JP5983723B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
さらに、本発明の第1の発明によれば、油孔は、一端部側とは反対側の他端部側において、外部の空間と連通するとともに鍔部の内部を軸方向に貫通するように形成されており、軸部と鍔部は、一体に形成されるとともに、隔離部材は、軸部と鍔部とは別体に形成されており、軸部の中心には、軸方向に貫通する空気孔が形成され、空気孔は、隔離部材により隔離された空間と、外部の空間とを連通している。
また、本発明の第2の発明によれば、ハウジング内の第1室および第2室の作動油の圧力を変化させ、ボスおよびベーンをハウジングに対して相対回動させることにより、吸気バルブまたは排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、スリーブ、導入油路、供給油路、排出油路、供給排出油路、スプールを備えており、スプールは、回転軸心と同軸上に配置される軸部と、軸方向位置に応じて、導入油路、供給油路、排出油路および供給排出油路との連通と遮断とが切り替えられる油路である油孔が形成され、軸部と一体に形成される鍔部と、を備え、軸部および鍔部は、往復移動方向の軸方向に対して金属板を積層して形成されている。
したがって、スプールの一端面には、各油路の作動油の圧力が作用しない。そのため、スプールの一端面に作動油の圧力が作用することに起因したスプールの位置決め精度の低下を回避することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1に示す。バルブタイミング調整装置10は、図2に示すエンジン1の吸気バルブ99の開閉タイミングを調整するためのものである。図2に示すように、エンジン1の駆動軸であるクランクシャフト93の回転は、スプロケット15、94、95に巻き掛けられているチェーン96を介してカムシャフト97、98に伝達される。カムシャフト97は吸気バルブ99を開閉駆動する従動軸であり、カムシャフト98は排気バルブ92を開閉駆動する従動軸である。
また、バルブタイミング調整装置10は、スプロケット15に対しカムシャフト97を回転方向とは反対方向に相対回動させることにより、吸気バルブ99の開閉タイミングを遅くする。このように吸気バルブ99の開閉タイミングが遅くなるようにカムシャフト97を相対回動させることを「遅角させる」という。
スプロケット15は、図2のチェーン96を巻き掛け可能な外歯16を形成し、図2のカムシャフト97の端部が挿通可能な挿入孔17を有している。
ボス31の筒部33は、ロックピン38を軸方向へ摺動可能に支持する摺動穴34を有している。ロックピン38は、スプロケット15の嵌合穴18に抜き差し可能であり、嵌合穴18に差し込まれるとベーンロータ30とハウジング20との相対回動を制限する。
また、回転位相が目標値よりも進角側である場合、遅角室24に作動油が供給されつつ進角室23から作動油が排出される。これにより、ベーンロータ30は、ハウジング20に対し遅角側に相対回動する。
また、回転位相が目標値と一致する場合、進角室23および遅角室24が閉じられ、ベーンロータ30の回転位相が保持される。
ベーンロータ30は、導入油路55、供給油路58、排出油路67および供給排出油路63を有している。導入油路55は、通孔56および環状溝57から構成されている。通孔56は、スリーブ41の筒部42のうち軸方向位置がスプロケット15と一致する部分を径方向へ貫通している。環状溝57は、スリーブ41の筒部42のうち軸方向位置が通孔56と一致する部分を周方向に延びている。導入油路55は、図示しないオイルポンプから圧送される作動油をスリーブ41内に導く。
一方、通路62、通路66および通路71は、油圧室と同じ数すなわち6つ設けられている。また、通路71は、通路62および通路66と比べて通路面積が大きい。
以上より、本実施形態では、排出油路67は、導入油路55、供給油路58および供給排出油路63と比べて通路面積が大きく設定されている。
軸部72は、樹脂製であり、円筒状に形成され、回転軸心と同軸上に配置されている。また軸部72は、回転軸心方向に貫通する空気孔73を有している。
金属リング77、83、88は、スプール50とスリーブ41との間に挟まろうとする異物を噛み切り、異物がスプール50とスリーブ41との間に挟まるのを防止する。
一方、空気室91は、スプール50の軸方向位置がいずれの作動位置であっても、スプール50の軸部72の空気孔73を介してドレン空間78に繋がっている。これにより、空気室91の容積が小さくなるようにスプール50が移動するとき、空気室91の空気は、空気孔73を経由してドレン空間78に抜けることが可能である。また、空気室91の容積が大きくなるようにスプール50が移動するとき、空気室91には、空気孔73を経由して空気が導入され得る。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置のスプールを図11に基づき説明する。スプール101の軸部72、第1鍔部102、および図示しない第2鍔部および第3鍔部は、樹脂製である。第1鍔部102の油孔103は、4つ設けられており、横断面形状が三角形状である。第3鍔部の油孔も第1鍔部102の油孔103と同じ形状である。
