JP6024047B2 - 多能性幹細胞の培養方法及びそのための基材 - Google Patents
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Description
これに代わるものとして、ポリマーなどの高分子を用いた細胞培養基材の開発も報告され(非特許文献2、3)、製品化されるようになってきたが、安定した製品は得られるものの、やはり非常に高価であり、また細胞株によっては適さない場合もあるなど、安定・安価な細胞培養基材を作製するには至っていない。
一方、生体高分子のみからなるナノファイバーを多能性幹細胞の培養用基材として用いたという報告は皆無である。
特に重要なことに、このナノファイバー基材を用いて継代培養を行うと、酵素処理を行うことなく、わずかなピペッティング操作のみで単一細胞にまで分散させることができ、なおかつ、従来法でみられるような細胞死が顕著に抑制されることが明らかとなった。
さらに本発明者らは、このナノファイバー基材を用いて長期継代培養した後においても、多能性幹細胞が多能性及び正常な核型を維持していることを確認し、本発明を完成するに至った。
[1] ゼラチン、コラーゲン及びセルロースからなる群より選択される生体高分子からなるナノファイバーを含有してなる、多能性幹細胞の維持増幅培養用基材。
[2] 該ナノファイバーが架橋処理されている、上記[1]記載の基材。
[3] 生体高分子がゼラチン又はコラーゲンである、上記[1]又は[2]記載の基材。
[4] 生体高分子がゼラチンである、上記[1]又は[2]記載の基材。
[5] ナノファイバーがエレクトロスピニング法により得られる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の基材。
[6] 多能性幹細胞がES細胞又はiPS細胞である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の基材。
[7] 多能性幹細胞がヒト由来である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の基材。
[8] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の基材上に多能性幹細胞を播種し、該細胞を静置培養することを特徴とする、多能性幹細胞の維持増幅方法。
[9] 酵素を含まない解離液を用いて基材から多能性幹細胞を解離させ、該細胞を上記[1]〜[5]のいずれかに記載の基材上に播種し、該細胞をさらに静置培養することを特徴とする、上記[8]記載の方法。
[10] 継代時に、多能性幹細胞を単一細胞にまで分散させることを特徴とする、上記[9]記載の方法。
[11] 多能性幹細胞を無血清培地で培養することを特徴とする、上記[8]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 無血清培地がxenoフリー培地である、上記[11]記載の方法。
[13] 無血清培地がタンパク質不含培地である、上記[11]記載の方法。
[14] 多能性幹細胞がES細胞又はiPS細胞である、上記[8]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[15] 多能性幹細胞がヒト由来である、上記[8]〜[14]のいずれかに記載の方法。
また、本発明の培養基材を用いると、継代時に酵素解離を必要とすることなく容易に多能性幹細胞を単一細胞まで分散させることができ、しかも、単一細胞化された多能性幹細胞は、従来法で得られるものと比べて顕著に細胞死が抑制されるので、より均一な多能性幹細胞の培養物を得ることが可能となる。
