剤 UV剤1 2質量部
ジクロロメタン 319質量部
エタノール 43質量部
ドープBの固形分濃度(セルロースエステル、アクリル樹脂、紫外線吸収剤の合計濃度)は22質量%であった。
バンド流延装置を用い、前述の調製したドープを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った。得られた透光性支持体5の膜厚は40μmであった。
<透光性支持体6の作製>
バンド流延装置を用い、前述の調製したドープBを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープB中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、渡り部で下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度より速くすることにより搬送方向の延伸を行い、温度170℃で搬送方向(MD)に1.2倍及びテンターで搬送方向の直交方向(TD方向)に1.5倍延伸し(延伸倍率は面積比で1.8倍)、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った。得られた透光性支持体6の膜厚は40μmであった。
(環状ポリオレフィン含有層形成用組成物の調製)
各成分を下記表1のように混合した後、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて5時間攪拌後、孔径5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、各組成物を得た。なお、表1において、固形分の各成分の添加量は「質量部」を表す。溶剤の添加量は全溶剤中における各溶剤の添加量(質量比)であり、固形分濃度が表1に記載の値(質量%)になるように固形分と溶剤を添加した。なお、A−9に関しては、撹拌する際に80℃に加熱しながら行った。
Figure 2014057950
以下、使用した化合物について説明する。
・ゼオノア1020R:環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製)
・TOPAS6013:下記環状ポリオレフィン樹脂(Polyplastics(株)製)
Figure 2014057950
・アペルAPL5014DP:下記環状ポリオレフィン樹脂(三井化学(株)製)
Figure 2014057950
・アートンFX4726:下記環状ポリオレフィン樹脂(JSR(株)製)
Figure 2014057950
(Rは有機基を表す。)
・PET30:ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
・Irg.127:光重合開始剤IRGACURE127(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
・デルペット80N:PMMA樹脂(旭化成(株)製)
・エバールL171B:エチレンービニルアルコール樹脂(クラレ(株)製)
(光学フィルム2の作製)
透光性支持体として透光性支持体1上に、前述の環状ポリオレフィン層形成用塗布組成物A−1をグラビアコーターを用いて塗布した後、25℃で1分間乾燥し、続いて80℃で約5分間乾燥して膜厚10μmの光学フィルム2を得た。
(光学フィルム3〜8、11〜14、16〜22の作製)
表2に示すように塗布組成物をA−1からA−2〜A−7に変える、及びあるいは透光性支持体を透光性支持体1から透光性支持体2〜6に変える、及びあるいは膜厚を変更する以外は光学フィルム2と同様にして光学フィルム3〜8、11〜14、16〜22を作製した。
(光学フィルム23、24の作製)
表2に示すように塗布組成物をA−1からA−10、A−11に変える、及び乾燥温度を80℃から100℃に変更する以外は光学フィルム2と同様にして光学フィルム23、24を作製した。
(光学フィルム9の作製)
透光性支持体として透光性支持体1上に、前述の塗布組成物A−8をグラビアコーターを用いて塗布した後、25℃で1分間乾燥し、続いて60℃で1分間乾燥した。その後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量300mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ10μmの光学フィルム9を作製した。
(光学フィルム10の作製)
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。透光性支持体1を前述のの水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前述のの希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させ、鹸化処理済みの透光性支持体1を作製した。
前述の鹸化処理済みの透光性支持体1上に前述の塗布組成物A−9をグラビアコーターを用いて塗布した後、25℃で1分間乾燥し、続いて110℃で15分間乾燥し、光学フィルム10を作製した。
[光学フィルムの評価]
作製した各実施例及び比較例の光学フィルムについて膜厚を測定し、下記の物性測定と評価を行った。なお低透湿層の膜厚は低透湿層の積層前後の膜厚を測定し、その差から求めた。
(1)透湿度(40℃90%相対湿度での透湿度)
透湿度の測定法は、各実施例及び比較例の光学フィルム試料を直径70mmの円に裁断後、40℃、相対湿度90%でそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208の方法に従い透湿カップを用いて、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m)を算出した。
<試料B−1>
(防眩層用塗布液の調製)
下記の組成となるように各成分をMIBK(メチルイソブチルケトン)とMEK(メチルエチルケトン)との混合溶媒(89対11(質量比))と混合した。孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液1を調製した。各塗布液の固形分濃度は40質量%である。なお、塗布液の調製に際して、樹脂粒子及びスメクタイトは後述する分散液の状態で添加した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
防眩層塗布液1
――――――――――――――――――――――――――――――――――
スメクタイト(ルーセンタイトSTN、コープケミカル社製)
1.00質量%
樹脂粒子(テクポリマーSSX、積水化成品工業社製) 8.00質量%
アクリレートモノマー(NKエステルA9550、新中村化学工業社製)
87.79質量%
重合開始剤(イルガキュア907、BASF社製) 3.00質量%
レベリング剤(P−4) 0.15質量%
分散剤(DISPERBYK−2164、ビックケミー・ジャパン社製)
0.06質量%
――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2014057950

