以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。本実施形態のグリルは、図1に示すように、グリル付きガスこんろ9が備えるグリル1となっており、グリル付きガスこんろ9は、外殻となるケーシング91に、こんろ部92とグリル1とを有する。本発明のグリル1は、このようなグリル付きガスこんろ9が備えるグリル1に限定されず、グリル1単体や、他の機器と組み合わされたグリル1であってもよい。ここで便宜上、図1〜11中における符号Fの矢印の向く方向を前方とし、その逆方向(符号Bの矢印が向く方向)を後方とする。なお、前方(符号Fの矢印の方向)は、後述のグリル皿2の引き出し方向となっている。更に、この前後を基準に、左右方向を後方を向く時の左右方向とし、右を後方を向いた状態での右(符号LR1の矢印の方向)とし、左を後方を向いた状態での左(符号LR2の矢印の方向)とする。
ケーシング91の左右方向の中央部には、グリル1(詳細は後述する)が設けてある。ケーシング91の前面の右半部の上部には、各こんろ部92用の加熱状態調節部94が設けてある。そして、ケーシング91の前面の左右の下部には、グリル1用の調理設定入力部を有する操作パネル95と、こんろ部92用の調理設定入力部を有する操作パネル95とが設けてある。各操作パネル95は、所謂カンガルーポケットで形成されており、ケーシング91内に収容可能であるが、カンガルーポケットに限定されるものではなく、またケーシング91内に収容可能でなくてもよい。
各こんろ部92は、ガスバーナ等の加熱手段と、加熱手段用の点火装置と、点火を検出する点火検出装置とを備える。そして、グリル1にも同様に、ガスバーナ等の加熱手段と点火装置と点火検出装置とを備える。点火装置は、点火操作がなされると、制御部により点火動作が行われ、点火検出装置において検出された点火情報は制御部に認識されて、制御部により点火プラグでの点火処理が行われる。また、各加熱手段には、燃料供給路から都市ガス等のガス燃料が供給される。なお、加熱手段、点火装置、点火検出装置はこのような形態に限定されない。
グリル1は、内部が加熱室となるグリル庫10に、加熱手段としてのガスバーナを備える。グリル1は、図2に示すように、ガスバーナとして、グリル庫10の上面に上バーナ12を備え、グリル庫10の左右の側壁の下部に下バーナ13を備える。グリル庫10は、前端に被加熱物の出し入れのための開口部11を有する。そして、グリル庫10の後部には、ガスバーナからの燃焼排ガスをグリル庫10外に排出する排気通路が設けてある。排気通路は、トッププレート93の後部に設けた排気口96に繋がっており、排気口96から前記燃焼排ガスが排出される。
グリル庫10には、前後に移動自在でグリル皿2が設けられる。グリル皿2は、この移動によって、開口部11から前方へ突出した状態と、グリル庫10内に収容した状態とに切り替わる。グリル皿2は、図3に示すように、上方に開口する平面視略矩形の容器形状の受け部21と、受け部21の周端から外側に連設されるフランジ部22とを備える。そして、グリル皿2は、上面に焼き網3(後述する)が載置されて、焼き網3上の被加熱物からの油脂等の滓を受けるものである。なお、グリル皿2の形状は特に限定されない。
グリル庫10の左右の側壁の下バーナ13の下側には夫々、固定レール(図示せず)が前後方向において長尺に設けてある。この固定レールには夫々、前後にスライド移動自在な中間レール15が設けてあり、中間レール15は前記固定レールに支持される。各中間レール15には、前後にスライド移動自在な可動レール14が設けてあり、可動レール14は中間レール15に支持される。各可動レール14には、グリル皿2のフランジ部22が載置されており、可動レール14はグリル皿2を伴って前後にスライド移動する。