ES細胞は、対象動物の受精卵の胚盤胞から内部細胞塊を取出し、内部細胞塊を線維芽細胞のフィーダー上で培養することによって樹立することができる。また、継代培養による細胞の維持は、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor (LIF))、塩基性線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor (bFGF))などの物質を添加した培養液を用いて行うことができる。ヒトおよびサルのES細胞の樹立と維持の方法については、例えばUSP5,843,780; Thomson JA, et al. (1995), Proc Natl. Acad. Sci. U S A. 92:7844-7848;Thomson JA, et al. (1998), Science. 282:1145-1147;H. Suemori et al. (2006), Biochem. Biophys. Res. Commun., 345:926-932; M. Ueno et al. (2006), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:9554-9559; H. Suemori et al. (2001), Dev. Dyn., 222:273-279;H. Kawasaki et al. (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:1580-1585;Klimanskaya I, et al. (2006), Nature. 444:481-485などに記載されている。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培養液と培養液交換を行う。また、核初期化に使用する体細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
本発明の培養基材に用いられる生体高分子は、ゼラチン、コラーゲン及びセルロースからなる群より選択される。
ゼラチンは、主として牛骨および牛皮、豚皮を原料として製造されるが、鮭などの魚の皮や鱗を原料とする場合もあり、その由来については特に限定されない。これらの原料からゼラチンを抽出・精製する方法は周知である。また、市販のゼラチンを用いることもできる。
コラーゲンは、ゼラチン製造の過程で酸・アルカリによる変性前のコラーゲン原料から精製することができる。コラーゲンの由来にも特に限定はない。また、市販のコラーゲン、例えば、細胞培養用のコーティング基質として市販されているもの等を用いることもできる。
セルロースは植物等から周知の方法によって抽出・精製することができ、いかなるものを用いてもよい。
生体高分子の分子量は特に限定されないが、分子量が小さいとエレクトロスピニング法によりナノファイバーを形成できない場合があるので、例えば、ゼラチンの場合、10 kDa以上、好ましくは20-70 kDa、より好ましくは30-40 kDaの範囲で適宜選択することができる。
これらの生体高分子からナノファイバーを作製する方法は特に限定されず、例えばエレクトロスピニング法、コンジュゲート溶融紡糸法、メルトブロー法等が挙げられるが、簡便で応用性が広いエレクトロスピニング法が好ましく用いられる。
エレクトロスピニング法による場合、まず生体高分子を適当な溶媒に溶解する。ここで用いられる溶媒としては、ゼラチン、コラーゲン、セルロースを溶解し得る溶媒であれば、無機溶媒、有機溶媒を問わずいかなるものも使用可能であるが、例えば、ゼラチンナノファイバーの作製においては、酢酸やギ酸等が好ましく用いられ得る。コラーゲンナノファイバーの作製においては、例えば、1,1,1,2,2,2-ヘキサフルオロ-2-プロパノール等が用いられ得る。あるいは、セルロースナノファイバーの作製においては、高極性イオン液体が用いられ得る。
生体高分子溶液の濃度は特に限定されないが、好ましい繊維径及び均一性を得るためには、例えば、ゼラチンの酢酸溶液を用いる場合には、5-15 w/v%、好ましくは8-12 w/v%の濃度範囲で使用することが望ましい。
尚、架橋剤と培養基材に機能性を付与する公知のペプチドをコンジュゲートしておけば、当該架橋処理により、同時にナノファイバー基材上に機能性ペプチドが付与されることになるので、この点でも有用である。
このようにして得られた生体高分子からなるナノファイバーを含有してなる本発明の培養基材は、多能性幹細胞の維持増幅培養のために使用される。従って、本発明はまた、本発明の培養基材上に多能性幹細胞を播種し、該細胞を静置培養することによる、多能性幹細胞の維持増幅方法を提供する。
