JP2019196252A - エレベータの意匠パネル構造および意匠パネルのレーザー溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一鋼板7の端部を、折り返し部8の端部が第一鋼板7の裏面に接するように折り返して断面を頂面が平らな山形形状とするとともに、第二鋼板11の端部に折り曲げ部12を形成し、この折り曲げ部12が第一鋼板7の折り返し部8と重合して端部溶接用接合部分WLを形成するようにして、溶接端部13を意匠面部分DS以外の部位に設けた。
【選択図】図6
Description
そこでスポット溶接から熱影響の少ないレーザー溶接に切り替えることで溶接歪みを改善し、またパネル部と補強部の接合強度を担保するため部分的に高出力で強く溶接した場合でも、パネルの意匠面に溶接歪みの影響が出ないような製品構造とすることが、本願の目的である。
また、本願に開示される意匠パネルのレーザー溶接方法は、意匠面を表面に形成する意匠面部分を有する第一板状部材と補強用の第二板状部材とを重合して形成する意匠パネル構造に適用される溶接方法において、前記第一板状部材と前記第二板状部材をレーザー溶接するとともに、溶接端部を前記意匠面部分以外の部位に設けるようにしたことを特徴とするものである。
また、本願に開示される意匠パネルのレーザー溶接方法によれば、溶接端部に生ずる歪によって意匠面が損なわれることを防止でき、意匠パネルのレーザー溶接過程において生産性を向上することができる。
実施の形態1.
実施の形態1を図1から図6までおよび図11から図18までに基づいて説明する。
エレベータの意匠パネルは建物内部との調和が重視されるため、室内装置に合わせて様々な意匠のものが要求される。例えば、鋼板材で形成したものに塗装を施したり、ステンレス材で形成したものにヘアラインあるいはエッチング・鏡面仕上げを施したりして製作される。
この意匠パネルは、図13に示すように意匠が主体となる第一鋼板1とその裏に隠れる補強用の第二鋼板2とから構成される。第一鋼板1との第二鋼板2のそれぞれの構造については、図11および図12に示している。また、第一鋼板1の断面を図14に、第二鋼板(補強)の部分拡大図を図15に示している。
通常、第一鋼板1と第二鋼板2の接合には、スポット溶接あるいは接着剤を用いた手法があるが、鋼板材をスポット溶接する場合は、溶接により生じる歪みをグラインダーなどで修正し、塗装を施す手法あるいは溶接歪みを隠すため意匠面に別途化粧パネルを貼り付ける手法などがある。接着剤は可燃性のものが多く、耐火性が低いため、火災時は接着剤が損傷し、第二鋼板2が剥離脱落する恐れがある。またスポット溶接では、溶接後にグラインダーによる歪み修正と化粧パネルの貼り付け等の作業が発生し、材料費と加工費の高騰に繋がり生産性悪化の原因となる。
図1のように第一鋼板7のレーザー溶接端部に予め鈍角の折り返し部8の加工を施し、また図2に示すように第二鋼板11のレーザー溶接端部にも予め鈍角の折り曲げ部12の加工を施すことで、図3に示す第一鋼板7と第二鋼板11を重合させる際にパネルの意匠面と接しない溶接面13を生成する。
これは、エレベータ意匠パネルの意匠面と接する面は、エレベータ意匠パネルの意匠面に歪みが生成されない程度の出力でレーザー溶接する必要があり、かつ、溶接開始終了箇所は第一鋼板7および第二鋼板11に対してレーザー熱が局所に滞る傾向にあるためである。
ここでは、第一鋼板7の端部を、折り返し部8の端部が第一鋼板7の裏面に接するように折り返して断面を頂面が平らな山形形状とするとともに、第二鋼板11の端部に折り曲げ部12を形成し、この折り曲げ部12が第一鋼板7の折り返し部8と重合して端部溶接用接合部分WLを形成し、この端部溶接用接合部分WLに溶接面13が設けられるものである。
なお、レーザー溶接は、溶接方向5の向きに実施され、溶接部分14が形成される。溶接部分14の端部には、エレベータ意匠パネルの意匠面と接しない溶接面13上にコの字形パターン15(始端部の溶接パターン1)が形成される。
意匠面側に熱歪みの影響が出ない接合手法について、本実施例では第一鋼板7と第二鋼板11の溶接端部が意匠面側ではないため、その部位については、しっかりとしたレーザー溶接を施すことが可能である。
意匠面を表面に形成する第一鋼板7からなる第一板状部材と補強用の第二鋼板11からなる第二板状部材を重合して形成するエレベータの意匠パネル構造において、前記第一鋼板7からなる第一板状部材は前記意匠面を形成する意匠面部分DSと前記意匠面を形成しない非意匠面部分NDとを有するものであって、前記第一鋼板7からなる第一板状部材と前記第二鋼板11からなる第二板状部材を重合しレーザー発生源からのレーザー波出力を連続して印加されて溶接されるレーザー溶接による連続溶接により溶接して連続溶接部からなる溶接部分14で形成される接合溶接部WPを設けるとともに、前記接合溶接部WPの溶接始端および溶接終端において前記第一鋼板7からなる第一板状部材に生成される溶接端部WEを前記非意匠面部分NDに設け、前記溶接端部WEを前記第一鋼板7からなる第一板状部材において前記意匠面以外の部位である非意匠面部分NDに設けたことを特徴とする。