また、可動レール14の前端部には、グリル庫10の開口部11を開閉するグリル扉16が固定してある。グリル扉16の前面には把持部が設けてある。グリル1は、この把持部を掴んでグリル扉16を前方へ引き出すことで、可動レール14及びグリル皿2を開口部11を介して前方へ移動させることができる。そして、グリル1は、この前方に移動させた状態からグリル扉16を後方へ押し込むことで、可動レール14及びグリル皿2をグリル庫10内に収容させることができる。なお、グリル皿2を前後に移動自在とする構成は、固定レールと可動レール14と中間レール15とを用いた構成に限らず、例えばグリル庫10の左右の側壁に溝を形成し、グリル皿2の側端部を前記溝に挿入することで、グリル皿2を前後に移動自在とするもの等であってもよい。
図3に示すように、グリル皿2上には、被加熱物を載置するための焼き網3が載置され、焼き網3上の被加熱物を上バーナ12及び下バーナ13で上下から加熱するように構成されている。焼き網3は、図3〜5に示すように、被加熱物が載置される網部材4と、網部材4を支持する支持部材5とで形成されており、網部材4を支持部材5を介してグリル皿2に載置することで、グリル皿2上に取り付けられる。
支持部材5は、本実施形態では図6及び図7に示すように、被載置部51と、脚部52と、網支持部53と、上突出部54と、下突出部56と、を備えており、これらは、一つの線材が環状に連続する平面視略矩形状をした枠体により形成される。
被載置部51は、左右一対に設けてある。そして、被載置部51は各々、平面視略矩形状をした枠の左右の辺をなす側辺部51aと、側辺部51aの前端から夫々幾分か内側(左右方向の中央側)の位置までの前辺部51bと、側辺部51aの後端から内側に向けて伸びた後辺部51cと、で構成される。側辺部51aと前辺部51bと後辺部51cとは、枠の下端に位置し、グリル皿2(フランジ部22)の上面に載置される。
脚部52は、左右一対に設けてある。そして、脚部52は各々、前脚部52aと、後脚部52bと、で構成される。前脚部52aは、前辺部51bの内側端から上側に連設されており、前辺部51bの内側端から内側斜め前方に突出する。後脚部52bは、後辺部51cの後端から上側に連設されている。そして、後脚部52bには、後板部55が設けられている。後板部55は、左右の後脚部52bの間に跨って配置される。
網支持部53は、左右一対に設けてある。そして、網支持部53は各々、前網支持部53aと、後網支持部53bと、で構成される。前網支持部53aは、前脚部52aに連設されており、前脚部52aの上端から左右方向(横方向)における内側(中央側)に略水平に突出する。後網支持部53bは、後脚部52bに連設されており、後脚部52bの上端から左右方向における内側に略水平に突出する。
上突出部54は、網支持部53から上側に連設される部分となっている。そして上突出部54は、前網支持部53aの内側端から上側に連設される正面視略コ字状で下向きに開口した前上突出部54aと、後網支持部53bの内側端から上側に連設される正面視略コ字状で下向きに開口した後上突出部54bと、で構成される。言い換えると、支持部材5は、前端側に前上突出部54aを備え、後端側に後上突出部54bを備える。そして支持部材5は、前上突出部54aの両側の下端に夫々前網支持部53aを備え、後上突出部54bの両側の下端に夫々後網支持部53bを備える。
前上突出部54aは、上端が下端よりも左右方向における中央側に位置するように傾いている。また前上突出部54aは、上端が下端よりも後方に位置するように傾いている。そして支持部材5は、前上突出部54aの上端辺部の左右方向における中央に、この上端辺部から下方に連設される正面視略コ字状で上向きに開口した下突出部56を備える。このため、前上突出部54aは、前記略コ字において、上端辺部の中央側が欠けた形状になっている。言い換えると、前上突出部54aは、正面視上下逆様の略L字状の二つの部材が左右対称に並んだ形状となっている。なお、本実施形態では、前上突出部54aと下突出部56とを一つの線材で形成したために、前上突出部54aを前記中央側の欠けた形状としているが、下突出部56を枠体5a(前上突出部54a)と別の部材(線材)で形成してもよい。
下突出部56は、下端が上端より後方に位置するように傾いている。言い換えると、下突出部56は、前上突出部54aの上端から後方下向きに連設されている。このため、下突出部56は、前上突出部54aの上端より後方に位置する。そして下突出部56は、下端が前網支持部53aと略同じ高さ位置あるいは前網支持部53aより若干低い位置に設けてある。
