しかしながら、前記した特許文献1に記載されたレーザマーキング装置では、レーザ照射ユニットの2個の接続端子部は、レーザ照射ユニットの外側の外気中に突出している。そのため、2個の接続端子部や、メインユニットの制御部から延びる電気ケーブルの接続端子部に接続される部分には、埃や雰囲気中のオイルミスト等が付着する。その結果、レーザ出射ユニットとレーザ照射ユニットとの着脱を繰り返した場合には、電気ケーブルと接続端子部との接続部分に付着した埃やオイルミスト等によって、導通不良などが発生する虞がある。また、各接続端子部に付着した埃やオイルミスト等が、この接続端子部からレーザ照射ユニット内に入って、ガルバノミラーやfθレンズ等に付着する虞がある。
また、前記した特許文献2に記載されたマニホールドでは、端子台を密閉的に覆う保護カバー毎に作業用窓が開設され、各作業窓が開閉蓋によって開閉自在に密閉されているため、配線作業時には、各開閉蓋を個別に開放して配線作業をする必要がある。そのため、複数の端子台の配線を行う場合には、配線作業が煩雑になるという問題がある。また、複数の配線をまとめて配置し、且つ、複数の配線を着脱作業するためのスペースが必要となり、小型化が難しいという問題がある。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、複数のケーブルを電気的に接続する着脱可能なコネクタの導通不良を防止できると共に、複数のコネクタの着脱作業を容易に行うことができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため請求項1に係るレーザ加工装置は、レーザ媒質を有して、励起レーザを受光した前記レーザ媒質が励起されて、パルスレーザを出射する発振器と、前記発振器から出射された前記パルスレーザを走査する走査部と、前記発振器と前記走査部を外気と気密に遮断するように密閉状態で収納する筐体と、前記筐体内に配設された複数の配線ケーブルと、前記発振器に光学的に接続されて該発振器に向けて前記励起レーザを導くファイバケーブルと、前記走査部の駆動電力を供給する電源ケーブルを含み、外部から前記筐体内に挿入されて、それぞれ該筐体内で着脱可能なコネクタを介して前記複数の配線ケーブルと電気的に接続される複数の電気ケーブルと、前記発振器を前記筐体内で支持する支持部材と、前記支持部材が取り付けられる前記筐体内の取付面に対して反対側の該筐体の内側面と前記発振器との間に配置されて、前記複数の電気ケーブルの前記コネクタを保持するコネクタ保持部と、を備え、前記発振器は、前記筐体内において、前記パルスレーザの出射方向である第1方向の一方側に配置され、前記筐体は、前記発振器と前記走査部とが配置された本体ベースと、前記本体ベース上に配置された前記発振器と前記走査部と前記コネクタ保持部を覆うように取り付けられたカバー部材と、前記コネクタ保持部の前記コネクタが配置される配置面に相対向して前記カバー部材に開設された第1開口部を外気と気密に閉塞する蓋部材と、前記発振器の前記第1方向の前記一方側の端面に相対向するように前記カバー部材に開設された第2開口部を外気と気密に閉塞すると共に、前記ファイバケーブルと前記複数の電気ケーブルを挿入可能に構成される挿入部と、を有することを特徴とする。
また、請求項2に係るレーザ加工装置は、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記コネクタ保持部は、前記複数の電気ケーブルが前記第1方向に沿って配置されるように該複数の電気ケーブルの前記コネクタを保持することを特徴とする。
また、請求項3に係るレーザ加工装置は、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記コネクタ保持部は、前記複数の電気ケーブルを挟むように少なくとも2個配置される複数の配線用開口部と、前記複数の配線用開口部のうち、2個の配線用開口部に挿通された状態で前記複数の電気ケーブルを結束して該コネクタ保持部上に固定する少なくとも1つの結束部材と、を有することを特徴とする。
また、請求項4に係るレーザ加工装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレーザ加工装置において、前記発振器と前記コネクタ保持部との間に配置されて、前記発振器から前記コネクタ保持部への熱伝導を断熱する断熱部材を備えたことを特徴とする。
また、請求項5に係るレーザ加工装置は、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のレーザ加工装置において、前記挿入部は、前記ファイバケーブルと前記複数の電気ケーブルが挿通されるケーブル挿通孔を有し、前記コネクタ保持部の前記配置面に対して垂直な方向において、前記ケーブル挿通孔の内周面のうち、前記第1開口部側の端縁部分は、前記配置面よりも前記第1開口部に近い位置に形成されていることを特徴とする。
また、請求項6に係るレーザ加工装置は、請求項5に記載のレーザ加工装置において、前記発振器は、前記第1方向の前記一方側の端面に設けられて、前記ファイバケーブルが光学的に接続されるファイバケーブル接続部を有し、前記ファイバケーブル接続部は、前記ケーブル挿通孔の内周面よりも内側の位置に対向するように配置されていることを特徴とする。
また、請求項7に係るレーザ加工装置は、請求項5又は請求項6に記載のレーザ加工装置において、前記挿入部は、前記ケーブル挿通孔を閉塞すると共に、前記ファイバケーブルと前記複数の電気ケーブルの外周面に密着して、前記ファイバケーブルと前記複数の電気ケーブルを保持する弾性部材を有することを特徴とする。
また、請求項8に係るレーザ加工装置は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のレーザ加工装置において、前記発振器は、前記筐体内の前記コネクタ保持部の前記配置面に平行で、前記第1方向に交差する第2方向において一方側に配置されていることを特徴とする。
