JP6001768B2 - NU型及びPI型のバナジウム補償型SISiC単結晶及びその結晶成長方法 - Google Patents

NU型及びPI型のバナジウム補償型SISiC単結晶及びその結晶成長方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化ケイ素単結晶に関し、特に、半導体、電子デバイス及び光電子デバイスにおける用途を目的とする4H及び6Hポリタイプのバナジウム補償型半絶縁性(以下“SI”)SiC単結晶に関する。
定義:本明細書では、以下の定義が用いられる。
ドナー。半導体における不純物であって、伝導帯(以下“CB”)またはバンドギャップにおける他の準位に電子を供与可能なものは、ドナーと称される。
アクセプター。半導体における不純物であって、価電子帯(以下“VB”)またはバンドギャップにおける他の準位から電子を捕獲可能なものは、アクセプターと称される。
浅いドナー。室温にて実質的にイオン化するドナーを、浅いドナーと称する。窒素(N)は、5つの価電子を有する周期表のV族元素である。SiC格子では、NはCの代替となり、4つの電子を供給して4つの隣接するケイ素とイオン性共有結合を形成し、このようにして1つ余分な電子を伴う基底状態となる。この余分な電子の結合エネルギーは約0.08eVであり、したがって、SiCバンドギャップにおけるNのエネルギー準位は、CBよりも約0.08eV低い。結合エネルギーが低いため、NはCBに電子を供与することにより容易にイオン化する。例として、濃度1・1016〜1・1017N原子・cm3のNを含む6H SiC結晶では、約60〜90%のNドナーが室温にてイオン化し、CBにおいておよそ9・1015〜6・1016cm-3の電子を生成する。自由電子に起因する導電率を有する半導体は、n型と称される。
浅いアクセプター。室温にて実質的にイオン化するアクセプターは、浅いアクセプターと称される。ホウ素(B)は、3つの価電子を有する周期表のIII族元素である。SiC格子では、BはSiの代替となり、これら3つの電子を供給して隣接する炭素と結合を形成する。それは共有結合性の正四面体配座を完成させるための電子が1つ不足しており、そのため、軌道上の電子を1つ受容する傾向、すなわちアクセプターとして作用する傾向がある。1つの電子の不足は、外軌道上において1つの正孔を有することと同等であり、VBからの電子を受容することは、VBにおいて自由正孔を生成することと同等である。基底状態では、B結合正孔の結合エネルギーは0.2〜0.3eVであり、したがって、SiCバンドギャップにおけるBのエネルギー準位は、VBよりも0.2〜0.3eV高い。なお、ホウ素及び窒素は、SiC格子内の複数のサイトを占めることが可能であり、SiCバンドギャップにおいて複数のエネルギー準位を生成する。例として、濃度1・1016〜1・1017B原子・cm3のBを含む6H SiC結晶は、室温にてイオン化されるBアクセプターを3%〜10%有し、それによってVBにおいておよそ1・1015〜3・1016cm-3の正孔を生成する。自由正孔に起因する導電率を有する半導体は、p型と称される。
深いドナー及びアクセプターは、電子及び正孔のそれぞれについてより高い結合エネルギーを有するドナー及びアクセプターであり、そのため室温にて実質的にイオン化しない。浅いドナー及びアクセプターと比較して、深いドナー及びアクセプターのエネルギー準位は、バンドギャップにおいてより深い位置にある。バナジウム(V)は、SiCバンドギャップにおける2つの深い準位、すなわち、VBよりも1.5eV高い1つの深いドナーと、CBよりも0.8eV低い1つの深いアクセプターを生成する。深いアクセプターは電子を捕獲することが可能で、深いドナーは正孔を捕獲することが可能である。
補償型半導体。ドナー及びアクセプターを含有する半導体において、該ドナーからの電子は、該アクセプターにより捕獲され得る。この現象は補償として知られている。このような補償の結果、自由電荷キャリアの密度が低減される。主要ドナーまたは主要アクセプターを備える半導体と比較すると、補償型半導体の抵抗率は高くなっている。
完全補償型半導体。浅いドナーまたは浅いアクセプターからの熱放射により生成されたすべての自由電荷キャリアが除去され、深い準位からバンド端までの遷移により決定される抵抗率が理論的限界に到達する場合に、半導体は完全補償型とみなされる。バナジウムがドープされたSiCに適用される完全補償の現象は、以下においてより詳細に論じる。
浅い準位による補償。浅いアクセプター(またはドナー)を含む結晶は、浅いドナー(またはアクセプター)の導入により補償され得る。完全補償及び最大抵抗率は、ND=NA(ND及びNAは、それぞれ浅いドナー及びアクセプターの濃度)の場合に達成される。このような補償は、ドナー及びアクセプターの数が精確に等しいことを必要とするものであり、事実上達成不可能である。SiCでは、窒素の浅いドナー及びホウ素の浅いアクセプターの両方がバックグラウンド不純物であり、それらの濃度は制御困難である。
深い準位による補償。補償を達成するためのより信頼性の高い方法は、深い準位の導入によるものである。例えば、浅いドナー(またはアクセプター)を含む結晶は、深いアクセプター(またはドナー)により補償され得る。このタイプの補償は、濃度の精確な一致を必要としない。代わりに、深い準位は、主要、すなわち浅い準位よりも高い濃度で存在しなければならない。
NU型半導体。浅いドナーを含む結晶が深いアクセプターにより補償されている場合には、完全補償及び最大抵抗率は、該深いアクセプターの濃度(NDA)が浅いドナーの濃度(ND)を超えている時に(NDA>ND)達成される。このような完全補償型半導体を加熱すると、該深いアクセプターに捕獲された電子は、伝導帯(CB)より起算される該深いアクセプターのエネルギー準位に等しい活性化エネルギーを伴ってCBに戻り、それによりn型導電性をもたらす。このタイプの完全補償型半導体はNU型と称され、NUはギリシャ文字のνを表す。
PI型半導体。浅いアクセプターを含む結晶が深いドナーにより補償されている場合には、完全補償及び最大抵抗率は、該深いドナーの濃度(NDD)が浅いアクセプターの濃度(NA)を超えている時に(NDD>NA)達成される。このような完全補償型半導体を加熱すると、該深いアクセプターに捕獲された電子は、価電子帯(VB)より起算される該深いアクセプターのエネルギー準位に等しい活性化エネルギーを伴ってVBに戻り、それによりp型導電性をもたらす。このタイプの完全補償型半導体はPI型と称され、PIはギリシャ文字のπを表す。
より一般的には、結晶が浅いドナー(ND)及び浅いアクセプター(NA)を含む場合には、その完全補償は、深い準位の密度が、│ND−NA│により表される浅い不純物全体の濃度を超えている時に達成される。
バナジウムにより補償されたSiC結晶の電子物性
窒素(浅いドナー)及びホウ素(浅いアクセプター)は、昇華成長させられたSiC結晶において測定可能な濃度で常に存在する主なバックグラウンド不純物である。4H及び6H SiCでは、窒素ドナーはCBよりも約0.08eV低いそれらのエネルギー準位を有しており、ホウ素アクセプターはVBよりも0.2〜0.3eV高いそれらのエネルギー準位を有している。
バナジウムによるSiCの電子補償は公知である。バナジウムによるSiCの電子補償に関する背景は、US 5,611,955、US 7,018,597、US 6,507,046、US 5,856,231及びBickermann et al. "Preparation of SI SiC by Vanadium Doping during PVT Bulk Crystal Growth", J. Mat. Sci. Forum (V. 433 - 436) pp. 51-54に見られる。中性V原子の電子配置は、3d34s2である。SiC格子では、バナジウムがSi原子を置換し、2つのs電子及び2つのd電子を失うことによって4つの周囲に隣接するCとイオン性共有結合を形成する。これにより、3d殻上に原子1つを備えたV4+イオンが残される。バナジウムの該3d殻は、SiC結晶場により、SiCバンドギャップ内に位置する3d1軌道と3d2軌道とに分裂させられる。該3d1軌道はVBよりも1.5eVまで高い所に設けられ、該3d2軌道はCBよりも0.8eVまで低い所に設けられる。浅い不純物が存在しないため、該3d1軌道は満たされ、該3d2軌道は空である。
この電子配置の結果、SiCにおけるバナジウムは、浅い不純物のバックグラウンドにおいて主要な元素に応じて、浅いドナーまたは浅いアクセプターのいずれかを補償し得る。浅いドナーが主要である場合、すなわちND>NAの場合には、バナジウムは、電子を浅いドナーからその空の3d2軌道上に捕獲し(V4++e-→V3+)、それにより深いアクセプターとして作用する。完全補償の場合には、フェルミ準位がバナジウムの深いアクセプターのCBよりも約0.08eV低い準位と一致している。加熱すると、自由電子が0.8eVまでの活性化エネルギーを伴って放出され、CBに戻る。このタイプの完全補償SiCは、NU型の半導体である。NU型の6H SiC及び4H SiCの抵抗率の理論的限界は、室温において2・1011Ohm−cm〜4・1011Ohm−cmの範囲である。
浅いアクセプターが主要である場合、すなわちNA>NDの場合には、バナジウムは、正孔を浅いアクセプターからその3d1軌道VB上に捕獲し(V4++h+→V5+)、それにより深いドナーとして作用する。完全補償の場合には、フェルミ準位がバナジウムの深いドナーのVBよりも1.5eVまで高い準位と一致している。加熱すると、正孔が1.5eVまでの活性化エネルギーを伴って放出され、CBに戻る。このタイプの完全補償SiCは、PI型の半導体である。PI型の6H SiC及び4H SiCの抵抗率の理論的限界は、室温において1020〜1021Ohm−cmの高さである。
