(A)主たる実施形態
以下、本発明による取引システム及び取引装置の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置を、ATMに適用した例について説明する。
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態の取引システム1000の全体構成について示したブロック図である。
図2は、この実施形態のATM100の機能的構成について示したブロック図である。
図3は、この実施形態のATM100の外観斜視図である。図3(a)は、実施形態のATM100を前面(正面)の方向から見た場合の斜視図である。図3(b)は、実施形態のATM100を後面(背面)の方向から見た場合の斜視図である。
図1に示すように、取引システム1000では、営業店L1、ホストセンタL2、集中監視センタL3、及び保守拠点L4という4つの拠点(4種類の拠点)に分散して装置が配置されている。
取引システム1000では、金融機関の営業店L1に、N台のATM100(100−1〜100−N)が配置されている。なお、取引システム1000において営業店L1や保守拠点L4の数は限定されないものである。また、営業店L1に配置するATM100の数も限定されないものである。
そして、各ATM100は、図1に示すように、ネットワークN1を介してホストセンタL2に配置されたホストコンピュータ200に接続している。ネットワークN1の種類は限定されないものであるが、公衆電話網、ISDN(Integrated Services Digital Network)、デジタル専用回線、IPネットワーク(セキュリティ性の高い網が望ましい)等、既存のATMで用いられる種々の回線を適用することができる。
ATM100は、顧客から取引(例えば、振込取引や預入取引等)を受付けると、その取引の実行依頼(トランザクション処理の依頼)をホストコンピュータ200に送信する。ホストコンピュータ200としては、例えば、既存のATMを用いた取引処理が可能なホストコンピュータを適用することができるため詳しい説明は省略する。
各ATM100は、ネットワークN1とは別系統の営業店内LAN1に接続している。そして、営業店内LAN1上には、モニタ装置300が配置されている。
モニタ装置300は、各ATM100の監視・管理等を行うものである。また、モニタ装置300は、ATM100から受信したログ情報を、ログサーバ500に中継送信する中継装置としても機能するものとする。モニタ装置300としては、例えば、PCやワークステーション等のコンピュータに、ログ情報等を処理するための情報処理プログラム等をインストールすることにより実現することができる。なお、モニタ装置300は、各ATM100から受信したログ情報のファイルを保存するためのログ情報保存フォルダ301と、各ATM100から受信したエラーを管理するエラー履歴データ302と、媒体(CD−R等)にデータを書き込むことが可能なCDドライブ303を有している。
そして、営業店内LAN1には、集中監視センタL3へ接続するためのルータR1が配置されている。そして、ルータR1は、ネットワークN2及び集中監視センタL3のルータR2を介して、集中監視センタL3内の監視用LAN2に接続することができる。すなわち、営業店内LAN1と監視用LAN2とは、ネットワークN2を介して接続している。なお、営業店内LAN1と監視用LAN2との間の接続構成については、上述の例に限定されず、種々のネットワーク構成を適用することができるが、セキュリティ性の高いネットワーク構成が望ましい。例えば、ネットワークN2としては、通信キャリアが提供するセキュリティ性の高いネットワーク回線(例えば、ISDN、デジタル専用回線、フレームリレー回線等)を適用することが望ましい。ただし、通信キャリアが提供するセキュリティ性の高いネットワーク回線は、高コストであるため、多くの場合、監視や保守のためだけに高速回線を適用することはむずかしい。そこで、この実施形態では、ネットワークN2として用いる回線の通信速度は、64kbps程度の通信速度であるものとして説明する。
なお、営業店L1が複数存在する場合には、集中監視センタL3側のルータR2では、それぞれの営業店のルータと通信可能なインタフェースを備える必要がある。
そして、監視用LAN2には、管理端末400、ログサーバ500、及びWebサーバ700が配置されている。
管理端末400は、集中監視センタL3内の監視担当者等が利用する端末であり、各ATM100に対するリモート操作や、ログサーバ500上に蓄積されたログ情報の参照等の処理を行うことが可能である。管理端末400は、例えば、PCやワークステーション等に、ログ情報等を処理するための情報処理プログラム等をインストールすることにより実現することができる。
ログサーバ500は、各ATM100から受信したログ情報等をストレージ600に蓄積する処理等を行うものである。また、ログサーバ500は、各ATM100から受信したエラーを管理するエラー履歴データ501を記憶している。ログサーバ500は、例えば、PCやワークステーション等に、ログ情報等を処理するための情報処理プログラム等をインストールすることにより実現することができる。また、ストレージ600上には、各ATM100から受信したログ情報のファイルを保存するためのログ情報保存フォルダ601が保持されている。
Webサーバ700は、ログサーバ500に蓄積されたログ情報等を、保守拠点L4に配置されたWeb端末800等に参照させるためのWebサーバである。Webサーバ700としては、例えば、既存のWebサーバシステムのプラットフォーム上に、ログサーバ500のデータを参照可能なWeb画面の設定等を加えることにより構築することができる。
そして、Webサーバ700には、監視用LAN2とは別の系統の保守拠点収容LAN3が接続されており、ルータR3、ネットワークN3、及び保守拠点L4内のルータR4を介して、保守拠点内LAN4のWeb端末800と通信することができる。
保守拠点収容LAN3には、直接ATM100と接続することはできない。したがって、ネットワークN3は、ネットワークN2ほどのセキュリティレベルは求められないため、インターネット等のオープンなネットワークを利用するようにしてもよい。ただし、ルータR3、ルータR4には、ファイアーウォールや暗号化通信等のセキュリティ機能に対応したものを適用することが望ましい。
Web端末800は、保守拠点L4の保守担当者が、Webサーバ700を介して、ログサーバ500に蓄積されたログ情報等を参照可能な端末である。Web端末800としては、例えば、WebブラウザがインストールされたPC等を適用することができる。
次に、各ATM100の内部構成について説明する。ここでは、すべてのATM100は同じ構成であるものとして説明する。
ATM100は、図2に示すように制御部10、データ記憶部20、通信部30、カードリーダライタ40、操作表示部50、プリンタ60、通帳処理部70、現金処理部80、及びCDドライブ90を有している。
制御部10は、ATM100内の各部の動作制御や情報処理を行う機能を担っているものであり、取引処理部11及び保守運用処理部12を有している。取引処理部11は、取引に係る処理の機能を担っている。また、保守運用処理部12は、当該ATM100に係る保守運用に係る処理(例えば、エラーやログ情報の処理等)の機能を担っている。
データ記憶部20は、制御部10が情報処理を行うために必要な各種情報等を格納するデータ記憶手段であり、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成することができる。なお、この実施形態では、データ記憶部20は、2つのハードディスクドライブによるミラーリング構成(RAID0の構成)となっているものとする。