酵素を含まない解離液としては、従来より、機械的に細胞を解離する方法において使用されている解離液を同様に用いることができ、例えば、ハンクス液やクエン酸とEDTAを組み合わせた溶液等が挙げられる。
ここで、無血清培地の例としては、組換え動物タンパク質を含むmTeSR培地などが、xenoフリー培地の例としては、ヒト血清アルブミン、ヒトbFGFを含むTeSR2培地などが、タンパク質不含培地の例としては、E8培地などが、それぞれ挙げられる。
(1)材料
ゼラチン溶液
・ゼラチン (SIGMA G2625 MW: 30 kDa; ニッピ ニッピハイグレードゼラチン AP MW: 8 kDa)
・氷酢酸 (AA; SIGMA P-338826)
・無水酢酸エチル (EA; SIGMA P270989)
架橋バッファー
・水溶性カルボジイミド (WSC; DOJINDO Catalog344-03633)
・N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS; SIGMA Catalog56480)
・99.5% エタノール (Wako)
カルチャーカバーガラス25mmφ及び32mmφ
シリコンウェハー
高圧電源 (TECHDEMPAZ Japan)
真空ポンプ(Vacuum Pump)
10%w/v ゼラチン溶液(AA:EA = 3:2) 1 mLの調製
2 mLチューブに30 kDaゼラチン0.08 g、0.1 gもしくは0.12 g(最終濃度8, 10, 12%w/v)、または8 kDaゼラチン0.1 g(最終濃度10%w/v)と、滅菌蒸留水0.2 mLを入れた。次にドラフト内で氷酢酸0.42 mL(最終濃度42%w/v)、無水酢酸エチル0.31 mL(最終濃度28%w/v)を加え、チューブをボルテックスしてよく攪拌した。ゼラチンが十分に溶けたら、チューブをローターにセットし、一昼夜転倒混和した(室温度:20℃以上)。
エレクトロスピニング法によるゼラチンナノファイバーの作製
上記のようにして調製した各種濃度のゼラチン溶液を23Gのブラント針(ニプロ)を付けたシリンジに入れ、気泡を抜いた後、マイクロシリンジポンプに流速0.2 mL/hでセットした。シリコンウェハーの中央にカルチャーカバーガラスを2枚並べて置き、ガラスの両端の一部をセロテープで固定した。シリコンウェハーを万力で垂直に固定し、マイクロシリンジポンプにセットするシリンジの針から10 cmほどの距離に置いた。ブラント針に+電極(赤線)、シリコンウェハーに−電極(緑線)を取り付け、マイクロシリンジポンプのスイッチを入れ、11 kVの電圧をかけて、シリコンウェハー上のガラスにファイバーを噴出させた。電圧を止め、シリコンウェハーを180度回転させて再度ファイバーを同じ時間ファイバーを噴出させた。ファイバー噴出後、ウェハー上のガラスを静かに外してシャーレに入れた。このシャーレをデシケーターに入れ、真空ポンプをかけながら一昼夜乾燥させた。
0.2 M WSC/NHS架橋バッファーの調製(40 mL)
50 mLファルコンチューブにWSC を1.52 g、NHSを0.92 g入れた。該チューブに99.5% エタノールを30 mL加えてボルテックスし、試薬を溶かしたのち、40 mLになるように99.5%エタノールで定量し、再度ボルテックスした。
架橋処理
デシケーターで乾燥させたゼラチンナノファイバーを表面が浸る程度の量の架橋バッファーに4時間浸漬した。ナノファイバーを取り出し、99.5%エタノールに5〜10分浸けて洗浄した(この操作を2回繰り返した)。次にキムワイプを敷いたシャーレの上でナノファイバーを風乾した後、デシケーターに入れ、一昼夜乾燥させた。
(1)材料
mTeSR 1 STEM CELL ペリタス ST-05850
Y-27632 Wako 257-00511(1 mg)253-00513(5 mg)
Cell Dissociation Buffer enzyme-free, Hanks’-based GIBCO 13150-016
TrypLE Express GIBCO 12605-010
ヒト人工多能性幹細胞:253G1
ヒト胚性幹細胞:H9
ナノファイバーの前処理
