JP6010127B2 - 改変抗体およびその作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、治療方法で用いることができる非免疫原性結合剤(特に免疫グロブリン)及びそのフラグメントを製造する方法に関する。特に、本方法は、中和抗体が生じるリスクを最小限にして標的種に投与できるように、ドナー免疫グロブリンを改変することを可能にする。本発明はさらに、前記方法によって製造された免疫グロブリン及びそれらの治療での使用に及ぶ。
組換えDNA技術における進歩は、医薬として利用される多様なタンパク質の開発をもたらした。これによって、多数のタンパク質系薬剤(より一般的には生物薬剤と称され、臨床試験又は市場取引認可の対象であり得る)がもたらされた。それらの固有の特性及び構造ゆえに、タンパク質系薬剤は、古くからの小分子性有機及び無機物質系分子よりも極めて大きくかつ複雑である。特に、タンパク質の折り畳まれた三次構造はその生物学的機能に必須である。
抗体は、広範囲に開発され、人間の治療的利用で用いられているタンパク質の一ファミリーである。治療的利用で抗体が好まれるのは、実質的に任意の所望の標的分子を特異的に標的とし得るというそれらの万能性に拠る。タンパク質系治療用製品の大半はモノクローナル抗体である。しかしながら、モノクローナル抗体系療法の使用に付随するある重大な欠点は、対象動物に投与したとき該治療用モノクローナル抗体に対して中和抗体が産生されることである。これらの中和抗体は、投与されたモノクローナル抗体に存在する外来性アミノ酸配列を認識する該対象動物の免疫系から生じる。結果として、投与された治療用抗体に対して免疫応答が惹起される。該対象動物による中和抗体の産生は、該治療用モノクローナル抗体による該対象動物の治療継続能力を大きく障害し得る。典型的には、対象動物でいったん中和抗体が産生されてしまうと、治療用抗体の使用を増加させねばならない。なぜならば、中和抗体は、投与されたモノクローナル抗体の治療効果を効果的に低下させるか又は無効にするからである。このことは、治療用抗体の使用を初期治療に制限し、治療用抗体の反復投与又は長期投与は選択肢とならないという結果をもたらし得る。要約すれば、治療用抗体に対する中和抗体の産生は当該抗体の治療的使用を大きく制限し、このことは順次、慢性又は再発性疾患の治療において該抗体の使用を大きく制限するか又は完全に妨げ得る。
治療用抗体に対する中和抗体産生の蓋然性を低下させようと多数の手法が開発され、これらは、抗体の構造を改変することによって抗体の免疫原性を低下させるように考案されてきた。そのような手法のあるものは、抗体の重鎖及び軽鎖定常ドメインが、当該抗体が投与される対象動物と同じ種から得られた抗体に由来するキメラ抗体の製造である。ほとんどの治療用抗体は人間で使用するために開発されているので、そのようなキメラ抗体は、典型的には非ヒト抗体(もっとも典型的にはマウス又はラット起源)由来の重鎖及び軽鎖可変領域と連接したヒト由来の重鎖及び軽鎖定常ドメインを含む。
治療用抗体の免疫原性を低下させるさらに別の手法はヒト化と称される技術を利用する。ヒト化という用語は、免疫応答が生じる可能性を制限するために、改変された抗体があたかもヒトによって産生された抗体のように作製されているという事実を反映している。ヒト化技術は抗体をいっそうヒト-様にするために多数の異なる手法に及ぶ。
一般的に用いられるヒト化技術の一つはCDR移植技術であり、前記技術によれば、ドナー抗体(例えばネズミ由来抗体)由来の相補性決定領域(CDR)がヒト起源の抗体由来のフレームワーク領域と合体されて重鎖及び軽鎖可変ドメインを形成し、前記は続いてヒト抗体由来重鎖及び軽鎖定常ドメインと合体される。したがって生成抗体は限られた数の非ヒト由来アミノ酸を含むだけであり、このことはヒト免疫系によって外来性とみなされるエピトープの存在を制限するために役立つ。
ヒト化に付随する重要なある欠点は、ヒト化はしばしば、非ヒト化ドナー抗体によって示される結合親和性よりも生成ヒト化抗体の結合親和性に大きな低下を生じるということである。治療用抗体に対して中和抗体が産生される事例のように、このことは、当該抗体の治療的使用を顕著に損なうことになり得る。特に、結合親和性の低下はより大用量の治療用抗体の投与を必要とし、それはさらにまた投薬頻度の増加も要求し得る。これらの要因はともに治療コストの増大及び患者の不便の増加をもたらす。さらにまた対象動物へのより大量の抗体の投与は、治療用抗体に対して中和抗体が生成されるリスクの増大をもたらす。
ヒト化抗体が最初のドナー抗体よりも低い親和性で所望エピトープと結合する事例では、当該事象は、フレームワーク領域配列とエピトープ結合CDR配列との構造的に不適合なアラインメントに起因する。ヒト残基をドナー抗体の同じ位置のアミノ酸で復帰突然変異させる反復プロセスを通して、ヒト化抗体の親和性をしばしば回復させることができる。この復帰変異プロセスは該ヒト化抗体へのさらに別の非ヒトアミノ酸残基の再導入をもたらし得るが、該生成抗体は、最終配列に重要なドナーアミノ酸が存在するにもかかわらずやはりヒト化されてある。
直接的な類推により、ヒト以外の種で使用するための抗体の種特化(speciesisation)は、同様に、生成抗体の選択標的種における免疫原性を低下させる一方で、改変抗体の結合親和性を維持するフレームワーク変更を行うという必要性によって妥協される。商業的観点から、ヒト以外の種での抗体の使用は特に重要な種(例えばコンパニオンアニマル(ネコ及びイヌ)及び耐久動物(ウマ及びラクダ))で治療が有効であり得る一連の共通疾患プロセス範囲のため、又は食糧生産動物(例えば乳牛、ヒツジ、ブタ及びニワトリ)の肉質改善のために希求される。したがって、これらの種で使用するために、抗体のより単純な変換を可能にする方法は大いに希求されよう。
したがって、ドナー抗体を改変する改善方法であって、生成抗体が標的抗原に対する結合親和性の低下を示すことなく該抗体を標的対象動物に投与することができ、一方、当該抗原に対する中和抗体生成の蓋然性を低下させるためにレシピエント抗体配列の変更を最小限にする方法が希求される。したがって、CDR構造に対する影響が最小限の標的種フレームワーク構造を達成するために、最小数の変更を有する標的種配列にドナー抗体配列を変換する方法が強く希求されよう。
本発明はある標的種で使用するためにドナー抗体を改変する方法を開示し、前記改変は、生成抗体が、該フレームワーク領域内のいずれの位置においても当該種の当該位置において外来性であるようなアミノ酸を一切含まないように実施される。したがって、該改変抗体はドナー抗体の特異性及び親和性を維持するが、同時に潜在的に外来性であるエピトープが作出されないように改変されるであろう。該改変抗体はしたがって標的種で外来性とみなされず、それゆえに、その有効性の中和を特に長期投与後にもたらし得る免疫応答を誘発しないであろう。前記を達成することができる本方法は、以前の方法に固有であった全ての欠点を克服し、しかも際立った単純性及び洗練性を特徴とする。
甚だしい努力の後で、本発明者らは驚くべきことに、標的種に投与したとき完全に又は有意に非免疫原性であるように、ドナー抗体又は前記由来の抗原結合フラグメントを改変する方法を開発した。前記標的種はドナー抗体が由来した種とは異なる種である。典型的には、対象動物に投与した後で該生成抗体に対して中和抗体は生じない。さらにまた、抗体を非免疫原性にする抗体の改変は、目的の標的に対する結合特異性又は親和性の低下をもたらさないであろう。
本発明の第一の特徴にしたがえば、標的種に投与するために非免疫原性免疫グロブリンを製造する方法が提供され、前記方法は以下の工程を含む:
−標的種以外の種からドナー免疫グロブリンを同定する工程(ここで該ドナー免疫グロブリンは標的種に存在する標的エピトープに対し結合特異性を有する)、
−該ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列を決定する工程、
−該ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列の各アミノ酸残基を、該標的種由来の1つ以上の免疫グロブリンのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置に存在するアミノ酸残基と比較して、該標的種由来の1つ以上の免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置に存在しない、ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列内の1つ以上のアミノ酸残基を同定する工程;及び
−該ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列に存在するが、該標的種由来の1つ以上の免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置には存在しない該1つ以上の同定アミノ酸残基を、該標的種由来の1つ以上の免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置に存在するアミノ酸残基で置換する工程。
本方法は、ドナー免疫グロブリンのフレームワーク(FW)領域の固有の位置に存在し、標的種由来免疫グロブリンの対応するフレームワーク領域の位置の少なくとも1つにもまた存在するアミノ酸はいずれも変更(すなわち置換)せずに放置する。ある種の実施態様では、標的種の免疫グロブリンのフレームワーク領域のアミノ酸配列は、ドナー免疫グロブリンの対応する位置に存在するアミノ酸残基と同等とみなすことができる残基プールを含む。典型的には、そのようなプールは、複数の標的種免疫グロブリンに由来する位置特異的アミノ酸残基を含む。典型的には、該プールは、可能な限り多くの標的種免疫グロブリンから得られるフレームワーク領域配列データ、及び実現可能な場合には、公表データベースに存在する具体的な種について公知の全ての免疫グロブリンの全てのフレームワーク領域配列を含む。
異なる種に由来する免疫グロブリンのフレームワーク領域のアミノ酸配列は、公に入手できる多数のデータベースから得ることができる(前記データベースは当業者には周知であろう)。例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)によって維持されているデータベースは、非常に多様な種に由来する抗体の免疫グロブリン配列情報を含む。さらに別のデータベースは、公に入手できる生殖細胞系列及び発現cDNA配列を含む任意のデータベースを含むことができ、さらに定期刊行物又はデータベースも含むことができ、前記は例えば、免疫グロブリン配列のKabatデータベース(URL:www.kabatdatabase.com)及びV BASE、ヒト抗体データベース(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)であるが、ただしこれらに限定されない。あり得る標的アミノ酸の一覧表の作成手順は当業者には日常的作業である。
該比較はドナー配列と標的配列の単一メンバーとの間で実施することができるが、標的配列プールによる比較が好ましいことは明白であろう。なぜならば、当該比較は、標的種の各Kabat位置における天然の選択肢の数を大きくするからである。これは、ドナーと標的種との間の“マッチング”の機会を増加させるだけでなく、マッチングが存在しない場合に入れ替えの選択肢もまた増やすであろう。
本明細書で規定するように、非免疫原性免疫グロブリンは、標的種に投与されたときにそれに対して免疫応答を惹起しない免疫グロブリンである。特に、該抗体に対する(特に該フレームワーク(FW)領域由来のアミノ酸残基を含むエピトープに対する)液性(抗体媒介)応答は媒介されない。
ドナーアミノ酸と標的アミノ酸がいずれかのKabat位置で異なる場合、アミノ酸は、標的の当該位置で天然に存在することが判明しているアミノ酸から選択されねばならない。前記は可能な多数の配列につながり、それらのいずれも本発明の好ましい配列又は少なくとも適切な配列に通じ得る。ドナー免疫グロブリンのフレームワーク領域に存在するアミノ酸残基の置換が必要とされる場合、典型的には、前記置換は保存的置換の原則を用いて実施される。典型的には、保存的置換は、該アミノ酸の相同アミノ酸残基(すなわち類似の特徴又は特性を共有する残基)による入れ替えを必要とする。そのような入れ替えは相同置換として知られよう。
置換されるアミノ酸を保存的アミノ酸で入れ替えることができるか否かを決定するとき、評価は、典型的には例えば以下の複数の要素から構成され得る(ただしこれらに限定されない):(a)置換エリアのポリペプチド骨格の構造(例えばシート又はヘリックス構造)、(b)該分子の標的部位における荷電又は疎水性、及び/又は(c)側鎖の大きさ。ある残基を共通の特徴(例えば類似の側鎖又は類似の荷電若しくは疎水性)を有する残基で置換できるならば、そのような残基は代用物として好ましい。
対応する位置に存在する標的種免疫グロブリン残基のプールに存在しないドナー免疫グロブリン由来残基を保存的に置換できるか否かを考えるとき、アミノ酸側鎖の特性の類似性にしたがい一緒にグループ分けされたアミノ酸を基にして、当該固有の位置のために標的種由来の対応残基のプールで相同アミノ酸が入手可能であるか否かを判定することが好ましいであろう(A. L. Lehninger, in Biochemistry, 2nd Ed., 73-75, Worth Publishers, New York, 1975)。例えば以下のグループを定めることができる:(1)無極性(non-polar):Ala(A)、VaI(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性:GIy(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、GIu(E);及び(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。したがって、あるアミノ酸残基を同じグループに存在する別のもので置換することが好ましい。
