JP5998590B2 - インダイレクトスポット溶接方法及びその溶接装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の車体を構成するフレーム板材内の袋構造部等を溶接するために使用されるインダイレクトスポット溶接方法及びその溶接装置に関する。
従来、部材間の溶接には、直接、板厚方向に電流を流して溶接するダイレクトスポット溶接が広く用いられているが、当該ダイレクトスポット溶接は、重ね合わせた母材の両側に電極(上側電極、下側電極)を配置して挟み込むことにより、両側で接触させた電極から直接、板厚方向へ溶接電流を加圧して通電するため、片側の母材板の表面にスポット溶接痕を残したくない部分をスポット溶接する場合や、裏面側に電極を配置することが困難な場合などには、インダイレクトスポット溶接が行われている。
インダイレクトスポット溶接は、スポット溶接を行う位置にある電極(加圧用電極)と、該電極と平面視で異なる位置にある電極(給電用電極)との間で、一方の母材の溶接部以外の部分を電流が通って通電するスポット溶接である。例えば特許文献1には、インダイレクトスポット溶接を行う従来発明が記載されており、この特許文献1に記載の従来技術によれば、ヘミング曲げ部4aに当接する溶接電極26と、該溶接電極26と同じ側でかつ平面視で異なる位置にある給電電極30との間で、電流が母材であるドアインナパネル5を通って通電することにより、上記ヘミング曲げ部4aをスポット溶接することができる。なお、当該特許文献1には、ヘミング曲げ部4aの曲げ加工を同じ溶接装置で行えることも記載されている。
特開昭64−057986号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術においても、次のような改善すべき余地が残されている。
すなわち、例えば自動車の車体を構成するフレーム板材内の袋構造部などをスポット溶接する場合には、溶接時に加圧用電極と反対側、すなわち袋構造部の内側から加圧用電極と対向する位置に母材を支える受け台等を設けることができず、溶接時に母材間の圧接力が十分に得られないため、安定した品質の溶接ができなかった。特に、袋構造部の外側を構成する上板の板厚が厚いと、溶接時に通常の加圧力で加圧用電極を上板側に押し当てても、下板との圧接力が不足するおそれがあった。また、溶接される母材間の隙間にばらつきがある場合にも、母材間の隙間が大きいと上下板間の圧接力が不足することがあるため、安定した品質の溶接ができなかった。さらに、袋構造であるため、溶接部の溶接状態を目視で確認することができず、半破壊検査等により溶接強度を検査することも困難であった。
本発明は、袋構造部など、溶接時に母材間の圧接力が十分に得られないと共に、溶接状態を目視での確認ができない構造のものをスポット溶接する際にも、安定した品質の溶接を簡単な構成で実現することを主な目的とする。
上述の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、第1、第2板材が重ね合わされた溶接対象部位において一方の部材に加圧電極を当接させ、前記溶接対象部位から離間した部位において他方の部材に給電電極を当接させ、これらの電極間に通電することにより前記溶接対象部位で第1、第2板材を溶接するインダイレクトスポット溶接方法であって、前記加圧用電極および前記給電用電極を備えた溶接ガンとして曲げ加工具を備えたものを用いると共に、前記第2板材として起立状態の被溶接片を備えたものを用いて、前記第1、第2板材を前記溶接対象部位において重なるように配置する第1のステップと、前記溶接ガンを前記第1板材に沿って移動させることにより、前記曲げ加工具で前記被溶接片を前記溶接対象部位で前記第1板材に重なるように折り曲げる第2のステップと、前記第2のステップで折り曲げられた前記被溶接片に前記加圧用電極を、前記第1板材における前記溶接対象部位から離間した部位に前記給電用電極をそれぞれ当接させて通電することにより溶接する第3のステップとを有することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第2のステップでは、ガイド溝を備えた前記曲げ加工具を用い、前記ガイド溝によって前記被溶接片を案内しながら折り曲げることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記曲げ加工具は、前記給電用電極に一体的に設けられていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、第1、第2板材が重ね合わされた溶接対象部位において一方の部材に加圧電極を当接させ、該溶接対象部位から離間した部位において他方の部材に給電電極を当接させ、これらの電極間に通電することにより前記溶接対象部位で第1、第2板材を溶接するインダイレクトスポット溶接方法であって、前記加圧用電極および前記給電用電極を備えた溶接ガンとして曲げ加工具を備えたものを用いると共に、前記第1板材として長孔を備え、前記第2板材として起立状態の被溶接片を備えたものを用いて、前記第2板材の前記被溶接片を前記第1板材の前記長孔に貫通させながら、前記第1、第2板材を前記溶接対象部位において重なるように配置する第1のステップと、前記溶接ガンを前記第1板材に沿って移動させることにより、前記曲げ加工具で前記被溶接片を前記溶接対象部位で前記第1板材に重なるように折り曲げる第2のステップと、前記第2のステップで折り曲げられた前記被溶接片に前記加圧用電極を、前記第1板材における前記溶接対象部位から離間した部位に前記給電用電極をそれぞれ当接させて通電することにより溶接する第3のステップとを有することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記曲げ加工具は、前記給電用電極に一体的に設けられていