JP4255254B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラット時のトレッドリフトを抑制し、操縦安定性の低下を抑制しうるランフラットタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
パンク等により空気圧が低下し、乃至は0圧の状態(ランフラットという)において、走行不能状態を回避できるよう、例えば米国では速度80km/hで約80kmの距離を走行する、いわゆるランフラットタイヤとして、図8に例示するように、サイドウォール部aの内側に断面略三日月状のサイド補強層bを設けて、サイドウォール部aの剛性を増してこのサイドウォール部aによって荷重を負担させるようにしたサイド補強ランフラットタイヤが、中子式のランフラットタイヤとともに知られている。
【0003】
このようなサイド補強形式のランフラットタイヤのランフラット走行時においては、サイド補強層bにより補強されたサイドウォール部aの剛性、タイヤ軸を含む断面(子午線断面)におけるタイヤ周長さがパンク前後で変化しないこと等に起因して、図9に示すように、内圧低下とともにサイドウォール部aが倒れてショルダー部dで主に接地するに伴い、前記トレッド部cの中央部が浮き上がるトレッドリフトXが生じ、このようなトレッドリフトXによりトレッド面中央領域における接地面積が減じることにより、ランフラット走行時における横剛性とコーナリングパワーが減じて、操縦安定性、特に危険回避性能が低下する。
またかかるトレッドリフトXが大となるときには、ショルダー部dに接地領域が集中し、又は通常では路面と接地しないバットレス部が外にせり出して接地することによる異常摩耗などによってタイヤ損傷を招来する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、前記サイド補強層bを強化しサイドウォール部aの倒れを防止することは、操縦安定性をある程度向上しうるが、コーナリングパワーについては、前記接地面積が減じることに主として起因するため、前記サイド補強層bの強化は前記危険回避性能を含めての操縦安定性の向上を十分には果たし得ない。さらに、前記サイド補強層bを強化することは、その大型化、またゴム硬度を高めることにつながり、タイヤ重量を増し、かつ乗心地などのタイヤ性能を損なうことともなる。
【0005】
他方、トレッドリフトXにおいては子午線断面、タイヤ周方向においても、タイヤ内腔に向くタイヤ内側領域には引張力が、タイヤ外側領域には圧縮力が作用し、前記タイヤ内側領域に配されるカーカスeは子午線断面における前記引張力に抵抗し、かつベルト層fも、ベルトコードがタイヤ周方向に対して15〜30゜程度で傾斜しているが通常ナイロンなどのコードを周方向に巻回したバンドgと協働して同様に引張力に抵抗する。
【0006】
しかしながら、トレッドリフトXの低減のためにカーカスe、ベルト層f、バンドgを強化することは、同様に、タイヤ重量を増し、かつ乗心地などの基本的なタイヤ性能を変え、かつタイヤ性能を損なうことともなる。
【0007】
本発明は、前記トレッドゴムに着目してタイヤ外側領域での耐圧縮性を高めて、トレッドリフトを低減することによって、ランフラット走行時におけるグリップ限界、ブレーキ性能などに基づく操縦安定性、特に危険回避性能(ハンドリング応答性)の低下を抑制しうるランフラットタイヤの提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係る発明は、正規リムにリム組しかつ正規内圧において正規荷重を負荷した標準状態でトレッド面が接地する接地面において、タイヤ赤道を中心としてタイヤ軸方向両側に、トレッド接地巾の25%を隔てる範囲である接地中央領域と、前記接地中央領域のタイヤ軸方向各外側の接地外側領域とに仮想区分するとともに、接地中央領域のランド比CLと、前記接地外側領域のランド比SLとの比CL/SLが1.15〜1.70、かつ前記接地中央領域のランド比CLを60〜95%、接地外側領域のランド比SLを40〜80%の範囲としたことを特徴とするランフラットタイヤである。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記接地面が、タイヤ周方向にのびる複数条の縦溝を設けることにより、前記接地中央領域に、横溝により区分されることなくタイヤ周方向に連続してのびかつタイヤ軸方向の巾を20〜45mmとした少なくとも1本のタイヤ周方向にのびるリブ状体を具えることを特徴としている。
