JP2012512984A - 真空ポンプ - Google Patents

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Abstract

【解決手段】本発明は、ハウジング(10)内に配置された少なくとも1つのポンプ要素(12)を備えた真空ポンプに関する。ポンプ要素は軸(14)に支持されている。固定フランジ(20)が、真空ポンプを支持要素(24)に固定するためにハウジング(10)に接続されている。固定フランジ(20)は、環状線(26)に沿って配置された固定孔を有している。固定孔は、破裂の場合にエネルギを吸収すべく細長い孔(28)として設計されている。細長い孔(28)の長手軸(32)が、環状線(26)の接線(34)に対して0ではない角度(α)の方向を向いている。

Description

本発明は、真空ポンプに関する。
ターボ分子ポンプは、ロータ軸に接続されたポンプ要素を備えている。ロータ軸は、一側で支持されていることが多く、ロータ要素が、鐘のように自由な軸端部に取り付けられている。ロータ要素は一般的に、ラジアル方向に延びてロータブレードを有するブレードディスクを備えている。ステータ要素のステータディスクが、ロータディスク間に配置されている。ステータディスクは、ロータ要素を完全に囲むステータリングによって完全に固定されている。ステータリングは、ポンプハウジング内で固定して保持されている。ターボ分子ポンプは、数万rpm の回転動作速度で作動される。従って、ロータの運動エネルギは作動中非常に高い。このため、ロータの衝突又はロータの破裂の場合に相当な破壊力が生じる。生じた力は、ステータ要素を介してポンプハウジングに伝えられる。このため、ポンプハウジングが損傷する場合があり、ポンプハウジングの一部がポンプから振り飛ばされ得る。これは、相当な怪我の危険性を意味する。
欧州特許出願公開第1413761 号明細書
真空ポンプは、固定のために固定フランジを備えている。従来の実施形態では、このために設けられた支持要素に真空ポンプを固定するために、固定フランジは環状線に沿って複数の固定孔を有しており、真空ポンプは、ねじ又はボルトを用いて固定フランジによって固定されている。ターボ分子ポンプのロータのような、ロータ軸に接続されたポンプ要素が故障するか又は動かなくなる破裂の場合には、急減速により生じるエネルギが、ポンプハウジングに伝えられ、従って、ポンプハウジングに接続された固定フランジ、特にはポンプハウジングと一体化された固定フランジにも伝えられる。これは、締付ねじに裂け目を生じさせる場合があり、このため、真空ポンプは場合によっては部屋を横切って数メートル吹き飛ばされることがある。これは、相当に危険である。
ロータの破裂により生じるエネルギの一部を吸収するために、欧州特許出願公開第1413761 号明細書は固定孔の様々な設計について述べている。破裂の場合にこのような固定孔は、固定フランジをポンプ要素の回転方向に所定角度回転させると想定されている。このため、一方では、固定フランジとポンプが固定されている支持要素との間でエネルギが吸収されて、他方では、固定フランジ及び締付ねじに生じる変形及び破壊によりエネルギが吸収される。欧州特許出願公開第1413761 号明細書に提案されている固定フランジ及び固定孔の設計により、破裂により生じるエネルギの一部の吸収が可能であるが、作製を複雑にする解決法である。
従って、本発明は、真空ポンプのハウジングの固定フランジに設けられた固定孔の作製が経済的であり、固定孔によりエネルギの確実な吸収が保証されるような固定孔を設計することを目的とする。
本発明によれば、前記目的は請求項1の特徴により達成される。
従来のターボ分子ポンプ等であってもよい本発明の真空ポンプは、ハウジング内に配置されたポンプロータのようなポンプ要素を備えている。少なくとも1つのポンプ要素は、ハウジング内に少なくとも1本の軸により支持されている。通常、軸は複数の連続したポンプ要素を支持している。軸は、一般的には玉軸受又は磁気軸受のような軸受要素によってハウジング内に支持されている。ハウジングは、ハウジングと接続された固定フランジ、特にはハウジングと一体化された固定フランジによって固定されている。このために、複数の固定孔が固定フランジに環状線に沿って設けられている。本発明によれば、固定孔は、少なくとも部分的に細長い孔として設計されており、細長い孔の長手軸が更に、環状線の接線に対して0度ではない角度に配置されている。従って、細長い孔として設計された固定孔の長手軸は、内側又は外側に向いている。その結果、破裂、及び破裂に伴う固定フランジのねじれの場合に、固定フランジと真空ポンプの支持要素との間の摩擦によってエネルギが吸収されるだけでなく、ねじのような固定要素の内側又は外側に向いた変形及び/又は移動によってもエネルギが吸収される。本設計、つまり細長い孔の配置の利点は、単純設計の固定孔により、一方では、破壊の場合に真空ポンプ全体の回転を可能にし、それによって摩擦によるエネルギ吸収を達成し、他方では、変形による更なるエネルギ吸収を可能にすることである。本発明に応じて設けられて、固定孔に関する環状線の接線に対してある角度に配置された細長い孔は、単純設計の固定孔であり、従って作製の際に経済的である。