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに係る発明において、前記第2板材は、前記第1板材よりも薄い板材であることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項4乃至6のいずれかに発明において、前記第1板材は、車体のフレーム板材であり、前記第2板材は、前記フレーム板材に配置される補強部材であることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、第1、第2板材が重ね合わされた溶接対象部位において一方の部材に加圧電極を当接させ、前記溶接対象部位から離間した部位において他方の部材に給電電極を当接させ、これらの電極間に通電することにより前記溶接対象部位で第1、第2板材を溶接するインダイレクトスポット溶接装置において、前記加圧用電極および前記給電用電極と共に曲げ加工具を備えた溶接ガンと、前記溶接対象部位において重なるように配置された、前記第1板材及び起立状態の被溶接片を備えた前記第2板材について、前記溶接ガンを前記第1板材に沿って移動させることにより、前記曲げ加工具で前記被溶接片を前記溶接対象部位で前記第1板材に重なるように折り曲げ、折り曲げられた前記被溶接片に前記加圧用電極を、前記第1板材における前記溶接対象部位から離間した部位に前記給電用電極をそれぞれ当接させて通電することにより溶接するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明において、前記曲げ加工具は、折り曲げ時に前記被溶接片を案内するガイド溝を備えたことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項8に係る発明において、前記曲げ加工具は、前記給電用電極に一体的に設けられていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、溶接ガンの移動により、該溶接ガンが備える曲げ加工具によって被溶接片を第1板材に折り曲げることができるため、容易な折り曲げ加工により袋構造部などのスポット溶接を高品質で達成できると共に、溶接部位となる被溶接片が袋構造部の外側に出ているため、溶接状態を目視で確認できる。
請求項2に係る発明によれば、ガイド溝により被溶接片の適切な折り曲げを達成できる。
請求項3に係る発明によれば、被溶接片の折り曲げを給電電極で達成でき、簡単な構成でスポット溶接を達成できる。

請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明と同様の効果が得られる。
請求項5に係る発明によれば、請求項3に係る発明と同様の効果が得られる。
請求項6に係る発明によれば、被溶接片の折り曲げを容易にでき、板間すき間が一定しない板材間(上板が厚板、下板が薄板の場合)においても溶接対象部位を規格内最小の板間すき間に一定にすることができ、安定した溶接品質が得られる。
請求項7に係る発明によれば、車体のフレーム板材内の補強板材により補強効果を高めた部材が簡素な工程で製造できる。
請求項8乃至10に係る発明によれば、それぞれ請求項1乃至3に係る発明と同様の効果が得られる。
本発明による第1の実施形態の溶接装置の全体構成と溶接対象部位を表す概要図である。 第1の実施形態によって溶接される溶接対象部位の拡大図であり、(a)は被溶接片を折り曲げ前の状態、(b)は被溶接片を折り曲げ後の状態をそれぞれ示す。 第1の実施形態の曲げ加工具の三面図である。 第1の実施形態の溶接方法における第1の工程を表す概要図である。 第1の実施形態の溶接方法における第2の工程を表す概要図である。 第1の実施形態の溶接方法における第3の工程を表す概要図である。 第1の実施形態の溶接方法における第4の工程を表す概要図である。 第2の実施形態の曲げ加工具の正面図及び平面図である。 第2の実施形態の溶接方法における第1の工程を表す概要図である。 第2の実施形態の溶接方法における第2の工程を表す概要図である。 第2の実施形態の溶接方法における第3の工程を表す概要図である。 第2の実施形態の溶接方法における第4の工程を表す概要図である。 第3の実施形態によって溶接される溶接対象部位の拡大図であり、(a)は被溶接片を折り曲げ前の状態、(b)は被溶接片を折り曲げ後の状態をそれぞれ示す。 第3の実施形態の曲げ加工具の三面図である。 第4の実施形態の曲げ加工具の正面図である。 第5の実施形態の曲げ加工具の正面図である。 本発明の溶接方法を適用する自動車の車体の要部の斜視図である。 (a)は図17の車体を構成するガセットの被溶接片を折り曲げる前の状態を示す斜視図であり、(b)はその変形例を示す斜視図である。 図17の車体の溶接部位を示す断面拡大図である。 図17の第2板材に開けられ長穴周辺の形状の変形例を示す拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態について第1から第5の実施形態に基づいて説明する。各実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を示す用語(例えば、「上方」、「下方」、「右側」および「左側」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。また以下の添付図面において、同様の構成部品については同様の符号を用いて参照する。
[第1の実施形態]
図1から図7を参照しながら、本願発明の第1の実施形態について以下に詳細に説明する。まず、図1を参照しながら、第1の実施形態の全体構成について説明する。
第1の実施形態のインダイレクトスポット溶接装置10は、溶接ガン1と該溶接ガン1を先端に取り付けるロボットアーム2とから主に構成されており、必要な自由度を供えたロボットアーム2を移動制御することにより、溶接対象部位に対して溶接ガン1の位置、方向および姿勢を適宜制御して溶接をすることが可能である。
