(本発明にかかる成形品の実施形態の概要)
まず、図1〜図3を参照しながら、本発明にかかる成形品の実施形態の概要について説明する。図1は、本発明にかかる成形品1の全体構成例を示し、図2は、成形品1の断面構成例を示し、図3は、ヒンジ機構7の構成例を示す図である。
本発明にかかる成形品1は、表壁2と裏壁3との少なくとも一方の外表面に微小凹凸が形成された成形品1である。
本発明にかかる成形品1は、図2、図3に示すように、微小凹凸が形成された一方の壁3は、当該壁3から他方の壁2に向かって起立した立壁8を有し、その立壁8の少なくとも一部に、微小凹凸が形成されていない凹凸無部12を備えている。
本発明にかかる成形品1を構成する立壁8は、図4、図6に示す金型32を用いて成形することができる。図4は、成形品1のヒンジ機構7を形成する部分の金型32の構成例を示し、図6は、成形品1の周囲壁4を形成する部分の金型32の構成例を示す。本発明にかかる成形品1を成形するための金型32は、図4、図6に示すように、成形品1のヒンジ機構7を形成する部分や、周囲壁4を形成する部分に、立壁8を形成するための立壁形成部120を有して構成している。
本発明にかかる成形品1を成形する金型32は、立壁8を形成するための立壁形成部120の少なくとも一部に微小凹凸を形成しないための凹凸無形成部123を有し、その金型32で樹脂P2を吸引して型締めし、凹凸無形成部123に対応する箇所に微小凹凸が形成されていない凹凸無部12を有する立壁8を備える成形品1を成形する。
立壁8に凹凸無部12を有することで、成形時の樹脂P2のずれを防止することができるため、立壁8への皺の発生を抑制することができる。その結果、外表面に微小凹凸が形成された成形品1において、立壁8への皺の発生を抑制し、意匠性に優れた成形品1を得ることができる。以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる成形品1の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、成形品1を積層パネル1として説明する。また、以下の実施形態では、微小凹凸としてシボ模様を形成する場合を説明する。しかし、外表面に形成する微小凹凸は、シボ加工によって形成されるシボ模様(皮革模様、木目模様、岩目模様、砂目模様、なし地模様、幾何学模様など)に限定せず、金型によって外表面に形成した凹凸模様であればあらゆる模様が適用可能であり、様々な凹凸模様も含むものとする。
(第1の実施形態)
<積層パネル1の構成例>
まず、図1〜図3を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の構成例について説明する。本実施形態の積層パネル1は、自動車等におけるトランクの仕切板や床材等として使用するものである。
図1は、積層パネル1の全体斜視図である。図2は、積層パネル1の断面図であり、図1に示す2A-2A線で切断した場合の積層パネル1の断面図である。図3は、ヒンジ機構7の構成例を示す図である。
本実施形態の積層パネル1は、図1、図2に示すように、表壁2と裏壁3と周囲壁4とを有して構成する。表壁2は、積層パネル1の表側を構成する壁である。裏壁3は、積層パネル1の裏側を構成する壁である。周囲壁4は、積層パネル1の周囲を構成する壁であり、図2に示すように、裏壁3から表壁2に向かって起立した立壁8と、表壁2から裏壁3に向かって屈曲した肩壁9と、パーティングラインPLと、を有して構成する。パーティングラインPLは、表壁2,裏壁3を構成する樹脂を分割金型のピンチオフ部により挟み込んで圧縮した部分で形成される。
本実施形態の積層パネル1は、図1に示すように、表壁2の表面に装飾などのための化粧部材5が貼着されており、図2に示すように、裏壁3、芯材6、表壁2、化粧部材5で積層構造を構成している。
表壁2と裏壁3とを構成する樹脂は特に限定せず、公知の樹脂が適用可能である。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリング・プラスチックなどが好適であり、適宜にガラス繊維、カーボンファイバ、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどの充填材を添加することができる。但し、表壁2と裏壁3とを構成する樹脂は、積層パネル1全体としての剛性、特に、曲げ剛性を確保する観点から、芯材6の剛性より高い樹脂を用いることが好ましい。また、表壁2と裏壁3とは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で分割金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂を用いることが好ましい。
芯材6は、公知の材料が可能であり、例えば、表壁2と裏壁3と同様な公知の樹脂や後述する化粧部材5を構成する材料で構成することが可能である。これにより、芯材6の形状を所望の形状に形成することができる。なお、芯材6としては、発泡体で構成することが好ましい。これにより、積層パネル1の軽量化を図ることができる。この場合、発泡体は、発泡倍率2.5〜5.0倍で複数の気泡セル有する独立気泡構造(独立気泡率が70%以上)で構成することが好ましい。なお、発泡体を成形する際に適用可能な発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤及びその混合物が挙げられる。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、及び、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、更には、それらの超臨界流体を適用することができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることで作成することができる。
化粧部材5を構成する材料も特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維およびこれらのブレンドからなる繊維を加工して得られる編物、織物、不織布、または、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタンエラストマ(TPU)または熱可塑性ポリオレフィンエラストマ(TPO)などの熱可塑性エラストマ(TPE)、ポリエチレンポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる樹脂シートおよびこれらの積層シートから適宜選択可能である。
本実施形態の積層パネル1は、裏壁3から表壁2に向かって圧縮薄肉化して窪ませて構成したヒンジ機構7を有し、そのヒンジ機構7を回動軸として積層パネル1が回動可能になっている。ヒンジ機構7は、図2に示すように、裏壁3の一部を裏壁3から表壁2に向かって起立した立壁8と、積層パネル1を構成する層(裏壁3、芯材6、表壁2、化粧部材5)を圧縮薄肉化した圧縮部10と、を有して構成する。裏壁3の圧縮部10の両端は、立壁8の一端と連結しており、圧縮部10を回動軸として2つの立壁8が回動可能になっている。
本実施形態の積層パネル1のヒンジ機構7は、図3に示すように、芯材6で形成されたヒンジ部7aを裏壁3と表壁2とで挟み込んで構成し、積層パネル1のヒンジ機構7の強度を向上させるようにしている。ヒンジ部7aは、芯材6を裏壁3側から表壁2側に向かって圧縮薄肉化して窪ませて構成している。
図3に示す構成の場合のヒンジ機構7を構成する圧縮部10の厚みAは、少なくとも0.5〜0.7mmの範囲で構成することが好ましい。この場合、圧縮部10を構成する表壁2の厚みa1は、0.2〜0.25mmの範囲で構成し、芯材6の厚みa2は、0.1〜0.2mmの範囲で構成し、裏壁3の厚みa3は、0.2〜0.25mmの範囲で構成することが好ましい。これより、積層パネル1の折り曲げ等に耐え得る強度のヒンジ機構7にすることができる。
