JP5994970B2 - 瞳強度分布の調整方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

瞳強度分布の調整方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、瞳輝度分布の最適化方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、並びにデバイス製造方法に関する。
半導体素子等のデバイスの製造に用いられる露光装置では、光源から射出された光が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源(一般には照明瞳における所定の光強度分布)を形成する。以下、照明瞳での光強度分布を、「瞳輝度分布」という。照明瞳とは、照明瞳と被照射面(露光装置の場合にはマスクまたはウェハ)との間の光学系の作用によって、被照射面が照明瞳のフーリエ変換面となるような位置として定義される。
二次光源からの光は、コンデンサー光学系により集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクを透過した光は投影光学系を介してウェハ上に結像し、ウェハ上にはマスクパターンが投影露光(転写)される。マスクに形成されたパターンは微細化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
従来、アレイ状に配列され且つ傾斜角および傾斜方向が個別に駆動制御される多数の微小なミラー要素により構成された可動マルチミラーを用いて、所望の瞳輝度分布を実現する照明光学系が知られている。この照明光学系では、可動マルチミラーを用いているので瞳輝度分布の外形形状および分布の変更に関する自由度が高く、転写すべきパターンの特性に応じて適切に決定された複雑な外形形状および分布を有する瞳輝度分布を精度良く実現することができる。
ただし、実際に照明瞳に形成される瞳輝度分布は様々な原因により設計上の瞳輝度分布とは僅かに異なるものとなったり、瞳輝度分布以外の光学特性が瞳輝度分布を設計した条件と異なるものとなったりして、設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能を達成することは困難である。そこで、実際の瞳輝度分布に応じた結像性能を、設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能に近づけるために、瞳輝度分布の最適化を行う手法が提案されている(特許文献1を参照)。
国際公開第2011/102109号パンフレット
特許文献1に記載された瞳輝度分布の最適化手法では、後述するように、解空間が非線形空間の場合、1回の最適化ステップにより得られる結果が極値解に十分近づかない。すなわち、1回の最適化ステップでは、所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるような瞳輝度分布を求めることができない。また、極値解に十分近い解を求めるために最適化ステップを繰り返すと、所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるような瞳輝度分布を求めるのに多大な時間がかかる。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるように瞳輝度分布を確実に且つ迅速に最適化することのできる最適化方法を提供することを目的とする。また、本発明は、瞳輝度分布を確実に且つ迅速に最適化する最適化方法を用いて、所望の結像性能をターゲットに瞳輝度分布を適切に調整することのできる照明光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、瞳輝度分布を適切に調整する照明光学系を用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、第1形態では、第1面に配置されるパターンの像を第2面上に形成する結像光学系に照明光を供給する照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を最適化する方法であって、
基準的な瞳輝度分布について、変調パラメータの微小変化に応じたOPE値の変化をパラメータ毎に求める第1工程と、
前記基準的な瞳輝度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成された瞳輝度分布により得られるOPE値を得る第2工程と、
前記パラメータ毎のOPE値の変化を用いる最適化手法により、前記得られたOPE値が目標OPE値に近づくように変調された瞳輝度分布を求める第3工程と、
前記第3工程で求めた前記変調された瞳輝度分布により得られるOPE値を予測する第4工程と、
前記パラメータ毎のOPE値の変化を用いる最適化手法により、前記予測したOPE値が前記目標OPE値に近づくように変調された瞳輝度分布を求める第5工程と、
前記第5工程で求めた前記変調された瞳輝度分布により得られるOPE値を予測する第6工程とを含み、
前記予測したOPE値と前記目標OPE値との差が許容範囲に収まるまで前記第5工程および前記第6工程を繰り返すことにより、前記照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を最適化することを特徴とする瞳輝度分布の最適化方法を提供する。
第2形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系の調整方法において、
第1形態の最適化方法を用いて、前記照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を最適化することと、
前記最適化された瞳輝度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整することとを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
第3形態では、第2形態の調整方法により調整されたことを特徴とする照明光学系を提供する。
第4形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測する瞳分布計測装置と、
前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する瞳調整装置と、
第1形態の最適化方法を用いて最適化された瞳輝度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整するために前記瞳調整装置を制御する制御部とを備えることを特徴とする照明光学系を提供する。
第5形態では、所定のパターンを照明するための第3形態または第4形態の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
第6形態では、第5形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
第7形態では、第1面に配置されるパターンに照明光を供給する照明光学系と該パターンの像を第2面上に形成する結像光学系と組合せられる調整装置であって、前記第2面上での前記像の形成状態を調整する調整装置で用いられる調整量を算出する方法であって、
基準状態における調整量の微小変化に応じた前記像の形成状態の変化を、前記調整量毎に求める第1工程と、
前記基準状態での前記像の形成状態を得る第2工程と、
前記調整量毎の前記像の形成状態の変化を用いる最適化手法により、前記得られた像の形成状態が目標とする像の形成状態に近づくような調整量を求める第3工程と、
前記第3工程で求めた前記調整量を前記調整装置に適用したときに得られる像の形成状態を予測する第4工程と、
前記調整量毎の前記像の形成状態の変化を用いる最適化手法により、前記予測した像の形成状態が前記目標とする像の形成状態に近づくような調整量を求める第5工程と、
前記第5工程で求めた前記調整量を前記調整装置に適用したときに得られる像の形成状態を予測する第6工程とを含み、
前記予測した像の形成状態と前記目標とする像の形成状態との差が許容範囲に収まるまで前記第5工程および前記第6工程を繰り返すことにより、調整量を求めることを特徴とする算出方法を提供する。
実施形態にしたがう瞳輝度分布の最適化方法では、所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるように、瞳輝度分布を確実に且つ迅速に最適化することができる。実施形態にかかる照明光学系では、瞳輝度分布を確実に且つ迅速に最適化する最適化方法を用いて、所望の結像性能をターゲットに瞳輝度分布を適切に調整することができる。実施形態の露光装置では、瞳輝度分布を適切に調整する照明光学系を用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
1次のディストーション多項式のみによる変調作用を示す図である。 3次のディストーション多項式のみによる変調作用を示す図である。 4次のディストーション多項式のみによる変調作用を示す図である。 8次のディストーション多項式のみによる変調作用を示す図である。 12次のディストーション多項式のみによる変調作用を示す図である。 実施形態にかかる瞳輝度分布の最適化方法のフローチャートである。 OPE誤差が0となる瞳輝度分布の極値解が等高線の局所的な底に一致するように描かれた解空間を模式的に示す図である。 図7の解空間において最適化ステップを繰り返す様子を模式的に示す図である。 実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。 空間光変調ユニットの構成および作用を概略的に示す図である。 空間光変調ユニット中の空間光変調器の部分斜視図である。 瞳分布計測装置の内部構成を概略的に示す図である。 実施形態にかかる照明光学系の調整方法のフローチャートである。 半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。 液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