ここで、x=25、y=25、z=50、n=8である。
(樹脂粒子分散液の調製)
透光性樹脂粒子の分散液は、攪拌しているMIBK溶液中に透光性樹脂粒子(テクポリマーSSX、積水化成社製)を分散液の固形分濃度が30質量%になるまで徐々に加え、30分間撹拌して調製した。
(スメクタイト分散液の調製)
スメクタイトの分散液は、最終的に防眩層用塗布液に使用される全てのMEKを用い、MEK中に攪拌しながらスメクタイト(ルーセンタイトSTN、コープケミカル社製)を徐々に加え、30分間攪拌して調製した。
(防眩層の塗設)
前述の光学フィルム2の作製において、ゼオノア1020Rの代わりに、TOPAS6013を用いて作製した光学フィルム11にWO2006/019086号公報実施例1記載の方法に準じてコロナ放電処理したものを用いて、防眩層用塗布液1を使用し、膜厚4μmとなるように防眩層を塗設した。
具体的には、特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で各塗布液を塗布し、80℃で150秒乾燥の後、更に窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度400mW/cm、照射量180mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて防眩層を形成し、試料B−1を作製した。
(比較試料B−101)
ゼオノア1020RをWO2006/019086号公報製造例1記載の方法に準じて成膜フィルム(膜厚は光学フィルム11と同じ)とし、上記コロナ放電処理したものに、防眩層用塗布液1を使用し、膜厚4μmとなるように防眩層を塗設し、B−101を作製した。
試料B−1と比較試料B−101の鉛筆硬度を測定(JIS5600−5−4に準拠し、荷重500g)を行ったところ、試料B−1が比較試料B−101より高い鉛筆硬度を示した。
(ハードコート層の塗設)
前述の光学フィルム11に上記コロナ放電処理したものを用いて、特開2009−98658号公報記載のハードコート層用塗布液(HCL−1)を用いて、同号公報記載の方法に準じてハードコート層を膜厚4μmとなるように形成し、試料B−2を作製した。
(比較試料B−102)
ゼオノア1020RをWO2006/019086号公報製造例1記載の方法に準じて成膜フィルム(膜厚は光学フィルム11と同じ)とし、上記コロナ放電処理したものに、試料B−2と同様にハードコート層4μmを形成し、試料B−102を作製した。
試料B−2と比較試料B−102の鉛筆硬度を測定(JIS5600−5−4に準拠し、荷重500g)を行ったところ、試料B−2が比較試料B−102より高い鉛筆硬度を示した。
[パネルの評価]
<偏光板1〜14、19、21〜24の作製>
1)フィルムの鹸化
市販のセルロースアシレートフィルム(フジタック ZRD40、富士フイルム(株)製)と上記で作製した各種光学フィルム1〜14、19、21〜24を、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
2)偏光子の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて膜厚20μmの偏光子を作製した。
3)貼り合わせ
上記の鹸化後の光学フィルム(各光学フィルムの低透湿層を積層していない面を偏光子と接するように配置する)、前述ので作製した偏光子、鹸化後のセルロールアシレートフィルムZRD40をこの順番で、PVA系接着剤で貼合し、熱乾燥して、偏光板1〜14、19、21、22を作製した。
この際、作製した偏光子のロールの長手方向と光学フィルムの長手方向とが平行になるように配置した。また、偏光子のロールの長手方向と上記セルロールアシレートフィルムZRD40のロールの長手方向とが、平行になるように配置した。
(偏光板15〜18、20の作製)
前述ので作製した偏光子の片面に対して、アクリル接着剤を用いて、作製した光学フィルム15〜18、20の低透湿層を積層していない面を、光学フィルム15〜18、20の低透湿層を積層していない面にコロナ処理を施したのち、貼合した。前述ので作製した偏光子のもう片側にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した市販のセルロースアシレートフィルムZRD40を貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、偏光板15〜18、20を作製した。
この際、作製した偏光子のロールの長手方向と光学フィルムの長手方向とが平行になるように配置した。また、偏光子のロールの長手方向と上記セルロールアシレートフィルムZRD40のロールの長手方向とが、平行になるように配置した。
<IPSパネルへの実装>
IPSモード液晶セル(LGD製 42LS5600)の上下の偏光板を剥し、偏光板1〜22をZRD40が液晶セル側になるようにして貼りつけた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
得られた液晶表示装置を、それぞれ液晶表示装置1〜22とした。
なお、IPSパネルへの実装時における、偏光板の構成を下記表2に記載した。
以上のようにして作製した液晶表示装置の高温高湿環境経時後の黒表示ムラを評価した。結果は下記表2に示す。
(高温高湿環境経時後の黒表示ムラ1)
液晶表示装置を60℃、相対湿度90%で25時間経過させた後、25℃、相対湿度60%の環境下で24時間調湿した後で点灯をさせ、黒表示時の色ムラの程度を目視で観測し、以下の基準により6段階で評価した。
6段階評価のうちA〜Dが許容範囲内で、E、Fは許容範囲外である。また、A〜Cが好ましく、A又はBがより好ましく、Aが特に好ましい。
A:色ムラは観測されなかった。
