JP2011216796A - 瞳輝度分布の評価方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価する。
【解決手段】 結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を評価する方法は、所定の瞳輝度分布に対応した結像光学系の光学伝達関数である第1の光学伝達関数を算出すること(S11)と、瞳輝度分布の変調パラメータの微小変化に応じた第1の光学伝達関数の変化をパラメータ毎に求めること(S12)と、計測された瞳輝度分布に対応した結像光学系の光学伝達関数である第2の光学伝達関数を算出すること(S13)と、第1の光学伝達関数と第2の光学伝達関数との差を、パラメータ毎の変化を用いた関数で近似すること(S14)とを含む。
【選択図】 図6
【解決手段】 結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を評価する方法は、所定の瞳輝度分布に対応した結像光学系の光学伝達関数である第1の光学伝達関数を算出すること(S11)と、瞳輝度分布の変調パラメータの微小変化に応じた第1の光学伝達関数の変化をパラメータ毎に求めること(S12)と、計測された瞳輝度分布に対応した結像光学系の光学伝達関数である第2の光学伝達関数を算出すること(S13)と、第1の光学伝達関数と第2の光学伝達関数との差を、パラメータ毎の変化を用いた関数で近似すること(S14)とを含む。
【選択図】 図6
Description
本発明は、瞳輝度分布の評価方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、並びにデバイス製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置の照明瞳に形成される瞳輝度分布の評価に関する。
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源(一般には照明瞳における所定の光強度分布)を形成する。以下、照明瞳での光強度分布を、「瞳輝度分布」という。照明瞳とは、照明瞳と被照射面(露光装置の場合にはマスクまたはウェハ)との間の光学系の作用によって、被照射面が照明瞳のフーリエ変換面となるような位置として定義される。
二次光源からの光は、コンデンサー光学系により集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクを透過した光は投影光学系を介してウェハ上に結像し、ウェハ上にはマスクパターンが投影露光(転写)される。マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
従来、ズーム光学系を用いることなく瞳輝度分布(ひいては照明条件)を連続的に変更することのできる照明光学系が提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に開示された照明光学系では、アレイ状に配列され且つ傾斜角および傾斜方向が個別に駆動制御される多数の微小なミラー要素により構成された可動マルチミラーを用いて、入射光束を反射面毎の微小単位に分割して偏向させることにより、光束の断面を所望の形状または所望の大きさに変換し、ひいては所望の瞳輝度分布を実現している。
特許文献1に記載された照明光学系では、姿勢が個別に制御される多数のミラー要素を有する空間光変調器を用いているので、瞳輝度分布の形状および大きさの変更に関する自由度は高い。ただし、実際に照明瞳に形成される瞳輝度分布は、設計上の瞳輝度分布とは異なり、複雑な外形形状および分布を有することが多い。また、設計上の瞳輝度分布そのものが複雑な外形形状および分布を有する場合もあり、その場合には実際の瞳輝度分布はさらに複雑な外形形状および分布を有することになる。
そこで、実際の瞳輝度分布に応じた結像性能を設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能に近づけるために、結像性能に着目して設計上の瞳輝度分布と実際の瞳輝度分布との差を指標評価することが望まれる。この種の瞳輝度分布の評価ができない場合、所望の結像性能をターゲットに実際の瞳輝度分布を適切に調整すること(すなわち照明条件を適切に調整すること)が困難になる。また、異なる2つの露光装置の間で発生する解像線幅のばらつきを小さく抑えることが困難になる。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価することのできる評価方法を提供することを目的とする。また、本発明は、瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価する評価方法を用いて、所望の結像性能をターゲットに実際の瞳輝度分布を適切に調整することのできる照明光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、実際の瞳輝度分布を適切に調整する照明光学系を用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、第1面に配置される物体の像を第2面上に形成する結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を評価する方法であって、
所定の瞳輝度分布に対応した前記結像光学系の光学伝達関数である第1の光学伝達関数を算出することと、
少なくとも1つの瞳輝度分布の変調パラメータの微小変化に応じた前記第1の光学伝達関数の変化をパラメータ毎に求めることと、
計測された瞳輝度分布に対応した前記結像光学系の光学伝達関数である第2の光学伝達関数を算出することと、
前記第1の光学伝達関数と前記第2の光学伝達関数との差を、前記パラメータ毎の変化を用いた関数で近似することとを含むことを特徴とする評価方法を提供する。
所定の瞳輝度分布に対応した前記結像光学系の光学伝達関数である第1の光学伝達関数を算出することと、
少なくとも1つの瞳輝度分布の変調パラメータの微小変化に応じた前記第1の光学伝達関数の変化をパラメータ毎に求めることと、
計測された瞳輝度分布に対応した前記結像光学系の光学伝達関数である第2の光学伝達関数を算出することと、
前記第1の光学伝達関数と前記第2の光学伝達関数との差を、前記パラメータ毎の変化を用いた関数で近似することとを含むことを特徴とする評価方法を提供する。
本発明の第2形態では、第1形態の評価方法を処理装置に実行させるプログラムを提供する。
本発明の第3形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系の調整方法において、
前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測することと、
第1形態の評価方法を用いて前記瞳輝度分布を評価することと、
前記評価の結果に基づいて前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整することとを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測することと、
第1形態の評価方法を用いて前記瞳輝度分布を評価することと、
前記評価の結果に基づいて前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整することとを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第4形態では、第3形態の調整方法により調整されたことを特徴とする照明光学系を提供する。
本発明の第5形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測する瞳計測装置と、
前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する瞳調整装置と、
第1形態の評価方法を用いて前記瞳輝度分布を評価し、該評価の結果に基づいて前記瞳調整装置を制御する制御部とを備えることを特徴とする照明光学系を提供する。
前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測する瞳計測装置と、
前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する瞳調整装置と、
第1形態の評価方法を用いて前記瞳輝度分布を評価し、該評価の結果に基づいて前記瞳調整装置を制御する制御部とを備えることを特徴とする照明光学系を提供する。
本発明の第6形態では、所定のパターンを照明するための第4形態または第5形態の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第7形態では、第6形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
本発明の第8形態では、第1パターンを照明する第1照明光学系を備え、前記第1パターンを感光性基板に露光する第1露光装置と、第2パターンを照明する第2照明光学系を備え、前記第2パターンを前記感光性基板に露光する第2露光装置とを備える露光システムの調整方法であって、
