以下、本発明の実施形態を図1〜図9を用いて説明する。ここで、本説明では、本発明に係るシート搬送装置100を備えた複合機200(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。また、複合機200のシート搬送装置100を含む部分のうち、最初に原稿搬送部1(原稿搬送装置に相当)を説明し、続いて、複合機200の本体内の印刷部20のシート搬送装置100を説明する。尚、原稿搬送部1が搬送するシートは原稿Dである。また、印刷部20のシート搬送装置100が搬送するシートは、印刷用の用紙Pである。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機200の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係る複合機200の概要を説明する。図1は、実施形態にかかる複合機200を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の複合機200は、前面に取り付けられた操作パネル3を有する。そして、複合機200は、上部に原稿搬送部1(原稿搬送装置)と、画像読取部2からなる画像読取装置201を含む。原稿搬送部1には、シート搬送装置100が含まれる(詳細は後述)。又、複合機200は、内部に、印刷部20として、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、定着部5bを含む。
まず、操作パネル3は、複合機200の状態や各種メッセージや設定用画面を表示する表示部31を備える。また、表示部31に対し、タッチパネル部32が設けられる。また、各種設定用のハードキーも操作パネル3に設けられる。操作パネル3は、表示部31やタッチパネル部32やハードキーを用いた使用者によるコピーやスキャンした画像の送信などのジョブに関する設定を受け付ける。画像読取部2や印刷部20は、操作パネル3になされた設定に応じた動作を行う。
原稿Dを搬送して読み取るとき、原稿搬送部1(原稿搬送装置)は、原稿トレイ11に載置されたシート(原稿D)を1枚ずつ読取位置に向けて搬送する。画像読取装置201は、搬送される原稿Dや原稿台に載置された原稿Dを読み取り、原稿Dの画像データを生成する。
給紙部4aは、複数枚のシート(印刷用の用紙P)を収容し、印刷のとき、シートを送り出す。搬送部4bは、給紙部4aから供給されたシートを排出トレイ40まで搬送する。尚、本実施形態の複合機200では、給紙部4aと搬送部4bにより、シート搬送装置100が構成される。画像形成部5aは、印刷する画像データに基づき、トナー像を形成し、シートにトナー像を転写する。定着部5bは、トナー像が転写されたシートを加熱・加圧して、シートにトナー像を定着させる。定着部5bを通過したシートは、排出トレイ40に排出される。これにより、1ページの印刷が完了する。
(複合機200のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機200のハードウェア構成を説明する。図2は、実施形態に係る複合機200のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る複合機200は、主制御部6を含む。主制御部6は、複合機200に含まれる各部を制御する。主制御部6は、CPU61や、印刷や送信(ファクシミリ通信を含む)に用いる画像データを生成する画像処理部62や、その他の電子回路や素子を含む。CPU61は、記憶部63に格納される制御プログラムや制御用データに基づき複合機200の各部の制御や演算を行う。記憶部63は、ROM、RAM、フラッシュROM、HDD等記憶装置の組み合わせで構成される。
そして、主制御部6は、シート(用紙P)の搬送やトナー像の形成や、転写、定着により印刷を行う印刷部20(給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、定着部5bなど)や画像読取装置201(原稿搬送部1、画像読取部2)の動作を制御する。
又、主制御部6には、通信部64が接続される。主制御部6は通信部64の動作、通信処理を制御する。通信部64は、パーソナルコンピューターやサーバーのようなコンピューター300と通信を行うためのインターフェイスである。また、通信部64は、通信回線を介し、ファクシミリ装置400とファクシミリ通信を行う。通信部64は、ネットワークや接続ケーブルなどを介して通信を行う。
通信部64は、画像読取部23による原稿Dの読み取りに基づく画像データをコンピューター300やファクシミリ装置400に送信できる(送信機能)。また、通信部64は、コンピューター300から印刷用データ(画像データや印刷設定を含む)や、ファクシミリ200からファクシミリデータを受信する。そして、主制御部6は、受信した印刷用データやファクシミリデータに基づき印刷部20に印刷を行わせる(プリンター機能、ファクシミリ受信機能)。
又、主制御部6は、操作パネル3の表示等の動作を制御する。又、主制御部6は、操作パネル3でなされた設定内容を認識しジョブの内容、設定及び実行指示を認識する。
(画像読取装置201の構成)
次に、図1、図3を用いて、実施形態に係る画像読取装置201を説明する。図3は、実施形態に係る画像読取装置201を示す図である。
図1に示すように、複合機200は、上方に画像読取装置201を含む。画像読取装置201は、搬送読取用コンタクトガラス21、又は、載置読取用コンタクトガラス22を含み、各コンタクトガラスの上面に向け光を照射し、反射光に基づき原稿Dを読み取って画像データを生成する画像読取部2を含む。
また、画像読取装置201は、画像読取部2の上方に設けられ、画像読取部2に対し上下方向に開閉し、画像読取部2の搬送読取用コンタクトガラス21に向けてシート(原稿D)を搬送する原稿搬送部1(原稿搬送装置)を含む。原稿搬送部1は、図2の紙面奥側を支点として画像読取部2に上下方向に開閉自在に取り付けられ、画像読取部2の各コンタクトガラスを上方から押さえるカバーとして機能する。
図3に示すように、原稿搬送部1は、原稿搬送路12の上流側端に接続される、原稿トレイ11を含む。また、原稿搬送部1は、原稿搬送路12の上流側から順に、ピックアップローラー13、分離搬送部7、レジストローラー対14、複数の原稿搬送ローラー対15a〜15c、原稿排出ローラー対16、原稿排出トレイ17を含む。原稿搬送部1は、読み取りを行うために原稿トレイ11にセットされたシートを自動的に連続して原稿搬送路12に供給し、シートを原稿搬送路12に沿って搬送して最終的に原稿排出トレイ17に排出する。原稿搬送路12の途中の位置に、搬送読取用コンタクトガラス21が存在し、搬送読取用コンタクトガラス21の上方が原稿Dの読取位置となる。画像読取部2は、搬送読取用コンタクトガラス21を通過する原稿Dを読み取る。
