JP5998535B2 - ターボ分子ポンプ - Google Patents
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Description
ロータが破壊を起こすと、ロータが分裂して飛散することになる。分裂した破片がケーシング部材に衝突すると大きな破壊トルクが発生し、ケーシング部材が変形したり破損したりする。
以下、図を参照して本発明の実施形態1について説明する。図1は、本発明によるターボ分子ポンプの一実施の形態を示すものである。
図1には、磁気軸受式のターボ分子ポンプの断面図が示されている。ターボ分子ポンプ1は、ケーシング部材12と、ケーシング部材12に固定されたベース13とにより形成されたポンプケース11を備えている。ケーシング部材12とベース13はシール部材42を介して固定され外部から密封された構造とされている。
ケーシング部材12の下部フランジ12bとベース13のフランジ13aとがシール部材42を介在してボルト等の締結部材93により固定されている。
また、下部円筒部4aの外周側には、底部中央に貫通孔を有する略コップ形状の緩衝部材20がベース13にボルト(図示せず)などにより固定されている。緩衝部材20は、その上端側内面がロータ下部円筒部4aの外周面に対して僅かなギャップを有し、かつ、その上端面が最下部のロータ翼6aの下面に対して僅かなギャップを有して配置される。これにより、気体分子、特に、腐食性のガスがロータ翼6aと緩衝部材20とのギャップから緩衝部材20の内側に回り込むことが防止される。その結果、中央筒部14の内側に配置された磁気軸受31、32や変位センサ33a〜33c等が腐食するのを防止する。
点線で示す如く、緩衝部材20が無い場合には、ロータ翼6の破片がステータ翼7に衝突し、その破壊トルクがスペーサ8からケーシング部材12の経路(第1経路と呼ぶ)で外部装置に伝達される。つまり、ロータ翼6の破片は、ステータ翼7→スペーサ8→ケーシング部材12の第1経路で外部装置に衝撃を与える。この場合、ロータ翼6の破片による衝撃が外部装置に伝達される経路は一経路であるため、後述する二つの経路を経由して衝撃が外部装置に伝達される場合に比べて衝撃値の最大値が大きくなる。
緩衝部材20に衝突するロータ翼6の破片による破壊トルクは、緩衝部材20→ベース13→ケーシング部材12の経路(第2の経路と呼ぶ)で外部装置に伝達されて外部装置に衝撃を与える。つまり、第2経路を経由するロータ翼6の破片による衝撃は、ベース13を経由する分、第1経路を経由する場合より長くなる。このため、緩衝部材20に衝突するロータ翼6の破片による衝撃は、第1経路を経由して外部装置に伝達される衝撃より時間的に遅延して外部装置に伝達される。
このように、本発明の一実施の形態によれば、急停止トルクの大きさを軽減することができる。
図3は、この発明に係るターボ分子ポンプの実施形態2の断面図である。
以下の説明においては、実施形態1との相違点を主体に説明することとし、共通する事項は、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態2における緩衝部材20Aは、鋳造等によりベース13と一体形成されている。緩衝部材20Aは、ベース13の上面から立設する円筒状に形成されている。緩衝部材20Aも、実施形態1の緩衝部材20と同様に、気体分子が最下部のロータ翼6aとのギャップから緩衝部材20Aの内側に回り込むのをシールするように、その上部内面側および上端面が、それぞれ、下部円筒部4aの外周面および最下部のロータ翼6aの下面に対して僅かなギャップを有するように配置される。
実施形態2においても、実施形態1と同様な効果を奏することができる。
図4は、この発明に係るターボ分子ポンプの実施形態3の断面図である。
以下の説明においては、実施形態1との相違点を主体に説明することとし、共通する事項は、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態3における緩衝部材20Bは、小径側の先端部にねじ部を有するボルトのような締結部材によって形成されたものである。ベース13の上面に雌ねじ部を設けておき、この雌ねじ部に締結部材20Bのねじ部(締結部)を締結することにより、緩衝部材20Bをベース13に取り付ける。緩衝部材20Bは、下部円筒部4aの外周に、相互に離間して、複数本配列されている。
図5は、この発明に係るターボ分子ポンプの実施形態4の断面図である。
以下の説明においては、実施形態1との相違点を主体に説明することとし、共通する事項は、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態5における緩衝部材20Cには、ロータ軸5の軸方向と平行な円筒部の中間部に肉厚が薄い脆弱部21が設けられている。
脆弱部21は、上下の部分よりも強度が小さいので、ロータ翼6の破片が緩衝部材20Cに衝突すると、緩衝部材20Cは脆弱部21で破損する。緩衝部材20Cの破損により、ロータ翼6の破片の運動エネルギを吸収することができる。
実施形態4によっても実施形態1と同様な効果を奏することができる。
4 ロータ
4a 下部円筒部
5 ロータ軸
6、6a ロータ翼
7 ステータ翼
8 スペーサ
11 ポンプケース
12 ケーシング部材
13 ベース
15 吸気口
16 排気ポート(排気口)
20、20A〜20C 緩衝部材
21 脆弱部
Claims (6)
- 上下方向に複数段に設けられたロータ翼を有するロータと、前記ロータに取り付けられたロータ軸と、前記ロータ翼間に配置され、スペーサによって保持されたステータ翼とがケーシング部材内に収納され、
前記ケーシング部材の前記ロータ側の上部側に設けられた吸気口から、前記ケーシング部材に固定されたベースの排気口に気体分子を移送するターボ分子ポンプにおいて、
前記複数のロータ翼の最下段のロータ翼から下方側に突出された下部円筒部を前記ロータに設け、前記下部円筒部の外周側の空間において、前記ロータ翼が破壊された際に前記ロータ翼の破片が衝突する緩衝部材を前記ベースに連結し、または前記ベースと一体的に設け、前記緩衝部材に衝突しない破片の衝撃が前記ケーシング部材に伝達されるタイミングと、前記緩衝部材に衝突する破片の衝撃が前記ケーシング部材に伝達されるタイミングとをずらすように構成したことを特徴とするターボ分子ポンプ。 - 請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記ロータと前記緩衝部材とは、前記ロータの下面と前記緩衝部材の上面との間のギャップ、または前記下部円筒部の外周面と前記緩衝部材の内側側面との間のギャップが、気体分子の前記ロータ軸側への回り込みを抑制する機能を有するように設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
- 請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記緩衝部材は前記下部円筒部の外周面に近接する内周面を有する円筒部を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記緩衝部材は、前記ロータ軸の軸方向と平行な前記緩衝部材の円筒部の中間部に、または、前記緩衝部材と前記ベースとの境界部に、他の部分より強度が小さい部分を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
- 請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記緩衝部材は、前記ベースに締結される締結部を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記緩衝部材は、前記ロータよりも強度が大きい材料により形成されていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
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- 2012-03-12 JP JP2012054346A patent/JP5998535B2/ja active Active
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