制御部10は、例えば、プロセッサ等を含むプログラムの実施構成(コンピュータ)に取引処理部11に対応する取引プログラムや、保守運用処理部12に対応する情報処理プログラム等をインストールすることにより実現することができる。例えば、ATM100では、上述の各プログラムを、データ記憶部20に記憶しておき、起動したときに、読み込んで実行するようにしても良い。
通信部30は、ネットワークN1や営業店内LAN1に接続するためのネットワークインタフェースである。なお、通信部30については、既存のATM等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
カードリーダライタ40は、顧客からカード挿入排出口401に挿入されたキャッシュカードのデータ読取等を行うものである。なお、カードリーダライタ40は、既存のATM等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
プリンタ60は、伝票用紙に取引内容を印字して伝票排出部601から排出したり、ジャーナル用紙に取引履歴等を印字するものである。なお、プリンタ60自体は、既存のATM等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
通帳処理部70は、顧客から通帳挿入排出口701に挿入された通帳の処理(通帳への取引結果の印字等)や、収納している新品の通帳の処理(例えば、処理中の通帳のページが全て印字されて埋まった場合に、新品の通帳に印字して排出する処理等)を行うものである。なお、通帳処理部70は、既存のATM等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
現金処理部80は、顧客から入金された現金(紙幣及び又は硬貨)を収納する機能と、ATM100に収納されている現金を顧客に出金する機能を担っている。この実施形態では、現金処理部80は、紙幣入出金口801から紙幣の入出金を行い、硬貨入出金口802から硬貨の入出金を行うことが可能となっている。なお、現金処理部80は、既存のATM等と同様のものを適用することができるため詳しい説明を省略する。
操作表示部50は、当該ATM100のユーザインタフェース機能を担っている。具体的には、操作表示部50は、主として顧客からの取引操作を受付ける操作画面を表示するための前面操作表示部51と、主として営業店の係員や保守担当者が保守運用作業の際に利用する後面操作表示部52とを有している。前面操作表示部51及び後面操作表示部52は、タッチパネルディスプレイ等を用いて、ユーザに操作画面を提示するとともに、ユーザからの操作受付を行うことが可能なデバイスである。図3に示すように、前面操作表示部51は、ATM100の前面側(正面)に配置されており、後面操作表示部52はATM100の後面(背面)に配置された扉P1につけられている。ATM100では、この扉P1を開くことにより、営業店の係員や保守担当者等が、内部の各ハードウェアにアクセスすることが可能となっているものとする。
また、後面操作表示部52では、通常時表示する操作画面(デフォルトで表示する操作画面)として、当該ATM100の現在の状態等の概要(サマリ)を表示する操作画面(以下、「モニタ画面」と呼ぶ)を表示するものとする。モニタ画面では、現在の当該ATM100の状態の概要についてイラスト等を用いて表示している。
例えば、ATM100では、モニタ画面として図4に示すような操作画面を表示するようにしてもよい。例えば、図4に示すフィールドF101では、プリンタ60の搬送路の状態、伝票やジャーナルを印刷する用紙の装填状況・残量、カードリーダライタ40におけるキャッシュカードの残留等について視覚的に表した内容となっている。また、フィールドF102では、現金処理部80に収納されている紙幣の残量(紙幣スタッカの残量)や紙幣搬送路(ベルトやローラ等)の状況等を視覚的に表した内容となっている。さらに、フィールドF103では、データ記憶部20のハードディスクの運転状況等について、視覚的に表している。図4では、障害の発生したハードディスクドライブのシンボルに、障害発生を示すバツ印を付記している。さらに、フィールドF104では、通帳処理部70における新品の通帳の残量、印字用のリボンの装填状況等について視覚的に表した内容となっている。さらにまた、フィールドF105では、現金処理部80に収納されている硬貨の残量(硬貨スタッカの残量)や硬貨搬送路(ベルトやローラ等)の状況等を視覚的(目盛表示)に表した内容となっている。また、フィールドF106では、現在当該ATM100で発生している障害に係る情報(エラーの内容等)や、実行中の取引の進行状況等をメッセージ表示(文字表示)している。
なお、モニタ画面の構成については、上述の例に限定されず既存のATMの種々の構成を適用することができるため、詳しい説明を省略する。
次に、ATM100のデータ記憶部20に格納される各情報について説明する。
なお、ATM100に搭載するコンピュータ(主として制御部10及びデータ記憶部20)のプラットフォーム(OS)は限定されないものであるが、以下では例として、Windows(登録商標)系のOSが適用されるものとして説明する。したがって、データ記憶部20は、FAT32(File Allocation Tables 32)やNTFS(NT File System)等のファイルシステム上に、所定のディレクトリ構成のファイルが保存されることになる。
データ記憶部20には、エラー処理定義データ21、ログ取得方法定義データ22、ログ送信方法定義データ23、workフォルダ24、圧縮フォルダ25、ログ出力フォルダ26、及びエラー履歴データ27の情報が記憶される。
ログ出力フォルダ26は、制御部10が情報処理の過程で出力するログファイル等を保存するためのフォルダである。ログ出力フォルダ26内の構成(ディレクトリ構造等)は、限定されないものであるが、ここでは例として「c:\dat\」というディレクトリの配下がログ出力フォルダ26であるものとして説明する。なお、ログ出力フォルダ26の構成は、既存のATMの種々の構成を適用することができおる。
図8は、workフォルダ24の構造について示した説明図である。
図8に示すようにworkフォルダ24では、当該ATM100でエラーが発生するごとに、対応する1つのディレクトリ(以下、「ログファイル格納ディレクトリ」と呼ぶ)を生成する。例えば、同時刻に複数のエラーが発生した場合でも、保守運用処理部12は、複数のエラーそれぞれに対応したログファイル格納ディレクトリをworkフォルダ24に生成して、保持したログ情報を格納する。
そして、図8に示すようにworkフォルダ24内では、各ログファイル格納ディレクトリのディレクトリ名がユニークとなる必要がある。この実施形態では、ログファイル格納ディレクトリのディレクトリ名には、当該エラーの発生日時の文字列と、当該エラーの識別子(以下、「エラーID」と呼ぶ)の文字列が含まれるものとする。例えば、エラー発生日時が「2012年10月28日15時30分」、エラーIDが「1001」の場合には、当該エラーに係るログファイル格納ディレクトリのディレクトリ名は「201210281530-1001」となるものとする。
そして、それぞれのログファイル格納ディレクトリには、後述する処理により生成される画像データファイル(モニタ画面のキャプチャ画像;ファイル名が「iop.jpg」のファイル)や、画像データファイル以外のログファイル(拡張子が、「txt」や「log」のファイル)が格納される。なお、エラーごとにログファイル格納ディレクトリに格納されるファイルの種類や数は異なる場合がある。
