JP6011129B2 - 挿抜性に優れた銅合金端子材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用されるコネクタ用端子、特に多ピンコネクタ用の端子として有用な銅合金端子材及びその製造方法に関する。
銅合金端子材は、銅合金からなる基材の上にCuめっき及びSnめっきを施した後にリフロー処理することにより、表層のSn系表面層の下層にCuSn合金層が形成されたものであり、端子材として広く用いられている。
近年、例えば自動車においては電装機器が急速に高集積化しており、これに伴い電気機器の回路数が増加するため、使用するコネクタの小型・多ピン化が顕著になっている。コネクタが多ピン化すると、単ピンあたりの挿入力は小さくても、コネクタを挿着する際にコネクタ全体では大きな力が必要となり、生産性の低下が懸念されている。そこで、銅合金材の摩擦係数を小さくして単ピンあたりの挿入力を低減することが試みられている。
例えば、基材を粗らして、CuSn合金層の表面露出度を規定したもの(特許文献1)があるが、接触抵抗が増大する、ハンダ濡れ性が低下するといった問題があった。また、CuSn合金層の平均粗さを規定したもの(特許文献2)もあるが、さらなる挿抜性向上のため例えば動摩擦係数を0.3以下にすることができないといった問題があった。
特開2007−100220号公報 特開2007−63624号公報
銅合金端子材の摩擦係数を低減させるには、表層のSn層を薄くし、Snに比べ硬いCuSn合金層の一部を表層に露出させると摩擦係数を非常に小さくすることができる。しかしながら、表層にCuSn合金層が露出するとCu酸化物が表層に形成され、その結果接触抵抗の増大、はんだ濡れ性の低下を引き起こしてしまう。またCuSn合金層の平均粗さを制御しても動摩擦係数を0.3以下にまで低減することはできない問題があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、優れた電気接続特性を発揮しながら動摩擦係数を0.3以下にまで低減して、挿抜性に優れた銅合金端子材及びその製造方法を提供することを目的とする。
動摩擦係数は、表層から数百nmの範囲の構造が大きな影響を与えており、研究の結果、表層付近をSnと機械的強度に優れたCu−Sn系合金の複合構造とすると、硬い合金粒子の間隙に適度に存在する軟らかいSnが潤滑剤の作用を果たし動摩擦係数が下がることを見出した。そのために、Sn層の下層に存在するCuSn系合金層の表面凹凸を適切な範囲で大きくすることが、動摩擦係数の低下に有利である。しかし、通常のCuSn合金層は図5に示すように粗大で凹凸が小さいため、動摩擦係数を0.3以下にするためにSn層の厚みを0.1μm未満にしなければならず、はんだ濡れ性の低下、接触抵抗の増大を招く。
そこで本発明者らは鋭意研究した結果、合金層にCoを含有させることにより、粒子間間隙の大きい微細な柱状型粒子からなるCuCoSn合金層を形成し、かつSn表面層の平均厚みを0.2μm以上0.6μm以下とすることで、動摩擦係数0.3以下を実現することができることを見出した。また、リフローSnめっき材は、動摩擦係数測定時の垂直荷重が小さくなると動摩擦係数が増大することが知られているが、本発明品は、垂直荷重を下げても動摩擦係数の増加が小さく、小型端子に用いても効果が発揮できることも見出した。
本発明は、これらの知見の下、以下の解決手段とした。
すなわち、本発明の銅合金端子材は、Cu又はCu合金からなる基材上の表面にSn系表面層が形成され、該Sn系表面層と前記基材との間にCoを含有するCuCoSn合金層が形成された銅合金端子材であって、前記CuCoSn合金層は、Coを1at%以上25at%以下含む平均断面径1.2μm以下、平均縦横比1以上の微細な柱状結晶のCuCoSn合金粒子により構成され、かつ前記Sn系表面層の平均厚みが0.2μm以上0.6μm以下であり、前記Sn系表面層の表面に露出する前記CuCoSn合金層の面積率が10%以上40%以下であり、動摩擦係数が0.3以下であることを特徴とする。
