JP2002030909A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JP2002030909A
JP2002030909A JP2000217682A JP2000217682A JP2002030909A JP 2002030909 A JP2002030909 A JP 2002030909A JP 2000217682 A JP2000217682 A JP 2000217682A JP 2000217682 A JP2000217682 A JP 2000217682A JP 2002030909 A JP2002030909 A JP 2002030909A
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JP
Japan
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advance
valve
pressure chamber
internal combustion
valve timing
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JP2000217682A
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English (en)
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Yoshikazu Ishii
良和 石井
Mutsumi Nishimura
睦 西村
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機関停止過程において的確にストッパ機構を保
持動作させつつ、通常の機関運転時にストッパ機構が誤
作動するのを回避することのできる内燃機関のバルブタ
イミング制御装置を提供する。 【解決手段】エンジンの停止過程において、エンジン回
転数がアイドル回転数よりも低い所定値以下に低下する
と、バルブが開弁して進角側油圧室69内の作動油が連
通路を介して遅角側油圧室70に流出する。これによ
り、進角側油圧室69からの流体の流出量が増大して同
進角側油圧室69内の油圧の低下が緩やかになることは
抑制され、同油圧はストッパ機構56の保持動作が行わ
れる値まで速やかに低下する。従って、エンジン11の
停止過程でストッパ機構56の保持動作を的確に行わせ
ることを意図して、ストッパ機構56の保持動作が行わ
れる油圧を高い値に設定する必要はなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のバルブ
タイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、車載用エンジン等の内燃機関
にあっては、出力の向上やエミッションの改善等を意図
して同機関のバルブタイミングを適宜に変更するバルブ
タイミング可変機構が設けられている。こうしたバルブ
タイミング可変機構では、例えば内燃機関の吸気カムシ
ャフトに連結された可動部材と、可動部材を挟むように
設けられる進角側圧力室及び遅角側圧力室とを備えてい
る。そして、それら圧力室に選択的に作動油を供給して
油圧で可動部材を移動させることにより、同機関のクラ
ンクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を進
角側又は遅角側に変更する。このようにカムシャフトの
相対回転位相を変更することにより、同機関における吸
気バルブのバルブタイミングが変更されるようになる。
【0003】ところで、内燃機関の始動開始時には、圧
力室から作動油が抜けた状態になっており、機関始動開
始と同時に圧力室に作動油を供給し始めても、可動部材
が油圧により移動可能となるのに所定の時間を要する。
そのため、この間は、吸気バルブのバルブタイミングを
制御することができなくなるとともに、この可動部材に
油圧が働かないことから、吸気バルブの開閉駆動に伴う
反力によってカムシャフトの相対回転位相(バルブタイ
ミング)が最遅角状態となる。従って、内燃機関の始動
性を良好なものとするためには、吸気バルブのバルブタ
イミングが最遅角状態となったとき、機関始動に適した
バルブタイミング(以下、始動タイミングという)が得
られるよう同バルブタイミングの制御範囲を設定する必
要が生じる。なお、この始動タイミングとは、圧縮行程
中に機関始動に適した混合気の圧縮を行うことが可能な
バルブタイミングである。
【0004】しかし、上記のような要求が満たされるよ
うにバルブタイミングの制御範囲を設定すると、その制
御範囲が狭くなり内燃機関の全運転領域に亘ってバルブ
タイミングを最適に制御することが困難になる。そこ
で、機関始動時のバルブタイミングを最適にしつつ、バ
ルブタイミング制御の制御範囲の縮小を抑制する技術と
して、機関始動時にはカムシャフトの相対回転位相を最
遅角状態よりも所定量だけ進角した状態で固定すること
が提案されている。このようにバルブタイミングを固定
する装置としては、例えば特開平11−182214号
公報に記載されたバルブタイミング制御装置が知られて
いる。同公報に記載されたバルブタイミング制御装置
は、吸気カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態より
も所定量だけ進角した状態で、進角側と遅角側との両方
について固定するロック機構を備えている。そして、こ
のロック機構によりカムシャフトの相対回転位相が固定
される状態のとき、バルブタイミングが始動タイミング
となるようにバルブタイミング制御の制御範囲が設定さ
れる。
【0005】上記のような内燃機関ではその性質上、圧
力室に作動油が満たされていない状態、例えば機関始動
開始直後の状態にあって、クランクシャフトが回転する
ときには、吸気カムシャフトに正トルクと逆トルクとが
交互に働くこととなる。そして、機関始動開始時には、
上記逆トルクの働きによりカムシャフトの相対回転位相
が最遅角状態から進角側に変化する。そして、当該相対
回転位相が始動タイミングに対応する位相と重なったと
きにロック機構を作動させることで、同相対回転位相が
機関始動時に始動タイミングに対応する位相で固定され
ることとなる。この状態にあっては、圧力室に作動油が
満たされていなくてもバルブタイミングが始動タイミン
グに維持されるため、内燃機関の始動性を良好なものと
することができる。
【0006】ただし、ロック機構によるカムシャフトの
相対回転位相の固定は、当該相対回転位相が上記のよう
に変化する際にあって的確に始動タイミングに対応した
位相と重なったときに行わなければならない。こうした
状況での相対回転位相の固定は非常に困難であるため、
上記公報に記載のバルブタイミング制御装置では、進角
側圧力室内の油圧が所定値以下であるとき、カムシャフ
トの相対回転位相を始動タイミングに対応する位相で一
時的に保持するよう動作するストッパ機構を設けてい
る。そのため、機関停止過程や機関始動中など、進角側
圧力室内の油圧が上記所定値以下になるときには、スト
ッパ機構によりカムシャフトの相対回転位相が一時的に
始動タイミングに対応する位相に保持される。こうした
ストッパ機構の保持動作が行われた上で、ロック機構に
よるカムシャフトの相対回転位相の始動タイミングに対
応した位相での固定が行われるため、当該ロック機構に
よる固定を的確に行うことができるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ロック
機構による固定を機関始動中でなく内燃機関が停止する
過程で行う場合もあるが、機関停止過程において何らか
の理由により進角側圧力室内の油圧の低下が緩やかなも
のになると、同油圧がストッパ機構の保持動作を行わせ
る値まで低下するのに時間がかかる。
【0008】この場合、内燃機関の停止完了前であって
ロック機構による固定が行われる前にストッパ機構の保
持動作を行わせるために、ストッパ機構が保持動作する
油圧(上記所定値)を予め高めに設定し、進角側圧力室
内の油圧の低下が緩やかな場合でもストッパ機構の保持
動作が的確に行われるようにすることが考えられる。
【0009】しかし、ストッパ機構が保持動作する油圧
を高めに設定すると、アイドル運転時など上記油圧が比
較的低くなる通常の機関運転時にもストッパ機構がカム
シャフトの相対回転位相を一時的に保持するよう動作す
るおそれがある。そして、こうしたストッパ機構の誤動
作に伴いカムシャフトの相対回転位相の保持が行われる
と、通常の機関運転時にバルブタイミング制御の制御範
囲が制限されてしまう。