【0010】
又請求項3に係る発明は、前記接地面が、タイヤ周方向にのびる複数条の縦溝を設けることにより、前記各接地外側領域において、タイヤ周方向に連続してのびかつタイヤ軸方向の巾を20〜35mmとしたリブ状体を形成し、このリブ状体を横溝により区分してなるブロック列を具えること、請求項4に係る発明は、前記接地面が、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷状態において、円弧状面をなすことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1は、正規リムにリム組みして正規内圧を充填するとともに、荷重を負荷しない無負荷状態で示すタイヤ子午線断面図であり、図2は正規荷重を付加した標準状態でのトレッド面を示している。
【0012】
なお本明細書において、「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤサイズ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"となる。
【0013】
また「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤサイズ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" であるが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
【0014】
さらに「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"と定義する。
【0015】
図1は、ランフラットタイヤ1がタイヤサイズ215/ 45R17の扁平ランフラットラジアルタイヤである場合を例示し、またタイヤ子午線断面におけるトレ ッド面を含む外周面形状を、連続して曲率半径が変化する、例えば特許第305 3390号により提案した疑似インボリュート曲面を用いていることにより、ト レッド面を円弧状として定常走行時の接地巾を比較的狭くして排水性を向上し耐 ハイドロプレーニング性能を高めている。
【0016】
ランフラットタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部7を経てビード部8のビードコア9に至る本体部10aを有するカーカス10と、このカーカス10のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配置されたベルト層11と、このベルト層11のタイヤ半径外側でベルト層11の端部を覆うように配されかつコードをタイヤ周方向に配列したバンド13とを具え、前記サイドウォール部7には、タイヤ内腔側に位置してサイド補強層14を配している。
【0017】
又カーカス10は、前記本体部10aに前記ビードコア9でタイヤ軸方向内側から外側に折り返す折返し部10bを連設するとともに、前記本体部10aと折返し部10bとの間には、前記ビードコア9からタイヤ半径方向外側に硬質ゴムからなるビードエーペックスゴム12を立上げている。
【0018】
なお、ベルト層11は、本形態では、タイヤ半径方向内側の第1のベルトプライ11Aと、その外側かつ第1のベルトプライ11Aよりも広巾とした第2のベルトプライ11Bとから形成され、かつカーカス10の折返し部10bは、その外端10eが、タイヤ半径方向外側にのび前記第2のベルトプライ11Bの端縁11eをタイヤ軸方向内側に超えて終端する、いわゆる超ハイターンナップ構造とすることにより、サイドウォール部3を効果的に補強でき前記サイド補強層14の薄肉化を可能とする。
