JP2009145082A - 微小移動装置及び微小移動装置を用いた位置決め装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベース及び移動体間の予圧力付与機構と、移動体のガイド機構との各々について小型化及び薄型化を実現し、ガイド性能の更なる高精度化を行える微小移動装置及び位置決め装置を提供する。
【解決手段】微小移動装置2aが、一部に磁性体を含むベース3と、ベース3上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部12と、溝ガイド部12に平行に形成されたベース3上面よりも低い底面を有する平面ガイド部11と、溝ガイド部12内を摺動可能に設けられた第1のスペーサ8、9と、平面ガイド部11内を摺動可能に設けられた第2のスペーサ10と、第1のスペーサ8、9及び第2のスペーサ10と固定されベース上面に設けられ、一部に磁性体を含む移動体5と、移動体5に衝撃力を付与することで移動体5をベース3面上で移動させる衝撃力発生手段と、移動体5とベース3とを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段15とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】微小移動装置2aが、一部に磁性体を含むベース3と、ベース3上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部12と、溝ガイド部12に平行に形成されたベース3上面よりも低い底面を有する平面ガイド部11と、溝ガイド部12内を摺動可能に設けられた第1のスペーサ8、9と、平面ガイド部11内を摺動可能に設けられた第2のスペーサ10と、第1のスペーサ8、9及び第2のスペーサ10と固定されベース上面に設けられ、一部に磁性体を含む移動体5と、移動体5に衝撃力を付与することで移動体5をベース3面上で移動させる衝撃力発生手段と、移動体5とベース3とを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段15とを備える。
【選択図】図3
Description
この発明は微小移動装置及び位置決め装置に関する。
従来、この種の代表例としては、摩擦力の作用下にある移動対象質量に、該摩擦力よりも大きな衝撃力を与えることにより、並行移動或いは姿勢制御を行う微小移動装置(特許文献1参照)や、圧電・電歪素子を用いた衝撃力による微小移動装置(特許文献2参照)が知られている。衝撃力を発生する手段として、前者は電磁反発力を、後者は圧電素子の急速変形をそれぞれ利用した微小移動装置であり、これらはいわゆる「インパクト機構」と呼ばれている。このインパクト機構は小型単純構造であって微小ステップ移動が可能であり、この長所に着目して、例えば、精密位置決めテーブルやマイクロマニピュレータ等が提案されている。特許文献3によれば、圧電素子の急速変形を利用したインパクト機構は単純な構造でありながら、10nm〜10μm程度の微動が可能であるとしている。
圧電素子の急速変形を利用した従来の微小移動装置は、摩擦で保持された移動体に圧電素子と慣性体とを取り付けただけの簡単な構造であって、原理上は移動範囲に制限が無く高い位置決め能力を有している。なお、電磁反発力を用いた従来の微小移動装置にも、圧電素子を用いた場合の効果と同様の効果を期待できる。
ところが、電磁反発力を用いたものと圧電素子の急速変形を利用したものとに係らず、摩擦駆動タイプの微小移動装置に共通の課題として、移動体とベースとの間には所定の摩擦力を付与するための予圧力が必要となる。この予圧力を付与する機構が大型化すると、インパクト機構はコンパクト構造という特長を持ちながら、微小移動装置全体としては大型化する。また、従来の微小移動装置においては移動体とベースとの間の摺動部が平面状に形成されており、高い精度でリニア駆動を行うためには、別途、移動体を面上で真っ直ぐに動かすためのガイド機構が必要である。このように、従来の構成の多くは、板バネやコイルバネによる予圧力付与機構が一般的であり、この予圧力付与機構とガイド機構とを個々に設計すると、装置全体が大型化する。さらに、移動体およびベース間の摺動面の均一性を確保するためには、この摺動面を高精度に仕上げ加工する必要があり、装置の大きさや製作コストの観点から、満足できるものでは無い。
そこで、このような状況を鑑み、V溝形状に加工された摺動部を用いて、磁気吸引力で、移動体及びベースの間に予圧を付与する構成が提案されている(特許文献4参照)。この構成によれば、予圧力付与機構の小型化と共に、高精度リニア駆動が可能な微小移動装置を提供することができる。
特開昭60−60582号公報
特開昭63−299785号公報
特公平6−91753号公報
特開昭61−246812号公報
ところが、特許文献4に記載の微小移動装置でも、第一にガイド機構の薄型化が難しいこと、第二にガイド機構のガイド性能の高精度化が不十分であることが課題として挙げられる。上記第一の課題は、ガイド機構のV溝部に移動体が入り込んだ構成となっているため、ガイド機構を高さ方向について薄くできないことによるものである。この時、V溝の傾斜面の成す角度が大きいと高精度にガイドを行えずガイド性能が悪化し、とくに、垂直方向(ガイド機構の高さ方向)の軸回りに移動体を保持する力が不足するために、駆動される移動体の姿勢が不安定になる恐れがある。逆にこのV溝の角度が小さいとガイド機構の高さ方向の厚さが大きくなってガイド機構が更に大型化する。
このことは、とくに、微小移動装置を2台用い、各移動方向が互いに直交するようにこれらの装置が配置されてなるX-Y移動テーブルを構築した場合などにおいて、その影響は大きい。つまり、下段移動ステージの上に上段移動ステージが搭載された構成となるため、上段移動ステージの大型化は下段移動ステージの負荷条件を厳しくし、下段移動ステージの性能劣化を招く。また、上段移動ステージの運動精度は、下段移動ステージのガイド性能により大きく影響を受ける。上段移動ステージが精度よく動かされても、下段移動ステージが傾いたり、回転する場合、上段移動ステージのガイド性能が劣化する。いわゆる、アッベの原理に従えば、駆動精度を高めるためには、上段移動ステージのガイド部と下段移動ステージのガイド部とを高さ方向で出来る限り近づける必要がある。これはx軸及びy軸の間の距離を近づける必要があることを意味し、ガイド機構の薄型化が重要課題の一つであることを示している。