稀なケースにおいて、SiC結晶がバナジウムにより補償され、浅いアクセプターが浅いドナーとほぼ釣り合っている場合には、該結晶のフェルミ準位位置及び電子物性は、空孔に関連するネイティブ点欠陥により決定され、該欠陥はギャップの中間部におけるそれらのエネルギー準位を有し、昇華成長させられたSiC結晶におよそ1015〜1016cm-3の濃度で存在する。このような結晶では、フェルミ準位はしばしば伝導帯(CB)から0.9〜1.5eVにおいて見られる。加熱すると、該補償型結晶は、深い準位の点欠陥の性質に応じて、0.9〜1.5eVの範囲の活性化エネルギーを伴うn型導電性またはp型導電性のいずれかと仮定される。正孔が1.5eVまでの活性化エネルギーを伴って放出され、CBに戻る。フェルミ準位位置が中間ギャップに近いため、このような結晶の抵抗率はNU型結晶よりも高く、例えば1012Ohm−cmまたはそれ以上である。条件によっては、同様にこのような結晶をPI型として指定することが可能である。
通常、バナジウムはSiC格子においてケイ素を置換する。しかしながら、バナジウム及び他の不純物は、格子中の「異常な」サイトもまた占有し得る。例えば、バナジウムは炭素を置換し得る、または転位または亜粒界のような欠陥に関連するサイトを置換し得る、または空孔クラスターを形成し得る。結晶格子の「異常な」サイトを占める不純物は、電気的に「異常な」挙動を示し得る、または電気的に不活性であり得る。
二次イオン質量分析(SIMS)の技術は、SiC中の不純物の濃度を決定するのに一般的に用いられる。この技術は、電気的に活性な状態及び電気的に不活性な状態の両方の総不純物濃度が得られる。したがって、SIMSにより決定される不純物濃度は、電気的に活性な不純物の濃度よりも常に高い。
バナジウム濃度(NV)が│ND−NA│と等しいまたはそれよりわずかに高い場合(NV、ND及びNAはSIMSにより決定される)、全ての不純物が電気的に活性な状態にあるわけではないため、該SiC結晶は自由電荷キャリアをまだ有し得る。したがって、完全補償は、│ND−NA│よりも少なくとも3〜4倍高い場合にのみ確実に達成される。
SiC昇華成長−先行技術
物理的気相輸送(PVT)としばしば称される従来の昇華技術は、商業サイズのSiC単結晶を成長させるために広く用いられている。先行技術のPVT成長セル8の模式図を図1に示す。PVT成長セル8において処理が実行され、PVT成長セル8は、通常は水冷され、溶融シリカにより作製されたチャンバ10を含み、チャンバ10は、るつぼをチャンバ10の内側に囲う成長るつぼ11及び断熱材12を含む。成長るつぼ11は、通常は高密度で細粒状のアイソスタティック成形されたグラファイトにより作製され、断熱材12は、軽量で繊維状のグラファイトから作製される。
るつぼ11は、グラファイト蓋11aにより封止され、SiC昇華原料14及びSiC種結晶15を含む。通常、SiC原料14は多結晶SiC粒であって、るつぼ11の底部に配される。SiC種15はSiCウエハであって、該るつぼの頂部に配される。上記成長セルの他のグラファイト成分(図示しない)は、熱シールド、成長ガイド、スペーサ等を含む。誘導タイプまたは抵抗タイプの加熱器は、SiC結晶成長において用いられ得る。非限定的な図示として、図1は加熱器としてのRFコイル16を示す。
典型的なSiC昇華成長温度は、2000℃〜2400℃である。これらの温度において、SiC原料14は蒸気化し、Si2C、SiC2及びSi揮発性分子を含むSiC蒸気19で上記るつぼを満たす。成長の間、SiC原料14の温度は、SiC種15の温度より10℃〜200℃高く維持される。これにより、SiC蒸気19がSiC種15上に移動及び析出させられ、それによりSiC種15上においてSiC単結晶17の成長が起こる。蒸気の移送は、図1において矢印19により記号化される。SiC単結晶17の成長速度を制御して高い結晶品質を確保するため、SiC昇華成長は、低圧の不活性ガス下において、通常は数〜100Torrにて行われる。
上記先行技術に従う昇華成長により成長した全てのSiC結晶は、実質的な濃度の窒素(N)及びホウ素(B)を意図しないバックグラウンド不純物として含む。グラファイトは、SiC結晶におけるバックグラウンド窒素の主な源である。空気中に晒されると、PVT成長セル8を形成するグラファイトは、該雰囲気からH2O、O2及びN2を容易に吸着する。加熱すると、グラファイトはこれらのガスを成長るつぼ11の内側へと容易に放出する。SiC昇華成長の高い温度では、酸素及び水蒸気は炭素と反応してCO、CO2及びH2を形成し、窒素はSiC単結晶17の汚染物質となる。
PVT成長セル8を形成するグラファイトは、バックグラウンドホウ素の主な源でもある。グラファイト格子の内部では、ホウ素は隣接する炭素原子と強い化学結合を形成する(以下「炭素結合ホウ素」)。該Si含有蒸気19が該グラファイト成長るつぼの壁を攻撃して浸食する際に、それらはホウ素と反応し、それを成長しているSiC結晶まで移送する。
上記先行技術に従うSiC昇華成長は、ホウ素及び窒素汚染物質の低減を目的とした従来の手段を採用している。SiC成長において、部品にハロゲン精製グラファイトを使用することが慣習となっている。しかしながら、市販の精製グラファイトは、なお0.1〜0.2重量ppmの水準でホウ素を含み得る。これは、換算するとおよそ1016cm3の水準でバックグラウンドBが存在することになる。より低い水準のホウ素を備えるグラファイトは、商業上の製造業者から日常的に入手することは不可能である。
窒素の存在を低減するために、成長前におけるPVT成長セル8の真空脱気及び高純度不活性ガスの連続流下でのSiC結晶17の成長は、SiC成長の際に一般的に採用されている。しかしながら、これらの一般的手段は部分的にのみ有効で、成長したSiC結晶17の窒素による汚染が問題のままである。
成長環境からのN2除去が不十分である結果、上記先行技術に従って成長させられたSiC結晶17中のバックグラウンド窒素濃度は、特に結晶の最初に成長した部分において、1・1017cm-3の高さであり得る。
本明細書には、高品質なNU型及びPI型のバナジウム補償型SI SiC単結晶を得るためのSiC結晶昇華成長方法が開示される。用語「NU型」は、浅いバックグラウンド不純物がドナーを主要とする完全補償型半導体の特定のタイプに関する。用語「PI型」は、浅いバックグラウンド不純物がアクセプターを主要とする完全補償型半導体の特定のタイプに関する。
本明細書には、高品質なNU型及びPI型のバナジウム補償型SI 4H−SiC及びSI 6H−SiC単結晶を成長させるためのSiC結晶成長装置もまた開示される。
本明細書には、高品質なPI型のバナジウム補償型SI 4H−SiC及びSI 6H−SiC単結晶もまた開示される。
本明細書には、高品質なNU型のバナジウム補償型SI 4H−SiC及びSI 6H−SiC単結晶もまた開示される。
本明細書に開示される高品質なバナジウム補償型SI SiC単結晶は、超高速光伝導半導体スイッチ(PCSS)において、及びエピタキシャルSiC系及びGaN系半導体デバイスにおける格子整合した高熱伝導性絶縁基板として用いられ得る。PCSSにおけるSI SiC単結晶の使用に関する背景は、Power Modulator and High Voltage Conference (IPMHVC), 2010 IEEE International, 23-27 May 2010, pp. 170 - 173におけるNunnally et al. "SiC Photo-Conductive Switch Results Using Commercially Available Material"に見られる。GaN系デバイス用のSI SiC基板の使用に関する背景は、Electron Device Letters, IEEE Vol. 20, Issue 4, pp. 161 - 163に刊行されたSheppard et al. "High-Power Microwave GaN/AlGaN HEMTs on Semi-Insulating Silicon Carbide Substrates"に見られる。
SI SiC結晶の要件は、デバイスのタイプに依存する。例えば、ある例では、NU型SiCは、バンドギャップ上半分のフェルミ準位を伴うSI SiC基板が要求されるRFデバイス用に選択される物質である。別の例では、PI型SiCは、バンドギャップ中間位置のフェルミ準位を有するSI SiC基板が好ましいデバイス用に選択される物質である。さらに別の例では、PI型SiCは、2・1011Ohm−cmを超える非常に高い抵抗率を備えるSI SiC基板が要求されるデバイス用に選択される物質である。さらに別の例では、1064nm光(Nd:YAGレーザー)によって励起されるPCSSスイッチ用の好ましい物質は、バナジウムにより補償されたNU型のSI SiC結晶である。
本明細書には、以下を備えた結晶成長方法が開示される:(a)SiC単結晶種及び多結晶SiC原料物質を、炉チャンバの内側に配された成長るつぼの内側に間隔を空けて設ける工程であって、炉チャンバの内側に配された該成長るつぼが成長環境を規定する工程;並びに(b)該成長環境からドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物を除去する該成長環境中の反応性雰囲気存在下において、昇華したSiC原料物質が該SiC種結晶上に析出することを介して、該SiC種結晶上にSiC単結晶を昇華成長させる工程。
