JP6006550B2 - ステージ構造およびステージ構造を加工する方法 - Google Patents
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このような構成を適用すれば、移動プレートの下面に固着された永久磁石が基台を吸着し、V溝と複数の針状ころ軸受けとの間、および、V字型の突条と複数の針状ころ軸受けとの間に予圧力が作用するので、移動プレートの重量を大きくしなくても移動プレートの不用意な浮き上がりを防止することができる。
また、基台と移動プレートとの間に接触式の浮き上がり防止部材等を設ける必要もなくなるので、移動プレートの駆動に必要とされる駆動トルクが軽減され、移動プレートの駆動レスポンスが向上するといったメリットも生じる。
特許文献1に開示されるリニアステージでは、更に、4つの永久磁石の下面に対向する基台の上面に磁極(磁気透磁率の高い電磁材料鋼板等)を取り付けることによって予圧力を向上させている。
しかし、特許文献1に開示される構成にあっては、基台の上面の左右に形成した突条にV溝を設けているため、リニアステージ全体の上下高さの薄型化に限界がある。
また、基台の上面の左右に離間して形成された2本の突条間に位置する基台上面の中央部および2本のV字型の突条間に位置する移動プレート下面の中央部に大量の除去加工を施す必要があるために、生産効率が低下するといった不都合がある。
しかも、磁石の磁気吸着力を増強するための磁極は、当然、磁石の下面と基台の上面との間に介装する必要があるので、磁極の存在それ自体がリニアステージ全体の上下高さの薄型化といった目的を達成する際の阻害要因となってしまう。
無論、2本のV字型の突条を移動プレートとは別の部材で形成して移動プレートに後付けするといったことも可能であるが、そうした場合、V字型の突条の取り付けに伴う組立誤差を軽減する必要上、たとえば、移動プレートの下面にV字型の突条を位置決めするためのシャープコーナーを有する切欠を形成したり、ノックピンを貫通させるといったような複雑な作業が必要となる。
当然、直線状ガイド経路を構成する要素の全て、つまり、2本のV溝および2本のV字型の突条は、不用意な応力の発生や抵抗の発生を防止するため、また、リニアステージの精度を向上させるためにも、完全に平行であることが望ましく、更には、対を成すV字型の突条の形状とV溝の形状も完全に合致させることが望ましいが、そのような加工作業は困難であり、また、可能であったとしても相当な加工コストを伴う。
また、V溝およびV字型の突条の加工に際し、別種の加工、つまり、除去加工を利用して必要箇所を形成する加工(V溝の加工)と除去加工を利用して必要な箇所を残す加工(V字型の突条の加工)とが要求され、直線状ガイド経路を構成する要素の全て、つまり、2本のV溝および2本のV字型の突条を完全な平行状態とすることが難しく、また、対を成すV字型の突条の形状とV溝の形状を完全に合致させることが難しいといった問題が残る。
前記一方のプレートの直線状ガイド経路および前記他方のプレートの直線状ガイド経路が前記各プレートに直に彫り込まれた溝によって形成されると共に前記複数の転動体が鋼球によって形成され、
前記磁石が、前記少なくとも一方の面から其の面を有するプレートの厚み方向に向かう除去加工によって形成されたポケット加工部に埋設され、前記ポケット加工部の内壁部分が前記磁石の継鉄として機能することを特徴とした構成を有する。
更に、磁石を埋設したポケット加工部の内壁部分が継鉄として機能することで磁石の磁気吸着力を増強するため、一方のプレートにおける直線状ガイド経路と複数の転動体との間、および、他方のプレートにおける直線状ガイド経路と複数の転動体との間に十分な予圧力を作用させることができ、磁石と重合する磁極を配置する必要もなくなるので、ステージ構造の更なる薄型化が達成される。