原稿搬送路12の上流側端部位置には、ピックアップローラー13が設けられる。そして、ピックアップローラー13の下流には、分離搬送部7が設けられる。また、分離搬送部7の下流には、原稿Dの搬送方向から順に、レジストローラー対14、原稿搬送ローラー対15a〜15c、及び、原稿排出ローラー対16が配される。
ピックアップローラー13は、原稿トレイ11に載置されたシートを引き出して原稿搬送路12(分離搬送部7)に供給する。ピックアップローラー13は、原稿給紙モーターM0(図4参照)の駆動を受けて回転する。シートの搬送方向に沿って(正方向で)搬送するとき、原稿給紙モーターM0は、シートを原稿搬送路12の上流側から下流側に送る方向にピックアップローラー13を回転させる。また、ピックアップローラー13は、原稿Dを逆方向に搬送するときもある(詳細は後述)。原稿Dを逆方向に搬送するとき、原稿給紙モーターM0は、逆回転し、搬送方向(正方向)と逆方向にピックアップローラー13を回転させる。このように、ピックアップローラー13の正逆回転のため、原稿給紙モーターM0は、正方向(シート搬送方向にピックアップローラー13を回転させる方向)と、その逆方向の両方に回転可能である。尚、ピックアップローラー13に対し、電磁クラッチを設け、ピックアップローラー13のみ回転のON/OFFを行えるようにしてもよい。
分離搬送部7は、給紙ベルト71と、分離ローラー72を含む。給紙ベルト71は、基本的に、ピックアップローラー13から送られたシートを、原稿搬送路12の上流側から下流側に送る。
給紙ベルト71は、駆動ローラー73と従動ローラー74に張架される。駆動ローラー73は、原稿給紙モーターM0(図4参照)の駆動を受けて回転する(駆動ローラー73を回転させるための別のモーターを設けてもよい)。ここで、ピックアップローラー13と給紙ベルト71を回転させる駆動ローラー73は駆動連結される。そのため、1つの原稿給紙モーターM0(図4参照)でピックアップローラー13と駆動ローラー73が回転駆動する。より詳細には、駆動ローラー73に駆動が伝達されることによって、給紙ベルト71とピックアップローラー13が回転する。
駆動ローラー73が回転することで給紙ベルト71は周回する。シートの搬送方向に沿って(正方向で)搬送するとき、給紙ベルト71の周回方向(駆動ローラー73の回転方向)は、シートを原稿搬送路12の上流側から下流側に送る方向(A1方向)である(ピックアップローラー13と同様)。また、給紙ベルト71(駆動ローラー73)は、原稿Dを逆方向に搬送するときもある(詳細は後述)。原稿Dを逆方向に搬送するとき、給紙ベルト71(駆動ローラー73)は、搬送方向と逆方向(A2方向)に回転する(ピックアップローラー13と同様)。原稿給紙モーターM0の回転方向は正逆自在であるため、給紙ベルト71(駆動ローラー73)も正逆回転自在である。
また、原稿搬送路12を挟んで給紙ベルト71と対向する位置に、分離ローラー72が設けられる。分離ローラー72は、分離モーターM1(図4参照)の駆動を受けて回転する。分離ローラー72は、給紙ベルト71と接する。分離ローラー72は、シートが複数枚重なっている場合に(重送が生じているとき)、重なった状態のシートを分離する。
原稿給紙モーターM0や分離モーターM1の駆動を伝達し、ピックアップローラー13、駆動ローラー73(給紙ベルト71)、分離ローラー72を回転させるために、ギアやクラッチを含む駆動伝達機構(不図示)が設けられる。また、分離ローラー72の回転軸には駆動伝達機構の1つとして、トルクリミッターが設けられる。
具体的に、給紙ベルト71がシート搬送方向に(正方向に)シートを搬送するとき、重送状態のシート(原稿D)が搬送されてきても原稿を分離し、送り返せるように、分離モーターM1自体は、分離ローラー72の搬送方向が逆となるような方向で回転する(分離ローラー72を逆送する方向に回転させようとする)。しかし、重送が生じていないとき(給紙ベルト71と分離ローラー72との間に挟持されるシートが1枚のとき)、給紙ベルト71(駆動ローラー73)が分離ローラー72に付与するトルク(回転を妨げる力)が大きくなる。そのため、トルクリミッターによって、分離ローラー72への分離モーターM1からの駆動力は、分離ローラー72に伝達されない状態となる。その結果、重送が生じていないとき、分離モーターM1が駆動していても、分離ローラー72は、給紙ベルト71に従動する(連れ回る。C方向に回転する)。
一方、給紙ベルト71がシート搬送方向に(正方向に)シートを搬送しているとき、重送が生じているとき(複数枚のシートが給紙ベルト71と分離ローラー72のニップに進入している状態)、給紙ベルト71が接するシートと分離ローラー72が接するシートがそれぞれ異なる状態となる。その結果、給紙ベルト71(駆動ローラー73)が分離ローラー72に付与するトルク(回転を妨げる力)が小さくなる。そのため、トルクリミッターの制限値を下回り、分離モーターM1の駆動力が分離ローラー72に伝達される状態となる。その結果、重送が生じているとき、分離ローラー72は、分離モーターM1の回転方向と対応し、シートを逆方向(B方向、シート搬送方向上流側方向)に搬送する方向に回転し、原稿トレイ11に向けて自己に接するシートを送り返す。
その結果、分離搬送部7に進入したシートが複数のとき、現時点で搬送すべき最も上側のシート(給紙ベルト71と当接するシート)は、給紙ベルト71によりシートの搬送方向にそって(上流側から下流側に向けて)に送られる。一方で、分離ローラー72は、現時点で搬送すべきでない下側のシート(分離ローラー72と接するシート)を、シートの搬送方向と逆方向に(下流側から上流側に)戻す、あるいは、その場に留める。これにより、複数枚重なったシートが分離される。
ここで、本実施形態の原稿搬送部1では、原稿給紙モーターM0を逆回転させて、シートを逆方向に搬送する場合がある。そして、原稿給紙モーターM0を逆回転させるとき(シートを逆方向に搬送するとき)、ピックアップローラー13及び駆動ローラー73(給紙ベルト71)がシートを通常の搬送方向とは逆方向に搬送するように、駆動伝達機構は、設定される。
