JP6011478B2 - 電池用電極板の製造装置及び電池用電極板の製造方法 - Google Patents

電池用電極板の製造装置及び電池用電極板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は,二次電池などに用いる電極板の製造方法および製造装置に関する。詳細には,電極芯材にペーストを塗布して乾燥させ電極板の製造方法および製造装置に関する。
近年,二次電池は,携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器,ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両等,多岐にわたる分野で利用されている。この二次電池には,例えばリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は,エネルギー密度が高い。従って,各種の機器に搭載する上で好適である。
リチウムイオン二次電池は,正極板と負極板との間にフィルム状のセパレータを介在させて積層又は捲回した電極体を備えていることが多い。これらの正極板及び負極板(以下,「電極板」と呼ぶ)は,それぞれ正極芯材及び負極芯材(以下,「電極芯材」と呼ぶ)に正極用ペースト及び負極用ペースト(以下,「ペースト」と呼ぶ)を塗布して乾燥させることで作成される。なお,乾燥された塗工層は,それぞれ正極活物質及び負極活物質を含む層である。
ここで,ペースト(塗工液ともいう)の乾燥は,ペーストを塗布した電極心材(電極箔ともいう)を,乾燥炉内を通過させることにより行われる。乾燥炉は,ペーストの乾燥に適した温度に制御されている。具体的には,図11に示すように,電極心材にペーストを塗布したワーク110を,搬送ローラー112,112上に載せて搬送して,乾燥炉114内を通過させる。乾燥炉114には,ワークに向けて熱風を送る熱風ノズル120が設けられている。熱風ノズル120は,搬送方向に沿って,複数設けられている。各熱風ノズル120には,ファン130と,ヒーター134とが送風路138を介して接続されている。ファン130の回転速度を変化させると,熱風ノズル120から出る熱風の風速および風量が変化する。ヒーター134の温度を調整すると,熱風ノズル120から出る熱風の温度が変化する。また乾燥炉114には,炉内温度を測定するための温度センサー140が設置されている。温度センサー140は,乾燥炉114内の壁面に取り付けられている。乾燥炉114内の温度を制御する制御部は,この温度センサー140により測定された炉内温度に基づいて,ファン130やヒーター134を調整する。これにより,乾燥炉114内の温度は,乾燥に適した所望の温度に制御される。なお,図1に示す乾燥炉114では,1つの熱風ノズル120には,搬送方向に沿って2つのスリット(吐出口)121が設けられている。各スリット121からワーク110に対しては,鉛直方向に略沿って下向きに熱風が吹き出される。
しかしながら,上記のような乾燥炉114の温度制御には,次のような問題があった。すなわち上記の温度制御では,乾燥炉114内の一か所に設けた温度センサー140による測定温度が所望の温度になるように制御している。また,図12に示すように,熱風ノズル120のスリット121の直下(図中a参照)では,ワーク110に熱風がよく当たる。これに対して,熱風ノズル120の吐出口から離れた位置(図中b参照)では,aの位置に比べて,ワーク110に熱風が当たらない。そのため,炉内温度が低い場合に,炉内温度を上げるため熱風ノズル120の風量を上げると,熱風がよく当たる図中aの位置の熱伝達率が必要以上に高くなる。一方,熱風がよく当たらない図中bの位置については,図中aの位置に比べて熱伝達率が極端に低くなる。その結果,図中aの位置の温度が必要以上に高くなり,図中bの位置の温度が所望の温度まで上昇しないといった不具合が生じる。つまり,ワーク110の温度が,ワーク110の搬送方向に沿ってばらつくとい
う問題が生じる。なお,ここでいう熱伝達率とは,熱風ノズル120などの熱源からワーク110への熱の伝わり易さを示す指標である。また本明細書中,ワーク110内における熱の伝わり易さを示す指標を,熱伝導率という。熱伝導率も,熱伝達率同様,図中aの位置では必要以上に高くなり,図中bの位置では図中aの位置に比べて極端に低くなる。
このような乾燥工程におけるワーク110の温度分布を,図13に示す。なお,図13における温度の測定は,熱風ノズル120から出る熱風の風量を20Nm/min,風速を18m/s,温度を150℃に設定して行った。また,図13における温度の測定は,ワーク110の一か所に温度センサー(例えばK型熱電対)を取り付け,温度センサーをワーク110とともに搬送経路に沿って流すことにより行った。図13中の符号a,b,cは,図11に示すa,b,cの位置を通過するときのワーク110の温度を指している。また図13中の符号a,bは,図12に示すワーク110のaの部分の温度およびbの部分の温度を指している。図13に示すように,熱風ノズル120の直下の位置(図11中a,c参照)を通過するときには,ワーク110の温度は140℃〜160℃と高温となり,熱風ノズル120の直下でない位置(図11中b参照)を通過するときには,ワーク110の温度は100℃〜120℃と低温となる。
このようにワーク110の乾燥工程においてワーク温度がばらついてしまうと,所望の品質の電極板を製造することができなくなってしまう。具体的には,ペーストに含まれる成分が偏析したり,ペーストの空孔率が狙い通りにならなかったりするといった問題が生じる。
ところで,出願人が本願に先立ち先行技術調査を行った結果,下記特許文献1を発見した。下記特許文献1には,電極板の製造方法でなく,ディスプレイ管用のシャドウマスクの製造方法として,レジストやニスを塗布した帯状体の乾燥工程が記載されている。この文献に記載の乾燥工程では,乾燥炉内を通過する帯状体の表面の幅方向に沿う温度分布を測定することとしている。そして,測定した温度分布に基づいて温度調節器を制御して,帯状体の幅方向の表面温度を一定に保つようにしている。この文献に記載の技術によれば,帯状体の幅方向の表面温度を一定に保つことができ,シャドウマスクの品質を良好に保つことができるとされている。
特開平11−037649号公報
しかしながら,上記特許文献1に記載の技術を,電極板の乾燥工程に適用しても,すなわち,乾燥炉114内を通過するワーク110の表面温度分布を測定して熱風ノズル120を制御しても,ワーク110の乾燥状態に即した適切な制御とはならない。なぜなら,ワーク110の表面温度は,ペースト中の溶媒が気化する際の気化熱の影響を受けるものだからである。また,搬送されるにつれて刻々とワーク110の乾燥状態が変化していくのに伴って,ワーク110への熱伝達率やワーク110内部の熱伝導率も変化していくからである。従って,ワーク110の乾燥状態に即した適切な制御を行うためには,熱風ノズル120から出る熱風からワーク110への熱の伝わり方(熱伝達の状況)やワーク110内部における熱の伝わり方(熱伝導の状況)を考慮することが必要である。
本発明は,上述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ワークへの熱伝達状況やワーク内部の熱伝導状況を考慮して,ワークの乾燥状態の変化に即した温度制御を行うことによって,電極板の温度を一定に保ち,電極板の品質が所望の品質とならないのを防止することにある。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の第1の電池用電極板の製造装置は,ペーストを塗工した電極芯材であるワークを通過させることによりペーストを乾燥させる乾燥炉を備える電池用電極板の製造装置において,乾燥炉内に配され,ワークを加熱する加熱装置と,加熱装置との離隔距離が,加熱装置からワークの搬送経路までの離隔距離よりも小さくなる位置に配され,その位置の温度(以下「加熱元温度」という)を測定する加熱元温度測定部と,ワークにおける加熱装置側の第1側面の温度(以下「第1ワーク温度」という)を測定する第1ワーク温度測定部と,ワークにおける第1側面とは反対の第2側面の温度(以下「第2ワーク温度」という)を測定する第2ワーク温度測定部と,を備えている。さらに本発明の電池用電極板の製造装置は,ワーク内の熱伝導状況を示す値(以下「熱伝導値」という)を,少なくとも第1ワーク温度と第2ワーク温度に基づいて算出する熱伝導値算出部と,加熱装置からワークへの熱伝達状況を示す値(以下「熱伝達値」という)を,少なくとも加熱元温度と第1ワーク温度に基づいて算出する熱伝達値算出部と,熱伝導値の目標値である目標熱伝導値と,熱伝達値の目標値である目標熱伝達値とを記憶する記憶部と,熱伝導値算出部により算出した熱伝導値と記憶部に記憶された目標熱伝導値とを比較する熱伝導値比較部と,熱伝達値算出部により算出した熱伝達値と記憶部に記憶された目標熱伝達値とを比較する熱伝達値比較部と,熱伝導値比較部による比較の結果,熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が目標熱伝導値よりも熱伝導状況が悪いことを示す場合は,加熱装置による加熱対象範囲を小さくし,熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が目標熱伝導値よりも熱伝導状況が良いことを示す場合は,加熱装置による加熱対象範囲を大きくする加熱対象範囲制御部と,熱伝達値比較部による比較の結果,熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が目標熱伝達値よりも熱伝達状況が悪いことを示す場合は,加熱装置の加熱力を大きくし,熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が目標熱伝達値よりも熱伝達状況が良いことを示す場合は,加熱装置の加熱力を小さくする加熱力制御部と,を備えている。