前記第1照明光学系および第2照明光学系のうちの少なくとも一方を、第3形態の調整方法にしたがって調整することを特徴とする調整方法を提供する。
前記第1照明光学系および第2照明光学系のうちの少なくとも一方を、第3形態の調整方法にしたがって調整することを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の一態様にしたがう瞳輝度分布の評価方法では、所定の瞳輝度分布に対応する第1の光学伝達関数と、計測された瞳輝度分布に対応する第2の光学伝達関数との差を、所要数の変調パラメータの微小変化に応じた第1の光学伝達関数のパラメータ毎の変化を用いた関数、例えば複数のパラメータ毎の変化を線形結合した関数で近似する。この関数近似により得られた係数は、計測された実際の瞳輝度分布の特徴を現す指標であって、実際の瞳輝度分布が所定の瞳輝度分布からどの程度変化しているかを表している。
すなわち、本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法では、結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価することができる。本発明の照明光学系では、瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価する評価方法を用いて、所望の結像性能をターゲットに実際の瞳輝度分布を適切に調整することができる。本発明の露光装置では、実際の瞳輝度分布を適切に調整する照明光学系を用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
本発明の具体的な実施形態の説明に先立って、本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法の基本的な考え方を説明する。露光装置において照明瞳に実際に形成された瞳輝度分布は、瞳面内の座標x,yの関数Ψr(x,y)を用いて表される。一般に、照明瞳に形成された実際の瞳輝度分布は、照明瞳に形成しようと企図した設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)とは異なる分布になる。その理由として、例えば、光学系の透過率分布や収差などの影響が考えられる。従って、設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能をターゲットに実際の瞳輝度分布を調整するには、実際の瞳輝度分布と設計上の瞳輝度分布との差を結像性能に着目して指標評価することが必要になる。
円形照明や輪帯照明を行う従来技術では、僅かな幾何学的パラメータ(半径、輪帯比など)を用いて設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)を表現することができた。このため、実際の瞳輝度分布から算出されるOTF(光学伝達関数)分布を参照し、結像性能に関して実際の瞳輝度分布と等価である実効的な瞳輝度分布を指標評価すること、すなわち半径や輪帯比のような指標を用いて瞳輝度分布を評価することが容易であった。しかしながら、最近では、設計上の瞳輝度分布そのものが複雑な外形形状および分布を有する場合があり、その場合には実際の瞳輝度分布はさらに複雑な外形形状および分布を有するため、僅かな幾何学的パラメータのような指標を用いて瞳輝度分布を評価することができない。
まず、本発明では、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)と実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)との関係を、後述する数種類の変調作用による複合作用情報と、各変調作用を表現するパラメータ群(透過率の濃度や分布の種類など)とを用いて具体化する。一般に、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)と実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)との間に、次の式(1)に示す関係が成立する。式(1)において、Q[ ]は何らかの現実的なモデルを反映させた変調操作であり、Q1,Q2,・・・,Qiは複数の変調因子(瞳輝度分布の変調パラメータ)である。
Ψr(x,y)≒Q[Ψd(x,y),Q1,Q2,・・・,Qi] (1)
Ψr(x,y)≒Q[Ψd(x,y),Q1,Q2,・・・,Qi] (1)
この変調操作と変調因子とに関するモデルの一例として、光学系による代表的な分布変調作用、すなわち透過率変調の作用およびディストーション変調の作用が考えられる。透過率変調(透過率分布に起因する変調)の場合、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)と実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)との関係は、次の式(2)に示すように表される。
Ψr(x,y)=T(x,y)Ψd(x,y) (2)
ここで、T(x,y)≡exp[ΣQi×fi(x,y)]
Ψr(x,y)=T(x,y)Ψd(x,y) (2)
ここで、T(x,y)≡exp[ΣQi×fi(x,y)]
式(2)において、T(x,y)は正味の透過率分布関数を意味し、fi(x,y)はフリンジツェルニケ多項式を意味している。また、式(2)において、Σは、1〜iまでの総和記号である。透過率変調が全くない場合、フリンジツェルニケ多項式fi(x,y)の各次数の展開係数Qiは0であり、透過率分布関数T(x,y)は1になる。
ディストーション変調(瞳輝度分布の変形に起因する変調)の場合、変調後の瞳座標値x’,y’は、変調前の瞳座標値x,y、および関数gx,gyを用いて、次の式(3a),(3b)のように表される。
x’≡x+gx(x,y) (3a)
y’≡y+gy(x,y) (3b)
x’≡x+gx(x,y) (3a)
y’≡y+gy(x,y) (3b)
式(3a),(3b)は、変調前の瞳面内の光線の各位置(x,y)(数値計算的には各ピクセルに相当)が、関数gx,gyに基づいて規定される各位置(x’,y’)へ微小移動するという操作を意味している。これによって、例えば糸巻き型や樽型に代表されるディストーション作用(分布の歪み、変形)に基づく瞳輝度分布の変調作用が結果的に生じる。ディストーション変調作用についても、フリンジツェルニケ多項式fi(x,y)を用いた表現によって具体的な定義が可能である。
例えば、4次のディストーション多項式(Dist-4)のみの変調作用がある場合、関数gxおよびgyは、次の式(4a)および(4b)のように表される。
gx(x,y)=Q4×{f2(x,y)} (4a)
gy(x,y)=Q4×{−f3(x,y)} (4b)
gx(x,y)=Q4×{f2(x,y)} (4a)
gy(x,y)=Q4×{−f3(x,y)} (4b)
ここで、Q4は、ディストーション多項式の4次の展開係数に相当し、この数値Q4の大小で4次のディストーション作用の大きさが決まる。次の表(1)に、1次のディストーション多項式(Dist-1)〜55次のディストーション多項式(Dist-55)を示す。表(1)において、Fiはfi(x,y)を意味している。また、表(1)において、DXは瞳面座標xを対象に変調を掛けるということを意味する単位ベクトルであり、DYは瞳面座標yを対象に変調を掛けるということを意味する単位ベクトルである。
表(1)
Dist-1 F1*DX
Dist-2 F1*DY
Dist-3 F2*DX+F3*DY
Dist-4 F2*DX−F3*DY
Dist-5 F3*DX+F2*DY
Dist-6 F4*DX
Dist-7 F4*DY
Dist-8 F5*DX+F6*DY
Dist-9 F6*DX−F5*DY
Dist-10 F5*DX−F6*DY
Dist-11 F6*DX+F5*DY
Dist-12 F7*DX+F8*DY
Dist-13 F7*DX−F8*DY
Dist-14 F8*DX+F7*DY
Dist-15 F10*DX+F11*DY
Dist-16 F11*DX−F10*DY
Dist-17 F10*DX−F11*DY
Dist-18 F11*DX+F10*DY
Dist-19 F9*DX
Dist-20 F9*DY
Dist-21 F12*DX+F13*DY
Dist-22 F13*DX−F12*DY
Dist-23 F12*DX−F13*DY
Dist-24 F13*DX+F12*DY
Dist-25 F17*DX+F18*DY
Dist-26 F18*DX−F17*DY
Dist-27 FI7*DX−F18*DY
Dist-28 F18*DX+F17*DY
Dist-29 F14*DX+F15*DY
Dist-30 F14*DX−F15*DY
Dist-31 F15*DX+F14*DY
Dist-32 F19*DX+F20*DY
Dist-33 F20*DX−F19*DY
Dist-34 F19*DX−F20*DY
Dist-35 F20*DX+F19*DY
Dist-36 F26*DX+F27*DY