或いはまたアミノ酸は以下のようにグループ分けできる:(1)芳香族性:Phe(F)、Trp(W)、Tyr(Y);(2)非極性(apolar):Leu(L)、VaI(V)、Ile(I)、Ala(A)、Met(M);(3)脂肪族性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I);(4)酸性:Asp(D)、GIu(E);(5)塩基性:His(H)、Lys(K)、Arg(R);及び(6)極性:Gln(Q)、Asn(N)、Ser(S)、Thr(T)、Tyr(Y)。繰り返せば、あるアミノ酸残基を同じグループに存在する別のもので置換することが好ましい。
或いはまた、アミノ酸残基は、共通の側鎖特性を基準にしてグループに分けることができる:(1)疎水性:Met(M)、Ala(A)、VaI(V)、Leu(L)、Ile(I);(2)中性親水性:Cys(C)、Ser(S)、Thr(T)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);(4)塩基性:His(H)、Lys(K)、Arg(R);(5)鎖の方向性に影響する残基:Gly(G)、Pro(P);及び(6)芳香族性:Trp(W)、Tyr(Y)、Phe(F)。繰り返せば、あるアミノ酸残基を同じグループに存在する別のもので置換することが好ましいであろう。
したがって、保存的置換は、これらのクラスの1つのあるメンバーの当該同じクラスの別のメンバーのための交換(置換)を伴うであろう。ある種の実施態様では、ドナー免疫グロブリンフレームワーク領域の配列に導入されるアミノ酸残基は、標的種由来免疫グロブリンプールの当該固有の位置で明示されたコンセンサスアミノ酸である。コンセンサスアミノ酸は、該プールを構成する標的種免疫グロブリン集合物を含む免疫グロブリンの当該位置でもっとも一般的に見出されるアミノ酸である。
典型的には、フレームワーク領域残基の置換は、該免疫グロブリンとその目的のリガンドとの結合の低下をもたらさない。特に、結合親和性又は特異性の低下は存在しない。
ある種の実施態様では、本方法はさらに、ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖の定常ドメインの少なくとも1つ、好ましくは全部を、標的種由来の免疫グロブリンに由来する同等の重鎖及び/又は軽鎖で入れ替える工程を含む。ある種の実施態様では、標的種由来定常ドメインは、免疫グロブリンG(IgG)抗体サブタイプである。
ある種の実施態様では、フレームワーク領域のアミノ酸残基評価に用いられるドナー免疫グロブリンのアミノ酸配列プールは、標的種由来の(例えばカッパ又はラムダ軽鎖由来の)免疫グロブリンサブタイプに限定することができる。
理論に拘束されないが、本方法は、ドナー免疫グロブリンフレームワーク領域配列に対してほんの最低限の数の必須変更(置換)が実施され、一方で生成フレームワーク領域配列のアミノ酸の全てと標的種のものとのアラインメントが担保されたものを生じる。これにより、結果として、ドナー免疫グロブリンから標的対象動物に投与したときに完全に又は実質的に非免疫原性となる抗体へと該抗体を改変することにより生じる構造的変化は最低限になる。本方法は、最も少ない数の可能な残基置換が関与するゆえに、本方法は、節約必須変換(Parsimonious Essential Translation(PET))と称することができる。外延すれば、ドナー免疫グロブリンを標的動物種に投与したときに非免疫原性にするために前記ドナー免疫グロブリンに実施される変更は、ペチセーション(PETisation)と称することができ、さらに生成抗体はPET化されたと称することができる。このプロセスは、例えば、現存のヒト、マウス又はラット抗体をそれらに対して中和抗体が生じることなく別の標的種、特に動物種(例えばヒト、イヌ、ネコ又はウマ)に投与できるように、前記の種特化をもたらすことができる。
ある種の実施態様では、標的種は哺乳動物の標的種である。ある実施態様では、標的哺乳動物種は、動物、特にコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコ又はウマであるが、ただしこれらに限定されない)又は家畜動物である。さらに別の実施態様では、哺乳動物標的種はヒトである。
ある種の実施態様では、標的エピトープは神経成長因子(NGF)又は腫瘍壊死因子(TNF)である。
多様なさらに別の実施態様では、本発明の前述の特徴の方法によって提供される免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントを含む組成物が提供される。該組成物はさらに、少なくとも1つの医薬的に許容できる希釈剤又は担体を含むことができる。さらにまた別の特徴は、本発明の前述の特徴の方法によって製造される免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントの疾患治療用又は予防用医薬の調製における使用を提供する。多様なさらに別の特徴では、本発明は、前述の免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントの治療及び診断方法における使用に及ぶ。本発明はさらに、疾患の治療又は予防で使用される、請求項1から15のいずれか1項にしたがって製造される免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントに及ぶ。
本発明のさらにまた別の特徴は、本明細書に規定の任意の方法にしたがって製造された免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントの疾患治療又は予防のための対象動物(特に哺乳動物対象)への投与に関する。
脱免疫
多様なさらに別の特徴では、本発明は、治療用免疫グロブリンを特定の種に投与したときに非免疫原性にするために前記を改変することに及ぶ。前記改変は、キメラ抗体、CDR移植技術によって製造された抗体、又はヒト化抗体に適用できる。
さらに別の特徴では、本発明はしたがって、治療用免疫グロブリンを改変して前記を非免疫原性にする方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:
−治療用ドナー免疫グロブリンを提供する工程、
−該ドナー免疫グロブリンの軽鎖及び/又は重鎖の可変ドメインの少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列を決定する工程、
−該免疫グロブリンが投与される標的種に由来する免疫グロブリンの軽鎖及び/又は重鎖の可変ドメインの少なくとも1つのフレームワーク領域に関係するアミノ酸配列プールを入手する工程、
−ドナー免疫グロブリンの軽鎖及び/又は重鎖の少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列のアミノ酸残基を、該アミノ酸配列プール中の同じKabat番号を有するアミノ酸残基と比較する工程、及び
−ドナー免疫グロブリンの軽鎖及び/又は重鎖の少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列の任意のアミノ酸残基を、該アミノ酸配列プール中の同じKabat番号を有するアミノ酸残基で置換する工程であって、ここでドナー免疫グロブリンの軽鎖及び/又は重鎖の少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列に存在するアミノ酸残基が該アミノ酸配列プール中の同じKabat番号を有するアミノ酸残基と相違する、前記工程。
典型的には、本方法論を用いる再ヒト化治療用免疫グロブリンは、未改変治療用ドナー抗体よりも免疫原性が低い免疫グロブリンを生じる。さらにまた該改変抗体はその結合親和性及び特異性を保持する。したがって、この生成改変抗体は治療的により有用である。
ある種の実施態様では、生成PET化抗体又はその結合フラグメントは、1x10-8以下の結合親和性KDで所望の標的エピトープと結合する。
本発明のさらにまた別の特徴は、免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインで使用するために少なくとも1つのフレームワーク領域を提供することに及ぶ。本発明のこの特徴の方法は、あるプロセス(例えば抗体のヒト化)で、又はヒト以外の種に投与する前にある抗体を改変して脱免疫するために用いられる同等なプロセスで特に有用であり得る。本発明のこの特徴によって提供されるフレームワーク領域は、ヒト化又は同様な種特化プロセスをまさに実施しようとしている抗体に導入するか、或いは以前に種特化を実施した抗体に後から導入することができる。具体的には、該改変フレームワーク領域は、あるプロセス(例えばCDR移植)のために改変を実施したか又はまさに実施しようとしている抗体に、或いはキメラ抗体(ここで抗体のFab領域は第一の種に由来し、該抗体のFc領域は第二の種に由来する)である抗体に導入することができる。
したがってさらに別のこの特徴は、ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインの少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列を改変する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:
−ドナー免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域配列のアミノ酸配列を決定する工程、
−該ドナー免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域の各位置の固有のアミノ酸残基を、改変された供給源免疫グロブリンが投与される種に由来する抗体で見出されるフレームワーク領域配列の対応するアミノ酸の位置で見出されるアミノ酸残基のプールを含むデータベースと一残基ずつ比較する工程、
−ドナー免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域の固有の位置に存在するが、対応するアミノ酸の位置で見出されるアミノ酸残基のプールには存在しない任意のアミノ酸残基を、対応するアミノ酸の位置に見出されるアミノ酸残基のプールに存在するアミノ酸残基で置換する工程、及び
−ドナー免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域の固有の位置に存在し、さらにまた対応するアミノ酸の位置に見出されるアミノ酸残基のプールにも存在するアミノ酸残基はいずれも変更しないで放置する工程。
典型的には、入れ替えられるアミノ酸はいずれも、前記入れ替えられるアミノ酸ともっとも相同であるアミノ酸残基で置換される。上記で規定したように、アミノ酸残基の相同グループは公知である。相同アミノ酸残基が該プールに存在しない場合、アミノ酸残基は、当該固有の位置でもっとも頻繁に出現するアミノ酸残基(いわゆるコンセンサスアミノ酸残基)で置換することができる。
ある種の実施態様では、本方法は改変抗体を製造する方法に及び、前記方法は、改変フレームワーク領域配列を相補性決定領域(CDR)及び重鎖及び/又は軽鎖定常ドメインと一緒に発現させ、それによって前記改変フレームワーク領域配列を含むヘテロテトラマー抗体を製造する工程を含む。
本発明のある種のさらに別の特徴は、改変フレームワーク領域配列のアミノ酸配列を発現するオリゴヌクレオチドの提供及び宿主細胞での前記の発現に及ぶ。
本発明のさらにまた別の特徴は、非免疫原性フレームワーク領域配列を有する治療用抗体を製造する方法に関し、前記方法は以下の工程を含む:
−フレームワーク領域のアミノ酸配列を、治療用抗体が投与される種に由来する複数の免疫グロブリンの対応するアミノ酸の位置に存在する対応アミノ酸残基のプールと比較して固有の位置で相違する1つ以上のアミノ酸残基を同定することによって、置換されるべきフレームワーク領域のアミノ酸残基を同定する工程、及び
−1つ以上の該同定アミノ酸残基を、対応するアミノ酸残基のプールに存在するアミノ酸残基で置換する工程。
ある種の実施態様では、フレームワーク領域のアミノ酸残基が、当該抗体が投与される種の対応する位置のアミノ酸残基プールに存在するか否かの同定は、当該配列とプール残基のアラインメントの実施によって達成される。本質的には、置換される残基は生成された改変抗体の結合活性を低下させない。すなわち、置換されるアミノ酸は、当該抗体の結合特性に有意な影響を及ぼすことなく異なるアミノ酸のために置換できる。前記は、主として当該アミノ酸を相同アミノ酸(すなわち類似又は関連する特徴(例えば標的部位における分子のサイズ、極性/荷電若しくは疎水性、又は側鎖の大きさ)を有するアミノ酸)で置換することによって達成される。或いは、残基は、標的種の対応する位置に存在するコンセンサス残基で置換できる。
