JP5983898B1 - 調光シートおよび調光板 - Google Patents

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Abstract

耐候性および耐久性に優れた調光シートおよび調光板の提供を主目的とする。本発明は、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成された調光層と、上記調光層の一方の表面に配置された耐候性接着層とを有し、上記耐候性接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および波長380nmでの光の透過率が60%以下を示す紫外線吸収剤を含むものであることを特徴とする調光シートである。【選択図】図1

Description

本発明は、調光機能を有する調光シートおよび調光板に関する。
従来より、電圧等の外力を加えることで光透過率を変化させ、入射光量の調整を行う調光板が知られている。
このような調光板としては、例えば、電圧に対して応答可能な配向粒子を分散した光調整懸濁液を樹脂マトリックス中に分散した調光層を透明導電性基材で挟持した調光シートを、透明基板の表面に備えるものがある(特許文献1参照)。これは、調光シートに電圧を印加し、電圧に対する配向粒子の応答により光の透過量を調整することで表示の切替を行うものである。
詳しくは、上記調光シートに電圧を印加すると、調光層内の配向粒子が配向するため、入射光が調光シートを透過することができ、調光板は外部を明瞭に視認可能な透明な状態(以下、明状態と称する。)となる。
一方、上記調光シートに電圧が印加されない状態では、配向粒子は配向しないため、入射光は上記配向粒子のブラウン運動により吸収、散乱または反射されてしまう。そのため、光が調光シートを透過できず、調光板は遮光により外部が視認できない状態(以下、暗状態と称する。)となる。
しかし、上記調光シートは、電圧の印加により配向粒子を配向状態に移行させ、または、電圧の印加を止めて配向粒子を無配向の状態に移行させるまでの時間が長く、調光板の暗状態および明状態の切替を瞬時に行うことが困難であるという問題があった。
また、電圧を印加するために配線等を備える電極層と併用する必要があり、さらに、電圧を印加するための電力も必要であることから、調光板の設置及び使用にかかるコストが高くなり、容易に使用することが困難であった。
これに対し、電圧の印加を必要とせず、容易に入射光量の調整を行うことが可能な調光板の開発が進められている。
例えば特許文献2では、透明基板上に偏光板および面内遅相軸および位相差の少なくとも一方が異なる複数の位相差領域が一定の間隔をおいてストライプ状に形成されたパターン位相差層を有する2つの調光部を、各調光部のパターン位相差層が互いに向かい合うようにして配置されてなる調光ガラスが開示されている。なおこの場合、調光層とは、上記偏光板およびパターン位相差層を合せた積層体をいう。
このような調光ガラスでは、2つの調光部のうち一方をスライド移動させ、双方のパターン位相差層における位相差領域のパターンの対応関係を変化させることで、表示の切替を行うことが可能となる。以下、このようなスライド機構を利用した調光ガラスを「スライド式調光ガラス」と称する場合がある。
図6は、スライド式調光ガラスにおける調光機能について説明する説明図である。ここで、図6中のパターン位相差層40A、40Bは、第1位相差領域O1、O1’および第2位相差領域O2、O2’がストライプ状に交互に形成されたパターンを有するものであり、第1位相差領域O1、O1’および第2位相差領域O2、O2’の面内遅相軸aが直交関係を有するものである。また、第1位相差領域O1、O1’および第2位相差領域O2、O2’の面内レターデーションがλ/4を示すものである。さらに、2枚の偏光板50A、50Bは偏光軸が直交関係を有するものとする。なお、ガラスについては図示を省略する。
図6(a)で示すように、光が調光部60Aから調光部60Bへ透過する場合において、偏光板50Aでは、入射する光L1の中から偏光板50Aの偏光軸方向Yと同一方向に振動する直線偏光L2のみを透過させる。直線偏光L2は、パターン位相差層40Aの第1位相差領域O1および第2位相差領域O2において、互いに逆向きにλ/4の位相差分が回転された円偏光L3に変換される。円偏光L3は調光部60Bに入射し、パターン位相差層40Bの第1位相差領域O1’および第2位相差領域O2’において、さらに互いに逆向きにλ/4の位相差分が回転された直線偏光L4に変換される。
このとき、パターン位相差層40Aおよび40Bは、例えば、対応関係にある第1位相差領域O1およびO1’同一の面内遅相軸の方向、すなわち同一の配向方向を有することから、直線偏光の回転方向が同じになる。つまり、直線偏光L4は直線偏光L2の振動方向を90°回転させたものとなる。
このため、直線偏光L4の振動方向は、偏光板50Bの偏光軸方向Xと同一となることから、偏光板50Bを透過することができ、出射された光L5によりスライド式調光ガラス100は明状態となる。
一方、図6(b)は、図6(a)の調光部60Bを、位相差領域のパターンと直交する方向へスライド移動させた例を示すものである。この場合、パターン位相差層40Aおよび40Bにおいて、例えば、対応関係にある第1位相差領域O1および第2位相差領域O2’は面内遅相軸の方向が直交関係となることから、直線偏光の回転方向が逆になる。つまり、第1位相差領域O1においてλ/4の位相差分回転された円偏光は、第2位相差領域O2’において逆方向にλ/4の位相差分回転されることとなり、直線偏光L4は直線偏光L2の振動方向と同一となる。
このため、直線偏光L4の振動方向は、偏光板50Bの偏光軸方向Xと直交することとなり、偏光板50Bを透過することができず、スライド式調光ガラス100は暗状態となる。
特開2013−210670号公報 国際公開第2012/092443号 特許第4881208号
ところで、調光板は通常、日射調整、プライバシー性確保等を目的として、例えば窓ガラス等の光が入射する部材として用いられる。しかし、上述のスライド式調光ガラスにおいては、調光層が透過光に含まれる紫外線等を吸収することで光劣化を生じやすく、経時により調光機能が低下するという問題がある。また、調光層に紫外線吸収剤等の耐候剤を添加する場合、調光層の変色が生じると言う問題がある。この理由については必ずしも明らかではないが、調光層内において上記耐候剤が調光層を構成する他の材料と反応することで変色が起こるものと考えられる。
上記問題に対し、本発明者等は、調光層と上記調光層をガラス等の被着体に貼合させるための接着層とを備える調光シートにおいて、調光層に紫外線吸収剤等の耐候剤を添加せず、上記接着層を、上記耐候剤を含有した耐候性接着層とすることで、調光シート全体の耐候性、耐久性の向上を図る検討を行っている。
これは、調光層が紫外線吸収剤等の耐候剤を含有しないことで、耐候剤の含有による調光層の変色を防ぐことができ、また、調光シートに入射する光に対して、先に耐候性接着層において紫外線等の調光層の劣化の要因となる波長光を耐候剤で吸収させることにより、調光層の光劣化を防止できるとの考えによるものである。加えて、上記耐候性接着層は耐候剤を含有することから、耐候性接着層自体の耐候性の向上も図れるため、調光シート全体の耐候性、耐久性の向上に繋がると推量される。
なお、特許文献3には、光透過性を有するフィルムを窓ガラス等に貼合する際に使用される粘着剤として、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、金属キレート系架橋剤、およびトリアジン系紫外線吸収剤を含む耐候性接着剤を用いることで、上記耐候性接着剤の有する紫外線吸収能により、貼合されたフィルムの光劣化を抑制することが開示されている。
しかしながら、調光層よりも光の入射側に位置する耐候性接着層として、特許文献3で開示されるものを用いる場合であっても、調光シート全体の耐候性、耐久性の向上を十分に図ることができないという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐候性および耐久性に優れた調光シートおよび調光板を提供することを主目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、耐候性接着層に耐候剤として含有される紫外線吸収剤の種類が、調光層の劣化の抑制に寄与することを見出した。中でも、本発明者らは、調光層の劣化の主たる要因が、調光層を構成する偏光板に含まれるヨウ素の劣化によるものであること、そして、ヨウ素の劣化を引き起こす波長光を吸収する紫外線吸収剤を選択することで、調光シート全体の耐候性、耐久性の向上を図ることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成された調光層と、上記調光層の一方の表面に配置された耐候性接着層とを有し、上記耐候性接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および波長380nmでの光の透過率が60%以下を示す紫外線吸収剤を含むものであることを特徴とする調光シートを提供する。
なお、本明細書内において、紫外線吸収剤が「波長380nmでの光の透過率が60%以下を示す」ことを、紫外線吸収剤が「(所定の)光学特性を示す」と称する場合がある。
本発明によれば、耐候性接着層が上述の組成を含むものであることにより、調光シートに入射した光のうち、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光、中でも調光層を構成する偏光板に含まれるヨウ素の劣化を引き起こす波長光を、先に上記耐候性接着層中の上記光学特性を示す紫外線吸収剤において選択的に且つ十分に吸収させることができる。これにより、調光層の劣化に最も寄与するヨウ素の劣化を抑制でき、その結果、調光層の光劣化を抑制することが可能となる。また、耐候性接着層が上述の組成を含むことにより、上記耐候性接着層自体の光劣化も抑制することができる。これにより、耐候性の高い調光シートとすることができる。
上記発明においては、上記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることが好ましい。紫外線吸収剤が吸収可能な光の波長帯が、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光の波長帯と広域で重複可能となることから、調光層の耐候性をより効果的に向上させることができるからである。
上記発明においては、上記調光層が、パターン位相差層と、上記パターン位相差層よりも上記耐候性接着層側に配置された偏光板とを有し、上記パターン位相差層が、透明フィルム基材と、上記透明フィルム基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成された位相差層とを有し、上記位相差層は、面内遅相軸の方向および位相差の少なくとも一方が異なる2以上の位相差領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものであることが好ましい。調光層がこのような構成を有することで、本発明の調光シートを備えた調光板を、スライド機構を備えるものとして容易に設計でき、また上記調光板の操作が容易になるからである。
また、本発明は、第1調光シートを有する第1調光部と、第2調光シートを有する第2調光部とを有し、上記第1調光部および上記第2調光部が、上記第1調光シートと上記第2調光シートとが向かい合うようにして間隔を空けて配置された調光板であって、上記第1調光シートおよび上記第2調光シートは、接着層と上記接着層上に形成された調光層とを少なくとも有し、上記調光層は、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものであり、上記第1調光シートおよび上記第2調光シートの少なくとも一方の上記接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および波長380nmでの光の透過率が60%以下を示す紫外線吸収剤を含む耐候性接着層であり、上記第1調光部および上記第2調光部の少なくとも一方が、上記調光層の有する上記領域と交差する面方向に移動可能であることを特徴とする調光板を提供する。