【0010】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、機関停止過程において的確
にストッパ機構を保持動作させつつ、通常の機関運転時
にストッパ機構が誤作動するのを回避することのできる
内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。上記
目的を達成するため、請求項1記載の発明では、進角側
圧力室及び遅角側圧力室内の流体圧に基づき内燃機関の
クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相
を変更するバルブタイミング可変機構と、前記カムシャ
フトの相対回転位相を最遅角状態よりも所定量だけ進角
した所定進角状態で固定するロック機構とを備える内燃
機関のバルブタイミング制御装置において、前記進角側
圧力室内の流体圧が所定値以下になるとき、前記カムシ
ャフトの相対回転位相を一時的に前記所定進角状態に保
持するよう動作するストッパ機構と、内燃機関が停止す
る過程で前記進角側圧力室内の流体圧が前記所定値に向
けて低下する際、その流体圧の低下速度を大きくする低
下速度増大手段とを備えた。
【0012】上記の構成によれば、内燃機関が停止する
過程において、進角側圧力室の流体圧の低下が何らかの
理由により緩やかであっても、この流体圧の低下速度が
低下速度増大手段によって増大されることからストッパ
機構を的確に保持動作させることができる。このため、
上記進角側圧力室の流体圧の低下速度が緩やかなときに
確実にストッパ機構を保持動作させるべく、当該保持動
作の行われる流体圧(上記所定値)を高めに設定する必
要がなくなり、こうした設定に伴い通常の機関運転時に
誤ってストッパ機構の保持動作が行われるのを回避する
ことができる。
【0013】なお、ストッパ機構による保持動作が行わ
れる流体圧の基準となる上記所定値としては、例えばロ
ック機構によるカムシャフトの相対回転位相の固定が行
われる前にストッパ機構の保持動作が行われる値を採用
することが考えられる。このようにすれば、ストッパ機
構による保持動作が行われた上でロック機構による上記
固定を的確に行うことができる。
【0014】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明において、内燃機関が停止する過程で、前記カムシ
ャフトの相対回転位相を前記所定進角状態に維持すべ
く、前記進角側圧力室及び前記遅角側圧力室内の流体圧
を調整する流体圧調整手段を備え、前記低下速度増大手
段は、前記進角側圧力室内からの流体の流出量を増大さ
せるものとした。
【0015】内燃機関の停止過程で、進角側圧力室及び
遅角側圧力室内の流体圧の調整に基づき、カムシャフト
の相対回転位相が所定進角状態に維持されるときには、
それら圧力室に流体が満たされた状態となる。この状態
にあっては、カムシャフトの回転に伴う反力が同シャフ
トに働いて相対回転位相を変化させようとし、これに伴
い進角側圧力室内の流体が圧縮されて流体圧が低下しに
くくなる。その結果、当該流体圧の低下が緩やかになっ
て、内燃機関の停止過程でストッパ機構の保持動作が行
われなくなるおそれがある。しかし、進角側圧力室内か
らの流体の流出量が増大される上記の構成によれば、上
記のように流体圧の低下が緩やかになるのを抑制して、
内燃機関の停止過程で的確にストッパ機構の保持動作を
行わせることができる。
【0016】請求項3記載の発明では、請求項2記載の
発明において、前記カムシャフトの相対回転位相が前記
所定進角状態となるよう進角側に付勢する付勢手段を更
に備えた。
【0017】カムシャフトには、同シャフトを回転させ
る際の反力がカムシャフトの相対回転位相を遅角側に変
化させる方向に働くこととなり、これにより内燃機関の
停止過程においてカムシャフトの相対回転位相が所定進
角状態に維持されにくくなる。しかし、上記の構成によ
れば、付勢手段の付勢力が上記相対回転位相を進角させ
る方向に働くため、内燃機関の停止過程において上記相
対回転位相を所定進角状態に維持し易くなる。
【0018】請求項4記載の発明では、請求項2又は3
記載の発明において、前記低下速度増大手段は、前記進
角側圧力室内の流体を前記遅角側圧力室に流出させるも
のとした。
【0019】内燃機関の停止過程でカムシャフトの相対
回転位相が所定進角状態に維持され、進角側圧力室及び
遅角側圧力室に流体が満たされている状態にあって、カ
ムシャフトの回転に伴う反力に基づき上記相対回転位相
が遅角側に変化しようとすると、進角側圧力室内の流体
が圧縮されて流体圧が低下しにくくなるため、当該流体
圧の低下が緩やかになって内燃機関の停止過程でストッ
パ機構の保持動作が行われなくなるおそれがある。しか
し、上記の構成によれば、内燃機関の停止過程におい
て、進角側圧力室内の流体が前記遅角側圧力室に流出す
るため、進角側圧力室内の流体圧の低下が緩やかになる
のを抑制し、的確にストッパ機構の保持動作を行わせる
ことができる。
【0020】請求項5記載の発明では、請求項4記載の
発明において、前記低下速度増大手段は、前記進角側圧
力室と前記遅角側圧力室とを連通する連通路と、前記連
通路に設けられて内燃機関の停止過程で開弁するバルブ
とを備えた。
【0021】上記の構成によれば、内燃機関の停止過程
で連通路のバルブが開弁して進角側圧力室の流体が連通
路を介して遅角側圧力室に流出する。そのため、進角側
圧力室内からの流体の流出量が増大し、流体圧の低下が
緩やかになることは抑制され、的確にストッパ機構の保
持動作が行われるようになる。
【0022】請求項6記載の発明では、請求項5記載の
発明において、前記バルブは、機関回転数がアイドル回
転数よりも低い所定値以下になったときに開弁するもの
とした。
【0023】上記の構成によれば、内燃機関の停止過程
において機関回転数がアイドル回転数よりも低くなり上
記所定値以下になると、上記バルブが開弁して進角側圧
力室内の流体が連通路を介して遅角側圧力室に流出し、
進角側圧力室内の流体圧の低下が緩やかになることは抑
制される。こうして、内燃機関の停止過程において進角
側圧力室内の流体圧を的確に低減し、ストッパ機構の保
持動作を的確に行わせることができるようになる。
【0024】なお、上記バルブとしては、例えばバルブ
タイミング可変機構が機関回転に伴い回転する際に働く
遠心力に基づき開閉するバルブを採用することが考えら
れる。こうしたバルブを採用すれば、簡単な構成で機関
回転数に応じて同バルブの開閉を行うことができるよう
になる。
【0025】請求項7記載の発明では、請求項6記載の
発明において、前記バルブタイミング可変機構は、前記
カムシャフトに取り付けられて前記進角側圧力室及び前
記遅角側圧力室内の流体圧を受けて前記カムシャフトの
相対回転位相を変化させる方向に移動する可動部材を備
え、前記連通路の前記遅角側圧力室内で開口する開口部
は、前記クランクシャフトの相対回転位相が前記所定進
角状態よりも進角側にしたとき、前記可動部材によって
閉塞されるように位置するものとした。
【0026】上記の構成によれば、内燃機関の停止過程
において、バルブが開弁して連通路により進角側圧力室
と遅角側圧力室とが連通しているとき、何らかの理由で
吸気カムシャフトの相対回転位相が所定進角状態よりも
進角側に変化すると、可動部材によって連通路の遅角側
圧力室内で開口する開口部が閉塞される。その結果、上
記相対回転位相の進角側への変化に伴い遅角側圧力室内
の流体圧が高まり、可動部材が遅角側に押し戻されて吸
気カムシャフトの相対回転位相も所定進角状態に向けて
遅角側に戻される。このため、内燃機関の停止過程にお
いて、吸気カムシャフトの相対回転位相を所定進角状態
に維持し易くなる。
【0027】請求項8記載の発明では、請求項2又は3
記載の発明において、前記低下速度増大手段は、前記進
角側圧力室内の流体を前記バルブタイミング可変機構の
外部に流出させるものとした。
【0028】内燃機関の停止過程でカムシャフトの相対
回転位相が所定進角状態に維持され、進角側圧力室及び
遅角側圧力室に流体が満たされている状態にあって、カ
ムシャフトの回転に伴う反力に基づき上記相対回転位相
が遅角側に変化しようとすると、進角側圧力室内の流体
が圧縮されて流体圧が低下しにくくなるため、当該流体
圧の低下が緩やかになってストッパ機構の保持動作が行
われなくなるおそれがある。しかし、上記の構成によれ
ば、内燃機関の停止過程において、進角側圧力室内の流
体がバルブタイミング可変機構の外部に流出するため、
進角側圧力室内の流体圧の低下が緩やかになるのを抑制
し、的確にストッパ機構の保持動作を行わせることがで
きる。
【0029】請求項9記載の発明では、請求項8記載の