上記第二の課題は、V溝ガイド面と移動体との摺動面が互いに面接触であるために、ガイドの高精度化を容易に図れないことによるものである。摺動面の均一性を確保し、ガイド性能を高精度化するためには、移動体およびベースの摺動面を高精度に仕上げ加工する必要がある。これは、従来の平面ガイドを用いた場合でも同様の課題があるが、摺動部をV溝状に加工したガイド機構の加工の難しさは、平面ガイドの加工の難しさに比べて逆に増しており、製作面から改善が求められている。特許文献4に記載の微小移動装置では、移動対象物の脚部と、係合溝の傾斜面とが4箇所の面において接触しており、これらの脚部及び傾斜面を誤差なく加工することは難しい。
そこで、本発明の目的は、予圧力付与機構およびガイド機構のそれぞれについて小型化及び薄型化を実現し、かつ、ガイド性能の更なる高精度化を達成することが可能な微小移動装置及びこの微小移動装置を用いた位置決め装置を提供することにある。
このため、本発明の一態様によれば、少なくとも一部に磁性体を含むベースと、このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、前記平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられて、少なくとも一部に磁性体を含む移動体と、この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備えたことを特徴とする微小移動装置が提供される。
また、本発明の別の一態様によれば、ベースと、このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、前記平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられた移動体と、この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、それぞれが対向して前記移動体と前記ベースとに設けられて、前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備えたことを特徴とする微小移動装置が提供される。
更に、本発明の別の一態様によれば、第1の微小移動装置と、第2の微小移動装置と、を備え、前記第1の微小移動装置及び前記第2の微小移動装置は、少なくとも一部に磁性体を含むベースと、このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、この平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられて、少なくとも一部に磁性体を含む移動体と、この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備え、前記第1の微小移動装置と前記第2の微小移動装置とはそれぞれの溝ガイド部の溝方向が交叉するように配置され、且つ前記第1の微小移動装置の前記ベースと前記第2の微小移動装置の前記移動体とが固定され、前記第1の微小移動装置が前記第2の微小移動装置のベース上で移動することを特徴とする位置決め装置が提供される。
また、本発明の別の一態様によれば、第1の微小移動装置と、第2の微小移動装置と、を備え、前記第1の微小移動装置及び前記第2の微小移動装置は、ベースと、このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、前記平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられた移動体と、この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、それぞれが対向して前記移動体と前記ベースとに設けられて、前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備え、前記第1の微小移動装置と前記第2の微小移動装置とはそれぞれの溝ガイド部の溝方向が交叉するように配置され、且つ前記第1の微小移動装置の前記ベースと前記第2の微小移動装置の前記移動体とが固定され、前記第1の微小移動装置が前記第2の微小移動装置の前記ベース上で移動することを特徴とする位置決め装置が提供される。
本発明の微小移動装置によれば、ベース及び移動体間に予圧を付与する予圧力付与機構と、移動体を溝ガイド部に沿ってガイドするガイド機構とのそれぞれについて小型化及び薄型化を実現することができ、かつ、ガイド機構のガイド性能の更なる高精度化を容易に達成することができ、装置全体の小型化を図ることができる。本発明の位置決め装置によれば、コンパクトな構造で高精度に対象物をガイドすることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る微小移動装置及び位置決め装置について、図1乃至図6を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る位置決め装置は、x軸及びy軸の各方向に沿って対象物を動かすように配置された微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブルである。
本発明の第1の実施形態に係る位置決め装置は、x軸及びy軸の各方向に沿って対象物を動かすように配置された微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブルである。