【0019】
また外端10eが、ランフラット走行時に大きく撓むサイドウォール部3に存在しないため、該外端10eを起点とするルース、セパレーションなどを好適に抑制することもできる。なおこの折返し部10bと前記ベルト層11の外端11eとのタイヤ軸方向の重なり長さEWは、例えば5mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは15〜25mmとするのが好ましい。なお、カーカス10,ベルト層11、ビードエーペックス12等のタイヤ部材は、その他の種々な周知の構成を採用しうる。
【0020】
なお、カーカス10,ベルト層11は、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミドなどからなる有機繊維コードを、又ベルト層11にはスチールコードをも用いうる。またバンド13として、本例では1本又は平行に引き揃えられた複数本のアラミドコードをトッピングゴム中に埋設した帯状プライを、前記アラミドコードが実質的にタイヤ周方向に沿うよう螺旋状に巻回することにより形成された継ぎ目のないい、わゆるジョイントレスバンドを採用しているが、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなどの各種の有機繊維コードや、また必要に応じてスチールコードなども採用しうる。
【0021】
さらに、バンド13を、図7に示すごとく、ベルト層11の半径方向内側に配してトレッドリフトXを抑制に寄与させることもでき、またベルト層11の外側に設けたバンド13に併設することもできる。さらにバンド13はベルト層11の全巾に設けてもよく、またベルト層11のタイヤ軸方向外端部分に位置するとともにベルト層のタイヤ軸方向巾の1/3〜1/10倍程度の巾としてタイヤ軸方向内方にのびるプライを用いてもよい。
【0022】
前記サイド補強層14は、本例では厚肉の中央部分からタイヤ半径方向内外に厚さを除々に減じてのびる断面略三日月状のゴムからなり、パンク状態で最も屈曲しやすいタイヤの最大幅点D近傍を最大厚さ領域として、サイドウォール部7において前記カーカス10のタイヤ軸方向内側面に沿って配されることによりサイド補強層14は、サイドウォール部3の曲げ剛性を高めパンク状態におけるタイヤの縦撓みを減じてランフラット走行を可能とする。
【0023】
又本発明のランフラットタイヤ1は、図2に示すように、ランフラットタイヤ1は、接地中央領域Cと、前記接地中央領域Cのタイヤ軸方向各外側の接地外側領域S,Sとに境界線zで仮想区分するとともに、接地中央領域Cのランド比CLと、前記接地外側領域Sのランド比SLとの比CL/SLを1.15〜1.70としている。
【0024】
前記接地中央領域Cとは、前記標準状態でトレッド面が接地する接地面sにおいて、タイヤ赤道Cを中心としてタイヤ軸方向両側に、トレッド接地巾TWの25%を隔てる範囲、即ちタイヤ赤道COを中心としたトレッド接地巾TWの50%の範囲であり、かつトレッド接地巾TWとは、前記接地面のタイヤ軸方向の接地端se間のタイヤ軸方向距離をいう。
【0025】
さらに、接地中央領域Cのランド比CL、前記接地外側領域Sのランド比SLとは、接地中央領域C、前記接地外側領域Sの各面積Ca,Saの、各面積Ca,Saから溝G、gによって接地しない溝面積Cg,Sgを減じた実接地面積Cc,Scに対する比Cc/Ca(=CL),Sc/Sa(=SL)をいい、タイヤ回転により変化するときにはその平均値とする。
【0026】
図2は、回転とともに変化する接地面sを連続させて示し、あるときの接地面sを破線で囲むとともに、接地しない領域の溝配置を一点鎖線により図示しており、この図2に示すように、本形態では、接地中央領域Cには、タイヤ赤道CO両側でのびその間でタイヤ周方向に連続してのびる第1のリブ状部R1を形成する内の縦溝Gc1,Gc1、その外側でのび内の縦溝Gc1との間でタイヤ周方向に連続してのびる第2のリブ状部R2を形成する外の縦溝Gc2,Gc2とからなる中央領域縦溝Gc、及び前記内の縦溝Gc1から内側にひげ状にのびて途切れる横溝gc1と、前記内外の縦溝Gc1、Gc2間を継ぎ前記第2のリブ状部R2を周方向ピッチp1で途切れさせて図示のごとくブロック列とする横溝gc2とからなる中央領域横溝gcが形成される。