Dist-37 F27*DX−F26*DY
Dist-38 F16*DX
Dist-39 F16*DY
Dist-40 F21*DX+F22*DY
Dist-41 F22*DX−F21*DY
Dist-42 F21*DX−F22*DY
Dist-43 F22*DX+F21*DY
Dist-44 F28*DX+F29*DY
Dist-45 F29*DX−F28*DY
Dist-46 F23*DX+F24*DY
Dist-47 F23*DX−F24*DY
Dist-48 F24*DX+F23*DY
Dist-49 F30*DX+F31*DY
Dist-50 F31*DX−F30*DY
Dist-51 F25*DX
Dist-52 F25*DY
Dist-53 F32*DX+F33*DY
Dist-54 F33*DX−F32*DY
Dist-55 F34*DX+F35*DY
Dist-1 F1*DX
Dist-2 F1*DY
Dist-3 F2*DX+F3*DY
Dist-4 F2*DX−F3*DY
Dist-5 F3*DX+F2*DY
Dist-6 F4*DX
Dist-7 F4*DY
Dist-8 F5*DX+F6*DY
Dist-9 F6*DX−F5*DY
Dist-10 F5*DX−F6*DY
Dist-11 F6*DX+F5*DY
Dist-12 F7*DX+F8*DY
Dist-13 F7*DX−F8*DY
Dist-14 F8*DX+F7*DY
Dist-15 F10*DX+F11*DY
Dist-16 F11*DX−F10*DY
Dist-17 F10*DX−F11*DY
Dist-18 F11*DX+F10*DY
Dist-19 F9*DX
Dist-20 F9*DY
Dist-21 F12*DX+F13*DY
Dist-22 F13*DX−F12*DY
Dist-23 F12*DX−F13*DY
Dist-24 F13*DX+F12*DY
Dist-25 F17*DX+F18*DY
Dist-26 F18*DX−F17*DY
Dist-27 FI7*DX−F18*DY
Dist-28 F18*DX+F17*DY
Dist-29 F14*DX+F15*DY
Dist-30 F14*DX−F15*DY
Dist-31 F15*DX+F14*DY
Dist-32 F19*DX+F20*DY
Dist-33 F20*DX−F19*DY
Dist-34 F19*DX−F20*DY
Dist-35 F20*DX+F19*DY
Dist-36 F26*DX+F27*DY
Dist-37 F27*DX−F26*DY
Dist-38 F16*DX
Dist-39 F16*DY
Dist-40 F21*DX+F22*DY
Dist-41 F22*DX−F21*DY
Dist-42 F21*DX−F22*DY
Dist-43 F22*DX+F21*DY
Dist-44 F28*DX+F29*DY
Dist-45 F29*DX−F28*DY
Dist-46 F23*DX+F24*DY
Dist-47 F23*DX−F24*DY
Dist-48 F24*DX+F23*DY
Dist-49 F30*DX+F31*DY
Dist-50 F31*DX−F30*DY
Dist-51 F25*DX
Dist-52 F25*DY
Dist-53 F32*DX+F33*DY
Dist-54 F33*DX−F32*DY
Dist-55 F34*DX+F35*DY
参考として、1次のディストーション多項式(Dist-1)のみによる変調作用を図1に、3次のディストーション多項式(Dist-3)のみによる変調作用を図2に、4次のディストーション多項式(Dist-4)のみによる変調作用を図3に、8次のディストーション多項式(Dist-8)のみによる変調作用を図4に、12次のディストーション多項式(Dist-12)のみによる変調作用を図5にそれぞれ示す。
したがって、ディストーション多項式を用いた一般的な変調作用は、複数の次数のディストーション変調の混合効果として、式(5a),(5b)に示すように表される。式(5a),(5b)において、Diは表(1)で定義された各次数のディストーション多項式(ベクトル表現)であり、DX,DYは瞳面座標x,yを対象にした単位ベクトルである。また、式(5a),(5b)において、Σは1〜iまでの総和記号であり、「・」はベクトルの内積を表している。
x’=ΣQi×{Di(x,y)・DX} (5a)
y’=ΣQi×{Di(x,y)・DY} (5b)
x’=ΣQi×{Di(x,y)・DX} (5a)
y’=ΣQi×{Di(x,y)・DY} (5b)
表(1)で定義されたディストーション多項式では、各次数の変調作用が互いに直交した操作に相当しているため、後述する変化表の管理や指標表現等に役立つというメリットがある。なお、上記の2種類のモデル以外に、ディストーション以外の収差に起因する変調、ぼけ効果に起因する変調、フレア光に起因する変調などに関するモデルを必要に応じて追加することも可能である。さらに、これらの変調モデルの複合によって、さらに現実的な瞳輝度分布に関する変調作用を表現することが可能になる。
一方、瞳輝度分布の結像特性的な指標として、OTF(光学伝達関数)が従来から知られている。OTFは、照明光学系および結像光学系(投影光学系)が無収差のときの結像光学系の瞳関数P(x,y)と瞳輝度分布Ψ(x,y)とのコンボリューションにより算出される。具体的に、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応した結像光学系の光学伝達関数OTFrは次の式(6a)により得られ、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応した結像光学系の光学伝達関数OTFdは次の式(6b)により得られる。
OTFr=Ψr(x,y)*P(x,y) (6a)
OTFd=Ψd(x,y)*P(x,y) (6b)
OTFr=Ψr(x,y)*P(x,y) (6a)
OTFd=Ψd(x,y)*P(x,y) (6b)
瞳関数P(x,y)および瞳輝度分布Ψr(x,y),Ψd(x,y)が二次元分布であるため、算出されるOTFr,OTFdも二次元分布になる。ただし、以下の説明では、照明瞳において互いに直交する二方向に関するOTF分布が重要な意味を持つ傾向があるため、H方向(例えばx方向)に沿ったOTF一次元分布およびV方向(例えばy方向)に沿ったOTF一次元分布をOTF情報として扱うものとする。
ここで、着目すべき物理量は、次の式(7)に示すように、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応したOTFrと設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOTFdとの差Δである。また、式(1)を参照すると、OTFの差Δは、次の式(8)で表される物理量Ψd(x,y),Q1,Q2,・・・,Qiに依存した関数であるものと解釈することができる。
Δ≡OTFr−OTFd (7)
Δ[Ψd(x,y),Q1,Q2,・・・,Qi] (8)
Δ≡OTFr−OTFd (7)
Δ[Ψd(x,y),Q1,Q2,・・・,Qi] (8)
つまり、照明瞳に形成しようと企図した設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)からの微小変化を決める複数の変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiに依存して、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応したOTFrが設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOTFdから微小変化することになる。一般的には、上記変調パラメータQ1,Q2,・・・,QiとOTF差Δとの関係は、複雑な非線形になる。ただし、パラメータQiが微小量だけ有限の値を持ったときのOTF差Δの0からの微小変化を考える場合、パラメータQiとOTF差Δとの関係を近似的に線形的な変化関係として取り扱うことができる。
本発明では、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)からの微小変化を決める複数の変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiについて、単独のパラメータの微小変調によってそれぞれ惹き起こされるOTF差Δの変化を調べる。換言すれば、変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiの微小変化に応じたOTFd(設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOTF)の変化(変化率)をパラメータ毎に求める。具体的に、変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiの微小変化に応じたOTFdのパラメータ毎の変化は、変調パラメータQ1,Q2,・・・,Qiが0の近傍にあるときのOTF差Δの変化として、次の式(9)で表される。