発明において、前記流体圧調整手段は、前記進角側圧力
室及び遅角側圧力室内に対する流体の給排を制御すべく
弁位置が変更される制御弁と、同制御弁の弁位置を制御
する制御手段とを備え、前記低下速度増大手段は、前記
制御弁を前記進角側圧力室から流体を流出させる弁位置
に制御する前記制御手段を含むものとした。
【0030】上記の構成によれば、内燃機関の停止過程
で制御弁が進角側圧力室から流体を流出させる弁位置に
制御され、これにより進角側圧力室から流体がバルブタ
イミング可変機構の外部に流出する。そのため、進角側
圧力室内からの流体量が増大し、流体圧の低下が緩やか
になることは抑制され、的確にストッパ機構の保持動作
が行われるようになる。
【0031】請求項10記載の発明では、請求項9記載
の発明において、前記低下速度増大手段は、前記進角側
圧力室と前記遅角側圧力室との両方から流体を前記バル
ブタイミング可変機構の外部に流出させる弁位置を有す
る前記制御弁と、当該弁位置に前記制御弁を制御する前
記制御手段とを含むものとした。
【0032】上記の構成によれば、内燃機関の停止過程
で制御弁が進角側圧力室と遅角側圧力室との両方から流
体を流出させる弁位置に制御され、これにより進角側圧
力室から流体がバルブタイミング可変機構の外部に流出
し、進角側圧力室内の流体圧の低下が緩やかになること
は抑制される。また、このときには遅角側圧力室からも
流体がバルブタイミング可変機構の外部に流出して遅角
側圧力室内の流体圧が低減されるため、同遅角側圧力室
内の流体圧に基づき吸気カムシャフトの相対回転位相が
遅角側に変化して進角側圧力室内の流体が圧縮されるの
を抑制することもできる。こうして内燃機関の停止過程
において、進角側圧力室内の流体圧を速やかに低減する
ことができるようになる。
【0033】なお、上記制御弁としては、電磁ソレノイ
ドを備える電磁弁を採用することが考えられる。この場
合、電磁ソレノイドに対する電圧印加を制御することで
電磁弁の弁位置が制御されることとなるが、電磁ソレノ
イドの印加電圧が「0」のときの弁位置にて、進角側圧
力室と遅角側圧力室との両方から流体が流出するよう電
磁弁を設定することが好ましい。このようにすれば、電
磁ソレノイドの断線といった異常が電磁弁に生じたとき
でも、進角側圧力室及び遅角側圧力室から流体を流出さ
せることができる。そして、それら圧力室から流体を流
出させることで圧力室内の流体圧が最終的に「0」とな
る。この状態にあっては、付勢手段の付勢力若しくは吸
気カムシャフトを回転させる際の反力に基づき、同吸気
カムシャフトの相対回転位相が所定進角状態に向けて変
化し、ストッパ機構及びロック機構により上記相対回転
位相が所定進角状態で固定される。こうして制御弁に上
記のような異常が発生したとき、吸気カムシャフトの相
対回転位相を所定進角状態で固定して退避運転を行うこ
とができるようになる。
【0034】請求項11記載の発明では、請求項9又は
10記載の発明において、前記制御手段は、機関回転数
がアイドル回転数よりも低い所定値以下になったときに
前記進角側圧力室から流体が流出する弁位置に前記制御
弁を制御するものとした。
【0035】上記の構成によれば、内燃機関の停止過程
において、機関回転数がアイドル回転数よりも低い所定
値以下になると、制御弁が進角側圧力室から流体を流出
させる弁位置に制御される。これにより、進角側圧力室
内からバルブタイミング可変機構の外部への流体の流出
量が増大し、進角側圧力室内の流体圧の低下が緩やかに
なることは抑制される。こうして、内燃機関の停止過程
において進角側圧力室内の流体圧を的確に低減し、スト
ッパ機構の保持動作を的確に行わせることができるよう
になる。
【0036】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
自動車用エンジンに適用した第1実施形態を図1〜図9
に従って説明する。
【0037】図1に示すように、エンジン11のシリン
ダブロック11aには、各気筒毎に合計四つのピストン
12(図1には一つのみ図示)が往復移動可能に設けら
れている。このピストン12は、コネクティングロッド
13を介してエンジン11の出力軸であるクランクシャ
フト14に連結されている。そして、ピストン12の往
復移動は、コネクティングロッド13によってクランク
シャフト14の回転へと変換されるようになっている。
【0038】上記シリンダブロック11aの上端に設け
られたシリンダヘッド15と上記ピストン12との間に
は燃焼室16が設けられている。この燃焼室16にはシ
リンダヘッド15に設けられた吸気ポート17及び排気
ポート18が連通し、吸気ポート17及び排気ポート1
8には吸気通路32及び排気通路33が連通している。
それら吸気ポート17及び排気ポート18には、それぞ
れ吸気バルブ19及び排気バルブ20が設けられてい
る。
【0039】また、シリンダヘッド15には、上記吸気
バルブ19及び排気バルブ20を開閉駆動するための吸
気カムシャフト21及び排気カムシャフト22が回転可
能に支持されている。これら吸気及び排気カムシャフト
21,22には、クランクシャフト14の回転がギヤ及
びチェーン等を介して伝達される。そして、吸気カムシ
ャフト21が回転すると、吸気バルブ19が開閉駆動さ
れて、吸気ポート17と燃焼室16とが連通・遮断され
る。また、排気カムシャフト22が回転すると、排気バ
ルブ20が開閉駆動されて、排気ポート18と燃焼室1
6とが連通・遮断される。
【0040】一方、吸気通路32の下流端には、吸気ポ
ート17内に燃料を噴射するための燃料噴射弁37が設
けられている。この燃料噴射弁37は、エンジン11の
吸気行程にて吸気通路32内の空気が燃焼室16へ吸入
されるとき、吸気ポート17内に燃料を噴射して燃料及
び空気からなる混合気を形成する。
【0041】また、シリンダヘッド15には、燃焼室1
6内に充填された混合気に対して点火を行うための点火
プラグ38が設けられている。そして、燃焼室16内の
混合気に対し点火が行われて混合気が燃焼すると、その
燃焼エネルギーによってピストン12が往復移動してク
ランクシャフト14が回転し、エンジン11が駆動され
る。燃焼室16内で燃焼した混合気は、エンジン11の
排気行程中にピストン12の上昇により排気として排気
通路33へ送り出される。
【0042】次に、上記エンジン11における吸気バル
ブ19の開閉タイミング(バルブタイミング)を可変と
するバルブタイミング可変機構24について図2を参照
して説明する。
【0043】図2に示すように、バルブタイミング可変
機構24が取り付けられる吸気カムシャフト21は、そ
のジャーナル21aがシリンダヘッド15の軸受部15
aにより回転可能に支持されている。バルブタイミング
可変機構24は、クランクシャフト14の回転がチェー
ン等を介して伝達されるギヤ24aと、吸気カムシャフ
ト21の先端面にボルト42によって固定された回転部
材41とを備えている。上記ギヤ24aは、その中心部
を貫通する吸気カムシャフト21に対して相対回転可能
となっている。
【0044】また、ギヤ24aの先端面(図中左側面)
には回転部材41を囲うように設けられたリングカバー
44が当接し、同リングカバー44の先端開口部は閉塞
板45によって塞がれている。そして、ギヤ24a、リ
ングカバー44、及び閉塞板45は、ボルト46によっ
て一体回転可能に固定されている。従って、吸気カムシ
ャフト21と回転部材41とは同シャフト21の軸線L
を中心に一体回転可能となっており、これらに対し上記
ギヤ24a、リングカバー44、及び閉塞板45は軸線
Lを中心に相対回転可能となっている。
【0045】バルブタイミング可変機構24には、上記
軸受部15aや吸気カムシャフト21等に図示のごとく
形成された進角側油路47や遅角側油路48から作動油
が供給される。このように作動油が供給されてバルブタ
イミング可変機構24が作動すると、クランクシャフト
14に対する吸気カムシャフト21の相対回転位相が進
角側又は遅角側に変更され、吸気バルブ19のバルブタ
イミングが変更されるようになる。
【0046】上記進角側油路47及び遅角側油路48
は、オイルコントロールバルブ(OCV)49に接続さ
れている。また、OCV49には供給通路50及び排出
通路51が接続されている。そして、供給通路50はク
ランクシャフト14の回転に伴って駆動されるオイルポ
ンプ52を介してエンジン11の下部に設けられたオイ
ルパン11cに繋がっており、排出通路51は直接オイ
ルパン11cに繋がっている。
【0047】OCV49は、四つの弁部64を有してコ
イルスプリング62及び電磁ソレノイド65により、そ
れぞれ逆の方向に付勢されるスプール63を備えてい