また、原稿給紙モーターM0を逆回転させてシートを逆方向に搬送するとき、分離ローラー72もシート搬送方向と逆方向にシートを搬送させる。尚、正方向(シート搬送方向)にシートを搬送するときも、分離モーターM1は、分離ローラー72が下流側から上流側にシートを戻す方向(B方向)に回転するように、動作する(上述のように、重送の有無により、トルクリミッターの動作が代わり、分離ローラー72の回転方向が異なる)。そのため、原稿給紙モーターM0を逆回転させてシートを逆方向に搬送するときも、分離モーターM1自体の回転方向は変えなくて良い(言い換えると、分離モーターM1は、正逆回転可能なものでなく、一方方向にのみ回転するモーターでよい)。このように、シートを逆方向に搬送するとき、ピックアップローラー13、給紙ベルト71、分離ローラー72のいずれもが、シートを上流側に送り返す方向に回転する。
レジストローラー対14は、原稿搬送路12の上流側から下流側へのシートの進行を一旦停止させる。言い換えると、レジストローラー対14にシートの先端が到達したとき、レジストローラー対14は回転していない。これにより、レジストローラー対14のニップに突き当たったシートが撓むので、斜行が矯正される。そして、斜行が矯正されるほどシートが撓んだ後、レジストローラー対14は、回転を開始し、下流側にシートを送る。このレジストローラー対14は、レジストモーターM2(図4参照)によって独立して駆動される。
原稿搬送ローラー対15a〜15cは、それぞれ、シートの搬送方向に沿って(上流側から下流側に)シートを搬送する。また、原稿排出ローラー対16は、読み取り後のシートを原稿排出トレイ17に排出する。なお、原稿搬送ローラー対15a〜15cと原稿排出ローラー対16は、同一の原稿搬送モーターM3(図4参照)によって駆動される。
次に、画像読取部2を説明する。図1や図2に示すように、画像読取部2は、箱形の筐体を有する。又、図3に示すように、画像読取部2は、筐体内に、第1移動枠23、第2移動枠24、ワイヤー25a、巻取ドラム25b、レンズ26、シートに照射された光が入射され、1ライン毎にシートを読み取り、画像データを生成するためのイメージセンサー27を含む。
第1移動枠23は、シートに光を照射する光源部28と、第1ミラー291を含む。第2移動枠24は、第2ミラー292、第3ミラー293を含む。光源部28は、主走査方向にわたり光を照射するランプ(例えば、LEDや冷陰極管)である。
この第1移動枠23及び第2移動枠24には、複数本のワイヤー25aが取り付けられる(図2では、便宜上1本のみ図示)。ワイヤー25aの他端は、巻取ドラム25bに接続される。巻取ドラム25bは、モーターを駆動源として正逆回転する。これにより、第1移動枠23と第2移動枠24を水平方向(画像読取装置201の左右方向)に自在に移動させ、光源部28の照射位置(読み取りラインの位置)を移動させることができる。
光源部28から発せられた光は、各コンタクトガラス上のシートに当たる。第1ミラー291、第2ミラー292、第3ミラー293は、シートの反射光をレンズ26に導く。レンズ26は、反射光を集光し、イメージセンサー27に入射する。
イメージセンサー27は、主走査向でライン状に光電変換素子とCCD(Charge Coupled Device)を含む。イメージセンサー27は、シートの反射光を元に、1ライン毎にシートを読み取る(CIS方式のイメージセンサー27でもよい)。尚、イメージセンサー27は、カラーでの読み取りに対応している。そして、イメージセンサー27は、反射光を画像濃度に応じたアナログの電気信号に変換する。このシートの主走査方向(シート搬送方向と垂直な方向)にライン単位で読取が行われ、ライン単位の読取を副走査方向(シート搬送方向)に連続して繰り返し行って、1枚のシートが読み取られる。
原稿搬送部11により搬送されるシートの読取のとき、モーターが駆動し、第1移動枠23と第2移動枠24は、搬送読取用コンタクトガラス21の下方位置(読み取り位置)に固定される。一方、載置読取用コンタクトガラス22上に載置されたシートを読み取るとき、巻取ドラム25bやワイヤー25a等により、第1移動枠23及び第2移動枠24をホームポジションから図3の右方向に水平に移動させる。そして、シート読み取りのとき、光源部28は、シートに対し光を照射する。シートの先端から順次シートの後端まで、副走査方向に走査動作を連続的に行うことで、シート全体が読み取られ、シートの画像が電気信号に変換され、画像読取部2は、画像データを生成する。
(原稿搬送部1のハードウェア構成)
次に、図4を用いて、原稿搬送部1(原稿搬送装置)について説明する。図4は、実施形態に係る原稿搬送部1のハードウェア構成を示す図である。
図4に示すように、原稿搬送部1は、主制御部6と接続される原稿搬送制御部10を含む。原稿搬送制御部10は、CPU10aおよび原稿搬送記憶部10b(RAMやROM)を含む。例えば、原稿搬送制御部10は、CPU、RAM、ROM、マイコン、入出力用の端子などを含む基板である。
そして、コピージョブや送信ジョブのために、原稿トレイ11に載置されたシートを搬送して、シートを読み取るとき、主制御部6は、原稿搬送制御部10にシート搬送の指示を出す。原稿搬送制御部10は、主制御部6から指示を受け、原稿搬送部1の原稿搬送動作を制御する。具体的に、原稿搬送制御部10は、原稿給紙モーターM0、分離モーターM1、レジストモーターM2および原稿搬送モーターM3の駆動を制御する。原稿搬送制御部10は、これらのモーターの回転のON/OFFや、回転速度を制御する。
(原稿搬送部1のシート検知部8)
次に、図3〜図5を用いて、原稿搬送部1のシート検知部8やその他のセンサーについて説明する。図5は、実施形態に係るシート検知部8の超音波センサー81とシートセンサー82の設置位置を説明するための図である。
本実施形態の原稿搬送部1には、所定位置(設置位置)でのシートの有無、シートの到達や通過の検知と、シートの重送を検知するためのシート検知部8が設けられる。シート検知部8は、分離搬送部7よりもシート搬送方向下流側に設けられる。言い換えると、シート検知部8は、レジストローラー対14と分離搬送部7の間の原稿搬送路12に設けられる。そして、図4に示すように、シート検知部8は、超音波センサー81を含む重送検知部9と、シートセンサー82を含む。
具体的に、図5に示すように、超音波センサー81の検知領域とシートセンサー82の検知領域が、シート搬送方向(図5にてD1で図示)およびシート搬送方向D1と交差(直交)する方向で同じ位置となるように、超音波センサー81とシートセンサー82が設置される。原稿搬送制御部10は、超音波センサー81でシート到達を検知した(シートの先端の認識した)時点と、シートセンサー82でシート到達を検知した(シートの先端の認識した)時点の差や、その差分の大きさに基づき、シートの斜行の有無や斜行量を検知できる。尚、超音波センサー81とシートセンサー82の設置位置は、シート搬送方向D1と交差(直交)する方向でずれていてもよい。