∂Δ/∂Q1,∂Δ/∂Q2,・・・,∂Δ/∂Qi (9)
∂Δ/∂Q1,∂Δ/∂Q2,・・・,∂Δ/∂Qi (9)
このように予め求められたOTFdのパラメータ毎の変化∂Δ/∂Q1,∂Δ/∂Q2,・・・,∂Δ/∂Qiに関する情報は、例えば変化表として記憶され且つ管理される。すなわち変化表を構成するOTFdの変化は、一連の変調パラメータを対象としてパラメータ毎の計算により予め準備される。次いで、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応したOTFrと設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOTFdとのOTF差Δを、パラメータ毎の変化を用いた関数で近似する。
具体的に、パラメータ毎の変化を用いたOTF差Δの近似に際して、次の式(10)に示すように、複数のパラメータ毎の変化を線形結合した関数を用いることができる。つまり、式(9)に示す複数のパラメータ毎の変化の線形結合によりOTF差Δを近似的に表すことができるように、最小二乗フィッティングを行う。式(10)において、C1,C2,・・・,Ciは、結果的にフィッティングされた時の変化の係数である。
Δ≒C1(∂Δ/∂Q1)+C2(∂Δ/∂Q2)
+・・・+Ci(∂Δ/∂Qi) (10)
Δ≒C1(∂Δ/∂Q1)+C2(∂Δ/∂Q2)
+・・・+Ci(∂Δ/∂Qi) (10)
式(10)に示す関数近似により得られた係数C1,C2,・・・,Ciは、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)が設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)からどの程度変化しているかを表す物理量であり、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)の特徴を現す指標値(代表値)に相当する。なお、式(10)に示す関数が表す変調作用と逆の変調作用(画像変調)を実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に掛けて得られたOTFr’のOTFd(設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応したOTF)からの乖離Δeが無視できない程度に存在する可能性もある。その場合には、乖離Δeを対象として式(10)に基づくフィッティングを所要回数だけ繰り返すことによって、パラメータ毎の変化を用いてOTF差Δをさらに良好に近似することができる。
以上のように、本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法は、結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価する。具体的に、本発明の評価方法では、図6のフローチャートに示すように、設計上の瞳輝度分布(所定の瞳輝度分布)Ψd(x,y)に対応した結像光学系の光学伝達関数である設計上の光学伝達関数(第1の光学伝達関数)OTFdを算出する(S11)。
光学伝達関数OTFdは、式(6b)に示すように、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)と、照明光学系および結像光学系が無収差のときの結像光学系の瞳関数P(x,y)とのコンボリューションにより算出される。ステップS11を経て得られた設計上の光学伝達関数OTFdを図7に例示する。図7では、H方向に沿ったOTFdの一次元分布およびV方向に沿ったOTFdの一次元分布を示している。図7において、縦軸は規格化されたOTF値(コントラスト)であり、横軸は規格化された空間周波数νである。図7の表記は、後述の図8、図9および図10においても同様である。
次いで、瞳輝度分布の変調パラメータの微小変化に応じた光学伝達関数OTFdの変化をパラメータ毎に求める(S12)。瞳輝度分布の変調パラメータとして、透過率分布に起因する変調に関するパラメータ、瞳輝度分布の変形に起因する変調(一般には収差に起因する変調)に関するパラメータ、ぼけ効果に起因する変調に関するパラメータ、フレア光に起因する変調に関するパラメータなどを、必要に応じて選択的に用いることができる。求められたOTFdのパラメータ毎の変化に関する情報に基づいて変化表が作成される。
ステップS11およびS12の後に、あるいはステップS11およびS12に先立って、計測された実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応した結像光学系の光学伝達関数である実際の光学伝達関数(第2の光学伝達関数)OTFrを算出する(S13)。光学伝達関数OTFrは、式(6a)に示すように、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)と、照明光学系および結像光学系が無収差のときの結像光学系の瞳関数P(x,y)とのコンボリューションにより算出される。
最後に、光学伝達関数OTFrとOTFdとのOTF差Δをパラメータ毎の変化を用いた関数で近似する(S14)。具体的に、照明瞳において互いに直交する二方向に関するOTF分布が重要な意味を持つ傾向があるため、OTF情報としてH方向に沿ったOTF一次元分布およびV方向に沿ったOTF一次元分布を扱うことができる。また、パラメータ毎の変化を用いたOTF差Δの近似に際して、式(10)に示すように、複数のパラメータ毎の変化を線形結合した関数を用いることができる。
図8に、ステップS13を経て得られた実際の光学伝達関数OTFrとステップS11を経て得られた設計上の光学伝達関数OTFdとのOTF差Δを例示する。図8では、H方向に沿ったOTF差Δの一次元分布およびV方向に沿ったOTF差Δの一次元分布を示している。図9に、ステップS12によりパラメータ毎に求められた光学伝達関数OTFdの変化を例示する。図9では、3つの変調パラメータについて、各変調パラメータの微小変化に応じた光学伝達関数OTFdの一次元分布の変化を示している。図10に、実際の光学伝達関数OTFrと設計上の光学伝達関数OTFdとのOTF差Δの一次元分布、および関数近似(フィッティング)されたOTF差Δaを例示する。
本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法では、設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)に対応する設計上の光学伝達関数OTFdと、計測された実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)に対応する実際の光学伝達関数OTFrとのOTF差Δを、所要数の変調パラメータの微小変化に応じたOTFdのパラメータ毎の変化を用いた関数、例えば式(10)に示すように複数のパラメータ毎の変化を線形結合した関数で近似する。式(10)に示す関数近似により得られた係数C1,C2,・・・,Ciは、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)の特徴を現す指標であって、実際の瞳輝度分布Ψr(x,y)が設計上の瞳輝度分布Ψd(x,y)からどの程度変化しているかを表している。
すなわち、本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法では、結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価することができる。別の表現をすれば、照明瞳に形成しようと企図する設計上の瞳輝度分布の外形形状および分布が複雑であっても、実際に形成される瞳輝度分布の設計上の瞳輝度分布からの乖離について、定性的に意味のある比較的少数のパラメータの集合として代表値表現することが可能である。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図11は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図11において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において図11の紙面に平行な方向に沿ってX軸を、ウェハWの転写面内において図11の紙面に垂直な方向に沿ってY軸をそれぞれ設定している。
図11を参照すると、本実施形態の露光装置には、光源1から露光光(照明光)が供給される。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や、248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。本実施形態の露光装置は、装置の光軸AXに沿って、空間光変調ユニット3を含む照明光学系ILと、マスクMを支持するマスクステージMSと、投影光学系PLと、ウェハWを支持するウェハステージWSとを備えている。
