JP5990370B2 - 防水板装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、このように自動に防水板が上昇することに対して問題点もあった。例えば、浸水しそうな状況となり、安全のために住人等が避難をするに際して、防水板装置に既に水が流入していたために、防水板の上昇が完了していた場合、又は避難中に防水板が上昇してきた場合には避難の妨げになる虞がある。また、洪水等の水害時以外に何らかの理由で防水板装置に水が流入した場合にも防水板は上昇してしまい、予期せぬ事態を招く虞もあった。この他、任意により自動で防水板を上昇させたくない場合も考える必要があった。
なお、本実施形態では図1(a)、図1(b)の紙面斜め左下方、及び図3、図4の紙面左が通路入側を表し、その反対側が通路出側を表している。従って図2は通路入側から防水板装置1を見た図である。すなわち、水害時等には、通路入側から水が侵入する。
ここで、仕切り部材10と仕切り部材11との間隙により集水ピット13が形成され、仕切り部材11と仕切り部材12との間隙により防水板収容ピット14が形成される。
また、集水ピット13の上端開口にはフタ部材18が被せられるように配置され、通路面の一部を形成している。フタ部材18の路面側となる表面には、複数の凸部が形成されていることが好ましい。これにより、歩行者や車両のスリップが防止される。
このような取水溝15は、仕切り部材10よりも通路入側に配置される。
防水板17は、水を堰き止めるための堰板となる防水板本体17aと、防水板本体17aの上端部に固着されて路面の一部となる鋼板製のフタ部材17bとを備えている。
一方、防水板17のうち通路入側下部には、押さえ部材20に対応する押さえ部材21が備えられている。押さえ部材21も押さえ部材20と同様に傾斜する部位を有している。
また、防水板収容ピット14の壁面のうち通路出側上部には止水パッキン22が配置されている。
支柱24は、集水バケット16の底部から立設する部材である。傾動部材25は、支柱24の上部に設けられた回動軸の一方と他方に延びるように形成された部材である。従って傾動部材25は回動軸を中心にその傾きを変えることができる。
浮動部材26は、傾動部材25のうち一端側に設けられた浮き部材で、水に浮くことができるように構成された部材である。
栓27は、傾動部材25のうち他端側に設けられた栓であり、集水バケット16に設けられた排水口16aを閉鎖可能な位置に配置されている(図6参照)。
すなわち、集水バケット16内に水が流入していないときや、水が流入していても少量であって排水口16aからの排水量で足りるときには、集水バケット16内に水が貯留することがなく、図5に示した姿勢が保持される。
一方、洪水時等において、集水バケット16内に多量の水が流入したときには、排水口16aによる排水が間に合わないので、集水バケット16内に水が貯留し、浮動部材26が上昇するので図6に示した姿勢となり、栓27が排水口16aを閉鎖する。
筐体30は機構収容部3の外殻を形成する部材であり、箱状とされることによりその内側に伝達機構31を含むことができるように構成されている。従って筐体30は板状の部材が組み合わされる等して形成されている。
伝達機構31は、吊り上げチェーン32、第一ガイドスプロケット35、第二ガイドスプロケット36、連結ブラケット37、移動スプロケット38、ロック機構39、及び防水板押しつけ部材45、46を備えている。
また、吊り上げチェーン32の両端間は、後述する第一ガイドスプロケット35、第二ガイドスプロケット36、及び移動スプロケット38に巻き掛けられることにより筐体30内に保持される。
また、第一ガイドスプロケット35は、防水板17の上方に配置され、その高さ位置(図3、図4の紙面上下方向位置)は、防水板17が最も上昇した姿勢でも該防水板17を吊り上げチェーン32で保持することができる位置である。一方、第一ガイドスプロケット35の通路出入側方向の位置(図3、図4の紙面左右方向位置)は、特に限定されることはないが、第一ガイドスプロケット35の通路出側(図3、図4の紙面右側)から吊り下げチェーン32の一端側が鉛直下方に延び、その一端が防水板17に固定される形態となることが好ましい。これによれば防水板17を真上に引き上げることが可能となり、防水板17のより円滑な上下動が図られる。
第二ガイドスプロケット36は、上記第一ガイドスプロケット35よりも通路入側(図3、図4の紙面左側)に配置され、その高さ位置も第一ガイドスプロケット35と概ね同じとされている。
ロック歯車41は、防水板上昇禁止手段を構成する1つであり、係止部材42のロック用突起43cが係止可能な複数のロック歯が外周に形成されているロック用の歯車である。ロック歯車41は、図7、図8からわかるように第二ガイドスプロケット36に同軸に設けられ、ロック歯車41と第二ガイドスプロケット36とは常に連動するように固定されている。
