JP5999658B2 - 多能性幹細胞の培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、胚性幹細胞や人工多能性幹細胞などの多能性幹細胞の維持増幅方法に関する。より詳細には、本発明は、多能性幹細胞を、該細胞塊に分化や細胞死が誘導されない程度のサイズまで、浮遊培養により増幅させた後、該細胞塊を、細胞死を引き起こさない程度のより小さいサイズの細胞塊に分割して継代することによる、多能性幹細胞の維持増幅方法に関する。
癌化などを起こすことなく無制限に増殖可能で多分化能を持つ多能性幹細胞は、細胞移植治療や創薬スクリーニングなどへの応用が期待されている。
従来、ヒト多能性幹細胞株は、フィーダー細胞または各種高分子などに接着させる平面培養によって増殖維持されてきた。しかしながら、高品質のヒト多能性幹細胞を、安定して大量に培養増殖させる技術は確立されていない。特に、実用化に必要となる大量の多能性幹細胞を調製するには、従来法である培養容器に接着させて継代により増殖させる方法では限界がある。例えば、ヒト多能性幹細胞用の接着基質材料として、品質面とコスト面で最適なものは開発されておらず、また、継代には複雑な多段階の操作が必要であり、通常は酵素処理など、安全面およびコスト面で不利なステップが含まれている。
最近、接着基質が不要な浮遊培養(suspension culture)法が報告され、注目されている(特許文献1-5, 非特許文献1-6)。この方法によれば三次元的な培養が可能なため、より小さなスペースでの大量培養が可能となる。しかしながら、既報の浮遊培養法では、付着培養と同じく継代時に酵素処理を必要とするため、継代操作が複雑で均一なサイズの細胞塊を作ることが困難であり、また、細胞塊同士が接着融合して細胞壊死や分化が始まるなど、適切な細胞塊サイズを安定的にコントロールすることが不可能であった。
国際公開第2011/058558号パンフレット 国際公開第2009/116951号パンフレット 国際公開第2008/120218号パンフレット 国際公開第2008/015682号パンフレット 国際公開第2007/002086号パンフレット
M. Amit et al., Nat. Protoc., 325, 572-579 (2011) R. Zweigerdt et al., Nat. Protoc., 318, 689-700 (2011) D. Steiner et al., Nat. Biotechnol., 28, 361-364 (2010) M. Amit et al., Stem Cell Rev. and Rep., 6, 248-259 (2010) H. Singh et al., Stem Cell Res.,4, 165-179 (2010) A.K. Chen et al., Stem Cell Res., 7, 97-111 (2011)
本発明の目的は、既報の浮遊培養法における問題点を解決する新規な多能性幹細胞の培養方法を提供することである。即ち、本発明の第一の課題は、酵素処理が不要で、均一なサイズの細胞塊に分割できる新規継代方法を提供することである。また、本発明の第二の課題は、細胞塊が互いに接着融合する可能性を低めることができる新規な浮遊培養法を提供することである。
一般に、浮遊培養されている球体に近い形態のES細胞塊は、細胞塊のサイズが小さすぎるとアポトーシスを起こし易く、逆に細胞塊のサイズが大きすぎると、分化を開始したり中心部細胞が壊死してしまうといった問題点がある。そこで、本発明者はまず、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の維持増幅に適した細胞塊のサイズを検討した。その結果、ES細胞塊は、直径約80-約250 μmの範囲で多能性を維持しつつ良好な増殖を示すことが明らかとなった。従って、浮遊培養法により直径約250 μmまでES細胞塊を増殖させた後、直径約80 μmの均一な細胞塊に分割して継代できれば、最も効率よくES細胞を維持増幅することができると考えられた。
そこで、本発明者は、酵素処理を用いずにES細胞塊を均一なサイズに簡便に分割し得る手段を鋭意検討した結果、細胞浮遊液を単にメッシュ様フィルターに通すだけで、大きな細胞塊が分割され、より小さなサイズの均一な細胞塊を調製し得ることを見出した。これまで、酵素処理の際に解離せずに残った大きな細胞塊を除いて均一なサイズの細胞を得る目的で、酵素処理により分散化した細胞をメッシュに通すという操作は行われていたが、メッシュの孔径より大きな細胞塊はメッシュを通過せずに残ると考えられていたので、細胞塊のサイズより小さな孔径のメッシュに通すことで当該細胞塊を容易に分割し、より小さなサイズの細胞塊を生じさせる新規な継代法を提供するものである。
次に、本発明者は、培養途中に細胞塊が互いに接着融合する可能性を低める手段を検討した。従来、細胞塊の接着融合を防ぐ方法として、例えば、分散後は静置して動かさない手法が用いられていたが、顕微鏡観察ができないなど、非常に培養操作が困難であった。あるいは、常に細胞液を揺らがせる方法も用いられていたが、培養法が複雑化したり、細胞液のシェアフォースによる細胞障害の原因になるなどの悪影響があり、浮遊細胞塊同士の接着融合を防ぐ有効な手段は見出されていなかった。そこで、本発明者らは、細胞毒性を持たない高分子化合物を一定濃度で加えて、培養液に適当な粘性を持たせることにより、浮遊細胞塊スフェアの移動やスフェア間の密着を抑制し、細胞塊同士の接着融合を防ぐことに成功した。
本発明者は、上記2つの新規手法を組み合わせることにより多能性幹細胞の浮遊培養法における問題点を解決し、ES細胞の増幅効率を飛躍的に向上させることに成功して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1] 以下の工程を繰り返すことを特徴とする、多能性幹細胞の維持増幅方法。
(i) 多能性幹細胞を、細胞塊の平均直径が約200-約300 μmとなるまで浮遊培養する工程
(ii) 工程(i)により得られた細胞塊を、平均直径が約80-約120 μmである均一な細胞塊に分割する工程
[2] 工程(i)において、多能性幹細胞を、細胞塊の平均直径が約250 μmとなるまで浮遊培養し、工程(ii)において、平均直径が約80 μmである均一な細胞塊に分割することを特徴とする、上記[1]記載の方法。
[3] 工程(ii)における分割が、細胞塊をメッシュに通すことにより行われることを特徴とする、上記[1]または[2]記載の方法。
[4] メッシュの孔径が約30-約70 μm、好ましくは約40-約60 μm、より好ましくは約50 μmである、上記[3]記載の方法。