上記反応性雰囲気は、ハロゲン化蒸気化合物及び1つ以上の不活性ガスを含み得る。該ハロゲン化蒸気化合物は、(1)フッ素または塩素、及び(2)タンタルまたはニオブを備え得る。該1つ以上のガスは、アルゴン、水素、またはアルゴン+水素の混合物を含み得る。
上記方法は、さらに以下を含み得る:(c)工程(b)に続いて、上記成長環境中の上記雰囲気を非反応性雰囲気に変える工程;並びに(d)工程(c)に続いて、該成長環境内にバナジウムドーパントを導入する工程であって、該バナジウムドーパントが、工程(c)の後に上記SiC種結晶上にPVT成長する上記SiC単結晶の一部を、完全補償された状態及び半絶縁性にする工程。
工程(d)は、上記成長環境内にホウ素ドーパントまたは窒素ドーパントを導入することをさらに含み得る。
工程(d)において、上記バナジウムドーパントは制御された浸出を介して上記成長環境内に導入される。
工程(d)において上記成長環境内に上記バナジウムドーパントを導入することは、上記SiC単結晶の昇華成長の間に、該バナジウムドーパントを、該バナジウムドーパントが固体である上記成長るつぼの外側位置から、該バナジウムドーパントがバナジウム蒸気を生成する上記成長るつぼの内側位置に移動させることを含み得る。
上記SiC単結晶の昇華成長の間における上記成長るつぼの内側の圧力は、1〜200Torrであり得る。
以下を備えたSiC単結晶昇華成長装置もまた開示される:炉チャンバの内側の成長るつぼを備えた成長環境であって、該成長るつぼの内部がSiC単結晶種及びSiC原料物質を間隔を空けて装填させられるように構成される成長環境;少なくとも1つのドーパントを装填させられたドーピングカプセル;該少なくとも1つのドーパントを装填させられた該ドーピングカプセルを、該少なくとも1つのドーパントが固体状態である該成長るつぼの外側位置から、該少なくとも1つのドーパントがドーパント蒸気を該成長るつぼ内へと放出する該成長るつぼの内側位置に導入する手段;及び、ガス分配システムであって、(1)該SiC原料物質の昇華を介してSiC単結晶を該SiC単結晶種上に昇華成長させる間、該成長るつぼ内への該ドーピングカプセルの導入前に、ドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と化学的に結合し、該バックグラウンド不純物を該成長環境から除去する反応性成分を含む第1のガスを該成長環境内に供給するように、並びに(2)該SiC原料物質の昇華を介してSiC単結晶を該SiC単結晶種上に昇華成長させる間、該成長るつぼ内への該ドーピングカプセルの導入に続いて、該成長環境内に少なくとも1つの不活性ガスを備えた第2のガスを供給するように動作する、ガス分配システム。
上記ドーピングカプセルを導入する上記手段は、上記成長るつぼと連通している管の末端を封止しているプラグを介して該成長るつぼに連通している管と、該プラグを取り外して該管を通じて該ドーピングカプセルを移動させるための押し棒とを含むことができ、該ドーピングカプセルは、該成長るつぼに連通している該管の該末端を介して該成長るつぼ内に移動させられ得る。
上記ドーピングカプセルは、ドーパント蒸気を該ドーピングカプセル内部から上記成長るつぼ内にまで流すための少なくとも1つの較正済毛細管を含み得る。
上記少なくとも1つのドーパントは、バナジウム、またはバナジウム及びホウ素の少なくとも1つを含み得る。
上記第1のガスの上記反応性成分は、ガス状ハロゲン化金属であり得る。上記第2のガスは、水素または窒素を備え得るが、反応性成分を備えない。
上記成長るつぼ、上記ドーピングカプセルまたは両方は、グラファイトから作製され得る。
上記SiC原料物質は、上記成長るつぼの内部の底面及び側面から間隔を空けられている原料るつぼ内に配されている。
以下を備えた結晶成長方法もまた開示される:(a)多結晶原料物質及び種結晶を、炉チャンバの内側に配された成長るつぼを備えたPVT成長環境内に導入する工程;(b)該成長環境内の第1の昇華成長圧の存在下において、第1のガスの流れの存在下で昇華された原料物質を該種結晶上に析出することを介して単結晶を該種結晶上に昇華成長させる工程であって、該第1のガスの流れが、該昇華成長の間にドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と反応して該バックグラウンド不純物を該成長環境から除去する反応性成分を含んでいる工程;並びに(c)工程(b)に続いて、該成長環境において第2の昇華成長圧の存在下、ドーパント蒸気を含むが該反応性成分を含まない第2のガスの流れの存在下において昇華された原料物質を該種結晶上に析出することを介して、単結晶を該種結晶上に昇華成長させる工程。
それぞれの昇華成長圧は1〜200Torrであり得ると共に、上記第1及び第2の昇華成長圧は同じであっても異なっていてもよい。
上記方法は、工程(b)と(c)との間に、上記ドーパント蒸気の原料を上記成長るつぼ内に導入する工程をさらに含み得る。
工程(b)及び(c)は、望ましくは、上記各工程間に上記成長環境を環境(または室内)雰囲気に晒すことなく実施される。
上記第1のガスの上記反応性成分は、ガス状ハロゲン化金属であり得る。上記第2のガスの上記ドーパント蒸気は、ガス状のバナジウムを備え得る。上記第2のガスは、さらに水素、窒素または水素+窒素を備える。
以下を備えた高純度SiC単結晶の形成方法もまた開示される:(a)成長るつぼと、該成長るつぼを保持する炉チャンバとを含むSiC成長環境を提供する工程であって、該成長るつぼがSiC原料及びSiC種結晶を間隔を空けて装填させられる工程;(b)該成長環境内に反応性雰囲気を提供する工程であって、該雰囲気が成長環境内に存在するドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と化学結合可能であると共に、化学結合により該不純物を該成長環境から除去するガス種(species)を備えている工程;(c)該反応性雰囲気存在下において、該原料物質を加熱して昇華させると共に該昇華させられた原料物質を該種結晶に移送して該昇華させられた原料物質を該種結晶上に析出させることにより、高純度SiC単結晶を成長させる工程;並びに(d)ドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物を備えた高純度SiC単結晶を形成する工程であって、該不純物を該反応性雰囲気の該ガス種(species)と化学結合させることによりそれらの濃度が意図的に低減させられる工程。
上記反応性雰囲気は、昇温状態においてガス状の窒素との化学結合が可能であると共に、金属窒化物を形成することによりそれを上記成長環境から除去するガス状の反応性成分を少なくとも1つ含み得る。該ガス状の反応性成分は、ガス状ハロゲン化金属であり得る。該反応性雰囲気は、ガス状ハロゲン化金属及び水素を備え得る。
上記反応性雰囲気は、昇温状態においてホウ素(炭素結合ホウ素を含む)との化学結合が可能であると共に、該ホウ素と化学結合してホウ素含有揮発性分子会合となることによりそれを上記成長環境から除去するガス状の反応性成分を少なくとも1つ含み得る。該ガス状の反応性成分は、ガス状ハロゲン化金属であり得る。上記第1の反応性雰囲気は、ガス状ハロゲン化金属及び水素を備え得る。
上記反応性雰囲気は、昇温状態において自身の間で反応してガス状のハロゲン化水素を生成するガス状の反応性成分を含み得る。該反応性雰囲気はTaCl5、TaF5、NbCl5及びNbF5からなる群より選択されるハロゲン化金属を含み得る。該反応性雰囲気は、望ましくはガス状の五塩化タンタルTaCl5を含み得る。
上記高純度SiC単結晶は、窒素をバックグラウンド不純物として含むことができ、該バックグラウンド窒素の濃度は、SIMSによる測定で4・1015〜7・1015原子・cm-3の濃度に意図的に低減される。これに加えてまたは代わりに、該高純度SiC単結晶は、ホウ素をバックグラウンド不純物として含むことができ、該バックグラウンドホウ素の濃度は、SIMSによる測定で2・1015〜8・1015原子・cm-3の濃度に意図的に低減される。
上記高純度SiC単結晶は、炭化ケイ素の4H及び6Hポリタイプからなる群より選択されるポリタイプを有し得る。
以下を備えた高純度SiC単結晶の昇華成長のための装置もまた開示される:SiC単結晶種及びSiC原料物質を間隔を空けて装填させられた成長るつぼを保持している炉チャンバ;ガス混合物流を該炉チャンバ内に供給するガス分配システムであって、該ガス混合物が、該炉チャンバ及び該成長るつぼを含むSiC成長環境においてドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と昇温状態にて化学結合可能な反応性雰囲気を該炉チャンバ内に形成し、それによって化学結合を用いて該ドナー及び/または該アクセプターのバックグラウンド不純物を該成長環境から除去するガス分配システム、並びに;反応性雰囲気下における昇華によって該SiC種結晶上に成長することによって該SiC種結晶上に高純度SiC結晶ブールを形成する該SiC原料物質を含有する該結晶成長るつぼ。
上記ガス混合物は、昇温状態においてガス状の窒素との化学結合が可能であると共に、固体窒化物の形態でそれを析出することによりそれを上記成長環境から除去するガス状の反応性成分を少なくとも1つ含み得る。
上記反応性成分は、ガス状ハロゲン化金属であり得る。上記ガス混合物は、ガス状ハロゲン化金属及び水素であり得る。
上記ガス混合物は、昇温状態においてホウ素(炭素結合ホウ素を含む)との化学結合が可能であると共に、該ホウ素と化学結合してホウ素含有揮発性分子会合となることによりそれを上記成長環境から除去するガス状の反応性成分を少なくとも1つ含み得る。