本発明の電池用電極板の製造装置によれば,ワークを加熱するにあたって,ワーク内の熱伝導状況を示す熱伝導値と,ワークへの熱伝達状況を示す熱伝達値とを算出し,算出した値が予め定めた目標値に近づくように,加熱装置による加熱態様を変更する。ここで,熱伝導状況に基づく加熱態様の変更は,加熱装置による加熱対象範囲を小さくして,熱伝導状況を良くしたり,加熱装置による加熱対象範囲を大きくして,熱伝導状況を悪くさせたりすることにより行う。また。熱伝達状況に基づく加熱態様の変更は,加熱装置の加熱力を大きくして,熱伝達状況を良くしたり,加熱装置の加熱力を小さくして,熱伝達状況を悪くさせたりすることにより行う。本発明ではこのように,熱伝導状況を考慮するため,ワークの固形分率の変化に伴うワーク内部の熱の伝わり方の変化に応じた加熱態様の変更が可能となる。また,熱伝達状況を考慮するため,加熱装置の加熱態様を変更したり,加熱装置自体を他の加熱方式の加熱装置と変更したりした場合であっても,ワークに対して常に最適な加熱を行うことができる。よって,ワークの熱伝導状況や熱伝達状況を一定に保ち続けることができる。その結果,ワーク中に,熱伝導の状況および熱伝達の状況が極端に良い箇所や悪い箇所がなくなる。そのため,ワーク全体を均一に温めることができる。よって,製造される電極板の品質が所望の品質とならないのを防止することができる。
本発明の電池用電極板の製造装置では,ワークと材料組成比および固形分率を同じにする模擬ワークが,加熱装置からの離隔距離を,加熱装置からワークの搬送経路までの離隔距離と同じにして,乾燥炉内に配され,第1ワーク温度測定部は,模擬ワークにおける加熱装置側の第1側面の温度を第1ワーク温度として測定するものであり,第2ワーク温度測定部は,模擬ワークにおける第1側面とは反対の第2側面の温度を第2ワーク温度として測定するものである構成とすることが望ましい。
乾燥炉を通過するワークから直接その表面温度を取得し続けることは難しい。接触式の温度センサーを用いた場合には,ワークとともに乾燥炉を通過してしまうし,非接触式の温度センサーを用いた場合には,接触式の温度センサーよりも耐熱温度等の面で不利であるため,正確な測定ができないおそれがあるからである。そこで本発明のように,ワークを模した模擬ワークを乾燥炉内に配して,模擬ワークの温度を測定してワークの温度とすれば,接触式の温度センサーを用いることによって,好適にワークの温度を測定できる。なお,模擬ワークと加熱装置からの離隔距離を,加熱装置からワークの搬送経路までの離隔距離と同じにするのは,模擬ワークをワークと同じように加熱するためである。
また本発明の電池用電極板の製造装置では,加熱装置は,ワークの上方に配され,ワークに向かって熱風を噴き出すスリットを備える熱風ノズルであり,模擬ワークは,熱風ノズルの直下に固定されていることが望ましい。熱風ノズルからの熱の影響をもっとも受ける箇所((熱風ノズルの直下)の熱伝導率および熱伝達率を一定に保つ方が,他の箇所(熱風ノズルの直下でない箇所)の熱伝導率および熱伝達率を一定に保つよりも,ワークの温度の均一化を図ることができるからである。よってこのように構成すれば,乾燥炉を通過するワークの温度変化を,最も狭い範囲内に収めることができる。
また本発明の電池用電極板の製造装置では,加熱対象範囲制御部は,スリットの開口量および熱風ノズルとワークとの離隔距離の少なくとも一方を変えることにより,熱風ノズルの加熱対象範囲を変更するものであり,加熱力制御部は,熱風ノズルから噴き出される熱風の温度および風量の少なくとも一方を変えることにより,熱風ノズルの加熱力を変更するものであることが望ましい。このような構成とすれば,スリットの開口量や熱風ノズルとワークとの離隔距離を変えることで,加熱装置の加熱対象範囲を容易に変えることができ,熱風ノズルから噴き出される熱風の温度や風量を変えることで,加熱装置の加熱力を容易に変えることができるからである。
本発明の第2の電池用電極板の製造装置は,ペーストを塗工した電極芯材であるワークを通過させることによりペーストを乾燥させる乾燥炉を備える電池用電極板の製造装置において,乾燥炉内に配され,ワークを加熱する加熱装置と,ワークにおける加熱装置側の第1側面の温度(以下「第1ワーク温度」という)を測定する第1ワーク温度測定部と,ワークにおける第1側面とは反対の第2側面の温度(以下「第2ワーク温度」という)を測定する第2ワーク温度測定部と,ワーク内の熱伝導状況を示す値(以下「熱伝導値」という)を,少なくとも第1ワーク温度と第2ワーク温度に基づいて算出する熱伝導値算出部と,熱伝導値の目標値である目標熱伝導値を記憶する記憶部と,熱伝導値算出部により算出した熱伝導値と記憶部に記憶された目標熱伝導値とを比較する熱伝導値比較部と,熱伝導値比較部による比較の結果,熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が目標熱伝導値よりも熱伝導状況が悪いことを示す場合は,加熱装置による加熱対象範囲を小さくし,熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が目標熱伝導値よりも熱伝導状況が良いことを示す場合は,加熱装置による加熱対象範囲を大きくする加熱対象範囲制御部と,を備えている。なお,この発明は,上述した第1の電池用電極板の製造装置と同じ課題を解決するものである。
第2の電池用電極板の製造装置によれば,ワークを加熱するにあたって,ワーク内の熱伝導状況を示す熱伝導値を算出し,算出した値が予め定めた目標値に近づくように,加熱装置による加熱態様を変更する。従って,熱伝導状況を考慮するため,ワークの固形分率の変化に伴うワーク内部の熱の伝わり方の変化に応じた加熱態様の変更が可能となる。よって,ワークの熱伝導状況を一定に保ち続けることができる。そのため,上述の従来技術よりも,ワーク全体を均一に温めることができる。よって,製造される電極板の品質が所望の品質とならないのを抑制できる。
本発明の第3の電池用電極板の製造装置は,ペーストを塗工した電極芯材であるワークを通過させることによりペーストを乾燥させる乾燥炉を備える電池用電極板の製造装置において,乾燥炉内に配され,ワークを加熱する加熱装置と,加熱装置との離隔距離が,加熱装置からワークの搬送経路までの離隔距離よりも小さくなる位置に配され,その位置の温度(以下「加熱元温度」という)を測定する加熱元温度測定部と,ワークにおける加熱装置側の側面の温度(以下「ワーク温度」という)を測定するワーク温度測定部と,加熱装置からワークへの熱伝達状況を示す値(以下「熱伝達値」という)を,少なくとも加熱元温度とワーク温度に基づいて算出する熱伝達値算出部と,熱伝達値の目標値である目標熱伝達値を記憶する記憶部と,熱伝達値算出部により算出した熱伝達値と記憶部に記憶された目標熱伝達値とを比較する熱伝達値比較部と,熱伝達値比較部による比較の結果,熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が目標熱伝達値よりも熱伝達状況が悪いことを示す場合は,加熱装置の加熱力を大きくし,熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が目標熱伝達値よりも熱伝達状況が良いことを示す場合は,加熱装置の加熱力を小さくする加熱力制御部と,を備えている。なお,この発明は,上述した第1および第2の電池用電極板の製造装置と同じ課題を解決するものである。
第3の電池用電極板の製造装置によれば,ワークを加熱するにあたって,ワークへの熱伝達状況を示す熱伝達値を算出し,算出した値が予め定めた目標値に近づくように,加熱装置による加熱態様を変更する。従って,熱伝達状況を考慮するため,加熱装置の加熱態様を変更したり,加熱装置自体を他の加熱方式の加熱装置と変更したりした場合であっても,ワークに対して常に最適な加熱を行うことができる。そして,ワークの熱伝達状況を一定に保ち続けることができる。そのため,上述の従来技術よりも,ワーク全体を均一に温めることができる。よって,製造される電極板の品質が所望の品質とならないのを防止することができる。