[5] 工程(i)の培養が、細胞塊同士の接着を起こさない粘度を持つ水溶性高分子成分を含む培地中で行われる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 水溶性高分子が、多糖もしくはそのエーテル、合成ハイドロゲル高分子および生体高分子、並びにそれらを模倣した人工高分子から選ばれる、上記[5]記載の方法。
[7] 水溶性高分子がメチルセルロースまたは昇温型温度感受性ハイドロゲルである、上記[5]記載の方法。
[8] 多能性幹細胞がES細胞またはiPS細胞である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 多能性幹細胞がヒト由来である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
本発明の継代方法によれば、均一な小サイズの細胞塊を細胞増殖により成長させた後、細胞壊死や分化が開始する以前の適切なサイズの段階で、単に細胞浮遊液をメッシュに通すという単一の簡便なステップのみにより、再度均一な小サイズの細胞塊に分割して継代することが可能になり、従来法のように酵素処理を必要としないので、安全面およびコスト面できわめて有利である。また、分割後の細胞塊の大きさは均一性に富んでおり、従来の浮遊培養における課題であった細胞塊サイズを最適範囲にコントロールすることが容易になる。
また、本発明の継代後の培養方法によれば、浮遊細胞塊の移動と密着を抑制して細胞塊同士の接着融合を防ぐことが容易となるので、従来の浮遊培養における課題であったサイズ増加による細胞塊壊死や分化開始を抑制することができ、効率よくES細胞を維持増幅させることが可能となる。また、静置や揺らし続けるなどの煩雑で細胞障害のリスクをもつ操作が不必要になり、継代と培養の全期間において顕微鏡観察による細胞塊成長と培養状態のモニタリングが可能となる。
図1は、ヒトES細胞(KhES-1株)の浮遊培養(4継代目)の結果を示す。 図2は、11回継代後のヒトES細胞における多能性幹細胞マーカーの発現を示すFACS解析結果を示す。 図3は、11回継代後のヒトES細胞(KhES-1株)の凍結切片の幹細胞マーカーの発現を示す免疫染色の結果を示す。 図4は、18回継代後のヒトES細胞(KhES-1株)のフィーダー細胞上の付着培養により生じたヒトES細胞コロニーを示す。 図5は、18回継代後のヒトES細胞(KhES-1株)のフィーダー細胞上の付着培養により生じたヒトES細胞コロニーにおける各種多能性幹細胞マーカーの発現を示す免疫染色の結果を示す。 図6は、17回継代後のヒトES細胞(KhES-1株)の核型解析の結果を示す。 図7は、ヒトiPS細胞(IMR90-1株)の浮遊培養の結果を示す。 図8は、22回継代後のヒトiPS細胞(253G1株)の凍結切片の幹細胞マーカーの発現を示す免疫染色の結果を示す。 図9は、長期継代培養後のin vitroでの253G1及びKhES-1細胞の心筋細胞への分化能の検討結果を示す。 図10は、長期継代培養後のin vitroでの253G1細胞の神経細胞への分化能の検討結果を示す。 図11は、継代後の253G1細胞のスフェア形態の経日変化を示す。 図12は、253G1細胞を用いた継代におけるメッシュサイズの細胞増殖に及ぼす効果についての検討結果を示す。縦軸は、継代直後の細胞数に対する増加倍率を示す。 図13は、253G1細胞を用いた継代におけるメッシュサイズのスフェア形態に及ぼす効果についての検討結果を示す。スケールバー: 100 μm 図14は、253G1細胞の浮遊スフェア培養におけるメチルセルロースの効果を示す。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明は、多能性幹細胞の新規かつ有用な維持増幅方法を提供する。当該方法は、以下の工程を繰り返し実施することを特徴とする。
(i) 多能性幹細胞を、細胞塊の平均直径が約200-約300μmとなるまで浮遊培養する工程
(ii) 工程(i)により得られた細胞塊を、平均直径が約80-約120 μmである均一な細胞塊に分割する工程
本発明の方法が適用可能な多能性幹細胞は、未分化状態を保持したまま増殖できる「自己再生能」と三胚葉系列すべてに分化できる「分化多能性」とを有する未分化細胞であれば特に制限されず、例えば、ES細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の他、始原生殖細胞に由来する胚性生殖(EG)細胞、精巣組織からのGS細胞の樹立培養過程で単離されるmultipotent germline stem(mGS)細胞、骨髄から単離されるmultipotent adult progenitor cell(MAPC)等が挙げられる。ES細胞は体細胞から核初期化されて生じたES細胞であってもよい。好ましくはES細胞またはiPS細胞である。本発明の方法は、いずれかの多能性幹細胞が樹立されているか、樹立可能である、任意の哺乳動物において適用することができ、例えば、ヒト、マウス、サル、ブタ、ラット、イヌ等が挙げられるが、好ましくはヒトまたはマウス、より好ましくはヒトである。
I. 多能性幹細胞の調製
ES細胞は、対象動物の受精卵の胚盤胞から内部細胞塊を取出し、内部細胞塊を線維芽細胞のフィーダー上で培養することによって樹立することができる。また、継代培養による細胞の維持は、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor (LIF))、塩基性線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor (bFGF))などの物質を添加した培養液を用いて行うことができる。ヒトおよびサルのES細胞の樹立と維持の方法については、例えばUSP5,843,780; Thomson JA, et al. (1995), Proc Natl. Acad. Sci. U S A. 92:7844-7848; Thomson JA, et al. (1998), Science. 282:1145-1147; H. Suemori et al. (2006), Biochem. Biophys. Res. Commun., 345:926-932; M. Ueno et al. (2006), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:9554-9559; H. Suemori et al. (2001), Dev. Dyn., 222:273-279;H. Kawasaki et al. (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:1580-1585;Klimanskaya I, et al. (2006), Nature. 444:481-485などに記載されている。