本実施形態の積層パネル1の外表面は、微小凹凸面であるシボ模様が形成されているシボ有部11を有している。このため、積層パネル1の外表面に傷等が発生した場合でもシボ有部11を有しているため、その傷等を目立たないようにすることができる。また、外観的にも見栄えのある意匠性に優れた積層パネル1にすることができる。
シボ有部11は、積層パネル1の成形時に形成することができる。具体的には、微小凹凸面であるシボ模様を形成するためのシボ有形成部を分割金型のキャビティに設け、積層パネル1の外表面を構成する部分の樹脂を、シボ有形成部を設けた分割金型で型締めすることで、積層パネル1にシボ有形成部に応じたシボ有部11を形成することができる。シボ有部11のシボ模様は特に限定せず、任意の模様で構成することが可能であり、任意のシボ模様を形成するためのシボ有形成部を分割金型のキャビティに設けることで、そのシボ有形成部に応じた任意のシボ模様を形成することができる。
積層パネル1のヒンジ機構7を構成する立壁8は、図3に示すように、シボ模様が形成されているシボ有部11と、シボ模様が形成されていないシボ無部12と、を有して構成している。シボ無部12は、シボ有部11とは異なり、シボ模様のない平滑化した面を構成する。シボ無部12は、シボ有部11と同様に積層パネル1の成形時に形成することができる。具体的には、シボ模様を形成しないためのシボ無形成部を分割金型のキャビティに設け、シボ無形成部を設けた分割金型で樹脂を型締めすることで、立壁8にシボ無形成部に応じたシボ無部12を形成することができる。
図3に示すシボ無部12は、圧縮部10と連接した位置α1から立壁8の曲線形状の端部の位置α2まで形成されている。位置α2は、立壁8の直線形状の部分と立壁8の曲線形状の部分との境界部分を示しており、立壁8のテーパー形状の端部を示している。
図3では、圧縮部10と連接した位置α1から立壁8の曲線形状の端部の位置α2までシボ無部12を形成しているが、シボ無部12を形成する位置α1から位置α2までの距離は、裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さTに応じた距離に少なくともすることが好ましい。なお、図3では、裏壁3を構成する部分の樹脂P2の厚さを樹脂P2の肉厚の厚さTとして示しているが、裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さTは、図12に示すように、Tダイ28から押し出した圧縮部10を形成する圧縮前の裏壁3の樹脂P2の中で、最も肉厚の厚い箇所の厚さを意味する。本実施形態では、裏壁3を構成する樹脂P2を分割金型32で型締めした際に、その樹脂P2がずれて皺が発生する。裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さTが厚い場合は、分割金型32で樹脂P2を型締めした際に発生する樹脂P2のずれ量が多くなり、立壁8に皺が発生し易くなる。分割金型32で樹脂P2を型締めした際に発生する樹脂P2のずれ量は、裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さTに比例する。このため、シボ無部12を形成する領域(図3に示すα1からα2までの領域)を、裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さTに応じた距離に少なくともすることが好ましい。これにより皺の発生を抑制することができる。なお、図3では、圧縮部10と連接した位置α1から立壁8の曲線形状の端部の位置α2までシボ無部12が連続的に形成されているが、部分的に設けることも可能である。
本実施形態の立壁8は、図4に示すように、立壁8を形成するための立壁形成部120に対し、シボ模様を形成するためのシボ有形成部122とシボ模様を形成しないためのシボ無形成部123とを設け、シボ有形成部122及びシボ無形成部123を設けた分割金型32で樹脂P2を型締めすることで、立壁8に対し、シボ有形成部122に応じたシボ有部11と、シボ無形成部123に応じたシボ無部12と、を形成することができる。立壁8にシボ無部12を形成することで、立壁8に皺が発生しないようにすることができる。図4は、ヒンジ機構7を形成するためのヒンジ機構形成部119の周囲の構成例を示し、(a)は、分割金型32を型締めする時の状態を示し、(b)は、分割金型32を型締めした後に樹脂P2が冷却した時の状態を示す。
皺は、分割金型32で樹脂P2を型締めする際に樹脂P2がずれ、そのずれた樹脂P2により形成される。シボ無部12を形成するためのシボ無形成部123は、凹凸のない平坦面を有して構成するため、分割金型32で吸引した樹脂P2とシボ無形成部123との接触面積が大きく、分割金型32で樹脂P2を型締めする際に樹脂P2のずれを防止することができる。その結果、皺の発生を抑制することができる。このため、立壁8にシボ無部12を形成することで、立壁8に皺が発生しないようにすることができる。
ヒンジ機構7は、図3に示すように、2つの立壁8と圧縮部10とを有し、その2つの立壁8の一端が圧縮部10と連接して構成している。立壁8を構成するシボ無部12は、圧縮部10と連接している。
ヒンジ機構7は、図4に示すように、ヒンジ機構7を形成するためのヒンジ機構形成部119を分割金型32のキャビティ116に設け、ヒンジ機構形成部119を設けた分割金型32で樹脂P2を型締めすることで、ヒンジ機構7を形成することができる。ヒンジ機構形成部119は、立壁8を形成するための立壁形成部120と、圧縮部10を形成するための圧縮形成部121と、を有して構成し、圧縮形成部121の両端に立壁形成部120を有して構成している。
ヒンジ機構7を構成する圧縮部10は、ヒンジ機構形成部119を構成する圧縮形成部121で樹脂P2を圧縮して潰して形成するため、圧縮形成部121で潰された樹脂P2の一部が圧縮形成部121の両端に設けられた立壁形成部120の領域に押し出されることになる。立壁形成部120のシボ無形成部123は、圧縮形成部121と連接して設けられているため、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞き止めることができる。これは、シボ無形成部123は、シボ有形成部122とは異なり、凹凸面のない平坦な面で構成し、分割金型32で吸引した樹脂P2との接触面積が多く摩擦抵抗を大きくすることができるためである。その結果、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2による皺の発生を抑制することができる。図4では、シボ無形成部123は、圧縮形成部121と連接して設けている。しかし、シボ無形成部123は、圧縮形成部121と連接して設ける必要はなく、立壁形成部120の少なくとも一部に設けていれば良い。立壁形成部120の少なくとも一部にシボ無形成部123を設けていれば、そのシボ無形成部123の位置で樹脂P2のずれを抑制することができるため、皺の発生を抑制することができる。但し、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2を塞き止めることを鑑みると、シボ無形成部123は、圧縮形成部121と連接していることが好ましい。これにより、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2を、立壁8を形成するための立壁形成部120の端部で塞き止めることができる。その結果、皺の少ない立壁8を形成することができる。
本実施形態のシボ無部12は、圧縮部10と連接した位置α1から立壁8の曲線形状の端部の位置α2まで形成されているため、シボ無部12を形成するためのシボ無形成部123も同様に、圧縮形成部121と連接した位置から立壁形成部120の曲線形状の端部の位置まで形成されている。立壁形成部120の曲線形状の端部の位置は、立壁形成部120のテーパー形状の端部を意味する。
