JP6348291B2 - 偏光板及び表示装置 - Google Patents
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Description
[1]偏光子と、その一方の面に第1接着剤層を介して積層される第1保護フィルムとを含み、
前記第1保護フィルムは、280〜320nmの波長域における積算光量の透過率が1〜50%であり、
前記第1接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、偏光板。
前記第2接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、[3]に記載の偏光板。
(1)偏光板の層構成
図1は、本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。図1に示される偏光板1のように本発明の偏光板は、偏光子5と、その一方の面に第1接着剤層15を介して積層される第1保護フィルム10とを備える片面保護フィルム付偏光板であることができる。偏光板1は、第1保護フィルム10及び/又は偏光子5上に積層される他の光学機能層や粘着剤層等をさらに有することができる。
偏光子5は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層(又はフィルム)に二色性色素を吸着配向させたものであることができる。偏光子5の厚みは例えば30μm以下、さらには20μm以下であることができるが、とりわけモバイル機器用の偏光板においては、偏光板1,2の薄型化の観点から10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。偏光子5の厚みは通常、2μm以上である。
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
第1保護フィルム10は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。中でも本発明において好適に用いられる第1保護フィルム10は、水系接着剤では接着が難しい透湿性の低い保護フィルム、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムである。
UVB領域における積算光量の透過率(%)=100×保護フィルム越しの積算光量/リファレンス積算光量
として求められる。
〔b〕ポリエチレンテレフタレート系樹脂のようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の樹脂骨格中に芳香環を含有する樹脂からなる保護フィルム、
〔c〕上で例示したような表面処理層を有する保護フィルム、
〔d〕支持フィルム上に液晶層を有する位相差フィルム。
第1接着剤層15は、光増感剤を含む紫外線硬化性接着剤の硬化物層である。第1接着剤層15の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。
両面保護フィルム付偏光板2が有する第2保護フィルム20は、第1保護フィルム10と同様、前述の熱可塑性樹脂からなるフィルムであることができ、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。第2保護フィルム20が有し得る表面処理層及びフィルムの厚みについては、第1保護フィルム10について述べた記述が引用される。第1保護フィルム10と第2保護フィルム20は、互いに同種の保護フィルムであってもよいし、異種の保護フィルムであってもよい。中でも本発明において好適に用いられる第2保護フィルム20の例は、水系接着剤では接着が難しい透湿性の低い保護フィルム、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムである。
第2接着剤層25は第2保護フィルム20を偏光子5に接着するための層である。第2接着剤層25を形成する接着剤は特に制限されず、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する活性エネルギー線硬化性接着剤や、接着剤成分を水に溶解又分散させた水系接着剤であってもよいが、とりわけ第2保護フィルム20の透湿性が低い場合には活性エネルギー線硬化性接着剤が好ましく用いられ、紫外線硬化性接着剤がより好ましく用いられる。
図1に示される片面保護フィルム付偏光板1における偏光子5上、又は図2に示される両面保護フィルム付偏光板2における第1保護フィルム10若しくは第2保護フィルム20上に、偏光板を他の部材(例えば液晶表示装置に適用する場合における液晶セル)に貼合するための粘着剤層を積層してもよい。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは通常、1〜40μmであり、好ましくは3〜25μmである。
偏光板1,2は、その保護フィルム10,20や偏光子5上に積層される他の光学層をさらに含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルムなどが挙げられる。
本発明の偏光板は、薄膜の偏光子5が容易に得られることから、図3に示される方法によって製造されることが好ましい。図3に示される偏光板の製造方法は、下記工程:
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程S10、
(2)積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程S20、
(3)延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程S30、
(4)偏光性積層フィルムの偏光子上に保護フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程S40、
(5)貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面保護フィルム付偏光板を得る剥離工程S50、
をこの順で含む。
(6)片面保護フィルム付偏光板の偏光子面に保護フィルムを貼合する第2貼合工程S60、
を含む。
図4を参照して本工程は、基材フィルム30の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層6を形成して積層フィルム100を得る工程である。このポリビニルアルコール系樹脂層6は、延伸工程S20及び染色工程S30を経て偏光子5となる層である。ポリビニルアルコール系樹脂層6は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30の片面又は両面に塗工し、塗工層を乾燥させることにより形成することができる。このような塗工によりポリビニルアルコール系樹脂層を形成する方法は、薄膜の偏光子5を得やすい点で有利である。
図5を参照して本工程は、基材フィルム30及びポリビニルアルコール系樹脂層6からなる積層フィルム100を延伸して、延伸された基材フィルム30’及びポリビニルアルコール系樹脂層6’からなる延伸フィルム200を得る工程である。延伸処理は通常、一軸延伸である。
図6を参照して本工程は、延伸フィルム200のポリビニルアルコール系樹脂層6’を二色性色素で染色してこれを吸着配向させ、偏光子5とする工程である。本工程を経て基材フィルム30’の片面又は両面に偏光子5が積層された偏光性積層フィルム300が得られる。
図7を参照して本工程は、偏光性積層フィルム300の偏光子5上、すなわち、偏光子5の基材フィルム30’側とは反対側の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合することで貼合フィルム400を得る工程である。図7には第1接着剤層15を介して第1保護フィルム10を貼合する例を示しているが、両面保護フィルム付偏光板2を製造する場合には、第2接着剤層25を介して第2保護フィルム20を貼合するようにしてもよい。第1接着剤層15や第2接着剤層25を形成する接着剤については前述のとおりである。