Coを含まないCuSn合金層の場合、図5及び図7に示すように粗大で凹凸の小さいCuSn粒子がSn系表面層の直下に成長する。その結果、合金粒子間の間隙が小さく、適切な複合組織を得ることができない。一方、Coを含んだCuSn合金層をSn系表面層の直下に成長させると、図1、図3及び図4に示すように、特徴的な柱状形状を有するCuCoSn合金粒子が表層に向かって成長し、機械的強度に優れかつ粒子間間隙の大きな合金組織を得ることができ、その結果、低い動摩擦係数が実現される。
CuCoSn合金粒子のCo含有量を1at%以上25at%以下に限定したのは、1at%未満では平均断面径1.2μm以下、縦横比1以上の十分に微細な柱状結晶粒にならず、25at%を超える合金粒子は試験において確認されなかったためである。
なお、このCuCoSn合金層は、微細な柱状結晶のCuCoSn合金粒子によって大部分が占められていればよく、後述の実施例に示されるようにCuSn合金が一部に存在しているものも含まれる。
Sn系表面層の平均厚みを0.2μm以上0.6μm以下としたのは、0.2μm未満でははんだ濡れ性の低下、電気的接続信頼性の低下を招くからであり、0.6μmを超えると表層をSnとCuCoSn合金の複合構造とすることができず、Snだけで占められるので動摩擦係数が増大するからである。より好ましいSn系表面層の平均厚みは0.3μm以上0.55μm以下である。
また、Sn系表面層の表面におけるCuSn合金層の露出面積率が10%未満では動摩擦係数を0.3以下とすることができず、40%を超えると、はんだ濡れ性等の電気接続特性が低下する。より好ましい面積率は、10%以上35%以下である。
本発明の銅合金端子材において、前記基材と前記CuCoSn合金層との間に厚みが0.05μm以上0.5μm以下のNi又はNi合金、あるいはCo又はCo合金からなるバリア層が設けられていてもよい。
上記のバリア層を有さない構造の場合、100℃を超える高温下で保持すると基材からCuが拡散し、表層のSnが全てCuSn合金化して電気的信頼性の低下を招くおそれがある。そこで基材とCuCoSn合金層との間にNi又はNi合金、あるいはCo又はCo合金のめっき層をバリア層として挿入することにより基材からのCuの拡散を防ぎ、100℃を超える高温下でも高い電気的信頼性を維持することができる。なお、バリア層が0.05μm未満では十分な障壁効果が得られず、0.5μmを超えると曲げ加工時にバリア層に割れを生ずるため、0.05μm以上0.5μm以下に限定している。
この場合も、CuCoSn合金層と基材の間に、Coを含有しないCuSn合金層が形成される場合と、形成されない場合との両方の形態が存在する。
本発明の銅合金端子材の製造方法は、Cu又はCu合金からなる基材上に、Cuめっき層、Coめっき層及びSnめっき層をこの順で形成した後に、リフロー処理することにより、前記基材の上にCuCoSn合金層を介してSn系表面層を形成した銅合金端子材を製造する方法であって、前記Cuめっき層の厚みを0.1μm以上0.5μm以下、前記Coめっき層の厚みを0.004μm以上0.06μm以下、前記Snめっき層の厚みを0.6μm以上1.5μm以下とし、前記リフロー処理を基材の表面温度が240℃以上360℃以下の温度になるまで昇温後、当該温度に12秒以下の時間保持した後、冷することにより行うことを特徴とする。
Cuめっき層とSnめっき層との間に薄くCoめっき層を形成しておくことにより、リフロー処理後にSn系表面層と基材との間にCuCoSn合金層を形成する。Cuめっき層の膜厚は、0.1μm未満では基材中の添加元素の皮膜への拡散を抑制することができず、0.5μmを超えてもさらなる特性向上は認められない。Coめっき層の膜厚は、0.004μm未満ではCuCoSn層へのCoの固溶量が不十分となり、0.06μmを超えると図8に示すようにCoSnなどのプレート型形状を有するCoSn合金が生成し、CuCoSn層の適切な成長を阻害する。Snめっき層の厚みは0.6μm未満であると、リフロー後のSn系表面層が薄くなって電気接続特性が損なわれ、1.5μmを超えると、表面へのCuCoSn合金層の露出が少なくなって動摩擦係数を0.3以下にすることが難しい。