B:表示面の1/8以下の面積で弱い色ムラが観測された。
C:表示面の1/8を超えて1/4以下の面積で弱い色ムラが観測された。
D:表示面の1/4を超えて1/2以下の面積で弱い色ムラが観測された。
E:表示面の1/4を超えて1/2以下の面積で強い色ムラが観測された。
F:表示面の1/2を超える面積で強い色ムラが観測された。
(高温高湿環境経時後の黒表示ムラ2)
高温高湿環境経時後の黒表示ムラ1試験でA、Bと良好な結果であったものに対して更に以下の評価を実施した。
液晶表示装置を60℃、相対湿度90%で50時間経過させた後、25℃、相対湿度60%の環境下で24時間調湿した後で点灯をさせ、黒表示時の色ムラの程度を目視で観測し、以下の基準により6段階で評価した。A、Bのものは極めて良好で好ましい。
A:色ムラは観測されなかった。
B:表示面の1/8以下の面積で弱い色ムラが観測された。
C:表示面の1/8を超えて1/4以下の面積で弱い色ムラが観測された。
D:表示面の1/4を超えて1/2以下の面積で弱い色ムラが観測された。
E:表示面の1/4を超えて1/2以下の面積で強い色ムラが観測された。
F:表示面の1/2を超える面積で強い色ムラが観測された。
評価結果を下表2に示す。
Figure 2014057950
上記より環状ポリオレフィン樹脂層形成用組成物を透光性支持体上に塗布した光学フィルムは優れた低透湿性を実現でき、前述の光学フィルムを用いて実装したパネルは高温高湿環境経時後の黒表示ムラが少なく良好な表示性能が得られることがわかる。また、高延伸倍率で作製した透光性支持体上に環状ポリオレフィン樹脂層形成用組成物を塗布して得られた光学フィルムは未延伸のものに対して低い透湿度が得られることがわかる。
本発明によれば、塗布により非常に低い透湿度を有する光学フィルムを提供することができる。低透湿層の形成に塗布を用いるため、様々な基材を用いることができ、低透湿層膜厚の調整が容易で薄い膜厚で優れた低透湿性を有する光学フィルムが得られる。これより、偏光板保護フィルムとして加工適性に優れたセルロース系フィルムや汎用性のアクリル系支持体を使用して非常に低い透湿度を達成できる。
また、本発明によれば、上述の光学フィルムの製造方法、この光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いた偏光板、及び上述の光学フィルム又は偏光板を有する画像表示装置を提供することができる。本発明の光学フィルム又は偏光板を用いることで、高温高湿環境経時後の黒表示ムラ発生が抑えられた液晶表示装置を提供することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2012年10月12日出願の日本特許出願(特願2012−227514)、2012年10月23日出願の日本特許出願(特願2012−234186)及び2012年12月17日出願の日本特許出願(特願2012−275161)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明者らが鋭意検討した結果、以下の手段を用いることにより耐久性に優れ、透湿度を極めて低減することのできる光学フィルムを提供でき、更にそのような光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いることで高温高湿環境経時後の黒表示ムラが改善された液晶表示装置を提供できることを見出し、本発明に至った。
<1>
熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に環状ポリオレフィン含有層を有する光学フィルムの製造方法であって、前記環状ポリオレフィン含有層が(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)有機溶剤を含む塗布組成物を塗布することにより形成されてなり、前記(b)有機溶剤が少なくとも一種の脂環式炭化水素系溶剤(b−1)を含む、光学フィルムの製造方法。
<2>
前記光学フィルムにおける40℃、相対湿度90%RHでの透湿度が200g/m /day以下である<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<3>
前記脂環式炭化水素系溶剤(b−1)がシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンの少なくとも一種である<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<4>
前記脂環式炭化水素系溶剤(b−1)の沸点が90℃未満である<3>に記載の光学フィルムの製造方法。
<5>
前記脂環式炭化水素系溶剤(b−1)が、シクロヘキサンである<4>に記載の光学フィルムの製造方法。
<6>
前記透光性支持体を構成する熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<7>
前記(b)有機溶剤が少なくとも一種の、支持体を溶解又は膨潤させる有機溶剤(b−3)である<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<8>
前記(b−3)支持体を溶解又は膨潤させる溶剤がメチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、アセトンのいずれかである<7>に記載の光学フィルムの製造方法。
<9>
前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式IIあるいはIIIで表される構造を有する<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 2014057950