また、請求項9に係るレーザ加工装置は、請求項8に記載のレーザ加工装置において、前記第1開口部は、前記コネクタ保持部の前記配置面に相対向するように前記第2方向において前記一方側に開設され、前記蓋部材は、前記第1開口部を外気と気密に閉塞するように前記第2方向において前記一方側に配設されていることを特徴とする。
また、請求項10に係るレーザ加工装置は、請求項8又は請求項9に記載のレーザ加工装置において、前記第2開口部は、前記発振器の前記第1方向の前記一方側の端面に相対向するように前記第2方向において前記一方側に開設され、前記挿入部は、前記第2開口部を外気と気密に閉塞するように前記第2方向において前記一方側に配設されていることを特徴とする。
更に、請求項11に係るレーザ加工装置は、請求項8乃至請求項10のいずれかに記載のレーザ加工装置において、前記走査部を駆動するドライバを備え、前記ドライバは、前記筐体内の前記第2方向において他方側に、前記発振器に対向して配置され、前記コネクタ保持部の前記配置面は、前記第1方向及び第2方向に対して直交する第3方向において、前記ドライバの前記蓋部材側の端面よりも前記取付面側に位置することを特徴とする。
請求項1に係るレーザ加工装置では、発振器に励起レーザを導くファイバケーブルは、発振器に光学的に接続されている。走査部の駆動電力を供給する電源ケーブルを含む複数の電気ケーブルは、外部から筐体内に挿入されて、それぞれ筐体内で着脱可能なコネクタを介して筐体内に配設された配線ケーブルと電気的に接続されている。複数の電気ケーブルのコネクタは、発振器を支持する支持部材が取り付けられる筐体内の取付面に対して反対側の筐体の内側面と発振器との間に配置されたコネクタ保持部に保持されている。
また、筐体は、発振器と走査部とが配置された本体ベースと、本体ベース上に配置された発振器と走査部とコネクタ保持部を覆うように取り付けられたカバー部材とから構成されている。また、蓋部材は、コネクタ保持部のコネクタが配置される配置面に相対向するようにカバー部材に開設された第1開口部を気密に閉塞している。更に、挿入部は、発振器のパルスレーザの出射方向である第1方向の一方側の端面に相対向するようにカバー部材に開設された第2開口部を気密に閉塞すると共に、ファイバケーブルと複数の電気ケーブルを挿入可能に構成されている。
これにより、電源ケーブルを含む複数の電気ケーブルと筐体内に配設された配線ケーブルを電気的に接続する着脱可能なコネクタは、筐体内に配置されたコネクタ保持部に保持され、外気と気密に遮断されるため、外気中の埃やオイルミスト等がコネクタに付着して発生する導通不良を確実に防止することができる。また、ファイバケーブルと複数の電気ケーブルは、挿入部から筐体内へ挿入されるため、外気中の埃やオイルミスト等が挿入部から筐体内へ入ることを確実に防止することができる。
また、カバー部材から蓋部材を取り外すことによって、第1開口部を介して複数の電気ケーブルのコネクタの着脱操作を行うことが可能となり、複数のコネクタの着脱作業、及び、複数の電気ケーブルのコネクタ保持部への取り付け作業を容易に行うことができる。また、複数の電気ケーブルのコネクタをコネクタ保持部に保持させることによって、筐体内の複数の電気ケーブルと配線ケーブルの引き回しを容易に整列することができる。
また、ファイバケーブルと複数の電気ケーブルを挿入部から外部に引き出すことができ、外部への配線引き出しを容易に行うことが可能となる。また、発振器を支持する支持部材が配置される本体ベースの取付面に対して反対側のカバー部材の内側面と支持部材との間に、コネクタ保持部を配置することによって、筐体内の空間を有効に活用することが可能となり、筐体の小型化、つまり、レーザ加工装置の小型化を図ることができる。
また、発振器を、筐体内の本体ベース上において、パルスレーザの出射方向である第1方向の一方側に配置し、ファイバケーブルと複数の電気ケーブルを筐体内へ挿入する挿入部が、発振器の第1方向の一方側の端面に相対向するようにカバー部材に開設された第2開口部を閉塞するように設けられる。これにより、筐体の第1方向の小型化を容易に図ることができる。また、ファイバケーブルと複数の電気ケーブルを筐体内へ挿入する挿入部を、第1方向において、発振器及びコネクタ保持部に相対向するように設けることができ、ファイバケーブルと複数の電気ケーブルをほぼ直線状に外部へ引き出すことが可能となる。
また、請求項2に係るレーザ加工装置では、コネクタ保持部上に、複数の電気ケーブルが発振器の出射方向である第1方向に並んで配置されるため、ユーザは、第1開口部を介してコネクタの着脱作業を連続して容易に行うことができる。
また、請求項3に係るレーザ加工装置では、複数の電気ケーブルは、発振器の出射方向である第1方向に並んで配置された状態で、結束部材によってコネクタ保持部上に結束して固定することができ、複数の電気ケーブルを一箇所にまとめて配置することができる。
また、請求項4に係るレーザ加工装置では、断熱部材が発振器とコネクタ保持部との間に配置されているため、発振器の熱がコネクタ保持部上の複数のケーブルへ熱伝導することを防止し、各ケーブル及び各コネクタの温度上昇を防止することができる。
また、請求項5に係るレーザ加工装置では、コネクタ保持部の配置面に対して垂直な方向において、ファイバケーブルと複数の電気ケーブルが挿通されるケーブル挿通孔は、内周面の第1開口部側の端縁部分が、コネクタ保持部のコネクタが配置される配置面よりも第1開口部に近い位置に形成されている。これにより、複数の電気ケーブルをケーブル挿通孔へコネクタ保持部の配置面に対して平行に挿入することが可能となり、複数の電気ケーブルを極端に折り曲げることを防止でき、配線作業を容易に行うことができる。
また、請求項6に係るレーザ加工装置では、ファイバケーブルを発振器の第1方向の一方側の端面に設けられたファイバケーブル接続部に接続した後、第1方向に沿ってケーブル挿通孔に挿通することができる。これにより、ファイバケーブルを極端に折り曲げることを防止でき、配線作業を容易に行うことができる。