置換される(又は置換可能な)アミノ酸残基は、変種寛容位置として知られ得る位置に存在する。すなわち、別の残基のための当該残基の置換は、フレームワーク領域間に介在する相補性決定領域の結合特異性を変化させない。そのような置換は、1つの種のフレームワーク領域の特定の位置に存在するある残基は第二の種のフレームワーク領域配列の対応する位置には存在しないことがあるという事実のために必要であると考えられる。したがって、該アミノ酸は、当該アミノ酸残基がフレームワーク領域配列の当該位置に通常は存在しない種の免疫系によって外来性とみなされるエピトープを形成するために、免疫誘導応答を前記に対して引き起こし得る。相同残基又は標的種に存在するコンセンサス残基で当該外部残基を置換する本方法論を用いることによって、潜在的に外来性であるエピトープを変化させ、外来性と認識されないエピトープを形成することができる。したがって、抗体のフレームワーク領域からそのようなエピトープを全て除去することによって、該抗体が最初に得られた種とは異なる種である対象動物に投与したとき、該抗体の当該部分に対して液性応答が生じるのを防ぐことができる。
遍在種特異的フレームワーク領域の製造
本発明者らはさらに、相補性決定領域(CDR)と結合して非免疫原性PET化重鎖及び軽鎖可変ドメインを形成することができる一連のフレームワーク領域(FR)を規定した。重鎖及び軽鎖ドメインの各々は4つのフレームワーク領域を有し、前記はFR1、FR2、FR3及びFR4と称される。この方法論を利用して、任意の抗体(免疫グロブリン)を脱免疫し所望の種に投与することができる。しかしながら単に実例を示すために、下記の例では、ヒト系、イヌ系、ネコ系及びウマ系抗体のそのようなフレームワーク領域の製造及び使用が例示されるであろう。
抗体構造:
抗体分子は、CDR1、CDR2及びCDR3領域並びに付随する介在フレームワーク領域を含む重鎖可変ドメインを含むことができる。重鎖可変ドメイン(VH)のCDRはVHCDRとして知られ、これらのCDRはKabat番号付与系にしたがえば以下の位置に見出される:VHCDR1−Kabat残基31−35、VHCDR2−Kabat残基50−65、VHCDR3−Kabat残基95−102(Kabat EA et al. 1991 Sequences of proteins of immunological interest, 5th edition. Bethesda: US Department of Health and Human Services)。
さらにまた、抗体はさらにCDR1、CDR2及びCDR3領域並びに付随する介在フレームワーク領域を含む軽鎖可変ドメインを含む。軽鎖可変ドメイン(VL)のCDRはVLCDRとして知られ、これらのCDRはKabatの番号付与系にしたがえば以下のアミノ酸残基位置で見出される:VLCDR1−Kabat残基24−34、VLCDR2−Kabat残基50−56、VLCDR3−Kabat残基89−97。
軽鎖又は重鎖可変ドメインは、以下の構成でCDRが介在する4つのフレームワーク領域、FR1、FR2、FR3及びFR4を含む:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。
本発明のさらにまた別の特徴は、以下を含む標的種投与用免疫グロブリンを提供する:
−標的種の免疫グロブリンに由来する軽鎖及び重鎖定常ドメイン、
−ドナー免疫グロブリンに由来する相補性決定領域(CDR)(ここで該ドナー免疫グロブリンは標的種に存在するリガンドと特異的に結合する)、及び
−ドナー免疫グロブリンに由来するフレームワーク領域(ここで標的種の任意の免疫グロブリンの対応する位置にもまた存在しないいずれのアミノ酸も、標的種の対応する位置で見出されるアミノ酸で置換される)。
典型的には、アミノ酸置換は抗体のCDR領域に対しては実施されない。さらにまた、ある種の実施態様では、フレームワーク領域は、標的種由来の残基で置換された、7つを超えない連続アミノ酸残基を含む。さらにまた、ある種の実施態様では、フレームワーク領域は、標的種由来の残基で置換された、5つを超えない連続アミノ酸残基を含む。さらにまた、ある種の実施態様では、フレームワーク領域は、標的種由来の残基で置換された、3つを超えない連続アミノ酸残基を含む。
さらにまた、ある種の実施態様では、ドナー免疫グロブリンフレームワーク領域(重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4並びに軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4)の10アミノ酸を超えない残基が、標的種由来の残基で置換される。さらにまた、ある種の実施態様では、ドナー免疫グロブリンフレームワーク領域(重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4並びに軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4)の7アミノ酸を超えない残基が、標的種由来の残基で置換される。さらにまた、ある種の実施態様では、ドナー免疫グロブリンフレームワーク領域(重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4並びに軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4)の5アミノ酸を超えない残基が、標的種由来の残基で置換される。
ある種の実施態様では、標的種は哺乳動物種である。特に標的種はヒト、イヌ、ネコ又はウマであり得る。
したがって、免疫グロブリンが標的種としてイヌに投与される実施態様では、該免疫グロブリンは、イヌの1つの抗体又は複数抗体に由来する定常ドメイン領域を含み、さらにドナー免疫グロブリンフレームワーク領域における置換残基は、対応するイヌフレームワーク領域のアミノ酸残基に由来する。
免疫グロブリンが標的種としてネコに投与される実施態様では、該免疫グロブリンは、ネコの1つの抗体又は複数抗体に由来する定常ドメイン領域を含み、さらにドナー免疫グロブリンフレームワーク領域における置換残基は、対応するネコフレームワーク領域のアミノ酸残基に由来する。
免疫グロブリンが標的種としてウマに投与される実施態様では、該免疫グロブリンは、ウマの1つの抗体又は複数抗体に由来する定常ドメイン領域を含み、さらにドナー免疫グロブリンフレームワーク領域における置換残基は、対応するウマフレームワーク領域のアミノ酸残基に由来する。
免疫グロブリンが標的種としてヒトに投与される実施態様では、該免疫グロブリンは、ヒトの1つの抗体又は複数抗体に由来する定常ドメイン領域を含み、さらにドナー免疫グロブリンフレームワーク領域における置換残基は、対応するヒトフレームワーク領域のアミノ酸残基に由来する。
多様なさらに別の実施態様では、本発明の前述の特徴の免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントを含む組成物を提供する。該組成物は、さらに少なくとも1つの医薬的に許容できる希釈剤又は担体を含むことができる。さらにまた別の特徴は、疾患の治療又は予防用医薬の製造における、本発明の前述の特徴の免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。多様なさらに別の特徴では、本発明は、治療又は診断方法における前述の免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントの使用に及ぶ。本発明はさらに、疾患の治療又は予防で使用される、本発明の前述の特徴の免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントに及ぶ。
本発明のさらにまた別の特徴は、疾患の治療又は予防のために、本発明の前述の特徴の免疫グロブリン又はその抗原結合フラグメントを対象動物(特に哺乳動物対象)へ投与することに関する。
本発明のさらにまた別の特徴は、以下の工程を含む免疫グロブリンの製造方法を提供する:
−重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチドを細胞に導入する工程(ここで該ヌクレオチドは、本明細書に規定の方法にしたがって製造されたフレームワーク領域を含む軽鎖及び重鎖可変ドメインをコードする)、及び
−該ヌクレオチドを細胞で発現させ、該免疫グロブリンを製造する工程。
本発明のさらにまた別の特徴は、標的種に投与したときに実質的に非免疫原性である免疫グロブリンを製造する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:
(1)ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖フレームワーク領域の配列を、標的種の免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖フレームワーク領域配列の集合物と比較する工程、
(2)ドナー免疫グロブリンのフレームワーク領域配列の固有の位置に存在するが、標的種の免疫グロブリンフレームワーク領域配列集合物の対応する位置には存在しないいずれのアミノ酸残基も、標的種免疫グロブリンフレームワーク領域配列の集合物の対応する位置に存在するアミノ酸残基で置換する工程、
(3)ドナー免疫グロブリン可変領域由来CDR及び該置換フレームワーク領域を含む重鎖及び/又は軽鎖可変領域を、種に適切な重鎖及び/又は軽鎖定常ドメインと一緒にコードするDNAセグメントを合成する工程、
(4)該DNAセグメントを細胞に導入する工程、及び
(5)該細胞で該DNAセグメントを発現させて該免疫グロブリンを製造する工程。
ある種の実施態様では、本方法はさらに、ドナー免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖可変領域の配列を決定する工程を含む。ある種の実施態様では、本発明はさらに該免疫グロブリンを精製する工程を含む。
ある種の実施態様では、本発明はさらに、医薬的に許容できる担体又は希釈剤中で該免疫グロブリンを処方する工程を含む。
本発明のさらに別の特徴は、ヒト神経成長因子(NGF)と特異的に結合する中和抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、ここで、該抗体又はその抗原結合フラグメントは、軽鎖可変領域(配列番号:13のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る)及び/又は重鎖可変領域(配列番号:14のアミノ酸配列又は前記に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る)を含む。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
該抗体は本発明の方法を用いて調製できる。
ある種の実施態様では、該軽鎖は、配列番号:25のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
ある種の実施態様では、該重鎖は、配列番号:24のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
本発明者らはさらに、相補性決定領域(CDR)と合体させてヒト化重鎖及び軽鎖可変ドメインを形成することができる一連のフレームワーク領域(FR)を規定した。該ヒト重鎖及び軽鎖ドメインの各々は4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4と称される)を含む。
したがって、ヒト神経成長因子(NGF)と特異的に結合することができる中和抗体又はその抗原結合フラグメントがまた提供され、ここで該抗体又はその抗原結合フラグメントは、
配列番号:60のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR1フレームワーク領域、
配列番号:61のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR2フレームワーク領域、
配列番号:62のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR3フレームワーク領域及び
配列番号:63のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR4フレームワーク領域
の少なくとも1つを含む軽鎖可変領域、及び/又は
配列番号:64のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR1フレームワーク領域、
配列番号:65のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR2フレームワーク領域、
配列番号:66のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR3フレームワーク領域及び
配列番号:67のアミノ酸配列から成るか又は前記配列を含むFR4フレームワーク領域
の少なくとも1つを含む重鎖可変領域を含む。
ある種の実施態様では、該軽鎖は軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4の全てを含み、及び/又は該重鎖は重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4の全てを含む。
