JP2016097864A - 鞍乗り型車両のフロントフェンダー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フロントフェンダー41は、少なくとも左右一対のフォークチューブ31よりも前方の部位にて、下方に開口する略逆U字断面を有する本体部41aと、この本体部41aの左右端部から両側方に張り出す段部41bとを備え、段部41bは、フロントフェンダー41の前部からフロントフェンダー41の側面視における上縁輪郭線41kに沿うように後上方に延びた後にフォークチューブ31の前方近傍の部位にて後下方に延びるように形成される。
【選択図】図1
Description
従来技術として、フロントフェンダーの上面を流れる走行風を効率的にエンジンに当てるために、フロントフェンダーの上面側と下面側とを連通する導風路を設ける構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明の目的は、重量増加や部品点数増加を抑えながら、走行風をエンジンに導くことが可能なフロントフェンダーを提供することにある。
また、上記構成において、前記段部(41b)の後端部の角度θは、前記フォークチューブ(31)に対して略直角若しくはそれ以下に設定されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記段部(41b)の車幅方向内側に位置する前記フロントフェンダー本体部(41a)を構成する左右の縦壁部(41e)は、後方に向かうほど車幅方向外側となるように形成されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記車体フレーム(11)は、前記ヘッドパイプ(21)から後下方に延びるダウンフレーム(23)を備えるとともに、前記ダウンフレーム(23)の少なくとも左右の一方にオフセットした位置であって、前記ボトムブリッジ(33)よりも低い位置にラジエータ(27,28)を備え、側面視にて前記段部(41b)の後端部(41m)の延長線(71)が、前記ラジエータ(27,28)のラジエータコア(27c、28c)を通るようにしても良い。
また、上記構成において、前記フロントフェンダー(41)の上面は、車幅方向中央部が上方に凸となるように屈曲形成されるようにしても良い。
また、段部の後端部の角度θは、フォークチューブに対して略直角若しくはそれ以下に設定されるので、走行風を、段部の後端部からフォークチューブに略直角若しくはそれ以下の角度になるように車体後方に向けて流すことで、走行風をエンジン側へ導きやすくすることができる。
また、段部の車幅方向内側に位置するフロントフェンダー本体部を構成する左右の縦壁部は、後方に向かうほど車幅方向外側となるように形成されるので、段部に沿って導かれる走行風を、縦壁部によって後方に向かうほど外側に流れるように指向させることができるため、ヘッドライトやフォークチューブに当って上方に流れる走行風量を減らして、結果的に後下方のエンジン側へ流れる風量を多くすることができる。
また、車体フレームは、ヘッドパイプから後下方に延びるダウンフレームを備えるとともに、ダウンフレームの少なくとも左右の一方にオフセットした位置であって、ボトムブリッジよりも低い位置にラジエータを備え、側面視にて段部の後端部の延長線が、ラジエータのラジエータコアを通るので、効果的にラジエータコアに走行風を導くことができ、ラジエータの冷却性能を向上させることができる。
また、フロントフェンダーの上面は、車幅方向中央部が上方に凸となるように屈曲形成されるので、フロントフェンダーの車幅方向中央部に当った走行風を、凸となる上面で左右に振り分け、その後に左右の段部によって後下方に指向するように導くことができるので、エンジンの冷却性能をより一層向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態のフロントフェンダー41を備える自動二輪車10の前部側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して前輪13が回転可能に支持され、車体フレーム11の下部にエンジン16が支持された鞍乗り型車両である。
ヘッドパイプ21にはフロントフォーク12が操舵可能に支持されている。左右のメインフレーム22の上部には燃料タンク25が固定されている。燃料タンク25の後方には車体フレーム11の後部で支持されたシート26が配置されている。左右のメインフレーム22及びダウンフレーム23にはエンジン16が支持されている。ダウンフレーム23には、その両側に配置された左右一対のラジエータ27,28(手前側のラジエータ27のみ図示)が支持されている。