図5に示すように、立壁形成部120にシボ無形成部123を設けず、シボ有形成部122のみを設けた場合は、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2は、シボ有形成部122を構成する凹凸面上を滑り、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2をシボ有形成部122で塞き止めることができない。これは、シボ有形成部122は、微小凹凸面を有して構成し、分割金型32で吸引した樹脂P2との接触面積が少なく摩擦抵抗が小さくなってしまうためである。シボ有形成部122上を樹脂P2が滑るとシボ有形成部122上から余分な樹脂P2が浮いてしまい、シボ有形成部122と樹脂P2との間に隙間200ができ、樹脂P2が折れ曲がってしまう。その結果、折れ曲がった箇所が皺201として立壁8の外表面に残ってしまうことになる。図5は、本発明の課題である皺が発生するヒンジ機構7を形成するヒンジ機構形成部119の周囲の構成例を示し、(a)は、分割金型32を型締めする時の状態を示し、(b)は、分割金型32を型締めした後に樹脂P2が冷却した時の状態を示す。図5(a)では、ヒンジ機構形成部119で樹脂P2を押し潰した時に、シボ有形成部122上の樹脂が滑り、隙間200が発生し、図5(b)では、隙間200により樹脂P2が折れて皺201が発生している。
本実施形態では、図5の課題を解決すべく、外表面にシボ模様を有する積層パネル1を成形する場合は、図4に示すように、立壁8を形成するための立壁形成部120の少なくとも一部に、シボ無部12を形成するためのシボ無形成部123を設け、シボ無形成部123で樹脂P2の滑りを抑制することにしている。これにより、シボ無形成部123の位置で樹脂P2のずれを抑制し、上述した皺201の発生を抑制することができる。なお、図4では、シボ無形成部123は、圧縮形成部121と連接した位置から立壁形成部120の曲線形状の端部の位置まで連続的に形成されている。しかし、上述したように立壁形成部120の少なくとも一部にシボ無形成部123が形成されていれば良い。
周囲壁4は、図2に示すように、裏壁3から表壁2に向かって起立した立壁8と、表壁2から裏壁3に向かって屈曲した肩壁9と、パーティングラインPLと、を有して構成し、ヒンジ機構7と同様に、立壁8を有して構成している。
周囲壁4は、図6に示すように、肩壁9を形成するための肩壁形成部115と、立壁8を形成するための立壁形成部120と、パーティングラインPLを形成するためのピンチオフ部118と、を分割金型32に設け、その分割金型32で表壁2,裏壁3を構成する樹脂P2を型締めすることで形成することができる。パーティングラインPLは、表壁2,裏壁3を構成する樹脂P2を分割金型32のピンチオフ部118により挟み込んで圧縮して形成する。パーティングラインPLは、表壁2と裏壁3との間の中間位置に形成されている。肩壁形成部115の一端はピンチオフ部118に連接しており、立壁形成部120の一端は、ピンチオフ部118に連接している。図6は、周囲壁4を形成するピンチオフ部118の周囲の構成例を示し、(a)は、分割金型32を型締めする時の状態を示し、(b)は、分割金型32を型締めした後に樹脂P2が冷却した時の状態を示す。
周囲壁4を構成する立壁8は、ヒンジ機構7を構成する立壁8と同様に、シボ模様が形成されているシボ有部11と、シボ模様が形成されていないシボ無部12と、を有して構成している。このため、立壁8を形成するための立壁形成部120は、シボ有部11を形成するためのシボ有形成部122と、シボ無部12を形成するためのシボ無形成部123と、を有して構成する。
立壁形成部120のシボ無形成部123は、ピンチオフ部118と連接して設けられているため、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞き止めることができる。その結果、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2による皺の発生を抑制することができる。図6に示すシボ無形成部123は、ピンチオフ部118と連接した位置から立壁形成部120の曲線形状の端部の位置まで形成されている。立壁形成部120の曲線形状の端部の位置は、立壁形成部120のテーパー形状の端部を意味する。なお、シボ無形成部123は、ピンチオフ部118と連接して設ける必要はなく、立壁形成部120の少なくとも一部に設けられていれば良い。立壁形成部120の少なくとも一部にシボ無形成部123が設けられていれば、そのシボ無形成部123の位置で樹脂P2のずれを抑制することができるため、皺の発生を抑制することができる。但し、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を塞き止めることを鑑みると、シボ無形成部123は、ピンチオフ部118と連接していることが好ましい。これにより、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を、立壁8を形成するための立壁形成部120の端部で塞き止めることができる。その結果、皺の少ない立壁8を形成することができる。
図7に示すように、立壁形成部120にシボ無形成部123を設けず、シボ有形成部122のみを設けた場合は、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2は、シボ有形成部122を構成する凹凸面上を滑り、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2をシボ有形成部122で塞き止めることができない。これは、シボ有形成部122は、微小凹凸面を有して構成し、分割金型32で吸引した樹脂P2との接触面積が少なく摩擦抵抗が小さくなってしまうためである。なお、表壁2側を構成する樹脂P2を裏壁3側を構成する樹脂P2よりも分割金型32に先に吸引してしまった場合は、表壁2側を構成する樹脂P2が先に固まってしまうため、ピンチオフ部118で樹脂P2を潰して圧縮した場合は、表壁2側を構成する樹脂P2は殆ど動かずに、裏壁3側を構成する樹脂P2がピンチオフ部118から押し出されることになり、その押し出された樹脂P2がシボ有形成部122を構成する凹凸面上を滑ることになる。シボ有形成部122上を樹脂P2が滑るとシボ有形成部122上から余分な樹脂P2が浮いてしまい、シボ有形成部122と樹脂P2との間に隙間200ができ、樹脂P2が折れ曲がってしまう。その結果、折れ曲がった箇所が皺201として立壁8の外表面に残ってしまうことになる。図7は、本発明の課題である皺が発生する周囲壁4を形成するピンチオフ部118の周囲の構成例を示す図であり、(a)は、分割金型32を型締めする時の状態を示し、(b)は、分割金型32を型締めした後に樹脂P2が冷却した時の状態を示す。図7(a)では、ピンチオフ部118で樹脂P2を押し潰した時に、シボ有形成部122上の樹脂が滑り、隙間200が発生し、図7(b)では、隙間200により樹脂P2が折れて皺201が発生している。
本実施形態では、図7の課題を解決すべく、図6に示すように、立壁8を形成するための立壁形成部120の少なくとも一部に、シボ無部12を形成するためのシボ無形成部123を設け、シボ無形成部123で樹脂P2の滑りを抑制することにしている。これにより、シボ無形成部123の位置で樹脂P2のずれを抑制し、上述した皺201の発生を抑制することができる。なお、図6では、シボ無形成部123は、ピンチオフ部118と連接した位置から立壁形成部120の曲線形状の端部の位置まで連続的に形成されている。しかし、上述したように立壁形成部120の少なくとも一部にシボ無形成部123が形成されていれば良い。なお、シボ無形成部123は、裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さに応じた距離に少なくともすることが好ましい。
<積層パネル1の製造方法例>