る。このOCV49においては、その電磁ソレノイド6
5に対する電圧印加が電子制御ユニット(以下、ECU
という)92によってデューティ制御されることに基づ
き、スプール63の位置(弁位置)が制御される。
【0048】即ち、ECU92により電磁ソレノイド6
5に対する電圧印加のデューティ比が100%にされる
と、スプール63がコイルスプリング62の付勢力に抗
して一端側(図中左側)に配置される。この状態にあっ
ては、進角側油路47と供給通路50とが連通してオイ
ルパン11c内の作動油がオイルポンプ52により進角
側油路47へ送り出されるとともに、遅角側油路48と
排出通路51とが連通して遅角側油路48内の作動油が
オイルパン11c内へ戻される。
【0049】また、ECU92により電磁ソレノイド6
5に対する電圧印加のデューティ比が0%にされると、
スプール63がコイルスプリング62の付勢力により他
端側(図中右側)に配置される。この状態にあっては、
遅角側油路48と供給通路50とが連通してオイルパン
11c内の作動油がオイルポンプ52により遅角側油路
48に送り出されるとともに、進角側油路47と排出通
路51とが連通して進角側油路47内の作動油がオイル
パン11c内へ戻される。
【0050】次に、バルブタイミング可変機構24にお
ける回転部材41及びリングカバー44の詳細構造につ
いて図3を参照して説明する。図3に示すように、リン
グカバー44の内周面44aには、吸気カムシャフト2
1(図2)の軸線Lへ向かって突出する四つの張出部6
6が、リングカバー44の周方向について所定間隔毎に
形成されている。この各張出部66間には、それぞれ溝
部67がリングカバー44の周方向について所定間隔毎
に形成されている。また、回転部材41は、その外周面
から各溝部67に挿入されるように外側方へ突出する四
つのベーン68a〜68dを備えている。これらベーン
68a〜68dが挿入された各溝部67内は、同ベーン
68a〜68dにより進角側油圧室69及び遅角側油圧
室70に区画されている。これら進角側油圧室69及び
遅角側油圧室70は、ベーン68a〜68dを回転部材
41の周方向両側から挟むように位置している。そし
て、進角側油圧室69には回転部材41内を通過するよ
うに形成された上記進角側油路47が連通し、遅角側油
圧室70にはギヤ24a内を通過するように形成された
上記遅角側油路48が連通している。
【0051】こうしたバルブタイミング可変機構24に
あって、ECU92によりOCV49の電磁ソレノイド
65に対する電圧印加のデューティ比が100%にされ
ると、進角側油路47から進角側油圧室69へ作動油が
供給されるとともに、遅角側油圧室70から遅角側油路
48を介して作動油が排出される。その結果、各ベーン
68a〜68dが矢印A方向へ相対移動することにより
回転部材41が図中右方向に相対回動し、ギヤ24a
(クランクシャフト14)に対する吸気カムシャフト2
1の相対回転位相が変更される。因みに同バルブタイミ
ング可変機構24にあっては、クランクシャフト14の
回転がチェーン等を介してギヤ24aに伝達されると、
このギヤ24a及び吸気カムシャフト21は共に図中右
方向に回転する。従って、上記矢印A方向についての各
ベーン68a〜68dの相対移動が行われると、吸気カ
ムシャフト21がクランクシャフト14に対して進角
し、その結果、吸気バルブ19のバルブタイミングも進
角するようになる。
【0052】また、ECU92によりOCV49の電磁
ソレノイド65に対する電圧印加のデューティ比が0%
にされると、遅角側油路48から遅角側油圧室70へ作
動油が供給されるとともに、進角側油圧室69から進角
側油路47を介して作動油が排出される。その結果、各
ベーン68a〜68dが矢印Aと逆方向へ相対移動する
ことにより回転部材41が同中左方向に相対回動し、ギ
ヤ24a(クランクシャフト14)に対する吸気カムシ
ャフト21の相対回転位相が上記と逆方向に変更され
る。同バルブタイミング可変機構24にあっては、この
場合、吸気カムシャフト21がクランクシャフト14に
対して遅角し、その結果、吸気バルブ19のバルブタイ
ミングも遅角するようになる。
【0053】従って、ECU92により電磁ソレノイド
65に対する電圧印加のデューティ比を0〜100%の
間で任意に変更することにより、進角側油圧室69及び
遅角側油圧室70に対する作動油の供給・排出が制御さ
れ、これら油圧室69,70内の油圧が制御されること
となる。こうして進角側油圧室69及び遅角側油圧室7
0内の油圧を制御することにより、吸気バルブ19のバ
ルブタイミングを変更したり所定の状態に維持したりす
ることが可能になる。
【0054】しかし、エンジン11の始動開始時には、
進角側油圧室69及び遅角側油圧室70から作動油が抜
けた状態になっているため、それら油圧室69,70に
作動油を供給し始めてから実際にバルブタイミングを制
御したり固定したりすることが可能な油圧を確保するの
には所定の時間を要する。そのため、エンジン11の始
動開始から所定時間が経過するまでは、後述するロック
機構76により吸気バルブ19のバルブタイミングをエ
ンジン11の始動に適したタイミング(以下、始動タイ
ミングという)に固定するようにしている。
【0055】ここで、吸気バルブ19のバルブタイミン
グを上記のように固定するための構造、即ちクランクシ
ャフト14に対する吸気カムシャフト21の相対回転位
相を固定するための構造について図3、図4、図6、図
7を参照して説明する。
【0056】図3に示すように、回転部材41の各ベー
ン68a〜68dのうち、二つのベーン68b,68d
にはそれぞれ押出機構53が軸線Lについて線対称とな
るように設けられている。これら押出機構53は、吸気
カムシャフト21の相対回転位相を最遅角状態よりも所
定量だけ進角した所定進角状態となるよう進角側への付
勢を行うためのものである。これら押出機構53は、周
方向に伸縮するコイルスプリング54により付勢されて
進角側油圧室69内に突出する押しピン55を備えてい
る。そして、押しピン55の先端が進角側油圧室69の
内側面に当接した状態にあっては、コイルスプリング5
4によって回転部材41が進角側(図中矢印A側)に付
勢されるようになる。
【0057】そして、吸気カムシャフト21の相対回転
位相が上記所定進角状態となったときに吸気バルブ19
のバルブタイミングが上記始動タイミングとなるよう、
同バルブタイミングの制御範囲が設定される。その結
果、吸気バルブ19においては、そのバルブタイミング
の制御範囲の遅角側の限界が上記始動タイミングよりも
更に遅角側に設定されることとなる。そのため、吸気バ
ルブ19のバルブタイミングの制御範囲が広範囲にな
り、エンジン11の全ての運転領域に亘って吸気バルブ
19のバルブタイミングを最適に制御することが可能と
なる。
【0058】また、バルブタイミング可変機構24(ベ
ーン68c等)には、バルブタイミングが始動タイミン
グとなる状態で、吸気カムシャフト21の相対回転位相
を進角側と遅角側との両方について固定するためのロッ
ク機構76が設けられている。このロック機構76の詳
細構造を図4に示す。図4は、図3に示されるロック機
構76を矢印D−D方向から見た断面図である。
【0059】図4に示されるように、ロック機構76
は、ベーン68cに設けられてコイルスプリング80に
よりギヤ24aに向かって付勢されるロックピン78
と、ギヤ24aに設けられてロックピン78の先端が挿
入される穴79とを備えている。上記ロックピン78及
びコイルスプリング80は、ベーン68cに形成された
収容孔81内に配設されている。ロックピン78の外周
面にはフランジ78aが形成され、このフランジ78a
により収容孔81内においてロックピン78の先端寄り
の位置に油室82が区画形成されている。この油室82
は、通路83を介して遅角側油圧室70に連通してお
り、同遅角側油圧室70から作動油が供給されるように
なっている。一方、ロックピン78の先端が挿入される
穴79において、その底部には油室84が形成されてい
る。油室84は、通路85を介して進角側油圧室69に
連通しており、この進角側油圧室69から作動油が供給
されるようになっている。
【0060】こうしたロック機構76は、進角側油圧室
69及び遅角側油圧室70に供給される作動油の圧力、
即ちこれら油圧室69,70内の油圧に応じて、吸気カ
ムシャフト21の相対回転位相の固定及び同固定の解除
を行う。
【0061】エンジン11の運転中であって進角側油圧
室69と遅角側油圧室70との少なくとも一方に作動油
が供給されているときには、上記油室82,84内にお
ける少なくとも一方の油圧によりロックピン78がコイ
