JP5986352B2 - 乗用車用ラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ベルトプライのスライスカット断面を規定することにより耐偏摩耗性を向上した空気入りタイヤに関する。
タイヤの摩耗性能として、耐摩耗性、及び例えばクラウン摩耗(クラウン部がショルダー部に比して早期に摩耗)、ショルダー摩耗(ショルダー部がクラウン部に比して早期に摩耗)、ヒール&トゥ摩耗(ブロックの後着側が早期に摩耗)などに対する耐偏摩耗性が挙げられる。そして前記耐偏摩耗性を向上させるために、従来より、タイヤの接地面形状や、トレッド輪郭形状を適正化することが提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
例えば接地面形状が丸い、或いはトレッド輪郭形状が丸い場合には、タイヤ外径差に起因してショルダー部に路面との滑りが生じるなどショルダー摩耗が発生する傾向となり、逆に、接地面形状が矩形形状に近い、或いはトレッド輪郭形状がフラットな場合には、クラウン部に滑りが生じるなどクラウン摩耗が発生傾向となることが知られている。そして従来においては、前記接地面形状やトレッド輪郭形状を適正化し、クラウン摩耗とショルダー摩耗とのバランスを図ることにより耐偏摩耗性を向上している。なおヒール&トゥ摩耗に対しては、ブロック剛性を高めて周方向のブロック変形を抑えることなどが提案されている。
しかしながら、これら提案によっても耐偏摩耗性の向上はまだ不十分であり、いっそうの改善が望まれている。
特開2004−224270号公報 特開2005−53268号公報 特開2010−254246号公報 特開平11−1103号公報
本発明は、ベルトプライ外表面の3次元プロファイルに着目してなされたものであり、
このベルトプライ外表面を、タイヤ赤道面と直角なスライス面によって仮想的にスライスカットしたときのスライスカット断面の形状を適正化することを基本として、クラウン摩耗、ショルダー摩耗、ヒール&トゥ摩耗などに対する耐偏摩耗性を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されるベルト層とを具える乗用車用ラジアルタイヤであって、
前記ベルト層は、半径方向外側の第2のベルトプライと、前記第2のベルトプライよりも幅広かつ半径方向内側の第1のベルトプライとからなり、前記第2のベルトプライのプライ巾は、トレッド接地巾よりも大であり、
しかもタイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧が充填された正規内圧状態にて、
前記第2のベルトプライの外表面を、この第2のベルトプライの外表面のタイヤ軸方向外端を通りかつタイヤ赤道面と直角なスライス面によって仮想的にスライスカットしたときに形成される第2のベルトプライのスライスカット断面において、
このスライスカット断面のタイヤ赤道面からのタイヤ軸方向巾であるカット断面半幅Wの0.80倍の距離をタイヤ赤道面からタイヤ軸方向に隔たる位置における前記スライスカット断面の周方向長さをL80、前記カット断面半幅Wの0.95倍の距離をタイヤ赤道面からタイヤ軸方向に隔たる位置における前記スライスカット断面の周方向長さをL95、及びタイヤ赤道面上における前記スライスカット断面の周方向長さをL0としたとき、
前記周方向長さL0と前記周方向長さL80との比L0/L80は、1.22〜1.44の範囲であり、かつ前記周方向長さL80と前記周方向長さL95との比L80/L95は、1.8以下であることを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記第1のベルトプライは、第2のベルトプライよりも幅広であり、かつ第1のベルトプライの外端と第2のベルトプライの外端とのタイヤ軸方向距離Kを7〜10mmとしたことを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記第2のベルトプライのタイヤ軸方向のプライ巾は、トレッド接地巾TWよりも大であることを特徴としている。
又請求項4の発明では、前記ベルト層の半径方向外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回されるバンドコードを有しかつ前記ベルト層の外表面の全面を覆うフルバンドプライからなるバンド層を具えることを特徴としている。