本発明によれば、第1調光部および第2調光部の少なくとも一方における調光シートが、上述の組成からなる耐候性接着層を備えたものであることから、耐候性接着層を備えた調光部を光の入射側に配置することにより、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光、中でも調光層を構成する偏光板に含まれるヨウ素の劣化を引き起こす波長光を、先に上記耐候性接着層中の上記光学特性を示す紫外線吸収剤において選択的に且つ十分に吸収させることができる。これにより、調光層の劣化に最も寄与するヨウ素の劣化を抑制でき、その結果、各調光部における調光層の光劣化を抑制することが可能となる。また、耐候性接着層が上述の組成を有することにより、耐候性接着層自体の光劣化も抑制できることから、耐久性および耐候性の高い調光板とすることができる。
上記発明においては、上記第1調光部が、第1透明基板の一方の表面上に上記第1調光シートが設けられたものであり、上記第2調光部が、第2透明基板の一方の表面上に上記第2調光シートが設けられたものであることが好ましい。例えば広い領域で本発明の調光板を配置する場合に、各調光部の機械的強度を向上させることが可能であるからである。
上記発明においては、上記調光層が、パターン位相差層および上記パターン位相差層よりも上記接着層側に配置された偏光板を有し、上記パターン位相差層が、透明フィルム基材と、上記透明フィルム基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成された位相差層とを有し、上記位相差層は、面内遅相軸の方向および位相差の少なくとも一方が異なる2以上の位相差領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものであることが好ましい。このような構成の調光層を有することで、本発明の調光板を、スライド機構を備えるものとして容易に設計でき、また上記調光板の操作が容易になるからである。
本発明の調光シートにおいては、所望の組成を有する耐候性接着層において、調光層の劣化を引き起こす波長光を、所定の光学特性を示す紫外線吸収剤により選択的に吸収させることで、調光層の劣化が抑制され、また、耐候性接着層自体の光劣化も抑制できることから、高い耐候性および耐久性を有するという作用効果を奏する。
本発明の調光シートの一例を示す概略平面図および断面図である。 本発明の調光シートによる調光機能を説明するための説明図である。 本発明における調光層の一例を示す概略断面図である。 本発明の調光シートの他の例を示す概略断面図である。 本発明の調光板の一例を示す概略側面図および上面図である。 スライド式調光ガラスにおける調光機能について説明する説明図である。
以下、本発明の調光シートおよび調光板について詳細に説明する。
A.調光シート
本発明の調光シートは、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成された調光層と、上記調光層の一方の表面に配置された耐候性接着層とを有し、上記耐候性接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含むものであることを特徴とするものである。
本発明の調光シートについて、図を参照して説明する。図1(a)は本発明の調光シートの一例を示す概略平面図であり、説明のため耐候性接着層の一部を省略している。また図1(b)は、図1(a)のX−X線断面図である。
本発明の調光シート10は、耐候性接着層1および調光層2が少なくとも積層されたものである。耐候性接着層1は、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および、所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含むものである。
また、調光層2は、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる領域P1、P2が一定の間隔Dをおいて一定の形状(図1ではストライプ状)に交互に形成されたものである。すなわち、複数の領域P1、P2は、一定の幅Dおよび一定の形状を有しており、複数の領域P1または領域P2は、交互に隙間無く接するようにして連続して配置されている。近接する2つの領域P1間または2つの領域P2間は、その間に位置する領域P2または領域P1の幅Dに相当する一定の間隔Dを有することとなる。
図1に示す調光シート10は、調光層2よりも耐候性接着層1が光Lの入射側となるようにして用いられることにより、本発明の効果を発揮することができる。
なお、以下の説明において、調光シートおよび調光層において、一定の間隔をおいて一定の形状に形成された各領域のことを「パターン領域」と称する場合がある。
本発明の調光シートは、図2で参照するように、2枚の調光シート10A、10Bをそれぞれ窓ガラス等の被着体11A、11Bに貼合して対峙させ、調光シート10A、10Bの一方をスライドさせるスライド式の調光板に使用される。調光板は、調光シート10Aにおけるパターン領域P1、P2と、調光シート10Bにおけるパターン領域P1、P2との対応関係を変化させることにより、光の透過率を変化させ、透過光量を調整することで表示の切替を可能とするものである。
すなわち、図2(a)で示すように、調光シート10Aにおけるパターン領域P1および調光シート10Bにおけるパターン領域P1、ならびに調光シート10Aにおけるパターン領域P2および調光シート10Bにおけるパターン領域P2が対応する場合、入射光Linは調光板を透過し、出射光Loutにより調光板を明状態とすることができる。一方、図2(b)で示すように、調光シート10Aにおけるパターン領域P1および調光シート10Bにおけるパターン領域P2、ならびに調光シート10Aにおけるパターン領域P2および調光シート10Bにおけるパターン領域P1が対応する場合、入射光Linは調光板を透過できず、調光板を暗状態とすることができる。
なお、説明の簡略化のため、図2において、調光シート10A、10Bにおけるパターン領域P1、P2以外の構成については図示を省略するものとする。
上述のような調光板に使用される調光シートにおいては、調光層内に紫外線吸収剤等の耐候剤を含有させると、調光層が変色するという実情から、通常、調光層には耐候剤を添加することができない。
そこで本発明者等は、光の入射側に位置する窓ガラス等の被着体との貼合面となる接着層を、耐候剤を含有させた耐候性接着層とし、調光層の劣化の原因となる波長光を先に上記耐候性接着層において吸収させることで、調光層の劣化の防止を図る検討を行っている。このとき、上記耐候性接着層自体も耐候剤を含むことから耐候性の向上を図ることが可能となり、耐候性および耐久性に優れた調光シートとなることが予想される。
しかし、上記のような調光シートであっても、経時により調光層の劣化が生じ、長期にわたり調光機能を保持できないという問題がある。
上記問題を解決するために、本発明者等が、調光層と耐候性接着層との組合せについて鋭意検討を重ねたところ、耐候性接着層に含有される耐候剤として、特定の波長光での光の透過率が所定値以下を示す紫外線吸収剤を選択することで、調光層の劣化が十分に抑制されることを見出した。その理由については、以下のように推察される。
すなわち、調光層は、透過光の偏光状態または位相状態を変化させるために、偏光板、パターン位相差層等の層構成を有するところ、偏光板の偏光子に含まれるヨウ素、偏光板の表面に設けられた偏光板保護フィルム、パターン位相差層を構成する液晶等は、紫外線等の波長光のうち特定の波長光を吸収することで劣化が促進される。このため、調光層を構成する層に含まれる材料の光劣化に起因して、調光層全体の劣化が生じることとなる。
中でも、本発明者等が調光層の劣化の要因について鋭意検討を行った結果、調光層を構成する偏光板の偏光子に含まれるヨウ素の劣化が、調光層全体の劣化に最も大きく影響を及ぼしており、また、ヨウ素は、波長380nm付近の光を吸収することで、劣化が促進されることを見出した。
一方、紫外線吸収剤は、その種類によって特異的に吸収が可能な波長帯が異なるところ、紫外線吸収剤の特異的に吸収可能な波長帯と、上述の調光層を構成する各材料を劣化させる特定の波長光の波長帯とが重複することで、調光層を構成する各層の劣化を引き起こす波長光を選択的に且つ十分に吸収でき、調光層全体での劣化を抑制することができると推測される。
ここで、上述したように、偏光板の偏光子に含まれるヨウ素の劣化が調光層の劣化に最も寄与することから、上記耐候性接着層に含まれる紫外線吸収剤として、ヨウ素の劣化を促進させる波長380nmの光を透過しにくい紫外線吸収剤を選択することで、ヨウ素の劣化を引き起こす波長光を紫外線吸収剤により選択的に且つ十分に吸収させ、ヨウ素が上記波長の光を吸収するのを防ぐことができる。また、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光も、上記紫外線吸収剤の吸収波長帯の一部と重複することで、ある程度吸収される。これにより、調光層全体の劣化を抑制することができると推測される。
すなわち、本発明によれば、耐候性接着層が上述の組成を含むものであることにより、調光シートに入射した光のうち、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光、中でも調光層を構成する偏光板に含まれるヨウ素の劣化を引き起こす波長光を、先に上記耐候性接着層中の上記光学特性を示す紫外線吸収剤において選択的に且つ十分に吸収させることができる。これにより、調光層の劣化に最も寄与するヨウ素の劣化を抑制でき、その結果、調光層の光劣化を抑制することが可能となる。
また、耐候性接着層が上述の組成を含むことで、上記紫外線吸収剤により上記耐候性接着層自体の光劣化も抑制することができる。これにより、耐候性の高い調光シートとすることができる。
本明細書内において、調光層において、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されるとは、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が、一定の幅および一定の形状を有して連続して形成されることをいう。すなわち、各領域は、幅および形状が同じであり、領域同士が隣接することで各領域が連続して配置される。また、このときの配置態様から、領域が一定の間隔をおくとは、すなわち、隣接する2領域の中心を結んだ長さが、通常、領域の幅に相当することをいう。
具体的には、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる第1領域と第2領域とが一定の幅および一定の形状を有しており、両領域が交互に配置されるように隣接して形成されていること、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる3以上の領域が一定の幅および一定の形状を有しており、各領域が繰り返し配置されるように隣接して形成されていること、また、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる複数の領域が一定の幅および一定の形状を有しており、偏光状態または位相状態が漸次変化するように隣接して形成されていることをいう。
「2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成される」ことの定義については、後述する位相差層における位相差領域、配向層における配向領域、および偏光板における偏光領域についても、同様とする。
以下、本発明の調光シートの各部位について説明する。
1.耐候性接着層