本体43は、図7、図8からわかるように、この視点において短い下底と、下底より長い上底を有する略台形の部材で、下底側に矩形の切り欠き43dを有している。さらに本体43の上底の端部には、ラチェット歯車40に近い端部には、防水板下降禁止手段を構成する1つの部材である係止突起43bが突出するように設けられ、ロック歯車41に近い端部には、防水板上昇禁止手段を構成する1つの部材であるロック用突起43cが突出するように備えられている。また、本体43は、上底の中央近くに設けられた軸43aを中心に回動可能とされている。
切り替え手段44は偏心した円板状の部材である偏心円板44aを備えている。該偏心円板44aは、本体43の切り欠き43dの内側に配置される。これによれば、例えば図7の姿勢において、偏心円板44aの長い径が右側に存し、このときには本体43は、係止突起43bがラチェット歯車40に係止することができるように紙面右上に傾いている。これに対して偏心円板44aを回転させて図8に示したような姿勢とすれば、偏心円板44aの長い径は左側となり、偏心円板44aが切り欠き43dの内壁を押圧して本体43の傾きを変えることができる。すなわち、このときには本体43はロック用突起43cがロック歯車41に係止することができるように紙面左上に傾いている。
ロック歯車41とロック用突起43cとが係止した姿勢では、ロック歯車41はいずれの方向への回動も禁止される。従って、ロック歯車41に連動する第二スプロケット36も同様に回動が禁止される。
なお、このときには係止突起43bはラチェット歯車40のラチェット歯に係止していないので、ラチェット歯車40及び第一ガイドスプロケット35の回動自体は特に禁止されない。
この場合には後述するように、防水板上昇禁止手段が動作し、防水板下降禁止手段が動作しない状態となる。
このとき、本体43の係止突起43bはラチェット歯車40の係止歯に係止されているので、ラチェット歯車40はいずれの方向にも回動することができなくなっている。従って、上記したように、第一ガイドスプロケット35は、ラチェット歯車40に対して一方向のみの回動が許容されており、図7にVIIaで示した方向の回動が許容され、VIIbで示した方向の回動が禁止される。
なお、このときにはロック用突起43cがロック歯車41のロック歯に係止していないので、ロック歯車41及び第二ガイドスプロケット36の回動自体は特に禁止されない。
この場合には後述するように、防水板下降禁止手段が動作し、防水板上昇禁止手段が動作しない状態となる。
なお、図3からわかるように、このときには水抜き手段23を図5に示した姿勢としておき、排水口16aが開放されている。
図3、図9(a)に示した姿勢によれば、通路は開放されているので人や車等の通行を阻害することがない。また、グレーチング15b、フタ部材17b、18により路面にできるだけ段差がないように構成されているので、通行の快適が図られている。
このように防水板17が下降しようとするとき、第一ガイドスプロケット35は図3、図9(a)の視点で時計方向に回転されるはずである。しかしながら、防水板装置1では、ロック機構39が備えられ、本例の場合には当該ロック機構39は係止突起43bがラチェット歯車40の係止歯に係止して防水板下降禁止手段が動作している状態なので、上記したように、第一ガイドスプロケット35の時計方向への回転(図7にVIIbで示した方向の回転)を禁止している。これにより一度上昇した防水板17がその位置よりも降下してしまうことを防止することができる。従って、防水板17が上昇すべくして上昇した後に、意図しない防水板17の下降が起こることを防止することができる。すなわち、防水板17の動作の確実性を向上させることができる。
図3、図4に表れた集水バケット16の開口の縁に沿って設けられたシール部材16aによれば、集水ピット13の内壁面と集水バケット16との隙間を塞ぐことができるので、集水ピット13内への水の浸入を抑制することが可能となる。
また、防水板押さえ20、21及び防水板押しつけ部材45、46によれば、その斜面の接触による楔の効果によって、防水板17を止水パッキン22に押し付けるので止水性の向上が図られる。
より詳しくは、ロック部材39がこのような姿勢とされたときに防水板17が上昇しようとすると、第二ガイドスプロケット36は図8の視点で反時計方向に回転されるはずである。しかしながら、防水板装置1では、ロック機構39が備えられ、本例の場合には当該ロック機構39はロック用突起43cがロック歯車41のロック歯に係止している状態なので、上記したように、第二ガイドスプロケット36の反時計方向への回転(図8にVIIIbで示した方向の回転)を禁止している。これにより防水板17の上昇を禁止することができる。
