JP5994650B2 - 保護膜形成用ガラス組成物及びその製造方法 - Google Patents

保護膜形成用ガラス組成物及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、酸化テルルを必須成分とするテルル系ガラスのフリットを用いた保護膜形成用ガラス組成物及びその製造方法に関する。特に、600℃以下の低温で焼成を行った場合でも、強固で緻密な保護膜(ガラス膜)を形成することができる保護膜形成用ガラス組成物及びその製造方法に関する。
従前より、自動車や建築・施設、光学部材、電気部材等の表面を保護するために、膜厚50μm以下の保護膜(ハードコートと称されるものもある)が形成される場合がある。例えば、タッチパネルやディスプレイの表面に、PETフィルム等の基体上に有機系の樹脂材料等からなるハードコート層を設けたハードコートフィルムを貼着することが行われている(特許文献1)。しかしながら、このような有機系の材料を用いた保護膜は、プラスチック基体に対する密着性には優れるが、硬度や化学的耐久性、耐熱性の点で不十分であり、耐擦傷性、耐摩耗性に劣る。
そこで無機系の保護膜が検討されており、その一例としてアルミナやシリカ、炭素等を蒸着させる方法が知られているが、コスト面で問題があり、積極的な採用には到っていない(非特許文献1)。
また、ガラスフリットと有機ビヒクルを含むガラスペーストや、予めこれを膜状にしたガラスグリーンシートを用いて基体上にガラス膜を形成し、これを焼成して保護膜とすることも知られている(特許文献2)。このような厚膜法は、安価に保護膜を形成でき、上述した問題をすべて解決することができる点で優れた手法であるが、高温での焼成を要するため、保護膜を形成する基体が高温での耐熱性に優れたものに限られている。例えば、一般的に用いられているソーダライムガラス基板を基体とした場合でも、600℃より高い温度で焼成すると基板の変形が生じる。そのため600℃以下の低温で焼成可能なガラスペーストが求められていた。
特開2009−40056号公報 特開平4−139891号公報 特開2000−264676号公報 特開2009−10206号公報
「耐指紋・擦傷性の付与と防汚技術および定量評価法」技術情報協会、2010年
特許文献3には軟化点を低下させる成分である酸化テルルを含む低融点ガラスが開示されている。この酸化テルルの含有量は、1〜25モル%と少ない。このため、特許文献3に開示されたいずれの実施例も軟化点が500℃より高く、これらを用いたガラスペーストを600℃以下の低温で焼成することが難しい。
酸化テルルを含むガラスとして、特許文献4には酸化テルル、酸化ホウ素、及び酸化亜鉛のみからなる三元系ガラスが開示されている。この三元系ガラスを厚み1.5mm程度のガラス板とし、ガラス板を軟化流動させることにより発光素子を被覆している。この三元系ガラスは、ガラスペーストにして保護膜を形成することを想定したものではなく、600℃以下の低温で膜化させることができない。
本発明は、上記要求に応えるべく成されたものであり、600℃以下の低温で焼成可能な保護膜形成用ガラス組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる第1の保護膜形成用ガラス組成物は、少なくともガラスフリットと有機ビヒクルを含み、基体上に塗布・焼成されて当該基体上に膜厚50μm以下の保護膜を形成するために用いられるガラス組成物であって、前記ガラスフリットが、網目形成成分としての酸化テルルと、酸化ホウ素を必須成分として含み、且つ、前記酸化テルルの含有量が55モル%以上、前記酸化ホウ素の含有量が25モル%以下であり、前記ガラスフリットの軟化点が500℃以下であることを特徴とするものである。
本発明にかかる第2の保護膜形成用ガラス組成物は、少なくともガラスフリットと有機ビヒクルを含み、基体上に塗布・焼成されて当該基体上に膜厚50μm以下の保護膜を形成するために用いられる組成物であって、前記ガラスフリットが、網目形成成分としての酸化テルルと、酸化ホウ素と、アルカリ金属酸化物及び酸化アルミニウムから選ばれる1以上とを必須成分として含み、且つ、前記酸化テルルの含有量が30モル%以上、前記酸化ホウ素の含有量が25モル%以下であり、前記ガラスフリットの軟化点が500℃以下であることを特徴とするものである。