溶接ガン1は、溶接トランス3とガン取付け用ブラケット4を備え、該ガン取付け用ブラケット4には、1対のエア及びサーボスタッドガン5が取り付けられている。該エア及びサーボスタッドガン5の先端部には、電極取付け用ポイントホルダ6を介して加圧用電極7及び給電用電極8がそれぞれ取り付けられている。
ここで、本願発明の特徴として、ガン取付け用ブラケット4には曲げ加工具として折り曲げ用平型プレート11が折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9を介して取り付けられており、すなわち、溶接ガン1には加圧用電極7、給電用電極8及び折り曲げ用平型プレート11が一体的に設けられている。
折り曲げ用平型プレート11は、その先端部に被溶接部材(被溶接片101a)と当接するガイド溝部11aを備えている。また、折り曲げ用平型プレート11は、被溶接部材と当接する際に折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9に対して長手方向に摺動可能とするため、その両側面部にスライドレール11dが設けられており、折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9に設けられたスライド溝部9a(図示しない)にこのスライドレール11が摺動可能に係合されている。さらに、折り曲げ用平型プレート11を被溶接部材に対して安定して当接させるため、折り曲げ用平型プレート11の基端部にボルト11eが設けられており、プレート取付けスライドベースプレート9に設けられた貫通穴9bにこのボルト11eの先端を挿通し、折り曲げ用平型プレート11と折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9との間のボルト11eの外周に押さえ補助用スプリング9cが設けられており、折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9に対して折り曲げ用平型プレート11が摺動する際に、押さえ補助用スプリング9cが折り曲げ用平型プレート11に付勢力を与える構造となっている。
次に、図2を参照しながら、第1の実施形態によって溶接される被溶接部材について説明する。
互いに溶接を行う2つの板材(第1板材101及び第2板材102)の板厚は、第2板材102の方が第1板材101よりも厚い。これら板材間を溶接するため、第1板材101の上側に第2板材102を配置して、これら板材を重ね合わせる。この際に、溶接対象部位と隣接する位置に予め、第1板材101には被溶接片101aが切り起こされていると共に、第2板材102には貫通する長穴102aが設けられており、被溶接片101aが長穴102aを挿通するように位置合わせをして、第1板材101の上に第2板材102を重ね合わせる。これによって、第2板材102の上面から被溶接片101aが突出した状態となる(図2(a)を参照)。ここまでがスポット溶接を行うための準備段階である。
次に、第1板材102の上面から突出した被溶接片101aを曲げ加工具である折り曲げ用平型プレート11によって折り曲げを行い、被溶接片101aと第2板材102の長穴102aの周縁部とを重ね合わせる(図2(b)を参照)。この重ね合わせた部分が溶接対象部位となるため、被溶接片101aが第2板材102の長穴102aの周縁部と面接触するように、被溶接片101aを第2板材102と平行になるように折り曲げる。
続いて、折り曲げられた被溶接片101aの上面に加圧用電極7を当接させると共に、第2板材102のうち平面視で被溶接片101aから離間した部位に、加圧用電極7と同じ側から給電用電極8を当接させ、これらの電極間に通電することにより、第1板材101及び第2板材102間をスポット溶接する。
なお、被溶接片101a及び長穴102aの形状は、図2に示されたものに限らない。被溶接片101aが長穴102aを挿通可能であり、かつ、折り曲げられた被溶接片101aの下側が長穴102aの周囲とスポット溶接を行うのに十分な接触面積をもって対向可能であればよい。
また、互いに溶接を行う2つの板材の板厚の関係は、第2板材102の方が第1板材101よりも厚い場合に限らず、これら板圧が同じ厚さであってもよい。逆に、第2板材102の方が第1板材101よりも薄い場合にも、通常よりも加圧力を増やす等により本願発明は適用可能な場合がある。
さらに、第2板材102に長穴102aを設ける場合について述べてきたが、これに限るものではない。例えば、第2板材102の縁部に第1板材101をスポット溶接する場合には、第2板材102には長穴を設けずに、第1板材101の被溶接片101aを第2板材102の縁部の外側に起立するように設け、この縁部を外側から挟むように折り曲げることで、上述と同じ溶接装置乃至方法によってスポット溶接が可能である。
また、第1板材101に被溶接片101aを切り起こしによって設ける場合について述べてきたが、これに限るものではない。例えば、第1板材101の縁部に第2板材102をスポット溶接する場合には、第1板材101に切り起こしによって被溶接片101aを設けるのではなく、第1板材101の縁部に凸形状の突片を設け、これを起立させたものを被溶接片101aとし、該被溶接片101aを第2板材102の長穴102aに挿通して折り曲げることで、上述と同じ溶接装置乃至方法によってスポット溶接が可能である。
次に、図3を参照しながら、第1の実施形態の曲げ加工具について説明する。