後上突出部54bは、図6及び図8に示すように、前上突出部54aよりも高く形成されている。後上突出部54bの後網支持部53bから連設される縦辺部は、下端から前上突出部54aの上端と略同じあるいは若干低い中間位置までの下部と、この中間位置から上端までの上部とで形状が異なる。縦辺部の下部は、中間位置が下端より左右方向における中央側に位置するように傾いている。縦辺部の上部は、上端が中間位置より左右方向における外側(中央から離れる側)に位置するように傾いている。そして縦辺部は、下端と上端とが平面視略重なって位置する。このため、後上突出部54bは、縦方向(上下方向)において、中間位置に向かう程、左右方向において中央側に凹む形状となっている。
言い換えると、後上突出部54bは、上部に下部より左右方向における外側に膨出する膨出部6を、左右一対で備える。膨出部6は、後上突出部54bの左側の縦辺部に形成される左膨出部6aと、後上突出部54bの右側の縦辺部に形成される右膨出部6bとで構成される。膨出部6は、後上突出部54bの左右方向に平行な上辺部から前記外側に延出される横辺部61と、横辺部61の上端から下方に連設され下方側程前記中央側に位置する傾斜辺部62とで形成される。傾斜辺部62は、後上突出部54bの縦辺部の上部を構成している。このため、縦辺部は、下部の上端と上部の下端(傾斜辺部62の下端)との間の部位が、最も中央側に凹んで位置する凹みの深部となる。
網部材4は、図3に示すように、グリル皿2よりも小さいか同程度の大きさの平面視略矩形状をした外枠41と、被加熱物を載置するための網体とを備える。外枠41は、例えば支持部材5に比べて細い線材で形成される。この網体は、外枠41の左右方向において対向する二つの側辺部間に架設されており、例えば、図9に示すように、複数の棒部材42で形成される。棒部材42は、例えば外枠41に比べて細い線材となっており、複数の棒部材42は、前後方向において互いに所定の幅で離れて配置される。
また、網部材4には、図5に示すように、支持部材5の上突出部54が挿通され網支持部53に載置される被支持部43,44が設けられる。本実施形態では、図9に示すように、外枠41の前後の辺部(前辺部及び後辺部)から夫々内側(網部材4の平面視における中央側)に略コ字状をした被支持枠が取り付けられて、前側と後側の被支持部43、44が構成されている。
前側の被支持部43は、平面視において外枠41より内側に設けてある。そして、前側の被支持部43は、平面視略コ字状で前方に開口した前側の被支持枠43aを備える。前側の被支持枠43aは、その左右両方の前端が外枠41の前辺部(前端)に固着・一体化されている。更に、前側の被支持枠43aは、左右両方の側辺部を夫々対応する前網支持部53aに当接・載置することで、支持部材5に支持される。また外枠41の前辺部において、前側の被支持枠43aの前端の各固着位置から夫々左右方向における近い側の端部までの左右方向における間隔は、互いに略同寸となっている。言い換えると、前側の被支持枠43aの左右両方の前端は、外枠41の前辺部の左右方向における中央寄りの部位に固着・一体化されている。
このため、前側の被支持部43は、外枠41の前端(前辺部)内側に、前側の被支持枠43aと外枠41の前辺部とで、上下に開口した窓部を形成している。そして、この窓部(前側の被支持枠43aと外枠41の前辺部とで囲まれる領域)が、前上突出部54a及び下突出部56を挿通する前挿通領域47となっている。更に、この窓部を形成する左右夫々の側端縁が、前網支持部53aに当接される部位(前側の被支持枠43aの側辺部)となっている。
また、前側の被支持枠43aの左右の側辺部の間隔W41は、支持部材5の前上突出部54aの左右の縦辺部の下端の間隔W51よりも若干だけ長く形成されていると共に、左右の前網支持部53aの間隔よりも短く形成されている。
更に、前側の被支持枠43aは、その後辺部の中間部位において、後方(前後方向における中央側)に突出する前曲げ部45が形成されている。前曲げ部45は、平面視略コ字状で前方に開口しており、その両側の前端が夫々、前記後辺部の両側の各部位に連設される。そして、前曲げ部45の左右方向における幅は、前側の被支持枠43aの左右の側辺部の間隔W41よりも短い。