重送検知部9は、超音波センサー81や、超音波センサー81の出力を処理する回路を含む(詳細は後述)。重送検知部9の出力は、原稿搬送制御部10に入力される。そして、原稿搬送制御部10は、重送検知部9の出力レベルに基づき、レジストローラー対14と分離搬送部7の間の所定位置(センサーの設置位置)でのシートの有無の検知や、シートが重送状態で搬送されているか(重送発生)を検知できる。
そして、超音波センサー81は、超音波を発信する発信部81sと、発信部81sに対し、原稿搬送路12を上下方向で挟むように(シートの平面を挟むように)配された受信部81rを含む(図3参照)。受信部81rは、発信部81sからの超音波を受信する。また、図3に示すように、発信部81sは、超音波の発信面が原稿搬送路12に対して斜めに設けられ、受信部81rは、超音波の受信面が発信部81sの発信面と正対するように原稿搬送路12に対して斜めに設けられる。
シートセンサー82は、所定位置でのシートの有無やシートの所定位置への到達を検知し、シートの搬送タイミングを計るためセンサーである。シートセンサー82は、検知対象(シート)に向けて光を発光する発光部と検知対象からの反射光を受光する受光部を有する反射型の光センサーである。尚、シートセンサー82は、反射型の光センサーでなくてもよく、シートの有無(存在)を検知できるセンサーであればよい(例えば、透過型光センサーでもよい)。そして、シートセンサー82の出力は、設置位置(検知領域)に、シートが存在するときと存在しないときとで異なる。
そして、図4に示すように、シートセンサー82の出力は、原稿搬送制御部10に入力される。原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、所定位置(シートセンサー82の設置位置)にシートが存在しているか否かを検知できる。これにより、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、所定位置にシートが到達したか、到達したシートが通過したかなどを検知できる。
また、原稿搬送部1には、シートの有無を検知し、シートの搬送タイミングを計るための原稿検知センサーS1、S2、S3が設けられる。各原稿検知センサーS1〜S3は、上述のシートセンサー82と同様のセンサーでよい。そして、各原稿検知センサーS1〜S3の出力は、設置位置(検知領域)に、シートが存在するときと存在しないときとで異なる。
原稿検知センサーS1は、原稿搬送ローラー対15aと原稿搬送ローラー対15bとの間の位置(原稿搬送ローラー対15aの近傍の位置)に設けられる。原稿検知センサーS2は、原稿搬送路12のうち原稿搬送ローラー対15aと原稿搬送ローラー対15bとの間の位置(原稿搬送ローラー対15bの近傍の位置)に設けられる。原稿検知センサーS3は、原稿搬送路12のうち原稿搬送ローラー対15cと原稿排出ローラー対16との間の位置に設けられる。そして、原稿搬送制御部10は、各原稿検知センサーS1〜S3の出力に基づき、原稿検知センサーS1、S2、S3の設置位置にシートが到達したか、到達したシートが通過したかなどを検知できる。
そして、図4に示すように、各原稿検知センサーS1〜S3の出力は、原稿搬送制御部10に入力される。原稿搬送制御部10は、各原稿検知センサーS1〜S3の出力に基づき、原稿検知センサーの設置位置にシートが存在しているか否か、シートの到達、しシートの通過を検知できる。
また、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82や原稿検知センサーS1、S2、S3の各出力に基づき、各種ローラーの回転開始および回転停止のタイミングを計る。原稿搬送制御部10は、原稿給紙モーターM0、分離モーターM1を駆動し、給紙動作および分離動作を開始させる(ピックアップローラー13と分離搬送部7の回転体を回転させる)。そして、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、シートセンサー82の設置位置へのシート到達を検知すると、撓み作成のため予め定められた撓み作成時間だけ待った後、レジストモーターM2の回転を開始させ、レジストローラー対14を回転させる。続いて、原稿搬送制御部10は、原稿搬送モーターM3を駆動し、原稿搬送ローラー対15a〜15c及び原稿排出ローラー対16を回転させる。このように、シートは、原稿トレイ11から原稿排出トレイ17に向けて搬送される。
また、図4に示すように、原稿搬送部1には、原稿トレイ11にシートが載置されているか否かを検知するための原稿載置センサーS4が設けられる。原稿載置センサーS4の出力は、シートが載置されているときと載置されていないときで異なる。そして、図4に示すように、原稿載置センサーS4の出力は、原稿搬送制御部10に入力される。これにより、原稿搬送制御部10は、原稿トレイ11上のシートの有無を認識する。主制御部6からシートの読み取り開始指示を受けたとき、原稿トレイ11上にシートがあると認識しているとき、原稿搬送制御部10は、シートの搬送を開始する。一方、シートが無いと認識しているときは、どのモーターも駆動させない。
(重送検知部9)
次に、本実施形態のシート搬送装置100に係る重送検知部9について説明する。図6は、実施形態に係る重送検知部9を示す図である。
図6に示すように、重送検知部9は、超音波信号生成部91、超音波センサー81(発信部81s、受信部81r)、増幅回路92、サンプルホールド回路93を含む。
例えば、発信部81s、受信部81rは、圧電素子(超音波振動子)を含む。そして、超音波信号生成部91は、発信部81sに超音波発信させるための発信用信号(例えば、予め定められた周波数のパルス信号)を生成する。そして、超音波信号生成部91は、生成した発信用信号を発信部81sに入力する。原稿搬送制御部10は、シート搬送中、超音波信号生成部91に発信用信号を生成させ、シート搬送終了にともない、信号生成を終了させる。
発信部81sからの超音波は、受信部81rで受信し、受信した超音波の量に応じたアナログ値(電流、電圧)を出力する。増幅回路92は、信号処理可能なレベルに、受信部81rの出力を増幅する。サンプルホールド回路93は、例えば、コンデンサーを含む。サンプルホールド回路93は、受信部81rから出力された電荷を蓄え、受信部81rの出力(増幅回路92の出力)の大きさに応じたレベルの信号を出力する。言い換えると、サンプルホールド回路93の出力は、受信部81rが受信した超音波のレベルに応じて変化する。本実施形態の重送検知部9では、サンプルホールド回路93の出力レベルは、受信部81rの超音波受信量が少ないほど小さくなり、多いほど大きくなる。また、サンプルホールド回路93に蓄えられた電荷の放電も任意、あるいは、予め定められた周期で行われる。