本発明にかかる第3の保護膜形成用ガラス組成物は、少なくともガラスフリットと有機ビヒクルを含み、基体上に塗布・焼成されて当該基体上に膜厚50μm以下の保護膜を形成するために用いられるガラス組成物であって、前記ガラスフリットが、網目形成成分としての酸化テルルと、酸化タングステン及び酸化ゲルマニウムから選ばれる1以上とを必須成分として含み、且つ、前記酸化テルルの含有量が30モル%以上であり、前記ガラスフリットの軟化点が500℃以下であることを特徴とするものである。
本発明の保護膜形成用ガラス組成物によれば、600℃以下の低温で焼成を行うことができ、安価に保護膜を形成することができる。また、本発明の保護膜形成用ガラス組成物によって得られた保護膜は、強固且つ緻密で、硬度、耐熱性、耐候性に優れている。
本発明に係る、保護膜を形成するためのガラス組成物は、ガラスフリットを有機ビヒクルに分散させたものであり、当該ガラスフリットとして、酸化テルルを必須成分とするガラス(以下、「テルル系ガラス」)を用いることを特徴とする。本発明のガラス組成物はテルル系ガラスを用いることにより、軟化点が低く、耐酸性、耐水性、耐候性といった耐久性に優れ、なお且つ、高硬度の保護膜を得ることができる。
なお、本発明において「ガラス組成物」とは、少なくともガラスフリットと有機ビヒクルを含み、ペースト状、スラリー状とされた組成物、或いはこれらを用いてシート状に成形された組成物を言う。また、「保護膜」とは基体上の「ガラス組成物」を600℃以下の温度で焼成することによって得られる膜厚50μm以下のガラス膜を言う。更に、或る成分Xが「実質的に含まれない」とは成分Xの不可避の含有を除外するものでなく、例えば成分Xが1000ppm以下で含有している場合も含む。本発明において「テルル系ガラス」とは、酸化テルルをガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上含むものを言う。
以下においては、主に、ガラス組成物の一実施形態としてガラスペーストを例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係るテルル系ガラスにおいて、酸化テルルは単独ではガラス化しないがガラスの主要構造を形成する網目形成成分であり、特定の酸化物と組合せることにより、ガラス化しやすくなる。酸化テルルは、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で30〜95モル%含まれる。30モル%未満の場合は、主要構造を形成する網目形成成分の機能を逸脱し、かつ軟化点が高くなる。また、95モル%を越えるとガラス形成が困難となる。より好ましくは40〜90モル%である。もっとも好ましくは55〜90モル%である。
本発明に係るテルル系ガラスは、酸化テルル以外に、ガラス形成を補う補助成分として、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化タングステンから選ばれる少なくとも1以上を含む。これらの成分は、条件付網目形成成分である酸化テルルを修飾することにより、格段にガラス化を促進する成分である。
テルル系ガラスが酸化ホウ素を含む場合には、無色で透光性良く、耐久性に優れた保護膜が得られやすい。酸化ホウ素の含有量は、ガラス全体に対し酸化物換算で0〜25モル%であり、25モル%を越えると軟化点が高くなる、あるいは分相による耐久性劣化を招く恐れがある。より好ましくは8〜25モル%である。
テルル系ガラスが酸化ゲルマニウムを含む場合には、無色で透光性良く、耐久性に優れた保護膜が得られやすい。酸化ゲルマニウムの含有量は、好ましくはガラス全体に対し酸化物換算で0〜60モル%であり、60モル%を越えると軟化点が高くなりやすい。より好ましくは5〜50モル%である。
テルル系ガラスが酸化タングステンを含む場合には、ガラス化範囲が広がり、また結晶化を抑えやすく、ガラスとしての安定化に寄与する。酸化タングステンの含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜45モル%であり、45モル%を越えるとガラス形成が困難となる。より好ましくは5〜40モル%である。
本発明に係るテルル系ガラスは、更に第三成分として、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ビスマス、酸化ガリウムの何れか1以上を含むことが好ましい。また、本発明に係るテルル系ガラスが補助成分として酸化ゲルマニウム及び酸化タングステンを含まず、55モル%未満の酸化テルルを含む場合、第三成分として、アルカリ金属酸化物、酸化アルミニウムの何れか1以上を含む。