図1はX−Y移動テーブル1の斜視図であり、図2は図1のX−Y移動テーブル1の分解斜視図である。このX−Y移動テーブル1は、x軸に沿って移動可能にx軸上に設置された微小移動装置2aと、y軸に沿って移動可能にy軸上に設置された微小移動装置2bとからなり、これらの微小移動装置2a及び2bは各移動方向が互いに直交するように配置されている。つまり、微小移動装置2bが下段移動ステージであり、この微小移動装置2bの上に微小移動装置2aが上段移動ステージとして搭載されている。
微小移動装置2aは、ベースとしてのガイドベース3と、このガイドベース3の上に設けられた後述する複数のスペーサと、各スペーサを介してx軸方向に沿って移動可能にされた衝撃力発生手段4とを備えている。ガイドベース3と衝撃力発生手段4との間には磁気吸引力によって予圧が付与されている。微小移動装置2bも、ガイドベース3、ガイドベース3上に設けられた複数のスペーサ、及び各スペーサを介してy軸方向に沿って移動可能にされた衝撃力発生手段4を備えている。微小移動装置2bのガイドベース3及び衝撃力発生手段4間にも磁気吸引力によって予圧が付与されている。
各衝撃力発生手段4は、ガイドベース3上に予圧力によって保持された移動体5と、この移動体5に一端面が固定され且つ電圧によって軸方向に伸縮可能な圧電素子6と、この圧電素子6の他端面に固定された慣性体7と、所定の時間パターンで波形が変わる電圧を圧電素子6へ印加する図示しない電圧印加回路とを備えている。これらの微小移動装置2a及び2bの基本構成は同じである。各衝撃力発生手段4は圧電素子6の急速変形を利用した圧電インパクト機構の駆動原理に従って駆動可能にされている。つまり、衝撃力発生手段4は、移動体5と慣性体7とを圧電素子6で結合してなり、移動体5をガイドベース3の上に予圧力で保持した構成となっている。
具体的には、微小移動装置2aの衝撃力発生手段4の移動体5を−x方向に移動させる場合、圧電素子6が縮んでいる状態から急激に伸ばすと、移動体5と慣性体7とが互いに離れる方向に移動する。次に、圧電素子6の長さをゆっくりと元の長さに戻し、圧電素子6が元の長さに戻ったところでこの圧電素子6の変形を急に止めると、慣性体7が移動体5に衝突した形となり、移動体5は−x方向に移動する。また、微小移動装置2aの移動体5を+x方向に移動させる場合、圧電素子6が急速変形する動作とゆっくりと変形する動作とが逆のタイミングで行われるようにこの圧電素子6に電圧が加えられる。微小移動装置2bの衝撃力発生手段4の移動体5を+y方向及び−y方向に移動させる場合の駆動動作も、微小移動装置2aの移動体5を−x方向及び+x方向に移動させる場合の駆動動作と同様である。
ここで、微小移動装置2aのガイドベース3と微小移動装置2bの移動体5とは一体的に結合された構成となっている。接着固定若しくはネジ締結、またはガイドベース3と移動体5とを一体加工によって成形するなど、公知の結合手段を用いてこれらのガイドベース3及び移動体5は結合されている。そして、圧電素子6に電圧が印加されて慣性体7が加速されると、移動体5はその反力によって動かされるようになっている。
図3(a)は+x方向から見た微小移動装置2aの正面図である。図3(b)は移動体5を取り除いた状態でのガイドベース3の上面図である。移動体5とガイドベース3とは、非磁性体製の球体形状のスペーサ8、9及び10によって所定の空隙Wを持って向かい合うように配設されている。スペーサ8及び9は第1のスペーサであり、スペーサ10は第2のスペーサである。ガイドベース3の上には、スペーサ10が接触摺動する平面ガイド部11と、スペーサ8及び9が接触摺動するV溝ガイド部12とが形成されている。V溝ガイド部12はガイドベース3上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部である。平面ガイド部11はこのV溝ガイド部12に平行に形成されて、ガイドベース3上面よりも低い底面を有する平面ガイド部である。これらスペーサ8、9及び10の上部は、これらの平面ガイド部11及びV溝ガイド部12に対応するそれぞれの位置において移動体5側に接着固定されている。
移動体5とガイドベース3とはいずれも強磁性体製であり、さらに、ガイドベース3は、長手方向に沿って並置された2つの分割体13、14と、これらの分割体13及び14の間に挟まれた磁力発生手段である永久磁石15とから構成される。すなわち、ガイドベース3は、平面ガイド部11側とV溝ガイド部12側とに概ね2分割された構造を有し、分割体13及び14の間に永久磁石15をサンドイッチした構成となっている。分割体13の上面には、V溝ガイド部12の溝長さ方向に沿ってV溝ガイド部12の両側に一対の第一磁極部16及び17が形成されている。分割体14の上面には、平面ガイド部11に対して段差状に配置された第二磁極部18が形成されている。
そして、永久磁石15が作る磁気ループM1は、第一磁極部16及び17を通って移動体5の中に入り、第二磁極部18を介して永久磁石15に戻る閉回路を構成している。この磁気ループM1により、第一磁極部16及び17と第二磁極部18とが移動体5を磁気吸引し、移動体5とガイドベース3との間に予圧力が付与されている。
また、−y方向から見た微小移動装置2bの正面形状は図3(a)に示す微小移動装置2aの正面形状と同じである。
このような構成の本実施形態に係る微小移動装置2a及び2bの各圧電素子6に対して電圧印加回路から電圧が加えられる。微小移動装置2aについては、まず、急速に圧電素子6が伸ばされると、衝撃的な慣性力が発生する。慣性体7は空中に浮いているため、この慣性体7は空中に留まろうとする慣性力として働く。慣性力は踏ん張る力として移動体5に作用し、慣性力が移動体5及びガイドベース3の間の予圧力に打ち勝って移動体5は移動する。圧電素子6の力が予圧力に比べて十分大きい場合、移動体5の質量と慣性体7の質量との比に応じて決まる伸び量だけ移動体5は−x方向に変位する。次に、ゆっくりと圧電素子6の長さが元の長さに引き戻されると、慣性体7の位置が元に戻される。これらの変形動作が繰り返されることによって、移動体5は−x方向に徐々にステップ状に移動していく。また、伸びた状態の圧電素子6を急速に縮めてから、この圧電素子6をゆっくりと元の伸びた状態に伸ばすという変形動作が繰り返されことにより、移動体5は+x方向に徐々にステップ状に移動していく。これによって、微小移動装置2aは、x軸方向に沿って微小距離移動する。