【0027】
なお、本形態では中央領域縦溝Gcはいずれも直線状をなし、排水効果を高めており、かつ内の縦溝Gc1はその溝巾が前記トレッド接地巾TWの2〜5%,外の縦溝Gc2は,トレッド接地巾TWの1〜3%であって、内の縦溝Gc1よりも巾狭に形成され、また横溝gc1は接地面sに2〜5個、本例では4個程度が常に現れ、しかも横溝gc2は本形態では1〜5、本形態では1〜2が現れる前記周方向ピッチp1で形成される。
【0028】
その結果、接地中央領域Cでは、接地中央領域Cの面積Ca、該面積Caから溝Gc、gcの溝面積Cgを減じた実接地面積Cc比Cc/Caであるランド比CLを60〜95%としている。
【0029】
また接地外側領域Sには、前記境界線z近傍の内の縦溝Gs1と,前記接地端se近傍を通る外の縦溝Gs2とからなる外側領域縦溝Gsが形成され、この内の縦溝Gs1と、前記外の縦溝Gc2との間には第3のリブ状部R3を、内の縦溝Gs1と,外の縦溝Gs2との間には第4のリブ状部R4を、かつ外の縦溝Gs2と接地端seとの間に第5のリブ状部R5をそれぞれタイヤ周方向に連続してのびて形成している。さらに接地外側領域Sには、前記内外の縦溝Gs1、Gs2を結ぶことによりタイヤ周方向に連続してのびる第4のリブ状部R4を途切れさせたブロック列としかつ前記接地端seをこえて延在する横溝gs1からなる外側領域横溝gsが形成される。
【0030】
なお、外側領域縦溝Gsもいずれも直線状をなし、排水効果を高めており、かつ内の縦溝Gs1はその溝巾が前記トレッド接地巾TWの5〜10%,外の縦溝Gs2は,トレッド接地巾TWの0.5〜2%であって、内の縦溝Gc1よりも巾狭に形成され、また横溝gs1の溝巾は、前記トレッド接地巾TWの2〜5%程度に設定される。また横溝gs1は、接地面sに3〜7個、本例では3〜4個程度が現れる程度であって、横溝gc1の前記周方向ピッチp1よりも小さい周方向ピッチp2で形成される。
【0031】
このような構成の結果、接地外側領域Sでは、接地外側領域Sの面積Sa、該面積Saから溝Gs、gsの溝面積Sgを減じた実接地面積Scに対する比Sc/Saであるランド比SLを40〜80%の範囲、しかも前記のように、接地中央領域のランド比CLと、前記接地外側領域のランド比SLとの比CL/SLが1.15〜1.70、好ましくは1.25〜1.50程度としている。
【0032】
なお、比CL/SLが1.15よりも小であるとき、接地中央領域Cの剛性が接地外側領域Sに比してトレッドリフトXを抑制しうる程度には増大しない。また1.70を越えるときには、剛性差が過大となり、トレッドパターンの見映えを損なうとともに、接地外側領域Sの走行に際しての寄与を減じて、トレッド面全体を活用できず、操縦安定性、耐久性、耐摩耗性を損なう。なおリブ状威武R3のように境界線zが通るときには、そのタイヤ軸方向の長さによって配分させる。
【0033】
このように、接地中央領域Cにおけるランド比CLを大とすることにより、トレッドリフトXにおいて圧縮側にある領域でのゴム量が増し、圧縮強度を高めることによりトレッドリフトXを低減することを意図している。
【0034】
なお重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、夏用タイヤは、通常ランド比は70〜80%程度、マッドアンドスノータイヤの場合には60〜75%程度に設定されるが、タイヤにおけるランド比のタイヤ巾方向には、特に排水性、ハイドロプレーニング現象の低減が課題となる扁平タイヤにおいては、従来、接地中央領域Cのランド比を小、即ち周方向にのびる広巾の縦溝を接地中央領域Cに配する一方、接地外側領域Sでは,縦溝は相対的に巾狭であって横溝を形成することにより排水性を保持している。