実施形態の具体的な説明に先立って、本実施形態にかかる瞳輝度分布の最適化方法の基本的な考え方を説明する。露光装置において照明瞳に形成される瞳輝度分布は、瞳面内の直交座標x,yの関数Ψ(x,y)を用いて表される。可動マルチミラーを用いて照明瞳に形成される実際の瞳輝度分布は、照明瞳に形成しようと企図した基準的な瞳輝度分布とは僅かに異なる分布になる。また、実際の瞳輝度分布により得られる結像性能は、設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能とは僅かに異なるものになる。以下、説明の理解を容易にするために、照明瞳に形成しようと企図した基準的な瞳輝度分布は、設計上の瞳輝度分布であるものとする。
設計上の瞳輝度分布は、転写すべきパターンの特性に応じて適切に決定され、複雑な外形形状および分布を有する場合がある。この場合、設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能に十分近い結像性能を達成するには、例えば最適化手法により実際の結像性能が所望の結像性能に十分近づくように設計上の瞳輝度分布(一般には元の瞳輝度分布)から変調された瞳輝度分布を求めること、および変調された瞳輝度分布をターゲットとして瞳輝度分布を調整することが必要になる。
本実施形態では、元の瞳輝度分布Ψo(x,y)と変調された瞳輝度分布Ψm(x,y)との関係を、後述する数種類の変調作用による複合作用情報と、各変調作用を表現するパラメータ群(透過率の濃度や分布の種類など)とを用いて具体化する。一般に、元の瞳輝度分布Ψo(x,y)と変調された瞳輝度分布Ψm(x,y)との間に、次の式(1)に示す関係が成立する。式(1)において、Q[ ]は何らかの現実的なモデルを反映させた変調操作であり、Q1,Q2,・・・,Qiは複数の変調因子(瞳輝度分布の変調パラメータ)である。
Ψm(x,y)=Q[Ψo(x,y),Q1,Q2,・・・,Qi] (1)
この変調操作と変調因子とに関するモデルの一例として、光学系による代表的な分布変調作用、すなわち透過率変調の作用およびディストーション変調の作用が考えられる。透過率変調(透過率分布に対応する変調)の場合、元の瞳輝度分布Ψo(x,y)と変調された瞳輝度分布Ψm(x,y)との関係は、次の式(2)に示すように表される。
Ψm(x,y)=T(x,y)Ψo(x,y) (2)
ここで、T(x,y)≡exp[ΣQi×fi(x,y)]
式(2)において、T(x,y)は正味の透過率分布関数を意味し、fi(x,y)はフリンジツェルニケ多項式を意味している。また、式(2)において、Σは、1〜iまでの総和記号である。透過率変調が全くない場合、フリンジツェルニケ多項式fi(x,y)の各次数の展開係数Qiは0であり、透過率分布関数T(x,y)は1になる。
ディストーション変調(瞳輝度分布の変形に対応する変調)の場合、変調後の瞳座標値x’,y’は、変調前の瞳座標値x,y、および関数Dx,Dyを用いて、次の式(3a),(3b)のように表される。
x’≡x+Dx(x,y) (3a)
y’≡y+Dy(x,y) (3b)
式(3a),(3b)は、変調前の瞳面内の光線の各位置(x,y)(数値計算的には各ピクセルに相当)が、ディストーション関数Dx,Dyに基づいて規定される各位置(x’,y’)へ微小移動するという操作を意味している。これによって、例えば糸巻き型や樽型に代表されるディストーション作用(分布の歪み、変形)に基づく瞳輝度分布の変調作用が結果的に生じる。ディストーション変調作用についても、フリンジツェルニケ多項式fi(x,y)を用いた表現によって具体的な定義が可能である。
例えば、4次のディストーション多項式(Dist-4)のみの変調作用がある場合、関数DxおよびDyは、次の式(4a)および(4b)のように表される。
x(x,y)=Q4×{f2(x,y)} (4a)
y(x,y)=Q4×{−f3(x,y)} (4b)
ここで、Q4は、ディストーション多項式の4次の展開係数に相当し、この数値Q4の大小で4次のディストーション作用の大きさが決まる。次の表(1)に、1次のディストーション多項式(Dist-1)〜55次のディストーション多項式(Dist-55)を示す。表(1)において、Fiはfi(x,y)を意味している。また、表(1)において、DXは瞳面座標xを対象に変調を掛けるということを意味する単位ベクトルであり、DYは瞳面座標yを対象に変調を掛けるということを意味する単位ベクトルである。
表(1)
Dist-1 F1*DX
Dist-2 F1*DY
Dist-3 F2*DX+F3*DY
Dist-4 F2*DX−F3*DY
Dist-5 F3*DX+F2*DY
Dist-6 F4*DX
Dist-7 F4*DY
Dist-8 F5*DX+F6*DY
Dist-9 F6*DX−F5*DY
Dist-10 F5*DX−F6*DY
Dist-11 F6*DX+F5*DY
Dist-12 F7*DX+F8*DY
Dist-13 F7*DX−F8*DY
Dist-14 F8*DX+F7*DY
Dist-15 F10*DX+F11*DY
Dist-16 F11*DX−F10*DY
Dist-17 F10*DX−F11*DY
Dist-18 F11*DX+F10*DY
Dist-19 F9*DX
Dist-20 F9*DY
Dist-21 F12*DX+F13*DY
Dist-22 F13*DX−F12*DY
Dist-23 F12*DX−F13*DY
Dist-24 F13*DX+F12*DY
Dist-25 F17*DX+F18*DY
Dist-26 F18*DX−F17*DY
Dist-27 FI7*DX−F18*DY
Dist-28 F18*DX+F17*DY
Dist-29 F14*DX+F15*DY
Dist-30 F14*DX−F15*DY
Dist-31 F15*DX+F14*DY
Dist-32 F19*DX+F20*DY
Dist-33 F20*DX−F19*DY
Dist-34 F19*DX−F20*DY
Dist-35 F20*DX+F19*DY
Dist-36 F26*DX+F27*DY
Dist-37 F27*DX−F26*DY
Dist-38 F16*DX
Dist-39 F16*DY
Dist-40 F21*DX+F22*DY
Dist-41 F22*DX−F21*DY
Dist-42 F21*DX−F22*DY
Dist-43 F22*DX+F21*DY
Dist-44 F28*DX+F29*DY
Dist-45 F29*DX−F28*DY
Dist-46 F23*DX+F24*DY
Dist-47 F23*DX−F24*DY
Dist-48 F24*DX+F23*DY
Dist-49 F30*DX+F31*DY
Dist-50 F31*DX−F30*DY
Dist-51 F25*DX
Dist-52 F25*DY
Dist-53 F32*DX+F33*DY
Dist-54 F33*DX−F32*DY
Dist-55 F34*DX+F35*DY
参考として、1次のディストーション多項式(Dist-1)のみによる変調作用を図1に、3次のディストーション多項式(Dist-3)のみによる変調作用を図2に、4次のディストーション多項式(Dist-4)のみによる変調作用を図3に、8次のディストーション多項式(Dist-8)のみによる変調作用を図4に、12次のディストーション多項式(Dist-12)のみによる変調作用を図5にそれぞれ示す。
したがって、ディストーション多項式を用いた一般的な変調作用は、複数の次数のディストーション変調の混合効果として、式(5a),(5b)に示すように表される。式(5a),(5b)において、Diは表(1)で定義された各次数のディストーション多項式(ベクトル表現)であり、DX,DYは瞳面座標x,yを対象にした単位ベクトルである。また、式(5a),(5b)において、Σは1〜iまでの総和記号であり、「・」はベクトルの内積を表している。
x’=ΣQi×{Di(x,y)・DX} (5a)
y’=ΣQi×{Di(x,y)・DY} (5b)
表(1)で定義されたディストーション多項式では、各次数の変調作用が互いに直交した操作に相当しているため、後述する変化表の管理等に役立つというメリットがある。なお、上記の2種類のモデル以外に、ディストーション以外の収差に対応する変調、ぼけ効果に対応する変調、フレア光に対応する変調、露光ドーズ量に対応する変調などに関するモデルを必要に応じて追加することも可能である。
また、結像光学系(例えば露光装置における投影光学系)のNA(開口数)に対応する変調、結像光学系に対するデフォーカス(例えば露光装置における投影光学系の結像面に対するレジスト面のデフォーカス)に対応する変調、球面収差に対応する変調などに関するモデルを必要に応じて追加することも可能である。さらに、これらの変調モデルの複合によって、さらに現実的な瞳輝度分布に関する変調作用を表現することが可能になる。
一例として、元の瞳輝度分布Ψo(x,y)と変調された瞳輝度分布Ψm(x,y)との関係を、次の式(6)に示すようにモデル化することができる。式(6)において、PSFはぼけ効果を表す関数(例えばガウス関数)であり、Fは瞳面の全体に亘って均一に作用する照明フレア成分であり、「*」はコンボリューションを表している。
Ψm(x,y)=T(x,y)[Ψo{x+Dx(x,y),y+Dy(x,y)}
*PSF]+F (6)
瞳輝度分布に応じて得られる結像特性の指標として、OPE(光近接効果:Optical proximity effect)が知られている。具体的に、露光装置におけるOPE値は、例えば感光性基板に形成されたレジストパターンの線幅である。この場合、OPE値は、投影光学系の結像面の位置に依存した分布すなわち二次元分布になる。ただし、投影光学系の結像面において互いに直交する二方向に関するレジストパターンの線幅が重要な意味を持つ傾向があるため、H方向(例えば全体座標系におけるX方向)に沿ったOPE値の一次元分布およびV方向(例えば全体座標系におけるY方向)に沿ったOPE値の一次元分布をOPE値の情報として扱うことができる。
