JP6329880B2 - 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
一方、透光性支持体上に、低透湿層を設けたフィルムも知られている。例えば、特許文献2には、膜厚80μmのセルロースアシレートである透光性支持体上に、分子内に環状脂肪族炭化水素基と2個以上の不飽和二重結合基を有する化合物を有する組成物から形成されてなる低透湿層を設けたフィルムが記載されており、JIS Z 0208に従って、60℃、95%相対湿度の雰囲気下で測定された透湿度が610〜1000g/m2/day程度であるフィルムが開示されている。
また、特許文献3には、膜厚80μmのセルロースアシレートである透光性支持体上に、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂を有する低透湿層を設けたフィルムが記載されている。
高温高湿の環境下に晒される液晶表示装置の問題としては、液晶表示装置の液晶セルの反りや表示ムラの発生があるが、これは偏光板及びそれを構成する光学フィルムが吸湿、放湿する際に、液晶表示装置の液晶セルの前面及び背面の偏光板に収縮差が生じてバランスが崩れ液晶セルが反り、液晶セルの四隅や四辺が筐体や背面側の部材と接触して表示ムラが生じることが原因と考えられる。このため、偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムなどに対しては、湿度依存性や湿熱耐久性の改善が求められてきたが、抜本的な改良のためには、偏光板の最表面の光学フィルムには、水分を通しにくい性能、すなわち透湿度の低減が求められる。
また、本発明の別の目的は、上記光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することである。
すなわち、本発明は下記構成である。
[1]
下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む硬化性組成物を硬化してなる膜が支持体上に積層されてなる光学フィルム。
[2]
上記支持体はセルロース系樹脂を主成分とする支持体である、[1]に記載の光学フィルム。
[3]
支持体の少なくとも一方の面に、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む硬化性組成物を塗布する工程を有する、光学フィルムの製造方法。
[4]
上記硬化性組成物が、上記支持体を溶解又は膨潤させる有機溶剤を少なくとも一種含有する、[3]に記載の光学フィルムの製造方法。
[5]
上記支持体を溶解又は膨潤させる溶剤が、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、及びアセトンから選択された少なくとも1種の溶剤である、[4]に記載の光学フィルムの製造方法。
[6]
[1]又は[2]に記載の光学フィルムを有する偏光板。
[7]
[1]若しくは[2]に記載の光学フィルム、又は[6]に記載の偏光板を有する画像表示装置。 なお、本発明は上記[1]〜[7]に関するものであるが、以下その他の事項についても参考のため記載した。
下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む硬化性組成物。
上記一般式(I)において、R111、及びR112は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1〜3のアルキル基を表す。但し、R111、及びR112の少なくとも一方は、炭素数が1〜3のアルキル基である。R113、R114、R117及びR118は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R115、及びR116は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(II)において、R141、及びR142は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1〜3のアルキル基を表す。但し、R141、及びR142の少なくとも一方は、炭素数が1〜3のアルキル基である。R145及びR146は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(III)において、R151は、炭素数が1〜3のアルキル基を表す。R155及びR156は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
<2>
<1>に記載の硬化性組成物を硬化してなる膜。
<3>
<2>に記載の膜が支持体上に積層されてなる光学フィルム。
<4>
上記支持体はセルロース系樹脂を主成分とする支持体である、<3>に記載の光学フィルム。
<5>
支持体の少なくとも一方の面に、<1>に記載の硬化性組成物を塗布する工程を有する、光学フィルムの製造方法。
<6>
上記硬化性組成物が、上記支持体を溶解又は膨潤させる有機溶剤を少なくとも一種含有する、<5>に記載の光学フィルムの製造方法。
<7>
上記支持体を溶解又は膨潤させる溶剤が、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、及びアセトンから選択された少なくとも1種の溶剤である、<6>に記載の光学フィルムの製造方法。
<8>
<3>又は<4>に記載の光学フィルムを有する偏光板。
<9>
<3>若しくは<4>に記載の光学フィルム、又は<8>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
また、本発明によれば、上記光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することができる。
本発明の硬化性組成物は、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む硬化性組成物である。
本発明の膜は上記硬化性組成物を硬化してなる膜である。
本発明の光学フィルムは、支持体上に本発明の膜を積層してなる。
本発明に用いる上記化合物(モノマー)は硬化剤として働き、支持体との密着性を向上させることができる。特に支持体を溶解、あるいは膨潤させる溶剤と併用することにより支持体中に浸透した上で硬化するため密着性を向上する上で好ましい。
炭素数が1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましい。
これらの置換基は更に置換基で置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
上記一般式(II)又は(III)で表される化合物は、例えば、特開2010−150221号公報の[0051]、[0052]に記載の合成方法によりアダマンタンジオールを合成し、次に特開2003−183204号公報の[0088]、[0089]に記載の合成方法によりジオールからジオンを合成し、国際公開第2013/141127号の[0063]に記載の合成方法によりジオンからアルキルジ(メタ)アクリレートを合成することにより、得ることができる。