ある種の実施態様では、本発明の上記の特徴の抗体又は結合フラグメントは、1x10-8以下の平衡解離定数(KD)を有する結合親和性でヒトNGFと特異的に結合する。
ある種の実施態様では、本発明の上記の特徴の抗体又は結合フラグメントは、p75又はTrkAヒトNGFレセプターと結合するヒトNGFの能力を阻害する。
好ましくは、本発明の上記の特徴の抗体又は結合フラグメントはヒトで免疫原性ではない。
典型的には、本発明の上記の特徴の抗体は、ヒト由来の免疫グロブリンに由来する軽鎖及び/又は重鎖定常ドメインを含む。
ある種の実施態様では、本発明の上記の特徴の結合フラグメントは、単鎖Fv(scFv)抗体フラグメント、Fab抗体フラグメント、Fab’抗体フラグメント及びF(ab’)2抗体フラグメントから成る群から選択される。
多様なさらに別の特徴では、本発明は、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離核酸に及ぶ。
したがって、さらにまた別の特徴は、本発明の前述の特徴のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離核酸を提供する。
ある種の実施態様では、該ポリヌクレオチドは、配列番号:13のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの軽鎖可変ドメインをコードする。
また提供されるものは、配列番号:25のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの軽鎖をコードする単離核酸である。
ある種の実施態様では、該ポリヌクレオチドは、配列番号:14のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの重鎖可変ドメインをコードする。
また提供されるものは、配列番号:24のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの重鎖をコードする単離核酸である。
ある種の実施態様では、該単離核酸はさらに、作動できるように該単離核酸と連結された1つ以上の調節配列をコードする核酸を含む。
さらに別の特徴では、本発明の重鎖及び/又は軽鎖可変ドメイン又は重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが提供される。ある種の実施態様では、該発現ベクターはさらに1つ以上の調節配列を含む。ある種の実施態様では、該ベクターはプラスミド又はレトロウイルスベクターである。
さらにまた別の特徴は、本発明の前述の特徴の発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明のさらに別の特徴は、本発明の前述の特徴のいずれかの抗体を製造する宿主細胞を提供する。
本発明のさらにまた別の特徴はヒト化NGF中和抗体を製造する方法を提供し、該方法は、本発明の前述の特徴の宿主細胞を培養し該細胞にヒト化NGF中和抗体を発現させる工程を含む。
本発明のさらにまた別の特徴は本発明のNGF中和抗体を製造する方法を提供し、該方法は、本発明の抗体の軽鎖及び/又は重鎖を発現する、本発明の前述の特徴のポリヌクレオチド/核酸又はベクターの1つ以上を適切な宿主細胞で発現させる工程、該発現ポリペプチド(1つの宿主細胞で一緒に発現されてもよく、異なる宿主細胞で別々に発現されてもよい)を回収する工程、及び抗体を単離する工程を含む。
ある種の実施態様では、本発明の抗体又は結合フラグメント及び少なくとも1つの医薬的に許容できる希釈剤又は担体が提供される。
本発明のさらにまた別の特徴は、疾患(例えば関節炎)の治療若しくは予防用医薬、又は痛み(例えば疾患に付随する痛み(例えば神経障害痛、術後痛、慢性痛、腫瘍学的痛など))の治療、予防若しくは緩和用医薬の調製における、本発明の上記特徴の抗体若しくは結合フラグメント、核酸、医薬組成物又は発現ベクターの使用を提供する。多様なさらに別の特徴では、本発明は、治療及び診断方法における、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントの使用に及ぶ。
本発明のさらにまた別の特徴は、疾患(例えば関節炎)又は痛みの治療若しくは予防のために、本発明の上記特徴の抗体若しくは結合フラグメント、核酸、医薬組成物又は発現ベクターを対象動物(特に哺乳動物対象)に投与することに関する。
ある種の実施態様では、該疾患は、神経成長因子(NGF)に対する感受性の増加によって引き起こされるか、前記感受性の増加に付随するか、又は前記感受性の増加をもたらす症状である。ある種の実施態様では、該疾患はNGFによって増殖が誘発される腫瘍(例えば骨肉腫)に関する。
ある種の実施態様では、本発明の前述の方法はさらに、本発明の抗NGF抗体の有効性を強化又は補完することができる少なくとも1つのさらに別の薬剤を共投与する工程を含む。例えば、該抗体又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの鎮痛剤、NASAID、オピオイド、コルチコステロイド、ステロイド、ヒアルロナン又はヒアルロン酸と一緒に共投与できる。
さらにまた別の特徴では、本発明の抗ヒトNGF中和モノクローナル抗体又はそのフラグメントを産生する細胞株又はその派生若しくは子孫細胞が提供される。
本発明のさらにまた別の特徴は、ヒトの痛みの治療用、又は痛みに付随する症状の治療用、又は変形性関節症、慢性関節リウマチ及び炎症に付随する痛みの治療、緩和若しくは阻止用キットを提供し、該キットは、本発明の前述の特徴のいずれかに記載の抗NGF抗体及び前記の使用のための指示を含む。
本発明のさらにまた別の特徴は、液体中の抗ヒトNGFモノクローナル抗体のin vitro、ex vivo及びin vivoでの検出用キットであって、前記抗体の濃度の決定で使用されるものを提供する。該キットは、本発明の抗体のいずれか又はその結合フラグメントを含むことができる。該キットは前記を使用するための指示を含むことができる。
本発明のさらに別の特徴は、イヌ腫瘍壊死因子(TNF)と特異的に結合することができる中和抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、ここで該抗体又は抗原結合フラグメントは、軽鎖可変領域(配列番号:71のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る)及び/又は重鎖可変領域(配列番号:16のアミノ酸配列又は前記に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る)を含む。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
該抗体は本発明の方法を用いて調製できる。典型的には、本発明の上記特徴の抗体は、イヌ由来免疫グロブリンに由来する軽鎖及び/又は重鎖定常ドメインを含む。ある種の実施態様では、該重鎖は、配列番号:18、19、20若しくは21のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
ある種の実施態様では、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントは、1x10-8以下の平衡解離定数(KD)である結合親和性でイヌTNFと特異的に結合する。好ましくは、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントはイヌで免疫原性ではない。
ある種の実施態様では、本発明の上記の特徴の結合フラグメントは、単鎖Fv(scFv)抗体フラグメント、Fab抗体フラグメント、Fab’抗体フラグメント及びF(ab’)2抗体フラグメントから成る群から選択される。
多様なさらに別の特徴では、本発明は、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離核酸に及ぶ。
したがって、さらにまた別の特徴は、本発明の前述の特徴のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離核酸を提供する。
ある種の実施態様では、該ポリヌクレオチドは、配列番号:71のアミノ酸配列又は前記に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗TNF抗体又は抗原結合フラグメントの軽鎖可変ドメインをコードする。
ある種の実施態様では、該単離核酸はさらに、作動できるように該単離核酸と連結された1つ以上の調節配列をコードする核酸を含む。さらに別の特徴では、本発明の重鎖及び/又は軽鎖可変ドメイン又は重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが提供される。ある種の実施態様では、該発現ベクターはさらに1つ以上の調節配列を含む。ある種の実施態様では、該ベクターはプラスミド又はレトロウイルスベクターである。さらにまた別の特徴は、本発明の前述の特徴の発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明のさらに別の特徴は、本発明の前述の特徴のいずれかの抗体を製造する宿主細胞を提供する。
本発明のさらにまた別の特徴はイヌ化TNF中和抗体を製造する方法を提供し、該方法は、本発明の前述の特徴の宿主細胞を培養し該細胞にイヌ化TNF中和抗体を発現させる工程を含む。
本発明のさらにまた別の特徴は本発明のTNF中和抗体を製造する方法を提供し、該方法は、本発明の抗体の軽鎖及び/又は重鎖を発現する、本発明の前述の特徴のポリヌクレオチド/核酸又はベクターの1つ以上を適切な宿主細胞で発現させる工程、該発現ポリペプチド(1つの宿主細胞で一緒に発現されるか、又は異なる宿主細胞で別々に発現され得る)を回収する工程、及び抗体を単離する工程を含む。
ある種の実施態様では、本発明の抗体又は結合フラグメント及び少なくとも1つの医薬的に許容できる希釈剤又は担体が提供される。
本発明のさらにまた別の特徴は、疾患、特にイヌTNFの発現増加又はイヌのTNF感受性増加によって引き起こされるか、前記に付随するか、又は前記をもたらす任意の症状の治療又は予防用医薬の調製における、本発明の上記特徴の抗体若しくは結合フラグメント、核酸、医薬組成物又は発現ベクターの使用を提供する。多様なさらに別の特徴では、本発明は、治療及び診断方法における、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントの使用に及ぶ。
本発明のさらにまた別の特徴は、疾患の治療若しくは予防のために、本発明の上記特徴の抗体若しくは結合フラグメント、核酸、医薬組成物又は発現ベクターをイヌに投与することに関する。
さらにまた別の特徴では、本発明の抗イヌTNF中和モノクローナル抗体又はそのフラグメントを産生する細胞株又はその派生若しくは子孫細胞が提供される。
本発明のさらに別の特徴は、イヌ神経成長因子(NGF)と特異的に結合することができる中和抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、ここで、該抗体又はその抗原結合フラグメントは、軽鎖可変領域(配列番号:1のアミノ酸配列又は前記に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る)及び/又は重鎖可変領域(配列番号:69のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る)を含む。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
該抗体は本発明の方法を用いて調製できる。
ある種の実施態様では、該軽鎖は、配列番号:7のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
ある種の実施態様では、該重鎖は、配列番号:70のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、前記配列から成るか又は本質的に前記配列から成る。ある種の実施態様では、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さに及ぶ。
ある種の実施態様では、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントは、1x10-8以下の平衡解離定数(KD)を有する結合親和性でイヌNGFと特異的に結合する。ある種の実施態様では、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントは、p75又はTrkAイヌNGFレセプターと結合するイヌNGFの能力を阻害する。
好ましくは、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントはイヌにおいて免疫原性ではない。
典型的には、本発明の上記特徴の抗体は、イヌ由来の免疫グロブリンに由来する軽鎖及び/又は重鎖定常ドメインを含む。
ある種の実施態様では、本発明の上記特徴の結合フラグメントは、単鎖Fv(scFv)抗体フラグメント、Fab抗体フラグメント、Fab’抗体フラグメント及びF(ab')2抗体フラグメントから成る群から選択される。
多様なさらに別の特徴では、本発明は、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離核酸に及ぶ。