瞳輝度分布の最適化において着目すべき物理量は、次の式(7)に示すように、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)により達成すべき所望の目標OPE値であるOPEdと、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)をターゲットとして照明瞳に形成された実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)により得られる、あるいは、実際の輝度分布Ψr(x,y)の状態で露光により得られるOPE値であるOPErとの差、すなわちOPE誤差Δである。式(1)を参照すると、OPE誤差Δは、次の式(8)で表される物理量Ψd(x,y),Q1,Q2,・・・,Qiに依存した関数であるものと解釈することができる。
Δ≡OPEr−OPEd (7)
Δ=Δ[Ψd(x,y),Q1,Q2,・・・,Qi] (8)
つまり、照明瞳に形成しようと企図した設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)からの微小変化を決める複数の変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiに依存して、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応したOPErが設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOPEdから微小変化することになる。一般的には、上記変調パラメータQ1,Q2,・・・,QiとOPE誤差Δとの関係は、複雑な非線形になる。ただし、パラメータQiが微小量だけ有限の値を持ったときのOPE誤差Δの0からの微小変化を考える場合、パラメータQiとOPE誤差Δとの関係を近似的に線形的な変化関係として取り扱うことができる。
本実施形態では、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)からの微小変化を決める複数の変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiについて、単独のパラメータの微小変調によってそれぞれ惹き起こされるOPE誤差Δの変化を調べる。換言すれば、変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiの微小変化に応じたOPEd(設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOPE値)の変化(変化率)をパラメータ毎に求める。具体的に、変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiの微小変化に応じたOPEdのパラメータ毎の変化は、変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiが0の近傍にあるときのOPE誤差Δの変化として、次の式(9)で表される。
∂Δ/∂Q1,∂Δ/∂Q2,・・・,∂Δ/∂Qi (9)
このように予め求められたOPEdのパラメータ毎の変化∂Δ/∂Q1,∂Δ/∂Q2,・・・,∂Δ/∂Qiに関する情報は、例えば変化表として記憶され且つ管理される。すなわち変化表を構成するOPEdの変化は、一連の変調パラメータを対象としてパラメータ毎の計算により予め準備される。次いで、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応したOPErと設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOPEdとのOPE誤差Δを、パラメータ毎の変化を用いた関数で近似する。
具体的に、パラメータ毎の変化を用いたOPE誤差Δの近似に際して、次の式(10)に示すように、複数のパラメータ毎の変化を線形結合した関数を用いることができる。つまり、式(9)に示す複数のパラメータ毎の変化の線形結合によりOPE誤差Δを近似的に表すことができるように、例えば最小二乗法によるフィッティングを行う。式(10)において、C1,C2,・・・,Ciは、結果的にフィッティングされた時の変化の係数である。
Δ≒C1(∂Δ/∂Q1)+C2(∂Δ/∂Q2
+・・・+Ci(∂Δ/∂Qi) (10)
式(10)に示す関数近似により得られた係数C1,C2,・・・,Ciは、実際の瞳輝度分布Ψrが設計上の瞳輝度分布Ψdからどの程度変化しているかを表す、あるいは、露光で得られたOPErが目標のOPEdからどの程度変化しているかを輝度分布変化で表す物理量である。したがって、式(10)に示す関数が表す変調作用に対応する変調作用(具体的には関数が表す変調作用と逆の変調作用)を元の瞳輝度分布Ψo(後述するように最初の最適化ステップでは設計上の瞳輝度分布Ψdに対応)に及ぼす(掛ける)ことにより、OPE誤差Δが小さくなるように変調された瞳輝度分布Ψmが求められる。
なお、透過率分布に対応する変調パラメータ、ディストーション(瞳輝度分布の変形)に対応する変調パラメータ、ぼけ効果に対応する変調パラメータ、フレア光に対応する変調パラメータなどについては、パラメータとOPE誤差との間に比較的良好な線形関係が得られる範囲がある。したがって、これらの変調パラメータを用いる場合には、それぞれの変化範囲を線形性の比較的良好な範囲に設定することができる。
一方、結像光学系のNAに対応する変調パラメータ、結像光学系に対するデフォーカスに対応する変調パラメータ、球面収差に対応する変調パラメータなどについては、パラメータとOPE誤差との関係は非線形性が比較的高い。したがって、これらの変調パラメータを用いる場合には、複数の異なるNA値、複数の異なるデフォーカス量、複数の異なる球面収差量などについて、他の変調パラメータの微小変化に応じたOPE値の変化をパラメータ毎に求めて、特定のNA値、特定のデフォーカス量、特定の球面収差量などに対する変化表をそれぞれ作成すれば良い。
本実施形態にかかる瞳輝度分布の最適化方法では、結像光学系に照明光を供給する照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を、結像性能の指標であるOPE誤差が十分小さくなるように最適化する。具体的に、本実施形態の最適化方法では、図6のフローチャートに示すように、設計上の瞳輝度分布について、変調パラメータの微小変化に応じたOPE値の変化をパラメータ毎に求める(S11)。上述したように、露光装置の場合には、転写すべきパターンは既知であり、そのパターンの特性に応じた適切な瞳輝度分布が、設計上の瞳輝度分布Ψdとして既に決定されている。
以下、設計上の瞳輝度分布Ψdは、複雑な外形形状および分布を有するものとする。この場合においても、元の瞳輝度分布Ψoと変調された瞳輝度分布Ψmとの関係を例えば式(6)に示すように設定してモデル化し、設計上の瞳輝度分布Ψdに応じた目標OPE値であるOPEdのパラメータ毎の変化に関する情報が変化表として求められる。すなわち、変化表を構成するOPEdのパラメータ毎の変化は、一連の変調パラメータを対象としてパラメータ毎の計算により求められる。変化表を作成する計算に要する時間は比較的長いが、予め準備することができる。
次いで、設計上の瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に形成された瞳輝度分布により得られる、あるいは露光により得られたOPE値を検出する(S12)。具体的に、露光装置の場合には、転写すべきパターンの設置面または投影光学系の結像面を通過した光に基づいて照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布(実際の瞳輝度分布に対応)を計測しつつ、例えば可動マルチミラーのような空間光変調器を制御することにより、設計上の瞳輝度分布Ψdと僅かに異なる瞳輝度分布が照明瞳に形成される。
すなわち、設計上の瞳輝度分布Ψdをターゲットとして照明瞳に形成された実際の瞳輝度分布Ψrも、設計上の瞳輝度分布Ψdと同様に、複雑な外形形状および分布になる。ステップS12では、照明瞳に形成された実際の瞳輝度分布Ψrに基づいてテスト露光を行い、投影光学系の像面に設置された感光性基板に形成されたレジストパターンの線幅を実測し、実測した線幅をOPE値として検出する。あるいは、実際にテスト露光を行わなくても、照明瞳に形成された実際の瞳輝度分布Ψrに基づいて投影光学系の像面に形成されたパターン像の線幅を光学的に計測し、計測した線幅をOPE値として検出しても良い。
次いで、パラメータ毎のOPE値の変化を用いる最適化手法により、ステップS12で検出したOPE値が目標OPE値に近づくように変調された瞳輝度分布を求める(S13)。具体的に、ステップS13では、実際の瞳輝度分布Ψrに応じたOPE値と設計上の瞳輝度分布Ψdに応じたOPE値との差であるOPE誤差Δを、パラメータ毎の変化を用いた関数で近似する。
パラメータ毎の変化を用いたOPE誤差Δの近似に際して、式(10)に示すように複数のパラメータ毎の変化を線形結合した関数を用いることができる。こうして、例えば式(10)に示す関数(パラメータ毎の変化を用いて近似される関数)が表す変調作用に対応する変調作用を元の瞳輝度分布Ψoである設計上の瞳輝度分布Ψdに掛けることにより、OPE誤差Δが小さくなるように変調された瞳輝度分布Ψmが求められる。
すなわち、ステップS13において、式(6)に示す元の瞳輝度分布Ψoは、設計上の瞳輝度分布(一般には基準的な瞳輝度分布)Ψdに対応している。ステップS13において最適化手法により求めた変調された瞳輝度分布Ψmに応じたOPE値を、例えば周知の空間像シミュレーションにより精度良く予測することができる。この予測により得られるOPE値(すなわち変調された瞳輝度分布Ψmに応じたOPE値)は、ステップS12で検出されたOPE値(すなわち実際の瞳輝度分布Ψrに応じたOPE値)よりも目標OPE値に近い値になる。
換言すれば、元の瞳輝度分布Ψoである設計上の瞳輝度分布Ψdをターゲットとして照明瞳に形成される瞳輝度分布に基づいて得られるOPE誤差よりも、変調された瞳輝度分布Ψmをターゲットとして照明瞳に形成される瞳輝度分布に基づいて得られるOPE誤差の方が小さくなる。しかしながら、OPEの変化が変調パラメータに対して非線形に変化する場合、1回の最適化ステップ(上述のステップS13に対応)によりOPE誤差を十分小さくすること、すなわちOPE誤差を許容範囲に収めることは困難である。