また本発明は,ペーストを塗工した電極芯材であるワークを,乾燥炉内を通過させることにより,乾燥炉内に配された加熱装置を用いて乾燥させる乾燥工程を含む電池用電極板の製造方法に及ぶ。この電池用電極板の製造方法において,乾燥工程は,加熱装置までの距離が,加熱装置からワークの搬送経路までの距離よりも小さい位置での温度(以下「加熱元温度」という)と,ワークにおける加熱装置側の第1側面の温度(以下「第1ワーク温度」という)と,ワークにおける第1側面とは反対の第2側面の温度(以下「第2ワーク温度」という)とを測定する温度測定工程と,ワーク内の熱伝導状況を示す値(以下「熱伝導値」という)を,少なくとも第1ワーク温度と第2ワーク温度に基づいて算出する熱伝導値算出工程と,加熱装置からワークへの熱伝達状況を示す値(以下「熱伝達値」という)を,少なくとも加熱元温度と第1ワーク温度に基づいて算出する熱伝達値算出工程と,算出した熱伝導値と目標熱伝導値とを比較する熱伝導値比較工程と,算出した熱伝達値と目標熱伝達値とを比較する熱伝達値比較工程と,熱伝導値比較工程による比較の結果,熱伝導値算出工程により算出した熱伝導値が目標熱伝導値よりも熱伝導状況が悪いことを示す場合は,加熱装置による加熱対象範囲を小さくし,熱伝導値算出工程により算出した熱伝導値が目標熱伝導値よりも熱伝導状況が良いことを示す場合は,加熱装置による加熱対象範囲を大きくする加熱対象範囲制御工程と,熱伝達値比較工程による比較の結果,熱伝達値算出工程により算出した熱伝達値が目標熱伝達値よりも熱伝達状況が悪いことを示す場合は,加熱装置の加熱力を大きくし,熱伝達値算出工程により算出した熱伝達値が目標熱伝達値よりも熱伝達状況が良いことを示す場合は,加熱装置の加熱力を小さくする加熱力制御工程と,を含んでいる。
ここで,本発明の電池用電極板の製造方法では,温度測定工程は,加熱装置からの離隔距離を,加熱装置からワークの搬送経路までの離隔距離と同じにして,乾燥炉内に配されており,ワークと材料組成比および固形分率を同じにする模擬ワークにおける加熱装置側の第1側面の温度を第1ワーク温度として測定し,且つ,模擬ワークにおける第1側面とは反対の第2側面の温度を第2ワーク温度として測定する工程であることが望ましい。
また本発明の電池用電極板の製造方法では,加熱装置は,ワークの上方に配され,ワークに向かって熱風を噴き出すスリットを備える熱風ノズルであり,模擬ワークは,熱風ノズルの直下に固定されていることが望ましい。
また本発明の電池用電極板の製造方法では,加熱対象範囲制御工程は,スリットの開口量および熱風ノズルとワークとの離隔距離の少なくとも一方を変えることにより,熱風ノズルの加熱対象範囲を変更する工程であり,加熱力制御工程は,熱風ノズルから噴き出される熱風の温度および風量の少なくとも一方を変えることにより,熱風ノズルの加熱力を変更する工程であることが望ましい。
本発明によれば,ワークへの熱伝達状況やワーク内部の熱伝導状況を考慮して,ワークの乾燥状態の変化に即した温度制御を行うことによって,電極板の温度を一定に保つことができる。これにより,電極板の品質が所望の品質とならないのを防止することができる。
電極板の断面を示した斜視図である。 図1に示した電極板を製造するための電極板製造装置を模式的に示した図である。 図2に示した乾燥炉を模式的に示した図である。 図3に示した乾燥炉内のワークおよび模擬ワークの上面図である。 乾燥炉の内部を示す概略斜視図である。 熱風ノズルの構造を示す側面図である。 電極板製造装置の電気系統を示すブロック図である。 電極板製造装置が行う熱風ノズル調整処理を示すフローチャートである。 電極板の乾燥工程におけるワーク温度の変化を示すグラフである。 変更例に係る電極板製造装置が備える熱風ノズルの構造を示す側面図である。 従来の電極板製造装置における乾燥炉を模式的に示した図である。 図11に示した乾燥炉内のワークの上面図である。 従来の電極板の乾燥工程におけるワーク温度の変化を示すグラフである。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電極板の製造方法および電極板製造装置について,本発明を具体化したものである。
1.電極板
図1は,電極板1の断面を示した斜視図である。電極板1は,リチウムイオン二次電池用の電極板であり,図1に示すように,帯状の電極箔2の両面に塗工層3が形成されたものである。この構造は,正極板であっても負極板であっても同様である。このため,特に必要がない限り,両者を区別しないで説明する。ただし,その材質等に関しては,正極板と負極板とで異なっている。
リチウムイオン二次電池用の正極板では,電極箔(電極芯材)2としてアルミ箔等を用いることができる。塗工層3は,電極箔2に塗布された正極用塗工液(ペースト)が乾燥して形成された層である。正極用塗工液は,スラリー状のものであり,通常少なくとも,正極活物質と,導電材と,結着材と,溶媒とを含有し,必要に応じてさらに,増粘材を含有するものである。正極活物質,導電材,結着材,増粘材としては,下記の材料が用いられる。
正極活物質:ニッケル酸リチウム(LiNiO),マンガン酸リチウム(LiMnO),コバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウム複合酸化物等
導電材:アセチレンブラック,ファーネスブラック,ケッチェンブラック等のカーボンブラック,グラファイト粉末等のカーボン粉末等
結着材:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),スチレンブタジエンラバー(SBR),ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等
増粘材:カルボキシメチルセルロース(CMC)等
また,正極用塗工液(ペースト)を調製する溶媒としては,下記の材料が用いられる。
溶媒:トルエン,メチルエチルケトン,N−メチル−2−ピロリドン或いはこれらの混合物のような有機溶媒,又は,水,さらには,これらの有機溶媒および水から選ばれる2成分以上の混合溶媒
一方,リチウムイオン二次電池用の負極板では,電極箔(電極芯材)2として銅箔等を用いることができる。塗工層3は,電極箔2に塗布された負極用塗工液(ペースト)が乾燥して形成された層である。負極用塗工液は,スラリー状のものであり,通常少なくとも,負極活物質と,結着材と,溶媒とを含有し,必要に応じてさらに,導電材や増粘材を含有するものである。負極活物質としては,下記の材料が用いられる。また,結着材,導電材,増粘材,溶媒としては,上述した正極用塗工液と同様の材料が用いられる。
負極活物質:非晶質炭素,難黒鉛化炭素,易黒鉛化炭素,黒鉛等の炭素系物質
電極板1では,図1に示すように,塗工層3が,電極箔2の幅方向の中心付近に形成されていて,幅方向の両端に形成されていない。そして,図1の上側の塗工層3の幅は,図1の下側の塗工層3の幅と同じである。
2.電極板製造装置
図2は,図1に示した電極板1を製造するための電極板製造装置10を模式的に示した図である。電極板製造装置10は,図2に示すように,巻出し部20と,塗工部30と,乾燥部40と,巻取り部50とを備えている。電極板製造装置10は,電極箔2に塗工層3となる塗工液を塗布して,その塗工液を乾燥させて電極板1を製造する装置である。この電極板製造装置10は,クリーン室CL内に設置されている。クリーン室CL内は,空調機によって常温雰囲気が保たれている。
巻出し部20は,電極箔2をその長手方向に巻出し,塗工部30に供給するためのものである。巻出し部20には,電極箔2をロール状に捲回した巻出しリール21と,電極箔2を支持する支持ローラー22が設置されている。
塗工部30は,巻出し部20から搬送されてきた電極箔2に塗工液を塗布するためのものである。塗工部30には,塗工用ダイ31と,バックアップローラー32とが設けられている。バックアップローラー32は,塗工用ダイ31が電極箔2に塗工液を所定の厚さで塗布できるように,電極箔2を支持しつつ搬送するためのものである。このため,塗工用ダイ31とバックアップローラー32は,搬送される電極箔2を挟むように配置されている。
乾燥部40は,電極箔2に塗布された塗工液を乾燥するためのものである。乾燥部40は,乾燥炉60により構成されている。塗工部30から搬送されてきた電極箔2は,乾燥炉60の中を通って,巻取り部50へ搬送されていくようになっている。このため,乾燥炉60において,搬送方向の上流側及び下流側の側壁61,62には,電極箔2を通すために開口した入口側窓部61a及び出口側窓部62aが形成されている。乾燥炉60の詳細については後述する。
巻取り部50は,塗工液を乾燥させた後の電極箔2(電極板1)を巻取るためのものである。巻取り部50には,電極箔2をロール状に捲回した巻取りリール51と,電極箔2を支持する支持ローラー52とが設けられている。こうして,電極箔2が連続的に巻取られて,電極板1が製造される。
3.乾燥炉
図3は,乾燥炉60を模式的に示した図である。図1に示すように,乾燥炉60には,複数の搬送ローラー66と,複数の熱風ノズル70とが設けられている。搬送ローラー66は,電極芯材2にペースト4を塗布したもの(以下,「ワーク6」という)を載せて搬送するものである。熱風ノズル(加熱装置に相当する)70は,ワーク6に向けて熱風を噴き付けるものである。各熱風ノズル70には,ファン80と,ヒーター81とが送風路82を介して接続されている。ファン80の回転速度を変化させると,熱風ノズル70から出る熱風の風速および風量が変化する。ヒーター81の温度を調整すると,熱風ノズル70から出る熱風の温度が変化する。
また乾燥炉60内の壁面には,複数の温度センサー84が取り付けられている。各温度センサー84は,各熱風ノズル70の近傍に配置されている。詳しくは,各温度センサー84は,各熱風ノズル70との離隔距離が,熱風ノズル70からワーク6の搬送経路までの離隔距離の半分よりも小さくなる位置に配置されている。以下,この温度センサー84をノズル側温度センサー84と呼ぶ。ノズル側温度センサー84は,熱風ノズル70から吐き出される熱風の温度を測定する。ノズル側温度センサー84には,例えばK型熱電対が好適に使用できる。