また、ステージ構造の一部を構成する一方のプレートの直線状ガイド経路およびステージ構造の他部を構成する他方のプレートの直線状ガイド経路が単純形状の溝によって形成されて加工が平易化されること、および、直線状ガイド経路の後付けが不要となることから、加工誤差が抑制されると共に組立誤差が排除され、直線状ガイド経路を構成する要素の全てを高い精度で平行に形成できるようになるので、ステージ構造の精度が向上する。
そして、直線状ガイド経路を構成する要素が高い精度で平行となることにより、一方のプレートにおける直線状ガイド経路と複数の転動体との間、および、他方のプレートにおける直線状ガイド経路と複数の転動体との間に不用意な応力や抵抗が発生したり、応力や抵抗が変動する不都合が解消されるので、ステージの送りに際して生じる可能性のあるオーバーシュート(応力や抵抗に減少方向の変化が生じた場合の不都合)やアンダーシュート(応力や抵抗に増加方向の変化が生じた場合の不都合)も未然に防止され得る。
前記各プレートの対向面を上方に向けた状態で、これらのプレートに研削加工を施す平面研削盤のテーブル上に、前記直線状ガイド経路を形成する基準となるプレート上の加工軌跡の方向を前記平面研削盤のテーブルの水平移動方向に合わせ、かつ、前記テーブルの水平移動のストロークの範囲内で前記テーブルの水平移動方向に沿って一直線上に並べて固定され、前記テーブルの1サイクルの移動毎に、対を成す溝の各々が前記平面研削盤の回転砥石によって交互に研削加工されることで、形成されたものであることが望ましい。
特に、片側のプレートに刻設される全ての溝を跨ぐに足る幅を備えた回転砥石を使用し、その外周面に、片側のプレートに刻設される全ての溝を同時に形成するための複数列のV字型の突条をドレッシングして研削を行うことにより、直線状ガイド経路を構成する要素となる全ての溝の平行度を完全に近い状態に保証することができる。
2本の直線状ガイド経路4,4の配置は、中心線A−Aを線対称軸として、水平面内において対称の関係にある。
直線状ガイド経路4,4および直線状ガイド経路5,5は基本的には同一形状同一寸法であるが、直線状ガイド経路4,4と直線状ガイド経路5,5の間に長手方向の寸法差があることは許容される。
直線状ガイド経路4,5を形成するV溝の底部に刻設された矩形溝7は、V溝を加工する回転砥石の外周面が磨耗した際にV溝の底部に発生する削り残し部分が転動体6に干渉するのを防止するための一般的な逃ガシ加工である。
図1(a)に示されるように、固定プレート2側のストッパ8は固定プレート2の上面2aを越えて上方に突出し、移動プレート3側のストッパ8は移動プレート3の下面3aを越えて下方に突出しているが、固定プレート2側のストッパ8の取付位置と移動プレート3側のストッパ8の取付位置は内外にずらされているので、ストッパ8同士が相互に干渉することはない。
図1(a)や図1(d)を基準にして言えば、移動プレート3の左方向の移動限界は、直線状ガイド経路5の右端部のストッパ8が最も右側に位置する転動体6に当接し、対を成す直線状ガイド経路4,5間に挟まれた複数の転動体6の全てが相互に接触した状態で直線状ガイド経路4の左端部のストッパ8が最も左側に位置する転動体6に当接した位置であり、また、移動プレート3の右方向の移動限界は、直線状ガイド経路5の左端部のストッパ8が最も左側に位置する転動体6に当接し、対を成す直線状ガイド経路4,5間に挟まれた複数の転動体6の全てが相互に接触した状態で直線状ガイド経路4の右端部のストッパ8が最も右側に位置する転動体6に当接した位置である。
移動プレート3の移動ストロークは、概ね、直線状ガイド経路4,5の全長の1/2程度である。