【0035】
本発明においては、トレッドリフトXを低減するべく、前記のように、接地中央領域Cのランド比CLを大とすることにより該領域の曲げ剛性を高めており、従来のトレッドパターンに対して新しい外観を付与しうるとともに、接地中央領域Cのランド比CLを100%とすることは現実的でなく、従って前記のように、ランド比CLを60〜95%としている。
【0036】
さらにトレッドリフトXの発生を抑制するために接地中央領域Cのタイヤ周方向剛性を向上するべく、前記接地面sは、接地中央領域Cの前記リブ状体R1をタイヤ周方向に区分する横溝gc2の総和CNと、前記接地外側領域Sの前記リブ状体R4をタイヤ周方向に区分する横溝gs1の総和SNとの比SN/CN を1.15〜2.50、好ましくは1.4〜2.1程度とする。し.15よりも小のとき、接地中央領域Cの周方向剛性の増大比が小であって、トレッドリフトXの抑制効果に劣り、2.50を越えるときには、その差異が過度となり、タイヤ性能バランスを低下させる。
【0037】
なお、ここでリブ状部Rを区分する横溝gとは、リブ状部Rを少なくとも半分巾に亘って区分する横溝gであって、かつ深さもタイヤ断面高さの3%を越える程度のものをいう。かかる構成により、接地中央領域Cのタイヤ周方向剛性を、接地外側領域Sよりも高めてトレッドリフトXを抑制する。各領域C,Sに複数のブロック列があるときには、各領域C,Sでのブロック列の平均値をいう。
【0038】
さらに、第1のリブ状部R1は、横溝gc1により区分されることなくタイヤ周方向にのびかつタイヤ軸方向の巾を20〜45mmとしている。このようなリブ状部R1は、子午線断面での剛性とともにタイヤの周方向剛性をも増大でき、トレッドリフトXの低減に役立つ。なお、かかるリブ状部Rは、タイヤ赤道COに沿って設ける他、例えば図6に示すように、その両側にも設けるなど、種々変形しうる。
【0039】
また図2は前記各接地外側領域Sの前記第4のリブ状部R4はタイヤ軸方向の巾を20〜35mmとしておりかつ前記横溝gs1により区分されることによりブロック列をなす場合を例示するが、図6のように、例えば3本の縦溝gs1,gs2,gs3を設けて2本のブロック列を形成し、ショルダー部剛性を低下することもできる。
【0040】
本形態では、前記のごとく、前記トレッド面sは、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷状態において、連続して曲率半径が変化する円弧状面をなし、排水性を高めている柘。この円弧状面は、タイヤ子午線断面におけるタイヤ表面の断面輪郭線2eを、図3、図4に示す如く、タイヤ赤道COと交わるタイヤ赤道点Pからサイドウォール部7でのタイヤ軸方向に最外側となる最大幅点Dまでを、該タイヤ赤道点Pからサイドウォール部側に向かって曲率半径R(x)が連続的に減じかつタイヤ半径方向に長径(2×b)を有する基礎楕円Vに巻きつけられるインボリュート状曲線Gで実質的に形成している。
【0041】
一般に、サイド補強層14を設けたランフラットタイヤは、図3に点線で示すように、このような断面輪郭線2e’がタイヤ赤道点Pからトレッド縁までほぼ平坦に形成されているため、タイヤのサイドウォール領域が長くなっている。このため、ランフラット性能を発揮させるためには、サイド補強層を構成するゴム補強材を配する領域も長くなり、タイヤが重くなりやすく、かつ縦バネも高くなり乗り心地が損なわれ、かつ接地中央領域Cでの排水性に劣りがちとなる。
【0042】
これに対して、前記のように、タイヤ子午線断面におけるトレッド面を含む外周面形状を、曲率半径が連続して変化するインボリュート状曲線Gでタイヤ表面の断面輪郭線2eを実質的に形成することによって、トレッド部2の形状が非常に丸くなり、縦バネが小さくなって乗り心地が向上するとともに、円弧状をなすことによって、接地中央領域Cのランド比CLと、前記接地外側領域Sのランド比SLとの比CL/SLが1.15〜1.70としたことによる接地中央領域Cでの排水性の低下を補い、ハイドロプレーニングの発生を抑制する。