したがって、さらにまた別の特徴は、本発明の前述の特徴のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離核酸を提供する。
ある種の実施態様では、該ポリヌクレオチドは、配列番号:1のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの軽鎖可変ドメインをコードする。
また提供されるものは、配列番号:7のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの軽鎖をコードする単離核酸である。
ある種の実施態様では、該ポリヌクレオチドは、配列番号:69のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの重鎖可変ドメインをコードする。
また提供されるものは、配列番号:70のアミノ酸配列又は前記配列に対して少なくとも85%、90%、95%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、抗NGF抗体又は抗原結合フラグメントの重鎖をコードする単離核酸である。
ある種の実施態様では、該単離核酸はさらに、作動できるように該単離核酸と連結された1つ以上の調節配列をコードする核酸を含む。
さらに別の特徴では、本発明の重鎖及び/又は軽鎖可変ドメイン又は重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが提供される。ある種の実施態様では、該発現ベクターはさらに1つ以上の調節配列を含む。ある種の実施態様では、該ベクターはプラスミド又はレトロウイルスベクターである。
さらにまた別の特徴は、本発明の前述の特徴の発現ベクターを取り込んでいる宿主細胞を提供する。本発明のさらに別の特徴は、本発明の前述の特徴のいずれかの抗体を製造する宿主細胞を提供する。
本発明のさらにまた別の特徴はイヌ化NGF中和抗体を製造する方法を提供し、該方法は、本発明の前述の特徴の宿主細胞を培養し該細胞にイヌ化NGF中和抗体を発現させる工程を含む。
本発明のさらにまた別の特徴は本発明のNGF中和抗体を製造する方法を提供し、該方法は、本発明の抗体の軽鎖及び/又は重鎖を発現する、本発明の前述の特徴のポリヌクレオチド/核酸又はベクターの1つ以上を適切な宿主細胞で発現させる工程、該発現ポリペプチド(1つの宿主細胞で一緒に発現されてもよく、又は異なる宿主細胞で別々に発現されてもよい)を回収する工程、及び抗体を単離する工程を含む。
ある種の実施態様では、本発明の抗体又は結合フラグメント及び少なくとも1つの医薬的に許容できる希釈剤又は担体が提供される。
本発明のさらにまた別の特徴は、イヌの疾患(例えば関節炎)の治療若しくは予防用医薬、又は痛み(例えば疾患に付随する痛み(例えば神経障害痛、術後痛、慢性痛、腫瘍学的痛など))の治療、予防若しくは緩和用医薬の調製における、本発明の上記特徴の抗体若しくは結合フラグメント、核酸、医薬組成物又は発現ベクターの使用を提供する。多様なさらに別の特徴では、本発明は、治療及び診断方法における、本発明の上記特徴の抗体又は結合フラグメントの使用に及ぶ。
本発明のさらにまた別の特徴は、疾患(例えば関節炎)又は痛みの治療若しくは予防のために、本発明の上記特徴の抗体若しくは結合フラグメント、核酸、医薬組成物又は発現ベクターをイヌに投与することに関する。
ある種の実施態様では、該疾患は、神経成長因子(NGF)に対する感受性の増加によって引き起こされるか、前記に付随するか、又は前記をもたらす症状である。ある種の実施態様では、該疾患はNGFによって増殖が誘発される腫瘍(例えば骨肉腫)に関する。
ある種の実施態様では、本発明の前述の方法はさらに、本発明の抗NGF抗体の有効性を強化又は補完することができる少なくとも1つのさらに別の薬剤を共投与する工程を含む。例えば、該抗体又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの鎮痛剤、NASAID、オピオイド、コルチコステロイド、ステロイド、ヒアルロナン又はヒアルロン酸と一緒に共投与できる。
さらにまた別の特徴では、本発明の抗イヌNGF中和モノクローナル抗体又はそのフラグメントを産生する細胞株又はその派生若しくは子孫細胞が提供される。
本発明のさらにまた別の特徴は、イヌの痛みの治療用、又は痛みに付随する症状の治療用、又は変形性関節症、慢性関節リウマチ及び炎症に付随する痛みの治療、緩和若しくは阻止用キットを提供し、該キットは、本発明の前述の特徴のいずれかに記載の抗NGF抗体及び前記の使用のための指示を含む。
本発明のさらにまた別の特徴は、液体中の抗イヌNGFモノクローナル抗体のin vitro、ex vivo及びin vivoでの検出用キットであって、前記抗体の濃度の決定で使用されるものを提供する。該キットは、本発明の抗体のいずれか又はその結合フラグメントを含むことができる。該キットは前記を使用するための指示を含むことができる。
ラットαD11抗体の軽鎖のフレームワーク領域配列FR1からFR4とイヌ、ネコ及びウマの種特異型とのアラインメントを示す(配列番号:28から43)。 ラットαD11抗体の重鎖のフレームワーク領域配列FR1からFR4とイヌ、ネコ及びウマの種特異型とのアラインメントを示す(配列番号:44から59)。 αD11抗NGF MAbのイヌ型の重鎖(配列番号:2)及び軽鎖(配列番号:1)可変ドメインのアミノ酸配列、並びに完全な軽鎖(配列番号:7)及び重鎖(配列番号:8)のアミノ酸配列を示す。 αD11抗NGF MAbのネコ型の重鎖(配列番号:4)及び軽鎖(配列番号:3)可変ドメインのアミノ酸配列、並びに完全な軽鎖(配列番号:9)及び重鎖(配列番号:10)のアミノ酸配列を示す。 αD11抗NGF MAbのウマ型の重鎖(配列番号:6)及び軽鎖(配列番号:5)可変ドメインのアミノ酸配列、並びに完全な軽鎖(配列番号:11)及び重鎖(配列番号:12)のアミノ酸配列を示す。 αD11 MAbのイヌ、ネコ及びウマの種特化型の発現を示すゲルを示す。 図7Aは、発現させて精製したイヌNGFに対するイヌMAbは生物学的に活性であることを示すグラフである。 図7Bは、発現させて精製したネコNGFに対するネコMAbは生物学的に活性であることを示すグラフである。 図7Cは、発現させて精製したウマNGFに対するウマMAbは生物学的に活性であることを示すグラフである。図7Dは、イヌ、ネコ及びウマMAbのNGF生物学的活性の中和能力を比較するグラフである。 図7Dは、イヌ、ネコ及びウマMAbのNGF生物学的活性の中和能力を比較するグラフである。 図8Aは、ラットαD11抗体の公知のヒト化型(Pavone et al, WO06/131951)とラットαD11の新規なヒト化変種(New Hu−配列番号:60−63)との間の軽鎖フレームワーク領域改変比較を示すアミノ酸アラインメントである。 図8Bは、ラットαD11抗体の公知のヒト化型(Pavone et al, WO06/131951)とラットαD11の新規なヒト化変種(New Hu−配列番号:64−67)との間の重鎖フレームワーク領域改変比較を示すアミノ酸アラインメントである。 図9Aは、図8の新規なヒト化アルファD11抗体の軽鎖(配列番号:13)及び重鎖(配列番号:14)可変ドメインのアミノ酸配列を示す(CDRには下線が付されている)。 図9Bは、図9Aに示す軽鎖及び重鎖可変ドメインを用いて設計した完全な重鎖及び軽鎖(配列番号:24及び25)を示す。 図9Cは、図9Bの配列から作製した抗体をCDR移植によって設計した抗体(Pavoneと共同研究者が以前に記載)と比較するELISAアッセイを示す。 図9Dは、図9Cで用いたアルファD11モノクローナル抗体の2つのヒト化変種によるNGFのTF-1細胞増殖の阻害を示す。 ヒトMAb D2E7(Salfield et al., 米国特許6,090,382号))を土台にしたイヌ化抗TNF抗体の軽鎖(配列番号:15)及び重鎖(配列番号:16)可変ドメインのアミノ酸配列を示す。 イヌ化抗TNF抗体のカッパ軽鎖アミノ酸配列(配列番号:17)を示す。 イヌ化抗TNF抗体の4つのサブタイプ(重鎖A、B、C及びD型)の重鎖アミノ酸配列を示す。 ヒト-ネコキメラ抗TNF抗体の完全な軽鎖(配列番号:22)及び重鎖(配列番号:23)のアミノ酸配列を示す。 図14Aは、一緒に発現させたイヌ化(Ca)及びキメラ(Ch)抗TNF抗体のプロテインAによる精製及びSDS-PAGEの分析の結果を示し、一方、14Bは、発現させた組換えタンパク質とイヌTNF-アルファとの結合を示すELISAの結果を示す。5μg/mLから0.05μg/mLの種々の抗体希釈による結果が示されている。 NF-kB-EGFPレポーター構築物pTRH1をトランスフェクトした293-HEK細胞を用いたイヌTNF生物活性の阻害を示す。これらの細胞は蛍光によりイヌTNFへの応答を示す。イヌ化(図15A)及びキメラ(図15B)のMAbの両方が、図15Cで定量するとおり、TNF誘発蛍光を等しく良好に阻害した。 NF-kB-EGFPレポーター構築物pTRH1をトランスフェクトした293-HEK細胞を用いたイヌTNF生物活性の阻害を示す。これらの細胞は蛍光によりイヌTNFへの応答を示す。イヌ化(図15A)及びキメラ(図15B)のMAbの両方が、図15Cで定量するとおり、TNF誘発蛍光を等しく良好に阻害した。 抗TNF MAbクローン148を土台にしたさらに別のイヌ化MAb(CHO細胞で発現させプロテインAクロマトグラフィーを用いて精製)との比較を示す(パネルA、左レーン)。このMAbをヒトTNF(パネルB)及びイヌTNF(パネルC)との結合について試験し、図14のイヌ化(Ca)及びキメラ(Ch)D2E7系MAbと比較した(バックグラウンドの陰性コントロール結合は矢印で示されている)。 イヌ化MAb148の重鎖(配列番号:26−ca148-HCB)及び軽鎖(配列番号:27−ca148-kLC)を示す。 本発明の方法によって調製した抗イヌNGFモノクローナル抗体はイヌで炎症痛を軽減することを示す。
本発明の詳細な説明
本発明は、抗体が由来した種と異なる種に投与したときに低い免疫原性を示し、一方、標的リガンドに対する該抗体の結合親和性、アビジチー又は特異性は維持されている(すなわち低下していない)ドナー抗体の変種を設計又は作製する新規な方法に及ぶ。特に、該抗体又は抗体の結合フラグメントのフレームワーク領域の配列を判定し、さらに改変して該抗体が投与されるべき種に由来する抗体のプールの対応する位置で見出されない残基を除去する。
特に、本発明の方法は、ドナー(親)抗体のフレームワークが目的のレシピエントに最適に適合するように、前記フレームワークを改変する(ここで目的のレシピエントは該ドナー以外の種である)。
これまで当業界で抗体を脱免疫するためにもっとも一般的に用いられたアプローチは、レシピエント種の生殖系列配列から適合するフレームワークを選別し、このフレームワークにCDR領域を移植するものであった。このアプローチの問題は、選別したフレームワークは該CDRに対して稀にしか完全なマッチングを示さず、結果として目的の標的エピトープに対する結合親和性は低下する。その後アフィニティ成熟が必要とされるが、前記はアミノ酸の導入に帰結しこれらアミノ酸はそれらが導入される位置においてときに外来性である。前記を解決するのが本発明の方法であり、本方法では、ドナーフレームワークの改変は、あるアミノ酸が固有の位置でレシピエントにとって外来性である場所でのみ行われる。この入れ替えは、本発明の部分としてまとめた選択肢リストから選択される。結果として(それは本発明の核心である)、ドナーフレームワークの構造的な改善は本質的に存在せず、したがってCDRの立体構造のゆがみも本質的に存在しないが、同時に該フレームワーク内に“非自己”のアミノ酸も存在せず、生成された免疫グロブリンは該標的種で外来性であるフレームワークエピトープを欠く。本方法論を用いて、任意の所望の種に投与するために免疫グロブリンを改変することができる。
今日まででもっとも広範囲の免疫グロブリン種の研究として、Glanvilleと共同研究者ら(2009)は、654人のヒトドナーのナイーブIgMから増幅させたほぼ100,000の重鎖及び軽鎖cDNAのアミノ酸組成を調査した。それら配列の95%が各々30もの変異により生殖細胞系列と異なっていた。CDR1及び2(前記は体細胞変異を介してのみ変異する)は、その時点の生殖細胞系列DNAとはわずかに17%だけ非変異であることが示され、CDR1及び2の配列の78%が1から6アミノ酸の相違を有していた。前記の調査には、非CDRフレームワーク残基の変異(本明細書に示す表に記載されている)の記載はなかった。体細胞の超変異誘導は誤りがちDNA複製機構よるものと仮定すれば、変異率それ自体は、CDR1又は2とフレームワーク配列の残余部について観察される変異率との間で相違があるとは考えられず、さらにまた、免疫応答が成熟する間に抗原経験レパートリーにおいて、体細胞の超変異誘導に続く重大な二次的選別がフレームワーク領域における更なるアミノ酸多様性を許容するのであろう。これらの理由から、本明細書に記載したヒト、イヌ、ウマ及びネコIgG配列の集合物で観察される多様性は、循環IgG配列の典型例であると考えられる。驚くべきことに、体細胞超変異誘導後におけるそれぞれの種の免疫グロブリンの相同な“Kabat”フレームワーク位置でコードされるアミノ酸の間には相当なオーバーラップが存在し、このことは、結果として、本発明の方法にしたがって1つの種から別の種へと変換するために必要な変更を減少させる。