図4は,乾燥炉60内を流れるワーク6の上面図である。図5は,乾燥炉60内部の概略斜視図である。図3〜5に示すように,乾燥炉60内には,ワーク6を模した模擬ワーク90が配置されている。模擬ワーク90は,各熱風ノズル70の直下で,且つ,ワーク6に対して図3中紙面手前側に配置されている。また模擬ワーク90は,乾燥炉60内を通過するワーク6と同一の高さに,治具を用いて固定されている。なお,模擬ワーク90の固定は,炉内壁面へ固定するなど,他の手法により行ってもよい。
図5に示すように,模擬ワーク90は,ワーク6と同様,電極箔91にペースト92を塗布したものである。模擬ワーク90の電極箔91は,ワーク6の電極箔2と同じ材質からなる。すなわち,正極板を製造しているのであれば,模擬ワーク90の電極箔91は,正極板の電極箔2と同じアルミ箔等である。一方,負極板を製造しているのであれば,模擬ワーク90の電極箔91は,負極板の電極箔2と同じ銅箔等である。
また,模擬ワーク90のペースト92は,ワーク6のペースト4と同じ材料からなる。すなわち,正極板を製造しているのであれば,模擬ワーク90のペースト92は,正極板のペースト4(正極用塗工液)と同じ材料組成比で,正極活物質,結着材,導電材,増粘材を混合したものである。また,ペースト92の固形分率(ペースト92に占める溶媒以外の全成分の割合)は,ペースト4の固形分率と同じにしてある。一方,負極板を製造しているのであれば,模擬ワーク90のペースト92は,負極板のペースト4(負極用塗工液)と同じ材料組成比で,負極活物質,結着材,導電材,増粘材を混合したものである。また,ペースト92の固形分率(ペースト92に占める溶媒以外の全成分の割合)は,ペースト4の固形分率と同じにしてある。
但し,2つの模擬ワーク90(搬送方向に対して上流にある模擬ワーク90を上流側模擬ワーク90aとし,搬送方向に対して下流にある模擬ワーク90を下流側模擬ワーク90bとする)の溶媒残存率は,異なっている。具体的には,上流側模擬ワーク90aの溶媒残存率よりも,下流側模擬ワーク90bの溶媒残存率の方が小さくなっている。これは,ワーク6が乾燥炉60内を搬送されるにつれて,ワーク6の溶媒残存率が徐々に低下することに合わせたものである。すなわち,上流側模擬ワーク90aの溶媒残存率は,上流側の熱風ノズル70の直下をワーク6が通過するときのワーク6の溶媒残存率と略一致させてある。また下流側模擬ワーク90bの溶媒残存率は,下流側の熱風ノズル70の直下をワーク6が通過するときのワーク6の溶媒残存率と略一致させてある。なお実施形態では,各模擬ワーク90の溶媒残存率を所定値に維持するため,模擬ワーク90への溶媒の補充が行われるようになっている。
また図5に示すように,各模擬ワーク90の上面(第1側面に相当する)には,模擬ワーク90の上面の温度を計測する温度センサー86(以下「ワーク上面側温度センサー86」という)が取り付けられている。また各模擬ワーク90の下面(第2側面に相当する)には,模擬ワーク90の下面の温度を計測する温度センサー87(以下「ワーク下面側温度センサー87」という)が取り付けられている。乾燥炉60内の温度を制御する制御基板100(図7参照)は,これらの各温度センサー86,87により測定された温度に基づき,後に詳述するように,模擬ワーク90への熱の伝わり方(熱伝達状況)を示す指標としての熱伝達率や,模擬ワーク90内部の熱の伝わり方(熱伝導状況)を示す指標としての熱伝導率を算出する。算出した模擬ワーク90への熱伝達率および模擬ワーク90内部の熱伝導率は,乾燥炉60を通過するワーク6の熱伝達率および熱伝導率と一致する。すなわち実施形態では,模擬ワーク90の熱伝達率および熱伝導率を算出することにより,ワーク6の熱伝達率および熱伝導率を算出している。そして,制御基板100は,算出した熱伝達率および熱伝導率に基づいて,ファン80の回転速度やヒーター81の温度等の熱風ノズル70に関するパラメータを調整する。これにより,ワーク6の乾燥に最適な乾燥制御が行われる。
図6は,熱風ノズル70の構成を示す概略側面図である。図6に示すように,熱風ノズル70は,ワーク6の搬送経路より上方に,その搬送経路に向かって熱風が噴き出すように配置されている。熱風ノズル70には,熱風を噴き出すためのスリット71が形成されている。実施形態の熱風ノズル70は,図6中の右側部のみにスリット71が形成された片出ノズルである。熱風は,スリット71からワーク6の搬送経路に向かって噴き出される。
この熱風ノズル70は,ワーク6に対して近づけたり,遠ざけたりすることができるようになっている。すなわち,熱風ノズル70の下端からワーク6の上面までの鉛直方向に沿う離隔距離L1を長くしたり短くしたりできるようになっている。離隔距離L1の変更は,後述する箔-ノズル距離調整モーター98(図7参照)を駆動することにより行うことができるようになっている。
また,熱風ノズル70のスリット71は,ワーク6の搬送方向に略沿う開口幅W1(以下「スリット幅W1」という)を変えられるようになっている。すなわち,スリット幅W1を広くして,熱風の風速を弱めたり,スリット幅W1を狭くして,熱風の風速を強めたりすることができるようになっている。スリット幅W1の変更は,後述するスリット幅調整モーター97(図7参照)を駆動することにより行うことができるようになっている。
また,熱風ノズル70は,吹き出す熱風の方向を変えられるようになっている。すなわち,水平面に対するスリット71の傾きθ1(°)を変更することができるようになっている。スリット71の傾きθ1の変更は,後述するノズル角度調整モーター99(図7参照)を駆動することにより行うことができるようになっている。
なお,熱風ノズル70から出る熱風は,ワーク6の幅方向(図3中紙面に対して垂直な方向)に均一な分布になるように噴き付けられる。こうして,電極箔2に塗布されたペースト4は,乾燥炉60の内部で噴き付けられる熱風と高温雰囲気とによって,乾燥して塗工層3(図1参照)になる。
4.電極板製造装置の電気系統
次に,図7に基づいて電極板製造装置10の電気系統について説明する。図7に示すように,電極板製造装置10は,制御基板100を備えている。制御基板100は,電極板製造装置10の各種動作を制御するものである。制御基板100は,CPU101,ROM102,RAM103等を備えている。CPU101は,ROM102に格納されたプログラムに基づいて各処理を実行する。ROM(記憶部に相当する)102には,図8にフローチャートで示す処理のプログラムをはじめ,CPU101により実行される各種プログラムが格納されている。RAM103は,ROM102に格納されたプログラムの実行エリアとなるものである。ノズル側温度センサー84,ワーク上面側温度センサー86,およびワーク下面側温度センサー87によって計測された温度情報は,RAM103に記憶される。
制御基板100には,ノズル側温度センサー84,ワーク上面側温度センサー86,およびワーク下面側温度センサー87が接続されている。図7に矢印で示すように,各センサーからは制御基板100に信号が入力される。また,制御基板100には,ヒーター81,ファン80を駆動するためのファンM(モーター)96,スリット幅W1を調整するためのスリット幅調整M(モーター)97,離隔距離L1を変更するための箔-ノズル距離調整M(モーター)98,スリット71の傾きθ1を変更するためのノズル角度調整M(モーター)99が接続されている。図7に矢印で示すように,ヒーター81および各モーターには制御基板100から信号が出力される。なお,ノズル側温度センサー84,ワーク上面側温度センサー86,ワーク下面側温度センサー87,スリット幅調整M97,箔-ノズル距離調整M98,ノズル角度調整M99は,乾燥炉60内にある熱風ノズル70や模擬ワーク90の数に応じて,それぞれ設けられるものであるが,ここでは,一つの熱風ノズル70,一つの模擬ワーク90に対応するもののみを代表して記載している。
5.電極板製造装置の動作
次に図8に示すフローチャートに基づいて,乾燥工程における電極板製造装置10の動作について説明する。電極板製造装置10は,乾燥工程において乾燥炉60の状態を次のように制御する。
電極板1の乾燥工程において,制御基板100のCPU101は,図8に示す熱風ノズル調整処理を,例えば数秒毎に繰り返す。なお,図8に示す熱風ノズル調整処理は,乾燥炉60内に設けられた全ての熱風ノズル70に対して行うものであるが,以下の説明では,簡単のため,1つの熱風ノズル70に対する処理のみを説明する。実施形態のように熱風ノズル70が2つある場合には,それぞれについて,図8に示す熱風ノズル調整処理を行えばよい。
図8に示す熱風ノズル調整処理では,CPU101は,まず,各温度センサー84,86,87の値を読み込む(ステップS001)。すなわち,ノズル側温度センサー84からの信号に基づいて熱風ノズル70近傍の温度t0(加熱元温度に相当する)を測定し,ワーク上面側温度センサー86からの信号に基づいて模擬ワーク90の上面側の温度t1(第1ワーク温度に相当する)を測定し,ワーク下面側温度センサー87からの信号に基づいて模擬ワーク90の下面側の温度t2(第2ワーク温度に相当する)を測定する。なお,搬送経路の上流に配された熱風ノズル70a(図5参照)の調整には,搬送経路の上流に配されたノズル側温度センサー84,ワーク上面側温度センサー86,及びワーク下面側温度センサー87により検出された値を用いる。一方,搬送経路の下流に配された熱風ノズル70b(図5参照)の調整には,搬送経路の下流に配されたノズル側温度センサー84,ワーク上面側温度センサー86,及びワーク下面側温度センサー87により検出された値を用いる。