後側の被支持部44は、平面視において外枠41より内側に設けてある。そして、後側の被支持部44は、平面視略コ字状で後方に開口した後側の被支持枠44aを備える。後側の被支持枠44aは、その左右両方の後端が外枠41の後端(後辺部)に固着・一体化されている。更に、後側の被支持枠44aは、左右両方の側辺部を夫々対応する後網支持部53bに当接・載置することで、支持部材5に支持される。また外枠41の後辺部において、後側の被支持枠44aの後端の各固着位置から夫々左右方向における近い側の端部までの左右方向における間隔は、互いに略同寸となっている。言い換えると、後側の被支持枠44aの左右両方の前端は、外枠41の後辺部の左右方向における中央寄りの部位に固着・一体化されている。
このため、後側の被支持部44は、外枠41の後端(後辺部)内側に、後側の被支持枠44aと外枠41の後辺部とで、上下に開口した窓部を形成している。そして、この窓部(後側の被支持枠44aと外枠41の後辺部とで囲まれる領域)が、後上突出部54bを挿通する後挿通領域48となっている。更に、この窓部を形成する左右夫々の側端縁が、後網支持部53bに当接される部位(後側の被支持枠44aの側辺部)となっている。
また、前側の被支持枠43aと同様に、後側の被支持枠44aの左右の側辺部の間隔W42は、支持部材5の後上突出部54bの左右の縦辺部の下端の間隔W52よりも若干だけ長く形成されると共に、左右の後網支持部53bの間隔よりも短く形成される。更に、後側の被支持枠44aにおける前記間隔W42は、後上突出部54bの各凹みの深部から夫々左右に他方の前記縦辺部(凹み)を介して対向する側(遠い側)の後脚部52bまでの平面視における幅W54に比べて、短く形成される。
更に、後側の被支持枠44aの左右の側辺部の前後長さL43は、支持部材5の線材の太さ(後上突出部54bの前後長さ)よりも長く形成される。そして、後上突出部54bは、後側の被支持枠44aに対して、前記前後長さL43の略半分となる寸法位置で、左右方向に並ぶ。
更に、後側の被支持枠44aは、その前辺部の中間部位において、前方(前後方向における中央側)に突出する後曲げ部46が形成されている。後曲げ部46は、平面視略コ字状で後方に開口しており、その両側の後端が夫々、前記前辺部の両側の各部位に連設される。そして、後曲げ部46の左右方向における幅は、後側の被支持枠44aの左右の側辺部の間隔W42よりも短い。
また、図4に示すように、前挿通領域47は、平面視において、支持部材5の前上突出部54a及び下突出部56の両方と対応する位置に形成されている。このため、前挿通領域47は、前上突出部54a及び下突出部56が挿通され、その側端縁(前側の被支持枠43aの側辺部)を前網支持部53a上に当接して取り付けられる。そして、この取り付けた状態(網部材4を載置した状態)において、前記領域に挿通された前上突出部54a及び下突出部56は、前後方向において寸法公差等の若干の遊びを有して、前後方向における位置決め(前後の位置決め)がなされ、更に前上突出部54aは、左右方向において寸法公差等の若干の遊びを有して、左右方向における位置決め(左右の位置決め)がなされる。
後挿通領域48は、平面視において、支持部材5の後上突出部54bと対応する位置に形成されている。このため、後挿通領域48は、後上突出部54bが挿通され、その側端縁(後側の被支持枠44aの側辺部)を後網支持部53b上に当接して取り付けられる。そして、この取り付けた状態(網部材4を載置した状態)において、前記領域に挿通された後上突出部54bは、左右に寸法公差等の若干の遊びを有して、左右の位置決めがなされる。