光源1からの光は、照明光学系ILを介してマスクMを照明する。マスクMを透過した光は、投影光学系PLを介して、マスクMのパターンの像をウェハW上に形成する。光源1からの光に基づいてマスクMのパターン面(被照射面)を照明する照明光学系ILは、空間光変調ユニット3の作用により、複数極照明(2極照明、4極照明など)、輪帯照明等の変形照明、または通常の円形照明を行う。
照明光学系ILは、光軸AXに沿って光源1側から順に、ビーム送光部2と、空間光変調ユニット3と、リレー光学系4と、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)5と、コンデンサー光学系6と、照明視野絞り(マスクブラインド)7と、結像光学系8とを備えている。空間光変調ユニット3は、ビーム送光部2を介した光源1からの光に基づいて、その遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)に所望の光強度分布(瞳輝度分布)を形成する。空間光変調ユニット3の内部構成および作用については後述する。
ビーム送光部2は、光源1からの入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しつつ空間光変調ユニット3へ導くとともに、空間光変調ユニット3に入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。リレー光学系4は、空間光変調ユニット3からの光を集光して、マイクロフライアイレンズ5へ導く。マイクロフライアイレンズ5は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。
マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。マイクロフライアイレンズ5における単位波面分割面としての矩形状の微小屈折面は、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状である。
マイクロフライアイレンズ5は、入射した光束を波面分割して、その後側焦点位置またはその近傍の照明瞳に多数の小光源からなる二次光源(実質的な面光源;瞳輝度分布)を形成する。マイクロフライアイレンズ5の入射面は、リレー光学系4の後側焦点位置またはその近傍に配置されている。なお、マイクロフライアイレンズ5として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることもできる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号明細書に開示されている。
本実施形態では、マイクロフライアイレンズ5により形成される二次光源を光源として、照明光学系ILの被照射面に配置されるマスクMをケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系ILの照明瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。
なお、瞳輝度分布とは、照明光学系ILの照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布である。マイクロフライアイレンズ5による波面分割数が比較的大きい場合、マイクロフライアイレンズ5の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳輝度分布)とが高い相関を示す。このため、マイクロフライアイレンズ5の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳輝度分布と称することができる。
コンデンサー光学系6は、マイクロフライアイレンズ5から射出された光を集光して、照明視野絞り7を重畳的に照明する。照明視野絞り7を通過した光は、結像光学系8を介して、マスクMのパターン形成領域の少なくとも一部に照明視野絞り7の開口部の像である照明領域を形成する。なお、図11では、光軸(ひいては光路)を折り曲げるための光路折曲げミラーの設置を省略しているが、必要に応じて光路折曲げミラーを照明光路中に適宜配置することが可能である。
マスクステージMSにはXY平面(例えば水平面)に沿ってマスクMが載置され、ウェハステージWSにはXY平面に沿ってウェハWが載置される。投影光学系PLは、照明光学系ILによってマスクMのパターン面上に形成される照明領域からの光に基づいて、ウェハWの転写面(露光面)上にマスクMのパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
図12および図13を参照して、空間光変調ユニット3の内部構成および作用を説明する。空間光変調ユニット3は、図12に示すように、プリズム32と、プリズム32のYZ平面に平行な側面32aに近接して配置された空間光変調器30とを備えている。プリズム32は、例えば蛍石または石英のような光学材料により形成されている。
空間光変調器30は、例えばYZ平面に沿って二次元的に配列された複数のミラー要素30aと、複数のミラー要素30aを保持する基盤30bと、基盤30bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素30aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部30cとを備えている。空間光変調器30では、制御部CRからの制御信号に基づいて作動する駆動部30cの作用により、複数のミラー要素30aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素30aがそれぞれ所定の向きに設定される。
プリズム32は、直方体の1つの側面(空間光変調器30の複数のミラー要素30aが近接して配置される側面32aと対向する側面)をV字状に凹んだ側面32bおよび32cと置き換えることにより得られる形態を有し、XZ平面に沿った断面形状に因んでKプリズムとも呼ばれる。プリズム32のV字状に凹んだ側面32bおよび32cは、鈍角をなすように交差する2つの平面P1およびP2によって規定されている。2つの平面P1およびP2はともにXZ平面と直交し、XZ平面に沿ってV字状を呈している。
2つの平面P1とP2との接線(Y方向に延びる直線)P3で接する2つの側面32bおよび32cの内面は、反射面R1およびR2として機能する。すなわち、反射面R1は平面P1上に位置し、反射面R2は平面P2上に位置し、反射面R1とR2とのなす角度は鈍角である。一例として、反射面R1とR2とのなす角度を120度とし、光軸AXに垂直なプリズム32の入射面IPと反射面R1とのなす角度を60度とし、光軸AXに垂直なプリズム32の射出面OPと反射面R2とのなす角度を60度とすることができる。
プリズム32では、空間光変調器30の複数のミラー要素30aが近接して配置される側面32aと光軸AXとが平行であり、且つ反射面R1が光源1側(露光装置の上流側:図12中左側)に、反射面R2がマイクロフライアイレンズ5側(露光装置の下流側:図12中右側)に位置している。さらに詳細には、反射面R1は光軸AXに対して斜設され、反射面R2は接線P3を通り且つXY平面に平行な面に関して反射面R1とは対称的に光軸AXに対して斜設されている。
プリズム32の反射面R1は、入射面IPを介して入射した光を空間光変調器30に向かって反射する。空間光変調器30の複数のミラー要素30aは、反射面R1と反射面R2との間の光路中に配置され、反射面R1を経て入射した光を反射する。プリズム32の反射面R2は、空間光変調器30を経て入射した光を反射し、射出面OPを介してリレー光学系4へ導く。
空間光変調器30は、反射面R1を経て入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を付与して射出する。空間光変調器30は、図13に示すように、所定面内で二次元的に配列された複数の微小なミラー要素(光学要素)30aを備えている。説明および図示を簡単にするために、図12および図13では空間光変調器30が4×4=16個のミラー要素30aを備える構成例を示しているが、実際には16個よりもはるかに多数のミラー要素30aを備えている。
図12を参照すると、光軸AXと平行な方向に沿って空間光変調ユニット3に入射した光線群のうち、光線L1は複数のミラー要素30aのうちのミラー要素SEaに、光線L2はミラー要素SEaとは異なるミラー要素SEbにそれぞれ入射する。同様に、光線L3はミラー要素SEa,SEbとは異なるミラー要素SEcに、光線L4はミラー要素SEa〜SEcとは異なるミラー要素SEdにそれぞれ入射する。ミラー要素SEa〜SEdは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L1〜L4に与える。
空間光変調器30の複数のミラー要素30aの配列面は、リレー光学系4の前側焦点位置またはその近傍に配置されている。空間光変調器30の複数のミラー要素30aによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、リレー光学系4の後側焦点面4aに所定の光強度分布SP1〜SP4を形成する。すなわち、リレー光学系4は、空間光変調器30の複数のミラー要素30aが射出光に与える角度を、空間光変調器30の遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)である面4a上での位置に変換している。