テルル系ガラスが酸化亜鉛を含む場合には、ガラス化範囲が広がり、また結晶化を抑えやすく、ガラスとしての安定化に寄与する。酸化亜鉛の含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜60モル%であり、60モル%を越えるとガラス形成が困難となる。より好ましくは10〜55モル%である。
テルル系ガラスが酸化アルミニウムを含む場合には、ガラス化範囲が広がり、また化学的耐久性が向上する。酸化アルミニウムの含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜25モル%であり、25モル%を越えると軟化点が高くなりやすい。より好ましくは3〜20モル%である。
テルル系ガラスがアルカリ金属酸化物を含む場合には、ガラスの軟化点が下がり、ガラス化範囲が広がり、結晶化を抑えられ、無色で透光性良い保護膜が得られやすい。アルカリ金属酸化物の含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜45モル%であり、45モル%を越えるとガラス形成が困難となり、耐候性も低下する恐れがある。より好ましくは5〜40モル%である。
なお本発明のガラス組成物を適用する基体がITO基板の場合、ガラス中のアルカリ金属酸化物がITOと反応する場合がある。それ故、その場合はアルカリ金属酸化物を実質的に含まないようにすることが好ましい。
テルル系ガラスがアルカリ土類金属酸化物を含む場合には、ガラス化範囲が広がり、また結晶化を抑えやすい。アルカリ土類金属酸化物の含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜40モル%の範囲であり、40モル%を越えるとガラス形成が困難となり、耐候性も低下する恐れがある。より好ましくは5〜30モル%である。
テルル系ガラスが酸化チタンを含む場合には、無色で透光性良く、高強度で耐久性に優れた保護膜が得られやすい。酸化チタンの含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜30モル%であり、30モル%を越えると結晶化が顕著となりガラス形成も困難となる。より好ましくは1〜20モル%である。
テルル系ガラスが酸化セリウムを含む場合には、高強度で耐久性に優れた保護膜が得られやすい。酸化セリウムの含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜20モル%であり、20モル%を越えるとガラス形成が困難となり、着色の可能性も高くなる。より好ましくは1〜15モル%である。
テルル系ガラスが酸化ビスマスを含む場合には、化学的耐久性及び硬度が向上する。酸化ビスマスの含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜25モル%であり、25モル%を越えると結晶化が顕著となりガラス形成も困難となり、着色の可能性も高くなる。より好ましくは1〜20モル%である。
テルル系ガラスが酸化ガリウムを含む場合には、結晶化を抑えやすい。酸化ガリウムの含有量は、好ましくはガラス全体に対して酸化物換算で0〜25モル%の範囲であり、25モル%を越えるとガラス化が困難となる。より好ましくは5〜20モル%である。
本発明に係るテルル系ガラスは、その作用効果を損なわない限りにおいて、他の成分の含有を除外するものではないが、鉛成分は実質的に含まないことが望ましい。
本発明に係るテルル系ガラスは、その軟化点が500℃以下であり、その結果、本発明のガラスペーストは600℃以下で焼成できる。
なお、本明細書ではテルル系ガラスの組成を酸化物換算で表記しているが、ガラス原料として上述の金属酸化物を使用することを意味するものでもない。例えばガラス原料としては、酸化物以外に、水酸化物や炭酸塩等を用いても良い。
テルル系ガラスの製法には特に制限はなく、上述したガラス原料を所定の割合で秤量、混合した後、高温で加熱、溶融し、均質化した後、急冷し、粉砕することにより製造することができる。なお、ガラス原料として酸化テルルを用いる場合、溶融温度が1100℃を越えると揮発する可能性が高くなるため、補助成分や第三成分との組合せや配合比の調整により、1100℃以下で溶融できる組成を選択する。すなわち、本発明におけるガラス組成物は、テルル系ガラス製造時に1100℃以下で溶融することができるものである。テルル系ガラス製造時の、より好ましい溶融温度は1000℃以下であり、最も好ましくは900℃以下である。