また、請求項7に係るレーザ加工装置では、挿入部に挿入されたファイバケーブルと複数の電気ケーブルは、弾性部材によって外部と気密に遮断されるため、筐体内の防塵、防水を図ることができる。
また、請求項8に係るレーザ加工装置では、発振器は、コネクタ保持部のコネクタが配置される配置面に平行で、筐体内の第1方向に交差する第2方向において一方側に配置される。これにより、筐体内の第2方向において他方側にドライバ等を配置するスペースを容易に確保することが可能となり、筐体の小型化、つまり、レーザ加工装置の小型化を図ることができる。
また、請求項9に係るレーザ加工装置では、蓋部材は、第2方向において一方側に開設された第1開口部を外気と気密に閉塞するように、第2方向において一方側に配設されている。これにより、第1開口部を小さくして蓋部材の小型化を図りつつ、ユーザは、第1開口部を介してコネクタの着脱作業を容易に行うことができる。
また、請求項10に係るレーザ加工装置では、挿入部は、第2方向において一方側に開設された第2開口部を外気と気密に閉塞するように、第2方向において一方側に配設されている。これにより、ファイバケーブルのコネクタを発振器の第1方向の一方側の端面に設けられたファイバケーブル接続部に接続した後、第1方向に沿ってケーブル挿通孔に挿入することができ、ファイバケーブルを極端に折り曲げることを防止でき、配線作業を容易に行うことができる。
更に、請求項11に係るレーザ加工装置では、蓋部材の内側面とコネクタ保持部のコネクタが配置される配置面との間に、コネクタを配置するスペースが必然的に形成される。従って、筐体内にコネクタを配置するスペースを余分に設ける必要がなく、筐体内の空間を有効に利用して、筐体の小型化、つまり、レーザ加工装置の小型化を図ることができる。
以下、本発明に係るレーザ加工装置について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るレーザ加工装置1の概略構成について図1乃至図9に基づいて説明する。尚、以下のレーザ加工装置1の説明において、レーザ発振器41からパルスレーザLを出射する方向が、レーザ加工装置1の前方向である。また、本体ベース2のレーザ発振ユニット4を取り付けた取付面に対して垂直方向が、レーザ加工装置1の上下方向である。そして、レーザ加工装置1の上下方向及び前後方向に直交する方向が、レーザ加工装置1の左右方向である。
[レーザ加工装置1の概略構成]
図1乃至図5に示すように、レーザ加工装置1は、アルミニウム、ステンレス等の金属を加工して形成された平面視略矩形状の本体ベース2と、本体ベース2上に配置されたレーザ出力部3を覆うカバー部材8と、本体ベース2の下面に取り付けられた冷却ユニット9等から構成されている。本体ベース2上に配置されたレーザ出力部3は、パルスレーザLを出射するレーザ発振ユニット4、ガルバノスキャナ5、fθレンズ6、及びガルバノドライバ7等から構成される。
つまり、レーザ加工装置1は、本体ベース2とカバー部材8とによって構成される略直方体形状の筐体10内にレーザ出力部3を収納している。例えば、筐体10は、左右方向幅約174mm、前後方向幅約383mm、及び、上下方向高さ約163mmに形成された略直方体形状に構成されている。従って、レーザ加工装置1は、パルスレーザLを出射するレーザ発振ユニット4、パルスレーザLを2次元走査するガルバノスキャナ5等を、後述のように外気と気密に遮断するように密閉状態で筐体10内に収納する。
本体ベース2側が開口された略箱体状のカバー部材8の天井部には、平面視略矩形状の開口部11が、レーザ発振ユニット4のほぼ全長に対向するように前後方向に開設されると共に、天井部の左右方向にほぼ全幅に渡って開設されている。ここで、開口部11は、例えば、左右方向幅約92mmで、前後方向幅約180mmに形成されている。
そして、平面視略矩形状の蓋部材12が、開口部11の上側を全面に渡って覆うように、各ネジ13でカバー部材8にネジ止めされている。また、蓋部材12の下面には、略矩形状のOリング形に形成された密封材15が、開口部11を囲むように取り付けられている。その結果、蓋部材12をカバー部材8の上端面にネジ止めすることによって、密封材15が弾性変形して圧縮され、防塵防水が可能な程度に隙間を気密に閉塞する。
そして、カバー部材8は、本体ベース2の上側を全面に渡って覆うように、各ネジ16で本体ベース2にネジ止めされている。また、本体ベース2の外周部の上端面には、略矩形状のOリング形に形成された密封材17が取り付けられている。その結果、カバー部材8を本体ベース2の上端面にネジ止めすることによって、密封材17が弾性変形して圧縮され、防塵防水が可能な程度に隙間を気密に遮断するように密封する。
カバー部材8の後側の側壁部には、レーザ発振ユニット4の後側に対向するように配線用孔8Aが形成されている。そして、配線用孔8Aを閉塞するように、不図示のコントローラに電気的に接続された複数の電気ケーブル18と光ファイバケーブル19を挿通する防水型コネクタ21が、ネジ止めにより取り付けられている。防水型コネクタ21のカバー部材8側の基端部の周縁には、全周に渡って弾性変形可能なOリング22が取り付けられている。その結果、防水型コネクタ21をカバー部材8にネジ止めすることによって、Oリング22が弾性変形して圧縮され、防塵防水が可能な程度に隙間を気密に閉塞する。
図2、図3及び図5に示すように、防水型コネクタ21は、ケーブル挿通孔21A内に各電気ケーブル18と光ファイバケーブル19を挿入可能、且つ、各電気ケーブル18と光ファイバケーブル19の外周面に密着するゴム等の弾性部材23が嵌入されている。例えば、防水型コネクタ21の外径は約54mmで、ケーブル挿通孔21Aの内径は約34mmである。