【0043】
このインボリュート状曲線Gによる断面輪郭線2eに沿ったタイヤ赤道点Pから最大幅点Dまでの絶対距離も従来のタイヤに比べ短く、特にサイドウォール部領域が短くなるため、例えばサイド補強層10のゴム使用量なども少なくてすみタイヤを軽く構成するのに役立つ。なおタイヤ赤道点Pからトレッド縁側に向けて曲率半径が滑らかに減少していくため、接地圧の均一化をより促進することもできる。
【0044】
なおこのような断面輪郭線2eは、前記最大幅点Dが、タイヤ赤道点Pからタイヤ半径方向内側にタイヤ断面高さHの0.34倍よりも大かつ0.50倍よりも小の半径方向距離hを隔てることが必要である。また本実施形態では、図4に示す如く、前記インボリュート状曲線Gの基礎楕円Vは、タイヤ子午線断面における前記断面輪郭線2eのタイヤ赤道点Pを通るタイヤ半径方向線をy、Y軸、前記断面輪郭線2eのタイヤ赤道点Pにおける曲率半径Bの中心点を通るタイヤ軸方向線をx、X軸としたx−y座標系、X−Y座標系において、下記式(1)の楕円曲線で表されるものを例示しており、このようなインボリュート状曲線Gは、一端を前記座標系の原点Oに固定して前記基礎楕円Vに巻き付ける糸の他端が描く軌跡を通ることとなる。
(x−a)2 /a2 +y2 /b2 =1 … (1)
(ただし、|a|<|b|でともに0以外の定数)
【0045】
このような断面輪郭線2eの任意の点A(X,Y)の値は、インボリュートの性質から下記数1、数2により求めることができる。
【数1】
【数2】
【0046】
ここで、y(x)、y’(x)、R(x)、は数3〜5で表される。
【数3】
【数4】
【数5】
【0047】
また、数5のs(x)は、座標系の原点から基礎楕円上の点F(x,y)までの長さであり、曲線の長さとして数6で求めうる。
【数6】
【0048】
このようなインボリュート状曲線Gを実質的に用いた断面輪郭線2eは、タイヤ赤道点Pでの曲率半径B、最大幅点D、D間のタイヤ軸方向距離であるタイヤ断面幅SW、タイヤ断面高さHおよび最大幅点Dのタイヤ赤道点からのタイヤ半径方向の距離hを定めるとともに、インボリュート状曲線がタイヤ赤道点Pと最大幅点Dとを結ぶよう前記基礎楕円Vの短径(2×a)が適宜定められる。
本実施形態では、前記基礎楕円Vの短径の半長さ(短軸半径)|a|は、例えば前記タイヤ断面幅SWの半巾のほぼ0.53〜0.89倍に設定されるとともに、前記楕円の長径の半長さ|b|は、前記座標系の原点Oから最大幅点DまでのY方向長さに等しいものを例示しているが、これに限定されるものではなく、種々変更しうる。
【0049】
なお、断面輪郭線2eをこのようなインボリュート状曲線で「実質的」に形成するとは、タイヤの加硫金型を製作する際の金型加工精度を考慮に入れたもので、例えば前記断面輪郭線2eがインボリュート状曲線Gからの誤差が±1/10(mm)以内になるよう例えば複数の円弧の連結体で近似的に形成するようなものも本発明の範囲に包含しうる。これは、前記断面輪郭線2eがインボリュート状曲線Gと物理的に完全同一でなくとも、これと実質的に同一の作用、効果を期待できる輪郭線を得るための近似手法として効果がある。
【0050】
なお本発明のランフラットタイヤ1は、トレッド面形状を、前記実施例のように、無負荷状態において、連続して曲率半径が変化する円弧状面をなしているものの他、単円弧、複数種類の円弧から形成する従来の形状のものを用いうる。
【0051】
【実施例】
サイズが215/45R17のタイヤを仕様を変えて複数種試作するとともに、トレッドリフト量を測定した。また、実施例1〜3はタイヤ赤道点Pでの曲率半径Bは508mm、タイヤ断面高さHは93.85mmとしたインボリュート状曲線の基礎楕円などは表1に示すものであり、比較例4、実施例4は、無負荷状態においてタイヤ赤道での曲率半径が450mmの円弧とその外側の曲率半径280mmの円弧からなるトレッド面(複数円弧という)有している。