上記反応性ガス状成分は、ガス状ハロゲン化金属であり得る。該ガス混合物は、ガス状ハロゲン化金属及び水素を備え得る。
上記ガス混合物は、昇温状態において自身の間で反応してガス状のハロゲン化水素を生成するガス状の反応性成分を含み得る。該ガス混合物はTaCl5、TaF5、NbCl5及びNbF5からなる群より選択されるハロゲン化金属を含み得る。該反応性雰囲気は、望ましくはガス状の五塩化タンタルTaCl5を含み得る。
残留窒素を化学結合により成長環境から除去することにより窒素濃度が低減された、バックグラウンド不純物としての窒素を備える昇華成長させられた高純度SiC単結晶もまた開示される。バックグラウンド窒素の該濃度は、SIMSによる測定で4・1015〜7・1015cm-3の水準にまで低減され得る。該アズグロウン(as-grown)結晶は、炭化ケイ素の4H及び6Hポリタイプからなる群より選択されるポリタイプを有し得る。
残留ホウ素を化学結合により成長環境から除去することにより窒素濃度が低減された、バックグラウンド不純物としてのホウ素を備える昇華成長させられた高純度SiC単結晶もまた開示される。バックグラウンドホウ素の該濃度は、SIMSによる測定で20・1015〜8・1015cm-3の濃度にまで意図的に低減され得る。該アズグロウン結晶は、炭化ケイ素の4H及び6Hポリタイプからなる群より選択されるポリタイプを有し得る。
以下を含むPI型の完全補償半絶縁性SiC単結晶の形成方法もまた開示される:(a)成長るつぼと、SiC原料及びSiC種結晶を間隔を空けて装填させられた該成長るつぼを保持する炉チャンバとを含むSiC成長環境を提供する工程;(b)成長環境内に存在するドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と化学結合可能であると共に、化学結合により該不純物を該成長環境から除去するガス状のものを備えている反応性雰囲気を、該成長環境内に提供する工程;(c)ドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物を該化学結合により該成長環境から除去すると同時に、該SiC原料物質を昇華させると共に該昇華させられたSiC原料物質を該SiC種結晶に移送して該昇華させられたSiC原料物質を該SiC種結晶上に析出させる工程;並びに(d)工程(c)に続いて、バナジウム及びホウ素ドーパントを成長環境内に導入することにより、バナジウム及びホウ素により共ドープされたPI型の完全補償半絶縁性SiC単結晶を形成する工程。
バナジウム及びホウ素により共ドープされた上記PI型の半絶縁性SiC単結晶は、以下の1つ以上を含む:意図的に低減されたバックグラウンドドナー及びアクセプター水準;工程(d)において残留ドナー濃度の合計濃度を超える濃度で意図的に低減された浅いアクセプター;工程(d)において完全補償を達成するのに十分な濃度で意図的に導入されたバナジウム;並びに/または、室温における少なくとも1011Ohm−cmの抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.9〜1.5eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギー。
上記バナジウム及びホウ素ドーパントは、工程(c)に続いて上記成長環境内に導入された、不活性物質から作製されたカプセルを介して、該成長環境内に導入され得る。該カプセルは、グラファイトから作製され得る。該カプセルは、少なくとも1つの該ドーパント蒸気の脱出通路として機能する較正済毛細管を少なくとも1つ含み得る。
工程(d)の前に、上記ドーパントを備えた上記カプセルは、上記成長るつぼの外側に比較的低い温度にて貯蔵され得る。工程(d)では、該ドーパントを備えた該カプセルは、該成長るつぼ内に移動させられる。
上記ドーパントは、元素バナジウム及びホウ素、または限定されないが、二ホウ化バナジウムVB2のようなホウ素化合物であり得る。
以下を備えたPI型の完全補償半絶縁性SiC単結晶の昇華成長のための装置もまた開示される:(a)SiC単結晶種及びSiC原料物質を間隔を空けて装填させられた成長るつぼを保持している炉チャンバ;(b)ガス混合物流を該炉チャンバ内に供給するガス分配システムであって、該ガス混合物が、該炉チャンバ及び成長るつぼを含むSiC成長環境においてドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と昇温状態にて化学結合可能な反応性雰囲気を該炉チャンバ内に形成し、それによって化学結合を用いて該バックグラウンド不純物を該成長環境から除去するガス分配システム;(c)カプセル内にドーパントを含むドーピングカプセル;並びに、(d)バックグラウンド不純物を除去する期間の比較的低い温度の該成長るつぼの外側位置と、PI型の該SiC結晶を成長させる期間の該成長るつぼの内側位置との間における、該ドーパントを備えた該カプセルを該内側位置に移動させる手段。
上記ドーピングカプセルは、グラファイトのような不活性物質により作製され得る。該ドーピングカプセルは、上記ドーパントの蒸気の脱出通路としての較正済毛細管を少なくとも1つ含み得る。
上記ドーパントは、元素バナジウム及びホウ素、またはバナジウム化合物及びホウ素化合物であり得る。該ドーパントは、元素バナジウム及び二ホウ化バナジウムVB2であり得る。
少なくとも1011Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.9〜1.5eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを有する、バナジウムによる完全補償型半絶縁性PI型SiC単結晶もまた開示される。
上記PI型SiC単結晶は、浅いアクセプター、浅いドナー及びバナジウムを含むことができ、該浅いアクセプターは、浅いドナーよりも大きい濃度で存在し、該バナジウムは、完全補償と、少なくとも1011Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.9〜1.5eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを達成するのに十分な濃度で存在する。
上記PI型SiC単結晶は、4・1015〜7・1015原子・cm-3の濃度のバックグラウンド窒素不純物と、それぞれ9・1015〜2・1016原子・cm-3及び9・1016〜2・1017原子・cm-3の濃度で意図的に導入されたホウ素及びバナジウムドーパントとを含み得る。
上記PI型SiC単結晶は、意図的に導入されたホウ素及びバナジウムドーパントを含んでいてもよく、少なくとも1・1010Ohm−cm、望ましくは1・1011〜1・1021Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.9〜1.5eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを有する。
上記PI型SiC単結晶は、4Hまたは6Hポリタイプであり得る。
以下を含むNU型の完全補償半絶縁性SiC単結晶の形成方法もまた開示される:(a)成長るつぼと、該成長るつぼを保持する炉チャンバとを含むSiC成長環境を提供する工程であって、該成長るつぼがSiC原料及びSiC種結晶を間隔を空けて装填させられる工程;(b)該成長環境内に反応性雰囲気を提供する工程であって、該雰囲気が成長環境内に存在するドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と化学結合可能であると共に、化学結合により該不純物を該成長環境から除去するガス状のものを備えている工程;(c)該反応性雰囲気存在下において、ドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物を該化学結合により該成長環境から除去すると同時に、該原料物質を昇華させ、該昇華させられた原料物質を該種結晶に移送して該種結晶上に析出させることにより、該SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させる工程;並びに(d)工程(c)に続いて、バナジウム及び窒素ドーパントを成長環境内に導入して、以下の少なくとも1つを有するバナジウム及び窒素により共ドープされたNU型の完全補償半絶縁性SiC単結晶を形成する工程:意図的に低減されたバックグラウンドドナー及びアクセプター水準;工程(d)において残留アクセプター濃度の合計濃度を超える濃度で意図的に低減された浅いドナー;工程(d)において完全補償を達成するのに十分な濃度で意図的に導入されたバナジウム;並びに/または、室温における少なくとも1010Ohm−cmの抵抗率及び室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.78〜0.82eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギー。
上記バナジウムドーパントは、工程(c)に続いて上記成長環境内に導入された、グラファイトのような不活性物質から作製されたカプセル内に含まれ得る。該カプセルは、該ドーパントの蒸気の脱出通路として機能する較正済毛細管を少なくとも1つ含み得る。
工程(d)の前に、上記バナジウムドーパントを備えた上記カプセルは、上記成長るつぼの外側に比較的低い温度にて貯蔵され得る。工程(d)では、該カプセルは、該成長るつぼ内に移動させられ得る。
上記ドーパントは、元素バナジウム及び窒素、またはバナジウム化合物及び窒素であり得る。