次に、図8〜図19を参照しながら、本実施形態の積層パネル1の製造方法例について説明する。
図8〜図10は、芯材6を成形する方法例を示す図であり、図8(a)は、芯材6を成形する分割金型41の側面構成例を示し(図8(b)に示す8A-8A断面図)、図8(b)は、図8(a)に示す分割金型41を上面(押出ヘッド40側)から見た構成例を示す。図9は、図8(b)に示す分割金型41を閉じた状態を示す。図10は、図9に示す分割金型41を開いた状態を示す。
図11〜図19は、積層パネル1を成形する方法例を示す図であり、図11は、化粧部材5を配置した状態を示す。図12は、積層パネル1の表壁2,裏壁3を形成する樹脂P2を押し出した状態を示す。図13は、枠部材128を樹脂P2に当接した状態を示す。図14は、樹脂P2を分割金型32に当接した状態を示す。図15は、一方の樹脂P2をキャビティ116に沿った形状に賦形した状態を示す。図16は、一方の樹脂P2に芯材6を当接した状態を示す。図17は、他方の樹脂P2をキャビティ116に沿った形状に賦形した状態を示す。図18は、分割金型32で樹脂P2を型締めした状態を示す。図19は、分割金型32を開いた状態を示す。
まず、図8に示すように、押出ヘッド40から溶融状態の筒状の樹脂P1を鉛直下方に押し出し、溶融状態の筒状の樹脂P1を開位置にある2つの分割金型41の間に供給する。樹脂P1は、芯材6を形成するための樹脂である。
次に、図9に示すように、2つの分割金型41を開位置から閉位置に移動し、2つの分割金型41を型締する。これにより、密閉空間が構成される。
次に、上記構成した密閉空間を通じて、ブロー成形、あるいは、真空成形、あるいは、これらを併用することにより、密閉空間内の樹脂P1は、キャビティ44に向かって押し付けられ、キャビティ44に沿って賦形される。
詳細には、ブロー成形の場合は、ブローピン(図示せず)を樹脂P1の中に差し込んで内部に加圧流体を導入することにより、樹脂P1をキャビティ44に向かって押し付ける。また、真空成形の場合は、キャビティ44に開口する流路(図示せず)を分割金型41中に設け、この流路を通じて樹脂P1を分割金型41に吸引する。
これにより、溶融状態の筒状の樹脂P1により、芯材6が成形される。そして、図9に示すように、一方のキャビティ44Aの面に設けられたヒンジ形成部42が樹脂P1の裏面側に挿入され、樹脂P1を圧縮成形することで、芯材6の裏面側にヒンジ部7aが形成される。ヒンジ形成部42は、芯材6にヒンジ部7aを形成するためのものである。なお、ヒンジ形成部42は、図8(a)に示すように、樹脂P1と同一方向で分割金型41に設けることが好ましい。これにより、折れ肉の発生を低減することができる。但し、ヒンジ形成部42は、樹脂P1と直交する方向で分割金型41に設けることも可能である。
次に、図10に示すように、分割金型41を閉位置から開位置に移動し、2つの分割金型41を型開きし、成形された芯材6を分割金型41の間から取り出す。これにより、ヒンジ部7aを有する芯材6を成形することができる。
次に、図11に示すように、化粧部材5を2つの分割金型32の側方から一方の分割金型32と一方の枠部材128との間に挿入し、一方の分割金型32に設けた仮止ピン(図示せず)により、化粧部材5を一方の分割金型32のキャビティ116を覆うように仮止めする。
次に、図12に示すように、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を形成するための樹脂P2をTダイ28から押し出し、その押し出した樹脂P2を一対のローラ30を通過させて樹脂P2の肉厚を調整し、一対の分割金型32の間に垂下させる。
樹脂P2を分割金型32の間に配置した場合は、枠部材駆動装置(図示せず)により枠部材128を対応する樹脂P2に向けて移動し、図13に示すように、枠部材128を樹脂P2に当接し、樹脂P2を枠部材128で保持する。
次に、枠部材128を分割金型32に向けて移動し、図14に示すように、分割金型32のピンチオフ部118に樹脂P2を当接し、樹脂P2、ピンチオフ部118、キャビティ116により密閉空間117を形成する。また、マニピュレータ(図示せず)の吸着盤31で保持された芯材6を、図14に示すように分割金型32の間に挿入する。
次に、分割金型32を通じて密閉空間117内を吸引し、一方の樹脂P2をキャビティ116に対して押圧し、図15に示すように、一方の樹脂P2をキャビティ116に沿った形状に賦形する。これにより、一方の樹脂P2は、その一方の樹脂P2とキャビティ116との間に介在する化粧部材5に溶着することになる。本実施形態では、キャビティ116に開口する流路を分割金型32の内部に設け、この流路を通じて密閉空間117内を吸引し、一方の樹脂P2をキャビティ116に沿った形状に賦形する。
また、マニピュレータを右側の分割金型32に向けて移動し、図16に示すように、右側の分割金型32のキャビティ116に吸着された一方の樹脂P2に芯材6を押し付け、芯材6を一方の樹脂P2に溶着する。
次に、吸着盤31を芯材6から脱着し、マニピュレータを2つの分割金型32の間から引き抜くと共に、分割金型32を通じて密閉空間117内を吸引し、他方の樹脂P2をキャビティ116に対して押圧し、図17に示すように、他方の樹脂P2をキャビティ116に沿った形状に賦形する。本実施形態では、キャビティ116に開口する流路を分割金型32の内部に設け、この流路を通じて密閉空間117内を吸引し、他方の樹脂P2をキャビティ116に沿った形状に賦形する。また、キャビティ116には、ヒンジ機構7を形成するためのヒンジ機構形成部119を有しているため、ヒンジ機構形成部119に接する部分の他方の樹脂P2は、ヒンジ機構形成部119に沿った形状に賦形する。
次に、金型駆動装置により2つの分割金型32を型締めし、図18に示すように、左側の分割金型32のキャビティ116に吸着された他方の樹脂Pに芯材6を押し付け、芯材6を他方の樹脂P2に溶着する。また、ピンチオフ部118により2枚の樹脂P2同士を挟み込んで圧縮してパーティングラインPLが形成される。
裏壁3を形成する左側の分割金型32のキャビティ116には、ヒンジ機構7を形成するためのヒンジ機構形成部119を有しており、2つの分割金型32を型締めすることで、ヒンジ機構形成部119に対応する箇所にヒンジ機構形成部119の形状に応じたヒンジ機構7を形成することができる。ヒンジ機構形成部119は、図4に示すように、立壁8を形成するための立壁形成部120と、圧縮部10を形成するための圧縮形成部121と、を有して構成するため、立壁8と圧縮部10とを有するヒンジ機構7を形成することができる。また、立壁形成部120は、シボ有形成部122とシボ無形成部123とを有して構成するため、シボ無形成部123が設けられた箇所にシボ無形成部123に応じたシボ無部12を有し、シボ有形成部122が設けられた箇所にシボ有形成部122に応じたシボ有部11を有する立壁8を形成することができる。
ヒンジ機構7を構成する圧縮部10は、ヒンジ機構形成部119を構成する圧縮形成部121で樹脂P2を圧縮して潰して形成するため、圧縮形成部121で潰された樹脂P2の一部が圧縮形成部121の両端に設けられた立壁形成部120の領域に押し出されることになる。立壁形成部120は、シボ無形成部123を有して構成するため、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞き止めることができる。その結果、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2による皺の発生を抑制することができる。
また、分割金型32のキャビティ116には、図6に示すように、積層パネル1の周囲壁4を形成する箇所に、肩壁9を形成するための肩壁形成部115と、立壁8を形成するための立壁形成部120と、パーティングラインPLを形成するためのピンチオフ部118と、を有しており、2つの分割金型32を型締めすることで、肩壁9、立壁8、パーティングラインPLを有する周囲壁4を形成することができる。立壁形成部120は、シボ有形成部122とシボ無形成部123とを有して構成するため、シボ無形成部123が設けられた箇所にシボ無形成部123に応じたシボ無部12を有し、シボ有形成部122が設けられた箇所にシボ有形成部122に応じたシボ有部11を有する立壁8を形成することができる。