そして、保守運用処理部12は、必要に応じて、workフォルダ24内の各ログファイル格納ディレクトリに格納されたファイルについて、圧縮して圧縮フォルダ25に格納する。
図9は、圧縮フォルダ25の構造について示した説明図である。
圧縮フォルダ25では、ログファイル格納ディレクトリごとに、画像データファイル(モニタ画面のキャプチャ画像)と、画像データファイル以外のファイルをまとめて圧縮した圧縮ファイルが格納される。ここでは、圧縮フォルダ25には、CAB形式によりログファイルが圧縮されるものとして説明する。なお、画像データファイルの内容は、圧縮処理されずログファイル格納ディレクトリのデータと同じ内容となる(ただしファイル名が異なる)。
圧縮フォルダ25では、画像データファイル及び圧縮ファイルのファイル名に、ログファイル格納ディレクトリのディレクトリ名の文字列と、当該ATM100が配置された営業店の識別子(以下、「店番号」と呼ぶ)の文字列と、当該ATM100の当該営業店内での識別子(以下、「機番号」と呼ぶ)の文字列が含まれるものとする。
例えば、当該ATM100が設置された営業店の店番号が「0001」、当該ATM100の機番号が「0001」である場合には、圧縮ファイルのファイル名は、「0001_0001_201210281530-1001.cab」となり、画像データファイルのファイル名は「0001_0001_201210281530-1001.jpg」となる。なお、元となるログファイル格納ディレクトリに、画像データファイルが存在しない場合には、当然、圧縮フォルダ25にも当該ログファイル格納ディレクトリに係る画像データファイルはコピーされないことになる。
圧縮フォルダ25におけるファイル名は、取引システム1000全体でユニークなファイル名となれば、その具体的なネーミングルール等は限定されないものである。
次に、エラー処理定義データ21の内容について説明する。エラー処理定義データ21では、エラーIDごとに、当該エラーが発生した場合の処理内容(主としてログ情報の処理)を定義している。
図5に示すように、エラー処理定義データ21には、エラーIDごとに、分類、エラー内容、必要度、画面通知、対象ログ、ログ送信方法の項目が設定されている。
エラー処理定義データ21において、「分類」の項目は、当該エラーの分類(例えば、当該エラーの発生元のデバイス等)を示している。
エラー処理定義データ21において、「エラー内容」の項目は、当該エラーの概要を示している。
エラー処理定義データ21において、「必要度」の項目は、同時に複数の障害が発生した場合の処理の優先度を数値化したパラメータである。必要度の数値が大きい程、保守作業(例えば、発生した障害にログ情報の解析等)が必要な度合いが高いことを表すものとする。
エラー処理定義データ21において、「画面通知」の項目は、現在後面操作表示部52に表示されているモニタ画面をキャプチャして画像データファイルとしてworkフォルダ24に保存するか否かを示している。ここでは、画面通知の項目が「0」のエラーが発生した場合、保守運用処理部12は、モニタ画面の画像データファイルの取得・保存を行わないものとする。また、画面通知の項目が「1」のエラーが発生した場合、保守運用処理部12は、モニタ画面の画像データファイルをログ情報の一部として、workフォルダ24内の対応するログファイル格納ディレクトリに保存するものとする。
保守運用処理部12が、モニタ画面をキャプチャする構成については限定されないものであるが、ここでは、ATM100ではWindowsのプラットフォームが採用されているので、Windowsの「PrintScreen」の機能(例えば、キーボード上のPrintScreenボタンを押下した場合に実行される処理と同様の処理)によりモニタ画面をキャプチャするものとする。そして、保守運用処理部12は、その画像データを、JPEG形式のファイルとして所定のフォルダに格納するものとする。
エラー処理定義データ21において、「対象ログ」の項目は、当該エラーの発生に際して取得する必要があるログファイルの取得方法を定義している。
対象ログの項目に、ログファイルのファイル名(例えば、図5の「C:\dat\OSLOG1.log」等)が設定されている場合には、当該エラーが発生した場合、保守運用処理部12はそのファイル名のログファイルを取得して、workフォルダ24内の対応するログファイル格納ディレクトリにコピーすることを示している。
また、対象ログの項目に、「パターンA、B、C…」といった識別子(以下、「パターンID」と呼ぶ)が設定されている場合には、保守運用処理部12は、ログ取得方法定義データ22を参照して、そのパターンIDに対応する処理を行う。以下では、例えば、「パターンA」と表記した場合には、パターンIDが「A」のログ取得方法を示しているものとする。
図6は、ログ送信方法定義データ23の構成例について示した説明図である。
ログ送信方法定義データ23には、図6に示す通り、パターンIDごとに、対象ログパターン名、処理内容の項目の情報が設定されている。
ログ送信方法定義データ23において、「対象ログパターン名」の項目は、当該パターンIDに対応するログファイルの概要を示している。
ログ送信方法定義データ23において、「処理内容」の項目は、当該パターンIDに対応するログファイルの取得方法を示している。例えば、パターンAの処理内容としては「AAA.BATを実行」となっているため、「AAA.BAT」というバッチファイル(Windows上のMS−DOSコマンドラインで実行可能なバッチファイル)を実行し、出力されるデータ(その時点の当該ATMの状態を示すデータ等)をログファイルとして取得することを示している。この場合、「AAA.BAT」というバッチファイルを実行することにより、パターンAに対応するログファイルが得られることを示している。このように、保守運用処理部12は、ログ取得方法定義データ22の内容に従って、バッチファイル等の実行ファイルを実行することにより、当該ATM100の状態等に係るログファイルを取得することができる。保守運用処理部12がログファイルを取得するために実行するバッチファイル等の実行ファイルの内容については、既存のATMにおける種々の構成(例えば、自己診断ツールやログファイル取得プログラム等)を適用することができるため詳しい説明を省略する。
図6のログ取得方法定義データ22で、パターンIDが空欄「−」の行には、処理内容として「指定したパスのログをコピー」と記載されている。これは、エラー処理定義データ21の対象ログの項目にログファイルのファイル名が設定されていた場合の処理内容(ログファイルのコピー)について示している。
エラー処理定義データ21において、「ログ送信方法」の項目は、当該エラーに係るログ情報の処理方法について示している。
ログ送信方法の項目には、当該エラーに係る処理内容を示すコード番号が設定される。そして、ログ送信方法定義データ23には、そのコード番号ごとに対応する、処理内容が定義されている。
図7は、ログ送信方法定義データ23の内容例について示した説明図である。
例えば、コード番号が「0」に対応する処理内容は「何もしない」であり、当該エラーに係るログファイルはそのまま(workフォルダ24に保存したまま)であることを示している。
また、コード番号が「1」に対応する処理内容は「圧縮フォルダに対象ログ退避」であり、当該エラーに対応するログファイル格納ディレクトリ内のファイルを圧縮して、圧縮フォルダ25内に格納することを示している。
さらに、コード番号が「2」に対応する処理内容は「圧縮フォルダ、及びモニタ装置に対象ログを退避」であり、当該エラーに対応するログファイル格納ディレクトリ内のファイルを圧縮して、圧縮フォルダ25内に格納し、さらに、モニタ装置300に送信することを示している。