再び図11を参照すると、リレー光学系4の後側焦点面4aの位置にマイクロフライアイレンズ5の入射面が位置決めされている。したがって、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳に形成される瞳輝度分布は、空間光変調器30およびリレー光学系4がマイクロフライアイレンズ5の入射面に形成する光強度分布SP1〜SP4に対応した分布となる。空間光変調器30は、図13に示すように、例えば平面状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小なミラー要素30aを含む可動マルチミラーである。
各ミラー要素30aは可動であり、その反射面の傾き(すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向)は、制御部CRからの指令にしたがって作動する駆動部30cの作用により独立に制御される。各ミラー要素30aは、その配列面に平行で且つ互いに直交する二方向(Y方向およびZ方向)を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素30aの反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
各ミラー要素30aの反射面を離散的に回転させる場合、回転角を複数の状態(例えば、・・・、−2.5度、−2.0度、・・・0度、+0.5度・・・+2.5度、・・・)で切り換え制御するのが良い。図13には外形が正方形状のミラー要素30aを示しているが、ミラー要素30aの外形形状は正方形に限定されない。ただし、光利用効率の観点から、ミラー要素30aの隙間が少なくなるように配列可能な形状(最密充填可能な形状)が好ましい。また、光利用効率の観点から、隣り合う2つのミラー要素30aの間隔を必要最小限に抑えることが好ましい。
空間光変調器30では、制御部CRからの制御信号に応じて作動する駆動部30cの作用により、複数のミラー要素30aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素30aがそれぞれ所定の向きに設定される。空間光変調器30の複数のミラー要素30aによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、リレー光学系4を介して、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳に、複数極状(2極状、4極状など)、輪帯状、円形状等の光強度分布(瞳輝度分布)を形成する。
すなわち、リレー光学系4およびマイクロフライアイレンズ5は、空間光変調ユニット3中の空間光変調器30を介した光に基づいて、照明光学系ILの照明瞳に所定の光強度分布を形成する分布形成光学系を構成している。マイクロフライアイレンズ5の後側焦点位置またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳位置、すなわち結像光学系8の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASの位置)にも、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳における光強度分布に対応する瞳輝度分布が形成される。
本実施形態の露光装置は、例えばマスクステージMSに取り付けられて、照明光学系ILの照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測する瞳計測装置DTを備えている。瞳計測装置DTは、図14に示すように、ピンホール部材10と、集光レンズ11と、たとえば二次元CCDイメージセンサのような光検出器12とを有する。ピンホール部材10は、計測に際して、照明光学系ILの被照射面(すなわち露光に際してマスクMのパターン面Pmが位置決めされるべき高さ位置)に配置される。また、ピンホール部材10は集光レンズ11の前側焦点位置に配置され、光検出器12の検出面は集光レンズ11の後側焦点位置に配置されている。
したがって、光検出器12の検出面は、照明光学系ILの照明瞳と光学的に共役な位置、すなわち結像光学系8の瞳面と光学的に共役な位置に配置される。瞳計測装置DTでは、照明光学系ILを経た光が、ピンホール部材10のピンホールを通過し、集光レンズ11の集光作用を受けた後、光検出器12の検出面に達する。光検出器12の検出面には、結像光学系8の瞳面における光強度分布(瞳輝度分布)に対応する光強度分布が形成される。
こうして、瞳計測装置DTは、照明光学系ILの被照射面を通過した光に基づいて、照明光学系ILの照明瞳(結像光学系8の瞳面)と光学的に共役な面における光強度分布を計測する。なお、瞳計測装置DTのさらに詳細な構成および作用については、たとえば特開2000−19012号公報を参照することができる。また、瞳計測装置DTとし、たとえば米国特許第5925887号公報に開示されるピンホールを介して瞳輝度分布を検出する装置を用いることもできる。
露光装置では、マスクMのパターンをウェハWに高精度に且つ忠実に転写するために、例えばマスクMのパターン特性に応じた適切な照明条件のもとで露光を行うことが重要である。本実施形態では、複数のミラー要素30aの姿勢がそれぞれ個別に変化する空間光変調器30を備えた空間光変調ユニット3を用いて、空間光変調器30の作用により形成される瞳輝度分布を自在に且つ迅速に変化させ、ひいては多様な照明条件を実現することができる。すなわち、照明光学系ILでは、姿勢が個別に制御される多数のミラー要素30aを有する空間光変調器30を用いているので、照明瞳に形成される瞳輝度分布の形状および大きさの変更に関する自由度は高い。
しかしながら、実際に照明瞳に形成される瞳輝度分布は、照明光学系ILの透過率分布や収差などの影響により、照明瞳に形成しようと企図した設計上の瞳輝度分布とは異なる分布になることが多い。本実施形態の露光装置では、実際の瞳輝度分布に応じた結像性能を設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能に近づけるために、本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法を用いて設計上の瞳輝度分布と実際の瞳輝度分布との差を指標評価し、評価の結果に基づいて照明光学系ILを調整する。
図15は、本実施形態にかかる照明光学系の調整方法のフローチャートである。本実施形態にかかる照明光学系ILの調整方法では、照明光学系ILの照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測する(S21)。具体的に、ステップS21では、マスクステージMSに取り付けられた瞳計測装置DTを用いて、照明光学系IL中の照明瞳(結像光学系8の瞳面)と光学的に共役な面における光強度分布を計測する。瞳計測装置DTの計測結果は、制御部CRへ供給される。
制御部CRは、本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法を用いて、瞳計測装置DTにより計測された瞳輝度分布を評価する(S22)。具体的に、制御部CRは、図6のフローチャートに示すように、照明光学系IL中の照明瞳に形成しようと企図した設計上の瞳輝度分布に対応した設計上の光学伝達関数OTFdを算出する(S221;図6のステップS11に対応)。次いで、制御部CRは、設計上の瞳輝度分布の変調パラメータの微小変化に応じた光学伝達関数OTFdの変化をパラメータ毎に求める(S222;図6のステップS12に対応)。
制御部CRは、ステップS221およびS222の後に、あるいはステップS221およびS222に先立って、計測された実際の瞳輝度分布に対応した実際の光学伝達関数OTFrを算出する(S223;図6のステップS13に対応)。次いで、制御部CRは、光学伝達関数OTFrとOTFdとのOTF差Δをパラメータ毎の変化を用いた関数で近似する(S224;図6のステップS14に対応)。本実施形態の露光装置では、例えば所定のプログラムにしたがって、情報処理装置としての制御部CRに、ステップS221〜S224を含む瞳輝度分布の評価方法を実行させても良い。
最後に、制御部CRは、本発明にかかる瞳輝度分布の評価方法を用いて得られた評価の結果に基づいて、実際の瞳輝度分布に応じた結像性能が設計上の瞳輝度分布に応じた所望の結像性能に近づくように、照明光学系ILの照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する(S23)。具体的に、制御部CRは、ステップS224で得られた関数(パラメータ毎の変化を用いた近似により得られた関数)が表す変調作用と逆の変調作用を瞳輝度分布に及ぼすように空間光変調器30を制御する。