リフロー処理においては、基材の表面温度が240℃以上360℃以下の温度になるまで昇温後、当該温度に12秒以下の時間保持した後、冷することが重要である。温度が240℃未満の場合にはSnの溶解が進まず所望のCuCoSn合金層を得ることができず、360℃を超えあるいは保持時間が長すぎるとCuCoSn合金が成長し過ぎて表面への露出率が大きくなり過ぎ、またSn系表面層の酸化が進行して好ましくない。
本発明によれば、動摩擦係数を低減したので、低接触抵抗、良好なはんだ濡れ性と低挿抜性を両立させることができ、また低荷重でも効果があり小型端子に最適である。特に、自動車および電子部品等に使用される端子において、接合時の低い挿入力、安定した接触抵抗、良好なはんだ濡れ性を必要とする部位において優位性を持つ。
実施例1の銅合金端子材におけるSn系表面層を除去した後のCuCoSn合金層の表面状態を示すSEM顕微鏡写真である。 実施例1の銅合金端子材の表面のSIM顕微鏡写真である。 実施例1の銅合金端子材の断面のSIM顕微鏡写真である。断面方向を2倍に拡大して表示している。 実施例2の銅合金端子材におけるSn系表面層を除去した後のCuCoSn合金層の表面状態を示すSEM顕微鏡写真である。 比較例1の銅合金端子材におけるSn系表面層を除去した後のCuCoSn合金層の表面状態を示すSEM顕微鏡写真である。 比較例1の銅合金端子材の表面のSIM顕微鏡写真である。 比較例1の銅合金端子材の断面のSIM顕微鏡写真である。断面方向を2倍に拡大して表示している。 比較例2の銅合金端子材におけるSn系表面層を除去した後の柱状型のCuCoSn合金層に加え、プレート型のCoSn合金層が出現した表面状態を示すSEM顕微鏡写真である。 動摩擦係数を測定するための装置を概念的に示す正面図である。
本発明の一実施形態の銅合金端子材を説明する。
本実施形態の銅合金端子材は、銅合金からなる基材の上に、Sn系表面層が形成され、Sn系表面層と基材との間にCuCoSn合金層が形成されている。
基材は、Cu又はCu合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。
CuCoSn合金層は、後述するように基材の上にCuめっき層、Coめっき層及びSnめっき層を順に形成してリフロー処理することにより形成されたものであり、Coを1at%以上25at%以下含む平均断面径1.2μm以下、平均縦横比1以上の微細な柱状結晶のCuCoSn合金粒子により構成される。
Sn系表面層は平均厚みが0.2μm以上0.6μm以下に形成される。
そして、このSn系表面層の表面に、下層のCuCoSn合金層の一部が露出しており、その露出部分の面積率が10%以上40%以下とされる。
このような構造の端子材は、Sn系表面層の表面から数百nmの深さの範囲で、硬いCuCoSn合金層が介在してSn系表面層との複合構造とされ、その硬いCuCoSn合金層の一部がSn系表面層に露出した状態とされ、その周囲に存在する軟らかいSnが潤滑剤の作用を果たし、0.3以下の低い動摩擦係数が実現される。しかも、CuCoSn合金層の露出面積率は10%以上40%以下の限られた範囲であるから、Sn系表面層の持つ優れた電気接続特性を損なうことはない。
CuCoSn粒子のCo含有量を1at%以上25at%以下に限定したのは、1at%未満では図1、図3及び図4に示すような、平均断面径1.2μm以下、平均縦横比1以上の十分に微細な柱状結晶粒にならず、25at%を超えたCuCoSn粒子は試験において確認されなかったためである。
因みに、Coを含まないCuSn合金層の場合、図5および図7に示すように粗大で凹凸の小さいCuSn粒子がSn系表面層の直下に成長する。その結果、合金粒子間の間隙が小さく、適切な複合組織を得ることができない。