好ましくは、細長い孔の長手軸は、外側に向いており、つまり、真空ポンプの軸から離れる方向であって少なくとも1つのポンプ要素の回転方向の反対方向に向いている。
簡単な好ましい実施形態では、細長い孔の対向する側部が互いに平行に配置されている。しかしながら、側部が互いの方に向かって延びるか、又は少なくとも1つのポンプ要素の回転方向に対して先細りになるように側部を構成することも可能である。破裂の場合には、側部間の距離のこの減少により、ねじのような固定要素がラジアル方向に更に押し付けられ得る。このため、エネルギが更に吸収される。この場合、ねじのような固定要素が一側で押し付けられるように、細長い孔の対向する側部の位置を設定することが可能である。しかしながら、細長い孔は長手軸に対して鏡面対称であることが好ましい。
固定要素が固定された状態で存在しない自由空間に吸収要素を設けるために、特には平行な側部を有する細長い孔が有利である。吸収要素は、必要なときに押し付けられる、つまり変形される比較的軟らかい金属材料又はプラスチック材料製の要素であってもよい。それにより、更なるエネルギ吸収が達成される。
好ましい実施形態では、調整要素が、好ましくは固定フランジに更に設けられている。このような調整要素により、真空ポンプの固定フランジが正確な位置で支持要素と接続されることが保証される。調整要素は固定フランジに設けられたピンであってもよく、該ピンは支持要素に設けられた凹部と協働する。固定フランジはフランジ開口部を有しており、フランジ開口部の接線方向の幅が調整ピンの幅に相当することが特に好ましい。これに関連して、調整要素を固定要素として更に使用し、調整要素として締付ねじのような固定要素を設けることが特に好ましい。好ましい実施形態では、固定孔の内の1つが調整開口部として形成されており、他の固定孔が、本発明に係る傾斜した細長い孔として形成されている。
同様に、上述された固定フランジが真空ポンプのハウジング要素であることが可能である。この場合、固定フランジは、ハウジング部分の別のフランジと接続されている。結果として、真空ポンプの個々のハウジング部分が、破裂の場合に互いに対して回転することが可能である。
真空ポンプを示す略側面図である。 固定フランジを示す略平面図である。 細長い孔として形成された固定孔を示す拡大図である。
本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
ターボ分子ポンプのような真空ポンプは、ロータ12のようなポンプ要素をハウジング10に備えている。図示された実施形態では、ポンプ要素は、電動機16によって駆動される共通の軸14に配置されている。図示された実施形態では、軸14は2つの玉軸受18によりハウジング10内に支持されている。ハウジング10は、固定フランジ20に接続されているか、又は固定フランジ20と一体化されている。締付ねじ22の形態の固定要素が、真空室の固定フランジであってもよい支持要素24に固定フランジ20を接続するために使用されている。
固定フランジ20は、環状線26に沿って配置された複数の固定孔28を有しており(図2)、固定孔28は、環状線26の全周に亘って等距離で規則的に配置されている。固定孔の内の1つが、調整のためのラジアル開口部30として形成されている。細長い孔の形状の固定孔28は、図示された実施形態では外側に向いている。細長い孔28の長手軸32(図3)が、環状線26の接線34に対して0ではない角度αの方向を向いている。角度αは、約15°の範囲内にあることが好ましい。角度αを決定するために、図示された実施形態では、接線34と細長い孔28の長手軸32とは環状線26上で交差する。
特には図2に明らかなように、図示された実施形態では、細長い孔28は軸14の回転方向36に対して外側に向いている。
締付ねじ22は、一般的な方法で固定されているとき、図3に図示されているように細長い孔28内に配置されている。破裂の場合には、締付ねじ22は、矢印の方向38に細長い孔28内で外側に移動する。このため、フランジ内側面40 (図1)と支持要素の接触面42との間に摩擦が生じることに加えて、締付ねじ22の変形が引き起こされる。
図示された実施形態では、2つの対向する側部44が互いに平行に形成されている。更に側部44は、図示された実施形態のために示された細長い孔の構成では細長い孔28の対称軸に相当する長手軸32と平行に形成されている。
エネルギを更に吸収するために、吸収要素が、細長い孔28の自由空間46、つまり、締付ねじ22が一般的な固定状況では存在していない空間に設けられ得る。
支持要素24に固定されたときの真空ポンプの位置を明確に定めるために、調整要素を設けていることが好ましい。図示された実施形態では、調整要素は、調整開口部30(図2)として形成されている。調整開口部30は環状線26の接線方向に幅b を有しており、幅b は調整ピンの幅に相当する。特に好ましい実施形態では、調整ピンは別の締付ねじ22である。調整開口部であるフランジ開口部30は、円形又は長円形の孔の形態であってもよく、長円形の孔の長手軸はラジアル方向に延びている。これは、例えばねじを挿入するためにポンプ側からどの位容易に孔に接近し得るかに応じて決められる。このようにして、破裂の場合にフランジ開口部30内のねじは剪断される。
取付スペースがポンプ側で狭い状況で傾斜した細長い孔を設けることにより、一般的に、ねじをより容易に挿入し得ることが有利である。