ここで、mは0〜4の整数を表す。R 〜R は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X 〜X 、Y 〜Y は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH COOR 11 、−(CH OCOR 12 、−(CH NCO、−(CH NO 、−(CH CN、−(CH CONR 13 14 、−(CH NR 13 14 、−(CH OZ、−(CH W、又はX とY あるいはX とY あるいはX とY から構成された(−CO) O、(−CO) NR 15 を示す。なお、R 11 ,R 12 ,R 13 ,R 14 ,R 15 は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR 16 3−p (R 16 は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR 16 又は−OR 16 、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
<10>
前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式II−1、III−1で表される構造を有する<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 2014057950

(ここでmは0あるいは1を表す。)
本発明は、前記<1>〜<10>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記[1]〜[14])についても記載している。
Figure 2014057950
Figure 2014057950
本発明者らが鋭意検討した結果、以下の手段を用いることにより耐久性に優れ、透湿度を極めて低減することのできる光学フィルムを提供でき、更にそのような光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いることで高温高湿環境経時後の黒表示ムラが改善された液晶表示装置を提供できることを見出し、本発明に至った。
<1>
熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に環状ポリオレフィン含有層を有する光学フィルムの製造方法であって、前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂又はセルロース系樹脂を50質量%以上含有し、前記環状ポリオレフィン含有層が(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)有機溶剤を含む塗布組成物を塗布することにより形成されてなり、前記(b)有機溶剤が少なくとも一種の脂環式炭化水素系溶剤(b−1)を含む、光学フィルムの製造方法。
<2>
前記光学フィルムにおける40℃、相対湿度90%RHでの透湿度が200g/m/day以下である<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<3>
前記脂環式炭化水素系溶剤(b−1)がシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンの少なくとも一種である<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<4>
前記脂環式炭化水素系溶剤(b−1)の沸点が90℃未満である<3>に記載の光学フィルムの製造方法。
<5>
前記脂環式炭化水素系溶剤(b−1)が、シクロヘキサンである<4>に記載の光学フィルムの製造方法。