ES細胞作製のための培養液として、例えば0.1mM 2-メルカプトエタノール、0.1mM 非必須アミノ酸、2mM L-グルタミン酸、20% KSRおよび4ng/ml bFGFを補充したDMEM/F-12培養液(もしくは、合成培地:mTeSR、Stem Proなど)を使用し、37℃、2% CO2/98% 空気の湿潤雰囲気下でヒトES細胞を維持することができる(O. Fumitaka et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26:215-224)。また、ES細胞は、3〜4日おきに継代する必要があり、このとき、継代は、例えば1mM CaCl2および20% KSRを含有するPBS中の0.25% トリプシンおよび0.1mg/mlコラゲナーゼIVを用いて行うことができる。
ES細胞の選択は、一般に、アルカリホスファターゼ、Oct-3/4、Nanogなどの遺伝子マーカーの発現を指標にしてReal-Time PCR法で行うことができる。特に、ヒトES細胞の選択では、OCT-3/4、NANOG、ECADなどの遺伝子マーカーの発現を指標とすることができる(E. Kroon et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26:443-452)。
ヒトES細胞株は、例えばWA01(H1)およびWA09(H9)は、WiCell Reserch Instituteから、KhES-1、KhES-2およびKhES-3は、京都大学再生医科学研究所(京都、日本)から入手可能である。
精子幹細胞は、精巣由来の多能性幹細胞であり、精子形成のための起源となる細胞である。この細胞は、ES細胞と同様に、種々の系列の細胞に分化誘導可能であり、例えばマウス胚盤胞に移植するとキメラマウスを作出できるなどの性質をもつ(M. Kanatsu-Shinohara et al. (2003) Biol. Reprod., 69:612-616; K. Shinohara et al. (2004), Cell, 119:1001-1012)。神経膠細胞系由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF))を含む培養液で自己複製可能であるし、またES細胞と同様の培養条件下で継代を繰り返すことによって、精子幹細胞を得ることができる(竹林正則ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊),41〜46頁,羊土社(東京、日本))。
胚性生殖細胞は、胎生期の始原生殖細胞から樹立される、ES細胞と同様な多能性をもつ細胞であり、LIF、bFGF、幹細胞因子(stem cell factor)などの物質の存在下で始原生殖細胞を培養することによって樹立しうる(Y. Matsui et al. (1992), Cell, 70:841-847; J.L. Resnick et al. (1992), Nature, 359:550-551)。
人工多能性幹(iPS)細胞は、特定の初期化因子を、DNA又はタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性、例えば分化多能性と自己複製による増殖能、を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126:663-676; K. Takahashi et al. (2007), Cell, 131:861-872; J. Yu et al. (2007), Science, 318:1917-1920; Nakagawa, M.ら,Nat. Biotechnol. 26:101-106 (2008);国際公開WO 2007/069666)。初期化因子は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-cording RNAまたはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-coding RNA、あるいは低分子化合物によって構成されてもよい。初期化因子に含まれる遺伝子として、例えば、Oct3/4、Sox2、Sox1、Sox3、Sox15、Sox17、Klf4、Klf2、c-Myc、N-Myc、L-Myc、Nanog、Lin28、Fbx15、ERas、ECAT15-2、Tcl1、beta-catenin、Lin28b、Sall1、Sall4、Esrrb、Nr5a2、Tbx3またはGlis1等が例示され、これらの初期化因子は、単独で用いても良く、組み合わせて用いても良い。初期化因子の組み合わせとしては、WO2007/069666、WO2008/118820、WO2009/007852、WO2009/032194、WO2009/058413、WO2009/057831、WO2009/075119、WO2009/079007、WO2009/091659、WO2009/101084、WO2009/101407、WO2009/102983、WO2009/114949、WO2009/117439、WO2009/126250、WO2009/126251、WO2009/126655、WO2009/157593、WO2010/009015、WO2010/033906、WO2010/033920、WO2010/042800、WO2010/050626、WO 2010/056831、WO2010/068955、WO2010/098419、WO2010/102267、WO 2010/111409、WO 2010/111422、WO2010/115050、WO2010/124290、WO2010/147395、WO2010/147612、Huangfu D, et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26: 795-797、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 2: 525-528、Eminli S, et al. (2008), Stem Cells. 26:2467-2474、Huangfu D, et al. (2008), Nat Biotechnol. 26:1269-1275、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3, 568-574、Zhao Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3:475-479、Marson A, (2008), Cell Stem Cell, 3, 132-135、Feng B, et al. (2009), Nat Cell Biol. 11:197-203、R.L. Judson et al., (2009), Nat. Biotech., 27:459-461、Lyssiotis CA, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:8912-8917、Kim JB, et al. (2009), Nature. 461:649-643、Ichida JK, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:491-503、Heng JC, et al. (2010), Cell Stem Cell. 6:167-74、Han J, et al. (2010), Nature. 463:1096-100、Mali P, et al. (2010), Stem Cells. 28:713-720、Maekawa M, et al. (2011), Nature. 474:225-9.に記載の組み合わせが例示される。