ルスプリング80の付勢力に抗して穴79から抜き出さ
れた状態に維持される。このときには、ロック機構76
による吸気カムシャフト21の相対回転位相(吸気バル
ブ19のバルブタイミング)の進角側及び遅角側につい
ての固定が解除された状態に維持される。
【0062】また、エンジン11が停止する過程におい
て、クランクシャフト14の回転速度が徐々に低下する
と、オイルポンプ52により進角側油圧室69及び遅角
側油圧室70に送り出される作動油の量が徐々に低下す
る。こうしたエンジン11の停止過程にあって、ECU
92は、OCV49を制御することにより、吸気バルブ
19のバルブタイミングが始動タイミングに維持される
よう進角側油圧室69及び遅角側油圧室70内の油圧を
調整する。
【0063】このとき、吸気カムシャフト21には吸気
バルブ19を開閉駆動する際の反力による回転トルクが
同シャフト21の相対回転位相を遅角側に変化させる方
向に働くこととなる。しかし、吸気カムシャフト21に
は押出機構53のコイルスプリング80による付勢力に
伴う付勢トルクが同シャフト21の相対回転位相を進角
側に変化させる方向に働く。このように吸気カムシャフ
ト21に上記回転トルクが働いても、これと反対方向に
付勢トルクが働くため、エンジン11の停止過程におい
て吸気バルブ19のバルブタイミングを始動タイミング
に維持し易くなる。
【0064】そして、クランクシャフトの回転低下に伴
い進角側油圧室69及び遅角側油圧室70内における油
圧が低下すると、それに応じてロック機構76の油室8
2,84内における油圧も低下するようになる。これら
の油圧がロックピン78をコイルスプリング80の付勢
力に抗して収容孔81に没入させておくことが不可能な
値まで低下すると、ロックピン78がコイルスプリング
80の付勢力によって収容孔81から突出しようとす
る。このとき、バルブタイミングが始動タイミングとな
っており、収容孔81が穴79と的確に重なっていれ
ば、ロックピン78が収容孔81から突出して穴79に
挿入され、吸気カムシャフト21の相対回転位相が進角
側と遅角側との両方について固定される。
【0065】ただし、上記のようにロックピン78が突
出しようとするときには、OCV49の制御により吸気
バルブ19のバルブタイミングを始動タイミングに維持
するとはいえ、上記回転トルク及び付勢トルク等によっ
て吸気カムシャフト21の相対回転位相(吸気バルブ1
9のバルブタイミング)が微妙に変動している可能性が
高い。こうした相対回転位相の変動中にあって、ロック
ピン78が突出しようとするときに、ちょうど収容孔8
1が穴79に的確に重なるようにするのは非常に困難で
あり、収容孔81と穴79とが少しでもずれていると、
突出しようとするロックピン78が穴79に挿入されな
いことになる。
【0066】そのため、バルブタイミング可変機構24
には、上記のようにロックピン78が突出しようとする
前に、吸気カムシャフト21の相対回転位相を始動タイ
ミングに対応する位相で一時的に保持するため保持動作
を行うストッパ機構56が設けられている。このストッ
パ機構56は、図3に示すようにバルブタイミング可変
機構24においてベーン68aの隣の進角側油圧室69
に対応する位置に設けられ、進角側油圧室69内の油圧
に応じて上記保持動作が行われるものである。そして、
こうしたストッパ機構56の保持動作が行われた上で上
記ロックピン78を突出させることにより、ロック機構
76による吸気カムシャフト21の相対回転位相の固定
を的確に行うことができるようになる。
【0067】ここで、ストッパ機構56の構造を図6及
び図7を参照して説明する。図6は、図3のストッパ機
構56を矢印B−B方向から見た断面図である。図6に
示されるように、ストッパ機構56は、コイルスプリン
グ57によりギヤ24aから進角側油圧室69内に向か
って付勢されるストッパピン58を備えている。これら
コイルスプリング57及びストッパピン58は、上記ギ
ヤ24aに形成されて吸気カムシャフト21の軸線L
(図3)と並行に延びる収容孔60内に配設されてい
る。上記ストッパピン58には大径部58aが形成され
るとともに収容孔60には小径部60aが形成され、こ
の小径部60aの内径は上記大径部58aの外径よりも
小さい値となっている。
【0068】そして、進角側油圧室69内の油圧が所定
値よりも大きいときには、その油圧による力がコイルス
プリング57の付勢力に抗して働き、ストッパピン58
が図7に示されるように収容孔60内に没入する。ま
た、進角側油圧室69内の油圧が上記所定値以下になる
と、コイルスプリング57の付勢力によりストッパピン
58が図6に示されるように収容孔60から進角側油圧
室69内に突出する。このときには、ストッパピン58
の大径部58aが収容孔60の小径部60aに引っ掛か
り、ストッパピン58が過度に進角側油圧室69内に突
出しないようになっている。
【0069】ストッパピン58が進角側油圧室69内に
突出した状態にあっては、吸気バルブ19のバルブタイ
ミングが始動タイミングよりも遅角側に変化するような
ベーン68aの遅角側への移動がストッパピン58によ
って規制される。これにより、吸気カムシャフト21の
相対回転位相が始動タイミングに対応する位相(所定進
角状態)に一時的に保持されるようになる。
【0070】上記ストッパピン58の突出というストッ
パ機構56の保持動作は、進角側油圧室69内の油圧が
上記所定値以下が否かに応じて行われるが、この所定値
はコイルスプリング57の付勢力や進角側油圧室69内
の油圧に対するストッパピン58の受圧面積等によって
変化する。本実施形態では、上記所定値が例えばエンジ
ン11の停止過程においてロック機構76による固定が
行われる前にストッパ機構56の保持動作が行われる値
となるよう、コイルスプリング57の付勢力及びストッ
パピン58の受圧面積等が調整される。このように上記
所定値を設定すれば、エンジン11の停止過程でストッ
パ機構56の保持動作が行われた上でのロック機構によ
る固定を的確に行うことが可能になる。
【0071】次に、エンジン11が停止する過程におけ
る進角側油圧室69内の油圧の低下態様について図5の
タイムチャートを参照して説明する。この図5は、エン
ジン11の停止開始後の時間経過に伴うエンジン回転数
の変化、及び進角側油圧室69内の油圧の変化を概略的
に示すものである。
【0072】エンジン11の停止開始後において、EC
U92は、OCV49の電磁ソレノイド65に対する電
圧印加をデューティ制御することにより、吸気カムシャ
フト21の相対回転位相が始動タイミングに対応する位
相に維持されるよう、進角側油圧室69及び遅角側油圧
室70内の油圧を制御する。この状態にあっては、エン
ジン回転数がアイドル回転数から図5に実線L1で示さ
れるように徐々に低下する。それに伴いオイルポンプ5
2の作動油吐出量も徐々に低下し、進角側油圧室69内
の油圧も上記のような油圧制御が行われる際に徐々に低
下することとなる。このとき、何らかの理由により進角
側油圧室69内の油圧の低下が図5に破線L3で示され
るように緩やかになり、同油圧の上記所定値よりも高い
状態が長くなると、ロック機構76による固定の前にス
トッパ機構56の保持動作を行わせることが困難にな
る。
【0073】なお、進角側油圧室69内の油圧の低下が
緩やかになる一因として、エンジン11の停止過程では
吸気カムシャフト21の相対回転位相が始動タイミング
に対応した位相に維持されるよう、進角側油圧室69及
び遅角側油圧室70に対する作動油の供給・排出がOC
V49によって制御されることがあげられる。即ち、こ
のときには、進角側油圧室69及び遅角側油圧室70内
が作動油によって満たされるため、吸気カムシャフト2
1が上記回転トルク等によって遅角側に変化しようとす
ると、ベーン68aも遅角側に移動しようとして進角側
油圧室69内の作動油が圧縮されて油圧の低下が緩やか
なものになる。こうして進角側油圧室69内の油圧の低
下が緩やかになることで、エンジン11の停止過程にお
いてストッパ機構56による保持動作が行われなくなる
おそれがある。
【0074】このような不具合を回避するためにストッ
パ機構56の保持動作の行われる油圧(上記所定値)を
高めに設定することも考えられるが、この場合にはアイ
ドル運転時など通常運転時であっても進角側油圧室69
内の油圧が比較的低くなるときにストッパ機構56の保
持動作が誤って行われる可能性がある。そして、こうし
たストッパ機構56の誤動作に伴い吸気カムシャフト2
1の相対回転位相の保持が行われると、吸気バルブ19
のバルブタイミングを始動タイミングよりも遅角側に変
化させることができなくなり、バルブタイミング制御の
制御範囲が制限されてしまう。