本発明における耐候性接着層は、調光層の一方の表面に配置されたものであり、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含むものである。
上記耐候性接着層は、上述の組成を含むことで、上記紫外線吸収剤により上記耐候性接着層自体および調光シート全体の光劣化を抑制することができる。また、耐候性接着層に含有される耐候剤の種類によっては、耐候性着色層自体が色を呈し、調光シートの光透過性が低下する場合があるところ、本発明においては、耐候性接着層が所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含むことで、耐候剤による呈色を防ぎ、高い光透過性を示すことができる。
(1)接着性ポリマー
耐候性接着層における接着性ポリマーは、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなるものである。
(a)アクリル系共重合体
上記アクリル系共重合体は接着主剤であり、後述する架橋剤との架橋反応の際に、加熱により架橋形成するものが好ましい。光照射による架橋形成の場合は、硬化後の耐候性接着層の耐候性に影響を及ぼす場合があるからである。
上記アクリル系共重合体は、例えば、主成分としての(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリルモノマーとを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。また、以下の説明における(メタ)アクリルモノマーについても同様である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)クリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも発明においては、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチルが好ましい。
(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能〜4官能の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリルモノマーについては、アクリル酸エステルと共重合し、且つ後述する架橋剤との架橋点となる官能基を有するものが好ましい。
架橋点となる官能基としては、例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、シアノ基等が挙げられ、(メタ)アクリルモノマーにおいてはその分子構造内にこれらの官能基のうち1種類または複数種類を、総じて1官能〜4官能有することが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸等が挙げられる。
アミド基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等が挙げられる。
シアノ基含有アクリル系モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
その他の(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。さらに、酢酸ビニル等のビニルエステル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、上述した(メタ)アクリル酸エステルのアクリルモノマー等が挙げられる。
中でも、アクリル系共重合体を構成する(メタ)アクリルモノマーとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等が好適に用いられる。
上記アクリル系共重合体は、その共重合形態について特に限定されるものでなく、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、中でもランダム共重合体であることが好ましい。
また、上記アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)としては、本発明における耐候性接着層が所望の接着力を示すことができれば特に限定されないが、例えば200000〜1400000の範囲内、中でも600000〜1000000の範囲内、特に750000〜850000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内よりも小さいと、凝集力の低下に伴い接着力が低下する場合がある。一方、重量平均分子量が上記範囲よりも大きいと、本発明の調光シートを被着体と強固に貼合できるが、接着力が高すぎて貼り替えの際に被着体から剥離しにくくなる場合がある。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際のポリスチレン換算の値であり、測定にはカラム材質として昭和電工社製LF−804を3本使用し、展開溶媒としてTHFを用いるものとする。
また、上記アクリル系共重合体におけるアクリル酸エステルと(メタ)アクリルモノマーとの含有比率は、アクリル酸エステルが主成分であれば特に限定されず、本発明における耐候性接着層が所望の接着力、耐候性および光学特性を示すように適宜設定することができる。
(b)架橋剤
上記架橋剤は、金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤のいずれかである。
(i)金属キレート架橋剤
金属キレート架橋剤としては、中心金属としてアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属を有するものが好ましく、中でも、中心金属がアルミニウムであるアルミキレート架橋剤が特に好ましい。
アルミキレート架橋剤としては、例えばジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられる。
また、その他の金属キレート架橋剤としては、例えばチタニウムテトラプロピオネート、チタニウムテトラ−n−ブチレート、チタニウムテトラ−2−エチルヘキサノエート、ジルコニウム−sec−ブチレート、ジルコニウムジエトキシ−tert−ブチレート、トリエタノールアミンチタニウムジプロピオネート、チタニウムラクテートのアンモニウム塩、テトラオクチレングリコールチタネート等が挙げられる。
上述の金属キレート架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ii)イソシアネート系架橋剤
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、または、このようなウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されず、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
上述のイソシアネート系架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(iii)その他
上記金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤の含有量としては、アクリル系共重合体100質量部に対して1質量部〜30質量部の範囲内、中でも3質量部〜20質量部の範囲内、特に5質量部〜15質量部の範囲内であることが好ましい。上述の架橋剤の含有量が上記範囲よりも多いと、アクリル系共重合体との架橋反応が過剰に促進されて硬化が密になりすぎることから、耐候性接着層の劣化が生じやすくなり、調光シートとしての耐候性が低下する場合がある。また、耐候性接着層が白濁する恐れがある。
一方、架橋剤の含有量が上記範囲よりも少ないと、架橋反応が十分になされず硬化が疎になりすぎることから、硬化不足となり接着力が低下する場合がある。
(c)任意の組成
上記接着性ポリマーは、上述したアクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなるものであるが、さらに任意のモノマー、オリゴマー、他のポリマーを含み、これらが架橋されたものであってもよい。例えば、任意のモノマーとして、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。
(2)紫外線吸収剤
上記耐候性接着層に含有される紫外線吸収剤は、所定の光学特性、すなわち波長380nmでの光の透過率が60%以下を示す。上記透過率が上述の範囲内であることにより、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光のうち、特に、調光層を構成する偏光板に含まれるヨウ素の劣化を引き起こす波長光を選択的に且つ十分に吸収することが可能となり、調光層全体での劣化を抑えることができるからである。
中でも紫外線吸収剤の上記波長光の透過率が50%以下であることが好ましく、特に30%以下であることが好ましい。また、上記透過率の下限値としては5%以上であることが好ましい。紫外線吸収剤の上記波長光の透過率が上記範囲よりも大きいと、紫外線による調光シートの劣化が促進され耐候性の向上が図れない場合がある。一方、紫外線吸収剤の上記波長光の透過率が上記範囲よりも低いと、380nmの波長近郊の可視光の透過が阻害される等により耐候性接着層が黄色みを帯びるため、調光シート全体での光透過性が低下する場合がある。
紫外線吸収剤の光の透過率とは、上記紫外線吸収剤を透過する各波長の光の入射時の光強度に対する出射時の光強度の割合(%)をいうものであり、濃度0.006質量%の紫外線吸収剤溶液(溶剤:トルエン)を調製し、上記溶液を幅10mmのガラスセル内に注入して、光源としてキセノンランプを用いて、ダブルビーム測光方式により測定することができる。測定には、分光光度計(島津製作所製 UV−3150)を用い、トルエン溶剤のみでの光の透過率をリファレンスとして測定することができる。
また、上記耐候性接着層を可視光領域において高い透明性を有するものとし、調光シート全体での光透過性を担保するために、上記紫外線吸収剤は可視光領域での光の透過率が高いことが好ましい。具体的には、上記紫外線吸収剤の可視光領域での光の透過率が70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。上記紫外線吸収剤による可視光領域での光の透過率が上記範囲よりも低いと、上記紫外線吸収剤により可視光が吸収されることにより耐候性接着層が黄色みを帯び、調光シート全体での光透過性が損なわれる場合がある。
なお、可視光領域とは、波長領域380nm〜780nmをいい、上記紫外線吸収剤の可視光領域での光の透過率とは、上述の方法で測定された上記波長領域での光の透過率の平均をいう。
紫外線吸収剤は、上述の光学特性を示すものであれば特に限定されず、一般的に紫外線吸収剤として用いられる材料を用いることができる。上記紫外線吸収剤は、無機系であってもよく有機系であってもよい。中でも透明性に優れる点から有機系の紫外線吸収剤が好ましい。
無機系の紫外線吸収剤としては、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
一方、有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ニッケルキレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、これらの紫外線吸収剤から、上述の光学特性を示すものを適宜選択して用いることができる。具体的には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、商品名:Tinuvin928、BASF社製)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、商品名:Tinuvin460、BASF社製)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、商品名:Tinuvin1130、BASF社製)等が挙げられる。