図7には、OPE誤差が0となる瞳輝度分布の極値解71が等高線群72の局所的な底部に一致するように描かれた解空間が模式的に示されている。瞳輝度分布の外形形状および分布が複雑で、ひいては解空間(最適化解の空間)が非線形な場合、図8に示すように1回の最適化ステップ73aにより得られる結果が極値解71に十分近づかない。すなわち、1回の最適化ステップ73aでは、所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるような瞳輝度分布を求めることができない。
図7および図8において、参照符号74で示す線は、最適化の経路を表している。参照符号75で示す点は、設計上の瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に形成される瞳輝度分布に基づいて得られるOPE誤差に対応している。参照符号73aで示す矢印は、上述のステップS13に対応する最適化ステップを表している。参照符号73bで示す矢印は、ステップS13で得られた変調された瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に形成される瞳輝度分布に応じたOPE誤差73を予測するステップ(後述するステップS14に対応する)を表している。
ここで、ステップS13の最適化手法により得られた変調された瞳輝度分布について改めて変化表を作成し、変調された瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に形成された瞳輝度分布により得られるOPE値をテスト露光により検出し、検出したOPE値が目標OPE値に近づくようにさらに変調された瞳輝度分布を最適化手法により求める手法も考えられる。すなわち、極値解に十分近い解を求めるために、上述のステップS11〜S13を、変調された瞳輝度分布について必要回数だけ繰り返す手法も考えられる。
しかしながら、変化表を作成するステップS11は、最適化ステップS13に比して多大な時間がかかる。したがって、変調された瞳輝度分布を求める度にステップS11〜S13を必要回数だけ繰り返す手法では、OPE誤差が許容範囲に収まるような瞳輝度分布、すなわち所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるような瞳輝度分布を迅速に求めることができない。
そこで、本実施形態の最適化方法では、ステップS13で求めた変調された瞳輝度分布により得られるOPE値を予測し(S14)、パラメータ毎のOPE値の変化を用いる最適化手法により、ステップS14で予測したOPE値が目標OPE値に近づくように変調された瞳輝度分布を求める(S15)。ステップS14では、ステップS13で求めた変調された瞳輝度分布により、投影光学系の像面に形成されるパターン空間像のシミュレーション結果に基づいてOPE値を予測し、ひいては変調された瞳輝度分布に応じたOPE誤差を予測する。
本実施形態では、複雑な解空間を想定しているので、ステップS14で予測されるOPE値は目標OPE値からある程度乖離しており、図8に示すようにステップS14で予測されるOPE誤差73は許容範囲に収まらないものとする。ステップS15では、ステップS14で予測されるOPE誤差Δを、パラメータ毎の変化を用いた関数で近似する。ただし、ステップS15で用いられる変化表(パラメータ毎の変化に関する情報)は、ステップS13で求めた変調された瞳輝度分布について新たな計算により求める変化表ではなく、ステップS11において設計上の瞳輝度分布について既に求めた変化表である。
ステップS15においても、上述のステップS13の場合と同様に、パラメータ毎の変化を用いたOPE誤差の近似に際して、式(10)に示すように複数のパラメータ毎の変化を線形結合した関数を用いることができる。そして、例えば式(10)に示す関数が表す変調作用に対応する変調作用をステップS13で求めた第1回目の変調された瞳輝度分布Ψm1に掛けることにより、OPE誤差Δが小さくなるように変調された第2回目の瞳輝度分布Ψm2が求められる。すなわち、ステップS15において、式(6)に示す元の瞳輝度分布Ψoは、第1回目の変調された瞳輝度分布Ψm1に対応している。
次いで、ステップS15で求めた変調された瞳輝度分布により得られるOPE値を予測し(S16)、ステップS16で予測したOPE値に対応するOPE誤差が許容範囲に収まっているか否かを判断する(S17)。ステップS17において、ステップS16で予測したOPE誤差が許容範囲に収まっていると判断した場合、図6中のYESで示す矢印にしたがって本実施形態の最適化方法は終了する。
一方、ステップS16で予測したOPE誤差が許容範囲に収まっていないと判断した場合、図6中のNOで示す矢印にしたがってステップS15へ戻る。第2回目のステップS15では、パラメータ毎のOPE値の変化を用いる最適化手法により、ステップS16で予測したOPE値が目標OPE値に近づくように変調された第3回目の瞳輝度分布Ψm3を求める。次いで、第2回目のステップS16では、第2回目のステップS15で求めた第3回目の変調された瞳輝度分布により得られるOPE値を、ひいてはOPE誤差を予測する。
さらに、第2回目のステップS17では、第2回目のステップS16で予測したOPE誤差が許容範囲に収まっているか否かを判断する。このように、ステップS16で予測したOPE誤差が許容範囲に収まるまでステップS15およびS16を所要回数だけ繰り返すことにより、照明瞳に形成すべき瞳輝度分布が最適化され、最終的に変調された瞳輝度分布が最適化された瞳輝度分布として得られる。
ここで、図7,図8を参照すると、参照符号76aで示す矢印は、上述のステップS15に対応する第2回目の最適化ステップに対応している。参照符号76bで示す矢印は、ステップS15で得られた第2回目の変調された瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に形成される瞳輝度分布に応じたOPE誤差76を予測するステップS16に対応している。さらに、参照符号77aで示す矢印はステップS15に対応する第3回目の最適化ステップに対応し、参照符号77bで示す矢印はステップS15で得られた第3回目の変調された瞳輝度分布に応じたOPE誤差77を予測するステップS16に対応している。
第2回目および第3回目の最適化ステップS15では、第1回目の最適化ステップS13と同様に、設計上の瞳輝度分布について予め準備された変化表を共通に用いている。したがって、図8では、第2回目の最適化ステップを表す矢印76aおよび第3回目の最適化ステップを表す矢印77aが、第1回目の最適化ステップを表す矢印73aと平行に描かれている。そして、OPE誤差が許容範囲に収まるまで最適化ステップS15を所要回数だけ繰り返すことにより、瞳輝度分布が最適化され、ひいては極値解71に十分近い最適解78が得られる。
本実施形態にかかる瞳輝度分布の最適化方法では、瞳輝度分布の外形形状および分布が複雑で、ひいては解空間が複雑な場合においても、瞳輝度分布の変調パラメータ毎のOPE値の変化を用いる最適化ステップを所要回数だけ繰り返すことにより、OPE誤差が許容範囲に収まるように変調された瞳輝度分布を確実に求めること、すなわち所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるように瞳輝度分布を確実に最適化することができる。
また、最適化ステップの繰り返しに際して、瞳輝度分布が変調される度に変調された瞳輝度分布について変化表を改めて作成することなく、設計上の瞳輝度分布について予め求めた変化表を共通に用いる。すなわち、瞳輝度分布の変調の度に変化表を作成して多大な時間を費やすことなく、予め準備された変化表を利用した最適化ステップを所要回数だけ繰り返すので、所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるように瞳輝度分布を迅速に最適化することができる。
実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図9は、実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図9において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において図9の紙面に平行な方向に沿ってX軸を、ウェハWの転写面内において図9の紙面に垂直な方向に沿ってY軸をそれぞれ設定している。
図9を参照すると、本実施形態の露光装置には、光源1から露光光(照明光)が供給される。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や、248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。本実施形態の露光装置は、装置の光軸AXに沿って、空間光変調ユニット3を含む照明光学系ILと、マスクMを支持するマスクステージMSと、投影光学系PLと、ウェハWを支持するウェハステージWSとを備えている。
光源1からの光は、照明光学系ILを介してマスクMを照明する。マスクMを透過した光は、投影光学系PLを介して、マスクMのパターンの像をウェハW上に形成する。光源1からの光に基づいてマスクMのパターン面(被照射面)を照明する照明光学系ILは、空間光変調ユニット3の作用により、複数極照明(2極照明、4極照明など)、輪帯照明等の変形照明、通常の円形照明などを行う。また、マスクMのパターンの特性に応じて、複雑な外形形状および分布を有する瞳輝度分布に基づく変形照明を行う。
照明光学系ILは、光軸AXに沿って光源1側から順に、ビーム送光部2と、空間光変調ユニット3と、リレー光学系4と、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)5と、コンデンサー光学系6と、照明視野絞り(マスクブラインド)7と、結像光学系8とを備えている。空間光変調ユニット3は、ビーム送光部2を介した光源1からの光に基づいて、その遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)に所望の光強度分布(瞳輝度分布)を形成する。空間光変調ユニット3の内部構成および作用については後述する。