周囲壁4を構成するパーティングラインPLは、樹脂P2をピンチオフ部118により挟み込んで圧縮して潰して形成するため、ピンチオフ部118で潰された樹脂P2の一部がピンチオフ部118と連接した立壁形成部120の領域に押し出されることになる。立壁形成部120は、シボ無形成部123を有して構成するため、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞き止めることができる。その結果、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2による皺の発生を抑制することができる。
以上の工程により、芯材6、樹脂P2、化粧部材5が積層された積層パネル1が完成する。
次に、図19に示すように、2つの分割金型32を型開きし、完成した積層パネル1からキャビティ116を離間させ、パーティングラインPLの周りに形成されたバリを除去する。以上で、外表面にシボ模様を有する積層パネル1の成形が完了する。
本実施形態の積層パネル1は、ヒンジ機構7を構成する立壁8と、周囲壁4を構成する立壁8と、にシボ無部12を少なくとも有して構成している。その結果、積層パネル1の外表面に皺の少ない意匠性に優れた積層パネル1を成形することができる。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1を成形する際は、裏壁3から表壁2に向かって起立した立壁8を形成するための立壁形成部120の少なくとも一部にシボ模様を形成しないためのシボ無形成部123を設け、そのシボ無形成部123を設けた分割金型32で樹脂P2を型締めし、シボ無形成部123に対応する箇所にシボ模様が形成されていないシボ無部12を有する立壁8を備える積層パネル1を成形する。
これにより、立壁8の少なくとも一部に、シボ模様が形成されていないシボ無部12を備える積層パネル1を得ることができる。
本実施形態の積層パネル1は、立壁8の少なくとも一部にシボ無部12を有しているため、成形時の樹脂P2のずれを防止し、立壁8への皺の発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、溶融状態の筒状の樹脂P1を用いて芯材6を成形することにしている。しかし、芯材6を成形する樹脂P1は、筒状の樹脂P1に限定せず、溶融状態の管状またはシート状の樹脂P1単体を用いて成形することも可能である。
また、上記実施形態では、真空成形方法を用いて分割金型32に樹脂P2を吸引して成形することを前提としているが、ブロー成形を併用して成形することも可能である。
また、上記実施形態では、溶融状態のシート状の樹脂P2を用いて積層パネル1を成形することを前提としているが、シート状の樹脂P2に限定せず、筒状の樹脂P2を用いて成形することも可能である。
また、上記実施形態では、芯材6の一部を圧縮薄肉化してヒンジ部7aを形成した芯材6を予め成形し、その芯材6と、積層パネル1の表壁2及び裏壁3を構成する溶融状態の樹脂P2と、を分割金型32で型締めし、芯材6と樹脂P2とを溶着させ、芯材6で形成されたヒンジ部7aを含むヒンジ機構7を有する積層パネル1を成形している。しかし、ヒンジ部7aを形成した芯材6を予め成形せずに、芯材6と、樹脂P2と、を分割金型32で型締めする際に、分割金型32で芯材6の一部を圧縮薄肉化してヒンジ部7aを形成するように構築することも可能である。この場合は、ヒンジ機構形成部119により芯材6の一部を圧縮薄肉化してヒンジ部7aを形成することになる。
また、上記実施形態では、積層パネル1として表壁2の上面に化粧部材5を貼着することにしている。しかし、化粧部材5を省略し、表壁2の上面をそのまま露出させるようにすることも可能である。この場合は、化粧部材5を省略した表壁2の表面にもシボ模様を形成することが好ましい。
また、上記実施形態では、芯材6は、中実の構成を例に説明している。しかし、芯材6は、例えば、特許文献2(WO2009/136489)の図4に示すように複数の窪みを芯材6に設けることも可能である。また、特許文献2の図5に示すように貫通穴を芯材6に設けることも可能である。即ち、芯材6の構成は、中実の構成に限定するものではなく、一部を中空にしたり、一部を中実にしたりすることも可能であり、本実施形態の芯材6に設けるヒンジ部7aの位置に応じて中空部や中実部を芯材6に適宜設けることが可能である。なお、本実施形態の芯材6は、ヒンジ部7aを形成するため、その周囲に中空部等の穴を設けることが好ましい。これにより、樹脂P1を用いてヒンジ部7aを形成しても、その形成部分の樹脂の逃げ場を確保することができるため、樹脂だまりの発生を防止することができる。なお、芯材6にリンフォース等の補強材を配置することも可能である。また、芯材6を設けない構成にすることも可能である。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態は、図6に示すように、積層パネル1の周囲壁4の立壁8を形成する立壁形成部120にシボ無形成部123を設け、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞き止めるようにしている。これにより、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2による皺の発生を抑制することを可能にしている。
即ち、第1の実施形態では、周囲壁4の立壁8にシボ無部12を設けることで、立壁8への皺の発生を抑制し、皺の少ない立壁8を形成することを可能にしている。しかし、第1の実施形態では、立壁8にシボ無部12を設けることを前提としているため、立壁8の全ての面にシボ模様を形成することができない。
このため、第2の実施形態では、図20に示すように、積層パネル1の周囲壁4の肩壁を形成するための肩壁形成部の形状を変形し、角Rが1.5mmとなる曲線形状の曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を設けることにしている。図20は、周囲壁4を形成するピンチオフ部118の周囲の構成例を示し、(a)は、分割金型32を型締めする時の状態を示し、(b)は、分割金型32を型締めした後に樹脂P2が冷却した時の状態を示し、(c)は、成形後の周囲壁4の周囲の構成例を示す。
本実施形態は、角Rが1.5mmとなる曲線形状の曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302と、立壁8を形成するための立壁形成部120と、パーティングラインPLを形成するためのピンチオフ部118と、を分割金型32に設け、その分割金型32で表壁2,裏壁3を構成する樹脂P2を型締めし、積層パネル1の周囲壁4に角Rが1.5mmとなる曲線肩壁301を設け、曲線肩壁301と立壁8とがパーティングラインPLで連結するように構成している。
角Rが1.5mmとなる曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を設けることで、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力を低減することができる。その結果、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2が立壁形成部120側にずれるのを抑制することができる。ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2は、その場で折れ曲がって、ピンチオフ部118の近傍に残存するため、皺となって立壁8の外表面に残ってしまうことがない。このため、周囲壁4を構成する立壁8の全ての面にシボ模様を形成することができる。