トレッドリフト量は、タイヤを正規リムにリム組して内圧を0として正規荷重を、リム固定軸に作用させた場合において、板に接地するとともに、板に設けた透孔を用いて測定した。その結果を表1に合わせて示す。操縦安定性は前1輪をランフラット状態(デフレート)としてFR国産車を用いて運転者のフィーリング試験により行う。点数が大きいほど良結果であることを示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に係る発明のランフラットタイヤは、接地中央領域のランド比CLと、接地外側領域のランド比SLとの比CL/SLを1.15〜1.70とすることにより、トレッドリフトを減じることができ、コーナリングパワーを含めて操縦安定性を改善し危険回避性を高めうる。また請求項2にかかる発明は、接地中央領域に横溝により区分されないリブ状体を設けることにより、トレッド部の中央部の剛性を高め、トレッドリフトを減じることができる。
【0054】
また請求項3記載の発明は、接地外側領域に横溝を設けることにより、接地中央領域と比して相対的に剛性を低くするとともに、排水性を向上することが出来、さらに、請求項4記載の発明はタイヤ外面のプロファイルを曲率半径が連続的に減じる曲線とすることにより、排水性を高め、ハイドロプレーニング性能の低下を抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すランフラットタイヤの断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態のトレッドパターンを示す接地面の展開図である。
【図3】図1のトレッド部の部分拡大図である。
【図4】タイヤの断面輪郭線、インボリュート状曲線を説明する線図である。
【図5】インボリュート状曲線を説明するグラフである。
【図6】本発明の他の一形態のトレッドパターンを示す接地面の展開図である。
【図7】バンド層をベルト層の内側に配したトレッド部の部分拡大図である。
【図8】従来のランフラットタイヤを例示する断面図である。
【図9】トレッドリフトを説明する断面図である。
【符号の説明】
1 ランフラットタイヤ
C 接地中央領域
CO タイヤ赤道
G,Gc,Gs 縦溝
R,R1.R2,R3,R4,R5 リブ状体
S 接地外側領域
TW トレッド接地巾
g,gc,gs 横溝
s 接地面
se 接地端
Claims (4)
- 正規リムにリム組しかつ正規内圧において正規荷重を負荷した標準状態でトレッド面が接地する接地面において、タイヤ赤道を中心としてタイヤ軸方向両側に、トレッド接地巾の25%を隔てる範囲である接地中央領域と、前記接地中央領域のタイヤ軸方向各外側の接地外側領域とに仮想区分するとともに、接地中央領域のランド比CLと、前記接地外側領域のランド比SLとの比CL/SLが1.15〜1.70、かつ前記接地中央領域のランド比CLを60〜95%、接地外側領域のランド比SLを40〜80%の範囲としたことを特徴とするランフラットタイヤ。
- 前記接地面は、タイヤ周方向にのびる複数条の縦溝を設けることにより、前記接地中央領域に、横溝により区分されることなくタイヤ周方向に連続してのびかつタイヤ軸方向の巾を20〜45mmとした少なくとも1本のタイヤ周方向にのびるリブ状体を具えることを特徴とする請求項1記載のランフラットタイヤ。
- 前記接地面は、タイヤ周方向にのびる複数条の縦溝を設けることにより、前記各接地外側領域において、タイヤ周方向に連続してのびかつタイヤ軸方向の巾を20〜35mmとしたリブ状体を形成し、このリブ状体を横溝により区分してなるブロック列を具えることを特徴とする請求項1又は2に記載のランフラットタイヤ。
- 前記トレッド面は、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷状態において、連続して曲率半径が変化する円弧状面をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のランフラットタイヤ。
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