(本発明にかかる積層パネル1の実施形態の概要)
まず、図3、図8を参照しながら、本発明にかかる積層パネル1の実施形態の概要について説明する。図3は、本発明にかかる積層パネル1の断面図であり、図8は、積層パネル1の成形方法例を示す図である。
本発明にかかる積層パネル1は、図3(a)に示すように、ヒンジ7を回動軸として回動可能な積層パネル1である。
本発明にかかる積層パネル1は、表壁2と、裏壁3と、表壁2と裏壁3との間に介在する中間層5と、を有し、ヒンジ7は、中間層5を有することを特徴とする。
本発明にかかる積層パネル1は、図8に示すように、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2と、表壁2と裏壁3との間に介在する中間層5と、を分割金型61で型締めし、中間層5を含むヒンジ7(図3(a)参照)を有する積層パネル1を成形する。図3(a)では、ヒンジ部7において中間層5で構成する部分をヒンジ部7aとしている。
例えば、図8に示すように、中間層5として樹脂製の芯材5を用いた場合は、芯材5の一部を圧縮してヒンジ部7a(図3(a)参照)を形成した芯材5と、表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2と、を分割金型61で型締めし、芯材5と樹脂P2とを溶着させることで、中間層5を含むヒンジ7を有する積層パネル1を成形することができる。なお、中間層5は、芯材5に限定せず、不織布11等の材料で構成することも可能である。
本発明にかかる積層パネル1のヒンジ7は、中間層5を有しているため、積層パネル1の表壁2や裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる積層パネル1の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
<積層パネル1の構成例>
まず、図1〜図3を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の構成例について説明する。本実施形態の積層パネル1は、自動車等におけるトランクの仕切板や床材等として使用するものである。
図1は、積層パネル1の全体斜視図であり、図2は、積層パネル1を構成する芯材5の図であり、図2(a)は、全体斜視図であり、図2(b)は、上面図であり、図2(c)は、底面図である。図3は、本実施形態の積層パネル1及び芯材5の断面図であり、図3(a)は、図2(a)に示す3A-3A線で切断した場合の積層パネル1の断面図であり、図3(b)は、図2(a)に示す3B-3B線で切断した場合の積層パネル1の断面図であり、図3(c)は、図2(a)に示す3B-3B線で切断した場合の芯材5の断面図である。
本実施形態の積層パネル1は、図1〜図3に示すように、表壁2と裏壁3と周囲壁4と芯材5とを有して構成する。周囲壁4は、図1、図3に示すように、表壁2と裏壁3とを繋ぐ部分である。本実施形態の積層パネル1は、図1に示すように、表壁2の表面に装飾などのための化粧部材6が貼着されており、図3に示すように、裏壁3、芯材5、表壁2、化粧部材6で積層構造を構成している。
また、本実施形態の積層パネル1は、裏壁3から表壁2に向かって圧縮薄肉化して窪ませて構成したヒンジ7を有し、そのヒンジ7を回動軸として積層パネル1が回動可能になっている。ヒンジ7は、図3に示すように、裏壁3から表壁2側に向かって窪んだ凹部形状で構成している。ヒンジ7は、裏壁3の一部を裏壁3から表壁2に向かって起立した立壁71と、積層パネル1を構成する層(裏壁3、芯材5、表壁2、化粧部材6)を圧縮薄肉化した圧縮部72と、を有して構成する。裏壁3の圧縮部72の両端は、立壁71の一端と連結しており、圧縮部72を回動軸として2つの立壁71が回動可能になっている。
表壁2と裏壁3とを構成する樹脂は特に限定せず、公知の樹脂が適用可能である。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリング・プラスチックなどが好適であり、適宜にガラス繊維、カーボンファイバ、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどの充填材を添加することができる。但し、表壁2と裏壁3とを構成する樹脂は、積層パネル1全体としての剛性、特に、曲げ剛性を確保する観点から、芯材5の剛性より高い樹脂を用いることが好ましい。また、表壁2と裏壁3とは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂を用いることが好ましい。
芯材5は、公知の材料が可能であり、例えば、表壁2と裏壁3とを構成する樹脂と同様な公知の樹脂で構成することが可能である。芯材5を樹脂で構成することで、芯材5の形状を所望の形状に形成することができる。なお、芯材5としては、本実施形態のように発泡体で構成することが好ましい。これにより、積層パネル1の軽量化を図ることができる。芯材5を発泡体で構成する場合は、発泡倍率2.5〜5.0倍で複数の気泡セル有する独立気泡構造(独立気泡率が70%以上)で構成することが好ましい。なお、発泡体を成形する際に適用可能な発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤及びその混合物が挙げられる。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、及び、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、更には、それらの超臨界流体を適用することができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることで作ることができる。
化粧部材6を構成する材料も特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維およびこれらのブレンドからなる繊維を加工して得られる編物、織物、不織布、または、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタンエラストマ(TPU)または熱可塑性ポリオレフィンエラストマ(TPO)などの熱可塑性エラストマ(TPE)、ポリエチレンポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる樹脂シートおよびこれらの積層シートから適宜選択可能である。
本実施形態の芯材5は、図2に示すように、芯材5の略中央位置に収容部10が形成されており、その収容部10に補強材9が配置されている。補強材9を構成する材料は特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、金属製、あるいは、硬質のプラスチック製が適用可能である。また、補強材9の断面形状も特に限定せず、断面形状が円、楕円等の丸形状、三角、四角等の多角形状、H型、C型などの異形状で構成することも可能である。本実施形態では、一例として、図3(a)に示すように、開口部91を有する補強材9を用いている。収容部10は、補強材9を収容するための領域である。本実施形態の収納部10は、図3に示すように、芯材5の表壁2側の面から裏壁3側の面に向けて窪ませて構成し、その収納部10に補強材9を嵌め込んで補強材9を固定している。収容部10の形状も特に限定せず、補強材9を収容することが可能であれば任意の形状で構成することが可能である。
本実施形態の芯材5は、図2に示すように、収納部10の長手方向の端部に芯材5を存在させ、補強材9の両端と周囲壁4との間に芯材5が介在するようにしている。このため、補強材9の両端と周囲壁4との間に介在させた芯材5により積層パネル1と補強材9との収縮差による変形が起こらないようにすることができる。
本実施形態では、収納部10は、図3に示すように、芯材5の表壁2側の面から裏壁3側の面に向けて窪ませて構成しているが、この収納部10は、芯材5の表壁2側の面から裏壁3側の面に向けて貫通させた貫通穴で構成することも可能である。
また、本実施形態の芯材5は、図2、図3(a)に示すように、芯材5の略中央位置にヒンジ部7aが形成されており、積層パネル1のヒンジ7を構成している。このため、ヒンジ7は、芯材5を有して構成している。ヒンジ部7aは、芯材5の裏壁3側の面から表壁2側の面に向けて窪ませて構成している。
