JP6348291B2 - 偏光板及び表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板及びそれを用いた表示装置に関し、より詳しくは、偏光子の少なくとも一方の面に、紫外線硬化性接着剤を用いて保護フィルムを貼合してなる偏光板、及びそれを用いた表示装置に関する。
偏光板は、液晶表示装置等の表示装置、とりわけ近年では各種モバイル機器に広く用いられている。偏光板としては、偏光子の片面又は両面に、接着剤を用いて保護フィルムを貼合した構成のものが一般的である。
上記接着剤としては水系接着剤や紫外線硬化性接着剤が知られているが、偏光板の耐水性等の観点から透湿性の低い保護フィルムが好まれるようになってきており、これに伴って乾燥(水分の揮発除去)を必要とする水系接着剤では接着が難しい状況になってきているため、近年では紫外線硬化性接着剤が好適に用いられている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2013−142863号公報 特開2011−028234号公報
モバイル機器用の偏光板に用いられる保護フィルムには、薄型化に加えて各種の機能性を要求されることが多い。とりわけ、スマートフォン等に代表されるハイエンドの商品においてこのような傾向が顕著である。
例えば、液晶表示装置とした際に最も視認側に配置される保護フィルムには、紫外線吸収剤を含有することが耐光性の観点から要求される。また、この最も視認側に配置される保護フィルムには、サングラス着用時の視認性確保のために位相差特性が要求されることもあり、中でもポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムを延伸したものが廉価性の観点から好適に用いられている。
紫外線硬化性接着剤によって保護フィルムを偏光子に貼合する場合、紫外線硬化性接着剤に含まれる光重合開始剤の一般的な感光波長域である280〜320nmの波長域(以下、「UVB領域」ともいう。)を含む紫外線を照射するのが通常であり、これによって接着剤層を硬化させる。しかしながら、紫外線吸収剤を含有する保護フィルムは、紫外線のほとんどを吸収してしまうため、保護フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤を硬化させることが難しい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる保護フィルムもまた、樹脂骨格中に含まれる芳香環が紫外線をほぼカットしてしまうため、紫外線硬化性接着剤を硬化させることが難しい。
また昨今では、タッチパネル等の普及に伴って、帯電防止のために、最も視認側に配置される保護フィルムに帯電防止剤を添加することがあり、この場合、紫外線の透過率はさらに低下してしまう。
一方、液晶表示装置とした際に液晶セル側に配置される保護フィルムに関しては、IPSモードの普及によって負の位相差フィルムが求められるようになってきており、ポリスチレン系樹脂フィルムを延伸したものや、液晶塗布型位相差フィルムを用いることが多くなっている。液晶塗布型位相差フィルムの液晶層を形成する液晶化合物は、その骨格中に芳香環を多く含むため、紫外線を吸収するものがほとんどである。ポリスチレン系樹脂からなる位相差フィルムも樹脂骨格中に芳香環を含むため、用いるポリスチレン系樹脂の種類によってはUVB領域の紫外線を吸収する。
このように、偏光子の液晶セル側に配置される保護フィルム及びその反対側に配置される保護フィルムのいずれにおいても、UVB領域の紫外線を透過しにくいものを使用する要求が増大してきているといえるが、これと同時に、保護フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤を硬化させることが難しいという問題が顕在化してきている。紫外線硬化性接着剤の硬化不足が生じると、硬化性化合物(モノマー)の残存に起因して耐久性試験下で偏光子にダメージを生じることが分かっており、特に耐熱条件下での偏光子の黄変や、湿熱条件下での偏光子の脱色等の著しい不具合を生じてしまう。
紫外線硬化性接着剤の硬化不足の問題を解消し得る手段として、上記の特許文献1には、380nmより長い波長の光に極大吸収を示すアントラセン系光増感剤を紫外線硬化性接着剤に含有させることが提案されている。しかし、この光増感剤は可視域にも吸収帯を有するため、青色を吸収して偏光板が黄色味を呈してしまったり、400nm前後の光を含む環境下(太陽光下、蛍光灯下、水銀灯下等)に偏光板を長時間放置すると徐々に色相が変化してしまったりする等の不具合を生じ得る。また、硬化前の接着剤自体が可視域の光に感光性を有するため、通常の蛍光灯下等においても重合が徐々に進行して増粘する、すなわちポットライフが短いという問題を生じるおそれもあった。
また上記の特許文献2には、アントラセン系光増感剤とともにナフタレン系光増感助剤を併用することで、アントラセン系光増感剤の含有量を低減し得ることが記載されている。しかし、この特許文献に記載される紫外線硬化性接着剤においてアントラセン系光増感剤は、十分な硬化を実現するための必須成分であり、その含有量をある程度低減できたとしても、特許文献1に記載の紫外線硬化性接着剤と同様の問題点をなお有し得る。
本発明は以上に鑑みなされたものであり、その目的は、偏光子の少なくとも一方の面に、紫外線硬化性接着剤からなる接着剤層を介して保護フィルムを貼合した偏光板であって、その保護フィルムのUVB領域の紫外線透過率が低い場合であっても、上記接着剤層が十分に硬化している偏光板、及びそれを備える表示装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、黄色味を呈したり、400nm前後の光を含む環境下に置いたときに徐々に色相が変化したりする不具合を生じない偏光板、及びそれを備える表示装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、保護フィルムがUVB領域の紫外線を、当該領域における積算光量の透過率でわずか1%でも透過する場合には、接着剤の十分な硬化を保証するために380nmより長い波長の光に極大吸収を示すアントラセン系光増感剤を必須成分としてきた従来の技術に反して、意外にも、380nmを超える波長域に吸収帯を実質的に有しない光増感剤のみを含有させるだけで十分な硬化を実現できるとともに、可視域にも吸収帯を有するアントラセン系光増感剤を添加することで生じていた上述の問題を同時に解消できることを見出した。
すなわち本発明は、次の偏光板及び表示装置を提供する。
[1]偏光子と、その一方の面に第1接着剤層を介して積層される第1保護フィルムとを含み、
前記第1保護フィルムは、280〜320nmの波長域における積算光量の透過率が1〜50%であり、
前記第1接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、偏光板。
[2]前記第1保護フィルムは、支持フィルム上に液晶層を有する位相差フィルム、又は芳香環を含有する樹脂フィルムからなる位相差フィルムである、[1]に記載の偏光板。
[3]前記偏光子の他方の面に第2接着剤層を介して積層される第2保護フィルムをさらに含む、[1]又は[2]に記載の偏光板。
[4]前記第2保護フィルムは、280〜320nmの波長域における積算光量の透過率が1〜50%であり、
前記第2接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、[3]に記載の偏光板。
[5]前記第2保護フィルムは、紫外線吸収剤を含有する、[3]又は[4]に記載の偏光板。
[6]前記第2保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂からなる、[3]〜[5]のいずれかに記載の偏光板。
[7]前記光増感剤は、ナフタレン誘導体である、[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光板。
[8]前記偏光子は、その厚みが10μm以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の偏光板。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の偏光板を備える表示装置。
本発明によれば、UVB領域の紫外線透過率が低い保護フィルムが紫外線硬化性接着剤の硬化物からなる接着剤層を介して偏光子に貼合されている偏光板であって、接着剤層が十分に硬化しているとともに、黄色味を呈したり、色相が経時的に変化したりする不具合を生じない偏光板、及びそれを備える表示装置を提供することができる。