なお、この実施形態にあっては移動プレート3の四隅にもアタッチメント取付用のネジ穴11が設けられており、ユーザは、アタッチメント取付用のネジ穴11を選択的に利用して各種のワークや試験対象等を移動プレート3上にセットすることができる。
この場合は、移動プレート3側に設置された永久磁石10の下面と固定プレート2の上面2aの間に一定の間隙を形成させ、同様にして、固定プレート2側に設置された永久磁石10の上面と移動プレート3の下面3aの間に一定の間隙を形成させることになる。
特に、このような構成を適用した場合にあっては、固定プレート2の下面中央に形成する逃ガシ13の部分および固定プレート2の四隅のネジ通し穴12の部分を除き、固定プレート2と移動プレート3を完全な同一形状とし、両者の方向性を180°違える形で固定プレート2と移動プレート3を組み立てるようにすることが可能であるから、固定プレート2および移動プレート3の製造に関わる全体の作業工程が簡略化され得る。
ストッパ8用の貫通孔に関しては、固定プレート2や移動プレート3となるプレート上の2本のV溝の中心から各々同一方向にオフセットして穿設することにより、組み立ての際の干渉を回避できる。このような構成を適用した場合、図1(b)を援用して説明すれば、固定プレート2上の2本の直線状ガイド経路4,4上のストッパ8が、全て、そのストッパ8が取り付けられているV溝の中心よりも図1(b)の方向性において下方に位置し、また、移動プレート3上の2本の直線状ガイド経路5,5上のストッパ8が、全て、そのストッパ8が取り付けられているV溝の中心よりも図1(b)の方向性において上方に位置する状態となるか、あるいは、固定プレート2上の2本の直線状ガイド経路4,4上のストッパ8が、全て、そのストッパ8が取り付けられているV溝の中心よりも図1(b)の方向性において上方に位置し、また、移動プレート3上の2本の直線状ガイド経路5,5上のストッパ8が、全て、そのストッパ8が取り付けられているV溝の中心よりも図1(b)の方向性において下方に位置する状態となるかの何れかである。よって、固定プレート2上のストッパ8と移動プレート3上のストッパ8との間に相互の干渉が生じることはない。
この際、固定用治具の厚みは、直線状ガイド経路4,5の加工が完了して下死点に到達した回転砥石の外周面が接触しない範囲で厚くすることが望ましい。
なお、4a’,4b’は固定プレート2’上の加工軌跡、5a’,5b’は移動プレート3’上の加工軌跡である。
この場合、回転砥石の目減りを検知してドレッシングを再実行したり、回転砥石の目減りを検知して切り込み量を調整する機能が平面研削盤にあれば、プレート2,3の片側の直線状ガイド経路4,5と、プレート2,3の他方の直線状ガイド経路4,5と、他のセットのプレート2’,3’の片側の直線状ガイド経路4,5と、更に、それに引き続いて形成される他の直線状ガイド経路4,5を実質的に完全に同一形状同一寸法のV溝とすることができる。
また、回転砥石の目減りを検知してドレッシングを再実行したり、回転砥石の目減りを検知して切り込み量を調整する機能が平面研削盤になければ、プレート2,3の片側の直線状ガイド経路4,5と、プレート2,3の他方の直線状ガイド経路4,5と、他のセットのプレート2’,3’の片側の直線状ガイド経路4,5と、更に、それに引き続いて形成される他の直線状ガイド経路4,5のV溝の間に形状や寸法の差異が生じる可能性があるが、そのような場合であっても、プレート2の片側の直線状ガイド経路4と此れと対を成すプレート3の片側の直線状ガイド経路5の間、プレート2の他方の直線状ガイド経路4と此れと対を成すプレート3の他方の直線状ガイド経路5の間、プレート2’の片側の直線状ガイド経路4と此れと対を成すプレート3’の片側の直線状ガイド経路5の間、更に、それに引き続いて形成される対を成す直線状ガイド経路4,5のV溝の間に形状や寸法の差異が生じることはなく、対を成すV溝の全ては実質的に完全に同一形状同一寸法とすることができる。