次に、本発明の光学フィルムについて説明する。
本発明の光学フィルムは、上述の膜が支持体上に積層されてなるものである。
上記支持体は、透光性を有することが好ましい。透光性としては、380nm〜800nmの波長の光の透過率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂を主成分としてなる支持体であることが好ましく、セルロース系樹脂を主成分とすることがより好ましい。ここで、主成分とは、支持体中の含有量が、支持体の全固形分に対して50質量%以上の成分をいう。
下記に前述の支持体で好ましく使用することのできる熱可塑性樹脂に関し説明する。
前述の支持体において、最適な熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂から選ぶことができる(ただし、前述の(メタ)アクリル系樹脂は、ラクトン環構造を有する重合体、無水グルタル酸環構造を有する重合体、グルタルイミド環構造を有する重合体を含む。)。
その中でも、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アシル基を有するセルロースアシレート及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂、アシル基を有するセルロースアシレート及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂であることがより好ましく、ラクトン環構造を有する重合体又はセルロースアセテートプロピオネートであることが特に好ましい。
本発明に用いる支持体は、(メタ)アクリル系重合体を主成分とすることが好ましい。なお、本願で支持体が、(メタ)アクリル系重合体を主成分とするとは、支持体に(メタ)アクリル系重合体を50質量%以上含有することを意味する。
前述の(メタ)アクリル酸系重合体は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
CH2=C(X)R201
前述の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%、更に好ましくは40〜100質量%、特に好ましくは50〜100質量%である。
前述の水酸基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
前述の不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
前述の一般式(201)で表される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
本発明では熱可塑性樹脂としてセルロース系樹脂が主成分である樹脂を好ましく用いることができる。セルロース系樹脂が主成分であるとは、熱可塑性樹脂にセルロース系樹脂を50質量%以上含有することを意味する。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについては、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができるが、本発明で用いられるセルロースエステルは特にその記載のものに限定されるものではない。
例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、また、2種類以上の脂肪酸のアシル基が置換したセルロースエステルも好ましい。これらのセルロースエステルは、更に置換された基を有していてもよい。
前述の水酸基に置換するアシル基としては、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜22のアシル基を好ましく用いることができる。炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜7のアシル基が好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおけるアシル基の総置換度(セルロースのβ−グルコース単位において水酸基にアシル基が置換している割合で、2位、3位及び6位の3つの水酸基の全てにアシル基が置換している場合には3となる)は、特に限定されないが、アシル基の総置換度が高い方が、湿度依存性が小さくなるため好ましい。このため、アシル基の総置換度は2.00〜3.00が好ましく、2.50〜3.00がより好ましく、2.50〜2.90が更に好ましい。
更に、炭素数3〜7のアシル基についてその置換度は、1.20〜3.00が好ましく、1.50〜3.00がより好ましく、2.00〜3.00が更に好ましく、2.00〜2.90が特に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基に置換するアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じた方法や、NMR法を挙げることができる。
前述のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、へプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましく、プロピオニル基又はブタノイル基が更に好ましく、プロピオニル基が特に好ましい。
アシル基が二種類の置換基で置換されている場合、合成の容易さ、コスト、置換基分布の制御のし易さなどの観点から、アセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、プロピオニル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることが好ましく、より好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、更に好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、特に好ましくはアセチル基とプロピオニル基が併用されることである。
上記のアシル基が置換したセルロースエステルとしては、以下のものが好ましい。
単一のアシル基で置換されたものとしてはセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースベンゾエートが好ましく、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、がより好ましくセルロースアセテート、が更に好ましい。アシル基が二種類の置換基で置換されているものとしてはセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、が好ましくセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートがより好ましく、セルロースアセテートプロピオネートが更に好ましい。