同様に、微小移動装置2bは、y軸方向に沿って微小距離移動する。これによって、微小移動装置2a及び2bからなるX−Y移動テーブル1は、x軸及びy軸の各方向に沿って微小距離変位することができる。
このように、本実施形態に係る微小移動装置2a及び2bでは、移動体5とガイドベース3とが、スペーサ8、9及び10によって所定の空隙Wを持って配設されており、これらスペーサ8、9及び10の上部は移動体5に固定されるとともにスペーサ8、9及び10の下部はガイドベース3の面を接触摺動する。スペーサ8及び9と接触するガイドベース3の部位はV溝形状をなし、スペーサ10と接触するガイドベース3の部位は平面形状をなすよう形成されているため、V溝ガイドの高さ寸法を極めて短く形成することができ、ガイド機構の薄型化が図れる。
換言すれば、本実施形態に係る微小移動装置2a、2bは、移動体5をガイドすること、及び予圧をかけることが可能にされた配置構造を有する。仮に溝幅が細いV溝を形成されたガイドベースを用いて、この細いV溝に移動体の一部を載せた構成が用いられる場合、この移動体はz軸方向へのモーメントを受けることができずに傾くため適切なガイドが行われない。微小移動装置2a、2bでは、左側の分割体13の中ほどにV溝を作り、移動機構をこのV溝の中に入れている。そして、移動機構を入れた状態のV溝を図3(a)の左側に配置して、図3(a)の右側の平面部において移動体5の位置決めを行っている。右側の平面部において移動体5の転倒や傾斜が起きないように、この移動体5がスペーサ10により支持されている。スペーサ10は移動体5を支えているため、この平面部において移動体5がスペーサ10から落下すること、及び移動体5がスペーサ10から外れることが生じない。
このように、左側の直線状のV溝においてガイドが行われ、永久磁石15において吸引が行われて、更に平面部において移動体5がモーメントを受けられるように移動体5の姿勢の安定化が図られている。例えばこのV溝と平行に右側に溝が形成されたガイドベースを用いる場合、これらの溝が極めて高い平行度や平坦度を有するようにガイドベースの上面を加工する必要がある。本実施形態に係る微小移動装置2a及び2bは、2本の平行溝を設けずに、ガイドベース3の右側に平面ガイド部11を形成して構成される。
また、この平面ガイド部11により、移動体5に発生するこの移動体5と球状のスペーサ8及び9との支点周りの回転モーメントも抑えられる。移動体5の回転が抑えられる点でも、移動体5の移動時の姿勢の安定化が図れる。
また、本実施形態に係る微小移動装置2a、2bでは、スペーサ8、9及び10には非磁性体製の球体形状スペーサのみが用いられており、移動体5中の磁力発生手段の磁気ループの一部を形成する部分が強磁性体製である。ガイド機構中のこの磁気ループの一部を形成する部分も強磁性体製である。接触状態が例えば線接触である場合、移動体5の位置によらずにこの接触状態を常に均一に保持するため、接触面について高い加工精度と高い組立精度とが要求される。微小移動装置2a、2bが球体形状スペーサのみを用いることにより、V溝ガイド部12についての接触面についての加工条件の制約は緩和され、製作コストの低下や量産性の向上を期待することができる。また、球体形状スペーサが用いられることにより、スペーサ8、9及び10の下部とガイドベース3との間が点接触になるので、加工や組立の誤差による摺動特性のバラツキを小さく抑えることができ、移動特性の安定性の向上が図れる。
また、本実施形態に係る微小移動装置2a、2bでは、V溝ガイド面と移動体5とが面接触しておらず、点接触しているため、従来の微小移動装置に比べてガイド性能の改善が図れる。
さらに、V溝ガイド部12と接触摺動するほうのスペーサ8、9が2つに分かれて配置されているので、これらの球体形状スペーサ8、9及び10により、ガイドベース3と3点で接触する安定支持性能を獲得することができる。これにより、長ストロークで精密な位置決め性能を比較的安価に実現することができる。
また、スペーサ8及び9とスペーサ10との間に永久磁石15が設けられており、磁気吸引力が作用する位置は、閉磁路中、第一磁極部16、17と、第二磁極部18との2箇所である。すなわち、ガイドベース3及び移動体5の間にスペーサ8及び9を介して作用する力の作用点と、ガイドベース3及び移動体5の間にスペーサ10を介して作用する力の作用点との間に、永久磁石15が配設されている。このため、移動体5とガイドベース3とが離れないようにして、これらの間に予圧が付与されることができる。
また、微小移動装置2a、2bを2台用いて、x方向及びy方向にそれぞれ移動可能としたX-Y移動テーブル1を構築することができる。この場合、ガイド機構が薄型化されることにより、X-Y移動テーブル1は、下段移動ステージのガイド性能に起因する上段移動ステージの運動精度の劣化を抑えることができ、コンパクト構造で対象物を高精度にガイドすることが可能になる。
(第1の実施形態の変形例)
上記第1の実施形態では、スペーサ8、9及び10はいずれも移動体5側に埋め込まれて、これらのスペーサ8、9及び10の上部が移動体5に固定されていたが、スペーサ8、9及び10はガイドベース3側に埋め込むように構成することもできる。ガイドベース3にスペーサ8、9及び10を埋め込んだ場合、上下が反転し、移動体5の底面、即ちスペーサ対向面にV溝及び平面部が設けられるようにして微小移動装置2a及び2bが構成される。この場合、ガイドベース3の上面は外観半円球形状の凸部を呈する。