本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る偏光板の層構成の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る偏光板の製造方法の好ましい一例を示すフローチャートである。 樹脂層形成工程で得られる積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 延伸工程で得られる延伸フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 染色工程で得られる偏光性積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 第1貼合工程で得られる貼合フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 1,4−ジエトキシナフタレンの吸光スペクトルである。
<偏光板>
(1)偏光板の層構成
図1は、本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。図1に示される偏光板1のように本発明の偏光板は、偏光子5と、その一方の面に第1接着剤層15を介して積層される第1保護フィルム10とを備える片面保護フィルム付偏光板であることができる。偏光板1は、第1保護フィルム10及び/又は偏光子5上に積層される他の光学機能層や粘着剤層等をさらに有することができる。
また本発明の偏光板は、図2に示される偏光板2のように、偏光子5と、その一方の面に第1接着剤層15を介して積層される第1保護フィルム10と、他方の面に第2接着剤層25を介して積層される第2保護フィルム20とを備える両面保護フィルム付偏光板であってもよい。偏光板2は、第1保護フィルム10及び/又は第2保護フィルム20上に積層される他の光学機能層や粘着剤層等をさらに有することができる。
偏光板1及び2において第1保護フィルム10は、第1接着剤層15を形成する紫外線硬化性接着剤に含まれる光重合開始剤の一般的な感光波長域である280〜320nmの波長域(UVB領域)の透過率が低いフィルムであり、具体的にはUVB領域における積算光量の透過率が50%以下(かつ1%以上)であるフィルムである。第1接着剤層15は、光増感剤として所定の光増感剤のみを含有する紫外線硬化性接着剤から形成される層であり、具体的には該紫外線硬化性接着剤の硬化物層である。所定の光増感剤とは、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しない光増感剤である。
両面保護フィルム付偏光板2が有する第2保護フィルム20は、偏光子用保護フィルムとして用い得る任意のフィルムであってよく、これを貼合するための第2接着剤層25も、偏光子5と第2保護フィルム20とを接着し得る任意の接着剤からなる層であってよい。ただし、第2保護フィルム20が第1保護フィルム10と同様、UVB領域における積算光量の透過率が50%以下であり、これを紫外線硬化性接着剤により偏光子5に貼合し、第2保護フィルム20側から紫外線を照射して接着剤層を硬化させる場合には、第2接着剤層25を形成する紫外線硬化性接着剤は第1接着剤層15と同様、光増感剤として上記所定の光増感剤のみを含有するものであることが好ましい。
(2)偏光子
偏光子5は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層(又はフィルム)に二色性色素を吸着配向させたものであることができる。偏光子5の厚みは例えば30μm以下、さらには20μm以下であることができるが、とりわけモバイル機器用の偏光板においては、偏光板1,2の薄型化の観点から10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。偏光子5の厚みは通常、2μm以上である。
ポリビニルアルコール系樹脂層を構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが偏光子5を構成する。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができるが、厚みの小さい偏光子5を得やすく、工程中における薄膜の偏光子5の取扱性にも優れることから、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液を基材フィルム上に塗布して製膜することが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80.0〜100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0〜99.5モル%の範囲であり、より好ましくは94.0〜99.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる偏光板1,2の耐水性及び耐湿熱性が低下する。ケン化度が99.5モル%を超えるポリビニルアルコール系樹脂を使用した場合、染色速度が遅くなり、生産性が低下するとともに十分な偏光性能を有する偏光子5が得られない場合がある。
ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
ポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールであってもよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。変性の割合は30モル%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましい。30モル%を超える変性を行った場合には、二色性色素を吸着しにくくなり、十分な偏光性能を有する偏光子5が得られない。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
偏光子5に含有(吸着配向)される二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができる。二色性有機染料の具体例は、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを含む。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(3)第1保護フィルム
第1保護フィルム10は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。中でも本発明において好適に用いられる第1保護フィルム10は、水系接着剤では接着が難しい透湿性の低い保護フィルム、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムである。
また、第1保護フィルム10は、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂はエステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
第1保護フィルム10の偏光子5とは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。保護フィルム表面に表面処理層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
第1保護フィルム10の厚みは、偏光板1,2の薄型化の観点から薄いことが好ましいが、薄すぎると強度が低下して加工性に劣る。従って、第1保護フィルム10の厚みは5〜90μm以下が好ましく、より好ましくは5〜60μm、さらに好ましくは5〜50μmである。
本発明において第1保護フィルム10は、280〜320nmの領域(UVB領域)の透過率が低いフィルムであり、具体的にはUVB領域における積算光量の透過率が50%以下のフィルムである。本発明によれば、該透過率が1%以上である限り、30%以下、20%以下、10%以下、さらには5%以下であっても、第1保護フィルム10側からUVB領域を含む紫外線を照射して第1接着剤層15を十分に硬化させることができる。該透過率が1%未満である場合には、照射紫外線が接着剤層にほとんど到達せず、紫外線硬化性接着剤が光増感剤を含有していても十分な硬化が得られない。
接着剤層の硬化の程度は、例えば湿熱耐久試験によって評価することができる。具体的な試験方法は実施例の項で説明するが、硬化が不十分であると、湿熱耐久試験下で偏光子5に脱色又は斑状のムラが生じる。
第1保護フィルム10(第2保護フィルム20も同じ)のUVB領域における積算光量の透過率は次の手法によって求められる。測定装置は、280〜320nmの波長域の光強度を積算して求めることができるものでる限り制限されず、例えば、Electronic Instrumentation & Technology,Inc.から販売されている「UV Power Puck2」等を用いることができる。
上記測定装置を用いて、光源(接着剤層硬化用紫外線光源)からの光を直接測定し、そのUVB領域における積算光量(mJ/cm2)を「リファレンス積算光量」とする。次に、測定装置の受光部に測定対象の保護フィルムを被せてテープで固定した後、再度測定を実施し、得られたUVB領域における積算光量(mJ/cm2)を「保護フィルム越しの積算光量」とする。このとき、保護フィルムのUVB領域における積算光量の透過率は、下記式:
UVB領域における積算光量の透過率(%)=100×保護フィルム越しの積算光量/リファレンス積算光量
として求められる。
なお、この積算光量の透過率測定において、あまりに光源の照射強度が弱いと、正常に測れない場合があるので、光源のピーク強度は、150〜250mW/cm2の範囲とすることが好ましい。また同様の理由で、リファレンス積算光量は、100〜400mJ/cm2の範囲とすることが好ましい。
UVB領域における積算光量の透過率が1〜50%である第1保護フィルム10の具体例を挙げれば、例えば次のとおりである。
〔a〕紫外線吸収剤を含有する保護フィルム(位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムである場合を含む。下記〔b〕、〔c〕も同じ。)、
〔b〕ポリエチレンテレフタレート系樹脂のようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の樹脂骨格中に芳香環を含有する樹脂からなる保護フィルム、
〔c〕上で例示したような表面処理層を有する保護フィルム、
〔d〕支持フィルム上に液晶層を有する位相差フィルム。
上記〔a〕における紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのような2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤;p−t−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じて2種以上を用いてもよい。
上記〔d〕における支持フィルムは、前述の熱可塑性樹脂からなるフィルムであることができる。液晶層は、必要に応じて配向層を介して支持フィルム上に積層される、液晶化合物を配向させ、硬化・固定させた層である。液晶化合物は、ビフェニル基やメソゲン基を含む重合性液晶化合物であることができる。
本発明の偏光板(片面保護フィルム付偏光板1及び両面保護フィルム付偏光板2)は、液晶表示装置とした際に、前面側(視認側)に配置される偏光板であってもよいし、背面側(バックライト側)に配置される偏光板であってもよく、また、本発明の偏光板が前面側及び背面側のいずれの偏光板である場合においても、第1保護フィルム10は、偏光子5の液晶セル側に積層される保護フィルム、又は液晶セルとは反対側に積層される保護フィルムであり得る。
第1保護フィルム10(とりわけ両面保護フィルム付偏光板2において)は、偏光子5の液晶セル側に積層される保護フィルムであるとき、上記〔a〕〜〔d〕の中でもとりわけ、上記〔b〕や〔d〕に属する位相差フィルムであることができる。また第1保護フィルム10は、偏光子5の液晶セルとは反対側に積層される保護フィルムであるとき(例えば前面側偏光板の視認側の保護フィルムであるとき)、上記〔a〕〜〔d〕の中でもとりわけ、上記〔a〕〜〔c〕に属する保護フィルム又は位相差フィルムであることができる。
(4)第1接着剤層
第1接着剤層15は、光増感剤を含む紫外線硬化性接着剤の硬化物層である。第1接着剤層15の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。
紫外線硬化性接着剤は、硬化性化合物(重合性化合物)、光重合開始剤及び光増感剤を含むものである。本発明において光増感剤としては、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しない光増感剤を用いる。このような光吸収特性を示す限り、2種以上の光増感剤を用いることもできる。
本発明は、上記のような光吸収特性を有する光増感剤の使用を特徴の1つとするものであるが、これは、保護フィルムがUVB領域における積算光量の透過率でわずか1%でもUVB領域の紫外線を透過する場合には、380nmより長波長側に吸収帯を有する光増感剤を用いずとも、280〜380nmの波長域内に吸収帯を有する光増感剤のみを使用するだけで、上記保護フィルム側からの紫外線照射により紫外線硬化性接着剤からなる接着剤層を十分に硬化させることができるという本発明者の意外な発見に基づくものである。これに対して従来では、上述の特許文献1及び2のように、紫外線透過率の低い保護フィルム側からの紫外線照射により接着剤層を十分に硬化させるためには、アントラセン系光増感剤のような380nmより長波長側に吸収帯を有する光増感剤を要すると考えられてきた。
本発明によれば、保護フィルム側からの紫外線照射により紫外線硬化性接着剤からなる接着剤層を十分に硬化できることに加えて、380nmより長波長側に吸収帯を有する光増感剤を使用しないことが可能になるため、青色を吸収して偏光板(接着剤層)が黄色味を呈してしまったり、400nm前後の光を含む環境下に偏光板を長時間放置すると徐々に色相が変化してしまったりする等の不具合を解消することができ、耐光性の優れた偏光板を提供することができる。
また、光増感剤として280〜380nmの波長域内に吸収帯を有する光増感剤のみを含有する本発明に係る紫外線硬化性接着剤によれば、外光下での経時的な変色や、蛍光灯やLEDライトの下で長期間放置したときの重合の進行及びこれに伴う増粘を防止することもできる。
本発明に用いる光増感剤は、280〜380nmの波長域内の少なくとも一部の波長域に吸収帯を有していればよいが、併用する光重合開始剤の一般的な感光波長域(吸収波長域)である280〜320nmの波長域(UVB領域)と光増感剤の吸収帯とはある程度重なっていることが好ましいことから、光増感剤は、少なくとも280〜320nmの波長域内に吸収帯を有していることが好ましい。また、280〜320nmの波長域よりも少し長波長側にも吸収帯を有している方が、第1保護フィルム10越しに接着剤層へ照射される一般的な紫外線光源からの光の効率的な利用には有利であるため、光増感剤は、280〜320nmの波長域内に加えて、320〜380nmの波長域内にも吸収帯を有することが好ましい。好ましい典型例において光増感剤は、280〜380nmの波長域に、波長320nmを跨る連続的な吸収帯を有する。
本発明に用いる光増感剤は、上述のように、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しない。「実質的に」とは、吸光光度計による測定において、380nmを超える波長域の吸光度が、その増感剤が示す最大吸光度の1/50未満であることを意味する。
以上のような光吸収特性を有する光増感剤として、ナフタレン誘導体を好適に用いることができ、その具体例は、1,4−ジメトキシナフタレン、1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジブトキシナフタレン、1,4−ジプロポキシナフタレン等を含む。
紫外線硬化性接着剤における光増感剤の含有量は、硬化性化合物100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5.0重量部であることがより好ましく、0.5〜3.0重量部であることがさらに好ましい。増感剤が少なすぎると接着剤の硬化が不十分になる可能性があり、多すぎると光増感剤が完溶しない;硬化性化合物及び光重合開始剤の含有量が相対的に減少し、接着剤層の硬化に不具合を生じる;コストが増大する、等の不具合を生じ得る。
紫外線硬化性接着剤に含有される硬化性化合物としては、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物(分子内に平均1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合によって硬化する(メタ)アクリル系化合物等を用いることができる。
好適に使用できるエポキシ系化合物の例は、芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られる水素化エポキシ系化合物(脂環式ポリオールのグリシジルエーテル);脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルのような脂肪族エポキシ系化合物;エポキシ基を分子内に1個以上有する脂環式エポキシ系化合物を含む。エポキシ系化合物として、上記特許文献1及び2に記載のエポキシ系化合物を用いることもできる。
上記(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。
カチオン重合によって硬化する硬化性化合物を含む場合、紫外線硬化性接着剤は、光カチオン重合開始剤を含有する。光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体等を挙げることができる。また、紫外線硬化性接着剤が(メタ)アクリル系化合物のようなラジカル重合性の硬化性化合物を含有する場合は、光ラジカル重合開始剤を含有する。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、チオキサントン系開始剤、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等を挙げることができる。