折り曲げ用平型プレート11は、被溶接片101aを所定の位置で所定の方向に折り曲げる曲げ加工具であり、折り曲げ時に被溶接片101aに当接する折り曲げ用平型プレート11の先端部には、起立した状態の被溶接片101aを内方に案内して位置決めするためのガイド溝部11aが設けられており、ガイド溝部11aの幅は被溶接片101aの幅よりもわずかに大きな寸法になっている。そして、ガイド溝部11aの底面と折り曲げ用平型プレート11の下端面との境界をなす角部、及び、ガイド溝部11aの内側面と折り曲げ用平型プレート11のガイド溝部11aが設けられた面との境界をなす角部には、底面面取り部11b及び側面面取り部11cがそれぞれ設けられている。底面面取り部11bを設けることによって、折り曲げ時に最初に底面面取り部11bと起立した被溶接片101aが当接するため、被溶接片101aを無理な力をかけずに徐々に折り曲げることが可能である。また、側面面取り部11cを設けることによって、起立した被溶接片101aがわずかに傾倒している場合にもガイド溝部11aへ案内することが可能である。
また、既に述べたように、折り曲げ用平型プレート11は、被溶接部材と当接する際に折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9に対して長手方向に摺動可能とするため、その両側面部にスライドレール11dが設けられている。このスライドレール11は折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9に設けられたスライド溝部9aに摺動可能に係合される。
さらに、繰り返しになるが、折り曲げ用平型プレート11を被溶接部材に対して安定して当接させるため、折り曲げ用平型プレート11の基端部にボルト11eが設けられている。このボルト11eの先端をプレート取付けスライドベースプレート9に設けられた貫通穴9bに挿通し、折り曲げ用平型プレート11と折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9との間のボルト11eの外周に押さえ補助用スプリング9cを設けることによって、折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート9に対して折り曲げ用平型プレート11が摺動する際に、折り曲げ用平型プレート11に付勢力を与えることができる。
次に、図4から図7を参照しながら、第1の実施形態の溶接方法における各工程を詳細に説明する。
また、互いにスポット溶接される第1板材101及び第2板材102について、予め第1板材101には被溶接片101aを切り起こして設けると共に、第2板材102には貫通する長穴102aを設けておく。そして、被溶接片101aが長穴102aを挿通するように位置合わせをして第1板材101の上に第2板材102を重ね合わせる。
ここまでの溶接の準備段階が完了したところで、第1の工程として、給電用電極8、加圧用電極7及び折り曲げ用平型プレート11を搭載した溶接ガン1を動かして、原位置から、第2板材102から被溶接片101aの板厚に相当する分距離が離れた高さ位置まで折り曲げ用平型プレート11を近づける(図4を参照)。
なお、説明の便宜上、当該図面は、溶接性実験での概要図で第1板材101及び第2板材102を平板状に描いているが、これらの板材の形状はこれに限るものではない。また、支持台103(実施形態での板材位置決め用)の上に第1板材101を乗せ、さらにその第2部材102を乗せているが、溶接時の被溶接部材のセッティング方法はこれに限るものではない。
第2の工程として、溶接ガン1を第1板材101に沿って移動させることにより、溶接ガン1に搭載された折り曲げ用平型プレート11によって被溶接片101aをガイド溝部11aで案内しながら第2板材102に重なるように折り曲げる(図5を参照)。
第3の工程として、溶接ガン1を斜め上方に移動させ、加圧用電極7をスポット溶接の打点位置の直上に移動させる(図6を参照)。
第4の工程として、ガン加圧指令を受けてエア及びサーボスタッドガン5を駆動して加圧用電極7及び給電用電極8を下降させ、前記加圧用電極7を折り曲げられた被溶接片101aに、前記給電用電極8を第1板材101における溶接対象部位である被溶接片101aから離間した部位にそれぞれ当接させた状態でこれら電極間に通電することによりスポット溶接を行う(図7を参照)。
第5の工程として、溶接終了後、サーボガン1を上昇させて、各電極7、8を被溶接部材101、102から離間させ、溶接ガン1を原位置に移動させる(図示しない)。
なお、複数の被溶接部位を連続して溶接する場合には、作業効率の向上のため、前後に続けて行う被溶接部位の位置を考慮して原位置を決定するのがよい。
以上の工程によって、第1板材101及び第2板材102の板間のスポット溶接が完了する。
なお、加圧用電極7、給電用電極8及び折り曲げ用平型プレート11はそれぞれ別体で溶接ガン1のガン取り付け用ブラケット4に取り付けられているため、これら部品のいずれかが損傷等により交換が必要になっても、その部品のみを交換すれば足りる。
以上により、第1の実施形態によって、溶接ガンの移動により、該溶接ガンが備える曲げ加工具によって被溶接片を折り曲げることができるため、容易な折り曲げ加工により袋構造部などのスポット溶接を高品質で達成できる。また、溶接部位となる被溶接片が袋構造部の外側に出ているため、溶接状態を目視で確認でき、半破壊検査等により溶接強度を検査することも可能である。さらに、上板(第2板材)が下板(第1板材)よりも板厚が厚い場合にも、下板の被溶接片を上板の長穴から貫通させることによって、この部分では上板及び下板の上下が逆転するため、溶接時に通常の加圧力で加圧用電極を押し当てても板材間の圧接力が十分であり、安定した品質のスポット溶接が可能である。また、溶接される板材間の隙間にばらつきがある場合にも、同様の理由で板材間に圧接力を十分に加えられるため、安定した品質の溶接が可能である。
[第2の実施形態]
次に、図8から図12を参照しながら、本願発明に係る第2の実施形態について以下に詳細に説明する。まず、図8を参照しながら、第2の実施形態の曲げ加工具について説明する。