以下を備えたNU型の完全補償半絶縁性SiC単結晶の昇華成長のための装置もまた開示される:(a)SiC単結晶種及びSiC原料物質を間隔を空けて装填させられた成長るつぼを保持している炉チャンバ;(b)ガス混合物流を該炉チャンバ内に供給するガス分配システムであって、該ガス混合物が、SiC成長環境においてドナー及び/またはアクセプターのバックグラウンド不純物と昇温状態にて化学結合可能な反応性雰囲気を該炉チャンバ内に形成し、それによって化学結合を用いて該不純物を該成長環境から除去するガス分配システム;(c)カプセル内にバナジウムドーパントを含むドーピングカプセル;並びに、(d)バックグラウンド不純物を除去する期間の比較的低い温度の該成長るつぼの外側位置と、NU型の該SiC結晶を成長させる期間の該成長るつぼの内側位置との間における、バナジウムドーパントを備えた該カプセルを該内側位置に移動させる手段。
上記ドーピングカプセルは、グラファイトのような不活性物質により作製され得る。該ドーピングカプセルは、上記バナジウムドーパントの蒸気の脱出通路として機能する較正済毛細管を少なくとも1つ含み得る。
上記カプセルは、元素バナジウムまたはバナジウム化合物を含み得る。
少なくとも1010Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.78〜0.82eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを有する、完全補償型半絶縁性NU型SiC単結晶もまた開示される。
上記NU型SiC単結晶は、浅いアクセプター、浅いドナー及びバナジウムを含むことができ、該浅いドナーは、浅いアクセプターよりも大きい濃度で存在し、該バナジウムは、完全補償と、少なくとも1010Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.78〜0.82eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを達成するのに十分な濃度で存在する。
上記NU型SiC単結晶は、2・1015〜8・1015原子・cm-3の濃度に意図的に低減されたバックグラウンドホウ素と、それぞれ8・1015〜2・1016原子・cm-3及び9・1016〜2・1017原子・cm-3の濃度で意図的に導入された窒素及びバナジウムドーパントとを含み得る。
上記NU型SiC単結晶は、意図的に導入された窒素及びバナジウムドーパントを含んでいてもよく、少なくとも1・1010Ohm−cm、望ましくは少なくとも1・1011Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.78〜0.82eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを有する。
上記NU型SiC単結晶は、4Hまたは6Hポリタイプであり得る。
図1は、先行技術の物理的気相輸送(PVT)成長セルの模式図である。 図2は、チャンバを含み、ガス入口及びガス出口を有し、断熱材に囲まれたるつぼを保持するSiC昇華成長セルの模式図である。ここで、SiC原料物質と、SiC種結晶上にて成長するSiC結晶とが、該るつぼの内側に配されるように示される。 図3は、高純度SiC結晶を成長させるためのSiC結晶成長装置の一実施形態の模式図である。 図4は、PI型のSiC結晶を成長させるためのSiC結晶成長装置の別の実施形態の模式図である。 図5A及び図5Bは、図4及び7における成長るつぼの模式的部分図であって、該長るつぼの外側位置から該長るつぼの内側位置までのドーパントカプセルの移動を示す。 図6A及び図6Bは、ドーパントのための単一の区画及びそれぞれ別々の区画を含むドーピングカプセルの個々の実施形態である。ここで、各ドーピングカプセルは、図4及び7に示されるSiC結晶成長装置とは別々に使用され得る。 図7は、NU型のSiC結晶を成長させるためのSiC結晶成長装置の別の実施形態の模式図である。
以下に説明されるSiC成長プロセスには、ハロゲン精製グラファイト、成長前の真空脱気及び高純度不活性ガスの連続的パージ下での成長の使用のような、先行技術の従来要素が組み込まれる。加えて、以下に説明される該SiC成長プロセスは、以下の新規な要素を備える:
1.反応性雰囲気内にて成長させることにより、残留バックグラウンド窒素及びホウ素を化学結合により成長環境から除去する。
2.段階(a)においてバックグラウンド窒素(N)及びバックグラウンドホウ素(B)を成長環境から除去することと、続いて、段階(b)においてバナジウム(V)及びBによる結晶成長の制御された共ドープを使用して成長させることとを備える、PI型のSI SiC結晶の成長のための2段階プロセス。
3.段階(a)においてN及びBを成長環境から除去することと、続いて、段階(b)においてV及びNによる結晶成長の制御された共ドープを使用して成長させることとを備える、NU型のSI SiC結晶の成長のための2段階プロセス。
高純度SiC結晶の成長
反応性雰囲気下でのSiC昇華成長の構想は、US8,361,227(以下「‘227特許」)に開示されており、参照により本発明に組み込まれる。該特許は、SiC成長環境内にハロシランガスを含むガス混合物を供給することにより、ホウ素からグラファイト成長セルをその場で(in-situ)精製することについて開示している。
以下に説明されるSiC成長プロセスは、‘227特許に開示されるその場での(in-situ)精製方法を改善する。特に、本明細書で説明されるSiC成長プロセスは、ガス状の窒素及び炭素結合ホウ素と結合可能な分子種(species)を含む反応性雰囲気存在下におけるSiC昇華成長を介して、ホウ素及び窒素の両方を成長環境から除去することを備える。この反応性雰囲気は、ガス状ハロゲン化金属及び水素(H2)の揮発性反応性種(species)を含む。該ガス状ハロゲン化金属は、TaCl5、TaF5、NbCl5及びNbF5の群より選択される。望ましくは、該ガス状ハロゲン化金属は、五塩化タンタルTaCl5である。
アルゴン(Ar)のような不活性ガスの流れは、上記ガス状ハロゲン化金属及びH2を上記SiC成長セル内にもたらし、それらは化学反応に関与する。該化学反応には、それら自身の間での反応や、ガス状の窒素不純物及び炭素結合ホウ素不純物との反応が含まれる。
図2は、ガス入口20a及びガス出口20bを有し、断熱材22に囲まれたるつぼ21を保持しているチャンバ20を含むSiC昇華成長セルの模式図を示す。SiC種結晶24a上で成長するSiC原料23及びSiC結晶24は、るつぼ21の内側に、SiC昇華成長のための典型的な空間的関係で配されるように示される。
入口20aを通じて入るガス混合物26は、不活性ガス(望ましくはH2と混合されたAr)と、MeXで示される揮発性ハロゲン化合物の蒸気とを含む。元素Xは、フッ素F及び塩素Clの群より選択されるハロゲンである。Meは、タンタルTa及びニオブNbの群より選択される金属である。望ましくは、揮発性ハロゲン化金属は、五塩化タンタルTaCl5である。チャンバ20に入ると、ガス混合物26は、チャンバ20の内側に反応性雰囲気を作り出す。
断熱材22は、ガスを完全に透過する軽量で繊維状のグラファイトから作製される。チャンバ20に入ると、ガス混合物26は、図2に矢印25により示されるように、断熱材22の大部分を透過する。
断熱材22の内側の温度は、空間的に不均一である。水冷されているチャンバ20の壁に隣接する外表面では、温度は200〜300℃の低さであり得る。図2に模式的に示される断熱材の外層22aでは、SiC成長の間における温度が300〜500℃である。るつぼ21に隣接する断熱材の内層22cの内部表面では、温度はSiC昇華温度(2000〜2400℃)に近い。図2に示される断熱材の内層22cでは、温度が900℃を超える。図2に示される断熱材22の中間層22bでは、温度が500〜900℃である。
熱化学計算を行うことにより、反応性雰囲気(MeX、H2)、窒素(N2)及びホウ素のガス種(species)間における化学反応が複数の工程を通じて進行することが示される。第1の工程では、ガス混合物26が、断熱材の外層22aであって、およそ300〜500℃の温度におかれた外層22aを透過する際に、以下の反応(1)に従って上記ガス状ハロゲン化金属(MeX)がH2と反応する(反応(1)は、化学量論係数なしで記載される)。
Figure 0006001768
反応(1)は、実質的には金属MeのCVD堆積であり、固体沈殿物Me↓の形態の元素金属が得られる。この反応は部分的であって、上記反応性雰囲気中に存在するガス状ハロゲン化金属の全量を消費しない。
第1の工程に続いて起こる第2の工程では、残りのハロゲン化金属の蒸気を搬送するガス混合物26が、断熱材の中間層22bであって、およそ300〜900℃の温度におかれた中間層22bを透過する際に、以下の反応(2)に従ってガス状ハロゲン化金属が水素及び窒素と反応する(反応(1)は、化学量論係数なしで記載される)。
Figure 0006001768
ここで、MeN↓は固体窒化金属MeNの沈澱物である。この反応は、窒素を結合して固体窒化金属MeNにすることにより、上記雰囲気から残留N2を除去することつながる。反応(2)は、実質的には窒化金属MeNのCVD堆積である。反応(2)における該残留窒素は、グラファイトるつぼ21及び断熱材22のようなグラファイト部品から炉チャンバ20内へと放出されたN2に由来する。
第2の工程に続く第3の工程では、残りのハロゲン化金属の蒸気を搬送するガス混合物26が、断熱材の内層22cであって、900℃を超える温度におかれた内層22cを透過する際に、以下の反応(3)に従ってガス状ハロゲン化金属が水素及び窒素と反応する(反応(3)は、化学量論係数なしで記載される)。