Claims (10)

  1. ハウジング(10)内に配置された少なくとも1つのポンプ要素(12)と、
    該少なくとも1つのポンプ要素(12)を支持する少なくとも1本の軸(14)と、
    前記ハウジング(10)と接続された固定フランジ(20)と、
    該固定フランジ(20)の環状線(26)に沿って配置された固定孔(28)とを備えた真空ポンプにおいて、
    前記固定孔は細長い孔(28)として形成されており、該細長い孔(28)の長手軸(32)が、環状線(26)の接線(34)に対して0度以外の角度(α)の方向を向いていることを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記細長い孔(28)の長手軸(32)は、前記少なくとも1つのポンプ要素(12)の回転方向(36)に対して外側に向いていることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 前記細長い孔(28)の対向する側部(44)が互いに平行であることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
  4. 前記細長い孔(28)の対向する側部(44)が回転方向(36)に集中していることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
  5. 前記細長い孔(28)は、前記長手軸(32)に対して鏡面対称であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の真空ポンプ。
  6. 前記細長い孔(28)に配置された吸収要素を更に備えており、該吸収要素は、取り付けられた状態で好ましくは前記細長い孔(28)に存在する自由空間(46)を占めていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の真空ポンプ。
  7. 前記真空ポンプを支持要素(24)に対して調整するための調整要素を更に備えており、該調整要素は、好ましくは前記固定フランジ(20)に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の真空ポンプ。
  8. 前記調整要素は、フランジ開口部(30)の形態であり、該フランジ開口部(30)の接線方向(34)の幅(b) が、前記支持要素(24)と接続された調整ピンの幅に相当することを特徴とする請求項7に記載の真空ポンプ。
  9. 前記調整要素は、更に固定要素として機能し、前記調整ピンは、好ましくは締付ねじとして形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の真空ポンプ。
  10. 前記固定フランジ(20)は、別のハウジングフランジに接続されたハウジングフランジとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の真空ポンプ。
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