又請求項5の発明では、前記第2のベルトプライの外表面からトレッド面までのトレッド厚さTは、一定であることを特徴としている。
又請求項6の発明では、前記第2のベルトプライの外表面からトレッド面までのトレッド厚さTは、タイヤ軸方向外方に向かって漸減するとともに、タイヤ赤道面でのトレッド厚さTcと、第2のベルトプライの外端でのトレッド厚さTeとの差(Tc−Te)は2.5mm以下であることを特徴としている。又請求項7の発明では、前記第2のベルトプライのタイヤ軸方向の外端は、前記ベルト層と前記カーカスとの離間部分に設けられるベルトクッションゴム上に配されることを特徴としている。
なお前記「トレッド接地巾TW」とは、前記正規内圧状態のタイヤに正規荷重の80%の荷重を負荷した時に接地するトレッド接地面のタイヤ軸方向最大巾を意味する。
又前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。又前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITE AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITE AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
本発明は叙上の如く、3次元的に湾曲する第2のベルトプライの外表面を、仮想的にスライスカットしたときのスライスカット断面の形状を下記のように規定している。即ち、カット断面半幅Wの0.80倍の距離をタイヤ赤道面から隔たる位置におけるスライスカット断面の周方向長さをL80、カット断面半幅Wの0.95倍の距離をタイヤ赤道面から隔たる位置におけるスライスカット断面の周方向長さをL95、及びタイヤ赤道面上におけるスライスカット断面の周方向長さをL0としたとき、比L0/L80を1.22〜1.44、比L80/L95を1.8以下に規制している。
これにより、以下の「発明を実施するための形態」の欄で記載する理由により、クラウン摩耗、ショルダー摩耗、ヒール&トゥ摩耗に対する耐偏摩耗性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。 第2のベルトプライのスライスカット断面を説明する斜視図である。 第2のベルトプライのスライスカット断面の正面図である。 ショルダー摩耗のメカニズムを説明する概念図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1において、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつ前記トレッド部2の内部に配されるベルト層7とを具える。
前記カーカス6は、有機繊維コード等からなるカーカスコードをタイヤ赤道面Coに対して例えば75゜〜90゜の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るトロイド状のプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを有する。又該プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側に向かって先細状にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。
前記ベルト層7は、スチールコード等からなるベルトコードを、タイヤ赤道面Coに対して例えば10〜30゜程度、好ましくは24〜30°の角度で配列した2枚のベルトプライからなり、本願では、半径方向内側のベルトプライを第1のベルトプライ7A、半径方向外側のベルトプライを第2のベルトプライ7Bと呼んでいる。各ベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードがプライ間相互で交差するように、ベルトコードの傾斜の向きを違えて重置され、これによってベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。
前記第1のベルトプライ7Aは、第2のベルトプライ7Bよりも幅広であり、本例では、第1のベルトプライ7Aの外端と第2のベルトプライ7Bの外端との間のタイヤ軸方向距離Kは、7〜10mmの範囲に設定される。即ち第1のベルトプライ7Aは、第2のベルトプライ7Bの外端からタイヤ軸方向外側にはみ出すはみ出し部7Aaを有し、このはみ出し部7Aaの長さKを7〜10mmとしている。又第2のベルトプライ7Bのタイヤ軸方向のプライ巾WBは、トレッド接地巾TWよりも大に設定される。