上記初期化因子には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸 (VPA)、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA SmartpoolO(Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、MEK阻害剤(例えば、PD184352、PD98059、U0126、SL327およびPD0325901)、Glycogen synthase kinase-3阻害剤(例えば、BioおよびCHIR99021)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、5-azacytidine)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、BIX-01294 等の低分子阻害剤、Suv39hl、Suv39h2、SetDBlおよびG9aに対するsiRNAおよびshRNA等の核酸性発現阻害剤など)、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644)、酪酸、TGFβ阻害剤またはALK5阻害剤(例えば、LY364947、SB431542、616453およびA-83-01)、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)、ARID3A阻害剤(例えば、ARID3Aに対するsiRNAおよびshRNA)、miR-291-3p、miR-294、miR-295およびmir-302などのmiRNA、Wnt Signaling(例えばsoluble Wnt3a)、神経ペプチドY、プロスタグランジン類(例えば、プロスタグランジンE2およびプロスタグランジンJ2)、hTERT、SV40LT、UTF1、IRX6、GLISl、PITX2、DMRTBl等の樹立効率を高めることを目的として用いられる因子も含まれており、本明細書においては、これらの樹立効率の改善目的にて用いられた因子についても初期化因子と別段の区別をしないものとする。
初期化因子は、タンパク質の形態の場合、例えばリポフェクション、細胞膜透過性ペプチド(例えば、HIV由来のTATおよびポリアルギニン)との融合、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入してもよい。
一方、DNAの形態の場合、例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell, 131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター(WO 2010/008054)などが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008)。ベクターには、核初期化物質が発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができるし、さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。また、上記ベクターには、体細胞への導入後、初期化因子をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する初期化因子をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。
また、RNAの形態の場合、例えばリポフェクション、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入しても良く、分解を抑制するため、5-メチルシチジンおよびpseudouridine (TriLink Biotechnologies)を取り込ませたRNAを用いても良い(Warren L, (2010) Cell Stem Cell. 7:618-630)。
iPS細胞誘導のための培養液としては、例えば、10〜15%FBSを含有するDMEM、DMEM/F12又はDME培養液(これらの培養液にはさらに、LIF、penicillin/streptomycin、puromycin、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)または市販の培養液[例えば、マウスES細胞培養用培養液(TX-WES培養液、トロンボX社)、霊長類ES細胞培養用培養液(霊長類ES/iPS細胞用培養液、リプロセル社)、無血清培地(mTeSR、Stemcell Technology社)]などが含まれる。
培養法の例としては、たとえば、37℃、5%CO2存在下にて、10%FBS含有DMEM又はDMEM/F12培養液上で体細胞と初期化因子とを接触させ約4〜7日間培養し、その後、細胞をフィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上にまきなおし、体細胞と初期化因子の接触から約10日後からbFGF含有霊長類ES細胞培養用培養液で培養し、該接触から約30〜約45日又はそれ以上ののちにiPS様コロニーを生じさせることができる。
あるいは、37℃、5% CO2存在下にて、フィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上で10%FBS含有DMEM培養液(これにはさらに、LIF、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピューロマイシン、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)で培養し、約25〜約30日又はそれ以上ののちにES様コロニーを生じさせることができる。望ましくは、フィーダー細胞の代わりに、初期化される体細胞そのものを用いる(Takahashi K, et al. (2009), PLoS One. 4:e8067またはWO2010/137746)、もしくは細胞外基質(例えば、Laminin(WO2009/123349)およびマトリゲル(BD社))を用いる方法が例示される。