フォークチューブ31は、テレスコピック構造を有し、車重を支えるばねと、振動を減衰させるダンパとから構成され、下部にフォークガード36が取付けられる。トップブリッジ32及びボトムブリッジ33は、左右一対のフォークチューブ31を連結している。トップブリッジ32は、左右のフォークチューブ31の上端部に取付けられ、ボトムブリッジ33は、左右のフォークチューブ31のトップブリッジ32から下方に離れた位置に取付けられる。トップブリッジ32の上部にはバーハンドル37が取付けられる。
ステアリングステム34は、トップブリッジ32及びボトムブリッジ33のそれぞれの車幅方向中央に上下に延びるように渡された操舵軸であり、ヘッドパイプ21に回転可能に支持される。
ボトムブリッジ33の下部には、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー41が固定されている。フロントフェンダー41は、その形状が改良されてエンジン16やラジエータ27,28へ走行風が導きやすくなるように形成されている。なお、図中の符号42はメインフレーム22の一部及びラジエータ27,28を側方から覆う左右一対のシュラウドであり、アウタシュラウド43と、一部がアウタシュラウド43の内側に配置されたインナシュラウド44との2部品からなる。
エンジン16は、クランクケースから立ち上げられたシリンダ部16Aを有する。
フロントフェンダー41は、フロントフォーク12の左右のフォークチューブ31,31間を通って前後に延びている。フロントフェンダー41の後方の左右には、前側が左右に大きく開き、後方に向かうにつれて次第に狭まる左右一対のシュラウド42,42が配置されている。フロントフェンダー41によって所定の流れが形成された走行風の一部は、左右のシュラウド42,42の内側に導かれ、左右のラジエータ27,28(図4参照)に当てられる。
図中に示す符号51,52は、バーハンドル37の両端部に設けられたグリップ、53はバーハンドル37の左側に設けられたクラッチレバー、54はバーハンドル37の右側に設けられたフロントブレーキ用レバーである。また、符号56は燃料タンク25の給油口を塞ぐキャップ、57はエンジン16の前部から延びる排気管、58は排気管57を側方から覆う遮熱カバー、61,61は運転者用のステップ、62はギヤチェンジペダル、63はリヤブレーキ用ペダルである。
フロントフェンダー41の上部(左右のフォークチューブ31,31よりも前方に位置する部分)は、正面視でボトムブリッジ33、ラジエータ27,28の上部、ゼッケンプレート38の下端部、左右のフォークチューブ31,31に重なる。
左右のラジエータ27,28の前方には、左右のインナシュラウド44,44に設けられた左右のルーバー部44a,44bが配置され、走行風は、車両前方からルーバー部44aを通ってラジエータ27,28に流れる。
右側のラジエータ28は、その下端部が、右側に突出した排気管57との干渉を避けるために左側のラジエータ27の下端部よりも上方に配置され、高さ方向の寸法がラジエータ27よりも短く形成されている。これに伴い、インナシュラウド44,44の左右のルーバー部44a,44bについても、右側のルーバー部44bが左側のルーバー部44aよりも高さ寸法が短くなっている。
図4、図5に示すように、フロントフェンダー41は、下方に開口する略逆U字断面を有する本体部41aと、本体部41aの左右端部から側方に一体に張り出した左右の段部41b,41bと、段部41b,41bの側縁から略下方に一体に延びる下部縦壁部41hとを備え、ボトムブリッジ33の下部に複数のボルト65で固定される。
本体部41aは、車幅方向中央に頂部となる稜線41cを有する上方に凸となるように山形に屈曲した山形部41dと、山形部41dの両縁から一体に下方斜め外側方に延びる上部縦壁部41e,41eとから構成される。
山形部41dは、稜線41cから車幅方向外側方斜め下方に延びる左右傾斜部41f,41fからなる。
左右のラジエータ27,28は、その車幅方向内側の約半分が、左右のフォークチューブ31,31の後方に配置され、車幅方向外側の約半分が、フォークチューブ31,31に遮られることなく略前方を指向している。
ラジエータ27は、上端部に設けられた上タンク27aと、下端部に設けられた下タンク27bと、上タンク27a、下タンク27b間に配置されたラジエータコア27cとからなり、上タンク27aに、注水口27dと、注水口27dを塞ぐラジエータキャップ67とを備える。
上タンク27a、下タンク27b、上タンク28a、下タンク28bは、冷却水を一時的に貯めておく部分である。ラジエータコア27c,28cは、それぞれ上タンク27aと下タンク27bとの間、上タンク28aと下タンク28bとの間を冷却水が通る複数の管路で接続するとともに各管路間にフィンが設けられた放熱部である。