次に,測定した温度t1とt2を用いて,ワーク6の内部における熱の伝わり方を示す指標(これを「熱伝導率」という)を算出する(S002)。なお本明細書における「熱伝導率」とは,物質固有の値ではなく,今現在の熱の伝わり方を示す値である。熱伝導率の算出は,ワーク6の固形分率の変化に伴うワーク6内部の熱の伝わり方の変化の影響を考慮するために行う。熱伝導率S(単位:W/m・K,ワット・パー・メートル・ケルビン)の算出は,下記の数式1を用いて行う。なお,下記数式1の熱量密度Q(W/m2)は,定数として扱うことのできるものであり,その値はROM102に格納されている。
[数1]
熱伝導率S(W/m・K)=(Q×d1)/(t1−t2)
Q:模擬ワーク90の熱量密度(W/m2,ワット・パー・メートル二乗)
d1:模擬ワーク90の上下方向に沿う厚さ寸法(m,メートル,図5参照)
t1:ワーク上面側温度センサー86の測定した温度(K,ケルビン)
t2:ワーク下面側温度センサー87の測定した温度(K,ケルビン)
続いて,CPU101は,算出した熱伝導率Sと,予め目標値として定めた熱伝導率(以下「目標熱伝導率X」という)とを比較する(S003)。目標熱伝導率Xの値は,ROM102に格納されている。目標熱伝導率Xは,ワーク6の乾燥に最適な熱伝導率の値に定められている。目標熱伝導率Xは,基本的には,乾燥炉60に配された全ての熱風ノズル70に対して同じ値である。但し,製造する電極板1の膜厚が約100μm以上と厚い場合には,上流にある熱風ノズル70よりも下流にある熱風ノズル70に対する目標熱伝導率Xの値を大きく設定することが望ましい。厚膜の電極板1であっても十分に乾燥させるためである。
ステップS003の比較の結果,算出熱伝導率Sと目標熱伝導率Xとが一致しない場合には,熱風ノズル70に関する各パラメータを調整する(S004)。熱風ノズル70に関する各パラメータとは,ヒーター81の温度,ファン80の回転速度,スリット幅W1,熱風ノズル70とワーク6との離隔距離L1,スリット71の傾きθ1(図6参照)である。これらのパラメータのうち,ヒーター81の温度と,ファン80の回転速度は,熱風ノズル70の加熱力に関するパラメータである。一方,スリット幅W1,熱風ノズル70とワーク6との離隔距離L1,及び,スリット71の傾きθ1は,熱風ノズル70の加熱対象範囲に関するパラメータである。
熱風ノズル70の各パラメータと熱伝導率との関係は,次のとおりである。すなわち,(1)ヒーター81の温度を高くすると,吐き出される熱風の温度が高くなり,熱伝導率は大きくなる。一方,ヒーター81の温度を低くすると,熱風の温度が低くなり,熱伝導率は小さくなる。(2)ファン80の回転速度を速くすると,熱風の風速および風量が増し,熱伝導率は大きくなる。一方,ファン80の回転速度を遅くすると,熱風の風速および風量が減り,熱伝導率は小さくなる。なお,ファン80の回転速度は,ファンM96(図7参照)の駆動を制御することにより調整する。(3)スリット幅W1を狭くすると,風速が速くなるとともに,ワーク6の加熱対象範囲が狭くなり,ワーク6の一部を集中して加熱することとなるので,熱伝導率が大きくなる。一方,スリット幅W1を広くすると,風速が遅くなるとともに,ワーク6の加熱対象範囲が広範囲となるので,熱伝導率が小さくなる。なお,スリット幅W1の変更は,スリット幅調整M97(図7参照)の駆動を制御することにより行う。(4)離隔距離L1を小さくすると,熱風の噴き出される位置がワーク6に近づくため,ワーク6の加熱対象範囲が狭くなり,ワーク6の一部を集中して加熱することとなるので,熱伝導率は大きくなる。一方,離隔距離L1を大きくすると,熱風の噴き出される位置がワーク6から遠ざかるため,ワーク6の加熱対象範囲が
広範囲となるので,熱伝導率は小さくなる。なお,離隔距離L1の変更は,箔-ノズル距
離調整M98(図7参照)の駆動を制御することにより行う。(5)スリット71の傾きθ1は,スリット71から噴き出す熱風の向きを変えるためのパラメータで,スリット71の傾きθ1を調整して,熱風を向ければ,その箇所の熱伝導率は大きくなり,熱風が向かなくなった箇所の熱伝導率は小さくなる。なお,スリット71の傾きθ1の変更は,ノズル角度調整M99(図7参照)の駆動を制御することにより行う。
以上のような各パラメータの中でも,特に,熱風ノズル70の加熱対象範囲に関するパラメータ(スリット幅W1,熱風ノズル70とワーク6との離隔距離L1,及び,スリット71の傾きθ1)は,熱伝導率の変化に効く。よって実施形態では,ステップS004において熱伝導率を変えるためには,熱風ノズル70の加熱対象範囲に関するパラメータを調整することとしている。勿論,加熱対象範囲に関するパラメータだけでなく,加熱力に関するパラメータを調整するものであってもよい。
具体的には,ステップS003の比較結果が,「算出熱伝導率S>目標熱伝導率X」である場合(算出熱伝導率Sが目標熱伝導率Xよりも熱伝導状況が良いことを示す場合)には,算出熱伝導率Sを目標熱伝導率Xに近づけるために,熱伝導率が小さくなるように(熱伝導状況が悪くなるように),熱風ノズル70の加熱対象範囲に関する各パラメータを適宜組み合わせて調整する。勿論,いずれか一つのパラメータのみを調整するものであってもよい。なお,スリット71の傾きθ1については,算出熱伝導率Sが目標熱伝導率Xよりも大きい場合には,模擬ワーク90に対して直接熱風が向かわない角度に変更する。ここで,熱伝導状況が良いとは,ワーク6の上面から下面へ熱が十分に伝わっている状況をいい,熱伝導状況が悪いとは,ワーク6の上面から下面へ熱が十分に伝わっていない状況をいう。
これに対して,ステップS003の比較結果が,「算出熱伝導率S<目標熱伝導率X」である場合(算出熱伝導率Sが目標熱伝導率Xよりも熱伝導状況が悪いことを示す場合)には,算出熱伝導率Sを目標熱伝導率Xに近づけるために,熱伝導率が大きくなるように(熱伝導状況が良くなるように),熱風ノズル70の加熱対象範囲に関する各パラメータを適宜組み合わせて調整する。勿論,いずれか一つのパラメータのみを調整するものであってもよい。なお,スリット71の傾きθ1については,算出熱伝導率Sが目標熱伝導率Xよりも小さい場合には,模擬ワーク90に対して直接熱風が向かう角度に変更する。
ステップS003の比較の結果,算出熱伝達率Sと目標熱伝達率Xとが一致した場合には,CPU101は,測定した温度t0,t1,およびt2と,算出した熱伝導率Sを用いて,熱風ノズル70から出る熱風からワーク6への熱の伝わり方を示す指標(これを「熱伝達率」という)を算出する(S005)。熱伝達率の算出は,熱風ノズル70の各パラメータの変更(すなわち乾燥態様の変更)に伴うワーク6に対する熱の伝わり方の変化の影響を考慮するために行う。熱伝達率R(単位:W/m2・K,ワット・パー・メートル二乗・ケルビン)の算出は,下記の数式2を用いて行う。
[数2]
熱伝達率R(W/m2・K)=(S×(t1−t2))/(d1×(t0−t1))
S:算出した熱伝導率(W/m・K)
t0:ノズル側温度センサー84の測定した温度(K,ケルビン)
t1:ワーク上面側温度センサー86の測定した温度(K,ケルビン)
t2:ワーク下面側温度センサー87の測定した温度(K,ケルビン)
d1:模擬ワーク90の上下方向に沿う厚さ寸法(m,メートル,図5参照)
なお,上記数式2は,熱流束密度J(W/m2)と,熱伝達率Rとの間に,
J=R×(t0−t1)
の関係があり,熱流束密度J(W/m2)と,熱伝導率Sとの間に,
J=S×(t1−t2)/d1
の関係があることから,導出される式である。
続いて,CPU101は,算出した熱伝達率Rと,予め目標値として定めた熱伝達率(以下「目標熱伝達率Y」という)とを比較する(S006)。目標熱伝達率Yの値は,ROM102に格納されている。目標熱伝達率Yは,ワーク6の乾燥に最適な熱伝達率の値に定められている。目標熱伝達率Yは,乾燥炉60に配された全ての熱風ノズル70に対して同じ値である。但し,製造する電極板1の膜厚が約100μm以上と厚い場合には,上流にある熱風ノズル70よりも下流にある熱風ノズル70に対する目標熱伝達率Yの値を大きく設定することが望ましい。厚膜の電極板1であっても十分に乾燥させるためである。
ステップS006の比較の結果,算出熱伝達率Rと目標熱伝達率Yとが一致する場合は処理を終えるが,一致しない場合には,熱風ノズル70に関する各パラメータを調整する(S004)。熱風ノズル70の各パラメータ(ヒーター81の温度,ファン80の回転速度,スリット幅W1,熱風ノズル70とワークとの離隔距離L1,スリット71の傾きθ1)と,熱伝達率との関係は,上述した熱伝導率との関係と同じである。すなわち,熱伝導率を大きくするときと同じように熱風ノズル70の各パラメータを調整すれば,熱伝達率を大きくすることができる。また,熱伝導率を小さくするときと同じように熱風ノズル70の各パラメータを調整すれば,熱伝達率を小さくすることができる。