サンプルホールド回路93の出力は、原稿搬送制御部10のA/D変換ポートに入力される。そして、原稿搬送制御部10は、重送検知部9の出力レベル(出力電圧値の大きさ)を認識する。
図6にグラフとして示すように、発信部81sと受信部81rの間にシートが無ければ、受信部81rが受信する超音波の減衰は最も少なくなる。言い換えると、発信部81sと受信部81r間にシートが存在しているときよりも、発信部81sと受信部81r間にシートが無いときの方が受信部81rの出力レベルは大きくなる。そのため、図6に示すように、重送検知部9の出力レベルは、シートが存在しているときよりも大きくなる。
そして、問題なくシートが搬送され、発信部81sと受信部81r間に1枚のシートが存在する状態になると、受信部81rが受信できる超音波の量は、シートが無いときよりも少なくなる。そのため、図6に示すように、重送検知部9の出力レベルは、シートが無いときよりも小さくなる。
更に、重送が生じ、発信部81sと受信部81r間に複数のシートが存在する状態になると、シート間で超音波が反射するなどにより、受信できる超音波の量は、発信部81sと受信部81r間のシートが1枚のときよりも、更に少なくなる。そのため、図6に示すように、重送検知部9の出力レベルは、発信部81sと受信部81r間のシートが1枚のときよりも、更に小さくなる。
重送検知部9の出力レベルに関し、1枚のシートの有無を検知するための第1閾値Th1や、シートが重送状態で搬送されていることを検知するための第2閾値Th2が設けられる。第1閾値Th1は、シートがないときの重送検知部9の出力レベルと、シートが1枚存在するときの出力レベルの間の値に予め設定される。第2閾値Th2は、シートが1枚存在するときの出力レベルと、シートが複数枚存在するときの出力レベルとの間の値に予め設定される。
原稿搬送制御部10は、重送検知部9の出力レベル(アナログ出力電圧値)が第1閾値Th1を超えていると、超音波センサー81の検知領域にシートが無いと判断する。原稿搬送制御部10は、重送検知部9の出力レベルが第2閾値Th2を超えているが第1閾値Th1以下であるとき、超音波センサー81の検知領域に1枚のシートが存在していると判断する。これにより、原稿搬送制御部10は、超音波センサー81の設置位置(所定位置)にシートが到達したことや、1枚のシートが設置位置を通過中であることや、シートの後端が所定位置を通過したことを認識することができる。
また、原稿搬送制御部10は、重送検知部9の出力レベルが第2閾値Th2以下であるとき(0〜第2閾値Th2以下の出力レベルの範囲であるとき。重送範囲に相当)、超音波センサー81の検知領域(所定位置)に複数枚のシートが存在している可能性があると判断する。言い換えると、原稿搬送制御部10は、重送検知部9の出力レベルが、予め定められた重送範囲になったとき、重送の可能性があると認識する。このように、原稿搬送制御部10は、超音波センサー81の設置位置に、複数枚分の厚さのシートが到達、通過していることを認識できる。
図6の例でいえば、図6のグラフのt1の時点(重送検知部9の出力レベルが、シートが存在していないときの出力レベルから第1閾値Th1以下となった時点)で、原稿搬送制御部10は、シートが到達したと認識する。また、図6のt2の時点(重送検知部9の出力レベルが、シートが1枚だけ通過中の出力レベルから、第2閾値Th2以下となった時点)で、原稿搬送制御部10は、超音波センサー81の設置位置に、複数枚分の厚さのシートが到達、通過している(重送のおそれがある)と認識する。
これらのピックアップローラー13、分離搬送部7、シート検知部8(重送検知部9やシートセンサー82)、原稿搬送制御部10で実施形態に係るシート搬送装置100が構成される。そのため、原稿搬送部1(原稿搬送装置)は、実施形態に係るシート搬送装置100を含む。
(シート搬送での重送検知制御)
次に、図7、図8を用いて、原稿搬送部1を用いたシート搬送、読み取りでの重送検知制御を説明する。図7、図8は、本実施形態の原稿搬送部1(シート搬送装置100)での重送検知の流れの一例を示すフローチャートである。尚、図7と図8は一連である。
従来、重送検知には、超音波センサー81のようなセンサーが用いられる。そして、超音波センサー81の発信部(発信素子)と受信部(受信素子)の間に存在するシートが多いほど、受信素子に到達する超音波が少なくなるので、受信素子の出力値の絶対値は、シートを検知していないときや、1枚のシートが搬送されているときに比べ、小さくなる。
そして、重送が生じている状態でシート搬送を行うと詰まりが生じやすくなるなどの問題があるため、受信素子の出力値が重送発生時の値になると、重送が発生したとして、直ちにシートの搬送は停止されていた。
しかし、シートに付箋のような貼付物が付されている場合に、貼付物部分やシートの中に空気層(空気層があると、超音波が拡散し受信できる超音波が減衰する)の部分がセンサーの検知領域を通過したとき、受信素子の出力が重送発生時と同様の値になる場合がある。そのため、貼付物が付されたシートや空気層を含むシートを搬送したとき、重送発生と誤検知され、シート搬送が停止することがあった。誤検知であるのにシート搬送が停止すると、使用者は、シート搬送装置100のカバーを開けて搬送路を露出させ、搬送路からシートを除去しなければならなくなる。
そこで、本実施形態のシート搬送装置100(原稿搬送部1)は、貼付物が付されたシートや空気層を含むシートを搬送しても、重送発生と誤検知しないようにする。
図7のスタートは、原稿搬送制御部10が原稿給紙モーターM0、分離モーターM1の回転を開始させた時点である。この原稿給紙モーターM0、分離モーターM1の回転開始によって、ピックアップローラー13、給紙ベルト71、分離ローラー72が回転する(ステップ♯1)。このとき、実際に重送が生じていなければ、分離ローラー72は、シートを下流側に搬送する方向に回転し(給紙ベルト73に従動し)、実際に重送が生じていると、分離ローラー72は、シートを上流側に搬送するように(シートを分離させるように)を回転する。
原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、シートの先端が所定位置に到達したこと(シートセンサー82の設置位置へのシートの到達)を認識する(ステップ♯2)。本実施形態では、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力レベルの変化に基づき、所定位置へのシートの到達を認識するが、重送検知部9の出力の出力レベルの変化に基づき所定位置へのシートの到達を認識してもよい。また、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82と重送検知部9の両方の出力がいずれもシートの存在を検知する状態になったとき、所定位置にシートが到達したと認識してもよい。