本実施形態の積層パネル1は、芯材5で形成したヒンジ部7aを有して構成するヒンジ7を回動軸として回動可能になっている。ヒンジ部7aは、芯材5を圧縮薄肉化することで形成することができる。芯材5を圧縮薄肉化してヒンジ部7aを形成することで、ヒンジ部7aの強度を向上させることができる。
本実施形態の芯材5が2.5〜5.0倍の発泡倍率の発泡体で構成している場合は、その芯材5を圧縮薄肉化して構成したヒンジ部7aは、発泡倍率が2.0倍以下となるようにすることが好ましい。これにより、ヒンジ部7aの強度を向上させることができる。
図2に示すヒンジ部7aは、直線形状で形成し、芯材5に連続的に設けられている。ヒンジ部7aは、芯材5の裏面側に形成されているため、図2(a)、(b)に示す図(斜視図、上面図)では、ヒンジ部7aの形成された位置は、点線で示している。また、図2(c)に示す図(底面図)では、実線で示している。
補充内容を踏まえ基礎出願時のパラメータを変更しました。
本実施形態の積層パネル1のヒンジ7は、図9に示すように、芯材5で形成されたヒンジ部7aを裏壁3と表壁2とで挟み込んで構成し、積層パネル1のヒンジ7の強度を向上させるようにしている。図9に示す構成の場合のヒンジ7の厚みAは、0.5〜0.9mmの範囲で構成することが好ましい。この場合、ヒンジ7を構成する表壁2の厚みa1は、0.2〜0.3mmの範囲で構成し、芯材5の厚みa2は、0.1〜0.3mmの範囲で構成し、裏壁3の厚みa3は、0.2〜0.3mmの範囲で構成することが好ましい。これより、積層パネル1の折り曲げ等に耐え得る強度のヒンジ7にすることができる。
なお、芯材5で形成するヒンジ部7aの形状は、図2に示す形状に限定せず、ヒンジ部7aを回動軸として積層パネル1が回動可能な構造になっていればあらゆる形状のヒンジ部7aを形成することが可能である。例えば、図4に示すように、芯材5の両端にヒンジ部7aを設け、その間に開口部8を形成し、ヒンジ部7aを部分的に設けるようにすることも可能である。開口部8は、芯材5に貫通した穴をあけることで形成することができる。
本実施形態のヒンジ部7aは、裏壁3と表壁2とで挟み込まれているため、そのヒンジ部7aを含んで構成するヒンジ7の強度を向上させることができる。しかし、ヒンジ部7aが裏壁3と表壁2とで挟み込まれているため、裏壁3、ヒンジ部7a、表壁2の各部の厚みによっては、ヒンジ7の積層方向の厚み(図9に示すA)が厚くなり、積層パネル1の回動が困難となり、ヒンジ7の機能を効果的に発揮できない場合がある。
このため、図2に示すように、ヒンジ部7aを芯材5に連続的に設けるのではなく、図4に示すように、ヒンジ部7aを部分的に設け、ヒンジ7の積層方向の厚みAが厚くなったとしても、ヒンジ7の機能を効果的に発揮できるようにすることが好ましい。なお、図4では、芯材5の両端にヒンジ部7aを設け、その間に開口部8を形成することにしている。しかし、開口部8を複数形成し、図4に示す開口部8の一部にもヒンジ部7aを設け、複数のヒンジ部7aを部分的に設けるようにすることも可能である。また、図4では、芯材5の中央部に開口部8を形成し、芯材5の両端にヒンジ部7aを設けることにしている。しかし、芯材5の両端に開口部8を形成し、芯材5の中央部にヒンジ部7aを設けることも可能である。
本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ部7aの近傍に収納部10が設けられ、その収納部10に補強材9が配置されている。このため、補強材9によりヒンジ7付近の強度を向上させることができる。
<積層パネル1の製造方法例>
次に、図5〜図8を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の製造方法例について説明する。図5(a)は、芯材5を成形する分割金型41の側面構成例を示し(図5(b)に示す5A-5A断面図)、図5(b)は、図5(a)に示す分割金型41を上面(押出ヘッド40側)から見た構成例を示す図である。図6は、図5(b)に示す分割金型41を閉じた状態を示す図である。図7は、図6に示す分割金型41を開いた状態を示す図である。図8は、積層パネル1の成形方法例を示す図である。なお、以下の方法では、化粧部材6を設けない構成の積層パネル1の製造方法について説明する。
まず、図5(a)、(b)に示すように、芯材5を成形する押出ヘッド40から溶融状態の筒状の樹脂P1を鉛直下方に押し出し、筒状の樹脂P1を開位置にある2つの分割金型41の間に供給する。樹脂P1は、芯材5を形成するための樹脂である。
次に、図6に示すように、2つの分割金型41を開位置から閉位置に移動し、2つの分割金型41を型締めする。これにより、密閉空間が構成される。
次に、上記構成した密閉空間を通じて、ブロー成形、あるいは、真空成形、あるいは、これらを併用することにより、密閉空間内の樹脂P1は、キャビティ44に向かって押し付けられ、キャビティ44に沿って賦形される。
詳細には、ブロー成形の場合は、ブローピン(図示せず)を樹脂P1の中に差し込んで内部に加圧流体を導入することにより、樹脂P1をキャビティ44に向かって押し付ける。また、真空成形の場合は、キャビティ面に開口する流路(図示せず)を分割金型41中に設け、この流路を通じて樹脂P1を分割金型41に吸引する。
これにより、筒状の樹脂P1により、芯材5が成形される。そして、図6に示すように、一方のキャビティ44Bの面に設けられた収納形成部43が芯材5の表面側に挿入され、芯材5を圧縮成形することで、芯材5の表面側に収納部10が形成される。収納形成部43は、芯材5に収納部10を形成するためのものである。また、他方のキャビティ44Aの面に設けられたヒンジ部形成部42が芯材5の裏面側に挿入され、芯材5を圧縮成形することで、芯材5の裏面側にヒンジ部7aが形成される。ヒンジ部形成部42は、芯材5にヒンジ部7aを形成するためのものである。なお、収納形成部43、ヒンジ部形成部42は、図5(a)に示すように、樹脂P1と同一方向で分割金型41に設けることが好ましい。これにより、折れ肉の発生を低減することができる。但し、収納形成部43、ヒンジ部形成部42は、樹脂P1と直交する方向で分割金型41に設けることも可能である。
次に、図7に示すように、分割金型41を閉位置から開位置に移動し、2つの分割金型41を型開きし、成形された芯材5を分割金型41の間から取り出す。これにより、収納部10、ヒンジ部7aを有する芯材5を成形することができる。次に、収納部10に補強材9を嵌め込み、収納部10に補強材9を固定した芯材5を形成する。
次に、図8に示すように、積層パネル1の表壁2、裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2を押出装置のTダイ60から押し出し、溶融状態の樹脂P2を分割金型61間に配置する。樹脂P2は、表壁2、裏壁3を形成するための樹脂である。
次に、樹脂P2を真空若しくは圧空により分割金型61のキャビティ62に押圧して成形する。そして、補強材9を収容部10に固定した芯材5を、一方のキャビティ62Bに押圧した樹脂P2の内面に接するように配置して型締めを行い、互いのキャビティ62に配置された樹脂P2を分割金型61のピンチオフ部により積層パネル1の周囲壁4の全周に溶着部が形成されるように挟み込むと共に、溶融状態の樹脂P2の内面と、芯材5の外面と、を溶着させ、補強材9を収納部10に固定した芯材5が表壁2及び裏壁3で内装された積層パネル1を形成する。これにより、芯材5の両面が樹脂P2で覆われた積層パネル1を得ることができる。
なお、上述した積層パネル1は、一対の予備成形した樹脂をブロー成形する態様でも成形することができる。
また、上記製法では、溶融状態の筒状の樹脂P1を用いて芯材5を成形することにしている。しかし、芯材5を成形する樹脂は、筒状の樹脂P1に限定せず、溶融状態の管状またはシート状の樹脂P1単体を用いて成形することも可能である。
また、上記製法では、溶融状態の単層の樹脂P2を用いて表壁2及び裏壁3を形成している。しかし、多層の樹脂P2を用いて表壁2及び裏壁3を形成することも可能である。