但し,熱風ノズル70の各パラメータの中でも,特に,熱風ノズル70の加熱力に関するパラメータ(ヒーター81の温度,及び,ファン80の回転速度)は,熱伝達率の変化に効く。よって実施形態では,ステップS004において熱伝達率を変えるためには,熱風ノズル70の加熱力に関するパラメータを調整することとしている。勿論,加熱力に関するパラメータだけでなく,加熱対象範囲に関するパラメータを調整するものであってもよい。
具体的には,ステップS006の比較結果が,「算出熱伝達率R>目標熱伝達率Y」である場合(算出熱伝達率Rが目標熱伝達率Yよりも熱伝達状況が良いことを示す場合)には,算出熱伝達率Rを目標熱伝達率Yに近づけるために,熱伝達率が小さくなるように(熱伝達状況が悪くなるように),熱風ノズル70の加熱力に関する各パラメータを適宜組み合わせて調整する。勿論,いずれか一つのパラメータのみを調整するものであってもよい。なお,スリット71の傾きθ1を調整する場合については,算出熱伝達率Rが目標熱伝達率Yよりも大きいときには,模擬ワーク90に対して直接熱風が向かわない角度に変更する。ここで,熱伝達状況が良いとは,熱風ノズル70からワーク6へ熱が十分に伝わっている状況をいい,熱伝達状況が悪いとは,熱風ノズル70からワーク6へ熱が十分に伝わっていない状況をいう。
これに対して,ステップS006の比較結果が,「算出熱伝達率R<目標熱伝達率Y」である場合(算出熱伝達率Rが目標熱伝達率Yよりも熱伝達状況が悪いことを示す場合)には,算出熱伝達率Rを目標熱伝達率Yに近づけるために,熱伝達率が大きくなるように(熱伝達状況が良くなるように),熱風ノズル70の加熱力に関する各パラメータを適宜組み合わせて調整する。勿論,いずれか一つのパラメータのみを調整するものであってもよい。なお,スリット71の傾きθ1を調整する場合については,算出熱伝達率Rが目標熱伝達率Yよりも小さいときには,模擬ワーク90に対して直接熱風が向かう角度に変更する。
6.電極板製造装置の作用効果
次に本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の電極板製造装置10は,図8に示す熱風ノズル調整処理を行う。これにより,ワーク6の熱伝導率および熱伝達率を,ワーク6の搬送方向に沿って所定間隔で一定に保ち続けることができる。よって,ワーク6中に,熱伝導率および熱伝達率が高すぎる箇所や低すぎる箇所がなくなる。すなわち,ワーク6中の熱伝導率および熱伝達率のばらつきが小さくなる。そのため,ワーク6全体が均一に温められることとなる。
図9は,図8に示す熱風ノズル調整処理を行ってワーク6を乾燥させた場合におけるワーク6の温度変化を示している。なお,図9における温度の測定は,熱風ノズル70から出る熱風の風量を20Nm/min,風速を18m/s,温度を150℃に設定して行った。また,図9における温度の測定は,ワーク6の一か所に温度センサー(具体的にはK型熱電対)を取り付け,温度センサーをワーク6とともに搬送経路に沿って流すことにより行った。図9中の符号a,bは,図3に示すa,bの位置を通過するときのワーク6の温度を指している。また図9中の符号a,bは,図4に示すワークのaの部分およびbの部分の温度を指している。図9に示すように,ワーク6の温度は,搬送経路上のどの位置においても,120℃〜140℃の範囲内に収まっている。これは,熱風ノズル70の直下の位置(図3中a参照)を通過するときであっても,熱風ノズル70の直下でない位置(図3中b参照)を通過するときであっても,ワーク6の温度が大きく変わらないということである。すなわち,図9に示すグラフから,ワーク6の温度分布が均一化されていることがわかる。
したがって,実施形態の電極板製造装置10によれば,乾燥炉60を通過するワーク6の温度を所定範囲に保って,ワーク6の乾燥を行うことができる。そのため,製造される電極板1の品質を,所望の品質とすることができる。すなわち,ワーク6のペースト4に含まれる成分が偏析したり,ペースト4の空孔率が狙い通りにならなかったりするといった問題が発生することなく,電極板1を製造できる。
また実施形態の電極板製造装置10では,ワーク6の熱伝導率に基づいて熱風ノズル70の調整を行う。ワーク6の熱伝導率は,搬送されるにつれて変化するワーク6の乾燥状態とともに変化するものである。よって,搬送されるにつれてワーク6の乾燥状態が変化しても,その変化に対応した最適な熱風ノズル70の調整が可能となる。また実施形態の電極板製造装置10では,ワーク6への熱伝達率に基づいて熱風ノズル70の調整を行う。ワーク6への熱伝達率は,熱風ノズル70の加熱態様を変更した場合等に変化するものである。よって,熱風ノズル70の加熱態様を変更した場合であっても,ワーク6に対して常に最適な加熱を行うことができる。
また実施形態の電極板製造装置10では,模擬ワーク90を熱風ノズル70の直下に配置している。これは,熱風ノズル70からの熱の影響をもっとも受ける箇所(熱風ノズル70の直下)の熱伝導率および熱伝達率を一定に保つ方が,他の箇所(例えば図1中bの箇所)の熱伝導率および熱伝達率を一定に保つよりも,ワーク6の温度の均一化を図ることができるからである。よって実施形態では,乾燥炉60を通過するワーク6の温度変化を,最も狭い範囲内に収めることができる。
7.変更例
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば実施形態では,熱風ノズル70は,図6中の右側部のみにスリット71が形成された片出ノズルを採用した。これに対して,図10に示す両出ノズル105を採用してもよい。両出ノズル105は,図10中の左側部および右側部(ワーク6の搬送方向に沿う両端部)に,熱風を噴き出すためのスリット106a,106bを有している。このような両出ノズル105では,両出ノズル105の下端からワーク6の上面までの離隔距離L2,上流側スリット106aの傾きθ2,上流側スリット106aの開口幅(スリット幅)W2,下流側スリット106bの傾きθ3,下流側スリット106bの開口幅(スリット幅)W3が,変更可能となっている。従って,制御基板100(図7参照)は,これらの各パラメータを適宜変更することにより,ワーク6の熱伝達率および熱伝導率を目標値に近づける制御を行う。なお,このような両出ノズル105を用いる場合には,ノズル側温度センサー84を,各スリット106a,106bの近くにそれぞれ設けることが,より正確な温度制御のためには望ましい。
また実施形態では,乾燥炉60内に熱風ノズル70を2つ配置する構成としたが,熱風ノズル70の数は,任意に変更可能である。この場合,熱風ノズル70ごとに,図8に示す熱風ノズル処理を行えばよい。
また実施形態では,電極箔2に塗工したペースト4の乾燥に,熱風ノズル70を用いた。しかし,他の加熱装置を用いてもよい。つまり,熱風ノズル70の代わりに,IR加熱器やマイクロ波を利用する加熱器など,他の加熱装置を用いることとしてもよい。実施形態の電極板製造装置10では,ワーク6の熱伝達率に基づいて乾燥制御を行っているため,どのような加熱装置を用いる場合にも,ワーク6を所望の乾燥状態に仕上げることができる。
また実施形態では,模擬ワーク90の熱伝導率および熱伝達率を算出して,算出した値を,ワーク6自体の熱伝導率および熱伝達率とみなして,熱風ノズル70の各パラメータを調整した。これに対して,模擬ワーク90を用いて算出されるワーク6の熱伝導率のみに基づいて,熱風ノズル70の各パラメータを調整してもよい。但し,この場合には,熱風ノズル70の各パラメータの変更(すなわち乾燥態様の変更)に伴うワーク6に対する熱の伝わり方の変化の影響を加味できない。しかしながら,従来の乾燥方法(図11〜13参照)でワークを乾燥させるよりは,ワーク温度のばらつきを抑えることができる。
また,模擬ワーク90を用いて算出されるワーク6の熱伝達率のみに基づいて,熱風ノズル70の各パラメータを調整してもよい。但し,この場合には,ワーク6の固形分率の変化に伴うワーク6内部の熱の伝わり方の変化の影響を加味できない。しかしながら,従来の乾燥方法(図11〜13参照)でワークを乾燥させるよりは,ワーク温度のばらつきを抑えることができる。なお,熱風ノズル70の各パラメータの変更(すなわち乾燥態様の変更)に伴うワーク6に対する熱の伝わり方の変化と,ワーク6の固形分率の変化に伴うワーク6内部の熱の伝わり方の変化との両方を考慮した温度制御をするためには,実施形態の電極板製造装置10のように,ワーク6の熱伝導率および熱伝達率の両方に基づいて,熱風ノズル70の各パラメータを調整する必要がある。
また実施形態では,模擬ワーク90を用いて,ワーク6の熱伝導率および熱伝達率を算出した。これに対して,模擬ワーク90を用いることなく,直接,ワーク6の上面(第1側面に相当する)および下面(第2側面に相当する)の温度を測定することにより,ワーク6の熱伝導率および熱伝達率を測定してもよい。この場合には,非接触型の温度センサーを用いる。但し,非接触型の温度センサーは,耐熱温度が低いなどの欠点もあるので,確実性の観点からは,熱電対を取り付けた模擬ワーク90を用いて,模擬ワーク90の熱伝導率および熱伝達率を算出することが望ましい。