これにより、防水型コネクタ21のケーブル挿通孔21Aに嵌入された弾性部材23が弾性変形して圧縮される。その結果、弾性部材23は各電気ケーブル18と光ファイバケーブル19を防塵防水の可能な程度に外気と気密に遮断すると共に、ケーブル挿通孔21Aを閉塞する。従って、各電気ケーブル18と光ファイバケーブル19は、外気と気密に遮断された状態で、防水型コネクタ21のケーブル挿通孔21Aから筐体10内へ挿入される。また、電気ケーブル18には、ガルバノドライバ7へ電源を供給する電源ケーブル18B、各種制御信号又は検出信号等を送信する信号ケーブル等が含まれている。
各電気ケーブル18の筐体10内へ挿入される先端部には、筐体10内の配線ケーブル等に着脱可能に接続される各ケーブル側コネクタ18Aが電気的に接続されている。光ファイバケーブル19の筐体10内へ挿入される先端部には、レーザ発振器41のファイバ接続端子41Aに着脱可能に接続されるケーブル側コネクタ19Aが光学的に接続されている。また、防水型コネクタ21のカバー部材8に対して反対側の端部には、防水型コネクタ21のケーブル挿通孔21Aから外部に引き出された各電気ケーブル18と光ファイバケーブル19が挿通される配線用ホース25が接続されている。
図5乃至図8に示すように、本体ベース2は、平面視略矩形状の略板状に形成されると共に、外周部の全周に渡って所定高さ(例えば、高さ約3cmである。)上方に延出された側壁部が形成されている。また、本体ベース2の前側約半分の部分は、底面部が下側方向に所定高さ突出して、fθレンズ6を全高さに渡って本体ベース2内に収納して保持可能な結像光学保持部26が形成されている。
結像光学保持部26には、本体ベース2の左右幅方向の中心線27に対してレーザ発振ユニット4から離反する側に、つまり、本体ベース2の右前角部にfθレンズ6が全高さに渡って嵌入される貫通孔28が形成され、fθレンズ6が取り付けられている。また、この結像光学保持部26の下面には、fθレンズ6と位置合わせ用可視半導体レーザ29に対向する部分に略矩形状の開口部30が開設された底板プレート31が複数のネジによってネジ止めされている。また、各ネジの頭部は、底板プレート31の下面に埋め込まれて、底板プレート31の下面から突出しないように構成され、レーザ加工装置1は、底板プレート31を介して不図示の取付台に取り付けられる。
また、開口部30の下側周縁部には、全周に渡って2段の階段状に形成された段差部が形成されている。そして、内側の段差部には、開口部30を全面に渡って覆う略矩形状のガラス板32が嵌め込まれ、外側の段差部には、略矩形の枠状に形成された押さえ枠33がガラス板32の外周部を押圧して密閉するように各ネジ35によって取り付けられている。また、各ネジ35の頭部は、底板プレート31の下面よりも内側に位置するように構成されている。
次に、カバー部材8で覆われるレーザ出力部3の概略構成について図5乃至図8に基づいて説明する。
図5乃至図7に示すように、レーザ出力部3は、レーザ発振ユニット4、光シャッター部36、光ダンパー37、ダイクロイックミラー38、ガイド光部39、ガルバノスキャナ5、fθレンズ6等から構成されている。
図5乃至図8に示すように、レーザ発振ユニット4は、レーザ発振器41、ビームエキスパンダ42、冷却プレート43、外周面冷却部材45、一対のペルチェ素子46、及び放熱プレート47等から構成されている。また、レーザ発振ユニット4の上側には、配線受け板48が、前後両側縁部の両端部から下方に延出された各脚部48Aを放熱プレート47上にネジ止めして取り付けられ、外周面冷却部材45及び冷却プレート43の上側を覆うように配置されている。ここで、レーザ発振器41は、例えば、左右方向幅約36mm、前後方向長さ約116mmで、高さ約24mmに形成されている。配線受け板48は、例えば、左右方向幅約70mmで、前後方向長さ約128mmに形成されている。
レーザ発振器41は、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成され、加工対象物49の加工面49Aにマーキング(印字)加工を行うためのパルスレーザLを出射方向である第1光軸L1上に出射する。従って、第1光軸L1上に出射する出射方向が前側方向である。ビームエキスパンダ42は、パルスレーザLのビーム直径を変更(例えば、拡大)するものであり、レーザ発振器41と同軸に設けられている。
ここで、レーザ発振器41の概略構成について図9に基づいて説明する。図9に示すように、レーザ発振器41は、ケーシング91内に、ファイバ接続端子41Aと、集光レンズ92と、反射鏡93と、レーザ媒質95と、受動Qスイッチ96と、出力カプラー97と、ウインドウ98とが配設されている。ケーシング91は、熱伝導性の良いアルミニウムや銅やステンレス等の金属で第1光軸L1方向に長い直方体形状に形成されている。ファイバ接続端子41Aは、レーザ発振器41の後側端面に設けられ、光ファイバケーブル19のケーブル側コネクタ19Aが光学的に接続されて、不図示の励起用半導体レーザから出射された波長λ1の励起レーザが、光ファイバケーブル19を介して入射される。
集光レンズ92は、ファイバ接続端子41Aから入射された励起光を集光する。反射鏡93は、集光レンズ92によって集光された励起レーザを透過すると共に、レーザ媒質95から出射されたレーザ光を高効率で反射する。レーザ媒質95は、不図示の励起用半導体レーザから出射された励起レーザによって励起されてレーザ光を発振する。レーザ媒質95としては、例えば、レーザ活性イオンとしてネオジウム(Nd)が添加されたネオジウム添加ガドリニウムバナデイト(Nd:GdVO4)結晶や、ネオジウム添加イットリウムバナデイト(Nd:YVO4)結晶や、Nd:YAG結晶等を用いることができる。