なお、上記製法において、化粧部材6を設けた積層パネル1を成形する場合は、図8に示す分割金型61を型締めする前に、一方の樹脂P2と分割金型61Aとの間に化粧部材6を配置し、その化粧部材6と樹脂P2とを真空若しくは圧空により分割金型61Aのキャビティ62Aに押圧することになる。これにより、表壁2の上面に化粧部材6を有する積層パネル1を成形することができる。なお、化粧部材6は、上記製法後に表壁2の上面に貼り付けることも可能である。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材5の一部を圧縮してヒンジ部7aを形成した芯材5を成形し、その芯材5と、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2と、を分割金型61で型締めし、芯材5と樹脂P2とを溶着させ、表壁2と裏壁3との間に介在する芯材5で形成されたヒンジ部7aを含むヒンジ7を有する積層パネル1を成形する。本実施形態の積層パネル1のヒンジ7は、表壁2と裏壁3との間に介在する芯材5で形成されたヒンジ部7aを有しているため、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。即ち、本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ7が芯材5を有して構成しているため、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、芯材5の一部を圧縮してヒンジ部7aを形成した芯材5を予め成形し、その芯材5と、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2と、を分割金型61で型締めし、芯材5と樹脂P2とを溶着させ、芯材5で形成されたヒンジ部7aを含むヒンジ7を有する積層パネル1を成形している。しかし、ヒンジ部7aを形成した芯材5を予め成形せずに、芯材5と、樹脂P2と、を分割金型61で型締めする際に、分割金型61で芯材5の一部を圧縮してヒンジ部7aを形成するように構築することも可能である。この場合は、ヒンジ7を形成するためのヒンジ形成部を用いて、ヒンジ部7aを形成することになる。ヒンジ形成部は、ヒンジ7を形成するためのものであり、分割金型61に設けられる。このヒンジ形成部が図5(a)、(b)に示すヒンジ部形成部42の機能を兼用し、ヒンジ部7aを有するヒンジ7を形成することになる。
また、上記実施形態では、積層パネル1として表壁2の上面に化粧部材6を貼着することにしている。しかし、化粧部材6を省略し、表壁2の上面をそのまま露出させるようにすることも可能である。
また、上記実施形態では、芯材5を表壁2及び裏壁3で全て覆うように構成し、その表壁2及び裏壁3で覆った部分の芯材5でヒンジ部7aを形成することにしている。しかし、芯材5の一部を表壁2と裏壁3とで覆うように構成し、図10(a)、(b)に示すように、表壁2または裏壁3で覆った部分の芯材5でヒンジ部7aを形成するように構成することも可能である。この場合は、図10(a)、(b)に示すように、芯材5で形成されたヒンジ部7aの部分を表壁2または裏壁3で覆ってヒンジ7を構成することになる。図10(a)は、表壁2と芯材5とでヒンジ7を構成する場合を示し、図10(b)は、裏壁3と芯材5とでヒンジ7を構成する場合を示す。
また、芯材5で形成されたヒンジ部7aの部分のみを表壁2及び裏壁3で覆わないように構成し、図10(c)に示すように、芯材5で形成されたヒンジ部7aのみでヒンジ7を構成することも可能である。
このため、本実施形態のヒンジ部7aは、表壁2と裏壁3との少なくとも一方の壁で覆われている部分の芯材5、または、表壁2と裏壁3とで覆われていない部分の芯材5で形成するように構成することも可能である。即ち、本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ7が芯材5を有して構成していればあらゆる構成で構成することが可能である。
また、上記実施形態では、芯材5は、中実の構成を例に説明した。しかし、芯材5は、例えば、特許文献2(WO2009/136489)の図4に示すように複数の窪みを芯材5に設けることも可能である。また、特許文献2の図5に示すように貫通穴を芯材5に設けることも可能である。即ち、芯材5の構成は、中実の構成に限定するものではなく、一部を中空にしたり、一部を中実にしたりすることも可能であり、本実施形態の芯材5に設けるヒンジ部7aや収容部10の形状や配置位置に応じて中空部や中実部を芯材5に適宜設けることが可能である。なお、本実施形態の芯材5は、ヒンジ部7aや収納部10を形成するため、その周囲に中空部等の穴を設けることが好ましい。これにより、芯材5を形成する樹脂P1を用いてヒンジ部7aや収納部10を形成しても、その形成部分の樹脂の逃げ場を確保することができるため、樹脂だまりの発生を防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態の積層パネル1のヒンジ7は、図3(a)に示すように、表壁2と裏壁3との間に介在する芯材5で形成されたヒンジ部7aを有する構成にしている。即ち、ヒンジ7は、芯材5を有して構成している。
第2の実施形態の積層パネル1のヒンジ7は、図11に示すように、表壁2と裏壁3との間に介在する不織布11で形成されたヒンジ部7aを有する構成にしている。第2の実施形態の積層パネル1のヒンジ7は、積層パネル1の表壁2と裏壁3との間に不織布11を介在させ、その不織布11でヒンジ部7aを構成している。即ち、ヒンジ7は、不織布11を有して構成している。このため、第1の実施形態と同様に、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。以下、図11を参照しながら、第2の実施形態の積層パネル1について説明する。図11は、積層パネル1の断面構成例を示し、図3(a)に相当する部分を示している。
本実施形態の積層パネル1は、図11に示すように、表壁2と裏壁3と周囲壁4と芯材5a,5bと不織布11とを有して構成する。本実施形態の積層パネル1は、表壁2と裏壁3との間に介在した2つの芯材5a,5bが不織布11で連結しており、その不織布11でヒンジ部7aを構成している。本実施形態の積層パネル1のヒンジ7は、表壁2と裏壁3との間に介在する不織布11でヒンジ部7aを構成しているため、そのヒンジ部7aを回動軸として積層パネル1を回動しても、ヒンジ部7a自体に罅や皺等が発生することがない。その結果、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。
不織布11を構成する材料としては、ヒンジ部7aを回動軸として積層パネル1を回動した際に、ヒンジ部7a自体に罅や皺等が発生することがない材料であれば特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維およびこれらのブレンドからなる繊維を加工して得られるものが適宜選択可能である。これらの材料で不織布11を構成することで、不織布11で形成されたヒンジ部7a自体に罅や皺を発生させないようにすることができる。
本実施形態の積層パネル1を成形する場合は、図12(a)に示すように、積層パネル1の表壁2、裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2を分割金型61間に配置する。そして、その樹脂P2を真空若しくは圧空により分割金型61のキャビティ62に押圧する。次に、芯材5a,5bを、一方の樹脂P2の内面に接するように配置すると共に、不織布11を、他方の樹脂P2の内面に接するようにヒンジ7を構成する部分に配置する。そして、図12(b)に示すように型締めを行い、互いのキャビティ62に配置された樹脂P2を分割金型61のピンチオフ部により積層パネル1の周囲壁4の全周に溶着部が形成されるように挟み込む。これにより、不織布11と芯材5a,5bとを連結させることができる。また、溶融状態の樹脂P2の内面と芯材5a,5bの外面とを溶着させることができる。また、溶融状態の樹脂P2の内面と不織布11とを溶着させることができる。その結果、不織布11で連結された芯材5a,5bが表壁2及び裏壁3で内装された積層パネル1を形成することができる。