ラジエータ27,28の本体部分、即ち注水口27d,28d及びラジエータキャップ67,78を除いた部分は、ボトムブリッジ33よりも下方に配置される。
上記したフロントフェンダー41の本体部41a及び段部41bによって、フロントフェンダー41の表面に近接して流れる走行風に所定の流れを形成して、走行風をラジエータ27,28側やエンジン16(図1参照)側に向けて流れるようにすることができる。
詳しくは、段部41bの後部には、後方斜め下方に側面視で直線状に延びるように後部傾斜部41mが形成されている。後部傾斜部41mの延長線71は、フォークチューブ31の前面31aに対して角度θだけ傾いている。角度θは約90°であり、延長線71は、側面視でラジエータ27,28(ラジエータ28については図4参照)及びエンジン16のシリンダ部16Aを通る。角度θは90°以下であることが望ましく、少なくとも100°以下が良い。
このように段部41bを設けることで、フロントフェンダー41の左右側部に当った走行風を段部41bに沿って後方斜め下方に指向するように流すことができる。また、上縁輪郭線41kと段部41bとの高低差は、フロントフェンダー41の前部から後方に行くにつれて徐々に大きくなる。このように高低差が徐々に変化するため、走行風を段部41bに沿って流れやすくすることができる。
図6、図7に示すように、フロントフェンダー41は、本体部41aに、両側の左右傾斜部41f,41fの車幅方向内側部分を繋ぐ平坦部41pが形成されている。
段部41b,41bは、車幅方向内側に対して車幅方向外側が低くなるように水平線73に対して角度αだけ傾いている。角度αは、例えば、0〜20°、好ましくは、0〜15°である。
左右の段部41b、41bは、それぞれ左右のフォークチューブ31,31に向かって延びている。
図8は、フロントフェンダー41の導風作用を示す側面図である。図9は、フロントフェンダー41の導風作用を示す平面図である。図10は、フロントフェンダー41の導風作用を示す斜視図である。
図8に示すように、車両前方から自動二輪車10に向かう走行風は、フロントフェンダー41の左側では、矢印Aのように進行して、矢印Bに示すように、フロントフェンダー41の段部41bの前側に当って段部41bに沿って進行し始める。その後、走行風は、矢印Cに示すように、段部41bに沿って後方斜め上方に進み、そして、矢印Dに示すように、段部41bの後端部の後部傾斜部41mに沿って後方斜め下方に進む。この後は、矢印Eに示すように、フロントフォーク12のフォークチューブ31を回り込みながら後部傾斜部41mの延長線71に沿って後方斜め下方に略直線状に進む。そして、走行風は、ラジエータ27のラジエータコア27cを通過し、更に、矢印Fに示すように、エンジン16のシリンダ部16Aに当たる。この結果、ラジエータ27及びエンジン16が冷却される。フロントフェンダー41の右側でも、同じようにして、走行風は、ラジエータ28(図4参照)を通過し、エンジン16のシリンダ部16Aに当たって、ラジエータ28及びエンジン16が冷却される。
このように、フロントフェンダー41の上部縦壁部41eと段部41bとが協働して、しかも単純な形状で、走行風をラジエータ27,28(ラジエータ28については図4参照)及びエンジン16へ向かうようにすることができる。
また、段部41bの後端部(後部傾斜部41m)の角度θは、フォークチューブ31に対して略直角若しくはそれ以下に設定されるので、走行風を、段部41bの後端部からフォークチューブ31に略直角若しくはそれ以下の角度になるように車体後方に向けて流すことで、走行風をエンジン16側へ導きやすくすることができる。
また、図2に示したように、段部41bの車幅方向内側に位置する本体部41aを構成する左右の縦壁部としての上部縦壁部41e,41eは、後方に向かうほど車幅方向外側となるように形成されるので、段部41bに沿って導かれる走行風を、上部縦壁部41eによって後方に向かうほど外側に流れるように指向させることができるため、ヘッドライトやフォークチューブ31に当って上方に流れる走行風量を減らして、結果的に後下方のエンジン16側へ流れる風量を多くすることができる。
また、図4、図8及び図10に示したように、車体フレーム11は、ヘッドパイプ21から後下方に延びるダウンフレーム23を備えるとともに、ダウンフレーム23の少なくとも左右の一方にオフセットした位置であって、ボトムブリッジ33よりも低い位置にラジエータ27,28を備え、側面視にて段部41bの後端部としての後部傾斜部41mの延長線71が、ラジエータ27,28のラジエータコア27c、28cを通るので、効果的にラジエータコア27c、28cに走行風を導くことができ、ラジエータ27,28の冷却性能を向上させることができる。