すなわち、意匠面を形成する第一鋼板7と補強用の第二鋼板11とを重合して形成するエレベータの意匠パネル構造において、前記第一鋼板7と補強用の第二鋼板11をレーザー溶接するとともに、溶接端部WEを意匠面と接しない面に設けたことを特徴とする。
この構成により、接合溶接部WPの溶接端部WEに生ずる歪によって意匠面部分DSの外観が損なわれることを防止でき、生産性に優れたエレベータの意匠パネル構造を提供することができる。
すなわち、パネル部と補強部の溶接端部に最も荷重負荷(剥離力)がかかるため、意匠面に歪みを生成することなく端部を高出力で強く溶接可能となる。また、溶接箇所の端部から中心部にかけては強度のバックアップとして溶接する必要があるが、レーザー溶接はスポット溶接と比べ熱影響が小さく歪みが抑えられるため、適度な接合強度(バックアップ)であれば意匠性と両立した溶接条件出しが可能である。これにより、先行特許事例のようにスポット溶接後にその歪みを隠すために別途化粧パネルを準備せずとも、意匠パネルの意匠面をフラットに保つことが可能である。そのため、化粧パネル自体の材料費と化粧パネルを取り付ける加工費を削減することができ、かつパネル部と補強部の曲げ加工は容易であり、レーザー溶接を含めて設備自動化が可能なため、製作費を大きく削減することができ、生産性向上に繋がる。
意匠面を表面に形成する第一鋼板7からなる第一板状部材と補強用の第二鋼板11からなる第二板状部材とを重合して形成するものであって、前記第一鋼板7からなる第一板状部材は前記意匠面を形成する意匠面部分DSと前記意匠面を形成しない非意匠面部分NDとを有する意匠パネル構造に適用される溶接方法において、前記第一鋼板7からなる第一板状部材と前記第二鋼板11からなる第二板状部材を重合してレーザー溶接により溶接して溶接部分14からなる接合溶接部WPを形成するとともに、前記溶接端部WEを前記意匠面以外の部位である非意匠面部分NDに形成するようにしたことを特徴とする。
この構成により、接合溶接部WPの溶接端部WEに生ずる歪によって意匠面部分DSの外観が損なわれることを防止でき、意匠パネルのレーザー溶接過程において生産性を向上することができる。
実施の形態2を図7に基づいて説明する。図7は意匠面を形成する第一鋼板と補強用の第二鋼板を重ね合わせてレーザー溶接した後の状態を示す斜視図である。
図7は、溶接部分14に連なる溶接始端部13の溶接パターンをコの字形を連続して繋げた形状のジグザク形とした例である。溶接部分14に連なる溶接終端部(図示せず)の形状も同様である。このようにすると、より確実な溶接部を得ることができる。
接合溶接部WPを構成し溶接部分14に連なる溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部WEの形状を、コの字形状を連続して繋げたジグザク形状とし強度を上げる形状としたことを特徴とする。
この構成により、溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部の形状を、コの字形状を連続して繋げたジグザク形状とすることによって、接合溶接部WPを構成し溶接部分14に連なる溶接端部13における意匠面を表面に形成する意匠面部分DSを有する第一鋼板7からなる第一板状部材と補強用の前記第二鋼板11からなる第二板状部材との接合強度を充分に確保でき、接合端部に加えられる剥離力に耐え得るエレベータの意匠パネル構造を提供することができる。
実施の形態3を図8に基づいて説明する。図8は意匠面を形成する第一鋼板と補強用の第二鋼板を重ね合わせてレーザー溶接した後の状態を示す斜視図である。
図8は、接合溶接部WPを構成し溶接部分14に連なる溶接始端部13の溶接パターンを四角形状にした例である。溶接部分14に連なる溶接終端部(図示せず)の形状も同様である。このようにすると、より確実な溶接部を得ることができる。
接合溶接部WPを構成し溶接部分14に連なる溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部WEの溶接形状を四角形とし、四角形の外形輪郭内を全て塗り潰す形でレーザー溶接して、溶接端部WEの溶接パターンを四角形状にすることにより、溶接接合部の強度を上げるようにしたことを特徴とする。
この構成により、溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部WEの溶接パターンを四角形状にすることによって、接合溶接部WPを構成し溶接部分14に連なる溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部WEにおける意匠面を表面に形成する第一鋼板7からなる第一板状部材と補強用の前記第二鋼板11からなる第二板状部材との接合強度を充分に確保でき、接合端部に加えられる剥離力に耐え得るエレベータの意匠パネル構造を提供することができる。
実施の形態4を図9に基づいて説明する。図9は第一鋼板と第二鋼板を重ね合わせてレーザー溶接した後の状態を示す斜視図である。
図9は、溶接部分14に連なる溶接始端部の溶接パターンを円形状にした例である。溶接部分14に連なる溶接終端部(図示せず)の形状も同様である。このようにすると、より確実な溶接部を得ることができる。