上述のように第1の実施形態は、電極と別に設けられた曲げ加工具によって被溶接片の折り曲げ加工を行うのに対して、第2の実施形態は、曲げ加工具が給電用電極に一体的に設けられている点で相違する。すなわち、第2の実施形態は給電用電極によって折り曲げ加工も行い、給電用電極を曲げ加工具として兼用する。
第2の実施形態の給電用電極18は、その概要は第1の実施形態の給電用電極8と同じであるが、被溶接片101aを所定の位置で所定の方向に折り曲げるのに兼用されるため、その形状が一部異なる。すなわち、折り曲げ時に起立した状態の被溶接片101aに当接する給電用電極18の先端部の側面には、被溶接片101aを内方に案内して位置決めするためのガイド溝部18aが設けられており、ガイド溝部18aの幅は被溶接片101aの幅よりもわずかに大きな寸法になっている。そして、第1の実施形態の折り曲げ用平型プレート11に設けられたガイド溝部11aと同様に、ガイド溝部18aの底面と給電用電極18の下端面との境界をなす角部、及び、ガイド溝部18aの内側面と給電用電極18のガイド溝部18aが設けられた円筒面との境界をなす角部には、底面面取り部18b及び側面面取り部18cがそれぞれ設けられている。底面面取り部18bを設けることによって、折り曲げ時に最初に底面面取り部18bと起立した被溶接片101aが当接するため、被溶接片101aを無理な力をかけずに徐々に折り曲げることが可能である。また、側面面取り部18cを設けることによって、起立した被溶接片101aがわずかに傾倒している場合にもガイド溝部18aへ案内することが可能である。
次に、図9から図12を参照しながら、第2の実施形態の溶接方法における各工程を詳細に説明する。
第1の実施形態と同様に、互いにスポット溶接される第1板材101及び第2板材102について、予め第1板材101には被溶接片101aを切り起こして設けると共に、第2板材102には貫通する長穴102aを設けておく。そして、被溶接片101aが長穴102aを挿通するように位置合わせをして第1板材101の上に第2板材102を重ね合わせる。
ここまでの溶接の準備段階が完了したところで、第1の工程として、加圧用電極7及び給電用電極18を先端部に搭載した溶接ガン1を動かして、原位置から、第2板材102から被溶接片101aの板厚に相当する分距離が離れた高さ位置まで給電用電極18を近づける(図9を参照)。
第2の工程として、溶接ガン1を第1板材101に沿って移動させることにより、給電用電極18によって被溶接片101aを第2板材102に重なるように折り曲げる(図10を参照)。
第3の工程として、溶接ガン1を斜め上方に移動させ、加圧用電極7をスポット溶接の打点位置の直上に移動させる(図11を参照)。
第4の工程として、ガン加圧指令を受けてエア及びサーボスタッドガン5を駆動して溶接ガン1から加圧用電極7及び給電用電極18を下降させ、前記加圧用電極7を折り曲げられた被溶接片101aに、給電用電極18を前記第1板材における溶接対象部位である被溶接片101aから離間した部位にそれぞれ当接させた状態でこれら電極間に通電することによりスポット溶接を行う(図12を参照)。
第5の工程として、溶接終了後、サーボガン1を上昇させて、各電極7、8を被溶接部材101、102から離間させ、溶接ガン1を原位置に移動させる(図示せず)。
以上の工程によって、第1板材101及び第2板材102の板間のスポット溶接が完了する。
第2の実施形態の場合、折り曲げ加工を行うための専用部品が不要であるため、より簡易な構成により本願発明の効果を実現できる。
[第3の実施形態]
次に、図13から図14を参照しながら、本願発明に係る第3の実施形態について以下に詳細に説明する。まず、図13を参照しながら、第3の実施形態によって溶接される溶接対象部位について説明する。
第1の実施形態では、1つの被溶接片を折り曲げるものについて説明したが、第3の実施形態では、2つの被溶接片を折り曲げる点で第1の実施形態と相違する。
第1の実施形態と同様に、互いに溶接を行う2つの板材(第1板材101及び第2板材102)の板厚は、第2板材102の方が第1板材101よりも厚い。これら板材間を溶接するため、第1板材101の上側に第2板材102を配置して、これら板材を重ね合わせる。
この際に、溶接対象部位と隣接する位置に予め、第1板材201には2つの被溶接片201a、201bが切り起こし等により起立した状態で横並びで設けられていると共に、第2板材202には、これら被溶接片201a、201bが同時に挿通可能な貫通する長穴102aが1つ設けられており、2つの被溶接片201a、201bが1つの長穴202aを挿通するように位置合わせをして、第1板材201の上に第2板材202を重ね合わせる。これによって、第2板材202の上面から被溶接片201a、201bが突出した状態となる(図13(a)を参照)。ここまでがスポット溶接を行うための準備段階である。
次に、第1板材202の上面から突出した2つの被溶接片201a、201bの折り曲げを行い、被溶接片201a、201bと第2板材202の長穴202aの周縁部とを重ね合わせる(図13(b)を参照)。この重ね合わせた部分が溶接対象部位となるため、被溶接片201aが第2板材202の長穴202aの周縁部と面接触するように、被溶接片201a、201bを第2板材202と平行になるように折り曲げる。
続いて、折り曲げられた被溶接片201a、201bの上面に加圧用電極7を当接させると共に、第2板材202のうち平面視で被溶接片201a、201bから離間した部位に、加圧用電極7と同じ側から給電用電極8を当接させ、これらの電極間に通電することにより、第1板材201及び第2板材202間をスポット溶接する。
なお、被溶接片201a、201b及び長穴202aの形状は、図13に示されたものに限らない。被溶接片201a、201bが長穴202aを挿通可能であり、かつ、折り曲げられた被溶接片201a、201bの下側が長穴202aの周囲とスポット溶接を行うのに十分な接触面積をもって対向可能であればよい。