前述の(メタ)アクリル酸の誘導体としては、(メタ)アクリレートを挙げることができる。例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、N−プロピルアクリレート、N−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、N−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、N−プロピルメタクリレート、N−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、N−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体;2−クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートの任意の水素原子をハロゲン基、水酸基及び他の有機残基で置換したものでもよい。ここで、他の有機残基は炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸の誘導体と共重合可能な共重合成分としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸類及びマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸類等の不飽和酸類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類、ラクトン環単位、グルタル酸無水物単位、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、マレイミド、N−置換マレイミド等のマレイミド類、グルタルイミド単位が挙げられる。
光学特性の観点から芳香族ビニル化合物が好ましく、特にスチレンが好ましい。
メチルメタクリレートと共重合可能な単量体としては、上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体として例示したものに加えて、炭素数が2〜18のアルキル基とメタクリル酸とからなるアルキルメタアクリレート、炭素数が1〜18のアルキル基とアクリル酸とからなるアルキルアクリレートが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上の単量体を併用して用いることができる。中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明に用いることができるアクリル樹脂及び(メタ)アクリル酸の誘導体、他の共重合可能な単量体としては特開2009−122664号、特開2009−139661号、特開2009−139754号、特開2009−294262号、国際公開2009/054376号等の各公報に記載のものも使用することができる。なお、これらは本発明を限定するものではなく、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
2種類以上の(メタ)アクリル樹脂を用いる場合は、少なくとも1種類は上記の構造を有するものを用いることが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート系樹脂に、適宜剥離力や、靭性を制御するべく添加剤を入れて、用いることができる。
(ポリスチレン系樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系樹脂に、適宜剥離力や、靭性を制御するべく添加剤を入れて、用いることができる。
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、上記の樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。その他の熱可塑性樹脂は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に種類は問わないが、熱力学的に相溶する熱可塑性樹脂の方が、機械強度や所望の物性を向上させる点において好ましい。
前述の支持体は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。前述の支持体を含む本発明の光学フィルムは、偏光板又は液晶表示用部材等に使用されるが、偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。紫外線吸収剤は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。例えば、特開2001−72782号公報や特表2002−543265号公報に記載の紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。
前述の支持体には、マット剤として微粒子を加えることができる。マット剤として使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものがフィルムのヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルが更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
前述の支持体に可塑剤を用いてもよい。可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤などが挙げられる。
好ましくはリン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、より好ましくはポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、更に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤であり、特に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤である。
特にポリエステルオリゴマー系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤は前述の支持体との相溶性が高く、ブリードアウト低減、低ヘイズ及び低透湿度の効果が高く、また温湿度変化や経時による可塑剤の分解及びフィルムの変質や変形が生じ難いため、本発明に好んで用いることができる。
本発明において可塑剤を用いる場合は1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
また、前述の高分子溶液は、前述の透湿度低減化合物を含むことがより好ましい。
その他の添加剤のうち、透湿度低減化合物について下記に詳細に述べる。前述の支持体は、透湿度低減化合物を含むことも好ましい。支持体中の熱可塑性樹脂単独で低透湿な熱可塑性樹脂は溶剤への溶解性が低く製造プロセスで問題となる場合がある。熱可塑性樹脂と透湿度低減化合物の複合により透湿度を下げる事により、低透湿と溶解性(製造適性)の両立が可能となり、透湿度低減化合物を含むことが好ましい。