中でも、上記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることが好ましい。紫外線吸収剤が吸収可能な光の波長帯が、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光の波長帯と広域で重複可能となることから、調光層の耐候性をより効果的に向上させることができるからである。
上述の光学特性を示す紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
耐候性接着層における、上述の光学特性を示す紫外線吸収剤の含有量としては、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部〜25質量部の範囲内、中でも1質量部〜25質量部の範囲内、特に3質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましい。上述の光学特性を示す紫外線吸収剤の含有量が上記範囲よりも多いと、耐候性接着層が着色を帯びることによる調光シート全体としての外観上の問題が生じる場合がある。一方、上述の光学特性を示す紫外線吸収剤の含有量が上記範囲よりも少ないと、耐候性接着層において紫外線のうち、特にヨウ素の劣化を促進する波長380nmの光を十分に吸収しきれず、調光層が劣化しやすくなる場合がある。
(3)任意の材料
本発明における耐候性接着層は、耐候性がさらに向上するという観点から、上述の組成の他に光安定剤等を含有していてもよい。上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤等が好ましく、また、分子内に反応性基を有するものであってもよい。光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
耐候性接着層における光安定剤の含有量については、アクリル系共重合体100質量部に対して0質量〜7質量部の範囲内であればよく、中でも0質量部〜5質量部の範囲内であることが好ましく、特に0質量部〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
また、本発明における耐候性接着層は、赤外線反射剤または赤外線吸収剤を含んでもよい。本発明の調光シートを調光板に使用する際に、光の透過が遮蔽されることで上記調光板は暗状態となる。このとき、光を完全に遮蔽するために暗状態における黒色濃度を高する必要があり、可視光領域のみならず、赤外領域を含めた広範囲での波長光の透過を抑制する必要がある。
このため、耐候性接着層内に赤外線反射剤または赤外線吸収剤を添加し、赤外線を反射または吸収させることにより、赤外線の透過を抑制することが好ましい。
赤外線反射剤としては、例えば酸化スズ、酸化インジウムスズ、金属錯体色素、酸化亜鉛等が挙げられる。また、赤外線吸収剤としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、および硫化亜鉛金属酸化物系赤外線吸収剤等が挙げられる。上記の赤外線反射剤および赤外線吸収剤の種類は一例であり、これらの材料に限定されない。
上記耐候性接着層における赤外線反射剤または赤外線吸収剤の含有量については、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部〜20質量部の範囲内、中でも0.5質量部〜10質量部の範囲内、特に1質量部〜5質量部の範囲内であることが好ましい。赤外線反射剤または赤外線吸収剤の含有量が上記範囲よりも多いと、本発明の調光シートの透明性が低下し、光透過率が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも少ないと、本発明の調光シート備える調光板において、十分な黒色濃度が得られず遮蔽性が不足する場合がある。
さらに、本発明における耐候性接着層は、任意の材料としてシランカップリング剤、酸化防止剤、接着付与剤、充填剤、レベリング剤等を含んでいてもよい。接着付与材としては、一般的に耐候性接着層に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばロジン系接着付与剤等が好適である。
本発明における耐候性接着層は、耐候性接着層の呈色を生じさせない程度であれば、上述した光学特性を示す紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤を含んでいてもよい。吸収波長帯の異なる他の紫外線吸収剤を含むことで、偏光板に含まれるヨウ素以外の、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす光を吸収し、調光層全体の光劣化を効率よく抑制することができるからである。
具体的には、上述した「(2)紫外線吸収剤」の項で挙げた紫外線吸収剤の中から、吸収したい波長光の波長に応じて適宜選択することができる。
また、例えば、重合性化合物、重合開始剤等、紫外線吸収用途以外の他の用途のために添加される添加剤等としての紫外線吸収剤を含んでいても良い。
(4)その他
本発明における耐候性接着層のゲル分率としては、所望の厚さで被着体と調光シートとの貼合が可能な接着力を有する範囲であることが好ましく、硬化後において50%〜90%の範囲内、中でも60%〜85%の範囲内、特に70%〜80%の範囲内であることが好ましい。耐候性接着層のゲル分率が上記範囲よりも大きいと、架橋密度が高くなることにより高い接着力を示し、被着体に対して本発明の調光シートを強固に貼合できるが、接着力が高すぎて貼り替えの際に被着体から剥離しにくくなる場合がある。また、架橋密度が高すぎることにより耐候性接着層の劣化が生じやすくなる場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、架橋密度が低いため所望の接着力を示すことができない場合がある。
なお、上記ゲル分率は、以下の方法により測定された値である。
(ゲル分率の測定方法)
セパレーターに挟まれた耐候性接着層を10cm×10cm角で切出す。切り出した耐候性接着層を丸めて瓶に入れた状態での重量を測定し、セパレーターおよび瓶の重量との差分から、処理前の耐候性接着層単体の重量(初期重量)を測定する。次に、瓶に入れて揮発を防いだ状態の溶剤(MEK)に耐候性接着層を浸漬して3時間放置後、事前に重量を測定した10cm×10cmの100メッシュ網上に載せ、廃液および耐候性接着層より溶出したモノマーを廃棄する。耐候性接着層を搭載した状態で60℃24時間乾燥し、乾燥後のメッシュ網と溶剤浸漬および乾燥を経た耐候性接着層との総重量を測定し、上記総重量と初期重量との差からメッシュ網の重量を除いた乾燥後(処理後)の耐候性接着層の重量を算出し、以下の式からゲル分率を求める。
ゲル分率(%)={(処理後の耐候性接着層の重量(g))/(処理前の耐候性接着層の重量(g))}×100
耐候性接着層の厚さとしては、上述した所望の量の紫外線吸収剤を含むことが可能な大きさであればよく、例えば5μm〜80μmの範囲内、中でも10μm〜60μmの範囲内、特に15μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。耐候性接着層の厚さが上記範囲よりも大きいと、調光シートの光透過性の低下、ヘイズの上昇による外観不良等を生じる場合があり、また、貼合上好ましくない場合がある。一方、耐候性接着層の厚さが上記範囲よりも小さいと、所望の量の耐候剤を含むことができない場合や、所望の接着力が得られず、調光シートとしての機能を担保できない場合がある。
耐候性接着層の接着力としては、4N/25mm〜30N/25mmの範囲内、中でも4N/25mm〜25N/25mmの範囲内、特に4N/25mm〜20N/25mmの範囲内であることが好ましい。耐候性接着層の接着力が上記範囲内であることにより、本発明の調光シートを被着体に安定的に貼合させることができ、また、上記調光シートを剥がす際に上記被着体に糊残り等が生じることなく剥がすことが可能となるからである。
なお、上記接着力は、JIS Z0237準拠した方法で、25mm幅のサンプル(被着体:青板ガラス、3mm厚)について、180°引き剥がし法(引き剥がし速度300mm/min)により測定される値である。
耐候性接着層の形成方法としては、所望の厚さで形成できれば特に限定されないが、例えば、上述の接着性ポリマーの材料および所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を所望の溶媒に溶かした塗布液を用い、調光層の一方の表面に塗布して加熱して塗布膜を硬化させる方法を用いることができる。中でも架橋の促進を図るために、硬化後にエージング処理を行うことが好ましい。
上記塗布液を塗布するコーティング方法としては、例えば、ナイフコーター、アプリケーターコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等を挙げることができる。また、エージング処理としては、例えば40℃で3日〜7日程度の加熱処理を行なうことが好ましい。
上記耐候性接着層は、所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含有することで、紫外線吸収剤の含有による呈色を生じず、高い透明性を有することができる。上記耐候性接着層の可視光領域での透過率としては、70%以上であることが好ましく、中でも80%以上、特に90%以上であることが好ましい。なお、上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
2.調光層
本発明における調光層は、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものである。
透過光の偏光状態または位相状態を変化させる領域とは、調光層へ入射する光のうち特定の振動方向の直線偏光のみを透過させる領域、または、調光層へ入射する直線偏光を遅相軸の方向または位相差に応じて振動方向を回転させ、右円偏光または左円偏光に変換させる領域をいう。
透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域は、一定の間隔をおいて一定の形状に形成される。すなわち、2以上の各領域は、一定の幅および一定の形状を有して連続して形成されていることから、2以上の各領域は、連続したパターンで配置される。
上記領域の形状としては、例えば、三角形、正方形、長方形、ひし形等の四角形、六角形等が挙げられる。上記領域の配置パターンとしては、ストライプ状、千鳥状等がある。中でも、上記領域が長方形のストライプ状であることが好ましい。
さらに、上記配置パターンについては、例えば図3(a)で示すように、第1領域P1、および、第1領域P1と同一形状かつ同一幅Dを有するが異なる偏光状態または位相状態に変化させる第2領域P2が、交互に連続して形成された配置パターンとすることができる。このとき、複数の第1領域P1の配置パターンは、2つの第1領域P1間に位置する第2領域の幅Dに相当する一定の間隔Dをおいて形成された配置パターンとなる。
また、図示しないが、異なる偏光状態または位相状態に変化させる3以上の領域が、繰り返し配置されるように連続して形成された配置パターンとすることができる。
さらに、図3(b)で示すように、同一形状かつ同一幅Dを有し、偏光状態または位相状態の異なる複数の領域P1〜P11が、偏光状態または位相状態が段階的に変化するように連続して形成された配置パターンとすることができる。このとき、一方の領域と、上記一方の領域に隣接する他方の領域との中心間距離が、領域の幅Dに相当する一定の間隔Dを有する。
なお、図3の領域P内の矢印は、例えば偏光軸の方向、位相差領域内における面内遅相軸の方向等、偏光状態または位相状態を変化させる因子の方向を示すものである。