本実施形態では、図12(a)、(b)に示す工程を行うことで、不織布11で連結された芯材5a,5bの両面が樹脂P2で覆われた積層パネル1を得ることができる。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2の間に、芯材5a,5b及び不織布11を配置し、樹脂P2、芯材5a,5b、不織布11を分割金型61で型締めする。これにより、芯材5a,5bを不織布11で連結すると共に、その芯材5a,5b及び不織布11を樹脂P2に溶着させ、表壁2と裏壁3との間に介在する不織布11で形成されたヒンジ部7aを有する積層パネル1を成形することができる。本実施形態の積層パネル1のヒンジ7は、表壁2と裏壁3との間に介在する不織布11で形成されたヒンジ部7aを有しているため、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。即ち、本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ7が不織布11を有して構成しているため、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。
なお、図11に示す積層パネル1は、表壁2と裏壁3との間に芯材5a,5bを介在させることにしている。しかし、芯材5a,5bを介在させることなく、図13に示すように、表壁2と裏側3との間に中空部12を形成することも可能である。中空部12は、特許文献2(WO2009/136489)等に開示されている公知の方法で形成することが可能である。
この図13に示す積層パネル1の構成の場合も、図11に示す積層パネル1と同様に、表壁2と裏壁3との間に不織布11を介在させ、不織布11でヒンジ部7aを形成する。図13に示す積層パネル1の構成の場合も、表壁2と裏壁3との間に介在する不織布11でヒンジ部7aを形成しているため、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する基材の種類によらず、ヒンジ7の強度を向上させることができる。なお、図11、図13に示すように不織布11でヒンジ部7aを構成する場合は、ヒンジ7を構成する全ての部分に不織布11を介在させてヒンジ部7aを構成したり、ヒンジ7を構成する一部の部分に不織布11を介在させてヒンジ部7aを構成したりすることが可能である。このため、ヒンジ7を構成する少なくとも一部に不織布11を介在させてヒンジ部7aを構成すれば、不織布11を介在させる箇所は特に限定せず、任意の箇所に不織布11を介在させるように構成することが可能である。なお、不織布11で形成されたヒンジ部7aは、不織布11を圧縮して形成することが好ましい。これにより、ヒンジ部7a近傍の表壁2及び裏壁3の内側を、圧縮させていない不織布11で保護することができる。
なお、上述した図3(a)に示す第1の実施形態の積層パネル1においても、例えば、芯材5で形成されたヒンジ部7aと表壁2または裏壁3との間に上述した不織布11を介在させ、その介在させた不織布11でヒンジ部7aを構成するように構築することも可能である。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態の積層パネル1は、図15に示すように、芯材5の少なくとも一面が他部材で覆われた積層パネル1である。他部材とは、表壁2または裏壁3を意味する。
本実施形態の積層パネル1は、図15(b)に示すように、芯材5を変形して形成した保持部51を有し、その保持部51により、芯材5に収納された補強材9が保持されている。保持部51は、例えば、爪部51等を意味する。
本実施形態の積層パネル1は、図17に示すように、芯材5を変形して形成する保持部51により芯材5に収納された補強材9が保持される芯材5と、他部材2,3を構成する溶融状態の樹脂P2と、を分割金型61で型締めし、芯材5と樹脂P2とを溶着させることで成形することができる。
本実施形態の積層パネル1は、芯材5を変形して形成した保持部51により、芯材5に収納された補強材9が保持されているため、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を得ることができる。
本実施形態の補強材9は、図15(a)に示すように、筒形状で構成し、補強材9の端部に少なくとも開口部91を有している。なお、補強材9の断面形状は、筒形状に限定せず、例えば、H型、C型、コの字型等の形状で構成することも可能である。但し、補強材9は、筒形状、H型、C型、コの字型等のように、補強材9の端部に少なくとも開口部91を有して構成することが好ましい。開口部91を有して構成することで、補強材9を収納部10に収納した際に、補強材9の開口部91に対し、後述する爪部51(図15(b)、(c)参照)を挿入し、その爪部51により補強材9を係止し、補強材9を収納部10内で保持することができる。開口部91の形状は特に限定せず、保持部となる爪部51で係止できる形状であれば、任意の形状で構成することが可能である。
収納部10は、図15に示すように、芯材5の表壁2側の面から裏壁3側の面に向けて窪ませて構成する。なお、収納部10は、補強材9を嵌め込んで保持するため、補強材9に応じた形状で芯材5に形成することが好ましい。
また、本実施形態の芯材5は、図15(b)、(c)に示すように、補強材9を保持する保持部となる爪部51が形成されており、その爪部51により、収納部10に収納された補強材9の端部を係止し、補強材9を保持する。
爪部51は、図14(a)、(b)、図15(b)、(c)に示すように、収納部10の長手方向の端部に形成されており、図14、図15(b)に示すように、補強材9の長手方向の端部を爪部51により係止する。爪部51は、図14(c)、図15(b)、(c)、図16(a)に示すように、芯材5の一部(例えば、収容部10)に切り込み52を施して形成されている。補強材9を爪部51で係止する場合は、まず、図16(b)に示すように、爪部51を一度起立させ、図16(c)に示すように、爪部51に補強材9の開口部91を挿入する。そして、補強材9の開口部91を爪部51に挿入した状態で、図16(d)に示すように、補強材9を収納部10に嵌め込んで配置する。これにより、図14、図15(b)に示すように、補強材9の長手方向の端部が爪部51により係止され、補強材9が収納部10から外れることなく、収納部10に保持した状態を維持することができる。なお、補強材9を爪部51で係止するには、爪部51の先端を折り曲げ、その折り曲がった爪部51の先端で補強材9を係止することが好ましい。これにより、爪部51の先端が補強材9を収納部10側に押し付けることになるため、補強材9を収納部10内で保持し易くすることができる。
爪部51は、芯材5に収納部10を形成する際に、切り込み52を同時に施して形成したり、収納部10を形成した後に別工程で切り込み52を施して形成したりすることができる。例えば、分割金型を用いて芯材5に収容部10を形成すると共に、分割金型のピンチオフ部で切り込み52を施して爪部51を形成することができる。なお、本実施形態の芯材5は、収納部10の長手方向の端部に切り込み52を施して爪部51を形成しているため、図14(c)、図16(e)に示すように、芯材5の裏面側に開口部53が形成される。このため、芯材5の収納部10に補強材9を配置した場合は、図14(c)、図16(e)に示すように、芯材5の裏面側の開口部53から補強材9が見えることになる。なお、爪部51の形状は、補強材9を係止することが可能であれば、特に限定せず、任意の形状で構成することが可能である。また、収納部10の長手方向の両端に設ける爪部51の数も特に限定せず、複数の爪部51を収納部10の長手方向の両端に設けることも可能である。但し、両端に複数の爪部51を設ける場合は、個々の爪部51の大きさを小さくする必要がある。
また、本実施形態の芯材5は、図14、図15(a)に示すように、芯材5の略中央位置に凹部形状のヒンジ部7aが形成されており、積層パネル1のヒンジ7を構成している。本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ部7aを有して構成するヒンジ7を回動軸として回動可能になっている。図14に示すヒンジ部7aは、直線形状で形成し、芯材5に連続的に設けられている。ヒンジ部7aは、芯材5の裏面側に形成されているため、図14(a)、(b)に示す図(斜視図、上面図)では、ヒンジ部7aの形成された位置は、点線で示している。また、図14(c)に示す図(底面図)では、実線で示している。