上記第1の実施形態では、スペーサ8、9及び10はいずれも移動体5側に埋め込まれて、これらのスペーサ8、9及び10の上部が移動体5に固定されていたが、スペーサ8、9及び10はガイドベース3側に埋め込むように構成することもできる。ガイドベース3にスペーサ8、9及び10を埋め込んだ場合、上下が反転し、移動体5の底面、即ちスペーサ対向面にV溝及び平面部が設けられるようにして微小移動装置2a及び2bが構成される。この場合、ガイドベース3の上面は外観半円球形状の凸部を呈する。
この変形例に係る微小移動装置及び位置決め装置によれば、半円球型のスペーサが面上に形成されたガイドベースと、V溝及び平面部が形成された移動体とによって、上記本発明の第1の実施形態に係る微小移動装置2a、2bによって得られた効果と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る微小移動装置及び位置決め装置について、図1、図4を参照して説明する。本実施形態に係る位置決め装置は、本実施形態に係る微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブル1aであり、x軸に沿って移動可能にx軸上に設置された微小移動装置19aと、y軸に沿って移動可能にy軸上に設置された微小移動装置19bとからなる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る微小移動装置及び位置決め装置について、図1、図4を参照して説明する。本実施形態に係る位置決め装置は、本実施形態に係る微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブル1aであり、x軸に沿って移動可能にx軸上に設置された微小移動装置19aと、y軸に沿って移動可能にy軸上に設置された微小移動装置19bとからなる。
図4に微小移動装置19aの移動体20とガイドベース3との部分拡大図を示す。図4(a)は+x方向から見た微小移動装置19aの正面図である。図4(b)は移動体20を取り除いた状態でのガイドベース3の上面図である。なお、図4に示す符号のうち上述した符号と同じ符号を有する要素はそれらと同じ要素を表す。図1〜図3に示した微小移動装置2a及び2bと異なる部分についてのみ説明し、共通する部分についての重複説明は割愛する。
移動体20とガイドベース3とは非磁性体製の球体形状のスペーサ10及び磁性体製の円筒形状のスペーサ21によって所定の空隙Wを持って対向するように配設されている。これらスペーサ10及び21は平面ガイド部11及びV溝ガイド部12に対応するそれぞれの位置において移動体20側に接着固定されている。
ガイドベース3に設けられた永久磁石15が作る磁気ループM2は、(永久磁石15)→(V溝ガイド部12)→(スペーサ21)→(移動体20)→(第二磁極部18)→(永久磁石15)なる閉回路を構成している。この磁気ループM2により、スペーサ21及び第二磁極部18が移動体20を磁気吸引し、移動体20とガイドベース3との間に予圧力が付与されるようになっている。
また、y軸に沿って移動可能に配置された微小移動装置19bの構成も、微小移動装置19aの構成と同じである。
このような構成の本実施形態に係る微小移動装置19aは、圧電素子6の急速変形を用いて駆動されて、x軸方向に沿って微小ステップ動かされる。同様に、微小移動装置19bは、y軸方向に沿って微小ステップ動かされる。従って、微小移動装置19a及び19bからなるX−Y移動テーブルは、x軸及びy軸の各方向に沿って微小ステップ変位する。
これらの微小移動装置19a及び19bによれば、磁気ループM2の一部が強磁性体製の円筒形状のスペーサ21を通るので、磁気抵抗を小さくすることができ、電磁吸引力の発生力を大きくすることができる。その結果、永久磁石15を含む磁力発生手段の小型化を行うことが可能となり、装置全体の小型化が図れる。
微小移動装置19a及び19bでは、V溝ガイド部12を接触摺動するスペーサ21に強磁性体製の円筒形状スペーサが用いられて、かつ、移動体20のうちの磁力発生手段の磁気ループを形成する部分と、ガイドベース3のうちの磁気ループを形成する部分とがそれぞれ強磁性体製である。このため、磁路の一部が強磁性体製の円筒形状スペーサを通るので、磁気抵抗を小さくすることができ、これにより、電磁吸引力の発生力を大きくすることができる。結果として、磁力発生手段の小型化による装置全体の小型化を図れる。
微小移動装置19a及び19bと、本発明の第1の実施形態に係る微小移動装置2a及び2bとが同じ大きさの予圧力を発生させる場合、微小移動装置19a及び19bと微小移動装置2a及び2bとは概ね同じ量(磁極部形状が異なるため、厳密には同じではない)の磁束を要する。微小移動装置19a及び19bでは、スペーサ21を介して磁気ループを組むことができるため磁気抵抗を小さくすることができる。一方、微小移動装置2a及び2bのスペーサ8、9及び10は強磁性体製のものではなく、磁気ループの一部に磁気的ギャップが含まれる。このため、微小移動装置2a及び2bの磁気抵抗は大きい。同じ量の磁束を発生させるためには、微小移動装置2a及び2bの磁気回路は、より大きな起磁力を要する。同じ大きさの予圧力を移動体20及びガイドベース3の間に与える場合、微小移動装置2a、2bは大きな永久磁石15を用いる必要があるが、微小移動装置19a及び19bは、より小さな永久磁石15で済む。従って、この実施形態に係る微小移動装置19a及び19bによれば、微小移動装置2a、2bよりも装置の小型化を図ることができる。
また、これらの微小移動装置19a及び19bでは、V溝ガイド面と移動体20とが面接触しておらず、これらのV溝ガイド面と移動体20とが線接触している。従って、本発明のこの実施形態に係る微小移動装置19a及び19bによれば、従来の微小移動装置に比べてガイド性能の改善が図れる。
また、これらの微小移動装置19a及び19bでは、円筒状のスペーサ21の長手方向の全面に亘って磁束がこのスペーサ21から出て移動体20へ入り、移動体20から出る磁束はスペーサ10に入っている。本実施形態に係る微小移動装置19a及び19bによれば、スペーサ21の外表面の全面が磁気通路として使われており、磁路が外表面の全体に亘って分散しているため、大きな磁気吸引力が得られる。