ビーム送光部2は、光源1からの入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しつつ空間光変調ユニット3へ導くとともに、空間光変調ユニット3に入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。リレー光学系4は、空間光変調ユニット3からの光を集光して、マイクロフライアイレンズ5へ導く。マイクロフライアイレンズ5は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。
マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。マイクロフライアイレンズ5における単位波面分割面としての矩形状の微小屈折面は、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状である。
マイクロフライアイレンズ5は、入射した光束を波面分割して、その後側焦点位置またはその近傍の照明瞳に多数の小光源からなる二次光源(実質的な面光源;瞳輝度分布)を形成する。マイクロフライアイレンズ5の入射面は、リレー光学系4の後側焦点位置またはその近傍に配置されている。なお、マイクロフライアイレンズ5として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることもできる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号明細書に開示されている。
本実施形態では、マイクロフライアイレンズ5により形成される二次光源を光源として、照明光学系ILの被照射面に配置されるマスクMをケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系ILの照明瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。
なお、瞳輝度分布とは、照明光学系ILの照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布である。マイクロフライアイレンズ5による波面分割数が比較的大きい場合、マイクロフライアイレンズ5の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳輝度分布)とが高い相関を示す。このため、マイクロフライアイレンズ5の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳輝度分布と称することができる。
コンデンサー光学系6は、マイクロフライアイレンズ5から射出された光を集光して、照明視野絞り7を重畳的に照明する。照明視野絞り7を通過した光は、結像光学系8を介して、マスクMのパターン形成領域の少なくとも一部に照明視野絞り7の開口部の像である照明領域を形成する。なお、図9では、光軸(ひいては光路)を折り曲げるための光路折曲げミラーの設置を省略しているが、必要に応じて光路折曲げミラーを照明光路中に適宜配置することが可能である。
マスクステージMSにはXY平面(例えば水平面)に沿ってマスクMが載置され、ウェハステージWSにはXY平面に沿ってウェハWが載置される。投影光学系PLは、照明光学系ILによってマスクMのパターン面上に形成される照明領域からの光に基づいて、ウェハWの転写面(露光面)上にマスクMのパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
図10および図11を参照して、空間光変調ユニット3の内部構成および作用を説明する。空間光変調ユニット3は、図10に示すように、プリズム32と、プリズム32のYZ平面に平行な側面32aに近接して配置された空間光変調器30とを備えている。プリズム32は、例えば蛍石または石英のような光学材料により形成されている。
空間光変調器30は、例えばYZ平面に沿って二次元的に配列された複数のミラー要素30aと、複数のミラー要素30aを保持する基盤30bと、基盤30bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素30aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部30cとを備えている。空間光変調器30では、制御部CRからの制御信号に基づいて作動する駆動部30cの作用により、複数のミラー要素30aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素30aがそれぞれ所定の向きに設定される。
プリズム32は、直方体の1つの側面(空間光変調器30の複数のミラー要素30aが近接して配置される側面32aと対向する側面)をV字状に凹んだ側面32bおよび32cと置き換えることにより得られる形態を有し、XZ平面に沿った断面形状に因んでKプリズムとも呼ばれる。プリズム32のV字状に凹んだ側面32bおよび32cは、鈍角をなすように交差する2つの平面P1およびP2によって規定されている。2つの平面P1およびP2はともにXZ平面と直交し、XZ平面に沿ってV字状を呈している。
2つの平面P1とP2との接線(Y方向に延びる直線)P3で接する2つの側面32bおよび32cの内面は、反射面R1およびR2として機能する。すなわち、反射面R1は平面P1上に位置し、反射面R2は平面P2上に位置し、反射面R1とR2とのなす角度は鈍角である。一例として、反射面R1とR2とのなす角度を120度とし、光軸AXに垂直なプリズム32の入射面IPと反射面R1とのなす角度を60度とし、光軸AXに垂直なプリズム32の射出面OPと反射面R2とのなす角度を60度とすることができる。
プリズム32では、空間光変調器30の複数のミラー要素30aが近接して配置される側面32aと光軸AXとが平行であり、且つ反射面R1が光源1側(露光装置の上流側:図10中左側)に、反射面R2がマイクロフライアイレンズ5側(露光装置の下流側:図10中右側)に位置している。さらに詳細には、反射面R1は光軸AXに対して斜設され、反射面R2は接線P3を通り且つXY平面に平行な面に関して反射面R1とは対称的に光軸AXに対して斜設されている。
プリズム32の反射面R1は、入射面IPを介して入射した光を空間光変調器30に向かって反射する。空間光変調器30の複数のミラー要素30aは、反射面R1と反射面R2との間の光路中に配置され、反射面R1を経て入射した光を反射する。プリズム32の反射面R2は、空間光変調器30を経て入射した光を反射し、射出面OPを介してリレー光学系4へ導く。
空間光変調器30は、反射面R1を経て入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を付与して射出する。空間光変調器30は、図11に示すように、所定面内で二次元的に配列された複数の微小なミラー要素(光学要素)30aを備えている。説明および図示を簡単にするために、図10および図11では空間光変調器30が4×4=16個のミラー要素30aを備える構成例を示しているが、実際には16個よりもはるかに多数のミラー要素30aを備えている。
図10を参照すると、光軸AXと平行な方向に沿って空間光変調ユニット3に入射した光線群のうち、光線L1は複数のミラー要素30aのうちのミラー要素SEaに、光線L2はミラー要素SEaとは異なるミラー要素SEbにそれぞれ入射する。同様に、光線L3はミラー要素SEa,SEbとは異なるミラー要素SEcに、光線L4はミラー要素SEa〜SEcとは異なるミラー要素SEdにそれぞれ入射する。ミラー要素SEa〜SEdは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L1〜L4に与える。
空間光変調器30の複数のミラー要素30aの配列面は、リレー光学系4の前側焦点位置またはその近傍に配置されている。空間光変調器30の複数のミラー要素30aによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、リレー光学系4の後側焦点面4aに所定の光強度分布SP1〜SP4を形成する。すなわち、リレー光学系4は、空間光変調器30の複数のミラー要素30aが射出光に与える角度を、空間光変調器30の遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)である面4a上での位置に変換している。
再び図11を参照すると、リレー光学系4の後側焦点面4aの位置にマイクロフライアイレンズ5の入射面が位置決めされている。したがって、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳に形成される瞳輝度分布は、空間光変調器30およびリレー光学系4がマイクロフライアイレンズ5の入射面に形成する光強度分布SP1〜SP4に対応した分布となる。空間光変調器30は、図11に示すように、例えば平面状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小なミラー要素30aを含む可動マルチミラーである。
各ミラー要素30aは可動であり、その反射面の傾き(すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向)は、制御部CRからの指令にしたがって作動する駆動部30cの作用により独立に制御される。各ミラー要素30aは、その配列面に平行で且つ互いに直交する二方向(Y方向およびZ方向)を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素30aの反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
各ミラー要素30aの反射面を離散的に回転させる場合、回転角を複数の状態(例えば、・・・、−2.5度、−2.0度、・・・0度、+0.5度・・・+2.5度、・・・)で切り換え制御するのが良い。図11には外形が正方形状のミラー要素30aを示しているが、ミラー要素30aの外形形状は正方形に限定されない。ただし、光利用効率の観点から、ミラー要素30aの隙間が少なくなるように配列可能な形状(最密充填可能な形状)が好ましい。また、光利用効率の観点から、隣り合う2つのミラー要素30aの間隔を必要最小限に抑えることが好ましい。