本発明及びその後の広範囲の実験の例として、本発明者らはD2E7抗ヒトTNF抗体及びαD11ラット抗マウスNGF抗体を取り上げ(前記抗体がイヌTNFアルファ又はイヌNGFと結合することは知られてなかった)、驚くべきことであるが、イヌでの使用に適切な非免疫原性抗体を製造するための基礎としてこれらを用いた。得られた非免疫原性抗体(前記は標準的なCDR移植技術を用いて生成されていない)は、それぞれイヌTNF及びNGFに対し高い親和性結合を提示することが示されている。さらにまた、該抗体は、当該フレームワーク及び定常領域がイヌIgG分子に存在する残基のみを取り込むように設計されてあり、したがって、イヌに投与されたときそれに対して異種抗体が産生されることは考えられない。したがって、本発明のイヌ化抗体は、イヌの疾患の治療のための長期投与に適切である。同様に、本発明のネコ化、ヒト化及びウマ化NGF抗体はそれぞれネコ、ヒト及びウマの疾患の治療のための長期投与に適切である。
本発明者らが用いた本発明の抗体のための重鎖及び軽鎖可変ドメインを作出するプロセスは、標的(例えばイヌ)にとって当該位置で外来性であることが判明している特定のドナーアミノ酸残基を、(本発明者らの分析を基にして)CDR領域の立体構造を維持ししたがって結合特異性及びアビジチーを維持するが、免疫原性エピトープ(前記エピトープは、もし未改変形で該標的に投与されると該抗体に対して中和抗体の生成をもたらし得る)の存在を低下させる標的(例えばイヌ)残基で入れ替える工程を生じる。具体的には、本発明の抗体を調製する方法(ペチセーションとして知られている)は、ドナー抗体のフレームワーク領域の配列を標的(例えばイヌ)由来の1つの抗体又は抗体プールと比較することによって、標的(例えばイヌ)への投与に対する適切性についてドナー(例えばヒト)抗体のフレームワーク領域の配列を判定する工程を含む。該比較はドナー配列と該標的配列のただ1つのメンバーとの間で実施できるが、標的配列のプールとの比較が好ましいことは明白であろう。なぜならば、そのような比較は標的種のそれぞれのKabat位置における天然に存在する選択肢の数を増やすからである。これは、ドナーと標的との間の“マッチング”の機会を増やすだけでなく、マッチングが存在しない場合に入れ替えの選択肢もまた増やすであろう。結果として、ドナーと可能な限り近い特徴を有する入れ替えを選択することができる。ドナー配列とイヌ配列がいずれかのKabat番号又は対応する位置で相違する場合、ドナー配列は、標的(例えばイヌ)の当該位置に天然に存在することが判明しているアミノ酸残基で問題のアミノ酸が置換されるように改変される。
ドナー免疫グロブリンフレームワーク領域に存在するアミノ酸残基の置換が必要な場合、典型的には、前記置換は保存的置換の原則を用いて実施され、ここでアミノ酸は、標的(例えばイヌ)の当該Kabat位置に天然に存在し、かつドナー配列の置換されるアミノ酸に対してサイズ、電荷及び疎水性が可能な限り近縁であるアミノ酸残基で入れ替えられる。その意図は、ドナー抗体の三次元構造の混乱若しくは破壊を全く引き起こさないか又は少なくとも最小限にする入れ替えを選択することである。ある種の状況では、明白な選択は存在せず、それぞれの選択が長所及び短所を有するであろう。最終的な決定には、三次元モデリング又は多様な代替配列の発現すら要求されるかもしれない。しかしながら、おおむね明らかな優先性が利用可能であろう。この方法の結果として、ドナー配列の変更は、当該残基が標的で外来性であるときにのみ実施され、入れ替えアミノ酸は入れ替えられるものと可能な限り近縁である。したがって、外来性であるエピトープの創出は回避されるが、全体的な三次元構造は保存され、結果として親和性及び特異性もまた保存される。本発明のこの特徴の例示的な例には以下が含まれる:
−軽鎖配列:配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17、25、27及び71;
−重鎖配列:配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、19、20、21、24、26、68、69及び70。
抗体の製造
本発明の抗体及び結合メンバーは化学的合成によって全体として又は部分として製造できる。例えば、本発明の抗体及び結合メンバーは、当業者に周知の技術(例えば標準的な液体ペプチド合成又は固相ペプチド合成の方法)によって調製できる。或いはまた、該抗体及び結合メンバーは、液相ペプチド合成技術を用いて、又はさらに固相、液相及び溶液化学の組合せによって調製できる。
本発明はさらに、本発明の抗体を含む少なくとも1つのアミノ酸をコードする核酸を、所望のペプチド又はポリペプチドをコードし得る適切な発現系で発現させることによって本発明の抗体又は結合メンバーを製造することに及ぶ。例えば、軽鎖アミノ酸をコードする第一の核酸及び重鎖アミノ酸をコードする第二の核酸を発現させ、本発明の抗体を提供することができる。
したがって、本発明のある種のさらに別の特徴では、本発明の抗体又は結合メンバーを形成するアミノ酸配列をコードする核酸が提供される。
典型的には、本発明の抗体又は結合メンバーを形成するアミノ酸配列をコードする核酸は、単離形若しくは精製形で提供されるか、又は天然では当該核酸に付随し得る物質を実質的に含まない(ただし例外として1つ以上の調節配列を有する)形態で提供され得る。本発明の抗体又は結合メンバーを発現する核酸は全体として又は部分として合成でき、前記にはDNA、cDNA及びRNAが含まれ得るが、ただしこれらに限定されない。
本発明の抗体又は結合メンバーをコードする核酸配列は、当業者に周知の技術を用いて当業者によって容易に調製され得る。前記は、例えば以下に記載されている技術である:Sambrook et al.“Molecular Cloning”, A laboratory manual, cold Spring Harbor Laboratory Press, Volumes 1-3, 2001(ISBN-0879695773)及びAusubel et al. Short Protocols in Molecular Biology. John Wiley and Sons, 4th Edition, 1999(ISBN- 0471250929)。前記技術には(i)核酸サンプルの増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用、(ii)化学合成、又は(iii)cDNA配列の調製が含まれる。本発明の抗体又は結合メンバーをコードするDNAは当業者に公知の任意の適切な方法で生成及び使用され得る。前記方法は、コードDNAを採取し、発現されるべき部分のどちらかの側の適切な制限酵素認識部位を同定し、さらに前記部分をDNAから切り出す工程を含む。続いて、前記切り出した部分を適切なプロモーターに作動できるように連結し、さらに適切な発現系(例えば市場で入手できる発現系)で発現させることができる。或いはまた、DNAの関連する部分を適切なPCRプライマーを用いることによって増幅させることができる。DNA配列の改変は位置指定変異導入を用いて実施できる。
本発明の抗体又は結合メンバーをコードする核酸配列は、上記に記載の少なくとも1つの核酸を含むプラスミド、ベクター、転写又は発現カセットの形態の構築物として提供することができる。前記構築物は、組換え宿主細胞(上記のような1つ以上の構築物を含む)内に含まれ得る。発現は、便利には適切な条件下で、適切な核酸配列を含む組換え宿主細胞を培養することによって達成できる。発現に続いて、適切な任意の技術を用いて抗体又は抗体フラグメントを単離及び/又は精製し、続いて適切に使用することができる。
多様な種々の宿主細胞でポリペプチドをクローニング及び発現させる系は良く知られている。適切な宿主細胞には、細菌、哺乳動物細胞、酵母、昆虫及びバキュロウイルス系が含まれる。異種ポリペプチドの発現に当業界で利用可能な哺乳動物細胞株には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎細胞及びNS0マウスミエローマ細胞が含まれる。一般的で好ましい細菌宿主は大腸菌(E. coli)である。抗体及び抗体フラグメントの原核細胞(例えばE. coli)での発現は当業界ではしっかりと確立されている。培養真核細胞での発現もまた、結合メンバーの製造のための選択肢として当業者は利用できる。
抗体を製造する一般的な技術を当業者は周知であり、そのような方法は、例えば以下で考察されている:Kohler and Milstein (1975) Nature 256: 495-497;米国特許4,376,110号;Harlow and Lane, Antibodies: a Laboratory Manual, (1988) Cold Spring Harbor。組換え抗体分子の調製技術は、上記の参考文献に及び例えば欧州特許0,368,684号にも記載されている。
本発明のある種の実施態様では、抗体又は結合メンバーの重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインをコードする挿入物を含む組換え核酸が利用される。規定すれば、そのような核酸は、一本鎖核酸、前記コード核酸及びその相補性核酸から成る二本鎖核酸、又はこれら相補性(一本鎖)核酸を含む。
さらにまた、抗体の重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、天然に存在する重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメイン又はその変異体をコードする真性の配列を有する、酵素的に又は化学的に合成した核酸であり得る。
本発明の抗体は、組換え手段によって、直接的に製造されるだけでなく異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても製造することができる(前記異種ポリペプチドは、好ましくはシグナル配列又は成熟タンパク質若しくはポリペプチドのN-末端に特異的な切断部位を有する他のポリペプチドである)。優先的に選択される異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識されプロセッシングされる(すなわちシグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。本来の抗体のシグナル配列を認識及びプロセッシングしない原核宿主細胞については、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp又は熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核細胞シグナル配列によって代用される。
“単離された”という用語は、本発明の抗体、又は本発明の抗体に由来する結合メンバー、又はそれらをコードするポリペプチドに関して用いられるとき、前記抗体、結合メンバー又は核酸(ポリヌクレオチド)が単離及び/又は精製された形態で提供され(すなわちそれらはそれらの天然の環境から分離されてあるか、単離されてあるか、又は精製されてある)、さらに実質的に純粋若しくは均質な形態で提供され、又は核酸の場合には必要な機能を有するポリペプチドをコードする配列以外の起源を有する核酸又は遺伝子を含まないか又は実質的に含まない状態を指す。したがって、そのような単離抗体、結合メンバー及び単離核酸は、それらに天然の状態で付随する物質(例えばそれらがその天然の環境で、又はそのような調製が組換えDNA技術によってin vitro又はin vivoで実施されるときそれらが調製される環境(例えば細胞培養)で一緒に見出される他のポリペプチド又は核酸)を含まないか又は実質的に含まないであろう。
抗体、結合メンバー及び核酸は希釈剤又はアジュバントとともに処方することができ、さらに実用的な目的のために単離された形態で提供されると考えられる。例えば、抗体及び結合メンバーは、イムノアッセイで使用するためにマイクロタイタープレートの被覆に用いられる場合にはゼラチン又は他の担体と混合され得る。また前記は、診断又は治療で用いられるときには医薬的に許容できる担体又は希釈剤と混合されるであろう。抗体又は結合メンバーは、天然の態様によって又は異種真核細胞(例えばCHO又はNSO細胞)系によってグリコシル化されていてもよく、またそれらは(例えば原核細胞での発現によって製造される場合には)グリコシル化されてなくてもよい。
本発明の抗体を含む不均質調製物もまた本発明の部分を形成する。例えば、そのような調製物は、完全長の重鎖及びC-末端リジンを欠く重鎖を有する抗体、種々の程度のグリコシル化を示す抗体、及び/又は誘導アミノ酸(例えばピログルタミン酸残基の形成のために環化されたN-末端グルタミン酸)を有する抗体の混合物であり得る。
定義
特段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語及び学術用語は、本発明の分野の業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。用語の意味及び範囲は明瞭であるべきであるが、何らかのあいまいさが存在する場合には、本明細書で提供する定義が一切の辞書又は非本質的な定義を超える先例となる。
本明細書を通して、文脈が特段に要求しないかぎり、“comprise”若しくは“include”又は変型、例えば“comprises”若しくは“comprising”、“includes”若しくは“including”は、記述された整数又は整数群を含むが、任意の他の整数又は整数群も排除しないことを暗示すると理解されよう。