そして、原稿搬送制御部10は、所定位置(シート検知部8の位置)へのシート到達を検知してからの時間の計時を開始する(ステップ♯3)。そして、原稿搬送制御部10は、所定時点(例えば、レジストローラー対14への到達時点や、レジストローラー対14の回転開始時点)までに、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内(送信部と受信部81rに複数枚の紙が存在しているときの出力レベルの範囲、0〜第2閾値Th2の範囲)の値になったか否かを確認する(ステップ♯4)。尚、所定時点が経過した後に、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内になったとき、原稿搬送制御部10は、各モーターを停止させ、重送発生と判定してもよい。
重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値となっていなければ(ステップ♯4のNo)、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、シートの後端が所定位置を通過したか否かを確認する(ステップ♯5)。
そして、シートの後端通過を検知できれば(ステップ♯5のYes)、原稿搬送制御部10は、重送発生無し、と判定し、シートの搬送と読み取りが続行される(ステップ♯6→エンド)。一方、シートの後端通過を検知できなければ(ステップ♯5のNo)、フローはステップ♯4に戻る。
重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値となったとき(ステップ♯4のYes)、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、所定位置へのシートの到達を検知してから、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値となったときまでの時間である第1時間を確定する(ステップ♯7)。
そして、原稿搬送制御部10は、シートを分離搬送部7(原稿トレイ11)方向に向けて、逆方向に搬送する(ステップ♯8)。この場合、原稿搬送制御部10は、原稿給紙モーターM0を通常の搬送方向とは逆方向に回転させて、シート搬送方向と逆方向にシートの搬送がなされるように、給紙ベルト71、ピックアップローラー13を回転させる。また、原稿搬送制御部10は、分離ローラー72がシート搬送方向と逆方向にシート搬送する方向で回転するように、分離モーターM1を回転させる。
そして、原稿搬送制御部10は、シート検知部8がシートの存在を検知しなくなったか否かを確認する(ステップ♯9)。言い換えると、原稿搬送制御部10は、少なくとも、シートセンサー82がシートの存在を検知しなくなるまで(シートの先端が所定位置よりも上流側に移動するまで)、分離搬送部7やピックアップローラー13にシートを逆方向に搬送させる。そして、原稿搬送制御部10は、シートの先端がシートセンサー82の検知領域から(所定位置から)、原稿載置トレイ11の方向に(分離搬送部7の方向)に抜けたか否かを確認する。
原稿搬送制御部10は、少なくとも、シート検知部8がシートを検知しなくなるまで(シートセンサー82がシートの存在を検知している間)、逆方向への搬送を続けさせる(ステップ♯9のNo→ステップ♯8)。また、シート検知部8がシートの先端の逆方向での通過を検知すると(ステップ♯9のNo)、原稿搬送制御部10は、シート検知部8がシート先端の通過から(シートの存在を検知しなくなってから)予め定められた時間たった後、原稿給紙モーターM0、分離モーターM1を制御して、正方向(通常のシート搬送方向)への搬送を再開させる(再搬送を開始させる。ステップ♯10)。例えば、予め定められた時間は、重送状態のシートの分離がなされるように、シートの先端が給紙ベルト71と分離ローラー72間のニップあたりの位置で、シート搬送方向への再搬送が開始されるような時間に設定される。
そして、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、シートの先端の所定位置への到達を認識する(ステップ♯11)。続いて、原稿搬送制御部10は、所定位置へのシート到達を検知してからの時間の計時を開始する(ステップ♯12)。そして、原稿搬送制御部10は、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内(送信部と受信部81rに複数枚の紙が存在しているときの出力レベルの範囲、0〜第2閾値Th2の範囲)の値になったか否かを確認する(ステップ♯13)。
重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値となっていなければ(ステップ♯13のNo)、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、シートの後端が所定位置(シート検知部8の設置位置)を通過したか否かを確認する(ステップ♯14)。そして、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値になることなく、シートの後端通過を検知できれば(ステップ♯14のYes)、この場合、分離搬送部7によって重送が解消されたためとみなせる。そこで、原稿搬送制御部10は、重送発生無し、と判定し、シートの搬送と読み取りが続行される(ステップ♯15→エンド)。一方、シートの後端通過を検知できなければ(ステップ♯14のNo)、フローはステップ♯13に戻る。
重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値となったとき(ステップ♯13のYes)、原稿搬送制御部10は、シートセンサー82の出力に基づき、再搬送による所定位置へのシートの再到達を検知してから、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値となったときまでの時間である第2時間を確定する(ステップ♯16)。
そして、原稿搬送制御部10は、第1時間と第2時間との差が予め定められた許容範囲以下であるか否かを確認する(ステップ♯17)。