前述の支持体の膜厚は、5〜90μmが好ましく、10〜70μmがより好ましく、10〜50μmが特に好ましく、20〜40μmがより特に好ましい。膜厚を前述の範囲に制御することで、支持体上に膜を積層した後に液晶表示装置の置かれる環境、すなわち温湿度変化に伴うパネルのムラを小さくすることができる。
前述の支持体の透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
前述の支持体の透湿度は、1200g/m2/day以下であることが好ましく、400g/m2/day以下であることがより好ましく、200g/m2/day以下であることが更に好ましく、150g/m2/day以下であることが特に好ましい。支持体の透湿度を前述の範囲に制御することで、本発明の光学フィルムを搭載した液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
更に、本発明の光学フィルムの製造方法について、以下に説明する。
本発明の光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂からなる透光性支持体の少なくとも一方の面に、一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を含有する硬化性組成物(「膜形成用塗布組成物」ともいう)を塗布する工程を有するものである。
以下、本発明の製造方法に用いる膜形成用塗布組成物について説明する。
本発明の膜形成用塗布組成物は有機溶剤を含んでいてもよい。
本発明の膜形成用塗布組成物に使用できる有機溶剤としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素系溶剤、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルn−プロピルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチルなどのエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶剤、アセトン、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノンなどケトン系溶剤等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明方法において用いる膜形成用塗布組成物は、前述の一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を重合させるために、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤を含有してもよい。こられの開始剤を用い、電離放射線の照射又は加熱により、重合を行うことができる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASF製のイルガキュア(651,184,907,127)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、本発明における化合物(モノマー)100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
本発明方法において用いる膜形成用塗布組成物には、各種の界面活性剤を使用することが好適である。一般的に界面活性剤は乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制したり、膜の表面凹凸や塗布物のハジキを改良できる。界面活性剤としては、公知のフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、あるいは炭化水素系界面活性剤を使用することができる。フッ素系界面活性剤の好ましい態様、及び具体例は、特開2007−102206号公報の段落番号[0023]〜[0080]に記載されており、本発明においても同様である。
前述の界面活性剤は、膜形成用塗布組成物の全固形分中に0.01〜0.5質量%含有されることが好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましい。
本発明の光学フィルムは、上記支持体の少なくとも一方の面に、上記膜形成用塗布組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等により塗布し、電離放射線照射又は加熱により、膜形成用塗布組成物から形成される膜を硬化し、乾燥することによって形成できる。マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号公報参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。上記塗布方法を使用することで溶液流延法や溶融流延法では達成できないような薄膜でも、所望の低透湿性及び硬度を達成することができる。また、偏光板加工時の加工性や汎用性の観点で優れるセルロース系樹脂やアクリル系樹脂からなる各種透光性支持体を用いて、低透湿を達成することができる。
膜の形成に塗布法を用いることにより、様々な支持体を用いることができ、膜厚の調整が容易となり、薄い膜厚で優れた低透湿性を有する光学フィルムを得ることができる。これにより、偏光板保護フィルムとして加工適性に優れたセルロース系フィルムや汎用性のアクリル系支持体を使用して非常に低い透湿度を達成できる。
本発明の光学フィルムの全ヘイズ値は2.0%以下であることが好ましい。全ヘイズ値が2.0%以下であると、フィルムの透明性が高く、液晶表示装置のコントラスト比や輝度向上に効果がある。全ヘイズ値は、1.0%以下がより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、0.3%以下が特に好ましい。全ヘイズ値は低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理やロールフィルムのハンドリング性も考慮すると0.01%以上であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの内部ヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましい。内部ヘイズ値を1.0%以下とすることで、液晶表示装置のコントラスト比を向上させ、優れた表示特性を実現することができる。内部ヘイズ値は、0.5%以下がより好ましく、0.2%以下が更に好ましく、0.1%以下が特に好ましい。原料選択や製造管理等の観点からは0.01%以上であることが好ましい。
なおヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)で、JIS K−6714に従って測定することができる。
支持体上に形成する膜の膜厚は0.5〜30μmであることが好ましく、1〜25μmであることが更に好ましく、3〜20μmであることがより好ましく、5〜15μmであることが最も好ましい。30μm以下であれば、カールが抑制され、支持体との密着に優れ、コストが低下できるため好ましい。また、0.5μm以上であれば、透湿度が低くなるため好ましい。