本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ部7aの近傍に収納部10が設けられ、その収納部10に補強材9が配置されている。このため、補強材9によりヒンジ7付近の強度を向上させることができる。
<積層パネル1の製造方法例>
次に、図5〜図7、図16、図17を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の製造方法例について説明する。図5(a)は、芯材5を成形する分割金型41の側面構成例を示し(図5(b)に示す5A-5A断面図)、図5(b)は、図5(a)に示す分割金型41を上面(押出ヘッド40側)から見た構成例を示す図である。図6は、図5(b)に示す分割金型41を閉じた状態を示す図である。図7は、図6に示す分割金型41を開いた状態を示す図である。図16は、爪部51を形成する方法例を示す図である。図17は、積層パネル1の成形方法例を示す図である。なお、以下の方法では、化粧部材6を設けない構成の積層パネル1の製造方法について説明する。
まず、図5(a)、(b)に示すように、芯材5を成形する押出ヘッド40から溶融状態の筒状の樹脂P1を鉛直下方に押し出し、溶融状態の筒状の樹脂P1を開位置にある2つの分割金型41の間に供給する。
次に、図6に示すように、2つの分割金型41を開位置から閉位置に移動し、2つの分割金型41を型締めする。これにより、密閉空間が構成される。
次に、上記構成した密閉空間を通じて、ブロー成形、あるいは、真空成形、あるいは、これらを併用することにより、密閉空間内の樹脂P1は、キャビティ44に向かって押し付けられ、キャビティ44に沿って賦形される。これにより、溶融状態の筒状の樹脂P1により、芯材5が成形される。また、図6に示すように、一方のキャビティ44Bの面に設けられた収納形成部43が芯材5の表面側に挿入され、樹脂P1を圧縮成形することで、芯材5の表面側に収納部10が形成される。また、他方のキャビティ44Aの面に設けられたヒンジ部形成部42が芯材5の裏面側に挿入され、樹脂P1を圧縮成形することで、芯材5の裏面側にヒンジ部7aが形成される。ヒンジ部形成部42は、芯材5にヒンジ部7aを形成するためのものである。
次に、図7に示すように、分割金型41を閉位置から開位置に移動し、2つの分割金型41を型開きし、成形された芯材5を分割金型41の間から取り出す。これにより、収納部10、ヒンジ部7aを有する芯材5を成形することができる。
次に、図16(a)に示すように、人手操作で収納部10の長手方向の端部に切り込み52を施し、爪部51を形成する。この場合、爪部51が平らな状態で切り出される。そして、図16(b)に示すように、人手操作で爪部51を一度起立させる。これにより、爪部51が屈曲するように折り曲げられる。次に、図16(c)に示すように、爪部51に補強材9の開口部91を挿入し、補強材9の開口部91を爪部51に挿入した状態で、図16(d)に示すように、補強材9を収納部10に嵌め込んで配置する。これにより、補強材9を保持した芯材5を形成することができる。本実施形態の芯材5は、収納部10の長手方向の端部に爪部51を有し、爪部51により収納部10に収納された補強板9を係止して保持しているため、補強材9を芯材5から外れ難くすることができる。
次に、図17に示すように、積層パネル1の表壁2、裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2を押出装置のTダイ60から押し出し、溶融状態の樹脂P2を分割金型61間に配置する。
次に、樹脂P2を真空若しくは圧空により分割金型61のキャビティ62に押圧して成形する。次に、補強材9を保持した芯材5を、一方のキャビティ62Bにシート状の樹脂P2の内面に接するように配置して型締めを行い、互いのキャビティ62に配置された樹脂P2を分割金型61のピンチオフ部により積層パネル1の周囲壁4の全周に溶着部が形成されるように挟み込むと共に、溶融状態の樹脂P2の内面と、芯材5の外面と、を溶着させ、補強材9を保持した芯材5が表壁2及び裏壁3で内装された積層パネル1を形成する。これにより、芯材5の両面が樹脂P2で覆われた積層パネル1を得ることができる。
なお、上記製法では、人手操作で収納部10の長手方向の端部に切り込み52を施し、爪部51を形成している。しかし、分割金型41で切り込み52を施し、爪部51を形成することも可能である。
この場合は、図18に示すように、各分割金型41のピンチオフ部を当接させ、芯材5の周辺にパーティングラインを形成すると共に、収納形成部43によって芯材5に形成された収納部10の端部に切り込み52を施し、収納部10の端部に爪部51を形成する。これにより、収納部10、爪部51、ヒンジ部7aを有する芯材5を成形することができる。図18は、図5(a)に示す分割金型41を閉じた状態を示す図であり、収納形成部43の部分の構成例を示す図である。なお、爪部51の折り曲げ部は、芯材5の成形時に予め形成することも可能であるが、成形後に爪部51の先端を折り曲げることが好ましい。直線状の爪部51を後で折り曲げることで、その弾性回復力により、補強材9の固定を強固にすることができる。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材51を変形して形成した爪部51を有する芯材5を成形し、その芯材5に補強材9を収納し、爪部51により補強材9が係止された芯材5を形成する。次に、爪部51により補強材9が係止された芯材5と、樹脂P2と、を分割金型61で型締めし、積層パネル1を成形する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、図15(b)に示すように、芯材5に切り込み52を施して爪部51を形成し、その爪部51により補強材9を係止している。
第4の実施形態は、図19(b)に示すように、芯材5の一部を潰して突出部81を形成し、その突出部81により補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第3の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。以下、図19を参照しながら、第4の実施形態について説明する。
<芯材5の構成例>
まず、図19を参照しながら、本実施形態の芯材5の構成例について説明する。
本実施形態の芯材5は、図19(b)に示すように、芯材5の一部を潰して突出部81を形成し、その突出部81が補強板9の開口部91に挿入され、突出部81により補強板9を係止する。突出部81を形成する部位は、図19(a)に示すように、中空部82を有しており、補強材9を芯材5に嵌め込んだ後に、図19(a)に示すように、中空部82の上方から中空部82を押し潰すことで、図19(b)に示すように、突出部81が形成され、その突出部81が補強材9の開口部91に挿入され、その開口部91に挿入された突出部81により補強材9を係止することになる。
本実施形態の芯材5は、中空部82を押し潰して突出部81を形成するため、中空部82を構成する側壁80に切り込みを施すことが好ましい。これにより、中空部82を押し潰して突出部81を容易に形成することができる。また、側壁80の切り込み部分を起点として中空部82が折れ曲がって突出部81を形成することになるため、中空部82を押し潰して形成する突出部81の形状を特定の形状にすることができると共に、補強材9の開口部91に突出部81を挿入し易くすることができる。例えば、側壁80に切り込みを施さない場合は、側壁80のどの箇所から中空部82が折れ曲がるかわからないため、突出部81の形状を特定し難く、且つ、補強材9の開口部91に突出部81を挿入し難くなる。これに対し、側壁80に切り込みを施した場合は、その切り込み部分を起点として中空部82が折れ曲がるため、突出部81の形状を特定し易く、且つ、補強材9の開口部91に突出部81を挿入し易くすることができる。このため、中空部82を構成する側壁80に切り込みを施すことが好ましい。