また、互いに溶接を行う2つの板材の板厚の関係は、第2板材202の方が第1板材201よりも厚い場合に限らず、これら板圧が同じ厚さでもよい。逆に、第2板材202の方が第1板材201よりも薄い場合にも、通常より加圧力を増すこと及び溶接条件(通電時間など)を変更すること等により本願発明は適用可能な場合がある。
さらに、第2板材202に長穴202aを設ける場合について述べてきたが、これに限るものではない。例えば、第2板材202の縁部に第1板材201をスポット溶接する場合には、第2板材202には長穴を設けずに、第1板材201の被溶接片201a、201bを第2板材202の縁部の外側に起立するように設け、この縁部を外側から挟むように折り曲げることで、上述と同じ溶接装置乃至方法によってスポット溶接が可能である。
また、第2板材202の上面から突出した2つの被溶接片201a、201bの折り曲げを行う際に、2つの被溶接片201a、201bを1つずつ折り曲げてもよいし、同時に折り曲げても良いが、作業の効率化の観点では2つを同時に折り曲げるのが望ましい。
さらに、第1板材201に被溶接片201a、201bを切り起こしによって設ける場合について述べたが、これに限るものではない。例えば、第1板材201の縁部に第2板材202をスポット溶接する場合には、第1板材201に切り起こしによって被溶接片201a、201bを設けるのではなく、第1板材201の縁部に凸形状の突片を設け、これを起立させたものを被溶接片201a、201bとし、該被溶接片201a、201bを第2板材202の長穴202aに挿通して折り曲げることで、上述と同じ溶接装置乃至方法によってスポット溶接が可能である。
第3の実施形態の被溶接片が2つの場合、第1の実施形態の被溶接片が1つの場合に比べて板材間の溶接部位が増えるため、より強固なスポット溶接を行うことが可能である。
次に、図14を参照しながら、第3の実施形態の曲げ加工具について説明する。
折り曲げ用平型プレート21は、被溶接片201a、201bを所定の位置で所定の方向に同時に折り曲げる曲げ加工具であり、折り曲げ時に被溶接片201a、201bに当接する折り曲げ用平型プレート21の先端部には、起立した状態の2つの被溶接片201a、201bをそれぞれ内方に案内して位置決めするためのガイド溝部21aが2つ設けられており、各ガイド溝部21aの幅は各被溶接片201a、201bの幅よりもわずかに大きな寸法になっている。これにより、当該ガイド溝部21aによって被溶接片201a、201bを案内しながら折り曲げ可能である。
そして、第1の実施形態と同様に、各ガイド溝部21aの底面と折り曲げ用平型プレート21の下端面との境界をなす角部、及び、各ガイド溝部21aの内側面と折り曲げ用平型プレート21のガイド溝部21aが設けられた面との境界をなす角部には、底面面取り部21b及び側面面取り部21cがそれぞれ設けられている。底面面取り部21bを設けることによって、折り曲げ時に最初に底面面取り部21bと起立した被溶接片201a、201bがほぼ同時に当接するため、2つの被溶接片201a、201bを無理な力をかけずに徐々に折り曲げることが可能である。また、側面面取り部21cを設けることによって、起立した被溶接片201a、201bのいずれか少なくとも一方がわずかに傾倒している場合にもガイド溝部21aへ案内することが可能である。
また、折り曲げ用平型プレート21は、第1の実施形態と同様に、その両側面部にスライドレール21dが設けられており、その基端部にボルト21eが設けられている。
なお、第3の実施形態の場合、基本的に第1の実施形態と同様の溶接方法を実施できるが、溶接工程において、加圧用電極7によって折り曲げられた2つの被溶接片201a、201bを1つずつしか溶接できないため、加圧用電極7を搭載した溶接ガン1を2つの被溶接片201a、201bの間で移動させることが必要になる。
[第4の実施形態]
次に、図15を参照しながら、本願発明に係る第4の実施形態の曲げ加工具について以下に詳細に説明する。
第4の実施形態の曲げ加工具である折り曲げ用ローラ型プレート31は、第1の実施形態とは被溶接片と当接するその先端部の形状が異なる。第1の実施形態の場合、その先端が平板形状であったのに対して、第4の実施形態の場合はローラ形状である点で相違する。
第4の実施形態の折り曲げ用ローラ型プレート31の先端部にはローラ31aがその中心軸方向の両端を支持されて回転可能に設けられている。ローラ31aの回転軸方向の中央部には1つのガイド溝31bが全周に亘って設けられている。また、ガイド溝31bの内側面と該ガイド溝31bが設けられたローラ31aの外周面との境界の角部には面取り部31cが全周に亘って設けられている。
第4の実施形態によれば、被溶接片と当接する際に、ローラ31aが自由に回転可能であるため、摩擦等により被溶接片に無理な力をかけずに徐々に折り曲げることが可能となる。
[第5の実施形態]
次に、図16を参照しながら、本願発明に係る第5の実施形態の曲げ加工具について以下に詳細に説明する。
第5の実施形態も第4の実施形態と同様に、ローラ型の曲げ加工具であるが、第4の実施形態が1つの被溶接片を折り曲げるためのものであったのに対して、第5の実施形態は2つの被溶接片を一度に折り曲げるためのものである点で相違する。
第5の実施形態の折り曲げ用ローラ型プレート41の先端部にはローラ41aがその中心軸方向の両端を支持されて回転可能に設けられている。ローラ41aの回転軸方向の中央部には2つのガイド溝41bが全周に亘って設けられている。また、各ガイド溝41bの内側面と該ガイド溝41bが設けられたローラ41aの外周面との境界の角部には面取り部41cが全周に亘って設けられている。