ガラスペーストには、600℃以下で焼成可能な範囲において、上述したテルル系ガラスフリット以外に、他のガラスフリットを併用して用いても良い。テルル系以外のガラスフリットとしてはSiO−B系、SiO−B−ZnO系、SiO−Bi系、B−ZnO系等の従来知られているガラスをフリットにして適宜組み合わせることができる。
ガラスペーストにおけるガラスフリットの含有量は、保護膜形成用途として通常含まれ得る量で構わないが、一例として、ペースト全体100重量部に対して、10〜90重量部である。10重量部より少ないと、基体を保護し得る緻密で平滑な面が得られず、90重量部を超えると乾燥時に平滑性が損なわれるといった問題が生じやすい。
またガラスフリットの平均粒径は、通常のガラスペーストに使用される範囲であれば特に制限はないが、好ましくは平均粒径が0.3〜5μmであることが好ましい。
ガラスペーストには、その他必要により、本発明の効果を損なわない範囲で、通常添加され得る可塑剤、粘度調整剤、界面活性剤、酸化剤、金属酸化物、金属有機化合物、フィラー等を適宜配合することができる。
ガラスペーストは、前述したテルル系ガラスフリット、適宜添加剤と共に有機ビヒクルと混合され、スクリーン印刷その他の印刷方法に適したレオロジーのペースト、塗料、またはインク状とされる。
有機ビヒクルとしては特に限定はなく、ガラスペーストのビヒクルとして通常使用されている有機バインダや溶剤等が適宜選択して配合される。例えば有機バインダとしては、セルロース類、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ロジンエステル等が、また溶剤としてはアルコール系、エーテル系、エステル系、炭化水素系等の有機溶剤や水、これらの混合溶剤が挙げられる。ここで有機ビヒクルの配合量は特に限定されるものではなく、ガラスフリットを含む無機成分をペースト中に保持し得る適切な量で、塗布方法等に応じて適宜調整される。一例として、ガラスフリット100重量部に対して有機ビヒクルは50〜150重量部程度である。
ガラスペーストは、焼成後の膜厚が50μm以下となるよう、前述したスクリーン印刷の他、適宜方法により基体上に塗布された後、必要に応じて乾燥され、焼成されることによって保護膜となる。この保護膜は、液晶などのディスプレイパネルやタッチパネルのハードコート、電極あるいは半導体を含む電子回路の絶縁膜の他、表面保護が求められる汎用品などに用いることができる。この際、本発明のガラスペーストは、上記パネル類、金属板、セラミックス素体などの基体上に塗布される。
本発明においてガラスペーストの焼成温度は600℃以下であり、好ましくは580℃以下である。焼成温度に特に下限はないが、焼成によって有機ビヒクルを分解除去するためには400℃以上が好ましい。焼成時間に制限はなく、一例としては1時間以内、好ましくは10分以内で焼成することができる。焼成雰囲気は空気中、窒素等の非酸化性雰囲気中の何れでも構わないが、本発明をITO基板に対して適用する場合は非酸化性雰囲気で焼成することが好ましい。
以上のように、本発明のガラスペーストは、600℃以下の低温で焼成でき、保護膜を形成する基体の耐熱性がそれほど高くなくても適用可能である。また、本発明のガラスペーストを焼成することによって得られた保護膜は、強固且つ緻密で、硬度、耐熱性、耐候性に優れている。
〔試料1〜41〕
以下のようにしてガラスフリットを作成した。
表1、2に記載した酸化物組成になるようガラス原料を調合し、アルミナルツボまたは金ルツボを用いて加熱した。表1、2の酸化物組成はモル%で示す。表1、2では、900℃で溶融した試料を◎、1000℃で溶融した試料を○、1100℃で溶融した試料を△、1200℃まで温度を上げても溶融しなかった試料を×で表す。溶融温度が1100℃を超えると揮発する可能性が高くなるため好ましくない。次いで、1200℃でも溶融しなかった試料3、6、11、12、17、18、20、21を除く各試料をグラファイト上に流出させて急冷し、得られたガラスをボールミルを用いて微粉砕し、平均粒径0.8〜1.6μmにそろえた。
得られたガラスフリットについて、示差熱分析装置(ブルカー TG−DTA2020S)を用いて軟化点(Ts)を測定し、その結果を表3、4に併記した。
〔ガラスペースト〕
上述のようにして得られた試料1、2、4、5、7〜10、13〜16、19、22〜41のガラスフリットと、アクリル樹脂系バインダをテルピネオールに溶解したビヒクルとを3本ロールミルで混練してガラスペーストを作成した。得られた各ペーストを、焼成後の膜厚が1μmになるようにスライドガラス上にキャスティング法により塗布した後、150℃で10分間乾燥させ、ピーク温度550℃で10分間の焼成を行った。