なお、CuCoSn合金層と基材の間には、Coを含有しないCuSn合金層が形成されても、形成されなくてもどちらでも良い。通常CuSn合金層が形成されるが、その厚みは100nm程度と極めて薄い。銅合金種、Cuめっき厚によってはCuSn合金層が形成されない場合もあるが、特に影響はない。
また、基材とCuCoSn合金層との間にバリア層としてNi又はNi合金、あるいはCo又はCo合金からなる層を設けても良い。このバリア層を設ける場合は、その膜厚は0.05μm〜0.5μmとされる。
Sn系表面層の厚みは、0.2μm未満でははんだ濡れ性の低下、電気的接続信頼性の低下を招き、0.6μmを超えると表層をSnとCuCoSn合金の複合構造とすることができず、Snだけで占められるので動摩擦係数が増大する。より好ましいSn系表面層の平均厚みは0.3μm以上0.55μm以下である。
CuCoSn合金層の表面への露出面積率は、10%未満では動摩擦係数を0.3以下とすることができず、40%を超えると、はんだ濡れ性等の電気接続特性が低下する。より好ましい面積率は、10%以上35%以下である。
次に、この端子材の製造方法について説明する。
Cu又はCu合金からなる基材の板材に脱脂、酸洗等の処理をすることによって表面を清浄にした後、Cuめっき、Coめっき、Snめっきをこの順序で施す。
Cuめっきは一般的なCuめっき浴を用いればよく、例えば硫酸銅(CuSO)及び硫酸(HSO)を主成分とした硫酸銅浴等を用いることができる。めっき浴の温度は20℃以上50℃以下、電流密度は1A/dm以上20A/dm以下とされる。このCuめっきにより形成されるCuめっき層の膜厚は0.1μm以上0.5μm以下とされる。0.1μm未満では合金基材の影響が大きく、基材上の圧延痕の影響による不良発生を防止することができず、また、基材中の添加元素の皮膜への拡散を抑制することができず、0.5μmを超えてCuめっきしてもさらなる特性向上は認められず、経済的に不利となる。
Coめっき層形成のためのめっき浴としては、一般的なCoめっき浴を用いればよく、例えば硫酸コバルト(CoSO)、ホウ酸(HBO)、および硫酸ナトリウム(NaSO)を主成分とした硫酸コバルト浴等を用いることができる。めっき浴の温度は10℃以上35℃以下、電流密度は0.1A/dm以上〜20A/dm以下とされる。このCoめっき層の膜厚は0.004μm以上0.06μm以下とされる。0.004μm未満ではCuCoSn層へのCoの固溶量が不十分となり、0.06μmを超えるとCoSnなどのCoSn合金が生成し、CuCoSn層の適切な成長を阻害するためである。
Snめっき層形成のためのめっき浴としては、一般的なSnめっき浴を用いればよく、例えば硫酸(HSO)と硫酸第一錫(SnSO)を主成分とした硫酸浴等を用いることができる。めっき浴の温度は15℃以上35℃以下、電流密度は1A/dm以上〜30A/dm以下とされる。このSnめっき層の膜厚は0.6μm以上1.5μm以下とされる。Snめっき層をこの範囲の厚みとすることにより、リフロー処理後のSn系表面層の厚みを0.2μm以上0.6μm以下に調整することができる。
バリア層として追加するNiめっき層形成のためのめっき浴としては、一般的なNiめっき浴を用いればよく、例えば硫酸(HSO)と硫酸ニッケル(NiSO)を主成分とした硫酸浴や塩酸(HCl)と塩化ニッケル(NiCl)を主成分とした塩化浴を用いることができる。めっき浴の温度は20℃以上50℃以下、電流密度は0.5A/dm以上〜30A/dm以下とされる。
バリア層としてCoめっき層を形成する場合は、前述のCoめっき層形成のためのめっき浴を用いて、前述の条件でめっきすればよい。
いずれもバリア層としてのめっき厚は0.05μm〜0.5μmとされる。