図7に示すように、角Rが8.0mmとなる曲線形状の部分と、直線形状の部分と、を含んで構成する肩壁を形成するための肩壁形成部115を分割金型32に設けた場合は、図7(a)に示すように、表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2を分割金型32で型締めする際にピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力が強くなってしまう。これは、肩壁形成部115に、直線形状の部分の肩壁を形成するための直線形状形成部を設けており、その直線形状形成部が、立壁形成部120とほぼ同一線上に位置するためである。肩壁形成部115の直線形状形成部と、立壁形成部120と、が同一線上に位置すると、肩壁形成部115の直線形状形成部と、立壁形成部120と、の間で樹脂P2の流動がし易くなり、表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2を分割金型32で型締めする際にピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力が強くなってしまう。
また、立壁形成部120にシボ有形成部122のみを設けているため、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2は、シボ有形成部122を構成する凹凸面上を滑り、シボ有形成部122上から余分な樹脂P2が浮いてしまい、シボ有形成部122と樹脂P2との間に隙間200ができ、樹脂P2が折れ曲がってしまう。その結果、折れ曲がった箇所が皺201として立壁8の外表面に残ってしまう。
本実施形態では、図7の課題を解決すべく、図20に示すように、角Rが1.5mmとなる曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を分割金型32に設け、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力を低減することにしている。その結果、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2が立壁形成部120側にずれるのを抑制し、皺の発生を防止することを可能にしている。本実施形態では、角Rが1.5mmとなる曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を分割金型32に設けているため、曲線形状の曲線肩壁形成部302と立壁形成部120とが同一線上に位置しないようにすることができる。曲線形状の曲線肩壁形成部302と、立壁形成部120と、が同一線上に位置しないため、曲線肩壁形成部302と、立壁形成部120と、の間で樹脂P2の流動がし難くなり、表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2を分割金型32で型締めする際にピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力を弱くすることができる。
なお、本実施形態において、表壁2側を構成する樹脂P2を裏壁3側を構成する樹脂P2よりも分割金型32に先に吸引してしまった場合は、表壁2側を構成する樹脂P2が先に固まってしまうため、ピンチオフ部118で樹脂P2を潰して圧縮した場合は、表壁2側を構成する樹脂P2は余り動かずに、裏壁3側を構成する樹脂P2がピンチオフ部118から押し出されることになる。しかし、本実施形態では、図20に示すように、角Rが1.5mmとなる曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を分割金型32に設け、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力を低減することにしている。その結果、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2が立壁形成部120側にずれるのを抑制し、皺の発生を防止することを可能にしている。また、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2は、立壁形成部120側にずれず、その場で折れ曲がって、ピンチオフ部118の近傍に残存するため、皺となって立壁8の外表面に残ってしまうのを防止することができる。
なお、図20に示すように、角Rが1.5mmとなる曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を分割金型32に設けた場合は、曲線肩壁形成部302の位置に化粧部材5を配置して積層パネル1を成形することが好ましい。曲線肩壁形成部302は、角Rが1.5mmと小さいため、曲線肩壁形成部302に化粧部材5を配置し、その配置した化粧部材5を分割金型32から真空吸引しても化粧部材5を曲線肩壁形成部302の形状に賦形することができず、曲線肩壁形成部302と化粧部材5との間に隙間303を形成することができる。その結果、表壁2側を構成する樹脂P2を裏壁3側を構成する樹脂P2よりも分割金型32に先に吸引して先に固まらせてしまったとしても、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を上記形成した隙間303の分だけ動かすことができる。その結果、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2が立壁形成部120側にずれるのを抑制し、皺の発生を防止することができる。
なお、図20では、角Rが1.5mmとなる曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を分割金型32に設ける構成にしているが、角Rの値は、1.5mmに限定せず、角Rの値が3.0以下であれば、上述した隙間303を形成し易くすることができる。このため、角Rが3.0mm以下となる曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を分割金型32に設けることで、周囲壁4を構成する立壁8の全ての面にシボ模様を形成しても皺が発生しないようにすることができる。
なお、上記実施形態では、角Rが3.0mm以下となる曲線形状の曲線肩壁301と、立壁8と、がパーティングラインPLで連結するように構成することを前提としている。しかし、表壁2の周囲からパーティングラインPLまでの範囲に、曲線形状の部分で構成する曲線肩壁301を有して構成していれば、上述した実施形態と同様に成形時の樹脂P2のずれを防止し、裏壁3の周囲に有する立壁8への皺の発生を抑制することができる。即ち、表壁2の周囲からパーティングラインPLまでの範囲を、曲線形状で構成する曲線肩壁301だけで構成することが可能であれば、曲線肩壁301の曲線形状は特に限定せず、任意の曲線形状の曲線肩壁301を有して構成することが可能である。例えば、角Rが3.0よりも大きい曲線形状の曲線肩壁301を有して構成し、その曲線形状の曲線肩壁301と立壁8とがパーティングラインPLで連結して構成することも可能である。但し、隙間303を形成することを鑑みると、角Rが3.0以下の曲線形状の曲線肩壁301を有して構成することが好ましい。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1を成形する際は、曲線形状の曲線肩壁301を形成するための曲線肩壁形成部302を分割金型32に設け、その曲線肩壁形成部302を設けた分割金型32で樹脂P2を型締めすることで、曲線肩壁形成部302に対応する箇所に曲線肩壁301を有し、その曲線肩壁301と立壁8とがパーティングラインPLで連結した積層パネル1を成形する。