又前記ベルト層7は、前記カーカス6に隣接してタイヤ赤道面Coからタイヤ軸方向外側に向かって凸円弧状に湾曲してのびるとともに、ベルト層7の外端側ではカーカス6から次第に離間する。これによって、ベルト層7とカーカス6との間に作用する層間剪断力の集中を緩和し、ベルト端剥離などの損傷をしている。なお前記離間部分には断面三角形状のベルトクッションゴム10が設けられ、ベルト層7のプロファイル形状をその全巾に亘って安定に保持している。
又前記ベルト層7の半径方向外側には、このベルト層7を拘束し、ベルト層7のプロファイル形状を適正に維持するためのバンド層9が配される。このバンド層9は、タイヤ周方向に螺旋状に巻回されるバンドコードを有し、かつ前記ベルト層7の外表面の全面を覆う本例では1枚のフルバンドプライ9Aから形成される。なおバンド層9として、ベルト層7の外端部のみを被覆するタイヤ軸方向両側のエッジバンドプライを用いた場合、エッジバンドプライとその間とで剛性段差が発生するため、段差摩耗などを招くなど耐偏摩耗性を悪化させる要因となりうる。従って耐偏摩耗性の観点から、フルバンドプライ9Aが好適に採用しうる。
そして本発明では、図2に示すように、タイヤ1を正規リムにリム組みしかつ正規内圧が充填された正規内圧状態において、前記第2のベルトプライ7Bの外表面を、スライス面20によって仮想的にスライスカットしたときのスライスカット断面7Sを、以下のように規制している。なお前記スライス面20は、前記第2のベルトプライ7Bの外表面のタイヤ軸方向外端Beを通り、かつタイヤ赤道面Coと直角な面として定義される。
このようなスライスカット断面7Sは、便宜上、以下のように求めることもできる。例えば、タイヤ子午断面(図1に示す。)における前記第2のベルトプライ7Bの外表面の2次元プロファイルJ2を、図2に示すように、タイヤ軸方向のY標、半径方向のZ座標で表示する。そして、この2次元プロファイルJ2を、タイヤ軸芯i廻りで回転させることにより3次元プロファイルである3次元曲面J3をうる。そして、この3次元曲面J3を、そのタイヤ赤道面Co上の赤道点Qから距離δをZ軸方向内側に隔たる位置で、Z軸と直角なスライス面20でカットすることで、このスライス面20上に、前記スライスカット断面7Sを得ることができる。前記距離δは、前記赤道点Qと、第2のベルトプライ7Bの外表面のタイヤ軸方向外端Beとの間のZ軸方向の距離である。
なお前記2次元プロファイルJ2は、前記正規内圧状態のタイヤ1をCTスキャン撮影することで、その映像から得ることができ、又その映像データをCADデータに取り込み、かつ実寸換算することで前記2次元プロファイルJ2をY−Z座標で表示することができる。
次に、前記スライスカット断面7Sは、以下のように規制される。図3に示すように、
(ア) スライスカット断面7Sのタイヤ赤道面Coからのタイヤ軸方向巾であるカット断面半幅Wの0.80倍の距離W80をタイヤ赤道面Coからタイヤ軸方向に隔たる位置における前記スライスカット断面7Sの周方向長さをL80、
(イ) 前記カット断面半幅Wの0.95倍の距離W95をタイヤ赤道面Coからタイヤ軸方向に隔たる位置における前記スライスカット断面7Sの周方向長さをL95、及び
(ウ) タイヤ赤道面Co上における前記スライスカット断面7Sの周方向長さをL0としたとき、
前記周方向長さL0と、前記周方向長さL80との比L0/L80を1.22〜1.44の範囲、かつ前記周方向長さL80と前記周方向長さL95との比L80/L95を1.8以下の範囲に規制している。
ここで、図4に示すように、ベルト層7の2次元プロファイルJ2は、接地前は凸円弧状に湾曲しており、接地したときフラットに変形するが、このときショルダー部におけるベルト層7上のトレッドゴムgは、子午断面面内で回転移動し、路面と滑りを生じながらタイヤ軸方向内側に移行する。従って、タイヤが進行方向に回転する際、ショルダー部のトレッドゴムgには、接地入りにおいてタイヤ軸方向内側に滑りf1が生じ、接地出においてはタイヤ軸方向外側に滑りf2が生じる。又この接地入りと接地出との間では、クラウン部とのタイヤ外径差に起因して、ショルダー部のトレッドゴムgには、接地入りに向かう周方向の滑りf3が生じる。そして、このタイヤ軸方向の滑りf1、f2、及び周方向の滑りf3が繰り返されて、ショルダー摩耗が発生する。