35 mmディッシュ (6-well プレート) にゼラチンナノファーバーをセットし、99.5%エタノール1 mLで3回洗浄し滅菌処理した。3回目は丁寧に吸引し、クリーンベンチ内で乾燥した。ゼラチンナノファイバーを培地に浸し、37℃でインキュベートした。25 mmガラスに作製したナノファイバーにはmTeSR 1を250 μL、32 mmガラスに作製したナノファイバーにはmTeSR 1を1 mL、表面張力を利用してゼラチンナノファーバー上にのせた。
MEFフィーダーからナノファイバー上へのヒト多能性幹細胞の移行
MEFフィーダー上のヒト多能性幹細胞コロニー(60 mmディッシュ)に、酵素解離液TrypLE Express 2mlを加え、そのままインキュベートし、約2分でディッシュをゆすって顕微鏡下で、MEFがはがれてきていること及びコロニーが丸くなっていることを確認した後、酵素解離液を吸引除去した(必要に応じてmTeSR 1 1〜2 mlでリンスした)。10 μM Y-27632を含有するmTeSR 1(mTeSR 1(+Y27632))4 mlで細胞を回収して、10回ぐらいピペッティングし、シングルセルにした。細胞数をカウントした後、1000 rpmで3分間遠心し上清を吸引除去し、mTeSR 1(+Y27632)で、必要な細胞濃度に再懸濁した。前処理していたナノファイバー上の培地を吸引除去し、25 mmガラスに作製したナノファイバーには、250 μl(細胞密度は1.5〜2 X 105 cells/sample)を、32 mmガラスに作製したナノファイバーには1〜1.5 ml(細胞密度は2.25〜3 X 105 cells/sample)を、表面張力を利用してナノファイバー上にのせた。翌日の培地mTeSR 1(+Y27632)を1.5 mLに交換し、2日目からY-27632を含まないmTeSR 1で培養し、毎日培地交換を行った。
ナノファイバーからナノファイバーへの継代
PBSで2回細胞をリンスした後、酵素不含細胞解離液Cell Dissociation Buffer 1 mLを加え、37℃で5分間インキュベートした後、該解離液を吸引除去した(TrypLE Expressを用いる場合1 mLを加えたら、すぐ吸引除去した後、2分ほどインキュベートした)。mTeSR 1(+Y27632)2 mlで細胞を回収し (1 mL×2回)、10回ぐらいピペッティングし、シングルセルにした。以後の操作はMEFフィーダーからの移行の場合と同様に行った。
ゼラチンナノファイバーの形態に及ぼすゼラチン濃度の効果
30 kDaゼラチンを用い種々の濃度のゼラチン溶液を作製し、これらを用いてエレクトロスピニング法によりゼラチンナノファイバーを作製した。得られたナノファイバーの透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。濃度依存的にナノファイバーの直径が増大し、不均一性が増すことが分かった。以後の実験は比較的均一な10%w/vのゼラチン溶液から作製したナノファイバーを用いた。
ゼラチンの至適分子量の同定
8 kDaのゼラチンと30 kDaのゼラチンとを用いて、同様の方法によりナノファイバーを作製した。結果を図2に示す。低分子量の8 kDaゼラチンではナノファイバーは形成されなかった。
ゼラチンナノファイバー上でのヒトiPS細胞の培養
30 kDaのゼラチン溶液(10%w/v)を用いて作製したナノファイバー、及び8 kDaのゼラチン上で、それぞれヒトiPS細胞253G1株を培養した。結果を図3に示す。30 kDaゼラチンから作製されたナノファイバー上で培養したヒトiPS細胞はきれいなコロニーを形成したが、8 kDaゼラチン上では細胞接着が弱く、細胞は増殖することができなかった。
合成ポリマーを用いて作製したナノファイバー上で培養したヒトiPS細胞
合成ポリマーであるポリメチルグルタミド(PMGI)を用いて、同様の方法により作製したナノファイバー上でヒトiPS細胞253G1株を培養した。しかし、このPMGIナノファイバー上では細胞接着が非常に弱く、細胞は増殖することができなかった(図4)。この結果から、ヒト多能性幹細胞の培養には、生体適合性の高い材料、特にゼラチン等の生体材料を使用することが重要であることが示された。
ゼラチンナノファイバー上におけるヒトiPS細胞の接着及びコロニー形成