上記調光層における各領域の幅(間隔)は、通常、等間隔であり、透過光の偏光状態または位相状態を変化させることが可能な大きさであれば特に限定されないが、0.5cm〜5.0cmの範囲内、中でも0.8cm〜3.0cmの範囲内、特に1.0cm〜1.5cmの範囲内が好ましい。上記領域の幅が上記範囲よりも小さいと、各領域のつなぎ目が多くなり、本発明の調光シートを備える調光板において遮蔽性を低下させてしまう場合があり、一方、上記範囲よりも大きいと、本発明の調光シートを備える調光板において、スライド幅が大きくなり、調光板における光の入射面のサイズを大きくする必要が生じるため、製品外観または操作性が悪くなる場合がある。なお、領域の幅とは、上記領域がストライプ状であれば、上記領域の短尺方向の長さをいう。また、その他の形状であれば中心間の長さで規定することができる。
上記調光層の層構成としては、例えば、パターン位相差層と上記パターン位相差層よりも接着層側に配置された偏光板とを有する態様(第1態様)、偏光板に直接、光の偏光状態を変化させる領域(以下、偏光領域と称する場合がある。)がパターン状に形成された態様(第2態様)等が挙げられる。
以下、調光層の各態様について説明する。
(1)第1態様
本態様の調光層は、パターン位相差層と上記パターン位相差層よりも耐候性接着層側に配置された偏光板とを有する。中でも上記パターン位相差層が、透明フィルム基材と、上記透明フィルム基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成された位相差層とを有し、上記位相差層は、面内遅相軸の方向および位相差の少なくとも一方が異なる2以上の位相差領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものであることが好ましい。調光層がこのような構成を有することで、本発明の調光シートを備える調光板を、スライド機構を備えるものとして容易に設計でき、また、上記調光板の操作が容易になるからである。
なお、位相差層における位相差領域が、調光層における上述のパターン領域に相当するものである。また、上記位相差層において、面内遅相軸の方向および位相差の少なくとも一方が異なる2以上の位相差領域が「一定の間隔をおいて一定の形状に形成される」とは、2以上の位相差領域が「一定の幅および一定の形状を有して連続して形成される」ことと同義である。
このような調光層を備える調光シートの一例について、図4を参照して説明する。図4は調光シートの他の例を示す概略断面図である。本態様の調光層2は、パターン位相差層40と、パターン位相差層40よりも耐候性接着層1側に配置された偏光板50とを有するものである。パターン位相差層40は、透明フィルム基材33、配向層32および位相差層31が少なくともこの順で積層されたものであり、位相差層31には、面内遅相軸の方向および位相差の少なくとも一方が異なる2以上の位相差領域Q1、Q2が、一定の幅Dおよび一定の形状を有して連続して形成されている。
なお、図4(a)および(b)における位相差層31の態様については、後述する。
パターン位相差層における位相差層は、各位相差領域の配向が固定されたものであればよく、パターン位相差層は配向層を含まない態様であってもよい。なお、配向層を含まないパターン位相差層は、例えば、仮基材上に配向層により配向を規制し、紫外線等を照射して光硬化により固定した位相差層を別途形成し、得られた位相差層を透明フィルム基材に転写することにより得られる。
(a)偏光板
本態様における偏光板は、調光層内においてパターン位相差層よりも耐候性接着層側に配置されたものである。
上記偏光板としては、透過光を直線偏光とすることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば一般的に液晶表示装置に用いられる偏光板等を用いることができる。
このような偏光板としては、少なくとも偏光子を含むものであれば特に限定されるものではなく、例えば偏光子、および上記偏光子の少なくとも片面に配置された偏光板保護フィルムからなる態様であってもよく、上記偏光子をパターン位相差層上に積層または固定して偏光板としてもよい。
上記偏光子としては、透過光を直線偏光とすることができるものであれば特に限定されないが、通常、偏光子はヨウ素を含んでいる。具体的には、ポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を含浸させ、これを一軸延伸することによりポリビニルアルコールとヨウ素との錯体を形成させた偏光子を挙げることができる。
上記偏光板における偏光軸の方向については、特に限定されず、後述するパターン位相差層における位相差領域の配向等に応じて適宜選択することができる。
また、上記偏光板における偏光板保護フィルムとしては、上記偏光子を保護することができ、且つ、所望の透明性を有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも可視光領域での透過率が80%以上であるものが好ましく、90%以上であるものがより好ましい。なお、偏光板保護フィルムの上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
上記偏光板保護フィルムを構成する材料としては、例えば、セルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、アクリル系樹脂、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を挙げることができる。中でも、上記樹脂材料としてセルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、またはアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
なお、偏光板保護フィルムの材料としてのセルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、およびアクリル系樹脂の具体例については、例えば、特開2012−198522号公報に記載される偏光板保護フィルムの材料が挙げられる。中でもセルロース誘導体であるトリアセチルセルロース(TAC)が好適である。TACは偏光板保護フィルムとして汎用されるものであるが、紫外線による劣化が生じやすいため、上述の耐候性接着層を用いることによる本発明の効果がより発揮されるためである。
上記偏光板保護フィルムは、表面処理が施されていてもよい。例えば、セルロース誘導体であるトリアセチルセルロース(TAC)を偏光板保護フィルムの材料として用いる場合、表面をけん化処理することにより、ポリビニルアルコールを含む偏光子との接着性を向上させることができる。
上記偏光板保護フィルムの厚さとしては所望の光透過性を有するものであれば特に限定されないが、通常5μm〜200μmの範囲内、中でも15μm〜150μmの範囲内、特に30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
上記偏光板保護フィルムは、上記偏光子の少なくとも片面に配置されるものであるが、中でも、上記接着層側の上記偏光子の表面に少なくとも配置されることが好ましい。
また、上記偏光板保護フィルムが上記偏光子の両面に配置される場合は、上記偏光子の表面の偏光板保護フィルムが共に同一のものであってもよく、異なるものであっても良い。中でも、偏光子の接着層側の表面に配置される偏光板保護フィルムがトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。耐候性接着層を用いることによる本発明の効果がより発揮されるためである。
(b)パターン位相差層
上記パターン位相差層は、透明フィルム基材と、上記透明フィルム基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成された位相差層とを有するものである。
(i)位相差層
上記位相差層は、配向層上に形成され、面内遅相軸の方向および位相差の少なくとも一方が異なる2以上の位相差領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されている。すなわち、2以上の上記位相差領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されている。なお、上記位相差層は位相差領域ごとに配向が固定されている。
(位相差領域)
位相差領域は、面内遅相軸の方向および位相差の少なくとも一方が異なるものである。
位相差領域の幅等については、上述した調光層におけるパターン領域の幅と同様とすることができる。
(位相差領域の面内遅相軸の方向が異なる場合)
上記位相差層において、位相差領域の面内遅相軸の方向が異なるとは、例えば、図4(a)で例示するように、同一の面内レターデーション値を示す位相差領域が一定の幅および一定の形状を有して連続して形成されており、隣り合う位相差領域の一方の面内遅相軸の方向と他方の面内遅相軸の方向とが直交することをいう。なお、図4(a)において、位相差層31の各位相差領域Q1、Q2内の矢印方向が、面内遅相軸の方向を示す。
面内遅相軸の方向が異なる場合の、上記位相差領域の面内レターデーション値(Re)については、位相差層を構成する材料、パターン等に応じて適宜設定することができ、例えば100nm〜160nmの範囲内、中でも110nm〜150nmの範囲内、特に120nm〜140nmの範囲内であることが好ましい。
なお、面内レターデーション値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標であり、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚さをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。面内レターデーション値(Re値)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、微小領域の面内レタデーション値は、AXOMETRICS社(米国)製のAxoScanでミューラーマトリクスを使って測定することもできる。また、本発明においては特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
(位相差領域の位相差が異なる場合)
上記位相差層において、位相差領域の位相差が異なるとは、例えば、図4(b)で例示するように、同一の面内遅相軸の方向を示す位相差領域が一定の幅および一定の形状を有して連続して形成されており、位相差領域ごとに厚さが異なることにより、膜厚差に相当する分の位相差値(面内レターデーション)を示すことをいう。
なお、以下の説明において、厚さの大きい位相差領域を厚膜領域、小さい位相差領域を薄膜領域と称する場合がある。また、上記厚膜領域および薄膜領域とは、図4(b)においてQ2およびQ1で示す部分に相当する。
位相差領域の位相差が異なる場合、厚膜領域と薄膜領域との膜厚差は、位相差層の材料や位相差領域のパターン等に応じて適宜決定されるものである。
中でも、厚膜領域と薄膜領域とが図3(a)で例示したように交互にストライプ状となる場合、上記膜厚差が、厚膜領域における面内レターデーション値と、薄膜領域における面内レターデーション値との差がλ/2分に相当する距離であることが好ましい。これにより、薄膜領域の面内レターデーション値をλ/4分に相当するものとし、かつ厚膜領域の面内レターデーション値をλ/4+λ/2分に相当するものとすることができ、各位相差領域を通過する直線偏光をそれぞれ互いに直交関係にある円偏光とすることができるからである。
上記厚膜領域および上記薄膜領域の厚さとしては、厚膜領域と薄膜領域の差を所定の範囲にすることが可能な大きさであれば特に限定されるものではない。例えば、厚膜領域の厚さが3.0μmで薄膜領域の厚さが1.0μmの場合、その差は2.0μmとなるが、厚膜領域の厚さが13.0μmで薄膜領域の厚さが11.0μmで、その差が2.0μmとなる様にしてもよい。中でも、上記厚膜領域の厚さは1.6μm〜20μmの範囲内、中でも2.5μm〜10μmの範囲内、特に1.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、上記薄膜領域の厚さは0.1μm〜17μmの範囲内、中でも1μm〜7μmの範囲内、特に1μm〜4μmの範囲内であることが好ましい。