紫外線硬化性接着剤における光重合開始剤の含有量(光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤の合計量)は、硬化性化合物100重量部に対して通常、0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。光重合開始剤が少なすぎると接着剤の硬化が不十分になり、多すぎると硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、偏光板の耐久性が低下する可能性がある。
紫外線硬化性接着剤は、必要に応じて、オキセタン類、ポリオール類等のカチオン重合促進剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶剤等の添加剤を含有することができる。添加剤として、必要により、上記特許文献1及び2に例示されたものを使用してもよい。
(5)第2保護フィルム
両面保護フィルム付偏光板2が有する第2保護フィルム20は、第1保護フィルム10と同様、前述の熱可塑性樹脂からなるフィルムであることができ、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。第2保護フィルム20が有し得る表面処理層及びフィルムの厚みについては、第1保護フィルム10について述べた記述が引用される。第1保護フィルム10と第2保護フィルム20は、互いに同種の保護フィルムであってもよいし、異種の保護フィルムであってもよい。中でも本発明において好適に用いられる第2保護フィルム20の例は、水系接着剤では接着が難しい透湿性の低い保護フィルム、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムである。
第2保護フィルム20は、第1保護フィルム10と同様、UVB領域における積算光量の透過率が1〜50%のフィルムであってもよい。この場合、第2接着剤層25には第1接着剤層15と同様、所定の光吸収特性を示す光増感剤を含有する前述の紫外線硬化性接着剤を用いることが好ましい。第2保護フィルム20の積算光量の透過率及びその測定方法については、第1保護フィルム10について述べた記述が引用される。
UVB領域における積算光量の透過率が1〜50%である第2保護フィルム20の具体例は、第1保護フィルム10と同様、上記〔a〕〜〔d〕である。両面保護フィルム付偏光板2において、第1保護フィルム10が例えば偏光子5の液晶セル側に積層される保護フィルムであるとき、第2保護フィルム20は偏光子5の液晶セルとは反対側に積層される保護フィルムであり、この場合、第2保護フィルム20は例えば上記〔a〕〜〔c〕に属する保護フィルム又は位相差フィルムであることができる。また、第1保護フィルム10が例えば偏光子5の液晶セルとは反対側に積層される保護フィルムであるとき、第2保護フィルム20は偏光子5の液晶セル側に積層される保護フィルムであり、この場合、第2保護フィルム20は例えば上記〔b〕や〔d〕に属する位相差フィルムであることができる。
(6)第2接着剤層
第2接着剤層25は第2保護フィルム20を偏光子5に接着するための層である。第2接着剤層25を形成する接着剤は特に制限されず、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する活性エネルギー線硬化性接着剤や、接着剤成分を水に溶解又分散させた水系接着剤であってもよいが、とりわけ第2保護フィルム20の透湿性が低い場合には活性エネルギー線硬化性接着剤が好ましく用いられ、紫外線硬化性接着剤がより好ましく用いられる。
第2保護フィルム20のUVB領域における積算光量の透過率が1〜50%である場合には、第2保護フィルム20側からの紫外線照射によって第2接着剤層25を十分に硬化させることができるよう、第2接着剤層25には第1接着剤層15と同様、所定の光吸収特性を示す光増感剤を含有する前述の紫外線硬化性接着剤を用いることが好ましい。これにより、第2接着剤層25もまた380nmより長波長側に吸収帯を有する光増感剤を含有しないものとなるため、第2接着剤層25に起因する偏光板の着色や経時的な変色を防止することもできる。
なお水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などが挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。
(7)粘着剤層
図1に示される片面保護フィルム付偏光板1における偏光子5上、又は図2に示される両面保護フィルム付偏光板2における第1保護フィルム10若しくは第2保護フィルム20上に、偏光板を他の部材(例えば液晶表示装置に適用する場合における液晶セル)に貼合するための粘着剤層を積層してもよい。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは通常、1〜40μmであり、好ましくは3〜25μmである。
(8)その他の光学層
偏光板1,2は、その保護フィルム10,20や偏光子5上に積層される他の光学層をさらに含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルムなどが挙げられる。
<偏光板の製造方法>
本発明の偏光板は、薄膜の偏光子5が容易に得られることから、図3に示される方法によって製造されることが好ましい。図3に示される偏光板の製造方法は、下記工程:
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程S10、
(2)積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程S20、
(3)延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程S30、
(4)偏光性積層フィルムの偏光子上に保護フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程S40、
(5)貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面保護フィルム付偏光板を得る剥離工程S50、
をこの順で含む。
図2に示されるような両面保護フィルム付偏光板2を作製する場合には、剥離工程S50の後に、さらに
(6)片面保護フィルム付偏光板の偏光子面に保護フィルムを貼合する第2貼合工程S60、
を含む。
以下、図4〜図7を参照しながら各工程について説明する。なお樹脂層形成工程S10において、ポリビニルアルコール系樹脂層を基材フィルムの両面に形成してもよいが、以下では主に片面に形成する場合について説明する。
(1)樹脂層形成工程S10
図4を参照して本工程は、基材フィルム30の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層6を形成して積層フィルム100を得る工程である。このポリビニルアルコール系樹脂層6は、延伸工程S20及び染色工程S30を経て偏光子5となる層である。ポリビニルアルコール系樹脂層6は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30の片面又は両面に塗工し、塗工層を乾燥させることにより形成することができる。このような塗工によりポリビニルアルコール系樹脂層を形成する方法は、薄膜の偏光子5を得やすい点で有利である。
基材フィルム30は熱可塑性樹脂から構成することができ、中でも透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物を含む。
基材フィルム30は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる1つの樹脂層からなる単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を複数積層した多層構造であってもよい。基材フィルム30は、後述する延伸工程S20にて積層フィルム100を延伸する際、ポリビニルアルコール系樹脂層6を延伸するのに好適な延伸温度で延伸できるような樹脂で構成されることが好ましい。
基材フィルム30は、添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤等が挙げられる。基材フィルム30中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。
基材フィルム30の厚みは通常、強度や取扱性等の作業性の点から1〜500μmであり、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
基材フィルム30に塗工する塗工液は、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒(例えば水)に溶解させて得られるポリビニルアルコール系樹脂溶液である。ポリビニルアルコール系樹脂の詳細は、上述のとおりである。塗工液は必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