本明細書で用いられるように、例えば“a”、“an”及び“the”という用語は、文脈がそうでないことを明瞭に要求しないかぎり単数及び複数の該当語を含む。したがって、例えば、“an active agent”又は“a pharmacologically active agent”と言えば、ただ1つの活性薬剤だけでなく2つ以上の組み合わされた異なる活性薬剤を含み、一方、“a carrier”と言えば、ただ1つの担体と同様に2つ以上の担体の混合物も含まれる。さらにまた、文脈がそうでないことを要求しないかぎり、単数用語は複数形を含み、複数用語は単数形を含むであろう。
“対応するアミノ酸”という用語は、2つ以上のアミノ酸配列をアラインメントさせてこれら配列間で最大の配列同一性を達成したときに、同一位置で見出される(すなわち互いに真向かいに存在する)アミノ酸残基を意味する。対応する位置のアミノ酸残基は同じKabat番号を有する。具体的には、異なる複数の抗体のフレームワーク領域のアミノ酸配列をアラインメントすることができ、或いは1つの抗体のフレームワーク領域配列のアミノ酸配列を特定の種の複数の免疫グロブリンに由来する位置特異的なフレームワーク領域アミノ酸残基のプールと比較することができる。抗体配列のアラインメント及び番号付与の方法は当業者には周知であり、以下の文献に開示され、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる(Kabat,E.A., Wu,T.T., Perry,H., Gottesman,K. and Foeller,C. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition. NIH Publication No. 91-3242)。
本明細書で用いられるように、“相補性決定領域(CDR)”という用語は、本来の免疫グロブリン結合部位の天然のFv領域の結合親和性及び特異性を共同して規定するアミノ酸配列を指し、前記はKabatら(Kabat,E.A., Wu,T.T., Perry,H., Gottesman,K. and Foeller,C. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition. NIH Publication No. 91-3242)によって正確に示された。本明細書で用いられるように、“フレームワーク領域(FR)”という用語は、CDRの間に介在するアミノ酸配列を指す。抗体のこれらの部分は、CDRを適切な向きで保持する(CDRが抗原と結合することを可能にする)ために機能する。
本明細書で用いられる“定常領域(CR)”という用語は、エフェクター機能を付与する抗体分子の部分を指す。本発明では、定常領域は典型的には標的種の定常領域を意味し、すなわち、対象動物種特化抗体の定常領域が該標的種の免疫グロブリンに由来することを意味する。例えば、イヌ抗体では、重鎖定常領域は、4つのアイソタイプ(A、B、C又はD)のいずれかから選択できる。
本明細書で用いられる“キメラ抗体”という用語は、2つの異なる抗体(典型的には異なる種である)に由来する配列を含む抗体を指す。もっとも典型的には、キメラ抗体は、ドナー種に由来する可変ドメイン(標的エピトープに特異的に結合する)及び該抗体が投与される標的種から得られた抗体に由来する定常ドメインを含む。
本明細書で用いられる“免疫原性”という用語は、レシピエントに投与されたときに、免疫応答(液性又は細胞性)を誘引するターゲティングタンパク質又は治療部分の能力の強さを指す。本発明は対象動物種特化抗体の免疫原性に関する。好ましくは、本発明の抗体は免疫原性をもたず、すなわち、標的種に投与されたときそれらに対して中和抗体が生じないということである。
本明細書で用いられる“本質的に〜から成る”又は“本質的に〜から成って”という用語は、ポリペプチドが記載されたものの他に追加される特色又は成分を有することができることを意味するが、ただしそのような追加の特色又は成分が、当該抗体又は抗体フラグメントの所望の標的に対する結合特異性を有する能力に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。すなわち、該ポリペプチドを含む抗体又は抗体フラグメントは、所望の標的と結合し、さらにその機能的活性と拮抗する該抗体又は抗体フラグメントの能力に干渉しない追加の特色又は成分を有することができる。そのような改変は、該抗体の免疫原性を低下させるためにアミノ酸配列に導入することができる。例えば、本質的に規定配列から成るポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ以上の追加された、欠失された又は置換されたアミノ酸を該配列のどちらかの末端又は両端に含むことができるが、ただしこれらのアミノ酸が、所望の標的との結合及びその生物学的機能の停止における該抗体又はフラグメントの役割に対して干渉、阻害、遮断又は妨害をもたらさないことを条件とする。同様に、本発明のアンタゴニスト抗体に寄与するポリペプチドは1つ以上の官能基で化学的に改変できるが、ただしそのような官能基が、所望の標的と結合しその機能と拮抗する該抗体又は抗体フラグメントの能力に干渉しないことを条件とする。
本発明を以下の実施例を参照しながらこれから説明するであろう(これらの実施例は例証のために提供され、本発明を限定するものと解されることを意図しない)。
ネズミ抗体のイヌ、ネコ、ウマ及びヒト抗体への変換
ヒト、ネコ、イヌ及びウマ起源の免疫グロブリンガンマ(IgG)可変ドメイン重鎖(VH)及び軽鎖(VL)タンパク質配列(公的に利用可能な発現cDNAデータベース及び刊行物に由来する)を、ClustaIWプログラムを用いて種にしたがってグループとしてアラインメントした。BLOSUMコストマトリックス並びにギャップ空白コスト10及びギャップ伸長コスト0.1を用いた。低い相同性を示す低品質配列はアラインメントから除去し、フレームワーク領域の偽似ギャップを回避した。Kabatの命名法にしたがってフレームワーク及びCDR領域を同定し、それぞれのKabatフレームワーク領域の位置のアミノ酸残基を同定し、軽鎖及び重鎖の一覧表を作成した(表1−8)。軽鎖の表はカッパ軽鎖の集合物から構築されるが、ある種から別の種へとラムダ軽鎖の変換に使用される同様な表は、本特許に記載した方法にしたがってラムダ軽鎖から構築できる。
軽鎖フレームワークのQ6、C23、W35、P44、Y83、C85及びG98位、並びの重鎖フレームワークのG8、C22、W36、R38、D86、Y90及びG106位における4種のIgG配列間の配列変換によって、出発データセットに単純なヌクレオチド配列エラーにより生じたプールアミノ酸の小さな混交が存在することが示唆される。表1−8のフレームワーク領域の各々に存在する残基のプールの組成は、それぞれの種で利用可能なデータによって決定される。分析される種のいずれかに由来する免疫グロブリンについて追加されるアミノ酸配列の決定は、これらの表に存在する任意の位置で選択される組成をさらに多様化させよう。これは、これまでのところただ1つの例のみが文献で利用可能であるネコ由来可変軽鎖に関して特に言えることである(前記については、本発明者らは、表1−8に示すように、ネコ脾臓組織のmRNA IgG軽鎖配列の縮退オリゴヌクレオチドプライムによるポリメラーゼ連鎖反応増幅によって新規なセットを創出した)。それにもかかわらず、下記に示すように、従来の表を本明細書に開示した方法論と一緒に用いて、多数の異なる種への投与に適した抗体を製造することができる。
本発明の方法を表1から8に提供した情報とともに用いて、ドナー免疫グロブリンの軽鎖及び/又は重鎖のフレームワーク領域の各位置に存在するアミノ酸残基を、標的種由来の免疫グロブリンのプールに存在する残基と比較する。ドナーフレームワーク領域の固有の位置に存在するアミノ酸残基が、標的種に由来する免疫グロブリンのプールの当該位置に存在するアミノ酸残基でないならば、該残基は当該位置に対応するプールに存在するアミノ酸残基で置換される。ドナー配列で置換される残基をどのアミノ酸で入れ替えるかを決定するとき、もっとも近縁な相同残基であるプールの残基で該ドナー残基を置換することが好ましい。相同な残基が利用できない場合は、好ましくは、標的種のコンセンサスプールアミノ酸(すなわち、当該位置でもっとも一般的に見出されるアミノ酸)を置換のために選択できる。
置換されるアミノ酸を保存アミノ酸で入れ替えることができるか否かを決定するとき、典型的には、判定は複数の要件、例えば(a)置換エリアのペプチド骨格の構造(例えばシート又はヘリックス構造)、(b)標的部位における分子の荷電又は疎水性、及び(c)側鎖の体積(ただしこれらに限定されない)により実施できる。
標的プールに存在しないドナーアミノ酸を保存的に置換できるか否かを考えるとき、好ましくは、アミノ酸側鎖の特性の類似性にしたがい一緒にグループ分けされたアミノ酸を基にして、相同なアミノ酸が存在するか否かを判定できる(A. L. Lehninger, in Biochemistry, 2nd Ed., 73-75, Worth Publishers, New York, 1975)。例えば以下のグループを定めることができる:(1)無極性:Ala(A)、VaI(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性:GIy(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、GIu(E);及び(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。
或いは、アミノ酸残基は共通の側鎖の特性を基にしたグループに分けることができる:(1)疎水性:Met、Ala、VaI、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の方向性に影響する残基:Gly、Pro;及び(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe。
保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを同じクラスの別のメンバーに交換(置換)することを必要とするであろう。
例示すれば、ラット抗マウスNGFモノクローナル抗体(αD11)から決定したドナー免疫グロブリン軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列をこれらの表を用いてアラインメントし、発現のためにPET化イヌ、ウマ及びネコ変種を設計及び構築した。それぞれの種のために選択したフレームワーク領域残基を図1に示し、ドナーラット配列との相違は図2に示す。図1及び2から分かるように、αD11のイヌ、ネコ又はウマ型の作製に必要な変更はそれぞれの種について数及びタイプが異なる。
図3、4及び5に示すそれぞれの種の定常ドメインへのC-末端の融合及びCHO細胞にトランスフェクトした適切な重鎖及び軽鎖対の共発現によって、αD11のイヌ、ネコ及びウマ型の可変ドメインを完全な抗体として発現させた(可変ドメインは配列番号:1−6、完全抗体は配列番号:7−12)。全IgGとして発現させた重鎖及び軽鎖対を含む上清をSDS-PAGEによって分析し、さらに神経増殖因子による培養TF-1細胞の増殖を阻害するそれらの能力を試験した。重鎖及び軽鎖はクーマシーブルー染色SDS-PAGEゲルで観察され(図6)、上清はNGFによって誘発されるTF-1細胞の増殖を阻害することができた(図7)。比較によれば、αD11のイヌ化変種の精製サンプルは、NGF活性阻害においてαD11のヒト化型と同じように有効で(図5a)(Pavone et al. WO2006/131951)、本明細書に記載したPET化技術は、抗体のヒト化に用いたCDR移植の標準的方法(Pavone et al.)と比較することによって抗体構造それ自体の性能の低下をもたらさないことを示した。αD11のイヌ、ネコ及びウマ型の同様な生物活性をさらに図7Dに示す。
表1:軽鎖可変ドメインFR1残基
表2:軽鎖可変ドメインFR2残基
表3:軽鎖可変ドメインFR3残基
表4:軽鎖可変ドメインFR4残基
表5:重鎖可変ドメインFR1残基
表6:重鎖可変ドメインFR2残基
表7:重鎖可変ドメインFR3残基
表8:重鎖可変ドメインFR4残基
抗ヒトNGF脱免疫抗体の製造
PET化技術はまた、ヒトでの使用のためにPavoneらのものとはまた別のヒトアミノ酸重鎖及び軽鎖配列を有する抗体を変換するために用いることができ(上記では“再ヒト化”と称した)、上記に記載した方法及び表1−8に示したヒト由来フレームワーク領域位置固有アミノ酸残基が用いられた。
この軽鎖(図8A)及び重鎖(図8B)の再ヒト化フレームワーク配列の比較は、得られたVH及びVL配列(図9A)に加えて示されている。本明細書に開示した方法を用いたときヒト化αD11 MAbに対して実施する必要がある変更(フレームワーク領域に対して3アミノ酸)は、Pavoneと共同研究者らによる標準的なCDR移植方法で用いられる変更(43アミノ酸の変更)よりもはるかに少ないことは明白である。