0.1% ゼラチンでコーティングしたディッシュ、マトリゲルでコーティングしたディッシュ、またはゼラチンナノファイバー上で、ヒトiPS細胞253G1株をmTeSR 1培地中5日間培養し、細胞接着及びコロニー形成を比較した。結果を図5に示す。0.1%ゼラチン上ではヒトiPS細胞は培養できないことが確認できた。ゼラチンナノファイバー上で培養したヒトiPS細胞は、従来法であるマトリゲル上のものと似たコロニーを形成したが、細胞密度が高かった。
Xenoフリー培地を用いたゼラチンナノファイバー上での培養
動物由来タンパクフリー合成無血清培地TeSR2を用いて、ヒトiPS細胞253G1株を、ゼラチンナノファイバー上で培養した。結果を図6に示す。動物タンパク質を用いないTeSR2においても、ヒトiPS細胞がナノファイバー上で培養可能であることが示された。
ゼラチンナノファイバー上におけるヒトiPS細胞の増殖効率
ゼラチンナノファイバー上で培養したヒトiPS細胞253G1株の細胞数を培養4日目まで毎日測定した。対照実験として、マトリゲル上でヒトiPS細胞253G1株の増殖も測定した。結果を図7に示す。ゼラチンナノファイバーを用いても、マトリゲルと同程度の増殖速度を保てることが確認できた。
免疫細胞染色法による多能性幹細胞マーカー発現の確認
ヒトES細胞H9株とヒトiPS細胞253G1株とを、ゼラチンナノファイバー上で20回継代培養した後の細胞について、免疫細胞染色により、多能性幹細胞マーカーであるNanogとOct4の発現を調べた。結果を図8に示す。ヒトES細胞、ヒトiPS細胞のいずれにおいても、多能性幹細胞マーカーが強く発現していることが確認された。
フローサイトメトリーによる多能性幹細胞マーカーの定量的発現量解析
ゼラチンナノファイバー上でヒトiPS細胞253G1株を10回継代した後の細胞における多能性幹細胞マーカー(SSEA4とTRA-1-60)の発現を、フローサイトメトリーを用いて解析した。比較のために、マトリゲル上で1回継代したヒトiPS細胞253G1株における当該マーカーの発現も調べた。結果を図9に示す。ゼラチンナノファイバー上で培養したヒトiPS細胞の90.5%でSSEA4とTRA-1-60の両方が強く発現していることが確認できた。また、マトリゲル上で培養したものと比べ、細胞群がより均一であることも確認できた。
ゼラチンナノファイバー上で長期継代したヒトiPS細胞の核型解析
ゼラチンナノファイバー上で23回継代したヒトiPS細胞253G1株の細胞について核型解析を行った。結果を図10に示す。ゼラチンナノファイバー上で長期培養後も、ほとんどの細胞が正常な核型を有していることが確認できた。
Claims (12)
- 分子量30−40kDaのゼラチンからなる、架橋処理されたナノファイバーを含有してなる、多能性幹細胞の維持増幅培養用基材。
- ナノファイバーがエレクトロスピニング法により得られる、請求項1記載の基材。
- 多能性幹細胞がES細胞又はiPS細胞である、請求項1又は2記載の基材。
- 多能性幹細胞がヒト由来である、請求項1〜3のいずれかの1項に記載の基材。
- 請求項1又は2記載の基材上に多能性幹細胞を播種し、該細胞を静置培養することを特徴とする、多能性幹細胞の維持増幅方法。
- 酵素を含まない解離液を用いて基材から多能性幹細胞を解離させ、該細胞を請求項1又は2記載の基材上に播種し、該細胞をさらに静置培養することを特徴とする、請求項5記載の方法。
- 継代時に、多能性幹細胞を単一細胞にまで分散させることを特徴とする、請求項6記載の方法。
- 多能性幹細胞を無血清培地で培養することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 無血清培地がxenoフリー培地である、請求項8記載の方法。
- 無血清培地がタンパク質不含培地である、請求項8記載の方法。
- 多能性幹細胞がES細胞又はiPS細胞である、請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 多能性幹細胞がヒト由来である、請求項5〜11のいずれか1項に記載の方法。
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