(位相差層)
上記位相差層の材料としては、屈折率異方性を有する棒状化合物が好ましい。規則的に配向させることができ、位相差層が所望の位相差性を有するからである。中でも液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。液晶性材料は屈折率異方性が大きいため、位相差層が所望の位相差性を有しやすくなるからである。
上記液晶性材料としては、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料を挙げることができる。中でもネマチック相を示す液晶性材料を用いることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、他の液晶相を示す液晶性材料と比較して規則的に配向させることが容易であるからである。
また、上記ネマチック相を示す液晶性材料として、メソゲン両端にスペーサを有する材料が好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は柔軟性に優れ、高い透明性を有するからである。
さらに、上記棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するもの、中でも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものが好ましい。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物が重合して固定されるため、配向安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくい位相差層となるからである。重合性官能基を有する棒状化合物を用いた場合、上記位相差層には、重合性官能基によって架橋された棒状化合物が含有される。
なお、上記「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線の照射、あるいは加熱により重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、カチオン重合性官能基等が挙げられる。上記重合性官能基については、特開2012−137725号公報等の記載に示される棒状化合物における重合性官能基と同様とすることができる。
さらにまた、上記棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。位相差層内において上記棒状化合物が3次元に重合した網目(ネットワーク)構造の状態となり、配向安定性を備え、且つ光学特性の発現性に優れるからである。
なお、片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配向を安定にすることができる。
なお、上記棒状化合物についての具体例としては、例えば特開2012−137725号公報に記載される化合物を挙げることができる。
また、上記棒状化合物は、1種類のみを用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
上記位相差層の厚さについては、材料の種類や位相差領域の態様に応じて適宜設定することができる。
(ii)配向層
上記配向層は、位相差領域の配向状態を固定する際に、位相差層に含まれる棒状化合物を配向させる機能を有するものである。上記配向層は、表面に2以上の領域(配向領域)が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されている。すなわち、2以上の上記配向領域が一定の間隔をおいて一定の形状を有して連続して形成されており、上記配向領域と対応するように、位相差層の位相差領域を同様の間隔、形状およびパターンで配置させることを可能にする。
配向層の材料としては、配向領域を所望の形状で所望のパターンに形成できるものであれば特に限定されるものではない。このような構成材料としては、例えば、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化した硬化樹脂が挙げられる。硬化樹脂としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂等をあげることができるが、中でも紫外線硬化樹脂が好ましい。
紫外線硬化樹脂の硬化前の紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリロイル基をもつ重合性オリゴマーまたはモノマーと、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン等重合性ビニル基をもつ重合性オリゴマーまたはモノマー等の単体あるいは配合したものに、光重合開始剤および任意の添加剤を加えたもの等を挙げることができる。
上記配向層における各配向領域は、上述の位相差層における各位相差領域と対応関係にある。上記配向領域の幅については、上述の位相差層における位相差領域の幅と同様とすることができる。
上記配向領域は、その表面に微細凹凸形状を有していてもよい。位相差領域を形成する際に、各配向領域の表面に形成された微細凹凸形状により、配向層上に設けた位相差層中の棒状化合物を一定方向に配向させることができるからである。
例えば、位相差層において、位相差領域ごとに面内遅相軸の方向を変化させたい場合、対応する配向領域ごとに微細凹凸形状の長手方向を変えることで、棒状化合物の配向方向が変化し、位相差領域ごとに面内遅相軸の方向も変化させることができる。
なお、配向領域の表面に形成される微細凹凸形状については、例えば特開2012−137725号公報に記載される配向領域の表面の微細凹凸形状と同様とすることができる。
また、上記配向領域は、領域ごとに厚さが異なる形状を有していてもよい。上記配向領域が領域ごとに異なる厚さを有することで、上記配向領域に対応する位相差領域も異なる厚さを有することとなり、位相差領域ごとに位相差を変化させることができるからである。
さらに、上記配向領域は、多段形状を有していても良い。
配向層の厚さとしては、位相差層に所望の配向規制力を発現可能な範囲であれば特に限定されず、例えば0.01μm〜1.0μmの範囲内が好ましい。
(iii)透明フィルム基材
上記透明フィルム基材の材料としては、高い透過性を有する樹脂が好ましい。具体的には、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂が挙げられる。中でも、透明フィルム基材の面内レターデーションをゼロに近付けやすいことからアセチルセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
上記透明フィルム基材の厚さとしては、光透過性を損なわず、所望の位相差領域を支持できるものであれば特に限定されないが、通常、20μm〜188μmの範囲内、中でも30μm〜90μmの範囲内であることが好ましい。
上記透明フィルム基材は、位相差性が低いものであることが好ましい。透明フィルム基材の位相差が大きいと、位相差層の位相差性に影響を及ぼして、本発明の調光シートの調光機能を損なう場合があるからである。具体的には、透明フィルム基材の面内レターデーション値(Re値)が0nm〜10nmの範囲内、中でも0nm〜5nmの範囲内、特に0nm〜3nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記透明フィルム基材は高い透明性を有することが好ましく、可視光領域での透過率が80%以上、中でも90%以上であることが好ましい。なお、透明フィルム基材の可視光領域での上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
なお、上記配向層が紫外性硬化樹脂からなる場合は、透明フィルム基材と紫外線硬化樹脂との接着性を向上させるためのプライマ層を透明フィルム基材上に形成してもよい。
上記プライマ層としては、透明フィルム基材および配向層の双方に接着性を有し、可視光学的に透明であり、紫外線を通過させるものであればよく、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系の樹脂材料からなる層を使用することができる。
(iv)その他
上記パターン位相差層は少なくとも上記透明フィルム基材、配向層、および位相差層を有するものであるが、必要に応じて他の構成を有していてもよい。
上記パターン位相差層の厚さは、上述の機能を発揮できれば特に限定されず、層構成に応じて適宜設定することができる。
(2)第2態様
本態様における調光層は、偏光板に直接、透過光の偏光状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されている。すなわち、2以上の偏光領域は、一定の幅および一定の形状を有して連続して形成されている。
本態様において、透過光の偏光状態を変化させる領域を2以上有するとは、偏光軸の方向が異なる領域を2以上有することを意味する。偏光軸の方向に応じて、一方の直線偏光成分の光を高い透過率で透過させ、上記一方の直線偏光成分と直交する方向に振動する他方の直線偏光成分の光を吸収することができる。したがって、本態様における偏光板は、パターン位相差層と併用する必要がない。
偏光領域の詳細については、上記調光層におけるパターン領域と同様とすることができる。
また、本態様における偏光板の他の詳細については、上述の「(1)第1態様」の項で説明した偏光板と同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.任意の部材
本発明の調光シートは、上述の部材の他、必要に応じて任意の部材を有していても良い。
以下、本発明の調光シートに想定される任意の部材について説明する。
(1)剥離層
本発明の調光シートは、耐候性接着層上に剥離層を有することが好ましい。剥離層を有することにより、被着体に調光シートを貼合するまでの耐候性接着層への埃等の付着を防止し、汚れによる上記調光シートの視認性の低下を防ぐことができる。また、ロール状に巻き取った調光シートを巻き出す際に、耐候性接着層の表面が荒れて、巻き出し不良が発生するのを防止できるからである。
剥離層の材料としては、一般に使用されているものであれば特に限定されない。例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は単独または2種以上混合したものであってもよい。
(2)赤外線反射層または赤外線吸収層
本発明の調光シートは、赤外線反射層または赤外線吸収層を有していても良い。赤外線反射層または赤外線吸収層を設ける理由、およびこれらの層に用いられる材料等については、上述の「1.耐候性接着層」の項で説明した赤外線反射剤または赤外線吸収剤を添加する理由、およびこれらの材料の例と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
赤外線反射層または赤外線吸収層の配置位置としては、特に限定されないが、通常は調光層よりも耐候性接着層側に配置されることが好ましい。
なお、赤外線反射層または赤外線吸収層を設ける場合、耐候性接着層に赤外線反射剤または赤外線吸収剤を含まなくても良い。
赤外線反射層または赤外線吸収層の厚さとしては、本発明の調光シートの光透過性を損なわなず、赤外線反射機能または赤外線吸収機能を発揮可能な厚さであればよく、例えば0.1μm〜10μmの範囲内、中でも0.1μm〜5μmの範囲内が好ましい。
(3)その他
本発明の調光シートは、その他必要に応じて、耐傷層、自浄性層、光拡散層、オーバーコート層、保護フィルム等を有していても良い。
4.その他