【0075】そこで本実施形態では、エンジン11の停
止過程において、進角側油圧室69内の油圧が低下する
際に進角側油圧室69内の作動油が上記のように圧縮さ
れたとき、同作動油を遅角側油圧室70に流出させて進
角側油圧室69からの作動油の流出量を増大させる。こ
れにより、進角側油圧室16内の油圧が低下する際、そ
の低下速度が図5に破線L3で示される状態から実線L
2で示される状態へと増大する。その結果、ストッパ機
構56の保持動作の行われる油圧(上記所定値)を高め
に設定せずとも、エンジン11の停止過程で的確にスト
ッパ機構56による保持動作が行われる。
【0076】そして、上記のように進角側油圧室69内
の流体を遅角側油圧室70に流出させるべくバルブタイ
ミング可変機構24には、進角側油圧室69と遅角側油
圧室70とを連通する連通路87と、同連通路87に設
けられてエンジン11の停止過程で開弁するバルブ88
とが設けられている。
【0077】ここで、これら連通路87及びバルブ88
について図8及び図9を参照して詳しく説明する。この
図8はベーン68aの隣に位置する進角側油圧室69と
遅角側油圧室70との連通路87による連通構造を示す
断面図であり、図9は図8に示されるバルブ88を矢印
C−C方向から見た断面図である。なお、上記連通路8
7とバルブ88とは、ベーン68aの隣に位置する進角
側油圧室69と遅角側油圧室70との間だけでなく、ベ
ーン68b〜68dの隣に位置する進角側油圧室69と
遅角側油圧室70との間にも設けられている。
【0078】図8に示されるように、連通路87はギヤ
24a内を通過して進角側油圧室69と遅角側油圧室7
0とを連通するように形成されており、この連通路87
の途中にはバルブ88が設けられている。このバルブ8
8は、エンジン11の通常運転時には閉弁した状態にあ
って、進角側油圧室69と遅角側油圧室70との間の連
通路87を介した作動油の行き来が行われないようにす
る。また、バルブ88は、エンジン11の停止過程でエ
ンジン回転数が所定値以下になると開弁し、進角側油圧
室69から遅角側油圧室70への作動油の流出を許容す
るようになっている。
【0079】上記連通路87における進角側油圧室69
及び遅角側油圧室70内で開口する開口部87a,87
bは、吸気カムシャフト21の相対回転位相が始動タイ
ミングに対応する位相であるときに、ベーン68a〜6
8dによって閉塞されないように位置している。従っ
て、エンジン11の停止過程で進角側油圧室69及び遅
角側油圧室70内に作動油が満たされ、且つバルブ88
が開弁した状態にあっては、上述したようにベーン68
a(68b〜68d)が遅角側(図中左側)に移動しよ
うとすると、進角側油圧室69内の作動油が圧縮されて
連通路87を介して遅角側油圧室70に流出する。これ
により進角側油圧室69内からの作動油の流出量が増大
して、進角側油圧室69内の油圧の低下速度が増大さ
れ、同油圧の低下が緩やかになることは抑制される。
【0080】また、上記連通路87における遅角側油圧
室70内で開口する開口部87bは、吸気カムシャフト
21の相対回転位相が始動タイミングに対応する位相よ
りも所定量だけ進角側に移動したときに閉塞されるよう
にも位置している。なお、上記所定量としては、進角側
油圧室69及び遅角側油圧室70内の油圧制御により、
吸気カムシャフトの相対回転位相を始動タイミングに対
応する位相に維持しようとする際の同相対回転位相の進
角側についての変動量よりも大きい値に設定することが
好ましい。そして、上記のように開口部87bの位置を
設定することで、上記の油圧制御中に同相対回転位相が
何らかの理由で始動タイミングに対応する位相よりも進
角側に変化したとき、ベーン68a(68b〜68d)
により開口部87bが閉塞されるようになる。その結
果、ベーン68a(68b〜68d)の進角側(図中右
側)への変化に伴い遅角側油圧室70内の油圧が高ま
り、同ベーン68a(68b〜68d)が遅角側に押し
戻されるようになる。このため、エンジン11の停止過
程において、上記油圧制御による相対回転位相の始動タ
イミングに対応する位相での維持が行い易くなる。
【0081】一方、バルブ88は、図9に示されるよう
に、ギヤ24aに形成された収容孔89内に設けられる
弁体90及びコイルスプリング91を備えている。この
収容孔89は、吸気カムシャフト21の軸線L(図3)
と直交する方向に延び、連通路87の一部となってい
る。また、上記弁体90は、収容孔89の軸線に沿って
延びる油圧孔90aを備えるとともに、コイルスプリン
グ91の付勢力により上記軸線L側(図中下側)に向か
って付勢されている。
【0082】そして、エンジン11の通常運転時におい
ては、バルブタイミング可変機構24の上記軸線Lを中
心とした回転に伴う遠心力により、弁体90は、コイル
スプリング91の付勢力に抗して連通路87を収容孔8
9内で遮断する位置(閉弁位置)に移動する。なお、弁
体90に形成された油圧孔90aは、上記のような弁体
90の移動が上記遠心力によってのみ行われ、連通路8
7内の油圧の影響を受けて行われることのないようにす
るためのものである。このようにバルブ88が閉弁され
た状態にあっては、進角側油圧室69と遅角側油圧室7
0との間の連通路87を介した作動油の行き来が行われ
れることはない。
【0083】また、エンジン11の停止過程において
は、エンジン回転数の低下に伴い上記遠心力が徐々に小
さくなり、エンジン回転数がアイドル回転数よりも低い
所定値以下に低下すると、弁体90がコイルスプリング
91の付勢力により連通路87を連通状態とする位置
(開弁位置)に移動する。このようにバルブ88が開弁
された状態にあっては、進角側油圧室69と遅角側油圧
室70との間の連通路87を介した作動油の行き来が油
圧孔90a等によって許容されることとなる。そして、
進角側油圧室69内の作動油が連通路87を介して遅角
側油圧室70に流出し、これにより進角側油圧室69内
の油圧の低下が緩やかになることが抑制されることは上
述したとおりである。
【0084】以上詳述した本実施形態によれば、以下に
示す効果が得られるようになる。 (1)エンジン11の停止過程においては、吸気カムシ
ャフト21の相対回転位相を始動タイミングに対応する
位相に固定すべく進角側油圧室69及び遅角側油圧室7
0内の油圧が制御される。このとき、吸気バルブ19の
開閉駆動に伴う反力に基づき吸気カムシャフト21には
遅角側についての回転トルクが働き、これによりベーン
68aが遅角側に移動しようとして進角側油圧室69内
の作動油を圧縮する。しかし、エンジン回転数がアイド
ル回転数よりも低い所定値以下に低下すると、バルブ8
8が開弁して進角側油圧室69内の作動油が連通路87
を介して遅角側油圧室70に流出することが許容され
る。そのため、上記のようにようにベーン68aによっ
て進角側油圧室69内の作動油が圧縮されるときには、
進角側油圧室69から遅角側油圧室70に作動油が流出
し、進角側油圧室69内からの作動油の流出量が増大す
ることとなる。これにより、進角側油圧室69内の油圧
の低下が緩やかになるのを抑制し、同油圧をストッパ機
構56の保持動作が行われる値まで速やかに低下させる
ことができるようになる。従って、ストッパ機構56の
保持動作が行われる油圧を高い値に設定せずとも、エン
ジン11の停止過程でストッパ機構56の保持動作を的
確に行わせることが可能になり、上記のような設定に伴
いエンジン11の通常運転時に誤ってストッパ機構56
の保持動作が行われるのを回避することができる。
【0085】(2)ストッパ機構56の保持動作が行わ
れる進角側油圧室69内の油圧は、ロック機構76によ
る固定が行われる前に同保持動作が行われる値に設定さ
れる。そのため、ストッパ機構56による保持動作が行
われた上でのロック機構76による固定を的確に行うこ
とができるようになる。
【0086】(3)吸気カムシャフトの相対回転位相を
上記油圧制御により保持する際、吸気カムシャフト21
には上記回転トルクが遅角方向に働くため、当該相対回
転位相を保持することが困難になる。しかし、吸気カム
シャフト21には、押出機構53の付勢力による付勢ト
ルクが進角方向に働くため、上記相対回転位相を油圧制
御により保持し易くなる。
【0087】(4)上記バルブ88は、エンジン回転に
伴いバルブタイミング可変機構24が回転する際の遠心
力に応じて開閉するものであるため、簡単な構成でエン
ジン回転数に応じてバルブ88の開閉を行うことができ
る。
【0088】(5)エンジン11の停止過程で進角側油
圧室69と遅角側油圧室70とが連通路87を介して連
通しているとき、何らかの理由で吸気カムシャフト21
の相対回転位相が始動タイミングに対応する位相よりも
