JP6000995B2 - ラジエータシュラウドの構造 - Google Patents
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Description
しかし、シュラウドの先端が単純に拡開する従来例では、シュラウド前部における内面の角度は、フロントフォークを通過した走行風が衝突するような角度となり、整流効率をより高くすることが難しくなる。また、上記公知例のように、先端の端末部を内側へ曲げる処理が一般におこなわれているが、このような端末処理程度の曲げでは、整流効果の向上は期待できない。そこで、本願は、導風効率を向上できるシュラウドの構造を得ることを目的とする。
前輪を転舵可能に支持する左右一対のフロントフォーク(12)と、フロントフォークの後方に配置されたラジエータ(38)と、ラジエータの左右外方を前方から後方にかけて覆う左右一対のシュラウド(40)とを備え、
前記フロントフォーク(12)を車幅方向で前記左右一対のシュラウド(40)の間に配置し、前記ラジエータ(38)の後方にエンジン(30)を配置し、このエンジン(30)の前部上方にライダーの着座するシート(46)の前端を配置した鞍乗り型車両において、
前記シュラウド(40)は、その最前端部(60)を前記ラジエータ(38)の上部前方に配置し、最外側部(70)を前記ラジエータ(38)より前方に配置するとともに、
前記最外側部(70)を前端部に有する本体部(52)を備え、
側面視で前記本体部(52)の前端部から前記フロントフォーク(12)の後端に向けて前方内側へ斜めに延出し、外表面でライダーの脚(F)をガイドし内表面で走行風を整流する延出部(50)を備えるとともに、
前記延出部(50)は、その最先端部(60)から斜め上がりに後方へ延出し上方側ほど車両内方へ入りこむ斜面をなす上延出部(62)と、斜め下がりに後方へ延出し下方側ほどより車両内方へ入りこむ斜面をなす下延出部(64)を備え、
前記下延出部(64)に車幅方向へ貫通するスリット(68)が上下方向へ長く形成されていることを特徴とする。
前記本体部(52)と前記延出部(50)との境界部は、前記最外部(70)から上後方へ延びる上部稜線(76)と下後方に延びる下部稜線(78)をなし、
前記延出部(50)は、前記上部稜線(76)及び下部稜線(78)から前方に延出していることを特徴とする。
さらに、下延出部に車幅方向へ貫通するスリットを設けたので、コーナリング時に車両を車幅方向に傾けると、スリットを介して車幅方向に空気が抜けるようになる。このため車両を傾けるときの横風抵抗を下げることができ、シュラウドを大型化してライダーの足をガイドする面を大型化しつつもコーナリング時の操作性を良好にできる。また、スリットとしたことでライダーの脚がシュラウドの外面に沿ってスムーズに移動できる。
そのうえ、下延出部の内側へ入ってくる走行風を、下延出部の外側からスリットを通ってきた風により乱流化しにくくして、導風量の増大に貢献できる。
そのうえ、上延出部の内側へ入ってくる走行風を、上延出部の外側からスリットを通ってきた風により乱流化しにくくして、導風量の増大に貢献できる。
図1に示すように、この車両は、車両フレーム10の前部で左右一対のフロントフォーク12を介して前輪14を支持し、後部でリヤアーム16を介して後輪18を支持する。13はフロントバイザーである。
エンジン30は水冷式であり、前方に配置されたラジエータ38により冷却される。ラジエータ38の側方はシュラウド40により覆われている。シュラウド40の前部内側にはフロントフェンダ42の後部が配置される。この後部はラジエータ38の前方まで延びている。
燃料タンク44の後方にはシート46が配置されている。
左右のラジエータ38は、フロントフォーク12及びフロントフェンダ42の後方に配置され、それぞれの受風面を前方へ向け、かつ若干内側を向くように傾斜した状態で配置されている(図6参照)。
シュラウド40は、適当な樹脂より成形され、延出部50、本体前部52、本体後部54を一体に有する。但し、延出部50は本体前部52と別体に形成してから一体になるよう組み立ててもよい。
本体前部52及び本体後部54からなる部分は、従来のシュラウド部分に相当する本体部であり、本体前部52及び本体後部54も一体もしくは別体に形成される。
前方へ突出する最先端部60は、ラジエータシュラウド40の最前端に位置し、フロントフォーク12の後端と前後方向でほぼ同じ位置になる。側方に重なっている。なお、最先端部60は、車幅方向でフロントフォーク12から外側方へ離れて位置する(図4、6参照)。
上延出部62と下延出部64の接続部は、最先端部60から後方へ延びる稜線69をなし、その後端部は本体前部52の最外側部70へ達している。最外側部70はシュラウド40における最大側方突出部である。
一方、スリット68は2つ設けられ、それぞれ下部稜線78に沿って細長く延び、下部稜線78に沿って前後方向へ並ぶように配置され、前側のスリット68は前端部が稜線69近くに位置している。スリット68はそれぞれ下延出部64を表裏に貫通しており、その大きさはスリット66よりも小さい。
なお、スリット66及びスリット68の大きさ、形状、数は任意に設定できる。
横長部80の前端部81は若干前方斜め下がりに傾斜し、下側腕部74の上部にて後端縁部が前方へ向かって曲がることにより形成された段部75へ後方から接続している。
横長部80の前端部81と上側腕部72の後端縁部との間に排気開口84が形成され、この排気開口84からラジエータ38上方の空気を矢示aのように外方へ排出できる。