受動Qスイッチ96は、内部に蓄えられた光エネルギーがある一定値を超えたとき、透過率が80%〜90%になるという性質持った結晶である。従って、受動Qスイッチ96は、レーザ媒質95によって発振されたレーザ光をパルス状のパルスレーザとして発振するQスイッチとして機能する。受動Qスイッチ96としては、例えば、クロームYAG(Cr:YAG)結晶やCr:MgSiO4結晶等を用いることができる。従って、レーザ発振器41は、受動Qスイッチ96を介して波長λ2のパルスレーザLを発振する。
出力カプラー97は、反射鏡93とレーザ共振器を構成する。出力カプラー97は、例えば、表面に誘電体層膜をコーティングした凹面鏡により構成された部分反射鏡で、例えば、波長1063nmでの反射率は、80%〜95%である。ウインドウ98は、合成石英等から形成され、出力カプラー97から出射されたパルスレーザLを外部へ透過させる。
図5及び図8に示すように、レーザ発振器41の下面には、熱伝導性のあるシリコーングリース等の熱伝導材を介して、アルミ等の金属板で形成された冷却プレート43が各ネジ51によってネジ止めにより固定される。熱伝導材は、レーザ発振器41の下面と冷却プレート43との実質的な接触面積を大きくし、熱抵抗を低くする状態で熱的に結合する。
アルミ等の金属板で形成された外周面冷却部材45は、レーザ発振器41の幅寸法とほぼ同じ幅寸法で、レーザ発振器41の高さ寸法とほぼ同じ高さ寸法のレーザ発振器41側が開放された断面コの字状に形成され、レーザ発振器41とほぼ同じ長さに形成されている。そして、外周面冷却部材45は、レーザ発振器41の外周面に上側から嵌め込まれて、各ネジ52で冷却プレート43にネジ止めにより固定される。また、レーザ発振器41の外周面と外周面冷却部材45の内側面との間には、熱伝導材を介在させるようにしてもよい。
更に、一対のペルチェ素子46は、上下面に設けられた熱伝導材を介して、冷却プレート43とアルミ等の金属板で形成された放熱プレート47との間に挟まれた状態で、放熱プレート47の下面から座ぐり孔に挿通された各ネジ53を冷却プレート43にネジ止めすることによって固定される。また、一対のペルチェ素子46は、吸熱面が熱伝導材を介して冷却プレート43に当接され、放熱面が熱伝導材を介して放熱プレート47に当接されている。ここで、冷却プレート43の厚さは、放熱プレート47の厚さよりも小さくなるように形成されている。
また、冷却プレート43の熱が各ネジ53を伝わって放熱プレート47に伝達されないように、各ネジ53のネジ頭と放熱プレート47の各座ぐり孔の間には、樹脂等の断熱材で形成された断熱ワッシャ53Aが挿入されている。そして、放熱プレート47を、熱伝導材を介して、本体ベース2のレーザ発振ユニット取付部2A上に各ネジ55によって固定する。従って、レーザ発振器41は、冷却プレート43及び放熱プレート47によって、筐体10内で支持されている。また、レーザ発振器41を支持する冷却プレート43及び放熱プレート47は、各ネジ55によって筐体10内のレーザ発振ユニット取付部2A上に取り付けられる。
これにより、レーザ発振器41の発熱が、外周面冷却部材45及び冷却プレート43を介して、一対のペルチェ素子46に熱伝達されて吸熱される。また、一対のペルチェ素子46から放熱される放熱エネルギーは、放熱プレート47を介して本体ベース2に熱伝達される。また、図6及び図8に示すように、レーザ発振ユニット4は、本体ベース2の左右幅方向の中心線27に対して、レーザ発振器41の左右幅方向の中心を通る、つまり、レーザ発振器41の左右方向中央部を通るパルスレーザLの第1光軸L1が左側に位置するように、本体ベース2上の左後側角部に固定される。
図4乃至図7に示すように、ガルバノドライバ7は、電源ケーブル18Bを介して電源を供給されると共に、電気ケーブル18を介して制御信号が入力され、ガルバノスキャナ5を駆動制御する。ガルバノドライバ7は、本体ベース2の左右方向において、本体ベース2の右側の側壁の内側に沿って前後方向に配置され、レーザ発振器41の右側に所定距離で、例えば、約3cmの距離で平行に対向するように配置されている。また、ガルバノドライバ7は、例えば、高さ約60mmに形成されている。
また、ガルバノドライバ7の上端面7Aは、カバー部材8の開口部11よりも少し低い高さ、例えば、約1cm低い高さに形成されている。従って、蓋部材12をカバー部材8にネジ止めした場合には、ガルバノドライバ7の上端面7Aは、蓋部材12の内側面12Aと上下方向の隙間を形成している。また、レーザ発振ユニット4の上側を覆う配線受け板48の上端面48Cは、ガルバノドライバ7の上端面7Aよりも低い高さ、例えば、約9cm低い高さに位置している。これにより、配線受け板48の上端面48Cとカバー部材8にネジ止めされた蓋部材12の内側面12Aとの間には、所定高さ、例えば、約10cmの高さの空間が形成される。
図5乃至図7に示すように、光シャッター部36は、シャッターモータ56と、平板状のシャッター57等から構成されている。シャッターモータ56は、ステッピングモータ、ソレノイド等で構成されている。シャッター57は、シャッターモータ56のモータ軸に固定された断面L字状の保持部材の側面部に取り付けられ、シャッターモータ56のモータ軸と同軸に回転する。
シャッター57は、ビームエキスパンダ42から出射されたパルスレーザLの光路を遮る位置に回転された際には、パルスレーザLを光シャッター部36に対して右方向に設けられた光ダンパー37へ反射する。一方、シャッター57がビームエキスパンダ42から出射されたパルスレーザLの光路上に位置しないように回転された場合には、ビームエキスパンダ42から出射されたパルスレーザLは、光シャッター部36の前側に配置されたダイクロイックミラー38に入射する。
光ダンパー37は、シャッター57で反射されたパルスレーザLを吸収する。尚、光ダンパー37は、熱伝導材を介して、本体ベース2上に固定されている。従って、光ダンパー37の発熱は、本体ベース2に熱伝達される。