本工程は、貼合フィルム400から基材フィルム30’を剥離除去する工程である。この工程を経て、図1と同様の片面保護フィルム付偏光板が得られるが、目的とする偏光板が片面保護フィルム付偏光板である場合には、第1貼合工程S40において第1保護フィルム10が貼合される。偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光子5を有し、これら両方の偏光子5に保護フィルムを貼合した場合には、この剥離工程S50により、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の片面保護フィルム付偏光板が得られる。
本工程は、片面保護フィルム付き偏光板の偏光子5上、すなわち第1貼合工程S40にて貼合した保護フィルムとは反対側の面に、さらに保護フィルムを貼合し、図2に示されるような両面保護フィルム付偏光板2を得る工程である。第1貼合工程S40にて第1保護フィルム10が貼合される場合には、本工程にて第2保護フィルム20が貼合され、第1貼合工程S40にて第2保護フィルム20が貼合される場合には、本工程にて第1保護フィルム10が貼合される。
本発明の偏光板は、表示装置に適用することができる。この表示装置は、表示用セルと、その少なくとも一方の面に配置される、上述の本発明に係る偏光板とを含むものであることができる。表示装置の代表例は、表示用セルが液晶セルである液晶表示装置であるが、有機EL装置のような他の表示装置であってもよい。表示装置において本発明に係る偏光板は、表示用セルの少なくとも一方の面に配置されていればよいが、両面に配置することもできる。液晶セルとしては従来公知のタイプのものを用いることができる。
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製の「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両面にプロピレンの単独重合体(住友化学(株)製の「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の長尺の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。基材フィルムの合計厚みは90μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製の「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の「PVA124」、平均重合度2400、ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
上記(3)で作製した積層フィルムに対して、フローティングの縦一軸延伸装置を用いて160℃で5.8倍の自由端一軸延伸を実施し、延伸フィルムを得た。延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは6.2μmであった。
上記(4)で作製した延伸フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.6重量部、ヨウ化カリウムを10重量部含む。)に約180秒間浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行った後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
カチオン重合性のエポキシ系化合物である硬化性化合物と光カチオン重合開始剤とを含む紫外線硬化性接着剤である(株)ADEKA製の「KR−70T」を用意した。この接着剤100重量部に対して、光増感剤として2.0重量部の1,4−ジエトキシナフタレンを混合して、光増感剤含有紫外線硬化性接着剤とした。吸光光度計(株式会社 島津製作所製「UV−2450」)を用いて測定した1,4−ジエトキシナフタレンの吸光スペクトルを図8に示す。図示されるように、1,4−ジエトキシナフタレンは、280〜360nmの波長域に吸収帯があり、380nmを超える波長域に吸収帯を有していない。
両面の接着剤層を硬化させる際の紫外線の積算光量を表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、両面保護フィルム付偏光板を作製した。
第1貼合工程で貼合する保護フィルムとして、保護フィルムAの代わりに保護フィルムC(環状ポリオレフィン系樹脂からなり紫外線吸収剤を含有する、UVB領域における積算光量の透過率が2%の保護フィルム)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、両面保護フィルム付偏光板を作製した。
第1貼合工程において保護フィルムA側から紫外線を照射し、第2貼合工程を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして、片面保護フィルム付偏光板を作製した。
紫外線硬化性接着剤である(株)ADEKA製の「KR−70T」に光増感剤を混合することなく、そのまま保護フィルム貼合用の接着剤として用いたこと、及び両面の接着剤層を硬化させる際の紫外線の積算光量を表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、両面保護フィルム付偏光板を作製した。
紫外線硬化性接着剤である(株)ADEKA製の「KR−70T」に光増感剤を混合することなく、そのまま保護フィルム貼合用の接着剤として用いたこと、及び接着剤層を硬化させる際の紫外線の積算光量を表1のとおりとしたこと以外は実施例5と同様にして、片面保護フィルム付偏光板を作製した。
以下に示す湿熱耐久試験により接着剤層の硬化度を評価した。接着剤層が十分に硬化している場合、この試験において偏光子の脱色(色抜け)は良好に抑制されるが、硬化が不十分であると、脱色が生じたり、斑状のムラが生じたりする。
Lv2:偏光子が斑状に透明に近い状態まで脱色、
Lv3:偏光子が部分的に脱色、
Lv4:脱色まではいかないが斑状のムラが確認できる、
Lv5:全く脱色がない。
Claims (9)
- 厚みが2〜8μmである偏光子と、その一方の面に第1接着剤層を介して積層される第1保護フィルムとを含み、
前記第1保護フィルムは、280〜320nmの波長域における積算光量の透過率が1〜50%であり、
前記第1接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、偏光板。 - 前記第1保護フィルムは、支持フィルム上に液晶層を有する位相差フィルム、又は芳香環を含有する樹脂フィルムからなる位相差フィルムである、請求項1に記載の偏光板。
- 前記偏光子の他方の面に第2接着剤層を介して積層される第2保護フィルムをさらに含む、請求項1又は2に記載の偏光板。
- 前記第2保護フィルムは、280〜320nmの波長域における積算光量の透過率が1〜50%であり、
前記第2接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、請求項3に記載の偏光板。 - 前記第2接着剤層に含有される光増感剤は、ナフタレン誘導体である、請求項4に記載の偏光板。
- 前記第2保護フィルムは、紫外線吸収剤を含有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記第2保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂からなる、請求項3〜6のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記第1接着剤層に含有される光増感剤は、ナフタレン誘導体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光板を備える表示装置。
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