また、シュラウド40は、外側方へ凸に湾曲する整流曲面をなし(図6参照)、走行風WDはこの整流曲面に沿って流れ、内向きに流れを変えられ、さらにフィン94により案内される。
なお、先端50aは若干内側へ曲げられた端末構造をなしている。但し、この端末構造は端縁部をエッジにせず接触感を良好にするためのものであり、延出部50のような整流面のある走行風ガイド機能を備えたものではない。
したがって、図5に示すように、正面視では、延出部50の面積は極めて小さなものとなり、僅かな内方張り出し量でラジエータコア部38aの外方に位置する。
このとき、走行風WDは、フロントフォーク12の外側を通るときフロントフォーク12及びその近傍のフロントフェンダ42により流線を外側へ曲げられるが、その側方に延出部50が位置するため、直に延出部50によりガイドされ、乱流化が防がれ、整流された状態で後方へ流れるので、ラジエータコア38aへ効率よく導風できる。
このとき、延出部50は、本体前部52の前端部にて、最外側部70を上下に挟んで、内側斜め前方へ延出するので、シュラウド40内に入った走行風を外に漏らすことなく後方に向かってガイドすることができ、ラジエータの冷却を良好とする。
またラジエータコア38aの前方を覆うことなく開放しているので、ラジエータコア38aの前方に受風面積に相当する導風空間を確保して取り込む風量を減少させないようにできる。
このため、延出部50によってシュラウド40を大型化してライダーの足をガイドする面を大型化しつつも、ラジエータコア38aに直接流れる走行風を最大限とすることができる。したがって、この延出部50を有するシュラウド40の構造は、その前部にて脚Fをガイドする機会が多いモトクロス仕様車両に好適なものとなる。
図7は延出部50の模式化した水平断面であり、図中の(a)(b)は直進時、(c)及び(d)はコーナリング時を示す。また、断面部位は図6と同様とする。
一方、(d)に示すように、スリット68が存在すると、この横風は一部が矢示gのように、スリット68を通って外から内へ抜けるため、車両倒し込みの横風抵抗が少なくなる。このため、シュラウド40を大きくしても、車両倒し込み時の横風抵抗を少なくしてコーナリングを容易にすることができる。
なお、この説明は、延出部50のうち、下延出部64及びスリット68についてのものであったが、上延出部62及びスリット66についても同様である。
これらの図において、この実施形態における下延出部64Aが大きく形成され、その下端部が下側腕部74の下端部近傍まで拡大され、図3等では下延出部64の下方に露出されていたフィン94が覆われている点で前実施形態と相違する。但し、図9に示すように、正面視で下延出部64Aの下部を含む延出部50A全体がラジエータコア38aの外側に位置することに変わりはない。このようにすると、延出部50Aをより大型化することができる。
Claims (5)
- 前輪を転舵可能に支持する左右一対のフロントフォーク(12)と、フロントフォークの後方に配置されたラジエータ(38)と、ラジエータの左右外方を前方から後方にかけて覆う左右一対のシュラウド(40)とを備え、
前記フロントフォーク(12)を車幅方向で前記左右一対のシュラウド(40)の間に配置し、前記ラジエータ(38)の後方にエンジン(30)を配置し、このエンジン(30)の前部上方にライダーの着座するシート(46)の前端を配置した鞍乗り型車両において、
前記シュラウド(40)は、その最前端部(60)を前記ラジエータ(38)の上部前方に配置し、最外側部(70)を前記ラジエータ(38)より前方に配置するとともに、
前記最外側部(70)を前端部に有する本体部(52)を備え、
側面視で前記本体部(52)の前端部から前記フロントフォーク(12)の後端に向けて前方内側へ斜めに延出し、外表面でライダーの脚(F)をガイドし内表面で走行風を整流する延出部(50)を備えるとともに、
前記延出部(50)は、その最先端部(60)から斜め上がりに後方へ延出し上方側ほど車両内方へ入りこむ斜面をなす上延出部(62)と、斜め下がりに後方へ延出し下方側ほど車両内方へより入りこむ斜面をなす下延出部(64)を備え、
前記下延出部(64)に車幅方向へ貫通するスリット(68)が上下方向へ長く形成されていることを特徴とするラジエータシュラウドの構造。 - 前記本体部(52)と前記延出部(50)との境界部は、前記最外側部(70)から上後方へ延びる上部稜線(76)と下後方に延びる下部稜線(78)をなし、
前記延出部(50)は、前記上部稜線(76)及び下部稜線(78)から前方に延出していることを特徴とする請求項1項に記載されたラジエータシュラウドの構造。 - 前記上延出部(62)に車幅方向へ貫通するスリット(66)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載されたラジエータシュラウドの構造。
- 前記スリット(66・68)は細長形状をなし、その長手方向が前記上部稜線(76)又は下部稜線(78)に沿って配置されることを特徴とする請求項3に記載されたラジエータシュラウドの構造。
- 前記延出部(50)は、正面視で、前記ラジエータ(38)のラジエータコア(38a)よりも外側に配置されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載されたラジエータシュラウドの構造。
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