所定量だけ進角側に変化すると、連通路87における遅
角側油圧室70内に開口する開口部87bがベーン68
a〜68dによって閉塞される。その結果、上記相対回
転位相の進角側への変化に伴い遅角側油圧室70内の油
圧が高まり、ベーン68a〜68dが進角側に押し戻さ
れて上記相対回転位相も始動タイミングに対応する位相
に向けて遅角側に戻される。このため、エンジン11の
停止過程において、吸気カムシャフト21の相対回転位
相を始動タイミングに対応する位相に維持し易くなる。
【0089】(第2実施形態)次に、本発明の第2実施
形態を図10〜図13に基づき説明する。この実施形態
は、エンジン11の停止過程において、第1実施形態の
ように進角側油圧室69内の作動油を連通路87を介し
て遅角側油圧室70に流出させる代わりに、進角側油圧
室69内の作動油をバルブタイミング可変機構24の外
部に流出させて当該進角側油圧室69内の油圧の低下速
度を増大させるようにしたものである。そして、この実
施形態では、上記強制的な油圧の低下速度増大をオイル
コントロールバルブ(OCV)及び同バルブを制御する
ECU92によって実現している。
【0090】図10は、本実施形態のオイルコントロー
ルバルブ(OCV)101を示す断面図である。OCV
101においては、そのハウジング102に進角側ポー
ト103、遅角側ポート104、供給ポート105、及
び排出ポート106,107が形成されている。そし
て、これら各ポート103〜107には、それぞれ進角
側油路47、遅角側油路48、供給通路50、及び排出
通路51が接続されている。また、OCV101は、ハ
ウジング102内に設けられて四つの弁部108a〜1
08dを有するスプール109と、同スプール109を
互いに逆方向に付勢する電磁ソレノイド110及びコイ
ルスプリング111とを備えている。
【0091】上記OCV101におけるスプール位置
(弁位置)の制御は、第1実施形態と同じくECU92
を通じて電磁ソレノイド110に対する電圧印加を制御
することによって行われる。なお、図11及び図12に
は、電磁ソレノイド110に対する電圧印加のデューテ
ィ比をそれぞれ「0%」及び「100」%としたときの
スプール109の弁位置を示す。こうしてスプール10
9の弁位置を制御することにより、進角側油圧室69及
び遅角側油圧室70に対する作動油の供給・排出が調整
され、それら油圧室69,油圧室70内の油圧が制御さ
れる。そして、この油圧制御により吸気カムシャフト2
1の相対回転位相が変更され、吸気バルブ19のバルブ
タイミングが制御されるようになる。
【0092】また、上記OCV101は、電磁ソレノイ
ド110に対する印加電圧を「0」としたとき、上記デ
ューティ比を0%にしたときのスプール109の弁位置
(図12)に対し、同スプール109がコイルスプリン
グ111の付勢力によって図13に示すように更に図中
右側に移動するよう設定されている。そして、このとき
に進角側油路47と遅角側油路48との両方が排出通路
51と連通するよう、スプール109の弁部108a〜
108d、及びハウジング102の各ポート103〜1
07の大きさや位置が設定されている。
【0093】ECU92は、エンジン11の停止開始後
において、OCV101の電磁ソレノイド110に対す
る電圧印加をデューティ制御することにより、吸気カム
シャフトの相対回転位相が始動タイミングに対応する位
相に維持されるよう、進角側油圧室69及び遅角側油圧
室70内の油圧を制御する。その後、エンジン回転数が
アイドル回転数よりも低い所定値以下に低下すると、E
CU92は、電磁ソレノイド110に対する印加電圧を
「0」とし、スプール109を図13に示す弁位置に制
御する。
【0094】このときには、進角側油圧室69内の作動
油が進角側油路47、OCV101、及び排出通路51
を介してバルブタイミング可変機構24の外部に流出
し、進角側油圧室69内の油圧の低下速度が緩やかにな
ることは抑制される。また、遅角側油圧室70内の作動
油も遅角側油路48、OCV101、及び排出通路51
を介してバルブタイミング可変機構24の外部に流出
し、遅角側油圧室70内の油圧も低減されるため、この
油圧に基づき吸気カムシャフト21の相対回転位相が遅
角側に変化して進角側油圧室69内の作動油が圧縮され
ることも抑制される。こうして、エンジン11の停止過
程において、進角側油圧室69内の油圧は、ストッパ機
構56の保持動作を行わせることの可能な値まで速やか
に低下するようになる。
【0095】以上詳述した本実施形態によれば、上記
(2)及び(3)に記載した効果に加え、以下に示す効
果が得られるようになる。 (6)エンジン11の停止過程において、エンジン回転
数がアイドル回転数よりも低い所定値以下に低下する
と、OCV101のスプール109が図13に示される
弁位置に制御される。これにより、進角側油圧室69及
び遅角側油圧室70内の作動油がバルブタイミング可変
機構24の外部に流出し、進角側油圧室69内からの作
動油の流出量が増大する。その結果、エンジン11の停
止過程において、進角側油圧室69内の油圧の低下が緩
やかになるのを抑制し、同油圧をストッパ機構56の保
持動作が行われる値まで速やかに低下させることができ
るようになる。従って、ストッパ機構56の保持動作が
行われる油圧を高い値に設定せずとも、エンジン11の
停止過程でストッパ機構56の保持動作を的確に行わせ
ることが可能になり、上記のような設定に伴いエンジン
11の通常運転時に誤ってストッパ機構56の保持動作
が行われるのを回避することができる。
【0096】(7)電磁ソレノイド110の断線といっ
た異常がOCV101に生じ、当該電磁ソレノイド11
0に対する印加電圧が「0」になったときにも、スプー
ル109が図13に示される弁位置に移動され、進角側
油圧室69及び遅角側油圧室70内の作動油がバルブタ
イミング可変機構24の外部に流出する。そのため、例
えばエンジン11の通常運転時に上記のような異常が発
生したときには、進角側油圧室69及び遅角側油圧室7
0内から作動油が流出し、これら油圧室69,70内の
油圧が最終的には「0」となる。この状態にあっては、
押出機構53の付勢力若しくは吸気バルブ19の開閉駆
動に伴う反力に基づき、吸気カムシャフト21の相対回
転位相が始動タイミングに対応する位相に向けて変化す
る。そして、ストッパ機構56及びロック機構76によ
り、上記相対回転位相が始動タイミングに対応する位相
で固定される。こうして、OCV101に上記のような
異常が発生したときには、吸気カムシャフト21の相対
回転位相を始動タイミングに対応する位相に固定して退
避運転を行うことができるようになる。
【0097】なお、上記各実施形態は、例えば以下のよ
うに変更することもできる。 ・第2実施形態において、電磁ソレノイド110の印加
電圧が「0」になったときに進角側油圧室69及び遅角
側油圧室70内の作動油が外部に流出するようOCV1
01を設定したが、本発明はこれに限定されない。例え
ば、電磁ソレノイド110に対する電圧印加のデューテ
ィ比を所定の値としたとき、進角側油圧室69及び遅角
側油圧室70内の作動油が外部に流出するようOCV1
01を設定してもよい。
【0098】・第2実施形態において、進角側油圧室6
9と遅角側油圧室70との両方から作動油を流出させる
弁位置をOCV101に設定したが、これに代えて遅角
側油圧室70内の作動油を保持しつつ進角側油圧室69
内から作動油を流出させる弁位置をOCV101に設定
してもよい。この場合、エンジン11の停止過程におい
て、OCV101を上記弁位置に移動させることで、進
角側油圧室69内の油圧が強制的に低減されることとな
る。
【0099】・第2実施形態において、エンジンの停止
過程において、エンジン回転数がアイドル回転数よりも
低い所定値以下になったとき、OCV101の電磁ソレ
ノイド110に対する印加電圧を「0」にしたが、本発
明はこれに限定されない。例えば、エンジン回転数に関
係するパラメータ、例えば供給通路50においてオイル
ポンプ52の下流に位置する部分での油圧を検出し、こ
の油圧が上記所定値に対応する値以下になったときに電
磁ソレノイド110に対する印加電圧を「0」にしても
よい。
【0100】・第1実施形態において、各ベーン68a
〜68dに対応して連通路87及びバルブ88を複数設
けたが、必ずしもこのように複数の連通路87及びバル
ブ88を設ける必要はない。
【0101】・第1実施形態において、連通路87の開
口部87bを吸気カムシャフト21の相対回転位相が始
動タイミングに対応する位相から所定量だけ進角したと
き、ベーン68a〜68dで閉塞されるように位置させ