この他にも、血清を含有しない培地を用いて培養する方法も例示される(Sun N, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:15720-15725)。さらに、樹立効率を上げるため、低酸素条件(0.1%以上、15%以下の酸素濃度)によりiPS細胞を樹立しても良い(Yoshida Y, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:237-241またはWO2010/013845)。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培養液と培養液交換を行う。また、核初期化に使用する体細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
iPS細胞は、形成したコロニーの形状により選択することが可能である。一方、体細胞が初期化された場合に発現する遺伝子(例えば、Oct3/4、Nanog)と連動して発現する薬剤耐性遺伝子をマーカー遺伝子として導入した場合は、対応する薬剤を含む培養液(選択培養液)で培養を行うことにより樹立したiPS細胞を選択することができる。また、マーカー遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子の場合は蛍光顕微鏡で観察することによって、発光酵素遺伝子の場合は発光基質を加えることによって、また発色酵素遺伝子の場合は発色基質を加えることによって、iPS細胞を選択することができる。
II. 多能性幹細胞の浮遊培養(工程(i))
上記のようにして調製された多能性幹細胞を、細胞塊の平均直径が約200-約300μmとなるまで浮遊培養する。ここで「約」とは、±10%を許容する意味で用いる。細胞塊の直径が300 μmを超えると、細胞が分泌するサイトカイン等の影響で微小環境が形成され、分化が誘導されてしまう。また、細胞塊の中心部で壊死が起こるため、生細胞の回収率が悪くなるといった問題がある。一方、細胞塊の平均直径の下限は、浮遊培養開始時(継代後の浮遊培養では継代時)の細胞塊の平均直径より大きいサイズであれば特に制限はないが、多能性幹細胞の収率を考慮すれば約200 μm以上まで培養を続けることが好ましい。
浮遊培養用の培地としては、上記I.において例示された付着培養用の培地と同様の組成のものを使用することができるが、好ましくは、細胞塊の移動と細胞塊同士の密着を防ぐため、培地に適度な粘性を付与することが望ましい。ここで適度な粘性とは、培地交換を妨げないで細胞塊同士の接着が起こらない程度の粘度を意味する。
培地に粘性を付与する手段は特に制限されないが、例えば、水溶性高分子を適当な濃度で培地に添加することにより実施されうる。水溶性高分子としては、培地に上記の適度な粘度を付与し得るものであって、当該粘度を付与し得る濃度範囲において、細胞に悪影響を及ぼさない(細胞毒性がない)ものであれば、いかなる水溶性高分子も使用することができる。例えば、セルロース、アガロースなどの多糖、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ジヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖のエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、およびポリビニルピロリドン、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、ポリエチレンイミンポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、マレイン酸共重合体などの合成高分子、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デキストラン、アルギン酸、カラゲーナン、デンプンなどの生体高分子、あるいはそれらを模倣した人工高分子(例えば、エラスチン様ペプチドなど)が挙げられる。好ましくは、これら水溶性高分子は単独で用いてもよいし、何種類かの水溶性高分子の混合物として用いることもできる。また、これら水溶性高分子の共重合体を用いてもよい。好ましくは、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースまたはそれらの混合物、より好ましくはメチルセルロースを用いることができる。
培地に添加される水溶性高分子の濃度は、水溶性高分子の種類、培養される多能性幹細胞株の種類、培養温度等によって異なる。例えば、粘性を付与するためにメチルセルロースを培地に添加する場合、メチルセルロースの濃度としては、0.2 w/v%より高く、1.0 w/v%より低い濃度が挙げられる。メチルセルロースの濃度が0.2 w/v%以下では粘性が低すぎて所望の効果が得られず、また、メチルセルロースの濃度が1.0 w/v%以上では、遠心分離時の操作性が悪くなり、好ましくない。好ましくは、ヒトES細胞株KhES-1やヒトiPS細胞株253G1の浮遊培養におけるメチルセルロース濃度は0.26-0.35 w/v%であり、特に好ましくは約0.28-0.30 w/v%である。また、ヒトES細胞株H9の浮遊培養におけるメチルセルロース濃度は、好ましくは約0.3-約0.9 w/v%、より好ましくは約0.45-約0.75w/v%、特に好ましくは約0.6 w/v%である。他の水溶性高分子を用いる場合でも、当業者は上記の適度な培地粘度を得るために、適宜水溶性高分子の濃度を選択することができる。
また、別の好ましい態様においては、水溶性高分子として、昇温型温度感受性ハイドロゲルを用いることができる。「昇温型温度感受性ハイドロゲル」とは、低温では液状であるが、昇温によりゲル化し、室温に冷却すると再ゾル化するか逆的なゾル−ゲル相転移を示すハイドロゲルを意味する。昇温型温度感受性ハイドロゲルの例として、27-32℃のゲル化転移温度を示す商品名「Mebiol(登録商標)gel」シリーズ(メビオール株式会社)等が挙げられるが、それらに限定されない。昇温型温度感受性ハイドロゲルを用いる場合は、浮遊細胞塊の移動及び細胞塊同士の密着を阻止するのに十分な粘性を付与し得る濃度で該ハイドロゲルを添加し、継代に適したサイズまで浮遊培養により増殖させた後、ゲル化転移温度以下にまで冷却して培養液をゾル化し、遠心分離に付すことにより容易に細胞を回収することができる。