このとき、前記比L80/L95が1.8を越えて大きくなると、それにつれて前記タイヤ軸方向の滑りf1、f2が大きくなり、ショルダー摩耗のさらなる悪化を招く。又ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗も悪化させる。
他方、前記比L0/L80が1.44を越えると、クラウン部とショルダー部との間のタイヤ外径差が大きくなり、ショルダー部での周方向の滑りf3が大となってショルダー摩耗が悪化する。又ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗も悪化させる。特に制動時には、このタイヤ外径差の影響が大きくなり、ショルダー摩耗をさらに悪化させる。逆に、比L0/L80が1.22を下回ると、クラウン部とショルダー部との間のタイヤ外径差が小さくなり、又ベルト層7の外端側の跳ね上がりによってクラウン部の接地圧が低くなる。その結果、クラウン摩耗、及びクラウン部でのヒール&トゥ摩耗を悪化させる。
具体的には、タイヤ摩耗として、前輪のクラウン摩耗、前輪のショルダ摩耗、前輪クラウン部でのヒール&トゥ摩耗、前輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗、前輪耐摩耗性、後輪のクラウン摩耗、後輪のショルダ摩耗、後輪クラウン部でのヒール&トゥ摩耗、後輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗、後輪耐摩耗性が挙げられるが、特にFR車両の場合、摩耗問題は、前輪のショルダ摩耗、前輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗、前輪クラウン部でのヒール&トゥ摩耗、後輪のクラウン摩耗、後輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗について問題となる。
そして比L80/L95が大きい場合、特に前輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗に大きな影響があり、後輪耐摩耗性に対してはほとんど影響を与えない。その理由は、比L80/L95が大きいと、ショルダー部の接地圧が低く滑り易くなっており、制動力が働いた時に滑りを助長させる。従って、前輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗を悪化させる。なお後輪では、駆動力も働くので、制動時のショルダー部でのヒール&トゥ摩耗が駆動時のヒール&トゥ摩耗と打ち消し合う傾向となるため、ヒール&トゥ摩耗は軽減される。なお、後輪耐摩耗性については、比L80/L95は、エッジ部のみへの影響であるため、特に問題とはならない。
又比L0/L80が大きい場合、前輪のショルダ摩耗、前輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗、後輪耐摩耗性に大きな影響があり、後輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗に対しての影響は小さい。その理由は、比L0/L80が大きいと、制動力が働いたとき、接地圧の高いクラウン部に対して接地圧の低いショルダー部が滑りやすくなり、よって、制動力しか働かない前輪において、ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗、及びショルダ摩耗を悪化させる。逆に駆動力が働く場合、接地圧の高いところが摩耗しやすいので、駆動時に後輪においてクラウン摩耗が悪化する。又後輪は制動力も働くので、制動時にショルダ摩耗を発生させる。従って、後輪は、駆動時のクラウン摩耗と制動時のショルダ摩耗とが発生するため、後輪耐摩耗性も悪化する。後輪ショルダー部でのヒール&トゥ摩耗については、比L80/L95が大きい場合と同様、後輪では、制動時のヒール&トゥ摩耗と駆動時のヒール&トゥ摩耗とが打ち消し合う傾向となるため、ヒール&トゥ摩耗は軽減される。なお比L0/L80が小さい場合、クラウン部の接地圧が低くなるため、前輪クラウン部でのヒール&トゥ摩耗を悪化させる。
なお一般に、FR車は、FF車に比べて前後輪の耐摩耗性の差は少ないが、後輪は、クラウン摩耗とショルダー摩耗との両方が起きやすいため、前輪よりも耐摩耗性は悪い。