更に、前記領域に挿通された後上突出部54bは、後側の被支持枠44aの前後長さL43の略半分の部位と左右方向において並ぶため、後側の窓部(後側の被支持部44)の前後両方の端縁との間に夫々間隙を有する。そして、この両間隙の前後長さは夫々、外枠51の前辺部(前側の窓部の前端縁)と前上突出部54aとの間や下突出部56と前曲げ部45の後辺部(前側の窓部の後端縁)との間等の前後方向における前記遊び(寸法公差)に比べて長い。このため、前記領域に挿通された後上突出部54bは、後挿通領域48に対して直接的な(当接による)前後の位置決めがなされない。しかしながら、後挿通領域48に挿通された後上突出部54bは、前挿通領域47に挿通された前上突出部54a及び下突出部56の前後の位置決めにより、間接的に前後の位置決めがなされる。
このように、前上突出部54aは、左右両方の縦辺部の下端部の前面部側が、網部材4を前方において位置規定する前位置規定部71となっており、網部材4は前位置規定部71により後方への移動(後移動)が規制される。そして、下突出部56は、左右両方の縦辺部の下端部の後面部側が、網部材4を前位置規定部71より後方において位置規定する後位置規定部72となっており、網部材4は後位置規定部72により前方への移動(前移動)が規制される。このため、支持部材5は、前部5aに、前後両方の位置規定部7(前位置規定部71及び後位置規定部72)を備える。
また、前上突出部54aは、左側の縦辺部の下端部の左側面部側が、網部材4を左側において位置規定する左位置規定部73となっており、網部材4は左位置規定部73により右側への移動(右移動)が規制される。そして、前上突出部54aは、右側の縦辺部の下端部の右側面部側が、網部材4を右側において位置規定する右位置規定部74となっており、網部材4は右位置規定部74により左側への移動(左移動)が規制される。
更に、後上突出部54bは、左側の縦辺部の下端部の左側面部側が、網部材4を左側において位置規定する左位置規定部75となっており、右側の縦辺部の下端部の右側面部側が、網部材4を右側において位置規定する右位置規定部76となっている。このため、支持部材は、前後両方(前部5a及び後部5b)の各々に、左右両方の位置規定部7(左位置規定部73,75及び右位置規定部74,76)を備える。
言い換えると、支持部材5は、前位置規定部71(後移動規制部)が、前上突出部54aに設けてあり、後位置規定部72(前移動規制部)が、下突出部56に設けてあり、これにより前後方向における位置を規定可能となっている。そして、支持部材5は、左右両方の位置規定部7が、各上突出部54(前上突出部54a及び後上突出部54b)に夫々設けてあり、これにより左右方向における位置を前後の両方で規定可能となっている。
すなわち、網部材4は、支持部材5に対して前後及び左右に位置決めされた状態で、支持部材5に載置することが可能となっている。言い換えると、網部材4は、支持部材5に対する前後及び左右の移動が規制された状態で、支持部材5に載置することができる。以下、この位置決めされた位置を網正規位置という。なお、網部材4は、前述の通り、支持部材5との間に前記寸法公差等の遊びを有しているが、この遊びを有しないものであってもよい。この場合、網部材4は、支持部材5に載置された状態で、各位置規定部7の対応する各面部に当接されて、位置が規定される。
また、図5に示すように、網部材4を網正規位置で支持部材5に載置した状態において、前上突出部54a及び下突出部56の一部は、前側の支持枠43aより上方に突出して位置する。この上方に突出した部位の根本(前側の支持枠43aと同一平面上に並ぶ位置)の前後長さL51は、前側の支持枠43aの側辺部の後端とこの後端に隣接する最前の棒部材42(前記網体の前端)との間の前後長さL42に比べて長い。そして、この根本の前後長さL51は、前述の通り、前位置規定部71と後位置規定部72との前後方向における間隔となる。
このため、図4に示すように、前後の位置規定部7の前後方向における間隔は、外枠41の前辺部と前側の支持枠43aの側辺部に連設する後辺部との間の前後長さL41よりも長い。そして、この前後の位置規定部7の間隔は、前記前後長さL42より長く、前部5aの窓部の後端縁(前曲げ部45の後辺部)と最前の棒部材42(前記網体の前端)との間の前後長さL44より長い。そして、この前後長さL44は、支持部材5の線材の太さよりも小寸となっている。なお、網部材4は、図11に示すように、前曲げ部45や後曲げ部46が形成されていないものであってもよい。この場合、前側の窓部の後端縁は、前側の被支持枠43aの側辺部に連設された後辺部となり、後側の窓部の前端縁は、後側の被支持枠44aの側辺部に連設された前辺部となる。