Figure 0006001768
ここで、MeC↓は固体炭化金属MeCの沈澱物である。反応(3)は、実質的には炭化金属MeCのCVD堆積である。
前述の3つ全ての反応は、副生成物としてガス状ハロゲン化水素HXを生産する。ガス混合物26のチャンバ20内への流れ及び拡散に従って、ガス状ハロゲン化水素は、2000〜2400℃の温度におかれたグラファイトるつぼ21の大部分(壁、蓋及び基部)を透過し、そこで該ガス状ハロゲン化水素は炭素結合ホウ素と反応して、以下の反応(4)に従ってそれを揮発性ホウ素へと変換する(反応(4)は、化学量論係数なしで記載される)。
Figure 0006001768
ここで、BCは炭素結合ホウ素を記号化したものであり、BXn↑は揮発性のホウ素−ハロゲン分子会合を記号化したものであり、CHm↑はガス状炭化水素を記号化したものである。塩化水素HClの場合には、反応(4)の主要な生成物は、BCl、BCl2及びC22である。
反応(1)〜(4)の揮発性生成物は、上記結晶成長セルから除去され、図2の矢印25aに記号化されるように、その後ガス混合物26の流れの傍のチャンバからチャンバ20内へと除去される。
反応(1)〜(3)の結果、断熱材22の大部分は、金属、窒化金属及び炭化金属の薄い堆積物により被覆されるようになる。このような被覆は、断熱材22のガス吸着能力をある程度低減するが、該断熱材の熱特性には悪影響を及ぼさない。
SiC昇華成長の高い温度(2000〜2400℃)では、ガス状ハロゲン化水素もまた炭化ケイ素と反応し、それによって、以下の反応(5)に従って揮発性のケイ素−ハロゲン及び炭化水素分子会合が現れる(反応(5)は、化学量論係数なしで記載される)。
Figure 0006001768
ここで、SiXm↑は揮発性ハロゲン化ケイ素を記号化したものであり、CHn↑はガス状炭化水素を記号化したものである。塩化水素HClの場合には、反応(5)の主要な生成物はSiCl2及びC22である。実際には、反応(5)の収率はわずかであり、上記るつぼからのケイ素または炭素の目立った損失は生じない。
図3は、高純度SiC結晶を成長させるためのSiC結晶成長装置を示す。限定されない望ましい一実施形態では、窒素及びホウ素を成長環境から除去するためのハロゲン化金属は、五塩化タンタルTaCl5である。
図3に関し、上記成長プロセスは成長セル8(例えば、図1の成長セル8)において行われ、成長セル8はチャンバ10を含み、チャンバ10は成長るつぼ11及び断熱材12を含む。成長るつぼ11は、高密度で細粒状のアイソスタティック成形されたグラファイトにより作製され、例えば、ニューヨーク州ニューヨークのUCAR Carbon Company製「ATJ」により作製される。断熱材12は、軽量で繊維状のグラファイトから作製され、例えば、ペンシルベニア州セントメアリーズのMersen USA社製Calcarb(登録商標) CBCFにより作製される。SiC成長に使用する前に、全てのグラファイト部品及び構成要素は、総灰分量が5重量ppmとなるまで商業上でハロゲン精製されている。現在では、これは市販される最も純粋なグラファイトである。
成長るつぼ11は、該るつぼ底部に配されたSiC昇華原料14と、該るつぼ頂部に配されたSiC種結晶15とを充填させられる。SiC昇華成長温度が2000〜2400℃に到達すると、原料14が蒸気化し、るつぼ11の内部をSi2C、SiC2及びSi揮発性分子を含むSiC蒸気19で満たす。温度勾配に従って、SiC蒸気19は、矢印19で記号化されるように種15に向かって移動し、SiC種結晶15上に析出することにより、SiC単結晶17をSiC種結晶15上に成長させる。
図3のSiC成長装置は、ガス運搬システム30を含む。該ガス運搬システム30は、上記ハロゲン化金属の蒸気を生成し、該蒸気を搬送ガス(Ar+H2)と混合し、加熱された入口10aを通じてガス混合物26を炉チャンバ10内にもたらすよう機能する。このガス混合物は、以下の成分を有する:H2(望ましくは、2〜5体積%);TaCl5(望ましくは、100〜1000体積ppm);Ar(残余分)。水素を所望の水準まで混合する前のアルゴンは、運搬ガスとして用いられ得る。
上記ガス状成分の圧力及び流れは、例えばUS 6,410,433などの当技術分野において既知の手段を用いて制御される。該手段は、例えば、上流弁35及び36、質量流制御器35a及び36a、弁35b及び36b、下流弁39並びに真空ポンプ37などであり得る。上記ガス運搬システムの他の一般的かつ従来の部品としては、例えば、圧力計、電磁弁、フィルター、電子制御器などがあるが、これらは図示されない。SiC単結晶17の成長の間には、チャンバ10内の総圧は維持され、望ましくは5〜50Torrに維持される。
図3では、ガス状TaCl5の原料は固体の五塩化タンタル32であり、該五塩化タンタル32は、約100cm3の内部容積を有する封止容器31を包含している。容器31は、タイプ316ステンレス鋼のような耐食合金により作製され、加熱器31aにより加熱されて空間的に均一な温度分布を該容器内に作り出す。SiC単結晶17の成長の間には、チャンバ10内の温度は維持され、望ましくは75〜120℃に維持される。これらの温度では、固体のTaCl5は蒸気化して0.1〜1TorrのTaCl5蒸気圧を生成する。
上記Ar+H2混合物は容器31内に供給され、望ましくは20〜50sccmの流速で供給される。容器31の内部では、該Ar+H2混合物はTaCl5蒸気と混合し、それを弁36bを通じて多岐管38に運搬する。弁36b及び多岐管38は、可撓性のテープヒーター38aにより、容器31の温度と同等以上の温度に加熱され、望ましくは100〜200℃に加熱される。
上記Ar+H2混合物の主な流れは、弁35、質量流制御器35a及び弁35bを通じて多岐管38に供給され、望ましくは50〜300sccmの流速で供給される。チャンバ10内に生じる上記反応のガス状副生成物は、出口10b、弁39及び真空ポンプ37を通じて、中和のために洗浄器(図示しない)に流れていく。
図3に示される装置において高純度6H SiC成長行程を実行した結果を、以下の表1に示す。成長したSiC単結晶17中の窒素濃度は4・1015〜7・1015cm3であり、ホウ素濃度は2・1015〜8・1015cm3であった。先行技術と比較すると、SiC単結晶17中のバックグラウンドN及びBの水準について4〜10倍の低減が観測された。
Figure 0006001768
PI型のSI SiC単結晶の成長
PI型のSI SiC単結晶の上記成長プロセスは、段階(a)と段階(b)との2つの段階を含む。段階(a)は、図3に関して上述するように、バックグラウンドN及びBの除去を目的とする反応性雰囲気下での成長である。段階(a)の成長プロセスの期間は、望ましくは12〜24時間である。該プロセスの段階(b)は、最終生成物である完全補償半絶縁性PI型SiC単結晶の成長であり、該成長はV(バナジウム)及びB(ホウ素)との共ドープを用いて実行される。
図4は、PI型のSiC結晶を成長させるためのSiC結晶成長装置を示す。該装置は、成長るつぼ11’を除き、図3に示される装置と類似している。段階(a)の間には、加熱された成長るつぼ内でのバナジウム及びホウ素ドーパントの存在は望ましくない。したがって、成長るつぼ11’は、段階(a)の間に低い温度でバナジウム及びホウ素ドーパントが貯蔵され、続いて段階(b)において該成長るつぼ内にもたらされることを可能とするよう考慮されている。成長るつぼ11’及びその動作に関する詳細は、図5A及び5Bに示される。
図4、5A及び5Bに関し、成長るつぼ11’は高密度で細粒状のグラファイトにより作製され、取り付けられたグラファイト管42、すなわちその底部に取り付けられたグラファイト管42を有する。望ましくは、管42の外径は30〜40mmであり、内径は15〜20mmである。上記ドーパントを包含するドーピングカプセル45は、押し棒44上の管42の内部に配される。望ましくは、ドーピングカプセル45及び押し棒44は、グラファイトのような不活性物質により作製される。ドーピングカプセルを使用する先行技術はUS 7,608,524及びUS 8,216,369に開示されており、それら両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
図4に示されるように、管42は構造42aにより上記チャンバ内に支持されており、該構造42aは、チャンバ10の内部空間の排気及びプロセスガスによる再充填を容易にする開口42bを有する。管42、ドーピングカプセル45及び押し棒44は、チャンバ10内に含まれており、チャンバ10としてガス状成分の同じ圧力及び流れに晒される。
その底部では、グラファイト押し棒44は、ねじ加工のような当技術分野にて既知の手段を用いて金属押し棒44aに接続される。グラファイト押し棒44と金属押し棒44aとのねじ切り接続体は、図4において単位体44bとして模式的に示される。金属押し棒44aは、チャンバ10の外部に達し、封止材44cを介して封止され、真空気密の直線運動導入機(linear motion feed-through)を形成する。封止材44cはOリング封止材である磁性流体の直線運動導入機(例えば、030110 アメリカ合衆国ニューハンプシャー州ベッドフォード コンスティテューションドライブ33のFerroTec社製)、または送風機ベース(bellows-based)の真空導入機(例えば、06096、アメリカ合衆国コネチカット州ウィンザーロックス エラグラッソターンパイク375のStandard Bellows社製)であり得る。
SiC単結晶17の成長の間、管42、ドーピングカプセル45及び押し棒44を含むチャンバ10内の総圧は維持され、望ましくは5〜50Torrに維持される。