空間光変調器30では、制御部CRからの制御信号に応じて作動する駆動部30cの作用により、複数のミラー要素30aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素30aがそれぞれ所定の向きに設定される。空間光変調器30の複数のミラー要素30aによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、リレー光学系4を介して、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳に、複数極状(2極状、4極状など)、輪帯状、円形状等の光強度分布(瞳輝度分布)を形成する。また、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳には、マスクMのパターンの特性に応じて、複雑な外形形状および分布を有する瞳輝度分布が形成される。
すなわち、リレー光学系4およびマイクロフライアイレンズ5は、空間光変調ユニット3中の空間光変調器30を介した光に基づいて、照明光学系ILの照明瞳に所定の光強度分布を形成する分布形成光学系を構成している。マイクロフライアイレンズ5の後側焦点位置またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳位置、すなわち結像光学系8の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASの位置)にも、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳における光強度分布に対応する瞳輝度分布が形成される。
本実施形態の露光装置は、例えばマスクステージMSに取り付けられて、照明光学系ILの照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測する瞳分布計測装置DTを備えている。瞳分布計測装置DTは、図12に示すように、ピンホール部材10と、集光レンズ11と、たとえば二次元CCDイメージセンサのような光検出器12とを有する。ピンホール部材10は、計測に際して、照明光学系ILの被照射面(すなわち露光に際してマスクMのパターン面Pmが位置決めされるべき高さ位置)に配置される。また、ピンホール部材10は集光レンズ11の前側焦点位置に配置され、光検出器12の検出面は集光レンズ11の後側焦点位置に配置されている。
したがって、光検出器12の検出面は、照明光学系ILの照明瞳と光学的に共役な位置、すなわち結像光学系8の瞳面と光学的に共役な位置に配置される。瞳分布計測装置DTでは、照明光学系ILを経た光が、ピンホール部材10のピンホールを通過し、集光レンズ11の集光作用を受けた後、光検出器12の検出面に達する。光検出器12の検出面には、結像光学系8の瞳面における光強度分布(瞳輝度分布)に対応する光強度分布が形成される。
こうして、瞳分布計測装置DTは、照明光学系ILの被照射面を通過した光に基づいて、照明光学系ILの照明瞳(結像光学系8の瞳面)と光学的に共役な面における光強度分布を計測する。具体的に、瞳分布計測装置DTは、照明光学系による被照射面上の各点に関する瞳輝度分布(各点に入射する光が照明光学系の射出瞳位置に形成する瞳輝度分布)をモニターする。
露光装置の動作を統括的に制御する制御部CRは、瞳分布計測装置DTでの計測結果を参照しつつ、照明瞳に所望の瞳輝度分布が形成されるように、空間光変調器30の複数のミラー要素30aを制御する。瞳分布計測装置DTのさらに詳細な構成および作用については、たとえば特開2000−19012号公報を参照することができる。また、瞳分布計測装置DTとし、たとえば米国特許第5925887号公報に開示されるピンホールを介して瞳輝度分布を検出する装置を用いることもできる。
また、瞳分布計測装置DTに代えて、あるいは瞳分布計測装置DTに加えて、投影光学系PLを介した光に基づいて(すなわち投影光学系PLの像面を通過した光に基づいて)、投影光学系PLの瞳面(投影光学系PLの射出瞳面)における瞳輝度分布を計測する瞳分布計測装置DTw(不図示)を設けることもできる。具体的に、瞳分布計測装置DTwは、例えば投影光学系PLの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された光電変換面を有する撮像部を備え、投影光学系PLの像面の各点に関する瞳輝度分布(各点に入射する光が投影光学系PLの瞳位置に形成する瞳輝度分布)をモニターする。これらの瞳分布計測装置の詳細な構成および作用については、例えば米国特許公開第2008/0030707号明細書を参照することができる。また、瞳分布計測装置として、米国特許公開第2010/0020302号公報の開示を参照することもできる。
露光装置では、マスクMのパターンをウェハWに高精度に且つ忠実に転写するために、例えばマスクMのパターン特性に応じた適切な照明条件のもとで露光を行うことが重要である。本実施形態では、複数のミラー要素30aの姿勢がそれぞれ個別に変化する空間光変調器30を備えた空間光変調ユニット3を用いて、空間光変調器30の作用により形成される瞳輝度分布を自在に且つ迅速に変化させ、ひいては多様な照明条件を実現することができる。すなわち、照明光学系ILでは、姿勢が個別に制御される多数のミラー要素30aを有する空間光変調器30を用いているので、照明瞳に形成される瞳輝度分布の外形形状および分布の変更に関する自由度は高い。
しかしながら、前述したように、空間光変調ユニット3を用いて照明瞳に形成される瞳輝度分布は設計上の瞳輝度分布とは僅かに異なるものとなり、設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能を達成することは困難である。本実施形態の露光装置では、所望の結像性能に十分近い結像性能が得られるように、本実施形態にかかる瞳輝度分布の最適化方法を用いて照明光学系ILの照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を最適化し、最適化された瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整し、ひいては照明光学系ILを調整する。
図13は、本実施形態にかかる照明光学系の調整方法のフローチャートである。本実施形態にかかる照明光学系ILの調整方法では、図6を参照して説明した瞳輝度分布の最適化方法を用いて、照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を最適化する(S21)。すなわち、ステップS21は、図6のステップS11〜S17に対応するステップS211〜S217を有する。
具体的に、図6のステップS12に対応するステップS212では、設計上の瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に瞳輝度分布を形成する際に、マスクステージMSに取り付けられた瞳分布計測装置DTを用いて、照明光学系IL中の照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を随時計測する。瞳分布計測装置DTの計測結果は、制御部CRへ供給される。制御部CRは、瞳分布計測装置DTの計測結果を参照しつつ空間光変調器30の複数のミラー要素30aの姿勢をそれぞれ制御することにより、設計上の瞳輝度分布にできるだけ近い瞳輝度分布を照明瞳に形成する。
そして、設計上の瞳輝度分布と僅かに異なる実際の瞳輝度分布に基づいてテスト露光を行い、投影光学系PLの像面に設置されたウェハWに形成されたレジストパターンの線幅を実測し、実測した線幅をOPE値として検出する。あるいは、照明瞳に形成された実際の瞳輝度分布に基づいて投影光学系PLの像面に形成されたパターン像の線幅を光学的に計測し、計測した線幅をOPE値として検出する。本実施形態の露光装置では、例えば所定のプログラムにしたがって、情報処理装置としての制御部CRに、ステップS211〜S217を含む瞳輝度分布の最適化方法を実行させても良い。
次いで、本実施形態にかかる照明光学系ILの調整方法では、最適化された瞳輝度分布をターゲットとして照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する(S22)。具体的に、ステップS22では、瞳分布計測装置DTの計測結果を参照しつつ空間光変調器30の複数のミラー要素30aの姿勢をそれぞれ制御することにより、ステップS21で最適化された瞳輝度分布にできるだけ近い瞳輝度分布を照明瞳に形成し、ひいては照明光学系ILの照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する。
換言すると、ステップS22では、設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能をターゲットに、照明光学系ILの照明瞳に形成される瞳輝度分布が適切に調整される。なお、ステップS22の後に、必要に応じて、最適化された瞳輝度分布に基づいてテスト露光を行い、投影光学系PLの像面に設置されたウェハWに形成されたレジストパターンの線幅を実測することにより、OPE誤差が許容範囲に収まっていることを確認しても良い。
以上のように、本実施形態にかかる照明光学系ILの調整方法では、瞳輝度分布を確実に且つ迅速に最適化する最適化方法を用いて、所望の結像性能をターゲットに瞳輝度分布を適切に調整することができる。その結果、本実施形態の露光装置(IL,MS,PL,WS)では、所望の結像性能をターゲットに瞳輝度分布を適切に調整する照明光学系ILを用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことにより、性能の良好なデバイスを製造することができる。