更に、本実施形態においては、前後の上突出部54をいずれも上端が下端より左右の中央側に位置するよう傾いて設けたため、前後の被支持部43,44が夫々載置される時に、対応する各上突出部54の下端部に当接される。言い換えると、各上突出部54は、前挿通領域47及び後挿通領域48の挿通をガイドせず、左右両方の位置規定部7は、前後共に、略同じ高さで設けてある。なお、支持部材5は、左右両方の位置規定部7を後部5bのみに設けたものであってもよい。この場合、支持部材5は、前網支持部53aを左右一対で備えたものに限らず、左右の一方のみ備えたものや、中央に一つのみ備えたもの等であってもよい。
また、網部材4は前後対称な形状(平面視において回転対称な形状)となっている。これにより、前後方向において特段区別することなく、網部材4を誤った姿勢で載置する可能性を低減させることができる。言い換えると、網部材4は、前後向きの違いによって、支持部材5への載置姿勢が誤ったものとなることを生じ難くすることができる。
ここで、網部材4を支持部材5に載置するには、まず、後挿通領域48に後上突出部54bを挿通させて後側の被支持部44を後網支持部53bに載置する。このとき、後上突出部54bは、縦方向において中間位置に向かう程凹む形状となっているため、挿通途中から載置されるまであるいは載置直前まで、少なくとも一方の縦辺部が後側の被支持部44の側辺部に当接しなくなる。言い換えると、後上突出部54bは、後側の被支持部44を後網支持部53bに載置するためのガイド部として機能しない。このため、例えば、網部材4や支持部材5にフッ素被膜等による表面処理(コーティング)を施したものを用いた場合等では、後上突出部54bと後側の被支持部44との摺動に起因するフッ素被膜の剥がれや削れ等のコーティング部位の摩耗を抑制することができる。また、後上突出部54bが前上突出部54aよりも高く形成されていることで、前挿通領域47に前上突出部54aを挿通する場合に比べて、後挿通領域48に後上突出部54bを挿通させ易い。
次に、網部材4の後端側を中心にして前端側を下方に回動させて、前挿通領域47に前上突出部54aを挿通させて、前側の被支持部43を前網支持部53aに載置する。このとき、前上突出部54aは、上端が下端より左右の中央側に位置するため、前側の被支持部43を前網支持部53aに載置するまであるいはその直前まで、少なくとも一方の縦辺部が前側の被支持部43の側辺部に当接しない。言い換えると、前上突出部54aは、前側の被支持部43を前網支持部53aに載置するためのガイド部として機能しない。このため、例えば、網部材4や支持部材5にフッ素被膜等による表面処理(コーティング)を施したものを用いた場合等では、前上突出部54aと前側の被支持部43との摺動に起因するフッ素被膜の剥がれや削れ等のコーティング部位の摩耗を抑制することができる。また、前上突出部54aは上端が下端よりも後方に位置するように傾いているため、網部材4の後端側を中心にして前端側を回動させる際、前挿通領域47に前上突出部54aを挿通させ易くなっている。
このように、本実施形態においては、前後の被支持枠43a,44aを外枠41に囲まれた平面視における内部空間(内側)に設けてある。このため、本実施形態においては、被支持枠43a,44aを外枠41の外側に設けた場合に比べて、網部材4の載置や取外し時に、前後の被支持枠43a,44aのみでの網部材4の把持(使用者による保持)や前後の被支持枠43a,44aの外部との接触等を抑制することができる。これによって、本実施形態においては、例えば、前後の被支持枠43a,44aを外枠41に比べて低強度(細い線材)で形成可能となったり、前記載置や取外し時等に前後の被支持枠43a,44aの変形を抑制したりすることができる。