別の表現をすれば、制御部CRは、照明光学系ILの照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する瞳調整装置として機能する空間光変調器30を制御することによって、ステップS224で得られた関数が表す変調作用と逆の変調作用を瞳輝度分布に及ぼし、ひいては瞳輝度分布の調整を行う。この瞳輝度分布の調整は、所望の結像性能をターゲットに実際の瞳輝度分布を適切に調整すること(すなわち照明条件を適切に調整すること)を意味している。
以上のように、本実施形態にかかる照明光学系ILの調整方法では、瞳輝度分布を結像性能に着目して指標評価する本発明の評価方法を用いて、所望の結像性能をターゲットに実際の瞳輝度分布を適切に調整することができる。その結果、本実施形態の露光装置(IL,MS,PL,WS)では、実際の瞳輝度分布を適切に調整する照明光学系ILを用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことにより、性能の良好なデバイスを製造することができる。
なお、上述の実施形態では、瞳計測装置DTが、照明光学系ILの被照射面(マスクMのパターン面の位置)を通過した光に基づいて、照明光学系ILの照明瞳(結像光学系8の瞳面)と光学的に共役な面における光強度分布を計測している。しかしながら、これに限定されることなく、照明光学系ILの被照射面へ向かう光に基づいて照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することもできる。一例として、マイクロフライアイレンズ5とコンデンサー光学系6との間の光路中から照明光の一部を取り出し、取り出した光をマイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳と光学的に共役な面で検出することにより、マイクロフライアイレンズ5の直後の照明瞳における瞳輝度分布に対応する光強度分布を計測する。
また、上述の実施形態では、空間光変調器30の複数のミラー要素30aの配列面に対向した光学面を有するプリズム部材として、1つの光学ブロックで一体的に形成されたKプリズム32を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、一対のプリズムにより、Kプリズム32と同様の機能を有するプリズム部材を構成することができる。また、1つの平行平面板と一対の三角プリズムとにより、Kプリズム32と同様の機能を有するプリズム部材を構成することができる。また、1つの平行平面板と一対の平面ミラーとにより、Kプリズム32と同様の機能を有する組立て光学部材を構成することができる。
また、上述の実施形態では、空間光変調器30として、たとえば二次元的に配列された複数のミラー要素30aの向きを連続的にそれぞれ変化させる空間光変調器を用いている。このような空間光変調器として、たとえば特表平10−503300号公報およびこれに対応する欧州特許公開第779530号公報、特開2004−78136号公報およびこれに対応する米国特許第6,900,915号公報、特表2006−524349号公報およびこれに対応する米国特許第7,095,546号公報、並びに特開2006−113437号公報に開示される空間光変調器を用いることができる。なお、二次元的に配列された複数のミラー要素の向きを離散的に複数の段階を持つように制御してもよい。
また、上述の実施形態では、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する空間光変調器として、二次元的に配列された複数の反射面の向き(角度:傾き)を個別に制御可能な空間光変調器を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば二次元的に配列された複数の反射面の高さ(位置)を個別に制御可能な空間光変調器を用いることもできる。このような空間光変調器としては、たとえば特開平6−281869号公報及びこれに対応する米国特許第5,312,513号公報、並びに特表2004−520618号公報およびこれに対応する米国特許第6,885,493号公報の図1dに開示される空間光変調器を用いることができる。これらの空間光変調器では、二次元的な高さ分布を形成することで回折面と同様の作用を入射光に与えることができる。なお、上述した二次元的に配列された複数の反射面を持つ空間光変調器を、たとえば特表2006−513442号公報およびこれに対応する米国特許第6,891,655号公報や、特表2005−524112号公報およびこれに対応する米国特許公開第2005/0095749号公報の開示に従って変形しても良い。
また、上述の実施形態では、照明光学系ILの照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する瞳調整装置として、所定面内に配列されて個別に制御可能な複数のミラー要素30aを有する反射型の空間光変調器30を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、所定面内に配列されて個別に制御される複数の透過光学要素を備えた透過型の空間光変調器を用いることもできる。
また、上述の実施形態では、露光装置に搭載された照明光学系を調整する方法、すなわち単体の露光装置の調整方法に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、第1パターンを照明する第1照明光学系を備え、第1パターンを感光性基板に露光する第1露光装置と、第2パターンを照明する第2照明光学系を備え、第2パターンを上記感光性基板に露光する第2露光装置とを備える露光システムに対して、本発明にかかる照明光学系の調整方法を適用することもできる。具体的に、第1照明光学系および第2照明光学系のうちの少なくとも一方を、本発明にかかる照明光学系の調整方法にしたがって調整することにより、異なる2つの露光装置の間で発生する解像線幅のばらつきを小さく抑えることができる。
上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置を用いれば、パターン面が縦置きでも同期精度に及ぼす影響を最低限にできる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば特開2004−304135号公報、国際特許公開第2006/080285号パンフレットおよびこれに対応する米国特許公開第2007/0296936号公報に開示されている。また、DMDのような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。ここでは、米国特許公開第2007/0296936号公報の教示を参照として援用する。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図16は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図16に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
図17は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図17に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開第WO99/49504号パンプレットに開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。ここでは、国際公開第WO99/49504号パンフレット、特開平6−124873号公報および特開平10−303114号公報の教示を参照として援用する。
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスクを照明する照明光学系に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、一般に、第1面に配置される物体の像を第2面上に形成する結像光学系に照明光を供給するための照明光学系に対して本発明を適用することができる。
1 光源
2 ビーム送光部
3 空間光変調ユニット
30 空間光変調器
30a ミラー要素
30c 駆動部
32 Kプリズム
4 リレー光学系
5 マイクロフライアイレンズ
6 コンデンサー光学系
7 照明視野絞り(マスクブラインド)
8 結像光学系
IL 照明光学系
CR 制御部
DT 瞳計測装置
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
2 ビーム送光部
3 空間光変調ユニット
30 空間光変調器
30a ミラー要素
30c 駆動部
32 Kプリズム
4 リレー光学系
5 マイクロフライアイレンズ
6 コンデンサー光学系
7 照明視野絞り(マスクブラインド)
8 結像光学系
IL 照明光学系
CR 制御部
DT 瞳計測装置
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
Claims (25)
- 第1面に配置される物体の像を第2面上に形成する結像光学系に照明光を供給するための照明光学系の照明瞳に形成される瞳輝度分布を評価する方法であって、