上記塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ワイヤーバーコーティング法;リバースコーティング、グラビアコーティングのようなロールコーティング法;ダイコート法;カンマコート法;リップコート法;スピンコーティング法;スクリーンコーティング法;ファウンテンコーティング法;ディッピング法;スプレー法等の方法から適宜選択することができる。
塗工層(乾燥前のポリビニルアルコール系樹脂層)の乾燥温度及び乾燥時間は塗工液に含まれる溶媒の種類に応じて設定される。乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂層6は、基材フィルム30の一方の面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。両面に形成すると偏光性積層フィルム300(図6参照)の製造時に発生し得るフィルムのカールを抑制できるとともに、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の偏光板を得ることができるので、偏光板の生産効率の面でも有利である。
積層フィルム100におけるポリビニルアルコール系樹脂層6の厚みは、3〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。この範囲内の厚みを有するポリビニルアルコール系樹脂層6であれば、後述する延伸工程S20及び染色工程S30を経て、二色性色素の染色性が良好で偏光性能に優れ、かつ十分に薄い(例えば厚み10μm以下の)偏光子5を得ることができる。ポリビニルアルコール系樹脂層6の厚みが3μm未満であると、延伸後に薄くなりすぎて染色性が悪化する傾向にある。
塗工液の塗工に先立ち、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着性を向上させるために、少なくともポリビニルアルコール系樹脂層6が形成される側の基材フィルム30の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム(火炎)処理等を施してもよい。
また、塗工液の塗工に先立ち、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着性を向上させるために、基材フィルム30上にプライマー層等を介してポリビニルアルコール系樹脂層6を形成してもよい。
プライマー層は、プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30の表面に塗工した後、乾燥させることにより形成することができる。プライマー層形成用塗工液は、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との両方にある程度強い密着力を発揮する成分を含む。プライマー層形成用塗工液は通常、このような密着力を付与する樹脂成分と溶媒とを含有する。樹脂成分としては、好ましくは透明性、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑樹脂が用いられ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。中でも、良好な密着力を与えるポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。より好ましくは、ポリビニルアルコール樹脂である。溶媒としては通常、上記樹脂成分を溶解できる一般的な有機溶媒や水系溶媒が用いられるが、水を溶媒とする塗工液からプライマー層を形成することが好ましい。
プライマー層の強度を上げるために、プライマー層形成用塗工液に架橋剤を添加してもよい。架橋剤は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて、有機系、無機系等公知のものの中から適切なものを適宜選択する。架橋剤の例の挙げれば、例えば、エポキシ系、イソシアネート系、ジアルデヒド系、金属系(例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物)、高分子系の架橋剤である。プライマー層を形成する樹脂成分としてポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合は、ポリアミドエポキシ樹脂、メチロール化メラミン樹脂、ジアルデヒド系架橋剤、金属キレート化合物系架橋剤等が好適に用いられる。
プライマー層の厚みは、0.05〜1μm程度であることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましい。0.05μmより薄くなると、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着力向上の効果が小さく、1μmより厚くなると、偏光板の薄膜化に不利である。
プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工液と同様であることができる。プライマー層は、ポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工液が塗工される面に塗工される。プライマー層形成用塗工液からなる塗工層の乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
(2)延伸工程S20
図5を参照して本工程は、基材フィルム30及びポリビニルアルコール系樹脂層6からなる積層フィルム100を延伸して、延伸された基材フィルム30’及びポリビニルアルコール系樹脂層6’からなる延伸フィルム200を得る工程である。延伸処理は通常、一軸延伸である。
積層フィルム100の延伸倍率は、所望する偏光特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、積層フィルム100の元長に対して5倍超17倍以下であり、より好ましくは5倍超8倍以下である。延伸倍率が5倍以下であると、ポリビニルアルコール系樹脂層6’が十分に配向しないため、偏光子5の偏光度が十分に高くならないことがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると、延伸時にフィルムの破断が生じ易くなるとともに、延伸フィルム200の厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性及び取扱性が低下するおそれがある。
延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。この場合、多段階の延伸処理のすべてを染色工程S30の前に連続的に行ってもよいし、二段階目以降の延伸処理を染色工程S30における染色処理及び/又は架橋処理と同時に行ってもよい。このように多段で延伸処理を行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行うことが好ましい。
延伸処理は、フィルム長手方向(フィルム搬送方向)に延伸する縦延伸であることができるほか、フィルム幅方向に延伸する横延伸又は斜め延伸等であってもよい。縦延伸方式としては、ロールを用いて延伸するロール間延伸、圧縮延伸、チャック(クリップ)を用いた延伸等が挙げられ、横延伸方式としては、テンター法等が挙げられる。延伸処理は、湿潤式延伸方法、乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、延伸温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
延伸温度は、ポリビニルアルコール系樹脂層6及び基材フィルム30全体が延伸可能な程度に流動性を示す温度以上に設定され、好ましくは基材フィルム30の相転移温度(融点又はガラス転移温度)の−30℃から+30℃の範囲であり、より好ましくは−30℃から+5℃の範囲であり、さらに好ましくは−25℃から+0℃の範囲である。基材フィルム30が複数の樹脂層からなる場合、上記相転移温度は該複数の樹脂層が示す相転移温度のうち、最も高い相転移温度を意味する。
延伸温度を相転移温度の−30℃より低くすると、5倍超の高倍率延伸が達成されにくいか、又は、基材フィルム30の流動性が低すぎて延伸処理が困難になる傾向にある。延伸温度が相転移温度の+30℃を超えると、基材フィルム30の流動性が大きすぎて延伸が困難になる傾向にある。5倍超の高延伸倍率をより達成しやすいことから、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。
延伸処理における積層フィルム100の加熱方法としては、ゾーン加熱法(例えば、熱風を吹き込み所定の温度に調整した加熱炉のような延伸ゾーン内で加熱する方法。);ロールを用いて延伸する場合において、ロール自体を加熱する方法;ヒーター加熱法(赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等を積層フィルム100の上下に設置し輻射熱で加熱する方法)等がある。ロール間延伸方式においては、延伸温度の均一性の観点からゾーン加熱法が好ましい。