本発明の調光シートの厚さは、所望の光透過性を有するものであれば特に限定されないが、例えば100μm〜800μmの範囲内が好ましく、中でも200μm〜400μmの範囲内が好ましい。調光シートの厚さが上記範囲よりも大きいと、貼合時に調光シートが反る等の不具合が生じる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、貼合時に調光シートにシワが入る等の不具合が生じる場合がある。
本発明の調光シートの可視光領域での透過率としては、20%以上であることが好ましく、特に30%以上が好ましい。なお、上記可視光領域での透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明の調光シートは、耐候性接着層が調光層よりも光の入射側(光源側)に配置される使用態様であればよく、例えば建築物用、車両用等の窓ガラス、パーテーション、インテリア、家具等に貼合して用いられる。
B.調光板
次に、本発明の調光板について説明する。本発明の調光板は、第1調光シートを有する第1調光部と、第2調光シートを有する第2調光部とを有し、上記第1調光部および上記第2調光部が、上記第1調光シートと上記第2調光シートとが向かい合うようにして間隔を空けて配置された調光板であって、上記第1調光シートおよび上記第2調光シートは、接着層と上記接着層上に形成された調光層とを少なくとも有し、上記調光層は、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものであり、上記第1調光シートおよび上記第2調光シートの少なくとも一方の上記接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含む耐候性接着層であり、上記第1調光部および上記第2調光部の少なくとも一方が、上記調光層の有する上記領域と交差する面方向に移動可能であることを特徴とするものである。
本発明の調光板について、図を参照して説明する。図5(a)および(b)は本発明の調光板の概略側面図および上面図である。なお、図5は、第1調光部および第2調光部が調光シートおよび透明基板を有する態様を例示するものである。
本発明の調光板30は、第1透明基板11Aおよび第1調光シート10Aを有する第1調光部20A、ならびに第2透明基板11Bおよび第2調光シート10Bを有する第2調光部20Bが、第1調光シート10Aと第2調光シート10Bとが向かい合うようにして所望の間隔Wを空けて配置されたものである。
第1調光シート10Aは、接着層3Aおよび接着層3A上に形成された調光層2Aを少なくとも有しており、接着層3Aを介して第1透明基板11Aと貼合されている。また、第2調光シート10Bは、接着層3Bおよび接着層3B上に形成された調光層2Bを少なくとも有しており、接着層3Bを介して第2透明基板11Bと貼合されている。調光層2Aおよび2Bについては、図1で説明した調光層2と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、図5で示す例においては、第1調光シート10Aの接着層3Aが、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含む耐候性接着層1Aである。つまり、第1調光シート10Aは、図1の調光シートと同様である。
本発明の調光板30において、第1調光部20Aおよび第2調光部20Bは、少なくとも一方をストライプ状の領域P1、P2のパターンと交差する面方向(横方向X)に移動させることが可能である。これにより、第1調光部20Aにおける調光層2Aのパターンと第2調光部20Bにおける調光層2Bのパターンとの対応関係に応じて透過光の偏光状態または位相状態が変化し、明状態および暗状態の切替を瞬時に行うことが可能となる。
なお、図5で示す例においては、第1調光部20A側から光Lが入射することにより、後述する本発明の効果を奏することができる。
本発明によれば、第1調光部および第2調光部の少なくとも一方における調光シートが、上述の「A.調光シート」で説明したものであることから、第1調光部および第2調光部のうち、「A.調光シート」の項で説明した調光シートを有する調光部を光の入射側に配置することにより、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光、中でも調光層を構成する偏光板に含まれるヨウ素の劣化を引き起こす波長光を、先に上記耐候性接着層中の上記光学特性を示す紫外線吸収剤において選択的に且つ十分に吸収させることができる。これにより、調光層の劣化に最も寄与するヨウ素の劣化を抑制でき、その結果、各調光部における調光層の光劣化を抑制することが可能となる。また、耐候性接着層が上述の組成を有することにより、耐候性接着層自体の光劣化も抑制できる。このため、本発明の調光板は、耐久性および耐候性の高いものとすることができる。
本発明の調光板は、用途に応じて、「A.調光シート」の項で説明した調光シートを有する調光部を光の入射側に配置することで、上述の効果を奏するものである。
例えば、本発明の調光板を、窓ガラス等として屋内と屋外との境界に用いる場合は、屋外側に「A.調光シート」の項で説明した調光シートを有する調光部が配置されることが好ましい。屋外からの太陽光等の外光は、調光層を構成する材料の劣化を引き起こす波長光、中でも、調光層を構成する偏光板に含まれるヨウ素の劣化を引き起こす波長の紫外線を多く含むため、各調光部の調光層よりも先に耐候性接着層に光を入射させることで、耐候性接着層において上記波長光を十分吸収し、調光部への上記波長光の入射を阻止することができるからである。
また、本発明の調光板を、屋内でパーテーションとして用いる等、調光板に対して光の入射方向が一方向に特定されない環境下で用いる場合、第1調光部および第2調光部が共に「A.調光シート」の項で説明した調光シートを有していてもよい。第1調光部および第2調光部が共に耐候性接着層を有することから、第1調光部および第2調光部のどちらから光が入射する場合であっても、耐候性接着層による調光部の劣化防止を図ることができるからである。
以下、本発明の調光板の各構成について説明する。
1.第1調光部および第2調光部
本発明における第1調光部は、少なくとも第1調光シートを有するものである。また、本発明における第2調光部は、少なくとも第2調光シートを有するものである。
(1)第1調光シートおよび第2調光シート
本発明における第1調光シートおよび第2調光シートは、接着層と上記接着層上に形成された調光層とを少なくとも有するものであり、上記調光層には、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものである。
また、本発明において、上記第1調光シートおよび第2調光シートの少なくとも一方の接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を含む耐候性接着層である。
上記第1調光シートおよび第2調光シートは、少なくとも一方の接着層が耐候性接着層であればよいが、中でも上記第1調光シートおよび第2調光シートの両方とも、接着層が耐候性接着層であることが好ましい。すなわち、第1調光シートおよび第2調光シートが、共に「A.調光シート」の項で説明した調光シートであることが好ましい。
本発明の効果は、耐候性接着層が調光層よりも光の入射側に配置されることで発揮されることから、第1調光シートおよび第2調光シートの両方の接着層を耐候性接着層とすることにより、第1調光部および第2調光部のどちらを光の入射側に配置しても、本発明の効果を発揮することができるからである。
なお、耐候性接着層については、上述した「1.耐候性接着層」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記第1調光シートおよび第2調光シートの一方の接着層が、上述の耐候性接着層とは異なる組成を有するもの(以下、非耐候性接着層と称する場合がある。)であってもよい。非耐候性接着層における接着剤については、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、エステル系接着剤、ウレタン系接着剤等の一般的な接着剤を用いることができる。また、上記非耐候性接着層は、必要に応じて任意の材料を含むものであってもよい。中でも、任意の材料として赤外線反射剤または赤外線反射剤を含むことが好ましい。その理由および赤外線反射剤または赤外線反射剤の種類については、上述した「A.調光シート」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
第1調光シートおよび第2調光シートにおける調光層の他の詳細については、「A.調光シート」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、通常、第1調光シートおよび第2調光シートにおける調光層は、同様のパターン領域を有する。
(2)その他
本発明における第1調光部は、少なくとも第1調光シートを有するものであればよいが、第1透明基板の一方の表面上に上記第1調光シートが設けられたものであることが好ましい。また、本発明における第2調光部についても同様に、第2透明基板の一方の表面上に上記第2調光シートが設けられたものであることが好ましい。各調光部が調光シートの他に透明基板を備えることにより、例えば広い領域で本発明の調光板を配置する場合に、各調光部の機械的強度を向上させることが可能であるからである。
なお、第1透明基板は、第1調光シートの表面のうち、第2調光シートと向かい合う表面と対向する表面に配置される。また、第2透明基板は、第2調光シートの表面のうち、第1調光シートと向かい合う表面と対向する表面に配置される。
上記第1透明基板および第2透明基板の構成材料としては、第1調光シートおよび第2調光シートを支持することができ、高い光透過性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂材料等が挙げられる。
第1透明基板および第2透明基板は高い光透過性を有することが好ましく、可視光領域での透過率が80%以上、中でも90%以上であることが好ましい。なお、第1透明基板および第2透明基板の可視光領域での透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
第1透明基板および第2透明基板の厚さとしては、第1調光シートおよび第2調光シートを保持することができる強度を有し、上記の光透過性を示すことが可能な厚さであればよく、例えば0.1mm〜10mm程度であることが好ましく、特に1.0mm〜5mm程度であることが好ましい。
また、本発明における第1調光シートおよび第2調光シートを、上述の透明基板等の被着体に貼合せずに、単体で第1調光部および第2調光部としてもよい。
この場合、第1調光シートおよび第2調光シートは、耐候性接着層上に保護フィルム等を有するものとする。
2.その他
本発明の調光板は、第1調光部および第2調光部の少なくとも一方を、調光層のパターン領域と交差する面方向に移動させ、第1調光部におけるパターン領域と第2調光部におけるパターン領域とを対応させることにより、明状態から暗状態へ、またはその逆へ変化させることが可能となる。ここで、パターン領域が対応するとは、第1調光部における領域のパターンと、第2調光部における領域のパターンとが、平面視上重なって一致することをいう。
また、各調光層のパターンに応じて、明状態から暗状態へ、またはその逆へ変化させる際の中間状態の態様を変えることができる。例えば、第1調光部および第2調光部の各調光層が、上述の図3(a)で示すストライプ状のパターン領域を有する場合、本発明の調光板は、明状態および暗状態がストライプ状に存在する中間状態を有する。一方、第1調光部および第2調光部の各調光層が、図3(b)で示すストライプ状のパターン領域を有する場合、本発明の調光板は、遮光濃度が段階的に変化する中間状態を有する。
さらに、各調光層のパターン領域の対応関係に応じて、図柄、絵、文字等が表示されてもよい。