さらにまた、コード番号が「3」に対応する処理内容は「圧縮フォルダ、モニタ装置、及びログサーバに対象ログを退避」であり、当該エラーに対応するログファイル格納ディレクトリ内のファイルを圧縮して、圧縮フォルダ25内に格納し、さらに、モニタ装置300及びログサーバ500に送信することを示している。
エラー履歴データ27は、図11に示すように1つのエラーについて1行のデータで表されている。そして、エラー履歴データ27では、それぞれのエラーについて、エラー発生日時、エラーID、ログサーバ送信、モニタ装置送信、ログファイルサイズの項目の情報が設定されている。なお、エラー履歴データ27では、その他の情報についても追加するようにしてもよい。
エラー履歴データ27における「ログサーバ送信」の項目は当該エラーに係るログ情報(画像データファイル、及び圧縮ファイル)の、ログサーバ500への送信状況について示している。ログサーバ送信の項目には、「未送信」、「送信済」、「送信不可」のいずれかが設定される。「ログサーバ送信」が「送信不可」の場合、当該エラーに係るログファイルは、ログサーバ500へ送信できないことを示している。保守運用処理部12は、ログサーバ500にログ情報を送信するときに、当該ログ情報を構成する圧縮ファイル(ログファイル)のファイルサイズが所定以上の場合に送信不可と判断し、画像データファイルのみを送信する。ここでは、保守運用処理部12は、圧縮ファイル(ログファイル)のサイズが20MB以上の場合に、当該圧縮ファイル(ログファイル)については送信不可と判断するものとする。なお、保守運用処理部12は、通信エラー等により圧縮ファイル(ログファイル)が送信できない場合(送信失敗した場合)にも送信不可と判断するようにしてもよい。
エラー履歴データ27における「モニタ装置送信」の項目は当該エラーに係るログ情報(画像データファイル、及び圧縮ファイル)を、モニタ装置300に送信したか否か(「未送信」又は「送信済」のいずれか)を示す。
エラー履歴データ27における「ログファイルサイズ」の項目は当該エラーに係るログ情報を構成する圧縮ファイル(ログファイル)のファイルサイズを示している。
次に、モニタ装置300及びログサーバ500における、ログ情報保存フォルダ301及びログ情報保存フォルダ601の構造について図10を用いて説明する。
モニタ装置300は、ATM100からログ情報を構成するファイル(圧縮ファイル及び又は画像データファイル)を受信すると、ログ情報保存フォルダ301に保存する。また、ログサーバ500は、ATM100からログ情報を構成するファイルを受信すると、ストレージ600のログ情報保存フォルダ601に保存する。
ログ情報保存フォルダ301及びログ情報保存フォルダ601は、同じ構造となっているため、いずれの構造も図10を用いて説明することができる。
ログ情報保存フォルダ301及びログ情報保存フォルダ601では、ATM100ごとにユニークとなるサブディレクトリを生成して、そのサブディレクトリ内に、当該ATM100から受信したログ情報のファイルを格納する。
ログ情報保存フォルダ301及びログ情報保存フォルダ601では、各サブディレクトリのディレクトリ名には、当該ATM100に係る店番号及び機番号の文字列が含まれている。例えば、店番号が「0001」、機番号が「0001」のATM100に係るサブディレクトリのディレクトリ名は「0001_0001」となる。
次に、エラー履歴データ27の内容について説明する。エラー履歴データ27は、当該ATM100において発生したエラーと、当該エラーに関する処理状況を管理するためのテーブルである。
次に、モニタ装置300が記憶しているエラー履歴データ302の内容例について図12を用いて説明する。
エラー履歴データ302は、当該モニタ装置300と同じ営業店内のATM100で発生したエラーと、当該エラーに関する処理状況を管理するためのテーブルである。
モニタ装置300では、同じ営業店内のATM100(制御部10)から供給される、エラー通知、及び、ログ情報(ログ情報保存フォルダ301に格納されたファイル)に基づいて、エラー履歴データ302を更新する。
エラー履歴データ302は、図12に示すように1つのエラーについて1行のデータで表されている。そして、エラー履歴データ302では、それぞれのエラーについて、店番号、機番号、エラー発生日時、エラーID、ログサーバ送信、ログ情報受信、ログファイルサイズの項目の情報が設定されている。なお、エラー履歴データ302では、その他の情報についても追加するようにしてもよい。
エラー履歴データ302において、「店番号」及び「機番号」の項目は、当該エラーに係るATMの「店番号」及び「機番号」である。
エラー履歴データ302において、「エラー発生日時」の項目は、例えば、ATM100からのエラー通知に含まれる日時としてもよい。
エラー履歴データ302において、「ログサーバ送信」の項目は、当該モニタ装置300から、ログサーバ500への当該エラーに係るログ情報の送信状況について示している。エラー履歴データ302において、ログサーバ送信の項目には、エラー履歴データ27と同様に、「未送信」、「送信済」、「送信不可」のいずれかが設定される。
次に、ログサーバ500(ストレージ600)が記憶しているエラー履歴データ501の内容例について図13を用いて説明する。
エラー履歴データ501は、取引システム1000内のATM100で発生したエラーと、当該エラーに関する処理状況を管理するためのテーブルである。
ログサーバ500では、ATM100(制御部10)から供給される、エラーの通知(エラー通知)、及び、ログ情報(ログ情報保存フォルダ601に格納されたファイル)に基づいて、エラー履歴データ501を更新する。
エラー履歴データ501は、図13に示すように1つのエラーについて1行のデータで表されている。そして、エラー履歴データ501では、それぞれのエラーについて、店番号、機番号、エラー発生日時、エラーID、モニタ画面、ログファイル、ログファイルサイズの項目の情報が設定されている。なお、エラー履歴データ501では、その他の情報についても追加するようにしてもよい。
エラー履歴データ501において、店番号、機番号、エラー発生日時、エラーID、ログファイルサイズの項目は、上述のエラー履歴データ302と同様であるので説明を省略する。
エラー履歴データ501において、「モニタ画面」の項目は、当該エラーに係る画像データファイル(モニタ画面の画像データファイル)の受信状況について示している。モニタ画面の項目には、「未受信」、「受信済」のいずれかが設定される。
エラー履歴データ501における「ログファイル」の項目は、当該エラーに係るログ情報を構成するログファイルの受信状況について示している。ログファイルの項目には、「未受信」、「受信済」、「受信不可」のいずれかが設定される。ログファイルの項目が「受信不可」の場合、送信側のATM100等で送信不可となっていることを示している。なお、ログサーバ500では、エラー履歴データ501のログファイルの項目について、受信不可であるか否かについて、ATM100又はモニタ装置300から通知を受けるようにしてもよい。
以上のように、取引システム1000では、モニタ装置300、ログサーバ500、及びATM100内の圧縮フォルダ25(退避先のフォルダ)が、ログ情報を蓄積(退避)するためのログ情報蓄積手段(装置情報蓄積手段)として機能している。この実施形態では、ログ情報蓄積手段の例として、上述の3種類を挙げているが、ログ情報蓄積手段の種類や数は上述の例に限定されないものである。