延伸工程S20に先立ち、積層フィルム100を予熱する予熱処理工程を設けてもよい。予熱方法としては、延伸処理における加熱方法と同様の方法を用いることができる。予熱温度は、延伸温度の−50℃から±0℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−40℃から−10℃の範囲であることがより好ましい。
また、延伸工程S20における延伸処理の後に、熱固定処理工程を設けてもよい。熱固定処理は、延伸フィルム200の端部をクリップにより把持した状態で緊張状態に維持しながら、結晶化温度以上で熱処理を行う処理である。この熱固定処理によってポリビニルアルコール系樹脂層6’の結晶化が促進される。熱固定処理の温度は、延伸温度の−0℃〜−80℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−0℃〜−50℃の範囲であることがより好ましい。
(3)染色工程S30
図6を参照して本工程は、延伸フィルム200のポリビニルアルコール系樹脂層6’を二色性色素で染色してこれを吸着配向させ、偏光子5とする工程である。本工程を経て基材フィルム30’の片面又は両面に偏光子5が積層された偏光性積層フィルム300が得られる。
染色工程は、二色性色素を含有する溶液(染色溶液)に延伸フィルム200全体を浸漬することにより行うことができる。染色溶液としては、上記二色性色素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。染色溶液における二色性色素の濃度は、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましく、0.025〜5重量%であることがさらに好ましい。
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、ヨウ素を含有する染色溶液にヨウ化物をさらに添加することが好ましい。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。染色溶液におけるヨウ化物の濃度は、0.01〜20重量%であることが好ましい。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムとの割合は重量比で、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることがさらに好ましい。染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。
なお、染色工程S30を延伸工程S20の前に行ったり、これらの工程を同時に行ったりすることも可能であるが、ポリビニルアルコール系樹脂層に吸着させる二色性色素を良好に配向させることができるよう、積層フィルム100に対して少なくともある程度の延伸処理を施した後に染色工程S30を実施することが好ましい。すなわち、延伸工程S20にて目標の倍率となるまで延伸処理を施して得られる延伸フィルム200を染色工程S30に供することができるほか、延伸工程S20にて目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30中に総延伸倍率が目標の倍率となるまで延伸処理を施すこともできる。後者の実施態様としては、1)延伸工程S20において目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30における染色処理中に総延伸倍率が目標の倍率となるように延伸処理を行う態様や、後述するように、染色処理の後に架橋処理を行う場合には、2)延伸工程S20において目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30における染色処理中に、総延伸倍率が目標の倍率に達しない程度まで延伸処理を行い、次いで、最終的な総延伸倍率が目標の倍率となるように架橋処理中に延伸処理を行う態様等を挙げることができる。
染色工程S30は、染色処理に引き続いて実施される架橋処理工程を含むことができる。架橋処理は、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に染色されたフィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができ、例えば、ホウ酸、ホウ砂のようなホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。架橋剤は1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋溶液は、具体的には架橋剤を溶媒に溶解した溶液であることができる。溶媒としては、例えば水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒をさらに含んでもよい。架橋溶液における架橋剤の濃度は、1〜20重量%の範囲であることが好ましく、6〜15重量%の範囲であることがより好ましい。
架橋溶液はヨウ化物を含むことができる。ヨウ化物の添加により、偏光子5の面内における偏光性能をより均一化させることができる。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。架橋溶液におけるヨウ化物の濃度は、0.05〜15重量%であることが好ましく、0.5〜8重量%であることがより好ましい。架橋溶液の温度は、10〜90℃の範囲にあることが好ましい。
なお架橋処理は、架橋剤を染色溶液中に配合することにより、染色処理と同時に行うこともできる。また、架橋処理中に延伸処理を行ってもよい。架橋処理中に延伸処理を実施する具体的態様は上述のとおりである。また、組成の異なる2種以上の架橋溶液を用いて、架橋溶液に浸漬する処理を2回以上行ってもよい。
染色工程S30の後、後述する第1貼合工程S40の前に洗浄工程及び乾燥工程を行うことが好ましい。洗浄工程は通常、水洗浄工程を含む。水洗浄処理は、イオン交換水、蒸留水のような純水に染色処理後の又は架橋処理後のフィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4〜20℃の範囲である。水への浸漬時間は通常2〜300秒間、好ましくは3〜240秒間である。洗浄工程は、水洗浄工程とヨウ化物溶液による洗浄工程との組み合わせであってもよい。
洗浄工程の後に行われる乾燥工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等の任意の適切な方法を採用し得る。例えば加熱乾燥の場合、乾燥温度は通常20〜95℃である。
(4)第1貼合工程S40
図7を参照して本工程は、偏光性積層フィルム300の偏光子5上、すなわち、偏光子5の基材フィルム30’側とは反対側の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合することで貼合フィルム400を得る工程である。図7には第1接着剤層15を介して第1保護フィルム10を貼合する例を示しているが、両面保護フィルム付偏光板2を製造する場合には、第2接着剤層25を介して第2保護フィルム20を貼合するようにしてもよい。第1接着剤層15や第2接着剤層25を形成する接着剤については前述のとおりである。
なお、偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光子5を有する場合は通常、両面の偏光子5上にそれぞれ保護フィルムが貼合される。この場合、これらの第保護フィルムは同種の保護フィルムであってもよいし、異種の保護フィルムであってもよい。
所定の光吸収特性を示す光増感剤を含有する前述の紫外線硬化性接着剤を用いて、第1保護フィルム10を貼合する場合を例に、保護フィルムの貼合接着方法について説明すると、第1接着剤層15となる上記紫外線硬化性接着剤を介して第1保護フィルム10を偏光子5上に積層した後、紫外線を照射して接着剤層を硬化させる。照射する紫外線は、280〜320nmの波長域(UVB領域)の光を含むものであり、光源としては、例えば低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。
第1接着剤層15を形成する紫外線硬化性接着剤は、前記所定の光吸収特性を示す光増感剤を含有しているので、第1保護フィルム10側から紫外線を照射しても第1接着剤層15を良好に硬化させることができる。所定の光吸収特性を示す光増感剤を含有する前述の紫外線硬化性接着剤を用いて、UVB領域における積算光量の透過率が1〜50%である第2保護フィルム20を本工程にて貼合する場合も同様である。
図7を参照して、基材フィルム30’のUVB領域の透過率が比較的高い場合には、基材フィルム30’側から紫外線を照射して接着剤層を硬化させることも可能であるが、例えば特許第4691205号明細書、特許第4979833号明細書、特許第4751481号明細書、特許第4815544号明細書に記載されているように、基材フィルムにポリエチレンテレフタレート樹脂のようなポリエステル系樹脂を用いることがある。この場合、基材フィルム30’も紫外線透過率が非常に低いものとなるので、このような場合にとりわけ本発明を利用するメリットが大きい。