図3に関する前述の方法でるつぼ11’内において成長が実行される上記プロセスの段階(a)では、ドーピングカプセル45はるつぼ11’から離れて配されており、管42の開口は、図5aに示されるようにグラファイト栓43により封止されている。望ましくは、SiC単結晶17において段階(a)の間に実質的にドープされていない部分は、犠牲部分である。ドーピングカプセル45と加熱されたるつぼ11’との間隔により、ドーピングカプセル45の温度は、るつぼ11’の温度よりも低い。望ましくは、該プロセスの段階(a)の間のドーピングカプセル45の温度は、1000℃を超えない。
SiC原料物質14は、原料るつぼ40内において、ドーピング蒸気56(以下で説明する)がるつぼ11’の頂部に向かって移動することを可能にするよう構成された1つ以上の支持棒46を介して、るつぼ11’の底部から離れるように配されており、それにより間隙または自由空間41が形成される。原料るつぼ40はまた、原料るつぼ40の外径とるつぼ11’の内径との間に環状間隙41aを形成する。上記プロセスの段階(b)の間に、自由空間41及び環状間隙41aは、ドーピング蒸気56が成長しているSiC単結晶17に到達するための導通路として機能する。
ドーピングカプセル45の2つの限定されない実施形態を、図6A及び6Bに示す。図6Aは、例えばバナジウムのような単一のドーパント62のための単一区画63を含むドーピングカプセル45aであって、図6Bは、例えばバナジウム及びホウ素のような2つの別々のドーパント62a及び62bのための2つの区画63a及び63bを含むドーピングカプセル45bである。各ドーピングカプセル45a及び45bは、テーパ状の先端60を有する。ドーピングカプセル45aは、区画63と連通しており、ドーピング蒸気56のための通路として機能する少なくとも1つの較正済毛細管61を有する。ドーピングカプセル45bは、区画63a及び63bと連通しており、ドーピング蒸気56a及び56bのための通路として機能する少なくとも2つの較正済毛細管61a及び61bを有する。
各カプセル45a及び45bの動作原理は、公知の浸出現象、すなわち、封止された容器から小さなオリフィスを通じて蒸気がゆっくりと脱出することに基づく。高温では、その空間(63、63aまたは63b)の内部のドーパント(62、62aまたは62b)の蒸気圧により、上記蒸気(56、56aまたは56b)が対応する該空間と連通する各毛細管(61、61aまたは61b)を介して脱出させられる。各毛細管の断面が十分に小さい場合には、該カプセルにおける該ドーピング蒸気の蒸気圧は、平衡値と実質的に異ならない。
浸出の法則は公知であり、所定の成長条件、温度、不活性ガスの蒸気圧、上記ドーパント(62、62aまたは62b)の揮発性及び上記毛細管(61、61aまたは61b)の径及び/または長さにより、対応する毛細管を介して対応するカプセルから脱出するドーピング蒸気56、56aまたは56bの分子流量は容易に計算され得る。したがって、ドーピング蒸気の該カプセルから成長しているSiC結晶17までにおいて安定して十分に制御された流量が達成されるように、各毛細管の寸法及び各空間(63、63a及び/または63b)と連通している毛細管の数は適合され得る。
図4を再び参照すると共に引き続き図5A〜6に関し、図3に関する前述のプロセスの段階(a)の完了時に、ガス運搬システム30の弁36及び36bが閉じられ、それによって炉チャンバ10内へのハロゲン化金属蒸気の流れを停止する。
炉チャンバ10内へのハロゲン化金属蒸気の流れを停止することに続いて、ドーピングカプセル45、すなわちドーピングカプセル45aまたはドーピングカプセル45bのいずれかは、押し棒44の上方移動を介して上方へと移動させられる(図5B)。図4では、押し棒44の上方移動は、真空封止材44cを通じての押し棒44aの上方移動を介して達成され、該封止材はチャンバ10内の上記雰囲気の完全な状態を保持するように動作し得る。該ドーピングカプセルの外径は、管42の内径の大きさに合わせられ、それによって該ドーピングカプセルは押し棒44を介して無理な力なく移動させられ得る。該ドーピングカプセルのテーパ状の先端60は、図5Bに示されるように、栓43を管42末端の外へと押し出し、それによって該ドーピングカプセルをるつぼ内部にもたらす。
上記成長プロセスの段階(b)の間に、成長しているSiC単結晶17をバナジウム及びホウ素と共ドープすることが行われる。該ドーパント(単数または複数)は、限定されないが、元素バナジウム、元素ホウ素、炭化バナジウム(VC0.9)、炭化ホウ素(B4C)、ホウ化バナジウム(VB)及び/または二ホウ化バナジウム(VB2)を含む群から選択される。
一実施形態では、バナジウム−ホウ素の共ドープのため、ドーピングカプセル45aが用いられる。代わりに、ドーピングカプセル45bが、バナジウム及びホウ素と共に用いられ得る。該バナジウム及びホウ素は、空間63a及び63b内にこの順番で含まれていてもよく、逆順で含まれていてもよい。ドーピングカプセル45aは、直径1mm及び長さ6mmの単一の毛細管を備える。ドーピングカプセル45内の単一区画63は、バナジウム原料としてバナジウム金属と、ホウ素原料として二ホウ化バナジウムVB2とを含有する。二ホウ化バナジウムは、望ましくはバナジウムに対して重量比で1〜10%用いられる。
バナジウム補償型の半絶縁性PI型6H SiC結晶の精製を目的とする成長行程についての結果を、上記表1に示す。SIMS不純物分析に基づいて、成長させられた結晶は、4・1015〜7・1015cm-3の意図しないバックグラウンド窒素を含んでいた。意図的に導入されたホウ素及びバナジウムの水準は、それぞれ9・1015〜2・1016cm-3及び9・1016〜2・1017cm-3であった。
成長させられたSI SiC結晶からスライスしたウエハの抵抗率を、室温にてCOREMA(非接触式の静電容量ベース装置(non-contact capacitance-based instrument))を用いて測定した。その結果は、典型的に、該装置の測定限界である1012Ohm−cmを超えていた。おおよその室温抵抗率を見積もるために、該ウエハを可変温度型COREMA(VT−COREMA)を用いて100〜400℃の昇温温度にて測定した。その結果、室温について、およそ0.9〜1.5eVの範囲の活性化エネルギーにおける約1012〜1021Ohm−cmの室温抵抗率の値が得られることが推定された。これは、ホウ素の浅いアクセプターがバナジウムにより完全補償されたPI型であることを示している。
NU型のSI SiC単結晶の成長
PI型の半絶縁性SI SiC単結晶の成長と類似するように、NU型のSI SiC結晶の上記成長プロセスもまた、2つの段階を含む。該プロセスの段階(a)は、成長環境からのバックグラウンドN及びBの除去を目的とする、SiC単結晶の実質的にドープされていない犠牲位置の反応性雰囲気下での成長である。該プロセスの段階(a)は、図3に関して上述するように行われる。段階(a)の期間は、望ましくは12〜24時間である。該プロセスの段階(b)は、V(バナジウム)及びN(窒素)との共ドープを用いたNU型SiCの成長である。
図7は、NU型の半絶縁性SiC単結晶を成長させるためのSiC結晶成長装置を示す。図7に示される装置は、ガス運搬システム30を除き、図4に示される装置と類似している。図示を単純にするため、押し棒44a、真空封止材44c、ねじ加工44b、及び開口44bを含む構造42aは、図7から省略している。しかしながら、これらの要素またはそれらの同等品は、図7に示される装置にもまた存在していることが理解される。窒素による精確な共ドープを達成するために、ガス運搬システム30は、追加のガスラインを含み、該追加のガスラインは、図4のガス運搬システム30には要求されない弁74、74b及び質量流制御器74aを備えている。弁74、74b及び質量流制御器74aを備えたガスラインを追加の他には、図7に示されたSiC結晶成長装置は、図4に示されたSiC結晶成長装置と同一である。したがって、図4及び7に示されるSiC結晶成長装置の共通の要素の詳細については、不必要に冗長となることを避けるために、以下本明細書には説明しない。
Ar+H2ガス混合物は、弁74へと供給される。該Ar+H2ガス混合物中のH2濃度は、望ましくは50〜200体積ppmである。
一実施形態では、金属バナジウムがドーパントとして用いられる。SiC単結晶17の成長の間、バナジウムは図6Aに示される。ドーピングカプセル45内に配される。ドーピングカプセル45aは、直径1mmかつ長さ6mmの単一の毛細管61を備える。
現在参照している図7に関し、NU型のバナジウム補償型SiC単結晶17の成長プロセスは、以下のようにして行われる。図3に関する上述のプロセスの段階(a)の完了時に、弁36及び36bが閉じられ、それによって炉チャンバ10内へのハロゲン化金属蒸気の流れを停止する。該プロセスの段階(a)の間に、Ar+H2は、弁35及び35b並びに質量流制御器35aを介して炉チャンバ10内に流れ込むことを思い出していただきたい。望ましくは、SiC単結晶17の段階(a)の間に成長させられた部分は、犠牲部分である。
上記プロセスの段階(b)及びハロゲン化金属蒸気の炉チャンバ10内への流れの終了後には、弁74及び74bが開放され、質量流制御器74aが作動してAr+N2混合物がAr+H2流と共に炉チャンバ10内に流れ込むことを可能とする。望ましくは、Ar+N2混合物の流量は、Ar+H2の混合物の流量の1〜10%である。