また、ATM100では、データ記憶部20が、エラー履歴データ27を記憶する定義情報記憶手段として機能している。さらに、ATM100では、制御部10が、エラー発生時にログ情報を保持するログ情報保持手段(装置情報保持手段)と、ログ情報をログ情報蓄積手段に供給(退避処理や送信処理)するためのログ情報供給手段(装置情報供給手段)として機能している。さらにまた、ATM100では、制御部10及び後面操作表示部52が、モニタ画面を表示出力するための手段(装置状態画像表示出力手段)と、モニタ画像をキャプチャした画像データを取得する手段(装置状態画像データ取得手段)として機能している。また、ATM100では、制御部10及びCDドライブ90が、CD−R等の持ち運び可能な媒体にログ情報を書き込む手段(媒体書込手段)として機能している。さらに、取引システム1000では、ログサーバ500及びWebサーバ700が、Web画面をWeb端末800(端末装置)に提供する手段(操作画面提供手段)として機能している。
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の取引システムの動作を説明する。
(A−2−1)ATM100の動作
まず、ATM100でエラー(障害)が発生した場合の制御部10(保守運用処理部12)が行う処理について図14のフローチャートを用いて説明する。
ATM100の制御部10(保守運用処理部12)では、当該ATM100でエラー(障害)発生を検知すると、まず、workフォルダ24の整理を行う(S101)。制御部10が行うworkフォルダ24の整理内容は限定されないものである。例えば、制御部10は、workフォルダ24内で生成されてから所定期間以上経過したファイルを削除するようにしてもよい。また、例えば、制御部10は、workフォルダ24内の利用容量(格納ファイルの総データ量)が所定の閾値以上となった場合には、workフォルダ24内の利用容量がその閾値以下となるようにファイルを削除(例えば、タイムスタンプの古いファイルから削除)するようにしてもよい。
そして、制御部10は、発生したエラーのうち1つのエラーについて、エラーIDを取得する(S102)。複数のエラーが同時にスタックして(重複して)発生している場合には、制御部10は、スタックしているエラーのうち、必要度(エラー処理定義データ21の必要度の項目)が最も高いエラーIDを取得する。制御部10が、エラーの検知及びエラーIDの取得をする構成については、例えば、既存のATMにおける種々の構成を適用することができるため、詳しい説明は省略する。
そして、制御部10は、エラー処理定義データ21を読み込み、発生したエラーIDに対応するデータ(以下、「処理定義データ」と呼ぶ)を取得する(S103)。
そして、制御部10は、取得した処理定義データから、当該エラーに対応する画面通知の要否を確認する(S104)。そして、制御部10は、画面通知が必要(1)な場合にのみ、現在後面操作表示部52に表示しているモニタ画面の画像を取得し、画像データファイルとして、当該エラーに対応するログファイル格納ディレクトリ(ディレクトリが生成されていない場合は、ディレクトリ生成も行う)に格納する(S105)。
そして、制御部10は、処理定義データの対象ログの項目の設定内容に従った処理を行い、ログファイルを取得する。そして、制御部10は、取得したログファイルを、当該エラーに対応するログファイル格納ディレクトリ(ディレクトリが生成されていない場合は、ディレクトリ生成も行う)に格納する(S106)。
そして、制御部10は、当該エラーが発生したことを、当該ATM100と同一営業店内のモニタ装置300と、ログサーバ500に通知する(S107)。なお、この時制御部10が行うエラー発生の通知には、少なくとも、当該エラーのエラーID、当該ATM100に係る店番号、機番号、及びエラー発生日時が含まれるものとする。なお、制御部10がエラー発生を通知するタイミングについては限定されないものであり、例えば、ログファイル等の処理を行う前であってもよい。
そして、制御部10は、取得した処理定義データのログ送信方法の項目(当該エラーに対応するログ送信方法)を参照する(S108)。
上述のステップS108でログ送信方法の項目が「0」だった場合には、制御部10は、なにもせずに(特にログ情報の圧縮や送信を行わずに)(S109)、後述するステップS113の処理に移行する。
また、上述のステップS108でログ送信方法の項目が「1」だった場合には、制御部10は、当該エラーに係るログファイル格納ディレクトリに格納されたログファイルを圧縮して圧縮ファイルを生成し、モニタ画面の画像ファイルデータとともに、圧縮フォルダ25に、スナップショットとして格納する(S110)。
さらに、上述のステップS108でログ送信方法の項目が「2」だった場合には、制御部10は、当該エラーに係るログファイル格納ディレクトリに格納されたログファイルを圧縮して圧縮ファイルを生成し、モニタ画面の画像ファイルデータとともに、圧縮フォルダ25に、スナップショットとして格納する。そして、制御部10は、生成した圧縮ファイルと画像ファイルデータとを含むログ情報を、モニタ装置300(当該ATM100と同一店舗内のもの)に送信する(S111)。
さらにまた、上述のステップS108でログ送信方法の項目が「3」だった場合には、制御部10は、当該エラーに係るログファイル格納ディレクトリに格納されたログファイルを圧縮して圧縮ファイルを生成し、モニタ画面の画像ファイルデータとともに、圧縮フォルダ25に、スナップショットとして格納する。そして、制御部10は、生成した圧縮ファイルと画像ファイルデータとを含むログ情報を、モニタ装置300(当該ATM100と同一店舗内のもの)及びログサーバ500に送信(S112)して当該エラーに係る処理を終了する。
ただし、制御部10は、ログサーバ500に送信しようとするログ情報を構成する圧縮ファイル(ログファイル)の容量が所定以上(20MB以上)だった場合には、当該ログ情報については、圧縮ファイル(ログファイル)の送信は不可と判定する。そして、制御部10は、存在する場合には画像データファイルのみをログサーバ500に送信して、当該エラーに係る処理を終了する。
そして、制御部10は、上述のステップS109〜S112のいずれかの処理が終了した後、スタックされているエラー(複数同時にエラー発生したが、いまだ未処理のエラー)が残っているか否かを確認する(S113)。そして、制御部10は、スタックされているエラーが残っている場合、上述のステップS102の処理に戻ってスタックされているエラーの処理を開始し、スタックされているエラーが残っていない場合処理を終了する。
(A−2−1)ATM100によるログ情報送信処理の動作
次に、ATM100が、モニタ装置300にだけログ情報を送信する場合(ログ送信方法=2の場合)の動作について図15を用いて説明する。
図15では、まず、ATM100でエラーが発生し(S201)、ログ情報の取得、ログ情報を構成するログファイルの圧縮処理等が行われたものとする(S202)。このステップS202の処理は、上述のステップS101〜S106の処理に対応する。
そして、ATM100から、当該エラーの発生の通知が、当該ATM100と同一営業店内のモニタ装置300と、ログサーバ500に通知される(S203、S204)。このステップS203、S204の処理は、上述のステップS107の処理に対応する。
そして、ATM100では、取得した処理定義データのログ送信方法の項目(当該エラーに対応するログ送信方法)が参照される(S205)。ATM100では、当該エラーに対応するログ送信方法は、「2」に設定されていたものとする。このステップS205の処理は、上述のステップS108の処理に対応する。