また、図5に示したように、フロントフェンダー41の上面は、車幅方向中央部が上方に凸となるように屈曲形成されるので、フロントフェンダー41の車幅方向中央部に当った走行風を、凸となる上面(左右の左右傾斜部41f)で左右に振り分け、その後に左右の段部41bによって後下方に指向するように導くことができるので、エンジン16の冷却性能をより一層向上させることができる。
例えば、上記実施形態において、図4及び図5に示したように、フロントフェンダー41を、ボトムブリッジ33の下部に固定したが、これに限らず、フロントフェンダーを、少なくともボトムブリッジ33と左右のフォークチューブ31,31との一方に固定しても良い。また、エンジンを水冷式としたが、空冷式でも良い。
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
11 車体フレーム
13 前輪
16 エンジン
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
23 ダウンフレーム
27,28 ラジエータ
27c ラジエータコア
28c ラジエータコア
31 フォークチューブ
33 ボトムブリッジ
34 ステアリングステム(操舵軸)
41 フロントフェンダー
41a 本体部(フロントフェンダー本体部)
41b 段部
41e 上部縦壁部(縦壁部)
41h 下部縦壁部(段部縦壁部)
41k 上縁輪郭線
41m 後部傾斜部(段部の後端部)
71 延長線
Claims (7)
- ヘッドパイプ(21)及びヘッドパイプ(21)から後下方に延びるメインフレーム(22)を備える車体フレーム(11)と、前記メインフレーム(22)の下方に配置されるエンジン(16)と、前記ヘッドパイプ(21)に操舵可能に軸支される操舵軸(34)と、この操舵軸(34)の下端部に取付けられるボトムブリッジ(33)と、このボトムブリッジ(33)の左右端部に取付けられ、その下端部にて前輪(13)を上下動可能に支持する左右一対のフォークチューブ(31)と、前記ボトムブリッジ(33)又は前記フォークチューブ(31)に固定されるフロントフェンダー(41)とを備える鞍乗り型車両において、
前記フロントフェンダー(41)は、少なくとも前記左右一対のフォークチューブ(31)よりも前方の部位にて、下方に開口する略逆U字断面を有するフロントフェンダー本体部(41a)と、このフロントフェンダー本体部(41a)の左右端部から両側方に張り出す段部(41b)とを備え、
前記段部(41b)は、前記フロントフェンダー(41)の前部から前記フロントフェンダー(41)の側面視における上縁輪郭線(41k)に沿うように後上方に延びた後に前記フォークチューブ(31)の前方近傍の部位にて後下方に延びるように形成されることを特徴とする鞍乗り型車両のフロントフェンダー。 - 前記フロントフェンダー本体部(41a)と前記段部(41b)との高低差は、前記フロントフェンダー(41)の前から後に行くにつれて徐々に大きくなることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のフロントフェンダー。
- 前記段部(41b)の後端部の角度θは、前記フォークチューブ(31)に対して略直角若しくはそれ以下に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両のフロントフェンダー。
- 前記段部(41b)の車幅方向内側に位置する前記フロントフェンダー本体部(41a)を構成する左右の縦壁部(41e)は、後方に向かうほど車幅方向外側となるように形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のフロントフェンダー。
- 前記段部(41b)の車幅方向外側の縁部には、下方に延びる段部縦壁部(41h)が設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のフロントフェンダー。
- 前記車体フレーム(11)は、前記ヘッドパイプ(21)から後下方に延びるダウンフレーム(23)を備えるとともに、前記ダウンフレーム(23)の少なくとも左右の一方にオフセットした位置であって、前記ボトムブリッジ(33)よりも低い位置にラジエータ(27,28)を備え、側面視にて前記段部(41b)の後端部(41m)の延長線(71)が、前記ラジエータ(27,28)のラジエータコア(27c、28c)を通ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のフロントフェンダー。
- 前記フロントフェンダー(41)の上面は、車幅方向中央部が上方に凸となるように屈曲形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のフロントフェンダー。
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