所定の瞳輝度分布に対応した前記結像光学系の光学伝達関数である第1の光学伝達関数を算出することと、
少なくとも1つの瞳輝度分布の変調パラメータの微小変化に応じた前記第1の光学伝達関数の変化をパラメータ毎に求めることと、
計測された瞳輝度分布に対応した前記結像光学系の光学伝達関数である第2の光学伝達関数を算出することと、
前記第1の光学伝達関数と前記第2の光学伝達関数との差を、前記パラメータ毎の変化を用いた関数で近似することとを含むことを特徴とする評価方法。 - 前記少なくとも1つの瞳輝度分布の変調パラメータとして、透過率分布に起因する変調に関するパラメータを用いることを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
- 前記少なくとも1つの瞳輝度分布の変調パラメータとして、収差に起因する変調に関するパラメータを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の評価方法。
- 前記収差に起因する変調に関するパラメータとして、瞳輝度分布の変形に起因する変調に関するパラメータを用いることを特徴とする請求項3に記載の評価方法。
- 前記少なくとも1つの変調パラメータとして、ぼけ効果に起因する変調に関するパラメータを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記少なくとも1つの変調パラメータとして、フレア光に起因する変調に関するパラメータを用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記照明瞳において互いに直交する二方向に関して、前記光学伝達関数の差を近似することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記関数として、複数の前記パラメータ毎の変化を線形結合した関数を用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記所定の瞳輝度分布と前記照明光学系および前記結像光学系が無収差のときの瞳関数とのコンボリューションにより前記第1の光学伝達関数を算出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記計測された瞳輝度分布と前記照明光学系および前記結像光学系が無収差のときの瞳関数とのコンボリューションにより前記第2の光学伝達関数を算出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の評価方法。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の評価方法を処理装置に実行させるプログラム。
- 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系の調整方法において、
前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測することと、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の評価方法を用いて前記瞳輝度分布を評価することと、
前記評価の結果に基づいて前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整することとを含むことを特徴とする調整方法。 - 前記瞳輝度分布の計測に際して、前記被照射面を通過した光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項12に記載の調整方法。
- 前記瞳輝度分布の計測に際して、前記被照射面へ向かう光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項12に記載の調整方法。
- 前記瞳輝度分布の調整に際して、前記パラメータ毎の変化を用いた近似により得られた関数が表す変調作用と逆の変調作用を前記瞳輝度分布に及ぼすことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の調整方法。
- 前記照明光学系が備える空間光変調器であって且つ前記照明瞳に瞳輝度分布を形成するための空間光変調器を制御することによって前記逆の変調作用を前記瞳輝度分布に及ぼすことを特徴とする請求項15に記載の調整方法。
- 請求項12乃至16のいずれか1項に記載の調整方法により調整されたことを特徴とする照明光学系。
- 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
前記照明光学系の照明瞳に形成された瞳輝度分布を計測する瞳計測装置と、
前記照明瞳に形成される瞳輝度分布を調整する瞳調整装置と、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の評価方法を用いて前記瞳輝度分布を評価し、該評価の結果に基づいて前記瞳調整装置を制御する制御部とを備えることを特徴とする照明光学系。 - 前記瞳計測装置は、前記被照射面を通過した光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項18に記載の照明光学系。
- 前記瞳計測装置は、前記被照射面へ向かう光に基づいて前記照明瞳と光学的に共役な面における光強度分布を計測することを特徴とする請求項18に記載の照明光学系。
- 前記瞳調整装置は、前記照明瞳に瞳輝度分布を形成するための空間光変調器を備え、
前記制御部は、前記パラメータ毎の変化を用いた近似により得られた関数が表す変調作用と逆の変調作用を前記瞳輝度分布に及ぼすように前記空間光変調器を制御することを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の照明光学系。 - 所定のパターンを照明するための請求項17乃至21のいずれか1項に記載の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置。
- 前記所定のパターンの像を前記感光性基板上に形成する投影光学系を備え、前記照明瞳は前記投影光学系の開口絞りと光学的に共役な位置であることを特徴とする請求項22に記載の露光装置。
- 請求項22または23に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法。 - 第1パターンを照明する第1照明光学系を備え、前記第1パターンを感光性基板に露光する第1露光装置と、第2パターンを照明する第2照明光学系を備え、前記第2パターンを前記感光性基板に露光する第2露光装置とを備える露光システムの調整方法であって、
前記第1照明光学系および第2照明光学系のうちの少なくとも一方を、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の調整方法にしたがって調整することを特徴とする調整方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010085613A JP2011216796A (ja) | 2010-04-02 | 2010-04-02 | 瞳輝度分布の評価方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、並びにデバイス製造方法 |
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JP (1) | JP2011216796A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013164997A1 (ja) * | 2012-05-02 | 2013-11-07 | 株式会社ニコン | 瞳輝度分布の評価方法および改善方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、露光方法、並びにデバイス製造方法 |
CN112305874A (zh) * | 2020-11-11 | 2021-02-02 | 东方晶源微电子科技(北京)有限公司深圳分公司 | 一种衡量光瞳之间匹配程度的评价方法 |
-
2010
- 2010-04-02 JP JP2010085613A patent/JP2011216796A/ja active Pending
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WO2013164997A1 (ja) * | 2012-05-02 | 2013-11-07 | 株式会社ニコン | 瞳輝度分布の評価方法および改善方法、照明光学系およびその調整方法、露光装置、露光方法、並びにデバイス製造方法 |
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CN112305874B (zh) * | 2020-11-11 | 2024-05-17 | 东方晶源微电子科技(北京)有限公司深圳分公司 | 一种衡量光瞳之间匹配程度的评价方法 |
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