第2実施形態によれば、第1鍔部102および第3鍔部は樹脂製である。そのため、油孔103および第3鍔部の油孔を容易に形成することができる。
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置のスプールおよび隔離部を図12に基づき説明する。スプール111および「隔離手段」としての隔離部112は、厚み方向に積層された複数の金属板から構成された積層体である。
第3実施形態によれば、スプール111および隔離部112を容易に一体に形成することができる。また、樹脂成形により形成することが困難なほど油孔76、87の形状が複雑な場合であっても、積層体からなるスプール111であれば油孔を容易に形成することができる。
本発明の第4実施形態によるバルブタイミング調整装置のスプールおよび隔離部材を図13に基づき説明する。スプール121は、軸部122、第1仕切り部123、第2仕切り部124および第3仕切り部125を有する。第1仕切り部123、第2仕切り部124および第3仕切り部125は、例えばプレス加工などにより作られた後、円筒状の軸部122に圧入されている。
第4実施形態によれば、スプール121は、製作コストが安い複数の部材が組み合わされてなるため、低コストで製造可能である。
本発明の他の実施形態では、隔離部材は、スプールと同一部材から構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、排出油路の通路面積は、供給油路の通路面積と同じであってもよい。また、排出油路の通路面積を供給油路の通路面積よりも大きくする場合、排出油路を構成するスプールの通孔の数を、供給油路を構成するスプールの通孔の数と同じに設定しつつ、排出油路を構成するスプールの通孔の通路断面積を、供給油路を構成するスプールの通孔の通路断面積よりも大きく設定してもよい。
本発明の他の実施形態では、ボスは、積層体を有していなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ハウジングの形状は、ドーム形状でなくてもよい。例えば筒状であってもよい。
本発明の他の実施形態では、スプロケット以外の回転伝達部材が用いられてもよい。
本発明の他の実施形態では、バルブタイミング調整装置は、エンジンの排気バルブの開閉タイミングを調整してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
23・・・進角室(第1室) 24・・・遅角室(第2室)
31・・・ボス 35・・・ベーン
41・・・スリーブ 42・・・筒部
50・・・スプール 51・・・一端部
55・・・導入油路 58・・・供給油路
63・・・供給排出油路 67・・・排出油路
89・・・空気室(スプールの一端部とスリーブの底部との間の空間)
90・・・隔離手段
Claims (10)
- エンジンの駆動軸(93)と当該駆動軸が回転駆動する従動軸(97)との回転位相を変化させ、前記従動軸が駆動する吸気バルブ(99)または排気バルブ(92)の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、
前記駆動軸および前記従動軸の一方と一体に回転可能なハウジング(20)と、
前記ハウジング内に設けられ、前記駆動軸および前記従動軸の他方と一体に回転可能な筒状のボス(31)と、
前記ボスから放射状に延び、前記ハウジングと前記ボスとの間に区画形成される油圧室を第1室(23)と第2室(24)とに仕切り、前記第1室および前記第2室の作動油の圧力に応じて前記ボスと共に前記ハウジングに対して進角側または遅角側に相対回動するベーン(35)と、
有底筒状に形成され、前記従動軸に固定されて前記ボスの径内面に嵌合するスリーブ(41)と、
前記スリーブの筒部を径方向へ貫通し、外部から前記スリーブ内に作動油を導く導入油路(55)と、
前記スリーブの前記筒部を径方向へ貫通し、前記ボスを通って前記第1室に連通し、前記スリーブ内から前記第1室に作動油を導く供給油路(58)と、
前記スリーブの前記筒部を径方向へ貫通し、前記ボスを通って前記第1室に連通し、前記第1室から前記スリーブ内に作動油を導く排出油路(67)と、
前記スリーブの前記筒部を径方向へ貫通し、前記ボスを通って前記第2室に連通し、前記スリーブ内と前記第2室との間で作動油を導く供給排出油路(63)と、
前記スリーブ内で軸方向へ往復移動可能に設けられ、軸方向位置に応じて、前記導入油路、前記供給油路、前記排出油路および前記供給排出油路の相互の連通と遮断とを切り替えるスプール(50)と、を備え、
前記スプールは、
樹脂からなり、回転軸心と同軸上に配置される軸部(72)と、
前記軸方向位置に応じて、前記導入油路、前記供給油路、前記排出油路および前記供給排出油路との連通と遮断とが切り替えられる油路である油孔(76、87、103)を有し、前記軸部の径方向外側に設けられるとともに樹脂からなる鍔部(75、86、102)と、
金属からなり、前記鍔部の径方向外側の外周面に嵌合されるリング(77、83、88)と、