本発明の光学フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
本発明の光学フィルムの透湿度は、150g/m2/day以下であることが好ましく、50g/m2/day以下であることがより好ましく、30g/m2/day以下であることが更に好ましく、20g/m2/day以下であることが特に好ましく、10g/m2/day以下であることが更に特に好ましい。透湿度が150g/m2/day以下であれば、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
本願の光学フィルムとしては、上記膜の上に、ハードコート層や防眩層、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層などの屈折率を調整した層等)帯電防止層、紫外線吸収層、光学異方性層などの各種機能層を有することも好ましい。また、透明支持体の上記膜を形成した面とは反対側に、前述の機能層を形成する構成も好ましい。複数の機能層を積層する場合、一つの機能層を上記膜上に積層し、もう一つの機能層を上記膜が積層していない面に積層することもできる。前述の機能層は1層であっても良いし、複数層設けても良い。また、前述の機能層の積層方法は特に限定されない。具体的な好ましい層構成を以下に示す。
・支持体/膜
・支持体/膜/ハードコート層あるいは防眩層/(低屈折率層)
・膜/支持体/ハードコート層あるいは防眩層/(低屈折率層)
・支持体/膜/ハードコート層あるいは防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・支持体/膜/ハードコート層あるいは防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・膜/支持体/ハードコート層あるいは防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・膜/支持体/ハードコート層あるいは防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・光学異方性層/(配向膜)/支持体/膜/(ハードコート層)/(低屈折率層)
・膜/光学異方性層/(配向膜)/支持体/(ハードコート層)/(低屈折率層)
()は積層してもしなくても良いことを表す。
ハードコート層、防眩層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層としては特開2006−17870、特開2006−30881、特開2007−298974、特開2011―136503、特開2012―159692等に記載のものを好適に用いることができるがこれに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムに設けることのできる光学異方性層としては、一定の位相差を有する膜が面内均一に形成された光学異方性層であっても良いし、遅相軸の方向や位相差の大きさが互いに異なる、位相差領域が規則的に面内に配置されたパターンを形成した光学異方性層であっても良い。光学異方性層は支持体における膜が形成されていない面に形成されていることが好ましい。
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの硬度、耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成されうる。
また、ハードコート性を有する防眩層を使用することで、別にハードコート層を形成する必要がなくなる。
透光性粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
[(R1)3(R2)N]+・X− (1)
(式中、R1及びR2は同一ではなく、R1は炭素数4〜24の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R2は炭素数1〜10の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、X−は陰イオンを表す。)
また、上記防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜1.74であることが好ましく、1.71〜1.73であることがより好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整される。中屈折率層の屈折率は、1.60〜1.64であることが好ましく、1.61〜1.63であることが更に好ましい。低屈折率層は、屈折率が1.30〜1.47であることが好ましい。多層薄膜干渉型の反射防止フィルム(中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層)の場合の低屈折率層の屈折率は1.33〜1.38であることが好ましく、1.35〜1.37であることが更に好ましい。
高屈折率層、中屈折率層、及び低屈折率層の形成方法は化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、オールウェット塗布による方法が好ましい。
高屈折率層、中屈折率層、及び低屈折率層としては特開2009−98658号公報の段落[0197]〜[0211]に記載のものを使用することができる。
本発明の光学フィルムにおいては、更なるフィルムの物理的強度を付与するために、ハードコート層を設けてもよい。
ハードコート層としては特開2009−98658号公報の段落[0190]〜[0196]に記載のものを使用することができる。
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムを有するものであり、偏光子と、この偏光子の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを少なくとも1枚含むことが好ましい。
本発明の光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして用いることができる。偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。また前述のような表面処理を行ってもよい。光学フィルムの偏光子との貼合面は、膜を積層した面でも良いし、膜を積層していない面であっても構わない。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更にこの偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を有するものであり、液晶セルと、この液晶セルの少なくとも一方に配置された本発明の偏光板とを含み、前述の偏光板中に含まれる本発明の光学フィルムが最表層となるように配置されたことが好ましい。
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び必要に応じて上述の液晶セルと偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、更にガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