なお、上述の実施形態では、瞳分布計測装置DTが、照明光学系ILの被照射面(マスクMのパターン面の位置)を通過した光に基づいて、照明光学系ILの照明瞳(結像光学系8の瞳面)と光学的に共役な面における光強度分布を計測している。しかしながら、これに限定されることなく、照明光学系ILの被照射面へ向かう光に基づいて照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することもできる。一例として、マイクロフライアイレンズ5とコンデンサー光学系6との間の光路中から照明光の一部を取り出し、取り出した光をマイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳と光学的に共役な面で検出することにより、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳における瞳輝度分布に対応する光強度分布を計測する。
また、上述の実施形態では、空間光変調器30の複数のミラー要素30aの配列面に対向した光学面を有するプリズム部材として、1つの光学ブロックで一体的に形成されたKプリズム32を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、一対のプリズムにより、Kプリズム32と同様の機能を有するプリズム部材を構成することができる。また、1つの平行平面板と一対の三角プリズムとにより、Kプリズム32と同様の機能を有するプリズム部材を構成することができる。また、1つの平行平面板と一対の平面ミラーとにより、Kプリズム32と同様の機能を有する組立て光学部材を構成することができる。
本実施形態では、空間光変調器30として、たとえば二次元的に配列された複数のミラー要素30aの向きを連続的にそれぞれ変化させる空間光変調器を用いている。このような空間光変調器として、たとえば欧州特許公開第779530号公報、米国特許第5,867,302号公報、米国特許第6,480,320号公報、米国特許第6,600,591号公報、米国特許第6,733,144号公報、米国特許第6,900,915号公報、米国特許第7,095,546号公報、米国特許第7,295,726号公報、米国特許第7,424,330号公報、米国特許第7,567,375号公報、米国特許公開第2008/0309901号公報、米国特許公開第2011/0181852号公報、米国特許公開第2011/188017号公報並びに特開2006−113437号公報に開示される空間光変調器を用いることができる。なお、二次元的に配列された複数のミラー要素5aの向きを離散的に複数の段階を持つように制御してもよい。
上述の実施形態では、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する空間光変調器として、二次元的に配列された複数の反射面の向き(角度:傾き)を個別に制御可能な空間光変調器を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば二次元的に配列された複数の反射面の高さ(位置)を個別に制御可能な空間光変調器を用いることもできる。このような空間光変調器としては、たとえば米国特許第5,312,513号公報、並びに米国特許第6,885,493号公報の図1dに開示される空間光変調器を用いることができる。これらの空間光変調器では、二次元的な高さ分布を形成することで回折面と同様の作用を入射光に与えることができる。なお、上述した二次元的に配列された複数の反射面を持つ空間光変調器を、たとえば米国特許第6,891,655号公報や、米国特許公開第2005/0095749号公報の開示に従って変形しても良い。
また、上述の実施形態では、照明光学系ILの照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する瞳調整装置として、所定面内に配列されて個別に制御可能な複数のミラー要素30aを有する反射型の空間光変調器30を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、所定面内に配列されて個別に制御される複数の透過光学要素を備えた透過型の空間光変調器を用いることもできる。
また、上述の実施形態では、露光装置に搭載された照明光学系を調整する方法、すなわち単体の露光装置の調整方法に対して本発明を適用している。この場合、最適化方法における基準的な瞳輝度分布は設計上の瞳輝度分布であり、目標OPE値は設計上の瞳輝度分布により達成すべきOPE値である。すなわち、変化表の作成の対象になる基準的な瞳輝度分布は設計上の瞳輝度分布であり、最初の最適化ステップにおいて変調の対象になる元の瞳輝度分布も設計上の瞳輝度分布である。
しかしながら、これに限定されることなく、別の露光装置(マザー号機)とのマッチングを目的とした調整方法、すなわち異なる2つの露光装置の間で発生する解像線幅のばらつきを小さく抑えるための調整方法に対して、本発明を適用することができる。この場合、最適化方法における基準的な瞳輝度分布はマザー号機で用いられている瞳輝度分布であり、目標OPE値はマザー号機で用いられている瞳輝度分布により得られているOPE値である。すなわち、変化表の作成の対象になる基準的な瞳輝度分布はマザー号機の瞳輝度分布であり、最初の最適化ステップにおいて変調の対象になる元の瞳輝度分布もマザー号機の瞳輝度分布である。
なお、上述した瞳輝度分布の最適化方法において、「基準的な瞳輝度分布」は「基準状態」であり、「瞳輝度分布の変調量」は「調整量」であり、「OPE値」は「像の形成状態」であり、照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を調整する手段は「調整装置」であるものと解釈することもできる。この場合、「第1面に配置されるパターンの像を第2面上に形成する結像光学系に照明光を供給する照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳輝度分布を最適化する方法」を、「第1面に配置されるパターンに照明光を供給する照明光学系と該パターンの像を第2面上に形成する結像光学系と組合せられる調整装置であって、第2面上での像の形成状態を調整する調整装置で用いられる調整量を算出する方法」として捉えることもできる。
上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置を用いれば、パターン面が縦置きでも同期精度に及ぼす影響を最低限にできる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば特開2004−304135号公報、国際特許公開第2006/080285号パンフレットおよびこれに対応する米国特許公開第2007/0296936号公報に開示されている。また、DMDのような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。ここでは、米国特許公開第2007/0296936号公報の教示を参照として援用する。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図14は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図14に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板としてパターンの転写を行う。
図13は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図13に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なパルスレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源、波長146nmのレーザ光を供給するKr2レーザ光源、波長126nmのレーザ光を供給するAr2レーザ光源などを用いることができる。また、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどのCW(Continuous Wave)光源を用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開第WO99/49504号パンプレットに開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。ここでは、国際公開第WO99/49504号パンフレット、特開平6−124873号公報および特開平10−303114号公報の教示を参照として援用する。
また、上述の実施形態において、米国公開公報第2006/0170901号及び第2007/0146676号に開示されるいわゆる偏光照明方法を適用することも可能である。ここでは、米国特許公開第2006/0170901号公報及び米国特許公開第2007/0146676号公報の教示を参照として援用する。
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスクを照明する照明光学系に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、一般に、第1面に配置される物体の像を第2面上に形成する結像光学系に照明光を供給するための照明光学系に対して本発明を適用することができる。
1 光源
2 ビーム送光部
3 空間光変調ユニット
30 空間光変調器
30a ミラー要素
30c 駆動部
32 Kプリズム
4 リレー光学系
5 マイクロフライアイレンズ
6 コンデンサー光学系
7 照明視野絞り(マスクブラインド)
8 結像光学系
IL 照明光学系
CR 制御部
DT 瞳分布計測装置
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ

Claims (33)

  1. 第1面に配置されるパターンの像を第2面上に形成する結像光学系に照明光を供給する照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳強度分布を調整する方法であって、
    基準的な瞳強度分布について、変調パラメータの微小変化に応じたOPE値の変化をパラメータ毎に求めることと、
    前記基準的な瞳強度分布により得られるOPE値を得ることと、
    前記パラメータ毎のOPE値の変化を用いる調整手法により、前記得られたOPE値が目標OPE値に近づくように変調された第1の瞳強度分布を求めることと、
    前記第1の瞳強度分布により得られるOPE値を予測することと、