ここで、逆方向への搬送と、再搬送による分離搬送部7の分離動作があっても、貼付物の位置は変わらない、若しくは、ほとんど変わらない。また、空気層があったとしても、空気層の位置もほとんど変わらない。そのため、逆方向への搬送と、再搬送による分離搬送部7の分離動作があっても、第1時間と第2時間は同じ、又は、ほぼ同じになる。そこで、許容範囲は、「0(時間差無し)」、若しくは、原稿給紙モーターM0の加減速特性などに起因して生じ得る誤差程度の範囲とされる。
許容範囲以下であるとき(ステップ♯17のYes)、原稿搬送制御部10は、重送が生じていないと判定する(ステップ♯18)。そして、原稿搬送制御部10は、読取位置(搬送読取用コンタクトガラス21)や原稿排出トレイ17へのシートの搬送を続けさせる(ステップ♯19)。
ここで、シート同士がステープルされているときや、強固にシート同士が吸着していて分離しきれない場合には、第1時間と第2時間の時間差が許容範囲となる場合がある。このような場合、実際には、重送状態でシートが搬送されている。
一方で、付箋のような貼付物やシート内の空気層は、一般的にはそれほど大きなものでは無い。そのため、ある程度のシートの搬送が行われると、貼付物や空気層は、超音波センサー81の検知領域(発信部81sと受信部81rが向かいあう位置)を通過する。そのため、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値を長い時間維持し続けると、シート同士がぴったり強固に重なるような重送の可能性が高いといえる。
そこで、原稿搬送制御部10は、逆方向への搬送を経た再搬送の後、ステップ♯18で重送が生じていないと判定してから、シートの先端がシート検知部8よりもシート搬送方向下流側に予め定められた確認位置に到達するまで、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値のままであるか否かを確認する(ステップ♯20)。
尚、確認位置は適宜定めることができる。例えば、確認位置は、何れかの原稿検知センサーS1、S2、S3の設置位置とすることができる。重送発生時、できるだけ早くシートの搬送を止めたいのであれば、原稿検知センサーS1の設置位置が確認位置とすることができる。また、重送状態での搬送をある程度許容するのであれば、原稿検知センサーS2、3の設置位置を確認位置と定めることができる。
もし、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値のままであるとき(ステップ♯20のYes)、原稿搬送制御部10は、重送発生と判定する(ステップ♯21)。そして、原稿搬送制御部10は、重送発生エラー時処理を行わせる(ステップ♯22→エンド)。例えば、原稿搬送制御部10は、重送発生エラー時処理として、原稿給紙モーターM0、分離モーターM1、レジストモーターM2、原稿搬送モーターM3を停止させて、原稿搬送を停止させる。また、原稿搬送制御部10は、重送発生エラー時処理として、重送発生を操作パネル3の表示部31に表示させる。
一方、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値のままでないとき(ステップ♯20のNo)、重送でないとの判定に誤りはないので、原稿搬送制御部10は、シートの搬送を継続させ、完了させる(ステップ♯23→エンド)。
また、許容範囲を超えるときも(ステップ♯17のNo)、分離搬送部7により分離処理によって再搬送時に重送検知部9の出力レベルが重送範囲になるまでの時間が変化したので(長くなったので)、重送が生じていると判定しても問題はない。そこで、原稿搬送制御部10は、ステップ♯17がNoの場合も、重送発生と判定し(ステップ♯21)、重送発生エラー時処理を行わせる(ステップ♯22→エンド)
(印刷部20内のシート搬送装置)
次に、図9を用いて、複合機200側(印刷部20内)のシート搬送装置100について説明する。図9は、印刷部20に含まれるシート搬送装置100の構成の一例を示すブロック図である。
上記の説明では、原稿搬送部1(原稿搬送装置)に含まれるシート搬送装置100について説明した。しかし、複合機200の印刷部20内にも、給紙ローラー41(ピックアップローラー13に対応)や、捌き部42(分離搬送部に対応)、重送の発生やシートの到達を検知するシート検知部8や主制御部6を含むシート搬送装置100が設けられる。言い換えると、画像形成装置としての複合機200の印刷部20も、シート搬送装置100を含む。印刷部20のシート搬送装置100で搬送されるシートは、印刷用の用紙Pである。尚、捌き部42は、一対のローラーである。図1では、上方のローラーが送りローラー43(給紙ベルト73に対応)であり、下方のローラーが捌きローラー44(分離ローラー72に対応)である。
また、図9に示すように、捌き部42や給紙ローラー41を回転させるための給紙モーター45(正逆回転可能)が設けられる。また、それぞれの捌き部42のシート搬送方向下流側に超音波センサー81(シート検知部8、重送検知部9)が設けられる。この給紙モーター45の動作制御やシート検知部8(シートセンサー82のようなセンサーは含まれなくてもよい)と第1閾値Th1や第2閾値Th2を用いた重送検知を主制御部6が行う。
このような構成を有するので、原稿搬送部と同様にして、主制御部6が重送検知部9の出力レベルが、重送範囲となったとき、第1時間の確定、逆方向への搬送、第2時間の確定、第1時間と第2時間の差に基づき、重送であるか否かを判定するようにしてもよい。
実際に重送が生じているとき、分離搬送部7に逆方向への搬送させた後、正方向への搬送を行わせると、重送状態はある程度解消され、シート(原稿D、用紙P)の分離が進み、シートの重なり状態は変化するはずである。そのため、1回目に所定位置へのシートの到達を検知してからシート検知部8の出力レベルが重送範囲(重送発生時の出力レベルの範囲)内の値になるまでの第1時間と、再搬送(逆回転後の正回転)によって、2回目に所定位置へのシートの到達を検知してから、シート検知部8(重送検知部9)の出力レベルが重送範囲内の値になるまでの第2時間には、差が生ずるはずである。一方、分離搬送部7にシートを逆方向に搬送させた後、正方向に搬送させても、付箋のような貼付物の位置は変わらないので、第1時間と第2時間は、同じ、又は、ほぼ同じ(搬送用のモーターの加減速特性に起因する程度の差)となる。また、シートに空気層が含まれているとしても、空気層の位置は変わらないので、第1時間と第2時間は、同じ、又は、ほぼ同じとなる。