接合溶接部WPを構成し溶接部分14に連なる溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部WEの溶接形状を円形とし、円形の外形輪郭内を全て塗り潰す形でレーザー溶接して、溶接端部WEの溶接パターンを円形状にすることにより、溶接接合部の強度を上げるようにしたことを特徴とする。
この構成により、溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部の溶接パターンを円形状にすることによって、接合溶接部WPを構成し溶接部分14に連なる溶接始端部13および溶接終端部からなる溶接端部における意匠面を表面に形成する意匠面部分DSを有する第一鋼板7からなる第一板状部材と補強用の前記第二鋼板11からなる第二板状部材との接合強度を充分に確保でき、接合端部に加えられる剥離力に耐え得るエレベータの意匠パネル構造を提供することができる。
実施の形態5を図10に基づいて説明する。図10は意匠面を形成する第一鋼板と補強用の第二鋼板を重ね合わせてレーザー溶接した後の状態を示す斜視図である。
図10は、溶接部の始端部の溶接パターンをコの字形とし、かつ溶接部分19をパルス溶接による断続溶接にした例である。このようにすると、さらに歪みを抑制することが可能となる。
前記第一鋼板7からなる第一板状部材と前記第二鋼板11からなる第二板状部材の前記接合溶接部WPは、レーザー溶接においてレーザー発生源からのパルス状のレーザー波出力を印加して溶接するパルス溶接による断続溶接により形成された断続溶接部分19として設けられていることを特徴とする
この構成により、前記第一鋼板7からなる第一板状部材と前記第二鋼板11からなる第二板状部材の溶接接合による歪を的確に抑制することができる。
続溶接のデメリットとしては入熱量が多くなるため、意匠面への歪みが出やすいことがあげられるが、パルス溶接では多数のパラメータを変更(パルス巾、周波数、波形等)させ、入熱量を調整することができるため、意匠面への歪み抑制に有効である。強度は問題ないが、意匠性に問題がある場合はパルス溶接に、逆に意匠性に問題がないが強度に問題がある場合は連続溶接へと切り替えることで意匠性と強度特性という相反する要求に対応することが可能となる。
Claims (10)
- 意匠面を表面に形成する意匠面部分を有する第一板状部材と補強用の第二板状部材とを重合して形成するエレベータの意匠パネル構造において、前記第一板状部材と前記第二板状部材を重合してレーザー溶接により溶接した接合溶接部を設けるとともに、前記接合溶接部の溶接端部を前記意匠面部分以外の部位に設けたことを特徴とするエレベータの意匠パネル構造。
- 前記第一板状部材の端部を、折り返し部の端部が前記第一板状部材の裏面に接するように折り返して断面を頂面が平らな山形形状とするとともに、前記第二板状部材の端部に折り曲げ部を形成し、この折り曲げ部が前記第一板状部材の前記端部と重合して前記溶接端部が設けられる部位を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 前記第一板状部材の端部形状は、前記折り返し部と前記第一板状部材の裏面とが鈍角で接しており、前記第二板状部材の端部の折り曲げ部は鈍角で形成されている特徴とする請求項2に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 前記溶接端部の形状を、コの字形状としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 前記溶接端部の形状を、コの字形状を連続して繋げたジグザク形状としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 前記溶接端部の溶接パターンを四角形状としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 前記溶接端部の溶接パターンを円形状としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 前記第一板状部材と前記第二板状部材の前記接合溶接部にはレーザー溶接による連続溶接により形成された連続溶接部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 前記第一板状部材と前記第二板状部材の前記接合溶接部にはレーザー溶接による断続溶接により形成された断続溶接部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載のエレベータの意匠パネル構造。
- 意匠面を表面に形成する意匠面部分を有する第一板状部材と補強用の第二板状部材とを重合して形成する意匠パネル構造に適用される溶接方法において、前記第一板状部材と前記第二板状部材をレーザー溶接するとともに、溶接端部を前記意匠面部分以外の部位に形成するようにしたことを特徴とする意匠パネルのレーザー溶接方法。
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