2枚の偏光板のうち、視認側偏光板の、視認側の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを配置することが特に好ましい。
また、2枚の偏光板のうち、視認側偏光板の、視認側の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを配置した上で、更にバックライト側偏光板のバックライト側保護フィルムにも本発明の光学フィルムを配置し、2枚の偏光板に含まれる偏光子の伸縮を抑止し、パネルの反りを防止することも好ましい態様である。
本発明のフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
各成分を下記表1のように混合した後、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて5時間攪拌後、孔径5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、各塗布組成物を得た。なお、表1において、溶剤の添加量は、固形分濃度が表1に記載の値になるように調整した。
支持体としてセルロース系樹脂が主成分とするTG40UL(富士フイルム製)の上に、上記表1に示す膜形成用塗布組成物をグラビアコーターを用いて塗布した後、25℃で1分間乾燥し、続いて80℃で約5分間乾燥して膜厚10μmの膜を有する光学フィルムを得た。
上記表1に示すように、塗布組成物の種類、又は支持体の種類を変更する以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8、比較例1、2を作製した。
実施例7における「アクリル支持体」としては、国際公開第2014/057950号の[0225]〜[0230]に記載された「透光性支持体3」を用いた。
実施例8における支持体はセルロース系樹脂が主成分とするTG60(富士フイルム製)を用いた。
作製した各実施例及び比較例の光学フィルムについて膜厚を測定し、下記の物性測定と評価を行った。なお膜の膜厚は膜の積層前後の膜厚を測定し、その差から求めた。
透湿度の測定法は、各実施例及び比較例の光学フィルム試料を直径70mmの円に裁断後、40℃、相対湿度90%でそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208の方法に従い透湿カップを用いて、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m2)を算出した。すなわち、透湿度の単位としては「g/m2/day」である。
JIS K5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。実施例及び比較例の光学フィルムを温度25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、JISS6006に規定するF〜5Hの試験用鉛筆を用いて、4.9Nの荷重にて、以下の通りの判定で評価し、以下のとおりの判定で評価し、OKとなった鉛筆の硬度のうち最も硬いものを光学フィルムの鉛筆硬度とした。
OK:n=10の評価において50%以上が傷なし
NG:n=10の評価において50%以上が傷あり
<偏光板の作製>
1)フィルムの鹸化
市販のセルロースアシレートフィルム(フジタック ZRD40、富士フイルム(株)製)と上記で作製した実施例1〜8、比較例1、2の光学フィルムを、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて膜厚20μmの偏光子を作製した。
上記の鹸化後の光学フィルム(各光学フィルムの膜を積層していない面を偏光子と接するように配置する)、前述の2)で作製した偏光子、鹸化後のセルロールアシレートフィルムZRD40をこの順番で、PVA系接着剤で貼合し、70℃で10分以上熱乾燥して、偏光板を作製した。
この際、作製した偏光子のロールの長手方向と光学フィルムの長手方向とが平行になるように配置した。また、偏光子のロールの長手方向と上記セルロールアシレートフィルムZRD40のロールの長手方向とが、平行になるように配置した。
IPSモード液晶セル(LGD製 42LS5600)の上下の偏光板を剥し、上記で作製した偏光板をZRD40が液晶セル側になるようにして貼りつけた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
液晶表示装置を60℃、相対湿度90%で48時間経過させた後、25℃、相対湿度10%の環境下で24時間調湿した後で点灯をさせ、黒表示時の色ムラの程度を目視で観測し、以下の基準により4段階で評価した。
4段階評価のうちA、Bが許容範囲内で、C、Dは許容範囲外である。また、A、Bが好ましく、Aがより好ましい。
A:色ムラは観測されなかった。
B:表示面の半分未満の面積で弱い色ムラが観測された。
C:表示面の半分以上の面積で弱い色ムラ、又は半分以下の面積で強い色ムラが観測された。
D:表示面の半分以上の面積で強い色ムラが観測された。
この偏光板をIPSモード液晶セル(LGD製 42LS5600)の代わりに、VAモードの液晶テレビ(LCD−40MZW100、三菱(株)製)を用い、WVBZ4A6が液晶セル側になるように、上記と同様に貼り合わせた。このようにして作製した実施例1〜8、比較例1、2の光学フィルムを有するVAモードの液晶テレビについても前述のように、高温高湿環境経時後の黒表示ムラを評価したところ、結果はIPSモード液晶セルの場合と同じ結果だった。
Claims (7)
- 下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む硬化性組成物を硬化してなる膜が支持体上に積層されてなる光学フィルム。
- 前記支持体はセルロース系樹脂を主成分とする支持体である、請求項1に記載の光学フィルム。
- 支持体の少なくとも一方の面に、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む硬化性組成物を塗布する工程を有する、光学フィルムの製造方法。
- 前記硬化性組成物が、前記支持体を溶解又は膨潤させる有機溶剤を少なくとも一種含有する、請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記支持体を溶解又は膨潤させる溶剤が、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、及びアセトンから選択された少なくとも1種の溶剤である、請求項4に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の光学フィルムを有する偏光板。
- 請求項1若しくは2に記載の光学フィルム、又は請求項6に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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