図6に示すように、ダイクロイックミラー38は、パルスレーザLの第1光軸L1に対して斜め右前方向に45度の角度を形成するように配置されている。ダイクロイックミラー38は、後側から入射されたパルスレーザLをガルバノスキャナ5へ向かって45度の反射角でパルスレーザLの第1光軸L1と略直交する第2光軸L2上に反射する。また、ダイクロイックミラー38は、後側から入射されたパルスレーザLの一部を光検出センサ58に向かって透過する。例えば、ダイクロイックミラー38は、1%の透過率でパルスレーザLを光検出センサ58に向かって透過する。
また、ダイクロイックミラー38に対して左側に配置されるガイド光部39は、可視レーザ光Gをガルバノスキャナ5へ向かって第2光軸L2上に出射する可視半導体レーザ61が配設されている。ダイクロイックミラー38は、左側から入射される可視レーザ光Gを、93%の透過率で、ガルバノスキャナ5へ向かって透過させ、5%の反射率で、光検出センサ58へ向かって45度の反射角で反射し、可視レーザ光Gの2%の損失が生じるように構成されている。
図5乃至図7に示すように、ガルバノスキャナ5は、レーザ発振器41から出射されて、ダイクロイックミラー38で反射されたパルスレーザLと、可視半導体レーザ61から出射されて、ダイクロイックミラー38を透過した可視レーザ光Gとを、下方向、つまり、第1光軸L1及び第2光軸L2に直交する第3光軸L3方向に配置された加工対象物49の加工面49A上に出射して2次元走査するものである。そして、ガルバノスキャナ5から第3光軸L3方向に配置された加工対象物49の加工面49A上に出射されたパルスレーザLと可視レーザ光Gは、本体ベース2の右前角部に取り付けられたfθレンズ6を介して、底板プレート31に取り付けられたガラス板32を透過して加工対象物49の加工面49Aに集光され、印字パターンがマーキングされる。
ガルバノスキャナ5は、ガルバノX軸モータ62とガルバノY軸モータ63とが、それぞれのモータ軸が互いに略直交するように外側からそれぞれの取付孔に嵌入されて本体部65に取り付けられている。ガルバノX軸モータ62のモータ軸の先端部には、ダイクロイックミラー38によって第2光軸L2方向に反射されたパルスレーザLが入射される第1走査ミラー62Aが取り付けられている。ガルバノY軸モータ63のモータ軸の先端部には、第1走査ミラー62Aで反射されたパルスレーザLが入射される第2走査ミラー63Aが取り付けられている。
そして、ガルバノドライバ7を介して各モータ62、63の回転をそれぞれ制御して、第1走査ミラー62A及び第2走査ミラー63Aを回転させることによって、パルスレーザLと可視レーザ光Gとを下方へ向かって2次元走査する。この2次元走査方向は、前後方向と左右方向である。また、本体部65は、熱伝導材を介して、本体ベース2上に固定されている。従って、各モータ62、63の発熱は、本体部65を介して本体ベース2に熱伝達される。
次に、冷却ユニット9の概略構成について図3、図5乃至図7に基づいて説明する。図3、図5、図7に示すように、冷却ユニット9は、ヒートシンク71、ヒートシンクカバー72、ファン73、及びファンカバー75とから構成されている。ヒートシンク71、ヒートシンクカバー72、及びファンカバー75は、アルミニウムや銅やステンレス等の熱伝導率が大きい放熱材料で形成されている。
ヒートシンク71の前後方向の長さは、レーザ発振器41の前後方向の長さとほぼ等しい長さに形成されている。ヒートシンク71の左右方向の幅は、レーザ発振ユニット4の放熱プレート47の左右方向の幅よりも少し大きい幅に形成されている。そして、ヒートシンク71は、本体ベース2の下面にネジ止めされる平面視矩形状の平板部71Aから複数の放熱フィン71Bが左右方向に沿って平行に下方に立設され、表面積を大きくし、放熱性を向上させている。
そして、断面コの字状に上方に開口したヒートシンクカバー72をヒートシンク71を覆うように本体ベース2の底面部にネジ止めにより固定する。ヒートシンクカバー72は、左側面部に空気を吸入する略横長四角形の吸気口72Aが開口され、右側面部に空気を排気するファン73が配置されている。ファンカバー75は、ファン73側が開口された前後方向に長いコの字状に折り曲げられて、ファン73を覆うようにヒートシンクカバー72の右側面部にネジ止めによって固定される。ファンカバー75は、ファン73に対向する面に複数の排気用スリットが形成され、ファン73から送風された空気をスムーズに外側へ排気するように構成されている。
また、図5乃至図7に示すように、本体ベース2の底面部には、ファン73に電気的に接続されて、電源供給や制御信号を送信する配線ケーブル77が挿通される防水型コネクタ78が、冷却ユニット9と結像光学保持部26との間に配置されている。防水型コネクタ78は、レーザ発振器41から右側方向に離反すると共に、ガルバノスキャナ5から後側方向に離反するように、ファンカバー75と結像光学保持部26との間に取り付けられている。
図5に示すように防水型コネクタ78は、配線ケーブル77を挿入可能、且つ、配線ケーブル77の外周面に密着するゴム等の弾性部材79が嵌入されている。これにより、防水型コネクタ78に嵌入された弾性部材79が弾性変形して圧縮される。その結果、弾性部材79は配線ケーブル77を外気と防塵防水の可能な程度に気密に遮断して、防水型コネクタ78を閉塞する。従って、配線ケーブル77は外気と気密に遮断された状態で、防水型コネクタ78を介して本体ベース2の上側へ挿入される。本体ベース2の底面部から突出する防水型コネクタ78の先端部は、底板プレート31の下端面よりも上側に位置するように構成されている。
次に、本体ベース2上におけるレーザ発振器41や配線ケーブル77等と防水型コネクタ21に挿通された各電気ケーブル18及び光ファイバケーブル19との接続について図3乃至図7に基づいて説明する。
図3及び図5に示すように、レーザ発振器41の後側端面に設けられたファイバ接続端子41Aは、カバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めされた防水型コネクタ21のケーブル挿通孔21Aの内周面24よりも半径方向内側の位置に対向している。