そして、ATM100は、当該エラーに対応するログ送信方法に従って、当該エラーに対応するログ情報(圧縮ファイル及び又は画像データファイルを含む)を、モニタ装置300に送信する(S206)。
そして、モニタ装置300では、ATM100からのエラー通知、及び、ログ情報供給に基づいて、エラー履歴データ302の内容が更新される(S207)。
また、ログサーバ500では、ATM100からのエラー通知に基づいて、エラー履歴データ501の内容が更新される(S208)。
次に、ATM100が、モニタ装置300及びログサーバ500にログ情報を送信する場合(ログ送信方法=3の場合)の動作について図16を用いて説明する。
図16では、まず、ATM100でエラーが発生し(S301)、ログ情報の取得、ログ情報を構成するログファイルの圧縮処理等が行われたものとする(S302)。
そして、ATM100から、当該エラーの発生の通知が、当該ATM100と同一営業店内のモニタ装置300と、ログサーバ500に通知される(S303、S304)。
なお、ステップS301〜S304のATM100による処理は、上述の図15のステップS201〜S204と同様である。
そして、ATM100では、取得した処理定義データのログ送信方法の項目(当該エラーに対応するログ送信方法)が参照される(S305)。ATM100では、当該エラーに対応するログ送信方法は、「3」に設定されていたものとする。
そして、ATM100は、当該エラーに対応するログ情報(圧縮ファイル及び又は画像データファイルを含む)を、モニタ装置300に送信する(S306)。
そして、ATM100は、当該エラーに対応するログ情報の収集を、ログサーバ500に要求する(S307)。そして、ログサーバ500では、当該ATM100からの要求に従って、ログ収集に応答し、ATM100からのログ情報の供給を受付ける(S308)。
ATM100からログサーバ500へログ情報を送信する場合の手順については限定されないものであるが、この実施形態のログサーバ500では、図16に示すように、ATM100からログ収集に依頼を受付けて、当該ATM100に係るログ収集のタイミングをスケジューリングした後に収集を行うものとする。これは、ログサーバ500側では、多数のATM100からのログ情報送信が輻輳しないようにスケジューリングするための処理である。なお、各ATM100からログサーバ500へのログ情報送信をスケジューリングする方法は、これに限定されず、種々のスケジューリングのアルゴリズムを適用することができる。
そして、モニタ装置300では、ATM100からのエラー通知、及び、ログ情報供給に基づいて、エラー履歴データ302の内容が更新される(S309)。
そして、ログサーバ500では、ATM100からのエラー通知、及び、ログ情報供給に基づいて、エラー履歴データ501の内容が更新される(S310)。
(A−2−2)Web端末800による情報参照について
次に、保守拠点L4のWeb端末800で、ログ情報等が参照される処理の動作について説明する。
例えば、保守拠点L4の保守担当者が、あるAT100で障害が発生したことを、集中監視センタL3の監視担当者等から聞いた場合、その保守担当者は、Web端末800を用いて、当該ATM100に関するログ情報等を参照する。
図17は、保守拠点L4のWeb端末800で、Webサーバ700を介してログサーバ500に蓄積されたログ情報等が参照される処理の動作について示したシーケンス図である。
まず、保守担当者により、Web端末800が操作され、Webブラウザにより、Webサーバ700にアクセスするための所定のURLへのアクセス(HTTPによるアクセス)が実行されたものとする(S401)。
そして、Webサーバ700では、Web端末800からの所定のURLに対するアクセスがされると、ログサーバ500からエラー履歴データ501を取得する(S402)。このとき、Webサーバ700は、エラー履歴データ501の全てのデータを取得するようにしてもよいし、直近に発生したエラー(例えば、1時間前までに発生したエラー等)に関する情報や、Web端末800からのリクエスト(例えば、指定URLに付加された文字列等に基づくリクエスト)に基づいて、特定のATM100に関するエラー情報だけを抽出して取得するようにしてもよい。
ログサーバ500からWebサーバ700へ、エラー履歴データ501のデータを供給する構成については限定されないものであり、例えば、データベースの機能を用いたデータ供給(例えば、SQL文によるデータリクエストに応答するデータ供給)を行うようにしてもよい。
そして、Webサーバ700は、エラー履歴データ501の一部又は全部のデータを取得すると、そのエラー履歴データ501に基づいたWeb画面(以下、「エラー参照Web画面」と呼ぶ)のデータ(HTML形式等のデータ)を生成して、Web端末800に送信(HTTPによる送信)する(S403)。そして、Web端末800では、Webサーバ700から供給されたデータに基づいて、エラー参照Web画面が表示される。
図18は、エラー参照Web画面の構成例について示した説明図である。
エラー参照Web画面は、図18に示す通り、エラーの発生状況を参照可能なテーブル形式の画面であり、各項目(各列)の内容は、エラー履歴データ501(上述の図13)とほぼ共通している。
なお、図18のエラー参照Web画面は、図13に示すエラー履歴データ501に基づいた内容となっている。以下では、エラー参照Web画面について、エラー履歴データ501の構成との差異を説明する。
図18に示すように、エラー参照Web画面において、「モニタ画面」の項目には、空欄(ブランク)又は「参照」という文字のハイパーリンクが表示される。エラー参照Web画面において、モニタ画面の項目に「参照」という文字のハイパーリンクが表示されているエラーについては、ログサーバ500に当該エラーに対応するモニタ画面の画像データファイルが保持されている(エラー履歴データ501においてモニタ画面の項目が受信済になっている)ことを示している。保守担当者等により、いずれかのエラーに係るモニタ画面のハイパーリンク(「参照」と表示されたハイパーリンク)が選択(クリック)されると、Web端末800は、Webサーバ700に対して、当該ハイパーリンクに対応する画像データファイル(当該エラーに対応するモニタ画面の画像データファイル)をリクエストを送信(操作信号を送信)することになる。
図18に示すように、エラー参照Web画面において、「ログ取得可否」の項目には、空欄(ブランク)、「可(XMB)」という文字列のハイパーリンク(Xは対応するログファイルサイズ)、又は「現地で収集が必要(XMB)」という文字列(Xは対応するログファイルサイズ)が表示される。
エラー参照Web画面において、ログ取得可否の項目に「可(XMB)」という文字列のハイパーリンクが表示されている場合には、当該エラーについては、ログサーバ500でログファイルが保持されており、ダウンロード可能な状態であること(エラー履歴データ501において「ログファイル」の項目が「受信済」となっていること)を示している。
また、エラー参照Web画面において、「ログ取得可否」の項目に「現地で収集が必要(XMB)」という文字列が表示されている場合には、当該エラーについては、当該ATM100にログファイルの圧縮ファイルが退避されているが容量制限等により送信不可であったこと(エラー履歴データ501において「ログファイル」の項目が「受信不可」となっていること)を示している。
さらに、エラー参照Web画面において、「ログ取得可否」の項目が空欄の場合には、当該エラーのログファイルについては未受信であること(エラー履歴データ501において「ログファイル」の項目が「未受信」となっていること)を示している。