リフロー処理条件としては、還元雰囲気中で基材の表面温度が240℃以上360℃以下となる条件で12秒以下の時間加熱し、急冷とされる。さらに望ましくは250℃以上300℃以下で1秒以上10秒以下の時間加熱後急冷である。この場合、保持時間は、めっき厚が薄いほど少なく、厚くなると長くなる傾向にある。温度が240℃未満の場合にはSnの溶解が進まず所望のCuCoSn合金層を得ることができず、360℃を超えあるいは保持時間が長すぎるとCuCoSn合金が成長し過ぎて所望の形状を得られず、またCuCoSn合金層が表層にまで達し、表面に残留するSn系表面層が少なくなり過ぎる(CuCoSn合金層の表面への露出率が大きくなり過ぎる)ためである。また、加熱条件が高いとSn系表面層の酸化が進行して好ましくない。
板厚0.25mmの銅(OFC)および3種の銅合金(Cu−Ni2質量%−Zn1.0質量%−Sn0.5質量%−Si0.5質量%,Cu−Mg0.7質量%−P0.005質量%,Cu−Zn30質量%)を基材とし、Cuめっき、Coめっき、Snめっきを順に施した。一部のサンプルについては、Cuめっきの前にバリア層としてNiめっき又はCoめっきを施している。Cuめっき、Coめっき、Snめっき、およびNiめっきのめっき条件は実施例、比較例とも同じで、表1に示す通りとした。表1中、Dkはカソードの電流密度、ASDはA/dmの略である。
表2に示す厚みでめっき処理後、実施例、比較例とも同じく表2に示す条件でリフロー処理として、還元雰囲気中で、基材表面温度が所定温度となる条件で保持した後、水冷した。
比較例として、Cuめっき厚、Coめっき厚、Snめっき厚を変量してSn系表面層の膜厚を規定外としたもの等を準備した。
これら試料の条件を表2に示す。
これらの試料について、リフロー後のSn系表面層の平均厚み、CuCoSn合金層のSn系表面上の露出面積率を測定するとともに、CuCoSn合金粒子の平均断面径、平均縦横比、及び該粒子の平均Co含有量を測定した。
また、表面の動摩擦係数、はんだ濡れ性、電気的信頼性を評価した。
リフロー後のSn系表面層の厚みは、エスエスアイ・ナノテクノロジー株式会社製蛍光X線膜厚計(SFT9400)にて測定した。最初にリフロー後の試料の全Sn系表面層の厚みを測定した後、例えばレイボルド株式会社製のL80等の、純SnをエッチングしCuCoSn合金を腐食しない成分からなるめっき被膜剥離用のエッチング液に数分間浸漬することによりSn系表面層を除去し、その下層のCuCoSn合金層を露出させCuCoSn合金層の厚みを測定した後、(全Sn系表面層の厚み−CuSn合金層の厚み)をSn系表面層の厚みと定義した。
CuCoSn合金層の露出面積率は、表面酸化膜を除去後、50×50μmの領域を走査イオン顕微鏡により観察した。測定原理上、最表面から約20nmまでの深さ領域にCuCoSn合金が存在すると、図2および図5に示すように白くイメージングされるので、画像処理ソフトを使用し、測定領域の全面積に対する白い領域の面積の比率をCuCoSn合金の露出率とみなした。
柱状結晶のCuCoSn合金粒子の平均断面径と平均縦横比は、電子顕微鏡(SEM)により観察して測定した。
また、その平均Co含有量は、エネルギー分散型X線分析検出器が付属した日本電子社製の走査型透過電子顕微鏡(JEM−2010F)を使用して測定した。
動摩擦係数については、嵌合型のコネクタのオス端子とメス端子の接点部を模擬するように、各試料について板状のオス試験片と内径1.5mmの半球状としたメス試験片とを作成し、株式会社トリニティーラボ製の摩擦測定機(μV1000)を用い、両試験片間の摩擦力を測定して動摩擦係数を求めた。図9により説明すると、水平な台11上にオス試験片12を固定し、その上にメス試験片13の半球凸面を置いてめっき面同士を接触させ、メス試験片13に錘14によって100gf及び500gfの荷重Pをかけてオス試験片12を押さえた状態とする。この荷重Pをかけた状態で、オス試験片12を摺動速度80mm/分で矢印により示した水平方向に10mm引っ張ったときの摩擦力Fをロードセル15によって測定した。その摩擦力Fの平均値Favと荷重Pより動摩擦係数(=Fav/P)を求めた。表3には、荷重Pを0.98N(100gf)としたときと、荷重Pを4.9N(500gf)としたときの両方の動摩擦係数を記載した。