一方、光ファイバケーブル19は、防水型コネクタ21をカバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めした際に、レーザ発振器41の後側端面に設けられたファイバ接続端子41Aに対して、前後方向に対向するように弾性部材23に挿通されている。従って、図7に示すように、光ファイバケーブル19のケーブル側コネクタ19Aは、レーザ発振器41のファイバ接続端子41Aに着脱可能に光学的に接続される。ケーブル側コネクタ19Aをファイバ接続端子41Aに光学的に接続した場合には、光ファイバケーブル19は、前後方向に沿って直線状に配置されて、ケーブル挿通孔21A内の弾性部材23に挿通され、外部に引き出される。
図6及び図7に示すように、防水型コネクタ78を介して本体ベース2の上側に引き出された配線ケーブル77、ガイド光部39、光シャッター部36、各ペルチェ素子46及びガルバノドライバ7等に電気的に接続されて、電源供給、各種制御信号又は検出信号等を送信する各配線ケーブル81の先端部は、それぞれ対応する各配線側コネクタ82に電気的に接続されている。各配線側コネクタ82は、それぞれ対応する各ケーブル側コネクタ18Aに着脱可能に結合可能、且つ、電気的に接続可能に構成され、配線受け板48上に配置されている。
図6に示すように、配線受け板48には、結束バンド83を挿通可能な貫通孔48Bが、左右方向の直線上に複数個、例えば、5個形成されると共に、前後方向に一定ピッチで複数列形成されている。そして、図6及び図7に示すように、ユーザは、各電気ケーブル18のケーブル側コネクタ18Aと、各ケーブル側コネクタ18Aに対応する各配線側コネクタ82とを配線受け板48上で結合し、電気的に接続する。
その後、図4に示すように、ユーザは、カバー部材8を本体ベース2にネジ止めし、また、防水型コネクタ21をカバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めする。そして、ユーザは、開口部11を介して各電気ケーブル18及び各配線ケーブル77、81が、前後方向に沿って配置されるように、各コネクタ18A、82を配線受け板48上に配置する。続いて、図4、図6及び図7に示すように、ユーザは、開口部11を介して配線受け板48上の複数の電気ケーブル18及び配線ケーブル81を、それぞれ2個の貫通孔48Bに挿通した状態の複数の結束バンド83で配線受け板48上に結束して固定する。その後、ユーザは、蓋部材12をカバー部材8にネジ止めすることによって、筐体10内を防塵防水可能な程度に閉塞する。
尚、配線受け板48の左右方向の両側縁部に、内側に窪む切欠部を左右方向に相対向するように形成すると共に、前後方向に沿って複数対形成するようにしてもよい。そして、配線受け板48上の各電気ケーブル18及び各配線ケーブル81を、両側縁部の相対向する切欠部に挿通した状態の複数の結束バンド83で配線受け板48上に結束して固定するようにしてもよい。
また、図3に示すように、配線受け板48の上面は、カバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めされた防水型コネクタ21のケーブル挿通孔21Aの内周面24のうち、上方向上端部24Aから、つまり、上下方向において開口部11に近い上端部24Aから、所定高さ、例えば、高さ約3cm程度低い位置に対向している。従って、図7に示すように、防水型コネクタ21をカバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めした際に、ケーブル挿通孔21Aの開口部11に近い上端部24A側に挿通された電気ケーブル18は、前後方向に沿って直線状に配置された状態で、各ケーブル側コネクタ18Aが各配線側コネクタ82に結合されて、電気的に接続される。
ここで、ガルバノスキャナ5は、走査部の一例として機能する。ガルバノドライバ7は、ドライバの一例として機能する。配線用孔8Aは、第2開口部の一例として機能する。開口部11は、第1開口部の一例として機能する。防水型コネクタ21は、挿入部の一例として機能する。レーザ発振器41は、発振器の一例として機能する。ファイバ接続端子41Aは、ファイバケーブル接続部の一例として機能する。冷却プレート43及び放熱プレート47は、支持部材の一例を構成する。配線受け板48は、コネクタ保持部の一例として機能する。貫通孔48Bは、配線用開口部の一例として機能する。結束バンド83は、結束部材の一例として機能する。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るレーザ加工装置1では、光ファイバケーブル19は、ケーブル側コネクタ19Aを介してレーザ発振器41のファイバ接続端子41Aに光学的に接続されている。外部からガルバノドライバ7へ電源を供給する電源ケーブル18Bを含む複数の電気ケーブル18を電気的に接続する着脱可能な各ケーブル側コネクタ18Aは、筐体10内に配置された配線受け板48上に保持される。
従って、各ケーブル側コネクタ18A、19Aは、外気と気密に遮断されるため、外気中の埃やオイルミスト等が各ケーブル側コネクタ18A、19Aに付着して発生する導通不良を確実に防止することができる。また、光ファイバケーブル19と電源ケーブル18Bを含む複数の電気ケーブル18は、防水型コネクタ21を介して外気と気密に遮断して筐体10内へ挿入される。これにより、外気中の埃やオイルミスト等が防水型コネクタ21から筐体10内へ入ることを確実に防止することができる。
また、筐体10の蓋部材12を取り外すことによって、複数の電気ケーブル18のケーブル側コネクタ18Aと各配線側コネクタ82との着脱操作を行うことが可能となる。これにより、複数のケーブル側コネクタ18Aと各配線側コネクタ82との着脱作業、及び、複数の電気ケーブル18及び複数の配線ケーブル81を配線受け板48上へ結束バンド83によって固定する取り付け作業や保守、点検等を容易に行うことができる。