このように、前記スライスカット断面7Sにおける比L80/L95、比L0/L80を規定することにより、耐偏摩耗性を向上させることが可能となる。
なお前記スライスカット断面7Sの比L80/L95、比L0/L80は、ベルト層7の3次元曲面J3(3次元プロファイル)によってコントロールすることができ、又この3次元曲面J3は、ベルトコードの角度及びバンド層9によってコントロールすることがでる。例えば、ベルトコードの角度を大きくすることで、ベルト層7の曲率半径を小さくすることができ、又バンド層9によっても、ベルト層7を押さえ込んで所望のプロファイル形状に安定して保持することができる。
又本願の効果を有効に発揮させるためには、前記第2のベルトプライ7Bの外表面からトレッド面2Sまでのトレッド厚さTを一定とする、或いは前記トレッド厚さTを、タイヤ軸方向外方に向かって漸減させるとともに、タイヤ赤道面Coでのトレッド厚さTcと、第2のベルトプライの外端でのトレッド厚さTeとの差(Tc−Te)を2.5mm以下とするのが好ましい。これにより、トレッドゲージの厚さ分布に起因する偏摩耗への影響を排除でき、本願の効果を有効に発揮させることができる。
なおベルト層7では、前述の如く、第1のベルトプライ7Aのはみ出し部7Aaの長さK(距離K)を7〜10mmとするのが好ましい。このはみ出し部7Aaは、ベルトプライが1枚であるため負荷によって変形挙動しやすい。従って、このはみ出し部7Aaの長さが10mmを越えると、はみ出し部7Aaにおいてトレッドゴムの挙動が大きくなりショルダー摩耗に不利となる。特に摩耗末期の偏摩耗に不利が生じる。又はみ出し部7Aaの外端で大きな歪みが発生し、耐久性の低下原因となりうる。又前記長さK(距離K)が7mmを下回ると、ベルトプライ7A、7Bの外端同士が近づくため、そこで大きな剛性段差が発生し、段差摩耗などの偏摩耗を誘発するとともに、耐久性の低下原因となりうる。
又ベルト層7では、前述の如く、第2のベルトプライ7Bのプライ巾WBがトレッド接地巾TWよりも大である。その理由は、第2のベルトプライ7Bの外端よりもタイヤ軸方向外側部分では剛性が低下するため、もし前記プライ巾WBがトレッド接地巾TWより狭い場合、或いは過負荷や摩耗進行によって接地巾がプライ巾WBを越える場合には、前記外側部分が接地して滑りを大きくさせ、ショルダー摩耗を成長させるからである。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す内部構造をなす乗用車用ラジアルタイヤ(245/45R18)を表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの耐摩耗性をテストし互いに比較した。なお表1に記載以外は実質的に同仕様である。
なおスライスカット断面の形状は、ベルトプライのコード角度、バンドコードの巻回径、張力を調整することで変化させている。又第2のベルトプライのプライ巾WBは186mm、トレッド接地巾TWは、180mmとしている。
(1)スライスカット断面の測定:
正規リム(18×7.5J)に装着しかつ正規内圧(230kPa)を負荷した正規内圧状態のタイヤを、V線でCTスキャン撮影し、そのデータをCADに取り込み実寸換算することで、第2のベルトプライ外表面の2次元プロファイルをY−Z座標にて表示した。そして、この2次元プロファイルをCAD上でタイヤ軸芯廻りで回転させて3次元プロファイル(3次元曲面)を得た後、そのデータから、スライスカット断面、各位置における周方向長さL0、L80、L95を順次求めた。
(2)耐摩耗性:
上記のタイヤ(4本)を、それぞれ国産車両(4300cc、FR車)に装着し、高速道路50%、一般道路25%、山岳道25%の割合で合計8000km走行し、走行後のタイヤの摩耗量を測定した。測定は、タイヤ1本につき、周方向8箇所、巾方向6箇所の合計48箇所にて行い、それぞれ4本のタイヤの平均値を、10点法にて評価した。評点は大なほど優れている。
なお表中:
前輪Sh摩耗は、前輪タイヤのショルダー摩耗;
後輪Cr摩耗は、後輪タイヤのクラウン摩耗;
後輪耐摩耗性は、後輪タイヤの耐摩耗性;
前輪Shの偏摩耗は、前輪タイヤのショルダー部のヒール&トゥ摩耗;
後輪Shの偏摩耗は、後輪タイヤのショルダー部のヒール&トゥ摩耗;
前輪Crの偏摩耗は、前輪タイヤのクラウン部のヒール&トゥ摩耗;