本実施形態の積層パネル1は、図19(b)に示すように、突出部81により補強材9が係止された芯材5を、図17に示す芯材5として配置することで、芯材5の両面が樹脂P2で覆われた積層パネル1を得ることができる。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材5の一部を潰して突出部81を形成し、その突出部81により補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第1の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。
なお、上記実施形態では、図19(a)に示すように、中空部82を押し潰して、図19(b)に示す突出部81を形成することにしている。しかし、図20(a)に示すように、中実部83を押し潰して、図20(b)に示す突出部84を形成することも可能である。この場合も、突出部84が補強材9の開口部91に挿入し、開口部91に挿入した突出部84により補強材9が係止されることになる。なお、図20に示す構成の場合も、中実部83の側壁85に切り込みを施すことが好ましい。これにより、側壁85の切り込み部分を起点として中実部83が折れ曲がり突出部84を容易に形成することができる。また、側壁85の切り込み部分を起点として中実部83が折れ曲がり突出部84を形成することになるため、中実部83を押し潰して形成する突出部84の形状を特定の形状にすることができると共に、補強材9の開口部91に突出部84を挿入し易くすることができる。なお、切り込みではなく、複数の貫通穴を側壁85に施し、中実部83を押し潰し易くすることも可能である。即ち、中実部83を押し潰して突出部84を容易に形成することが可能であれば、あらゆる処置を中実部83に予め施しておくことも可能である。
但し、図20に示すように、中実部83を押し潰して突出部84を形成するには、図19に示すように、中空部82を押し潰して突出部81を形成するよりも多くの力が必要になる。このため、図19に示すように、中空部82を形成し、その中空部82を押し潰して突出部81を形成するようにすることが好ましい。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態は、図21(b)に示すように、芯材5の一部(収納部10の両端)を開口して開口部89を形成し、その開口部89に補強材9の端部を挿入し、開口部89により、補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第3の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。以下、図21を参照しながら、第5の実施形態について説明する。
<芯材5の構成例>
まず、図21を参照しながら、本実施形態の芯材5の構成例について説明する。
本実施形態の芯材5は、図21(b)に示すように、芯材5の一部(収納部10の両端)を開口して開口部89を形成し、その開口部89に補強板9が挿入され、開口部89により補強板9を係止する。開口部89を形成する部位は、図21(a)に示すように、中空部86を有しており、中空部86を構成する側壁87の一端に切り込み88を施し、その側壁87を開口することで、開口部89を形成することができる。そして、その開口部89に補強材9の端部を挿入し、補強材9を係止する。
本実施形態の積層パネル1は、開口部89により補強材9が係止された芯材5を、図17に示す芯材5として配置することで、芯材5の両面が樹脂P2で覆われた積層パネル1を得ることができる。
なお、図21の構成では、側壁87の一端に切り込み88を施し、側壁87を開口部89内に残す構成にしている。これにより、開口部89に補強材9の端部を挿入した際に、側壁87が補強材9と開口部89との間の隙間を埋める機能と、緩衝材としての機能と、を発揮することができる。但し、側壁87を開口部89内に残さず、側壁87の両端に切り込み88を施し、側壁87を除去することも可能である。この場合は、側壁87がないため、開口部89内に補強材9の端部を容易に挿入することが可能となる。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材5の一部を開口して開口部89を形成し、その開口部89に補強材9の端部を挿入し、開口部89により補強材9を係止する。これにより、芯材5に任意の補強板9を収納する場合でも、第3の実施形態と同様に、芯材5から補強材9が外れ難い積層パネル1を提供することができる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
図3に示すようなヒンジ部7aを含むヒンジ7を有する積層パネル1を成形する方法としては、例えば、以下の方法がある。まず、芯材5の一部を圧縮してヒンジ部7aを形成した芯材5を予め成形する。そして、図22(a)に示すように、ヒンジ部7aを有する芯材5を、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2の間に配置する。そして、図22(b)に示すように、芯材5と表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2とを分割金型61で型締めし、芯材5と表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2とを溶着させ、ヒンジ部7aを含むヒンジ7を有する積層パネル1を成形する。これにより、図3に示すようなヒンジ部7aを含むヒンジ7を有する積層パネル1を成形することができる。図22(a)は、分割金型61を型締めする前の状態を示し、図22(b)は、分割金型61を型締めした時の状態を示す。
図22(b)に示すように、芯材5と表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2とを分割金型61で型締めする際は、ヒンジ7を形成するためのヒンジ形成部63で芯材5、表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2、化粧部材6を圧縮し、図3に示すヒンジ部7aを有するヒンジ7を形成することになる。ヒンジ形成部63は、ヒンジ7を形成するためのものである。ヒンジ形成部63は、立壁71を形成するための立壁形成部64と、圧縮部10を形成するための圧縮形成部65と、を有して構成し、図3に示すように、立壁71と圧縮部72とを有して構成するヒンジ7を形成することになる。
薄肉のヒンジ7を形成する場合は、芯材5と表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2とを分割金型61で型締めする際に、圧縮形成部65で芯材5、表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2を押し潰し、圧縮形成部65の周囲に表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2を押し出す必要がある。しかし、図22(b)に示すように、表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場がないため、表壁2側を構成する樹脂P2が化粧部材6側や芯材5側に盛り上がってしまい、表壁2側を構成する樹脂P2に凹凸が発生してしまったり、芯材5の形状が変形し、芯材5に凹凸が発生してしまったりする。この問題は、表壁2側を構成する樹脂P2の厚さが厚い程、また、圧縮形成部65の面積が大きい程、圧縮形成部65の周囲に押し出すべき表壁2側を構成する樹脂P2の量が多くなるため、顕著になる。また、図22では、中実の芯材5を用いた場合を例にしているが、一部を中空にした芯材5を用いた場合は、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する樹脂P2により芯材5に凹凸が発生し易くなる。また、表壁2側を構成する樹脂P2を圧縮形成部65で圧縮して薄くする場合は、圧縮形成部65の周囲に表壁2側を構成する樹脂P2を多く押し出す必要があるが、表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場がないため、表壁2側を構成する樹脂P2を薄くすることができない。表壁2側を構成する樹脂P2を薄くできない場合は、ヒンジ7の積層方向の厚み(図9に示すA)が厚くなるため、積層パネル1の回動が困難となり、ヒンジ7の機能を効果的に発揮できない場合がある。