はんだ濡れ性については、試験片を10mm幅に切り出し、ロジン系活性フラックスを用いてメニスコグラフ法にてゼロクロスタイムを測定した。(はんだ浴温230℃のSn−37%Pbはんだに浸漬させ、浸漬速度2mm/sec、浸漬深さ2mm、浸漬時間10secの条件にて測定した。)はんだゼロクロスタイムが3秒以下を○と評価し、3秒を超えた場合を×と評価した。
電気的信頼性を評価するため、大気中で150℃×500時間加熱し、接触抵抗を測定した。測定方法はJIS−C−5402に準拠し、4端子接触抵抗試験機(山崎精機研究所製:CRS−113−AU)により、摺動式(1mm)で0から50gまでの荷重変化−接触抵抗を測定し、荷重を50gとしたときの接触抵抗値で評価した。
これらの測定結果、評価結果を表3に示す。
この表3から明らかなように、実施例はいずれも動摩擦係数が0.3以下と小さく、はんだ濡れ性が良好で、接触抵抗も小さいものであった。また、実施例9、10、11では、Niバリア層又はCoバリア層を設けたことにより、加熱試験後も接触抵抗が2mΩ以下であり、高い電気的信頼性が維持されている。なお、実施例1〜実施例11と比較例3〜比較例5では、基材とCuCoSn合金層との間にCuSn合金であるCuSnの形成が認められた。なお、実施例1では、合金層全体に対するCuSnの体積率は約15%であった。比較例1では、合金層がCuSnとCuSnで構成されており、合金層全体に対するCuSnの体積率は約22%であった。
図1〜図3は実施例1の試料の顕微鏡写真であり、図4は実施例2の試料の顕微鏡写真であり、図5〜図7は比較例1の顕微鏡写真であり、図8は比較例2の顕微鏡写真である。図2及び図6で黒い部分がSn、白い部分がCuCoSn合金あるいはCuSn合金である。これらの写真を比較してわかるように、実施例のものは、微細な柱状結晶からなるCuCoSn合金層が成長しており、これにより、表層部分がCuCoSn合金層とSn系表面層との複合構造とされ、Sn系表面層にCuCoSn合金層の一部が分散して露出している。図8からわかるように、Cuめっき層とSnめっき層の間のCoめっき層の厚みが厚い場合、主にプレート型形状を有するCoSnが生成し、CuCoSn層の適切な成長は実現されない。
11 台
12 オス試験片
13 メス試験片
14 錘
15 ロードセル

Claims (3)

  1. Cu又はCu合金からなる基材上の表面にSn系表面層が形成され、該Sn系表面層と前記基材との間にCoを含有するCuCoSn合金層が形成された銅合金端子材であって、前記CuCoSn合金層は、Coを1at%以上25at%以下含む平均断面径1.2μm以下、平均縦横比1以上の微細な柱状結晶のCuCoSn合金粒子により構成され、かつ前記Sn系表面層の平均厚みが0.2μm以上0.6μm以下であり、前記Sn系表面層の表面に露出する前記CuCoSn合金層の面積率が10%以上40%以下であり、動摩擦係数が0.3以下であることを特徴とする銅合金端子材。
  2. 前記基材と前記CuCoSn合金層との間に厚みが0.05μm以上0.5μm以下のNi又はNi合金、あるいはCo又はCo合金からなるバリア層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の銅合金端子材。
  3. Cu又はCu合金からなる基材上に、Cuめっき層、Coめっき層及びSnめっき層をこの順で形成した後に、リフロー処理することにより、前記基材の上にCuCoSn合金層を介してSn系表面層を形成した銅合金端子材を製造する方法であって、前記Cuめっき層の厚みを0.1μm以上0.5μm以下、前記Coめっき層の厚みを0.004μm以上0.06μm以下、前記Snめっき層の厚みを0.6μm以上1.5μm以下とし、前記リフロー処理を基材の表面温度が240℃以上360℃以下になるまで昇温後、当該温度に12秒以下の時間保持した後、冷することにより行うことを特徴とする銅合金端子材の製造方法。
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