浮遊培養に用いられる培養器は、非接着性の培養容器であれば特に制限はなく、例えば、フラスコ、組織培養用フラスコ、デッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用デッシュ、マルチデッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、チャンバースライド、シャーレ、チューブ、トレイ、培養バック、ローラーボトルが挙げられる。
培養は、付着培養した多能性幹細胞を酵素処理により解離し、上記培養器中に、例えば約0.5-約50×104細胞/cm2、好ましくは約1-約10×104細胞/cm2の細胞密度となるように播種し、例えば、CO2インキュベーター中、約1-約10%、好ましくは約2-約5%のCO2濃度の雰囲気下、約30-約40℃、好ましくは約37℃で、1-7日間、好ましくは3-6日間、より好ましくは4-5日間行われる。培地は1-2日毎に新鮮な培地と交換することが望ましい。
例えば、浮遊培養開始時の多能性幹細胞の細胞塊の平均直径が約80 μmであり、これを約250 μmまで増殖させるとすると、細胞塊の細胞数を約33=27倍に増幅させる必要があるが、例えばヒトES細胞は約24時間に1回分裂するので、計算上も4-5日間培養すれば、所望のサイズにまで増殖すると考えられる。但し、種々の培養条件により細胞の増殖が一定しない場合もあるので、細胞塊のサイズをモニタリングしながら、適切なタイミングで継代することもできる。本発明の培養方法によれば、培地に粘性を付与することにより、培養期間中、培養器を静置し続ける必要がないので、顕微鏡観察による細胞塊のサイズのモニタリングが可能となる。
尚、継代処理直後は細胞塊が比較的小さいので、細胞死を抑制するためにROCK阻害剤を培地に添加することが望ましい。ROCK阻害剤としては自体公知のものを適宜用いることができ、例えば、Y-27632等が挙げられる。ROCK阻害剤の添加濃度は、通常使用される範囲で適宜設定することができるが、例えば約10 μMの濃度で培地に含有させることができる。ROCK阻害剤を長期間培地に添加しておくことは細胞にとって好ましくないので、最初の培地交換時(例えば、1日後)にROCK阻害剤を含まない培地に置換することが望ましい。
このようにして、培地の粘性を上げることで、浮遊細胞塊の移動および細胞塊同士の接着融合を防止することができ、分化の開始および/または細胞死を抑制しつつ、均一なサイズの細胞塊で多能性幹細胞を維持増幅させることができる。
III. 多能性幹細胞の継代(工程(ii))
工程(i)によって得られる、平均直径が約200-約300 μmである均一なサイズの多能性幹細胞の細胞塊は、次いで、平均直径が約80-約120 μmである均一な小細胞塊に分割され、継代される。ここで「約」とは±20%を許容する意味で用いる。細胞塊の平均直径が50 μm以下となるように分割すると、細胞がアポトーシス等の細胞死を起こしやすくなるので好ましくない。分割後の平均直径の上限は特に制限されないが、サイズが大きくなるほど次回の継代後の浮遊培養による増幅の効率が悪くなるので、約120 μm以下であることが好ましく、約80 μmとすることが特に好ましい。
細胞塊をより小さなサイズの均一な細胞塊に分割する方法は、酵素処理による細胞の解離を含まない限り特に制限されないが、好ましくは、細胞浮遊液をメッシュに通す方法が挙げられる。ここで使用されるメッシュとしては、滅菌可能なものであれば特に限定されず、例えば、ナイロンメッシュやステンレス等の金属製メッシュなどが挙げられる。メッシュの孔径は分割後の細胞塊の平均直径が約80-約120 μm、好ましくは約80 μmとなるような孔径であればよく、例えばナイロンメッシュの場合、開口部が約20-約100 μm、好ましくは約30-約70 μm、より好ましくは約40-約60 μm、特に好ましくは約50 μmが挙げられる。メッシュの形状等も特に限定されないが、細胞にできるだけダメージを与えないような太さと形状を有することが要求される。例えば、ステンレス等の金属メッシュはメッシュの太さをより細くすることが容易なため(例えば、35-30 μm等)、継代後の浮遊培養においてより良好な増殖が得られることが期待される。
細胞浮遊液をメッシュに通す方法としては、細胞浮遊液を培養器から回収し、ピペットマンを用いてメッシュを通過させる方法が挙げられる。単に細胞浮遊液を通すだけで、細胞塊は自然とメッシュを通過する際に機械的に分割され、均一な小細胞塊を形成する。より具体的には、例えば、培養器から細胞浮遊液をチューブに回収し、培地を除去した後、ROCK阻害剤を含む培地を添加し、継代に必要な量の細胞を同じ培地を含む別のチューブに移し、この細胞浮遊液をピペットマンを用いて、チューブ上に載置した滅菌済のメッシュを通過させる。メッシュにより分割され、通過した細胞塊はチューブ内に回収される。このようにして、平均直径が約80-約120 μmである均一なサイズの多能性幹細胞の細胞塊を得ることができる。得られた細胞浮遊液を適当な非接着性の培養器に播種し、上記工程(i)を再度行うことにより、多能性幹細胞を維持増幅することができる。
このようにして工程(i)および(ii)を繰り返すことで、分化や細胞死を誘導することなく、多能性幹細胞を安定して大量に増幅することが可能となり、細胞移植治療や薬剤スクリーニングのための分化細胞のソースとして十分な量の多能性幹細胞を供給することができる。
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらは単なる例示であって、本発明を何ら限定するものではない。
[材料]
基本培地及び培地添加剤ストック液
・mTeSR1 (既知組成培地; Stem Cell Technologyより購入, 型番05850)
・3% メチルセルロースストック溶液 (IMDM培地中)(R&Dより購入, 型番HSC001)
使用前にメチルセルロースを融解、2.0 ml容で再凍結し、直ちに-20℃で保存。
・10 mM Y-27632ストック溶液 (Ca, Mg不含PBS中)(Rock阻害剤; Sigmaより購入, 型番Y0503)
培養ディッシュ
・Ultra Low Cluster Plate, 6ウェル蓋付き (Corningより購入, 型番Costar 3471)
・35 mm ペトリディッシュ (BDより購入, 型番351008)
継代用メッシュ
・10, 20, 30及び50 μm孔径 CellTricsフィルター (PARTECより購入, 型番それぞれ06-04-004-2324, 06-04-004-2325, 06-04-004-2326及び06-04-004-2327)
・40 μm孔径 セルストレーナー(BDより購入, 型番352340)
培地1 (継代培養用; Rock阻害剤含有)
mTeSR1 10 ml
3% 滅菌メチルセルロース 1 ml (終濃度 0.28%)*
10 mM Y-27632 11 μl (終濃度 10 μM)
*実験によっては、終濃度0 (非添加), 0.25, 0.3及び0.5%の培地も使用した。