このため、本実施形態では、表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場を確保すべく、図23、図24に示すように、芯材5に溝部54を設けている。溝部54は、図23、図24に示すように、芯材5の表壁2側と接する表面を窪ませて構成している。また、溝部54は、図23、図24に示すように、ヒンジ部7aの両側に設けられている。図23(a)は、分割金型61を型締めする前の状態を示し、図23(b)は、分割金型61を型締めした時の状態を示す。図24は、芯材5に溝部54を形成した芯材5の構成例を示す図である。ヒンジ部7aは、芯材5の裏壁3側の面から表壁2側の面に向けて窪ませて形成しているため、溝部54は、芯材5の表壁2側の面から裏壁3側の面に向けて窪ませて形成している。また、溝部54は、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する樹脂P2を貯留するため、図23に示すように、圧縮形成部65で圧縮されない芯材5の表壁2側の領域に形成している。図23では、溝部54は、立壁形成部64で立壁71が形成される領域αの範囲に形成されている。また、図23では、溝部54は、三角形状で構成している。なお、溝部54の形成位置は、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場を確保することが可能なヒンジ7の近傍であれば、あらゆる位置に溝部54を形成することが可能であり、例えば、図23に示す領域αの範囲ではなく、芯材5において圧縮形成部65と当接する位置から領域αの2倍(2α)の範囲内に溝部54を設けることも可能である。芯材5において圧縮形成部65と当接する位置から2αの範囲内に溝部54を設けることで、圧縮形成部65の周囲に押し出された樹脂P2を溝部54に貯留することができる。但し、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場を確保することを鑑みると、溝部54は、立壁形成部64で立壁71が形成される領域αの範囲に形成されていることが好ましい。これにより、圧縮形成部65から押し出された表壁2側を構成する樹脂P2を溝部54に流入し易くすることができる。また、溝部54の形状は、表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場を確保することが可能であれば、あらゆる形状の溝部54を形成することが可能である。但し、圧縮形成部65から押し出された表壁2側を構成する樹脂P2が流入し易い形状にすることが好ましい。例えば、溝部54の形成領域を大きくし、圧縮形成部65に向かって緩やかに傾斜した形状にすることが好ましい。また、溝部54は、図24に示すように、ヒンジ部7aの形成位置に沿って直線状に連続して形成しているが、ヒンジ部7aの形成位置に沿って部分的に形成することも可能である。また、図24では、溝部54は、ヒンジ部7aの両側にヒンジ部7aと平行に形成しているが、ヒンジ部7aの少なくとも一方に溝部54を形成するようにすることも可能である。但し、圧縮形成部65から押し出された樹脂P2の貯留を鑑みると、図24に示すようにヒンジ部7aの両側に溝部54を形成することが好ましい。
本実施形態の積層パネル1は、図24に示すように、溝部54とヒンジ部7aとを有する芯材5を予め形成する。そして、図23(a)に示すように、溝部54とヒンジ部7aとを有する芯材5を、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2の間に配置する。そして、図23(b)に示すように、芯材5と表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2とを分割金型61で型締めし、芯材5と表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2とを溶着させ、ヒンジ部7aを含むヒンジ7を有する積層パネル1を成形する。ヒンジ7は、立壁形成部64により形成される立壁71と、圧縮形成部65により形成される圧縮部72と、で構成し、圧縮部72の両端は、立壁71の一端と連結しており、圧縮部72を回動軸として2つの立壁71が回動可能になっている。また、立壁71と圧縮部72とで構成するヒンジ7近傍には、溝部54を有し、その溝部54は、表壁2側を構成する樹脂P2で埋没されている。このため、ヒンジ7を構成する表壁2、芯材5の厚さが薄くなっている。
本実施形態の芯材5は溝部54を有しているため、ヒンジ形成部63で芯材5、表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2、化粧部材6を圧縮してヒンジ部7aを有するヒンジ7を形成する際に、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する溶融状態の樹脂P2を溝部54に貯留することができる。このため、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場を確保することができる。芯材5に形成された溝部54は、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する樹脂P2で埋没されることになるため、表壁2側を構成する樹脂P2や芯材5に発生する凹凸を低減することができる。また、圧縮形成部65の周囲に表壁2側を構成する樹脂P2を容易に押し出すことができるため、ヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5の厚さを薄くすることができる。なお、上記実施形態では、芯材5において、圧縮形成部65の周囲に押し出された表壁2側を構成する樹脂P2の逃げ場を確保することが可能なヒンジ7の近傍に溝部54を設けた構成例について説明した。しかし、芯材5において、ヒンジ形成部63により押し出された裏壁3側を構成する樹脂P2の逃げ場を確保することが可能なヒンジ7の近傍に溝部54を設けることも可能である。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、芯材5の表面を窪ませた溝部54を予め形成し、その芯材5と積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2とを分割金型61で型締めし、分割金型61に設けられたヒンジ形成部63でヒンジ7を形成する際に、ヒンジ形成部63により押し出された樹脂P2をヒンジ7の近傍に設けられた溝部54に貯留し、樹脂P2で溝部54を埋没することにしている。これにより、ヒンジ形成部63により押し出された樹脂P2を溝部54に貯留することができるため、ヒンジ7の周囲に発生する凹凸を低減することができる。また、ヒンジ7を構成する樹脂P2の厚さを薄くすることができる。その結果、所望の強度を有するヒンジ7を形成することができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。
第6の実施形態では、図23、図24に示すように、芯材5に溝部54を形成することで、ヒンジ7の周囲に発生する凹凸を低減したり、ヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5の厚さを薄くすることを可能にしている。
本実施形態では、図25に示すように、ヒンジ形成部63の形状を変更し、ヒンジ形成部63の先を尖らせて構成している。ヒンジ形成部63の先は、立壁形成部64と圧縮形成部65とで構成する部分の圧縮形成部65側の端の部分を意味する。例えば、図22に示すように、ヒンジ形成部63の形状を台形形状で構成し、その台形形状のヒンジ形成部63で樹脂P2を圧縮した場合は、台形形状の上辺を構成する圧縮形成部65の幅が大きい程、圧縮形成部65の周囲に押し出すべき樹脂P2の量が多くなるため、樹脂P2を薄くすることができないことになる。圧縮形成部65の幅は、2つの立壁形成部64で挟まれた圧縮形成部65の領域を意味する。即ち、図22に示すようにヒンジ形成部63の先の幅が大きくなると、圧縮形成部65の周囲に押し出すべき樹脂P2の量が多くなるため、樹脂P2を薄くすることができないことになる。