照射する紫外線の積算光量は、例えば10〜10000mJ/cm2であることができるが、積算光量を比較的低く絞った方がむしろ紫外線硬化性接着剤層の十分な硬化には有利なことが明らかになっている。この点に鑑み、積算光量は500mJ/cm2以下とすることが好ましい。
照射する紫外線の積算光量を低くすることにより、光源からの発熱量も低くなるため、この熱により貼合フィルム400(ひいては偏光板)がカールしたり、劣化したりすることを抑制できる。また、紫外線照射による偏光子5のダメージを抑制することもできる。すなわち、紫外線透過率の低い保護フィルムを偏光子5に接着するとき、接着剤層まで光を到達させるべく紫外線の積算光量を大きくすることが従来なされてきたが、同時に偏光子5へダメージを与えていることが明らかになっており、積算光量が大きい場合の方が、偏光板の湿熱耐久試験での偏光子5の脱色が激しいことが分かっている。積算光量を低くできれば、このような湿熱耐久試験下での脱色を効果的に抑制することができる。
偏光子5に保護フィルムを貼合するにあたり、保護フィルムの偏光子5側表面には、偏光子5との接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理(易接着処理)を行うことができ、中でも、プラズマ処理、コロナ処理又はケン化処理を行うことが好ましい。
(5)剥離工程S50
本工程は、貼合フィルム400から基材フィルム30’を剥離除去する工程である。この工程を経て、図1と同様の片面保護フィルム付偏光板が得られるが、目的とする偏光板が片面保護フィルム付偏光板である場合には、第1貼合工程S40において第1保護フィルム10が貼合される。偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光子5を有し、これら両方の偏光子5に保護フィルムを貼合した場合には、この剥離工程S50により、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の片面保護フィルム付偏光板が得られる。
基材フィルム30’を剥離除去する方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われるセパレータ(剥離フィルム)の剥離工程と同様の方法で剥離できる。基材フィルム30’は、第1貼合工程S40の後、そのまますぐ剥離してもよいし、第1貼合工程S40の後、一度ロール状に巻き取り、その後の工程で巻き出しながら剥離してもよい。
(6)第2貼合工程S60
本工程は、片面保護フィルム付き偏光板の偏光子5上、すなわち第1貼合工程S40にて貼合した保護フィルムとは反対側の面に、さらに保護フィルムを貼合し、図2に示されるような両面保護フィルム付偏光板2を得る工程である。第1貼合工程S40にて第1保護フィルム10が貼合される場合には、本工程にて第2保護フィルム20が貼合され、第1貼合工程S40にて第2保護フィルム20が貼合される場合には、本工程にて第1保護フィルム10が貼合される。
第1貼合工程S40にて第1保護フィルム10を貼合し、本工程にて所定の光吸収特性を示す光増感剤を含有する前述の紫外線硬化性接着剤(第2接着剤層25を形成する接着剤)を用いて、UVB領域における積算光量の透過率が1〜50%である第2保護フィルム20を貼合する場合、接着剤層を硬化させるための紫外線照射は通常、第2保護フィルム側から行う。
以上、基材フィルム上に塗工したポリビニルアルコール系樹脂層から偏光子を形成し、偏光板を製造する方法について詳述したが、これに限定されるものではなく、単体(単独)フィルムからなる偏光子5に第1保護フィルム10、又は第1及び第2保護フィルム10,20を貼合して偏光板を製造してもよい。
単体(単独)フィルムからなる偏光子5は、例えば溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムを作製する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、これを吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を含む方法によって製造することができる。一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前又はホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
第1及び第2保護フィルム10,20の双方を貼合して両面保護フィルム付偏光板を製造する場合において、これらの保護フィルムは、接着剤層を介して順次貼合されてもよいし、同時に貼合されてもよい。紫外線透過率の低い第1及び第2保護フィルム10,20を紫外線硬化性接着剤を用いて貼合する偏光板において、とりわけ本発明を利用するメリットが大きい。
<表示装置>
本発明の偏光板は、表示装置に適用することができる。この表示装置は、表示用セルと、その少なくとも一方の面に配置される、上述の本発明に係る偏光板とを含むものであることができる。表示装置の代表例は、表示用セルが液晶セルである液晶表示装置であるが、有機EL装置のような他の表示装置であってもよい。表示装置において本発明に係る偏光板は、表示用セルの少なくとも一方の面に配置されていればよいが、両面に配置することもできる。液晶セルとしては従来公知のタイプのものを用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製の「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両面にプロピレンの単独重合体(住友化学(株)製の「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の長尺の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。基材フィルムの合計厚みは90μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
(2)プライマー層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製の「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
次に、上記(1)で作製した基材フィルムの片面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にマイクログラビアコーターを用いて上記プライマー層形成用塗工液を塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
(3)積層フィルムの作製(樹脂層形成工程)
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の「PVA124」、平均重合度2400、ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
上記(2)で作製したプライマー層を有する基材フィルムのプライマー層表面にリップコーターを用いて上記ポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液を塗工した後、80℃で20分間乾燥させることにより、プライマー層上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを得た。
(4)延伸フィルムの作製(延伸工程)
上記(3)で作製した積層フィルムに対して、フローティングの縦一軸延伸装置を用いて160℃で5.8倍の自由端一軸延伸を実施し、延伸フィルムを得た。延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは6.2μmであった。
(5)偏光性積層フィルムの作製(染色工程)
上記(4)で作製した延伸フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.6重量部、ヨウ化カリウムを10重量部含む。)に約180秒間浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行った後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
次に、ホウ酸を含む78℃の第1架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部含む。)に120秒間浸漬し、次いで、ホウ酸及びヨウ化カリウムを含む70℃の第2架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部、ヨウ化カリウムを4重量部含む。)に60秒間浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水で10秒間洗浄し、最後に40℃で300秒間乾燥させることにより、基材フィルム/プライマー層/偏光子からなる偏光性積層フィルムを得た。