その理由は、水平第一軸移動方向におけるテーブル14の1サイクルの移動毎に対を成す直線状ガイド経路4,5のV溝の各々が平面研削盤の回転砥石によって交互に研削加工され、しかも、平面研削盤にあっては回転砥石の切り込み量が非常に小さく、1サイクルにおける回転砥石の目減りは無視できるからである。
この場合、V溝の角度は一般に90°に制限され、また、隣接するV溝の加工に移行する際には水平第ニ軸移動方向の送りに加えてスピンドルを支えるコラムもしくはテーブル14のうち少なくとも一方を上下方向(図2の紙面に対して垂直な方向)に移動させる必要が生じるが、平面研削盤の剛性や精度さえ十分であれば、前記と同様、プレート2,3の片側の直線状ガイド経路4,5と、プレート2,3の他方の直線状ガイド経路4,5と、他のセットのプレート2’,3’の片側の直線状ガイド経路4,5との間の形状や寸法の差異はテーブル14を水平にして回転砥石の外周面の突条を利用した場合と同様に保持することができる。
この場合、回転砥石の目減りを検知してドレッシングを再実行したり、回転砥石の目減りを検知して切り込み量を調整する機能が平面研削盤にあれば、前記と同様、プレート2,3の片側の直線状ガイド経路4,5と、プレート2,3の他方の直線状ガイド経路4,5と、他のセットのプレート2’,3’の片側の直線状ガイド経路4,5と、他のセットのプレート2’,3’の他方の直線状ガイド経路4,5を実質的に完全に同一形状同一寸法のV溝とすることができる。
また、回転砥石の目減りを検知してドレッシングを再実行したり、回転砥石の目減りを検知して切り込み量を調整する機能が平面研削盤になければ、プレート2,3の片側の直線状ガイド経路4,5およびプレート2,3の他方の直線状ガイド経路4,5と、他のセットのプレート2’,3’の片側の直線状ガイド経路4,5および他のセットのプレート2’,3’の他方の直線状ガイド経路4,5のV溝の間に形状や寸法の差異が僅かに生じる可能性はあるが、そのような場合であっても、平面研削盤の回転砥石の外周部に形成された二条の突条さえドレッシングの時点で正確に形成されていれば、プレート2の片側の直線状ガイド経路4と、此れと対を成すプレート3の片側の直線状ガイド経路5と、プレート2の他方の直線状ガイド経路4と、此れと対を成すプレート3の他方の直線状ガイド経路5のV溝の間に形状や寸法の差異が生じることは全くなく、同様に、プレート2’の片側の直線状ガイド経路4と、此れと対を成すプレート3’の片側の直線状ガイド経路5と、プレート2’の他方の直線状ガイド経路4と、此れと対を成すプレート3’の他方の直線状ガイド経路5のV溝の間に形状や寸法の差異が生じることも全くない。
つまり、1セットのプレート2,3に形成される都合4本のV溝が実質的に完全に同一形状同一寸法に仕上げられ、1セットのプレート2’,3’に形成される都合4本のV溝も実質的に完全に同一形状同一寸法に仕上げられることになる。
その理由は、水平第一軸移動方向におけるテーブル14の1サイクルの移動毎に対を成す片側の直線状ガイド経路4,5および対を成す他方の直線状ガイド経路4,5のV溝の各々が平面研削盤の回転砥石によって交互に研削加工され、しかも、平面研削盤にあっては回転砥石の切り込み量が非常に小さく、1サイクルにおける回転砥石の目減りは無視でき、かつ、片側の直線状ガイド経路4,5を研削する回転砥石外周部の突条と他方の直線状ガイド経路4,5を研削する回転砥石外周部の突条の消耗状況は常に均等となるからである。
更に、この場合は、単一の回転砥石の外周面に形成された二条の突条による同時加工が行われるため、固定プレート2上に位置する片側の直線状ガイド経路4と他方の直線状ガイド経路4、および、移動プレート3上に位置する片側の直線状ガイド経路5と他方の直線状ガイド経路5が完全に平行に形成されるといったメリットがある。