前記スリーブの底部側の一端部に固定され、前記スプールの前記一端部と前記スリーブの前記底部との間の空間(91)を前記導入油路、前記供給油路、前記排出油路および前記供給排出油路から隔離している隔離部材(90)と、
を有し、
前記油孔は、前記一端部側とは反対側の他端部側において、外部の空間(78)と連通するとともに前記鍔部の内部を軸方向に貫通するように形成されており、
前記軸部と前記鍔部は、一体に形成されるとともに、前記隔離部材は、前記軸部と前記鍔部とは別体に形成されており、
前記軸部の中心には、軸方向に貫通する空気孔(73)が形成されており、
前記空気孔は、前記隔離部材により隔離された前記空間と、外部の空間(78)とを連通することを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記油孔は、軸方向横断面において等間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記複数の油孔の横断面形状は、三角形状かつ断面中心に対して点対称に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記スプールは、前記導入油路を前記供給油路に連通させつつ前記排出油路を外部に連通させる位置に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記スプールは、前記排出油路および前記供給排出油路を外部に連通させる位置に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- エンジンの駆動軸(93)と当該駆動軸が回転駆動する従動軸(97)との回転位相を変化させ、前記従動軸が駆動する吸気バルブ(99)または排気バルブ(92)の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、
前記駆動軸および前記従動軸の一方と一体に回転可能なハウジング(20)と、
前記ハウジング内に設けられ、前記駆動軸および前記従動軸の他方と一体に回転可能な筒状のボス(31)と、
前記ボスから放射状に延び、前記ハウジングと前記ボスとの間に区画形成される油圧室を第1室(23)と第2室(24)とに仕切り、前記第1室および前記第2室の作動油の圧力に応じて前記ボスと共に前記ハウジングに対して進角側または遅角側に相対回動するベーン(35)と、
有底筒状に形成され、前記従動軸に固定されて前記ボスの径内面に嵌合するスリーブ(41)と、
前記スリーブの筒部を径方向へ貫通し、外部から前記スリーブ内に作動油を導く導入油路(55)と、
前記スリーブの前記筒部を径方向へ貫通し、前記ボスを通って前記第1室に連通し、前記スリーブ内から前記第1室に作動油を導く供給油路(58)と、
前記スリーブの前記筒部を径方向へ貫通し、前記ボスを通って前記第1室に連通し、前記第1室から前記スリーブ内に作動油を導く排出油路(67)と、
前記スリーブの前記筒部を径方向へ貫通し、前記ボスを通って前記第2室に連通し、前記スリーブ内と前記第2室との間で作動油を導く供給排出油路(63)と、
前記スリーブ内で軸方向へ往復移動可能に設けられ、軸方向位置に応じて、前記導入油路、前記供給油路、前記排出油路および前記供給排出油路の相互の連通と遮断とを切り替えるスプール(111)と、を備え、
前記スプールは、
回転軸心と同軸上に配置される軸部と、
前記軸方向位置に応じて、前記導入油路、前記供給油路、前記排出油路および前記供給排出油路との連通と遮断とが切り替えられる油路である油孔が形成され、前記軸部と一体に形成される鍔部と、を備え、
前記軸部および前記鍔部は、前記往復移動方向の軸方向に対して金属板を積層して形成されていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記油孔は、前記鍔部の内部を軸方向に貫通するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記スプールのうち、前記スリーブの底部側の一端部に固定され、前記スプールの前記一端部と前記スリーブの前記底部との間の空間(91)を前記導入油路、前記供給油路、前記排出油路および前記供給排出油路から隔離している隔離手段(112)を有し、
前記軸部の中心には、軸方向に貫通する空気孔(73)が形成されており、
前記空気孔は、前記隔離手段により隔離された前記空間と、外部の空間(78)とを連通することを特徴とする請求項6または7に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記スプールは、前記導入油路を前記供給油路に連通させつつ前記排出油路を外部に連通させる位置に移動可能であることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記スプールは、前記排出油路および前記供給排出油路を外部に連通させる位置に移動可能であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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