(6)偏光板の作製(第1貼合工程、剥離工程、第2貼合工程)
カチオン重合性のエポキシ系化合物である硬化性化合物と光カチオン重合開始剤とを含む紫外線硬化性接着剤である(株)ADEKA製の「KR−70T」を用意した。この接着剤100重量部に対して、光増感剤として2.0重量部の1,4−ジエトキシナフタレンを混合して、光増感剤含有紫外線硬化性接着剤とした。吸光光度計(株式会社 島津製作所製「UV−2450」)を用いて測定した1,4−ジエトキシナフタレンの吸光スペクトルを図8に示す。図示されるように、1,4−ジエトキシナフタレンは、280〜360nmの波長域に吸収帯があり、380nmを超える波長域に吸収帯を有していない。
貼合面にコロナ処理を施した厚み25μmの保護フィルムA(ポリエチレンテレフタレートからなる、UVB領域における積算光量の透過率が2%の保護フィルム)の該貼合面に、マイクログラビアコーターを用いて上記の増感剤含有紫外線硬化性接着剤を塗工した後、貼合ロールを用いて、これを上記(5)で作製した偏光性積層フィルムの偏光子面に貼合した。その後、高圧水銀ランプを用いて、基材フィルム側から150mJ/cm2の積算光量で紫外線を照射することにより接着剤層を硬化させ、保護フィルムA/接着剤層/偏光子/プライマー層/基材フィルムの層構成からなる貼合フィルムを得た(第1貼合工程)。硬化後の接着剤層の厚みは約1μmであった。
次に、得られた貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去した(剥離工程)。基材フィルムは容易に剥離され、保護フィルムA/接着剤層/偏光子/プライマー層の層構成からなる片面保護フィルム付偏光板を得た。偏光子の厚みは6.7μmであった。
次いで、貼合面にコロナ処理を施した厚み21μmの保護フィルムB(環状ポリオレフィン系樹脂フィルム上に液晶化合物を塗布してなる、UVB領域における積算光量の透過率が7%の位相差フィルム)の該貼合面に、マイクログラビアコーターを用いて上記の増感剤含有紫外線硬化性接着剤を塗工した後、貼合ロールを用いて、これを片面保護フィルム付偏光板の保護フィルムAとは反対側の面に貼合した。その後、高圧水銀ランプを用いて、保護フィルムB側から150mJ/cm2の積算光量で紫外線を照射することにより接着剤層を硬化させ、保護フィルムA/接着剤層/偏光子/プライマー層/接着剤層/保護フィルムBの層構成からなる両面保護フィルム付偏光板を得た(第2貼合工程)。硬化後の接着剤層の厚みは約1μmであった。
<実施例2〜3>
両面の接着剤層を硬化させる際の紫外線の積算光量を表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、両面保護フィルム付偏光板を作製した。
<実施例4>
第1貼合工程で貼合する保護フィルムとして、保護フィルムAの代わりに保護フィルムC(環状ポリオレフィン系樹脂からなり紫外線吸収剤を含有する、UVB領域における積算光量の透過率が2%の保護フィルム)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、両面保護フィルム付偏光板を作製した。
<実施例5>
第1貼合工程において保護フィルムA側から紫外線を照射し、第2貼合工程を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして、片面保護フィルム付偏光板を作製した。
<比較例1〜4>
紫外線硬化性接着剤である(株)ADEKA製の「KR−70T」に光増感剤を混合することなく、そのまま保護フィルム貼合用の接着剤として用いたこと、及び両面の接着剤層を硬化させる際の紫外線の積算光量を表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、両面保護フィルム付偏光板を作製した。
<比較例5〜6>
紫外線硬化性接着剤である(株)ADEKA製の「KR−70T」に光増感剤を混合することなく、そのまま保護フィルム貼合用の接着剤として用いたこと、及び接着剤層を硬化させる際の紫外線の積算光量を表1のとおりとしたこと以外は実施例5と同様にして、片面保護フィルム付偏光板を作製した。
各実施例・比較例で使用した保護フィルムの種類及びそのUVB領域における積算光量の透過率(表1においては「UVB透過率」と記載)、照射紫外線の積算光量(照射量)、並びに接着剤中の光増感剤(1,4−ジエトキシナフタレン)の有無を表1にまとめた。
実施例1〜5の偏光板をサンシャイン カーボンアーク灯式耐候性試験機(SWOM)に150時間投入したところ、黄変などの不具合を生じなかった。また、ポットライフに関しては、実施例で使用した増感剤含有紫外線硬化性接着剤を白色LED照明の環境下におき、48時間まで経時変化を観察したところ、粘度変化はみられなかった。
〔接着剤層の硬化度の評価〕
以下に示す湿熱耐久試験により接着剤層の硬化度を評価した。接着剤層が十分に硬化している場合、この試験において偏光子の脱色(色抜け)は良好に抑制されるが、硬化が不十分であると、脱色が生じたり、斑状のムラが生じたりする。
実施例・比較例で得られた偏光板を4“サイズにチップカットし、これを粘着剤層を用いてコーニングガラスに貼合した。片面保護フィルム付偏光板においては、偏光子面に粘着剤層を貼り付けた。得られたガラス貼合サンプルを温度80℃、相対湿度90%の環境下に48時間放置した。その後、湿熱耐久試験を施していない同様の偏光板をコーニングガラスの試験した偏光板とは反対側の面にクロスニコルの関係になるように貼合した後、、暗室にてこれをバックライト上で観察して、次の基準に従って脱色の程度を評価した。Lv5であれば接着剤層(両面保護フィルム付偏光板においては両面の接着剤層)が十分に硬化していると判断できる。結果を表1に示す。
Lv1:偏光子の全体が透明に近い状態まで脱色、
Lv2:偏光子が斑状に透明に近い状態まで脱色、
Lv3:偏光子が部分的に脱色、
Lv4:脱色まではいかないが斑状のムラが確認できる、
Lv5:全く脱色がない。
Figure 0006348291
1,2 偏光板、5 偏光子、10 第1保護フィルム、15 第1接着剤層、20 第2保護フィルム、25 第2接着剤層、6 ポリビニルアルコール系樹脂層、6’ 延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層、30 基材フィルム、30’ 延伸された基材フィルム、100 積層フィルム、200 延伸フィルム、300 偏光性積層フィルム、400 貼合フィルム。

Claims (9)

  1. 厚みが2〜8μmである偏光子と、その一方の面に第1接着剤層を介して積層される第1保護フィルムとを含み、
    前記第1保護フィルムは、280〜320nmの波長域における積算光量の透過率が1〜50%であり、
    前記第1接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
    前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、偏光板。
  2. 前記第1保護フィルムは、支持フィルム上に液晶層を有する位相差フィルム、又は芳香環を含有する樹脂フィルムからなる位相差フィルムである、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光子の他方の面に第2接着剤層を介して積層される第2保護フィルムをさらに含む、請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記第2保護フィルムは、280〜320nmの波長域における積算光量の透過率が1〜50%であり、
    前記第2接着剤層は、光増感剤を含有する紫外線硬化性接着剤の硬化物からなり、
    前記光増感剤は、280〜380nmの波長域における少なくとも一部の波長域に吸収帯を有し、かつ、380nmを超える波長域には吸収帯を実質的に有しないものである、請求項3に記載の偏光板。
  5. 前記第2接着剤層に含有される光増感剤は、ナフタレン誘導体である、請求項4に記載の偏光板。
  6. 前記第2保護フィルムは、紫外線吸収剤を含有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
  7. 前記第2保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂からなる、請求項3〜のいずれか1項に記載の偏光板。
  8. 前記第1接着剤層に含有される光増感剤は、ナフタレン誘導体である、請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光板。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光板を備える表示装置。
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