たが、必ずしもこのように位置させる必要はない。
【0102】・第1実施形態において、バルブ88を遠
心力によって開弁するものとしたが、これに代えて例え
ば供給通路50においてオイルポンプ52の下流に位置
する部分の油圧に基づき開弁するバルブを採用してもよ
い。この場合、エンジン回転数がアイドル回転数よりも
低い所定値に対応した値になったとき、上記バルブが開
弁するよう同バルブを設定することが好ましい。
【0103】・上記各実施形態において、バルブタイミ
ング可変機構24に押出機構53を設けるようにした
が、この押出機構53を必ずしも設ける必要はない。・
第1実施形態の連通路87及びバルブ88と第2実施形
態のOCV101との両方をバルブタイミング制御装置
に採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のバルブタイミング制御装置が適
用されるエンジン全体を示す略図。
【図2】同バルブタイミング制御装置におけるバルブタ
イミング可変機構への作動油の供給構造を示す断面図。
【図3】同バルブタイミング可変機構の内部構造を示す
断面図。
【図4】図3に示されるロック機構を矢印D−D方向か
ら見た断面図。
【図5】エンジン停止開始からの時間経過に伴うエンジ
ン回転数の推移、及び進角側油圧室内の油圧の推移を示
すグラフ。
【図6】図3に示されるストッパ機構を矢印B−B方向
から見た断面図。
【図7】同ストッパ機構の収容孔への没入状態を示す断
面図。
【図8】進角側油圧室と遅角側油圧室との連通構造を示
す断面図。
【図9】図8に示されるバルブを矢印A−A方向から見
た断面図。
【図10】第2実施形態のオイルコントロールバルブ
(OCV)を示す断面図。
【図11】同OCVの動作態様を示す断面図。
【図12】同OCVの動作態様を示す断面図。
【図13】同OCVの動作態様を示す断面図。
【符号の説明】
11…エンジン、19…吸気バルブ、20…排気バル
ブ、21…吸気カムシャフト、22…排気カムシャフ
ト、24…バルブタイミング可変機構、41…回転部
材、47…進角側油圧室、48…遅角側油圧室、49…
オイルコントロールバルブ(OCV)、53…押出機
構、54…コイルスプリング、55…押しピン、56…
ストッパ機構、57…コイルスプリング、58…ストッ
パピン、58a…大径部、60…収容孔、60a…小径
部、62…コイルスプリング、63…スプール、64…
弁部、65…電磁ソレノイド、68a〜68d…ベー
ン、69…進角側油圧室、70…遅角側油圧室、76…
ロック機構、78…ロックピン、79…穴、80…コイ
ルスプリング、81…収容孔、82…油室、83…通
路、84…油室、85…通路、87…連通路、88…バ
ルブ、87a,87b…開口部、89…収容孔、90…
弁体、91…コイルスプリング、92…電子制御ユニッ
ト(ECU)、90a…油圧孔、101…オイルコント
ロールバルブ(OCV)、102…ハウジング、103
…進角側ポート、104…遅角側ポート、105…供給
ポート、106…排出ポート、107…排出ポート、1
08a〜108d…弁部、109…スプール、110…
電磁ソレノイド、111…コイルスプリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G018 AA06 AB02 AB07 AB17 BA33 BA36 CA02 DA24 DA51 DA60 DA63 DA70 DA72 DA73 DA74 DA77 DA83 DA85 EA12 EA21 EA33 FA07 GA02 GA11

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】進角側圧力室及び遅角側圧力室内の流体圧
    に基づき内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャ
    フトの相対回転位相を変更するバルブタイミング可変機
    構と、前記カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態よ
    りも所定量だけ進角した所定進角状態で固定するロック
    機構とを備える内燃機関のバルブタイミング制御装置に
    おいて、 前記進角側圧力室内の流体圧が所定値以下になるとき、
    前記カムシャフトの相対回転位相を一時的に前記所定進
    角状態に保持するよう動作するストッパ機構と、 内燃機関が停止する過程で前記進角側圧力室内の流体圧
    が前記所定値に向けて低下する際、その流体圧の低下速
    度を大きくする低下速度増大手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング
    制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の内燃機関のバルブタイミン
    グ制御装置において、 内燃機関が停止する過程で、前記カムシャフトの相対回
    転位相を前記所定進角状態に維持すべく、前記進角側圧
    力室及び前記遅角側圧力室内の流体圧を調整する流体圧
    調整手段を備え、 前記低下速度増大手段は、前記進角側圧力室内からの流
    体の流出量を増大させる内燃機関のバルブタイミング制
    御装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の内燃機関のバルブタイミン
    グ制御装置において、 前記カムシャフトの相対回転位相が前記所定進角状態と
    なるよう進角側に付勢する付勢手段を更に備えることを
    特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 【請求項4】前記低下速度増大手段は、前記進角側圧力
    室内の流体を前記遅角側圧力室に流出させるものである
    請求項2又は3記載の内燃機関のバルブタイミング制御
    装置。
  5. 【請求項5】前記低下速度増大手段は、前記進角側圧力
    室と前記遅角側圧力室とを連通する連通路と、前記連通
    路に設けられて内燃機関の停止過程で開弁するバルブと
    を備えている請求項4記載の内燃機関のバルブタイミン
    グ制御装置。
  6. 【請求項6】前記バルブは、機関回転数がアイドル回転
    数よりも低い所定値以下になったときに開弁する請求項
    5記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 【請求項7】前記バルブタイミング可変機構は、前記カ
    ムシャフトに取り付けられて前記進角側圧力室及び前記
    遅角側圧力室内の流体圧を受けて前記カムシャフトの相
    対回転位相を変化させる方向に移動する可動部材を備
    え、 前記連通路の前記遅角側圧力室内で開口する開口部は、
    前記カムシャフトの相対回転位相が前記所定進角状態よ
    りも進角側に変化したとき、前記可動部材によって閉塞
    されるように位置する請求項5又は6記載の内燃機関の
    バルブタイミング制御装置。
  8. 【請求項8】前記低下速度増大手段は、前記進角側圧力
    室内の流体を前記バルブタイミング可変機構の外部に流
    出させるものである請求項2又は3記載の内燃機関のバ
    ルブタイミング制御装置。
  9. 【請求項9】請求項8記載の内燃機関のバルブタイミン
    グ制御装置において、 前記流体圧調整手段は、前記進角側圧力室及び遅角側圧
    力室内に対する流体の給排を制御すべく弁位置が変更さ
    れる制御弁と、同制御弁の弁位置を制御する制御手段と
    を備え、 前記低下速度増大手段は、前記制御弁を前記進角側圧力
    室から流体を流出させる弁位置に制御する前記制御手段
    を含む内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. 【請求項10】前記低下速度増大手段は、前記進角側圧
    力室と前記遅角側圧力室との両方から流体を前記バルブ
    タイミング可変機構の外部に流出させる弁位置を有する
    前記制御弁と、当該弁位置に前記制御弁を制御する前記
    制御手段とを含む請求項9記載の内燃機関のバルブタイ
    ミング制御装置。
  11. 【請求項11】前記制御手段は、機関回転数がアイドル
    回転数よりも低い所定値以下になったときに前記進角側
    圧力室から流体を流出させる弁位置に前記制御弁を制御
    する請求項9又は10記載の内燃機関のバルブタイミン
    グ制御装置。
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