本体143は、図10、図11からわかるように、この視点において短い下底と、下底より長い上底を有する略台形の部材で、下底側に矩形の切り欠き143dを有している。さらに本体143の上底の端部には、第一ブレーキドラム140に近い端部には第一ブレーキシュー143bが設けられ、第二ブレーキドラム141に近い端部には第二ブレーキシュー143cが備えられている。また、本体143は、図10、図11の紙面左右方向に移動可能とされている。
また第一ブレーキシュー143b、第二ブレーキシュー143cの一端は上記のように本体143に回動可能に固定され、他端は筺体30に回動可能に固定されている。
このような場合においては、上記説明したように防水板17が上昇する方向には第一ガイドスプロケット35の回動が許容され、防水板17が下降する方向には第一ガイドスプロケット35の回動が禁止される。すなわち、第一実施形態の防水板装置1に備えられたロック機構39と同様の効果を奏するものとなる。
なお、このときには第二ブレーキシュー143cは、第二ブレーキドラム141には接触していないので、両者の回動自体は特に禁止されていない。
図11に示した姿勢では、第二ブレーキドラム141はいずれの方向への回動も禁止される。従って、第二ブレーキドラム141に連動する第二スプロケット36も同様に回動が禁止される。
なお、このときには第一ブレーキシュー143bは、第一ブレーキドラム140には接触していないので、両者の回動自体は特に禁止されていない。
このような場合においては、防水板17の上昇及び下降が禁止される。これは、例えば防水板装置を管理する者が近くにいる等して、必ずしも自動に防水板17を上昇させる必要がない場合等、防水板17の自動の上昇を禁止しておくことが望まれるときに用いることができる。この場合には防水板装置を管理する者がその場を離れて無人となるときに、切り替え手段144により図10に示した姿勢とし、自動に防水板17が上昇するように設定すればよい。
2 通路開閉部
3 機構収容部
13 集水ピット
14 防水板収容ピット
15 取水溝
16 集水バケット
17 防水板
23 水抜き手段
31 伝達機構
32 吊り上げチェーン(チェーン)
35 第一ガイドスプロケット(スプロケット歯車)
36 第二ガイドスプロケット(スプロケット歯車)
37 連結ブラケット
38 移動スプロケット
39 ロック機構
40 ラチェット歯車(防水板下降禁止手段)
41 ロック歯車(防水板上昇禁止手段)
43b 係止突起(防水板下降禁止手段)
43c ロック用突起(防水板上昇禁止手段)
44 切り替え手段
139 ロック機構
Claims (1)
- 通路から建物等への浸水を防止するために路面から上昇して水を堰き止め可能に形成される防水板と、
前記防水板を収容可能に前記路面より下に形成される溝状の防水板収容ピットと、
前記防水板収容ピットが形成される通路に設けられ、浸水時に水が流入可能に形成される溝状の集水ピットと、
前記集水ピット内に配置されて該集水ピットに流入した水を貯留し、貯留した水の重量により前記集水ピット内を下降可能に形成される容器である集水バケットと、
前記防水板と前記集水バケットとを直接又は他の部材を介して連結し、前記集水バケットが前記下降する力を前記防水板が前記上昇する力に変換する機構である伝達機構と、を備え、
前記伝達機構には、
前記防水板と前記集水バケットとを連結するチェーンと、
前記チェーンにおける前記防水板と前記集水バケットとの間に配置され、該チェーンを巻き掛ける歯車であるスプロケット歯車と、
前記防水板が上昇することを禁止する防水板上昇禁止手段及び前記防水板が下降することを禁止する防水板下降禁止手段と、
前記防水板上昇禁止手段を作動させて前記防水板下降禁止手段を作動させずに前記防水板の上昇を禁止する状態、及び、前記防水板上昇禁止手段を作動させることなく前記防水板下降禁止手段を作動させて前記防水板の上昇を許容しつつ、一度上昇した前記防水板が下降することを禁止する状態を切り替える切り替え手段と、が設けられ、
前記防水板上昇禁止手段は、
前記スプロケット歯車と同軸に配置され、該スプロケット歯車の回動を禁止可能な突起状の歯であるロック歯を外周に有する歯車であるロック歯車と、
前記ロック歯車の前記ロック歯に係止可能な突起状のロック用突起を具備する係止部材と、を有し、
前記切り替え手段により前記防水板の上昇を禁止する状態であるときには、前記防水板が上昇する方向において前記ロック用突起は前記ロック歯に係止した姿勢を取り、前記スプロケット歯車の回動が禁止され、
前記切り替え手段により前記防水板の上昇を許容しつつ、一度上昇した前記防水板が下降することを禁止する状態であるときには、前記防水板が上昇する方向において前記ロック用突起は前記ロック歯に係止していない姿勢を取り、前記スプロケット歯車の回動が許容される、
防水板装置。
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