また、本実施形態に係る位置決め装置によれば、コンパクトな構造で高精度なガイド駆動を実現することができるようになる。
本実施形態に係る微小移動装置19a及び19bの変形例として、微小移動装置は、ガイドベース3にスペーサ21及び10を埋め込むとともに、移動体20の底面にV溝及び平面部が設けられるようにして構成されてもよい。この変形例に係る微小移動装置及び位置決め装置によれば、上下が反転した構造を用いても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る位置決め装置も、微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブル1bであり、x軸に沿って移動可能にx軸上に設置された微小移動装置22aと、y軸に沿って移動可能にy軸上に設置された微小移動装置22bとからなる。微小移動装置22aの移動体23とガイドベース3との部分拡大図を図5に示す。図5(a)は+x方向から見た微小移動装置22aの正面図である。図5(b)は移動体23を取り除いた状態でのガイドベース3の上面図である。図5に示す符号のうち上述した符号と同じ符号を有する要素はそれらと同じ要素を表す。図1〜図3に示した微小移動装置2a及び2bと異なる部分についてのみ説明し、共通する部分についての重複説明は割愛する。
本発明の第3の実施形態に係る位置決め装置も、微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブル1bであり、x軸に沿って移動可能にx軸上に設置された微小移動装置22aと、y軸に沿って移動可能にy軸上に設置された微小移動装置22bとからなる。微小移動装置22aの移動体23とガイドベース3との部分拡大図を図5に示す。図5(a)は+x方向から見た微小移動装置22aの正面図である。図5(b)は移動体23を取り除いた状態でのガイドベース3の上面図である。図5に示す符号のうち上述した符号と同じ符号を有する要素はそれらと同じ要素を表す。図1〜図3に示した微小移動装置2a及び2bと異なる部分についてのみ説明し、共通する部分についての重複説明は割愛する。
移動体23とガイドベース3とは磁性体製の円筒形状のスペーサ24及び25によって所定の空隙Wを持って対向するように配設されている。これらスペーサ24及び25の上部はそれぞれ平面ガイド部11及びV溝ガイド部12に対応する位置において移動体23側に接着固定されている。
ガイドベース3に設けられた永久磁石15が作る磁気ループM3は、(永久磁石15)→(V溝ガイド部12)→(スペーサ25)→(移動体23)→(スペーサ24)→(平面ガイド部11)→(永久磁石15)なる閉回路を構成している。この磁気ループM3により、スペーサ24及び25が移動体23を磁気吸引し、移動体23とガイドベース3との間に予圧力が付与されるようになっている。
また、y軸に沿って移動可能に配置された微小移動装置22bの構成も、この微小移動装置22aの構成と同じである。
このような構成の本実施形態に係る微小移動装置22a及び22bはそれぞれx軸方向及びy軸方向に沿って微小ステップ動かされる。従って、これらの微小移動装置22a及び22bからなるX−Y移動テーブルは、x軸及びy軸の各方向に沿って微小ステップ変位する。
本実施形態に係る微小移動装置22a及び22bによれば、磁気ループM3の一部が強磁性体製の円筒形状のスペーサ24及び25を通るので、磁気抵抗を極めて小さくすることができ、これにより、電磁吸引力の発生力を大幅に向上させることができるようになる。その結果、永久磁石15を含む磁力発生手段の小型化を行うことが可能となり、装置全体の小型化が図れる。
また、微小移動装置22a及び22bでは、V溝ガイド面と移動体23とが面接触しておらず、これらのV溝ガイド面と移動体23とが線接触している。従って、本発明のこの実施形態に係る微小移動装置22a及び22bによれば、従来の微小移動装置に比べてガイド性能の改善が図れる。
また、スペーサ25の長手方向の全面に亘って磁束がこのスペーサ25から出て移動体23へ入り、移動体23から出る磁束はスペーサ24に入っている。微小移動装置22a及び22bによれば、半円筒型のスペーサ24及び25の外表面の全面が磁気通路にされており、磁路が面の全体的に亘って分散しているため、大きな磁気吸引力が得られる。
また、本実施形態に係る位置決め装置によれば、コンパクトな構造で高精度なガイド駆動を実現することができるようになる。
また、変形例として、本実施形態に係る微小移動装置は、ガイドベース3にスペーサ25及び24が埋め込まれるとともに、移動体23の底面にV溝及び平面部が形成されるように構成されてもよい。このようにして上下が反転した構造を用いたこの変形例に係る微小移動装置及び位置決め装置によっても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブルは、x軸に沿って移動可能にx軸上に設置された微小移動装置と、y軸に沿って移動可能にy軸上に設置された微小移動装置とからなる。移動方向が+x方向及び−x方向になるように配置された微小移動装置26aの移動体27とガイドベース28との部分拡大図を図6に示す。図6(a)は+x方向から見た微小移動装置26aの正面図である。図6(b)は移動体27を取り除いた状態でのガイドベース28の上面図である。
本発明の第4の実施形態に係る微小移動装置を2台用いて構築されたX−Y移動テーブルは、x軸に沿って移動可能にx軸上に設置された微小移動装置と、y軸に沿って移動可能にy軸上に設置された微小移動装置とからなる。移動方向が+x方向及び−x方向になるように配置された微小移動装置26aの移動体27とガイドベース28との部分拡大図を図6に示す。図6(a)は+x方向から見た微小移動装置26aの正面図である。図6(b)は移動体27を取り除いた状態でのガイドベース28の上面図である。