これにより、周囲壁4に対し、曲線形状の曲線肩壁301を有し、その曲線肩壁301と立壁8とがパーティングラインPLで連結した積層パネル1を得ることができる。
本実施形態の積層パネル1は、周囲壁4に対し、曲線形状の曲線肩壁301を有し、その曲線肩壁301と立壁8とがパーティングラインPLで連結して構成しているため、成形時の樹脂P2のずれを防止し、立壁8に皺が発生しないようにすることができる。
なお、上記実施形態では、曲線形状の曲線肩壁301と、立壁8と、がパーティングラインPLで連結するように構成することを前提としている。しかし、周囲壁4に曲線形状の曲線肩壁301を設けるのではなく、周囲壁4に直線形状の直線肩壁を設け、その直線形状の直線肩壁と、立壁8と、がパーティングラインPLで連結するように構成することも可能である。但し、この場合は、直線肩壁と、立壁8と、が同一線上に位置せず、直線肩壁が立壁8の線上に対して積層パネル1の内側に向かって傾斜するように構成する必要がある。この場合、立壁8と直線肩壁との傾斜角度αが20度以上傾斜していることが好ましい。直線肩壁と立壁8とが傾斜していることは、直線肩壁を形成するための直線肩壁形成部と、立壁8を形成するための立壁形成部120と、が傾斜していることを意味する。立壁形成部120と直線肩壁形成部とが傾斜していることで、立壁形成部120と直線肩壁形成部との間で樹脂P2の流動がし難くなるため、表壁2及び裏壁3を構成する樹脂P2を分割金型32で型締めする際にピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力を弱くすることができる。
また、図20では、周囲壁4を形成する立壁形成部120にシボ有形成部122のみを設け、周囲壁4の立壁8の全面にシボ有形成部122に応じたシボ有部11を形成し、周囲壁4の立壁8の全面にシボ模様を形成することにしている。しかし、第1の実施形態と同様に、立壁形成部120の少なくとも一部にシボ無形成部123を設け、周囲壁4の立壁8の少なくとも一部にシボ無部12を形成することも可能である。図20に示す構成において、立壁形成部120の少なくとも一部にシボ無形成部123を設けることで、シボ無形成部123上に配置された樹脂P2との接触面積を大きくし、摩擦抵抗を大きくすることができるため、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を立壁形成部120側に押し下げる力を更に低減することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態は、図4に示すように、積層パネル1のヒンジ機構7の立壁8を形成する立壁形成部120にシボ無形成部123を設け、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞き止めるようにしている。これにより、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2による皺の発生を抑制することを可能にしている。
即ち、第1の実施形態では、ヒンジ機構7の立壁8にシボ無部12を設けることで、皺の少ない立壁8を形成することを可能にしている。
第3の実施形態では、図21に示すように、積層パネル1のヒンジ機構7を形成するためのヒンジ機構形成部119の形状を変形し、立壁形成部120に凸部401を設け、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2を凸部401で塞き止めるようにしている。これにより、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2による皺の発生を抑制することを可能にしている。図21は、ヒンジ機構7を形成するためのヒンジ機構形成部119の周囲の構成例を示し、(a)は、分割金型32を型締めする時の状態を示し、(b)は、分割金型32を型締めした後に樹脂P2が冷却した時の状態を示し、(c)は、成形後のヒンジ機構7の周囲の構成例を示す。
本実施形態では、図21に示すように、ヒンジ機構7を形成するためのヒンジ機構形成部119の形状を変更している。本実施形態のヒンジ機構形成部119は、凸部401を有する立壁形成部120と、圧縮形成部121と、を有して構成するため、凸部401の形状に応じた凹部407を有する立壁8と圧縮部10とを有するヒンジ機構7を形成することができる。なお、図21に示す立壁8は、図21(b)に示すように、凸部401と樹脂P2との間に隙間が発生し、その隙間が発生した状態で樹脂P2が冷却して形成した皺有り凹部402を有して構成している。しかし、本実施形態の立壁8は、図21(a)に示すように、凸部401と樹脂P2との間に隙間が発生せず、外側に樹脂P2が突出した状態で樹脂P2が冷却して形成した凹部407を有して構成するのが前提であり、その凹部407に図21(b)に示すように皺が形成されて皺有り凹部402を有して構成することもある。
立壁形成部120に設ける凸部401は、凸部401の凸方向と分割金型32の型締方向との成す角度θが鋭角になるように設けることが好ましい。これにより、立壁形成部120に凸部401を設けても、分割金型32の型締め後に、樹脂P2から凸部401を引き抜き易くすることができる。なお、凸部401の抜き易さを鑑みると、凸部401の凸方向は、型締方向になっていることが好ましい。これにより、分割金型32の型締め後に、樹脂P2から凸部401を容易に抜くことができる。
本実施形態の立壁形成部120は、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404とで構成し、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404との連結部分が折れ曲がっており、その折れ曲がった箇所で凸部401を構成している。
本実施形態の立壁形成部120を構成する第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404とは同一直線上に位置せず、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404とが所定の角度で傾斜しているため、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404との連結部分が屈曲し、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404との連結部分で凸部401を構成することになる。
このため、立壁形成部120によって形成される立壁8は、第1の立壁形成部403によって形成される第1の立壁405と、第2の立壁形成部404によって形成される第2の立壁406と、凸部401によって形成される凹部407と、を有して構成する。また、本実施形態の立壁8は、予め規定された位置に、積層パネル1の内側に向かって窪んだ凹部407を有して構成することになる。本実施形態の立壁8は、第1の立壁405と、第2の立壁406と、を有して構成し、第1の立壁405と第2の立壁406との連結部分が屈曲しており、その屈曲部分で凹部407を構成することになる。本実施形態の立壁8を構成する第1の立壁405と第2の立壁406とは同一直線上に位置せず、第1の立壁405と第2の立壁406とが所定の角度で傾斜しているため、第1の立壁405と第2の立壁406との連結部分が屈曲することになる。
本実施形態の立壁8は、凸部401の形状に応じた凹部407を有して構成するため、皺の発生を防止することができる。また、本実施形態では、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404との連結部分で凸部401を構成しているため、立壁8には、凸部401に対応する箇所に、積層パネル1の内側に窪んだ凹部407が形成される。しかし、凹部407が折れ線として形成され、その折れ線と凹部407とが重なって形成されるため、立壁8に形成された凹部407を目立たないようにすることができる。本実施形態の立壁8は、凸部401の形状に応じた凹部407を意図的に設けているため、樹脂のずれによる皺の発生を防止すると共に、仮に皺が発生したとしても、凹部407の近傍に発生するため、不特定の位置に皺が発生するのを回避することができる。