保守担当者等により、いずれかのエラーに係る「ログ取得可否」のハイパーリンク(「可(XMB)」と表示されたハイパーリンク)が選択(クリック)されると、Web端末800は、Webサーバ700に対して、当該ハイパーリンクに対応するログファイル(当該エラーに対応する圧縮ファイル)をリクエストすることになる。
なお、図18に示すモニタ画面又はログ取得可否の項目のハイパーリンクには、それぞれ、対応するファイル(画像データファイル又は圧縮ファイル)のファイル名(ログ情報保存フォルダ601におけるファイル名)がリンクされているものとする。Webサーバ700は、例えば、エラー履歴データ501の内容(店番号、機番号、エラー発生日時等)に基づいて、各ファイルのファイル名を生成してハイパーリンクのリンク先に設定するようにしてもよい。また、ログサーバ500からWebサーバ700に、エラー履歴データ302と共に、各ファイルのファイル名を供給するようにしてもよい。
そして、図18に示すようなエラー参照Web画面で、いずれかのハイパーリンク(モニタ画面又はログ取得可否の項目のハイパーリンク)が選択(クリック)されると、Web端末800(Webブラウザ)は、Webサーバ700に対して、当該ハイパーリンクに対応するデータ(画像データファイル、又は、ログファイルの圧縮ファイル)のダウンロードをリクエストする(S404)。
そして、Webサーバ700は、Web端末800(Webブラウザ)からリクエストを受けたファイル(画像データファイル、又は、ログファイルの圧縮ファイル)を、ログサーバ500からダウンロードする(S405)。
そして、Webサーバ700は、Web端末800(Webブラウザ)に取得したファイルを送信する(S406)。そして、Webサーバ700からファイル(ログファイル又は画像データファイル)を受信したWeb端末800(Webブラウザ)では、当該ファイルの内容の表示処理等が行われることになる。
例えば、ダウンロードしたファイルが画像データファイルであれば、Web端末800(Webブラウザ)は、当該画像データファイルを表示したウィンドウをポップアップするようにしてもよい。また、例えば、ダウンロードしたファイルが圧縮ファイルである場合には、当該圧縮ファイルを解凍する処理等を行って、ログファイルの参照が可能な状態とするようにしてもよい。
(A−2−3)ATM100におけるエラー管理
次に、ATM100を保守担当者等が直接操作し、ログファイル(圧縮ファイル)を直接取得(CD−Rにダウンロード)する処理等のエラー管理について説明する。
ATM100(制御部10)では、後面操作表示部52に対する操作に応じて、当該ATM100で発生したエラーに関する情報表示、及び、ログ情報に関する処理を受付けるための操作画面(以下、「ATMエラー管理画面」と呼ぶ)を表示する。
図19は、ATMエラー管理画面の内容例について示した説明図である。
なお、図19のATMエラー管理画面は、図11に示すエラー履歴データ27に基づいた内容となっている。以下では、ATMエラー管理画面について、エラー履歴データ27の構成との差異を説明する。
「ログサーバ送信」の項目について、エラー履歴データ27で「未送信」となっていた部分が、ATMエラー管理画面では「実行」と表示された実行ボタン(オブジェクト)に置き換わっている。ATMエラー管理画面で、いずれかのエラーに対応するログサーバ送信の項目の実行ボタンが押下されると、制御部10(保守運用処理部12)は、当該エラーに対応するログ情報(圧縮ファイル及び又は画像データファイル)をログサーバ500に送信する処理(上述のステップS307、S308と同様の処理)を行う。
「モニタ装置送信」の項目について、エラー履歴データ27で「未送信」となっていた部分が、ATMエラー管理画面では実行ボタン(オブジェクト)に置き換わっている。ATMエラー管理画面で、いずれかのエラーに対応するモニタ装置送信の項目の実行ボタンが押下されると、制御部10(保守運用処理部12)は、当該エラーに対応するログ情報(圧縮ファイル及び又は画像データファイル)をモニタ装置300に送信する処理(上述のステップS306と同様の処理)を行う。
ATMエラー管理画面では、エラー履歴データ27と比較すると、「媒体出力」の項目が追加されている。それぞれのエラーに対応する媒体出力の項目には、実行ボタン(オブジェクト)が表示されている。ATMエラー管理画面で、いずれかのエラーに対応する媒体出力の項目の実行ボタンが押下されると、制御部10(保守運用処理部12)は、当該エラーに対応するログ情報(圧縮ファイル及び又は画像データファイル)を、CDドライブ303にセットされた媒体(CD−R)に追加書込みする処理を行う。制御部10(保守運用処理部12)は、CDドライブ303にセットされた媒体の残り容量が許す限り、複数のエラーのエラー情報を書き込むことができる。
なお、ATMエラー管理画面で、ログ情報が圧縮フォルダ25に退避されていないエラー(ログ送信方法が「0」のエラー)について実行ボタンが押下された場合には、ATM100の制御部10は、当該エラーのログ情報について圧縮処理及び圧縮フォルダ25への退避を行った上で、媒体出力や送信処理を行う。ただし、実行ボタンが押下された時点で、当該エラーに係るログ情報のファイルがworkフォルダ24に格納されていない場合には、ATM100の制御部10は、実行不可である旨のメッセージ出力等を行うようにしてもよい。
以上のように、保守担当者は、ATM100を操作することにより、大容量のログ情報であってもCD−R等の媒体を用いて取得することができる。
(A−2−4)モニタ装置300におけるエラー管理
次に、モニタ装置300を保守担当者等が直接操作し、ログファイル(圧縮ファイル)を直接取得(CD−Rにダウンロード)する処理等のエラー管理について説明する。
モニタ装置300では、ユーザの操作に応じて、当該モニタ装置300と同じ営業店のATM100で発生したエラーに関する情報表示、及び、ログ情報に関する処理を受付けるための操作画面(以下、「モニタ装置エラー管理画面」と呼ぶ)をディスプレイに表示する。
図20は、モニタ装置エラー管理画面の内容例について示した説明図である。
なお、図20のモニタ装置エラー管理画面は、図12に示すエラー履歴データ302に基づいた内容となっている。以下では、モニタ装置エラー管理画面について、エラー履歴データ302の構成との差異を説明する。
モニタ装置エラー管理画面の「ログサーバ送信」の項目では、ログ情報が受信済のエラーのうち、当該モニタ装置300からログサーバ500へ未送信のエラーについて、「実行」と表示された実行ボタン(オブジェクト)が表示される。モニタ装置エラー管理画面で、いずれかのエラーに対応するログサーバ送信の項目の実行ボタンが押下されると、モニタ装置300は、当該エラーに対応するログ情報(圧縮ファイル及び又は画像データファイル)をログサーバ500に送信する処理を行う。なお、モニタ装置300からログサーバ500へログ情報を送信する処理は、例えば、ATM100の場合の処理(上述のステップS307、S308の処理)と同様の処理により行うことができる。
モニタ装置エラー管理画面では、エラー履歴データ302と比較すると、「媒体出力」の項目が追加されている。それぞれのエラーに対応する媒体出力の項目には、ログ情報が受信済のエラーについて、実行ボタン(オブジェクト)が表示されている。モニタ装置エラー管理画面で、いずれかのエラーに対応する媒体出力の項目の実行ボタンが押下されると、モニタ装置300は、当該エラーに対応するログ情報(圧縮ファイル及び又は画像データファイル)を、CDドライブ303にセットされた媒体(CD−R)に追加書込みする処理を行う。