第5の実施形態によれば、2つの被溶接片を同時に折り曲げ可能であると共に、被溶接片に当接する際に、ローラ41aが自由に回転可能であるため、摩擦等によりこれら被溶接片に無理な力をかけずに徐々に折り曲げることが可能となる。
最後に、図17から図20を参照しながら、本発明の溶接方法乃至溶接装置を適用した事例について説明する。まず、図17は、本発明の溶接方法を適用する自動車の車体の要部の斜視図である。
図17は、自動車のドアの真下部分のボディを構成するフレームであるサイドシルのうち、前部座席と後部座席の間にあるBピラー(センタピラー)の基端部が接続されている部分を表している。サイドシルは自動車の横方向からの所定の衝撃にも耐え得る強度が必要なフレームであり、サイドシルインナー301とサイドシルアウター303により全体として筒状の形状をなすと共に、このサイドシルインナー301とサイドシルアウター303との間にサイドシルレインフォースメント302が補強のため設けられている。そして、Bピラーを構成するピラーインナー307がサイドシルインナー301に連結されており、Bピラーの前後でのサイドシルの強度をさらに向上させるため、サイドシルインナー301とサイドシルレインフォースメント302との間の内部空間に節構造のガセット304、305、306が設けられている。
このように、サイドシルインナー301とサイドシルレインフォースメント302により囲まれたガセット304、305、306が設けられた部分は袋構造部となっている。さらに、この袋構造部の外側にあるサイドシルインナー301の板厚(1.4mm又は1.6mm)は、内側にあるガセット304、305、306の板厚(1.0mm)よりも厚いため、従来のインダイレクトスポット溶接では溶接が難しかった。
上述のような袋構造部であっても本願発明を適用することにより、簡易な構成により高品質なスポット溶接が可能となった。すなわち、予め長穴が設けられたサイドシルインナー301にガセット304、305、306に設けられた被溶接片を挿通して折り曲げることでスポット溶接が可能となる。
次に、ガセットの詳細な構造について説明する。図18(a)は、図17のガセット304の被溶接片を折り曲げる前の状態を示す斜視図である。ガセット304は、ガセット本体部304aとその周囲に溶接のためのフランジ部304e、304f及び被溶接片304b、304cが一体的に設けられている。フランジ部304e、304fはガセット本体部304aに対して直角に折り曲げて形成されており、フランジ部304eとフランジ部304fは互いに垂直な面をなしている。被溶接片304b、304cはガセット本体部304aの縁部に2つの凸部を形成して、これら凸部を被溶接片304b、304cとして用いている。なお、これらフランジ部304e、304f及び被溶接片304b、304cをガセット本体部304aの周囲に一体的に備えた構造は、例えば1枚板からプレス成形により作製可能である。
図18(b)は、上述のガセット304の変形例を示す。図からも明らかなように、被溶接片304b、304cの部分の構造が異なっており、ガセット本体部304aに折り曲げて形成したフランジ部304dから切り起こしによって被溶接片304b、304cを形成している。
図19は、図17のガセット304の溶接部位を示す断面拡大図である。上述のようにサイドシルインナー301とサイドシルレインフォースメント302との間の内部空間に節構造のガセット304が設けられている。この構造を作製するために、まずサイドシルレインフォースメント302にガセット304のフランジ部304e、304fを溶接する。これらの部分の溶接は、この時点では袋構造となっていないため、一般的なスポット溶接で足りる。ガセット305、306もこれと同様に溶接を行う。次に、このガセット304〜306が設けられた空間を塞ぐようにサイドシルインナー301を被せる。この際に、予めサイドシルインナー301に設けられた長穴301aにガセット304の被溶接片304b,304cを挿通させる。そして、サイドシルインナー301から突出している被溶接片304b,304cを曲げ加工具を用いて同時に折り曲げて、サイドシルインナー301と平行にする。続いて、加圧用電極7を一方の被溶接片304bに当接させ、給電用電極8をサイドシルインナー301の他の場所に当接させ、これら電極間に通電し、続けて、加圧用電極7を他方の被溶接片304cに当接させて、これら電極間に通電する。ガセット305、306もこれと同様に溶接を行う。以上により、サイドシルインナー301とガセット304〜306との間のスポット溶接ができる。
ここで、図20は、図17のサイドシルインナー401に開けられ長穴周辺の形状の変形例を示す拡大図である。長穴を加工することによって、該長穴の周囲での板材の剛性が不足することが考えられるが、その場合には、長穴が設けられた部分にビード(浮座)を設けることによって、この剛性不足を補うことができる。
図20(a)は、サイドシルインナー401とガセット404の溶接部位を上方から見た平面図であり、図20(b)は、図20(a)のA−A断面での断面図である。周囲よりも浮かせたビード部上面401bに長穴401aを設けることで、長穴加工を行ってもその周辺の剛性を増すことができるため、このサイドシルインナー401の長穴401aにガセット404の被溶接片404b、404cを挿通して折り曲げてスポット溶接することによって、必要な剛性を備えたサイドシルを得ることが可能である。
以上のように本発明によれば、容易な折り曲げ加工により袋構造部などのスポット溶接を高品質で達成できると共に、溶接部位となる被溶接片が袋構造部の外側に出ているため、溶接状態を目視で確認できる。したがって、自動車の車体を構成するフレーム板材内の袋構造部等を溶接するために使用されるインダイレクトスポット溶接方法及びその溶接装置の分野において好適に利用される可能性がある。
1 溶接ガン
2 ロボットアーム
3 溶接トランス
4 ガン取付け用ブラケット
5 エア及びサーボスタッドガン