更に、本実施形態においては、前部5aに前後両方の位置規定部7を設けたことで、この位置規定部7(や前上突出部54a、下突出部56)等と前挿通領域47とを視認しながら、的確に網部材4を前後両方の位置規定部7に当接させることができる。このため、網部材4は、前後の被支持部43,44の共同で前後を位置決めさせる場合に比べて、容易に前後を位置決めさせた状態で支持部材5に取り付けることができる。これにより、本実施形態においては、網正規位置に取り付け易くなり(網正規位置からずれて取り付けられ難くなり)、使い勝手の良いグリル1とすることができる。
そして、本実施形態においては、前部5aに左右両方の位置規定部7を設けたことで、この位置規定部7等と前挿通領域47とを視認しながら、的確に網部材4を左右両方の位置規定部7に当接させることができる。このため、網部材4は、容易に左右を位置決めさせた状態で支持部材5に取り付けることができる。また、本実施形態においては、後部5bに左右両方の位置規定部7を設けたことで、網部材4の載置時に、前部5aより先に後部5bで左右を位置決めさせた状態にして、前部5aの窓部に前上突出部54a及び下突出部56を挿通させる(嵌め込む)ことができる。
また、本実施形態においては、網部材4の網正規位置からずれた載置(取付け)を防止したことで、網部材4が網正規位置に載置されずにグリル庫10に収容されることによる問題点(すなわち、焼き網3に載置された被加熱物が設計通りに加熱されない恐れがある点や、グリル庫10内で網部材4が網正規位置から更にずれてしまい、グリル庫10からグリル皿2を引き出す際に、焼き網3によりグリル庫10が破損したりグリル皿2や焼き網3を引き出せなくなったりする恐れがある点)を解消し易くすることができる。
更に、本実施形態においては、下突出部56を設けたことで、網部材4上に皿等を載置する際やその取出し時に、その皿等用の所謂取っ手を下突出部56の左右中央の空間に挿通して、前記皿等の載置や取出しを行うことができる。このため、本実施形態においては、前記皿等の載置や取出し時に、前記取っ手等の網部材4や支持部材5への接触等による網部材4の網正規位置からのずれを抑制し易くすることができる。
また、本実施形態においては、網部材4を支持部材5に載置した状態で、外枠41の後辺部と後上突出部54bとの間に隙間を有する。このため、本実施形態においては、支持部材5の前部5aより先に後部5bに載置した場合等において、後部5bに支持された状態を維持して網部材4が前後に移動することができる。これによって、本実施形態においては、前記場合に、網部材4の前部5aへの載置を行い易くすることができ、また例えば使用者が網部材4を前方に引張りながら前部5aに載置しようとした際に、網部材4の後部5bからの脱落を抑制することができる。
また、支持部材5は、図10に示すように、網部材4の左右方向における回動を規制する回動規制部8を備える。回動規制部8は、右回動規制部8aと左回動規制部8bとで構成される。
右回動規制部8aは、網部材4の右側の部位における支持部材5との当接部位を支点として、網部材4の左側の部位が右上方に回動する際に、この回動(右回動)を規制する。この右回動は、支持部材5に載置された状態の網部材4が、右側の前網支持部53aとの当接部位と右側の後網支持部53bとの当接部位とのうちの一方または両方を支点にして、左右方向における中央より左側の部位を、右上方に回動させる動作となっている。
左回動規制部8bは、網部材4の左側の部位における支持部材5との当接部位を支点として、網部材4の右側の部位が左上方に回動する際に、この回動(左回動)を規制する。この左回動は、支持部材5に載置された状態の網部材4が、左側の前網支持部53aとの当接部位と左側の後網支持部53bとの当接部位とのうちの一方または両方を支点にして、左右方向における中央より右側の部位を、左上方に回動させる動作となっている。
そして、支持部材5は、左側に膨出する膨出部6(左膨出部6a)が、右回動規制部8aの機能を有し、右側に膨出する膨出部6(右膨出部6b)が、左回動規制部8bの機能を有する。詳しくは、左膨出部6aは、網部材4の右回動時に、後側の被支持枠44aの左側の側辺部が、下方や右斜め下方等の下方側から傾斜辺部62に点接触される。これにより、焼き網3は、網部材4の右回動が抑制される。右膨出部6bは、網部材4の左回動時に、後側の被支持枠44aの右側の側辺部が、下方や右斜め下方等の下方側から傾斜辺部62に点接触される。これにより、焼き網3は、網部材4の左回動が抑制される。