    前記パラメータ毎のOPE値の前記変化を用いる調整手法により、前記予測したOPE値が前記目標OPE値に近づくように変調された第2の瞳強度分布を求めることと、を含む、瞳強度分布の調整方法。
  2. 前記第2の瞳強度分布により得られるOPE値を予測することを含み、
    前記予測したOPE値と前記目標OPE値との差が許容範囲に収まるまで、前記変調された第2の瞳強度分布を求めること、および前記第2の瞳強度分布により得られるOPE値を予測することを繰り返すことにより、前記照明瞳に形成すべき瞳強度分布を最適化する、請求項1に記載の調整方法
  3. 前記第1の瞳強度分布を求めることは、前記得られたOPE値と前記目標OPE値との差を前記パラメータ毎の変化を用いた関数で近似することを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の調整方法
  4. 前記第2の瞳強度分布を求めることは、前記予測したOPE値と前記目標OPE値との差を前記パラメータ毎の変化を用いた関数で近似することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調整方法
  5. 前記関数として、複数の前記パラメータ毎の変化を線形結合した関数を用いることを特徴とする請求項3または4に記載の調整方法
  6. 前記第1の瞳強度分布を求めることは、前記パラメータ毎の変化を用いて近似される関数が表す変調作用に対応する変調作用を前記基準的な瞳強度分布に及ぼして前記変調された瞳強度分布を求めることを含むことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の調整方法。
  7. 前記第2の瞳強度分布を求めることは、前記パラメータ毎の変化を用いて近似される関数が表す変調作用に対応する変調作用を前回の変調された瞳強度分布に及ぼして今回の変調された瞳強度分布を求めることを含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の調整方法
  8. 前記基準的な瞳強度分布により得られるOPE値を得ることは、前記基準的な瞳強度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成された瞳強度分布のもとで、前記第1面に配置される所定のパターンの像を前記第2面に設定された感光性基板に露光し、露光された結果から前記OPE値を得ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の調整方法
  9. 前記基準的な瞳強度分布により得られるOPE値を得ることは、前記第2面に設定された感光性基板に形成されたレジストパターンの線幅を実測し、実測した線幅を前記OPE値として検出することを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の調整方法
  10. 前記基準的な瞳強度分布により得られるOPE値を得ることは、前記第2面に形成されたパターン像の線幅を光学的に計測し、計測した線幅を前記OPE値として検出することを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の調整方法
  11. 前記第1の瞳強度分布により得られるOPE値を予測することは、前記第1の瞳強度分布により前記第2面に形成されるパターン空間像のシミュレーション結果に基づいて前記OPE値を予測することを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の調整方法
  12. 前記第2の瞳強度分布により得られるOPE値を予測することは、前記第2の瞳強度分布により前記第2面に形成されるパターン空間像のシミュレーション結果に基づいて前記OPE値を予測することを含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の調整方法
  13. 前記変調パラメータとして、透過率分布に対応する変調パラメータを用いることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の調整方法
  14. 前記変調パラメータとして、収差に対応する変調パラメータを用いることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の調整方法
  15. 前記収差に対応する変調パラメータとして、瞳強度分布の変形に対応する変調パラメータを用いることを特徴とする請求項14に記載の調整方法
  16. 前記変調パラメータとして、ぼけ効果に対応する変調パラメータを用いることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の調整方法
  17. 前記変調パラメータとして、フレア光に対応する変調パラメータを用いることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の調整方法
  18. 前記変調パラメータの変化範囲がパラメータ毎に設定されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の調整方法
  19. 前記変調パラメータとして、前記結像光学系のNAに対応する変調パラメータ、前記結像光学系に対する前記第2面のデフォーカスに対応する変調パラメータ、または球面収差に対応する変調パラメータを含むことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の調整方法
  20. 複数のNA値、複数のデフォーカス量、または複数の球面収差量について、他の変調パラメータの微小変化に応じたOPE値の変化をパラメータ毎に求めることを特徴とする請求項19に記載の調整方法
  21. 前記基準的な瞳強度分布を前記照明瞳に形成する際に、前記第1面または前記第2面を通過した光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の調整方法
  22. 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系の調整方法において、
    請求項1乃至21のいずれか1項に記載の調整方法を用いて、前記照明光学系の照明瞳に形成すべき瞳強度分布を調整することと、
    前記調整された瞳強度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成される瞳強度分布を調整することとを含むことを特徴とする調整方法。
  23. 前記調整された瞳強度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成される瞳強度分布を調整する際に、前記被照射面を通過した光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項21に記載の調整方法
  24. 前記照明光学系の前記照明瞳に瞳強度分布を形成するための空間光変調器を制御することによって、前記調整された瞳強度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成される瞳強度分布を調整することを特徴とする請求項22または23に記載の調整方法
  25. 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
    前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳強度分布を計測する瞳分布計測装置と、
    前記照明瞳に形成される瞳強度分布を調整する瞳調整装置と、
    請求項1乃至21のいずれか1項に記載の調整方法を用いて調整された瞳強度分布をターゲットとして前記照明瞳に形成される瞳強度分布を調整するために前記瞳調整装置を制御する制御部とを備えることを特徴とする照明光学系。
  26. 前記瞳分布計測装置は、前記被照射面を通過した光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項25に記載の照明光学系。
  27. 前記瞳分布計測装置は、前記被照射面へ向かう光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項25に記載の照明光学系。
  28. 前記瞳調整装置は、所定面に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有し、前記照明瞳に瞳強度分布を可変的に形成する空間光変調器を備え、
    前記制御部は、前記空間光変調器の前記複数の光学要素を制御することを特徴とする請求項25乃至27のいずれか1項に記載の照明光学系。
  29. 所定のパターンを照明するための請求項25乃至28のいずれか1項に記載の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置。
  30. 前記所定のパターンの像を前記感光性基板上に形成する投影光学系を備え、前記照明瞳は前記投影光学系の開口絞りと光学的に共役な位置であることを特徴とする請求項29に記載の露光装置。
  31. 前記基準的な瞳強度分布は設計上の瞳強度分布であり、前記目標OPE値は前記設計上の瞳強度分布により達成すべきOPE値であることを特徴とする請求項30に記載の露光装置。
  32. 前記基準的な瞳強度分布は別の露光装置で用いられている瞳強度分布であり、前記目標OPE値は前記別の露光装置において前記基準的な瞳強度分布により得られているOPE値であることを特徴とする請求項30に記載の露光装置。
  33. 請求項29乃至32のいずれか1項に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
    前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
    前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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