得られた焼成体の状態(膜化の状態)を光学顕微鏡で観察し、その結果を表3、4に併記した。表3、4では、しわができたり、穴ができたりせず、連続性を有する平滑な膜が形成された試料を◎で表す。そして、島状の膜が形成された試料を○、乾燥時とほとんど変化なく膜化しなかった試料を×で表す。膜化した膜の厚さは、0.3〜5μmであった。
膜化した試料、すなわち膜化の評価が◎又は○の試料については、分光光度計(日本分光V-570)を用いて、これらの膜の透過率を測定し、その結果を表3、4に併記する。また、これらの膜に対して、JIS K5600-5-4に準じた鉛筆硬度試験を行い、その結果を表3、4に併記する。
硬度の評価(判断)基準
◎:5H以上
○:H以上
×:H未満
透過率の評価(判断)基準
◎:光透過率80%以上
○:光透過率70%以上
△:光透過率60%以上
×:光透過率60%未満
本実施例において、膜化及び硬度の評価が○以上(◎又は○)であれば保護膜として利用可能である。また、透過率が低くても用途によっては保護膜として利用できるが、タッチパネルやディスプレイのハードコートなどに適用する場合には、透過率が高い方が視認性が向上するため好ましい。
試料16、28、40は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上の酸化テルル、及び酸化タングステンを含み、軟化点が500℃以下であった。試料7、8、10、33、39は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上の酸化テルル、及び酸化ゲルマニウムを含み、軟化点が500℃以下であった。これらの試料は、膜化及び硬度の評価が○以上であり、良好な保護膜を得ることができた。
一方、試料15、17は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上の酸化テルル、及び酸化タングステンを含むが、軟化点が500℃以下ではなかった。なお、ここで軟化点が500℃以下ではない試料には、軟化点が500℃より高い試料の他、1200℃でも溶融せず、1100℃以下でガラス化できない試料も含まれる。試料15、17を用いても、良好な保護膜を得ることができなかった。
試料4、9、34、35は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上の酸化テルル、25モル%以下の酸化ホウ素、及び少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含み、軟化点が500℃以下であった。なお、実施例ではアルカリ金属酸化物の原料として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムを用いた。これらの試料は、膜化の評価が◎、硬度の評価が○以上であり、良好な保護膜を得ることができた。また、いずれも十分な透過率を有した。
一方、試料3は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上の酸化テルル、25モル%以下の酸化ホウ素、及び少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含むが、軟化点が500℃以下ではなかった。この試料を用いても、良好な保護膜を得ることができなかった。
試料2、4、13、14、22、24、25、27、29−38は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上の酸化テルル、25モル%以下の酸化ホウ素、及び酸化アルミニウムを含み、軟化点が500℃以下であった。これらの試料は、膜化の評価が◎、硬度の評価が○以上であり、良好な保護膜を得ることができた。
一方、試料1、3、5、6、11、12、18、21、23は、酸化テルル、酸化ホウ素、及び酸化アルミニウムを含むが、軟化点が500℃以下ではなかった。なお、試料1の酸化テルルの含有量が30モル%より少なく、試料6、21の酸化ホウ素の含有量が25モル%より多い。試料1の組成は、特許文献3(特開2000−264676号公報)に記載された発明の範囲内のものである。これらの試料を用いても、良好な保護膜を得ることができなかった。