このように、本実施形態においては、右回動規制部8a及び左回動規制部8bを夫々備えたことで、各回動規制部8で、網部材4における左側を支点とした右側の左上方への回動(左回動)と、右側を支点とした左側の右上方への回動(右回動)とを夫々抑制することができる。言い換えると、焼き網3は、支持部材5に回動規制部8を設けたことで、左右方向における片側を支点とした網部材4の支持部材5に対する上方への回動を規制する(抑制する)ことができる。このため、本実施形態においては、被加熱物が左右方向の片側に偏って網部材4に載置される際に、被加熱物や網部材4の転落の恐れを解消することができる。
そして、本実施形態においては、左右の中央側に傾きながら後網支持部53bから上方に突出する後上突出部54の上部の左右に、前記中央側とは反対側に膨出する膨出部6を設け、膨出部6を回動規制部8としている。このため、本実施形態においては、網部材4の載置・取外し時や前記回動時等に、後網支持部53bと膨出部6との上下方向における間で、網部材4(後側の被支持枠44a)の後上突出部54bに擦れながらの移動を抑制することができる。これにより、本実施形態においては、例えば、擦れによる騒音の発生や、前記コーティング部位の摩耗等を抑制することができる。
また、本実施形態においては、後網支持部53bから上方に突出する後上突出部54bに回動規制部8を設けたことで、後網支持部53bの近傍に回動規制部8を設けることができる。これにより、本実施形態においては、網部材4の左右方向における回動初期に、その回動を規制することができて、回動規制部8で回動を規制した際における被加熱物や網部材4の転落の恐れを解消し易くすることができる。
更に、本実施形態においては、回動規制時に、後側の被支持枠44aが傾斜辺部62に当接(点接触)するため、傾斜辺部62の傾斜によって、網部材4が後上突出部54bの凹みの深部側に向けて移動し易くなっている。このため、本実施形態においては、回動規制後にその回動角度を低減し易く、被加熱物や網部材4の転落の恐れをより生じ難くすることができる。そして、本実施形態においては、後側の被支持枠44aにおける前記間隔W42が、後上突出部54bの各凹みの深部から夫々左右に他方の前記縦辺部(凹み)を介して対向する側(遠い側)の後脚部52bまでの平面視における幅W54に比べて短い。このため、本実施形態においては、前記回動規制時や前記回動角度低減時に、左右方向において、支持部材5より外側に後側の被支持枠44aが位置しない。これによって、本実施形態においては、前記回動角度の低減時も、安定して網部材4を支持部材5で支持することができる。
また、本実施形態においては、前記後側の窓部(後挿通領域48)に支持部材5の後部5bを挿通させて、後挿通領域48に支持部材5を嵌め込むことで、網部材4の後側の部位が後部5bに載置される。そして、網部材4を支持部材5に載置・支持させた状態では、平面視において、後上突出部54bの前方に、前記後側の窓部の前端縁(後側の支持枠44aの前辺部)が位置し、後上突出部54bの後方に、前記後側の窓部の後端縁(外枠41の後辺部)が位置する。このため、本実施形態においては、前記左回動や前記右回動時に、網部材4が前後に傾いた場合等に、前記後側の窓部の前端縁や後端縁を後上突出部54bに干渉し易くすることができる。これによって、本実施形態においては、前記左回動や前記右回動時に、網部材4における前後のぶれを抑制(規制)し易くすることができる。このため、本実施形態においては、例えば、勢いよく回動する網部材4を回動規制部8で規制した際等に、これに伴う衝撃(力)等が前後方向の成分を有して網部材4にかかった(生じた)場合等に、この回動の支点側に位置する網支持部53からの網部材4の脱落を抑制することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。例えば、支持部材5は、前網支持部53を左右一対で備えるものに限らず、左右の一方に備えるものや、左右の中央に一つ備えるもの等であってもよい。