これに続いて、ドーピングカプセル45aは、押し棒44の上方移動を用いて上方へと移動させられる。ドーピングカプセル45aのテーパ状の頂部は、図5Bの例に示されるように、栓43を管42の外へと押し出し、それによってドーピングカプセル45aを該るつぼ内部にもたらす。
バナジウム補償型の半絶縁性NU型SI SiC結晶の成長行程についての結果を、上記表1に示す。SIMS不純物分析に基づいて、成長させられたSI SiC単結晶は、2・1015〜8・1015cm-3の意図しないバックグラウンドホウ素を含んでいた。意図的に導入された窒素及びバナジウムの水準は、それぞれ8・1015〜2・1016cm-3及び9・1016〜2・1017cm-3であった。
成長させられたSI SiC結晶からスライスしたウエハの抵抗率を、室温にてCOREMAを用いて測定した。該抵抗値は1・1011〜4・1011Ohm−cmであった。25〜400℃の温度範囲における抵抗値の活性化エネルギーをVT COREMAを用いて測定すると、0.78〜0.82eVであった。これは、窒素の浅いドナーがバナジウムにより完全補償されたNU型であることを示している。
本発明については、添付の図面を参照して説明した。前述の詳細な説明を読んで理解することにより、明らかな修正及び変更は他の人も思い浮かぶであろう。本発明は、それらが添付の特許請求の範囲またはその均等物の範囲内にある限りにおいて、そのような修正及び変更の全てを含むものとして解釈されることが意図される。

Claims (18)

  1. (a)SiC単結晶種及び多結晶SiC原料物質を、炉チャンバの内側に配された成長るつぼの内側に間隔を空けて設ける工程であって、炉チャンバの内側に配された前記成長るつぼが成長環境を規定する工程と、
    (b)昇華したSiC原料物質が前記SiC種結晶上に析出することを介して、前記SiC種結晶上にSiC単結晶を昇華成長させる工程と、
    (c)前記成長環境に存在するバックグラウンド窒素及びバックグラウンドホウ素と反応して、前記バックグラウンド窒素を伴う固体窒化化合物及び前記バックグラウンドホウ素を伴うガス状ハロゲン化ホウ素化合物を形成する反応性雰囲気を、該成長環境内に形成させる工程と
    を含む、結晶成長方法であって、
    前記反応性雰囲気が、ハロゲン化蒸気化合物及び1つ以上のガスを含んでおり、
    前記ハロゲン化蒸気化合物が、(1)フッ素または塩素、及び(2)タンタルまたはニオブを備え、
    前記1つ以上のガスが、アルゴン、水素、またはアルゴン+水素の混合物を含んでいる、
    結晶成長方法
  2. (d)工程(c)に続いて、前記成長環境中の前記雰囲気を非反応性雰囲気に変える工程と、
    (e)工程(d)に続いて、前記成長環境内にバナジウムドーパントを導入する工程であって、前記バナジウムドーパントが、工程(d)の後に前記SiC種結晶上に昇華成長する前記SiC単結晶の一部を、完全補償された状態及び半絶縁性にする工程と
    をさらに含む、請求項に記載の方法。
  3. 工程(e)が、前記成長環境内にホウ素ドーパントまたは窒素ドーパントを導入することをさらに含む、請求項に記載の方法。
  4. 工程(e)において、前記バナジウムドーパントが制御された浸出を介して前記成長環境内に導入される、請求項に記載の方法。
  5. 工程(e)において前記成長環境内に前記バナジウムドーパントを導入することが、前記SiC単結晶の昇華成長の間に、前記バナジウムドーパントを、前記バナジウムドーパントが固体である前記成長るつぼの外側位置から、前記バナジウムドーパントがバナジウム蒸気を生成する前記成長るつぼの内側位置に移動させることを含む、請求項に記載の方法。
  6. 前記SiC単結晶の昇華成長の間における前記成長るつぼの内側の圧力が1〜100Torrである、請求項に記載の方法。
  7. (a)多結晶原料物質及び種結晶を、炉チャンバの内側に配された成長るつぼを備えた成長環境内に導入する工程と、
    (b)前記成長環境内の第1の昇華成長圧の存在下において、第1のガスの流れの存在下で昇華された原料物質を前記種結晶上に析出することを介して単結晶を前記種結晶上に昇華成長させる工程であって、該第1のガスの流れが、前記成長環境内でガス状窒素と反応して固体窒化物化合物を形成するか、前記成長環境内でホウ素と反応してガス状ハロゲン化ホウ素化合物を形成するか、またはその両方である反応性成分を含んでいる工程と、
    (c)工程(b)に続いて、前記成長環境において第2の昇華成長圧の存在下、ドーパント蒸気を含むが前記反応性成分を含まない第2のガスの流れの存在下において昇華された原料物質を前記種結晶上に析出することを介して、単結晶を前記種結晶上に昇華成長させる工程と
    を備える、結晶成長方法であって、
    前記第1のガスの前記反応性成分が、ガス状ハロゲン化金属であり、
    前記第2のガスの前記ドーパント蒸気が、ガス状のバナジウムを備えており、
    前記第2のガスがさらに水素、窒素または水素+窒素を備えている、
    結晶成長方法
  8. それぞれの昇華成長圧が1〜100Torrであり、
    前記第1及び第2の昇華成長圧は同じであっても異なっていてもよい、請求項に記載の方法。
  9. 工程(b)と(c)との間に、前記ドーパント蒸気の原料を前記成長るつぼ内に導入する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
  10. 工程(b)及び(c)が、前記各工程間に前記成長環境を室内環境雰囲気に晒すことなく実施される、請求項に記載の方法。
  11. (a)SiC単結晶種及び多結晶SiC原料物質を、炉チャンバの内側に配された成長るつぼの内側に間隔を空けて設ける工程であって、炉チャンバの内側に配された前記成長るつぼが成長環境を規定する工程と、
    (b)前記成長環境内において、前記SiC単結晶種上でのSiC単結晶の昇華成長を開始する工程と、
    (c)工程(b)に続いて、前記成長環境内における前記SiC単結晶種上でのSiC単結晶の昇華成長の間に、窒素及びホウ素のバックグラウンド不純物を、ガス状ハロゲン化金属及び水素を用いて前記成長環境から実質的に除去する工程と、
    (d)工程(c)に続いて、前記成長環境内における前記SiC単結晶種上でのSiC単結晶の昇華成長の間に、バナジウム及びホウ素ドーパントを前記成長環境内に導入し、それによりPI型SiC単結晶を前記SiC種結晶上で昇華成長させる工程であって、成長後の前記PI型SiC単結晶が半絶縁性であり、少なくとも1010Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.9〜1.5eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを有している工程と
    を備える、SiC結晶成長方法。
  12. 前記PI型SiC単結晶が、
    浅いドナーよりも大きい濃度で存在する浅いアクセプターと、
    完全補償を達成するのに十分な濃度で存在するバナジウムと
    をさらに備える、請求項11に記載のSiC結晶成長方法。
  13. 前記PI型SiC単結晶が、
    4・1015〜7・1015原子・cm-3の濃度に意図的に低減されたバックグラウンド窒素と、
    それぞれ9・1015〜2・1016原子・cm-3及び9・1016〜2・1017原子・cm-3の濃度で意図的に導入されたホウ素及びバナジウムドーパントと
    をさらに備える、請求項11に記載のSiC結晶成長方法。
  14. 前記PI型SiC単結晶が4Hまたは6Hポリタイプをさらに備える、請求項11に記載のSiC結晶成長方法。
  15. (a)SiC単結晶種及び多結晶SiC原料物質を、炉チャンバの内側に配された成長るつぼの内側に間隔を空けて設ける工程であって、炉チャンバの内側に配された前記成長るつぼが成長環境を規定する工程と、
    (b)前記成長環境内において、前記SiC単結晶種上でのSiC単結晶の昇華成長を開始する工程と、
    (c)工程(b)に続いて、前記成長環境内における前記SiC単結晶種上でのSiC単結晶の昇華成長の間に、窒素及びホウ素のバックグラウンド不純物を、ガス状ハロゲン化金属及び水素を用いて前記成長環境から実質的に除去する工程と、
    (d)工程(c)に続いて、前記成長環境内における前記SiC単結晶種上でのSiC単結晶の昇華成長の間に、バナジウム及び窒素ドーパントを前記成長環境内に導入し、それによりNU型SiC単結晶を前記SiC種結晶上で昇華成長させる工程であって、成長後の前記NU型SiC単結晶が半絶縁性であり、少なくとも1010Ohm−cmの室温抵抗率と、室温〜400℃の温度範囲におけるおよそ0.78〜0.82eVの範囲の抵抗率の活性化エネルギーとを有している工程と
    を備える、SiC結晶成長方法。
  16. 前記NU型SiC単結晶が、
    浅いアクセプターよりも大きい濃度で存在する浅いドナーと、
    完全補償を達成するのに十分な濃度で存在するバナジウムと
    をさらに備える、請求項15に記載のSiC結晶成長方法。
  17. 前記NU型SiC単結晶が、
    2・1015〜8・1015原子・cm-3の濃度に意図的に低減されたバックグラウンドホウ素と、
    それぞれ8・1015〜2・1016原子・cm-3及び9・1016〜2・1017原子・cm-3の濃度で意図的に導入された窒素及びバナジウムドーパントと
    をさらに備える、請求項15に記載のSiC結晶成長方法。
  18. 前記NU型SiC単結晶が4Hまたは6Hポリタイプをさらに備える、請求項15に記載のSiC結晶成長方法。
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