このため、本実施形態では、図25に示すように、ヒンジ形成部63の先を尖らせて構成し、ヒンジ形成部63の先の幅を小さくしている。具体的には、ヒンジ形成部63を構成する立壁形成部64を第1の立壁形成部641と第2の立壁形成部642とで構成し、第1の立壁形成部641と第2の立壁形成部642との連結部分を屈曲させ、第2の立壁形成部642と連接する圧縮形成部65の幅を小さくし、ヒンジ形成部63の先を尖らせるようにしている。これにより、ヒンジ形成部63の先の幅を小さくすることができる。第1の立壁形成部641は、第1の立壁711を形成するためのものであり、第2の立壁形成部642は、第2の立壁712を形成するためのものである。圧縮形成部65は、圧縮部72を形成するためのものである。このため、本実施形態のヒンジ7は、図26(a)に示すように、立壁71と、圧縮部72と、を有して構成し、立壁71は、第1の立壁711と第2の立壁712とを有して構成し、第1の立壁711と第2の立壁712との連結部分が屈曲して構成することになる。また、圧縮部72の両端は、第2の立壁712と連結し、圧縮部72の幅が小さくなるように構成することになる。図26(a)は、図25に示すヒンジ形成部63で形成されたヒンジ7の構成例を示す図である。
図25に示す第2の立壁形成部642と連接する圧縮形成部65は、1.0mm幅の平坦面で構成し、第2の立壁形成部642と、分割金型61の型締方向と、の成す角度θは45度で構成している。また、圧縮形成部65と、分割金型61の型締方向と、の成す角度は90度で構成している。これにより、圧縮形成部65の幅を小さくし、ヒンジ形成部63の先を尖らせることができる。圧縮形成部65の幅は、2つの第2の立壁形成部642で挟まれた圧縮形成部65の領域を意味する。上述した図25に示すヒンジ形成部63を用いて図26(a)に示すヒンジ7を形成することで、ヒンジ7の圧縮部72は、1.0mm幅の平坦面で構成し、圧縮部72と第2の立壁712との成す角度は135度(45度+90度)で構成することになる。
本実施形態では、圧縮形成部65の幅を小さくしているため、圧縮形成部65の周囲に押し出すべき樹脂P2の量を少なくすることができる。また、圧縮形成部65の幅を小さくすることで、ヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5を押し潰す時の力を大きくすることができるため、ヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5を薄くすることができる。分割金型61を型締めする際に圧縮形成部65で樹脂P2や芯材5を押し潰す力を制御することは困難であるが、本実施形態では圧縮形成部65の幅が小さいため、分割金型61を型締めした際に、樹脂P2や芯材5を押し潰す時の力を大きくし、樹脂P2や芯材5を薄くすることができる。
本実施形態のヒンジ形成部63は、圧縮形成部65の幅を小さくし、ヒンジ形成部63の先を尖らせて構成している。このため、先を尖らせたヒンジ形成部63でヒンジ7を形成した際に、裏壁3から表壁2側に向かって窪んだヒンジ7の凹部形状の底面側(圧縮部72側を意味する)を尖らせ、ヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5を薄くし、所望の強度を有するヒンジ7を形成することができる。ヒンジ7の凹部形状は、図26(a)に示すように、凹部形状の開口側(ヒンジ7の裏壁3に形成された開口側を意味する)から底面側(圧縮部72側を意味する)の方向に向かう窪み方向Uに第1の凹部形状(第1の立壁711で構成する凹部形状を意味する)と第2の凹部形状(第2の立壁712で構成する凹部形状を意味する)とが連結して構成しており、第2の凹部形状712は、第1の凹部形状711よりも底面72側に位置している。
また、本実施形態のヒンジ7は、窪み方向Uと直交する直交方向Vの第1の凹部形状711の幅T1が底面72側に向かって狭まる第1の狭まり度合いα1よりも、直交方向Vの第2の凹部形状712の幅T2が底面72側に向かって狭まる第2の狭まり度合いβ1が大きくなっている(α1<β1)。図26(a)は、ヒンジ7の構成例を示し、図26(b)は、ヒンジ7の第1の凹部形状711の第1の狭まり度合いα1を説明するための図であり、図26(c)は、ヒンジ7の第2の凹部形状712の第2の狭まり度合いβ1を説明するための図である。
第1の凹部形状711の第1の狭まり度合いα1は、図26(b)に示すように、第1の凹部形状711の任意の位置における幅T1-1と、その任意の位置から所定の値(ΔU)だけ窪み方向Uに移動した第1の凹部形状711の位置における幅T1-2と、の幅の狭まりの変化の度合いを意味する。第1の凹部形状711の第1の狭まり度合いα1は、以下の式で求めることができる。
α1=(|(T1-1)−(T1-2)|)÷ΔU
第2の凹部形状712の第2の狭まり度合いβ1は、図26(c)に示すように、第2の凹部形状712の任意の位置における幅T2-1と、その任意の位置から所定の値(ΔU)だけ窪み方向Uに移動した第2の凹部形状712の位置における幅T2-2と、の幅の狭まりの変化の度合いを意味する。第2の凹部形状712の第2の狭まり度合いβ1は、以下の式で求めることができる。
β1=(|(T2-1)−(T2-2)|)÷ΔU
本実施形態のヒンジ7は、第1の凹部形状711の第1の狭まり度合いα1よりも第2の凹部形状712の第2の狭まり度合いβ1が大きいため、ヒンジ7の凹部形状の底面を構成する圧縮部72の幅を小さくすることができる。また、第1の凹部形状711と第2の凹部形状712との連結部分が屈曲して構成することになる。その結果、第1の凹部形状711と第2の凹部形状712とで構成するヒンジ7の凹部形状を、圧縮部72を介して回動し易くすることができる。
本実施形態のヒンジ7を形成するヒンジ形成部63は、圧縮形成部65の幅を小さくしているため、大きな力を加えることなく、ヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5を押し潰して薄くすることができる。圧縮形成部65の幅が大きい場合は、圧縮形成部65の周囲に押し出すべき樹脂P2の量が多くなるため、大きい力を加えなければヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5を薄くすることができない。これに対し、本実施形態では、圧縮形成部65の幅が小さく、圧縮形成部65の周囲に押し出すべき樹脂P2の量が少ないため、大きな力を加えることなくヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5を薄くすることができる。また、圧縮形成部65の幅が小さいため、圧縮形成部65で形成された圧縮部72の領域を小さくし、且つ、圧縮部72の厚さを薄くすることができる。その結果、第1の立壁711と第2の立壁712とで構成する立壁71を、圧縮部72を介して回動し易くすることができる。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ形成部63の先を尖らせて構成し、その先の尖ったヒンジ形成部63を有する分割金型61で芯材5と積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2とを型締めし、裏壁3から表壁2側に向かって窪んだヒンジ7の凹部形状の底面側(圧縮部72側を意味する)を尖らせた積層パネル1を成形する。これにより、ヒンジ7を構成する樹脂P2や芯材5を薄くすることができると共に、ヒンジ7の周囲に発生する凹凸を低減することができる。その結果、所望の強度を有するヒンジ7を形成することができる。
なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上記実施形態の積層パネル1は、裏壁3から表壁2側に向かって窪んだ凹部形状でヒンジ7を構成している。しかし、表壁2から裏壁3側に向かって窪んだ凹部形状でヒンジ7を構成することも可能である。この場合、芯材5に形成するヒンジ部7aも同様に表壁2から裏壁3側に向かって窪んだ凹部形状で構成することになる。また、収納部10や溝部54は、裏壁3から表壁2側に向かって窪んだ形状で構成することになる。
また、上記実施形態の積層パネル1は、自動車等におけるトランクの仕切板や床材等として使用することを例として説明した。しかし、上記実施形態の積層パネル1は、自動車等の用途の部材に限定せず、各種用途の部材として使用することも可能である。