また実施形態では,模擬ワーク90は,熱風ノズル120の直下に固定したが,模擬ワーク90をワーク6に併走させながら,模擬ワーク90の熱伝導率および熱伝達率を測定してもよい。この場合,模擬ワーク90は,上面および下面に温度センサー86,87が取り付けられたまま,乾燥炉60内を通過することとなる。このように構成すれば,実施形態のように,溶媒残存率の異なる複数の模擬ワーク90を用意する必要がなくなる。また,模擬ワーク90の溶媒残存率を所定値に維持するために,模擬ワーク90へ溶媒を補充し続ける必要がなくなる。なお,このように構成した場合,模擬ワーク90の上面および下面の温度を読み取るタイミングは,図3において模擬ワーク90を配置している位置を模擬ワーク90が通過するときである。
また実施形態の熱風ノズル調整処理(図8参照)では,算出した熱伝導率に基づいて熱風ノズル70の各パラメータを調整した後(S002,S003,S004参照),算出した熱伝達率に基づいて熱風ノズルの各パラメータを調整するよう構成した(S005,S006,S004参照)。しかしながら,まず熱伝導率および熱伝達率を両方とも算出し,算出した値とそれぞれの目標値とを比較して,その比較結果を総合的に判断して,ワーク6の熱伝導率および熱伝達率が目標値に近づくように,熱風ノズル70の各パラメータを調整してもよい。
また実施形態では,ワーク6内部の熱伝導状況を示す値(熱伝導値)として,熱伝導率Sを測定した。これに対して,模擬ワーク90の一側面(上面)と,反対の側面(下面)との間の温度勾配G1を算出してもよい。温度勾配G1は,下記の数式3を用いて算出する。
[数3]
G1=(t1−t2)/d1
t1:ワーク上面側温度センサー86の測定した温度(K,ケルビン)
t2:ワーク下面側温度センサー87の測定した温度(K,ケルビン)
d1:模擬ワーク90の上下方向に沿う厚さ寸法(m,メートル,図5参照)
なおこの場合には,ROM102に,目標値としての目標温度勾配H1を記憶しておき,CPU101は,算出した温度勾配G1と目標温度勾配H1とを比較する。そして,比較結果に応じて,温度勾配G1が目標温度勾配H1に近づくように,熱風ノズル70の各パラメータを調整する。温度勾配G1の値が目標温度勾配H1よりも大きいときは,熱伝導状況は目標より悪く,温度勾配G1の値が目標温度勾配H1よりも小さいときは,熱伝導状況は目標より良い。そのため,温度勾配G1の値が目標温度勾配H1よりも大きい場合には,実施形態において熱伝導率Sを大きくするときと同じように,熱風ノズル70の各パラメータを調整する。一方,温度勾配G1の値が目標温度勾配H1よりも小さい場合には,実施形態において熱伝導率Sを小さくするときと同じように,熱風ノズル70の各パラメータを調整する。
また実施形態では,ワーク6への熱伝達状況を示す値(熱伝達値)として,熱伝達率Rを測定した。これに対して,熱源である熱風ノズル70付近からワーク6の上面までの温度勾配G2を算出してもよい。温度勾配G2は,下記の数式4を用いて算出する。
[数4]
G2=(t0−t1)/d2
t0:ノズル側温度センサー84の測定した温度(K,ケルビン)
t1:ワーク上面側温度センサー86の測定した温度(K,ケルビン)
d2:熱風ノズル70のスリット71から模擬ワーク90の上面までの距離(m)
なおこの場合には,ROM102に,目標値としての目標温度勾配H2を記憶しておき,CPU101は,算出した温度勾配G2と目標温度勾配H2とを比較する。そして,比較結果に応じて,温度勾配G2が目標温度勾配H2に近づくように,熱風ノズル70の各パラメータを調整する。温度勾配G2の値が目標温度勾配H2よりも大きいときは,熱伝達状況は目標より悪く,温度勾配G2の値が目標温度勾配H2よりも小さいときは,熱伝達状況は目標より良い。そのため,温度勾配G2の値が目標温度勾配H2よりも大きい場合には,実施形態において熱伝達率Rを大きくするときと同じように,熱風ノズル70の各パラメータを調整する。一方,温度勾配G2の値が目標温度勾配H2よりも小さい場合には,実施形態において熱伝達率Rを小さくするときと同じように,熱風ノズル70の各パラメータを調整する。
さらには,ワーク6内部の熱伝導状況を示す値(熱伝導値)として,S/Qを算出することとしてもよい。この場合,S/Qは,上述の数式1よりd1/(t1−t2)で求めることができる。この場合,目標熱伝導値として,S/Qの目標値をROM102に記憶しておき,この値と算出した値とを比較することとなる。
また,ワーク6への熱伝達状況を示す値(熱伝達値)として,R/Sを算出することとしてもよい。この場合,R/Sは,上述の数式2より(t1−t2)/d1×(t0−t1)で求めることができる。この場合,目標熱伝導値として,R/Sの目標値をROM102に記憶しておき,この値と算出した値とを比較することとなる。
加えて,ワーク6内部の熱伝導状況を示す値(熱伝導値)として,t1とt2の温度差,すなわち(t1−t2)を算出することとしてもよい。この場合,目標熱伝導値として,(t1−t2)の目標値をROM102に記憶しておき,この値と算出した値とを比較することとなる。また,ワーク6への熱伝達状況を示す値(熱伝達値)として,t0とt1の温度差,すなわち(t0−t1)を算出することとしてもよい。この場合,目標熱伝導値として,(t0−t1)の目標値をROM102に記憶しておき,この値と算出した値とを比較することとなる。
なお,実施形態の制御基板100は,熱伝導値算出部,熱伝達値算出部,熱伝導値比較部,熱伝達値比較部,加熱対象範囲制御部,加熱力制御部を構成する。
また実施形態では,ノズル側温度センサー84が,加熱元温度測定部を構成する。
また実施形態では,ワーク上面側温度センサー86と模擬ワーク90とが,第1ワーク温度測定部を構成する。
また実施形態では,ワーク下面側温度センサー87と模擬ワーク90とが,第2ワーク温度測定部を構成する。
1…電極板
2…電極芯材
4…ペースト
6…ワーク
10…電極板製造装置
60…乾燥炉
70…熱風ノズル(加熱装置)
71…スリット
84…ノズル側温度センサー
86…ワーク上面側温度センサー
87…ワーク下面側温度センサー
90…模擬ワーク
100…制御基板
102…ROM(記憶部)

Claims (12)

  1. ペーストを塗工した電極芯材であるワークを通過させることにより前記ペーストを乾燥させる乾燥炉を備える電池用電極板の製造装置において,
    前記乾燥炉内に配され,前記ワークを加熱する加熱装置と,
    前記加熱装置との離隔距離が,前記加熱装置から前記ワークの搬送経路までの離隔距離よりも小さくなる位置に配され,その位置の温度(以下「加熱元温度」という)を測定する加熱元温度測定部と,
    前記ワークにおける前記加熱装置側の第1側面の温度(以下「第1ワーク温度」という)を測定する第1ワーク温度測定部と,
    前記ワークにおける前記第1側面とは反対の第2側面の温度(以下「第2ワーク温度」という)を測定する第2ワーク温度測定部と,
    前記ワーク内の熱伝導状況を示す値(以下「熱伝導値」という)を,少なくとも前記第1ワーク温度と前記第2ワーク温度に基づいて算出する熱伝導値算出部と,
    前記加熱装置から前記ワークへの熱伝達状況を示す値(以下「熱伝達値」という)を,少なくとも前記加熱元温度と前記第1ワーク温度に基づいて算出する熱伝達値算出部と,
    前記熱伝導値の目標値である目標熱伝導値と,前記熱伝達値の目標値である目標熱伝達値とを記憶する記憶部と,
    前記熱伝導値算出部により算出した熱伝導値と前記記憶部に記憶された目標熱伝導値とを比較する熱伝導値比較部と,
    前記熱伝達値算出部により算出した熱伝達値と前記記憶部に記憶された目標熱伝達値とを比較する熱伝達値比較部と,
    前記熱伝導値比較部による比較の結果,前記熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を小さくし,前記熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を大きくする加熱対象範囲制御部と,
    前記熱伝達値比較部による比較の結果,前記熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を大きくし,前記熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を小さくする加熱力制御部と,を備えていることを特徴とする電池用電極板の製造装置。
  2. 請求項1に記載の電池用電極板の製造装置において,
    前記ワークと材料組成比および固形分率を同じにする模擬ワークが,前記加熱装置からの離隔距離を,前記加熱装置から前記ワークの搬送経路までの離隔距離と同じにして,前記乾燥炉内に配され,
    前記第1ワーク温度測定部は,前記模擬ワークにおける前記加熱装置側の第1側面の温度を前記第1ワーク温度として測定するものであり,
    前記第2ワーク温度測定部は,前記模擬ワークにおける前記第1側面とは反対の第2側面の温度を前記第2ワーク温度として測定するものである
    ことを特徴とする電池用電極板の製造装置。
  3. 請求項2に記載の電池用電極板の製造装置において,
    前記加熱装置は,前記ワークの上方に配され,前記ワークに向かって熱風を噴き出すスリットを備える熱風ノズルであり,
    前記模擬ワークは,前記熱風ノズルの直下に固定されていることを特徴とする電池用電極板の製造装置。
  4. 請求項3に記載の電池用電極板の製造装置において,