移動体27とガイドベース28とは非磁性体製の球体形状のスペーサ8、9及び10によって所定の空隙Wを持って対向するように配設されている。ガイドベース28の上には、スペーサ10が接触摺動する平面ガイド部11と、スペーサ8及び9が接触摺動するV溝ガイド部12とが形成されている。これらスペーサ8、9及び10の上部は平面ガイド部11及びV溝ガイド部12に対応するそれぞれの位置において移動体27側に接着固定されている。
移動体27とガイドベース28とはいずれも非磁性体からなり、さらに、ガイドベース28は、平面ガイド部11側とV溝ガイド部12側とに概ね2分割された構造を有し、分割体29及び30の間に永久磁石31をサンドイッチした構成となっている。本実施形態に係る微小移動装置26aでは、ガイドベース28の断面形状は、図1〜図3に示した微小移動装置2aのガイドベース3のそれと異なる。溝長さ方向と直交する方向についての分割体29の幅は図3の分割体13の幅よりも長くされており、分割体30の幅は図3の分割体14の幅よりも短くされている。分割体30の上面には段差部が形成されておらず、分割体30の上面がガイドベース3の上面よりも低くなるように平面ガイド部11は配置されている。分割体29の上面と永久磁石31の上面とが略面一となる状態でこの永久磁石31は分割体29及び30の間に挟まれている。
また、移動体27には、永久磁石31と対面する位置に永久磁石32が永久磁石31と空隙Wを持って対向配置されている。これら永久磁石31及び32が互いに磁気吸引を行うことによって、移動体27とガイドベース28との間に予圧力が付与されるようになっている。図6に示す符号のうちこれら以外の符号で上述した符号と同じ符号を有する要素はそれらと同じ要素である。
また、y軸上に配置された微小移動装置の構成も、この微小移動装置26aの構成と同じである。
このような構成により、微小移動装置26aはx軸方向に沿って微小ステップ動かされるとともに、移動方向が+y方向及び−y方向になるように配置された微小移動装置はy軸方向に沿って微小ステップ動かされる。これにより、X−Y移動テーブルは、x軸及びy軸の各方向に沿って微小ステップ変位する。
本実施形態に係る2台の微小移動装置によれば、移動体27とガイドベース28とにそれぞれ非磁性体製の材料が用いられているので、装置の大幅な軽量化を図ることができる。
本実施形態に係る2台の微小移動装置では、スペーサ8、9及び10に非磁性体製の球体形状スペーサのみが用いられており、また、移動体27及びガイドベース28は非磁性体製である。更に永久磁石31及び32が移動体27及びガイドベース28の双方に対向配置されている。接触状態が線接触である微小移動装置を用いる際には接触面について高い加工精度と高い組立精度とを要求されるが、本実施形態に係る微小移動装置によれば、V溝ガイド部12についての加工条件の制約は緩和され、製作コストの低下や量産性の向上を期待することができる。
また、スペーサ8、9及び10の下部とガイドベース28との間の接触状態が全て点接触であるので、本実施形態に係る微小移動装置によれば、加工や組立の誤差による摺動特性のバラツキを小さく抑えることができ、移動特性の安定性の向上が図れる。さらに、移動体27はガイドベース28と概ね3点で接触する安定支持性能を獲得でき、長ストロークで精密な位置決め性能を比較的安価に実現できる。
また、本実施形態に係る2台の微小移動装置では、V溝ガイド面と移動体27とが面接触しておらず、これらのV溝ガイド面と移動体27とが点接触している。従って、本発明のこの実施形態に係る微小移動装置によれば、従来の微小移動装置に比べてガイド性能の改善が図れる。
また、本実施形態に係る位置決め装置としてのX−Y移動テーブルによれば、コンパクトな構造で高精度なガイド駆動を実現することができるようになる。
また、変形例として本実施形態に係る微小移動装置は、ガイドベース28にスペーサ8、9及び10が埋め込まれるとともに、移動体27の底面にV溝及び平面部が形成されるように構成されてもよい。このように上下が反転した構造を用いても、この変形例に係る微小移動装置及び位置決め装置によれば、上記効果と同様の効果を得ることができる。
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。第4の実施形態の微小移動装置26aでは、左側のV溝ガイド部12に球体形状のスペーサ8、9が設けられ、右側の平面ガイド部11にも球体形状のスペーサ10が設けられていた。この微小移動装置26aは、V溝ガイド部12に円筒形状のスペーサを設け且つ平面ガイド部11に球体形状のスペーサを設ける配置、V溝ガイド部12及び平面ガイド部11の双方に円筒形状のスペーサを設ける配置、又はV溝ガイド部12に球体形状のスペーサを設け且つ平面ガイド部11に円筒形状のスペーサを設ける配置を用いることができる。
また、永久磁石31及び32が移動体27及びガイドベース28の双方に対向配置された構成を示したが、永久磁石31及び32のうちの何れか一方を強磁性体製の部材に置き換えることができる。
上記実施形態では平面ガイド部11はガイドベース3上面よりも低い底面を有するものであったが、本発明の実施の形態に係る微小移動装置及び位置決め装置はガイドベース3上面を平面ガイド部としてもよい。
さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1,1a,1b…X−Y移動テーブル(位置決め装置)、2a,2b,19a,19b,22a,22b,26a…微小移動装置、3…ガイドベース(ベース)、4…衝撃力発生手段、5,20,23,27…移動体、6…圧電素子、7…慣性体、8〜10…球体形状スペーサ、11…平面ガイド部、12…V溝ガイド部(溝)、13,14,29,30…分割体、15,31,32…永久磁石(磁力発生手段)、16,17…第一磁極部、18…第二磁極部、21,24,25…円筒形状スペーサ。
Claims (8)
- 少なくとも一部に磁性体を含むベースと、
このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、