6 電極取付け用ポイントホルダ
7 加圧用電極
8、18 給電用電極
9 折り曲げ用プレート取付けスライドベースプレート
11、21 折り曲げ用平型プレート
31、41 折り曲げ用ローラ型プレート
101、201 第1板材
101a、201a、201b 被溶接片
102,202 第2板材
102b、202b 長穴
301、401 サイドシルインナー
302 サイドシルレインフォースメント
303 サイドシルアウター
304、305,306、404 ガセット
307 ピラーインナー

Claims (10)

  1. 第1、第2板材が重ね合わされた溶接対象部位において一方の部材に加圧電極を当接させ、前記溶接対象部位から離間した部位において他方の部材に給電電極を当接させ、これらの電極間に通電することにより前記溶接対象部位で第1、第2板材を溶接するインダイレクトスポット溶接方法であって、
    前記加圧用電極および前記給電用電極を備えた溶接ガンとして曲げ加工具を備えたものを用いると共に、
    前記第2板材として起立状態の被溶接片を備えたものを用いて、前記第1、第2板材を前記溶接対象部位において重なるように配置する第1のステップと、
    前記溶接ガンを前記第1板材に沿って移動させることにより、前記曲げ加工具で前記被溶接片を前記溶接対象部位で前記第1板材に重なるように折り曲げる第2のステップと、
    前記第2のステップで折り曲げられた前記被溶接片に前記加圧用電極を、前記第1板材における前記溶接対象部位から離間した部位に前記給電用電極をそれぞれ当接させて通電することにより溶接する第3のステップと
    を有するインダイレクトスポット溶接方法。
  2. 請求項1に係る発明において、
    前記第2のステップでは、ガイド溝を備えた前記曲げ加工具を用い、前記ガイド溝によって前記被溶接片を案内しながら折り曲げる
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  3. 請求項1または2に係る発明において、
    前記曲げ加工具は、前記給電用電極に一体的に設けられている
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  4. 第1、第2板材が重ね合わされた溶接対象部位において一方の部材に加圧電極を当接させ、該溶接対象部位から離間した部位において他方の部材に給電電極を当接させ、これらの電極間に通電することにより前記溶接対象部位で第1、第2板材を溶接するインダイレクトスポット溶接方法であって、
    前記加圧用電極および前記給電用電極を備えた溶接ガンとして曲げ加工具を備えたものを用いると共に、
    前記第1板材として長孔を備え、前記第2板材として起立状態の被溶接片を備えたものを用いて、前記第2板材の前記被溶接片を前記第1板材の前記長孔に貫通させながら、前記第1、第2板材を前記溶接対象部位において重なるように配置する第1のステップと、
    前記溶接ガンを前記第1板材に沿って移動させることにより、前記曲げ加工具で前記被溶接片を前記溶接対象部位で前記第1板材に重なるように折り曲げる第2のステップと、
    前記第2のステップで折り曲げられた前記被溶接片に前記加圧用電極を、前記第1板材における前記溶接対象部位から離間した部位に前記給電用電極をそれぞれ当接させて通電することにより溶接する第3のステップと
    を有するインダイレクトスポット溶接方法。
  5. 請求項4に係る発明において、
    前記曲げ加工具は、前記給電用電極に一体的に設けられている
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に係る発明において、
    前記第2板材は、前記第1板材よりも薄い板材である
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  7. 請求項4乃至6のいずれか1項に係る発明において、
    前記第1板材は、車体のフレーム板材であり、前記第2板材は、前記フレーム板材に配置される補強部材である
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  8. 第1、第2板材が重ね合わされた溶接対象部位において一方の部材に加圧電極を当接させ、前記溶接対象部位から離間した部位において他方の部材に給電電極を当接させ、これらの電極間に通電することにより前記溶接対象部位で第1、第2板材を溶接するインダイレクトスポット溶接装置において、
    前記加圧用電極および前記給電用電極と共に曲げ加工具を備えた溶接ガンと、
    前記溶接対象部位において重なるように配置された、前記第1板材及び起立状態の被溶接片を備えた前記第2板材について、前記溶接ガンを前記第1板材に沿って移動させることにより、前記曲げ加工具で前記被溶接片を前記溶接対象部位で前記第1板材に重なるように折り曲げ、折り曲げられた前記被溶接片に前記加圧用電極を、前記第1板材における前記溶接対象部位から離間した部位に前記給電用電極をそれぞれ当接させて通電することにより溶接するように制御する制御手段とを備えた
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接装置。
  9. 請求項8に係る発明において、
    前記曲げ加工具は、折り曲げ時に前記被溶接片を案内するガイド溝を備えた
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接装置。
  10. 請求項8に係る発明において、
    前記曲げ加工具は、前記給電用電極に一体的に設けられている
    ことを特徴とするインダイレクトスポット溶接装置。
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