なお、「領域と交差する面方向に移動」するとは、領域のパターン方向と交差し、調光層の上記領域が形成された面と平行な方向に移動することをいう。つまり、第1調光部が有するパターン領域と第2調光部が有するパターン領域との相対位置が変化する面方向に移動することをいう。例えば、パターン領域がストライプ状であれば、ストライプの長尺方向と交差し、調光層の上記パターン領域が形成された面と平行な方向(図5におけるX方向)をいう。
本発明の調光板において、第1調光シートと第2調光シートとの間隔としては、第1調光部および第2調光部の少なくとも一方を所望の方向に移動することができ、調光機能を発揮可能な間隔であれば特に限定されない。例えば、0.01mm〜5.0mmの範囲内、中でも0.01mm〜3.0mmの範囲内、特に0.01mm〜0.5mmの範囲内とすることが好ましい。第1調光シートと第2調光シートとの間隔が上記範囲よりも大きいと、本発明の調光板に光が透過する際に偏向の乱れが生じる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、第1調光シートと第2調光シートとが接触して磨耗する場合がある。
本発明の調光板は、必要に応じて任意の部材を有していても良い。任意の部材としては、例えば、飛散防止膜、拡散フィルム、すりガラス、反射防止膜、防汚層、筐体、スライド機構等が挙げられる。
本発明の調光板の用途としては、建築用の窓、天井窓、テラス等の採光窓、温室などの屋根や側壁、パーテーション、インテリア、家具、自動車のサンルーフ等に使用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
以下の方法により、調光シートを得た。
(調光層の形成)
以下の方法により調光層を形成した。
10cm×10cmの大きさの銅版を準備し、研磨剤(カネヨ石鹸株式会社製 カネヨンTM)で左右方向に研磨し、洗浄した。その後、FIB加工で作製したピッチが200nmの凹凸を有するダイヤモンドバイトで上下方向に、ストライプの間隔が0.5インチになる様に切削した。その後、UV硬化性樹脂(DIC株式会社製 ユニディック)を銅版上に塗布し、その上に透明フィルム基材として、TACフィルム(トリアセチルセルロース、富士フィルム製 フジタック)を乗せて密着させ、紫外線を照射して硬化させた。
次に、TACフィルム基材を銅版から剥離し、凹凸形状をTACフィルム基材上に賦形することにより、上記TACフィルム基材上に配向層を形成した。SEMで配向層の断面形状を観察したところ、200nmピッチの凹凸と不定形の微細な凹凸とが交互に観測された。
次に、シクロヘキサノン溶媒に溶かした液晶(メルク株式会社製 licrivue(商標登録) RMS03−013C(商品名))性材料の溶液に、光重合開始剤(BASF株式会社製イルガキュア184)を5重量%加えた溶液を、上記配向層が形成されたTACフィルム基材上にスピンコーターで塗布、80℃で10分乾燥し、紫外線を照射して硬化することにより、パターン位相差フィルム(パターン位相差層)を作製した。作製したパターン位相差層をサンリツ製偏光板(HLC2−5618S)と貼り合わせ調光層を得た。
なお、今回のラビングには研磨剤を用いたが、LCD製造に使われているラビング用の布を使ってもよい。
(耐候性接着層の形成)
アクリル酸エステル共重合体を主剤とするアクリル系接着剤(製品名:SKダイン 1429DT、固形分30%、綜研化学社製)100質量部に対して、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:Tinuvin928、BASF社製)4質量部(固形分量で1.18質量部)をスターラーにて50rpmにて30分間撹拌し溶解した。さらに、架橋剤としてアルミキレート架橋剤(製品名:AD−5A、綜研化学社製)10質量部(固形分量で3質量部)を添加して10分間撹拌し、耐候性接着層塗布液を得た。
その後、調光層の一方の表面上に、アプリケーターにてウェット厚さ83μmとなるように上記耐候性接着層塗布液を塗布し、80℃、2分間にて乾燥させて、接着性ポリマーおよびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む耐候性接着層(乾燥後厚さ25μm)を形成した。
(調光シートの形成)
上記耐候性接着層にシリコン転写性の小さい軽剥離セパレーターフィルム(製品名:P381031、厚さ38μm、リンテック社製)をラミネートし、40℃で5日間エージングを行い、調光シートを得た。
[実施例2]
耐候性接着層塗布液中の架橋剤をイソシアネート系架橋剤(製品名:L−45、綜研化学社製)としたこと以外は、実施例1と同様にして調光シートを得た。
[実施例3]
耐候性接着層塗布液中の紫外線吸収剤をヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(製品名:Tinuvin460、BASF社製)としたこと以外は、実施例2と同様にして調光シートを得た。
[実施例4]
耐候性接着層塗布液中の紫外線吸収剤をベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:Tinuvin1130、BASF社製)としたこと以外は、実施例2と同様にして調光シートを得た。
[比較例1]
耐候性接着層塗布液中の紫外線吸収剤をヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(製品名:Tinuvin479、BASF社製)としたこと以外は、実施例2と同様にして調光シートを得た。
[比較例2]
耐候性接着層塗布液中の紫外線吸収剤をヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(製品名:Tinuvin400、BASF社製)としたこと以外は、実施例2と同様にして調光シートを得た。
[評価]
(紫外線吸収剤の光学特性)
実施例1〜4および比較例1〜2で使用した各種紫外線吸収剤について、波長380nmでの光の透過率を測定した。
測定方法は、各種紫外線吸収剤をそれぞれトルエンに分散させ、濃度0.006%の測定溶液を調製し、幅10mmのガラスセル内に上記溶液を注入し、分光光度計(島津製作所性 UV−3150)を用い、キセノンランプを光源として、ダブルビーム測光方式により測定した。なお、トルエン溶剤単体での波長380nmでの光の透過率をリファレンスとした。
(耐紫外線劣化性試験)
実施例および比較例の各調光シートを、縦100mm、横100mm、厚さ2.8mmのガラス(東京特殊硝子製)と貼合して試験片を作製した。各試験片について以下の手順で耐紫外線劣化試験を行い、劣化後の外観評価および保持力評価を行った。
耐紫外線劣化性試験は、超促進耐紫外線劣化性試験機(岩崎電気株式会社製、商品名:アイスーパーUVテスター、型番:SUV−W23)を用いて、下記の(A)、(B)、(C)を1サイクルとして42サイクル繰り返した。
(A)温度63℃、湿度50%RHの雰囲気下で、照度60mW/cm、ピーク波長365nmの紫外線をガラス側から20時間照射する。
(B)シャワーによる散水処理を30秒間行う。
(C)温度63℃、湿度98%RHの雰囲気下で、紫外線照射は行わずに4時間保持する。
<外観評価>
耐紫外線劣化性試験後の各試験片について色差測定を行った。測定は分光光度計((株)島津製作所製、型番:UV−3100PC)を用い、JIS K7105に準拠して透過法によりΔEab値を測定した。なお、ΔEab値は、CIE1976規格の(L,a,b)空間表色系による色差公式(ΔEab={(ΔL+(Δa+(Δb1/2)から求められる値である。ΔEab値が3未満のものを○、3以上のものを×とした。ΔEab値が3未満のものは黄変が確認されず良好な耐候性を示しており、ΔEab値が3以上のものは実用上問題となるレベルの黄変が視認された。
<保持力評価>
耐紫外線劣化性試験後の各試験片について、テンシロン(製品名:RTG−1205、(株)エー・アンド・ディ製)を用い、JIS A5759に準拠して最大加重容量0.5kNのヘッドを用いて保持力の測定を行った。保持力が4N以上のものを○、4N未満のものを×とした。保持力が4N未満の試験片では、耐紫外線劣化性試験により軽剥離となった。
使用した紫外線吸収剤の光学特性、ならびに実施例および比較例の調光シートについての外観評価および保持力評価の結果を表1に示す。
Figure 0005983898
表1の結果から、所定の光学特性を示す紫外線吸収剤を用いた実施例1〜4では、所定の光学特性を示さない紫外線吸収剤を用いた比較例1〜2よりも、耐紫外線劣化性試験後のΔEab値が低く且つ保持力が良好であった。
上記結果から、紫外線吸収剤の選定により、耐候性および耐久性に優れた調光シートが得られることが示された。
1、1A、3A … 耐候性接着層
2、2A、2B … 調光層
3B … 接着層
10 … 調光シート
10A … 第1調光シート
10B … 第2調光シート
20A … 第1調光部
20B … 第2調光部
30 … 調光板
40 … パターン位相差層
50 … 偏光板

Claims (2)

  1. 透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成された調光層と、
    前記調光層の一方の表面に配置された耐候性接着層と
    を有し、
    前記耐候性接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および波長380nmでの光の透過率が60%以下を示す紫外線吸収剤を含み、
    前記紫外線吸収剤は、前記接着性ポリマーとは化学的に結合しておらず、
    さらに、前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、および、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一つであり、
    前記調光層は、ヨウ素を含む偏光子を少なくとも含む偏光板を有し、
    前記調光層は、パターン位相差層と、前記パターン位相差層よりも前記耐候性接着層側に配置された前記偏光板とを有し、
    前記偏光板は、前記偏光子、および前記偏光子の少なくとも片面に配置された偏光板保護フィルムを有し、
    前記偏光板保護フィルムの材料は、トリアセチルセルロースであることを特徴とする調光シート。
  2. 第1調光シートを有する第1調光部と、第2調光シートを有する第2調光部とを有し、
    前記第1調光部および前記第2調光部が、前記第1調光シートと前記第2調光シートとが向かい合うようにして間隔を空けて配置された調光板であって、
    前記第1調光シートおよび前記第2調光シートは、接着層と前記接着層上に形成された調光層とを少なくとも有し、
    前記調光層は、ヨウ素を含む偏光子を少なくとも含む偏光板を有し、透過光の偏光状態または位相状態を変化させる2以上の領域が一定の間隔をおいて一定の形状に形成されたものであり、
    前記第1調光シートおよび前記第2調光シートの少なくとも一方の前記接着層が、アクリル系共重合体と金属キレート架橋剤またはイソシアネート系架橋剤の架橋剤とが架橋されてなる接着性ポリマー、および波長380nmでの光の透過率が60%以下を示す紫外線吸収剤を含む耐候性接着層であり、
    前記第1調光部および前記第2調光部の少なくとも一方が、前記調光層の有する前記領域と交差する面方向に移動可能であり、
    前記紫外線吸収剤は、前記接着性ポリマーとは化学的に結合しておらず、
    さらに、前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、および、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一つであり、
    前記調光層は、パターン位相差層と、前記パターン位相差層よりも前記耐候性接着層側に配置された前記偏光板とを有し、
    前記偏光板は、前記偏光子、および前記偏光子の少なくとも片面に配置された偏光板保護フィルムを有し、
    前記偏光板保護フィルムの材料は、トリアセチルセルロースであることを特徴とする調光板。
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