を意味する。なお、FR車両の場合、摩耗問題は、上記の前輪タイヤのショルダ摩耗、前輪タイヤのショルダー部のヒール&トゥ摩耗、前輪タイヤのクラウン部のヒール&トゥ摩耗、後輪タイヤのクラウン摩耗、後輪タイヤのショルダー部のヒール&トゥ摩耗について問題となるため、前輪タイヤのクラウン摩耗、前輪タイヤの耐摩耗性、後輪タイヤのショルダー部のヒール&トゥ摩耗、後輪タイヤのクラウン部のヒール&トゥ摩耗については、評価していない。
Figure 0005986352
表の如く実施例のタイヤは、耐偏摩耗性に優れているのが確認できる。
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
7A 第1のベルトプライ
7B 第2のベルトプライ
7S スライスカット断面
9 バンド層
9A フルバンドプライ
20 スライス面

Claims (7)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されるベルト層とを具える乗用車用ラジアルタイヤであって、
    前記ベルト層は、半径方向外側の第2のベルトプライと、前記第2のベルトプライよりも幅広かつ半径方向内側の第1のベルトプライとからなり、
    前記第2のベルトプライのプライ巾は、トレッド接地巾よりも大であり、
    しかもタイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧が充填された正規内圧状態にて、
    前記第2のベルトプライの外表面を、この第2のベルトプライの外表面のタイヤ赤道面上の赤道点からタイヤ半径方向内側に、前記赤道点と前記第2のベルトプライの外表面のタイヤ軸方向外端との間のタイヤ半径方向距離を隔てる位置で、前記赤道点を通るタイヤ半径方向のZ軸と直角なスライス面によって仮想的にスライスカットしたときに形成される第2のベルトプライのスライスカット断面において、
    このスライスカット断面のタイヤ赤道面からのタイヤ軸方向巾であるカット断面半幅Wの0.80倍の距離をタイヤ赤道面からタイヤ軸方向に隔たる位置における前記スライスカット断面の周方向長さをL80、前記カット断面半幅Wの0.95倍の距離をタイヤ赤道面からタイヤ軸方向に隔たる位置における前記スライスカット断面の周方向長さをL95、及びタイヤ赤道面上における前記スライスカット断面の周方向長さをL0としたとき、
    前記周方向長さL0と前記周方向長さL80との比L0/L80は、1.22〜1.44の範囲であり、かつ前記周方向長さL80と前記周方向長さL95との比L80/L95は、1.8以下であることを特徴とする乗用車用ラジアルタイヤ。
  2. 前記第1のベルトプライは、第2のベルトプライよりも幅広であり、かつ第1のベルトプライの外端と第2のベルトプライの外端とのタイヤ軸方向距離Kを7〜10mmとしたことを特徴とする請求項1記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
  3. 前記第2のベルトプライのタイヤ軸方向のプライ巾は、トレッド接地巾TWよりも大であることを特徴とする請求項1又は2記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
  4. 前記ベルト層の半径方向外側に、タイヤ周方向に螺旋状に巻回されるバンドコードを有しかつ前記ベルト層の外表面の全面を覆うフルバンドプライからなるバンド層を具えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
  5. 前記第2のベルトプライの外表面からトレッド面までのトレッド厚さTは、一定であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
  6. 前記第2のベルトプライの外表面からトレッド面までのトレッド厚さTは、タイヤ軸方向外方に向かって漸減するとともに、タイヤ赤道面でのトレッド厚さTcと、第2のベルトプライの外端でのトレッド厚さTeとの差(Tc−Te)は2.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
  7. 前記第2のベルトプライのタイヤ軸方向の外端は、前記ベルト層と前記カーカスとの離間部分に設けられるベルトクッションゴム上に配される請求項1〜6の何れかに記載の乗用車用ラジアルタイヤ。
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