培地2 (培地交換用; Rock阻害剤不含)
mTeSR1 10 ml
3% 滅菌メチルセルロース 1 ml (終濃度0.28%)*
*実験によっては、終濃度0 (非添加), 0.25, 0.3及び0.5%の培地も使用した。
ヒト多能性幹 (hPS) 細胞株
・ヒト胚性幹細胞株 (hES細胞株): KhES-1 (京都大学再生医科学研究所より入手)
・ヒト人工多能性幹細胞株 (hiPS細胞株): IMR90-1 (WiCell, Wisconsin, USAより入手)
253G1 (RIKEN BIORESOURCE CENTER CELL BANKより入手)
[方法]
浮遊スフェア培養及び継代培養
ウェル又はディッシュを円を描くように動かして、ウェル又はディッシュの中央にhPS細胞スフェアを集め、15 mlチューブAに移した。mTeSR 2.5 mlをウェル又はディッシュに添加し、残った凝集体を15 mlチューブAに集めた。チューブAを遠心分離して上清を除いた。スフェアを0.5 mlの培地1に再懸濁した。別の新しい15 mlチューブBを用意し、3 mlの培地1を添加した。スフェア浮遊液を200 μl ピペットを用いて穏やかに3回ピペッティングした後、必要量のスフェア浮遊液をチューブBにとった。継代時の分割比率は、継代初期(継代数1-2)には1:3-1:4、その後は1:8-1:12とした。
次いで、スフェア浮遊液を、滅菌したCellTricsフィルター又はセルストレーナー(5 mlチューブの先に装着)に通した。スフェア浮遊液を5 ml ピペットを用いて穏やかに3回ピペッティングした後、ウェル又はディッシュに播種した。ウェル又はディッシュをCO2 インキュベーター中、37℃, 5% CO2の通常の条件下で培養した。1日目及び3日目に、培地を、予め加温した培地2に交換した。
実施例1:メチルセルロース濃度の予備検討
予備実験として、0.25%, 0.28%又は0.5%(w/v)のメチルセルロースを含む培地1及び培地2でhES細胞株KhES-1の培養を行った。0.28 w/v% メチルセルロースの濃度条件において、細胞スフェアの融合を最も効率よく防ぐことができたので(4回の計測で1.0%, 1.1%, 1.3%及び1.6%の融合率; 計722-978スフェア中8-13が融合スフェア)、以後の実験においては、特にことわらない限り、0.28 w/v% メチルセルロース含有培地を使用した。
実施例2:メッシュサイズの予備検討
継代時に使用するメッシュとして、50 μm孔径のCellTricsフィルターと40 μm孔径のセルストレーナーとを比較したところ、50 μm孔径のメッシュの方が優れた細胞増殖効果を示したので、以後の実験においては、特にことわらない限り、50 μm孔径のメッシュを使用した。
実施例3:ヒトES細胞株KhES-1の浮遊スフェア培養(20継代まで)
0.28 w/v% メチルセルロースを含有する培地1及び培地2、並びにメッシュとして50 μm孔径のCellTricsフィルターを用い、前記[方法]に記載した手順で、20継代までKhES-1株の浮遊スフェア培養を行った。結果を表1に示す。
スフェア浮遊液を50 μmのナイロンメッシュに通すことにより、hES細胞スフェアは、酵素解離を行うことなく、高度に均一な小スフェア(平均径: 約80 μm)に物理的に分割された。該スフェアを5日間継代培養すると、分化や細胞死を引き起こすことなく、次回の継代に適切なスフェアサイズに増殖した。その結果、hES細胞の細胞数は、20継代(100日)後に、継代培養開始時の1016倍超に増加した。最初の2継代より後の継代時の平均分割比率は9であった。
尚、70 μm又は100 μmの孔径のメッシュも試験したが、開口が大きすぎてhES細胞スフェアを効率よく継代培養することはできなかった。
実施例4:長期継代培養後のhPS細胞の特性解析
(1)hES細胞
継代4回目のKhES-1細胞のスフェアを、継代0, 1, 3及び5日後に、顕微鏡で観察した (図1)。スフェアのサイズは均一に増大していた。
11回継代後のhES細胞における多能性マーカー (SSEA4) の発現をFACS分析で調べた。hES細胞の96.3%がSSEA4陽性であった (図2)。
10回継代後のhES細胞スフェアの凍結切片を調製し、抗Oct3/4抗体で染色した。その結果、全ての細胞の核が染色された(図3)。
これらの結果は、hES細胞の未分化状態が10又は11回継代後であっても、よく維持されていることを示している。
次に、18回継代後のKhES-1細胞をフィーダー細胞上に播種し、付着培養した。その結果、典型的なhES細胞コロニーが形成された (図4)。これらのhES細胞コロニーの、多能性マーカー (Tra-1-60, Oct 3/4, SSEA-4) についての免疫細胞染色により、該hES細胞の多能性は18回継代後も維持されていることが明らかとなった (図5)。
さらに、17回継代後のKhES-1細胞の核型分析の結果、該hES細胞の染色体は、17回継代後でも正常であることが示された (図6)。
(2)hiPS細胞
実施例3と同様の浮遊培養及び継代プロトコルにより培養したhiPS細胞(IMR90-1株及び253G1株)の特性解析を実施した。hES細胞と同様の結果が、hiPS細胞についても得られた。即ち、10回以上継代したIMR90-1細胞のスフェアを、継代直後及び継代5日後に、顕微鏡で観察した。スフェアのサイズは均一に増大していた (図7)。また、5回継代後のIMR90-1細胞をフィーダー細胞上に播種し、付着培養した。その結果、典型的なhiPS細胞コロニーが形成された (図7)。さらに、11回継代後のIMR90-1細胞における多能性マーカー (SSEA4) の発現をFACS分析で調べた。IMR90-1細胞の97%がSSEA4陽性であった (図7)。また、22回継代後の253G1細胞スフェアの凍結切片を調製し、未分化マーカー (OCT3/4, NANOG, SSEA4) の発現を免疫染色で調べた。その結果、全ての細胞で未分化性が確認できた(図8)。
これらの結果は、上記プロトコルがES細胞だけでなく、iPS細胞の維持・増幅にも利用できることを示すものである。
実施例5:長期継代培養後のhPS細胞の多能性解析
次に、長期継代培養後のhES細胞 (KhES-1株) 及びhiPS細胞 (253G1株) の多能性を調べた。まず、41回継代後のKhES-1細胞スフェアと、10回継代後の253G1細胞スフェアとを、I. Minami et al. (2012) Cell Reports, in pressに記載の方法に従って培養し、心筋細胞への分化を誘導した。その結果、253G1細胞スフェア由来のコロニーの89.1%、KhES-1細胞スフェア由来のコロニーの84.2%が拍動していた (図9A)。また、FACS解析の結果、心筋マーカーであるcTnT陽性の細胞は、いずれも約90%であった (図9B,C)。