そこで、本実施形態に係るシート搬送装置100は、載置されたシート(原稿Dや用紙P)を送り出す給紙回転体(ピックアップローラー13、給紙ローラー41)と、給紙回転体よりもシート搬送方向下流側に設けられ、給紙回転体が送り出したシートを搬送方向下流側に搬送するとともに、シートが重送状態で搬送されてきたとき、重なるシートの一方をシート搬送方向上流側に戻して分離を行う分離搬送部7と、分離搬送部7よりもシート搬送方向下流側に設けられ、所定位置でのシートの有無の検知と、シートの重送を検知するためのシート検知部8と、少なくとも給紙回転体と分離搬送部7の動作を制御してシートの搬送を制御し、シート検知部8の出力に基づいてシートの所定位置への到達を認識し、シート検知部8の出力レベルを認識する制御部(原稿搬送制御部10、主制御部6)と、を含み、制御部は、シート検知部8の出力レベルが重送と判定するための出力範囲である重送範囲内の値になったとき、少なくともシートの先端がシート検知部8よりも上流側に戻るまで逆方向に向けて分離搬送部7と給紙回転体にシートを搬送させた後、正方向に向けて分離搬送部7と給紙回転体にシートを再搬送させ、重送範囲内を検知したシートについて、1回目のシートの所定位置への到達を検知してからシート検知部8(重送検知部9)の出力レベルが重送範囲内の値となったときまでの第1時間と、再搬送により2回目のシートの所定位置への到達を検知してからシート検知部8の出力レベルが重送範囲内の値となったときまでの第2時間を計測し、第1時間と第2時間の時間差が予め定められた許容範囲を超えているとき、重送が生じていると判定し、時間差が許容範囲以下であるとき、重送が生じていないと判定する
これにより、シート検知部8の出力が重送発生時の値になったとき、直ちに重送発生と判定するのではなく、付箋のような貼付物が付されたシート(原稿D、用紙P)が搬送されているのか、内部に空気層が存在するシートを搬送しているのか、本当に重送が発生しているのかが判定される。そのため、センサーの出力が重送時の出力レベルになっても、直ちに重送発生と検知されない。従って、重送が生じているか否か正確に判定でき、付箋のような貼付物が付されたシートの搬送時に重送発生の誤検知を無くすことができる。
また、制御部(原稿搬送制御部10、主制御部6)は、時間差が許容範囲を超えているために重送が生じていると判定したとき、分離搬送部7と給紙回転体(ピックアップローラー13、給紙ローラー41)にシート(原稿D、用紙P)の搬送を停止させ、時間差が許容範囲以下であるために重送が生じていないと判定したとき、シート搬送を継続させる。
これにより、本当に重送が生じているときのみ、用紙Pの搬送を停止させることができる。また、付箋のような貼付物が付されたシート(原稿D、用紙P)は、重送発生の誤検知により停止されること無く、搬送が継続される。従って、従来とは異なり、本発明のシート搬送装置100によれば、付箋のような貼付物が付されたシートの搬送停止がされること無く、通紙することができる。そのため、重送の誤検知により、使用者が重送誤検知に起因する搬送停止により搬送経路に残ったシートを除去するような不要な作業を行わなくてすむ。
また、分離搬送部7に逆方向への搬送後に、搬送方向を切り替えさせても(正方向への再搬送をおこなわせても)ほとんど重送状態のシート(原稿D、用紙P)が分離しないことがある。例えば、シートの4隅が一致するように重なるようにしてシート同士が強固に吸着している場合や、ステープル処理がなされている場合があてはまる。このような場合、第1時間と第2時間にあまり差が現れない可能性がある。そこで、時間差が許容範囲以下であるために重送が生じていないと判定してシート搬送を継続したとき、制御部(原稿搬送制御部10、主制御部6)は、シートの先端がシート検知部8よりもシート搬送方向下流側に予め定められた確認位置に到達するまで搬送してもシート検知部8の出力レベルが重送範囲内の値のままであるとき、シート搬送を停止させる。
これにより、分離されにくく、第1時間と第2時間にあまり差が現れないような重送が生じているとき、シート(原稿D、用紙P)の搬送を停止させることができる。これにより、重送状態のシート(原稿D、用紙P)に関して無駄な処理が行われることや、シート(原稿D、用紙P)の詰まりのような問題が生ずることを無くすことができる。
また、(原稿搬送部1の)シート検知部8は、光センサーを含むシートセンサー82と、シート(原稿D、用紙P)の搬送経路を挟むように設けられた超音波センサー81を含む重送検知部9と、を含み、制御部(原稿搬送制御部10、主制御部6)は、シートセンサー82の出力に基づきシートの所定位置への到達を検知、重送検知部9の出力に基づき、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値であるか否かを検知する。これにより、検知する事象に対し、それぞれセンサーが設けられるので、正確に、シート(原稿D、用紙P)の有無を検知や、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値であるか否かを検知することができる。
また、(印刷部20のシート搬送装置100の)シート検知部8は、シート(原稿D、用紙P)の搬送経路を挟むように設けられた超音波センサー81を含む重送検知部9を含み、制御部(原稿搬送制御部10、主制御部6)は、重送検知部9の出力レベルに基づきシートの所定位置への到達の検知を行うとともに、重送検知部9の出力レベルが重送範囲内の値であるか否かを認識する。これにより、1つの超音波センサー81に基づいて、シート(原稿D、用紙P)の到達検知と、重送検知部9の出力レベルが重送発生時の値となっているか否かを検知することができ、シート搬送装置100の製造コストを低減することができる。
また、原稿搬送装置(原稿搬送部1)は、実施形態に係るシート搬送装置100を含む。これにより、付箋のような貼付物が貼り付けられた原稿Dや空気層のある原稿Dを搬送しても、重送の誤検知が無く、重送が生じているか否か正確に判定できる原稿搬送装置を提供することができる。また、貼り付けのある原稿Dや、空気層のある原稿Dを搬送しても、従来のように原稿搬送が停止しない原稿搬送装置を提供することができる。
また、画像形成装置(複合機200、印刷部20)は、実施形態に係るシート搬送装置100を含む。これにより、空気層を含んでいる用紙Pや、何らかのテープや付箋のような貼付物が付された印刷用の用紙Pを用いて印刷しても、重送の誤検知が無く、重送が生じているか否か正確に判定できる画像形成装置を提供することができる。また、貼り付けのある用紙Pや空気層のある用紙Pを搬送しても、従来のように、用紙P搬送が停止しない画像形成装置を提供することができる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。