また、複数の電気ケーブル18のケーブル側コネクタ18Aと各配線側コネクタ82を配線受け板48上に固定すると共に、配線受け板48上の各電気ケーブル18と各配線ケーブル81を前後方向に整列させて配置することによって、筐体10内の各電気ケーブル18と各配線ケーブル81の引き回しを容易に整列することができる。また、複数の電気ケーブル18を防水型コネクタ21から外部に引き出すことができ、外部への配線引き出しを容易に行うことが可能となる。また、配線受け板48をレーザ発振ユニット4の外周面冷却部材45と蓋部材12の内側面12Aとの間に配置することによって、筐体10内の空間を有効に活用することが可能となり、筐体10の小型化、つまり、レーザ加工装置1の小型化を図ることができる。
また、レーザ発振ユニット4は、本体ベース2の左右幅方向の中心線27に対して、レーザ発振器41の左右方向中央部を通るパルスレーザLの第1光軸L1が左側に位置するように、本体ベース2上の左後側角部に固定される。また、防水型コネクタ21は、レーザ発振器41の後側端面に対向するようにカバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めされる。これにより、筐体10の左右方向の小型化を容易に図ることができる。
また、防水型コネクタ21をカバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めした際に、ケーブル挿通孔21Aの内周面24の上下方向において、開口部11に近い上端部24A側に挿通された電気ケーブル18は、前後方向に沿って直線状に配置された状態で、防水型コネクタ21を介して外部に引き出される。これにより、複数の電気ケーブル18を極端に折り曲げることを防止でき、配線作業を容易に行うことができる。
また、レーザ発振器41の後側端面に設けられたファイバ接続端子41Aは、カバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めされた防水型コネクタ21のケーブル挿通孔21Aの内周面24よりも半径方向内側の位置に対向している。これにより、光ファイバケーブル19を極端に折り曲げることを防止でき、配線作業を容易に行うことができる。また、防水型コネクタ21に挿通された光ファイバケーブル19と各電気ケーブル18は、弾性部材23によって外部と気密に遮断されるため、筐体10内の防塵、防水を図ることができる。
また、レーザ発振ユニット4は、本体ベース2の左右幅方向の中心線27に対して、左側の側壁部に沿って配置される。これにより、筐体10内の左右方向において、レーザ発振ユニット4の右側に相対向してガルバノドライバ7を配置するスペースを容易に確保することが可能となり、筐体10の小型化、つまり、レーザ加工装置1の小型化を図ることができる。
また、蓋部材12の内側面12Aは、ガルバノドライバ7の上端面7Aよりも上側に配置され、配線受け板48は、ガルバノドライバ7の上端面7Aよりも下側に位置するように配置される。これにより、蓋部材12の内側面12Aと配線受け板48の各ケーブル側コネクタ18A及び各配線側コネクタ82が配置される配置面との間に、各ケーブル側コネクタ18Aと各配線側コネクタ82を配置するスペースが必然的に形成される。従って、筐体10内に各ケーブル側コネクタ18Aと各配線側コネクタ82を配置するスペースを余分に設ける必要がなく、筐体10内の空間を有効に利用して、筐体10の小型化、つまり、レーザ加工装置1の小型化を図ることができる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
(A)例えば、図10に示すように、レーザ発振器41の外周面を固定すると共に冷却する外周面冷却部材45の上端面の全面と、配線受け板48の下端面との間に、樹脂等のシート状に形成された断熱部材85を挟んで保持するようにしてもよい。これにより、断熱部材85が外周面冷却部材45と配線受け板48との間に配置されるため、レーザ発振器41の熱が配線受け板48上の各ケーブル18、81や各コネクタ18A、82へ熱伝導することを防止し、各ケーブル18、81及び各コネクタ18A、82の温度上昇を防止することができる。
ここで、レーザ発振器41が加工対象物49の加工面49Aにマーキング(印字)加工を行うためのパルスレーザLを出射している場合には、レーザ発振器41の表面温度は、約50℃〜60℃に上昇する。このため、断熱部材85が外周面冷却部材45と配線受け板48との間に設けられていない場合には、配線受け板48上の各ケーブル18、81や各コネクタ18A、82も約50℃〜60℃になり、ユーザが素手で各コネクタ18A、82に触れることができなくなる。
一方、断熱部材85が外周面冷却部材45と配線受け板48との間に配置された場合には、配線受け板48上の各ケーブル18、81や各コネクタ18A、82の温度上昇を抑えることができ、ユーザが素手で各コネクタ18A、82に触れることができる。その結果、レーザ発振器41がパルスレーザを出射中、若しくは、パルスレーザの出射停止直後であっても、ユーザは素手で各コネクタ18A、82の着脱作業を行うことができる。
(B)また、例えば、カバー部材8の天井部に形成された開口部11の平面視右側縁部をレーザ発振ユニット4の右側端部の真上に位置するように、開口部11の左右方向の幅を狭くしてもよい。また、防水型コネクタ21は、レーザ発振器41の後側端面に対向するようにカバー部材8の配線用孔8Aにネジ止めされる。これにより、開口部11の左右方向の幅を狭くしても、開口部11は配線受け板48のほぼ全面に対向するため、ユーザは、開口部11を介して各ケーブル側コネクタ18Aと各配線側コネクタ82との着脱作業を容易に行うことができる。また、開口部11を小さくして蓋部材12の小型化を図ることができる。