従って、これらのプレート2,3を1ロットのパーツ群として取り扱い、そこから対を成す固定プレート2と移動プレート3の組み合わせを選択する限り、完全に均一なステージ構造1を構成することができる。つまり、パーツの組み違いといった問題が解消される。
特に、厚い回転砥石を使用し、平面研削盤の回転砥石の外周部にV字型の突条を二条形成して固定プレート2上の2本の直線状ガイド経路4,4と移動プレート3上の2本の直線状ガイド経路5,5に対して実質的に同時に研削作業を施した場合にあっては、これら都合4本のV溝の同一形状同一寸法化に加え、固定プレート2上の2本の直線状ガイド経路4,4と移動プレート3上の2本の直線状ガイド経路5,5の各々の完全平行化、および、固定プレート2上の2本の直線状ガイド経路4,4と移動プレート3上の2本の直線状ガイド経路5,5との間の加工位置のずれも防止できるので(段落0040参照)、直線状ガイド経路4,4や直線状ガイド経路5,5の非平行や形状誤差,寸法誤差,面粗度のバラツキ等の欠陥に伴う不都合を極めて効果的に防止することができる。
ステージ構造1が薄型化される結果、移動プレート3上の試料や被測定物やワーク等を従来品に比べて更に移動プレート3の軌道面(移動案内面)に接近させることが可能となり、移動プレート3が移動する際の移動プレート3の姿勢誤差や姿勢変化を低減することができ、更には、試料や被測定物の位置精度やワーク等の加工誤差の改善も可能となる。
その場合、固定プレート2の上面が下に凸の円弧状の二次曲面となること、この固定プレート2の上面に二次曲面の屈曲方向に沿って伸びる下に凸の円弧状ガイド経路4,4が2本平行に形成されること、移動プレート3の下面が下に凸の円弧状の二次曲面となること、この移動プレート3の下面に二次曲面の屈曲方向に沿って伸びる下に凸の円弧状ガイド経路5,5が2本形成されること、また、より望ましくは磁石10の上面を移動プレート3の下面形状に対応させて下に凸の二次曲面とすることを別にすれば、傾斜ステージの構成は既に説明したステージ構造1の場合と同様である。
一般に、この種の傾斜ステージにあっては、下に凸の円弧状の二次曲面を成す可動プレート3の下面に機械要素のホイールに相当するラック状の噛合部を形成する一方、下に凸の円弧状の二次曲面を成す固定ステージ2の上面の中央部分、すなわち、円弧状の二次曲面の谷底の部分であって、かつ、両側の円弧状ガイド経路4,4の間の中央位置に、図1中の中心線A−Aに沿った回転軸を有するウォームを配置し、ウォームの外周を可動プレート3の下面のラック状の噛合部に噛合させて、ウォームの回転によってラック状の噛合部つまり最終的には可動プレート3に図1中の中心線A−Aに沿った送りを掛けることで、固定プレート2の上面の円弧状の二次曲面に沿って移動プレート3を移動させるようにしている。
この際、固定プレート2側に配置されたウォームと可動プレート3側のラック状の噛合部との離間距離を厳密に調整する必要があり、両者間の離間距離が過大であると可動プレート3の送り方向の切り替えに際してバックラッシュが発生し、また、両者が接近し過ぎるとウォームの回転が重くなったり動かなくなったりするといった不都合が生じる。
このような特性を有する傾斜ステージに対して前述のような構成を適用した場合にあっては、固定プレート2側に配置されたウォームと可動プレート3側のラック状の噛合部の噛合状態が或る程度過剰にタイトになった場合であっても、両者の当たりが強くなりすぎてウォームの回転が重くなったり動かなくなったりするといった不都合は発生せず、固定プレート2に対する移動プレート3の浮き上がりによって、両者間に生じる強い当たりを吸収することができる。しかも、移動プレート3は固定プレート2側の磁石10で吸着されているので、移動プレート3が不用意にガタついたり軌道面から離脱するといった不都合も発生しない。