前記(b)有機溶剤が少なくとも一種の、前記透光性支持体を溶解又は膨潤させる有機溶剤(b−3)である<1>に記載の光学フィルムの製造方法。

前記有機溶剤(b−3)がメチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、アセトンのいずれかである<>に記載の光学フィルムの製造方法。

前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式IIあるいはIIIで表される構造を有する<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 2014057950

ここで、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X〜X、Y〜Yは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、又はXとYあるいはXとYあるいはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
<9>
前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として前記一般式IIで表される構造を有する<8>に記載の光学フィルムの製造方法。
<10>
前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式II−1、III−1で表される構造を有する<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 2014057950

(ここでmは0あるいは1を表す。)
<11>
前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として前記一般式II−1で表される構造を有する<10>に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明は、前記<1>〜<11>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記[1]〜[14])についても記載している。

Claims (14)

  1. 熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層を設けたことを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記光学フィルムにおける40℃、相対湿度90%RHでの透湿度が200g/m/day以下である請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に環状ポリオレフィン含有層を有する光学フィルムの製造方法であって、前記環状ポリオレフィン含有層が(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)有機溶剤を含む塗布組成物を塗布することにより形成されてなる光学フィルムの製造方法。
  4. 前記光学フィルムにおける40℃、相対湿度90%RHでの透湿度が200g/m/day以下である請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記(b)有機溶剤の少なくとも一種が脂環式炭化水素系溶剤(b−1)、又は芳香族炭化水素系溶剤(b−2)である請求項3又は4に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記脂環式炭化水素系溶剤がシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンの少なくとも一種であり、芳香族炭化水素系溶剤(b−2)がベンゼン、トルエン、キシレンの少なくとも一種である請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記(b)有機溶剤の少なくとも一種が支持体を溶解又は膨潤させる有機溶剤(b−3)である請求項3〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 前記(b−3)支持体を溶解又は膨潤させる溶剤がメチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、アセトンのいずれかである請求項7に記載の光学フィルムの製造方法。
  9. 前記透光性支持体を構成する熱可塑性樹脂がセルロース系樹脂を主成分とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  10. 前記透光性支持体を構成する熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  11. 前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式IIあるいはIIIで表される構造を有する請求項1、2、9又は10のいずれか1項に記載の光学フィルム。
    Figure 2014057950

    ここで、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X〜X、Y〜Yは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、又はXとYあるいはXとYあるいはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
  12. 前記(a)環状ポリオレフィン系樹脂が重合単位として下記一般式II−1、III−1で表される構造を有する請求項11に記載の光学フィルム。
    Figure 2014057950
    (ここでmは0あるいは1を表す。)
  13. 請求項1、2、9〜12の何れか1項に記載の光学フィルムを含む偏光板。
  14. 請求項1、2、9〜12の何れか1項に記載の光学フィルム、又は請求項13に記載の偏光板を含む画像表示装置。
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