さらに、25回継代後の253G1細胞スフェアを、K. Sakurai et al. (2010) Nucleic Acids Res., 38: e96に記載の方法に従って培養し、神経細胞への分化を誘導した。分化誘導32日後の細胞について、抗βIII-Tubulin抗体とDAPIを用いて二重染色を行った (図10)。その結果、神経細胞マーカーであるβIII-tubulin陽性のニューロン様の形態の細胞が確認された。253G1細胞スフェア由来のコロニーの89.1%、KhES-1細胞スフェア由来のコロニーの84.2%が拍動していた (図9A)。また、FACS解析の結果、心筋マーカーであるcTnT陽性の細胞は、いずれも約90%であった (図9B,C)。
実施例6:hiPS細胞を用いた継代・継代後の培養条件の検討
(1)継代24回目の253G1細胞のスフェアを、継代1, 3, 5, 7及び9日後に、顕微鏡で観察した (図11)。継代後7日以降では、内部に不均一な構造体が現れたので、継代5日後に次の継代を行うこととした。
(2)開口部サイズの異なる種々のPartec社 CellTricsフィルター (10, 20, 30及び50 μm孔径) を用いて、継代時のメッシュサイズを検討した。その結果、継代5日後の細胞数の増加は50 μm孔径のメッシュを用いた場合が最も大きく、メッシュサイズが小さくなる程、細胞数の増加割合は減少した (図12)。また、スフェアの形態を、継代1, 3及び5日後に顕微鏡で観察した (図13)。その結果、50 μm孔径のメッシュを用いた場合には、細胞は、適切なサイズでかつ球状の形態で増幅されるのに対し、10及び20 μm孔径のメッシュを用いた場合には、生存したスフェアは形態的に球状ではなかった。
(3)253G1細胞の浮遊スフェア培養におけるメチルセルロースの効果を検討した。0.3 w/v%のメチルセルロースを含有する培地1及び培地2を用いる以外は、実施例3と同様のプロトコルで253G1細胞を培養した。継代21回目の253G1細胞スフェアの継代5日後のスフェアサイズごとのスフェア数を、球状スフェアと融合スフェアとに分けて計測した。メチルセルロース不含培地で培養した場合との比較を図14に示す。0.3 w/v%のメチルセルロース添加により、スフェア同士の融合が効果的に抑制された。
細胞の継代操作においては、細胞間の接着を緩める酵素処理は不可欠であると考えられていた。これを使わない機械的継代方法は細胞塊への傷害が大きいと考えられていた。本発明はこの常識を打ち破る斬新なアイデアに基づくものである。酵素処理を必要としないことは、動物由来の酵素によるウイルス等の混入のリスクや組換え酵素の使用によるコスト高の問題を一挙に解決し得る。しかも、単一操作だけで継代が完了して、培養液以外に何ら別の解離用酵素液などを必要としない、というシンプルさが自動培養装置への組み込みなどにおいて極めて有用である。
また通常、メッシュは細胞分散後に残存する細胞塊の除去に使われてきたので、それ自体で細胞塊を分割するというアイデアは全く予見不可能である。
さらに、培養液の粘性を高める方法は、従来は造血系細胞のような非付着性細胞において、培養液内の拡散や流れを抑止して細胞周囲の微細環境を形成する目的で使用されてきたが、細胞塊の接着融合防止の目的で使用されている例は少ない。実際、これまで10編程度の浮遊培養法に関する論文のほとんど全てにおいて、細胞塊同士の接着融合の問題が大きいので、これを抑制したいと記述しながら、このような方策を思いついた論文は皆無である。
本発明は、これらの従来技術からは予期し得ない複数の効果の発見に基づくものであり、これにより、多能性幹細胞の医療や創薬への実用化に不可欠な、大量培養装置、特に自動化培養装置の設計と組み込みにとって、従来法と比較して、極めてシンプルで有効であり、これら培養装置の開発に活用できる。
本発明を好ましい態様を強調して説明してきたが、好ましい態様が変更され得ることは当業者にとって自明であろう。本発明は、本発明が本明細書に詳細に記載された以外の方法で実施され得ることを意図する。したがって、本発明は添付の「請求の範囲」の精神及び範囲に包含されるすべての変更を含むものである。
ここで述べられた特許及び特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、ここに引用されたことによって、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
本出願は、2011年11月25日付で出願された米国仮出願第61/563,643号を基礎としており、ここで言及することにより、その内容は全て本明細書に包含される。

Claims (9)

  1. 以下の工程を繰り返すことを特徴とする、多能性幹細胞の維持増幅方法。
    (i) 多能性幹細胞を、細胞塊の平均直径が約200-約300 μmとなるまで浮遊培養する工程
    (ii) 工程(i)により得られた細胞塊を、平均直径が約80-約120 μmである均一な細胞塊に分割する工程
  2. 工程(i)において、多能性幹細胞を、細胞塊の平均直径が約250 μmとなるまで浮遊培養し、工程(ii)において、平均直径が約80 μmである均一な細胞塊に分割することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 工程(ii)における分割が、細胞塊をメッシュに通すことにより行われることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. メッシュの孔径が約30-約70 μm、好ましくは約40-約60 μm、より好ましくは約50 μmである、請求項3記載の方法。
  5. 工程(i)の培養が、細胞塊同士の接着を起こさない粘度を持つ水溶性高分子成分を含む培地中で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 水溶性高分子が、多糖もしくはそのエーテル、合成ハイドロゲル高分子および生体高分子、並びにそれらを模倣した人工高分子から選ばれる、請求項5記載の方法。
  7. 水溶性高分子がメチルセルロースまたは昇温型温度感受性ハイドロゲルである、請求項5記載の方法。
  8. 多能性幹細胞がES細胞またはiPS細胞である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 多能性幹細胞がヒト由来である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
JP2013545970A 2011-11-25 2012-11-22 多能性幹細胞の培養方法 Active JP5999658B2 (ja)

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