本実施形態では、第1の立壁形成部403は、シボ模様を形成するためのシボ有形成部122を有して構成し、第2の立壁形成部404は、シボ模様を形成しないシボ無形成部123を有して構成することが好ましい。これにより、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞ぎ止めると共に、仮に、シボ無形成部123で塞ぎ止められなかったとしても、その塞ぎ止められなかった樹脂P2を凸部401で更に塞ぎ止めることができ、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2が凸部401を越えないようにすることができる。その結果、皺の発生を更に抑制することができる。
なお、本実施形態では、立壁形成部120に凸部401を有し、圧縮形成部121から押し出された樹脂P2を凸部401で塞ぎ止めるように構成している。このため、第1の立壁形成部403及び第2の立壁形成部404は、シボ有形成部122を有して構成することが可能である。これにより、立壁8の凹部407以外の全ての表面にシボ模様を形成することができる。本実施形態のように、立壁形成部120に凸部401を設けることで、成形時の樹脂P2のずれを防止し、立壁8の凹部407以外の全ての表面にシボ模様を形成した積層パネル1を成形することができる。なお、凸部401の形状は特に限定せず、任意の形状で構成することが可能である。例えば、円形状、三角形状、台形形状等任意の形状で構成することが可能である。また、凸部401の凸方向も任意の方向で構成することが可能である。但し、凸方向は、分割金型32の型締め後に、樹脂P2から凸部401を抜き易い方向にすることが好ましい。
凸部401の位置を規定する第2の立壁形成部404は、圧縮形成部121と連接した位置から裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さに応じた距離だけ離れた位置まで少なくとも形成されていることが好ましい。裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さは、図12に示すように、Tダイ28から押し出した圧縮部10を形成する圧縮前の裏壁3の樹脂P2の中で、最も肉厚の厚い箇所の厚さを意味する。裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さが厚い場合は、圧縮形成部121から押し出される樹脂P2の押し出し量が多くなり、立壁8に皺が発生し易くなる。圧縮形成部121から押し出される樹脂P2の押し出し量は、裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さに比例する。このため、圧縮形成部121と連接した位置から第1の立壁形成部403と連接する位置までの第2の立壁形成部404の幅は、裏壁3を構成する樹脂P2の肉厚の厚さに応じた距離以上にすることが好ましい。これにより、圧縮形成部121から押し出される樹脂P2を第2の立壁形成部404で抑制し、皺の発生を抑制することができる。
なお、図21では、ヒンジ機構7を構成する立壁8を形成するための立壁形成部120に凸部401を設けた構成例について説明した。しかし、図22に示すように、周囲壁4を構成する立壁8を形成するための立壁形成部120に凸部401を設け、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2を凸部401で塞き止めるようにすることも可能である。これにより、ピンチオフ部118から押し出される樹脂P2を凸部401で塞ぎ止め、皺の発生を抑制することができる。
図22に示す立壁形成部120は、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404とで構成し、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404との連結部分で凸部401を構成している。このため、立壁形成部120によって形成される立壁8は、第1の立壁形成部404によって形成される第1の立壁405と、第2の立壁形成部404によって形成される第2の立壁406と、凸部401によって形成される凹部407と、を有して構成する。このため、本実施形態の立壁8は、予め規定された位置に凹部407を有して構成することになる。なお、図22に示す立壁8は、図22(b)に示すように、凸部401と樹脂P2との間に隙間が発生し、その隙間が発生した状態で樹脂P2が冷却して形成した皺有り凹部402を有して構成している。しかし、本実施形態の立壁8は、図22(a)に示すように、凸部401と樹脂P2との間に隙間が発生せず、外側に樹脂P2が突出した状態で樹脂P2が冷却して形成した凹部407を有して構成するのが前提であり、その凹部407に図22(b)に示すように皺が形成されて皺有り凹部402を有して構成することもある。
図22に示す立壁8は、凸部401の形状に応じた凹部407を有して構成するため、皺の発生を防止することができる。また、第1の立壁形成部403と第2の立壁形成部404との連結部分で凸部401を構成しているため、立壁8には、凸部401に対応する箇所に、積層パネル1の内側に窪んだ凹部407が形成される。しかし、凹部407が折れ線として形成され、その折れ線と凹部407とが重なって形成されるため、立壁8に形成された凹部407を目立たないようにすることができる。本実施形態の立壁8は、凸部401の形状に応じた凹部407を意図的に設けているため、樹脂のずれによる皺の発生を防止すると共に、仮に皺が発生したとしても、凹部407の近傍に発生するため、不特定の位置に皺が発生するのを回避することができる。
なお、図22に示す第1の立壁形成部403は、シボ模様を形成するためのシボ有形成部122を有して構成し、第2の立壁形成部404は、シボ模様を形成しないシボ無形成部123を有して構成することが好ましい。これにより、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2をシボ無形成部123で塞ぎ止めると共に、仮に、シボ無形成部123で塞ぎ止められなかったとしても、その塞ぎ止められなかった樹脂P2を凸部401で更に塞ぎ止めることができ、ピンチオフ部118から押し出された樹脂P2が凸部401を越えないようにすることができる。その結果、皺の発生を更に抑制することができる。
<本実施形態の積層パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の積層パネル1を成形する際は、裏壁3から表壁2に向かって起立した立壁8を形成するための立壁形成部120に凸部401を設け、その凸部401を設けた分割金型32で樹脂P2を型締めすることで、凸部401に対応する箇所に凸部401の形状に応じた凹部407を有する立壁8を備える積層パネル1を成形する。
これにより、立壁8に凹部407を有する積層パネル1を得ることができる。
本実施形態の積層パネル1は、立壁8に凹部407を有しているため、成形時の樹脂P2のずれを防止し、立壁8に皺が発生しないようにすることができる。また、仮に皺が発生したとしても凹部407の近傍に発生するため、不特定の位置に皺が発生するのを回避することができる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上記実施形態の積層パネル1は、自動車等におけるトランクの仕切板や床材等として使用することを例として説明した。しかし、上記実施形態の積層パネル1は、自動車等の用途の部材に限定せず、各種用途の部材として使用することも可能である。