再ヒト化αD11抗体の可変重鎖(VH)及び軽鎖(VL)変種のタンパク質配列(New-HuαD11、図9A)は、ラットαD11由来のN-末端シグナル配列並びにそれぞれC-末端のヒトIgG4重鎖由来IgG定常ドメイン及びヒトカッパ軽鎖を用いて設計された(図9B)。これらをコードする合成遺伝子はオリゴヌクレオチドを土台にした遺伝子合成によって調製し、各々を哺乳動物の発現ベクターpcDNA3.1+でサブクローニングした。CHO細胞への共トランスフェクション及びプロテインAクロマトグラフィーによる細胞上清の精製によって精製抗体を得た。前記抗体をELISAによってNGFとの結合について試験し、Pavoneらの記載したαD11のヒト化変種(WO06/131951;CDR移植によって設計)による結合と比較した。図9Cに示したELISAの結果から分かるように、本特許のNew HuαD11変種は、Pavoneらが記載したものと区別がつかないNGFとの結合性を有する。図9Cに記載した抗体を図7Cに記載の方法によりNGF阻害について試験した。両ヒト化抗体が同等な生物活性を示した。
イヌTNFに対し結合特異性を有するイヌ抗体の製造
更なる例示として、ヒト抗体D2E7(腫瘍壊死因子と結合する)をそのイヌ変種作製の出発点として用い、本特許のPET化方法を実施した。
下記に示す表9−16は、ヒトモノクローナル抗体D2E7の軽鎖及び重鎖可変ドメインのフレームワーク領域とイヌ免疫グロブリンフレームワーク配列の各位置について明らかにしたアミノ酸残基のプール(表1−8に示されている)とのアラインメントを例示する。以前にKabatの配列位置で外来性と考えられたある種の残基(表9で*印)は今ではイヌにとって自然であると考えられ、したがって*印の位置で示された変更はもはや実施されないか、又は別のより保存的な残基が選択され得る(表10の**印)。この追加情報を基に、Ser9、Ala13及びGly16(表9で*印)を含む、3つの軽鎖の位置が変更されないであろう。軽鎖のHis42は当該位置の残基のまた別の選択であろう(表10の**印)。これらの位置におけるイヌ化D2E7フレームワーク残基の改変及びそのような改変を含む抗体は本発明の範囲内と考える。そのような抗体は、配列番号:15に示す配列を有する軽鎖可変ドメインを含むであろうが、ただし除外例として、セリン残基は9位に提供され、アラニン残基は13位に提供され、グリシン残基は16位に提供され、配列番号:15の上記の位置に示される残基の位置を占める。場合によって、配列番号:15のグルタミンの位置の42位にヒスチジン残基を提供することができる。これらの変更を示す改変配列は配列番号:71として提供される。本発明は、配列番号:71を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体及び前記抗体に由来する抗原結合フラグメントに及ぶ。
表9:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化軽鎖FR1配列
表10:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化軽鎖FR2配列
表11:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化軽鎖FR3配列
表12:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化軽鎖FR4配列
表13:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化重鎖FR1配列
表14:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化重鎖FR2配列
表15:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化重鎖FR3配列
表16:ヒト由来D2E7モノクローナル抗体のイヌ化重鎖FR4配列
図10、11及び12は、配列番号:15から配列番号:21のD2E7のイヌPET化Mab変種をコードする、可変ドメイン配列(図10)及び全抗体配列(図11(軽鎖)及び図12(重鎖))を示す。前記配列はオリゴヌクレオチド合成を用いてDNAとして構築し、上記のように発現ベクターでサブクローニングしてCHO細胞にトランスフェクトした。特に、配列番号:17(軽鎖)及び配列番号:18−21(重鎖アイソタイプA、B、C及びD)は、オリゴヌクレオチド合成を用いてDNAとして設計及び構築し、pcDNA3.1+発現ベクターでサブクローニングして種々の組合せでCHO細胞にトランスフェクトした。
配列番号:17(軽鎖)及び配列番号:19(重鎖、アイソタイプB)のアミノ酸配列を有するイヌ化抗TNFモノクローナル抗体、並びに配列番号:22のアミノ酸の軽鎖及び配列番号:23の重鎖(図13)を有するキメラ抗TNFモノクローナル抗体をコードするcDNAは、pcDNA3.1+(Invitrogen/Life technologies)でアミノ末端分泌シグナル(提示されていない)とともにサブクローニングした。イヌ化重鎖及び軽鎖配列(ca-HCB+ca-kLC)又はキメラ重鎖及び軽鎖(ch-HCB+ch-kLC)のどちらかの組合せをCHO細胞に共トランスフェクトした。得られた上清をプロテインAで精製し、SDS-PAGEで分析し、表示の抗体濃度(μg/mL)でイヌTNFアルファ(5μg/mLで被覆;R&D systems)との結合につてELISAによって試験し、抗イヌポリクローナル抗体-セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合物(Sigma A9042)を用いて検出した(図14B)。陰性コントロールは、検出用ポリクローナル抗体を単独被覆抗原に用いた。
イヌTNF活性を阻害する精製抗体の能力についてそれら抗体を試験した。蛍光によってヒトTNFに応答するTNF感受性NF-kB-EGFPレポーター細胞株(Vincr et al., Cell 131, 682, 2007)を作製するために293-HEK細胞にpTRH1をトランスフェクトして用いた。これらの細胞でイヌTNFがGFP発現を活性化することをまず初めに示し(約1ng/mL で50%最大刺激)、続いて1ng/mLのイヌTNFを阻害するそれらの能力について図14に示すイヌ抗体を試験した。
図15(A−C)に示すように、イヌ化抗体及びキメラ抗体の両方がこのアッセイでイヌTNFの強力な阻害物質であった。
これらの結果を総合すれば、本発明のイヌ化抗体及びヒト-イヌキメラ抗体はイヌTNFと結合すること、及びそれらはELISA及び阻害アッセイの両方で同等に強力であることを示し、本イヌ化プロセスは最初のD2E7抗体の完全に活性なイヌ化型を生じる事を明示した。
図16は、イヌ化及びキメラD2E7モノクローナル抗体(MAb)と抗ヒトTNF MAbクローン148を土台にしたさらに別のイヌ化抗体との比較を示す。このイヌ化抗huTNF MAb148(配列番号:26及び配列番号:27、図17)はCHO細胞で発現させ、プロテインAクロマトグラフィーを用いて精製した(パネルA、左レーン)。前記イヌ化148MAbをヒトTNF(パネルB)及びイヌTNF(パネルC)との結合について試験し、図14及び15のイヌ化(Ca)及びキメラ(Ch)D2E7系MAbと比較した(バックグラウンド陰性コントロールは矢印で示されている)。パネルB及びCから、イヌ化MAb148はヒトTNFと結合するがイヌTNFとは結合しないことが分かる。したがって、D2E7を土台にしたイヌ化及びキメラM7Ab並びに本発明の対象物は、予期に反してイヌTNFに対してヒトTNFとの結合と同等の強い結合を示すが、一方、イヌ化MAb148はヒトTNFとの結合のみを示す。したがって、イヌ化D2E7系MAbは驚くべきことに、イヌTNFによって媒介されるイヌの疾患の治療に有用である。
総合すれば、PET化ラット抗NGF MAbαD11のイヌ、ウマ、ネコ及び新規なヒト型並びにヒト抗TNF MAbのイヌPET化型は、本特許に開示する方法による可変ドメインフレームワークのPET化変換は、卓抜し再現性を有し、多数のMAbの多数種変換に応用できる。
抗イヌNGFモノクローナル抗体のin vivoにおける炎症痛緩和効果
抗体療法:
配列番号:7及び配列番号:70(イヌHCA型重鎖)を発現する発現ベクターに由来する抗イヌNGFモノクローナル抗体をCHO細胞で発現させ、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーの組合せによって精製し、リン酸緩衝食塩水に緩衝液を交換した。
炎症のイヌモデル:
全ての実験は院内倫理委員会(CRL, Ireland)の事前承認を得て実施した。ビーグル犬の一方の後肢のフットパッドにカオリンを注射し(=-1日目)、およそ24時間後に開始する自己緩解性炎症(前記はイヌを一次的に跛行に至らしめる)を発生させた。このモデルでは、カオリンに対する初期炎症応答が減弱すると、イヌの跛行は約1−2週間の期間に着実に軽減され、続いて完全に回復する。
3匹のイヌの複数のグループに、200μg/kg体重で抗イヌNGFモノクローナル抗体又はビヒクルコントロールとしてのリン酸緩衝食塩水を静脈内注射した(0日目)。これらのイヌを以下の目視スコア方法によって7日間にわたって跛行について判定した:スコア0、跛行無し(完全な体重保持);スコア1、わずかな跛行(体重保持は完全ではないが歩行は良好);スコア2、中等度の跛行(わずかに体重を保持し歩行も良好でない);スコア3、重篤な跛行(体重を保持できない)。観察者はどのイヌが注射を受けているかを知らされていない。
結果は図18に示される。跛行スコアは、賦形剤コントロールと比較して抗NGFモノクローナル抗体を投与されたイヌで注射後3日目に緩和され、抗NGFモノクローナル抗体は、賦形剤単独で観察されたものよりもイヌの痛みの緩和に効果を有することを示した。この遅延活性は、抗イヌNGFモノクローナル抗体の血中薬理動態(約30時間の緩徐な組織分布(アルファ)相を示した)及びフットパッド領域の比較的貧弱な血管形成と一致する。図18に示した結果は、本発明の方法によって製造した抗イヌNGF抗体は、イヌの炎症痛を緩和し、その結果跛行を軽減することを示している。
本明細書に引用した全ての文書類は参照により本明細書に含まれる。本発明に記載した実施態様の多様な改変及び変型は、本発明の範囲を逸脱することなく当業者には明白であろう。本発明を特定の好ましい実施態様との関連でこれまで説明してきたが、特許請求の範囲に記載した本発明はそのような個々の実施態様に限定されるべきではないことは理解されよう。実際のところ、本発明の実施に関して記載した態様の当業者に明白な多様な改変は本発明に包含される。

Claims (6)

  1. 以下の工程を含む、標的種に投与するためにドナー免疫グロブリンを改変する方法であって、前記改変された免疫グロブリンが、重鎖および/または軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域内のいずれの位置においても、その位置において前記標的種由来の複数の免疫グロブリンにとって外来性であるいずれのアミノ酸も含まない、前記方法:
    −標的種以外の種からドナー免疫グロブリンを同定する工程であって、該ドナー免疫グロブリンは標的種に存在する標的エピトープに対し結合特異性を有する、前記工程
    −該ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列を決定する工程、
    −該ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列の各アミノ酸残基、該標的種由来の複数の免疫グロブリンのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置に存在するアミノ酸残基と比較し、該標的種由来の複数の免疫グロブリンのいずれのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置に存在しない、該ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列内の1つ以上のアミノ酸残基を同定する工程;及び
    −該ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインフレームワーク領域のアミノ酸配列に存在するが、該標的種由来の前記複数の免疫グロブリンのいずれのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置に存在しない該1つ以上の同定アミノ酸残基のみを、該標的種由来の複数の免疫グロブリンの少なくとも1つのフレームワーク領域のアミノ酸配列の対応する位置に存在するアミノ酸残基で置換する工程。
  2. ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域のアミノ酸配列に存在するアミノ酸残基の置換が、保存的置換の原則を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
  3. ドナー免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも1つの定常ドメインを、標的種由来の免疫グロブリンに由来する重鎖及び/又は軽鎖の定常ドメインで入れ替える工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 標的種が哺乳動物標的種である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 哺乳動物種が、イヌ、ネコ及びウマから成る群から選択されるコンパニオンアニマルである、請求項4に記載の方法。
  6. 哺乳動物種がヒトである、請求項4に記載の方法。
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