    前記加熱対象範囲制御部は,前記スリットの開口量および前記熱風ノズルと前記ワークとの離隔距離の少なくとも一方を変えることにより,前記熱風ノズルの加熱対象範囲を変更するものであり,
    前記加熱力制御部は,前記熱風ノズルから噴き出される熱風の温度および風量の少なくとも一方を変えることにより,前記熱風ノズルの加熱力を変更するものである
    ことを特徴とする電池用電極板の製造装置。
  5. ペーストを塗工した電極芯材であるワークを通過させることにより前記ペーストを乾燥させる乾燥炉を備える電池用電極板の製造装置において,
    前記乾燥炉内に配され,前記ワークを加熱する加熱装置と,
    前記ワークにおける前記加熱装置側の第1側面の温度(以下「第1ワーク温度」という)を測定する第1ワーク温度測定部と,
    前記ワークにおける前記第1側面とは反対の第2側面の温度(以下「第2ワーク温度」という)を測定する第2ワーク温度測定部と,
    前記ワーク内の熱伝導状況を示す値(以下「熱伝導値」という)を,少なくとも前記第1ワーク温度と前記第2ワーク温度に基づいて算出する熱伝導値算出部と,
    前記熱伝導値の目標値である目標熱伝導値を記憶する記憶部と,
    前記熱伝導値算出部により算出した熱伝導値と前記記憶部に記憶された目標熱伝導値とを比較する熱伝導値比較部と,
    前記熱伝導値比較部による比較の結果,前記熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を小さくし,前記熱伝導値算出部により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を大きくする加熱対象範囲制御部と,を備えていることを特徴とする電池用電極板の製造装置。
  6. ペーストを塗工した電極芯材であるワークを通過させることにより前記ペーストを乾燥させる乾燥炉を備える電池用電極板の製造装置において,
    前記乾燥炉内に配され,前記ワークを加熱する加熱装置と,
    前記加熱装置との離隔距離が,前記加熱装置から前記ワークの搬送経路までの離隔距離よりも小さくなる位置に配され,その位置の温度(以下「加熱元温度」という)を測定する加熱元温度測定部と,
    前記ワークにおける前記加熱装置側の側面の温度(以下「ワーク温度」という)を測定するワーク温度測定部と,
    前記加熱装置から前記ワークへの熱伝達状況を示す値(以下「熱伝達値」という)を,少なくとも前記加熱元温度と前記ワーク温度に基づいて算出する熱伝達値算出部と,
    前記熱伝達値の目標値である目標熱伝達値を記憶する記憶部と,
    前記熱伝達値算出部により算出した熱伝達値と前記記憶部に記憶された目標熱伝達値とを比較する熱伝達値比較部と,
    前記熱伝達値比較部による比較の結果,前記熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を大きくし,前記熱伝達値算出部により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を小さくする加熱力制御部と,を備えていることを特徴とする電池用電極板の製造装置。
  7. ペーストを塗工した電極芯材であるワークを,乾燥炉内を通過させることにより,前記乾燥炉内に配された加熱装置を用いて乾燥させる乾燥工程を含む電池用電極板の製造方法において,前記乾燥工程は,
    前記加熱装置までの距離が,前記加熱装置から前記ワークの搬送経路までの距離よりも小さい位置での温度(以下「加熱元温度」という)と,前記ワークにおける前記加熱装置側の第1側面の温度(以下「第1ワーク温度」という)と,前記ワークにおける前記第1側面とは反対の第2側面の温度(以下「第2ワーク温度」という)とを測定する温度測定工程と,
    前記ワーク内の熱伝導状況を示す値(以下「熱伝導値」という)を,少なくとも前記第1ワーク温度と前記第2ワーク温度に基づいて算出する熱伝導値算出工程と,
    前記加熱装置から前記ワークへの熱伝達状況を示す値(以下「熱伝達値」という)を,少なくとも前記加熱元温度と前記第1ワーク温度に基づいて算出する熱伝達値算出工程と,
    算出した熱伝導値と目標熱伝導値とを比較する熱伝導値比較工程と,
    算出した熱伝達値と目標熱伝達値とを比較する熱伝達値比較工程と,
    前記熱伝導値比較工程による比較の結果,前記熱伝導値算出工程により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を小さくし,前記熱伝導値算出工程により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を大きくする加熱対象範囲制御工程と,
    前記熱伝達値比較工程による比較の結果,前記熱伝達値算出工程により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を大きくし,前記熱伝達値算出工程により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を小さくする加熱力制御工程と,
    を含んでいることを特徴とする電池用電極板の製造方法。
  8. 請求項7に記載の電池用電極板の製造方法において,前記温度測定工程は,
    前記加熱装置からの離隔距離を,前記加熱装置から前記ワークの搬送経路までの離隔距離と同じにして,前記乾燥炉内に配されており,前記ワークと材料組成比および固形分率を同じにする模擬ワークにおける前記加熱装置側の第1側面の温度を前記第1ワーク温度として測定し,且つ,前記模擬ワークにおける前記第1側面とは反対の第2側面の温度を前記第2ワーク温度として測定する工程である
    ことを特徴とする電池用電極板の製造方法。
  9. 請求項8に記載の電池用電極板の製造方法において,
    前記加熱装置は,前記ワークの上方に配され,前記ワークに向かって熱風を噴き出すスリットを備える熱風ノズルであり,
    前記模擬ワークは,前記熱風ノズルの直下に固定されていることを特徴とする電池用電極板の製造方法。
  10. 請求項9に記載の電池用電極板の製造方法において,
    前記加熱対象範囲制御工程は,前記スリットの開口量および前記熱風ノズルと前記ワークとの離隔距離の少なくとも一方を変えることにより,前記熱風ノズルの加熱対象範囲を変更する工程であり,
    前記加熱力制御工程は,前記熱風ノズルから噴き出される熱風の温度および風量の少なくとも一方を変えることにより,前記熱風ノズルの加熱力を変更する工程である
    ことを特徴とする電池用電極板の製造方法。
  11. ペーストを塗工した電極芯材であるワークを,乾燥炉内を通過させることにより,前記乾燥炉内に配された加熱装置を用いて乾燥させる乾燥工程を含む電池用電極板の製造方法において,前記乾燥工程は,
    前記ワークにおける前記加熱装置側の第1側面の温度(以下「第1ワーク温度」という)と,前記ワークにおける前記第1側面とは反対の第2側面の温度(以下「第2ワーク温度」という)とを測定する温度測定工程と,
    前記ワーク内の熱伝導状況を示す値(以下「熱伝導値」という)を,少なくとも前記第1ワーク温度と前記第2ワーク温度に基づいて算出する熱伝導値算出工程と,
    算出した熱伝導値と目標熱伝導値とを比較する熱伝導値比較工程と,
    前記熱伝導値比較工程による比較の結果,前記熱伝導値算出工程により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を小さくし,前記熱伝導値算出工程により算出した熱伝導値が前記目標熱伝導値よりも熱伝導状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置による加熱対象範囲を大きくする加熱対象範囲制御工程と,を含んでいることを特徴とする電池用電極板の製造方法。
  12. ペーストを塗工した電極芯材であるワークを,乾燥炉内を通過させることにより,前記乾燥炉内に配された加熱装置を用いて乾燥させる乾燥工程を含む電池用電極板の製造方法において,前記乾燥工程は,
    前記加熱装置までの距離が,前記加熱装置から前記ワークの搬送経路までの距離よりも小さい位置の温度(以下「加熱元温度」という)と,前記ワークにおける前記加熱装置側の側面の温度(以下「ワーク温度」という)と,を測定する温度測定工程と,
    前記加熱装置から前記ワークへの熱伝達状況を示す値(以下「熱伝達値」という)を,少なくとも前記加熱元温度と前記ワーク温度に基づいて算出する熱伝達値算出工程と,
    算出した熱伝達値と目標熱伝達値とを比較する熱伝達値比較工程と,
    前記熱伝達値比較工程による比較の結果,前記熱伝達値算出工程により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が悪いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を大きくし,前記熱伝達値算出工程により算出した熱伝達値が前記目標熱伝達値よりも熱伝達状況が良いことを示す場合は,前記加熱装置の加熱力を小さくする加熱力制御工程と,
    を含んでいることを特徴とする電池用電極板の製造方法。
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