従って、結果として、固定プレート2側に配置されたウォームと可動プレート3の下面のラック状の噛合部との離間距離の調整に際し、従来のものとの比較において、固定プレート2側のウォームと可動プレート3側のラック状の噛合部が接近する方向における調整誤差の許容範囲を拡張することが可能となる。よって、調整作業を著しく誤った場合の移動プレート3の浮き上がりによって移動プレート3の姿勢の保持精度に多少の劣化が生じる可能性はあるものの、調整作業それ自体が格段に容易化されるといった点で大きなメリットが生じる。
つまり、傾斜ステージに対して前述の構成を転用する理由は精度の向上ではなく調整作業の容易化であり、目的と効果も此れに準じたものとなる。
2,2’ 固定プレート(一方のプレート)
2a 固定プレートの上面(固定プレートの同一面)
3,3’ 移動プレート(他方のプレート)
3a 移動プレートの下面(固定プレートの同一面に対向する面)
4 直線状ガイド経路
4a,4b,4a’,4b’ 固定プレート上の加工軌跡
5 他の直線状ガイド経路
5a,5b,5a’,5b’ 移動プレート上の加工軌跡
6 転動体(鋼球)
7 矩形溝
8 ストッパ
9 ポケット加工部
10 永久磁石(磁石)
11 アタッチメント取付用のネジ穴
12 ネジ通し穴
13 逃ガシ
14 テーブル
15 当て金
Claims (2)
- 磁性体により形成されて厚み方向に重合する2枚のプレートを備え、その一方のプレートの同一面上に、滑動用の直線状ガイド経路が、相互に間隔を置いた状態で平行に複数本設けられる一方、他方のプレートには、前記一方のプレートに対向する側の面に、前記直線状ガイド経路の各々と対を成す他の直線状ガイド経路が設けられ、前記対を成す直線状ガイド経路の間に介装された複数の転動体を介して、前記一方のプレートが前記他方のプレートに対して一方向に移動可能な状態で支えられると共に、前記一方のプレートにおいて前記他方のプレートに対向する側の面、もしくは、前記他方のプレートにおいて前記一方のプレートに対向する側の面のうち少なくとも一方の面に、この面に対向するプレート面との間に一定の間隙を置いて、かつ、前記複数本の直線状ガイド経路のうち隣接する直線状ガイド経路間の中心位置に位置するようにして磁石が固着され、前記一方のプレートにおける直線状ガイド経路と前記複数の転動体との間、および、前記他方のプレートにおける直線状ガイド経路と前記複数の転動体との間に、前記磁石の磁気吸着力による予圧力を作用させるようにしたステージ構造において、
前記一方のプレートの直線状ガイド経路および前記他方のプレートの直線状ガイド経路が前記各プレートに直に彫り込まれた溝によって形成されると共に、
前記磁石が、前記少なくとも一方の面から其の面を有するプレートの厚み方向に向かう除去加工によって形成されたポケット加工部に埋設され、前記ポケット加工部の内壁部分が前記磁石の継鉄として機能することを特徴としたステージ構造。 - 前記一方のプレートにおける直線状ガイド経路,および前記他方のプレートにおける直線状ガイド経路は、その加工形成に際し、
前記各プレートの対向面を上方に向けた状態で、これらのプレートに研削加工を施す平面研削盤のテーブル上に、前記直線状ガイド経路を形成する基準となるプレート上の加工軌跡の方向を前記平面研削盤のテーブルの水平移動方向に合わせ、かつ、前記テーブルの水平移動のストロークの範囲内で前記テーブルの水平移動方向に沿って一直線上に並べて固定され、前記テーブルの1サイクルの移動毎に、対を成す溝の各々が前記平面研削盤の回転砥石によって交互に研削加工されることで、形成されたものであることを特徴とした請求1に記載のステージ構造を加工する方法。
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