この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、
前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、
前記平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、
前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられて、少なくとも一部に磁性体を含む移動体と、
この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、
前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備えたことを特徴とする微小移動装置。 - 前記第1のスペーサは球体形状又は円筒形状であり、前記第2のスペーサは球体形状又は円筒形状であることを特徴とする請求項1記載の微小移動装置。
- 前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサのうちの円筒形状である第1のスペーサ又は第2のスペーサは、強磁性体からなることを特徴とする請求項2記載の微小移動装置。
- 前記第1のスペーサは、それぞれが前記溝ガイド部に沿って離間して配置された2つ以上のスペーサから構成されて、これらの2つ以上のスペーサはこの溝ガイド部に沿って摺動可能にされたことを特徴とする請求項1記載の微小移動装置。
- 前記磁力発生手段は、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサの間に配設されたことを特徴とする請求項1記載の微小移動装置。
- ベースと、
このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、
この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、
前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、
前記平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、
前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられた移動体と、
この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、
それぞれが対向して前記移動体と前記ベースとに設けられて、前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備えたことを特徴とする微小移動装置。 - 第1の微小移動装置と、
第2の微小移動装置と、を備え、
前記第1の微小移動装置及び前記第2の微小移動装置は、
少なくとも一部に磁性体を含むベースと、
このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、
この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、
前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、
前記平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、
前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられて、少なくとも一部に磁性体を含む移動体と、
この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、
前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備え、
前記第1の微小移動装置と前記第2の微小移動装置とはそれぞれの溝ガイド部の溝方向が交叉するように配置され、且つ前記第1の微小移動装置の前記ベースと前記第2の微小移動装置の前記移動体とが固定され、前記第1の微小移動装置が前記第2の微小移動装置のベース上で移動することを特徴とする位置決め装置。 - 第1の微小移動装置と、
第2の微小移動装置と、を備え、
前記第1の微小移動装置及び前記第2の微小移動装置は、
ベースと、
このベース上面に形成されたほぼ直線状の溝からなる溝ガイド部と、
この溝ガイド部に平行に形成された前記ベース上面の平面ガイド部または前記ベース上面よりも低い底面を有する平面ガイド部と、
前記溝ガイド部内を摺動可能に設けられた第1のスペーサと、
前記平面ガイド部内を摺動可能に設けられた第2のスペーサと、
前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに固定され、前記ベース上面に設けられた移動体と、
この移動体に衝撃力を付与することにより、この移動体を前記ベース面上で移動させる衝撃力発生手段と、
それぞれが対向して前記移動体と前記ベースとに設けられて、前記移動体と前記ベースとを相互に吸引させる磁力を発生する磁力発生手段と、を備え、
前記第1の微小移動装置と前記第2の微小移動装置とはそれぞれの溝ガイド部の溝方向が交叉するように配置され、且つ前記第1の微小移動装置の前記ベースと前記第2の微小移動装置の前記移動体とが固定され、前記第1の微小移動装置が前記第2の微小移動装置の前記ベース上で移動することを特徴とする位置決め装置。
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2007
- 2007-12-11 JP JP2007320017A patent/JP2009145082A/ja active Pending
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