以上のように、保守担当者は、モニタ装置300を操作することにより、大容量のログ情報であってもCD−R等の媒体を用いて取得することができる。
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
(A−3−1)従来のシステムでは、ATMで障害が発生した場合に、保守担当者は、過去の経験やマニュアルに基づいて、当該ATMから取得する必要のあるログ情報の内容を判断しなければならない場合があった。また、設計・開発部門に必要なログを確認することが必要な場合もある。そのため、従来のシステムでは、ATMの障害に対応する際に、事前に障害解析を行う担当者に、必要なログ情報をわたすまでに時間がかかるために、障害復旧に遅れが生じる場合があった。
これに対してこの実施形態では、ATM100で障害発生(エラー発生)と同時に、ログ情報をエラー処理定義データ21に従って退避し、保守担当者等が使用するWeb端末800からアクセス可能としている。これにより、保守担当者等は、即座にATM100のログ情報を取得して、障害解析に取り掛かることができる。
なお、ATM100の障害解析だけを行う担当者(例えば、開発担当者等)が居る拠点にも保守拠点L4と同様のWeb端末を配置して、障害解析の担当者にエラー参照Web画面を参照させるようにしてもよい。
(A−3−2)従来のシステムを利用する場合、ATMでの障害発生時に、保守担当者等から、営業店の係員や集中監視センタの監視担当者へのヒアリングだけでは、ATMから取得すべきログ情報の内容がしぼりこめない場合があった。一方、取得可能な全てのログ情報を取得する場合、そのログ情報の内容は膨大となり、保守担当者がオンサイトでCD−R等の媒体で取得する必要があった。すなわち、この場合、保守担当者はログ情報の解析のためだけに現場(障害発生したATMの設置場所)まで移動する必要があり、結果として障害復旧が遅れてしまう場合があった。また、膨大なログの中から必要なログを抽出し、原因を搾り込む必要がある為、障害解析にも時間がかかり、更に障害復旧が遅れる要因となる場合があった。
これに対して、この実施形態のATM100は、エラー処理定義データ21に従って、エラーごとに必要なログ情報だけを、ATM100内の退避先(圧縮フォルダ25)、ログサーバ500、及びモニタ装置300等に退避して保管している。これにより、保守担当者は、ATM100で障害が発生した場合、不必要なログ情報まで取得する必要がないため、効率的な障害対応を行うことができる。
(A−3−3)従来のシステムでは、保守担当者がオンサイトでATMからログ取得する場合、現場に移動するまでの時間等がかかるため、当該ATM内で障害解析に必要なログ情報が削除(上書き等)される場合があった。その場合、保守担当者がATMからログ収集しても、必要なログ情報が含まれていないため、解析しても障害解析ができないことになる。
これに対して、この実施形態の取引システム1000では、エラー処理定義データ21に従って、エラーごとに必要なログ情報を、ATM100内の退避先(圧縮フォルダ25)、ログサーバ500、及びモニタ装置300等の複数の退避先に退避することができる。これにより、この実施形態の取引システム1000では、従来のように、時間経過によりATM内で障害解析に必要なログ情報が削除されたりすることがなくなり、確実に障害解析に必要なログ情報を保守担当者等に参照させることができる。
(A−3−4)ATMの障害解析において、障害が発生した時点の装置の状況を正確に且つ簡素に把握することは、対処方法を決定する上で非常に重要である。しかし、ATMの保守担当者にとって、営業店の係員や監視センタの監視担当者からの状況のヒアリングだけでは、情報が不足して不正確となる場合があった。また、ATMの障害発生時の状態を正確に把握するためには、ログ情報の各要素を時系列に整理し、サマリ化する必要がある場合もある。そして、そのようなサマリ化が必要な場合、従来のシステムの環境下では、保守担当者等による作業を多く必要とする場合があった。
これに対して、この実施形態のATM100では、エラー処理定義データ21に従って、エラー発生時点(障害発生時点)のモニタ画面の画像データファイルを取得してログサーバ500にログ情報の一部として供給している。そして、ログサーバ500で蓄積されたその画像データファイルは、Webサーバ700を介して、保守担当者が使用するWeb端末800に出力することができる。これにより、保守担当者は、営業店L2に移動しなくても、障害発生したATM100の状態を端的且つ正確に確認することができる。すなわち、この実施形態の取引システム1000では、迅速に保守担当者等に障害発生時の状態をサマリ化した情報(モニタ画面の画像データファイル)を出力することができ、従来よりも効率的な保守対応が可能となる。
(B)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(B−1)上記の各実施形態では、本発明の取引システム及び取引装置を、金融機関等の取引システム(ATMを用いた取引システム)に適用する例について説明したが、その他の取引システムに適用するようにしても良い。例えば、電子マネー等を顧客の口座にチャージ(入金)する取引や、顧客の口座から電子マネーを引き落として商品(例えば、交通機関等のチケット等)を販売する取引装置を備える取引システムにも適用し得る。
(B−2)上記の実施形態では、Web端末800は、Webサーバ700を介して、ログサーバ500にアクセスしているが直接アクセスする構成としてもよい。すなわち、ログサーバ500自体にWebサーバの機能を追加するようにしてもよい。
(B−3)上記の実施形態では、ATM100では、前面操作表示部51、及び後面操作表示部52)が配置されているが、ATM100に搭載される操作表示部(タッチパネルディスプレイ)の数は限定されないものである。例えば、ATM100において1つの操作表示部しか備えられていない場合は、取引処理部11及び保守運用処理部12で、1つの操作表示部(タッチパネルディスプレイ)を共用することになる。その場合、例えば、制御部10(取引処理部11及び保守運用処理部12)では、2つの画面(例えば、取引用の操作画面及びモニタ画面)の映像信号を出力したままの状態とし、2つの画面のいずれかを切り替えて、1つの操作表示部(タッチパネルディスプレイ)に表示可能な構成としてもよい。そして、例えば、操作表示部(タッチパネルディスプレイ)に、取引処理部11が出力した取引用の操作画面が表示された状態であっても、保守運用処理部12からもモニタ画面の映像信号は出力したままの状態とすることで、制御部10はエラー発生時にモニタ画面をキャプチャして画像データファイルを得ることができる。例えば、ATM100において、いわゆるマルチディスプレイの方式を適用することにより、2つの画面(例えば、取引用の操作画面及びモニタ画面)のいずれかを、一つの操作表示部(タッチパネルディスプレイ)に切替えて表示しつつ、常時モニタ画面のキャプチャが可能な構成とすることができる。
(B−4)ログサーバ500のエラー履歴データ501における、「ログファイル」の項目については、当該エラーに係るログ情報(ログファイル)を受信中の場合に、「収集中」と設定するようにしてもよい。また、Webサーバ700が出力するエラー参照Web画面の「ログ取得可否」の項目についても、同様に「収集中」の表示とするようにしてもよい。
(B−5)上記の実施形態の取引システム1000では、ATM100でエラーが発生した場合のログ情報の処理について説明したが、エラー以外のイベントが発生した場合でも、同様にログ情報の処理を行うようにしてもよい。ATM100で発生するエラー以外のイベントとしては、例えば、ATM100が起動した場合や、再起動した場合等が挙げられる。