試料22、24−27、29−38、41は、ガラス全体に対して酸化物換算で55モル%以上の酸化テルル、及び25モル%以下の酸化ホウ素を含み、軟化点が500℃以下であった。これらの試料は、膜化の評価が◎、硬度の評価が○以上であり、良好な保護膜を得ることができた。これらの中で、酸化アルミニウムを含み、酸化テルルと酸化ホウ素と酸化アルミニウムの合計が95モル%以上である試料27、32、38は、硬度の評価が◎、透過率の評価が○以上であり、特に優れた結果を示した。また、上記試料27、32、38は、製造時に全て900℃で溶融でき、製造性も優れていた。反対に、成分の組み合わせ等に関係なく、本発明に係るガラスペーストにおいて、ガラスの溶融温度が900℃以下である試料2、4、16、27、29、31−33、37−39は、いずれも膜化及び硬度が◎であり、特に優れた結果を示した。
一方、試料23は、ガラス全体に対して酸化物換算で55モル%以上の酸化テルル、及び25モル%以下の酸化ホウ素を含むが、軟化点が500℃以下ではなかった。この試料を用いても、良好な保護膜を得ることができなかった。
また、試料19は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上55モル%未満の酸化テルル、及び25モル%以下の酸化ホウ素を含むが、アルカリ金属酸化物、酸化アルミニウムいずれも含まない。試料20は、ガラス全体に対して酸化物換算で30モル%以上55モル%未満の酸化テルル、及び酸化ホウ素を含むが、アルカリ金属酸化物、酸化アルミニウムいずれも含まない。さらに、酸化ホウ素の含有量が25モル%を超えている。なお、試料20の組成は、特許文献4(特開2009−10206号公報)に記載された発明の範囲内のものである。これらの試料を用いても、良好な保護膜を得ることができなかった。
Figure 0005994650
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Claims (6)

  1. 少なくともガラスフリットと有機ビヒクルを含み、基体上に塗布・焼成されて当該基体上に膜厚50μm以下の保護膜を形成するために用いられるガラス組成物であって、
    前記ガラスフリットが、網目形成成分としての酸化テルルと、酸化ホウ素を必須成分として含み、且つ、前記酸化テルルの含有量が55モル%以上、前記酸化ホウ素の含有量が25モル%以下であり、
    前記ガラスフリットの軟化点が500℃以下であることを特徴とする保護膜形成用ガラス組成物。
  2. 前記ガラスフリットが酸化アルミニウムを必須成分としてさらに含み、
    前記酸化テルルと前記酸化ホウ素と前記酸化アルミニウムの含有量の合計が95モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の保護膜形成用ガラス組成物。
  3. 少なくともガラスフリットと有機ビヒクルを含み、基体上に塗布・焼成されて当該基体上に膜厚50μm以下の保護膜を形成するために用いられる組成物であって、
    前記ガラスフリットが、網目形成成分としての酸化テルルと、酸化ホウ素と、アルカリ金属酸化物及び酸化アルミニウムから選ばれる1以上とを必須成分として含み、且つ、前記酸化テルルの含有量が30モル%以上、前記酸化ホウ素の含有量が25モル%以下であり、
    前記ガラスフリットの軟化点が500℃以下であることを特徴とする保護膜形成用ガラス組成物。
  4. 少なくともガラスフリットと有機ビヒクルを含み、基体上に塗布・焼成されて当該基体上に膜厚50μm以下の保護膜を形成するために用いられるガラス組成物であって、
    前記ガラスフリットが、網目形成成分としての酸化テルルと、酸化タングステン及び酸化ゲルマニウムから選ばれる1以上とを必須成分として含み、且つ、前記酸化テルルの含有量が30モル%以上、酸化ホウ素の含有量が25モル%以下であり、
    前記ガラスフリットの軟化点が500℃以下であることを特徴とする保護膜形成用ガラス組成物。
  5. 前記ガラスフリットが酸化ビスマスを必須成分としてさらに含み、
    前記酸化ビスマスの含有量が25モル%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の保護膜形成用ガラス組成物。
  6. 前記ガラスフリットと前記有機ビヒクルを混合することにより、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の保護膜形成用ガラス組成物を製造する方法であって、
    前記ガラスフリットは、ガラス原料を900℃以下で溶融し、冷却することにより製造されることを特徴とする保護膜形成用ガラス組成物の製造方法。
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